説明

ネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法

【課題】半導体素子の微細加工における性能向上技術の課題を解決することであり、特に電子線又はX線を用いた半導体素子の微細加工において高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス、良好な真空中PED特性を同時に満足するネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】(A)特定の繰り返し単位を有するアルカリ可溶性ポリマー、(B)酸の作用により(A)のアルカリ可溶性ポリマーと架橋する架橋剤、(C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、(D)特定の4級アンモニウム塩及び(E)有機カルボン酸を含有するネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超LSIや高容量マイクロチップの製造などの超マイクロリソグラフィプロセスやその他のファブリケーションプロセスに好適に用いられるネガレジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものである。さらに詳しくは、特に、電子線、X線を使用して高精細化したパターン形成しうるネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関するものであり、特定の下地膜を有する基板を使用するプロセスに用いられるネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ICやLSIなどの半導体デバイスの製造プロセスにおいては、フォトレジスト組成物を用いたリソグラフィによる微細加工が行われている。近年、集積回路の高集積化に伴い、サブミクロン領域やクオーターミクロン領域の超微細パターン形成が要求されるようになってきている。それに伴い、露光波長もg線からi線に、さらにKrFエキシマレーザー光に、というように短波長化の傾向が見られる。さらには、現在では、エキシマレーザー光以外にも、電子線やX線を用いたリソグラフィも開発が進んでいる。
【0003】
特に電子線リソグラフィーは、次世代もしくは次々世代のパターン形成技術として位置付けられ、高感度、高解像性のネガ型レジストが望まれている。
また、この電子線リソグラフィーは、この高解像性の特性ゆえに半導体露光に使用されるフォトマスク作成に広く使用されている。フォトマスク作成工程は以下の通りである。ガラス基板等の透明基板の上にクロム等の遮蔽材料を主成分とする遮蔽層を設けた遮蔽基板を用意し、その上にレジスト層を形成し、さらに選択的に露光を行ない、遮蔽層上にレジストパターンを形成する。ついで、このレジストパターンをマスクとしてパターンが形成されていない部分の遮蔽層をエッチングして当該遮蔽層にパターンを転写することにより、透明基板と、その上に所定のパターンを有する遮蔽層とを備えたフォトマスクを得ることができる。
特に光の一括露光と異なる方式の電子線を使用する処理では、処理時間の短縮化のために高感度化は非常に重要な課題であるが、電子線用ネガ型レジストにおいては、高感度化を追求しようとすると、解像性の低下やパターン形状の劣化に加えてラインエッジラフネスの悪化が起こり、これらの特性を同時に満足するレジストの開発が強く望まれている。ここで、ラインエッジラフネスとは、レジストのパターンと基板界面のエッジがレジストの特性に起因して、ライン方向と垂直な方向に不規則に変動するために、パターンを真上から見たときにエッジが凹凸に見えることを言う。この凹凸がレジストをマスクとするエッチング工程により転写され、寸法精度を低下させる。特に0.25μm以下の超微細領域ではラインエッジラフネスは極めて重要な改良課題となっている。
また、フォトマスク作成に使用される遮蔽層上にレジストパターンを形成すると、パターン形状の劣化が起きることが知られており、特にネガ型レジストを使用する場合、基板界面の食われ形状によるパターン倒れが発生してしまい、解像力が大きく劣化してしまう問題が発生し、問題となっている。
高感度と、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネスはトレードオフの関係にあり、これを如何にして同時に満足させるかが非常に重要である。
【0004】
かかる電子線やX線リソグラフィープロセスに適したレジストとしては高感度化の観点から主に酸触媒反応を利用した化学増幅型レジストが用いられており、ネガ型レジストに対しては主成分として、アルカリ可溶性樹脂、架橋剤、酸発生剤及び添加剤からなる化学増幅型組成物が有効に使用されている。
化学増幅型のネガレジストの性能向上に対しては、これまで種々の検討がなされてきた
。添加剤、特にアンモニウム塩型の添加剤としては下記に示すような検討がなされてきた。特開平4-51243号公報にはテトラアルキルアンモニウム塩とノボラック樹脂の組合せ、特開平8-110638号公報には水酸化トリアルキルアンモニウム塩、特開平11-149159号公報にはテトラアルキルアンモニウム塩と側鎖にカルボン酸を有するポリマーとの組合せ等がそれぞれ開示されている。
しかしながら、従来知られているこれらの化合物の、いずれの組合せにおいても、超微細領域での高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス、良好な真空中PED特性は同時に満足できるものではなかった。
また、特開平10-186660号公報に有機カルボン酸を使用する検討がなされているが、本
発明のように、特定の樹脂と特定のアンモニウム塩を使用した例は挙げられていない。また、特開2003-295439号公報において、アンモニウム塩を使用した例は挙げられているが
、有機カルボン酸を使用した例は挙がっていない。また、これらのいずれにも、本発明で効果にあげている、食われ形状の少ない良好なパターン形状を示しつつ、ラインエッジラフネスを良化させることはあげられていない。
【0005】
【特許文献1】特開平4-51243号公報
【特許文献2】特開平8-110638号公報
【特許文献3】特開平11-149159号公報
【特許文献4】特開平10-186660号公報
【特許文献5】特開2003-295439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、半導体素子・フォトマスクの微細加工における性能向上技術の課題を解決することであり、特に電子線又はX線を用いた半導体素子・フォトマスクの微細加工において高感度、高解像性、良好なパターン形状、良好なラインエッジラフネス、良好な真空中PED特性を同時に満足するネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定構造のアルカリ可溶性樹脂、架橋剤、酸発生剤及び特定構造のアンモニウム塩、有機カルボン酸を用いたネガ型レジスト組成物によって上記目的を達成されることを見出した。
即ち、本発明は以下の通りである。
【0008】
(1) (A)下記一般式(1)で表される繰返し単位を有するアルカリ可溶性ポリマー、
(B)酸の作用により(A)のアルカリ可溶性ポリマーと架橋する架橋剤、
(C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(D)下記一般式(2)で表される4級アンモニウム塩及び
(E)有機カルボン酸
を含有することを特徴とするネガ型レジスト組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Aは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子又はシアノ基を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基又はアルキルカルボニルオキシ基を表す。nは1〜3の整数を表す。)
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、R3〜R6はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表し、B-はOH-基、ハロゲン原子、R7-CO2-基又はR7-SO3-基を表し、R7はアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)
【0013】
(2) 架橋剤(B)が、分子内にベンゼン環を2個以上有し、窒素原子を含まないフェノール化合物であることを特徴とする(1)に記載のネガ型レジスト組成物。
【0014】
(3) (1)又は(2)に記載のネガ型レジスト組成物により、レジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。
【0015】
以下に、更に、本発明の好ましい態様を挙げる。
【0016】
(4) 前記(A)成分のポリマーが、一般式(1)で表される繰り返し単位と、下記一般式(3)、(4)又は(5)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種を含有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載のネガ型レジスト組成物。
【0017】
【化3】

