説明

ハイブリッド車両用駆動装置

【課題】ケーシング内に複数の回転軸を有するハイブリッド車両用駆動装置において、各回転軸の支持精度を向上することができるハイブリッド車両用駆動装置を提供する。
【解決手段】複合ギヤ軸40と、動力伝達軸20と、カウンタ軸18と、デフギヤ24と、第1電動機MG1の第1ロータ軸16と、第2電動機MG2の第2ロータ軸22とが、共通のケース部材12bで支持されるので、各回転軸の支持精度が向上する。また、共通のケース部材12bで支持されるので、他の部材を介して支持されることもなくなるため、部品点数の増加や重量増加も防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両用駆動装置に係り、特に、各回転軸の支持精度向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
第1軸心上に配置されている、第1電動機のロータ軸、遊星歯車装置から成る動力分配機構、および動力分配機構の出力部材として機能する出力ギヤ軸と、第2軸心上に配置されているカウンタ軸と、第3軸心上に配置されている、第2電動機のロータ軸および動力伝達軸と、第4軸心上に配置されているデフギヤとが、複数のケース部材から成るケーシングによって支持されているハイブリッド車両用駆動装置が知られている。特許文献1のハイブリッド車両用駆動装置がそれである。
【0003】
特許文献1のハイブリッド車両用駆動装置1は、第1軸A上に配置されている第1の電機回転手段3(第1電動機)のロータ軸15、プラネタリギヤ6(動力分配機構)、およびプラネタリギヤ6に連結され端部にカウンタドライブギヤ21が形成されている走行回転軸16と、第2軸B上に配置され大ギヤ22および小ギヤ23が形成されているカウンタ軸11と、第3軸C上に配置されている、第2の電機回転手段5(第2電動機)の出力軸5a(ロータ軸)およびカウンタドライブギヤ29(動力伝達軸)と、第4軸D上に配置されているディファレンシャル装置9(デフギヤ)とが、ハウジング39、ケース40、およびリヤカバー41から成る一体ケース(ケーシング)によって支持されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−187535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のハイブリッド車両用駆動装置1において、プラネタリギヤ6に接続されている走行回転軸16、カウンタ軸11、第2の電気回転手段5の出力軸5a、カウンタドライブギヤ29、およびディファレンシャル装置9は、いずれもケース40によって回転可能に支持されている。一方、第1の電気回転手段3(第1電動機)のロータ軸15は、ケース40にボルト等によって固定されているセンタサポート48によって回転可能に支持されている。このように、第1の電気回転手段3のロータ軸15が、ケース40に固定されているセンタサポート48によって支持されると、センタサポート48の取付誤差も生じるので、第1の電気回転手段3の支持精度が悪化する。また、部品点数も増加するため、重量増加や原価が高くなる問題があった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、第1軸心上に配置されている、第1電動機のロータ軸、遊星歯車から成る動力分配機構、および該動力分配機構の出力部材として機能する出力ギヤ軸と、第2軸心上に配置されているカウンタ軸と、第3軸心上に配置されている、第2電動機のロータ軸および動力伝達軸と、第4軸心上に配置されているデフギヤとが、複数のケース部材から成るケーシングによって支持されているハイブリッド車両用駆動装置において、各回転軸の支持精度を向上することができるハイブリッド車両用駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するための、請求項1にかかる発明の要旨とするところは、(a)第1軸心上に配置されている、第1電動機のロータ軸、遊星歯車から成る動力分配機構、および該動力分配機構の出力部材として機能する出力ギヤ軸と、第2軸心上に配置されているカウンタ軸と、第3軸心上に配置されている、第2電動機のロータ軸および動力伝達軸と、第4軸心上に配置されているデフギヤとが、複数のケース部材から成るケーシングによって回転可能に支持されているハイブリッド車両用駆動装置において、(b)前記出力ギヤ軸と、前記動力伝達軸と、前記カウンタ軸と、前記デフギヤと、前記第1電動機のロータ軸と、前記第2電動機のロータ軸とが、共通のケース部材で支持されている。
【発明の効果】
【0008】
このようにすれば、前記出力ギヤ軸と、前記動力伝達軸と、前記カウンタ軸と、前記デフギヤと、前記第1電動機のロータ軸と、前記第2電動機のロータ軸とが、共通のケース部材で支持されるので、各回転軸の支持精度が向上する。また、共通のケース部材で支持されるので、他の部材を介して支持されることもなくなるため、部品点数の増加や重量増加も防止される。
【0009】
また、好適には、(a)前記カウンタ軸を支持する軸受が共通の前記ケース部材に外輪圧入され、前記第1電動機のロータ軸を支持する軸受が該ケース部材に外輪圧入され、前記第2電動機のロータ軸を支持する軸受が該ケース部材に外輪圧入されており、(b)異なる回転軸心に配置されている、前記カウンタ軸を支持する軸受と、前記第1電動機のロータ軸を支持する軸受と、前記第2電動機のロータ軸を支持する軸受とが、径方向において重複する。このようにすれば、前記カウンタ軸を支持する軸受、前記第1電動機のロータ軸を支持する軸受、および前記第2電動機のロータ軸を支持する軸受を前記ケース部材に外輪圧入するに際して、各軸受が外輪圧入される前記ケース部材が略平面形状となるので、各軸受の外輪圧入時の圧入荷重に対する剛性が高くなり、圧入により変形しようとしても、各軸受の剛性により変形量を小さく出来、かつ圧入を考慮してケース剛性をあらかじめ高くする部位を少なくすることが可能である。よって剛性アップのための余計な肉をつける必要がないため、軽量化をしつつ各回転軸の支持精度を高めることもできる。
【0010】
また、好適には、異なる回転軸心に配置されている、前記出力ギヤ軸を支持する軸受、前記動力伝達軸を支持する軸受、前記カウンタ軸を支持する軸受、前記デフギヤを支持する軸受のうち、少なくとも2つが径方向において重複する。このようにすれば、ケース部材によって形成される隔壁近傍に軸受を配置することができるので、動力伝達時に軸受を介してケース部材に入力されるモーメント荷重が低減される。従って、ケース部材の剛性を高めるためのリブを削減することができるので、ケース部材の質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にはケース部材の剛性が高くなるため、ギヤノイズが低減される。なお、出力ギヤ軸、動力伝達軸、カウンタ軸、およびデフギヤに形成される噛合歯は、何れも斜歯で形成されている。これより、動力伝達時にスラスト方向にも荷重が作用してケース部材が変形し易くなるが、上記のように軸受が径方向に重複することで隔壁近傍に荷重を入力させることができるので、ケース部材を変形させる方向に働くモーメント荷重が効果的に低減される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明が適用されたハイブリッド車両用駆動装置の構造を説明するための断面図である。
