バイアス電圧生成回路、それを用いたオーディオ信号処理回路および電子機器
【課題】ノイズを低減する。
【解決手段】バイアス電圧生成回路50は、バイアス電圧Vbiasを生成する。充電回路54は、キャパシタC3に充電電流Ichgを供給して充電する。充電電流制御回路CNT1は、キャパシタC3に生ずるバイアス電圧Vbiasをその目標値Vsetと比較し、比較結果に応じて充電電流Ichgの値を調節する。第1定電流源CCS1は、キャパシタC3に第1定電流Ic1を供給する。第1可変電流源VCS1は、充電電流制御回路CNT1による比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流Iv1を生成する。充電回路54は、第1定電流Ic1と第1可変電流Iv1の合成電流(Ic1−Iv1)によってキャパシタC3を充電する。
【解決手段】バイアス電圧生成回路50は、バイアス電圧Vbiasを生成する。充電回路54は、キャパシタC3に充電電流Ichgを供給して充電する。充電電流制御回路CNT1は、キャパシタC3に生ずるバイアス電圧Vbiasをその目標値Vsetと比較し、比較結果に応じて充電電流Ichgの値を調節する。第1定電流源CCS1は、キャパシタC3に第1定電流Ic1を供給する。第1可変電流源VCS1は、充電電流制御回路CNT1による比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流Iv1を生成する。充電回路54は、第1定電流Ic1と第1可変電流Iv1の合成電流(Ic1−Iv1)によってキャパシタC3を充電する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流信号を増幅する増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ機器においては、微弱な電気信号であるオーディオ信号を増幅してスピーカやイヤホンなどの電気音響変換素子に対して出力する。こうしたオーディオ機器では、数Hz〜数十kHzの可聴帯域の交流成分を含むアナログオーディオ信号(以下、単にオーディオ信号という)に対して、増幅、ボリウム制御、フィルタリングなどの所望の信号処理を行う信号処理回路が搭載される。
【0003】
信号処理回路の初段には、入力インピーダンスを高くするために、増幅回路(増幅装置)が設けられる。この増幅回路は、所定のバイアス電位を基準として、オーディオ信号を増幅する。したがって、増幅回路の入力端子は所定のバイアス電位にバイアスされ、処理の対象となるオーディオ信号は、カップリングキャパシタを介して入力端子にカップリングされ、オーディオ信号がバイアス電位と重畳される。
【0004】
増幅回路の起動時にバイアス電圧を急峻に立ち上げるとノイズが発生し、人間の耳に不快な聴感を与えてしまう。そこでバイアス電圧(基準電圧)を緩やかに立ち上げる必要がある。
【特許文献1】特開2003−258559号公報
【特許文献2】特開2008−148147号公報
【特許文献3】米国特許第5939938号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、特許文献3の図1には、電源端子と接地端子の間に直列に設けられた2つの抵抗(R1、R2)を含む抵抗分圧回路と、2つの抵抗(R1、R2)接続点と接地端子間に設けられたバイパスキャパシタ(CB)と、を備える基準電圧(VREF)の生成回路が開示されている。この回路によれば、基準電圧(VREF)は、CR時定数に従って上昇するため、充電もしくは放電開始直後の時間微分値(dVREF/dt)が大きくなる。引用文献3の図5Aを参照すると、起動時において、基準電圧(VREF)は、アンプ(116/124)の出力電圧に対応し、スピーカ(114a)には、カップリングキャパシタ(Cc)を介してアンプの出力電圧が供給される。カップリングキャパシタ(Cc)によってアンプの出力電圧波形は微分されるため、スピーカにはさらに急峻な波形の電圧が与えられ、ノイズが発生する。
【0006】
特許文献3の図7、9、10等には、抵抗に代えて、定電流源(152)を用いて、バイパスキャパシタ(CB)を充電する回路も開示されている。この回路において、基準電圧(VREF)は、図8に示されるように定電流の値にしたがって直線的に増加、減少する。この回路によれば、抵抗(R1、R2)を用いた場合に比べるとノイズを低減することができるが、さらなるノイズの低減が望まれている。
【0007】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その包括的な目的のひとつは、ノイズを抑制した増幅回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路に関する。このバイアス電圧生成回路は、キャパシタと、キャパシタに充電電流を供給して充電する充電回路と、キャパシタの電圧をバイアス電圧の目標値と比較し、比較結果に応じて充電電流の値を調節する充電電流制御回路と、を備える。バイアス電圧生成回路は、キャパシタの電圧をバイアス電圧として出力する。
【0009】
この態様によると、充電電流の値をバイアス電圧のレベルに応じて最適化することができ、バイアス電圧を緩やかに立ち上げ、ノイズを低減することができる。
【0010】
充電回路は、キャパシタに第1電流を供給する第1電流源と、充電電流制御回路による比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流を生成する第1可変電流源と、を含み、第1電流と第1可変電流の合成電流によってキャパシタを充電してもよい。
【0011】
充電電流制御回路は、一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された差動増幅器を含んでもよい。充電電流制御回路は、差動増幅器により生成される差動電流に応じて、第1可変電流源を制御してもよい。
この態様によると、基準電圧の値をバイアス電圧の目標値に応じて設定することにより、バイアス電圧とその目標値を比較することができ、充電電流を比較結果に応じた値に設定できる。
【0012】
充電電流制御回路は、差動増幅器の2極性の差動電流の一方に応じて、第1可変電流源を制御してもよい。この場合、充電開始直後、もしくは充電完了直前における、バイアス電圧の変化を緩やかにできる。
【0013】
充電電流制御回路は、差動増幅器の2極性の差動電流の両方を合成した電流に応じて、第1可変電流源を制御してもよい。
この場合、充電開始直後および充電完了直前の両方において、バイアス電圧の変化を緩やかにできる。
【0014】
充電電流制御回路は、一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第1差動増幅器と、一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第2差動増幅器と、を含んでもよい。充電電流制御回路は、第1差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、第2差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、を合成した電流に応じて、第1可変電流源を制御してもよい。
この場合、充電電流が極大値をとるタイミングにおいても充電電流を緩やかに変化させることができ、さらにノイズを低減することができる。
【0015】
ある態様のバイアス電圧生成回路は、キャパシタから放電電流を引き抜いて放電させる放電回路と、キャパシタの電圧をバイアス電圧の目標値と比較し、比較結果に応じて放電電流の値を調節する放電電流制御回路と、をさらに備えてもよい。
この態様によれば、放電時においても、バイアス電圧の変化を緩やかにしてノイズを低減することができる。
【0016】
充電回路は、第1電流をキャパシタに供給する第1電流源と、充電電流制御回路による比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流を生成する第1可変電流源と、を含み、第1電流と第1可変電流の合成電流によってキャパシタを充電してもよい。放電回路は、第2電流をキャパシタから引き抜く第2電流源と、放電電流制御回路による比較結果に応じてその値が変化する第2可変電流を生成する第2可変電流源と、を含み、第2電流と第2可変電流の合成電流によってキャパシタを放電してもよい。
【0017】
充電電流制御回路および放電電流制御回路は、一方の入力端子に目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された差動増幅器を共有して一体に構成され、差動増幅器により生成される差動電流に応じて、第1可変電流源および第2可変電流源それぞれを制御してもよい。
【0018】
充電電流制御回路および放電電流制御回路は、差動増幅器の2極性の差動電流の両方を合成した電流に応じて、第1可変電流源および第2可変電流源それぞれを制御してもよい。
【0019】
充電電流制御回路および放電電流制御回路は、一方の入力端子に前記目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第1差動増幅器と、一方の入力端子に目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第2差動増幅器と、を共有して一体に構成されてもよい。充電電流制御回路および放電電流制御回路は、第1差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、第2差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、を合成した電流に応じて、第1可変電流源および第2可変電流源それぞれを制御してもよい。
【0020】
第1可変電流源は、キャパシタから電流を引き抜く経路に設けられ、その制御端子にバイアス電圧に応じた電位が入力され、バイアス電圧が上昇するほどオフとなるトランジスタを含んでもよい。第2可変電流源は、キャパシタに電流を供給する経路に設けられ、その制御端子にバイアス電圧に応じた電位が入力され、バイアス電圧が低下するほどオフとなるトランジスタを含んでもよい。
【0021】
本発明の別の態様は、オーディオ信号処理回路である。このオーディオ信号処理回路は、オーディオ信号を増幅する増幅回路と、増幅回路に対するバイアス電圧を生成する上述のいずれかの態様のバイアス電圧生成回路と、を備える。
