バキュームブレーカ
【課題】部品の抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えて本体のサイズを小型化できるようにする。
【解決手段】給水系統50Aの給水側流路部材22a、22c、並びに吐水系統50Bの吐水側流路部材22bは、本体21と別体を有しているものである。この例で、最小内径ポイントP1(7mm)から1°程度の抜き勾配を設定した本体内部流路21a’の他端側の最大内径ポイントP2は、12mm程度に形成されている。これに対して、流路部材22aの一端側の最小内径ポイントQ1(7mm)から1°程度の抜き勾配を設定した流路部材22aの他端側の最大内径ポイントQ2は、8mm程度に形成されている。
【解決手段】給水系統50Aの給水側流路部材22a、22c、並びに吐水系統50Bの吐水側流路部材22bは、本体21と別体を有しているものである。この例で、最小内径ポイントP1(7mm)から1°程度の抜き勾配を設定した本体内部流路21a’の他端側の最大内径ポイントP2は、12mm程度に形成されている。これに対して、流路部材22aの一端側の最小内径ポイントQ1(7mm)から1°程度の抜き勾配を設定した流路部材22aの他端側の最大内径ポイントQ2は、8mm程度に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみ処理装置に設置される大気圧式のバキュームブレーカに関する。詳しくは、バキュームブレーカ本体における給水系統の第1及び第2の給水側流路部材、並びに吐水系統の吐水側流路部材が本体とは別体を成すことで、構成部品を細分化できるようにすると共に、成形工程において当該部品の抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えて本体のサイズを小型化できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、集合住宅などに使用されることが多い生ごみ処理装置にあっては、生ごみの破砕物を流下するための水として使用される水道水を装置稼働中、手動操作で供給する場合と、自動操作で供給する場合とがある。
【0003】
自動給水の場合には、生ごみ処理装置に供給する水道水の自動供給口が設けられている。水道水はこの供給口に直接供給されるのではなく、バキュームブレーカを介して供給されるようになっている。
【0004】
このバキュームブレーカは水道水と生ごみ処理装置側の水(汚水)とが直接混じり合わないようにするために設けられたものであって、水道水は一旦このバキュームブレーカに導かれ、バキュームブレーカより吐水した水道水が生ごみ処理装置の給水口に導かれる。
【0005】
生ごみ処理装置の排水口側に接続された排水管側から何らかの影響によって汚水が逆流しようとしたり、断水などによって水道水の上水管側の圧力が負圧になると、排水管側の水位が上昇するが、バキュームブレーカ内に設けられた閉塞弁は大気に解放されているので、大気圧を導入することによって排水管側の水位が上昇しないようになっている。これで、排水管側の水位が閉塞弁側まで上昇するのが抑えられ、汚水が水道水に混じることが回避される。
【0006】
このような従来例に関連して特許文献1には、大気圧式のバキュームブレーカが開示されている。このバキュームブレーカによれば、内部には一次側流路と二次側流路が設けられている。電磁弁の開放により、水道水は、この一次側流路内に流入し、弁体を押し上げて二次側流路に流入して粉砕処理装置へ供給される。
【0007】
【特許文献1】特開2006−342944号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来例に係る特許文献1に記載のバキュームブレーカによれば、本体内部に設けられた一次側流路及び二次側流路は、当該本体に一体成型されているので、金型を抜くための抜き勾配を必要とする。
【0009】
一般的に、バキュームブレーカの流路の内径は、最低7mm必要とされている。これは、バキュームブレーカが、少なくとも毎分8リットルの水が流れるようにする必要があるためである。
【0010】
この条件において、一次側流路及び二次側流路の内径を一番細い部分、すなわち金型の挿入先端部により形成される内径を最低7mm確保する必要がある。このとき、一次側流路及び二次側流路の後端部に向かうにしたがって金型の抜き勾配が加えられるので、本体に一体成型された各流路の内径が大きくなる。このため、バキュームブレーカ本体のサイズが大きくなる問題がある。
【0011】
バキュームブレーカは、例えば生ごみ処理装置に適用され、キッチンのシンク周りに設置されることが多い。キッチンはスタイリッシュなデザインを要求されることが多く、バキュームブレーカ本体のサイズが大きくなると、キッチンの美観を損なうおそれがある。
【0012】
そこで、本発明はこのような従来例に係る課題を解決したものであって、部品の抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えて本体のサイズを小型化できるようにしたバキュームブレーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明に係るバキュームブレーカは、給水装置に設置される大気圧式のバキュームブレーカであって、上流側からの水を最上位置へ導く給水系統と、前記給水系統により最上位置へ導かれた水を下流側へ導く吐水系統とを備え、前記給水系統は、本体の内部に設けられた給水側本体内部流路と、前記給水側本体内部流路の一端に結合された第1の給水側流路部材と、前記給水側本体内部流路の他端に結合された第2の給水側流路部材とを有し、前記吐水系統は、前記第2の給水側流路部材に一端が導通され、前記本体の内部に設けられた吐水側本体内部流路と、前記吐水側本体内部流路の他端に結合された吐水側流路部材とを有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るバキュームブレーカによれば、給水系統の第1及び第2の給水側流路部材、及び吐水系統の吐水側流路部材が、本体とは別体を成している。これにより、構成部品を細分化できるので、成形工程において抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るバキュームブレーカによれば、給水側本体内部流路の一端に結合された第1の給水側流路部材と、この給水側本体内部流路の他端に結合された第2の給水側流路部材と、吐水側本体内部流路の他端に結合された吐水側流路部材とを有するものである。
【0016】
この構成によって、給水系統の第1及び第2の給水側流路部材、並びに吐水系統の吐水側流路部材が、本体とは別体を成すことができる。これにより、構成部品を細分化できるので、成形工程において当該部品の抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えることができる。従って、本体のサイズを小型化できると共に、設置場所の美観を好適に保つことができる。しかも、細分化された部品を共通部品として製造できるので、製造コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
続いて、本発明に係るバキュームブレーカの実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
【0018】
図1は、本発明に係るバキュームブレーカ(負圧破壊装置)2を適用した生ゴミ処理ユニット100の構成例を示す概略図である。図1に示す生ごみ処理ユニット100は、生ごみ処理装置1、バキュームブレーカ2、電磁弁5及び制御部8を備える。生ごみ処理装置1は、キッチンのシンク4の排水口に設置され、粉砕室ケース(ホッパー)1a、蓋体1b及び駆動部1cを備える。
【0019】
この粉砕室ケース1aは、不図示の回転破砕刃を有した破砕ユニットが内部に組み込まれている。この回転破砕刃は、駆動部1cのモータ1h(図2参照)の回転軸に嵌合されている。この駆動部1cがモータ1hを回転させることにより、回転破砕刃が回転する。これにより、粉砕室ケース1aに投入された生ごみが回転破砕刃により破砕される。
【0020】
粉砕室ケース1aは、上部に投入開口部1fを有しており、この投入開口部1fに蓋体1bが着脱自在に取り付けられる。この例で、蓋体1bを投入開口部1fに装着した状態で、当該蓋体1bを所定方向に所定角度だけ回動させることで、当該蓋体1bが閉状態に設定される。この閉状態に設定されると、蓋体1bが粉砕室ケース1aにロックされる。
【0021】
図2に示す蓋ロック検知用のセンサー9は、この蓋体1bのロック状態を検知し、検知データD1を制御部8に出力する。制御部8は、入力した検知データD1に基づいて駆動部1cを駆動制御する。駆動部1cは、粉砕室ケース1aの内部に設けられた回転破砕刃を回転する。また、制御部8は、入力した検知データD1に基づいて電磁弁5を開閉制御する。
【0022】
電磁弁5は、水道管6から分岐された第1の分岐管6aと、生ごみ処理装置1に至る過程の給水側流路管10a(以下単に、流路管10aともいう)との間に介在し、不図示のバルブを開閉して水道管6からの流水を制御する。
【0023】
この給水側流路管10aと、生ごみ処理装置1が接続された吐水側流路管10b(以下単に、流路管10bともいう)との間には、バキュームブレーカ2が介在している。このバキュームブレーカ2は、水道水と生ごみ処理装置1側の水(汚水)とが直接混じり合わないようにするために設けられたものであって、水道水は一旦このバキュームブレーカに導かれ、バキュームブレーカ2より吐水した水道水が生ごみ処理装置1に導かれる。
【0024】
この例で、バキュームブレーカ2は、給水側流路管10aから給水した水道水を吐水側流路管10bに吐き出す。また、生ごみ処理装置1へ給水している際に不用意な断水が生じたとき、給水系統内(流路管10a、10b)に逆サイフォン作用による負圧が発生する場合がある。このとき、当該負圧に起因して生ごみ処理装置1内の汚水が、吐水側流路管10b、バキュームブレーカ2、給水側流路管10aなどを経て水道管6に逆流しようとする。このとき、バキュームブレーカ2は、当該負圧により外部から空気を取り入れて瞬時に当該負圧を破壊し、生ごみ処理装置1から吐水側流路管10bへ汚水が逆流することを防止する。無論、バキュームブレーカ2は、生ごみ処理装置1が非作動状態であっても、水道管6側に断水などが生じて負圧が発生すると、当該負圧を破壊するように作用する。
【0025】
なお、このバキュームブレーカ2は、シンク4の溢れ縁(天板)4aに突出して設けられている。これは、シンク4が洗浄水(汚水)などで満杯時において、生ごみ処理装置1に接続された吐水側流路管10bから汚水が逆流することを防止するためである。例えば、シンク4が洗浄水(汚水)で満杯時に、当該シンク4内の洗浄水(汚水)の水面は溢れ縁4aよりも上昇しないので、吐水側流路管10b内を逆流して上昇する洗浄水(汚水)も溢れ縁4aよりは上昇しない。これにより、この溢れ縁4aに突設されたバキュームブレーカ2は、シンク4が洗浄水(汚水)で満杯時であっても、吐水側流路管10bから洗浄水(汚水)が逆流しないようにできる。なお、バキュームブレーカ2の設置は、水道法等に基づく設置規準を満たすことができれば、必ずしも溢れ縁(天板)4aに設ける必要はない。
【0026】
吐水側流路管10bから生ごみ処理装置1の粉砕室ケース1aへ供給された水道水は蓋体1bに供給されて、この蓋体1bから粉砕室ケース1aの内部へと供給される。粉砕室ケース1aの下部には、排水管7が接続されている。細かく破砕された生ごみは、吐水側流路管10bから供給された水によってこの排水管7から流出される。このように、バキュームブレーカ2を適用した生ゴミ処理ユニット100は構成されている。
【0027】
図2は、生ごみ処理ユニット100の制御系の構成例を示すブロック図である。図2に示す制御部8は、CPU8a、RAM8b、ROM8c、I/Oインターフェース8d及びシステムバス8eから構成されている。
【0028】
ROM(Read Only Memory)8cはシステムバス8eを介してCPU(Central Processing Unit)8aに接続される。このROM8cには、生ごみ処理ユニット100の制御プログラムなどが保存されている。この制御プログラムは、センサー9の検出データD1に基づいて、生ごみ処理装置1の駆動部1cや電磁弁5を制御するためのプログラムである。
【0029】
RAM(Random Access Memory)8bはシステムバス8eを介してCPU8aに接続されている。生ごみ処理ユニット100の主電源ONの時、RAM8bには、ROM8cに保存された制御プログラムがCPU8aにより展開される。
【0030】
