説明

ナビゲーション装置

【課題】目的地として、終電以降の利用蓋然性の高い深夜営業施設が指定された場合には、その深夜営業施設から自宅までのタクシー料金や、深夜営業施設付近の滞在施設の利用料金等の情報がユーザに報知されるようにする。
【解決手段】制御手段10が、入力手段12を介して目的地として指定された目的施設が、POIデータ記憶手段15に予め記憶された深夜営業施設に該当するか否かを判別し、深夜営業施設であると判別されたことを条件として、POIデータ記憶手段15のタクシー料金データを参照して目的施設付近から予め指定された自宅までのタクシー料金を算出する処理と、目的施設の付近の滞在施設を検索すると共に、POIデータ記憶手段15の滞在施設料金データ15を参照して当該滞在施設の利用料金を算出する処理と、算出されたタクシー料金又は滞在施設利用料金を、表示手段13を介してユーザに報知する処理とを実行するように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、任意の出発地から目的地に至る候補経路を探索してユーザに提示するナビゲーション装置に関するものであり、特に、目的地として、終電以降の利用蓋然性の高い深夜営業施設が指定された場合には、その深夜営業施設から自宅までのタクシー料金や、深夜営業施設付近の滞在施設の利用料金等の情報がユーザに提供されるようにしたナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置は、自己完結型のものと端末利用型のものとに大別される。自己完結型のものは、候補経路の探索処理から候補経路の表示、目的地までの誘導案内までをナビゲーション装置で一括して行うものであり、一般的なカーナビゲーション装置はこれに該当する。最近では、車両から取り外してユーザが携行可能とした自己完結型の携帯型ナビゲーション装置も提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
一方、端末利用型のものは、ネットワーク上に配置され、ユーザ側の端末装置に情報を配信する経路探索サーバとして多数のユーザに同時利用される。このようにして構築されるナビゲーションシステムにあっては、経路探索サーバはデータ容量の大きい地図データの保存や負荷の大きい候補経路の探索処理を担い、候補経路の表示や目的地までの誘導案内はユーザ側の端末装置を介して行われる。例えば、指定された出発駅と目的駅までの電車やバスの候補経路をインターネット上の経路探索サーバで探索して、端末装置としてのパーソナルコンピュータに表示させる路線案内システムや、指定された出発地から目的地までの歩行経路の候補経路探索を行って候補経路情報や誘導案内情報を経路探索サーバで生成して、端末装置としての携帯電話やPDA等にそれら情報を表示させたりする歩行ナビシステム等が知られている。
【0004】
上述したような携帯型ナビゲーション装置や、経路探索サーバと接続される携帯端末装置を用いれば、走行経路や歩行経路といった道路誘導案内のみならず、電車やバス等の定時運行の公共交通機関(以下単に定時交通機関)を利用した路線誘導案内も可能となる。そのようなナビゲーションシステムとしては、例えば、『実質終電時刻』を算出してユーザの携帯端末装置に事前報知することで、ユーザが意に反して終電に乗り遅れないように図られたものも提案されている。(特許文献2,3参照)。尚、本願明細書でいう実質終電時刻とは、路線毎の最終終車・最終バス(以下、終電等という)の時刻を指すのではなく、出発地の最寄駅から目的地の最寄駅までの候補経路を探索した場合に、出発地の最寄駅の発車時刻が最も遅くなる候補経路におけるその発車時刻を指すものとする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−42779号公報
【特許文献2】特開2003−58663号公報
【特許文献3】特開2003−254777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、定時交通機関に限っては、通常、深夜等は運行停止されることから、ユーザは深夜時間帯には候補経路の探索をしても、運行が再開される早朝までは経路が存在せず、誘導案内を受けることはできない。そのため、居酒屋やビリヤード場といった終電等以降の利用の蓋然性の高い施設(以下、深夜営業施設)を利用して終電等を乗り過ごした場合、しかも、電車で来ていたり飲酒しているため自動車を運転しての帰宅が不可能な状況であれば、タクシーで帰宅するか、電車等の運行が再開される明け方まで現地で飲み明かすか、或いはホテル等の滞在施設を利用するか、といったふうに、施設利用後にいかなる行動選択をするかは、ユーザにとってしばしば悩みの種となる。