【図2】図1において、カウンタ軸、動力伝達軸、デフギヤ、複合ギヤ、第1電動機、および第2電動機の配置位置、および各軸心の配置位置を簡略的に示す図である。
【図3】本発明の他の実施例であるハイブリッド車両用駆動装置の構造を説明するための断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
【実施例1】
【0013】
図1は、本発明が適用されたハイブリッド車両用駆動装置10の構造を説明するための断面図である。ハイブリッド車両用駆動装置10(以下、駆動装置10)は、ケーシング12内に4つの回転軸心(C1〜C4)を備えて構成されている。第1軸心C1上には、入力軸14、動力分配機構28、および第1電動機MG1の第1ロータ軸16が回転可能に支持されている。第2軸心C2上には、カウンタ軸18が回転可能に配置されている。第3軸心C3上には、動力伝達軸20および第2電動機MG2の第2ロータ軸22が回転可能に支持されている。また、第4軸心C4上には、デフギヤ24が回転可能に支持されている。
【0014】
ケーシング12は、ハウジング12a、ケース12bおよびカバー12cの3つのケース部材から構成され、各ケース部材の軸方向の端面(合わせ面)がボルトによって締結されることで1つのケーシング12として構成される。また、ケース12bには、各回転軸心と略垂直な隔壁13が形成されている。なお、ハウジング12a、ケース12bおよびカバー12cが本発明のケース部材に対応している。
【0015】
入力軸14は、ブッシュ15およびスラスト軸受17を介してケーシング12を構成するハウジング12aに相対回転可能に支持されている。
【0016】
入力軸14の外周側には、ダンパ装置26、遊星歯車装置から成る動力分配機構28が配置されている。ダンパ装置26は、図示しないエンジンから伝達されるトルク変動を吸収するものであり、図示しないエンジンと入力軸14との間に動力伝達可能に介挿されている。ダンパ装置26の外周部は、図示しないエンジンのクランク軸32に連結されている円盤状のフライホイール34にボルト36によって締結され、内周部が入力軸14の軸方向の一端にスプライン嵌合されている。
【0017】
動力分配機構28は、第1軸心C1まわり回転可能なサンギヤSおよびリングギヤRとそれらと噛み合うピニオンギヤを自転および公転可能に支持するキャリヤCAとから主に構成されている。サンギヤSはスプライン嵌合によって第1ロータ軸16に相対回転不能に連結され、キャリヤCAは入力軸14から径方向に伸びる鍔部14aに接続されている。また、リングギヤRは後述するカウンタドライブギヤ38が形成されている複合ギヤ軸40の内周部に形成されている。
【0018】
複合ギヤ軸40は、第1軸受42および第2軸受46を介してケーシング12に相対回転可能に支持されている。具体的には、複合ギヤ軸40の軸方向においてダンパ装置26側の内周端部に第1軸受42が配置されており、その第1軸受42を介して複合ギヤ軸40がハウジング12aに相対回転可能に支持されている。また、複合ギヤ軸40の軸方向において第1電動機MG1側の内周端部に第2軸受46が配置されており、その第2軸受46を介して複合ギヤ軸40がケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持されている。なお複合ギヤ軸40が本発明の出力ギヤ軸に対応しており、第2軸受46が本発明の出力ギヤ軸を支持する軸受に対応している。
【0019】
第1ロータ軸16は、第3軸受48および第4軸受50を介してケーシング12に相対回転可能に支持されている。具体的には、第1ロータ軸16の軸方向において中間部近傍の外周部に第3軸受48が配置されており、第3軸受48を介して第1ロータ軸16がケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持されている。また、第1ロータ軸16の軸方向においてカバー12c側の外周端部に第4軸受50が配置されており、第4軸受50を介して第1ロータ軸16がカバー12cに固定されているカバー部材54に相対回転可能に支持されている。なお、第3軸受48は、その外輪がケース12bの隔壁13に圧入(外輪圧入)されている。また、第1ロータ軸16が本発明の第1電動機のロータ軸に対応しており、第3軸受48が本発明の第1電動機のロータ軸を支持する軸受に対応している。
【0020】
第1ロータ軸16の外周側には、第1電動機MG1が配置されている。第1電動機MG1は、ステータ56、ロータ58およびコイルエンド59を主に備えて構成されている。ステータ56は、ボルト60によってケーシング12(ケース12b)に回転不能に固定されている。また、ロータ58の内周部は、第1ロータ軸16に相対回転不能に固定されている。従って、第1電動機MG1の回転が第1ロータ軸16に伝達される。また、第1ロータ軸16の回転速度すなわち第1電動機MG1の回転速度を検出するためのレゾルバ62がカバー12cに固定されている。
【0021】
第2軸心C2上に配置されているカウンタ軸18は、第5軸受64および第6軸受66を介してケーシング12に相対回転可能に支持されている。具体的には、カウンタ軸18の軸方向においてハウジング12a側の外周端部に第5軸受64が配置されており、その第5軸受64を介してカウンタ軸18がハウジング12aに相対回転可能に支持されている。また、カウンタ軸18の軸方向においてケース12b側の外周端部に第6軸受66が配置されており、その第6軸受66を介してカウンタ軸18がケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持されている。なお、第6軸受66は、その外輪がケース12bの隔壁13に圧入(外輪圧入)されている。また、第6軸受66が本発明のカウンタ軸を支持する軸受に対応している。
【0022】
カウンタ軸18の軸方向においてハウジング12a側には、複合ギヤ軸40に形成されているカウンタドライブギヤ38、および後述するリダクションギヤ70と噛み合うカウンタドリブンギヤ72が形成されている。また、カウンタ軸18の軸方向においてケース12b側には、後述するデフリングギヤ74と噛み合うデフドライブギヤ76が形成されている。なお、カウンタドライブギヤ38、リダクションギヤ70、こららと噛み合うカウンタドリブンギヤ72、デフリングギヤ74、これと噛み合うデフドライブギヤ76は、いずれも斜歯に形成されている。
【0023】
