説明

バイオガス生産用二階型嫌気消化装置

【課題】バイオガスの生産効率を最大にする嫌気消化装置を提供する。
【解決手段】畜産廃水または生ゴミを投入する1次投入槽と、前記1次投入槽を通過した流入水が投入される2次投入槽と、前記2次投入槽を通過した流入水が先入先出の順序でメタン発酵を遂行してバイオガスを生産するのと同時に、次の嫌気消化区域に移動するように設計された嫌気消化槽区域1、区域2、区域3及び区域4とからなり、前記嫌気消化槽区域4のガス層に連結されて生産されたバイオガスを捕集する装置と、前記下層部吸入管から吸入されたスラッジ液が新規流入水と熱交換を行なうように前記1次投入槽内部に具備される第1熱交換管と、前記熱交換が終わったスラッジ液から発生する悪臭ガス成分を処理する前記嫌気消化槽上層(二階)に具備される後処理槽区域1、区域2、区域3及び区域4と、悪臭成分が除去されたスラッジを保存する堆液肥槽からなる二階型嫌気消化装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオガス生産用二階(二層)型嫌気消化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
嫌気性消化処理は、一名「メタン発酵法」とも呼ばれ、飲食物、畜産廃棄物、下水スラッジ、糞尿などの有機性廃棄物などの安定化のための生物学的処理をする方法であり、嫌気性条件下で通性嫌気性菌及び絶対嫌気性菌の作用で高分子の有機物を加水分解して酢酸、プロピオン酸、酪酸などの揮発性脂肪酸を生成し、最終的にメタン、水素、二酸化炭素、アンモニア及び硫化水素にガス化する処理方法である。
【0003】
このような嫌気性消化処理は、活性スラッジ法が普及しながらも積極的に用いられなかったが、1970年代中盤のオイルショック以後に回収ガス(CH 60〜70%、CO 30〜40%)を燃料に利用することが可能で、多量の空気を通気させなければならない活性スラッジ法と比較して消費電力が少ないという長所、単位有機物当り発生する生物学的スラッジ量が好気性処理法に比べて顕著に少ない点、消化スラッジには、窒素、リン、腐植質などが豊かで肥料としての価値が高い点、単純な廃棄物の分解、処理機能以外にも燃料及び堆肥を生産する親環境的な資源再生方法という点で、積極的な石油代替エネルギー手段として多くの研究が活発に進行されてきた。
【0004】
嫌気性消化工程は、基本的に酸生産工程とメタン生成工程の2工程に分けられ、各工程で作用する微生物は、生理的な特徴及び栄養的要求性が非常に異なるため外部条件が変わると、二つの生物群の間の均衡が壊れて、全体工程の効率に阻害をもたらす。これに対する代案として、反応槽を酸生産工程とメタン生成工程の二つの反応槽に区ける2工程の発酵工程(2相法)が提案された。伝統的な1工程の反応工程(1相法)では、一つの反応槽で酸生産とメタン生成が同時に起きるため、酸生産工程とメタン生成工程を最適状態に調節することが不可能で、外部から流入する廃液の変化に敏感に反応して安全性が損なわれるという問題があった。これに反して、2相法は、各工程で相応しい環境条件を容易に維持させることができ、メタン反応槽の負荷率を適切に調節して、低級脂肪酸の蓄積による急速なpHの低下を防止して、メタン発酵に対する阻害をあらかじめ防止することができるという長所がある。しかし、このような2相法は、反応槽を別々に具備しなければならない点、それによって第1反応槽から第2反応槽に移送のためのシステムが必要とされる点等、コスト面で不利であり、各反応槽の反応条件を別々に調節しなければならないという煩雑な問題点がある。
【0005】
それで、本発明者等は、従来の2相法の代わりに一つの嫌気消化槽で酸生産工程及びメタン生成工程を遂行することができ、従来の1相法の問題点として指摘された酸生産とメタン生成の最適条件を同時に満足させることが難解な点を改善するために研究中、畜産糞尿または生ゴミなどの流入水を一つの嫌気消化槽内で先入先出方式で移動させながら、最適の条件を工程の流れによって適切に具備されられる二階型嫌気消化装置を開発して、本発明を完成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国登録特許第0481326号
【特許文献2】米国登録特許第7087775号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、構造的に簡単であり、最適の嫌気消化条件を付与してバイオガスの生産効率を最大化することができる嫌気消化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明は、畜産廃水または生ゴミ(以下「流入水」)が投入される1次投入槽と、前記1次投入槽を通過した流入水が投入される2次投入槽と、前記2次投入槽を通過した流入水が先入先出の順序でメタン発酵を遂行してバイオガスを生産するのと同時に次の嫌気消化区域に移動するように設計された嫌気消化槽区域1、区域2、区域3及び区域4と、前記区域1、区域2、区域3及び区域4の流入水に流動性を付与する散気ガス供給管及び散気管と、前記嫌気消化槽区域4の下層からスラッジ液を吸入する下層部吸入管と、前記嫌気消化槽区域4の上層から活性化液を吸入する上層部吸入管と、前記嫌気消化槽区域4のガス層に連結して生産されたバイオガスを捕集する装置と、前記下層部吸入管から吸入されたスラッジ液が新規流入水と熱交換を行なうように前記1次投入槽内部に具備された第1熱交換管と、前記熱交換が終わったスラッジ液が先入先出の順序で流入してスラッジ液から発生する悪臭ガス成分を処理する前記嫌気消化槽上層(二階)に具備される後処理槽区域1、区域2、区域3及び区域4と、悪臭成分が除去されたスラッジが放出されて保存される堆液肥槽からなる二階型嫌気消化装置を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明による嫌気消化装置は、別途のガス保存施設を必要とせず、流入水の投入時の複雑な前処理を必要としないで、流入水の温度を廃熱を利用して嫌気消化全体工程を通じて調節することで、メタン菌生育に最適な条件を提供することができ、発酵液を先入先出方式で嫌気消化可能にすることで、後入された未発酵液が先出される場合に後処理工程での悪臭成分除去効率を低下させ得る要因を除去することができ、複雑で多額の費用が求められる撹拌施設を備えることなしに、自体生産したバイオガスを精製または非精製して再活用することで、流入水に含まれた沈積物の浮遊現象及び均質化を誘発して、最適のメタン発酵効果を達成できるように徐々に流入水を移動させることができる。
【0010】
また、本発明は、安価のアンモニア及び硫化水素除去装置を通じて、従来のガス撹拌式嫌気消化槽の短所として指摘されたメタン菌生育の阻害になるアンモニア及び硫化水素の持続的な濃縮を防止することができ、生成されたアンモニア及び硫化水素の99%以上を除去することができ、バイオガス中の二酸化炭素含量を20%以下に低めることで、メタン含量が80%以上の都市ガス水準のバイオガスを生産することができるので、経済的な側面及び生産されるバイオガスの純度面で、非常に優秀な嫌気消化装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による二階(二層)型嫌気消化槽の畜産廃水または生ゴミ処理工程の流れ図。
【図2】本発明による二階型嫌気消化槽の下層(一階)消化槽を示した斜視図。
【図3】本発明による二階型嫌気消化槽の上層(二階)後処理槽を示した斜視図。
【図4】本発明による二階型嫌気消化槽に対する観測区間を表わした平面図。
【図5】図4に示された区間Aを正面から見た透視図。
【図6】図4に示された区間Bを正面から見た正面図。
【図7】図4に示された区間Cを正面から見た断面図。