CPU8aは、I/O(Input/Output)インターフェース8dを介して、蓋ロック検知用のセンサー9に接続されている。図1に示した蓋体1bが粉砕室ケース1aの投入開口部1fに装着されてロックされると、センサー9は、この蓋体1bのロック状態を検知し、検知データD1をCPU8aに出力する。
【0031】
CPU8aは、入力した検知データD1に基づいて、弁駆動データD2を駆動制御部5aに出力する。駆動制御部5aは、この弁駆動データD2に基づいて可動弁5bのコイルを励磁して可動弁5bを開くように制御する。これにより、給水側流路管10a、バキュームブレーカ2、吐水側流路管10bを経て生ごみ処理装置1の粉砕室ケース1a内部に水道水が供給される。
【0032】
また、CPU8aは、入力した検知データD1に基づいて、モータ駆動データD3を駆動制御部1gに出力する。駆動制御部1gは、このモータ駆動データD3から制御信号S3を生成して破砕刃回転用のモータ1hに出力する。このモータ1hはこの制御信号S3に基づいて、粉砕室ケース1a内部に設けられた不図示の回転破砕刃を回転させる。
【0033】
水道水が粉砕室ケース1a内部に連続して供給された状態で回転破砕刃が回転されて、生ごみの破砕処理が所定時間ほど実施される。この間、細かく破砕された生ごみは、図1に示した排水管7から流出される。
【0034】
破砕処理が所定時間経過後、CPU8aは、モータ停止データD3’を駆動制御部1gに出力する。駆動制御部1gは、このモータ駆動データD3’から制御信号S3’を生成して破砕刃回転用のモータ1hに出力する。このモータ1hはこの制御信号S3’に基づいて、粉砕室ケース1a内部に設けられた不図示の回転破砕刃を停止させる。
【0035】
同時に、CPU8aは、弁駆動データD2’を駆動制御部5aに出力する。駆動制御部5aは、この弁駆動データD2’に基づいて可動弁5bのコイルの励磁を停止して可動弁5bを閉じるように制御する。これにより、バキュームブレーカ2への給水が停止されると共に、生ごみ処理装置1の粉砕室ケース1a内部への給水も停止される。
【0036】
続いて、本発明に係るバキュームブレーカ2の詳細について説明する。図3は、本発明に係るバキュームブレーカ2の構成例を示す斜視図である。図3に示すバキュームブレーカ2は、大気圧式のバキュームブレーカであって、カバー20、本体21、第1の給水側流路部材22a、吐水側流路部材22b及びナット部材23を備える。本体21には、カバー20が装着されている。このカバー20の上部には、カバー空気取入口20Aが設けられている。このカバー空気取入口20Aは、長孔状に開口された4箇所の空気孔20a〜20dから成り、外部から空気を取り込むようになされる。このカバー20は樹脂射出成型され、カバー外部表面には、意匠用の例えばシルバーのメッキ塗装が施されている。なお、バキュームブレーカ2を図1に示したキッチンのシンク4の溢れ縁4aに突設した場合、このカバー20のみが、直接的に目視可能な状態となる。これにより、キッチン回りの美観を好適に保つことができる。
【0037】
また、本体21には、給水側流路部材22a(以下単に、流路部材22aともいう)及び吐水側流路部材22b(以下単に、流路部材22bともいう)が取り付けられている。給水側流路部材22aには、図1に示した給水側流路管10aが挿入されてΩ型のホースバンド(第1のバンド)24aにより取り付けられる。また、吐水側流路部材22bには、吐水側流路管10bが挿入されてΩ型のホースバンド(第2のバンド)24bにより取り付けられる。
【0038】
本体21は、円形板状の挟持部21dを備えている。この挟持部21dとナット部材23とにより、図1に示したシンク4の溢れ縁4aを挟んで本体21を固定する。
【0039】
図4はバキュームブレーカ2の組立例を示す斜視図である。先ず、図4に示す本体21の下部側に、パッキン32を介在させて第1の給水側流路部材22aを挿入すると共に、パッキン33を介在させて吐水側流路部材22bを挿入する。
【0040】
次に、本体21に挿入された給水側流路部材22a及び吐水側流路部材22bを係止用金具34により固定する。例えば、この係止用金具34は、円形開口部34a、34b及び係合部34c、34dを有している。この円形開口部34aに、給水側流路部材22aの一端を挿入する。このとき、挿入された給水側流路部材22aは、当該流路部材22aに設けられたストッパー220aにより係止用金具34に抜け止めされる。また、円形開口部34bに、吐水側流路部材22bの一端を挿入する。このとき、挿入された吐水側流路部材22bは、当該流路部材22bに設けられたストッパー220bにより係止用金具34に抜け止めされる。次に、係止用金具34の係合部34cにネジ35aを係合すると共に係合部34dにネジ35bを係合し、当該ネジ35a、35bを本体21に螺合して係止用金具34を本体21に取り付ける。このようにして、給水側流路部材22a及び吐水側流路部材22bを本体21に取り付ける。
【0041】
続いて、本体21の上部側に、パッキン30を介在させて第2の給水側流路部材22c(以下単に、流路部材22cともいう)を挿入する。次に、本体21に挿入された給水側流路部材22cを係止用金具29により固定する。例えば、この係止用金具29は、円形開口部29a及び係合部29b、29cを有している。この円形開口部29aに、給水側流路部材22cの一端を挿入する。このとき、挿入された給水側流路部材22cは、当該流路部材22cに設けられたストッパー220cにより係止用金具29に抜け止めされる。次に、係止用金具29の係合部29bにネジ28aを係合すると共に係合部29cにネジ28bを係合し、当該ネジ28a、28bを本体21に螺合して係止用金具29を本体21に取り付ける。
【0042】
続いて、フロータ26の上部に円盤型のゴムパッキン27を取り付ける。例えば、このフロータ26は弁体の一例として機能し、フロート本体26a(弁体本体の一例)の上部に、棒状部の一例であるロッド26bを備える。このロッド26bには抜止部26cが設けられ、この抜止部26cとフロート本体26aとの間にゴムパッキン27を取り付ける。この場合、ゴムパッキン27の開口部27aを拡大変形させて抜止部26cを通過させて取り付ける。
【0043】
次に、ゴムパッキン27が取り付けられたフロータ26を給水側流路部材22cの上端に装着する。この例で、フロータ26は、フロート本体26a上部が閉塞された筒形状を成している。フロート本体26aの内径は、給水側流路部材22cの外径よりも、大きく設定されている。これにより、フロータ26は、原則、給水側流路部材22cから流出する水道水の水圧と、フロータ26の自重により上下動する。
【0044】
次に、パッキン31を介在させてVケース(収容ケースの一例)25を本体21に取り付けると共に、このVケース25によりフロータ26を収容する。例えば、Vケース25の孔部25bにネジ36を挿通すると共に、当該ネジ36を本体21のネジ孔21cに螺合する。なお、図示しないが、Vケース25には、孔部25bに対峙する位置にも孔部が設けられており、孔部25bと同様にして本体21に係合される。最後に、本体21に取り付けられたVケース25にカバー20を装着して、カバー20によりVケース25を被覆する。このようにして、バキュームブレーカ2を組み立てる。なお、ナット部材23は、バキュームブレーカ2の本体21を図1に示したシンク4に取り付ける際に使用する。
【0045】
なお、Vケース25と本体21との固定は、不図示のピン136をVケース25のピン孔136aから本体21のピン孔136bへと挿入して行うようにしてもよい。
【0046】
図5は、バキュームブレーカ2の取付例を示す側面図である。図5に示すバキュームブレーカ2は、二点鎖線で示したシンク4の溢れ縁4aに取り付けられた状態である。
【0047】
この例で、この溢れ縁(天板)4aには、係止用金具34の径よりも大きく、かつ、本体21の挟持部21dの径よりも小さい取付孔4bが開けられている。この溢れ縁4aの取付孔4bに、ナット部材23が本体21から取り外された状態で、当該本体21を挿入する。挿入後、ナット部材23を溢れ縁4aの下面側から本体21のねじ山に螺合し、当該ナット部材23と本体21の挟持部21dとで溢れ縁4aを挟持する。これにより、本体21を溢れ縁4aに固定できるようになる。
【0048】
図6Aは、バキュームブレーカ2の構成例を示す正面図であり、図6Bは、図6Aに示すバキュームブレーカ2を底面側から見た底面図である。図6Bに示すように、給水側流路部材22a及び吐水側流路部材22bは、係止用金具34によって本体21に固定されている。
【0049】
図7Aは、図6Aに示したバキュームブレーカ2を上面側から見た上面図であり、図7Bは、図7Aに示すバキュームブレーカ2の構成例を示すX1−X1矢視断面図である。図7Bに示すバキュームブレーカ2は、給水系統50A及び吐水系統50Bを有する。この給水系統50Aは、給水側流路管10a、第1の給水側流路部材22a、給水側本体内部流路21a及び第2の給水側流路部材22cから構成され、上流側からの水道水を最上位置へ導く。
【0050】
この第1の給水側流路部材22aは、本体21の内部に設けられた給水側本体内部流路21a(以下単に、本体内部流路21aともいう)の一端に結合されている。この給水側本体内部流路21aの他端は、段違いに形成されている。すなわち、給水側本体内部流路21aは、本体21の紙面向かって左側下部から直線状に延在して形成され、本体21の略中央部で、他端が本体21の左側から中心部に移動して形成されている。この本体内部流路21aの他端には、第2の給水側流路部材22cの後端部が結合されている。この給水側流路部材22cの先端部には、フロータ26が装着されている。このように、給水側本体内部流路21aを段違いに形成することにより、フロータ26をバキュームブレーカ2の中心部に配置できるようになる。従って、当該バキュームブレーカ2を小型化できる。
【0051】
また、吐水系統50Bは、吐水側本体内部流路21b、吐水側流路部材22b及び吐水側流路管10bから構成され、最上位置に導かれた水道水を下流側の生ごみ処理装置1へ導く。給水系統50Aの給水側流路部材22cには、吐水側本体内部流路21b(以下単に、本体内部流路21bともいう)の一端が導通されている。この例で、給水側流路部材22cから流出した水道水は、フロータ26及びVケース25にガイドされて吐水側本体内部流路21bに流入する。吐水側本体内部流路21bの他端には、吐水側流路部材22bが結合されている。この吐水側流路部材22bに接続された吐水側流路管10bを経て生ごみ処理装置1へ水道水が供給される。このように、給水側流路部材22a、22c並びに吐水側流路部材22bは、本体21と別体を有している。
【0052】
この例で、給水系統50Aの給水側流路部材22cの先端に装着されたフロータ26のロッド26bは、Vケース25のガイド孔(ガイド部)25cに挿入されて摺動自在に案内されている。フロータ26は、水圧による上下動の際に、このガイド孔25cにガイド(案内)されてフロート本体26aの姿勢を維持する。
【0053】
フロータ26のフロート本体26aの外周面(側面)には、突起状のリブ26d(図4参照)が突設されている。このリブ26dは案内部の一例として機能し、Vケース25の内壁に摺動自在に当接してフロート本体26aの姿勢を維持する。このように、フロータ26は、ロッド26a及びリブ26dにより、Vケース25に収容されているフロート本体26aの姿勢を維持する。
【0054】
フロータ26は、フロート本体26aと抜止部26cとの間に取り付けられたゴムパッキン27により、Vケース25の頂部に設けられたケース空気取入口25aを開閉する。例えば、フロータ26は、給水側流路部材22c内を流れる水道水の水圧により押し上げられて、ケース空気取入口25aをゴムパッキン27により塞ぐ。これにより、水道水が給水系統50Aから吐水系統50Bに流れるようになると共に、その際に水道水がケース空気取入口25aから漏出することが防止される。
【0055】
また、断水などが発生して給水系統50Aに逆サイフォン作用による負圧が生じた場合、当該負圧に起因して図1に示した生ごみ処理装置1内の汚水が、吐水側流路部材22b、吐水側本体内部流路21b、給水側流路部材22c、給水側本体内部流路21aなどを経て水道管6(図1参照)に逆流しようとする。このとき、フロータ26は、当該負圧が作用することに加えて自重により降下すると共に、ケース空気取入口25aを開放して当該空気取入口25aから空気を取り入れて瞬時に当該負圧を破壊する。これにより、生ごみ処理装置1内の汚水が、吐水系統50Bから給水系統50Aへ逆流することを防止できるようになる。
【0056】
続いて、バキュームブレーカ2の構造上の利点について説明する。図8A及び8Bは、本発明に係るバキュームブレーカ2と従来例に係るバキュームブレーカ2’との構造上の比較例を示す断面図である。図8Aは、図6Aのバキュームブレーカ2の構成例を示すX−X矢視断面図である。図8Bは、従来例のバキュームブレーカ2’の構成例を示す断面図である。
