説明

ハンダバンプの形成方法

【課題】高さ精度に優れた高いハンダバンプを形成するのに適した方法を提供する。
【解決手段】本発明の方法は、電極2が設けられた基板10の上に電極2を覆うようにレジスト層12を形成する工程と、レジスト層12において電極2に対応する位置に開口部11を形成する工程と、開口部11が形成されたレジスト層12上に、フィルム4を圧着させる工程と、レジスト層12の開口部11に連通する開口部40をフィルム4に形成する工程と、レジスト層12の開口部11とフィルム4の開口部40とからなり且つ電極2が露出する凹部内にフラックスを塗布する工程と、凹部に溶融ハンダを充填する工程と、溶融ハンダを冷却固化することにより、凹部内の電極2上にハンダバンプ5Aを設ける工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の基板にハンダバンプを形成するためのハンダバンプの形成方法、電子部品の実装方法、及び電子部品の実装構造に関する。本明細書で単に「基板」というときは、プリント配線基板やウェハなどの狭義の基板に限定されるものではなく、ハンダバンプの形成対象物となりうる全てを含む広義の基板を指すものとする。
【背景技術】
【0002】
近年、電子部品の高密度実装の要請がますます高くなっており、電子部品の実装方法としては、ワイヤボンディング法によるフェイスアップ方式の実装方法から、ハンダバンプを用いたフェイスダウン方式の実装方法へと変化する傾向が見られる。ハンダバンプを形成する方法として、従来では、いわゆるメッキ法や蒸着法などが一般には採用されていた。ところが、これらの方法では、大掛かりで高価な設備を必要とするのに加え、ハンダバンプの高さやハンダ組成の制御が難しいといった問題点があった。
【0003】
そこで、以上のような問題を解決するために、耐熱性絶縁膜を利用する方法(例えば下記の特許文献1に記載されている)やシートを利用する方法(例えば下記の特許文献2に記載されている)が従来から提案されている。
【0004】
【特許文献1】特開平1−161850号公報
【特許文献2】特開平9−116257号公報
【0005】
特許文献1に記載のハンダバンプ形成方法では、添付の図9(a)に示すように、ハンダバンプの形成対象となる基板9は、基板本体90の表面にアルミ配線91を覆うガラス膜の表層部92が形成されているとともに、この表層部92の凹部93内には電極94が設けられた構造とされている。上記基板9にハンダバンプを形成するには、まず図9(b)に示すように、上記表層部92上に絶縁膜95を形成する。この絶縁膜95は、液状の樹脂を上記表層部92や電極94の表面の全体に塗布してから、電極94の表面上の樹脂をエッチングして形成する。これにより、電極94の上方に上記凹部93よりも深い凹部93’を形成することができる。次いで、図9(c)に示すように、上記凹部93’内にハンダペースト5eを充填した後に、このハンダペースト5eを加熱して再溶融させ、その後固化させる。この方法によれば、表層部92上に絶縁膜95を形成することによって凹部93’の深さ寸法を大きくし、この凹部93’に充填されるハンダペースト量を多くすることができる。したがって、図9(d)に示すように、隆起状のハンダバンプ50を形成することができる。
【0006】
しかしながら、図9に示す方法は次のような問題があった。すなわち、表層部92上に絶縁膜95を形成する際に、表層部92や電極94の表面の全体に液状の樹脂を塗布し、その一部をエッチングするため、上記絶縁膜95の厚みtをその全体にわたって所望の厚みに正確に仕上げることが難しいものとなっていた。したがって、複数の凹部93’の各所の深さを均一にすることが難しく、後に形成される複数のハンダバンプ50の高さに大きなバラツキを生じ易くなっていた。このようなハンダバンプ50の高さのバラツキは、ハンダバンプを利用して他の部品との電気的な接続を図る上で好ましくない。
【0007】
また、ハンダバンプを利用して他の部品との電気的な接続を行う場合、ハンダバンプの高さをできる限り高くしてそのハンダ量を多くすることが要請される場合がある。ところが、上記従来の方法では、液状の樹脂を塗布して形成される絶縁膜95の厚みtを大きくするには一定の限界があり、凹部93’をさほど深く形成することはできない。このため、ハンダバンプ50の高さを一定以上の高さに形成することも難しいものとなっていた。なお、この従来の方法では、絶縁膜95の上にこれと同様な絶縁膜を更に重ねて形成することにより、絶縁膜全体の厚みを増大させようとしても、絶縁膜を形成するための液状の樹脂を塗布するときにその樹脂が凹部93’内に厚肉状に塗布されてしまい、この部分の樹脂を適切にエッチングすることは難しい。
【0008】
一方、特許文献2に記載のハンダバンプ形成方法は、図10(a)に示すように、貫通孔80を有するシート8を利用する。ハンダバンプを形成するには、まず図10(b)に示すように、上記シート8上にマスクシート81を重ね合わせることによって、このマスクシート81を利用して上記シート8の貫通孔80にハンダペースト5fを充填し、その後図10(c)に示すように、マスクシート81とシート8とを互いに分離させる。次いで、図10(d)に示すように、上記シート8を基板82上に載置して、ハンダペースト5fを電極83の上方に配置する。この状態で上記ハンダペースト5fを加熱して再溶融させると、図10(e)に示すように、ハンダバンプ51を形成することができる。その後は図10(f)に示すように、上記シート8を基板82上から取り除く。この方法によれば、上記シート8を複数回のハンダバンプ形成作業に繰り返して使用することができるばかりでなく、シート8に形成された複数の貫通孔80の深さや開口径を各所均一にすることができる。
【0009】
しかしながら、図10に示す従来の方法では、基板82の複数の電極83の配置に対応した複数の貫通孔80を有するシート8を予め製作しておく必要がある。しかも、このシート8の作製は、基板82への電極83の形成プロセスなどとは全く別個の作業として行う必要がある。このため、上記シート8の製作の手間が面倒であるのに加え、集積回路パターンの微細化に伴って、複数の電極83のピッチが微細になると、上記シート80作製が困難となる虞れがあった。また、複数の電極83のピッチが微細になると、これら複数の電極83とシート8の複数の貫通孔80との位置合わせ精度も低下する。その結果、上記後者の手段では、複数の電極83のピッチが微細化されると、ハンダヘースト5fを各電極83上に正確に位置合わせすることが困難となり、例えば互いに隣接するハンダバンプ51,51どうしが不当に導通接触してしまうという不具合を生じる虞れがあった。