【図8】本発明による二階型嫌気消化槽の下層(一階)の消化槽を上から見た平面図。
【図9】本発明による二階型嫌気消化槽の下層部最終発酵液(スラッジ液)を吸入する配管の配列を示す平面図(a)及び側面図(b)。
【図10】本発明による二階型嫌気消化槽の上層部の種菌接種液及び希釈液を吸入する配管の配列を示す平面図(a)及び側面図(b)。
【図11】図4に示された区間Dを側面から見た図。
【図12】本発明による二階型嫌気消化槽に具備されるアンモニア/硫化水素除去装置を示した図で、 (a):アンモニア/硫化水素除去装置と嫌気消化槽の概略的な連結図、 (b):A型タンクとB型タンクが結合された形態のアンモニア/硫化水素除去装置を示す図、 (c):A’型タンクのみで構成される硫化水素除去装置を示す図。
【図13】本発明のまた他の実施態様による二階型嫌気消化槽の下層(一階)の消化槽 を上から見た平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明は、一つの嫌気消化槽で酸生産工程及びメタン生成工程を同時に遂行することができる最適の嫌気消化条件を付与して、バイオガスの生産効率を高めることができる二階(二層)形態の構造を有する嫌気消化装置を提供する。
【0013】
以下、本発明の一実施態様による嫌気消化装置を添付した図面を参照して詳しく説明する。
【0014】
本発明の一実施態様による前記嫌気消化装置は、
畜産廃水または生ゴミ(以下「流入水」)が投入される1次投入槽(3)と、
前記1次投入槽(3)を通過した流入水が投入される2次投入槽(4)と、
前記2次投入槽(4)を通過した流入水が先入先出の順序でメタン発酵を遂行してバイオガスを生産するのと同時に、次の嫌気消化区域に移動するように設計された嫌気消化槽区域1(5)、区域2(6)、区域3(7)及び区域4(8)と、
前記区域1、区域2、区域3及び区域4の流入水に流動性を付与する散気ガス供給管及び散気管と、
前記嫌気消化槽区域4(8)の下層からスラッジ液を吸入する下層部吸入管(41)と、
前記嫌気消化槽区域4(8)の上層から活性化液を吸入する上層部吸入管(42)と、
前記嫌気消化槽区域4(8)のガス層に連結して生産されたバイオガスを捕集する装置と、
前記下層部吸入管(41)から吸入されたスラッジ液が新規流入水と熱交換を行なうように前記1次投入槽(3)内部に具備される第1熱交換管(2)と、
前記熱交換が終わったスラッジ液が先入先出の順序で流入してスラッジ液から発生する悪臭ガス成分を処理する前記嫌気消化槽上層に具備される後処理槽区域1(11)、区域2(12)、区域3(13)及び区域4(14)と、
悪臭成分が除去されたスラッジが放出されて保存される堆液肥槽とで構成される。
【0015】
本発明の一実施態様による嫌気消化装置は、嫌気消化槽区域1(5)、区域2(6)、区域3(7)及び区域4(8)の底には、最適のメタン発酵温度が維持されるようにオンドル配管(9)を具備する(図2参照)。
【0016】
前記オンドル配管(9)は、嫌気消化槽内でメタン生成菌によってメタンが生成され得る最適温度である35〜55℃を提供する。初期投入された流入水の温度は、夏季の場合は約18℃、冬季の場合には約8℃なので、前記オンドル配管(9)は、メタン生成のための最適発酵温度と初期投入された流入水の温度偏差を最小化することができる。
【0017】
本発明の一実施態様による嫌気消化装置の前記嫌気消化槽各区域(5、6、7、8)は、各区域に流入した流入水の上部と各区域の天井との間にメタン発酵の結果生成されるバイオガスが保存される空間が確保される構造を有することを特徴とする(図2参照)。
【0018】
メタン発酵の結果バイオガスが生成されると、生成されたガスは各区域の天井と流入水上部との間に保存され、その結果、本発明の一実施態様による嫌気消化装置は、別途のバイオガス保存装置を必要としない。
【0019】
前記嫌気消化槽の区域1(5)と2次投入槽(4)の外壁には、区域1(5)及び2次投入槽(4)の流入水の水位をチェックすることができる水位測定管(51、52)を具備する。流入水の水位は、メタン発酵の結果生成されるバイオガスによる圧力によって、区域1(5)と2次投入槽(4)で差が発生し得る。すなわち、生産されたバイオガスの量が多くて区域1(5)のガス層で大きな圧力が発生すると、流入水が投入される2次投入槽(4)の水位が上昇するので、流入水の投入を中止する時点を調節することができる(図11参照)。
【0020】
本発明の一実施態様による前記嫌気消化槽の各区域(5、6、7、8)は、分離壁(5’、6’、7’)によって互いに区画された構造を有している。この場合、バイオガスが保存される上部空間を除いて、各分離壁(5’、6’、7’)の末端部分が嫌気消化槽内壁から「カギ型」形態で開放される。開放された空間を通じて流入水とバイオガスが次の区域に移動する(図2参照)。
【0021】
前記嫌気消化槽の分離壁(5’、6’、7’)は、区域1と区域2の分離壁(5’)、及び区域3と区域4の分離壁(7’)が同一な位置で開放されて、区域2と区域3の分離壁(6’)が前記区域1と区域2の分離壁(5’)、及び区域3と区域4の分離壁(7’)の開放位置と反対側の末端部分が開放される構造を有する。その結果、流入水は、前記嫌気消化槽の全区域をジグザグ形態で移動する。
【0022】
前記嫌気消化槽区域1(5)は、酸生産が行なわれる区域で、メタン生成菌の最適pHである7.2〜7.4よりずっと低いpHを示すようになる。したがって、流入水の低くなったpHを前記最適のpH範囲内に調節することが求められる。このような調節は、下記で説明する散気ガス供給管(27)及び散気管(26)によって投入されるガスに含まれているアンモニア成分によって調節することができる。pHが調節された流入水は、ジグザグ形態で長い移動距離を通過しながら、メタン発酵に適切な範囲にpHが調節される。すなわち、前記分離膜(5’、6’、7’)は、流入水の移動距離を増加させることによって、流入水自体内にバッファー能を付与して、区域4(8)に近接するほど最適のメタン発酵条件が提供されるようにする。
【0023】
本発明の一実施態様による前記嫌気消化槽の各区域(5、6、7、8)は、流入水に流動性を付与する散気ガス供給管(27)及び散気管(26)が、前記1次投入槽(3)及び2次投入槽(4)が設置された方向の壁、区域1及び区域2の分離壁(5’)及び区域3及び区域4の分離壁(7’)を除いた残りの壁の底に、壁のまわりに沿って設置される構造を有する(図8参照)。より具体的に、前記散気ガス供給管(27)及び散気管(26)は、区域2と区域3の間に設置された分離壁の区域2方向側壁底、前記分離壁と直交する区域1から区域2までの内側壁底及び前記区域1から区域2までの内側壁と直交する区域1の内側壁底に、これら壁のまわりに沿って区域1及び区域2の散気ガス供給管及び散気管が具備される。また、区域2と区域3の間に設置された分離壁の区域3方向側壁底、前記分離壁と直交する区域3から区域4までの内側壁底及び前記区域3から区域4までの内側壁と直交する区域4の内側壁底に、これら壁のまわりに沿って区域3及び区域4の散気ガス供給管及び散気管が具備される。
【0024】
本発明による嫌気消化槽は、別途の撹拌装置を具備しない。撹拌装置の代わりに流入水に流動性を提供するために、前記散気ガス供給管(27)及び散気管(26)を通じて投入されるガスが撹拌装置の役割を遂行する。
【0025】
特に、前記嫌気消化槽の区域1(5)には、下記で説明する第2熱交換管(24)の前方に散気ガス隔壁(25)を設置して、壁底に設置された散気管(26)から投入される散気ガスの流れを垂直方向に誘導した後、前記散気ガス隔壁(25)を通過した散気ガスが区域1(5)を通過する流入水に時計方向の流動性を付与することにより撹拌及び流動性を提供する(図7参照)。一方、投入される散気ガスは、嫌気消化槽の区域によって区別される処理過程を経たガスを投入することができる。このことについては、下記の該当部分でさらに詳しく説明する。