本明細書において「増幅」とは、利得が1より大きい場合のほか、1より小さい場合、すなわち「減衰」も含み、あるいは利得が1の場合(単なるインピーダンス変換)も含む。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、アナログのオーディオ信号を出力するオーディオ信号生成部と、オーディオ信号に対して所定の信号処理を実行する上述のオーディオ信号処理回路と、オーディオ信号処理回路の出力信号を音響信号に変換する音声出力部と、を備える。
【0023】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ノイズを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0026】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0027】
図1は、本実施の形態に係る増幅回路100を備えるオーディオ再生装置300の構成を示すブロック図である。オーディオ再生装置300は、オーディオ信号(音声信号)を出力する機能を有し、携帯電話端末、ポータブルオーディオプレイヤ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電子機器に搭載される。オーディオ再生装置300は、オーディオ管理IC200、オーディオ信号生成部210、音声出力部220を備える。
【0028】
オーディオ信号生成部210は、アナログのオーディオ信号S1を生成し、出力端子202から出力する。オーディオ信号生成部210により生成されるオーディオ信号S1は、電子機器に応じて異なっており、オーディオプレイヤの場合音楽やビープ音であり、携帯電話端末の場合、着信音、通話相手、その他の音声などである。
【0029】
オーディオ管理IC200は、オーディオ信号S1に対して所定の信号処理を実行するオーディオ信号処理回路として機能する。所定の信号処理は、電子機器に応じて異なっており、たとえば増幅、ボリウム制御、フィルタリングなどが例示される。オーディオ管理IC200はひとつの半導体基板上に一体集積化されるのが好ましい。
【0030】
カップリングキャパシタC1は、オーディオ信号生成部210とオーディオ管理IC200との間に設けられる。音声出力部220は、スピーカ、ヘッドホン、イヤホンなどの電気音響変換素子であり、オーディオ管理IC200の出力信号S2をカップリングキャパシタC2を介して受け、これを音響信号に変換して出力する。
【0031】
オーディオ管理IC200は、増幅回路100を含む。図1ではオーディオ管理IC200が増幅回路100そのものであるが、実際にはオーディオ管理IC200は増幅回路100以外の図示しない回路ブロックを含んでも良い。
【0032】
増幅回路100は、オーディオ管理IC200の初段に設けられており、オーディオ管理IC200の入力バッファとしても機能する。また増幅回路100は、オーディオ信号S1をバイアス電位Vbiasに重畳する。つまり、オーディオ管理IC200の内部において、オーディオ信号S1は、バイアス電圧Vbiasを中心として振動する。たとえばバイアス電圧Vbiasは、オーディオ管理IC200に供給される電源電圧Vddと接地電位の中点Vdd/2に設定される。
【0033】
図1では、オーディオ管理IC200、オーディオ信号生成部210は別個のICとして構成されるが、同一のICとして構成されてもよい。
【0034】
以上がオーディオ再生装置300の全体構成である。続いて増幅回路100の構成を説明する。増幅回路100は、増幅部10、バイアス電圧生成回路50を備える。
【0035】
増幅部10は、カップリングキャパシタC1を介して入力されたオーディオ信号S1を増幅する。図1の増幅部10は反転増幅器であるが、本発明はこれに限定されず、非反転増幅器であってもよいし、単なるボルテージフォロア(バッファ)であってもよい。
【0036】
増幅部10は、演算増幅器12、帰還抵抗R1、入力抵抗R2を含む。演算増幅器12の非反転入力端子(+)には、バイアス電圧Vbiasが印加される。入力抵抗R2は、演算増幅器12の反転入力端子(−)とカップリングキャパシタC1の間に設けられる。帰還抵抗R1は、演算増幅器12の出力端子と反転入力端子(−)との間に設けられる。
【0037】
増幅部10の出力信号S2の電圧をVo、入力オーディオ信号S1の電圧振幅をViとすると、
Vo=Vbias+(Vbias−Vi)×R1/R2 …(1)
が成り立つ。
【0038】
演算増幅器12の出力端子は、出力パッド104と接続されている。出力パッド104は、カップリングキャパシタC2を介して音声出力部220と接続される。
【0039】
バイパススイッチSW1は、増幅部10の出力端子側の第1ノードN1と、増幅部10の入力端子側の第2ノードN2との間に設けられる。第1ノードN1は、演算増幅器12の出力端子であり、第2ノードN2は、反転入力端子(−)である。
【0040】
バイパススイッチSW1のオン、オフ状態は、制御部30により制御される。
【0041】
バイアス電圧生成回路50は、増幅部10においてオーディオ信号S1に重畳すべきバイアス電圧Vbiasを生成する。バイアス電圧生成回路50は、キャパシタC3および充放電回路52を備える。
【0042】
キャパシタC3は、一端が接地されてその電位が固定されており、他端がキャパシタ端子106と接続される。充放電回路52は、キャパシタC3に対して充電電流Ichgを供給する充電回路54と、放電電流Idisを引き抜く放電回路56を含み、キャパシタC3の電荷量を制御する。バイアス電圧生成回路50は、キャパシタC3に蓄えられた電荷量に応じたバイアス電圧Vbiasを出力する。
【0043】
以上が増幅回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0044】
オーディオ再生装置300の電源投入時、あるいはスタンバイ状態からの復帰時(以下、単に起動時という)において、入力端子102の電位は接地電位(0V)となっている。オーディオ再生装置300が起動すると、制御部30は、バイパススイッチSW1をオンする。バイパススイッチSW1がオンすると、演算増幅器12および増幅部10はボルテージフォロア回路として機能するため、第1ノードN2および第2ノードN2の電位は、演算増幅器12の非反転入力端子に入力されるバイアス電圧Vbiasと等しくなる。
【0045】
この状態において、充放電回路52がキャパシタC3の充電を開始すると、バイアス電圧Vbiasが時間とともに緩やかに上昇する。その結果、第1ノードN1および第2ノードN2の電位も、時間とともに緩やかに上昇する。
バイアス電圧Vbiasが所定の目標値Vsetに達すると、バイパススイッチSW1がオンからオフに切りかえられる。バイパススイッチSW1がオフした後はミュート解除状態(アクティブ状態)となり、増幅部10は、オーディオ信号S1を増幅して音声出力部220へと出力可能となる。
【0046】
以上がオーディオ再生装置300の動作である。実施の形態に係るオーディオ再生装置300は、バイアス電圧生成回路50の構成に特徴を有している。以下、このバイアス電圧生成回路50の構成について詳細に説明する。
【0047】
図2は、実施の形態に係るバイアス電圧生成回路50の構成を示す回路図である。バイアス電圧生成回路50は、キャパシタC3および充放電回路52を含む。充放電回路52は、充電回路54、充電電流制御回路CNT1、放電回路56、放電電流制御回路CNT2を備える。
【0048】
はじめに充電側に着目する。充電回路54は、キャパシタC3に充電電流Ichgを供給して充電する。充電電流制御回路CNT1は、キャパシタC3に生ずるバイアス電圧Vbiasを、バイアス電圧の目標値Vset(たとえばVdd/2)と比較し、比較結果に応じて充電電流Ichgの値を制御する。
【0049】
具体的には、充電回路54は、第1定電流源CCS1、第1可変電流源VCS1、第1スイッチSW11を含む。
【0050】
第1定電流源CCS1は、所定の第1定電流Ic1を生成し、キャパシタC3に供給する。第1可変電流源VCS1は、充電電流制御回路CNT1による比較結果に応じた制御信号S11にもとづいて、その値が変化する第1可変電流Iv1を生成する。
【0051】
第1スイッチSW11は、第1定電流源CCS1とキャパシタC3の間に設けられる。バイパススイッチSW1がオンすると、第1スイッチSW11には、第1定電流Ic1と第1可変電流Iv1の差分電流(Ic1−Iv1)が流れる。充電回路54はこの差分電流(Ic1−Iv1)を充電電流Ichgとして、キャパシタC3を充電する。
【0052】
図2の回路において、第1可変電流源VCS1は、制御端子(ゲート)に、比較結果に応じた制御信号S10が入力されたNチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成される。なお本明細書中のさまざまなトランジスタ素子は、バイポーラトランジスタであってもよい。
【0053】
充電電流制御回路CNT1は、差動増幅器AMP1を含む。差動増幅器AMP1は、差動対を構成するトランジスタM11、M12と、差動対に所定のテイル電流It1を供給するテイル電流源CS10、差動対に対する負荷として設けられたトランジスタM13、M14を含む。ここでテイル電流It1および第1可変電流Iv1それぞれは、第1定電流Ic1よりも小さく設定される。
【0054】
差動増幅器AMP1の一方の入力端子には、バイアス電圧Vbiasの目標値Vsetに応じた基準電圧Vrefが印加される。また他方の入力端子には、バイアス電圧Vbiasに応じた検出電圧Vs1が印加される。図2の構成では、検出電圧Vs1はバイアス電圧Vbiasであるが、バイアス電圧Vbiasを分圧した電圧を検出電圧Vs1としてもよい。
【0055】
充電電流制御回路CNT1は、差動増幅器AMP1の差動出力信号(電圧信号)の一方を、制御信号S11として出力する。制御信号S11は、検出電圧Vs1と基準電圧Vrefの比較結果に応じた信号となる。この制御信号S11が第1可変電流源VCS1のゲートに印加されて、第1可変電流源VCS1に流れる第1可変電流Iv1が調節される。トランジスタM13と第1可変電流源VCS1のMOSFETはカレントミラー回路を形成している。したがって、第1可変電流源VCS1により生成される第1可変電流Iv1は、差動増幅器AMP1により生成される差動電流の一方(Id1)に比例する。
【0056】
別の観点からみれば、第1可変電流源VCS1のMOSFETおよび充電電流制御回路CNT1は、検出電圧Vs1を第1可変電流Iv1に変換する、電圧電流変換回路と把握することもできる。
【0057】
続いて放電側に着目する。放電回路56は、キャパシタC3から放電電流Idisを引き抜いて、キャパシタC3を放電させる。放電電流制御回路CNT2は、キャパシタC3に生ずるバイアス電圧Vbiasを、その目標値Vset(たとえばVdd/2)と比較し、比較結果に応じて放電電流Idisの値を調節する。