【0018】
【化4】

【0019】
(式中、Aは一般式(1)のAと同義であり、Xは単結合、−COO−基、−O−基又は−CON(R16)−基を表し、R16は水素原子又はアルキル基を表す。R11〜R15はそれぞれ独立に一般式(1)のR1と同義である。R101〜R106はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基、アルキルスルホニルオキシ基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基又はカルボキシ基を表す。a〜fはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。)
【発明の効果】
【0020】
本発明により、感度、解像力、パターン形状、ラインエッジラフネス、真空中PED特性に優れたネガ型レジスト組成物及びそれを用いたパターン形成方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明のネガ型レジスト組成物について詳細に説明する。
尚、本明細書に於ける基(原子団)の表記に於いて、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
【0022】
〔1〕(A)アルカリ可溶性ポリマー
本発明で使用されるアルカリ可溶性ポリマーは、前記の一般式(1)で表される繰り返し単位を必須成分として含有する。
【0023】
一般式(1)において、Aとしてのアルキル基は、炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。Aとしてのハロゲン原子としては、Cl、Br、F等を挙げることができる。
Aは、好ましくは水素原子、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基等)であり、特に好ましくは水素原子、メチル基である。
【0024】
1及びR2としてのハロゲン原子は、Cl、Br、F、I等を挙げることができる。
1及びR2としてのアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基、アルキルカルボニルオキシ基又はアルキルスルホニルオキシ基は、置換基を有していてもよい。また、R1及びR2は、互いに共同して環を形成してもいてもよい。
【0025】
1及びR2は、好ましくは、各々独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖状又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数5〜10のシクロアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数6〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7〜16のアラルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルコキシ基、又は置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルキルカルボニルオキシ基である。
【0026】
置換基としては、例えば、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ヘキシル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基
等)、アラルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、オクチルオキシ基、ドデシルオキシ基等)、アシル基(アセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基等)、オキソ基を挙げることができる。
【0027】
1及びR2として、より好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキルカルボニルオキシ基であり、特に好ましくは、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基)、炭素数1〜3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基)である。
【0028】
本発明で用いられる(A)成分のポリマーは、一般式(1)で表される繰り返し単位とともに、一般式(3)〜(5)で表される繰り返し単位の少なくとも一種を有することが好ましい。
【0029】
一般式(3)〜(5)において、Aは前記一般式(1)のAと同義である。Xは単結合、−COO−基、−O−基、−CON(R16)−基を表し、R16は水素原子又は炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基等)を表す。Xとして好ましくは、単結合、−COO−、−CON(R16)−であり、特に好ましくは単結合、−COO−基である。
【0030】
11〜R15はそれぞれ独立に一般式(1)のR1と同義である。
101〜R106はそれぞれ独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子(Cl、Br、F、I)、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキルカルボニルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキルスルホニルオキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜8のアルケニル基、置換基を有していてもよい炭素数7〜15のアリール基、置換基を有していてもよい炭素数7〜16のアラルキル基、カルボキシ基を表す。
これらの置換基としては、前記一般式(1)のR1の置換基の例として挙げたものと同
じものが挙げられる。
【0031】
101〜R106として好ましくは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキル基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルコキシ基、置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキルカルボニルオキシ基であり、特に好ましくは、水素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、炭素数1〜3のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基)、炭素数1〜3のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基)、炭素数1〜3のアルキルカルボニルオキシ基(アセチル基、プロピオニル基等)である。
a〜fはそれぞれ独立に0〜3の整数を表す。
【0032】
本発明で用いられる(A)成分のポリマーは、一般式(1)で表される繰り返し単位を1種のみを有する樹脂、一般式(1)で表される繰り返し単位を2種以上有する樹脂、一般式(1)で表される繰り返し単位をと一般式(3)〜(5)で表される繰り返し単位の少なくとも1種を有する樹脂のいずれであってもよいが、製膜性やアルカリ溶解性を制御できるような他の重合性モノマーを重合させてもよい。
【0033】
これらの重合性モノマーの例としては、スチレン、アルキル置換スチレン、アルコキシ置換スチレン、O-アルキル化スチレン、O-アシル化スチレン、水素化ヒドロキシスチレン、無水マレイン酸、アクリル酸誘導体(アクリル酸、アクリル酸エステル等)、メタクリル酸誘導体(メタクリル酸、メタクリル酸エステル等)、N−置換マレイミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0034】
本発明に用いられる(A)成分のポリマーにおける一般式(1)で表される繰り返し単位の含有量の範囲は、一般的に50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%である。
(A)成分のポリマーにおいて、一般式(1)で表される繰り返し単位と、一般式(3)〜(5)で表される繰り返し単位の比率は、モル比で100/0〜50/50が好ましく、より好ましくは100/0〜60/40であり、特に好ましくは100/0〜70/30である。
(A)成分のポリマーの好ましい分子量は、重量平均で1000〜200000であり、さらに好ましくは2000〜50000である。
(A)成分のポリマーの好ましい分子量分布(Mw/Mn)は、1.0〜2.0であり、よ
り好ましくは1.0〜1.35である。
(A)成分のポリマーの添加量は組成物の全固形分に対して、30〜95質量%、好ましくは40〜90質量%、特に好ましくは50〜80質量%で用いられる。
なお、ポリマーの分子量及び分子量分布は、GPC測定によるポリスチレン換算値として定義される。
【0035】
(A)成分のポリマーは、公知のラジカル重合法やアニオン重合法により合成することができる。例えば、ラジカル重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、過酸化物(過酸化ベンゾイル等)やニトリル化合物(アゾビスイソブチロニトリル等)、又はレドックス化合物(クメンヒドロペルオキシド−第一鉄塩等)を開始剤として、室温または加温条件下で反応させて重合体を得ることができる。また、アニオン重合法では、ビニルモノマーを適当な有機溶媒に溶解し、金属化合物(ブチルリチウム等)を開始剤として、通常、冷却条件化で反応させて重合体を得ることができる。
【0036】
以下に本発明で使用される(A)成分のアルカリ可溶性ポリマーの具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0037】
【化5】