【0026】
さらに、本発明の一実施態様による嫌気消化槽に設置される散気ガス隔壁(25)は、嫌気消化槽の区域1に制限されないで、嫌気消化槽内の区域1から区域4にかけて底に散気ガス供給管(27)及び散気管(26)が設置されている壁の前方に設置することにより、各区域を通過する流入水にさらに流動性を付与することができる(図13参照)。
【0027】
本発明の一実施態様による前記嫌気消化槽の区域1(5)には、初期投入流入水の温度と最適のメタン発酵温度との偏差を最小化して、以後の嫌気消化槽区域2ないし区域4でのメタン発酵効率を最大にする目的で、外部熱源から供給される熱を供給することができる第2熱交換管(24)を区域1(5)の分離壁(5’)の反対側壁面に具備する(図6参照)。ここで、前記外部熱源から供給される熱は、ボイラー連通ガスまたはエンジン排気ガスによる廃熱を使用することによって、エネルギー効率を高めることができる。
【0028】
本発明の一実施態様による前記嫌気消化槽の区域2(6)には、上部ガス層吸入ブロワー2(31)を通じて嫌気消化の結果生成される上部ガス層からバイオガスを回収し、区域1(5)及び区域2(6)に具備された散気ガス供給管(27)及び散気管(26)に撹拌及び流動性提供ガスを供給するガス配管(34)を具備する。また、前記嫌気消化槽区域4(8)には、上部ガス層吸入ブロワー1(30)を通じて嫌気消化の結果生成された上部ガス層からバイオガスを回収して、区域3(7)及び区域4(8)に具備された散気ガス供給管(27)及び散気管(26)に撹拌及び流動性提供ガスを供給するガス配管(35)を具備する(図8参照)。
【0029】
前記ガス配管(34)を通じて吸入されるバイオガスは、アンモニア及び硫化水素を別途に精製することなしに、直接区域1(5)及び区域2(6)に供給できるだけでなく、選択的に隣合うガス配管(35)と連結して簡単なバルブのオン/オフ操作を通じてアンモニア及び硫化水素除去装置(28)を通じてアンモニア及び硫化水素が精製された形態で供給することができる。
【0030】
前述のように、嫌気消化槽区域1(5)は、酸生産工程が遂行されるため、相対的に低いpH環境に露出していて、流入水が次の区域に順次に移動する場合、メタン発酵に相応しいpHを維持させる過程が求められる。そのため、本発明は、嫌気消化槽区域2(6)のガス配管(34)を通じて吸入するバイオガスに含まれたアンモニアを別途の精製過程なしにそのまま区域1の散気ガス供給管(27)及び散気管(26)に投入することで、低くなった流入水のpHをメタン発酵に相応しいpH範囲内に調節することができる。
【0031】
一方、嫌気消化槽区域3(7)及び区域4(8)では、前記の過程を通じて流入水のpHがメタン発酵遂行のための最適pHに調節された状態なので、撹拌及び流動性提供ガスは、このようなメタン発酵条件を撹乱させないようにバイオガスに含まれているアンモニアを除去して供給することが好ましく、さらには、最終的に生成されるバイオガスの純度を高めるために、硫化水素も一緒に除去した状態で供給することが好ましい。そのために、アンモニア及び硫化水素除去装置(28)を通じてアンモニア及び硫化水素を除去することが求められる。以下では、図12を参照して、アンモニア及び硫化水素除去装置をさらに具体的に説明する。
【0032】
本発明の一実施態様による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)は、嫌気消化槽のガス層から移送されたアンモニア及び硫化水素を含むバイオガスが供給される散気管(65)と、
前記散気管(65)から供給されるバイオガスが溶解される水と、
下部に前記バイオガスが溶解された水が水位及びガス圧力によって排出される配水管(66)と、
上部にアンモニア及び硫化水素が除去された水が流入する流入管(67);及び
前記アンモニア及び硫化水素が除去されたガスを嫌気消化槽に返送する排気管(68)からなる閉鎖型タンク(以下「A型タンク」)と、
上部に前記A型タンク下部から配水された水が流入する入水管(69)と、
前記入水管(69)に連結して支持される水位調節用ボールタップ(62)と、
水位を感知するレベルセンサー(61)と、
外部空気が供給される散気管(63)と、
アンモニア及び硫化水素が除去された水を配水する下部配水管(70)と、
前記配水管(70)と連結され、前記レベルセンサーの水位感知情報にしたがってオン/オフする配水ポンプ(64)を具備して、紅色硫黄細菌培養液を含む開放型タンク(以下「B型タンク」)が互いに連結されることを特徴とする。
【0033】
本発明の一実施態様による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)のA型タンクは、アンモニア及び硫化水素を水に溶存した状態でB型タンクに供給することで、B型タンク内部で外部空気から供給された酸素と反応して、下記数1に示したように、アンモニア及び硫化水素を硫酸アンモニウムの形態で除去する役割を遂行する。
【0034】
【数1】

【0035】
前記除去装置(28)のA型タンクは、閉鎖型タンクであり、嫌気消化槽のガス層から流入したガスが溶存した水をB型タンクに供給できるように、適切な内部圧力と水位を維持させることが好ましく、前記内部圧力は、0.4〜0.6kg/cmに維持することがさらに好ましい。
【0036】
本発明の一実施態様による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)のB型タンクは、紅色硫黄細菌培養液を含ませることが好ましい。前記紅色硫黄細菌培養液中で一部の酵素が下記数2に示されたように、バイオガス中の二酸化炭素と硫化水素をホルムアルデヒドと硫酸塩の形態に転換させることで、バイオガスの純度を向上させることができる。また、転換された硫酸は、アンモニアと追加的に反応して下記数3に示したように、硫酸アンモニウムの形態に転換されると判断される。さらに、前記紅色硫黄細菌培養液は、B型タンクのみならず、同一目的を達成するためにA型タンクにも含むことができる。
【0037】
【数2】

【0038】
【数3】

【0039】
前記反応の結果、追加的にバイオガスに含まれている硫化水素を一部二酸化炭素とともに低減させることができる。特に、アンモニア及び硫化水素が除去されない状態で嫌気消化液の撹拌がなされる従来のガス撹拌式嫌気調和槽は、アンモニア及び硫化水素が嫌気消化槽内に蓄積されることによって、バイオガス生産環境(メタン菌生育)に悪影響を及ぼす要因として指摘されてきた。しかし、本発明による前記除去装置を適用すると、硫化水素とアンモニアが除去された状態のガス、すなわち精製された上層部バイオガスを嫌気消化液撹拌に使用することができ、その結果、嫌気消化液内部のメタン菌にメタン生成のための基質として二酸化炭素及び水素を供給することができる。これは、不純物である二酸化炭素が余分の水素と結合することにより、生産されるバイオガス全体で、メタン濃度は増加させて、二酸化炭素の濃度を減少させてバイオガスの純度を向上させることができる。
【0040】
また、アンモニア及び硫化水素除去装置に投入される硫化水素の濃度が高い場合には、早い速度で純粋な硫黄の形態に転換させて除去することができる。すなわち、硫化水素の濃度が高い場合、紅色硫黄細菌によって硫化水素が硫黄に酸化される速度が、硫黄が硫酸陰イオンに酸化される速度と比較して相対的に早く進行されるので、除去装置溶液中に硫黄を多量蓄積させるようになり、一部は析出して容器壁面や溶液中に浮遊するようになる。