【0058】
放電回路56の機能および構成は、充電回路54のそれらと対応しており、放電電流制御回路CNT2の機能および構成も、充電電流制御回路CNT1のそれらと対応する。充電側と放電側の対応関係を以下に示す。
【0059】
放電回路56は充電回路54と、第2定電流源CCS2は第1定電流源CCS1と、第2可変電流源VCS2は第1可変電流源VCS1と、第2スイッチSW12は第1スイッチSW11と、放電電流制御回路CNT2は充電電流制御回路CNT1と、トランジスタM21〜M24はトランジスタM11〜M14と、テイル電流源CS20はCS10と、それぞれ対応している。
【0060】
放電回路56は、第2スイッチSW12がオンした状態においてアクティブとなり、所定の定電流Ic2と第2可変電流源VCS2により生成される第2可変電流Iv2の差分(Ic2−Iv2)に相当する放電電流Idisによって、キャパシタC3を放電させる。
【0061】
図3は、図2のバイアス電圧生成回路50の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。時刻t0以前、キャパシタC3は完全に放電しており、バイアス電圧Vbiasは0Vである。時刻t0に、第1スイッチSW11がオンし、バイアス電圧生成回路50が充電状態に設定される。充電開始直後、Vbias<Vrefであるため、差動増幅器AMP1のテイル電流It1の大部分は、トランジスタM11側に流れる。つまり、第1可変電流Iv1は、充電開始直後において最大となる。各トランジスタのサイズおよび各定電流の値は、第1可変電流Iv1の最大値が第1定電流Ic1と一致するように設計される。
【0062】
充電開始直後、Iv1≒Ic1が成り立つため、充電電流Ichgは、非常に小さな値となる。その後、充電電流IchgがキャパシタC3に供給されると、バイアス電圧Vbiasが上昇していく。バイアス電圧Vbiasの上昇にともない、差動増幅器AMP1の差動バランスが変化し、第1可変電流Iv1の値が徐々に減少し、充電電流Ichgが増加していく。バイアス電圧Vbiasがその目標値Vsetに達すると、第1スイッチSW11がオフされ、キャパシタC3への充電が停止する。
【0063】
このように図1および図2のバイアス電圧生成回路50によれば、充電開始直後において、充電電流Ichgを、非常に小さな値にできるため、バイアス電圧Vbiasを緩やかに変化させることができ、ノイズの発生を好適に抑制することができる。
【0064】
放電側の動作は、充電側と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
図4は、図2のバイアス電圧生成回路の変形例を示す回路図である。図4のバイアス電圧生成回路50aは、充電電流制御回路CNT1および放電電流制御回路CNT2が、共通の差動増幅器AMP1を用いて構成される点が特徴である。以下、単一の差動増幅器AMP1を共有して構成される充電電流制御回路CNT1および放電電流制御回路CNT2を、充放電電流制御回路CNTと総称する。
【0066】
トランジスタM31はトランジスタM14とカレントミラー回路を形成する。トランジスタM32は、第2可変電流源VCS2のトランジスタとカレントミラー回路を形成しており、トランジスタM31に流れる電流を折り返すために設けられる。
【0067】
この構成では、第2可変電流源VCS2により生成される第2可変電流Iv2は、差動増幅器AMP1の差動電流の他方(Id2)に比例する。
【0068】
図4の回路によれば、充電電流制御回路CNT1と放電電流制御回路CNT2によって差動増幅器AMP1を共有できるため、回路面積を小さくできる。なお、図4において、各電流信号を適切に折り返すことにより、差動増幅器AMP1を、図2の差動増幅器AMP2の形式に置き換えることも可能である。
【0069】
図5は、図4のバイアス電圧生成回路の変形例を示す回路図である。図5のバイアス電圧生成回路50bにおいても、充電電流制御回路CNT1および放電電流制御回路CNT2は、差動増幅器AMP1を共有して構成される。
【0070】
図5と図4とを比較すると充放電電流制御回路CNTの構成および機能が異なっている。すなわち、図4の充放電電流制御回路CNTは、充電電流Ichgを、差動増幅器AMP1の差動電流Id1、Id2の一方(Id1)のみにもとづいて調節し、反対に、放電電流Idisを、差動増幅器AMP1の差動電流Id1、Id2の他方(Id2)のみにもとづいて調節する。
これに対して、図5の充放電電流制御回路CNTは、充電電流Ichgを差動電流Id1、Id2の両方にもとづいて調整する。同様に放電電流Idisを、差動電流Id1、Id2の両方にもとづいて調整する。
【0071】
図5の充放電電流制御回路CNTは、図4のそれに加えて、電流源CS11、CS12、トランジスタM15、M16をさらに含む。
【0072】
電流源CS11、CS12はそれぞれ、トランジスタM13、M14と接続される。電流源CS11は、定電流It1をトランジスタM13のドレインから別経路へと引き抜いている。また電流源CS12は、定電流It1をトランジスタM14のドレインから別経路へと引き抜いている。定電流It1は、テイル電流源CS10により生成されるテイル電流(2×It1)の1/2に設定される。トランジスタM13には、電流Id1’(=Id1−It1)が、トランジスタM14には、電流Id2’(=Id2−It1)が流れる。
【0073】
トランジスタM15、M16はそれぞれ、トランジスタM13、M14に対してカレントミラー回路を構成するように接続されており、トランジスタM13、M14に流れる流Id1、Id2をコピーする。トランジスタM15、M16のドレインは共通に接続されており、コピーされた差動電流Id1’’、Id2’’の和電流(Id1’’+Id2’’)が生成される。以下、この和電流(Id1’’+Id2’’)を、補正電流Icmpとも称する。
【0074】
充放電電流制御回路CNTは、充電電流Ichgおよび放電電流Ichgを、補正電流Icmpにもとづいて調節する。具体的には、第1可変電流Iv1および第2可変電流Iv2を、補正電流Icmpに応じた値に設定する。
【0075】
トランジスタM33、M34、M35は、補正電流Icmpをコピーし、あるいは折り返すためのカレントミラー回路である。この構成によって、第1可変電流源VCS1および第2可変電流源VCS2それぞれによって、補正電流Icmpに比例した第1可変電流Iv1および第2可変電流Iv2が好適に生成される。
【0076】
なお、図5において、充電側の充電電流制御回路CNT1と放電側の放電電流制御回路CNT2それぞれに対して、差動増幅器AMP1、AMP2を設けた変形例も、本発明の態様として有効である。
【0077】
図5のバイアス電圧生成回路50bの動作を説明する。図6は、図5のバイアス電圧生成回路50bの起動時の動作波形を示すタイムチャートである。時刻t0以前、キャパシタC3は完全に放電しており、バイアス電圧Vbiasは0Vである。時刻t0に、第1スイッチSW11がオンし、バイアス電圧生成回路50が充電状態に設定される。
【0078】
バイアス電圧Vbiasの上昇とともに、第1可変電流Iv1(Icmp)は減少していき、差動増幅器AMP1がバランスした状態で、Id1=Id2=It1が成立する。このとき第1可変電流Iv1(Icmp)は実質的にゼロとなる。さらにバイアス電圧Vbiasが増加すると、第1可変電流Iv1は増加に転じる。
【0079】
つまり、充電電流Ichgは、充電開始のタイミングt0で実質的にゼロであり、時間とともに増加して最大値をとった後(時刻t1)、減少し始め、充電完了のタイミング(t2)で実質的にゼロとなる。
【0080】
図5のバイアス電圧生成回路50bの効果は、図6のタイムチャートと図3のタイムチャートとの比較によってさらに明確となる。図3のタイムチャートでは、充電完了のタイミング(t2)において、バイアス電圧Vbiasが急激に変化する。これに対して、図6のタイムチャートを参照すると、充電完了のタイミング(t2)において、バイアス電圧Vbiasは緩やかに目標値Vsetに収束するため、ノイズの発生をさらに抑制することができる。
【0081】
図7は、図5の充放電電流制御回路の変形例を示す回路図である。
図5の充放電電流制御回路CNTは、2つの差動電流Id1およびId2を、単一の差動増幅器AMP1により生成するものであった。これに対して、図7の充放電電流制御回路CNTは、差動電流Id1を生成する差動増幅器AMP11と、差動電流Id2を生成する差動増幅器AMP12が別々に設けられている。各差動増幅器AMP11、AMP12の構成は、図5の差動増幅器AMP1と同様である。
【0082】
図8は、図7の充放電電流制御回路CNTを用いたバイアス電圧生成回路の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。図7の充放電電流制御回路CNTの効果は、図8のタイムチャートと図6のタイムチャートとの比較によってさらに明確となる。図6のタイムチャートでは、充電電流Ichgが極大値をとるタイミング(t1)で、充電電流Ichgが急激に変化する。これに対して、図7の充放電電流制御回路CNTを用いた場合、充電電流Ichgが極大値をとるタイミング(t1)においても、充電電流Ichgが緩やかに変化するため、バイアス電圧Vbiasの波形をさらになめらかに変化させることができ、ノイズの発生をさらに抑制することができる。
【0083】
上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例を説明する。
【0084】
図9は、図2のバイアス電圧生成回路の変形例の構成を示す回路図である。図9のバイアス電圧生成回路50cは、第1可変電流源VCS1としてNチャンネルMOSFETが設けられ、第2可変電流源VCS2としてPチャンネルMOSFETが設けられる。第1可変電流源VCS1のトランジスタのゲートと、第2可変電流源VCS2のトランジスタのゲートには、バイアス電圧Vbiasが直接印加される。つまり充電電流制御回路CNT1、放電電流制御回路CNT2が実質的に省略されており、回路面積を小さくすることができる。
【0085】
図10(a)〜(c)は、充放電回路52(充電回路54および放電回路56)の変形例を示す回路図である。図10(a)において、充放電回路52は、第1定電流源CCS1と、第2定電流源CCS2、スイッチSW12を含む。第2定電流源CCS2が生成する第2定電流Ic2は、第1定電流源CCS1が生成する第1定電流Ic1の2倍に設定される。この充放電回路52はスイッチSW12がオフの状態で充電回路54として、第2スイッチSW12がオンの状態で放電回路56として機能する。
【0086】
