説明

ナビゲーション装置

【課題】分岐点周辺の建物を三次元的に表示して経路案内を行うナビゲーション装置おいて、分岐点を通過した後の経路をより認識しやすくする。
【解決手段】案内経路上に位置する分岐点周辺の道路地図およびその周辺の建物を拡大した分岐点拡大図を表示器10に表示する。分岐点拡大図は、分岐点の周辺の建物を、三次元的に分岐点から離れる方向に傾斜させた傾斜三次元建物図形21、22、23、24で表示する。図3(a)のように、傾斜三次元建物図形21が交差点の先で曲がっている案内経路(道路50)を隠してしまう場合、その傾斜三次元建物図形21を案内経路を隠さないように修正して表示する(同図(b)の傾斜三次元建物図形21a)。これにより、交差点の先で案内経路が曲がっているとしても、傾斜三次元建物図形21aによって案内経路が隠されてしまうことがないので、案内経路が認識しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置に関し、特に、案内を行う分岐点周辺の地図を立体的に表示するナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナビゲーション装置には、現在位置が、経路案内を行なう交差点付近となったときに、その交差点周辺の地図を拡大して表示する装置が種々知られている。この種の装置には、図5に示すように、交差点およびその周辺の建物をともに二次元的に表示するものがある。また、図6に示すように、交差点手前の所定位置を視点としてその交差点を見たような三次元拡大図を表示する装置も多数存在する。
【0003】
また、特許文献1の交差点マップも知られている。特許文献1の交差点マップは、交差点を上方から見たようなマップであって、且つ、交差点の周辺に存在する建物を交差点から離れる側に展開させた形状で示している。なお、この特許文献1は、「目標移動ヶ所への案内手段としての利便性を向上させる」ことを課題としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−123946号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の交差点拡大図には、いずれも問題があった。二次元の交差点拡大図では、図5のように、交差点付近の建物の三次元形状が全く分からない。そのため、交差点拡大図に示されている建物が実際の建物のどれに当たるのかを迅速に判断することができない。
【0006】
また、交差点手前の所定位置を視点とした三次元拡大図の場合には、図6に示すように、その交差点にて案内経路が曲がる場合には、交差点を曲がった直後の案内経路が建物に隠されてしまうという問題がある。なお、三次元表示される建物によって案内経路が隠されてしまう場合に、その建物を透過表現することも考えられるが、このようにしても、建物が案内経路を完全に邪魔しない場合に比較すれば、案内経路の視認性は低下する。
【0007】
これに対して、特許文献1のように、交差点の上方に視点をおいて、交差点の周辺に存在する建物を交差点から離れる側に展開させた形状で示すようにすれば、交差点の直後の案内経路が建物に隠されてしまうことがなくなる。また、建物は三次元表示されているので、表示された建物が実際の建物のどれに当たるのかも迅速に判断することが可能となる。
【0008】
ここで、特許文献1の交差点マップは紙に描かれているが、「目標移動ヶ所への案内手段として…」と記載されているので、ナビゲーション装置に適用することも考えられる。しかし、特許文献1の交差点マップをナビゲーション装置に適用しても、拡大表示した交差点の先の比較的短い距離で案内経路が曲がっている場合、立体表示した建物により案内経路が隠されてしまうという問題がある。一例を挙げれば、たとえば、図7のような場合である。
【0009】
また、交差点に限らず、1本の道路が複数の道路に分岐する分岐点でもこの問題は生じる。なお、交差点は、進行可能な道路が複数に分岐している点であると言え、広義には交差点も分岐点である。本明細書では分岐点には交差点も含む。