【0057】
図8Bに示す従来例のバキュームブレーカ2’は、本体21’、Vケース25’及びカバー20’を備えている。バキュームブレーカ2’は、この本体21’上部にVケース25’が取り付けられ、更にカバー20’が装着されている。
【0058】
本体21’は、第1の給水側本体内部流路21a’、第2の給水側本体内部流路22c’及び吐水側本体内部流路21b’を有している。これらの本体内部流路21a’、22c’、21b’は、流路の内径が最低7mm必要とされている。これは、バキュームブレーカ2’が、少なくとも毎分8リットルの水が流れるようにする必要があるためである。
【0059】
ところで、従来例に係る本体21’は、例えば樹脂射出成型により一体成型される。本体21’の本体内部流路21a’、22c’、21b’は、棒状の金型が挿入されて形成される。このとき、当該棒状の金型を抜くための抜き勾配(例えば1°程度)が必要になる。従って、本体内部流路21a’の一端側の最小内径ポイントP1を7mm以上に形成する必要がある。このとき、この最小内径ポイントP1から1°程度の抜き勾配を設定した本体内部流路21a’の他端側の最大内径ポイントP2は、12mm程度に形成される。同様に、本体内部流路22c’、21b’に対しても、抜き勾配を考慮して形成される。
【0060】
これに対して、本発明に係るバキュームブレーカ2は、従来例のバキュームブレーカ2’の本体21’が、複数の部品(本体21、給水側流路部材22a、22c、吐水側流路部材22b)から構成されている。これにより、流路部材22aの一端側の最小内径ポイントQ1を7mmに形成した場合、この最小内径ポイントQ1から1°程度の抜き勾配を設定した流路部材22aの他端側の最大内径ポイントQ2は、8mm程度に形成される。
【0061】
従って、従来例に係る本体内部流路21a’の他端側の最大内径ポイントP2(12mm)と比較して、本発明に係る流路部材22aの他端側の最大内径ポイントQ2(8mm)は、内径が4mm小さく形成できる。同様に、流路部材22cも、本体内部流路22c’と比較して小さく形成できる。また、流路部材22bも、本体内部流路21b’と比較して小さく形成できる。
【0062】
これにより、バキュームブレーカ2の外径L1は、バキュームブレーカ2’の外径L2と比較して差分α1だけ小さく形成できる。従って、バキュームブレーカ2の小型化を実現できる。これにより、キッチンのシンク周りの美観を好適に保つことができる。
【0063】
このように、本発明に係るバキュームブレーカ2によれば、給水側本体内部流路21aの一端に結合された第1の給水側流路部材22aと、この給水側本体内部流路21aの他端に結合された第2の給水側流路部材22cと、吐水側本体内部流路21bの他端に結合された吐水側流路部材22bとを有するものである。
【0064】
従って、給水系統50Aの給水側流路部材22a、22c、並びに吐水系統50Bの吐水側流路部材22bが、本体21とは別体を成すことができる。これにより、構成部品を細分化できるので、成形工程において当該部品の抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えることができる。従って、本体21のサイズを小型化できると共に、設置場所の美観を好適に保つことができる。しかも、細分化された部品を共通部品として製造できるので、製造コストを低減できる。例えば、本実施例において、吐水側流路部材22bと第2の給水側流路部材22cとは同一形状の部材の上下を逆さまにした状態で用いている。
【0065】
また、本体21のサイズを小型化できるので、給水側本体内部流路21aと吐水側本体内部流路21bの経路を短くしたうえで、両流路の開口径を最大限取り得る直径とすることで、抜き勾配を保ったまま流路を太くすることができる。また、切削工程を入れなければ実現できなかったバキュームブレーカ2の本体21のサイズの小型化を、当該切削工程を必要としない成型部品のみで小型化を実現できる。
【0066】
続いて、Vケース25のケース空気取入口25aから水が入ることを防止する機能について説明する。図9は、図8Aに示したバキュームブレーカ2の上部を拡大した断面図である。図9に示すカバー20は、空気囲い込み用のリブ20eを備える。このリブ20eは、カバー20の内側上面に、筒形状に設けられている。リブ20eは、空気を囲い込んで内部に空気層Rを形成する。
【0067】
このリブ20eにより形成された空気層Rの底面P3と、Vケース25のケース空気取入口25aの上面P4とはオフセットされている。これにより、ケース空気取入口25aの上面P4を空気層Rにより固繞して当該ケース空気取入口25aから水が浸入することを防止できる。
【0068】
例えば、キッチンで洗い桶などの容器に溜めた水が誤って覆水され、覆水された水がバキュームブレーカ2にかかった場合、この水がカバー空気取入口20Aからカバー20の内部に浸入することが考えられる。このとき、当該カバー20とVケース25との間に浸入した水が溜る。この場合に、浸入した水がリブ20eの下端に到達しても、リブ20eの内部には底面をP3とする空気層Rが形成されており、この空気層Rの内部にまで水が浸入することがない。また、このケース空気取入口25aの上面P4は、空気層R内部に位置しているので、この空気層Rにより水がケース空気取入口25aからVケース25内部に入り込むことを防ぐことができる。これにより、浸入した水に含まれるゴミなどが、Vケース25の内部に入らないので、当該ゴミによるフロータ26の動作不良を回避できるようになる。
【0069】
また、リブ20eは、カバー空気取入口20A、ケース空気取入口25aを経てVケース25内部に入り込む塵や埃などに対して障壁として物理的に防ぐ機能も有している。なお、図17に示す水吐出口20fの開口面積を広く設定して、カバー空気取入口20Aから浸入した水を効率的に吐き出すことも考えられる。
【0070】
続いて、バキュームブレーカ2の動作例を説明する。図10A及びBは、バキュームブレーカ2の動作例を示す断面図である。図10Aに示すバキュームブレーカ2には、水道水が、二点鎖線の矢印方向(給水系統50Aから吐水系統50B)に流れている。すなわち、図1に示した電磁弁5が開かれると、水道水は、給水系統50Aの流路管10a、流路部材22a、本体内部流路21a及び流路部材22cを流れてフロータ26を押し上げる。
【0071】
このとき、フロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに挿入されたロッド26bと、Vケース25の内壁に当接したリブ26dにより姿勢を垂直方向に保ちながら上昇する。上昇後、フロータ26は、上部に取り付けられたゴムパッキン27により、Vケース25のケース空気取入口25aを塞ぐ。これにより、Vケース25内部が水密状態になる。水密状態に移行後、水道水は、Vケース25内部から、吐水系統50Bの本体内部流路21b、流路部材22b及び流路管10bを経て生ごみ処理装置1に流れる。なお、流路部材22cからの水勢が弱く、フロータ26の上昇が途中で止まり、ケース空気取入口25aを塞がない場合であっても、流路部材22cから流出した水道水は、当該フロータ26の内壁を伝って本体内部流路21bに流れる。
【0072】
図10Bに示すバキュームブレーカ2には、断水などが発生して給水系統50Aに逆サイフォン作用による負圧が生じている。このとき、上昇したフロータ26は、流路部材22cにかかる負圧が作用することに加えて自重により降下すると共に、ケース空気取入口25aを開放して当該空気取入口25aから空気を取り入れて瞬時に当該負圧を破壊する。この例で、空気取入口25aからVケース25の内部に取り入れられた空気は、流路部材22c、本体内部流路21a、流路部材22aに流れる。これにより、負圧発生時に生ごみ処理装置1から汚水が逆流することを防ぐことができる。
【0073】
図11は、給水側流路管10a及び吐水側流路管10bの取付例を示す断面図である。図11に示す流路管10aは、ホースバンド24aにより流路部材22aに取り付けられている。また、流路管10bは、ホースバンド24bにより流路部材22bに取り付けられている。
【0074】
この例で、流路部材22aと流路部材22bとは、異なる長さに設定されて本体21から突出している。すなわち、流路部材22bは、流路部材22aよりも距離α2ほど長く突出している。この流路部材22bの突出した部分に、流路管10bが差し込まれてホースバンド24bにより固定されている。
【0075】
これにより、流路管10aのホースバンド24aの取り付け位置と、流路管10bのホースバンド24bの取り付け位置とを両流路管の延在方向に沿って変位させてホースバンド24aと24bとが隣接しないよう互い違いに設定できる。従って、ホースバンド24aとホースバンド24bとが重ならないので、流路部材22aと流路部材22bとの間隙を狭く設定できると共に、流路管10aと流路管10bとを近接して取り付けることができる。
【0076】
このように、流路管10aと流路管10bとを近接して取り付けることは、特に図5に示したシンク4の取付孔4bの径との関係で重要となってくる。例えば、この取付孔4bの径は、流路管10a、10bの外径に基づき、キッチンの景観を考慮してなるべく小さく設定されることが多い。例えば、流路管10a、10bの外径が共に18mmの場合、取付孔4bの径は、38mm〜39mmに設定される。取付孔4bの径が38mmと設定された場合、流路管10a、10bの外径が共に18mmであるので、ホースバンド24a、24bの厚みは2mm以内に抑える必要がある。このとき、ホースバンド24aとホースバンド24bとが重なると、当該厚みを2mm以内に抑えることが難しくなる。従って、上述したように、ホースバンド24a、24bを互い違いに設定することは極めて重要となる。
【0077】
続いて、Vケース25とフロータ26との関係を詳細説明する。図12A〜Cは、Vケース25の構成例を示す説明図である。図12Aに示すVケース25は、正面図である。図12Bに示すVケース25は、図12AのVケース25を矢印方向X2から見た上面図である。図12Cに示すVケース25は、図12AのVケース25を矢印方向X3から見た底面図である。
【0078】
図12B及びCに示すVケース25の頂部中央には、当該Vケース25の外径の3分の1程度の径を有したケース空気取入口25aが設けられている。このケース空気取入口25aの中心には、ガイド孔25cが設けられている。
【0079】
図13A及びBは、フロータ26の装着例を示す説明図である。図13Aに示すフロート本体26aは、上部26eが閉塞された筒形状を成している。ロッド26bは、この上部26eの中央に略垂直に設けられている。フロート本体26aの外周面には、リブ26dが等間隔に4箇所設けられている。このフロータ26は、ロッド26bがVケース25のガイド孔25cに挿入されて装着される。図13Bは、フロータ26が装着されたVケース25を上面から見た上面図である。
【0080】
図14A及びBは、最下点時のフロータ26’、26の動作例を示す断面図である。図14Aに示すフロータ26’は従来例に係るフロータであり、最下点に位置している。このフロータ26’には、リブ26dが設けられていない。図14Aに示すフロータ26’は、紙面向かって左側に最大振れた状態である。この状態で、フロータ26’は、Vケース25のガイド孔25cに、ロッド26bが2箇所に当接してガイドされている。このときのフロータ26’の最大振れ幅をθ1とする。
【0081】
また、図14Bに示すフロータ26は本発明に係るフロータであり、最下点に位置している。このフロータ26には、リブ26dが設けられている。図14Bに示すフロータ26は、紙面向かって左側に最大振れた状態である。この状態で、フロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに、ロッド26bが1箇所に当接し、かつ、リブ26dがVケース25の内壁に当接してガイドされている。このときの、フロータ26の最大振れ幅をθ2とする。
【0082】
この場合、最大振れ幅θ1と最大振れ幅θ2との関係は、θ1>θ2となる。すなわち、フロータ26は、フロータ26’よりも振れ幅が小さくなる。これは、フロータ26はリブ26dを有しているので、このリブ26dがVケース25の内壁面に当接して、振れ幅を抑制しているからである。
【0083】
このように、最下点に位置するフロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに1箇所当接したロッド26bと、Vケース25の内壁に当接したリブ26dとにより、ガイドされる。これにより、ロッド26bがVケース25のガイド孔25cをかじってしまうことを防止できる。従って、フロータ26は、ロッド26bがガイド孔25cに引っ掛からずに円滑に上下動することができる。これにより、図10Aに示したように、フロータ26のゴムパッキン27により、確実にVケース25のケース空気取入口25aを開閉することができ、例えばケース空気取入口25aからの漏水を防止できる。
