説明

ハイブリッド式作業機械の制御方法、及びサーボ制御システムの制御方法

【課題】 ハイブリッド式作業機械等において、急峻な負荷変動があった場合でも、エンジンの回転数の変動を抑制することのできる制御方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 ハイブリッド式作業機械において、エンジン11により駆動される発電機12により蓄電器19に充電を行ない、蓄電器19からの電力で電気負荷を駆動する。電気負荷要求に基づきエンジン11の出力を決定し、決定された出力に基づいてエンジン11の制御を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は作業機械に係り、特に蓄電器からの電力により電動機を駆動して油圧ポンプを駆動するハイブリッド式作業機械の制御方法及びサーボ制御システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械は油圧駆動のものが多い。油圧駆動式作業機械の一例として、例えば油圧ショベルがある。油圧ショベルでは、一般的に、ショベルの駆動、上部旋回体の旋回、及び下部走行体の走行を、油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ)を用いて行っている。油圧アクチュエータに供給する油圧は、エンジンを駆動源とする油圧ポンプにより発生することが多い。この場合、油圧アクチュエータの出力はエンジンの出力によって決まる。
【0003】
油圧ショベルの作業は、エンジンの能力に対して常に100%の能力を必要とする作業ばかりではなく、例えば、90%、80%の能力を出せば済むような作業が多い。そこで、油圧ショベルの動作モードを作業負荷によって変えることにより、異なる作業負荷の各々において最適なエンジン出力制御を行ない、エンジンを効率的に駆動して燃費を向上することが行なわれている。
【0004】
例えば、エンジンの最大出力に相当する負荷作業を行う「高負荷モード」と、通常の負荷作業を行う「通常負荷モード」と、軽負荷作業を行う「低負荷モード」というように異なる作業モードを設定可能にする。そして、各作業モードにおいて、油圧アクチュエータを駆動するために油圧ポンプが必要とする駆動トルクがエンジンの出力トルクに等しくなるように等馬力制御を行い、エンジンの出力を有効に活用して燃費の向上を図る。
【0005】
一般的に、油圧ショベルには、「高負荷モード」における出力に等しい最大出力を有するエンジンが搭載される。しかし、「高負荷モード」での運転は「通常負荷モード」での運転よりはるかに少ない。このため、油圧ショベルを「通常負荷モード」で運転しているときには、エンジンの出力には余裕がある。言い換えれば、「通常負荷モード」での運転に対して余分な出力を有する大きなエンジンが搭載されていることとなる。
【0006】
近年、上述の油圧ショベルを含む油圧駆動式作業機械においてエンジンを小型化して燃料消費量を低減させるという要望がある。単純にエンジンを小型化すれば、「高負荷モード」での運転時に十分な油圧出力を得ることができない。そこで、エンジンと、エンジンにより駆動する発電機と、発電機により充電されるバッテリと、バッテリの電力により駆動する電動機とを備えたいわゆるハイブリッド式作業機械が開発されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−103112号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ハイブリッド式作業機械では、作業用の動力(すなわち油圧ポンプを駆動する動力)を主にエンジンから得ている。通常、エンジンは常に一定の回転数を維持するように速度制御される。すなわち、エンジンは、負荷状態に関係なく、計測されたエンジンの回転速度が目標速度(一定の速度)となるように、エンジンへの燃料噴射量が制御される。
【0009】
一方、アシストモータ(電動機)はエンジンの出力が足りないときにエンジンをアシストするようにトルク制御される。すなわち、負荷状態及びバッテリの充電率(SOC)に応じて、アシストモータのアシスト量及び発電量が決定される。そして、計測されたアシストモータの速度に基づいて、目標のアシスト量又は発電量となるように、アシストモータのトルク指令値が決定される。なお、アシストモータはエンジンに機械的に結合しているので、アシストモータの回転数はエンジンの回転数により決まる。
【0010】
上述のような構成のハイブリッド式作業機械において、急峻な負荷変動(油圧負荷要求の急激な変化)があった場合、一時的にエンジンの回転数が変動することがある。すなわち、エンジンの定回転数制御が負荷変動に追従できずに、エンジンの回転数が一時的に変動してしまう。
【0011】
例えば、油圧負荷が急激に増大すると、一時的にエンジンの回転数が目標回転数(一定回転数)より低くなる。このような場合、油圧ポンプの出力が低下し、油圧アクチュエータに供給する油量が減少するので、操作者が意図したようなスピードや力で作業ができなくなる。これにより、操作者には操作感が悪くなったという印象を与えてしまう。
【0012】
また、エンジンの回転数が一時的に低下した状態から早く定回転状態に復帰するように燃料噴射量を急激に増大するような制御が行なわれるため、エンジンの燃焼条件が悪化し、エンジンから黒煙が発生したり、燃費が悪化するおそれもある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述の目的を達成するために、本発明によれば、エンジンにより駆動される発電機により蓄電器に充電を行ない、前記蓄電器からの電力で電気負荷を駆動するハイブリッド式作業機械の制御方法であって、電気負荷要求に基づき前記エンジンの出力を決定し、前記決定された出力に基づいてエンジンの制御を行なうことを特徴とするハイブリッド式作業機械の制御方法が提供される。
【0014】
上述のハイブリッド式作業機械の制御方法において、エンジンの回転数の変化を、発電機の速度制御により一定に維持することが好ましい。また、前記電気負荷要求の増大に従って前記エンジンの出力を増加させ、前記電気負荷要求の減少に従って前記エンジンの出力を低下させることが好ましい。さらに、前記電気負荷要求の変化に従った前記エンジンの回転数の変化前に、前記エンジンの出力を変化させることとしてもよい。
【0015】
また、上述のハイブリッド式作業機械の制御方法において、前記電気負荷要求は電動負荷の力行運転の要求であり、前記発電機を運転することで前記電気負荷要求に応じた電力を発電することが好ましい。あるいは、前記電気負荷要求は電動負荷の回生運転の要求であり、電動機を運転することで前記電気負荷要求に応じた回生電力を消費することとしてもよい。
【0016】
また、本発明によれば、エンジンにより駆動される発電機により蓄電器に充電を行ない、前記蓄電器からの電力で電気負荷を駆動するハイブリッド式作業機械の制御方法であって、前記エンジンの出力変化にともなう前記エンジンの回転数の変化を、発電機の速度制御により一定に維持することを特徴をするハイブリッド式作業機械の制御方法が提供される。
【0017】