【0010】
更に、下記の特許文献3には、以上の2つの従来例の問題を解決できるハンダバンプ形成方法が開示されている。すなわち、特許文献3に開示のハンダバンプ形成方法によれば、先ず回路パターンが形成された基板の表面に第1のソルダレジスト層を形成した後に、この第1のソルダレジスト層をエッチングして回路パターンにおける電極に対応する部分に開口孔を形成する。次いで、第1のソルダレジスト層の表面に第2のソルダレジスト層を貼付した後に、この第2のソルダレジスト層をエッチングして第1のソルダレジスト層の開口孔に対応する部分に開口孔を形成する。次いで、両ソルダレジスト層の開口孔にハンダペーストを充填して、加熱溶融した後に固化させることにより、回路ハターンの各電極上にハンダバンプを形成するのである。最後に、第1のソルダレジストは溶解せず、第2のソルダレジスト層を溶解する溶解液により第2のソルダレジスト層を溶解除去させるのである。
【0011】
【特許文献3】特開平7−273439号公報
【0012】
以上の方法によれば、第1のソルダレジスト層の厚みと第2のソルダレジスト層の厚みを利用して、ハンダペーストを充填する凹部(両ソルダレジスト層の開口孔によって形成される)の深さを大きくして、ハンダバンプを充分な大きさに形成することができる。しかも、第2のソルダレジスト層を溶解除去後も第1のソルダレジスト層は残存するので、ハンダバンプ間の短絡を防止できるため、電極間のファインピッチ化に対応することができる。
【0013】
しかしながら、特許文献3に記載の方法では、基板が第2のソルダレジスト層と同質の樹脂を主成分とする場合には、第2のソルダレジスト層を溶解する際に基板までも部分的に溶解され、不良の原因となる。また、第2のソルダレジスト層を溶解除去するための処理が必要となり、作業効率がよいとはいえない。更に、電子部品を接合するに際しては、電子部品側のハンダバンプを基板側のハンダバンプに位置合わせしなければならず、位置合わせが不良な場合には、製品の信頼性が低下する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
そこで、本発明の目的の1つは、簡易な作業によって複数のハンダバンプを所望の高さに正確に形成することを可能としながら、基板が樹脂からなる場合でも、その基板が不用意に溶解されることのないハンダバンプの形成方法を提供することにある。本発明の別の目的は、ハンダバンプ形成のために用いた樹脂層を溶解除去する工程を伴うことなく、電子部品を基板に効率的に実装することのできる方法及び構造を提供することにある。また、本発明は、位置精度よく且つ形状・サイズについて均一性の高いハンダバンプを形成するのに適したハンダバンプ形成方法を提供することも目的とする。加えて、本発明は、高さ精度に優れた高いハンダバンプを形成するのに適した方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の第1の側面によれば、基板の表層部に設けられている複数の凹部内にハンダを充填する工程と、このハンダを溶融・固化させることにより、上記各凹部内にハンダバンプを形成する工程とを含む、ハンダバンプの形成方法であって、上記複数の凹部内にハンダを充填する以前の工程として、上記表層部上にフィルムを貼付または載置する工程と、このフィルムに上記複数の凹部に連通した複数の窓部を設ける工程と、を有しており、上記フィルムは上記基板を構成する材料とは主成分が異なる材料で構成されていることを特徴とする、ハンダバンプの形成方法が提供される。
【0016】
本発明の上記第1の側面では、基板の表層部の複数の凹部内にハンダを充填する以前の段階において、上記表層部にフィルムを貼付または載置して、このフィルムに上記複数の凹部に連通した複数の窓部を設けているために、上記複数の凹部内にハンダを充填するときには、このハンダを上記フィルムの複数の窓部内にも充填することができる。したがって、基板の電極上に配されるハンダの高さを高くすることができ、このハンダの溶融後の固化により、隆起状のハンダバンプを適切に形成することができる。また、各所の厚みが均一なフィルムを用いれば、このフィルムに設けられる複数の窓部の深さも必然的に各所均一となり、基板の複数の電極上に配されるハンダの高さを各所一定の高さに揃えることができる。したがって、複数のハンダバンプの高さ寸法に大きなバラツキを生じないようにできる。また、本発明では、ハンダバンプの高さはフィルムの厚みに対応した寸法となり、ハンダバンプを所望の高さに設定することも容易となる。更に、上記フィルムとして厚肉のものを用いたり、あるいは上記フィルムを複数枚重ねることにより、ハンダバンプの高さをかなり高くすることもできる。
【0017】
しかも、上記フィルムは、基板を構成する材料とは異なる材料からなるため、当該フィルムを溶解液で溶解除去する際に不用意に基板が侵されることもない。このような観点から、例えば基板がエポキシ系樹脂からなる場合には、上記フィルムはアクリル系またはイミド系樹脂で構成すればよい。また、上記フィルムを基板表層部に載置(貼付に代えて)する場合には、ハンダバンプ形成後に当該フィルムを容易に剥離除去することができ、フィルムの残渣が電極に付着して、接続不良を起こす可能性を低減することができる。
【0018】
好ましくは、上記基板の表層部は、基板本体の表面にレジスト層を含んでおり、このレジスト層は上記各電極の上方に開口孔が形成されるように露光及び現像される。
【0019】
好ましくは、上記フィルムは、感光性フィルムであり、上記フィルムに上記複数の窓部を設ける工程は、上記フィルムへの露光及び現象を行う工程である。また、これに代えて、上記フィルムに上記複数の開口孔を設ける工程は、上記フィルムにレーザ照射を行う工程であってもよい。
【0020】
