説明

ナビゲーション装置

【課題】ユーザが最適なルートまたはSA/PAを選択するための情報を提示できるナビゲーション装置を提供する。
【解決手段】案内ルートに従って走行中に、前方の渋滞情報をレーン毎に取得するレーン毎渋滞情報取得部23と、走行すべきレーンの情報を取得するルート上走行レーン取得部25と、レーン毎渋滞情報取得部で取得された渋滞情報とルート上走行レーン取得部で取得された走行すべきレーンの情報とを比較することにより、自車が渋滞の影響を受けるかどうかを判定するレーン渋滞判定部27と、レーン渋滞判定部で自車が渋滞の影響を受けることが判定された場合に、該渋滞を回避する回避ルートを算出する経路算出部28と、案内ルートと回避ルートとの差分を算出する比較案内情報算出部29と、比較案内情報算出部で算出された差分を出力する出力部30を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザを目的地まで誘導・案内するナビゲーション装置に関し、特に、レーン毎の渋滞を考慮した回避ルートを案内する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、移動路の前方に渋滞路などといった通行を遅滞させる交通事象が存在する場合に、利用者にその交通事象の対処に有効な情報を報知するナビゲーション装置が知られている(特許文献1参照)。このナビゲーション装置によれば、渋滞を避けて他のレーンを進んだことにより、予定した方向に行くことができず目的地到着が遅れたり、不必要な渋滞を並ぶことで時間をロスしたりといった状況を回避できる。
【0003】
また、特許文献2は、インターチェンジの渋滞を判定して注意を促す車載用カーナビゲーションシステムを開示している。この車載用カーナビゲーションシステムは、出口路付近の渋滞情報から渋滞の最後尾を予測し、渋滞区間に入る前に左車線への誘導案内を行い、スムーズな車線変更を可能として安全性を向上させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−55427号公報
【特許文献2】特開2007−139531号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した特許文献1に開示された技術では、渋滞を回避できる時は回避し、回避が不可能な時は、その旨を報知するといった対処を自動的に設定するものであり、その対処がユーザにとって最善であるかは考慮されていない。また、渋滞を避けるかどうかを判断するためにユーザに提供される情報は、渋滞原因および通過所要時間だけであるので、判断が難しい。
【0006】
また、特許文献2に開示された技術では、渋滞の報知によりインターチェンジの通過を避けることは可能ではあるが、そのインターチェンジを使用することが最善であるという考えに基づいており、この場合もユーザの判断は考慮されていない。
【0007】
また、現在のカーナビゲーション装置では、サービスエリア/パーキングエリア(以下、「SA(Service Area)/PA(Parking Area)」と略する)の情報を視覚的に得ることは可能だが、SA/PAの種類またはエリア内の駐車場混雑状況等を自動的かつ容易に得ることは難しい。
【0008】
この発明は、上述した問題を解消するためになされたものであり、その課題は、ユーザが最適なルートまたはSA/PAを選択するための情報を提示できるナビゲーション装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、上記課題を解決するために、案内ルートに従って走行中に、前方の渋滞情報をレーン毎に取得するレーン毎渋滞情報取得部と、走行すべきレーンの情報を取得するルート上走行レーン取得部と、レーン毎渋滞情報取得部で取得された渋滞情報とルート上走行レーン取得部で取得された走行すべきレーンの情報とを比較することにより、自車が渋滞の影響を受けるかどうかを判定するレーン渋滞判定部と、レーン渋滞判定部で自車が渋滞の影響を受けることが判定された場合に、該渋滞を回避する回避ルートを算出する経路算出部と、案内ルートと回避ルートとの差分を算出する比較案内情報算出部と、比較案内情報算出部で算出された差分を出力する出力部とを備えている。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、案内ルートと回避ルートとの差分、例えば、所要時間または距離などの差分が出力されるので、ユーザは、この差分を基に、最適ルートを選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置に含まれるメインCPUの機能的な構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置のルート上一般道路走行中の動作を示すフローチャートである。
【図4】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で行われるルート上一般道路走行時のリルートの詳細を説明するための図である。
