説明

ネットワークシステム、ノード、ノード評価方法、プログラム及び記録媒体

【課題】 各ノードが互いに挙動及びトラヒックの状況などをより適切に評価可能なネットワークシステム等を提案する。
【解決手段】 評価ノード3は、評価対象ノード5に対して送信した計測用プローブパケットの2ホップ隣接ノード71,…,7Jへの転送状況を計測して把握するのではなく、2ホップ隣接ノード71,…,7Jのパケット計測部431,…,7Jにより計測されたパケットの受信状況を得て評価対象ノード5を監視し、その情報を近隣の2ホップ隣接ノード71,…,7J同士で共有することにより、各ノードは、正常に動作しないノードを自律的に適切に検出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ネットワークシステム、ノード、ノード評価方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に、例えばマルチホップ無線ネットワークなどの、2つのノードが、他のノードを中継せず、又は、他のノードを中継して通信を行うネットワークシステム等に関する。
【背景技術】
【0002】
無線LAN(Local Area Network)では、端末局は、既存の基盤ネットワーク(インフラストラクチャ)に接続されたアクセスポイント(Access Point(AP))と無線通信することでLANを構築する。現在、各AP間において無線LAN通信を利用し、各APが通信を中継するマルチホップ無線ネットワーク(Multihop Wireless Network(MWN))が注目されている。
【0003】
MWNでは、ネットワーク全体が無線ネットワークで構成される。多数のAPがネットワークを形成することで、広いサービスエリアの提供が期待できる。そのため、ネットワークの可用性を損なわないためには、ネットワークを構成するAPに高い信頼性が求められる。APが正常に動作できない状況になると、ネットワークを構成するAPの信頼性が低下する。このような場合に、MWNの再構成など、ネットワーク自身が自律的に適切な対処を行うためには、ネットワーク内の各APの稼働状況を評価する仕組みが必要となる。
【0004】
MWNに悪影響を与えるノードは、2つに分類することができる。一つは、悪意を持って周辺のノードへ影響を与える悪意あるノードである。例えばDoS(Denial of Service)攻撃など、様々な攻撃が存在する。
【0005】
もう一つの悪影響を与えるノードは、貪欲に自分の要求を満たすネットワークの作成を画策する身勝手なノードである。身勝手なノードは、ネットワークに対して非常に非協力的で、自らが送信するデータ又は自分の配下に存在するノードのスループットを最大限にすることを目的とする。例えば、自らが生成したパケットは正常に転送し,他のノードから送信されてくるパケットは転送処理を行わず、そしてMAC層プロトコルの弱点を利用し周囲にはネットワークへの参加意思を表示し、実際には自らの情報をのみを送信するといった活動を行う。
【0006】
これらの悪影響を与えるノードは、現在、モバイルアドホックネットワーク(Mobile Ad Hoc Network(MANET))において報告され、各攻撃に対する対抗手段について研究が進められている。例えば、身勝手なノードに対する対抗手段は、大きく3つに大別できる。通貨モデルに基づく手法、ゲーム理論に基づく手法、及び、評判に基づく手法である(例えば、評判に基づく手法について、非特許文献1、非特許文献2参照)。
【0007】
【非特許文献1】P.Michiardiら著,“CORE:Collaborative Reputation Mechanism to enforce node cooperation in Mobile Ad hoc Networks”,Proc.Of the 6th IFIP Communication and Multimedia Security,2002
【非特許文献2】S.Bucheggerら著,“Performance analysis of the CONFIDANT protocol”,Proc.Of ACM International Symposium on Mobile Ad hoc Networking and Computing,2002
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
通貨モデルに基づく手法は、各ノードに流れるパケットに通貨価値を付加し、ノードの通貨流通量によりそのノードの信頼性を測る手法である。この手法は、MANETの場合はノードに移動性があり、全ノードに均一にパケットが流れるため、各ノードに対するパケット流通量の偏りが少ない。しかし、MWNの場合は、ネットワークを構築するAPに移動性が無いため、全ノードに均一にパケットが流れずに、各ノードにばらつきが生じる可能性がある。
【0009】
ゲーム理論に基づく手法は、ゲーム理論を用いて各ノードの動作を解析することで、身勝手なノードを検出する手法である。この手法では、複雑な解析が可能である。しかし、検証するための前提とそのネットワークモデルが非現実的であるため、実際のネットワークにおける適応が難しい。
【0010】
評判に基づく手法は、各ノードが隣接するノードを監視し、その監視結果より隣接ノードの評判を作成することで身勝手なノードを特定・対処する手法である。この手法は、隣接ノードの評判を監視結果に基づき生成するという単純な手法を用いているため、各ノードは、集中管理を行わず分散的に身勝手なノードを容易に特定することができる。
【0011】