【0084】
また、図13Aに示したように、リブ26dをフロート本体26aの外周面に等間隔に4箇所設けたので、フロータ26は、フロート本体26aとVケース25の内壁面との間に空間を保持できる。これにより、この空間を空気が通過できるので、フロータ26が滑らかに下降できるようになる。
【0085】
なお、仮にリブ26dを設けずに、フロート本体26aのサイズをVケース25の内壁面に当接する程度まで大きく形成すると、当該フロータ26の姿勢は垂直方向に保たれる。しかし、フロータ26が下降時に、当該フロータ26とVケース25との間の空気が逃げる通り道が殆どないので、フロータ26が滑らかに下降できない問題がある。また、フロータ26とVケース25との間の隙間が殆どないことから、前述の負圧破壊を速やかに行えない問題もある。
【0086】
図15A及びBは、最下点時のフロータ26’、26の動作例を示す拡大断面図である。図15Aは、図14Aに記載の一点鎖線円内を拡大した図であり、図15Bは、図14Bに記載の一点鎖線円内を拡大した図である。
【0087】
図15Aに示すフロータ26’は、ロッド26bが接点T1、T2の2箇所でガイド孔25cに当接してかじった状態(引っ掛かった状態)でガイドされている。これに対し、図15Bに示すフロータ26は、ロッド26bが接点T3でガイド孔25cに当接し、かつ、リブ26dが接点T4でVケース25の内壁に当接してガイドされている。このとき、フロータ26は、図15Aに示した接点T2では、ロッド26bがガイド孔25cに当接していない。
【0088】
このように、フロータ26は、ガイド孔25cに接点T3で当接したロッド26bと、Vケース25の内壁に接点T4で当接したリブ26dとにより、ガイドされている。これにより、フロータ26は、図15Aに示した接点T2では、ロッド26bがガイド孔25cに当接していないので、ロッド26bがVケース25のガイド孔25cにかじることを防止できる。従って、フロータ26は、ロッド26bがガイド孔25cに引っ掛からずに円滑に上下動することができる。
【0089】
また、フロータ26は、ガイド長が接点T3と接点T4を結んだ長さであり、フロータ26’は、ガイド長が接点T1と接点T2を結んだ長さである。従って、フロータ26のガイド長は、フロータ26’のガイド長よりも長くなる。これにより、フロータ26は、ガイド機能のクリアランスを大きくすることができ、生産性を向上させることができる。
【0090】
図16A及びBは、最上点時のフロータ26’、26の動作例を示す断面図である。図16Aに示すフロータ26’は、従来例に係るフロータであり、最上点に位置している。このフロータ26’には、リブ26dが設けられていない。図16Aに示すフロータ26’は、紙面向かって左側に最大振れた状態である。この状態で、フロータ26’は、Vケース25のガイド孔25cに、ロッド26bが接点T5、T6で当接してガイドされている。このときのフロータ26’の最大振れ幅をθ3とする。
【0091】
また、図16Bに示すフロータ26は本発明に係るフロータであり、最上点に位置している。このフロータ26には、リブ26dが設けられている。図16Bに示すフロータ26は、紙面向かって左側に最大振れた状態である。この状態で、フロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに、ロッド26bが接点T7で当接し、かつ、リブ26dがVケース25の内壁に接点T8で当接してガイドされている。このときの、フロータ26の最大振れ幅をθ4とする。
【0092】
この場合、最大振れ幅θ3と最大振れ幅θ4との関係は、θ3>θ4となる。すなわち、フロータ26は、フロータ26’よりも振れ幅が小さくなる。これは、フロータ26はリブ26dを有しているので、このリブ26dがVケース25の内壁面に当接して、振れ幅を抑制しているからである。
【0093】
このように、最上点に位置するフロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに接点T7で当接したロッド26bと、Vケース25の内壁に接点T8で当接したリブ26dとによりガイドされる。これにより、最上点に位置するロッド26bは、接点T7のみでガイド孔25cに当接するので、Vケース25のガイド孔25cにかじることを防止できる。従って、このフロータ26は、最上点に位置した場合であっても、ロッド26bがガイド孔25cに引っ掛からずに円滑に上下動することができる。
【0094】
このように、本発明に係るバキュームブレーカ2によれば、水圧により上下動するフロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに摺動自在に係合するロッド26bと、Vケース25の内壁に摺動自在に当接する突起状のリブ26dとを有するものである。
【0095】
従って、ロッド26bとリブ26dにより、フロート本体26aの姿勢を維持することができる。これにより、フロータ26は、垂直方向に滑らかに上下動できる。しかも、ロッド26bとリブ26dの2箇所で弁体の傾きを抑制しているので、フロータ26とVケース25とのクリアランス調整を容易にできる。
【0096】
続いて、バキュームブレーカ2の空気取り入れ機能について説明する。図17は、バキュームブレーカ2の空気取入部37の構成例(その1)を示す斜視図である。この空気取入部37は、カバー20のカバー空気取入口20A及びVケース25のケース空気取入口25aから構成される。カバー20は、カバー空気取入口20Aの空気孔20a〜20dから外部空気を取り込む。Vケース25は、カバー空気取入口20Aを通過した空気を、ケース空気取入口25aから取り入れる。なお、カバー20は、カバー空気取入口20Aから浸入した水を吐き出すための水吐出口20fを下端に有している。
【0097】
図18は、バキュームブレーカ2の空気取入部37の構成例(その2)を示す説明図である。図18に示すカバー20は正面図であり、Vケース25は上面図である。
【0098】
この例で、Vケース25のケース空気取入口25aの面積は、バキュームブレーカ2の負圧破壊性能において最適に設定する必要がある。この負圧破壊性能において、図10Bに示した溢れ縁4aから給水側流路部材22cの開口部までの高さを高さHとしたとき、負圧破壊試験時の水位上昇が、この高さHの1/2以下、すなわち図10Bに示す高さ1/2H以下の条件を満足させる必要がある。この水位上昇の条件を満たすためには、ケース空気取入口25aの面積を大きく設定する必要がある。
【0099】
しかしながら、フロータ26(図13A参照)による水密機能や、当該取入口25aから入る塵や埃を考慮すると、この取入口25aを単に大きく設定すればよいものではない。
【0100】
例えば、図19は、ケース空気取入口25aの面積と水位上昇との関係例を示す折れ線グラフである。図19に示すグラフは、横軸に当該取入口25aの面積の値(mm2)が設定され、縦軸に水位上昇の値が設定されている。
【0101】
このグラフは、例えばカバー20をバキュームブレーカ2から外した状態で、ケース空気取入口25aの面積を例えば60mm2から200mm2を超えるまで所定の間隔で変更して、負圧破壊試験時の水位上昇の結果を示したグラフである。
【0102】
このグラフによれば、ケース空気取入口25aの面積が、100mm2より小さくなると、急激に水位上昇が大きくなっている。これにより、少なくともケース空気取入口25aの面積を、100mm2以上に設定することが望ましいことが分かる。
【0103】
また、図18に示したカバー20のカバー空気取入口20Aの面積、すなわち空気孔20a〜20dを合計した面積も、バキュームブレーカ2の負圧破壊性能において最適に設定する必要がある。この負圧破壊性能において、負圧破壊試験時の水位上昇が、図10Bに示した高さ1/2H以下の条件を満足させる必要がある。この水位上昇の条件を満たすためには、カバー空気取入口20Aの面積を大きく設定する必要がある。
【0104】
しかしながら、カバー20の美観や、当該取入口20Aから入る塵や埃を考慮すると、この取入口20Aを単に大きく設定すればよいものではない。
【0105】
例えば、図20は、ケース空気取入口25aの面積に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合と水位上昇との関係例を示す折れ線グラブである。図20に示すグラフは、横軸に当該割合(倍)が設定され、縦軸に水位上昇の値が設定されている。また、図20に示すグラフには、Vケース25のケース空気取入口25aの異なる2パターンの面積V1、V2(V1<V2)が示されている。
【0106】
このグラフは、カバー20をVケース25に装着した状態で、ケース空気取入口25aの面積V1、V2に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合を、例えば0.5倍から3倍程度まで所定の間隔で変更して、負圧破壊試験時の水位上昇の結果を示したグラフである。
【0107】
このグラフによれば、ケース空気取入口25aの面積V1、V2に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合が1倍(同じ大きさ)より小さくなると、急激に水位上昇が大きくなっている。これにより、ケース空気取入口25aの面積V1、V2に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合を、1倍以上に設定することが望ましいことが分かる。また、ケース空気取入口25aの面積V1、V2に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合が2倍程度になると、カバー空気取入口2Aの影響を無視できるまで水位上昇が抑えられる。このように、レイアウト段階で許容水位上昇値を決め、この水位上昇値に対する空気取り入れ面積の最適設定を行うことができる。従って、ケース空気取入口25aの設計変更に伴うカバー空気取入口2Aの再試作や再試験などの工程を省くことができる。
【0108】
また、ケース空気取入口25aの面積の異なる面積V1と面積V2(V1<V2)とは、同様の曲線を描いている。すなわち、ケース空気取入口25aの面積の大小にかかわらず、上述の割合が1倍より小さくなると、急激に水位上昇が大きくなる。なお、当然であるが、面積V1<面積V2の関係から、面積V1に比べて面積の大きな面積V2は、水位上昇が小さくなっている。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、生ごみ処理装置に設置される大気圧式のバキュームブレーカに適用して好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係るバキュームブレーカ2を適用した生ゴミ処理ユニット100の構成例を示す概略図である。
【図2】生ごみ処理ユニット100の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】バキュームブレーカ2の構成例を示す斜視図である。
【図4】バキュームブレーカ2の組立例を示す斜視図である。
【図5】バキュームブレーカ2の取付例を示す側面図である。
【図6】A及びBは、バキュームブレーカ2の構成例(その1)を示す説明図である。
【図7】A及びBは、バキュームブレーカ2の構成例(その2)を示す説明図である。
【図8】A及びBは、本発明に係るバキュームブレーカ2と従来例に係るバキュームブレーカ2’との構造上の比較例を示す断面図である。
【図9】図8Aに示したバキュームブレーカ2の上部を拡大した断面図である。
【図10】A及びBは、バキュームブレーカ2の動作例を示す断面図である。
【図11】給水側流路管10a及び吐水側流路管10bの取付例を示す断面図である。
【図12】A〜Cは、Vケース25の構成例を示す説明図である。
【図13】A及びBは、フロータ26の装着例を示す説明図である。
【図14】A及びBは、最下点時のフロータ26’、26の動作例(その1)を示す断面図である。
【図15】A及びBは、最下点時のフロータ26’、26の動作例(その2)を示す拡大断面図である。
【図16】A及びBは、最上点時のフロータ26’、26の動作例を示す断面図である。
【図17】バキュームブレーカ2の空気取入部37の構成例(その1)を示す斜視図である。
【図18】バキュームブレーカ2の空気取入部37の構成例(その2)を示す説明図である。