【0038】
【化6】

【0039】
【化7】

【0040】
【化8】

【0041】
【化9】

【0042】
【化10】

【0043】
【化11】

【0044】
【化12】

【0045】
【化13】

【0046】
【化14】

【0047】
上記具体例中のnは正の整数を表す。x、y、zは樹脂組成のモル比を表し、2成分からなる樹脂では、x=10〜95、y=5〜90、好ましくはx=40〜90、y=10〜60の範囲で使用される。3成分からなる樹脂では、 x=10〜90、y=5〜85
、z=5〜85、好ましくはx=40〜80、y=10〜50、z=10〜50の範囲で使用される。
また、これらは単独で使用してもよいし、2種以上を混合して使用してもよい。
【0048】
〔2〕酸架橋剤((B)成分)
本発明においては、アルカリ可溶性ポリマーとともに、酸により架橋する化合物(以下
、適宜、酸架橋剤又は単に架橋剤と称する)を使用する。ここでは公知の酸架橋剤を有効に使用することができる。
好ましくは、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基、アシルオキシメチル基、又はアルコキシメチルエーテル基を2個以上有する化合物あるいは樹脂、又はエポキシ化合物である。
【0049】
更に好ましくは、アルコキシメチル化、アシルオキシメチル化メラミン化合物あるいは樹脂、アルコキシメチル化、アシルオキシメチル化ウレア化合物あるいは樹脂、ヒドロキシメチル化又はアルコキシメチル化フェノール化合物あるいは樹脂、及びアルコキシメチルエーテル化フェノール化合物あるいは樹脂等が挙げられる。
【0050】
特に好ましい(B)成分としては、分子量が1200以下、分子内にベンゼン環を3〜5個含み、さらにヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、そのヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基を少なくともいずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるフェノール誘導体を挙げることができる。このようなフェノール誘導体を用いることにより、本発明の効果をより顕著にすることができる。
ベンゼン環に結合するアルコキシメチル基としては、炭素数6個以下のものが好ましい。具体的にはメトキシメチル基、エトキシメチル基、n−プロポキシメチル基、i−プロポキシメチル基、n−ブトキシメチル基、i−ブトキシメチル基、sec−ブトキシメチル基、t−ブトキシメチル基が好ましい。さらに、2−メトキシエトキシ基及び、2−メトキシ−1−プロピル基の様に、アルコキシ置換されたアルコキシ基も好ましい。
【0051】
架橋剤(B)は、分子内にベンゼン環を2個以上有し、窒素原子を含まないフェノール化合物であることが好ましい。
【0052】
これらのフェノール誘導体の内、特に好ましいものを以下に挙げる。
【0053】
【化15】

【0054】
【化16】

【0055】
【化17】

【0056】
【化18】

【0057】
【化19】

【0058】
(式中、L1〜L8は、同じであっても異なっていてもよく、ヒドロキシメチル基、メトキシメチル基又はエトキシメチル基を示す。)
ヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有さないフェノール化合物(上記式においてL1〜L8が水素原子である化合物)とホルムアルデヒドを塩基触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を60℃以下で行うことが好ましい。具体的には、特開平6−282067号、特開平7−64285号等に記載されている方法にて合成することができる。
【0059】
アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、対応するヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体とアルコールを酸触媒下で反応させることによって得ることができる。この際、樹脂化やゲル化を防ぐために、反応温度を100℃以下で行うことが好ましい
。具体的には、EP632003A1等に記載されている方法にて合成することができる。
このようにして合成されたヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は、保存時の安定性の点で好ましいが、アルコキシメチル基を有するフェノール誘導体は保存時の安定性の観点から特に好ましい。
ヒドロキシメチル基またはアルコキシメチル基を合わせて2個以上有し、いずれかのベンゼン環に集中させ、あるいは振り分けて結合してなるこのようなフェノール誘導体は、単独で使用してもよく、また2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0060】
好ましい架橋剤の例として、更に以下の(i)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物、及び(ii)エポキシ化合物を挙げることができる。
【0061】
(i)N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有する化合物としては、EP0,133,216A、西独特許第3,634,671号、同第3,711,264号に開示された単量体及びオリゴマー−メラミン−ホルムアルデヒド縮合物並びに尿素−ホルムアルデヒド縮合物、EP0,212,482A号に開示されたアルコキシ置換化合物等に開示されたベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合物等が挙げられる。
更に好ましい例としては、例えば、少なくとも2個の遊離N−ヒドロキシメチル基、N−アルコキシメチル基、若しくはN−アシルオキシメチル基を有するメラミン−ホルムアルデヒド誘導体が挙げられ、中でもN−アルコキシメチル誘導体が特に好ましい。
【0062】
(ii)エポキシ化合物としては、一つ以上のエポキシ基を含む、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物を挙げることができる。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その他、米国特許第4,026,705号公報、英国特許第1,539,192号公報に記載され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0063】
架橋剤は、全レジスト組成物固形分中、好ましくは3〜65質量%、より好ましくは5〜50質量%の添加量で用いられる。架橋剤の添加量を3〜65質量%とすることにより、残膜率及び解像力が低下することを防止するとともに、レジスト液の保存時の安定性を良好に保つことができる。
【0064】
本発明において、架橋剤は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。
例えば、上記のフェノール誘導体に加え、他の架橋剤、例えば上述の(i)、(ii)等を併用する場合、上記のフェノール誘導体と他の架橋剤の比率は、モル比で100/0〜20/80、好ましくは90/10〜40/60、更に好ましくは80/20〜50/50である。
【0065】
〔3〕活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物((C)成分)
本発明のネガ型レジスト組成物は、活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物(以下、「酸発生剤」ともいう)を含有する。
そのような酸発生剤としては、光カチオン重合の光開始剤、光ラジカル重合の光開始剤、色素類の光消色剤、光変色剤、あるいはマイクロレジスト等に使用されている活性光線又は放射線の照射により酸を発生する公知の化合物及びそれらの混合物を適宜に選択して使用することができる。
【0066】
たとえば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、イミドスルホネート、オキシムスルホネート、ジアゾジスルホン、ジスルホン、o−ニトロベンジルスルホネートを挙げることができる。
【0067】
また、これらの活性光線又は放射線の照射により酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物、たとえば、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号等に記載の化合物を用いることができる。
【0068】
さらに米国特許第3,779,778号、欧州特許第126,712号等に記載の光により酸を発生する化合物も使用することができる。
【0069】
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、下記一般式(ZI)、(ZII)、(ZIII)で表される化合物を挙げることができる。
【0070】
【化20】