【0010】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、分岐点周辺の建物を三次元的に表示して経路案内を行うナビゲーション装置おいて、分岐点を通過した後の経路をより認識しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、表示器に道路地図を表示し、且つ、表示した道路地図上に案内経路を示して経路案内を行うナビゲーション装置であって、案内経路上に位置する分岐点周辺の道路地図およびその周辺の建物を拡大して前記表示器に表示する分岐点拡大表示処理手段を備え、その分岐点拡大表示処理手段は、前記分岐点の道路形状を平面表示するとともに、その分岐点の周辺の建物を、三次元的に前記分岐点から離れる方向に傾斜させた傾斜三次元建物図形で表示し、且つ、その傾斜三次元建物図形を前記案内経路を隠さないように表示することを特徴とする。
【0012】
このようにすれば、分岐点の先で案内経路が曲がっているとしても、傾斜三次元建物図形によって分岐点の先の案内経路が隠されてしまうことがないので、分岐点の先の案内経路が認識しやすくなる。
【0013】
ここで、道路形状によっては、どの道路も隠さないように傾斜三次元建物図形を表示することも可能である。どの道路も隠さないように傾斜三次元建物図形を表示できれば、案内経路がどの道路を通るとしても同じ傾斜三次元建物図形を用いることができる。
【0014】
しかし、建物の周囲には種々の方向に道路が存在しているので、全ての道路を隠さないようにして傾斜三次元建物図形を作成することが困難な場合も多い。そこで、請求項2のように、分岐点拡大表示処理手段は、前記案内経路によらずに定まる傾斜三次元建物図形が案内経路を隠してしまう場合に、傾斜三次元建物図形に対して、その案内経路を隠さないように修正を行うことが好ましい。
【0015】
このように、案内経路に応じて傾斜三次元建物図形を修正するようにすれば、全ての道路を隠さないようにして傾斜三次元建物図形を作成する必要がないので、案内経路を隠さないようにして傾斜三次元建物図形を表示することが容易になる。
【0016】
また、修正を行う前の傾斜三次元建物図形は、通常、実際の建物に似た印象となるように描かれているから、傾斜三次元建物図形に対して修正を行う場合、修正前の図形とできるだけ似た印象となっていることが好ましい。
【0017】
そこで、請求項3のように、前記分岐点拡大表示処理手段は、前記傾斜三次元建物図形の先端面の形状を保持しつつその先端面の位置を変更することで、傾斜三次元建物図形によって前記案内経路が隠れないようにすることが好ましい。このようにすれば、先端面の形状を保持しているので、修正後の傾斜三次元建物図形の印象が、修正前の三次元建物図形の印象からずれてしまう程度を少なくすることができる。
【0018】
また、前記分岐点拡大表示処理手段は、前記傾斜三次元建物図形の先端面の形状を保持することに加えて、請求項4のように、その先端面の大きさも保持しつつその先端面の位置を変更することが好ましい。先端面の形状だけでなく、その大きさも保持すれば、修正後の傾斜三次元建物図形の印象が修正前の三次元建物図形の印象からずれてしまう程度をより少なくすることができる。
【0019】
また、請求項5のように、前記分岐点拡大表示処理手段は、分岐点の周辺に存在する複数の建物のうち、経路案内の際の目印として有用な建物として設定されている一部の建物に限定して、前記傾斜三次元建物図形を表示することとしてもよい。
【0020】
このようにすれば、経路案内の際の目印として有用な建物に限定して傾斜三次元建物図形が表示されるので、ユーザは、表示器に表示された傾斜三次元建物図形のうち、実際の建物を探す傾斜三次元建物図形をどれにするかを迷うことが少なくなる。
【0021】
一部の建物に限定して傾斜三次元建物図形を表示する場合、たとえば、請求項6のように、周囲に存在する建物よりも高い建物を傾斜三次元建物図形を表示する建物として設定することができる。また、請求項7のように、外観が広く知られている建物を傾斜三次元建物図形を表示する建物として設定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明が適用されたナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】分岐点拡大図の一例である。
【図3】案内経路が傾斜三次元建物図形によって隠されてしまう場合の修正前後の分岐点拡大図を示す例である。
【図4】案内経路が傾斜三次元建物図形によって隠されてしまう場合の修正前後の分岐点拡大図を示す別例である。
【図5】二次元の交差点拡大図の一例である。
【図6】交差点手前の所定地点を視点とした三次元拡大図の一例である。