【図19】ケース空気取入口25aの面積と水位上昇との関係例を示す折れ線グラブである。
【図20】ケース空気取入口25aの面積に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合と水位上昇との関係例を示す折れ線グラブである。
【符号の説明】
【0111】
1・・・生ごみ処理装置、1a・・・粉砕室ケース、1b・・・蓋体、1c・・・駆動部、2・・・バキュームブレーカ、3・・・水栓管、4・・・シンク、4a・・・溢れ縁、5・・・電磁弁、6・・・水道管、7・・・排水管、8・・・制御部、9・・・蓋ロック検知用のセンサー、10a・・・給水側流路管、10b・・・吐水側流路管、20・・・カバー、20A・・・カバー空気取入口、20a〜20d・・・空気孔、20e・・・空気囲い込み用のリブ(空気囲い込み部)、21・・・本体、21a・・・給水側本体内部流路、21b・・・吐水側本体内部流路、22a・・・第1の給水側流路部材、22b・・・吐水側流路部材22b、22c・・・第2の給水側流路部材、24a,24b・・・ホースバンド(第1及び第2のバンド)、25・・・Vケース(収容ケース)、25a・・・ケース空気取入口、25c・・・ガイド孔(ガイド部)、26・・・フロータ(弁体)、26a・・・フロータ本体(弁体本体)、26b・・・ロッド(棒状部)、26d・・・姿勢保持用のリブ(案内部)、50A・・・給水系統、50B・・・吐水系統、100・・・生ごみ処理ユニット
【技術分野】
【0001】
本発明は、生ごみ処理装置に設置される大気圧式のバキュームブレーカに関する。詳しくは、バキュームブレーカ本体における給水系統の第1及び第2の給水側流路部材、並びに吐水系統の吐水側流路部材が本体とは別体を成すことで、構成部品を細分化できるようにすると共に、成形工程において当該部品の抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えて本体のサイズを小型化できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
近年、集合住宅などに使用されることが多い生ごみ処理装置にあっては、生ごみの破砕物を流下するための水として使用される水道水を装置稼働中、手動操作で供給する場合と、自動操作で供給する場合とがある。
【0003】
自動給水の場合には、生ごみ処理装置に供給する水道水の自動供給口が設けられている。水道水はこの供給口に直接供給されるのではなく、バキュームブレーカを介して供給されるようになっている。
【0004】
このバキュームブレーカは水道水と生ごみ処理装置側の水(汚水)とが直接混じり合わないようにするために設けられたものであって、水道水は一旦このバキュームブレーカに導かれ、バキュームブレーカより吐水した水道水が生ごみ処理装置の給水口に導かれる。
【0005】
生ごみ処理装置の排水口側に接続された排水管側から何らかの影響によって汚水が逆流しようとしたり、断水などによって水道水の上水管側の圧力が負圧になると、排水管側の水位が上昇するが、バキュームブレーカ内に設けられた閉塞弁は大気に解放されているので、大気圧を導入することによって排水管側の水位が上昇しないようになっている。これで、排水管側の水位が閉塞弁側まで上昇するのが抑えられ、汚水が水道水に混じることが回避される。
【0006】
このような従来例に関連して特許文献1には、大気圧式のバキュームブレーカが開示されている。このバキュームブレーカによれば、内部には一次側流路と二次側流路が設けられている。電磁弁の開放により、水道水は、この一次側流路内に流入し、弁体を押し上げて二次側流路に流入して粉砕処理装置へ供給される。
【0007】
【特許文献1】特開2006−342944号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来例に係る特許文献1に記載のバキュームブレーカによれば、本体内部に設けられた一次側流路及び二次側流路は、当該本体に一体成型されているので、金型を抜くための抜き勾配を必要とする。
【0009】
一般的に、バキュームブレーカの流路の内径は、最低7mm必要とされている。これは、バキュームブレーカが、少なくとも毎分8リットルの水が流れるようにする必要があるためである。
【0010】
この条件において、一次側流路及び二次側流路の内径を一番細い部分、すなわち金型の挿入先端部により形成される内径を最低7mm確保する必要がある。このとき、一次側流路及び二次側流路の後端部に向かうにしたがって金型の抜き勾配が加えられるので、本体に一体成型された各流路の内径が大きくなる。このため、バキュームブレーカ本体のサイズが大きくなる問題がある。
【0011】
バキュームブレーカは、例えば生ごみ処理装置に適用され、キッチンのシンク周りに設置されることが多い。キッチンはスタイリッシュなデザインを要求されることが多く、バキュームブレーカ本体のサイズが大きくなると、キッチンの美観を損なうおそれがある。
【0012】
そこで、本発明はこのような従来例に係る課題を解決したものであって、部品の抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えて本体のサイズを小型化できるようにしたバキュームブレーカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した課題を解決するために、本発明に係るバキュームブレーカは、給水装置に設置される大気圧式のバキュームブレーカであって、上流側からの水を最上位置へ導く給水系統と、前記給水系統により最上位置へ導かれた水を下流側へ導く吐水系統とを備え、前記給水系統は、本体の内部に設けられた給水側本体内部流路と、前記給水側本体内部流路の一端に結合された第1の給水側流路部材と、前記給水側本体内部流路の他端に結合された第2の給水側流路部材とを有し、前記吐水系統は、前記第2の給水側流路部材に一端が導通され、前記本体の内部に設けられた吐水側本体内部流路と、前記吐水側本体内部流路の他端に結合された吐水側流路部材とを有することを特徴とするものである。
【0014】
本発明に係るバキュームブレーカによれば、給水系統の第1及び第2の給水側流路部材、及び吐水系統の吐水側流路部材が、本体とは別体を成している。これにより、構成部品を細分化できるので、成形工程において抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るバキュームブレーカによれば、給水側本体内部流路の一端に結合された第1の給水側流路部材と、この給水側本体内部流路の他端に結合された第2の給水側流路部材と、吐水側本体内部流路の他端に結合された吐水側流路部材とを有するものである。
【0016】
この構成によって、給水系統の第1及び第2の給水側流路部材、並びに吐水系統の吐水側流路部材が、本体とは別体を成すことができる。これにより、構成部品を細分化できるので、成形工程において当該部品の抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えることができる。従って、本体のサイズを小型化できると共に、設置場所の美観を好適に保つことができる。しかも、細分化された部品を共通部品として製造できるので、製造コストを低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
続いて、本発明に係るバキュームブレーカの実施の形態について、図面を参照しながら説明をする。
【0018】
図1は、本発明に係るバキュームブレーカ(負圧破壊装置)2を適用した生ゴミ処理ユニット100の構成例を示す概略図である。図1に示す生ごみ処理ユニット100は、生ごみ処理装置1、バキュームブレーカ2、電磁弁5及び制御部8を備える。生ごみ処理装置1は、キッチンのシンク4の排水口に設置され、粉砕室ケース(ホッパー)1a、蓋体1b及び駆動部1cを備える。
【0019】
この粉砕室ケース1aは、不図示の回転破砕刃を有した破砕ユニットが内部に組み込まれている。この回転破砕刃は、駆動部1cのモータ1h(図2参照)の回転軸に嵌合されている。この駆動部1cがモータ1hを回転させることにより、回転破砕刃が回転する。これにより、粉砕室ケース1aに投入された生ごみが回転破砕刃により破砕される。
【0020】
粉砕室ケース1aは、上部に投入開口部1fを有しており、この投入開口部1fに蓋体1bが着脱自在に取り付けられる。この例で、蓋体1bを投入開口部1fに装着した状態で、当該蓋体1bを所定方向に所定角度だけ回動させることで、当該蓋体1bが閉状態に設定される。この閉状態に設定されると、蓋体1bが粉砕室ケース1aにロックされる。
【0021】
図2に示す蓋ロック検知用のセンサー9は、この蓋体1bのロック状態を検知し、検知データD1を制御部8に出力する。制御部8は、入力した検知データD1に基づいて駆動部1cを駆動制御する。駆動部1cは、粉砕室ケース1aの内部に設けられた回転破砕刃を回転する。また、制御部8は、入力した検知データD1に基づいて電磁弁5を開閉制御する。
【0022】
電磁弁5は、水道管6から分岐された第1の分岐管6aと、生ごみ処理装置1に至る過程の給水側流路管10a(以下単に、流路管10aともいう)との間に介在し、不図示のバルブを開閉して水道管6からの流水を制御する。
【0023】
この給水側流路管10aと、生ごみ処理装置1が接続された吐水側流路管10b(以下単に、流路管10bともいう)との間には、バキュームブレーカ2が介在している。このバキュームブレーカ2は、水道水と生ごみ処理装置1側の水(汚水)とが直接混じり合わないようにするために設けられたものであって、水道水は一旦このバキュームブレーカに導かれ、バキュームブレーカ2より吐水した水道水が生ごみ処理装置1に導かれる。
【0024】
この例で、バキュームブレーカ2は、給水側流路管10aから給水した水道水を吐水側流路管10bに吐き出す。また、生ごみ処理装置1へ給水している際に不用意な断水が生じたとき、給水系統内(流路管10a、10b)に逆サイフォン作用による負圧が発生する場合がある。このとき、当該負圧に起因して生ごみ処理装置1内の汚水が、吐水側流路管10b、バキュームブレーカ2、給水側流路管10aなどを経て水道管6に逆流しようとする。このとき、バキュームブレーカ2は、当該負圧により外部から空気を取り入れて瞬時に当該負圧を破壊し、生ごみ処理装置1から吐水側流路管10bへ汚水が逆流することを防止する。無論、バキュームブレーカ2は、生ごみ処理装置1が非作動状態であっても、水道管6側に断水などが生じて負圧が発生すると、当該負圧を破壊するように作用する。
【0025】
なお、このバキュームブレーカ2は、シンク4の溢れ縁(天板)4aに突出して設けられている。これは、シンク4が洗浄水(汚水)などで満杯時において、生ごみ処理装置1に接続された吐水側流路管10bから汚水が逆流することを防止するためである。例えば、シンク4が洗浄水(汚水)で満杯時に、当該シンク4内の洗浄水(汚水)の水面は溢れ縁4aよりも上昇しないので、吐水側流路管10b内を逆流して上昇する洗浄水(汚水)も溢れ縁4aよりは上昇しない。これにより、この溢れ縁4aに突設されたバキュームブレーカ2は、シンク4が洗浄水(汚水)で満杯時であっても、吐水側流路管10bから洗浄水(汚水)が逆流しないようにできる。なお、バキュームブレーカ2の設置は、水道法等に基づく設置規準を満たすことができれば、必ずしも溢れ縁(天板)4aに設ける必要はない。
【0026】
吐水側流路管10bから生ごみ処理装置1の粉砕室ケース1aへ供給された水道水は蓋体1bに供給されて、この蓋体1bから粉砕室ケース1aの内部へと供給される。粉砕室ケース1aの下部には、排水管7が接続されている。細かく破砕された生ごみは、吐水側流路管10bから供給された水によってこの排水管7から流出される。このように、バキュームブレーカ2を適用した生ゴミ処理ユニット100は構成されている。
【0027】
図2は、生ごみ処理ユニット100の制御系の構成例を示すブロック図である。図2に示す制御部8は、CPU8a、RAM8b、ROM8c、I/Oインターフェース8d及びシステムバス8eから構成されている。
【0028】
ROM(Read Only Memory)8cはシステムバス8eを介してCPU(Central Processing Unit)8aに接続される。このROM8cには、生ごみ処理ユニット100の制御プログラムなどが保存されている。この制御プログラムは、センサー9の検出データD1に基づいて、生ごみ処理装置1の駆動部1cや電磁弁5を制御するためのプログラムである。
【0029】
RAM(Random Access Memory)8bはシステムバス8eを介してCPU8aに接続されている。生ごみ処理ユニット100の主電源ONの時、RAM8bには、ROM8cに保存された制御プログラムがCPU8aにより展開される。
【0030】