さらに、本発明によれば、エンジンにより駆動される発電機により蓄電器に充電を行ない、前記蓄電器からの電力で電気負荷を駆動するサーボ制御システムの制御方法であって、前記エンジンの出力変化にともなう前記エンジンの回転数の変化を、前記発電機の速度制御により一定に維持することを特徴とするサーボ制御システムの制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、エンジンへの負荷が急激に変動した場合でも、エンジンの出力を先に変化させてから電動機又は発電機により速度制御を行なうので、エンジン回転数の大きな変動が無く、エンジンの燃焼条件を良好な状態に維持することができ、操作性の悪化を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】ハイブリッド式油圧ショベルの側面図である。
【図2】図1に示すハイブリッド式油圧ショベルの駆動系の構成を表すブロック図である。
【図3】蓄電系の構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示すハイブリッド式油圧ショベルの動力系をモデル化して示す図である。
【図5】図1に示すハイブリッド式油圧ショベルの制御系の一例を示すブロック図である。
【図6】キャパシタの充電率(SOC)が低く、キャパシタからの電力を供給できない状態で、旋回用電動機を動作(加速)させた場合の、エンジンと電動発電機の駆動制御のフローチャートである。
【図7】図6に示す駆動制御における電気負荷の時間的変化と電動発電機の発電量の時間的変化を示すグラフである。
【図8】図6に示す駆動制御におけるエンジンの回転数の時間的変化と出力(エンジントルク)の時間的変化とを示すグラフである。
【図9】本発明の一実施形態による制御方法を行なうように構成されたハイブリッド式油圧ショベルの制御系を示すブロック図である。
【図10】キャパシタの充電率(SOC)が低く、キャパシタからの電力を供給できない状態で、旋回用電動機を動作(加速)させた場合の、本発明の一実施形態によるエンジンと電動発電機の駆動制御のフローチャートである。
【図11】図10に示す駆動制御における電気負荷の時間的変化と電動発電機の発電量の時間的変化を示すグラフである。
【図12】図10に示す駆動制御におけるエンジンの回転数の時間的変化とエンジン出力(エンジントルク)の時間的変化を示すグラフである。
【図13】キャパシタの充電率(SOC)が高く、キャパシタに充電できない状態で、旋回用電動機を回生運転(減速)させた場合の、エンジンと電動発電機の駆動制御のフローチャートである。
【図14】図13に示す駆動制御における電気負荷の回生電力の時間的変化と電動発電機のアシスト量の時間的変化を示すグラフである。
【図15】図13に示す駆動制御におけるエンジンの回転数の時間的変化と出力(エンジントルク)の時間的変化とを示すグラフである。
【図16】図9に示す制御系において、キャパシタの充電率(SOC)が高く、キャパシタからの電力を供給できない状態で、旋回用電動機を回生運転(減速)させた場合の、本発明の一実施形態によるエンジンと電動発電機の駆動制御のフローチャートである。
【図17】図16に示す駆動制御における電気負荷の回生電力の時間的変化と電動発電機のアシスト量の時間的変化を示すグラフである。
【図18】図16に示す駆動制御におけるエンジンの回転数の時間的変化とエンジン出力(エンジントルク)の時間的変化を示すグラフである。
【図19】本発明が適用可能なシリーズ方式のハイブリッド式作業機械であるシリーズ方式のハイブリッド式油圧ショベルの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明が適用されるハイブリッド式作業機械としては、バッテリからの電力により駆動する電動発電機でエンジンをアシストしながら油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプで発生した油圧で作業を行なう油圧式作業機械であればどのような作業機械であってもよい。そのようなハイブリッド式作業機械として、例えば、パワーショベル、リフティングマグネット、クレーン、ホイルローダなどが挙げられる。
【0021】
まず、本発明が適用されるハイブリッド式作業機械の一例としてハイブリッド式油圧ショベルについて説明する。
【0022】
図1はハイブリッド式油圧ショベルの側面図である。ハイブリッド式油圧ショベルの下部走行体1には、旋回機構2を介して上部旋回体3が搭載されている。上部旋回体3からブーム4が延在し、ブーム4の先端にアーム5が接続される。さらに、アーム5の先端にバケット6が接続される。ブーム4、アーム5及びバケット6は、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9によりそれぞれ油圧駆動される。また、上部旋回体3には、キャビン10及び動力源(図示せず)が搭載される。
【0023】
図2は、図1に示すハイブリッド式油圧ショベルの駆動系の構成を表すブロック図である。図2において、機械的動力系は二重線、高圧油圧ラインは実線、パイロットラインは破線、電気駆動・制御系は一点鎖線でそれぞれ示されている。
【0024】
機械式駆動部としてのエンジン11と、アシスト駆動部としての電動発電機12は、ともに増力機としての減速機13の入力軸に接続されている。減速機13の出力軸には、メインポンプ14及びパイロットポンプ15が接続されている。メインポンプ14には、高圧油圧ライン16を介してコントロールバルブ17が接続されている。ここで、減速機を用いず、エンジン11と電動発電機12とを直接接続するようにしてもよい。
【0025】
コントロールバルブ17は、油圧系の制御を行う制御装置である。コントロールバルブ17には、下部走行体1用の油圧モータ1A(右用)及び1B(左用)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9が高圧油圧ラインを介して接続される。
【0026】
電動発電機12には、インバータ18を介して蓄電器を含む蓄電系120が接続されている。蓄電系120には、インバータ20を介して旋回用電動機21が接続されている。旋回用電動機21はハイブリッド式油圧ショベルにおける電気負荷である。旋回用電動機21の回転軸21Aには、レゾルバ22、メカニカルブレーキ23、及び旋回減速機24が接続される。パイロットポンプ15には、パイロットライン25を介して操作装置26が接続される。操作装置26には、油圧ライン27及び28を介して、コントロールバルブ17及びレバー操作検出部としての圧力センサ29がそれぞれ接続される。圧力センサ29は、電気系の駆動制御を行うコントローラ30に接続されている。
【0027】
以上の構成を有するハイブリッド式油圧ショベルは、エンジン11、電動発電機12、及び旋回用電動機21を動力源とするハイブリッド式建設機械である。これらの動力源は、図1に示す上部旋回体3に搭載される。以下、各部について説明する。
【0028】
エンジン11は、例えば、ディーゼルエンジンで構成される内燃機関であり、その出力軸は減速機13の一方の入力軸に接続される。エンジン11は、建設機械の運転中は常時運転される。
【0029】
電動発電機12は、力行運転及び発電運転の双方が可能な電動機であればよい。すなわち、電動発電機12は発電機兼電動機である。ここでは、電動発電機12として、インバータ18によって駆動される電動発電機を示す。この電動発電機12は、例えば、磁石がロータ内部に埋め込まれたIPM(Interior Permanent Magnetic)モータで構成することができる。電動発電機12の回転軸は減速機13の他方の入力軸に接続される。なお、本実施形態では力行運転及び発電運転の双方が可能な電動発電機12を用いているが、力行運転を行なう電動機と発電運転を行なう発電機とを減速機を介してエンジン11に接続することとしてもよい。