【0041】
さらに、前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)のB型タンクは、外部空気から酸素を水に溶存酸素形態で供給することが好ましい。これは、アンモニア及び硫化水素を除去させようとするバイオガス中への酸素流入を遮断するだけでなく、極度の嫌気条件を要求する嫌気消化槽への酸素流入を基本的に遮断するためである。
【0042】
また、本発明の一実施態様による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)のB型タンクに存在するレベルセンサー(61)には、互いに異なる長さの3個のセンサー棒(a、b、c)を具備する。B型タンクの水位が最も長さの短いセンサー棒(a)で感知されると、配水ポンプ(64)を可動させてアンモニア及び硫化水素が除去された水をA型タンクに供給して、B型タンクの水位が中間長さのセンサー棒(b)で感知さると、配水ポンプ(64)の稼動が中断して、アンモニア及び硫化水素の除去反応はA型タンクに気相酸素の供給なしに、A型タンク及びB型タンクに溶液が循環しながら連続的に遂行される。
【0043】
本発明の一実施態様による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)は、B型タンクを通じてアンモニア及び硫化水素が除去された溶存バイオガスをA型タンクに移送して、A型タンク上部の排気管を通じて嫌気消化槽下部の散気ガス供給管(27)及び散気管(26)で供給する。これをさらに具体的に説明すると、A型タンクに移送されるバイオガスの中で水に容易に溶解するアンモニア及び硫化水素は、水に溶解し、よく溶解しないメタン、水素と一部の二酸化炭素は、A型タンク上部の排気管を通じて排出され、本発明の嫌気消化槽下部の散気ガス供給管(27)及び散気管(26)に供給され、A型タンクの水は、前記数2で表わされる2CO+HS+2HO→2(CHO)+HSO反応が遂行されながらB型タンクに供給される。前記B型タンクでは、上述したように、紅色細菌によってHSがSに酸化される速度が、SがSO2−に酸化される速度より早く進行される結果、一時的にSを多量蓄積するようになる現象を応用して、B型タンクに供給される溶存酸素によってSがSO2−に転換される。前記SO2−は、溶存NHと結合することでアンモニアを硫酸アンモニウム形態に早く反応させる(数3参照)。すなわち、このような反応が、A型タンクとB型タンクを循環しながら連続的に起きるようになる。
【0044】
本発明の一実施態様による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)のB型タンクは、蒸発する水分のみを補充することで、6ヶ月ないし1年間、液相の交換なしに使用することができる。前記除去装置(28)の液相の交換時期は、生成物質である硫酸アンモニウムの飽和濃度に依存し、除去装置内での溶液飽和濃度が40%に到達すると交換することが除去効率の側面で好ましい。
【0045】
本発明の一実施態様による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)は、硫化水素除去効率を高めるため、別途の硫化水素除去装置(28’)を前記除去装置(28)に追加的に連結することができる。
【0046】
前記硫化水素除去装置(28’)の好ましい実施形態は、除去装置(28)を通じて硫化水素が一部除去されたバイオガスが流入する流入管(71)と、前記流入管(71)から流入するバイオガスを散気させる散気管(72)と、前記散気管(72)から供給されるバイオガスの硫化水素と反応する水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)を含む水と、硫化水素が除去されたバイオガスを排出する排気管(73)を含む閉鎖型タンク(以下、「A’型タンク」)形態で提供され得る。
【0047】
具体的に、前記A型タンク上部の排気管(68)を通じて供給されるアンモニア99%以上及び一部硫化水素が除去されたバイオガスを散気管(65)を通じて溶存させて、除去装置(28’)に含ませた水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)と残存硫化水素を反応させて、流化鉄及び水の形態で残存硫化水素を除去する。前記硫化水素除去装置(28’)は、前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)のA型タンクに直列に連結して使用することができる。
【0048】
ここで、前記水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)は、本発明者等によって出願されて登録された「有機キレートの製造方法」(韓国登録特許第0481326号及び米国登録特許第7087775号)に記載されている水酸化ミネラルの製造方法によって製造された水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)を使用することがさらに好ましい。
【0049】
本発明で使用される前記水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)は、FeSOやFeCl、FeCl等の従来2価または3価鉄を水溶液状でNaOHと当量反応させて得られるFe(OH)またはFe(OH)形態で得られる物質である。前記Fe(OH)またはFe(OH)は、下記数4に示したように、得られた生成物を遠心分離してNaClを除去して得ることができる。
【0050】
【数4】

【0051】
前記水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)は、本発明による除去装置の反応タンク内の散気管によって除去装置内の除去溶液システムで溶解されるガス成分である硫化水素と100%反応するため、除去効率は、散気管のガス溶解能力に依存する。従来の脱硫装置において、高圧下で通気させて水酸化鉄(III)であるFeO(OH)及び酸化鉄(III)Feをガス状態の硫化水素と吸着反応させて硫化水素を除去する方式より、通気速度(ガス処理能力)が非常に優れ、反応効率の面でも水酸化鉄(III)の純度及びペレットの表面積に左右される従来の脱硫装置より優れている。
【0052】
具体的に、除去効率面で従来の脱硫装置(「理想嫌気工程の畜産廃水適用を通じたバイオガス生産及びエネルギー利用技術実証研究最終報告書」、産業資源部、2006年9月、p.151)の場合、Fe 1kg当たり硫化水素130gを吸着させるが、本発明による除去装置は、Fe(OH) 1kg当たり硫化水素約478gを吸着させることができ、約3.7倍優れた除去効率を示す。また、ガスの処理面で、従来脱硫装置の2.5Nm/時間より、非常に優れた約4Nm/分の通気速度を示すので、処理能力面でも顕著に優れていると言える。
【0053】
また、本発明による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)は、上述したように、その内部に含んでいる紅色硫黄細菌培養液で生成される酵素が硫化水素除去時に二酸化炭素を消耗することによって、バイオガス中の二酸化炭素含量を顕著に減少させることができる。従来の一般的なバイオガス生産用嫌気消化槽で生産されるバイオガスは、メタン60〜70%以下、二酸化炭素35〜45%以下を含むものに過ぎない。
【0054】