【図7】立体表示した建物により案内経路が隠されてしまう例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明が適用されたナビゲーション装置の概略構成を示すブロック図である。
【0024】
同図に示すように、本実施形態のカーナビゲーション装置は、位置検出器1、地図データ入力器6、操作スイッチ群7、外部メモリ9、表示器10、外部情報入出力装置11及びこれらに接続された制御回路8などを備えている。
【0025】
制御回路8は通常のコンピュータとして構成されており、内部には周知のCPU、ROM、RAM、I/O及びこれらの構成を接続するバスラインが備えられている。ROMには、制御回路8が実行するためのプログラムが書き込まれており、このプログラムに従ってCPU等が所定の演算処理を実行する。
【0026】
位置検出器1は、いずれも周知の地磁気センサ2、ジャイロスコープ3、距離センサ4、及び衛星からの電波に基づいて車両の位置を測定するGPS(Global Positioning System)のためのGPS受信機5を有している。これらは、各々が性質の異なる誤差を持っているため、各々からの信号を補完しながら現在位置を逐次検出する。すなわち、GPSによる電波航法と、地磁気センサ、ジャイロスコープ3及び距離センサ4による自立航法を組み合わせたハイブリッド航法により、車両の現在位置を決定する。なお、各センサの精度によっては、位置検出器1を上述した内の一部で構成してもよく、更に、図示しないステアリングの回転センサ、各転動輪の車速センサ等を用いてもよい。
【0027】
地図データ入力器6は、道路の平面形状を示す道路データ、建物データ、背景データ及び文字データを含む地図データを入力するための装置である。地図データを記憶する記憶媒体としては、たとえば、ハードディスク、フラッシュメモリ、光ディスク(DVD−ROMなど)を用いることができる。
【0028】
上記地図データのうち、建物データには、一部の分岐点周辺の建物について、建物の位置、家形図と呼ばれる建物の底面形状を示す図、およびその建物の高さを示すデータが含まれている。
【0029】
なお、地図データは、外部のサーバから通信によって取得し、後述する外部メモリ9などに格納することも可能である。この場合、外部メモリ9に格納された地図データを用いて、車両周辺の地図表示、表示地図の尺度変更、経路案内等の各種のナビゲーション機能を実施することができる。これらの機能は、主に制御回路8によって各種の演算処理がなされることによって実行される。
【0030】
操作スイッチ群7は、例えば、後述する表示器10と一体になったタッチスイッチもしくはメカニカルなスイッチ等によって構成され、各種入力に使用される。例えば、操作スイッチ群7を用いて、目的地の位置を入力することが可能であり、この場合、ナビゲーション装置は、現在地点からその目的地までの最適なルートを自動的に選択して案内ルートを形成し表示する、いわゆるルート案内機能を備えている。
【0031】
外部メモリ9は、例えば、メモリカードやハードディスク等の記憶媒体からなる。この外部メモリ9には、ユーザによって記憶されたテキストデータ、画像データ、音声データ、走行軌跡データ等の各種データが記憶される。さらに、車両用ナビゲーション装置が、上述したように、地図データを外部のサーバから取得する場合には、その地図データを格納したりする。
【0032】
表示器10は、例えば、液晶ディスプレイによって構成され、表示器10の画面には車両の現在地点に対応しつつ、その進行方位を表示する自車両マーク、及び、地図データ入力器6より入力された地図データによって生成される車両周辺の道路地図を表示することができる。さらに、目的地が設定された場合、この道路地図上には、現在地点から目的地までの案内ルートを重ねて表示することが出来る。また、経路案内が行われる分岐点(案内分岐点)では、道路地図として後述する分岐点拡大図が表示される。
【0033】
外部情報入出力装置11は、道路に敷設されたビーコンや各地のFM放送局を介して、VICSセンタから配信される道路交通情報等の情報を受信したり、必要に応じて車両側から外部へ情報を送信したりする装置である。受信した情報は、制御回路8で処理され、例えば、渋滞情報や規制情報等は表示器10に表示される道路地図上に重ねて表示される。
【0034】
次に、制御回路8について説明する。制御回路8は、CPUがRAMの一時記憶機能を利用しつつ、ROMに書き込まれたプログラムを実行することで、目的地設定処理、経路探索処理、経路案内処理など種々の処理を行なう。これら種々の処理の1つとして、地図表示処理がある。