【0007】
このような状況は、特に、居酒屋やカラオケ店といった終電以降の飲酒の蓋然性の高い施設(以下、飲酒関連施設)に立ち寄った場合に、不測の終電乗り過ごしの結果としてしばしば直面するものであることは経験則として多くの者が知るところである。更に、そのような飲酒関連施設に車を運転して行ったような場合には、乗ってきた車を現地に駐車したままタクシーで直ちに帰宅するか、酔いが完全に醒めるまで最寄りホテルに宿泊するかの二者択一といったふうに、行動選択の余地がより一層狭められることとなり得る。
【0008】
本発明は、上述のように、終電等過ぎまで深夜営業施設を利用した場合に、ユーザが直面しうる深夜の行動選択に着目してなされたものであり、その目的とするところは、終電以降の利用蓋然性の高い居酒屋等の深夜営業施設が目的地として指定された場合には、終電等以降の時間帯に運転での帰宅が不可能な状況で施設を退出しても、その場になって慌てることなく各人の好みや状況に適したより良い行動計画を練ることができるように、目的施設から自宅までのタクシー料金や、目的施設付近のホテル利用料金といった深夜有用情報がユーザに提供されるように図ったナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本願の発明は、
目的地の指定を行う入力手段と、現在位置検出手段と、地図データ記憶手段と、表示手段と、前記現在地検出手段により検出される現在地と、指定された前記目的地と、前記地図データ記憶手段に格納された地図データとを参照して、前記現在地から前記目的地までの候補経路を探索する制御手段と、を備えたナビゲーション装置であって、
さらに、深夜営業施設か否かを判別するための深夜営業施設データと、タクシーの乗車料金を算出するためのタクシー料金データと、滞在施設の利用料金を算出するための滞在施設料金データと、が格納されたPOIデータ記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、目的地として施設が指定されたとき、前記深夜営業施設データを参照して、当該目的施設が前記深夜営業施設か否かを判別する深夜営業施設判別処理と、
前記目的施設が前記深夜営業施設であると判別したことを条件として、前記タクシー料金データを参照して、前記目的施設付近から、自宅位置データとして予め記憶された自宅までのタクシー利用料金を算出するタクシー料金算出処理と、
前記地図データを参照して、前記目的施設の付近に所在する滞在施設を検索すると共に、前記滞在施設料金データを参照して、前記滞在施設の利用料金を算出する滞在料金算出処理と、
前記算出されたタクシー利用料金又は滞在施設利用料金を、前記表示手段を介して報知する報知処理と、を実行することを特徴とする。
【0010】
また、前記深夜営業施設データが、飲酒関連施設を特定するための飲酒関連施設データであることを特徴とする。
【0011】
また、前記滞在施設料金データには、滞在が可能な娯楽施設および/または宿泊施設の利用料金データが含まれることを特徴とする。
【0012】
また、前記タクシー料金データには、運転代行サービスの利用料金データが含まれることを特徴とする。
【0013】
また、前記ナビゲーション装置は、車両から取り外して携行利用可能な着脱式のカーナビゲーション装置であることを特徴とする。
【0014】
また、路線運行時刻データと路線ネットワークデータとからなる路線データが記憶された交通路線データ記憶手段を更に有し、
前記制御手段は、前記目的施設が前記深夜営業施設であると判別したことを条件として、
前記路線データと前記地図データを参照して、前記目的施設の最寄駅における終電時刻と前記目的施設から前記最寄駅までの所要時間とに基づいて、前記終電に乗車するための前記目的施設の必須出発時刻を算出する処理を実行し、
前記必須出発時刻の所定時間前に前記報知処理を実行することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のナビゲーション装置によれば、終電以降の利用蓋然性の高い居酒屋等の深夜営業施設が目的地として指定された場合には、終電等以降の時間帯に運転での帰宅が不可能な状況で施設を退出しても、その場になって慌てることなく各人の好みや状況に適したより良い行動計画を練ることができるように、目的施設から自宅までのタクシー料金や、目的施設付近のホテル利用料金といった深夜有用情報がユーザに提供されるように図ったナビゲーション装置が提供される。