評判に基づく手法は、主にMANETの分野において研究が進められている。代表的な手法として、非特許文献1記載のCORE、非特許文献2記載のCONFIDANTがある。これらの基本的な手法を、図4(a)を参照して、ノードAPkがAPk+1を経由してAPk+2へデータを転送する場合を例にして説明する。まず、APkは通信可能な範囲内にあるAPk+1へデータを転送する。APk+1は、APkから受信したデータをAPk+1の無線範囲内にあるAPk+2へ転送する。この時、APkはAPk+1の無線電波が到達可能な範囲内に存在しているため、インタフェースを無差別モードで動作させる等の方法によって、APk+1のデータ転送状況を知ることができる。そのため、APkは、自身が送出したデータパケットをAPk+1がAPk+2へ正しく転送しているかどうかを確認することが可能となる。
【0012】
しかしながら、これらのMANETにおける隣接ノード監視手法は、各ノードが、隣接ノードがさらに先のノードへ送信する内容を検出できることが前提である。しかし、現在、MWNでは同一の無線チャネルの干渉による通信品質の劣化を防ぐため、例えば各ノードに対し複数のインタフェースを保持する等の検討が進められている。そのため、MANETの手法をMWNに適用する場合、各APが隣接APの動作を監視することが困難な場合が発生する。
【0013】
MWNにおけるAP監視の困難性を、図4(b)を参照して、APkがAPk+1を経由してAPk+2へデータを転送する場合を例にして説明する。この時、各APは2つのインタフェースを保持し、受信インタフェースと送信インタフェースで異なるチャネルを利用すると仮定する。各APの受信インタフェースは、APkはチャネル1、APk+1はチャネル2、APk+2はチャネル3に設定されている。APkがAPk+1へデータをチャネル2で送信し、そのデータをAPk+1はAPk+2へチャネル3で転送する。この時、APkの受信インタフェースはチャネル1に設定されているため、APk+1がチャネル3で発信した情報をAPkは検出することができない。このようにAPが複数インタフェースを有し、複数の無線チャネルを使用する場合には、各APが隣接APのデータ転送を監視できない。
【0014】
そこで、本願発明は、各ノードが互いに挙動及びトラヒックの状況などをより適切に評価可能なネットワークシステム等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
請求項1に係る発明は、3個以上のノードを含み、2つのノードが、他のノードを中継せず、又は、他のノードを中継して通信を行うネットワークシステムであって、評価ノードは、評価対象ノードに対して他のノードを中継せずに通信可能であり、前記評価対象ノードは、前記評価ノードとは異なる2個以上の転送ノードに対して、前記評価ノードを中継せずに通信可能であり、前記評価ノードは、前記評価対象ノードに対してプローブを送信するプローブ管理手段を備え、前記評価対象ノードは、受信した前記プローブを前記各転送ノードに転送し、前記各転送ノードは、転送されたプローブの受信状況を計測するパケット計測手段と、前記パケット計測手段の計測結果を前記評価ノードに送信する計測結果送信手段を備え、前記評価ノードは、前記各転送ノードから受信した前記計測結果を統合して総合評価値を生成する統合手段と、前記評価値を用いて前記評価対象ノードの通信状況を判定する判定手段を備えるものである。
【0016】
請求項2に係る発明は、請求項1記載のネットワークシステムであって、前記各転送ノードの前記パケット計測手段は、前記転送されたプローブに加えて、前記評価ノードから前記評価対象ノードを中継して前記転送ノードに転送されたパケットの受信状況を計測し、前記評価ノードの前記統合手段は、前記計測結果を統合して局所的な評価値を計算し、前記各転送ノードの前記計測結果送信手段は、前記転送されたプローブ及び前記転送されたパケットの受信状況を示す計測結果に加えて、当該転送ノードにおいて計算された前記評価対象ノードに対する局所的な評価値を送信し、前記評価ノードの前記統合手段は、前記計測結果を統合して計算された局所的な評価値及び前記転送ノードにおける局所的な評価値を統合して前記総合評価値を生成するものである。
【0017】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のネットワークシステムであって、前記評価ノードにおいて、前記プローブ管理手段は、前記評価対象ノードを経由して前記各転送ノードに転送するプローブ転送経路情報を保持するプローブ送信専用経路表を管理し、前記プローブ転送経路情報における前記各転送ノードに対して前記プローブを送信し、前記プローブ管理手段及び前記プローブ送信専用経路表は、それぞれ、前記評価対象ノードに対応して同数存在するものである。
【0018】
請求項4に係る発明は、請求項3記載のネットワークシステムであって、前記評価ノードから前記評価対象ノードを中継して前記各転送ノードに至る通信経路における通信は無線通信であり、前記評価ノード、前記評価対象ノード及び前記各転送ノードは、複数のインタフェースを保持し、前記評価ノードは、前記プローブ送信専用経路表以外に、他のノードに対して前記プローブ以外のデータを送受信するための通信経路情報を保持するデフォルト経路表と、前記デフォルト経路表を管理する経路情報管理手段と、前記経路情報管理手段が前記デフォルト経路表を管理するために保持する情報を変更するパス管理手段を備えるものである。
【0019】