【0035】
地図表示処理は、地図データ入力器6から取得した地図データに基づいて表示器10に道路地図を表示する処理である。さらに詳しく説明すると、地図表示処理は、経路案内中は、自車位置周辺の地図データを取得して自車位置周辺の道路地図を表示し、且つ、表示した道路地図上に案内経路を表示する。案内経路の表示態様として、本実施形態では、道路上に案内経路を示す線を重畳表示する。ただし、これに限らず、案内経路に相当する道路自体を他の道路と識別可能な色で表示してもよい。
【0036】
さらに、上記地図表示処理には分岐点拡大表示処理も含まれている。従って、制御回路8は、請求項の分岐点拡大表示処理手段に相当する。次に、この分岐点拡大表示処理について説明する。
【0037】
分岐点拡大表示処理では、所定の拡大表示条件が成立した場合に、分岐点付近を拡大した分岐点拡大図を表示する。上記拡大表示条件は、例えば、その分岐点にて右左折することを条件とする。また、その分岐点にて音声案内を行うことを条件としてもよい。
【0038】
分岐点拡大図は、分岐点周辺の道路地図およびその周辺の建物を拡大して表示する図であって、道路形状は、分岐点を真上から見下ろした平面図で表示する。一方、その周辺の建物は、三次元的に且つ分岐点から離れる方向に傾斜させた傾斜三次元建物図形で表示する。
【0039】
なお、この分岐点拡大図における拡大率(縮尺)は、三次元で建物図形を表示した場合に、建物の三次元形状が視認できる拡大率であればよい。ユーザからの地図拡大率指定操作にて、分岐点付近以外でもこのような拡大率が指定されている場合、分岐点付近以外でも分岐点拡大図と同じ拡大率の地図表示を行ってもよい。
【0040】
図2に分岐点拡大図の一例を示す。図2の例は、5叉路の交差点であって、交差点において右折する例である。また、図2において、21、22、23、24が傾斜三次元建物図形であり、30が案内経路を示す案内経路線である。
【0041】
次に、分岐点拡大図の描画方法について説明する。まず、分岐点周辺の地図データを地図データ入力器6から取得する。前述のように、この地図データには、道路データ、建物データが含まれている。また、建物データには家形図および建物の高さを示すデータが含まれている。
【0042】
次に、取得した地図データに含まれている道路データに基づいて道路形状を表示する。また、案内経路線30も表示する。次に、家形図を、建物の高さに基づいて定まる距離だけ平行移動させたものをその建物の先端面とする。このとき、平行移動させる方向は、図2に例示する線分Lに平行な方向である。この線分Lは、図2に示すように、建物が位置する区画の分岐点側の角を端としてその区画を分岐点から離れる方向に向かう線分である。この線分に平行な方向に家形図を平行移動させて三次元建物図形を作成すれば、その三次元建物図形は、分岐点から離れる方向に傾斜することになる。
【0043】
そして、先端面と家計図との対応する点を結ぶ。このようにして生成したポリゴンが三次元建物図形である。なお、図2の線分Lは区画を二等分しており、傾斜三次元建物図形24は、この線分Lに沿って家形図241を平行移動させた先端面242と家計図241とを結んでいる。その他の傾斜三次元建物図形21、22、23も、区画を二等分する線分に平行に家形図を平行移動させて作成している。
【0044】
なお、分岐点周辺には多数の建物が通常存在するが、いずれの建物に対して傾斜三次元建物図形を作成するかは予め設定されている。たとえば、分岐点の周囲の所定範囲に存在する全ての建物に対して傾斜三次元建物図形を作成することにしてもよいのであるが、本実施形態では、経路案内の際の目印として有用な一部の建物が三次元建物図形を作成する建物として設定されている。
【0045】
経路案内の際の目印として有用な建物とは、たとえば、周囲に存在する建物よりも高い建物(拡大図を表示する範囲において最も高い建物など)である。また、外観が広く知られている建物も、経路案内の際の目印として有用な建物である。外観が広く知られている建物には、たとえば、その場所にしかない特有の建物であって、特有の外観を有していることから、外観が広く知られている建物がある。それ以外にも、コンビニエンスストア、ガソリンスタンドなど、同種の建物が多数存在していることにより、外観が広く知られている建物もある。また、図2でも、4つの傾斜三次元建物図形21、22、23、24を表示しているように、複数の傾斜三次元建物図形を表示してもよい。また、1つのみ傾斜三次元図形を表示してもよい。