上記基板表層部の凹部にハンダを充填する工程は、上記フィルムの窓部からハンダペースト、ハンダ粉末、または溶融ハンダを充填することにより行うのが好ましい。また、溶融ハンダを充填するには、上記フィルムに窓部を形成した後に、上記基板を常圧あるいは減圧下にて溶融ハンダ浴に浸漬すればよい。
【0021】
本発明の第2の側面によれば、複数の凹部を形成した表層部を有する基板上に電子部品を搭載し、この電子部品の電極と上記各凹部の電極とをハンダを介して接続するための電子部品の実装方法であって、上記基板上に電子部品を搭載する以前の工程として、上記表層部上にフィルムを貼付または載置する工程と、このフィルムに上記複数の凹部に連通した複数の窓部を設ける工程と、上記複数の窓部と上記複数の凹部とにハンダを充填する工程とを有しており、かつ、上記基板上に電子部品を搭載した後に上記ハンダを溶融させることを特徴とする、電子部品の実装方法が提供される。
【0022】
以上の実装方法では、電極上に配置したハンダを溶融させる段階において既に基板上に電子部品を搭載させているために、上記ハンダを溶融させると、このハンダによって上記電子部品の電極と基板の電極とを機械的及び電気的に接続することができる。したがって、基板側に独立してハンダバンプを形成したり、フィルムを除去する必要はなく、少ない作業工程によって基板に電子部品を実装することが可能となる。この結果、電子部品の実装作業能率を高めることができる。しかも、上記フィルムの窓部を電子部品側のハンダバンプを位置決めするのに利用することができるので、バンプ対バンプで突き合わせる場合よりも位置合わせが容易で信頼性も高くなる。
【0023】
むろん、本発明の第2の側面によって提供される電子部品の実装方法は、基板の表層部に形成されている複数の凹部にハンダを充填するまでの作業工程が、本発明の第1の側面によって提供されるハンダバンプの形成方法の作業工程と共通する工程であるために、上述した本発明の第1の側面によって得られるのと同様な利点が得られる。すなわち、本発明の第2の側面によって提供される電子部品の実装方法では、基板の表層部に貼付されるフィルムの複数の窓部の深さを各所均一にすることができるために、基板の複数の電極と電子部品とを接続するハンダの量も各所均一にすることができる。また、フィルムの厚みを大きくするなどして、基板の複数の電極と電子部品とを接続するハンダの量を多くすることも簡単に行える。したがって、ハンダの量に過不足を生じないようにして、基板に対する電子部品の実装を適切に行うことができる。更には、基板の複数の電極に対応するようにフィルムに複数の窓部を設ける作業も簡単かつ正確に行うことができ、複数の電極のファインピッチ化にも適切に対処できる。
【0024】
本発明の第3の側面によれば、複数の凹部を形成した表層部を有する基板上に電子部品が搭載され、かつこの電子部品の電極と上記基板の各凹部の電極とがハンダを介して接続されている、電子部品の実装構造であって、上記表層部には、上記各凹部に連通した複数の窓部を有するフィルムが形成されていることを特徴とする、電子部品の実装構造が提供される。
【0025】
本発明の上記第3の側面は、上記第2の側面に係る実装方法によって得られる実装構造を対象とするものであり、上記第2の側面によって得られるのと同様な効果が期待できる。
【0026】
本発明の第4の側面によるとハンダバンプ形成方法が提供される。この方法は、電極が設けられた基板の上に当該電極を覆うようにレジスト層を積層形成する工程(第1の工程)と、レジスト層において電極に対応する位置に電極より径の大きな開口部を形成する工程(第2の工程)と、レジスト層の上にフィルムを積層形成する工程(第3の工程)と、電極より大きな径を有して開口部に連通する開口部をフィルムに形成する工程(第4の工程)と、レジスト層の開口部とフィルムの開口部とからなって電極より大きな径を有し且つ電極が露出する凹部内に、ハンダ材料を充填する工程(第5の工程)と、ハンダ材料を溶融・固化させることにより、溶融時における溶融ハンダの表面張力を利用して、凹部の底面より小さな径の電極表面上にボール状のハンダバンプを設ける工程(第6の工程)と、ハンダバンプを形成した後にフィルムを除去する工程(第7の工程)と、を含む。
【0027】
第4の側面の方法においては、第4の工程にて完成する凹部(レジスト層の開口部とフィルムの開口部とからなる)の内周壁と、当該凹部に露出する(ないし臨む)電極の両端とは離れている。当該離隔距離は適宜設定することができる。一方、第6の工程でのハンダ材料(例えばハンダペースト)の溶融・固化過程では、溶融時における溶融ハンダの表面張力により電極上にてハンダがボール状に凝縮して、ハンダバンプが形成される。このとき、上述の離隔距離が充分に確保されていると、ハンダは、凹部の内周壁から離れて電極中心位置上にて凝縮する。そのため、電極中心位置上である正確な位置にハンダバンプを形成することができ(即ち、電極中心位置上からのずれを充分に抑制することができる)、加えて、形成されるハンダバンプの形状やサイズについて高い均一性を達成することができる(即ち、凹部の内周壁にハンダが付着することに起因する、ハンダバンプの適正形状・適正サイズからの逸脱を回避することができる)。このように、本発明の第4の側面の方法は、位置精度よく且つ形状・サイズについて均一性の高いハンダバンプを形成するのに適しているのである。
【0028】
第4の側面において、好ましくは、レジスト層は感光性を有し、レジスト層に開口部を形成する工程は、当該レジスト層に対する露光処理および現像処理を含む。また、フィルムは感光性フィルムであり、フィルムに開口部を形成する工程は、当該フィルムに対する露光処理および現象処理を含むのが好ましい。レジスト層に開口部を形成する工程での露光処理、および、フィルムに開口部を形成する工程での露光処理は、同じマスクパターンのマスクを使用して行うのが好ましい。
【0029】
本発明の第5の側面によるとハンダバンプ形成方法が提供される。この方法は、電極が設けられた基板の上に当該電極を覆うように第1のレジスト層を形成する工程と、第1のレジスト層において電極に対応する位置に開口部を形成する工程と、開口部が形成された第1のレジスト層上に、第2のレジスト層となるフィルムを圧着させる工程と、第1のレジスト層の開口部に連通する開口部をフィルムに形成する工程と、第1のレジスト層の開口部とフィルムの開口部とからなり且つ電極が露出する凹部内にフラックスを塗布する工程と、凹部に溶融ハンダを充填する工程と、溶融ハンダを冷却固化することにより、凹部内の電極上にハンダバンプを設ける工程とを含む。