【図5】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置のルート上高速道路走行中の動作を示すフローチャートである。
【図6】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で行われるルート上高速道路走行時のリルートの詳細を説明するための図である。
【図7】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の非ルート上一般道路走行時の動作を示すフローチャートである。
【図8】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の非ルート上高速道路走行時の動作を示すフローチャートである。
【図9】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で行われるSA/PA付近走行時の動作を示すフローチャートである。
【図10】この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置で行われるSA/PAの回避可否判断基準を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。このナビゲーション装置は、メインCPU1、GPS(Global Positioning System)受信機2、ジャイロセンサ3、車速センサ4、VICS(Vehicle Information and Communication System(登録商標/以下記載を省略する)受信機5、携帯電話6、光ビーコン装置7、カメラ8、ステアリングスイッチ9、マイクロフォン(以下、「マイク」と略する)10、HDD(Hard Disk Drive)11、ディスプレイ12およびスピーカ13を備えている。
【0013】
メインCPU1は、このナビゲーション装置の全体を制御する。例えば、メインCPU1は、状況に応じた案内要否の判断または現ルートと回避ルートとの比較などの処理を実行する。このメインCPU1で実行される処理の詳細は後述する。
【0014】
GPS受信機2は、自己の現在位置を検出する。このGPS受信機2で検出された現在位置は、現在位置データとして、メインCPU1に送られる。ジャイロセンサ3は、車両の旋回時の角速度を検出する。このジャイロセンサ3で検出された角速度は、角速度データとして、メインCPU1に送られる。車速センサ4は、車両が所定距離走行する毎に送られてくる車速信号に基づき、該車両の移動速度を検出する。この車速センサ4で検出された移動速度は、速度データとして、メインCPU1に送られる。
【0015】
VICS受信機5は、例えばFM多重放送の電波を受信したVICSアンテナ(図示しない)から送られてくるVICS信号に基づき交通情報を生成し、メインCPU1に送る。メインCPU1は、VICS受信機5から送られてきた交通情報から渋滞情報を取得する。この渋滞情報には、過去の渋滞情報も含まれる。
【0016】
携帯電話6は、外部とのデータ通信を行うために使用される。すなわち、携帯電話6は、外部からの通信データを受信してメインCPU1に送るとともに、メインCPU1から送られてくる通信データを外部に送信する。例えば、携帯電話6は、外部のサーバから送信される通信データに含まれる交通情報から渋滞情報を取得する。この渋滞情報には、過去の渋滞情報も含まれる。この携帯電話6は、本発明の渋滞情報取得部としても機能する。
【0017】
光ビーコン装置7は、光ビーコン信号を受信してメインCPU1に送る。メインCPU1は、光ビーコン装置7から受け取った光ビーコン信号に基づき車線通知情報を再生し、この再生した車線通知情報から自車の走行レーンを判断する。
【0018】
カメラ8は、車両の前方を撮影する。このカメラ8で撮影することにより得られた画像信号は、メインCPU1に送られる。メインCPU1は、カメラ8から受け取った画像信号に基づき画像情報を再生し、この再生した画像情報から白線部分を認識することにより自車の走行レーンを判断する。
【0019】
ステアリングスイッチ9は、ハンドルに装着されてナビゲーション装置を制御するため使用される。このステアリングスイッチ9が操作されることにより発生した信号は、操作データとしてメインCPU1に送られる。マイク10は、音声を電気信号に変換し、音声データとしてメインCPU1に送る。
【0020】
HDD11は、地図データ(道路データおよび施設データなどを含む)、車線情報およびSA/PA情報などを記憶している。このHDD11に記憶されている情報は、メインCPU1によって読み出される。
【0021】
ディスプレイ12は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)から構成されており、メインCPU1から送られてくる表示データに従って地図、その他の各種メッセージを表示する。スピーカ13は、メインCPU1から送られてくる音声データに従って、例えば案内音声を出力する。