【0046】
ところで、図2では、案内経路線30が示されている道路(すなわち案内経路)40は、いずれの傾斜三次元建物図形とも重なっていない。しかし、図2と同様にして傾斜三次元建物図形を作成した図3(a)に示すように、道路50が案内経路であると、傾斜三次元建物図形21によって経路が隠されてしまうことになる。
【0047】
そこで、傾斜三次元建物図形21によって案内経路が隠されてしまう場合には、案内経路を隠さないように傾斜三次元建物図形を修正して表示する。なお、図3(a)では、傾斜三次元建物図形21によって案内経路(道路50)の全幅が隠れてしまっている部分が存在する。このような場合に限り傾斜三次元建物図形を修正してもよいし、また、傾斜三次元建物図形により経路の幅方向の一部が隠されてしまっている場合に、傾斜三次元建物図形を修正して表示するようにしてもよい。
【0048】
傾斜三次元建物図形の修正方法として、本実施形態では、傾斜三次元建物図形の先端面の形状および大きさを保持しつつその先端面の位置を変更する。図3(b)はそのようにして修正した傾斜三次元建物図形21aを含む分岐点拡大図である。この修正後の傾斜三次元建物図形21aの具体的作成方法は、まず、形状および大きさを保持したまま、先端面212の位置を、道路50と重ならない位置まで移動させる。移動方向は、この図3(b)では、この先端面212と重なっている部分の道路50の垂線方向(図真下方向)である。ただし、この方向に限らず、家形図と修正前の先端面とを結ぶ線分に対して直交する方向など、移動方向は適宜設定できる。先端面の位置を移動させた後、修正前の場合と同じように、先端面と家計図との対応する点を結ぶ。
【0049】
なお、図3(c)は、図3(b)の例と異なり、先端面の大きさを縮小して(形状は保持)、先端面の位置を変更した場合の傾斜三次元建物図形21bの例である。このように、先端面の大きさを縮小して傾斜三次元建物図形を修正してもよい。ただし、図3(a)、(b)(c)の比較から分かるように、先端面の大きさを保持したほうが、修正前の図形に似た印象となる。そのため、先端面の大きさを保持することが好ましい。
【0050】
次に、分岐点の先の案内経路が傾斜三次元建物図形によって隠されてしまう別例を図4に示す。図4の例は、案内経路は、交差点60において右折し、且つ、その交差点60のすぐ先の交差点70で左折する。また、交差点60と交差点70との間にある建物が交差点60に対する目印として設定されており、その建物が傾斜三次元建物図形80として表示されている。
【0051】
図4(a)の例は、交差点60において、傾斜三次元建物図形80が存在する区画を二等分する線分Lと平行な方向に、傾斜三次元建物図形80の家形図801を、建物データに含まれている方さデータに基づいて定まる距離だけ平行移動させたものを先端面802としている。同図に示すように、傾斜三次元建物図形80は案内経路となっている道路90を隠してしまっている。
【0052】
そこで、先端面802が道路90を隠さない位置まで移動させる修正を傾斜三次元建物図形80に対して行う。図4(b)は、修正後の傾斜三次元建物図形80aを含む分岐点拡大図である。なお、図4(b)の傾斜三次元建物図形80aは、図4(a)の傾斜三次元建物図形80の先端面802の位置を、道路90の垂線方向に移動させて作成している。
【0053】
以上、説明した本実施形態によれば、分岐点の道路形状を平面表示するとともに、その分岐点の周辺の建物を傾斜三次元建物図形で表示する分岐点拡大図を表示する。また、傾斜三次元建物図形は、案内経路を隠さないように表示する。そのため、分岐点の先で案内経路が曲がっているとしても、傾斜三次元建物図形によって分岐点の先の案内経路が隠されてしまうことがないので、分岐点の先の案内経路が認識しやすくなる。
【0054】
また、本実施形態によれば、案内経路に応じて傾斜三次元建物図形を修正するので、全ての道路を隠さないようにして傾斜三次元建物図形を作成する必要がない。よって、案内経路を隠さないようにして傾斜三次元建物図形を表示することが容易になる。
【0055】
また、本実施形態によれば、傾斜三次元建物図形の先端面の形状および大きさを保持しつつその先端面の位置を変更することで傾斜三次元建物図形を修正する。そのため、修正後の傾斜三次元建物図形の印象が修正前の三次元建物図形の印象からずれてしまう程度を少なくすることができる。