第3軸心C3上に配置されている動力伝達軸20は、第7軸受78および第8軸受80を介してケーシング12に相対回転可能に支持されている。具体的には、動力伝達軸20の軸方向においてハウジング12a側の外周端部に第7軸受78が配置されており、その第7軸受78を介して動力伝達軸20がハウジング12aに相対回転可能に支持されている。また、動力伝達軸20の軸方向においてケース12b側の外周端部に第8軸受80が配置されており、その第8軸受80を介して動力伝達軸20がケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持されている。なお、第8軸受80が本発明の動力伝達軸を支持する軸受に対応している。
【0024】
動力伝達軸20には、カウンタドリブンギヤ72と噛み合うリダクションギヤ70が形成されている。また、動力伝達軸の軸方向において第8軸受80側の端部が第2ロータ軸22に相対回転不能にスプライン嵌合されている。第2ロータ軸22は、第9軸受82および第10軸受84を介してケーシング12に相対回転可能に支持されている。具体的には、第2ロータ軸22の軸方向において動力伝達軸20側の外周端部に第9軸受82が配置されており、その第9軸受82を介して第2ロータ軸22がケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持されている。また、第2ロータ軸22の軸方向においてカバー12c側の外周端部に第10軸受84が配置されており、その第10軸受84を介して第2ロータ軸22がカバー12cに相対回転可能に支持されている。ここで、第9軸受82の外輪は、ケース12bの隔壁13に圧入(外輪圧入)されている。なお、第2ロータ軸22が本発明の第2電動機のロータ軸に対応しており、第9軸受82が本発明の第2電動機のロータ軸を支持する軸受に対応している。
【0025】
第2ロータ軸22の外周側には、第2電動機MG2が配置されている。第2電動機MG2は、ステータ88、ロータ90およびコイルエンド91を主に備えて構成されている。ステータ88は、ボルト92によってケーシング12(ケース12b)に回転不能に固定されている。また、ロータ88の内周部は、第2ロータ軸22に相対回転不能に固定されている。従って、第2電動機MG2の回転が第2ロータ軸22に伝達される。また、第2ロータ軸22は動力伝達軸20にスプライン嵌合されていることから、第2ロータ軸22の回転がリダクションギヤ70に伝達される。また、第2ロータ軸22の回転速度すなわち第2電動機MG2の回転速度を検出するためのレゾルバ94がカバー12cに固定されている。
【0026】
第4軸心上に配置されている差動機構として機能するデフギヤ24は、第11軸受96および第12軸受98を介してケーシング12に相対回転可能に支持されている。具体的には、デフギヤ24を構成するデフケース100の軸方向の外周一端が、第11軸受96を介してハウジング12aに相対回転可能に支持されており、デフケース100の軸方向の外周他端が、第12軸受98を介してケース12bに相対回転可能に支持されている。このデフケース100の外周に、デフドライブギヤ76と噛み合うデフリングギヤ74がボルト102によって固定されている。なお、デフギヤ24の具体的な構成及び作動は公知であるため、その説明を省略する。また、第12軸受98が本発明のデフギヤを支持する軸受に対応している。
【0027】
ここで、デフドライブギヤ76と噛み合うデフギヤ24が別体で示す図として記載されているのは、第1軸心C1〜第4軸心C4が、実際には図1に示すように一直線上に配置されていないためである。具体的には、図2に示すように各軸心C1〜C4が配置されている。図2は、カウンタ軸18、動力伝達軸20、デフギヤ、複合ギヤ40、第1電動機MG1、および第2電動機MG2の配置位置、および各軸心C1〜C4の配置位置を簡略的に示す図であって、図1の駆動装置10を軸心と平行な方向から図に対応している。なお、図2において上側が鉛直上方に対応している。図2において、実線で囲まれる面は、図1に示すハウジング12aと図示しないエンジンケースとの合わせ面104を示している。また、破線で囲まれる面は、図1に示すハウジング12aとケース12bとの合わせ面104を示している。また、一点鎖線で囲まれる面は、ケース12bとカバー12cとの合わせ面108を示している。
【0028】
図2に示すように、第2電動機MG2および動力伝達軸20の回転軸心である第3軸心C3が最も鉛直上方に位置し、デフギヤ24の回転軸心である第4軸心C4が最も鉛直下方に位置している。またカウンタ軸18の回転軸心である第2軸心C2が第1軸心C1、第3軸心C3、および第4軸心C4で囲まれる領域内に位置している。そして、カウンタドライブギヤ38とリダクションギヤ70とが、カウンタドリブンギヤ72に噛み合わされ、デフドライブギヤ76とデフリングギヤ74とが噛み合わされている。
【0029】
図1に戻り、本実施例の駆動装置10は、複合ギヤ軸40、第1ロータ軸16、カウンタ軸18、動力伝達軸20、第2ロータ軸22、およびデフギヤ24がケース12bによって回転可能に支持されている。具体的には、複合ギヤ軸40の軸方向において第1電動機MG1側の内周端部が第2軸受46を介してケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持され、第1ロータ軸16の軸方向において中間部外周が第3軸受48を介してケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持され、カウンタ軸18の軸方向においてケース12b側の外周端部が第6軸受66を介してケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持され、動力伝達軸20の軸方向においてケース12b側の外周端部が第8軸受80を介してケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持され、第2ロータ軸22の軸方向において動力伝達軸20側の外周端部が第9軸受82を介してケース12bの隔壁13に相対回転可能に支持され、デフギヤ24を構成するデフケース100の軸方向の外周一端が第12軸受98を介してケース12bに相対回転可能に支持されている。このように、上記各回転軸(40、16、18、20、22)およびデフギヤ24が共通のケース12bで支持されることにより、各回転軸の支持精度が向上する。
【0030】
また、複合ギヤ軸40、入力軸14、カウンタ軸18、動力伝達軸20、デフギヤ24がハウジング12aによって回転可能に支持されている。具体的には、複合ギヤ軸40の軸方向においてダンパ装置26側の内周端部が第1軸受42を介してハウジング12aに相対回転可能に支持され、入力軸14がブッシュ15およびスラスト軸受17を介してハウジング12aに相対回転可能に支持され、カウンタ軸18の軸方向においてハウジング12a側の外周端部が第5軸受64を介してハウジング12aに相対回転可能に支持され、動力伝達軸20の軸方向においてハウジング12a側の外周端部が第7軸受78を介してハウジング12aに相対回転可能に支持され、デフギヤ24を構成するデフケース100の軸方向の外周一端が第11軸受96を介してハウジング12aに相対回転可能に支持されている。このように、上記各回転軸(40、14、18、20)およびデフギヤ24が共通のハウジング12aで支持されることにより、各回転軸の支持精度が向上する。