【0030】
本方法においては、第1のレジスト層に設けられた開口部と、当該開口部と連通するように第2のレジスト層であるフィルムに設けられた開口部とからなる合成スペース(凹部)に対して溶融ハンダを供給し、当該合成スペースにて溶融ハンダが冷却固化することにより、ハンダバンプを形成する。すなわち、本ハンダバンプ形成方法では、第1および第2のレジスト層によって2段に積層形成されたレジスト部内に設けられた合成スペース(凹部)を利用してハンダバンプを形成するのである。このようなハンダバンプ形成方法は、基板の電極上に高いハンダバンプを形成するのに適している。
【0031】
また、本方法において、基板の複数の電極上に複数のバンプを同時的に形成する場合、各所の厚みが均一なフィルム(フィルムは一般に厚さ精度に優れる)を用いれば、このフィルムに設けられる複数の開口部の深さを各所均一とすることができ、基板の複数の電極上に供給される溶融ハンダの高さを各所一定の高さに揃えることができる。その結果、形成される複数のハンダバンプの高さ寸法に大きなバラツキを生じないようにできる。
【0032】
加えて、第1のレジスト層の開口部と第2のレジスト層であるフィルムの開口部とからなる凹部内にフラックスを塗布したうえで、当該凹部に溶融ハンダを充填するので、当該凹部からの溶融ハンダの漏出を抑制して溶融ハンダ充填を適切に行うことができる。そのような溶融ハンダ漏出の抑制は、サイズ精度ないし高さ精度に優れたハンダバンプを形成するうえで、好ましい。
【0033】
以上のように、本発明の第5の側面に係るハンダバンプ形成方法は、高さ精度に優れた高いハンダバンプを形成するのに適しているのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
図1は、本発明に係るハンダバンプの形成方法の一例を示す要部断面図である。図2は、図1(a)に示す回路基板の作製工程を示す要部断面図である。
【0035】
図1(a)に示す回路基板1は、基板本体10の表面に複数の凹部11を形成した一定厚みの表層部12が設けられたものである。上記各凹部11の内部には、例えば銅製の電極2が設けられている。上記基板本体10は、例えばガラス繊維(またはガラスクロス)強化エポキシ樹脂製である。
【0036】
上記回路基板1は、もともとは図2(a)に示すように、基板本体10の表面に複数の電極2やこれに導通した配線部(図示略)が形成された構造を有する。上記基板本体10上に上記表層部12を形成する作業は、まず図2(b)に示すように、基板本体10の表面に、各電極2よりも厚みが大きなフォトレジスト層12’を形成する。次いで、図2(c)に示すように、フォトマスク3を用いたフォトレジスト層12’の露光処理、及びその現像処理を行う。上記フォトレジスト層12’として、例えばポジ型のものを用いた場合には、上記フォトレジスト層12’のうち、上記各電極2の形成箇所及びその周辺に露光を行うことにより、その後の現像処理によって上記各電極2の上方及びその周辺部においてフォトレジストを除去することができる。このような一連の工程により、図1(a)に示すように、基板本体10の表面にフォトレジスト層からなる上記表層部12を設けた構成とすることができる。後述するハンダバンプの形成作業は、上記表層部12を設ける作業に引き続いて行うことができる。
【0037】
上記図1(a)に示す回路基板1にハンダバンプを形成するには、まず図1(b)に示すように、上記表層部12の表面に一定の厚みを有するフィルム4を貼付または載置する。回路基板1をガラス繊維強化エポキシ樹脂で構成する場合には、このフィルム4は、例えばアクリル系樹脂またはイミド系樹脂などの感光性材料で構成すれば、後にフィルム4を溶解液で溶解除去する際に回路基板1が侵されることを防止することができる。このフィルム4の貼付または載置により、上記表層部12の各凹部11の上部開口は閉塞される。
【0038】
次いで、図1(c)に示すように、上記フィルム4には、上記複数の凹部11に連通した複数の窓部40を設ける。各窓部40の開口径は、上記各凹部11と同一または略同一である。上記フィルム4に複数の窓部40を設ける作業は、上述したフォトレジスト層12’に凹部11を形成する場合と同様な手法を採用し、上記フィルム4への露光処理及びその現像処理を行い、上記フィルム4の各凹部11の直上部分を除去すればよい。例えば上記フォトレジスト層12’がポジ型の場合において、上記フィルム4についてもそれと同様なポジ型感光性のものを用いれば、図1(b)の仮想線に示すように、フィルム4への露光処理には、フォトレジスト層12’への露光処理に用いたフォトマスク3をそのまま用いることができる。したがって、フォトマスク3の兼用が図れて便利である。更には、凹部11の形成と窓部40とを同一のフォトマスクを用いて形成すれば、これら凹部11と窓部40とを正確に位置合わせすることもできる。
【0039】
上記窓部40の形成後は、図1(d)に示すように、それら窓部40とその下方の凹部11との内部にハンダペースト5を充填する。このハンダペースト5の充填に際しては、上記フィルム4の上面に余分なハンダペーストが多量に残存しないようにすることが望ましく、そのためには例えばスキージを用いてフィルム4の上面の余分なハンダペーストを掻き取る作業を行えばよい。なお、本実施形態では、上記ハンダペースト5に代えて、ハンダ粉末を上記各窓部40内に充填させてもよい。
【0040】
その後は、上記ハンダペースト5を加熱して再溶融させる。これにより、このハンダペースト5に含まれていたハンダ成分以外の成分が揮発消失するとともに、図1(e)に示すように、ハンダ成分がその表面張力によって略ボール状になり、その後の自然冷却によってそのままの形状に固化する。この結果、それぞれの電極2に固着した複数のハンダバンプ5Aが形成される。上記各ハンダバンプ5Aは、上記凹部11に加えて上記窓部40内にも充填されたハンダペースト5から形成されたものであるから、その高さを高くできる。また、上記窓部40の深さは各所均一にできるために、上記各ハンダバンプ5Aの高さに大きなバラツキも生じないようにできる。
【0041】