【0071】
一般式(ZI)において、
201、R202及びR203は、各々独立に、有機基を表す。
-は、非求核性アニオンを表し、好ましくはスルホン酸アニオン、カルボン酸アニオン、ビス(アルキルスルホニル)アミドアニオン、トリス(アルキルスルホニル)メチドアニオン、BF、PF、SbFなどが挙げられ、好ましくは炭素原子を含有する有機アニオンである。
【0072】
好ましい有機アニオンとしては、下記一般式(AN1)〜(AN4)に示す有機アニオンが挙げられる。
【0073】
【化21】

【0074】
一般式(AN1)及び(AN2)に於いて、
Rc1は、有機基を表す。
【0075】
Rc1における有機基として炭素数1〜30のものが挙げられ、好ましくは置換していてもよいアルキル基、アリール基、またはこれらの複数が、単結合、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−などの連結基で連結された基を挙げることができる。
Rdは水素原子、アルキル基を表し、結合しているアルキル基、アリール基と環構造を形成してもよい。
Rcの有機基としてより好ましくは1位がフッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたアルキル基、フッ素原子またはフロロアルキル基で置換されたフェニル基である。フッ素原子またはフロロアルキル基を有することにより、光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上する。Rcにおいて炭素原子を5個以上有する時、少なくとも1つの炭素原子は全ての水素原子がフッ素原子で置換されているのではなく、水素原子の一部が残されていることが好ましく、水素原子の数がフッ素原子より多いことがより好ましい。炭素数5以上のパーフロロアルキル基を有さないことにより生態への毒性が軽減する。
Rcの最も好ましい様態としては、下記一般式で表される基である。
【0076】
【化22】

【0077】
上記一般式に於いて、Rcは、炭素数4以下、より好ましくは2〜4、更に好ましくは2〜3のパーフロロアルキレン基、又は1〜4個のフッ素原子及び/又は1〜3個のフロロアルキル基で置換されたフェニレン基を表す。
Axは、単結合又は2価の連結基(好ましくは、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−SON(Rd)−)を表す。Rdは水素原子又はアルキル基を表し、Rcと結合して環構造を形成してもよい。
Rcは、水素原子、フッソ原子、置換していてもよい、直鎖若しくは分岐状アルキル基、単環若しくは多環のシクロアルキル基又はアリール基を表す。置換していてもよいアルキル基、シクロアルキル基、アリール基は置換基としてフッソ原子を含有しないことが好ましい。
【0078】
前記一般式(AN3)及び(AN4)に於いて、
Rc、Rc及びRcは、各々独立に、有機基を表す。
【0079】
一般式(AN3)及び(AN4)に於ける、Rc、Rc、Rcの有機基として、好ましくはRcにおける好ましい有機基と同じものを挙げることができる。
RcとRcが結合して環を形成していてもよい。
RcとRcが結合して形成される基としては、アルキレン基、アリーレン基が挙げられる。好ましくは炭素数2〜4のパーフロロアルキレン基である。RcとRcが結合して環を形成することにより光照射によって発生した酸の酸性度が上がり、感度が向上し、好ましい。
【0080】
一般式(ZI)に於ける、R201、R202及びR203としての有機基の炭素数は、一般的に1〜30、好ましくは1〜20である。
また、R201〜R203のうち2つが結合して環構造を形成してもよく、環内に酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合、カルボニル基を含んでいてもよい。
201〜R203の内の2つが結合して形成する基としては、アルキレン基(例えば、ブチレン基、ペンチレン基)を挙げることができる。
201、R202及びR203としての有機基の具体例としては、後述する化合物(ZI−1)、(ZI−2)、(ZI−3)における対応する基を挙げることができる。
【0081】
尚、一般式(Z1)で表される構造を複数有する化合物であってもよい。例えば、一般式(ZI)で表される化合物のR201〜R203の少なくともひとつが、一般式(ZI)で表されるもうひとつの化合物のR201〜R203の少なくともひとつと結合した構造を有する化合物であってもよい。
【0082】
更に好ましい(Z1)成分として、以下に説明する化合物(ZI−1)、(ZI−2)及び(ZI−3)を挙げることができる。
【0083】
化合物(ZI−1)は、上記一般式(ZI)のR201〜R203の少なくとも1つがアリール基である、アリールスルホニム化合物、即ち、アリールスルホニウムをカチオンとする化合物である。
アリールスルホニウム化合物は、R201〜R203の全てがアリール基でもよいし、R201〜R203の一部がアリール基で、残りがアルキル基、シクロアルキル基でもよい。
アリールスルホニウム化合物としては、例えば、トリアリールスルホニウム化合物、ジアリールアルキルスルホニウム化合物、アリールジアルキルスルホニウム化合物、ジアリールシクロアルキルスルホニウム化合物、アリールジシクロアルキルスルホニウム化合物を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物のアリール基としてはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、インドール残基、ピロール残基、などのヘテロアリール基が好ましく、更に好ましくはフェニル基、インドール残基である。アリールスルホニム化合物が2つ以上のアリール基を有する場合に、2つ以上あるアリール基は同一であっても異なっていてもよい。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているアルキル基は、炭素数1〜15の直鎖、分岐状アルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基等を挙げることができる。
アリールスルホニウム化合物が必要に応じて有しているシクロアルキル基は、炭素数3〜15のシクロアルキル基が好ましく、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。
201〜R203のアリール基、アルキル基、シクロアルキル基は、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜14)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチオ基を置換基として有してもよい。好ましい置換基としては炭素数1〜12の直鎖、
分岐状アルキル基、炭素数3〜12のシクロアルキル基、炭素数1〜12の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基であり、特に好ましくは炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基である。置換基は、3つのR201〜R203のうちのいずれか1つに置換していてもよいし、3つ全てに置換していてもよい。また、R201〜R203がアリール基の場合に、置換基はアリール基のp−位に置換していることが好ましい。
【0084】
次に、化合物(ZI−2)について説明する。
化合物(ZI−2)は、一般式(ZI)におけるR201〜R203が、各々独立に、芳香環を含有しない有機基を表す場合の化合物である。ここで芳香環とは、ヘテロ原子を含有する芳香族環も包含するものである。
201〜R203としての芳香環を含有しない有機基は、一般的に炭素数1〜30、好ましくは炭素数1〜20である。
201〜R203は、各々独立に、好ましくはアルキル基、シクロアルキル基、アリル基、ビニル基であり、更に好ましくは直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基、特に好ましくは直鎖、分岐2−オキソアルキル基である。
【0085】
201〜R203としてのアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。R201〜R203としてのアルキル基は、直鎖若しくは分岐状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることがより好ましい。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
201〜R203としてのシクロアルキル基は、環状2−オキソアルキル基であることがより好ましい。
201〜R203としての2−オキソアルキル基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、好ましくは、上記のアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
201〜R203としてのアルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜5のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペントキシ基)を挙げることができる。
201〜R203は、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えば炭素数1〜5)、水酸基、シアノ基、ニトロ基によって更に置換されていてもよい。
【0086】
化合物(ZI−3)とは、以下の一般式(ZI−3)で表される化合物であり、フェナシルスルフォニウム塩構造を有する化合物である。
【0087】
【化23】