【0030】
減速機13は、2つの入力軸と1つの出力軸を有する。2つの入力軸には、エンジン11の駆動軸と電動発電機12の駆動軸がそれぞれ接続される。また、出力軸にはメインポンプ14の駆動軸が接続される。電動発電機12の力行運転と発電運転の切り替えは、コントローラ30により、エンジン11の負荷等に応じて行われる。
【0031】
メインポンプ14は、コントロールバルブ17に供給するための油圧を発生する油圧ポンプである。メインポンプ14で発生した油圧は、コントロールバルブ17を介して油圧負荷である油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々を駆動するために供給される。パイロットポンプ15は、油圧操作系に必要なパイロット圧を発生するポンプである。
【0032】
コントロールバルブ17は、高圧油圧ラインを介して接続される下部走行体1用の油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9の各々に供給する油圧を運転者の操作入力に応じて制御することにより、これらを油圧駆動制御する油圧制御装置である。
【0033】
インバータ18は、上述の如く電動発電機12と蓄電系120との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、電動発電機12の運転制御を行う。これにより、インバータ18が電動発電機12の力行を運転制御している際には、必要な電力を蓄電系120から電動発電機12に供給する。また、電動発電機12の発電運転を制御している際には、電動発電機12により発電された電力を蓄電系120に供給する。
【0034】
蓄電器を含む蓄電系120は、インバータ18とインバータ20との間に配設されている。これにより、電動発電機12と旋回用電動機21の少なくともどちらか一方が力行運転を行っている際には、力行運転に必要な電力を供給するとともに、また、少なくともどちらか一方が発電運転又は回生運転を行っている際には、発電運転又は回生運転によって発生した電力を電気エネルギとして蓄積するための電源である。
【0035】
図3は蓄電系120のブロック図である。蓄電系120は、変動電圧蓄電部としてバッテリ19を有している。本実施形態ではバッテリ19としてキャパシタ(電気二重層コンデンサ)を用いることとするが、キャパシタに限定されず、繰り返し充放電可能な電池であればどのような電池であってもよい。バッテリ19は、昇降圧用コンバータ58を介して一定電圧蓄電部であるDCバス110に接続されている。インバータ18,20はDCバス11に接続される。
【0036】
インバータ20は、上述の如く旋回用電動機21とバッテリ19との間に設けられ、コントローラ30からの指令に基づき、旋回用電動機21に対して運転制御を行う。これにより、旋回用電動機21が力行運転している際には、必要な電力が蓄電系120から旋回用電動機21に供給される。また、旋回用電動機21が回生運転をしている際には、旋回用電動機21により発電された電力が蓄電系120に供給されてバッテリ19が充電される。ここで、図2では電動機を旋回用電動機21として使用しているが、旋回用以外にも使用することが可能であり、さらに、蓄電系120に複数の電動機を接続して制御することも可能である。
【0037】
旋回用電動機21は、力行運転及び回生運転の双方が可能な電動機であればよく、上部旋回体3の旋回機構2を駆動するために設けられている。力行運転の際には、旋回用電動機21の回転駆動力の回転力が減速機24にて増幅され、上部旋回体3は加減速制御されながら回転運動を行う。また、上部旋回体3の慣性回転により、減速機24にて回転数が増大されて旋回用電動機21に伝達され、回生電力を発生させることができる。ここでは、旋回用電動機21として、PWM(Pulse Width Modulation)制御信号によりインバータ20によって交流駆動される電動機を示す。この旋回用電動機21は、例えば、磁石埋込型のIPMモータで構成することができる。
【0038】
操作装置26は、ハイブリッド式油圧ショベルの運転者が、旋回用電動機21、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6を操作するための入力装置であり、レバー26A及び26Bとペダル26Cを含む。レバー26Aは、旋回用電動機21及びアーム5を操作するためのレバーであり、上部旋回体3の運転席近傍に設けられる。レバー26Bは、ブーム4及びバケット6を操作するためのレバーであり、運転席近傍に設けられる。また、ペダル26Cは、下部走行体1を操作するための一対のペダルであり、運転席の足下に設けられる。
【0039】
操作装置26は、パイロットライン25を通じて供給される油圧(1次側の油圧)を運転者の操作量に応じた油圧(2次側の油圧)に変換して出力する。操作装置26から出力される2次側の油圧は、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17に供給されるとともに、圧力センサ29によって検出される。
【0040】
レバー26A及び26Bとペダル26Cの各々が操作されると、油圧ライン27を通じてコントロールバルブ17が駆動され、これにより、油圧モータ1A、1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9内の油圧が制御されることによって、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6が駆動される。
【0041】
なお、油圧ライン27は、油圧モータ1A及び1Bを操作するために2本ずつ(すなわち合計4本)、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9をそれぞれ操作するために2本ずつ(すなわち合計6本)設けられるため、実際には全部で8本あるが、説明の便宜上、1本にまとめて表す。
【0042】
レバー操作検出部としての圧力センサ29では、レバー26Aの旋回操作による、油圧ライン28内の油圧の変化が圧力センサ29で検出される。圧力センサ29は、油圧ライン28内の油圧を表す電気信号を出力する。この電気信号は、コントローラ30に入力される。これにより、レバー26Aの旋回操作量を的確に把握することができる。また、本実施の形態では、レバー操作検出部として圧力センサを用いたが、レバー26Aの旋回操作量をそのまま電気信号で読み取るセンサを用いてもよい。
【0043】
コントローラ30は、ハイブリッド式油圧ショベルの駆動制御を行う制御装置である。コントローラ30はエンジン運転時の目標回転数の設定や、回転数を維持するための燃料噴射量の制御を行う。また、コントローラ30は圧力センサ29,インバータ18,20及びレゾルバ28等からの信号に基づいて旋回用電動機21、電動発電機12及びメインポンプ14の出力制御を行なう。
【0044】
次に、上述のハイブリッド式油圧ショベルの駆動制御について説明する。
【0045】