請求項5に係る発明は、ネットワークシステムにおけるノードであって、評価対象ノードに対してプローブを送信するプローブ管理手段と、前記評価対象ノードは当該プローブを異なる2以上の転送ノードに転送し、前記各転送ノードにおけるプローブの受信計測結果を統合して得られた評価値から前記評価対象ノードの通信状況を評価する計測結果判定手段、を備えるものである。
【0020】
請求項6に係る発明は、複数のノードを含むネットワークシステムにおけるノード評価方法であって、評価ノードのプローブ管理手段が、評価対象ノードに対してプローブを送信するステップと、前記評価対象ノードが前記プローブを異なる2以上の転送ノードに転送するステップと、前記評価ノードの計測結果判定手段が、前記転送ノードにおける前記プローブの受信計測結果を統合して得られた評価値から前記評価対象ノードの通信状況を評価するステップ、を含むものである。
【0021】
請求項7に係る発明は、評価対象ノードと通信可能なコンピュータを、前記評価対象ノードに対してプローブを送信するプローブ管理手段と、前記評価対象ノードは当該プローブを異なる2以上の転送ノードに転送し、前記各転送ノードにおけるプローブの受信計測結果を統合して得られた評価値から前記評価対象ノードの通信状況を評価する計測結果判定手段、として機能させるためのプログラムである。
【0022】
請求項8に係る発明は、請求項7記載のプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0023】
なお、評価ノードは、判定手段の判定結果に基づいてネットワークを制御するネットワーク制御手段を備えるものであってもよい。
【発明の効果】
【0024】
本願発明によれば、評価ノードは、評価対象ノードの送信状況を計測して把握するのではなく、評価対象ノードを中継して転送ノードに到達したパケットの受信状況を得て評価対象ノードを監視し、その情報を近隣のノード同士で共有することにより、各ノードは、正常に動作しないノードを自律的に適切に検出することが可能となる。さらに、例えばネットワークを再構成することもできる。
【0025】
また、請求項3に係る発明において、プローブの転送は、評価対象ノードではなく評価ノードが管理する。これにより、評価対象ノードの管理する伝送経路ではなく、評価に特別な転送経路を設定することが可能となる。さらに、評価対象ノードに対応してプローブ送信手段及びプローブ送信専用管理表を設けることにより、評価対象ノードの発生・消滅等に柔軟に対応することができる。
【0026】
さらに、請求項4に係る発明において、プローブ送信専用管理表は、通常の通信経路を管理するデフォルト管理表とは別個のものであり、さらに、パス管理手段は、デフォルト管理表を管理する経路情報管理手段の管理情報を変更する。これにより、従来の通信情報管理手段に基本的な変更はなく、付加する形で本願発明の評価手法を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下では、図面を参照して、本願発明の実施の形態の一例について説明する。
【実施例1】
【0028】
まず、図1を参照して、本実施例の評価手法の概要を説明する。図1は、本願発明の実施例であるネットワークシステム1を示す概略ブロック図である。本実施例において、ネットワークシステム1は、複数のノード(例えば、アクセスポイントAPなど)が配置されているマルチホップ無線ネットワークシステム(MWN)である。図1には、評価ノード(APs)3による評価処理に関連するノードのみを示しているが、ネットワークシステム1には他にもノードが存在する。本実施例では、各ノードは、4.9GHz−5.2GHz帯(IEEE11a又はj)又は2.4GHz帯(IEEE11b又はg)の無線LINKを利用した複数の無線インタフェース(以下、「マルチI/F」という。)を搭載する。このように、本実施例は、マルチI/F・マルチラジオを考慮したものである。
【0029】
本実施例では、評価ノード3が隣接するノードである評価対象ノード(APt)5を評価する場合を例にして説明する。評価ノード3は、評価対象ノード5に隣接する他のノードである2ホップ隣接ノード(2HN−AP:2 Hop Neighbor Access Point)71,…,7Jと連携することで、評価対象ノード5を評価する。これは、マルチI/F・マルチラジオにおける隣接APの監視問題に対処するためである。また、本実施例では、信頼性向上のために、評価対象ノード5からの直接的な報告には信頼をおかず、間接的なノードである2ホップ隣接ノード71,…,7Jと連携することで評価対象ノードの振る舞いを評価する。なお、各ノード間に流れる情報は、盗聴・改ざんされないことを前提とする。
【0030】
また、図2は、図1の評価ノード(APs)3が評価対象ノード5を評価する場合における2ホップ隣接ノード(2HN−AP)71,…,7Jとの間の評価処理シーケンスを示す図である。以下、図1及び図2を参照して、本実施例の評価手法について、具体的に説明する。
【0031】
図1のネットワークシステム1において、評価ノード3と評価対象ノード5は他のノードを経由せずに通信可能なノード(以下、「隣接ノード」という。)であり、評価対象ノード5と2ホップ隣接ノード71,…,7Jも隣接ノードである。
【0032】
評価ノード3は、一般的なパケット(少なくとも後述する計測用プローブパケットを除くパケット)の通信経路を管理する経路情報管理部11と、一般的なパケットの通信経路を保持するデフォルト経路表13と、評価対象ノード5の評価処理を行う付加評価部15を備える。以下では、経路情報管理部11は、OLSR(Optimized Link State Routing protocol、インターネット<URL:http://www.olsr.org>参照)により管理する場合を例に説明する。経路情報管理部11は、olsrdというOLSRに従った経路計算を行う常駐プロセスにより実現される。