【0088】
一般式(ZI−3)に於いて、
1c〜R5cは、各々独立に、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、又はハロゲン原子を表す。
6c及びR7cは、各々独立に、水素原子、アルキル基又はシクロアルキル基を表す。
Rx及びRyは、各々独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、又はビニル基を表す。
1c〜R7c中のいずれか2つ以上、及びRxとRyは、それぞれ結合して環構造を形成しても良く、この環構造は、酸素原子、硫黄原子、エステル結合、アミド結合を含んでいてもよい。R1c〜R7c中のいずれか2つ以上、及びRxとRyが結合して形成する基としては、ブチレン基、ペンチレン基等を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於ける、X-と同様のものである。
【0089】
1c〜R7cとしてのアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜20個のアルキル基、好ましくは、炭素数1〜12個の直鎖及び分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、直鎖又は分岐プロピル基、直鎖又は分岐ブチル基、直鎖又は分岐ペンチル基)を挙げることができる。
1c〜R7cとしてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜8個のシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基)を挙げることができる。
1c〜R5cとしてのアルコキシ基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、例えば炭素数1〜10のアルコキシ基、好ましくは、炭素数1〜5の直鎖及び分岐アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、直鎖又は分岐プロポキシ基、直鎖又は分岐ブトキシ基、直鎖又は分岐ペントキシ基)、炭素数3〜8の環状アルコキシ基(例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)を挙げることができる。
好ましくはR1c〜R5cのうちいずれかが直鎖、分岐状アルキル基、シクロアルキル基又は直鎖、分岐、環状アルコキシ基であり、更に好ましくはR1c〜R5cの炭素数の和が2〜15である。これにより、より溶剤溶解性が向上し、保存時にパーティクルの発生が抑制される。
【0090】
x及びRyとしてのアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基と同様のものを挙げることができる。Rx及びRyとしてのアルキル基は、直鎖若しくは分岐状2−オキソアルキル基、アルコキシカルボニルメチル基であることがより好ましい。
直鎖、分岐、環状2−オキソアルキル基は、R1c〜R7cとしてのアルキル基、シクロアルキル基の2位に>C=Oを有する基を挙げることができる。
アルコキシカルボニルメチル基におけるアルコキシ基については、R1c〜R5cとしてのアルコキシ基と同様のものを挙げることができる。
x、Ryは、好ましくは炭素数4個以上のアルキル基であり、より好ましくは6個以上、更に好ましくは8個以上のアルキル基である。
【0091】
前記一般式(ZII)、(ZIII)中、R204〜R207は、各々独立に、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有していてもよいアルキル基又は置換基を有していてもよいシクロアルキル基を表す。
204〜R207のアリール基としては、フェニル基、ナフチル基が好ましく、更に好ましくはフェニル基である。
204〜R207としてのアルキル基は、直鎖、分岐状のいずれであってもよく、好ましくは、炭素数1〜10の直鎖又は分岐アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基)を挙げることができる。
204〜R207としてのシクロアルキル基は、好ましくは、炭素数3〜10のシクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボニル基)を挙げることができる。
204〜R207が有していてもよい置換基としては、例えば、アルキル基(例えば炭素数1〜15)、シクロアルキル基(例えば炭素数3〜15)、アリール基(例えば炭素数6〜15)、アルコキシ基(例えば炭素数1〜15)、ハロゲン原子、水酸基、フェニルチ
オ基等を挙げることができる。
-は、非求核性アニオンを表し、一般式(ZI)に於けるX-の非求核性アニオンと同様のものを挙げることができる。
【0092】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で好ましい化合物として、更に、下記一般式(ZIV)、(ZV)、(ZVI)で表される化合物を挙げることができる。
【0093】
【化24】