【0031】
また、図1に示すように、動力伝達軸20を支持する第8軸受80と、カウンタ軸18を支持する第6軸受66とが、径方向においてラップ(重複)する位置に配置されている。このように配置されると、ケース12bに形成されている隔壁13近傍に第8軸受80および第6軸受66を配置することができるので、動力伝達時において第8軸受80および第6軸受66を介してケース12b入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース12bの質量を低減することができる。また、モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース12bの剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。なお、モーメント荷重は、動力伝達時において、ケース12b(隔壁13)を変形させる方向に発生するモーメント力に相当する。このモーメント荷重は、軸受が配置される位置が隔壁13に近くなると、その荷重が入力される部位と隔壁13との距離(モーメントの腕)が短くなるので、ケース12b(隔壁13)に入力されるモーメント荷重が小さくなる。なお、本実施例では、カウンタドライブギヤ38をはじめとする各噛合ギヤがいずれも斜歯であるため、ケース12bにスラスト荷重も入力され、モーメント荷重による影響が顕著となるが、上記のように軸受が径方向にラップする位置に配置されることで、モーメント荷重が効果的に低減される。
【0032】
また、図1に示すように、複合ギヤ軸40を支持する第2軸受46と、カウンタ軸18を支持する第6軸受66とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース12bに形成されている隔壁13近傍に第2軸受46および第6軸受66を配置することができるので、動力伝達時において第2軸受46および第6軸受66を介してケース12bに入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース12bの質量を低減することができる。また、モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース12bの剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、図1に示すように、第2軸受46がケース12bの隔壁13近傍に配置されるため、複合ギヤ軸40の軸方向の長さが長くなる。従って、複合ギヤ軸40のイナーシャが増加するため、ガラ音が低減される。また、従来ではこのガラ音を低減するために、エンジンを最適燃費曲線から外れた領域で作動させていたが、このような対策をする必要もなくなるので、燃費を向上することもできる。
【0033】
また、図1に示すように、動力伝達軸20を支持する第8軸受80と、デフギヤ24(デフケース100)を支持する第12軸受98とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース12bに形成されている隔壁13近傍に第8軸受80および第12軸受98を配置することができるので、動力伝達時において第8軸受80および第12軸受98を介してケース12bに入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース12bの質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース12bの剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、ケース12bの隔壁13に形成されている第8軸受80および第12軸受98を支持する部位が軸方向に短くなることから、デフリングギヤ74によって掻き上げられた潤滑油の流れがその部位によって阻害されることもない。
【0034】
また、図1に示すように、動力伝達軸20を支持する第8軸受80と、複合ギヤ軸40を支持する第2軸受46とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース12bに形成されている隔壁13近傍に第8軸受80および第2軸受46を配置することができるので、動力伝達時において第8軸受80および第2軸受46を介してケース12b入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース12bの質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース12bの剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、動力伝達軸20を支持する軸方向の長さと複合ギヤ軸40を支持する軸方向の長さが略同等となるので、これら動力伝達軸20および複合ギヤ軸40の傾きを揃えやすくなるため、ギヤノイズがさらに低減される。
【0035】
また、図1に示すように、複合ギヤ40を支持する第2軸受46と、デフギヤ24(デフケース100)を支持する第12軸受98とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース12bに形成されている隔壁13近傍に第2軸受46および第12軸受98を配置することができるので、動力伝達時において第2軸受46および第12軸受98を介してケース12bに入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース12bの質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース12bの剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、デフギヤ24と第1電動機MG1とが、軸方向においてケース12bの隔壁13を隔てた位置関係となり、デフギヤ24と第1電動機MG1とが径方向にラップ(重複)しない。従って、第1電動機MG1の径方向の自由度が向上し、燃費向上を狙った径に設定することもできる。また、第1電動機MG1の径方向の長さを最適に設定することで、第1電動機MG1の軸方向の長さを抑制することもできる。
【0036】