【0016】
すなわち、本願の発明においては、制御手段は、目的地として施設が指定されたとき、前記深夜営業施設データを参照して、当該目的施設が前記深夜営業施設か否かを判別する深夜営業施設判別処理と、前記目的施設が前記深夜営業施設であると判別したことを条件として、前記タクシー料金データを参照して、前記目的施設付近から、自宅位置データとして予め記憶された自宅までのタクシー利用料金を算出するタクシー料金算出処理と、前記地図データを参照して、前記目的施設の付近に所在する滞在施設を検索すると共に、前記滞在施設料金データを参照して、前記滞在施設の利用料金を算出する滞在料金算出処理と、前記算出されたタクシー利用料金又は滞在施設利用料金を、前記表示手段を介して報知する報知処理と、を実行する。かかる構成によれば、終電以降の深夜の利用蓋然性の高い居酒屋等の深夜営業施設が目的地として指定された場合には、目的施設付近から自宅までのタクシー料金や、目的施設付近のホテル利用料金といった深夜有用情報がユーザに提供される。したがって、ユーザは、終電等以降に施設を退出しても、その場になって慌てることなく、これら深夜有用情報を参考にして各人の好みや状況に適したより良い行動計画を練ることができるようになる。
【0017】
また、深夜営業施設データが、飲酒関連施設を特定するための飲酒関連施設データである。かかる構成によれば、深夜営業飲酒関連施設か否かの判別が、飲酒関連施設であるか否かに基づいて行われる。これは居酒屋等の飲酒関連施設は、終電以降の利用が高い蓋然性をもって予想される施設であり、また、そのような飲酒関連施設に立ち寄った場合には、不測の終電等乗り過ごしといった展開が高い蓋然性を持って予想されるためである。したがって、ユーザにとってはより一層利用価値が高いものとなる。
【0018】
また、滞在施設料金データには、滞在が可能な娯楽施設および/または宿泊施設の利用料金データが含まれる。かかる構成によれば、滞在施設として、ホテルのみならず、個室で滞在できかつホテルよりは一般に低廉な娯楽施設の情報提供がされるため、ユーザにとってより利用価値の高いものとなる。
【0019】
また、タクシー料金データには、運転代行サービスの利用料金データが含まれる。かかる構成によれば、ナビゲーション装置がカーナビとして利用されて目的施設付近まで車を運転してきたような場合には、タクシー情報として運転代行サービスの利用料金が提示されるから、ユーザは自分の車で直ちに帰宅するか否かの判断材料として利用することができる。
【0020】
また、車両から取り外して携行利用可能な着脱式のカーナビゲーション装置である。かかる構成によれば、現在地から目的施設まで行くにあたって、車の経路と歩行経路との双方の誘導案内を受けることが可能であり、かつ上記深夜有用情報を取得可能なナビゲーション装置が実現される。
【0021】
また、制御手段は、前記目的施設が前記深夜営業施設であると判別したことを条件として、前記路線データと前記地図データを参照して、前記目的施設の最寄駅における終電時刻と前記目的施設から前記最寄駅までの所要時間とに基づいて、前記終電に乗車するための前記目的施設の必須出発時刻を算出する処理を実行し、前記必須出発時刻の所定時間前に前記報知処理を実行する。かかる構成によれば、目的施設に滞在中にも実質終電時刻が近づいていることを知ることができるのみならず、その際に、現在の体調等をふまえて改めてそれら有用情報を参照してその後の行動計画を練る契機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の携帯型ナビゲーション装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】制御手段の主要処理の内容を示したフローチャートである。
【図3】表示手段を介してユーザに報知される深夜有用情報の内容の一例を示す図である。
【図4】本発明の変形例の携帯型ナビゲーションシステムで実行される深夜有用情報の終電直前報知のための処理内容を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の具体例を実施例および図面を用いて詳細に説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の技術的思想を具体化するための携帯型ナビゲーション装置を例示するものであって、本発明をこの携帯型ナビゲーション装置に特定することを意図するものではなく、以下の実施形態に例示する誘導案内機能を持たずに、候補経路の提示のみを行うナビゲーション装置にも等しく適用し得るものである。