【0094】
一般式(ZIV)〜(ZVI)中、
Ar3及びAr4は、各々独立に、置換若しくは未置換のアリール基を表す。
208は、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基又は置換若しくは未置換のアリール基を表す。
209及びR210は、置換若しくは未置換のアルキル基、置換若しくは未置換のシクロアルキル基、置換若しくは未置換のアリール基又は電子吸引性基を表す。R209として好ましくは、置換若しくは未置換のアリール基である。R210として好ましくは、電子吸引性基であり、より好ましくはシアノ基、フロロアルキル基である。
Aは、置換若しくは未置換のアルキレン基、置換若しくは未置換のアルケニレン基又は置換若しくは未置換のアリーレン基を表す。
【0095】
活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物の内で、より好ましくは、一般式(ZI)〜(ZIII)で表される化合物であり、更に好ましくは、一般式(ZI)、(ZII)で表される化合物であり、特に好ましくは、化合物(ZI−1)〜(ZI−3)である。
更に、活性光線又は放射線の照射により、下記一般式(AC1)〜(AC3)で表される酸を発生する化合物が好ましい。
【0096】
【化25】

【0097】
すなわち、より好ましい酸発生剤は、一般式(ZI)の構造において、X-が、前記一般式(AN1)、(AN3)、(AN4)から選ばれるアニオンである化合物あり、特に
好ましい化合物は、X-が、一般式(AN3)、(AN4)から選ばれるアニオンである化合物である。
【0098】
活性光線又は放射線の照射により分解して酸を発生する化合物の中で、特に好ましいものの例を以下に挙げる。
【0099】
【化26】

【0100】
【化27】

【0101】
【化28】

【0102】
【化29】

【0103】
【化30】

【0104】
【化31】

【0105】
酸発生剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。2種以上を組み合わせて使用する際には、水素原子を除く全原子数が2以上異なる2種の有機酸を発生する化合物を組み合わせることが好ましい。
酸発生剤の組成物中の含量は、ネガ型レジスト組成物の全固形分を基準として、0.1〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜7質量%である。
【0106】
〔4〕一般式(2)で表される4級アンモニウム塩((D)成分)
一般式(2)のR3〜R6としてのアルキル基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基は、置換基を有していてもよい。また、R3〜R6の内2つ以上の基が結合して脂環あるいは芳香環を形成していてもよい。
【0107】
3〜R6のアルキル基は、好ましくは、炭素数1〜30の直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜30の直鎖又は分岐状のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基、又はこれらの基を組合せた基である。
これらの基は置換基を有していてもよく、置換基としては、上記一般式(1)のR1
置換基の例として挙げたものと同じもの、及びヒドロキシル基を挙げることができる。さらにこれらの基は基の中にエーテル基、エステル基、アミド基等の連結基を有していてもよい。
【0108】
3〜R6として、より好ましくは、炭素数1〜25の直鎖又は分岐状のアルキル基、炭
素数1〜25の直鎖又は分岐状のアルケニル基であり、特に好ましくは、炭素数1〜20の直鎖又は分岐状のアルキル基である。
【0109】
-としてのR7-CO2-基及びR7-SO3-基におけるR7は、好ましくは、炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルキル基、炭素数1〜8の直鎖又は分岐状のアルケニル基、炭素数6〜18のアリール基、炭素数7〜18のアラルキル基を表す。
-は、好ましくは、OH-基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)、R7-CO2-基(R7は好ましくは炭素数1〜12、特に好ましくは炭素数1〜
6のアルキル基)であり、特に好ましくは、OH基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、フッ素原子)、R7-CO2-基(R7は炭素数1〜4のアルキル基)である。
【0110】
以下に、(D)成分の好ましい具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
【0111】
【化32】