また、図1に示すように、カウンタ軸18を支持する第6軸受66と、デフギヤ24(デフケース100)を支持する第12軸受98とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース12bに形成されている隔壁13近傍」に第6軸受66および第12軸受98を配置することができるので、動力伝達時において第6軸受66および第12軸受98を介してケース12bに入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース12bの質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース12bの剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、ケース12bの隔壁13に形成されている第6軸受66および第12軸受98を支持する部位が軸方向に短くなることから、デフリングギヤ74によって掻き上げられた潤滑油の流れがその部位によって阻害されることもない。
【0037】
また、図1に示すように、複合ギヤ40を支持する第2軸受46と、カウンタ軸18を支持する第6軸受66と、動力伝達軸20を支持する第8軸受80とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース12bに形成されている隔壁13近傍に第2軸受46、第6軸受66および第8軸受80を配置することができるので、動力伝達時において、第2軸受46、第6軸受66および第8軸受80を介してケース12bに入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース12bの質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース12bの剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、第1電動機MG1および第2電動機MG2がケース12bの隔壁13を跨いで配置されるので、第1電動機MG1および第2電動機MG2の軸方向の位置を揃えることができる。従って、例えば第1電動機MG1のステータ56の両脇に配置されているコイルエンド59および第2電動機MG2のステータ88の両脇に配置されているコイルエンド91の軸方向の位置を揃えることもでき、コイルエンド59、91を冷却する際の冷却油路を簡易に構成することもできる。
【0038】
また、図1に示すように、カウンタ軸18を支持する第6軸受66と、動力伝達軸20を支持する第8軸受80と、デフギヤ24(デフケース100)を支持する第12軸受98とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース12bに形成されている隔壁13近傍に第6軸受66、第8軸受80および第12軸受98を配置することができるので、動力伝達時において第6軸受66、第8軸受80および第12軸受98を介してケース12bに入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース12bの質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース12bの剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。ここで、これらカウンタ軸18、動力伝達軸20、およびデフギヤ24は入力されるトルクが大きいので、第6軸受66、第8軸受80および第12軸受98を介してケース12bに入力されるモーメント荷重は大きなものとなる。これに対して、上記構成とすることによる効果(リブ削減、ギヤノイズ低減)がさらに顕著となる。
【0039】
さらに、図1に示すように、複合ギヤ40を支持する第2軸受46と、カウンタ軸18を支持する第6軸受66と、動力伝達軸20を支持する第8軸受80と、デフギヤ24(デフケース100)を支持する第12軸受98とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース12bに形成されている隔壁13近傍に、第2軸受46、第6軸受66、第8軸受80および第12軸受98を配置することができるので、動力伝達時においてこれらの軸受(46、66、80、98)を介してケース12bに入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース12bの質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース12bの剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、図1に示すように、ケース12bの隔壁13を略直線状に形成することができるので、例えばケース12bの上面に搭載されるインバータによる入力荷重に対するケース12bの剛性が向上する。これより、ケース12bやハウジング12aの剛性を高めるためのリブの削減も可能となるので、ケーシング12の質量低減も可能となる。
【0040】
上述のように、本実施例によれば、複合ギヤ軸40と、動力伝達軸20と、カウンタ軸18と、デフギヤ24と、第1電動機MG1の第1ロータ軸16と、第2電動機MG2の第2ロータ軸22とが、共通のケース部材12bで支持されるので、各回転軸の支持精度が向上する。また、共通のケース部材12bで支持されるので、他の部材を介して支持されることもなくなるため、部品点数の増加や重量増加も防止される。
【0041】
また、本実施例によれば、複合ギヤ軸40を支持する第3軸受46、動力伝達軸20を支持する第8軸受80、カウンタ軸18を支持する第6軸受66、デフギヤ24を支持する第12軸受98のうち、少なくとも2つが径方向において重複する。このようにすれば、ケース部材12bによって形成される隔壁13近傍に軸受を配置することができるので、動力伝達時に軸受を介してケース部材12bに入力されるモーメント荷重が低減される。従って、ケース部材12bの剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース部材12bの質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にはケース部材12bの剛性が高くなるため、ギヤノイズが低減される。
【0042】
つぎに、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の説明において前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【実施例2】
【0043】
図3は本発明の他の実施例であるハイブリッド車両用駆動装置150の構造を説明するための断面図である。ハイブリッド車両用駆動装置150を前述のハイブリッド車両用駆動装置10と比較すると、主に第2軸受46、第3軸受48、第8軸受80、および第9軸受82の配置位置が異なっており、それに応じてケーシング152、複合ギヤ軸154、第1ロータ軸156、動力伝達軸158および第2ロータ軸160の形状が異なっている。以下、上記相違点について説明する。
【0044】