【実施例】
【0024】
本発明の実施例にかかる携帯型ナビゲーション装置1の要部の構成を、図1を用いて説明する。尚、以下に実施形態では、深夜営業施設か否かの判別を、特に、飲酒蓋然性の高い飲酒関連施設か否かに基づいて判別するようにした場合の例を示す。
【0025】
制御手段10は、CPU(図示せず)およびRAM/ROM(図示せず)からなるプロセッサで構成され、RAM、ROMに記録された制御プログラムにしたがって携帯型ナビゲーション装置1の各部の動作を制御するものである。そして、主要動作として、地図データ記憶手段14に格納された地図データや路線データ記憶手段16に格納された路線データを参照して、道路や定時交通機関の候補経路探索処理、候補経路探索処理により探索した経路に基づき、指定された出発地から目的地までの誘導案内処理を実行する。更に、本発明の要部となる『飲酒関連施設判別処理』、『タクシー料金算出処理』、『滞在料金算出処理』、『駐車料金算出処理』等を、POIデータ(POI:Point Of Interest)を参照して実行する。
【0026】
現在位置検出手段11は、地球上空を周回している複数のGPS衛星から時刻情報を含む電波を受信するGPS受信機等で構成される。さらに、現在位置検出手段11は、距離センサーや、方位センサー、蛇角センサーなどからなる自立航法装置を用いることもできる。
【0027】
入力手段12は、携帯型ナビゲーション装置における操作入力や出発地、目的地の入力を行う各種キー、スイッチなどから構成される。
【0028】
表示手段13は、地図画像や候補経路画像、誘導案内画像を表示してユーザが視認できるようにするためのマンマシンインターフェースとしての役割を担うものであり、例えば液晶ディスプレイなどで構成される。なお、この表示手段13は、タッチセンサーを具備させて入力手段の一部を担うように構成することもできる。この場合は画面上に表示されるアイコンをユーザが触れることで選択入力が行われるようにする。
【0029】
地図データ記憶手段14には、道路の交差点や分岐点などの結節点をノードとする道路ノードデータと、それぞれのノード間を結ぶ経路をリンクとした道路リンクデータとを含む地図データが記憶されている。より詳細には地図データの道路(経路)をその結節点、屈曲点の位置を道路ノードとし、各道路ノードを結ぶ経路をリンクとし、全てのリンクのコスト情報(距離や所要時間)をデータベースとして備えている。そして、制御手段10は、この地図データ記憶手段14の道路データを参照して、出発地のノードから目的地のノードに至るリンクを順次探索し、リンクのコスト情報が最小となるノード、リンクを辿る最短経路を候補経路として特定する候補経路探索処理を行い、携帯ナビゲーション端末を介してかかる候補経路を経由する目的地までのユーザの誘導案内処理を実行する。尚、このような経路探索の手法としてはラベル確定法あるいはダイクストラ法と言われる公知の手法が用いられる。
【0030】
更に、地図データ記憶手段14に格納された道路ノードデータには、道路ノード番号、位置座標、接続リンク本数、交差点名称などが含まれるほか、交差点等の案内地点に対応する案内ポイントおよび右折や左折、直進などを案内する誘導案内用のデータも記憶されている。また、道路リンクデータには起点および終点となる道路ノード番号、道路種別、リンク長(リンクコスト)、所要時間、車線数、車道幅などが含まれる。道路リンクデータには、さらに、リンク属性として橋、トンネル、踏切、料金所などのデータが付与される。道路種別とは、高速道路や有料道路の別、および国道や都道府県道などの別を含む情報である。
【0031】
地図データ記憶手段14には、更に、施設位置・施設形状・施設名称・カテゴリー種別を含む施設データが格納されている。そして、本実施形態では、制御手段10は、ユーザにより指定された施設(以下、目的施設)が深夜営業施設か否かの判別を行うに際して、この施設データのカテゴリー種別を参照する。
【0032】
いずれのカテゴリー種別の施設を飲酒関連施設と判定すべきかの情報は、製造者により或いはユーザにより予め指定される。この指定は、カテゴリー種別を指定することで行われ、指定されたカテゴリー種別は、飲酒関連施設データとしてPOIデータ記憶手段15に記憶される。そして、制御手段10は、飲酒関連施設判別処理を実行するに際しては、目的施設のカテゴリー種別を地図データ記憶手段14により特定し、それにより特定されたカテゴリー種別がPOIデータ記憶手段15に格納された飲酒関連施設データと一致するか否かを判別する。尚、飲酒関連施設データとしては、例えば、カテゴリー種別としての『居酒屋』、『バー』、『クラブ』、『カラオケ店』等が指定されるのが好ましい。