【0112】
【化33】

【0113】
本発明で使用される(D)成分の含有量は、全ネガ型レジスト組成物の固形分に対して、0.01〜10質量%が好ましく、0.03〜5質量%がより好ましく、0.05〜3質量%が特に好ましい。
本発明において、(D)成分の4級アンモニウム塩は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
【0114】
〔5〕有機カルボン酸((E)成分)
(E)成分の有機カルボン酸化合物としては、飽和又は不飽和脂肪族カルボン酸、脂環式カルボン酸、オキシカルボン酸、アルコキシカルボン酸、ケトカルボン酸、芳香族カルボン酸などいずれも使用でき、特に限定されるものではなく、例えば、蟻酸、酢酸、プロ
ピオン酸、酪酸、イソ酪酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸などの1価若しくは多価脂肪族カルボン酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,1−シクロヘキシルジ酢酸などの脂環式カルボン酸、アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、3−ブテン酸、メタクリル酸、4-ペンテン酸、プ
ロピオル酸、2−ブテン酸、マレイン酸、フマル酸、アセチレンカルボン酸などの不飽和脂肪族カルボン酸、オキシ酢酸などのオキシカルボン酸、メトキシ酢酸、エトキシ酢酸などのアルコキシカルボン酸、ピルビン酸などのケトカルボン酸、安息香酸、P-ヒドロキシ安息香酸、O-ヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシー3−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、2−ニトロ安息香酸、2,4−ジニトロ安息香酸、2,5−ジニトロ安息香酸、2,6−ジニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、2−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸などを挙げることができる。本発明で、真空化で電子線を使用してパターン形成を行なう際には、レジスト膜表面より、揮発して描画チャンバー内を汚染してしまう恐れがあるので、好ましい化合物としては、芳香族を有する有機カルボン酸であり、その中でも例えば安息香酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸が好適である。
【0115】
これらの有機カルボン酸は、単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
【0116】
有機カルボン酸(E)の配合量としては、アルカリ可溶性ポリマー(A)100質量部に対し、0.01〜10質量部の範囲内が好ましく、より好ましくは0.01〜5質量部、さらにより好ましくは0.01〜3質量部である。
また、(D)成分の4級アンモニウム塩と(E)成分の有機カルボン酸との配合割合は、好ましくは(D):(E)=5〜95:95〜5(質量比)である。さらに好ましくは、(D):(E)=10〜90:90〜10(質量比)である。
【0117】
本発明のネガ型レジスト組成物には、必要に応じて、さらに、公知の含窒素有機塩基性化合物、染料、界面活性剤、可塑剤、光分解性塩基化合物、光塩基発生剤等を含有させることができる。これらの化合物については、いずれも特開2002−6500号に記載のそれぞれの化合物を挙げることができる。
【0118】
また、本発明のネガレジスト組成物に使用される溶剤としては、同じく特開2002−6500号に記載の溶剤類を挙げることができる。
例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、β−メトキシイソ酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸プロピル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソアミル、乳酸エチル、トルエン、キシレン、酢酸シクロヘキシル、ジアセトンアルコール、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどが好ましい。これらの溶剤は単独もしくは組み合わせて用いられる。
レジスト組成物の固形分は、上記溶剤に溶解し固形分濃度として、1〜40質量%溶解することが好ましい。より好ましくは1〜30質量%、更に好ましくは3〜20質量%である。
【0119】
本発明のネガ型レジスト組成物は基板上に塗布され、薄膜を形成する。この塗布膜の膜
厚は0.05〜4.0μmが好ましい。
本発明においては、必要により、市販の無機あるいは有機反射防止膜を使用することができる。さらにレジスト上層に反射防止膜を塗布して用いることもできる。これらの反射防止膜としては、特開2002-6500号に記載の反射防止膜を使用することができる。
【0120】
本発明のネガ型レジスト組成物の使用形態を次に説明する。
精密集積回路素子の製造などにおいてレジスト膜上へのパターン形成工程は、基板(例えばシリコン/二酸化シリコン皮覆、ガラス基板、金属基板、窒化シリコン基板、窒化チ
タン基板、酸化クロム基板等)上に、直接あるいは予めこれらの基板上に塗設した上記反射防止膜上に本発明のネガ型レジスト組成物を塗布し、次に放射線又は活性光線を光源として、直接又はマスクを介して照射を行い、加熱、現像、リンス、乾燥することにより良好なレジストパターンを形成することができる。本発明に於いて、好ましい基板は、シリコン(ベアシリコン)以外の基板であり、より好ましくは、表面に金属蒸着膜又は金属を含む膜が設けられた基板、更により好ましくは、表面にCr、Mo、MoSi、TaSi若しくはそれらの酸化物、窒化物による蒸着膜又はCr、Mo、MoSi、TaSi若しくはそれらの酸化物、窒化物を含む膜が設けられた基板であり、特に好ましくは、表面にCr、MoSi、TaSi若しくはそれらの酸化物、窒化物による蒸着膜が設けられた基板である。
ここで光源としては、好ましくは波長150〜250nmの光(具体的には、KrFエキシマレーザー(248nm)、ArFエキシマレーザー(193nm)、F2エキシマレーザー(157nm))、電子線、X線が挙げられ、本発明では特に電子線、X線を露光光源とする装置が最も好ましく用いられる。
【0121】
本発明のネガ型レジスト組成物の現像液としては、公知の現像液を用いることができ、例えば、特開2002-6500号に記載の現像液を挙げることができる。
【実施例】
【0122】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明の内容がこれにより限定されるものではない。
【0123】
1.構成素材の合成例
(1)アルカリ可溶性ポリマー(A成分)
合成例1(樹脂例(29)の合成)
4−アセトキシスチレン3.9g(0.024モル)、4−メトキシスチレン0.8g(0.006モル)を1−メトキシ−2−プロパノール30mlに溶解し、窒素気流及び撹拌下、70℃にて重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(和光純薬工業(株)製;商品名V−65)50mg、4−アセトキシスチレン9.1g(0.056モル)、4−メトキシスチレン1.9g(0.014モル)の1−メトキシ−2−プロパノール70ml溶液を2時間かけて滴下した。2時間後開始剤50mgを追加し、更に2時間反応を行った。その後90℃に昇温し撹拌を1時間続けた。反応液を放冷後、イオン交換水1Lに激しく撹拌しながら投入することにより、白色樹脂を析出させた。得られた樹脂を乾燥後、メタノール100mLに溶解し、25%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドを加え、樹脂中のアセトキシ基を加水分解した後、塩酸水溶液にて中和して白色樹脂を析出させた。イオン交換水にて水洗、減圧下で乾燥後、本発明の樹脂(29)11.6gを得た。GPCにて分子量を測定したところ、重量平均(Mw:ポリスチレン換算)で9,200、分散度(Mw/Mn)で2.0であった。
以下、同様にして本発明(A)成分のポリマーを合成した。
【0124】
(2)架橋剤の合成(B成分)
(HM−1)の合成
1−〔α−メチル−α−(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕−4−〔α,α−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エチル〕ベンゼン20g(本州化学工業(株)製Trisp−PA)を10%水酸化カリウム水溶液に加え、撹拌、溶解した。次にこの溶液を撹伴しながら、37%ホルマリン水溶液60mlを室温下で1時間かけて徐々に加えた。さらに室温下で6時間撹伴した後、希硫酸水溶液に投人した。析出物をろ過し、十分水洗した後、メタノール30mlより再結晶することにより、下記構造のヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1]の白色粉末20gを得た。純度は92%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0125】
【化34】

【0126】
(MM−1)の合成
上記合成例で得られたヒドロキシメチル基を有するフェノール誘導体〔HM−1〕20gを1リットルのメタノールに加え、加熱撹拌し、溶解した。次に、この溶液に濃硫酸1mlを加え、12時間加熱還流した。反応終了後、反応液を冷却し、炭酸カリウム2gをを加えた。この混合物を十分濃縮した後、酢酸エチル300mlを加えた。この溶液を水洗した後、濃縮乾固させることにより、下記構造のメトキシメチル基を有するフェノール誘導体〔MM−1〕の白色固体22gを得た。純度は90%であった(液体クロマトグラフィー法)。
【0127】
【化35】