【0022】
次に、上述したメインCPU1の詳細を説明する。図2は、メインCPU1の機能的な構成を示すブロック図である。このメインCPU1は、入力部21、自車位置検出部22、レーン毎渋滞情報取得部23、SA/PA立ち寄り判定部24、ルート上走行レーン取得部25、自車走行レーン検出部26、レーン渋滞判定部27、経路算出部28、比較案内情報算出部29および出力部30を備えている。
【0023】
入力部21は、ステアリングスイッチ9から送られてきた操作データまたはマイク10から送られてきた音声データを受け取り、これらによって示された指示をSA/PA立ち寄り判定部24に送る。
【0024】
自車位置検出部22は、GPS受信機2から送られてくる現在位置データ、ジャイロセンサ3から送られてくる角速度データ、および、車速センサ4から送られてくる速度データに基づき現在位置を検出する。この自車位置検出部22で検出された自車位置は、自車位置データとしてSA/PA立ち寄り判定部24およびレーン渋滞判定部27に送られる。
【0025】
レーン毎渋滞情報取得部23は、VICS受信機5から送られてくる交通情報に含まれる渋滞情報または携帯電話6から送られてくる交通情報に含まれる渋滞情報から、渋滞が存在する指定方向レーンを抽出して指定方向レーン情報を取得し、SA/PA立ち寄り判定部24およびレーン渋滞判定部27に送る。
【0026】
SA/PA立ち寄り判定部24は、レーン毎渋滞情報取得部23から送られてくる渋滞情報または入力部21から入力されたユーザが立ち寄ることを必要とする事由に基づき、自車位置検出部22で検出された自車位置が、SA/PAの一定距離前になったタイミングで、そのSA/PAへ立ち寄るかを判定する。このSA/PA立ち寄り判定部24における判定結果は、比較案内情報算出部29および出力部30に送られる。
【0027】
ルート上走行レーン取得部25は、ルート上を走行中に、通過する交差点などといった、通るべき指定方向レーン情報を取得し、レーン渋滞判定部27に送る。自車走行レーン検出部26は、現在自車が走行しているレーンが交差点でどの方向へ行くことができるかを検出し、その検出した結果をレーン渋滞判定部27に送る。
【0028】
レーン渋滞判定部27は、レーン毎渋滞情報取得部23で抽出された指定方向レーン、ルート上走行レーン取得部25で取得された指定方向レーン情報および自車走行レーン検出部26で検出された検出結果に基づき、レーンの渋滞の有無を判定する。このレーン渋滞判定部27における判定結果は、経路算出部28、比較案内情報算出部29および出力部30に送られる。
【0029】
経路算出部28は、レーン渋滞判定部27からレーンの渋滞が有る旨の判定結果が送られてきた場合に、その渋滞箇所を回避する回避ルートを算出し、比較案内情報算出部29に送る。比較案内情報算出部29は、経路算出部28から送られてくる回避ルートと、それまで設定されていた案内ルートとの差分を算出し、出力部30に送る。
【0030】
出力部30は、SA/PA立ち寄り判定部24から送られてくる判定結果、レーン渋滞判定部27から送られてくる判定結果および比較案内情報算出部29から送られてくる回避ルートと案内ルートとの差分を、ディスプレイ12および/またはスピーカ13に出力する。
【0031】
次に、上記のように構成される、この発明の実施の形態1に係るナビゲーション装置の動作を説明する。この実施の形態1に係るナビゲーション装置の機能が実際に使用されるのは、以下の5つの場面である。
(1)ルート上一般道路走行中
(2)ルート上高速道路走行中
(3)非ルート上一般道路走行中
(4)非ルート上高速道路走行中
(5)SA/PA付近
【0032】
(1)ルート上一般道路走行中
最初に、ルート上一般道路走行中の動作を、図3に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0033】
まず、目的地が入力される(ステップST11)。次いで、現在地から目的地へのルートが引かれる(ステップST12)。これらステップST11およびST12の処理により、目的地へのルートが検索されて案内ルートが設定される。
【0034】
次いで、自車位置が検出される(ステップST13)。すなわち、自車位置検出部22は、GPS受信機2から送られてくる現在位置データ、ジャイロセンサ3から送られてくる角速度データ、および、車速センサ4から送られてくる速度データに基づき現在位置を検出する。この現在位置の検出は、走行中は一定周期で行われる。
【0035】
次いで、交差点の2km手前であるかどうかが調べられる(ステップST14)。すなわち、HDD11から読み出された地図データに含まれる道路データとステップST13で検出された自車位置とから、現在、ルート上の次の交差点まで2kmの位置にいるかどうかが調べられる。このステップST14において、交差点の2km手前でないことが判断されると、シーケンスはステップST13に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0036】