図10(b)の充放電回路52は、図2の充電回路54の第2定電流源CCS2を抵抗に置き換えた回路である。図10(c)の充放電回路52は、図2の放電回路56の第1定電流源CCS1を抵抗Rc1に置き換えた回路である。
【0087】
図2、図4、図5、図9などに示される充放電回路52は、図10(a)〜(c)に示される充放電回路52と置換することが可能であり、これらも本発明に含まれる。
【0088】
バイアス電圧生成回路50には、バイアス電圧Vbiasを目標値Vsetに保持するための目標電圧設定回路が設けられてもよい。図11(a)〜(d)は、目標電圧設定回路の構成を示す回路図である。
【0089】
図11(a)の目標電圧設定回路60aは、コンパレータCMP1、抵抗Rs1、Rs2を備える。抵抗Rs1、Rs2は電源電圧Vddを分圧し、バイアス電圧Vbiasの目標値Vsetを生成する。コンパレータCMP1は、バイアス電圧Vbiasと目標値Vsetを比較し、VbiasがVsetに達すると、第1スイッチSW11、第2スイッチSW12をともにオフする。
【0090】
図11(b)〜(c)の目標電圧設定回路60b〜60cは、バイアス電圧Vbiasを所定の電圧に固定するクランプ回路である。図11(b)の目標電圧設定回路60bは、トランジスタM31〜M34、抵抗Rs3、Rs4を含む。目標値Vsetは、抵抗Rs3およびRs4の値に応じて設定される。
【0091】
図11(c)の目標電圧設定回路60cは、キャパシタC3と電源端子の間に設けられたn個(nは自然数)のダイオードを含む。この回路では、目標値Vsetは、(Vdd−n×Vf)に設定される。Vfはダイオードの順方向電圧である。
【0092】
図11(d)の目標電圧設定回路60dは、キャパシタC3と接地端子の間に設けられたn個(nは自然数)のダイオードを含む。この回路では、目標値Vsetは、n×Vfに設定される。
【0093】
なお、目標電圧設定回路60の構成は図11(a)〜(d)に限定されるものではなく、その他の構成であってもよい。
【0094】
実施の形態では、キャパシタC3を充電する機能と放電する機能の両方を備えるバイアス電圧生成回路50について説明をしたが、いずれか一方のみを備えるバイアス電圧生成回路も本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施の形態に係る増幅回路を備えるオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係るバイアス電圧生成回路の構成を示す回路図である。
【図3】図2のバイアス電圧生成回路の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。
【図4】図2のバイアス電圧生成回路の変形例を示す回路図である。
【図5】図4のバイアス電圧生成回路の変形例を示す回路図である。
【図6】図5のバイアス電圧生成回路の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。
【図7】図5の充放電電流制御回路の変形例を示す回路図である。
【図8】図7の充放電電流制御回路を用いたバイアス電圧生成回路の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。
【図9】図2のバイアス電圧生成回路の変形例の構成を示す回路図である。
【図10】図10(a)〜(c)は、充放電回路(充電回路および放電回路)の変形例を示す回路図である。
【図11】図11(a)〜(d)は、目標電圧設定回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0096】
10…増幅部、12…演算増幅器、C1…カップリングキャパシタ、C3…キャパシタ、R1…帰還抵抗、R2…入力抵抗、SW1…バイパススイッチ、100…増幅回路、102…入力端子、200…オーディオ管理IC、210…オーディオ信号生成部、220…音声出力部、300…オーディオ再生装置、50…バイアス電圧生成回路、52…充放電回路、54…充電回路、56…放電回路、CNT1…充電電流制御回路、CNT2…放電電流制御回路、CNT…充放電電流制御回路、CCS1…第1定電流源、CCS2…第2定電流源、VCS1…第1可変電流源、VCS2…第2可変電流源、Ic1…第1定電流、Ic2…第2定電流、Iv1…第1可変電流、Iv2…第2可変電流、Ichg…充電電流、Idis…放電電流、SW11…第1スイッチ、SW12…第2スイッチ、AMP1…差動増幅器、60…目標電圧設定回路。
【技術分野】
【0001】
本発明は、交流信号を増幅する増幅回路に関する。
【背景技術】
【0002】
オーディオ機器においては、微弱な電気信号であるオーディオ信号を増幅してスピーカやイヤホンなどの電気音響変換素子に対して出力する。こうしたオーディオ機器では、数Hz〜数十kHzの可聴帯域の交流成分を含むアナログオーディオ信号(以下、単にオーディオ信号という)に対して、増幅、ボリウム制御、フィルタリングなどの所望の信号処理を行う信号処理回路が搭載される。
【0003】
信号処理回路の初段には、入力インピーダンスを高くするために、増幅回路(増幅装置)が設けられる。この増幅回路は、所定のバイアス電位を基準として、オーディオ信号を増幅する。したがって、増幅回路の入力端子は所定のバイアス電位にバイアスされ、処理の対象となるオーディオ信号は、カップリングキャパシタを介して入力端子にカップリングされ、オーディオ信号がバイアス電位と重畳される。
【0004】
増幅回路の起動時にバイアス電圧を急峻に立ち上げるとノイズが発生し、人間の耳に不快な聴感を与えてしまう。そこでバイアス電圧(基準電圧)を緩やかに立ち上げる必要がある。
【特許文献1】特開2003−258559号公報
【特許文献2】特開2008−148147号公報
【特許文献3】米国特許第5939938号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
たとえば、特許文献3の図1には、電源端子と接地端子の間に直列に設けられた2つの抵抗(R1、R2)を含む抵抗分圧回路と、2つの抵抗(R1、R2)接続点と接地端子間に設けられたバイパスキャパシタ(CB)と、を備える基準電圧(VREF)の生成回路が開示されている。この回路によれば、基準電圧(VREF)は、CR時定数に従って上昇するため、充電もしくは放電開始直後の時間微分値(dVREF/dt)が大きくなる。引用文献3の図5Aを参照すると、起動時において、基準電圧(VREF)は、アンプ(116/124)の出力電圧に対応し、スピーカ(114a)には、カップリングキャパシタ(Cc)を介してアンプの出力電圧が供給される。カップリングキャパシタ(Cc)によってアンプの出力電圧波形は微分されるため、スピーカにはさらに急峻な波形の電圧が与えられ、ノイズが発生する。
【0006】
特許文献3の図7、9、10等には、抵抗に代えて、定電流源(152)を用いて、バイパスキャパシタ(CB)を充電する回路も開示されている。この回路において、基準電圧(VREF)は、図8に示されるように定電流の値にしたがって直線的に増加、減少する。この回路によれば、抵抗(R1、R2)を用いた場合に比べるとノイズを低減することができるが、さらなるノイズの低減が望まれている。
【0007】
本発明はこうした課題に鑑みてなされたものであり、その包括的な目的のひとつは、ノイズを抑制した増幅回路の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様は、バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路に関する。このバイアス電圧生成回路は、キャパシタと、キャパシタに充電電流を供給して充電する充電回路と、キャパシタの電圧をバイアス電圧の目標値と比較し、比較結果に応じて充電電流の値を調節する充電電流制御回路と、を備える。バイアス電圧生成回路は、キャパシタの電圧をバイアス電圧として出力する。
【0009】
この態様によると、充電電流の値をバイアス電圧のレベルに応じて最適化することができ、バイアス電圧を緩やかに立ち上げ、ノイズを低減することができる。
【0010】
充電回路は、キャパシタに第1電流を供給する第1電流源と、充電電流制御回路による比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流を生成する第1可変電流源と、を含み、第1電流と第1可変電流の合成電流によってキャパシタを充電してもよい。
【0011】
充電電流制御回路は、一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された差動増幅器を含んでもよい。充電電流制御回路は、差動増幅器により生成される差動電流に応じて、第1可変電流源を制御してもよい。
この態様によると、基準電圧の値をバイアス電圧の目標値に応じて設定することにより、バイアス電圧とその目標値を比較することができ、充電電流を比較結果に応じた値に設定できる。
【0012】
充電電流制御回路は、差動増幅器の2極性の差動電流の一方に応じて、第1可変電流源を制御してもよい。この場合、充電開始直後、もしくは充電完了直前における、バイアス電圧の変化を緩やかにできる。
【0013】
充電電流制御回路は、差動増幅器の2極性の差動電流の両方を合成した電流に応じて、第1可変電流源を制御してもよい。
この場合、充電開始直後および充電完了直前の両方において、バイアス電圧の変化を緩やかにできる。
【0014】
充電電流制御回路は、一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第1差動増幅器と、一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第2差動増幅器と、を含んでもよい。充電電流制御回路は、第1差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、第2差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、を合成した電流に応じて、第1可変電流源を制御してもよい。
この場合、充電電流が極大値をとるタイミングにおいても充電電流を緩やかに変化させることができ、さらにノイズを低減することができる。
【0015】
ある態様のバイアス電圧生成回路は、キャパシタから放電電流を引き抜いて放電させる放電回路と、キャパシタの電圧をバイアス電圧の目標値と比較し、比較結果に応じて放電電流の値を調節する放電電流制御回路と、をさらに備えてもよい。
この態様によれば、放電時においても、バイアス電圧の変化を緩やかにしてノイズを低減することができる。
【0016】