【0033】
付加評価部15は、付加評価部15の処理を制御する制御部21と、トポロジの検出処理を行うトポロジ検出部23と、評価の対象となるノードにそれぞれ対応し、対応するノードに計測用プローブパケット(以下、「プローブ」という。)を送信するプローブ管理部251,…,25Nと、それぞれプローブ管理部251,…,25Nに対応してプローブの送信経路を保持するプローブ送信専用経路表271,…,27Nと、他のノードが転送したプローブ(以下、「転送プローブ」という。)を含めてパケットの受信状況を計測するパケット計測部31と、プローブの送信元に対してパケットの受信状況の計測結果を送信する計測結果送信部33と、他のノードから計測結果を受信する計測結果受信部35と、受信した計測結果を統合する計測結果統合部37と、統合された計測結果を判定する計測結果判定部39と、計測結果判定部39の判定によりネットワークを制御するネットワーク制御部40を備える。
【0034】
本実施例では、付加評価部15は、OLSRプラグイン(図1のwiremプラグイン)として実現されるものとする。このように、付加評価部15は、既存のシステムに付加する形で実現することが可能なものである。また、トポロジ検出部23、プローブ管理部251,…,25N、転送プローブ受信部31、計測結果送信部33、計測結果受信部35、計測結果統合部37、計測結果判定部39及びネットワーク制御部40は、それぞれ、別個のスレッドにより実現されており、各ノードにおいては、必要に応じて、スレッドの管理(例えば、メインスレッドから子スレッドの生成・開放や、各スレッドの優先順位設定など。)が行われている。
【0035】
制御部21は、経路情報管理部11が起動時に読み込むConfigファイル(以下、「Config」という。)から、付加評価部15用の設定パラメータ(例えば、プローブ送信用UDPポート番号及び送信間隔、プローブ受信結果及びDV値通知用UDPポート番号及び通知間隔、DV値算出のための加重平均係数αなど)を取得する。
【0036】
トポロジ検出部23は、経路情報管理部11のトポロジ情報を取得する。例えば、olsrdのスケジューリング機能を使って、一定周期でトポロジチェックを行っている。これは、トポロジ情報を最新化するための手段として、指定周期で定期的にノードが持つインタフェース情報を交換する。このようにして、経路情報管理部11が保持するトポロジ情報が最新化される。
【0037】
トポロジ検出部23は、取得したトポロジ情報により、評価対象ノード5を発見し、さらに、評価ノード3以外の評価対象ノード5の隣接ノードである2ホップ隣接ノード71,…,7Jを発見する(図2のステップST1)。隣接ノードアドレス及びその隣接ノードを経由する2ホップ隣接ノードアドレスの組が、2ホップ隣接ノード情報として管理される。なお、ノードの検出/消失を認識した場合、プローブ管理部251,…,25Nへ通知する。このとき、評判データ(後に説明するDV、GVなど)は情報を保持しておく。
【0038】
トポロジ検出部23は、子スレッドとして、評価の対象となるノードにそれぞれ対応してプローブ管理部251,…,25Nを起動する。各プローブ管理部251,…,25Nは、対応する評価の対象となるノードを経由して2ホップ隣接ノードへ至る通信経路を保持するプローブ送信専用経路表271,…,27Nを管理する。以下では、評価対象ノード5はプローブ管理部25n(nはN以下の自然数)に対応するとする。
【0039】
プローブ管理部25nは、Configにおいて指定されたポートを用いて、ソケットオプション指定により、評価対象ノード5を経由して2ホップ隣接ノード71,…,7JのIPアドレスへプローブを送信する。送信するプローブは専用メッセージとし、Configで指定されたUDPポート番号を用いて送信する。
【0040】
プローブは、必ず評価対象ノード5を経由させる。そのため、評価対象ノード5とのインタフェースデバイス名(eth0など)が必要となる。これについては、隣接ノードのIPアドレスを用いてolsrdが管理するI/F情報を検索し、インタフェースデバイス名を取得する。プローブ管理部25iは、その後UDPソケットを作成し、ソケットオプション指定で取得したインタフェースデバイス名を指定後、Configにより指定されたプローブ送信間隔で送信する。また、プローブのUDPデータ部にはプローブ送信元OLSR代表アドレス及び評価対象隣接ノードOLSR代表アドレスを設定し、同一ノードからの検査用プローブの識別を行う。
【0041】
また、本プローブ管理機能で開始したプローブ送信処理は、トポロジ検出機能がトポロジ変更を認知するまで継続する。トポロジの検出/消失が認識された場合、個別にノード単位でプローブ送信開始・停止を制御する。2ホップ隣接ノードへのプローブ送信を一旦停止した時は、作成したプローブ送信専用経路表と送信用ルールをクリアする。そして、これらの変更後に、変更されたトポロジ情報に応じた2ホップ隣接ノードに対してプローブ送信処理を実施する。
【0042】
評価対象ノード5は、プローブを2ホップ隣接ノード71,…,7Jに転送する。転送プローブは、UDP受信ソケットを使用し、2ホップ隣接ノード71,…,7JのConfigにおいて指定されたポートに到着する。
【0043】