一方、ステップST14において、交差点の2km手前であることが判断されると、次いで、レーン毎の渋滞情報が取得される(ステップST15)。すなわち、レーン毎渋滞情報取得部23によって、VICS受信機5から送られてくる交通情報に含まれる渋滞情報または携帯電話6から送られてくる交通情報に含まれる渋滞情報から指定方向レーンが抽出される。
【0037】
次いで、渋滞があるかどうかが調べられる(ステップST16)。すなわち、レーン毎渋滞情報取得部23は、ステップST15で抽出された指定方向レーンに渋滞があるかどうかを調べる。このステップST16において、渋滞がないことが判断されると、シーケンスはステップST13に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0038】
一方、ステップST16において、渋滞があることが判断されると、ステップST15で取得された渋滞が存在する指定方向レーンの情報が抽出されてレーン渋滞判定部27に送られた後、走行すべきレーンの情報が取得される(ステップST17)。すなわち、レーン渋滞判定部27は、ルート上走行レーン取得部25から、通るべき指定方向レーンの情報を取得する。換言すれば、現在案内されているルート上で次の交差点のどのレーンを走行すべきかの情報を取得する。例えば、右折する場合は右折レーンがいくつあるかなどの情報を取得する。
【0039】
次いで、渋滞の影響を受けるかどうかが調べられる(ステップST18)。すなわち、レーン渋滞判定部27は、ステップST15で取得したレーン毎の渋滞情報とステップST17で取得した走行すべきレーンの情報とが一致するかどうかを調べる。このステップST18において、渋滞の影響を受けないことが判断されると、シーケンスはステップST13に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0040】
一方、ステップST18において、渋滞の影響を受けることが判断されると、回避ルートが算出される(ステップST19)。すなわち、レーン渋滞判定部27は、渋滞の影響を受けることを判断すると、経路算出部28に対し、次の交差点の使用を避ける回避ルートの算出を指示する。これにより、経路算出部28は、渋滞箇所を回避する回避ルートを算出し、比較案内情報算出部29に送る。
【0041】
次いで、現ルートと回避ルートの差分が報知される(ステップST20)。すなわち、比較案内情報算出部29は、経路算出部28から送られてくる回避ルートと、それまで設定されていた案内ルートとの差分を算出し、出力部30を介してディスプレイ12およびスピーカ13に送る。これにより、例えば、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力される。
『次の○○交差点、△△方向です。
レーン渋滞があります。
渋滞を回避する場合、次の交差点を□□方向に進んでください。
変更距離は×kmで、到着時間は○分遅くなります。』
【0042】
図4は、リルート(回避ルートの計算)の詳細を示す図である。案内ルートAを走行中に前方の交差点で右折レーンの渋滞が検知され、かつ、走行すべきレーンと一致する場合は、回避ルートB(次の交差点を使用)を探索し、案内ルートAと回避ルートBの差分が計算されてユーザに報知される。ユーザは、差分を確認することにより、どちらのルートを通るか選択することができる。
【0043】
次いで、どちらのルートが選択されたかが調べられる(ステップST21)。このステップST21において、現ルートが選択されたことが判断されると、元の案内どおりの渋滞レーンが選択されたことが認識され、ルート通りの走行が行われる(ステップST22)。この場合、通常のルート案内である次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力される。
『まもなく、○○交差点を△△方向です。』
【0044】
一方、ステップST21において、回避ルートが選択されたことが判断されると、新たに報知されたルートが選択されたことが認識され、回避方向への走行が行われる(ステップST23)。この場合、交差点通過後に、案内ルートが回避ルートに切り替えられる。また、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力される。
『ルートを変更しました。
次の□□交差点、△△方向車線です。』
【0045】
(2)ルート上高速道路走行中
次に、ルート上高速道路走行中の動作を、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、この図5のフローチャートに示すルート上高速道路走行中の動作は、上述したルート上一般道路走行中とほぼ同様であるので、以下においては、ルート上一般道路走行中の動作と同じ処理を行うステップには、図3のフローチャートで使用した符号と同一符号を付して説明を簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0046】