上記ハンダバンプ5Aの形成後は、図1(f)に示すように、フィルム4を表層部12から除去する。フィルム4を除去するには、フィルム4を剥離させたり、あるいは適当な溶剤を用いてフィルム4を溶解させればよい。特に、フィルム4を回路基板1の表層部12に載置(貼付に代えて)するだけの場合には、フィルム4を容易に剥離させることができる。ただし、上記フィルム4を表層部12に貼付させたままであってもかまわない。上記フィルム4が電気絶縁性の材質であれば、このフィルム4を表層部12に貼付させたままであっても、各ハンダバンプ5Aを用いての電気的な接続に支障を生じさせることはない。
【0042】
上記一連の作業工程によって得られた回路基板1は、フリップチップ方式の電子部品の実装に用いることができる。すなわち、図3に示すように、上記回路基板1に半導体チップ6を実装するには、まず半導体チップ6側のバンプ電極61を上記複数のハンダバンプ5Aに対向接触させるようにして、上記半導体チップ6を上記回路基板1上にセッティングする。上記半導体チップ6側のバンプ電極61は、例えばハンダバンプ電極であり、これらバンプ電極61についても、本発明に係るハンダバンプの形成方法を用いて形成することが可能である。次いで、図4に示すように、上記複数のハンダバンプ5A及びバンプ電極61を加熱して溶融させると、上記各ハンダバンプ5Aと各バンプ電極61とを構成していたハンダが一体化したバンプ5Bが形成され、このバンプ5Bを介して回路基板1の各電極2と半導体チップ6の電極とが接続される。
【0043】
上記半導体チップ6の実装作業を行う場合、上記各ハンダバンプ5Aの先端に、フラックスを予め塗布し、いわゆる濡れ性を高めることが好ましい。フラックスの一例としては、ロジンを主成分とし、これにエタノールなどの溶剤や、有機酸、有機ハロゲンの活性剤を加えたものを用いることができる。また、上記フラックスの塗布に加え、またはフラックスの塗布に代えて、粘着剤を上記各ハンダバンプ5Aの先端に塗布する場合には、粘着剤の粘着性を利用して各ハンダバンプ5Aと各バンプ電極61との位置決め保持を図ることができる。上記粘着剤としては、例えばロジンを適用することができる。
【0044】
更に、半導体チップ6の実装作業を行う場合、図5(a)に示すように、上記ハンダバンプ5Aの上部に平坦部55を形成してもよい。上記平坦部55は、例えば上記ハンダバンプ5Aを上方からプレスすることによって形成することができる。このような平坦部55を形成しておけば、図5(b)に示すように、ハンダバンプ5Aの平坦部55上に半導体チップ6のバンプ電極61を安定させて配置することができる。また、フラックスや粘着剤を塗布する場合には、これらを平面部55に塗布すればよく、その作業も容易となる。
【0045】
図6は、本発明に係るハンダバンプの形成方法の他の例を示す要部断面図である。なお、図6及びそれ以降の図においては、先の実施形態と同一部分は同一符号で示している。
【0046】
図6に示す方法は、回路基板1の表層部12に2枚のフィルム4,4Aを貼付または載置する方法である。より具体的には、まず図6(a)に示すように、回路基板1の表層部12上に1枚目のフィルム4を貼付または載置して、このフィルム4に複数の窓部40を設ける。この回路基板1の構成は、図1(c)に示した構成と同一であり、それまでの作業工程は先の実施形態と同一である。
【0047】
次いで、図6(b)に示すように、上記フィルム4の上面に、これと同様な材質の感光性を有する2枚目のフィルム4Aを貼付または載置する。
【0048】
その後、図6(c)に示すように、この2枚目のフィルム4Aの露光処理及びその現象処理を行う。これにより、図6(d)に示すように、上記第2のフィルム4ルム4Aの窓部40Aを形成する箇所は、各窓部40の直上である。したがって、上記フィルム4Aには、その露光及び現像処理によって上記複数の窓部40Aを適切に形成することができるのである。
【0049】
上記窓部40Aを形成した後には、図6(e)に示すように、それら窓部40A、これに連通する窓部40、及び複数の凹部11内にハンダペースト5を充填する。その後は、先の図1(e)に示した工程と同様に、上記ハンダペースト5を加熱して再溶融させてから固化させる。これにより、ハンダバンプを形成することができる。
【0050】
上記方法によれば、2枚目のフィルム4Aを用いて形成された窓部40の深さ分だけ、ハンダバンプの形成に用いられるハンダペースト5の量を多くすることができ、ハンダバンプの高さをより高くすることができる。このように、本実施形態では、1枚のフィルムを用いるだけではなく、2枚のフィルム、あるいはそれ以上の枚数の複数のフィルムを回路基板の表層部に順次重ねてゆき、それら複数のフィルムのそれぞれに窓部を設けるようにしてもかまわない。
【0051】
図7は、ハンダ充填作業の他の例を示す説明図である。同図に示す作業工程では、回路基板1をハンダ貯留槽19内の溶融ハンダ浴5Cに浸漬させている。この回路基板1は、その表層部12上にフィルム4を貼付して複数の窓部40を設けたものであり、先の図1(c)及び図6(a)に示した回路基板の構成と同一である。このとき、微少なフィルム4の窓部40に溶融ハンダを確実に流入させるため、減圧下にてこの作業を行うのが好ましい 図7に示す作業工程によれば、上記各窓部40と表層部12の各凹部11内に溶融ハンダ5Cを充填させることができる。上記回路基板1をハンダ貯留槽19から引き上げて上記充填された溶融ハンダを自然冷却させれば、同図の仮想線に示すように、そのままハンダバンプ5Aを形成することが可能である。本実施形態では、ハンダを再度加熱して溶融させる必要はないばかりでなく、ハンダペーストを用いる場合のように、ハンダ成分以外の成分が揮発消失して、その分だけハンダバンプが痩せることもない。ただし、回路基板1をハンダ貯留槽19から引き上げた後に回路基板1の姿勢を早期に安定させない場合には、ハンダバンプ5Aが電極2の偏った位置において固化する虞れがある。このような場合には、ハンダペーストを用いる場合のように、ハンダ成分以外の成分が揮発消失して、その分だけハンダバンプが痩せることもない。ただし、回路基板1をハンダ貯留槽19から引き上げた後に回路基板1の姿勢を早期に安定させない場合には、ハンダバンプ5Aが電極2の偏った位置において固化する虞れがある。このような場合には、回路基板1を水平状態に安定させてから上記ハンダバンプ5Aを再加熱し、その補正を行えばよい。