2ホップ隣接ノード7j(jはJ以下の自然数)のパケット計測部43jは、実際に経路に流れるデータ、及び、転送プローブという2つのデータのパケット数(例えば、受信数、損失数、重複数など)を計測する。パケット計測部43jは、パケット数を、評価ノード3(受信ノードから見た2ホップ隣接ノード)ごとに管理する(図2のステップST2、ST3及びST4)。同一ノードが異なる隣接ノードを評価する可能性があるため、転送プローブ内に保持されている隣接ノードの情報もあわせて管理する。
【0044】
評価ノード3は、評価対象ノード5が各2ホップ隣接ノード71,…,7Jに転送したすべてのパケットについて、2ホップ隣接ノード71,…,7J毎に転送数を計測する。もし,2ホップ隣接ノード7jと評価対象ノード間の経路に一定時間データが流れていない場合、評価ノード3はプローブを2ホップ隣接ノード7jへ送信することで、その経路のパケット転送数を計測させる。
【0045】
そして、2ホップ隣接ノード7jの計測結果送信部45jは、Configで指定された一定周期間隔で、定期的に、評価ノード3に対して計測結果である受信パケット数を報告する。また、計測結果送信部45Jは、評価対象ノード5の評価値DV(Direct Value)を評価ノード3に送信する。DVは、各ノードが実際の転送率から求める評価値であり、後に具体的に説明する。計測結果送信部45jは、パケット計測部43jとは非同期に、Configで指定された通知間隔で動作し、管理しているプローブ受信情報すべてについて、それぞれ、シーケンシャルに通知処理を実施する。
【0046】
評価ノード3の計測結果受信部35は、2ホップ隣接ノード71,…,7Jより送信された計測結果等を受信する。これは、プローブ送信処理とは非同期に行われる。
【0047】
計測結果統合部37は、評価ノード3において実際の転送率から求められる評価値DV及び2ホップ隣接ノード71,…,7Jから得られる評価対象ノード5に対する評価値IV(Indirect Value)から、評価対象ノード5の評価値GV(Global Value)を求める。各評価値DV、IV及びGVについて、以下、具体的に説明する。
【0048】
DVは、評価ノード3が各2ホップ隣接ノード7jから収集したパケット転送率であるDirectRatioを元に作成する。計測結果受信部35は、各2ホップ隣接ノード71,…,7Jから報告された受信パケット数と自らが送信したデータパケット(実データとプローブ)の数を比較し、各2ホップ隣接ノード7jのパケット転送率Rjを求める。そして、各2ホップ隣接ノード7jの転送率Rjを用い、さらに、過去一回分の評価を用いた式(1)に示す加重移動平均より、各2ホップ隣接ノード7jの転送率からの評価値であるDirectRatioを求める。ここで、DRst-j(t)は時間tにおける評価ノード3から評価対象ノード5を中継して2ホップ隣接ノード7jへ到達する転送に関するDirectRatioを表し、Rj(t)は時間tにおけるパケット転送率を表し、αは加重平均の重みを表す。
【0049】
そして、各2ホップ隣接ノード7jに対するDirectRatioを求めた後、計測結果統合部37は、式(2)に示すように、これらの最小値より評価対象ノード5のローカルな評価値である直接評価値DVを求める。ここで、DVst(t)は、時間tにおける評価ノード3の評価対象ノード5に対する評価値DVを表す。
【0050】
IVは、評価ノード3自身が求めた値ではなく、各2ホップ隣接ノード7jが求めた評価対象ノード5に対する評価値DVjtのことを指す。すべてのノードは各隣接ノードに対してDVを作成している。各ノードは、隣接ノードに対するDVを、その隣接ノードにさらに隣接する2ホップ隣接ノードへ送信する。受信側である評価ノード3では、各2ホップ隣接ノード7jから送信されてくる評価対象ノード5の評価値DVjtを間接評価値IVst-jとして評価対象ノード5の評価に用いる。
【0051】
各ノードは、隣接ノード毎にDVと2ホップ隣接ノードの数のIVを保持している。計測結果統合部37は、式(3)に示されるように、評価対象ノード5の評価値GVを、これらのDVとIVの最小値から求める。ここで、GVst(t)は評価ノード3の時間tにおける評価対象ノード5のGV、IVst-j(t)は時間tにおける評価ノード3が2ホップ隣接ノード7jより得た評価対象ノード5に対するIVを表す。
【0052】
計測結果判定部39は、評価対象ノードのGVをその信頼性の指針として利用する。例えば、ネットワーク制御部40が、評価値と経路制御機構と連携することで正常に動作しないAPをネットワークから除外するなどである。
【0053】
なお、計測結果統合部37は、上記のように、DR・DV・IVから一つを選択して統合してGVを生成するだけでなく、例えば2つ以上の値を選択して演算を行って統合し、GVを計算するものであってもよい。また、受信数だけでなく、例えば損失数や重複数を利用して得られる評価値の統合処理を行うものでもよい。
【0054】
また、DR、DV又はGVの算出は、Configにより指定された周期間隔により、定期的に実施されるものでよい。
【0055】
さらに、本実施例においては2ホップ隣接ノード間の評価手法を提案したが、一般にkホップ隣接ノード間の評価(kは2以上の整数)としてもよい。ただし、計算量が増加することとなる。そのため、例えば、評価の精度と計算量との関係によりホップ数を変更するようにしてもよい。
【0056】
さらに、ネットワークシステム1を含み、さらに、各ノード(AP)に収容されるエンドユーザや、有線ネットワークなどによりネットワークシステムが構成されてもよい。このとき、コア・ネットワークとなる無線ネットワークシステム1のノード間は、無線リンクを用いてMESH型ネットワークを構成するようにしてもよい。また、このようなネットワークシステム内に、各ノードのトポロジ情報と評価値を表示するGUIサーバを配置することにより、視覚的にネットワークの状態を認知することができるようにしてもよい。このようなGUIサーバは、olsrdが提供するトポロジ情報取得用プラグインを使用して実現することが可能である。