まず、目的地が入力される(ステップST11)。次いで、現在地から目的地へのルートが引かれる(ステップST12)。次いで、自車位置が検出される(ステップST13)。
【0047】
次いで、インターチェンジ(IC)の5km手前であるかどうかが調べられる(ステップST31)。すなわち、HDD11から読み出された地図データによって示される道路データとステップST13で検出された現在位置とから、現在、ルート上の次のインターチェンジまで5kmの位置にいるかどうかが調べられる。このように、ルート上高速道路走行中は、レーン毎の渋滞情報の取得が、一般道路より早いタイミングで行われる。このステップST31において、インターチェンジの5km手前でないことが判断されると、シーケンスはステップST13に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0048】
一方、ステップST31において、インターチェンジの5km手前であることが判断されると、次いで、レーン毎の渋滞情報が取得される(ステップST15)。次いで、インターチェンジ出口に渋滞があるかどうかが調べられる(ステップST32)。すなわち、レーン毎渋滞情報取得部23は、ステップST15で抽出された指定方向レーンのインターチェンジ出口に渋滞があるかどうかを調べる。このステップST32において、インターチェンジ出口に渋滞がないことが判断されると、シーケンスはステップST13に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0049】
一方、ステップST32において、インターチェンジ出口に渋滞があることが判断されると、ステップST15で取得された渋滞が存在する指定方向レーンが抽出されてレーン渋滞判定部27に送られた後、走行すべきレーンが取得される(ステップST33)。すなわち、レーン渋滞判定部27は、ルート上走行レーン取得部25から、通るべき指定方向レーン情報を取得する。この場合、渋滞レーン情報と走行すべきレーン情報は、インターチェンジ出口への道だけではなく、料金所を通過し、その後に取りうる車線も考慮した上で取得される。
【0050】
次いで、渋滞の影響を受けるかどうかが調べられる(ステップST18)。このステップST18において、渋滞の影響を受けないことが判断されると、シーケンスはステップST13に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST18において、渋滞の影響を受けることが判断されると、回避ルートが算出される(ステップST19)。
【0051】
次いで、現ルートと回避ルートの差分が報知される(ステップST20)。すなわち、当該インターチェンジを通過して次のインターチェンジで降りるルートが取得され、現在案内されているルートと回避ルートでの目的地到着時間、距離および金額などの差分がユーザに報知される。この場合、例えば、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力される。
『まもなく、○○IC出口です。
渋滞があります。
渋滞を回避する場合、次の△△ICで降りてください。
変更距離は×kmで、到着時間は○分遅くなります。
高速料金は△円上がります。』
【0052】
図6は、高速道路でのリルート(回避ルートの計算)の詳細を示す図である。案内ルートAに従って走行中に前方のインターチェンジで出口レーンの渋滞が検知され、かつ、走行すべきレーンと一致する場合は、回避ルート(次のインターチェンジを使用)を探索し、案内ルートAと回避ルートBの差分が計算されてユーザに報知される。ユーザは、差分を確認することにより、どちらのルートを通るか選択することができる。
【0053】
次いで、どちらのルートが選択されたかが調べられる(ステップST21)。このステップST21において、現ルートが選択されたことが判断されると、ルート通りの走行が行われる(ステップST22)。この場合、次のメッセージ(通常のルート案内)がディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力される。
『まもなく、○○IC出口です。』
【0054】
一方、ステップST21において、回避ルートが選択されたことが判断されると、回避方向への走行が行われる(ステップST34)。この場合、インターチェンジ通過後に、案内ルートが回避ルートに切り替えられる。また、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力される。
『ルートを変更しました。
次の△△IC、出口です。』
【0055】
(3)非ルート上一般道路走行中
次に、非ルート上一般道路走行中の動作を、図7に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0056】