CPU8aは、I/O(Input/Output)インターフェース8dを介して、蓋ロック検知用のセンサー9に接続されている。図1に示した蓋体1bが粉砕室ケース1aの投入開口部1fに装着されてロックされると、センサー9は、この蓋体1bのロック状態を検知し、検知データD1をCPU8aに出力する。
【0031】
CPU8aは、入力した検知データD1に基づいて、弁駆動データD2を駆動制御部5aに出力する。駆動制御部5aは、この弁駆動データD2に基づいて可動弁5bのコイルを励磁して可動弁5bを開くように制御する。これにより、給水側流路管10a、バキュームブレーカ2、吐水側流路管10bを経て生ごみ処理装置1の粉砕室ケース1a内部に水道水が供給される。
【0032】
また、CPU8aは、入力した検知データD1に基づいて、モータ駆動データD3を駆動制御部1gに出力する。駆動制御部1gは、このモータ駆動データD3から制御信号S3を生成して破砕刃回転用のモータ1hに出力する。このモータ1hはこの制御信号S3に基づいて、粉砕室ケース1a内部に設けられた不図示の回転破砕刃を回転させる。
【0033】
水道水が粉砕室ケース1a内部に連続して供給された状態で回転破砕刃が回転されて、生ごみの破砕処理が所定時間ほど実施される。この間、細かく破砕された生ごみは、図1に示した排水管7から流出される。
【0034】
破砕処理が所定時間経過後、CPU8aは、モータ停止データD3’を駆動制御部1gに出力する。駆動制御部1gは、このモータ駆動データD3’から制御信号S3’を生成して破砕刃回転用のモータ1hに出力する。このモータ1hはこの制御信号S3’に基づいて、粉砕室ケース1a内部に設けられた不図示の回転破砕刃を停止させる。
【0035】
同時に、CPU8aは、弁駆動データD2’を駆動制御部5aに出力する。駆動制御部5aは、この弁駆動データD2’に基づいて可動弁5bのコイルの励磁を停止して可動弁5bを閉じるように制御する。これにより、バキュームブレーカ2への給水が停止されると共に、生ごみ処理装置1の粉砕室ケース1a内部への給水も停止される。
【0036】
続いて、本発明に係るバキュームブレーカ2の詳細について説明する。図3は、本発明に係るバキュームブレーカ2の構成例を示す斜視図である。図3に示すバキュームブレーカ2は、大気圧式のバキュームブレーカであって、カバー20、本体21、第1の給水側流路部材22a、吐水側流路部材22b及びナット部材23を備える。本体21には、カバー20が装着されている。このカバー20の上部には、カバー空気取入口20Aが設けられている。このカバー空気取入口20Aは、長孔状に開口された4箇所の空気孔20a〜20dから成り、外部から空気を取り込むようになされる。このカバー20は樹脂射出成型され、カバー外部表面には、意匠用の例えばシルバーのメッキ塗装が施されている。なお、バキュームブレーカ2を図1に示したキッチンのシンク4の溢れ縁4aに突設した場合、このカバー20のみが、直接的に目視可能な状態となる。これにより、キッチン回りの美観を好適に保つことができる。
【0037】
また、本体21には、給水側流路部材22a(以下単に、流路部材22aともいう)及び吐水側流路部材22b(以下単に、流路部材22bともいう)が取り付けられている。給水側流路部材22aには、図1に示した給水側流路管10aが挿入されてΩ型のホースバンド(第1のバンド)24aにより取り付けられる。また、吐水側流路部材22bには、吐水側流路管10bが挿入されてΩ型のホースバンド(第2のバンド)24bにより取り付けられる。
【0038】
本体21は、円形板状の挟持部21dを備えている。この挟持部21dとナット部材23とにより、図1に示したシンク4の溢れ縁4aを挟んで本体21を固定する。
【0039】
図4はバキュームブレーカ2の組立例を示す斜視図である。先ず、図4に示す本体21の下部側に、パッキン32を介在させて第1の給水側流路部材22aを挿入すると共に、パッキン33を介在させて吐水側流路部材22bを挿入する。
【0040】
次に、本体21に挿入された給水側流路部材22a及び吐水側流路部材22bを係止用金具34により固定する。例えば、この係止用金具34は、円形開口部34a、34b及び係合部34c、34dを有している。この円形開口部34aに、給水側流路部材22aの一端を挿入する。このとき、挿入された給水側流路部材22aは、当該流路部材22aに設けられたストッパー220aにより係止用金具34に抜け止めされる。また、円形開口部34bに、吐水側流路部材22bの一端を挿入する。このとき、挿入された吐水側流路部材22bは、当該流路部材22bに設けられたストッパー220bにより係止用金具34に抜け止めされる。次に、係止用金具34の係合部34cにネジ35aを係合すると共に係合部34dにネジ35bを係合し、当該ネジ35a、35bを本体21に螺合して係止用金具34を本体21に取り付ける。このようにして、給水側流路部材22a及び吐水側流路部材22bを本体21に取り付ける。
【0041】
続いて、本体21の上部側に、パッキン30を介在させて第2の給水側流路部材22c(以下単に、流路部材22cともいう)を挿入する。次に、本体21に挿入された給水側流路部材22cを係止用金具29により固定する。例えば、この係止用金具29は、円形開口部29a及び係合部29b、29cを有している。この円形開口部29aに、給水側流路部材22cの一端を挿入する。このとき、挿入された給水側流路部材22cは、当該流路部材22cに設けられたストッパー220cにより係止用金具29に抜け止めされる。次に、係止用金具29の係合部29bにネジ28aを係合すると共に係合部29cにネジ28bを係合し、当該ネジ28a、28bを本体21に螺合して係止用金具29を本体21に取り付ける。
【0042】
続いて、フロータ26の上部に円盤型のゴムパッキン27を取り付ける。例えば、このフロータ26は弁体の一例として機能し、フロート本体26a(弁体本体の一例)の上部に、棒状部の一例であるロッド26bを備える。このロッド26bには抜止部26cが設けられ、この抜止部26cとフロート本体26aとの間にゴムパッキン27を取り付ける。この場合、ゴムパッキン27の開口部27aを拡大変形させて抜止部26cを通過させて取り付ける。
【0043】
次に、ゴムパッキン27が取り付けられたフロータ26を給水側流路部材22cの上端に装着する。この例で、フロータ26は、フロート本体26a上部が閉塞された筒形状を成している。フロート本体26aの内径は、給水側流路部材22cの外径よりも、大きく設定されている。これにより、フロータ26は、原則、給水側流路部材22cから流出する水道水の水圧と、フロータ26の自重により上下動する。
【0044】
次に、パッキン31を介在させてVケース(収容ケースの一例)25を本体21に取り付けると共に、このVケース25によりフロータ26を収容する。例えば、Vケース25の孔部25bにネジ36を挿通すると共に、当該ネジ36を本体21のネジ孔21cに螺合する。なお、図示しないが、Vケース25には、孔部25bに対峙する位置にも孔部が設けられており、孔部25bと同様にして本体21に係合される。最後に、本体21に取り付けられたVケース25にカバー20を装着して、カバー20によりVケース25を被覆する。このようにして、バキュームブレーカ2を組み立てる。なお、ナット部材23は、バキュームブレーカ2の本体21を図1に示したシンク4に取り付ける際に使用する。
【0045】
なお、Vケース25と本体21との固定は、不図示のピン136をVケース25のピン孔136aから本体21のピン孔136bへと挿入して行うようにしてもよい。
【0046】
図5は、バキュームブレーカ2の取付例を示す側面図である。図5に示すバキュームブレーカ2は、二点鎖線で示したシンク4の溢れ縁4aに取り付けられた状態である。
【0047】
この例で、この溢れ縁(天板)4aには、係止用金具34の径よりも大きく、かつ、本体21の挟持部21dの径よりも小さい取付孔4bが開けられている。この溢れ縁4aの取付孔4bに、ナット部材23が本体21から取り外された状態で、当該本体21を挿入する。挿入後、ナット部材23を溢れ縁4aの下面側から本体21のねじ山に螺合し、当該ナット部材23と本体21の挟持部21dとで溢れ縁4aを挟持する。これにより、本体21を溢れ縁4aに固定できるようになる。
【0048】
図6Aは、バキュームブレーカ2の構成例を示す正面図であり、図6Bは、図6Aに示すバキュームブレーカ2を底面側から見た底面図である。図6Bに示すように、給水側流路部材22a及び吐水側流路部材22bは、係止用金具34によって本体21に固定されている。
【0049】
図7Aは、図6Aに示したバキュームブレーカ2を上面側から見た上面図であり、図7Bは、図7Aに示すバキュームブレーカ2の構成例を示すX1−X1矢視断面図である。図7Bに示すバキュームブレーカ2は、給水系統50A及び吐水系統50Bを有する。この給水系統50Aは、給水側流路管10a、第1の給水側流路部材22a、給水側本体内部流路21a及び第2の給水側流路部材22cから構成され、上流側からの水道水を最上位置へ導く。
【0050】
この第1の給水側流路部材22aは、本体21の内部に設けられた給水側本体内部流路21a(以下単に、本体内部流路21aともいう)の一端に結合されている。この給水側本体内部流路21aの他端は、段違いに形成されている。すなわち、給水側本体内部流路21aは、本体21の紙面向かって左側下部から直線状に延在して形成され、本体21の略中央部で、他端が本体21の左側から中心部に移動して形成されている。この本体内部流路21aの他端には、第2の給水側流路部材22cの後端部が結合されている。この給水側流路部材22cの先端部には、フロータ26が装着されている。このように、給水側本体内部流路21aを段違いに形成することにより、フロータ26をバキュームブレーカ2の中心部に配置できるようになる。従って、当該バキュームブレーカ2を小型化できる。
【0051】
また、吐水系統50Bは、吐水側本体内部流路21b、吐水側流路部材22b及び吐水側流路管10bから構成され、最上位置に導かれた水道水を下流側の生ごみ処理装置1へ導く。給水系統50Aの給水側流路部材22cには、吐水側本体内部流路21b(以下単に、本体内部流路21bともいう)の一端が導通されている。この例で、給水側流路部材22cから流出した水道水は、フロータ26及びVケース25にガイドされて吐水側本体内部流路21bに流入する。吐水側本体内部流路21bの他端には、吐水側流路部材22bが結合されている。この吐水側流路部材22bに接続された吐水側流路管10bを経て生ごみ処理装置1へ水道水が供給される。このように、給水側流路部材22a、22c並びに吐水側流路部材22bは、本体21と別体を有している。
【0052】
この例で、給水系統50Aの給水側流路部材22cの先端に装着されたフロータ26のロッド26bは、Vケース25のガイド孔(ガイド部)25cに挿入されて摺動自在に案内されている。フロータ26は、水圧による上下動の際に、このガイド孔25cにガイド(案内)されてフロート本体26aの姿勢を維持する。
【0053】
フロータ26のフロート本体26aの外周面(側面)には、突起状のリブ26d(図4参照)が突設されている。このリブ26dは案内部の一例として機能し、Vケース25の内壁に摺動自在に当接してフロート本体26aの姿勢を維持する。このように、フロータ26は、ロッド26a及びリブ26dにより、Vケース25に収容されているフロート本体26aの姿勢を維持する。
【0054】
フロータ26は、フロート本体26aと抜止部26cとの間に取り付けられたゴムパッキン27により、Vケース25の頂部に設けられたケース空気取入口25aを開閉する。例えば、フロータ26は、給水側流路部材22c内を流れる水道水の水圧により押し上げられて、ケース空気取入口25aをゴムパッキン27により塞ぐ。これにより、水道水が給水系統50Aから吐水系統50Bに流れるようになると共に、その際に水道水がケース空気取入口25aから漏出することが防止される。
【0055】
また、断水などが発生して給水系統50Aに逆サイフォン作用による負圧が生じた場合、当該負圧に起因して図1に示した生ごみ処理装置1内の汚水が、吐水側流路部材22b、吐水側本体内部流路21b、給水側流路部材22c、給水側本体内部流路21aなどを経て水道管6(図1参照)に逆流しようとする。このとき、フロータ26は、当該負圧が作用することに加えて自重により降下すると共に、ケース空気取入口25aを開放して当該空気取入口25aから空気を取り入れて瞬時に当該負圧を破壊する。これにより、生ごみ処理装置1内の汚水が、吐水系統50Bから給水系統50Aへ逆流することを防止できるようになる。
【0056】
続いて、バキュームブレーカ2の構造上の利点について説明する。図8A及び8Bは、本発明に係るバキュームブレーカ2と従来例に係るバキュームブレーカ2’との構造上の比較例を示す断面図である。図8Aは、図6Aのバキュームブレーカ2の構成例を示すX−X矢視断面図である。図8Bは、従来例のバキュームブレーカ2’の構成例を示す断面図である。