【0056】
また、本実施形態によれば、分岐点の周辺に存在する複数の建物のうち、経路案内の際の目印として有用な一部の建物に限定して傾斜三次元建物図形を表示する。そのため、ユーザは、表示器10に表示された傾斜三次元建物図形のうち、実際の建物を探す傾斜三次元建物図形をどれにするかを迷うことが少なくなる。
【0057】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0058】
1:位置検出器, 2:地磁気センサ, 3:ジャイロスコープ, 4:距離センサ, 5:GPS受信機, 6:地図データ入力器, 7:操作スイッチ群, 8:制御回路(分岐点拡大表示処理手段), 9:外部メモリ, 10:表示器, 11外部情報入出力装置, 21:傾斜三次元建物図形, 212:先端面, 21a:(修正後の)傾斜三次元建物図形, 21b:(修正後の)傾斜三次元建物図形, 22:傾斜三次元建物図形, 23:傾斜三次元建物図形, 24:傾斜三次元建物図形, 241:家形図, 242:先端面, 30:案内経路線, 40:道路, 50:道路, 60:交差点, 70:交差点, 80:傾斜三次元建物図形, 80a:(修正後の)傾斜三次元建物図形, 90:道路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器に道路地図を表示し、且つ、表示した道路地図上に案内経路を示して経路案内を行うナビゲーション装置であって、
案内経路上に位置する分岐点周辺の道路地図およびその周辺の建物を拡大して前記表示器に表示する分岐点拡大表示処理手段を備え、
その分岐点拡大表示処理手段は、前記分岐点の道路形状を平面表示するとともに、その分岐点の周辺の建物を、三次元的に前記分岐点から離れる方向に傾斜させた傾斜三次元建物図形で表示し、且つ、その傾斜三次元建物図形を前記案内経路を隠さないように表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記分岐点拡大表示処理手段は、前記案内経路によらずに定まる傾斜三次元建物図形が案内経路を隠してしまう場合に、傾斜三次元建物図形に対して案内経路を隠さないように修正を行うことを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記分岐点拡大表示処理手段は、前記傾斜三次元建物図形の先端面の形状を保持しつつその先端面の位置を変更することで、傾斜三次元建物図形によって前記案内経路が隠れないようにすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記分岐点拡大表示処理手段は、前記傾斜三次元建物図形の先端面の形状を保持することに加えて、その先端面の大きさも保持しつつその先端面の位置を変更することで、傾斜三次元建物図形によって前記案内経路が隠れないようにすることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項において、
前記分岐点拡大表示処理手段は、分岐点の周辺に存在する複数の建物のうち、経路案内の際の目印として有用な建物として設定されている一部の建物に限定して、前記傾斜三次元建物図形を表示することを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項6】
請求項5において、
周囲に存在する建物よりも高い建物が前記傾斜三次元建物図形を表示する建物として設定されていることを特徴とするナビゲーション装置。
【請求項7】
請求項5において、
外観が広く知られている建物が前記傾斜三次元建物図形を表示する建物として設定されていることを特徴とするナビゲーション装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−220746(P2011−220746A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−88111(P2010−88111)
【出願日】平成22年4月6日(2010.4.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.VICS
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】