ケーシング152は、ハウジング162、ケース164およびカバー166の3つのケース部材から構成され、ボルトによって一体化されている。また、ケース164には、各回転軸心と略垂直な隔壁168が形成されている。なお、ハウジング162、ケース164、およびカバー166が本発明のケース部材に対応している。
【0045】
本実施例において、複合ギヤ軸154は、第1軸受42および第2軸受46を介してケーシング152に相対回転可能に支持されている。具体的には、複合ギヤ軸154の軸方向においてダンパ装置26側の内周端部に第1軸受42が配置されており、その第1軸受42を介して複合ギヤ軸154がハウジング162に相対回転可能に支持されている。また、複合ギヤ軸154の軸方向において第1電動機MG1側の内周端部に第2軸受46が配置されており、その第2軸受46を介して複合ギヤ軸154がケース164の隔壁168に相対回転可能に支持されている。なお、複合ギヤ軸154が本発明の出力ギヤ軸に対応している。
【0046】
第1ロータ軸156は、第3軸受48および第4軸受50を介してケーシング152に相対回転可能に支持されている。具体的には、第1ロータ軸156の軸方向において中間部近傍の外周部に第3軸受48が配置されており、第3軸受48を介して第1ロータ軸156がケース164の隔壁168に相対回転可能に支持されている。また、第1ロータ軸156の軸方向においてカバー166側の外周端部に第4軸受50が配置されており、第1ロータ軸156が第4軸受50を介してカバー166に固定されているカバー部材54に相対回転可能に支持されている。ここで、第3軸受48の外輪は、ケース164の隔壁168に圧入(外輪圧入)されている。なお、第1ロータ軸156が本発明の第1電動機のロータ軸に対応している。
【0047】
動力伝達軸158は、第7軸受および第8軸受80を介してケーシング152に相対回転可能に支持されている。具体的には、動力伝達軸158の軸方向においてハウジング162側の外周端部に第7軸受78が配置されており、動力伝達軸158が第7軸受78を介してハウジング162に相対回転可能に支持されている。また、動力伝達軸158の軸方向においてケース164側の外周端部に第8軸受80が配置されており、動力伝達軸158が第8軸受80を介してケース164の隔壁168に相対回転可能に支持されている。
【0048】
第2ロータ軸160は、第9軸受82および第10軸受84を介してケーシング152に相対回転可能に支持されている。具体的には、第2ロータ軸160の軸方向において動力伝達軸160側の外周端部に第9軸受82が配置されており、第2ロータ軸160が第9軸受82を介してケース164の隔壁168に相対回転可能に支持されている。また、第2ロータ軸160の軸方向においてカバー166側の外周端部に第10軸受84が配置されており、第2ロータ軸160が第10軸受84を介してカバー166に相対回転可能に支持されている。ここで、第9軸受82の外輪は、ケース164の隔壁168に圧入(外輪圧入)されている。なお、第2ロータ軸160が本発明の第2電動機のロータ軸に対応している。
【0049】
本実施例の駆動装置150は、複合ギヤ軸154、第1ロータ軸156、カウンタ軸18、動力伝達軸158、第2ロータ軸160、およびデフギヤ24がケース164によって回転可能に支持されている。具体的には、複合ギヤ軸154の軸方向において第1電動機MG1側の内周端部が第2軸受46を介してケース164の隔壁168に相対回転可能に支持され、第1ロータ軸156の軸方向において中間部外周が第3軸受48を介してケース164の隔壁168に相対回転可能に支持され、カウンタ軸18の軸方向においてケース164側の外周端部がケース164の隔壁168に外輪圧入されている第6軸受66を介してケース164の隔壁168に相対回転可能に支持され、動力伝達軸158の軸方向においてケース164側の外周端部が第8軸受80を介してケース164の隔壁168に相対回転可能に支持され、第2ロータ軸160の軸方向において動力伝達軸158側の外周端部が第9軸受82を介してケース164の隔壁168に相対回転可能に支持され、デフギヤ24を構成するデフケース100の軸方向の外周一端が第12軸受98を介してケース168に相対回転可能に支持されている。このように、上記各回転軸(154、156、18、158、160)およびデフギヤ24が共通のケース164で支持されることにより、各回転軸の支持精度が向上する。
【0050】
本実施例では、複合ギヤ軸154を支持する第2軸受46、および第1ロータ軸156を支持する第3軸受48が軸方向においてダンパ装置26側に配置されている。また、動力伝達軸158を支持する第8軸受80、および第2ロータ軸160を支持する第9軸受82が軸方向においてハウジング162側に配置されている。
【0051】
図3に示すように、第2ロータ軸160を支持する第9軸受82と、カウンタ軸18を支持する第6軸受66とが、径方向においてラップ(重複)する位置に配置されている。このように配置されると、ケース164に形成されている隔壁168近傍に第9軸受82および第6軸受66を配置することができるので、動力伝達時において第9軸受82および第6軸受66を介してケース164に入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース164の剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース164の質量を低減することができる。また、モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース164の剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。
【0052】
また、図3に示すように、第1ロータ軸156を支持する第3軸受48と、カウンタ軸18を支持する第6軸受66とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース164に形成されている隔壁168近傍に第3軸受48および第6軸受66を配置することができるので、動力伝達時において第3軸受48および第6軸受66を介してケース164に入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース164の剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース164の質量を低減することができる。また、モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース164の剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、第1電動機MG1がさらにダンパ装置26側に配置されるので、その軸長がさらに短縮されることとなる。
【0053】