【0057】
図8Bに示す従来例のバキュームブレーカ2’は、本体21’、Vケース25’及びカバー20’を備えている。バキュームブレーカ2’は、この本体21’上部にVケース25’が取り付けられ、更にカバー20’が装着されている。
【0058】
本体21’は、第1の給水側本体内部流路21a’、第2の給水側本体内部流路22c’及び吐水側本体内部流路21b’を有している。これらの本体内部流路21a’、22c’、21b’は、流路の内径が最低7mm必要とされている。これは、バキュームブレーカ2’が、少なくとも毎分8リットルの水が流れるようにする必要があるためである。
【0059】
ところで、従来例に係る本体21’は、例えば樹脂射出成型により一体成型される。本体21’の本体内部流路21a’、22c’、21b’は、棒状の金型が挿入されて形成される。このとき、当該棒状の金型を抜くための抜き勾配(例えば1°程度)が必要になる。従って、本体内部流路21a’の一端側の最小内径ポイントP1を7mm以上に形成する必要がある。このとき、この最小内径ポイントP1から1°程度の抜き勾配を設定した本体内部流路21a’の他端側の最大内径ポイントP2は、12mm程度に形成される。同様に、本体内部流路22c’、21b’に対しても、抜き勾配を考慮して形成される。
【0060】
これに対して、本発明に係るバキュームブレーカ2は、従来例のバキュームブレーカ2’の本体21’が、複数の部品(本体21、給水側流路部材22a、22c、吐水側流路部材22b)から構成されている。これにより、流路部材22aの一端側の最小内径ポイントQ1を7mmに形成した場合、この最小内径ポイントQ1から1°程度の抜き勾配を設定した流路部材22aの他端側の最大内径ポイントQ2は、8mm程度に形成される。
【0061】
従って、従来例に係る本体内部流路21a’の他端側の最大内径ポイントP2(12mm)と比較して、本発明に係る流路部材22aの他端側の最大内径ポイントQ2(8mm)は、内径が4mm小さく形成できる。同様に、流路部材22cも、本体内部流路22c’と比較して小さく形成できる。また、流路部材22bも、本体内部流路21b’と比較して小さく形成できる。
【0062】
これにより、バキュームブレーカ2の外径L1は、バキュームブレーカ2’の外径L2と比較して差分α1だけ小さく形成できる。従って、バキュームブレーカ2の小型化を実現できる。これにより、キッチンのシンク周りの美観を好適に保つことができる。
【0063】
このように、本発明に係るバキュームブレーカ2によれば、給水側本体内部流路21aの一端に結合された第1の給水側流路部材22aと、この給水側本体内部流路21aの他端に結合された第2の給水側流路部材22cと、吐水側本体内部流路21bの他端に結合された吐水側流路部材22bとを有するものである。
【0064】
従って、給水系統50Aの給水側流路部材22a、22c、並びに吐水系統50Bの吐水側流路部材22bが、本体21とは別体を成すことができる。これにより、構成部品を細分化できるので、成形工程において当該部品の抜き勾配を保つことによる部品形状の大型化を最小限に抑えることができる。従って、本体21のサイズを小型化できると共に、設置場所の美観を好適に保つことができる。しかも、細分化された部品を共通部品として製造できるので、製造コストを低減できる。例えば、本実施例において、吐水側流路部材22bと第2の給水側流路部材22cとは同一形状の部材の上下を逆さまにした状態で用いている。
【0065】
また、本体21のサイズを小型化できるので、給水側本体内部流路21aと吐水側本体内部流路21bの経路を短くしたうえで、両流路の開口径を最大限取り得る直径とすることで、抜き勾配を保ったまま流路を太くすることができる。また、切削工程を入れなければ実現できなかったバキュームブレーカ2の本体21のサイズの小型化を、当該切削工程を必要としない成型部品のみで小型化を実現できる。
【0066】
続いて、Vケース25のケース空気取入口25aから水が入ることを防止する機能について説明する。図9は、図8Aに示したバキュームブレーカ2の上部を拡大した断面図である。図9に示すカバー20は、空気囲い込み用のリブ20eを備える。このリブ20eは、カバー20の内側上面に、筒形状に設けられている。リブ20eは、空気を囲い込んで内部に空気層Rを形成する。
【0067】
このリブ20eにより形成された空気層Rの底面P3と、Vケース25のケース空気取入口25aの上面P4とはオフセットされている。これにより、ケース空気取入口25aの上面P4を空気層Rにより固繞して当該ケース空気取入口25aから水が浸入することを防止できる。
【0068】
例えば、キッチンで洗い桶などの容器に溜めた水が誤って覆水され、覆水された水がバキュームブレーカ2にかかった場合、この水がカバー空気取入口20Aからカバー20の内部に浸入することが考えられる。このとき、当該カバー20とVケース25との間に浸入した水が溜る。この場合に、浸入した水がリブ20eの下端に到達しても、リブ20eの内部には底面をP3とする空気層Rが形成されており、この空気層Rの内部にまで水が浸入することがない。また、このケース空気取入口25aの上面P4は、空気層R内部に位置しているので、この空気層Rにより水がケース空気取入口25aからVケース25内部に入り込むことを防ぐことができる。これにより、浸入した水に含まれるゴミなどが、Vケース25の内部に入らないので、当該ゴミによるフロータ26の動作不良を回避できるようになる。
【0069】
また、リブ20eは、カバー空気取入口20A、ケース空気取入口25aを経てVケース25内部に入り込む塵や埃などに対して障壁として物理的に防ぐ機能も有している。なお、図17に示す水吐出口20fの開口面積を広く設定して、カバー空気取入口20Aから浸入した水を効率的に吐き出すことも考えられる。
【0070】
続いて、バキュームブレーカ2の動作例を説明する。図10A及びBは、バキュームブレーカ2の動作例を示す断面図である。図10Aに示すバキュームブレーカ2には、水道水が、二点鎖線の矢印方向(給水系統50Aから吐水系統50B)に流れている。すなわち、図1に示した電磁弁5が開かれると、水道水は、給水系統50Aの流路管10a、流路部材22a、本体内部流路21a及び流路部材22cを流れてフロータ26を押し上げる。
【0071】
このとき、フロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに挿入されたロッド26bと、Vケース25の内壁に当接したリブ26dにより姿勢を垂直方向に保ちながら上昇する。上昇後、フロータ26は、上部に取り付けられたゴムパッキン27により、Vケース25のケース空気取入口25aを塞ぐ。これにより、Vケース25内部が水密状態になる。水密状態に移行後、水道水は、Vケース25内部から、吐水系統50Bの本体内部流路21b、流路部材22b及び流路管10bを経て生ごみ処理装置1に流れる。なお、流路部材22cからの水勢が弱く、フロータ26の上昇が途中で止まり、ケース空気取入口25aを塞がない場合であっても、流路部材22cから流出した水道水は、当該フロータ26の内壁を伝って本体内部流路21bに流れる。
【0072】
図10Bに示すバキュームブレーカ2には、断水などが発生して給水系統50Aに逆サイフォン作用による負圧が生じている。このとき、上昇したフロータ26は、流路部材22cにかかる負圧が作用することに加えて自重により降下すると共に、ケース空気取入口25aを開放して当該空気取入口25aから空気を取り入れて瞬時に当該負圧を破壊する。この例で、空気取入口25aからVケース25の内部に取り入れられた空気は、流路部材22c、本体内部流路21a、流路部材22aに流れる。これにより、負圧発生時に生ごみ処理装置1から汚水が逆流することを防ぐことができる。
【0073】
図11は、給水側流路管10a及び吐水側流路管10bの取付例を示す断面図である。図11に示す流路管10aは、ホースバンド24aにより流路部材22aに取り付けられている。また、流路管10bは、ホースバンド24bにより流路部材22bに取り付けられている。
【0074】
この例で、流路部材22aと流路部材22bとは、異なる長さに設定されて本体21から突出している。すなわち、流路部材22bは、流路部材22aよりも距離α2ほど長く突出している。この流路部材22bの突出した部分に、流路管10bが差し込まれてホースバンド24bにより固定されている。
【0075】
これにより、流路管10aのホースバンド24aの取り付け位置と、流路管10bのホースバンド24bの取り付け位置とを両流路管の延在方向に沿って変位させてホースバンド24aと24bとが隣接しないよう互い違いに設定できる。従って、ホースバンド24aとホースバンド24bとが重ならないので、流路部材22aと流路部材22bとの間隙を狭く設定できると共に、流路管10aと流路管10bとを近接して取り付けることができる。
【0076】
このように、流路管10aと流路管10bとを近接して取り付けることは、特に図5に示したシンク4の取付孔4bの径との関係で重要となってくる。例えば、この取付孔4bの径は、流路管10a、10bの外径に基づき、キッチンの景観を考慮してなるべく小さく設定されることが多い。例えば、流路管10a、10bの外径が共に18mmの場合、取付孔4bの径は、38mm〜39mmに設定される。取付孔4bの径が38mmと設定された場合、流路管10a、10bの外径が共に18mmであるので、ホースバンド24a、24bの厚みは2mm以内に抑える必要がある。このとき、ホースバンド24aとホースバンド24bとが重なると、当該厚みを2mm以内に抑えることが難しくなる。従って、上述したように、ホースバンド24a、24bを互い違いに設定することは極めて重要となる。
【0077】
続いて、Vケース25とフロータ26との関係を詳細説明する。図12A〜Cは、Vケース25の構成例を示す説明図である。図12Aに示すVケース25は、正面図である。図12Bに示すVケース25は、図12AのVケース25を矢印方向X2から見た上面図である。図12Cに示すVケース25は、図12AのVケース25を矢印方向X3から見た底面図である。
【0078】
図12B及びCに示すVケース25の頂部中央には、当該Vケース25の外径の3分の1程度の径を有したケース空気取入口25aが設けられている。このケース空気取入口25aの中心には、ガイド孔25cが設けられている。
【0079】
図13A及びBは、フロータ26の装着例を示す説明図である。図13Aに示すフロート本体26aは、上部26eが閉塞された筒形状を成している。ロッド26bは、この上部26eの中央に略垂直に設けられている。フロート本体26aの外周面には、リブ26dが等間隔に4箇所設けられている。このフロータ26は、ロッド26bがVケース25のガイド孔25cに挿入されて装着される。図13Bは、フロータ26が装着されたVケース25を上面から見た上面図である。
【0080】
図14A及びBは、最下点時のフロータ26’、26の動作例を示す断面図である。図14Aに示すフロータ26’は従来例に係るフロータであり、最下点に位置している。このフロータ26’には、リブ26dが設けられていない。図14Aに示すフロータ26’は、紙面向かって左側に最大振れた状態である。この状態で、フロータ26’は、Vケース25のガイド孔25cに、ロッド26bが2箇所に当接してガイドされている。このときのフロータ26’の最大振れ幅をθ1とする。
【0081】
また、図14Bに示すフロータ26は本発明に係るフロータであり、最下点に位置している。このフロータ26には、リブ26dが設けられている。図14Bに示すフロータ26は、紙面向かって左側に最大振れた状態である。この状態で、フロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに、ロッド26bが1箇所に当接し、かつ、リブ26dがVケース25の内壁に当接してガイドされている。このときの、フロータ26の最大振れ幅をθ2とする。
【0082】
この場合、最大振れ幅θ1と最大振れ幅θ2との関係は、θ1>θ2となる。すなわち、フロータ26は、フロータ26’よりも振れ幅が小さくなる。これは、フロータ26はリブ26dを有しているので、このリブ26dがVケース25の内壁面に当接して、振れ幅を抑制しているからである。
【0083】
このように、最下点に位置するフロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに1箇所当接したロッド26bと、Vケース25の内壁に当接したリブ26dとにより、ガイドされる。これにより、ロッド26bがVケース25のガイド孔25cをかじってしまうことを防止できる。従って、フロータ26は、ロッド26bがガイド孔25cに引っ掛からずに円滑に上下動することができる。これにより、図10Aに示したように、フロータ26のゴムパッキン27により、確実にVケース25のケース空気取入口25aを開閉することができ、例えばケース空気取入口25aからの漏水を防止できる。