一方、本発明による前記除去装置(28)及び/または除去装置(28’)を使用すると、嫌気消化槽から生産されたバイオガスに対して硫化水素を除去するための目的で前記除去装置(28’)を独立的に適用させることができ、さらには除去装置(28)及び除去装置(28’)を結合して使用する場合、純度の高いバイオガスを嫌気消化槽に供給して嫌気消化液の撹拌ガスに使用することにより、最適の嫌気消化条件(アンモニア、硫化水素の消化液蓄積防止)を維持できるだけではなく、2CO+HS+2HO→2(CHO)+HSO反応及び残余二酸化炭素と水素を消化液内部に存在するメタン菌の基質として供給することによって、不純物である二酸化炭素を残存水素を使用してメタンに転換させることによって、二酸化炭素の含量を20%以下に減少させて、生産されるバイオガス全体のメタン含量を80%以上に増加させることができる。下記表1には、メタン菌の種類と使用する基質を整理して示した。
【0055】
【表1】

【0056】
また、前記除去装置による除去効率は、除去装置に移送される除去対象ガスの溶解率に左右されるので、溶解率を高めるために除去装置へのガス流入速度を徐々にすることが好ましく、除去効率は、除去対象ガスの除去装置循環回数を増加させることが、除去効率の純度上昇面で、さらに好ましい。
【0057】
本発明の一実施態様による嫌気消化槽の1次投入槽(3)には、第1熱交換管(2)が具備される。最終嫌気消化が終わった区域4(8)の下層部に存在する最終発酵液(スラッジ液)を、スラッジポンプ(21)を用いて区域4(8)の底に設置された下層部吸入管(41)で吸入して第1熱交換管(2)に移送させて1次投入槽(3)を循環するように設計することで、冷たい新規流入水を加温することができる(図5及び図9参照)。
【0058】
上述したように、嫌気消化槽に流入する流入水は、夏季には約18℃、冬季には約8℃で、中温嫌気消化に相応しい温度である35〜42℃と比較すると相当な温度偏差が発生する。
【0059】
一方、最終嫌気消化が終わった状態の最終発酵液(スラッジ液)の温度は、約35℃になる。前記温度に該当する熱を流入水に廃熱回収させて、前記最終発酵液は、次の工程として嫌気消化槽上層(二階)の後処理槽に移送され、発酵工程が完了したのでそれ以上の温度調節は必要としない。
【0060】
したがって、本発明は、前記のように下層部吸入管(41)と連結される第1熱交換管(2)を導入することで、前記第1熱交換管(2)が、相対的に高温である最終発酵液から発生する廃熱を相対的に低温である1次投入槽(3)の新規流入水に提供して、前記新規流入水の温度と、最適のメタン発酵温度との偏差を最小化する。
【0061】
本発明の一実施態様による前記嫌気消化槽の区域4(8)は、上層部活性化液を吸入する上層部吸入管(42)を具備する。前記活性化液は、スラッジポンプ(43)を通じて吸入され、流入水が畜産廃水の場合は、種菌接種液に使用され、流入水が生ゴミの場合には、濃度によって希釈用に使用される。種菌接種液に使用時には、バルブ(44)の簡単なオン/オフ操作によって2次投入槽(4)に投入することができる(図10参照)。
【0062】
本発明の一実施態様による前記嫌気消化槽は、区域4(8)の上部バイオガス層とそれに連結されたバイオガス捕集装置間に、硫化水素除去効率を高めるための硫化水素除去装置をさらに含むことができる(図1参照)。前記硫化水素除去装置は、図12の(c)で言及した硫化水素除去装置(28’)を使用することができる。
【0063】
本発明の一実施態様による前記嫌気消化槽上層(二階)には、後処理槽が具備される(図3参照)。前記後処理槽は、区域1(11)、区域2(12)、区域3(13)及び区域4(14)に区画され、その構造は、下層(一階)の嫌気消化槽区域1(5)、区域2(6)、区域3(7)及び区域4(8)に設置された分離壁(5’、6’、7’)と同一な形態の分離壁で区画される。また、下層(一階)の嫌気消化槽と同一な形態の散気ガス供給管(未図示)及び散気管(未図示)を具備する。
【0064】
前記後処理槽の各区域(11、12、13、14)は、ブロワー(未図示)を通じて酸素を含む外部空気が散気ガス供給管及び散気管に供給され、散気管を通じて噴射される空気が各区域の流入水に流動性を付与して先入先出の順序で移動するようになる。これは、散気ガスとして外部空気を用いることを除いて、下層(一階)の嫌気消化槽と同一に運営される。
【0065】
また、前記後処理槽の各区域(11、12、13、14)は、嫌気消化槽の最終発酵液(スラッジ液)が発生する悪臭成分の除去のために、前記各区域(11、12、13、14)の上部ガス層に生成されるガスを浄化させて外部に排出する悪臭成分除去装置(図1参照)と連結することができる。
【0066】
ここで、前記悪臭成分除去装置としては、嫌気消化槽のガス層と連結されて使用されるアンモニア及び硫化水素除去装置(28)の中で、開放型タンクであるB型タンクのみを単独で前記後処理槽のガス層に連結して使用することができる。前記B型タンクは、紅色硫黄細菌培養液が入っている水を含み、前記後処理槽の各区域のガス層から吸入されたガスを前記除去装置内部の散気管を通じて水に溶存させ、悪臭成分であるアンモニア及び硫化水素を硫酸アンモニウムまたは硫酸塩の形態で除去した後、悪臭成分が除去されたガスを空気中に排出する。
【0067】
以後、悪臭成分が除去された最終発酵液は、堆液肥槽に移送されて、農耕地に投入して肥料などに使用することができる。
【0068】
以下、前記構造の嫌気消化装置の動作状態を、図1を参照して説明する。
【0069】
畜産廃水、生ゴミなどの流入水が1次投入槽に投入され、1次投入槽内部に具備されている熱交換管(第1熱交換管)から熱の提供を受けて加温される。熱交換が行なわれて加温された前記流入水は、2次投入槽にオーバーフローして下層嫌気消化槽区域1に投入され、先入先出の方式で嫌気消化槽区域2、区域3及び区域4を順次に通過しながら嫌気消化の結果、バイオガスを各区域の上層部に生成及び保存する。嫌気消化槽区域1の側壁には、外部廃熱ガス供給装置から供給されるエンジン排気ガスまたはボイラー連通ガスが循環可能な熱交換管(第2熱交換管)が具備されていて、流入水の温度と最適の嫌気消化温度との偏差を最小化する。また、前記区域1から区域4の底に設置されているオンドル配管が、同一な目的達成のために流入水に熱を供給する。
【0070】
嫌気消化槽の区域1、区域2、区域3及び区域4の底には、散気ガス供給管及び散気管が設置されていて、各区域を通過する流入水を撹拌させて流動性を提供する。前記ガスは、嫌気消化槽区域2及び区域4の上部バイオガスを外部ブロワーを通じて吸入して、バイオガスに含まれているアンモニア及び硫化水素を除去するか除去することなしに、区域1から区域4の散気ガス供給管及び散気管に供給される。アンモニア及び硫化水素除去装置を経由しないバイオガスは、主に区域1の散気ガス供給管、散気管及び散気ガス隔壁に移送され、その結果、酸生産工程を遂行してpHが低くなった区域1の流入水のpHは、アンモニアを含むバイオガス供給によって撹拌及び流動性の提供を受けることにより、メタン発酵を遂行する次の区域に適合した流入水のpH条件を充足するようになる。一方、アンモニア及び硫化水素除去装置を経由したバイオガスは、主に区域3ないし区域4に供給され、その結果、最終バイオガスが保存される区域4のガス層には、アンモニア及び硫化水素が最大限除去された高純度のバイオガスが蓄積される。蓄積されたバイオガスは、必要によって硫化水素除去装置を経由することで、残存硫化水素がほとんどない状態で発電/熱生産のための燃料として使用することができる。
【0071】
嫌気消化槽区域4に到達して嫌気消化を終了した最終発酵液(スラッジ液)は、区域4の下層部に集まるようになる。このような最終発酵液は、下層部吸入管を通じて吸入されて1次投入槽に具備された第1熱交換管に移送され、最終発酵の結果発生した熱を新たに流入する流入水に提供した後、嫌気消化槽上層(二階)の後処理槽に移動するようになる。一方、嫌気消化槽区域4の上層部には、下層最終発酵液を除いた活性化液が存在し、これらは、上層部吸入管を通じて一部は2次投入槽に供給され、種菌接種液及びpH調整液に使用され、残りの一部は、1次投入槽に流入する畜産廃水または生ゴミ希釈液に使用される。