【0052】
このように、本発明では、ハンダの充填方法としては、ハンダペーストやハンダ粉末を用いるに限らず、溶融ハンダを充填してもかまわない。また、本発明でいうハンダとは、Sn、或いはPb、Inなどを主成分とするものに限らず、電子部品の接合に用いられるAgなどを主成分とするものも含む。
【0053】
図8は、本発明に係る電子部品の実装方法の一例を示す断面図である。この電子部品の実装方法は、まず図8の(a)〜(d)に示すように、回路基板1の表層部12上にフィルム4を貼付または載置して、このフィルム4に複数の窓部40を設け、これら複数の窓部40とこれに連通する凹部11内にハンダペースト5を充填する。これら一連の作業工程は、先の図1の(a)〜(d)に示した作業工程と同様である。
【0054】
上記ハンダペースト5の充填作業後には、図8(e)に示すように、実装対象となる半導体チップ6をそのバンプ電極61が上記ハンダペースト5に接触するようにセッティングする。
【0055】
この状態で上記ハンダペースト5を加熱して溶融させ、その後固化させると、図8(f)に示すように、略ボール状に形成されたハンダ5Dを介して回路基板1の各電極2と半導体チップ6の電極とを接続することができる。上記ハンダ5Dは、凹部11と窓部40とに一連に充填されたボリュームの多いハンダペースト5から形成されるものであるから、その量に不足を生じさせないようにすることができる。上記フィルム4は、回路基板1に貼付または載置したままでもかまわない。ただし、このフィルム4を溶剤を用いて溶解させるなどして除去してもよい。
【0056】
本発明に係るハンダバンプの形成方法及び電子部品の実装方法の各作業工程の具体的な構成は、上述の実施形態に限定されない。
【0057】
本発明では、例えばフィルムに形成する各窓部の径は、基板の表層部の凹部の径と同一または略同一でなくてもよく、凹部よりも大径または小径にしてもかまわない。
【0058】
また、本発明では、基板の表層部は、基板そのものの表層部(表面)であってもよい。例えば、シリコン基板の表面に電極を形成する手法としては、シリコン基板の表面に酸化処理を施すことによってこのシリコン基板の表面に絶縁層(酸化シリコンの層)を形成するとともに、この絶縁層にエッチング処理を施して凹部を形成し、その後この凹部内にアルミ製などの電極を形成する手法があるが、本発明はこのように基板にも適用できる。
【0059】
本発明では、基板の表層部に設けられている凹部の具体的な構成も、上述の実施形態に限定されない。例えば、この凹部の開口径が電極よりも小さい寸法とされて、電極の表面の一部分のみが上記各凹部を介して露出した構成とされていてもよい。また、従来例を表す図9(a)に示すように、電極自体が凹部を有するような構成であってもよい。
【0060】
更に、本発明では、基板の表層部に貼付したフィルムに窓部を設ける方法としては、例えばフィルムにレーザを照射する手段を採用してもかまわない。レーザとしては、エキシマレーザやYAGレーザなどの種々のレーザを用いることができる。レーザの照射によってフィルムに窓部を設ける場合には、フィルムとしては、感光性のものを用いる必要はなく、例えばポリイミドフィルムを用いればよい。
【実施例1】
【0061】
直径が50μmの銅製の電極を150μmピッチで表面に多数形成したガラス繊維強化エポキシ樹脂製の基板の表面に、厚みが25μmのフォトレジスト層を形成した後に、その露光・現像処理を行うことにより、上記フォトレジスト層に上記電極を外部に露出させる直径80μmの凹部を多数形成した。上記フォトレジスト層は、エポキシアクリレート樹脂系とした。その後、上記フォトレジスト層の上面に厚みが50μmのアクリル樹脂系感光性フィルムを熱圧着(105℃、圧力3.5Kg/cm2)し、ガラスマスクを用いて露光した後に、1%の炭酸ナトリウム溶液で上記感光性フィルムをエッチング現像し、上記凹部に重なった直径80μmの窓部を形成した。次いで、63%Sn−Pbのハンダを体積比で約50%含むハンダペーストを印刷法により上記窓部と凹部とに充填し、210℃で加熱溶融させた。その後、3%水酸化ナトリウム溶液を用いて上記感光性フィルムを除去した。
【0062】
その結果、平均高さが60μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、2μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例2】
【0063】
直径が50μmの銅製の電極を150μmピッチで表面に多数形成したガラス繊維強化エポキシ樹脂製の基板の表面に、厚みが25μmのフォトレジスト層を形成した後に、その露光・現像処理を行うことにより、上記フォトレジスト層に上記電極を外部に露出させる直径80μmの凹部を多数形成した。上記フォトレジスト層は、エポキシアクリレート樹脂系とした。その後、上記フォトレジスト層の上面に厚みが50μmのアクリル樹脂系感光性フィルムを熱圧着(105℃、圧力3.5Kg/cm2)し、ガラスマスクを用いて露光した後に、2.3%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液で上記感光性フィルムをエッチング現像し、上記凹部に重なった直径120μmの窓部を形成した。次いで、63%Sn−Pbのハンダを体積比で約50%含むハンダペーストを印刷法により上記窓部と凹部とに充填し、210℃で加熱溶融させた。その後、10%モノエタノールアミン溶液を用いて上記感光性フィルムを除去した。
【0064】
その結果、平均高さが75μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、1.5μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例3】
【0065】