充電回路は、第1電流をキャパシタに供給する第1電流源と、充電電流制御回路による比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流を生成する第1可変電流源と、を含み、第1電流と第1可変電流の合成電流によってキャパシタを充電してもよい。放電回路は、第2電流をキャパシタから引き抜く第2電流源と、放電電流制御回路による比較結果に応じてその値が変化する第2可変電流を生成する第2可変電流源と、を含み、第2電流と第2可変電流の合成電流によってキャパシタを放電してもよい。
【0017】
充電電流制御回路および放電電流制御回路は、一方の入力端子に目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された差動増幅器を共有して一体に構成され、差動増幅器により生成される差動電流に応じて、第1可変電流源および第2可変電流源それぞれを制御してもよい。
【0018】
充電電流制御回路および放電電流制御回路は、差動増幅器の2極性の差動電流の両方を合成した電流に応じて、第1可変電流源および第2可変電流源それぞれを制御してもよい。
【0019】
充電電流制御回路および放電電流制御回路は、一方の入力端子に前記目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第1差動増幅器と、一方の入力端子に目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子にバイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第2差動増幅器と、を共有して一体に構成されてもよい。充電電流制御回路および放電電流制御回路は、第1差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、第2差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、を合成した電流に応じて、第1可変電流源および第2可変電流源それぞれを制御してもよい。
【0020】
第1可変電流源は、キャパシタから電流を引き抜く経路に設けられ、その制御端子にバイアス電圧に応じた電位が入力され、バイアス電圧が上昇するほどオフとなるトランジスタを含んでもよい。第2可変電流源は、キャパシタに電流を供給する経路に設けられ、その制御端子にバイアス電圧に応じた電位が入力され、バイアス電圧が低下するほどオフとなるトランジスタを含んでもよい。
【0021】
本発明の別の態様は、オーディオ信号処理回路である。このオーディオ信号処理回路は、オーディオ信号を増幅する増幅回路と、増幅回路に対するバイアス電圧を生成する上述のいずれかの態様のバイアス電圧生成回路と、を備える。
本明細書において「増幅」とは、利得が1より大きい場合のほか、1より小さい場合、すなわち「減衰」も含み、あるいは利得が1の場合(単なるインピーダンス変換)も含む。
【0022】
本発明のさらに別の態様は、電子機器である。この電子機器は、アナログのオーディオ信号を出力するオーディオ信号生成部と、オーディオ信号に対して所定の信号処理を実行する上述のオーディオ信号処理回路と、オーディオ信号処理回路の出力信号を音響信号に変換する音声出力部と、を備える。
【0023】
なお、以上の構成要素の任意の組み合わせや本発明の構成要素や表現を、方法、装置、システムなどの間で相互に置換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、ノイズを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0026】
本明細書において、「部材Aが、部材Bと接続された状態」とは、部材Aと部材Bが物理的に直接的に接続される場合や、部材Aと部材Bが、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。同様に、「部材Cが、部材Aと部材Bの間に設けられた状態」とは、部材Aと部材C、あるいは部材Bと部材Cが直接的に接続される場合のほか、電気的な接続状態に影響を及ぼさない他の部材を介して間接的に接続される場合も含む。
【0027】
図1は、本実施の形態に係る増幅回路100を備えるオーディオ再生装置300の構成を示すブロック図である。オーディオ再生装置300は、オーディオ信号(音声信号)を出力する機能を有し、携帯電話端末、ポータブルオーディオプレイヤ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラなどの電子機器に搭載される。オーディオ再生装置300は、オーディオ管理IC200、オーディオ信号生成部210、音声出力部220を備える。
【0028】
オーディオ信号生成部210は、アナログのオーディオ信号S1を生成し、出力端子202から出力する。オーディオ信号生成部210により生成されるオーディオ信号S1は、電子機器に応じて異なっており、オーディオプレイヤの場合音楽やビープ音であり、携帯電話端末の場合、着信音、通話相手、その他の音声などである。
【0029】
オーディオ管理IC200は、オーディオ信号S1に対して所定の信号処理を実行するオーディオ信号処理回路として機能する。所定の信号処理は、電子機器に応じて異なっており、たとえば増幅、ボリウム制御、フィルタリングなどが例示される。オーディオ管理IC200はひとつの半導体基板上に一体集積化されるのが好ましい。
【0030】
カップリングキャパシタC1は、オーディオ信号生成部210とオーディオ管理IC200との間に設けられる。音声出力部220は、スピーカ、ヘッドホン、イヤホンなどの電気音響変換素子であり、オーディオ管理IC200の出力信号S2をカップリングキャパシタC2を介して受け、これを音響信号に変換して出力する。
【0031】
オーディオ管理IC200は、増幅回路100を含む。図1ではオーディオ管理IC200が増幅回路100そのものであるが、実際にはオーディオ管理IC200は増幅回路100以外の図示しない回路ブロックを含んでも良い。
【0032】
増幅回路100は、オーディオ管理IC200の初段に設けられており、オーディオ管理IC200の入力バッファとしても機能する。また増幅回路100は、オーディオ信号S1をバイアス電位Vbiasに重畳する。つまり、オーディオ管理IC200の内部において、オーディオ信号S1は、バイアス電圧Vbiasを中心として振動する。たとえばバイアス電圧Vbiasは、オーディオ管理IC200に供給される電源電圧Vddと接地電位の中点Vdd/2に設定される。
【0033】
図1では、オーディオ管理IC200、オーディオ信号生成部210は別個のICとして構成されるが、同一のICとして構成されてもよい。
【0034】
以上がオーディオ再生装置300の全体構成である。続いて増幅回路100の構成を説明する。増幅回路100は、増幅部10、バイアス電圧生成回路50を備える。
【0035】
増幅部10は、カップリングキャパシタC1を介して入力されたオーディオ信号S1を増幅する。図1の増幅部10は反転増幅器であるが、本発明はこれに限定されず、非反転増幅器であってもよいし、単なるボルテージフォロア(バッファ)であってもよい。
【0036】
増幅部10は、演算増幅器12、帰還抵抗R1、入力抵抗R2を含む。演算増幅器12の非反転入力端子(+)には、バイアス電圧Vbiasが印加される。入力抵抗R2は、演算増幅器12の反転入力端子(−)とカップリングキャパシタC1の間に設けられる。帰還抵抗R1は、演算増幅器12の出力端子と反転入力端子(−)との間に設けられる。
【0037】
増幅部10の出力信号S2の電圧をVo、入力オーディオ信号S1の電圧振幅をViとすると、
Vo=Vbias+(Vbias−Vi)×R1/R2 …(1)
が成り立つ。
【0038】
演算増幅器12の出力端子は、出力パッド104と接続されている。出力パッド104は、カップリングキャパシタC2を介して音声出力部220と接続される。
【0039】
バイパススイッチSW1は、増幅部10の出力端子側の第1ノードN1と、増幅部10の入力端子側の第2ノードN2との間に設けられる。第1ノードN1は、演算増幅器12の出力端子であり、第2ノードN2は、反転入力端子(−)である。
【0040】
バイパススイッチSW1のオン、オフ状態は、制御部30により制御される。
【0041】
バイアス電圧生成回路50は、増幅部10においてオーディオ信号S1に重畳すべきバイアス電圧Vbiasを生成する。バイアス電圧生成回路50は、キャパシタC3および充放電回路52を備える。
【0042】
キャパシタC3は、一端が接地されてその電位が固定されており、他端がキャパシタ端子106と接続される。充放電回路52は、キャパシタC3に対して充電電流Ichgを供給する充電回路54と、放電電流Idisを引き抜く放電回路56を含み、キャパシタC3の電荷量を制御する。バイアス電圧生成回路50は、キャパシタC3に蓄えられた電荷量に応じたバイアス電圧Vbiasを出力する。
【0043】
以上が増幅回路100の構成である。続いてその動作を説明する。
【0044】
オーディオ再生装置300の電源投入時、あるいはスタンバイ状態からの復帰時(以下、単に起動時という)において、入力端子102の電位は接地電位(0V)となっている。オーディオ再生装置300が起動すると、制御部30は、バイパススイッチSW1をオンする。バイパススイッチSW1がオンすると、演算増幅器12および増幅部10はボルテージフォロア回路として機能するため、第1ノードN2および第2ノードN2の電位は、演算増幅器12の非反転入力端子に入力されるバイアス電圧Vbiasと等しくなる。
【0045】
この状態において、充放電回路52がキャパシタC3の充電を開始すると、バイアス電圧Vbiasが時間とともに緩やかに上昇する。その結果、第1ノードN1および第2ノードN2の電位も、時間とともに緩やかに上昇する。
バイアス電圧Vbiasが所定の目標値Vsetに達すると、バイパススイッチSW1がオンからオフに切りかえられる。バイパススイッチSW1がオフした後はミュート解除状態(アクティブ状態)となり、増幅部10は、オーディオ信号S1を増幅して音声出力部220へと出力可能となる。
【0046】
以上がオーディオ再生装置300の動作である。実施の形態に係るオーディオ再生装置300は、バイアス電圧生成回路50の構成に特徴を有している。以下、このバイアス電圧生成回路50の構成について詳細に説明する。
【0047】
図2は、実施の形態に係るバイアス電圧生成回路50の構成を示す回路図である。バイアス電圧生成回路50は、キャパシタC3および充放電回路52を含む。充放電回路52は、充電回路54、充電電流制御回路CNT1、放電回路56、放電電流制御回路CNT2を備える。
【0048】