【0057】
【数1】

【実施例2】
【0058】
本実施例では、図3を参照して、本願発明の具体的な設計と実装の一例について説明する。
【0059】
図3(a)は、本実施例の設計概要を示す図である。図3(a)のSource APが図1の評価ノード3に対応し、図3(a)の2HN−APが図1の2ホップ隣接ノード71,…,7Jに対応する。以下、本実施例の隣接APを評価する機構をWiReM(Wireless Reputation Mechanism)という。本実施例の実装には、経路制御手法としてOLSRを利用する。これは、OLSRが現在MWNにおいて主要な経路制御手法であるとともに、実装の際に各モジュールがプラグインとして組み込むことが容易であるためである。
【0060】
本実施例の各モジュールは、プローブの送受信を行うMonitor/Capture部(図1の評価ノード3のトポロジ検出部23、プローブ管理部251,…,25N及びパケット計測部31に対応)、自APで生成したDVを周囲へ広報するNotification部(図1の評価ノード3の計測結果送信部33及び計測結果受信部35に対応)、DVとIVからGVを生成し評価決定ポリシーに従い隣接APを評価するReputation部(図1の計測結果統合部37及び計測結果判定部39に対応)、そして、OLSRのリンク管理機構と連携を行うPathMGR(Manager)部(図1のネットワーク制御部40に対応)の4つから構成されている。以降、これらの各モジュールについて概説する。
【0061】
まず、Monitor/Capture部の設計について説明する。Monitor/Capture部は、Monitor部とCapture部を備える。
【0062】
Monitor部では、OLSRが管理しているトポロジ情報からWiReMが評価すべき隣接AP及び協調して評価実施する2HN−APを検出する。Monitor部は、一定周期でOLSRが保持するLSDB(Link State Data Base)を参照し、この評価対象隣接APと2HN−AP情報をペアで管理している。さらに、Monitor部では専用計測プローブパケットを作成し、上記ペア情報を元にして、あて先に2HN−AP情報を設定する。本プローブは、評価対象の隣接APを必ず経由しなければならない。しかし、OLSRが管理するデフォルト経路表を利用してプローブ送信を実施すると、評価できない隣接APが出てきてしまう。これを解決するために、デフォルト経路表とは別に隣接APとその2HN−AP毎にプローブ専用経路表(図1のプローブ送信専用経路表271,…,27Nに対応)を保持させるようにし、デフォルト経路表だけでは経由できない隣接APに対してもプローブを送信できるようにしている。
【0063】
Capture部では、2HN−APから送信されてくるプローブパケットを受信し、その受信数、損失数、重複数をプローブ送信元AP毎に管理する。
【0064】
次に、Notification部の設計について説明する。Notification部では、Capture部が管理しておいたプローブの受信数、損失数、重複数と隣接APの評価値DVを定期的にプローブ送信APへ送信する。また、2HN−APのNotification部から情報を受信した場合、APはプローブの受信結果と2HN−APにおける評価対象APの間接的な評価値IVを受信する。そして、各APは受信したプローブの情報を用いて式(1)より2HN−AP毎に隣接APの転送率DRを算出する。
【0065】
次に、Reputation部の設計について説明する。Reputation部では,まずNotification部が算出した2HN−AP毎に算出した隣接APにおけるDRを用いて式(2)よりDVを算出する。そして、ここで算出したDVと2HN−APより取得したIVを用いて式(3)より総合的な評価値GVを算出する。
【0066】
次に、PathMGR部の設計について説明する。PathMGR部は、Reputaion部の評価結果より、監視対象である隣接APをネットワーク的に除外/復帰させる機能を提供する。本機能は、リンクメトリック操作機能、通知機能、管理機能、そしてリンクメトリックを反映した経路計算機能によって構成される。
【0067】
リンクメトリック操作機能とは、評価値が閾値より低くなった隣接AP向けのOLSR I/Fのリンクメトリック値を意図的に高く設定する機能である。このリンクメトリック値操作により、間接的にOLSRが経路の再計算を実施し、対象隣接AP をネットワーク的に除外する。なお、評価値が閾値より回復した場合は、意図的に高く設定しておいたリンクメトリック値を元に戻すことで、対象APをネットワーク的に復帰させることが可能となる。
【0068】
リンクメトリック通知および管理機能とは、対象隣接AP向けのOLSR I/Fのリンクメトリック値を変更させたことをOLSRネットワーク全体へ広告(MPRフラッディング)したり、広告されたリンクメトリック値変更メッセージを受信したりする機能である。こうすることで、全APのOLSRにおけるLSDBを同期させることが可能となり、経路表の整合性を保つことができる。なお、現OLSR実装では、リンクメトリック値を広告する仕組みが存在していないので、MSGタイプ210番(UDP)として追加した。このリンクメトリック通知メッセージは、リンクメトリック変更時にMPRフラッディングされるが、UDPメッセージの損失を考慮し、一定周期で広告する機能も併せて提供している。本メッセージを受信したOLSRは、通知メッセージ内に格納してあるリンクメトリック値を自身が保持するLSDBへ反映させ、変更があった場合に限り経路の再計算を実施させる。この経路計算に関して、OLSRではダイクストラアルゴリズムによる最短パスを採用しており、ホップ数が最小のパスが選択されるようになっている。これを拡張し、リンク毎のメトリック値を反映させた経路計算を実施するようにさせた。これにより、評価劣化したAPを経由するパスが最短パスでも、リンクメトリック値を考慮した計算をすることで、最適経路として選択されないようにしている。