直径が50μmの銅製の電極を150μmピッチで表面に多数形成したガラス繊維強化エポキシ樹脂製の基板の表面に、厚みが25μmのフォトレジスト層を形成した後に、その露光・現像処理を行うことにより、上記フォトレジスト層に上記電極を外部に露出させる直径80μmの凹部を多数形成した。上記フォトレジスト層は、エポキシアクリレート樹脂系とした。その後、上記フォトレジスト層の上面に厚みが50μmのアクリル樹脂系感光性フィルムを載置(25℃)し、ガラスマスクを用いて露光した後に、2.3%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液で上記感光性フィルムをエッチング現像し、上記凹部に重なった直径120μmの窓部を形成した。次いで、63%Sn−Pbのハンダを体積比で約50%含むハンダペーストを印刷法により上記窓部と凹部とに充填し、210℃で加熱溶融させた。その後、5%モノエタノールアミン溶液を用いて上記感光性フィルムを除去した。
【0066】
その結果、平均高さが75μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、1.5μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例4】
【0067】
直径が70μmで凹形状の表面がNiの電極を150μmピッチで多数形成し、かつ電極上部以外がポリイミドで被覆された基板の表面に、厚みが50μmのアクリル樹脂系感光性フィルムを熱圧着(105℃、圧力3.5Kg/cm2)し、ガラスマスクを用いて露光した後に、2.3%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液で上記感光性フィルムをエッチング現像し、上記凹部に重なった直径120μmの窓部を形成した。次いで、63%Sn−Pbのハンダを体積比で約50%含むハンダペーストを印刷法により上記窓部と凹部とに充填し、210℃で加熱溶融させた。その後、10%モノエタノールアミン溶液を用いて上記感光性フィルムを除去した。
【0068】
その結果、平均高さが70μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、1.5μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例5】
【0069】
直径が70μmで凹形状の表面がNiの電極を150μmピッチで多数形成し、かつ電極上部以外がポリイミドで被覆された基板の表面に、厚みが50μmのアクリル樹脂系感光性フィルムを載置(25℃)し、ガラスマスクを用いて露光した後に、2.3%テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド溶液で上記感光性フィルムをエッチング現像し、上記凹部に重なった直径120μmの窓部を形成した。次いで、63%Sn−Pbのハンダを体積比で約50%含むハンダペーストを印刷法により上記窓部と凹部とに充填し、210℃で加熱溶融させた。その後、5%モノエタノールアミン溶液を用いて上記感光性フィルムを除去した。
【0070】
その結果、平均高さが70μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、1.5μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例6】
【0071】
直径が50μmの銅製の電極を150μmピッチで表面に多数形成したガラス繊維強化エポキシ樹脂製の基板の表面に、厚みが25μmのフォトレジスト層を形成した後に、その露光・現像処理を行うことにより、上記フォトレジスト層に上記電極を外部に露出させる直径80μmの凹部を多数形成した。上記フォトレジスト層は、硫酸バリウムをフィラーとして含むエポキシアクリレート樹脂系とした。その後、上記フォトレジスト層の上面に厚みが50μmのポリイミドフィルムを載置し、エキシマレーザを用いて電極上部に直径120μmの窓部を形成した。次いで、63%Sn−Pbのハンダを体積比で約50%含むハンダペーストを印刷法により上記窓部と凹部とに充填し、210℃で加熱溶融させた。その後、5%モノエタノールアミン溶液を用いて上記ポリイミドフィルムを除去した。
【0072】
その結果、平均高さが75μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、1.5μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例7】
【0073】
直径が70μmで凹形状の表面がNiの電極を150μmピッチで多数形成し、かつ電極上部以外がポリイミドで被覆された基板の表面に、厚みが50μmのアクリル樹脂系フィルムを載置し、炭酸ガスレーザを用いて電極上部に直径120μmの窓部を形成した。次いで、63%Sn−Pbのハンダを体積比で約50%含むハンダペーストを印刷法により上記窓部と凹部とに充填し、210℃で加熱溶融させた。その後、5%モノエタノールアミン溶液を用いて上記フィルムを除去した。
【0074】
その結果、平均高さが70μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、1.5μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例8】
【0075】
実施例1の工程において、上記ハンダペーストに代えて、平均粒径15μmのハンダ粉末(63%Sn−Pb)を用いた。また、このハンダ粉末を感光性フィルムの窓部とフォトレジスト層の凹部とに充填する以前には、フラックス(タムラ化研株式会社製の商品ULF−500VS)を上記窓部と凹部との内面に若干量だけ塗布した。それ以外の条件は、実施例1と同一とした。
【0076】
その結果、実施例1と同様に、平均高さが60μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、2μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例9】
【0077】
実施例1の工程において、感光性フィルムの窓部にハンダペーストを充填するのに代えて、基板全体を210℃の溶融ハンダ(63%Sn−Pb)に浸漬させてから引き上げ、そのまま自然冷却により固化させた。基板全体を溶融ハンダに浸漬させる以前には、実施例2と同様にフラックスの塗布処理を行った。それ以外の条件は、実施例1と同一とした。
【0078】