図4は上述のハイブリッド式油圧ショベルの動力系をモデル化して示す図である。図4のモデル図において、油圧負荷54は油圧により駆動される構成部品に相当し、上述のブームシリンダ7、アームシリンダ8、パケットシリンダ9、油圧モータ1A,1Bを含む。油圧負荷54には、油圧ポンプであるメインポンプ14で発生した油圧が供給される。エンジン11は油圧ポンプであるメインポンプ14に動力を供給して駆動する。すなわち、エンジン11が発生した動力はメインポンプ14により油圧に変換されて油圧負荷54に供給される。
【0046】
電気負荷56は電動モータや電動アクチュエータ等のように電力で駆動される構成部品に相当し、上述の旋回用電動機21を含む。電気負荷56にはバッテリ19からコンバータ58を介して電力が供給され駆動される。電気負荷56が駆動されている場合を力行運転と称する。電気負荷56は、例えば電動機兼発電機のように回生電力を発生することができるもので、発生した回生電力は蓄電系120のDCバス110に供給され、コンバータ58を介してバッテリ19に蓄積される。
蓄電系120のバッテリ19は、上述のように電気負荷56からの回生電力により充電される。また、電動発電機12がエンジン11からの動力を受けて発電機として機能した場合、電動発電機12が発生した電力を蓄電系120のバッテリ19に供給して充電することもできる。本実施形態ではバッテリ19としてキャパシタ(電気二重層コンデンサ)を用いることとする。
【0047】
まず、電動発電機のトルク制御を行なってエンジンをアシストする制御系に関して、図5を参照しながら説明する。図5は上述のハイブリッド式油圧ショベルの制御系の一例を示すブロック図である。図5において、図2及び図3に示す構成部品と同じ部品には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0048】
図5に示す制御系には、エンジン11の回転速度を検出する速度センサ60と、電動発電機12の電流を検出する電流センサ62と、キャパシタ19の端子間電圧を検出する電圧センサ64とが設けられている。また、油圧ポンプであるメインポンプ14には、吐出圧力を検出する圧力センサ66、吐出流量を検出する流量センサ68、及び斜板の位置を検出する斜板位置センサ70が設けられている。また、ハイブリッド式油圧ショベルの運転室には操作レバー群72が設けられており、操作者が操作レバー群72を操作すると各レバーの操作量を表す信号が出力される。
【0049】
速度センサ60の速度検出値は制御部であるコントローラ30の速度制御部30aに供給される。速度制御部30aは供給された速度検出値に基づいてエンジン11の回転速度が一定の目標回転数に維持されるように制御する。
【0050】
電流センサ62の電流検出値はコントローラ30のトルク制御部30bに供給される。トルク制御部30bは後述のアシスト/発電量決定部30cからの情報に基づいて、電動発電機12の駆動を制御する指令をインバータ18に出力する。
【0051】
電圧センサ64の電圧検出値はコントローラ30の充電率(SOC)算出部30dに供給される。充電率(SOC)算出部30dは、電圧センサ64から供給された電圧検出値に基づいて、キャパシタ19の充電率(SOC)を算出し、算出した充電率をアシスト/発電量決定部30cに供給する。
【0052】
メインポンプ14に設けられた圧力センサ66、流量センサ68、及び斜板位置センサ70の検出値は、コントローラ30の油圧負荷要求出力算出部30eに供給される。油圧負荷要求出力算出部30eは、圧力センサ66、流量センサ68、及び斜板位置センサ70の検出値と、操作レバー群72からの操作量を表す信号とに基づいて、油圧負荷要求出力を算出し、算出した油圧負荷要求出力をアシスト/発電量決定部30cに供給する。
【0053】
操作レバー群72からの操作量を表す信号は、コントローラ30の速度制御部30fにも供給される。速度制御部30fは、操作量を表す信号のうち特に電気負荷に関する操作量を表す信号に基づいて、電気負荷を駆動するための指令を生成する。具体的には、電気負荷として旋回用電動機21を駆動するための指令を生成し、生成した指令をインバータ20に出力する。また、速度制御部30fは、電気負荷を駆動するための指令を電気負荷要求出力算出部30gに供給する。
【0054】
電気負荷要求出力算出部30gは、電気負荷を駆動するための指令と、操作レバー群72からの操作量を表す信号のうち特に電気負荷に関する操作量とに基づいて、電気負荷要求出力を算出し、算出した電気負荷要求出力をアシスト/発電量決定部30cに供給する。
【0055】
アシスト/発電量決定部30cは、充電率(SOC)算出部30dからの充電率と、油圧負荷要求出力算出部30eからの油圧負荷要求出力と、電気負荷要求出力算出部30gからの電気負荷要求出力とに基づいて、電動発電機12のアシスト量又は発電量を決定し、決定したアシスト量又は発電量をトルク制御部30bに供給する。
【0056】
上述のように、トルク制御部30bは、電流センサ62からの電流検出値とアシスト/発電量決定部30cからのアシスト量又は発電量とに基づいて、電動発電機12の駆動を制御する指令をインバータ18に供給する。したがって、電動発電機12の駆動(アシスト又は発電)は、キャパシタ19の充電率(SOC)と、油圧負荷要求出力と、電気負荷要求出力とに基づいて制御される。
【0057】
次に、図5に示す制御系によるエンジン11と電動発電機12の駆動制御の例について説明する。
【0058】
図6はキャパシタ19の充電率(SOC)が低く、キャパシタからの電力を供給できない状態で、旋回用電動機21を動作(加速)させた場合の、エンジン11と電動発電機12の駆動制御のフローチャートである。
【0059】
まず、ステップS1において、上部旋回部3の旋回を加速させるために電気負荷要求出力が増加したことが検出される。すなわち、アシスト/発電量決定部30cは、電気負荷要求出力算出部30gから供給される電気負荷要求出力が増加したことを検出し、且つ充電率(SCO)算出部から供給される充電率が目標充電率より低いことを検出する。充電率が目標充電率より低い場合は、電動発電機12を発電運転して蓄電系120を充電するように制御を行い、蓄電系120から旋回用電動機21へ電力の供給を行う。
【0060】
そこで、ステップS2において、トルク制御部30bは、電動発電機12を発電運転する指令をインバータ18に出力する。このとき、電気負荷(旋回用電動機21)へ供給する電力は増大しており、それによって、蓄電系120に充電する電力が必要となるので、電動発電機12は大きな電力を発電しなければならない。
【0061】
ステップS3において、インバータ18の制御により電動発電機12が発電運転を開始すると、電動発電機12の発電運転によるエンジン11への負荷が急激に増大する。エンジン11は一定の回転数を維持するように制御されているが、電動発電機12による負荷が急激に増大するのでこれに追従できず、エンジン11の回転数は一時的に目標回転数から大きく低下する。
【0062】
エンジン11の回転数が低下すると、ステップS4においてエンジンの定回転数制御が行なわれ、エンジンの出力を増大して回転数が一定の目標回転数まで上がるように制御が行なわれる。このステップS1からステップS4の制御は、コントローラ30の制御周期毎に繰り返し実効される。
【0063】
図7は、以上の制御における電気負荷の時間的変化と電動発電機12の発電量の時間的変化を示すグラフである。また、図8は、以上の制御におけるエンジンの回転数の時間的変化と出力(エンジントルク)の時間的変化とを示すグラフである。
【0064】