【0072】
嫌気消化槽上層(二階)の後処理槽に移送された最終発酵液(スラッジ液)は、下層(一階)の嫌気消化槽の区域1、区域2、区域3及び区域4と同一な構造を有する後処理槽区域1、区域2、区域3及び区域4を先入先出の方式で移動する。ここで、最終発酵液に撹拌及び流動性を提供する過程は、嫌気消化槽と同一であるが、散気ガス供給管及び散気管を通じて供給される散気ガスは、嫌気消化槽とは異なり酸素を含む外部空気を注入して達成される。後処理槽の各区域を移動する最終発酵液は、上部ガス層に悪臭成分であるアンモニア、硫化水素などを発生させ、このような悪臭成分はまたアンモニア及び硫化水素除去装置に移送され、除去されて外部に排出される。最終的に残った最終発酵液は、堆液肥槽に移送されて、農耕地に還元されて肥料などに使用されることによって、本発明による嫌気消化装置を通じた嫌気消化工程が完了する。
【0073】
本発明による前記嫌気消化装置は、嫌気消化槽の上部のガス層がガス保存施設を兼ねるので、別途のガス保存施設が必要でない。また、ガス層のガス圧力によって投入口の水位を調節することができ、消化液水位測定管を通じて嫌気消化槽と連結された発電エンジンなどの付加的な器機の作動を調節することができる。
【0074】
また、本発明による前記嫌気消化装置は、嫌気消化槽区域1と区域4の酸化還元電位(ORP)が、それぞれ−330mVから−460mVで測定され、−300mV以下の酸化還元電位を要求する嫌気消化槽の菌培養条件を満足する。
【0075】
さらに、本発明による前記嫌気消化装置は、流入水の投入時に前処理を必要とせず、流入水の温度を廃熱を利用して初期投入工程、嫌気消化工程などの前工程を通じて調節することで、メタン菌生育に最適の条件を提供する。
【0076】
また、本発明による前記嫌気消化装置は、流入水の先入先出を可能にすることで、吸入された未発酵液が先出された場合に、後処理工程での悪臭成分除去効率を低下させ得る要因を除去することができる。
【0077】
さらに、本発明による前記嫌気消化装置は、嫌気消化槽内部に特別な撹拌施設を必要とせず、自体生産したバイオガスを精製または非精製してリサイクルすることで、流入水に含まれた沈積物の浮遊現象及び均質化を誘発して最適のメタン発酵効果を達成するように徐々に流入水を移動させることができる。
【0078】
また、本発明による前記嫌気消化装置は、嫌気消化槽ガス層からバイオガスを吸入してアンモニア及び硫化水素除去装置を通じて再び再循環させることで、高純度のバイオガスを生産することができる。前記除去装置を通じて、従来のガス撹拌式嫌気消化槽の短所として指摘されたメタン菌生育に阻害となるアンモニア及び硫化水素の持続的な濃縮を防止することができる。
【0079】
さらに、本発明による前記アンモニア及び硫化水素除去装置は、A型タンクとB型タンクの複合型(28)の場合、生成されるアンモニアの99%以上、硫化水素の30%以上を除去することができ、前記複合型除去装置(28)に連結して使用される水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)を含んだ除去装置(28’)は、除去装置通過回数を増加させることによって生成された硫化水素を99%以上除去することができる。
【0080】
また、本発明による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)は、その内部に含んでいる紅色硫黄細菌培養液で生成される酵素が、硫化水素除去時に二酸化炭素を消耗することによって、バイオガス中の二酸化炭素含量を1次的に減少させることができる。さらに、上述したようにバイオガス内の残存二酸化炭素と水素を消化液内部に存在するメタン生成菌の基質として供給することで、不純物である二酸化炭素をメタンに転換させて二酸化炭素の含量を2次的に減少させることができる。従来のバイオガス生産用嫌気消化槽は、65%以下のメタンと35%以上の二酸化炭素を含むに過ぎないが、本発明による前記除去装置を本嫌気消化槽に使用して二酸化炭素の含量を20%以下に低めることで、メタン含量が80%以上の都市ガス水準のバイオガスを生産することができる(表2参照)。
【0081】
【表2】

【0082】
前記表2は、本発明による除去装置のアンモニア、硫化水素及び二酸化炭素除去効率を測定した結果である。具体的には、除去装置(28)に投入される前のバイオガスの成分及び含量をGASTEC Dectector tube(製造社:日本)を使用して、除去装置通過回数を1回、2回及び3回遂行しながら、図12の(a)のブロワー(29)とA型タンク間のガス管で測定し(測定位置1)、除去装置を通過したバイオガスの成分及び含量を図12の(a)の除去装置(28’)のA’型タンクを抜け出て位置で測定(測定位置2)した結果である。表2を参照すると、アンモニアは最初1回の通過だけでも100%除去され、硫化水素は1回通過時に約68%、2回通過時に約80%、3回通過時に約94%まで除去され、二酸化炭素はバイオガス内に20%以下で含有され、本発明による除去装置を含む嫌気消化槽から高純度のバイオガスを生産することができることが分かる。
【0083】
本発明は、当業者なら容易に認識することができる発明の要旨と範囲を逸脱しない範囲内で多様な修正及び変形が可能であり、このような修正及び変形はすべて添付された請求の範囲に属することは自明である。
【0084】
例えば、本発明による嫌気消化装置は、本発明の詳細な説明及び特許請求の範囲に記載した上層(二階)及び下層(一階)の複数層形態の構造のみならず、上層(二階)と下層(一階)が分離した単層(単階)形態、上層(二階)と下層(一階)の技術的特徴を一つの単一層(階)で具現した嫌気消化装置も含む。また、本発明による前記アンモニア及び硫化水素除去装置(28)または硫化水素除去装置(28’)は、本発明による嫌気消化装置にのみ制限使用されるものではなく、前記除去装置(28)または除去装置(28’)は、バイオガスの生産過程で発生するアンモニア、硫化水素、二酸化炭素などのガスを除去して高純度のバイオガスを得る目的で提供される装置なら、その装置の構造によって適切に変形して使用することができる。さらに、バイオガス生産装置だけでなく、脱黄、脱アンモニア、脱二酸化炭素などを目的とする装置にも適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1:畜産廃水または生ゴミ流入管
2:第1熱交換管
3:1次投入槽
4:2次投入槽
5:嫌気消化槽区域1
5’:嫌気消化槽区域1及び区域2分離壁
6:嫌気消化槽区域2
6’:嫌気消化槽区域2及び区域3分離壁
7:嫌気消化槽区域3
7’:嫌気消化槽区域3及び区域4分離壁
8:嫌気消化槽区域4
9:温水管
11:後処理槽区域1
12:後処理槽区域2
13:後処理槽区域3
14:後処理槽区域4
21:スラッジポンプ
22:最終発酵液移送管
23:エンジン排気ガス/連通ガス放出ブロワー
24:第2熱交換管
25:散気ガス隔壁
26:散気管
27:散気ガス供給管
28:アンモニア/硫化水素除去装置(A型タンク+B型タンク複合型)
28’:硫化水素除去装置(A’型タンク単独型)
29:隔壁支持用締結具
30:上部ガス層吸入ブロワー1
31:上部ガス層吸入ブロワー2
32:バルブ1
33:バルブ2
34:嫌気消化槽区域2の上部ガス層吸入配管
35:嫌気消化槽区域4の上部ガス層吸入配管
41:下層部最終発酵液(スラッジ液)吸入管
42:上層部最終発酵液(種菌接種液または希釈液)吸入管