はじめに充電側に着目する。充電回路54は、キャパシタC3に充電電流Ichgを供給して充電する。充電電流制御回路CNT1は、キャパシタC3に生ずるバイアス電圧Vbiasを、バイアス電圧の目標値Vset(たとえばVdd/2)と比較し、比較結果に応じて充電電流Ichgの値を制御する。
【0049】
具体的には、充電回路54は、第1定電流源CCS1、第1可変電流源VCS1、第1スイッチSW11を含む。
【0050】
第1定電流源CCS1は、所定の第1定電流Ic1を生成し、キャパシタC3に供給する。第1可変電流源VCS1は、充電電流制御回路CNT1による比較結果に応じた制御信号S11にもとづいて、その値が変化する第1可変電流Iv1を生成する。
【0051】
第1スイッチSW11は、第1定電流源CCS1とキャパシタC3の間に設けられる。バイパススイッチSW1がオンすると、第1スイッチSW11には、第1定電流Ic1と第1可変電流Iv1の差分電流(Ic1−Iv1)が流れる。充電回路54はこの差分電流(Ic1−Iv1)を充電電流Ichgとして、キャパシタC3を充電する。
【0052】
図2の回路において、第1可変電流源VCS1は、制御端子(ゲート)に、比較結果に応じた制御信号S10が入力されたNチャンネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)で構成される。なお本明細書中のさまざまなトランジスタ素子は、バイポーラトランジスタであってもよい。
【0053】
充電電流制御回路CNT1は、差動増幅器AMP1を含む。差動増幅器AMP1は、差動対を構成するトランジスタM11、M12と、差動対に所定のテイル電流It1を供給するテイル電流源CS10、差動対に対する負荷として設けられたトランジスタM13、M14を含む。ここでテイル電流It1および第1可変電流Iv1それぞれは、第1定電流Ic1よりも小さく設定される。
【0054】
差動増幅器AMP1の一方の入力端子には、バイアス電圧Vbiasの目標値Vsetに応じた基準電圧Vrefが印加される。また他方の入力端子には、バイアス電圧Vbiasに応じた検出電圧Vs1が印加される。図2の構成では、検出電圧Vs1はバイアス電圧Vbiasであるが、バイアス電圧Vbiasを分圧した電圧を検出電圧Vs1としてもよい。
【0055】
充電電流制御回路CNT1は、差動増幅器AMP1の差動出力信号(電圧信号)の一方を、制御信号S11として出力する。制御信号S11は、検出電圧Vs1と基準電圧Vrefの比較結果に応じた信号となる。この制御信号S11が第1可変電流源VCS1のゲートに印加されて、第1可変電流源VCS1に流れる第1可変電流Iv1が調節される。トランジスタM13と第1可変電流源VCS1のMOSFETはカレントミラー回路を形成している。したがって、第1可変電流源VCS1により生成される第1可変電流Iv1は、差動増幅器AMP1により生成される差動電流の一方(Id1)に比例する。
【0056】
別の観点からみれば、第1可変電流源VCS1のMOSFETおよび充電電流制御回路CNT1は、検出電圧Vs1を第1可変電流Iv1に変換する、電圧電流変換回路と把握することもできる。
【0057】
続いて放電側に着目する。放電回路56は、キャパシタC3から放電電流Idisを引き抜いて、キャパシタC3を放電させる。放電電流制御回路CNT2は、キャパシタC3に生ずるバイアス電圧Vbiasを、その目標値Vset(たとえばVdd/2)と比較し、比較結果に応じて放電電流Idisの値を調節する。
【0058】
放電回路56の機能および構成は、充電回路54のそれらと対応しており、放電電流制御回路CNT2の機能および構成も、充電電流制御回路CNT1のそれらと対応する。充電側と放電側の対応関係を以下に示す。
【0059】
放電回路56は充電回路54と、第2定電流源CCS2は第1定電流源CCS1と、第2可変電流源VCS2は第1可変電流源VCS1と、第2スイッチSW12は第1スイッチSW11と、放電電流制御回路CNT2は充電電流制御回路CNT1と、トランジスタM21〜M24はトランジスタM11〜M14と、テイル電流源CS20はCS10と、それぞれ対応している。
【0060】
放電回路56は、第2スイッチSW12がオンした状態においてアクティブとなり、所定の定電流Ic2と第2可変電流源VCS2により生成される第2可変電流Iv2の差分(Ic2−Iv2)に相当する放電電流Idisによって、キャパシタC3を放電させる。
【0061】
図3は、図2のバイアス電圧生成回路50の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。時刻t0以前、キャパシタC3は完全に放電しており、バイアス電圧Vbiasは0Vである。時刻t0に、第1スイッチSW11がオンし、バイアス電圧生成回路50が充電状態に設定される。充電開始直後、Vbias<Vrefであるため、差動増幅器AMP1のテイル電流It1の大部分は、トランジスタM11側に流れる。つまり、第1可変電流Iv1は、充電開始直後において最大となる。各トランジスタのサイズおよび各定電流の値は、第1可変電流Iv1の最大値が第1定電流Ic1と一致するように設計される。
【0062】
充電開始直後、Iv1≒Ic1が成り立つため、充電電流Ichgは、非常に小さな値となる。その後、充電電流IchgがキャパシタC3に供給されると、バイアス電圧Vbiasが上昇していく。バイアス電圧Vbiasの上昇にともない、差動増幅器AMP1の差動バランスが変化し、第1可変電流Iv1の値が徐々に減少し、充電電流Ichgが増加していく。バイアス電圧Vbiasがその目標値Vsetに達すると、第1スイッチSW11がオフされ、キャパシタC3への充電が停止する。
【0063】
このように図1および図2のバイアス電圧生成回路50によれば、充電開始直後において、充電電流Ichgを、非常に小さな値にできるため、バイアス電圧Vbiasを緩やかに変化させることができ、ノイズの発生を好適に抑制することができる。
【0064】
放電側の動作は、充電側と同様であるため、説明を省略する。
【0065】
図4は、図2のバイアス電圧生成回路の変形例を示す回路図である。図4のバイアス電圧生成回路50aは、充電電流制御回路CNT1および放電電流制御回路CNT2が、共通の差動増幅器AMP1を用いて構成される点が特徴である。以下、単一の差動増幅器AMP1を共有して構成される充電電流制御回路CNT1および放電電流制御回路CNT2を、充放電電流制御回路CNTと総称する。
【0066】
トランジスタM31はトランジスタM14とカレントミラー回路を形成する。トランジスタM32は、第2可変電流源VCS2のトランジスタとカレントミラー回路を形成しており、トランジスタM31に流れる電流を折り返すために設けられる。
【0067】
この構成では、第2可変電流源VCS2により生成される第2可変電流Iv2は、差動増幅器AMP1の差動電流の他方(Id2)に比例する。
【0068】
図4の回路によれば、充電電流制御回路CNT1と放電電流制御回路CNT2によって差動増幅器AMP1を共有できるため、回路面積を小さくできる。なお、図4において、各電流信号を適切に折り返すことにより、差動増幅器AMP1を、図2の差動増幅器AMP2の形式に置き換えることも可能である。
【0069】
図5は、図4のバイアス電圧生成回路の変形例を示す回路図である。図5のバイアス電圧生成回路50bにおいても、充電電流制御回路CNT1および放電電流制御回路CNT2は、差動増幅器AMP1を共有して構成される。
【0070】
図5と図4とを比較すると充放電電流制御回路CNTの構成および機能が異なっている。すなわち、図4の充放電電流制御回路CNTは、充電電流Ichgを、差動増幅器AMP1の差動電流Id1、Id2の一方(Id1)のみにもとづいて調節し、反対に、放電電流Idisを、差動増幅器AMP1の差動電流Id1、Id2の他方(Id2)のみにもとづいて調節する。
これに対して、図5の充放電電流制御回路CNTは、充電電流Ichgを差動電流Id1、Id2の両方にもとづいて調整する。同様に放電電流Idisを、差動電流Id1、Id2の両方にもとづいて調整する。
【0071】
図5の充放電電流制御回路CNTは、図4のそれに加えて、電流源CS11、CS12、トランジスタM15、M16をさらに含む。
【0072】
電流源CS11、CS12はそれぞれ、トランジスタM13、M14と接続される。電流源CS11は、定電流It1をトランジスタM13のドレインから別経路へと引き抜いている。また電流源CS12は、定電流It1をトランジスタM14のドレインから別経路へと引き抜いている。定電流It1は、テイル電流源CS10により生成されるテイル電流(2×It1)の1/2に設定される。トランジスタM13には、電流Id1’(=Id1−It1)が、トランジスタM14には、電流Id2’(=Id2−It1)が流れる。
【0073】
トランジスタM15、M16はそれぞれ、トランジスタM13、M14に対してカレントミラー回路を構成するように接続されており、トランジスタM13、M14に流れる流Id1、Id2をコピーする。トランジスタM15、M16のドレインは共通に接続されており、コピーされた差動電流Id1’’、Id2’’の和電流(Id1’’+Id2’’)が生成される。以下、この和電流(Id1’’+Id2’’)を、補正電流Icmpとも称する。
【0074】
充放電電流制御回路CNTは、充電電流Ichgおよび放電電流Ichgを、補正電流Icmpにもとづいて調節する。具体的には、第1可変電流Iv1および第2可変電流Iv2を、補正電流Icmpに応じた値に設定する。
【0075】
トランジスタM33、M34、M35は、補正電流Icmpをコピーし、あるいは折り返すためのカレントミラー回路である。この構成によって、第1可変電流源VCS1および第2可変電流源VCS2それぞれによって、補正電流Icmpに比例した第1可変電流Iv1および第2可変電流Iv2が好適に生成される。
【0076】
なお、図5において、充電側の充電電流制御回路CNT1と放電側の放電電流制御回路CNT2それぞれに対して、差動増幅器AMP1、AMP2を設けた変形例も、本発明の態様として有効である。
【0077】
図5のバイアス電圧生成回路50bの動作を説明する。図6は、図5のバイアス電圧生成回路50bの起動時の動作波形を示すタイムチャートである。時刻t0以前、キャパシタC3は完全に放電しており、バイアス電圧Vbiasは0Vである。時刻t0に、第1スイッチSW11がオンし、バイアス電圧生成回路50が充電状態に設定される。
【0078】
バイアス電圧Vbiasの上昇とともに、第1可変電流Iv1(Icmp)は減少していき、差動増幅器AMP1がバランスした状態で、Id1=Id2=It1が成立する。このとき第1可変電流Iv1(Icmp)は実質的にゼロとなる。さらにバイアス電圧Vbiasが増加すると、第1可変電流Iv1は増加に転じる。