その結果、平均高さが70μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、2μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例10】
【0079】
実施例1の工程において、厚さが50μの感光性フィルムに代えて、それと同材質の厚さが40μmの感光性フィルムを用いた。この感光性フィルムに直径80μmの窓部を多数形成した後には、上記感光性フィルムと同材質の厚さが40μmの2枚目の感光性フィルムを熱圧着し、感光性フィルムを2枚重ね状態とした。この2枚目の感光性フィルムについても、1枚目の感光性フィルムと同様な条件で露光・現像処理を行い、1枚目の感光性フィルムの窓部に重なった直径80μmの窓部を多数形成した。その後は、上記2枚の感光性フィルムのそれぞれの窓部とフォトレジスト層の凹部とに、63%Sn−Pbのハンダを体積比で約50%含むハンダペーストを印刷法により充填し、210℃で加熱溶融させた。その後、3%水酸化ナトリウム溶液を用いて上記2枚の感光性フィルムを除去した。
【0080】
その結果、平均高さが80μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、2μm以内であった。また、2枚目の感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例11】
【0081】
実施例4の工程において、上記ハンダペーストに代えて、平均粒径15μmのハンダ粉末(63%Sn−Pb)を用いた。また、このハンダ粉末を窓部に充填する前には、実施例2と同様にフラックスを2枚の感光性フィルムの窓部とフォトレジスト層の凹部との内面に若干量だけ塗布した。それ以外の条件は、実施例4と同一とした。
【0082】
その結果、平均高さが80μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、2μm以内であった。また、感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例12】
【0083】
実施例4の工程において、2枚の感光性フィルムの窓部にハンダペーストを充填するのに代えて、基板全体を210℃の溶融ハンダ(63%Sn−Pb)に浸漬させてから引き上げ、そのまま自然冷却により固化させた。基板全体を溶融ハンダに浸漬させる以前には、実施例5と同様にフラックスを感光性フィルムの窓部とフォトレジスト層の凹部との内面に若干量だけ塗布した。それ以外の条件は、実施例4と同一とした。
【0084】
その結果、平均高さが90μmの多数のハンダバンプを形成することができた。これら多数のハンダバンプの高さのばらつきは、2μm以内であった。また、2枚目の感光性フィルムを溶解除去した際に、基板が侵食されることは一切なかった。
【実施例13】
【0085】
実施例1の前段の工程と同一条件下において、基板のフォトレジスト層上に厚みが50μmの感光性フィルムを熱圧着するとともに、この感光性フィルムに直径80μmの窓部を多数形成した後に、これら多数の窓部内にハンダペーストを充填した。その後、複数のバンプ電極を有する半導体チップを上記基板の上に載せて、複数のバンプ電極を上記窓部内のハンダペースト内に一部進入させた状態で、上記ハンダペーストを210℃で加熱溶融し、その後自然冷却により固化させた。
【0086】
その結果、上記半導体チップを上記基板に対して機械的かつ電気的に適切に接続することができた。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係るハンダバンプの形成方法の一例を示す要部断面図である。
【図2】図1の(a)に示す回路基板の作製工程を示す要部断面図である。
【図3】図1に示す方法でハンダバンプが形成された基板に電子部品の実装する方法の一例を示す要部断面図である。
【図4】図3に示す実装方法により得られた電子部品の実装構造を示す要部断面図である。
【図5】図1に示す方法でハンダバンプが形成された基板に電子部品の実装する方法の他の例を示す要部断面図である。
【図6】本発明に係るハンダバンプの形成方法の他の例を示す要部断面図である。
【図7】溶融ハンダを用いたハンダ充填作業の例を示す要部断面図である。
【図8】本発明に係る電子部品の実装方法の一例を示す断面図である。
【図9】従来のハンダバンプ形成方法の一例を示す要部断面図である。
【図10】従来の方法の他の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0088】
1 回路基板
2 電極
3 フォトマスク
4 フィルム
5 ハンダペースト
5A ハンダバンプ
6 半導体チップ
10 基板本体
11 凹部
12 表層部
12’ フォトレジスト層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極が設けられた基板の上に当該電極を覆うように第1のレジスト層を形成する工程と、
上記第1のレジスト層において上記電極に対応する位置に開口部を形成する工程と、
上記開口部が形成された上記第1のレジスト層上に、第2のレジスト層となるフィルムを圧着させる工程と、
上記第1のレジスト層の上記開口部に連通する開口部を上記フィルムに形成する工程と、
上記第1のレジスト層の上記開口部と上記フィルムの上記開口部とからなり且つ上記電極が露出する凹部内にフラックスを塗布する工程と、
上記凹部に溶融ハンダを充填する工程と、
上記溶融ハンダを冷却固化することにより、上記凹部内の電極上にハンダバンプを設ける工程と、を含むハンダバンプの形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−210937(P2006−210937A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−62204(P2006−62204)
【出願日】平成18年3月8日(2006.3.8)
【分割の表示】特願2005−229137(P2005−229137)の分割
【原出願日】平成11年8月6日(1999.8.6)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】