43:スラッジポンプ
44:バルブ3
45:希釈液移送管
46:種菌接種管
51:消化液水位測定管1
52:消化液水位測定管2
61:循環ポンプ用レベルセンサー
(a:上段センサー棒、b:中段センサー棒、c:下段センサー棒)
62:ボールタップ
63:B型タンク散気管
64:循環ポンプ
65:A型タンク散気管
66:A型タンク配水管
67:アンモニア及び硫化水素が除去されたガス流入管
68:A型タンク上部排気管
69:B型タンク入水管
70:B型タンク配水管
71:除去装置(28)を通過したバイオガス流入管
72:A’型タンク散気管
73:A’型タンク排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
畜産廃水または生ゴミ(以下「流入水」)が投入される1次投入槽と、
前記1次投入槽を通過した流入水が投入される2次投入槽と、
前記2次投入槽を通過した流入水が先入先出の順序でメタン発酵を遂行してバイオガスを生産するのと同時に、次の嫌気消化区域に移動するように設計された嫌気消化槽区域1、区域2、区域3及び区域4と、
前記区域1、区域2、区域3及び区域4の流入水に流動性を付与する散気ガス供給管及び散気管と、
前記嫌気消化槽区域4の下層からスラッジ液を吸入する下層部吸入管と、
前記嫌気消化槽区域4の上層から活性化液を吸入する上層部吸入管と、
前記嫌気消化槽区域4のガス層に連結されて生産されたバイオガスを捕集する装置と、
前記下層部吸入管から吸入されたスラッジ液が新規流入水と熱交換を行なうように前記1次投入槽内部に具備される第1熱交換管と、
前記熱交換が終わったスラッジ液が先入先出の順序で流入してスラッジ液から発生する悪臭ガス成分を処理する前記嫌気消化槽上層(二階)に具備される後処理槽区域1、区域2、区域3及び区域4と、
悪臭成分が除去されたスラッジが放出され保存される堆液肥槽からなる二階(二層)型嫌気消化装置。
【請求項2】
前記嫌気消化槽区域1、区域2、区域3及び区域4の底には、メタン発酵温度が維持されるようにオンドル配管が具備されることを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項3】
前記嫌気消化槽の各区域が、流入水上部にメタン発酵の結果生成されるバイオガスが保存される空間が確保される構造を有することを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項4】
前記嫌気消化槽の各区域が、分離壁によって互いに区画され、各分離壁の端部分が「カギ型」形態に開放されて、開放された空間を通じて流入水とバイオガスが次の区域に移動する構造を有することを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項5】
前記嫌気消化槽の各区域の分離壁が、区域1と区域2の分離壁、及び区域3と区域4の分離壁が同一位置で開放され、区域2と区域3の分離壁が前記区域1と区域2の分離壁、及び区域3と区域4の分離壁の開放位置と反対側の末端部分が開放されることで、流入水が前記嫌気消化槽の全区域をジグザグ形態に移動する構造を有することを特徴とする請求項4に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項6】
前記散気ガス供給管及び散気管が、区域2と区域3の間に設置された分離壁の区域2方向側壁底、前記分離壁と直交する区域1から区域2までの内側壁底及び前記区域1で区域2までの内側壁と直交する区域1の内側壁底に、これら壁のまわりに沿って具備される区域1及び区域2の散気ガス供給管及び散気管と、区域2と区域3の間に設置された分離壁の区域3方向側壁底、前記分離壁と直交する区域3から区域4までの内側壁底及び前記区域3から区域4までの内側壁と直交する区域4の内側壁底に、これら壁のまわりに沿って具備される区域3及び区域4の散気ガス供給管及び散気管であることを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項7】
前記嫌気消化槽の区域1が、初期投入流入水の温度とメタン発酵最適温度との偏差を最小化することで、メタン発酵効率を最大化するために外部熱源から供給される熱を交換することができる第2熱交換管が、区域1分離壁の反対側壁面に形成されることを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項8】
前記外部熱源から供給される熱が、ボイラー連通ガスまたはエンジン排気ガスによる廃熱であることを特徴とする請求項7に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項9】
前記嫌気消化槽の区域1が、前記第2熱交換管の前方に散気ガス隔壁が設置されていて、前記第2熱交換管が設置された壁と前記散気ガス隔壁間の底には散気ガス供給管及び散気管が設置されていて、前記散気ガス隔壁は、前記散気管から出る散気ガスの流れを垂直方向に誘導した後、散気ガス隔壁を通過した散気ガスが区域1を通過する流入水に時計方向の流動性を付与することを特徴とする請求項7に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項10】
前記嫌気消化槽区域2が、嫌気消化の結果生成されるガスを回収して、区域2と区域3の間に設置された分離壁の区域2方向側壁底、前記分離壁と直交する区域1から区域2までの内側壁底及び前記区域1から区域2までの内側壁と直交する区域1の内側壁底に、これら壁のまわりに沿って具備される区域1及び区域2の散気ガス供給管及び散気管にガスを供給するガス配管が具備され、前記嫌気消化槽区域4は、嫌気消化の結果生成されるガスを回収して、区域2と区域3間に設置された分離壁の区域3方向側壁底、前記分離壁と直交する区域3から区域4までの内側壁底及び前記区域3から区域4までの内側壁と直交する区域4の内側壁底に、これら壁のまわりに沿って具備される区域3及び区域4の散気ガス供給管及び散気管にガスを供給するガス配管が具備されることを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項11】
前記嫌気消化槽区域4に具備されるガス配管が、嫌気消化の結果生成されるガスに含まれているアンモニア及び硫化水素を除去する装置と連結されて、区域3及び区域4に具備される散気ガス供給管及び散気管にアンモニア及び硫化水素が除去されたガスを供給して、嫌気消化槽の区域3及び区域4のメタン発酵のための最適pHを維持させて、最終生産されるバイオガスの純度を向上させることを特徴とする請求項10に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項12】
前記嫌気消化槽区域2に具備されるガス配管が、アンモニア及び硫化水素除去装置を通過したガスが移動する前記嫌気消化槽区域4に具備されるガス配管と連結されて、バルブの開閉によってアンモニア及び硫化水素が除去されたガスを区域1及び区域2に具備された散気ガス供給管及び散気管に選択的に供給または遮断されることを特徴とする請求項10に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項13】
前記アンモニア及び硫化水素除去装置が、
嫌気消化槽のガス層から移送されたアンモニア及び硫化水素を含むバイオガスが供給される散気管と、
前記散気管から供給されるバイオガスが溶解される水と、
下部に前記バイオガスが溶解された水が水位及びガス圧力によって排出される配水管と、
上部にアンモニア及び硫化水素の除去された水が流入する流入管、及び
前記アンモニア及び硫化水素が除去されたガスを嫌気消化槽に搬送する排気管からなる閉鎖型タンク(以下「A型タンク」)と、