ステップS1において旋回用電動機21を加速するために、図7の上側の線で示すように最初に電気負荷が急激に増大してから一定の値に落ち着く。このとき、電動発電機12は電気負荷の増大に答えるべくステップS2において発電運転を行なうため、図7の下側の線で示すように電気負荷の変化にほぼ対応して発電量が変化する。すなわち、電動発電機12が発電して、キャパシタ19に電力を供給し、上部旋回部3を旋回させながらキャパシタ19を充電する。
【0065】
ステップS2において電動発電機12の発電量が急激に増大するとエンジン11への負荷が急激に増大し、ステップS3においてエンジン11の回転数が急激に低下する。図8の上側の線がエンジン11の回転数の時間的変化を示しており、電動発電機12による発電量の増大に対応して回転数が急激に低下することがわかる。
【0066】
エンジン11の回転数が低下すると定回転制御機能が働き、ステップS4において燃料噴射量が増加され、図8の下側の線で示すようにエンジン出力が増大する。このステップS1からステップS4の制御を繰り返すことで、やがて、図8の上側の線で示すようにエンジン11の回転数は減少から増加に転じ、目標回転数まで増加する。回転数が目標回転数まで達するとそれを維持するように燃料噴射量が制御されるが、目標回転数より僅かに高くなってから減少し、増減を繰り返しながら目標回転数に収束する。
【0067】
エンジン11の回転数が最も低下したときの値と最も高くなったときの値との差分ΔR1(図8参照)は、比較的大きな値となる。すなわち、電動発電機12の発電量は電気的制御で急激に増大するためエンジン11への負荷も急激に増大するのに対し、エンジン11の出力を増大するために燃料噴射量を増加してから実際にエンジン11の出力が増大するまでに有る程度時間が必要である。このため、エンジン11の回転数が低下し始めた時点から、エンジン11の出力が増大し始めて回転数を増大させるようになるまでにある程度の時間的遅れがあり、この時間的遅れの間に回転数は大きく低下してしまう。これにより回転数の低下(差分ΔR1)は比較的大きな値となってしまう。
【0068】
このとき、エンジン11の回転数が大きく低下した状態から燃料噴射量を急激に増加して出力を急激に増大させようと制御するため、エンジン11での燃焼効率が悪化し、エンジン11から黒煙が発生したり、燃料消費率が悪化するおそれがある。
【0069】
そこで、本発明の一実施形態では、このような問題を解消するために、電動発電機12による発電を行なうより前に、まずエンジン11のトルクを上昇させることで、エンジン11の回転数の大きな低下を抑制し、上述の問題を解消する。
【0070】
ここで、本発明の一実施形態による制御方法を行なうための制御系について、図9を参照しながら説明する。図9は本発明の一実施形態による制御方法を行なうように構成されたハイブリッド式油圧ショベルの制御系を示すブロック図である。図9において、図2、図3及び図5に示す構成部品と同じ部品には同じ符号を付し、その説明は適宜省略する。
【0071】
図9に示す制御系には、エンジン11の回転速度を検出する速度センサ60と、キャパシタ19の端子間電圧を検出する電圧センサ64とが設けられる。また、油圧ポンプであるメインポンプ14には、吐出圧力を検出する圧力センサ66、吐出流量を検出する流量センサ68、及び斜板の位置を検出する斜板位置センサ70が設けられる。また、ハイブリッド式油圧ショベルの運転室には操作レバー群72が設けられており、操作者が操作レバー群72を操作すると各操作レバーの操作量を表す信号が出力される。
【0072】
速度センサ60の速度検出値は制御部であるコントローラ30の速度制御部30aに供給される。速度制御部30aは供給された速度検出値に基づいてエンジン11の回転数が一定の目標回転数に維持されるように制御する。
【0073】
電圧センサ64の電圧検出値はコントローラ30の充電率(SOC)算出部30dに供給される。充電率(SOC)算出部30dは、電圧センサ64から供給された電圧検出値に基づいて、キャパシタ19の充電率(SOC)を算出し、算出した充電率をトルク指令決定部30hに供給する。
【0074】
メインポンプ14に設けられた圧力センサ66、流量センサ68、及び斜板位置センサ70の検出値は、コントローラ30の油圧負荷要求出力算出部30eに供給される。油圧負荷要求出力算出部30eは、圧力センサ66、流量センサ68、及び斜板位置センサ70の検出値と、操作レバー群72からの操作量を表す信号とに基づいて、油圧負荷要求出力を算出し、算出した油圧負荷要求出力をトルク指令決定部30hに供給する。
【0075】
操作レバー群72からの操作量を表す信号は、コントローラ30の速度制御部30fにも供給される。速度制御部30fは、操作量を表す信号のうち特に電気負荷に関する操作量を表す信号に基づいて、電気負荷を駆動するための指令を生成する。具体的には、電気負荷として旋回用電動機21を駆動するための指令を生成し、生成した指令をインバータ20に出力する。また、速度制御部30fは、電気負荷を駆動するための指令を電気負荷要求出力算出部30gに供給する。
【0076】
電気負荷要求出力算出部30gは、電気負荷を駆動するための指令と、操作レバー群27からの操作量を表す信号のうち特に電気負荷に関する操作量とに基づいて、電気負荷要求出力を算出し、算出した電気負荷要求出力をトルク指令決定部30hに供給する。
【0077】
トルク指令決定部30hは、充電率(SOC)算出部30dからの充電率と、油圧負荷要求出力算出部30eからの油圧負荷要求出力と、電気負荷要求出力算出部30gからの電気負荷要求出力とに基づいて、エンジン11のトルク制御を行なうための指令を決定し、決定したトルク制御指令をトルク制御部30iに出力する。そして、トルク制御部30iはトルク制御指令から燃料噴射量制御を行なうための指令を生成し、エンジン11に出力する。
【0078】
上述のように、速度制御部30aは、エンジン11の速度検出値のみに基づいて電動発電機12の出力を制御する。一方、トルク制御部30iは、トルク指令決定部30hで決定したトルク制御指令に基づいてエンジン11のトルク制御を行なう。本実施形態では、充電率と油圧負荷要求出力と電気負荷要求出力とから決定されるものは、エンジン11のトルク制御に用いられる燃料噴射量であり、電動発電機12の駆動を制御するためのアシスト量又は発電量では無い。
【0079】
ここで、上述の実施形態による制御系によるエンジン11と電動発電機12の駆動制御の例について説明する
図10は、図6に示す駆動制御処理と同様に、キャパシタ19の充電率(SOC)が低く、キャパシタからの電力を供給できない状態で、旋回用電動機21を動作(加速)させた場合の、エンジン11と電動発電機12の駆動制御のフローチャートである。
【0080】
まず、ステップS11において、上部旋回部3を加速させるために電気負荷要求出力が増加したことが検出される。すなわち、トルク指令決定部30hは、電気負荷要求出力算出部30gから供給される電気負荷要求出力が増加したことを検出し、且つ充電率(SCO)算出部30dから供給される充電率が目標充電率より低いことを検出する。充電率が目標充電率より低い場合は、キャパシタ19からの電力の供給は行なわず、電動発電機12を発電運転してキャパシタ19を充電するように制御する。
【0081】
そこで、ステップS12において、トルク制御部30iは、エンジン11の回転数を増大させるための指令をエンジン11に供給する。具体的には、トルク制御部30iは、燃料噴射量を増加してエンジンの出力(トルク)を増大させるための指令をエンジン11に出力する。このとき、電動発電機12には発電の指令は出されていない。