【0069】
以上の操作を実施することで、各APは隣接APを評価し、隣接APを評価値に基づきネットワークから除外/回復することが可能となる。
【0070】
また、GUI機能として、WiReMでは各APが隣接APを評価し、どのようなネットワークトポロジを構成しているかモニタリングするためのGUI機能を付加している。GUIではネットワークを構成するAPの数とトポロジの詳細、そして各AP の評価値をリアルタイムに表示することが可能である。このGUI表示には専用のサーバを必要とせず、各AP上にて表示することが可能である。
【0071】
図3(b)、(c)及び(d)は、具体的な動作の一例を示す図である。WiReMの動作を検証するために、複数の無線I/Fを有するPCを利用してWiReMを実装したAPを作成し、MWNを構築した。APは4台であり、各AP間はIEEE802.11aで接続した。リンクごとに1インタフェースを利用し、無線チャネルはお互いが極力干渉しないよう設定した。また、各AP間の通信はアドホックモードにて接続されている。あるAP(以下、「評価AP」という。)において表示されるよう設定した。
【0072】
このネットワーク環境においてすべてのAPでOLSR及びWiReMを実行させた。ネットワーク経路は、OLSRの初期メトリックを任意に設定し、必ず評価APの隣接ノードであるAP(以下、「評価対象AP」という。)を経由するよう設定した。このとき、評価対象APにおいてプローブのみを意図的に廃棄させ、WiReMが評価対象APの異常を検出し、ネットワークから除外する過程を検証した。
【0073】
図3(b)は、評価対象APにおいてプローブの廃棄が実行されていない時点のスクリーンショットを示す図である。左側の表示がWiReMのGUI機能である。左上の1の領域は評価対象APの評価値のグラフ(横軸:経過時間、縦軸:評価値)、左下の2の領域がネットワークトポロジの状態、右の3の領域がGUIを表示するAPの無線インタフェースに流れるスループットのグラフ(横軸:経過時間、縦軸:スループット)を示している。1の領域では当該特定のAPの評価値をリアルタイムで示している。このグラフにおいて、評価対象APを評価している隣接AP(評価APなど)のGVを示している。図3(b)より、評価対象APにおいて異常が発生していない時は評価値が安定しており、3の領域における評価APのスループットはath0(評価対象AP経由)に対して安定して流れていることが確認できる。
【0074】
次に、評価対象APにおいてiptablesを用いてプローブのみを意図的に廃棄するよう設定した。図3(c)は、このときのスクリーンショットを示す図である。図3(c)の1の領域より、評価対象APにおいてプローブが廃棄され評価ノードらの評価対象ノードに対する評価値が時間とともに低下していることが確認できる。また,この評価値が0.5という閾値(任意に設定可能)を下回った場合、2の領域より評価APの無線インタフェースに流れるスループットはath0(評価対象AP経由)からath1(他のAP経由)にスイッチしていることが確認できる。この結果より、評価対象ノードの異常を評価ノードらが検出することで、評価対象APを避け、他のAPを通る経路を利用していることが確認できた。
【0075】
さらに、評価対象APにおいてプローブパケットの廃棄設定を消去し、正常に動作するように設定した。図3(d)は、このときのスクリーンショットを示す図である。1の領域より、評価対象APにおいてプローブ廃棄の消去とともに、評価APらの評価対象APに対する評価値は上昇していることが確認できた。そして、評価値が閾値を上回った場合、3の領域より評価APの無線インタフェースに流れるスループットはath1からath0へスイッチしたことが確認できる。これは評価APらが評価対象APの転送が正常であると確認したことで、他のAPを通る経路から評価対象APを通る経路へ回復したことを示す。
【0076】
以上より、今回実装したWiReMによって各APが自律的に隣接APを監視・評価することで、異常が発生したAPを検出し適切に対処することができることが示された。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本願発明の実施の形態の一例である評価ノード3が2ホップ隣接ノード71,…,7Jと連携することで評価対象ノード5を評価するネットワークシステム1の概略を示すブロック図である。
【図2】図1の評価ノード(APs)3と図1の2ホップ隣接ノード(2HN−AP)71,…,7Jとの間の評価処理シーケンスを示す図である。
【図3】本願発明の設計及び実装を説明する図である。