まず、任意の走行が行われる(ステップST41)。次いで、交差点のレーン毎の渋滞情報が取得される(ステップST42)。すなわち、レーン毎渋滞情報取得部23によって、VICS受信機5から送られてくる交通情報に含まれる渋滞情報または携帯電話6から送られてくる交通情報に含まれる渋滞情報から指定方向レーンが抽出される。
【0057】
次いで、渋滞があるかどうかが調べられる(ステップST43)。すなわち、レーン毎渋滞情報取得部23は、ステップST42で抽出された指定方向レーンに渋滞があるかどうかを調べる。このステップST43において、渋滞がないことが判断されると、シーケンスはステップST42に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0058】
一方、ステップST43において、渋滞があることが判断されると、ステップST42で取得された渋滞が存在する指定方向レーンが抽出されてレーン渋滞判定部27に送られた後、自車走行レーンが取得される(ステップST44)。すなわち、自車走行レーン検出部26は、現在自車が走行しているレーンが交差点でどの方向へ行くことができるかを検出し、検出結果をレーン渋滞判定部27に送る。
【0059】
次いで、自車走行レーンを直進することにより渋滞の影響を受けるかどうかが調べられる(ステップST45)。すなわち、レーン渋滞判定部27は、ステップST42で取得した交差点のレーン毎の渋滞情報とステップST44で取得した自車走行レーンとが一致するかどうかを調べる。このステップST45において、渋滞の影響を受けないことが判断されると、シーケンスはステップST42に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0060】
一方、ステップST45において、自車走行レーンを直進することにより渋滞の影響を受けることが判断されると、前方指定方向レーンと同じ方向レーンを持つ渋滞のない別の交差点が取得される(ステップST46)。すなわち、レーン渋滞判定部27は、ステップST44で取得した自車走行レーン情報の指定方向と同じ指定方向レーンを持つ別の交差点を検出して取得する。
【0061】
次いで、前方交差点と取得交差点との差分が報知される(ステップST47)。すなわち、レーン渋滞判定部27は、前方交差点を通るルートと別の交差点を通るルートとの差分を算出し、出力部30を介してディスプレイ12およびスピーカ13に送る。これにより、例えば、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力される。ユーザは、差分を確認することにより、どちらのルートを通るか選択することができる。
『このまま直進、○○交差点の△△方向レーンです。
渋滞があります。
次の□□交差点の△△方向レーンに渋滞はありません。
およそ○km先です。』
【0062】
次いで、どちらのルートが選択されたかが調べられる(ステップST48)。このステップST48において、前方交差点が選択されたことが判断されると、そのまま走行が継続される(ステップST49)。この場合、渋滞しているという状況を把握した状態で進むことになる。一方、ステップST48において、取得交差点が選択されたことが判断されると、案内方向への走行が行われる(ステップST50)。この場合、次の交差点を通る場合の渋滞回避が可能になる。
【0063】
(4)非ルート上高速道路走行中
次に、非ルート上高速道路走行中の動作を、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、この図8のフローチャートに示す非ルート上高速道路走行中の動作は、上述した非ルート上一般道路走行中とほぼ同様であるので、以下においては、非ルート上一般道路走行中の動作と同じ処理を行うステップには、図7のフローチャートで使用した符号と同一符号を付して説明を簡略化し、異なる部分を中心に説明する。
【0064】
まず、任意の走行が行われる(ステップST41)。次いで、インターチェンジのレーン毎の渋滞情報が取得される(ステップST51)。すなわち、レーン毎渋滞情報取得部23によって、VICS受信機5から送られてくる交通情報に含まれる渋滞情報または携帯電話6から送られてくる交通情報に含まれる渋滞情報から指定方向レーンが抽出される。
【0065】
次いで、渋滞があるかどうかが調べられる(ステップST43)。このステップST43において、渋滞がないことが判断されると、シーケンスはステップST51に戻り、上述した処理が繰り返される。一方、ステップST43において、渋滞があることが判断されると、ステップST51で取得された渋滞が存在する指定方向レーンが抽出されてレーン渋滞判定部27に送られた後、自車走行レーンが取得される(ステップST44)。
【0066】