【0082】
したがって、燃料噴射量が増えてエンジン11の出力が増大し、ステップS13においてエンジン11の回転数が上昇する。このように、本実施形態では、電動発電機12での発電を開始する前にエンジン11の出力の増大を開始するため、電動発電機12で発電を行なう前にエンジン11の回転数が増大する。
【0083】
エンジン11の回転数が上昇するとエンジンに直結されている電動発電機12の回転数も上昇する。電動発電機12は一定の回転速度に維持されるように定回転速度制御が行なわれているので、速度センサ60からの速度検出値が増大すると、ステップS14において、速度制御部30aは、発電指令をインバータ18に出力し、インバータ18は電動発電機12を発電運転させる。これにより、電気負荷である旋回用電動機21に電力が供給されて上部旋回部3が旋回し、且つキャパシタ19の充電が行なわれる。このステップS11からS14の制御は、コントローラ30の制御周期毎に繰り返し実効される。
【0084】
電動発電機12が発電運転を行なうと、エンジン11に負荷がかかり、エンジン11の回転数は低下し、目標回転数で一定に維持される。
【0085】
図11は、以上の制御における電気負荷の時間的変化と電動発電機12の発電量の時間的変化を示すグラフである。また、図12は、以上の制御におけるエンジン11の回転数の時間的変化とエンジン出力(エンジントルク)の時間的変化を示すグラフである。
【0086】
ステップS11において旋回用電動機21を加速させようとすると、図11の上側の線で示すように最初に電気負荷が急激に増大してから一定の値に落ち着く。このとき、電動発電機12で電気負荷の増大に答えるべく発電を行なうために、まずステップS12において、負荷要求に基づきエンジン11の出力(トルク)を決定し算出し、エンジン11の出力を増大させる。したがって、図12の下側の線で示すようにエンジン11の出力が増大し、これに伴い図12の上側の線で示すようにエンジン11の回転数も上昇する。
【0087】
エンジン11の回転数が上昇すると、ステップS14において電動発電機12の発電運転が開始される。このステップS11からステップS14の制御を繰り返すことで、図11の下側の線で示すように電動発電機12の発電量は次第に増加する。その後、ステップS11からステップS14の制御を繰り返すと、目標回転数から離れたエンジン11の回転数は、電動発電機12の速度制御により次第に目標回転数に近づく。図12の上側の線においては、回転数が目標回転数まで達するとそれを維持するように電動発電機12が制御されるが、目標回転数より僅かに低くなってから増大し、増減を繰り返しながら目標回転数に収束する。
【0088】
エンジン11の回転数が最も低下したときの値と最も高くなったときの値との差分ΔR2(図12参照)は、比較的小さな値となる。すなわち、電動発電機12は電動機であるので応答性がよく、電動発電機12でエンジン回転数を制御したほうが回転数の変動を小さく抑えられる。図8に示すΔR1と図12に示すΔR2とでは、ΔR2のほうがはるかに小さいことがわかる。このように、エンジン11の出力を負荷要求から算出することで、エンジン11の回転数が低下する前に燃料噴射することができる。
【0089】
以上のように、エンジン11の回転数の変動幅(ΔR2)が小さいということは、燃料噴射量の増加率が小さいことであり、燃料噴射量の急激な増加が抑制されているということである。したがって、上述の例のように電気負荷要求出力が急激に増大した場合でも、エンジン11での燃焼効率の悪化を抑制することができ、エンジン11から黒煙が発生したり、燃料消費率が悪化することを防止することができる。
【0090】
さらに、電動発電機12により回転数制御を行うことで、エンジン11より応答性良く回転数を一定に維持することができる。これにより、回転数の変動を抑制でき、オペレータに安定した操作感を与えることができる。
【0091】
ここでは、効果が顕著に現れる事例として、充電率が低い状態、すなわち、電動発電機12がエンジン11をアシストすることができない状態を例にとって説明したが、通常の動作時においても、エンジン11の出力を負荷要求から算出し、エンジン11の回転数が低下する前に燃料噴射させること、さらには、電動発電機12によって回転数制御させることで、エンジン11の回転数の変動幅を抑えることができる。
【0092】
次に、上述の実施形態による制御系によるエンジン11と電動発電機12の駆動制御の他の例について説明する。キャパシタ19の充電率(SOC)が目標充電率より高く、キャパシタ19に充電を行えない状態で、旋回用電動機21を減速する場合の駆動制御について説明する。
【0093】
まず、比較の対象として、図5に示す制御系による駆動制御について説明する。図13は、キャパシタ19の充電率(SOC)が高く、キャパシタ19に充電できない状態で、旋回用電動機21を回生運転(減速)させた場合の、エンジン11と電動発電機12の駆動制御のフローチャートである。
【0094】
まず、ステップS21において、上部旋回部3の旋回を減速させるために電気負荷要求出力の回生(電動発電機12での発電要求)が増加したことが検出される。すなわち、アシスト/発電量決定部30cは、電気負荷要求出力算出部30gから供給される電気負荷要求出力の回生(電動発電機12での発電要求)が増加したことを検出し、且つ充電率(SCO)算出部から供給される充電率が目標充電率より高いことを検出する。充電率が目標充電率より高い場合は、キャパシタ19への充電は行なわい。
【0095】
そこで、ステップS22において、トルク制御部30bは、旋回用電動機21からの回生電力を油圧負荷の駆動で消費させるために、電動発電機12をアシスト運転(力行運転)する指令をインバータ18に出力する。
【0096】
このとき、電気負荷(旋回用電動機21)からの回生電力は急激に増大するが、キャパシタ19の充電に回生電力を用いることができないため、電動発電機12は大きな電力を消費しなければならない。
【0097】
ステップS23において、インバータ18の制御により電動発電機12がアシスト運転を開始すると、電動発電機12のアシスト量が急激に増大するため、エンジン11への負荷が急激に減少する。エンジン11は一定の回転数を維持するように制御されているが、電動発電機12による負荷が急激に減少するのでこれに追従できず、エンジン11の回転数は一時的に目標回転数から大きく上昇する。
【0098】
エンジン11の回転数が上昇すると、ステップS24においてエンジンの定回転数制御が行なわれ、エンジン11の出力を減少して回転数が一定の目標回転数まで下がるように制御が行なわれる。このステップS21からステップS24の制御は、コントローラの制御周期毎に繰り返し行われる。
【0099】
図14は、以上の制御における電気負荷の回生電力の時間的変化と電動発電機12のアシスト量の時間的変化を示すグラフである。また、図15は、以上の制御におけるエンジンの回転数の時間的変化と出力(エンジントルク)の時間的変化とを示すグラフである。
【0100】
ステップS21において旋回用電動機21が減速するために回生電力が発生し、図14の下側の線で示すように最初に電気負荷(回生電力)が急激に増大してから減少し再びゼロとなる。このとき、電動発電機12は回生電力を消費すべくステップS22においてアシスト運転を行なうため、図14の上側の線で示すように回生電力の変化にほぼ対応してアシスト量が変化する。すなわち、電動発電機12が回生電力により力行運転して、エンジン11をアシストする。