【0033】
POIデータ記憶手段15には、更に、『タクシー料金データ』、『滞在施設料金データ』、『駐車料金データ』が格納される。
【0034】
『タクシー料金データ』は、走行距離と深夜運賃との関連を規定したデータであり、タクシー会社を区別しない平均運賃として規定されたデータであるが、タクシー会社別の料金データとして記憶するようにしてもよい。
【0035】
制御手段10は、飲酒関連施設判別処理の結果、目的施設が飲酒関連施設であると判別したときには、目的施設から予め指定されたユーザの自宅までの経路探索を行って予想走行距離を算出し、この予想走行距離とタクシー料金データとを照らし合わせることで、自宅直帰に必要とされるタクシー料金(予想運賃)を算出し、表示手段13を介してユーザにタクシー料金を報知する。尚、ユーザが自分の車を運転して目的施設まで来た場合には、タクシーで帰宅すると、車を駐車場等に放置することになるので、このタクシー料金データとして、いわゆる運転代行業の運賃データを併用すると好ましい。
【0036】
『滞在施設料金データ』としては、ホテルや漫画喫茶等の個室での滞在が可能な滞在施設の名称と、その滞在施設の利用料金とが記憶される。制御手段10は、目的施設が飲酒関連施設であると判別したときには、地図データ記憶手段14の地図データを参照して目的施設付近の滞在施設を検索し、その滞在施設の名称を足がかりにして、更に滞在施設料金データから該当する滞在施設の利用料金情報を特定し、その滞在施設の名称、所在地、利用料金情報を、表示手段13を介してユーザに報知する。尚、滞在施設料金データは、ホテルであれば宿泊・一時滞在といった利用形態別の料金データとし、或いは漫画喫茶やカラオケ店等であれば利用時間に応じた料金データとし、詳細料金情報をユーザに報知できるように構成してもよい。
【0037】
『駐車料金データ』としては、有料駐車施設(有料駐車場)の施設名称と、その有料駐車場の深夜時間帯の利用料金とが記憶される。制御手段10は、目的施設が飲酒関連施設であると判別したときには、地図データ記憶手段14の地図データを参照して目的施設付近の有料駐車場を検索し、その有料駐車施設の名称を足がかりにして更に駐車料金データから該当する有料駐車場の利用料金情報を特定し、その有料駐車施設の名称、所在地、利用料金情報を表示手段13を介してユーザに報知する。尚、駐車料金データは、概略情報としてその地域の平均的な駐車料金としてもよいが、駐車場毎または駐車場会社毎の利用時間に応じた料金データとして、詳細料金情報をユーザに報知できるようにするのが好ましい。
【0038】
路線データ記憶手段16には、定時交通機関(電車路線、バス路線)の運行時刻データをデータベース化した運行時刻データと、これに基づいて路線ネットワークをデータベース化した交通ネットワークデータとを含む路線データが格納されている。制御手段10は、ユーザが指定する出発希望日時、出発地、目的地、到着希望日時等の経路探索条件に従って、これらのデータベースを参照して、乗り継ぎ(乗換え)を含めて出発地と目的地を結ぶ利用可能な交通路線の経路を順次辿り、経路探索条件に合致する候補経路(出発地駅、目的地駅、利用する交通路線、特急・準急・普通等の列車種別)を表示手段13を介して1つまたは複数提示する。経路探索条件としては、更に、所要時間、乗り継ぎ回数、運賃などを指定できるようにされているのが一般的である。
【0039】
通信手段17は、通信ネットワーク上の所定サーバ18と接続して、最新の地図データ、路線データ、各種料金データ(タクシー料金データ、滞在施設料金データ、駐車料金データ)を取得することができ、地図データ記憶手段14、路線データ記憶手段16、POIデータ記憶手段15のデータ内容を更新するのに使用される。尚、この通信手段17を介して、POIデータ記憶手段15に記憶された飲酒関連施設データを、所定サーバ18で規定された飲酒蓋然性のより高い施設に自動的に修正したり追加記憶されるように構成することも可能である。
【0040】
音声報知手段19は、誘導案内時の案内報知等、携帯型ナビゲーション装置1における各種音声報知を行うものでありスピーカ等で構成される。
【0041】
次に、図2のフローチャートを用いて本発明の携帯型ナビゲーション装置1における制御手段10の制御動作を説明する。
【0042】