上部に前記A型タンク下部からの配水管が連結されて水が流入する入水管と、
前記入水管と連結される水位調節用ボールタップと、
水位を感知するレベルセンサーと、
外部空気が供給される散気管と、
アンモニア及び硫化水素が除去された水を配水する下部配水管と、
前記配水管と連結され、前記レベルセンサーの水位感知情報にしたがってオン/オフする配水ポンプを具備して、紅色硫黄細菌培養液を含む開放型タンク(以下「B型タンク」)が直列に連結されることを特徴とする請求項11に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項14】
前記アンモニア及び硫化水素除去装置のA型タンクが、アンモニア及び硫化水素を水に溶存した状態でB型タンクに供給することで、B型タンク内部で外部空気から供給された酸素と反応して、アンモニア及び硫化水素を硫酸アンモニウムの形態で除去することを特徴とする請求項13に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項15】
前記アンモニア及び硫化水素除去装置のB型タンクが、紅色硫黄細菌培養液を用いてバイオガス中の二酸化炭素と硫化水素をホルムアルデヒド、硫酸塩または純粋な硫黄の形態で除去することを特徴とする請求項13に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項16】
前記アンモニア及び硫化水素除去装置のB型タンクが、外部空気から酸素を水に溶存酸素形態で供給することで、嫌気消化槽に酸素が流入することを遮断することを特徴とする請求項13に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項17】
前記アンモニア及び硫化水素除去装置のB型タンクに存在するレベルセンサーが、互いに異なる長さの3個のセンサー棒を具備して、B型タンクの水位が最も短い長さのセンサー棒に感知されると、配水ポンプを可動させてアンモニア及び硫化水素が除去された水をA型タンクに供給して、B型タンクの水位が中間長さのセンサー棒で感知されると、配水ポンプの稼動を中断させてアンモニア及び硫化水素の除去反応を遂行することを特徴とする請求項13に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項18】
前記アンモニア及び硫化水素除去装置が、B型タンクを通じてアンモニア及び硫化水素が除去された溶存バイオガスをA型タンクに移送して、A型タンク上部の排気管を通じて嫌気消化槽下部の散気ガス供給管及び散気管に供給することを特徴とする請求項13に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項19】
前記アンモニア及び硫化水素除去装置が、硫化水素除去効率を高めるため、前記A型タンク上部の排気管を通じて供給されるアンモニア及び硫化水素が除去されたバイオガスを散気管を通じて溶存させて、水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)と残存硫化水素を反応させて硫化鉄及び水の形態で残存硫化水素を除去する硫化水素除去装置を、前記A型タンクに直列でさらに連結させたことを特徴とする請求項13に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項20】
前記硫化水素除去装置が、
第13項のアンモニア及び硫化水素除去装置を通じて硫化水素が一部除去されたバイオガスが流入する流入管と、
前記流入管から流入するバイオガスを散気させる散気管と、
前記散気管から供給されるバイオガスの硫化水素と反応する水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)を含む水と、
硫化水素が除去されたバイオガスを排出する排気管とを含む閉鎖型タンク(「A’型タンク」)であることを特徴とする請求項19に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項21】
前記嫌気消化槽の区域4の下層部吸入管に吸入されるスラッジ液が、嫌気消化による温度上昇の結果発生した熱を、第1次投入槽の第1熱交換管を循環しながら新規流入水に提供して、最適のメタン発酵温度と新規流入水の温度偏差を最小化することを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項22】
前記嫌気消化槽の区域4の上層部吸入管に吸入される活性化液が、流入水が畜産廃水の場合、2次投入槽に一部投入して種菌接種液に使用されることを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項23】
前記嫌気消化槽の区域4の上層部吸入管に吸入される活性化液が、流入水の濃度によって前記流入水が1次投入槽に投入される前に希釈する用途に一部使用されることを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項24】
前記嫌気消化槽区域4のバイオガス層とこれに連結されたバイオガス捕集装置の間には、硫化水素除去効率を高めるため、前記バイオガス層から供給されるバイオガスを水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)が添加された水を含むタンク内部の散気管を通じて供給して、前記バイオガスに残存する硫化水素と前記水酸化鉄(II)または水酸化鉄(III)を反応させて硫化鉄及び水の形態で残存硫化水素を除去する硫化水素除去装置が具備されることを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項25】
前記嫌気消化槽上層(二階)に具備される後処理槽区域1、区域2、区域3及び区域4が、下層(一階)の嫌気消化槽区域1、区域2、区域3及び区域4に設置された分離壁と同一な形態の分離壁で区画され、同一な形態の散気ガス供給管及び散気管を具備することを特徴とする請求項1に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項26】
前記後処理槽の各区域が、ブロワーを通じて酸素を含む外部空気が散気ガス供給管及び散気管に供給され、散気管を通じて噴射される空気が各区域の流入水に流動性を付与して先入先出の順序で移動することを特徴とする請求項25に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項27】
前記後処理槽の各区域が、流入水から発生した悪臭成分の除去のために、各区域のガス層に生成されるガスを浄化して外部に排出させる悪臭成分除去装置と連結されることを特徴とする請求項25に記載の二階型嫌気消化装置。
【請求項28】
前記悪臭成分除去装置が、紅色硫黄細菌培養液が入っている水を含み、前記後処理槽の各区域のガス層から吸入されたガスを前記除去装置内部の散気管を通じて水に溶存させて悪臭成分であるアンモニア及び硫化水素を硫酸アンモニウムまたは硫酸塩の形態で除去した後、悪臭成分が除去されたガスを空気中に排出する開放型タンクであることを特徴とする請求項25に記載の二階型嫌気消化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2010−188340(P2010−188340A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26595(P2010−26595)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(510037031)
【Fターム(参考)】