【0101】
ステップS22において電動発電機12のアシスト量が急激に増大するとエンジン11への負荷が急激に減少し、ステップS23においてエンジン11の回転数が急激に上昇する。図15の上側の線がエンジン11の回転数の時間的変化を示しており、電動発電機12によるアシスト量の増大に対応して回転数が急激に上昇することがわかる。
【0102】
エンジン11の回転数が上昇すると定回転制御機能が働き、ステップS24において燃料噴射量が減少され、図15の下側の線で示すようにエンジン出力が低下する。このステップS21からステップ24の制御を繰り返すことで、やがて、図15の上側の線で示すようにエンジン11の回転数は増大から減少に転じ、目標回転数まで減少する。回転数が目標回転数まで達するとそれを維持するように燃料噴射量が制御されるが、目標回転数より僅かに低くなってから増大し、増減を繰り返しながら目標回転数に収束する。
【0103】
エンジン11の回転数が最も高くなったときの値と最も低くなったときの値との差分ΔR3(図15参照)は、比較的大きな値となる。すなわち、電動発電機12のアシスト量は電気的制御で急激に増大するためエンジン11への負荷も急激に低下するのに対し、エンジン11の出力を減少するために燃料噴射量を減少してから実際にエンジン11の出力が減少するまでにある程度時間が必要である。このため、エンジン11の回転数が上昇し始めた時点から、エンジン11の出力が減少し始めて回転数を低下させるようになるまでにある程度の時間的遅れがあり、この時間的遅れの間に回転数は大きく上昇してしまう。これにより回転数の上昇(差分ΔR3)は比較的大きな値となってしまう。
【0104】
そこで、本発明の一実施形態では、このような問題を解消するために、電動発電機12のアシスト運転を行なうより前に、まずエンジン11のトルクを低下させることで、エンジン11の回転数の大きな上昇を抑制し、上述の問題を解消する。
【0105】
図16は、図9に示す制御系において、図13に示す駆動制御処理と同様に、キャパシタ19の充電率(SOC)が高く、キャパシタ19への電力を供給できない状態で、旋回用電動機21を回生運転(減速)させた場合の、エンジン11と電動発電機12の駆動制御のフローチャートである。
【0106】
まず、ステップS31において、上部旋回部3を減速させるために電気負荷要求出力(回生)が増加したことが検出される。すなわち、トルク指令決定部30hは、電気負荷要求出力算出部30gから供給される電気負荷要求出力(回生)が増加したことを検出し、且つ充電率(SCO)算出部30dから供給される充電率が目標充電率より高いことを検出する。充電率が目標充電率より高い場合は、キャパシタ19への充電は行なわず、電動発電機12をアシスト運転して回生電力を消費するように制御する。
【0107】
そこで、ステップS32において、トルク制御部30iは、エンジン11のトルクを低下させるための指令をエンジン11に供給する。具体的には、トルク制御部30iは、燃料噴射量を減少してエンジンの出力を低下させるための指令をエンジン11に出力する。このとき、電動発電機12にはアシスト運転の指令は出されていない。
【0108】
したがって、燃料噴射量が減少してエンジン11の出力が低下し、ステップS33においてエンジン11の回転数が低下する。このように、本実施形態では、電動発電機12でのアシスト運転を開始する前にエンジン11の出力の低下を開始するため、電動発電機12でアシスト運転を行なう前にエンジン11の回転数が低下する。
【0109】
エンジン11の回転数が低下するとエンジンに直結されている電動発電機12の回転数も低下する。電動発電機12は一定の回転速度に維持されるように定回転速度制御が行なわれているので、速度センサ60からの速度検出値が増大すると、ステップS34において、速度制御部30aは、アシスト運転指令をインバータ18に出力し、インバータ18は電動発電機12をアシスト運転させる。これにより、電気負荷である旋回用電動機21からの回生電力が電動発電機12に供給されて電動発電機12がアシスト運転(力行運転)し、回生電力が消費される。このステップS31からステップS34の制御は、コントローラ30の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0110】
電動発電機12がアシスト運転を行なうと、エンジン11の負荷が減少し、エンジン11の回転数は上昇し、目標回転数で一定に維持される。
【0111】
図17は、以上の制御における回生電力の時間的変化と電動発電機12の発電量の時間的変化を示すグラフである。また、図18は、以上の制御におけるエンジン11の回転数の時間的変化とエンジン出力(エンジントルク)の時間的変化を示すグラフである。
【0112】
ステップS31において旋回用電動機21を減速させると、図17の下側の線で示すように最初に電気負荷(回生)が急激に増大してから減少しゼロに戻る。このとき、電動発電機12で電気負荷(回生)の増大を吸収するためにアシスト運転を行なうために、まずステップS32においてエンジン11の出力を減少させる。したがって、図18の下側の線で示すようにエンジン11の出力が低下し、これに伴い図18の上側の線で示すようにエンジン11の回転数も低下する。
【0113】
エンジン11の回転数が低下すると、ステップS34において電動発電機12のアシスト運転が開始される。このステップS31からステップS34の制御を繰り返すことで、図17の下側の線で示すように電動発電機のアシスト量は次第に増加する。その後、このステップS31からステップS34の制御を繰り返すと、目標回転数から離れたエンジン11の回転数は、電動発電機12の速度制御により次第に目標回転数に近づく。図17の上側の線においては、回転数が目標回転数まで達するとそれを維持するように電動発電機12が制御されるが、目標回転数より僅かに高くなってから増大し、増減を繰り返しながら目標回転数に収束する。
【0114】
エンジン11の回転数が最も低下したときの値と最も高くなったときの値との差分ΔR4(図18参照)は、比較的小さな値となる。すなわち、電動発電機12は電動機であるので応答性がよく、電動発電機12がアシスト運転を開始したら直ちにエンジン11に対する負荷が減少する。このため、上低下していたエンジン11の回転数は直ちに上昇に転じ、目標回転数からの低下は小さく抑えられる。図15に示すΔR3と図18に示すΔR4とでは、ΔR4のほうがはるかに小さいことがわかる。
【0115】
以上のように、エンジン11の回転数の変動幅(ΔR4)が小さいということは、燃料噴射量が過大となることが抑制されているということである。
【0116】
なお、上述の実施形態ではパラレル方式のハイブリッド式作業機械を例にとって説明したが、本発明はいわゆるシリーズ方式のハイブリッド式作業機械に適用することもできる。
【0117】
図19は本発明が適用可能なシリーズ方式のハイブリッド式作業機械であるシリーズ方式のハイブリッド式油圧ショベルの構成を示すブロック図である。図19において、機械的動力系は二重線、油圧ラインは太い実線、電気駆動系は細い実線、電気制御系は点線でそれぞれ示されている。
【0118】
機械式駆動部211のエンジン212は、発電部213の発電機214を駆動する。発電機214により生成された電力は、発電部213のインバータ215を介して蓄電部216に供給される。蓄電部216に供給された電力は、コンバータ217により蓄電器であるバッテリ(図示せず)に供給される。これにより、バッテリが充電される。