携帯型ナビゲーション装置1の経路探索機能が起動され、入力手段12を介してユーザにより目的施設が指定されると(ステップS1,YES)、目的施設が飲酒関連施設であるか否かの飲酒関連施設判別処理を実行する(ステップS2)。ここで、目的施設が地図データ記憶手段14の地図データにカテゴリー種別『居酒屋』と記憶されており、かつPOIデータ記憶手段15の飲酒関連施設データにもカテゴリー種別『居酒屋』が記憶されていると、目的施設が飲酒関連施設であると判別し(ステップS2YES)、次いで自宅登録有無を判別する(ステップS3)。尚、目的地が飲酒関連施設でないと判別したときには、(ステップS2,NO)、以下のステップS3〜7の処理は実行せずに、ステップS8以降の通常の経路探索と誘導案内とを実行することになる。
【0043】
自宅登録有無の判別は、ユーザの自宅位置データが、例えば制御手段10の不図示のRAM等に予め記憶されているか否かを確認することにより行う。この自宅位置データは、以降のステップS4において目的施設から自宅までのタクシー料金を算出するのに必要であるため、自宅位置データが登録されていない場合には(ステップS3,NO)、以下のステップS4〜7の処理は実行せずに、ステップS8以降の通常の経路探索と誘導案内とを実行することになる。尚、本実施例では自宅位置データは予め登録するものとしているが、経路探索時に未登録であるような場合には、そのときにユーザからの入力を新たに受け付けるように構成することもできる。
【0044】
自宅位置データが登録されていることを確認すると(ステップS3,YES)、目的施設から自宅までのタクシー料金算出処理を実行する(ステップS4)。具体的には、地図データ記憶手段14の地図データを参照して目的施設から予め指定されたユーザの自宅までの経路探索を行って最短走行距離を算出し、この最短走行距離とPOIデータ記憶手段15のタクシー料金データとを照らし合わせることで、自宅まで直帰するのに必要とされるタクシー料金を算出し、これら最短走行距離、算出されたタクシー料金をRAMに一時記憶する。
【0045】
次いで、目的施設付近の滞在料金算出処理を実行する(ステップS5)。具体的には、地図データ記憶手段14の地図データを参照して目的施設付近の滞在施設を検索し、次いで、その滞在施設の名称を足がかりにして、更にPOIデータ記憶手段15の滞在施設料金データから該当する滞在施設の利用料金情報(例えば宿泊料金、利用可能時間、漫画喫茶利用料金表等)を特定し、その滞在施設の名称、所在地、利用料金情報をRAMに一時記憶する。尚、この例では、滞在料金算出処理において利用料金情報を‘特定’する態様をとっているが、更に詳細な利用料金情報をユーザに提示するために、例えば始発発車までの必要滞在時間を算出して、その滞在時間に基づいて利用料金を文字通り算出するような構成とすることも可能である。
【0046】
次いで、目的施設付近の駐車料金算出処理を実行する(ステップS6)。具体的には、地図データ記憶手段14の地図データを参照して目的施設付近の有料駐車場を検索し、次いで、その有料駐車施設の名称を足がかりにして、更にPOIデータ記憶手段15の駐車料金データから該当する有料駐車場の利用料金情報を特定し、その有料駐車施設の名称、所在地、利用料金情報をRAMに一時記憶する。尚、この駐車料金特定処理は、携帯型ナビゲーション装置1が車載されてカーナビゲーションとして利用される場合(すなわち道路の候補経路探索が行われる場合)にのみ実行されればよく、定時交通機関を含む歩行経路探索が実行される場合には省略されるようにしてもよい。
【0047】
次いで、上記ステップS4〜S6においてRAMに一時記憶したデータに基づき作成した深夜有用情報を表示手段13により表示する(ステップS7)。この深夜有用情報としては、図3に示すように、『タクシー情報』、『滞在情報』、『有料駐車場情報』を示す。尚、この深夜有用情報は、後述するように終電時刻の所定時間前に報知するように構成すると好適である。この場合、報知先としてユーザの携帯電話などのメールアドレスを登録しておき、その報知先にこれらの情報を送信できるように構成するとよい。
【0048】
タクシー情報としては例えば「施設所在地」・「自宅所在地」・「予想走行距離」・「予想運賃」をユーザに報知する。このタクシー料金情報は、ユーザが終電等以降の最も早い帰宅手段を利用するか否かの判断材料として利用できる。また、この携帯型ナビゲーション装置1がカーナビとして利用されて目的施設付近まで車を運転してきたような場合には、タクシー情報として運転代行サービスの利用料金を提示するようにすれば、自分の車で直ちに帰宅するか否かの判断材料としても利用できる。
【0049】