【0079】
つまり、充電電流Ichgは、充電開始のタイミングt0で実質的にゼロであり、時間とともに増加して最大値をとった後(時刻t1)、減少し始め、充電完了のタイミング(t2)で実質的にゼロとなる。
【0080】
図5のバイアス電圧生成回路50bの効果は、図6のタイムチャートと図3のタイムチャートとの比較によってさらに明確となる。図3のタイムチャートでは、充電完了のタイミング(t2)において、バイアス電圧Vbiasが急激に変化する。これに対して、図6のタイムチャートを参照すると、充電完了のタイミング(t2)において、バイアス電圧Vbiasは緩やかに目標値Vsetに収束するため、ノイズの発生をさらに抑制することができる。
【0081】
図7は、図5の充放電電流制御回路の変形例を示す回路図である。
図5の充放電電流制御回路CNTは、2つの差動電流Id1およびId2を、単一の差動増幅器AMP1により生成するものであった。これに対して、図7の充放電電流制御回路CNTは、差動電流Id1を生成する差動増幅器AMP11と、差動電流Id2を生成する差動増幅器AMP12が別々に設けられている。各差動増幅器AMP11、AMP12の構成は、図5の差動増幅器AMP1と同様である。
【0082】
図8は、図7の充放電電流制御回路CNTを用いたバイアス電圧生成回路の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。図7の充放電電流制御回路CNTの効果は、図8のタイムチャートと図6のタイムチャートとの比較によってさらに明確となる。図6のタイムチャートでは、充電電流Ichgが極大値をとるタイミング(t1)で、充電電流Ichgが急激に変化する。これに対して、図7の充放電電流制御回路CNTを用いた場合、充電電流Ichgが極大値をとるタイミング(t1)においても、充電電流Ichgが緩やかに変化するため、バイアス電圧Vbiasの波形をさらになめらかに変化させることができ、ノイズの発生をさらに抑制することができる。
【0083】
上記実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。以下、こうした変形例を説明する。
【0084】
図9は、図2のバイアス電圧生成回路の変形例の構成を示す回路図である。図9のバイアス電圧生成回路50cは、第1可変電流源VCS1としてNチャンネルMOSFETが設けられ、第2可変電流源VCS2としてPチャンネルMOSFETが設けられる。第1可変電流源VCS1のトランジスタのゲートと、第2可変電流源VCS2のトランジスタのゲートには、バイアス電圧Vbiasが直接印加される。つまり充電電流制御回路CNT1、放電電流制御回路CNT2が実質的に省略されており、回路面積を小さくすることができる。
【0085】
図10(a)〜(c)は、充放電回路52(充電回路54および放電回路56)の変形例を示す回路図である。図10(a)において、充放電回路52は、第1定電流源CCS1と、第2定電流源CCS2、スイッチSW12を含む。第2定電流源CCS2が生成する第2定電流Ic2は、第1定電流源CCS1が生成する第1定電流Ic1の2倍に設定される。この充放電回路52はスイッチSW12がオフの状態で充電回路54として、第2スイッチSW12がオンの状態で放電回路56として機能する。
【0086】
図10(b)の充放電回路52は、図2の充電回路54の第2定電流源CCS2を抵抗に置き換えた回路である。図10(c)の充放電回路52は、図2の放電回路56の第1定電流源CCS1を抵抗Rc1に置き換えた回路である。
【0087】
図2、図4、図5、図9などに示される充放電回路52は、図10(a)〜(c)に示される充放電回路52と置換することが可能であり、これらも本発明に含まれる。
【0088】
バイアス電圧生成回路50には、バイアス電圧Vbiasを目標値Vsetに保持するための目標電圧設定回路が設けられてもよい。図11(a)〜(d)は、目標電圧設定回路の構成を示す回路図である。
【0089】
図11(a)の目標電圧設定回路60aは、コンパレータCMP1、抵抗Rs1、Rs2を備える。抵抗Rs1、Rs2は電源電圧Vddを分圧し、バイアス電圧Vbiasの目標値Vsetを生成する。コンパレータCMP1は、バイアス電圧Vbiasと目標値Vsetを比較し、VbiasがVsetに達すると、第1スイッチSW11、第2スイッチSW12をともにオフする。
【0090】
図11(b)〜(c)の目標電圧設定回路60b〜60cは、バイアス電圧Vbiasを所定の電圧に固定するクランプ回路である。図11(b)の目標電圧設定回路60bは、トランジスタM31〜M34、抵抗Rs3、Rs4を含む。目標値Vsetは、抵抗Rs3およびRs4の値に応じて設定される。
【0091】
図11(c)の目標電圧設定回路60cは、キャパシタC3と電源端子の間に設けられたn個(nは自然数)のダイオードを含む。この回路では、目標値Vsetは、(Vdd−n×Vf)に設定される。Vfはダイオードの順方向電圧である。
【0092】
図11(d)の目標電圧設定回路60dは、キャパシタC3と接地端子の間に設けられたn個(nは自然数)のダイオードを含む。この回路では、目標値Vsetは、n×Vfに設定される。
【0093】
なお、目標電圧設定回路60の構成は図11(a)〜(d)に限定されるものではなく、その他の構成であってもよい。
【0094】
実施の形態では、キャパシタC3を充電する機能と放電する機能の両方を備えるバイアス電圧生成回路50について説明をしたが、いずれか一方のみを備えるバイアス電圧生成回路も本発明の態様として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本実施の形態に係る増幅回路を備えるオーディオ再生装置の構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係るバイアス電圧生成回路の構成を示す回路図である。
【図3】図2のバイアス電圧生成回路の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。
【図4】図2のバイアス電圧生成回路の変形例を示す回路図である。
【図5】図4のバイアス電圧生成回路の変形例を示す回路図である。
【図6】図5のバイアス電圧生成回路の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。
【図7】図5の充放電電流制御回路の変形例を示す回路図である。
【図8】図7の充放電電流制御回路を用いたバイアス電圧生成回路の起動時の動作波形を示すタイムチャートである。
【図9】図2のバイアス電圧生成回路の変形例の構成を示す回路図である。
【図10】図10(a)〜(c)は、充放電回路(充電回路および放電回路)の変形例を示す回路図である。
【図11】図11(a)〜(d)は、目標電圧設定回路の構成を示す回路図である。
【符号の説明】
【0096】
10…増幅部、12…演算増幅器、C1…カップリングキャパシタ、C3…キャパシタ、R1…帰還抵抗、R2…入力抵抗、SW1…バイパススイッチ、100…増幅回路、102…入力端子、200…オーディオ管理IC、210…オーディオ信号生成部、220…音声出力部、300…オーディオ再生装置、50…バイアス電圧生成回路、52…充放電回路、54…充電回路、56…放電回路、CNT1…充電電流制御回路、CNT2…放電電流制御回路、CNT…充放電電流制御回路、CCS1…第1定電流源、CCS2…第2定電流源、VCS1…第1可変電流源、VCS2…第2可変電流源、Ic1…第1定電流、Ic2…第2定電流、Iv1…第1可変電流、Iv2…第2可変電流、Ichg…充電電流、Idis…放電電流、SW11…第1スイッチ、SW12…第2スイッチ、AMP1…差動増幅器、60…目標電圧設定回路。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路であって、
キャパシタと、
前記キャパシタに充電電流を供給して充電する充電回路と、
前記キャパシタの電圧を前記バイアス電圧の目標値と比較し、比較結果に応じて前記充電電流の値を調節する充電電流制御回路と、
を備え、前記キャパシタの電圧を前記バイアス電圧として出力することを特徴とするバイアス電圧生成回路。
【請求項2】
前記充電回路は、
前記キャパシタに第1電流を供給する第1電流源と、
前記充電電流制御回路による前記比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流を生成する第1可変電流源と、
を含み、前記第1電流と前記第1可変電流の合成電流によって前記キャパシタを充電することを特徴とする請求項1に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項3】
前記充電電流制御回路は、
一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された差動増幅器を含み、
前記差動増幅器により生成される差動電流に応じて、前記第1可変電流源を制御することを特徴とする請求項2に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項4】
前記充電電流制御回路は、
前記差動増幅器の2極性の差動電流の両方を合成した電流に応じて、前記第1可変電流源を制御することを特徴とする請求項3に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項5】
前記充電電流制御回路は、
一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第1差動増幅器と、
一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第2差動増幅器と、
を含み、
前記第1差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、前記第2差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、を合成した電流に応じて、前記第1可変電流源を制御することを特徴とする請求項3に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項6】
前記キャパシタから放電電流を引き抜いて放電させる放電回路と、
前記キャパシタの電圧を前記バイアス電圧の目標値と比較し、比較結果に応じて前記放電電流の値を調節する放電電流制御回路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項7】
前記充電回路は、