【0119】
バッテリから電力供給を受けて駆動される電気負荷系220には、旋回用電動機221とポンプ駆動用電動機222と設けられている。旋回用電動機221は、旋回機構を駆動して上部旋回体を旋回させるためのモータである。旋回用電動機221には、バッテリからインバータ223を介して電力が供給される。
【0120】
ポンプ駆動用電動機222にも、インバータ224を介してバッテリから電力が供給される。ポンプ駆動用電動機222は、油圧負荷系225の油圧ポンプ226を駆動するためのモータである。
【0121】
油圧ポンプ226で発生した油圧は、コントロールバルブ227を介して、バケットシリンダ209、アームシリンダ208、ブームシリンダ207、走行(右)油圧モータ228、及び走行(左)油圧モータ229のそれぞれに供給される。バケットシリンダ209は、バケットを駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ208は、アームを駆動するための油圧シリンダである。ブームシリンダ207は、ブーム4駆動するための油圧シリンダである。走行(右)油圧モータ228は、下部走行体の右側のクローラを駆動するための油圧モータであり、走行(左)油圧モータ229は、下部走行体の左側のクローラを駆動するための油圧モータである。
【0122】
なお、バッテリとして電気二重層キャパシタのような蓄電器を用いているが、これに限られず他の充放電可能な蓄電器を用いてもよい。蓄電器は、端子間電圧から蓄電率SOCを容易に求めることができるという利点を有する。なお、バッテリの端子間電圧を検出するための電圧検出器(図示せず)がバッテリの端子に接続されている。
【0123】
コントローラ240は、インバータ215,223,224及びコンバータ(図示せず)を制御して、発電機214からバッテリへの供給電力(バッテリの充電量)及びバッテリから電気負荷系220への供給電力(バッテリの放電量)を制御する。また、コントローラ240は、電圧検出器230からの検出電圧に基づいてバッテリの蓄電率SOCを求め、求めた蓄電率SOCに基づいてバッテリの出力(充放電量)を制御する。
【0124】
なお、上述の実施形態はハイブリッド式作業機械を例にとって説明したが、本発明は、エンジンにより駆動される発電機により蓄電器に充電を行ない、蓄電器からの電力で電気負荷を駆動するサーボ制御システムの制御方法にも適用することができる。すなわち、上述の制御方法をサーボ制御システムに適用することで、エンジンの出力変化にともなうエンジンの回転数の変化を、発電機の速度制御により一定に維持することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 下部走行体
1A、1B 走行機構
2 旋回機構
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ
8 アームシリンダ
9 バケットシリンダ
10 キャビン
11 エンジン
12 電動発電機
13 減速機
14 メインポンプ
15 パイロットポンプ
16 高圧油圧ライン
17 コントロールバルブ
18 インバータ
19 バッテリ
20 インバータ
21 旋回用電動機
23 メカニカルブレーキ
24 旋回減速機
25 パイロットライン
26 操作装置
26A、26B レバー
26C ペダル
27 油圧ライン
28 油圧ライン
29 圧力センサ
30 コントローラ
30a 速度制御部
30b トルク制御部
30c アシスト/発電量決定部
30d 充電率(SOC)算出部
30e 油圧負荷要求出力算出部
30g 電気負荷要求出力算出部
30h トルク指令決定部
30i トルク制御部
54 油圧負荷
56 電気負荷
58 コンバータ
60 速度センサ
62 電流センサ
64 電圧センサ
66 圧力センサ
68 流量センサ
70 斜板位置センサ
72 操作レバー群
110 DCバス
120 蓄電系
211 機械式駆動部
212 エンジン
213 発電部
214 発電機
215,223,224 インバータ
216 蓄電部
219 DCバス
220 電気負荷系
221 旋回用電動機
222 ポンプ駆動用電動機
225 油圧負荷系
226 油圧ポンプ
227 コントロールバルブ
228 走行(右)油圧モータ
229 走行(左)油圧モータ
240 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンにより駆動される発電機により蓄電器に充電を行ない、前記蓄電器からの電力で電気負荷を駆動するハイブリッド式作業機械の制御方法であって、
電気負荷要求に基づき前記エンジンの出力を決定し、
前記決定された出力に基づいてエンジンの制御を行なう
ことを特徴とするハイブリッド式作業機械の制御方法。
【請求項2】
請求項1記載のハイブリッド式作業機械の制御方法であって、
エンジンの回転数の変化を、発電機の速度制御により一定に維持することを特徴とするハイブリッド式作業機械の制御方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載のハイブリッド式作業機械の制御方法であって、
前記電気負荷要求の増大に従って前記エンジンの出力を増加させ、前記電気負荷要求の減少に従って前記エンジンの出力を低下させることを特徴とするハイブリッド式作業機械の制御方法。
【請求項4】
請求項1又は2記載のハイブリッド式作業機械の制御方法であって、
前記電気負荷要求の変化に従った前記エンジンの回転数の変化前に、前記エンジンの出力を変化させることを特徴とするハイブリッド式作業機械の制御方法。
【請求項5】
請求項1記載のハイブリッド式作業機械の制御方法であって、
前記電気負荷要求は電動負荷の力行運転の要求であり、前記発電機を運転することで前記電気負荷要求に応じた電力を発電することを特徴とするハイブリッド式作業機械の制御方法。
【請求項6】
請求項1記載のハイブリッド式作業機械の制御方法であって、
前記電気負荷要求は電動負荷の回生運転の要求であり、電動機を運転することで前記電気負荷要求に応じた回生電力を消費することを特徴とするハイブリッド式作業機械の制御方法。
【請求項7】
エンジンにより駆動される発電機により蓄電器に充電を行ない、前記蓄電器からの電力で電気負荷を駆動するハイブリッド式作業機械の制御方法であって、
前記エンジンの出力変化にともなう前記エンジンの回転数の変化を、発電機の速度制御により一定に維持することを特徴をするハイブリッド式作業機械の制御方法。
【請求項8】
エンジンにより駆動される発電機により蓄電器に充電を行ない、前記蓄電器からの電力で電気負荷を駆動するサーボ制御システムの制御方法であって、
前記エンジンの出力変化にともなう前記エンジンの回転数の変化を、前記発電機の速度制御により一定に維持することを特徴とするサーボ制御システムの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−173599(P2010−173599A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−21433(P2009−21433)
【出願日】平成21年2月2日(2009.2.2)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】