【0128】
さらに、同様にして以下に示すフェノール誘導体を合成した。
【0129】
【化36】

【0130】
【化37】

【0131】
2.実施例
〔実施例1〕
(1)ネガレジストの塗液調製及び塗設
【0132】
(ネガレジストの塗液組成物)
(A)成分:樹脂(29) 0.40g
(B)成分:架橋剤MM−1 0.12g
(C)成分:酸発生剤C−1 0.05g
(D)成分:アンモニウム塩D−1 0.002g
(E)成分:有機カルボン酸E−1 0.012g
【0133】
上記塗液組成物をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート9.0gに溶解
させ、これに界面活性剤としてPF6320(OMNOVA(株)製、以下W−1と略す)0.001gを添加、溶解させ、得られた溶液を0.1μm口径のメンブレンフィルターで精密ろ過して、レジスト溶液を得た。
このレジスト溶液をフォトマスクに使用する遮蔽膜と同様の処理で酸化Cr蒸着した6イ
ンチウェハー上に東京エレクトロン製スピンコーターMark8を用いて塗布し、110℃、90秒間ホットプレート上で乾燥して、膜厚0.3μmのレジスト膜を得た。
【0134】
(2)ネガ型レジストパターンの作製
このレジスト膜に、電子線描画装置((株)日立製作所製HL750、加速電圧50 KeV)を用いて、パターン照射を行った。照射後に、120℃、90秒ホットプレート上で加熱し、2.38質量%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)水溶液を用いて60秒間浸漬した後、30秒間、水でリンスして乾燥した。得られたパターンを下記の方法で、感度、解像力、パタ−ン形状、ラインエッジラフネスについて評価した。
【0135】
(2−1)感度
得られたパターンの断面形状を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S-4300)を用いて観察した。0.15μm(ライン:スペース=1:1)を解像するときの露光量(電子線照射
量)を感度とした。
【0136】
(2−2)解像力
上記の感度を示す露光量における限界解像力(ラインとスペースが分離解像)を解像力とした。
【0137】
(2−3)パタ−ン形状
上記の感度を示す露光量における0.15μmラインパターンの断面形状を走査型電子顕微
鏡((株)日立製作所製S-4300)を用いて観察した。矩形、やや食われ、食われの3段階
評価とした。
【0138】
(2−4)ラインエッジラフネス
上記の感度を示す照射量における0.15μmラインパターンの長さ方向50μmにおける任意の30点について線幅を測定し、そのバラツキを3σで評価した。
【0139】
(2−5)真空中PED特性
真空チャンバー内にウェハをセット、上記感度を示す照射量にて電子線照射、照射直後又は3時間後に、上記のように120℃、90秒ベーク(加熱処理)した後、現像処理を行いラインパターンを得た。
そして、電子線照射直後にベークを行い現像処理し得られた0.15μmラインパター
ンと電子線照射3時間後にベークを行い現像処理をし得られた0.15μmラインパター
ンについて、走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製S−9220)にて線幅を測定し、両者の差を真空中PED特性とした。
【0140】
実施例1の結果は、感度:6.0μC/cm2、解像力:0.11μm、パターン形状:矩形、ライ
ンエッジラフネス:6.0nm、真空中PED特性:2.0nmであり、良好であった。
【0141】
〔実施例2〜16〕
下記表1に示した各成分を用い、その他は実施例1と同様にしてレジスト溶液の調製、ネガ型パターン形成を行った。尚、表1に於いて、成分を2種類以上用いた場合の比率は、質量比である。評価結果を下記表2に示した。
【0142】
〔比較例1〕
表1に示すように、(E)成分の有機カルボン酸を使用しない以外は、実施例1と同様にしてレジスト溶液の調製、ネガ型パターン形成を行った。評価結果を表2に示した。
【0143】
〔比較例2〕
表1に示すように、(A)成分の樹脂として一般式(1)の繰り返し単位を持たないノボラック樹脂を用いた以外は、実施例1と同様にしてレジスト溶液の調製、ネガ型パターン形成を行った。評価結果を表2に示した。
【0144】
〔比較例3、4〕
表1に示すように、(D)成分の4級アンモニウム塩を用いずに、公知の含窒素有機塩基性化合物のみを用いた以外は、実施例1と同様にしてレジスト溶液の調製、ネガ型パターン形成を行った。評価結果を表2に示した。
【0145】
【表1】

【0146】
以下、表中略号を説明する。
【0147】
【化38】

【0148】
表1で使用した酸発生剤は、以下のものを用いた。
C−1: トリフェニルスルホニウムノナフルオロブタンスルホネート
C−2: トリフェニルスルホニウムペンタフルオロベンゼンスルホネート
C−3: トリフェニルスルホニウム−2,4−ジメチルベンゼンスルホネート
C−4: ビスフェニルー4−シクロヘキシルフェニルスルホニウムペンタフルオロベンゼンスルホネート
【0149】
表1で使用した有機カルボン酸は、以下のものを用いた。
E−1: 安息香酸
E−2: 2−ナフトエ酸
E−3: 2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸
E−4: o−ヒドロキシ安息香酸
【0150】
表1で使用したその他成分は、以下を表す(いずれも東京化成(株)製)。
F−1: 2,4,5−トリフエニルイミダゾール
F−2: 4−ジメチルアミノピリジン
F−3: トリエチルアミン
G−1: トリメチルアンモニウムハイドロクロライド
【0151】
表1で使用した溶剤は以下を表す。
S−1: プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
S−2: プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0152】
表1で使用した界面活性剤は以下を表す。
W−1: PF6320(OMNOVA(株)製)
W−2: メガフアツクF176(大日本インキ(株)製)
【0153】
【表2】

【0154】
表2から、本発明のネガ型レジスト組成物は、感度、解像力、パターン形状、ラインエッジラフネス、真空中PED特性に優れ、良好な性能を有していることがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)で表される繰返し単位を有するアルカリ可溶性ポリマー、
(B)酸の作用により(A)のアルカリ可溶性ポリマーと架橋する架橋剤、
(C)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する化合物、
(D)下記一般式(2)で表される4級アンモニウム塩及び
(E)有機カルボン酸
を含有することを特徴とするネガ型レジスト組成物。
【化1】

(式中、Aは水素原子、アルキル基、ハロゲン原子、又はシアノ基を表し、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシ基又はアルキルカルボニルオキシ基を表す。nは1〜3の整数を表す。)
【化2】

(式中、R3〜R6は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アリール基、又はアラルキル基を表し、B-はOH-基、ハロゲン原子、R7-CO2-基、又はR7-SO3-基を表し、R7はアルキル基、アルケニル基、アリール基又はアラルキル基を表す。)
【請求項2】
架橋剤(B)が、分子内にベンゼン環を2個以上有し、窒素原子を含まないフェノール化合物であることを特徴とする請求項1に記載のネガ型レジスト組成物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のネガ型レジスト組成物により、レジスト膜を形成し、該レジスト膜を露光、現像する工程を含むことを特徴とするパターン形成方法。

【公開番号】特開2008−268935(P2008−268935A)
【公開日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79338(P2008−79338)
【出願日】平成20年3月25日(2008.3.25)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】