滞在情報としては例えば「ホテル名称」・「ホテル所在地」(住所又は地図情報)・「宿泊料金」・「チェックイン時刻」、「チェックアウト時刻」をユーザに報知する。更に、目的施設からホテルまでの経路探索を実行して所要時間を算出して表示するようにしてもよい。この滞在情報は、ユーザがタクシー利用による帰宅や屋外での時間つぶし等を避けて室内で仮眠等して過ごすか否かの判断材料として利用できる。
【0050】
有料駐車場情報としては例えば「駐車場名称」・「駐車場所在地」(住所または地図情報)をユーザに報知する。この有料駐車場情報は、目的施設専用の駐車場がないような場合には駐車費用の参照情報として利用できるのみならず、目的施設付近まで車を運転してきたが現地からの運転代行サービスの享受が困難な場合等には、自分の車を現地に置いたままタクシーで帰宅するか否かの判断材料としても利用できる。
【0051】
ステップS1〜7の処理が終了した後は、地図データや路線データを参照して現在位置検出手段11により取得される現在地からユーザにより指定された目的施設までの経路探索を実行し、目的施設までの誘導案内が開始される(ステップS8)。誘導案内は、目的施設に到着するまで実行される(ステップS9,NO→YES)。
【0052】
このように本実施形態の携帯型ナビゲーション装置1によれば、ユーザが携行して路線を含む歩行経路の誘導案内を受けるときのみならず、車載してカーナビゲーション装置として利用したような場合にも、目的地として飲酒関連施設が指定されたときには、目的施設から自宅までのタクシーの予想運賃や運転代行サービスの利用料金、目的施設付近のホテル滞在料金といった有用情報がユーザに事前に提供される。したがって、ユーザは、終電等以降の時間帯に予定外に飲酒したような場合にも、無理に居酒屋等に長居したり、退店直後に途方に暮れたりといった事態に陥ることなく、それら有用情報を参照してその後の行動計画を容易に練ることができるようになる。
【0053】
上記実施例では、目的地として飲酒関連施設が指定された場合には、自宅登録がされていることを前提として直ちにタクシー料金等をユーザに報知するようにしたが、かかる報知タイミングは、終電等に乗車するための前提条件となる必須出発時刻の所定時間前にのみ、あるいは図2のフローチャートに示した候補経路探索時の報知(ステップS7)と併せて報知(終電直前報知)されると好ましい。
【0054】
そのように二度の報知を行うナビゲーション装置であっても、図2のフローチャートに示した制御手段10の動作は基本的に同じであるが、ステップS8で示した経路探索処理の前後或いはこれと平行して、報知時刻算出処理が行われる。この報知時刻算出処理が行われてから実際に終電直前報知が行われるまでの制御手段10の処理の流れを、図4を参照して説明する。
【0055】
報知時刻算出処理では、制御手段10は、路線データと地図データを参照して、目的施設の最寄駅における実質終電時刻と、目的施設から前記最寄駅までの所要時間を算出し、終電に乗車するための前提条件となる目的施設の必須出発時刻を算出する。尚、このような必須出発時刻の算出処理については、例えば特許文献3に示されるように公知技術であるので詳細説明は省略する。更に、算出された必須出発時刻から所定時間(この例では1時間)を差し引くことにより、終電直前報知時刻を算出し、RAMに一時記憶する(ステップS1)。
【0056】
なお、目的施設から前記最寄駅までの所要時間は、一般的には徒歩移動を想定すればよく、平均的な歩行速度に基づく徒歩所要時間を算出するが、目的施設と最寄駅までの距離が遠く徒歩移動には適さない場合、すなわち、所定の所要時間、例えば、徒歩所要時間が15分を超えるような場合にはタクシー移動など、他の移動手段の利用するものとして、所要時間を算出する。その場合、出発時刻には利用する移動手段を明示することが好ましい。
【0057】
上記処理が終了すると、終電直前報知時刻が到来するまで計時処理が継続実施され(ステップS2,NO)、終電直前報知時刻が到来すると(ステップS2,YES)、図3に示したような内容の深夜有用情報を表示手段13に表示する(ステップS3)。尚、この場合の深夜有用情報には、更に、実質終電時刻や、必須出発時刻、目的施設から最寄駅までの所要時間が併せて表示されるようにするとこのましい。
【0058】