また、図3に示すように、第2ロータ軸160を支持する第9軸受82と、デフギヤ24(デフケース100)を支持する第12軸受98とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース164に形成されている隔壁168近傍に第9軸受82および第12軸受98を配置することができるので、動力伝達時において第9軸受82および第12軸受98を介してケース164に入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース164の剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース164の質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース164の剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。
【0054】
また、図3に示すように、第2ロータ軸160を支持する第9軸受82と、第1ロータ軸156を支持する第3軸受48とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース164に形成されている隔壁168近傍に第9軸受82および第3軸受48を配置することができるので、動力伝達時において第9軸受82および第3軸受48を介してケース164に入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース164の剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース164の質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース164の剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。
【0055】
また、図3に示すように、第1ロータ軸156を支持する第3軸受48と、デフギヤ24(デフケース100)を支持する第12軸受98とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース164に形成されている隔壁168近傍に第3軸受48および第12軸受98を配置することができるので、動力伝達時において第3軸受48および第12軸受98を介してケース164に入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース164の剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース164の質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース164の剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、デフギヤ24と第1電動機MG1とが、軸方向においてケース164の隔壁168を隔てた位置関係となり、デフギヤ24と第1電動機MG1とが径方向にラップ(重複)しない。従って、第1電動機MG1の径方向の自由度が向上し、燃費向上を狙った径に設定することもできる。また、第1電動機MG1の径方向の長さを最適に設定することで、第1電動機MG1の軸方向の長さを抑制することもできる。
【0056】
また、図3に示すように、第1ロータ軸156を支持する第3軸受48と、カウンタ軸18を支持する第6軸受66と、第2ロータ軸160を支持する第9軸受82とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース164に形成されている隔壁168近傍に第3軸受48、第6軸受66および第9軸受82を配置することができるので、動力伝達時において各軸受(48、66、82)を介してケース164に入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース164の剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース164の質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース164の剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、第1電動機MG1および第2電動機MG2がケース164の隔壁を跨いで配置されるので、第1電動機MG1および第2電動機MG2の軸方向の位置を揃えることができる。従って、例えば第1電動機MG1のステータ56の両脇に配置されているコイルエンド59および第2電動機MG2のステータ88の両脇に配置されているコイルエンド91の軸方向の位置を揃えることもでき、コイルエンド59、91を冷却する際の冷却油路を簡易に構成することもできる。
【0057】
また、本実施例においても、カウンタ軸18を支持する第6軸受66の外輪がケース164に圧入(外輪圧入)され、第1電動機MG1の第1ロータ軸156を支持する第3軸受48の外輪がケース164に圧入(外輪圧入)され、第2電動機MG2の第2ロータ軸160を支持する第9軸受82の外輪がケース164に圧入(外輪圧入)されている。そして、上述したように、カウンタ軸18を支持する第6軸受66と、第1ロータ軸156を支持する第3軸受48と、第2160ロータ軸を支持する第9軸受82とが、径方向においてラップしている。これより、カウンタ軸18を支持する第6軸受66、第1ロータ軸156を支持する第3軸受48、および第2ロータ軸160を支持する第9軸受82をケース164に外輪圧入するに際して、各軸受が外輪圧入されるケース164が図3に示すように略平面形状となるので、各軸受の外輪圧入時の圧入荷重に対するケース164の剛性が高くなり、圧入により変形しようとしても、各軸受の剛性により変形量を小さく出来、かつ圧入を考慮してケース剛性をあらかじめ高くする部位を少なくすることが可能である。よって剛性アップのための余計な肉をつける必要がないため、軽量化をしつつ各回転軸の支持精度を高めることもできる。
【0058】
また、図3に示すように、カウンタ軸18を支持する第6軸受66と、第2ロータ軸160を支持する第9軸受82と、デフギヤ24(デフケース100)を支持する第12軸受98とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース164に形成されている隔壁168近傍に第6軸受66、第9軸受82および第12軸受98を配置することができるので、動力伝達時において各軸受(66、82、98)を介してケース164に入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース164の剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース164の質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース164の剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。