次いで、自車走行レーンを直進することにより渋滞の影響を受けるかどうかが調べられる(ステップST45)。このステップST45において、渋滞の影響を受けないことが判断されると、シーケンスはステップST51に戻り、上述した処理が繰り返される。
【0067】
一方、ステップST45において、自車走行レーンを直進することにより渋滞の影響を受けることが判断されると、次のインターチェンジに関する情報が取得される(ステップST52)。すなわち、レーン渋滞判定部27は、次のインターチェンジまでの所要時間、距離および金額などに関する情報を取得する。
【0068】
次いで、前方インターチェンジと次インターチェンジとの差分が報知される(ステップST53)。すなわち、レーン渋滞判定部27は、前方インターチェンジを通るルートと次インターチェンジを通るルートとの差分を算出し、出力部30を介してディスプレイ12およびスピーカ13に送る。これにより、例えば、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力される。ユーザは、差分を確認することにより、どちらのルートを通るか選択することができる。
『このまま直進、○○IC出口です。
渋滞があります。
次の△△ICに渋滞はありません。
およそ□km先で、高速料金は△円あがります。』
【0069】
次いで、どちらのルートが選択されたかが調べられる(ステップST48)。このステップST48において、前方インターチェンジが選択されたことが判断されると、そのまま走行が継続される(ステップST49)。この場合、渋滞しているという状況を把握した状態で進むことになる。一方、ステップST48において、次インターチェンジが選択されたことが判断されると、次インターチェンジへの走行が行われる(ステップST54)。この場合、前方インターチェンジを通る場合の渋滞回避が可能になる。すなわち、ユーザの渋滞を考慮したルート選択が可能となる。
【0070】
(5)SA/PA付近
次に、SA/PAにおける動作を、図9に示すフローチャートを参照しながら説明する。まず、高速道路を走行中、自車位置から見た次のSA/PAの位置が取得される(ステップST61)。
【0071】
次いで、SA/PAの5km手前になったかどうかが調べられる(ステップST62)。すなわち、HDD11から読み出された地図データによって示される道路データと自車位置検出部22で検出された現在位置とから、現在、次のSA/PAまで5kmの位置にいるかどうかが調べられる。このステップST62において、SA/PAの5km手前になっていないことが判断されると、SA/PAの5km手前になるまでステップST62を繰り返し実行しながら待機する。
【0072】
一方、ステップST62において、SA/PAの5km手前になったことが判断されると、次いで、渋滞情報が取得される(ステップST63)。すなわち、例えば、携帯電話6から送られてくる交通情報に含まれるSA/PAの渋滞情報が取得される。この場合、携帯電話6が、本発明の渋滞情報取得部に対応する。次いで、渋滞があるかどうかが調べられる(ステップST64)。すなわち、ステップST63で取得された渋滞情報を参照することにより、SA/PAが渋滞しているかどうかが調べられる。
【0073】
このステップST64において、渋滞がないことが判断されると、次のSA/PAに接近する通常の案内が行われる(ステップST65)。この案内は、例えば、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力されることにより行われる。
『まもなく、○○SAです。』
【0074】
一方、ステップST64において、渋滞があることが判断されると、次のSA/PAに接近する通常の案内に加えて、渋滞ありの報知が行われる(ステップST66)。この報知は、例えば、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力されることにより行われる。
『まもなく○○SAです。
渋滞があります。』
【0075】
次いで、立ち寄るかのユーザ意思表示が入力される(ステップST67)。すなわち、SA/PA立ち寄り判定部24は、ユーザによって入力部21から立ち寄る事由が入力されるのを待つ状態になる。すなわち、入力部21は、マイク10からの音声データを用いて音声認識されたデータ、または、ハンドルに付属されたステアリングスイッチ9の操作により発生された操作データを受け取る状態になる。
【0076】
次いで、事由の入力があるかどうかが調べられる(ステップST68)。このステップST68において、事由の入力がないことが判断されると、案内は行われない(ステップST69)。一方、ステップST68において、事由の入力があることが判断されると、その事由が、次の次のSA/PAでもよいかどうかが調べられる(ステップST70)。なお、ここでいう事由の例と、その判断基準を図10に示す。
【0077】
このステップST70において、次の次のSA/PAでもよいことが判断されると、次の次のSA/PAに関する情報が取得される(ステップST71)。このステップST71で取得される情報には、店の営業時間、お土産の地域性およびガソリンスタンドの有無などが含まれる。