以上、説明した本発明の実施例にかかる携帯型ナビゲーション装置1において、深夜営業施設データとしては、その施設の『営業時間帯』を採用するのがもっとも有効かと考えられるが、データ収集の困難性等に鑑みればこれに限られるものではない。例えば、一般的なナビゲーション装置で汎用されている施設のカテゴリー種別をそのまま利用することもできる。この場合には、例えば、カテゴリー種別としての『居酒屋』、『カラオケ店』等が終電以降の利用の蓋然性が高い施設と判別されるように、製造者側、或いはユーザによる任意指定によりPOIデータ記憶手段15に予めその施設カテゴリー種別を格納しておき、これと、目的施設のカテゴリー種別とを対比することで、深夜営業施設か否かを判別するようにすることもできる。また、利用料金の算出処理、報知処理は、目的地指定時の時刻や目的施設への到着時間等を参照することにより、目的施設の終電等以降の利用必然性を確認してから実行するようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 携帯型ナビゲーション装置
10 制御手段
11 現在位置検出手段
12 入力手段
13 表示手段
14 地図データ記憶手段
15 POIデータ記憶手段
16 路線データ記憶手段
17 通信手段
18 所定サーバ
19 音声報知手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目的地の指定を行う入力手段と、現在位置検出手段と、地図データ記憶手段と、表示手段と、前記現在地検出手段により検出される現在地と、指定された前記目的地と、前記地図データ記憶手段に格納された地図データとを参照して、前記現在地から前記目的地までの候補経路を探索する制御手段と、を備えたナビゲーション装置であって、
さらに、深夜営業施設か否かを判別するための深夜営業施設データと、タクシーの乗車料金を算出するためのタクシー料金データと、滞在施設の利用料金を算出するための滞在施設料金データと、が格納されたPOIデータ記憶手段と、を備え、
前記制御手段は、目的地として施設が指定されたとき、前記深夜営業施設データを参照して、当該目的施設が前記深夜営業施設か否かを判別する深夜営業施設判別処理と、
前記目的施設が前記深夜営業施設であると判別したことを条件として、前記タクシー料金データを参照して、前記目的施設付近から、自宅位置データとして予め記憶された自宅までのタクシー利用料金を算出するタクシー料金算出処理と、
前記地図データを参照して、前記目的施設の付近に所在する滞在施設を検索すると共に、前記滞在施設料金データを参照して、前記滞在施設の利用料金を算出する滞在料金算出処理と、
前記算出されたタクシー利用料金又は滞在施設利用料金を、前記表示手段を介して報知する報知処理と、を実行することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
前記深夜営業施設データが、飲酒関連施設を特定するための飲酒関連施設データであることを特徴とする請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記滞在施設料金データには、滞在が可能な娯楽施設および/または宿泊施設の利用料金データが含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記タクシー料金データには、運転代行サービスの利用料金データが含まれることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記ナビゲーション装置は、車両から取り外して携行利用可能な着脱式のカーナビゲーション装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
路線運行時刻データと路線ネットワークデータとからなる路線データが記憶された交通路線データ記憶手段を更に有し、
前記制御手段は、前記目的施設が前記深夜営業施設であると判別したことを条件として、
前記路線データと前記地図データを参照して、前記目的施設の最寄駅における終電時刻と前記目的施設から前記最寄駅までの所要時間とに基づいて、前記終電に乗車するための前記目的施設の必須出発時刻を算出する処理を実行し、
前記必須出発時刻の所定時間前に前記報知処理を実行することを特徴とする請求項5に記載のナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−197070(P2010−197070A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39247(P2009−39247)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)三洋電機コンシューマエレクトロニクス株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】