【0059】
さらに、図3に示すように、第1ロータ軸156を支持する第3軸受48と、、カウンタ軸18を支持する第6軸受66と、第2ロータ軸160を支持する第9軸受82と、デフギヤ24(デフケース100)を支持する第12軸受98とが、径方向においてラップする位置に配置されている。このように配置されると、ケース164に形成されている隔壁168近傍に、第3軸受48、第6軸受66、第9軸受82および第12軸受98を配置することができるので、動力伝達時においてこれらの軸受(48、66、82、98)を介してケース164に入力されるモーメント荷重を低減することができる。従って、ケース164の剛性を高めるためのリブを削減することができ、ケース164の質量を低減することができる。また、上記モーメント荷重を低減することができるので、相対的にケース164の剛性が高くなるため、動力伝達時に発生するギヤノイズが低減される。また、図3に示すように、ケース164の隔壁168を略直線状に形成することができるので、例えばケース164の上面に搭載されるインバータによる入力荷重に対するケース164の剛性が向上する。これより、ケース164やハウジング162の剛性を高めるためのリブの削減も可能となるので、ケーシング152の質量低減も可能となる。
【0060】
上述のように、本実施例によれば、複合ギヤ軸154と、動力伝達軸158と、カウンタ軸18と、デフギヤ24と、第1電動機MG1の第1ロータ軸156と、第2電動機MG2の第2ロータ軸160とが、共通のケース部材164で支持されるので、各回転軸の支持精度が向上する。また、共通のケース部材164で支持されるので、他の部材を介して支持されることもなくなるため、部品点数の増加や重量増加も防止される。
【0061】
また、本実施例によれば、カウンタ軸18を支持する第6軸受66がケース164に外輪圧入され、第1電動機MG1の第1ロータ軸156を支持する第3軸受48がケース164に外輪圧入され、第2電動機MG2の第2ロータ軸160を支持する第9軸受82がケース164に外輪圧入されており、カウンタ軸18を支持する第6軸受66と、第1ロータ軸156を支持する第3軸受48と、第2160ロータ軸を支持する第9軸受82とが、径方向において重複する。このようにすれば、カウンタ軸18を支持する第6軸受66、第1ロータ軸156を支持する第3軸受48、および第2ロータ軸160を支持する第9軸受82をケース164に外輪圧入するに際して、各軸受が外輪圧入されるケース164が略平面形状となるので、各軸受の外輪圧入時の圧入荷重に対するケース164の剛性が高くなり、圧入により変形しようとしても、各軸受の剛性により変形量を小さく出来、かつ圧入を考慮してケース剛性をあらかじめ高くする部位を少なくすることが可能である。よって剛性アップのための余計な肉をつける必要がないため、軽量化をしつつ各回転軸の支持精度を高めることもできる。
【0062】
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
【0063】
前述の実施例のハイブリッド車両用駆動装置10では、第2軸受46、第6軸受66、第8軸受80および第12軸受98が径方向に重複する位置に配置されているが、必ずしも全ての軸受が径方向に重複していなくとも構わない。上記4つの軸受(46、66、90、98)のうち、少なくとも2つが径方向に重複しているのあれば、本発明の効果を得ることができる。
【0064】
また、前述の実施例において、軸受が径方向にラップ(重複)するとしたが、必ずしも軸受の軸方向の成分全体がラップする必要はなく、その一部がラップする構成であっても構わない。
【0065】
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0066】
10、150:ハイブリッド車両用駆動装置
12、152:ケーシング
12a、162:ハウジング(ケース部材)
12b、164:ケース(ケース部材)
12c、166:カバー(ケース部材)
16、156:第1ロータ軸(第1電動機のロータ軸)
18:カウンタ軸
20、158:動力伝達軸
22、160:第2ロータ軸(第2電動機のロータ軸)
24:デフギヤ
28:動力分配機構
40:複合ギヤ軸(出力ギヤ軸)
46:第2軸受(出力ギヤ軸を支持する軸受)
48:第3軸受(第1電動機のロータ軸を支持する軸受)
66:第6軸受(カウンタ軸を支持する軸受)
80:第8軸受(動力伝達軸を支持する軸受)
82:第9軸受(第2電動機のロータ軸を支持する軸受)
98:第12軸受(デフギヤを支持する軸受)
C1:第1軸心
C2:第2軸心
C3:第3軸心
C4:第4軸心
MG1:第1電動機
MG2:第2電動機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸心上に配置されている、第1電動機のロータ軸、遊星歯車装置から成る動力分配機構、および該動力分配機構の出力部材として機能する出力ギヤ軸と、第2軸心上に配置されているカウンタ軸と、第3軸心上に配置されている、第2電動機のロータ軸および動力伝達軸と、第4軸心上に配置されているデフギヤとが、複数のケース部材から成るケーシングによって回転可能に支持されているハイブリッド車両用駆動装置であって、
前記出力ギヤ軸と、前記動力伝達軸と、前記カウンタ軸と、前記デフギヤと、前記第1電動機のロータ軸と、前記第2電動機のロータ軸とが、共通のケース部材で支持されていることを特徴とするハイブリッド車両用駆動装置。
【請求項2】
前記カウンタ軸を支持する軸受が共通の前記ケース部材に外輪圧入され、前記第1電動機のロータ軸を支持する軸受が該ケース部材に外輪圧入され、前記第2電動機のロータ軸を支持する軸受が該ケース部材に外輪圧入されており、
異なる回転軸心に配置されている、前記カウンタ軸を支持する軸受と、前記第1電動機のロータ軸を支持する軸受と、前記第2電動機のロータ軸を支持する軸受とが、径方向において重複することを特徴とする請求項1のハイブリッド車両用駆動装置
【請求項3】
異なる回転軸心に配置されている、前記出力ギヤ軸を支持する軸受、前記動力伝達軸を支持する軸受、前記カウンタ軸を支持する軸受、前記デフギヤを支持する軸受のうち、少なくとも2つが径方向において重複することを特徴とする請求項1のハイブリッド車両用駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−23036(P2013−23036A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158435(P2011−158435)
【出願日】平成23年7月19日(2011.7.19)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】