【図4】背景技術である悪意あるノードを検出する手法を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1 ネットワークシステム、3 評価ノード、5 評価対象ノード、71,…,7J 2ホップ隣接ノード、11 経路情報管理部、13 デフォルト経路表、15 付加評価部、251,…,25N プローブ管理部、271,…,27n プローブ送信専用経路表、31 パケット計測部、33 計測結果送信部、35 計測結果受信部、37 計測結果統合部、39 計測結果判定部、411,…,41J 経路情報管理部、431,…,43J パケット計測部、451,…,45J 計測結果送信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
3個以上のノードを含み、2つのノードが、他のノードを中継せず、又は、他のノードを中継して通信を行うネットワークシステムであって、
評価ノードは、評価対象ノードに対して他のノードを中継せずに通信可能であり、
前記評価対象ノードは、前記評価ノードとは異なる2個以上の転送ノードに対して、前記評価ノードを中継せずに通信可能であり、
前記評価ノードは、前記評価対象ノードに対してプローブを送信するプローブ管理手段を備え、
前記評価対象ノードは、受信した前記プローブを前記各転送ノードに転送し、
前記各転送ノードは、
転送されたプローブの受信状況を計測するパケット計測手段と、
前記パケット計測手段の計測結果を前記評価ノードに送信する計測結果送信手段を備え、
前記評価ノードは、
前記各転送ノードから受信した前記計測結果を統合して総合評価値を生成する統合手段と、
前記評価値を用いて前記評価対象ノードの通信状況を判定する判定手段を備える
ネットワークシステム。
【請求項2】
前記各転送ノードの前記パケット計測手段は、前記転送されたプローブに加えて、前記評価ノードから前記評価対象ノードを中継して前記転送ノードに転送されたパケットの受信状況を計測し、
前記評価ノードの前記統合手段は、前記計測結果を統合して局所的な評価値を計算し、
前記各転送ノードの前記計測結果送信手段は、前記転送されたプローブ及び前記転送されたパケットの受信状況を示す計測結果に加えて、当該転送ノードにおいて計算された前記評価対象ノードに対する局所的な評価値を送信し、
前記評価ノードの前記統合手段は、前記計測結果を統合して計算された局所的な評価値及び前記転送ノードにおける局所的な評価値を統合して前記総合評価値を生成する、
請求項1記載のネットワークシステム。
【請求項3】
前記評価ノードにおいて、
前記プローブ管理手段は、前記評価対象ノードを経由して前記各転送ノードに転送するプローブ転送経路情報を保持するプローブ送信専用経路表を管理し、前記プローブ転送経路情報における前記各転送ノードに対して前記プローブを送信し、
前記プローブ管理手段及び前記プローブ送信専用経路表は、それぞれ、前記評価対象ノードに対応して同数存在する
請求項1又は2に記載のネットワークシステム。
【請求項4】
前記評価ノードから前記評価対象ノードを中継して前記各転送ノードに至る通信経路における通信は無線通信であり、前記評価ノード、前記評価対象ノード及び前記各転送ノードは、複数のインタフェースを保持し、
前記評価ノードは、
前記プローブ送信専用経路表以外に、他のノードに対して前記プローブ以外のデータを送受信するための通信経路情報を保持するデフォルト経路表と、
前記デフォルト経路表を管理する経路情報管理手段と、
前記経路情報管理手段が前記デフォルト経路表を管理するために保持する情報を変更するパス管理手段
を備える請求項3記載のネットワークシステム。
【請求項5】
ネットワークシステムにおけるノードであって、
評価対象ノードに対してプローブを送信するプローブ管理手段と、
前記評価対象ノードは当該プローブを異なる2以上の転送ノードに転送し、前記各転送ノードにおけるプローブの受信計測結果を統合して得られた評価値から前記評価対象ノードの通信状況を評価する計測結果判定手段、
を備えるノード。
【請求項6】
複数のノードを含むネットワークシステムにおけるノード評価方法であって、
評価ノードのプローブ管理手段が、評価対象ノードに対してプローブを送信するステップと、
前記評価対象ノードが前記プローブを異なる2以上の転送ノードに転送するステップと、
前記評価ノードの計測結果判定手段が、前記転送ノードにおける前記プローブの受信計測結果を統合して得られた評価値から前記評価対象ノードの通信状況を評価するステップ、
を含むノード評価方法。
【請求項7】
評価対象ノードと通信可能なコンピュータを、
前記評価対象ノードに対してプローブを送信するプローブ管理手段と、
前記評価対象ノードは当該プローブを異なる2以上の転送ノードに転送し、前記各転送ノードにおけるプローブの受信計測結果を統合して得られた評価値から前記評価対象ノードの通信状況を評価する計測結果判定手段、
として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7記載のプログラムを記録するコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−141384(P2010−141384A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312961(P2008−312961)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成20年度、九州総合通信局、高信頼型マルチホップ無線通信基盤技術の研究開発に係る委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願)
【出願人】(505164645)株式会社ネットワーク応用技術研究所 (9)
【出願人】(504174135)国立大学法人九州工業大学 (489)
【出願人】(504145342)国立大学法人九州大学 (960)
【Fターム(参考)】