第1電流を前記キャパシタに供給する第1電流源と、
前記充電電流制御回路による前記比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流を生成する第1可変電流源と、
を含み、前記第1電流と前記第1可変電流の合成電流によって前記キャパシタを充電し、 前記放電回路は、
第2電流を前記キャパシタから引き抜く第2電流源と、
前記放電電流制御回路による前記比較結果に応じてその値が変化する第2可変電流を生成する第2可変電流源と、
を含み、前記第2電流と前記第2可変電流の合成電流によって前記キャパシタを放電することを特徴とする請求項6に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項8】
前記充電電流制御回路および前記放電電流制御回路は、
一方の入力端子に前記目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された差動増幅器を共有して一体に構成され、
前記差動増幅器により生成される差動電流に応じて、前記第1可変電流源および前記第2可変電流源それぞれを制御することを特徴とする請求項7に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項9】
前記充電電流制御回路および前記放電電流制御回路は、
前記差動増幅器の2極性の差動電流の両方を合成した電流に応じて、前記第1可変電流源および前記第2可変電流源それぞれを制御することを特徴とする請求項8に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項10】
前記充電電流制御回路および前記放電電流制御回路は、
一方の入力端子に前記目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第1差動増幅器と、
一方の入力端子に前記目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第2差動増幅器と、
を共有して一体に構成され、
前記第1差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、前記第2差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、を合成した電流に応じて、前記第1可変電流源および前記第2可変電流源それぞれを制御することを特徴とする請求項7に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項11】
前記第1可変電流源は、前記キャパシタから電流を引き抜く経路に設けられ、その制御端子に前記バイアス電圧に応じた電位が入力され、前記バイアス電圧が上昇するほどオフとなるトランジスタを含み、
前記第2可変電流源は、前記キャパシタに電流を供給する経路に設けられ、その制御端子に前記バイアス電圧に応じた電位が入力され、前記バイアス電圧が低下するほどオフとなるトランジスタを含むことを特徴とする請求項7に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項12】
オーディオ信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路に対するバイアス電圧を生成する請求項1から11のいずれかに記載のバイアス電圧生成回路と、
を備えることを特徴とするオーディオ信号処理回路。
【請求項13】
アナログのオーディオ信号を出力するオーディオ信号生成部と、
前記オーディオ信号に対して所定の信号処理を実行する請求項12に記載のオーディオ信号処理回路と、
前記オーディオ信号処理回路の出力信号を音響信号に変換する音声出力部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
バイアス電圧を生成するバイアス電圧生成回路であって、
キャパシタと、
前記キャパシタに充電電流を供給して充電する充電回路と、
前記キャパシタの電圧を前記バイアス電圧の目標値と比較し、比較結果に応じて前記充電電流の値を調節する充電電流制御回路と、
を備え、前記キャパシタの電圧を前記バイアス電圧として出力することを特徴とするバイアス電圧生成回路。
【請求項2】
前記充電回路は、
前記キャパシタに第1電流を供給する第1電流源と、
前記充電電流制御回路による前記比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流を生成する第1可変電流源と、
を含み、前記第1電流と前記第1可変電流の合成電流によって前記キャパシタを充電することを特徴とする請求項1に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項3】
前記充電電流制御回路は、
一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された差動増幅器を含み、
前記差動増幅器により生成される差動電流に応じて、前記第1可変電流源を制御することを特徴とする請求項2に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項4】
前記充電電流制御回路は、
前記差動増幅器の2極性の差動電流の両方を合成した電流に応じて、前記第1可変電流源を制御することを特徴とする請求項3に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項5】
前記充電電流制御回路は、
一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第1差動増幅器と、
一方の入力端子に所定の基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第2差動増幅器と、
を含み、
前記第1差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、前記第2差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、を合成した電流に応じて、前記第1可変電流源を制御することを特徴とする請求項3に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項6】
前記キャパシタから放電電流を引き抜いて放電させる放電回路と、
前記キャパシタの電圧を前記バイアス電圧の目標値と比較し、比較結果に応じて前記放電電流の値を調節する放電電流制御回路と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項7】
前記充電回路は、
第1電流を前記キャパシタに供給する第1電流源と、
前記充電電流制御回路による前記比較結果に応じてその値が変化する第1可変電流を生成する第1可変電流源と、
を含み、前記第1電流と前記第1可変電流の合成電流によって前記キャパシタを充電し、 前記放電回路は、
第2電流を前記キャパシタから引き抜く第2電流源と、
前記放電電流制御回路による前記比較結果に応じてその値が変化する第2可変電流を生成する第2可変電流源と、
を含み、前記第2電流と前記第2可変電流の合成電流によって前記キャパシタを放電することを特徴とする請求項6に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項8】
前記充電電流制御回路および前記放電電流制御回路は、
一方の入力端子に前記目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された差動増幅器を共有して一体に構成され、
前記差動増幅器により生成される差動電流に応じて、前記第1可変電流源および前記第2可変電流源それぞれを制御することを特徴とする請求項7に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項9】
前記充電電流制御回路および前記放電電流制御回路は、
前記差動増幅器の2極性の差動電流の両方を合成した電流に応じて、前記第1可変電流源および前記第2可変電流源それぞれを制御することを特徴とする請求項8に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項10】
前記充電電流制御回路および前記放電電流制御回路は、
一方の入力端子に前記目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第1差動増幅器と、
一方の入力端子に前記目標値に応じた基準電圧が印加され、他方の入力端子に前記バイアス電圧に応じた検出電圧が印加された第2差動増幅器と、
を共有して一体に構成され、
前記第1差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、前記第2差動増幅器により生成される2極性の差動電流の一方と、を合成した電流に応じて、前記第1可変電流源および前記第2可変電流源それぞれを制御することを特徴とする請求項7に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項11】
前記第1可変電流源は、前記キャパシタから電流を引き抜く経路に設けられ、その制御端子に前記バイアス電圧に応じた電位が入力され、前記バイアス電圧が上昇するほどオフとなるトランジスタを含み、
前記第2可変電流源は、前記キャパシタに電流を供給する経路に設けられ、その制御端子に前記バイアス電圧に応じた電位が入力され、前記バイアス電圧が低下するほどオフとなるトランジスタを含むことを特徴とする請求項7に記載のバイアス電圧生成回路。
【請求項12】
オーディオ信号を増幅する増幅回路と、
前記増幅回路に対するバイアス電圧を生成する請求項1から11のいずれかに記載のバイアス電圧生成回路と、
を備えることを特徴とするオーディオ信号処理回路。
【請求項13】
アナログのオーディオ信号を出力するオーディオ信号生成部と、
前記オーディオ信号に対して所定の信号処理を実行する請求項12に記載のオーディオ信号処理回路と、
前記オーディオ信号処理回路の出力信号を音響信号に変換する音声出力部と、
を備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−148182(P2010−148182A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−320206(P2008−320206)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】
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