【0078】
次いで、次のSA/PAと次の次のSA/PAの差分が報知される(ステップST72)。この報知は、例えば、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力されることにより行われる。
『次の□□SAでも可能です。
およそ○km先で、所要時間は△分です。
渋滞はありません。』
【0079】
次いで、どちらが選択されたかが調べられる(ステップST73)。このステップST73において、次のSA/PAが選択されたことが判断されると、そのまま走行が継続される(ステップST74)。この場合、渋滞しているという状況を把握した状態でSA/PAに入ることになる。一方、ステップST73において、次の次のSA/PAが選択されたことが判断されると、次の次のSA/PAへの走行が行われる(ステップST75)。この場合、次のSA/PAに入る場合の渋滞回避が可能になる。すなわち、ユーザの渋滞を考慮したSA/PA選択が可能となる。
【0080】
上記ステップST70において、次の次のSA/PAではよくないことが判断されると、通過不可能案内が行われる(ステップST76)。この案内は、例えば、次のメッセージがディスプレイ12に表示されるとともに、スピーカ13から音声で出力されることにより行われる。
『渋滞を避けられません。
次のSA/PAにお入りください。』
その後、そのまま走行が継続される(ステップST77)。
【0081】
以上のように、この実施の形態1によれば案内ルートと回避ルートとの差分が出力されるので、ユーザはこの差分を基に最適ルートを選択することができる。
【符号の説明】
【0082】
1 メインCPU、2 GPS受信機、3 ジャイロセンサ、4 車速センサ、5 VICS受信機、6 携帯電話、7 光ビーコン装置、8 カメラ、9 ステアリングスイッチ、10 マイク、11 HDD、12 ディスプレイ、13 スピーカ、21 入力部、22 自車位置検出部、23 レーン毎渋滞情報取得部、24 SA/PA立ち寄り判定部、25 ルート上走行レーン取得部、26 自車走行レーン検出部、27 レーン渋滞判定部、28 経路算出部、29 比較案内情報算出部、30 出力部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内ルートに従って走行中に、前方の渋滞情報をレーン毎に取得するレーン毎渋滞情報取得部と、
走行すべきレーンの情報を取得するルート上走行レーン取得部と、
前記レーン毎渋滞情報取得部で取得された渋滞情報と前記ルート上走行レーン取得部で取得された走行すべきレーンの情報とを比較することにより、自車が渋滞の影響を受けるかどうかを判定するレーン渋滞判定部と、
前記レーン渋滞判定部で自車が渋滞の影響を受けることが判定された場合に、該渋滞を回避する回避ルートを算出する経路算出部と、
前記案内ルートと前記回避ルートとの差分を算出する比較案内情報算出部と、
前記比較案内情報算出部で算出された差分を出力する出力部
とを備えたナビゲーション装置。
【請求項2】
走行中に、前方の渋滞情報をレーン毎に取得するレーン毎渋滞情報取得部と、
自車の走行レーンを検出する自車走行レーン検出部と、
前記レーン毎渋滞情報取得部で取得された渋滞情報と前記自車走行レーン検出部で検出された自車走行レーンとを比較することにより、自車が直進した場合に渋滞の影響を受けるかどうかを判定するレーン渋滞判定部と、
前記レーン渋滞判定部で自車が渋滞の影響を受けることが判定された場合に、該渋滞の影響を受ける交差点またはインターチェンジと影響を受けない他の交差点またはインターチェンジとの差分を算出する比較案内情報算出部と、
前記比較案内情報算出部で算出された差分を出力する出力部
とを備えたナビゲーション装置。
【請求項3】
走行中に、次のサービスエリア/パーキングエリアの出入り口またはエリア内の渋滞情報を取得する渋滞情報取得部と、
前記渋滞情報取得部で取得された渋滞情報によって渋滞があることが示されている場合は、前記サービスエリア/パーキングエリアに行きたい事由を入力する入力部と、
前記入力部で入力された事由に基づき、次のサービスエリア/パーキングエリアに立ち寄るかどうかを判定するSA/PA立ち寄り判定部と、
前記SA/PA立ち寄り判定部により次のサービスエリア/パーキングエリアに立ち寄らなくてもよい旨が判定された場合は、次の次のサービスエリア/パーキングエリアまでの所要時間、距離および渋滞情報を出力する出力部
とを備えたナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2010−266396(P2010−266396A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−119799(P2009−119799)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】