【0084】
また、図13Aに示したように、リブ26dをフロート本体26aの外周面に等間隔に4箇所設けたので、フロータ26は、フロート本体26aとVケース25の内壁面との間に空間を保持できる。これにより、この空間を空気が通過できるので、フロータ26が滑らかに下降できるようになる。
【0085】
なお、仮にリブ26dを設けずに、フロート本体26aのサイズをVケース25の内壁面に当接する程度まで大きく形成すると、当該フロータ26の姿勢は垂直方向に保たれる。しかし、フロータ26が下降時に、当該フロータ26とVケース25との間の空気が逃げる通り道が殆どないので、フロータ26が滑らかに下降できない問題がある。また、フロータ26とVケース25との間の隙間が殆どないことから、前述の負圧破壊を速やかに行えない問題もある。
【0086】
図15A及びBは、最下点時のフロータ26’、26の動作例を示す拡大断面図である。図15Aは、図14Aに記載の一点鎖線円内を拡大した図であり、図15Bは、図14Bに記載の一点鎖線円内を拡大した図である。
【0087】
図15Aに示すフロータ26’は、ロッド26bが接点T1、T2の2箇所でガイド孔25cに当接してかじった状態(引っ掛かった状態)でガイドされている。これに対し、図15Bに示すフロータ26は、ロッド26bが接点T3でガイド孔25cに当接し、かつ、リブ26dが接点T4でVケース25の内壁に当接してガイドされている。このとき、フロータ26は、図15Aに示した接点T2では、ロッド26bがガイド孔25cに当接していない。
【0088】
このように、フロータ26は、ガイド孔25cに接点T3で当接したロッド26bと、Vケース25の内壁に接点T4で当接したリブ26dとにより、ガイドされている。これにより、フロータ26は、図15Aに示した接点T2では、ロッド26bがガイド孔25cに当接していないので、ロッド26bがVケース25のガイド孔25cにかじることを防止できる。従って、フロータ26は、ロッド26bがガイド孔25cに引っ掛からずに円滑に上下動することができる。
【0089】
また、フロータ26は、ガイド長が接点T3と接点T4を結んだ長さであり、フロータ26’は、ガイド長が接点T1と接点T2を結んだ長さである。従って、フロータ26のガイド長は、フロータ26’のガイド長よりも長くなる。これにより、フロータ26は、ガイド機能のクリアランスを大きくすることができ、生産性を向上させることができる。
【0090】
図16A及びBは、最上点時のフロータ26’、26の動作例を示す断面図である。図16Aに示すフロータ26’は、従来例に係るフロータであり、最上点に位置している。このフロータ26’には、リブ26dが設けられていない。図16Aに示すフロータ26’は、紙面向かって左側に最大振れた状態である。この状態で、フロータ26’は、Vケース25のガイド孔25cに、ロッド26bが接点T5、T6で当接してガイドされている。このときのフロータ26’の最大振れ幅をθ3とする。
【0091】
また、図16Bに示すフロータ26は本発明に係るフロータであり、最上点に位置している。このフロータ26には、リブ26dが設けられている。図16Bに示すフロータ26は、紙面向かって左側に最大振れた状態である。この状態で、フロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに、ロッド26bが接点T7で当接し、かつ、リブ26dがVケース25の内壁に接点T8で当接してガイドされている。このときの、フロータ26の最大振れ幅をθ4とする。
【0092】
この場合、最大振れ幅θ3と最大振れ幅θ4との関係は、θ3>θ4となる。すなわち、フロータ26は、フロータ26’よりも振れ幅が小さくなる。これは、フロータ26はリブ26dを有しているので、このリブ26dがVケース25の内壁面に当接して、振れ幅を抑制しているからである。
【0093】
このように、最上点に位置するフロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに接点T7で当接したロッド26bと、Vケース25の内壁に接点T8で当接したリブ26dとによりガイドされる。これにより、最上点に位置するロッド26bは、接点T7のみでガイド孔25cに当接するので、Vケース25のガイド孔25cにかじることを防止できる。従って、このフロータ26は、最上点に位置した場合であっても、ロッド26bがガイド孔25cに引っ掛からずに円滑に上下動することができる。
【0094】
このように、本発明に係るバキュームブレーカ2によれば、水圧により上下動するフロータ26は、Vケース25のガイド孔25cに摺動自在に係合するロッド26bと、Vケース25の内壁に摺動自在に当接する突起状のリブ26dとを有するものである。
【0095】
従って、ロッド26bとリブ26dにより、フロート本体26aの姿勢を維持することができる。これにより、フロータ26は、垂直方向に滑らかに上下動できる。しかも、ロッド26bとリブ26dの2箇所で弁体の傾きを抑制しているので、フロータ26とVケース25とのクリアランス調整を容易にできる。
【0096】
続いて、バキュームブレーカ2の空気取り入れ機能について説明する。図17は、バキュームブレーカ2の空気取入部37の構成例(その1)を示す斜視図である。この空気取入部37は、カバー20のカバー空気取入口20A及びVケース25のケース空気取入口25aから構成される。カバー20は、カバー空気取入口20Aの空気孔20a〜20dから外部空気を取り込む。Vケース25は、カバー空気取入口20Aを通過した空気を、ケース空気取入口25aから取り入れる。なお、カバー20は、カバー空気取入口20Aから浸入した水を吐き出すための水吐出口20fを下端に有している。
【0097】
図18は、バキュームブレーカ2の空気取入部37の構成例(その2)を示す説明図である。図18に示すカバー20は正面図であり、Vケース25は上面図である。
【0098】
この例で、Vケース25のケース空気取入口25aの面積は、バキュームブレーカ2の負圧破壊性能において最適に設定する必要がある。この負圧破壊性能において、図10Bに示した溢れ縁4aから給水側流路部材22cの開口部までの高さを高さHとしたとき、負圧破壊試験時の水位上昇が、この高さHの1/2以下、すなわち図10Bに示す高さ1/2H以下の条件を満足させる必要がある。この水位上昇の条件を満たすためには、ケース空気取入口25aの面積を大きく設定する必要がある。
【0099】
しかしながら、フロータ26(図13A参照)による水密機能や、当該取入口25aから入る塵や埃を考慮すると、この取入口25aを単に大きく設定すればよいものではない。
【0100】
例えば、図19は、ケース空気取入口25aの面積と水位上昇との関係例を示す折れ線グラフである。図19に示すグラフは、横軸に当該取入口25aの面積の値(mm2)が設定され、縦軸に水位上昇の値が設定されている。
【0101】
このグラフは、例えばカバー20をバキュームブレーカ2から外した状態で、ケース空気取入口25aの面積を例えば60mm2から200mm2を超えるまで所定の間隔で変更して、負圧破壊試験時の水位上昇の結果を示したグラフである。
【0102】
このグラフによれば、ケース空気取入口25aの面積が、100mm2より小さくなると、急激に水位上昇が大きくなっている。これにより、少なくともケース空気取入口25aの面積を、100mm2以上に設定することが望ましいことが分かる。
【0103】
また、図18に示したカバー20のカバー空気取入口20Aの面積、すなわち空気孔20a〜20dを合計した面積も、バキュームブレーカ2の負圧破壊性能において最適に設定する必要がある。この負圧破壊性能において、負圧破壊試験時の水位上昇が、図10Bに示した高さ1/2H以下の条件を満足させる必要がある。この水位上昇の条件を満たすためには、カバー空気取入口20Aの面積を大きく設定する必要がある。
【0104】
しかしながら、カバー20の美観や、当該取入口20Aから入る塵や埃を考慮すると、この取入口20Aを単に大きく設定すればよいものではない。
【0105】
例えば、図20は、ケース空気取入口25aの面積に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合と水位上昇との関係例を示す折れ線グラブである。図20に示すグラフは、横軸に当該割合(倍)が設定され、縦軸に水位上昇の値が設定されている。また、図20に示すグラフには、Vケース25のケース空気取入口25aの異なる2パターンの面積V1、V2(V1<V2)が示されている。
【0106】
このグラフは、カバー20をVケース25に装着した状態で、ケース空気取入口25aの面積V1、V2に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合を、例えば0.5倍から3倍程度まで所定の間隔で変更して、負圧破壊試験時の水位上昇の結果を示したグラフである。
【0107】
このグラフによれば、ケース空気取入口25aの面積V1、V2に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合が1倍(同じ大きさ)より小さくなると、急激に水位上昇が大きくなっている。これにより、ケース空気取入口25aの面積V1、V2に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合を、1倍以上に設定することが望ましいことが分かる。また、ケース空気取入口25aの面積V1、V2に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合が2倍程度になると、カバー空気取入口2Aの影響を無視できるまで水位上昇が抑えられる。このように、レイアウト段階で許容水位上昇値を決め、この水位上昇値に対する空気取り入れ面積の最適設定を行うことができる。従って、ケース空気取入口25aの設計変更に伴うカバー空気取入口2Aの再試作や再試験などの工程を省くことができる。
【0108】
また、ケース空気取入口25aの面積の異なる面積V1と面積V2(V1<V2)とは、同様の曲線を描いている。すなわち、ケース空気取入口25aの面積の大小にかかわらず、上述の割合が1倍より小さくなると、急激に水位上昇が大きくなる。なお、当然であるが、面積V1<面積V2の関係から、面積V1に比べて面積の大きな面積V2は、水位上昇が小さくなっている。
【産業上の利用可能性】
【0109】
本発明は、生ごみ処理装置に設置される大気圧式のバキュームブレーカに適用して好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明に係るバキュームブレーカ2を適用した生ゴミ処理ユニット100の構成例を示す概略図である。
【図2】生ごみ処理ユニット100の制御系の構成例を示すブロック図である。
【図3】バキュームブレーカ2の構成例を示す斜視図である。
【図4】バキュームブレーカ2の組立例を示す斜視図である。
【図5】バキュームブレーカ2の取付例を示す側面図である。
【図6】A及びBは、バキュームブレーカ2の構成例(その1)を示す説明図である。
【図7】A及びBは、バキュームブレーカ2の構成例(その2)を示す説明図である。
【図8】A及びBは、本発明に係るバキュームブレーカ2と従来例に係るバキュームブレーカ2’との構造上の比較例を示す断面図である。
【図9】図8Aに示したバキュームブレーカ2の上部を拡大した断面図である。
【図10】A及びBは、バキュームブレーカ2の動作例を示す断面図である。
【図11】給水側流路管10a及び吐水側流路管10bの取付例を示す断面図である。
【図12】A〜Cは、Vケース25の構成例を示す説明図である。
【図13】A及びBは、フロータ26の装着例を示す説明図である。
【図14】A及びBは、最下点時のフロータ26’、26の動作例(その1)を示す断面図である。
【図15】A及びBは、最下点時のフロータ26’、26の動作例(その2)を示す拡大断面図である。
【図16】A及びBは、最上点時のフロータ26’、26の動作例を示す断面図である。
【図17】バキュームブレーカ2の空気取入部37の構成例(その1)を示す斜視図である。
【図18】バキュームブレーカ2の空気取入部37の構成例(その2)を示す説明図である。
【図19】ケース空気取入口25aの面積と水位上昇との関係例を示す折れ線グラブである。
【図20】ケース空気取入口25aの面積に対するカバー空気取入口2Aの面積の割合と水位上昇との関係例を示す折れ線グラブである。
【符号の説明】
【0111】
1・・・生ごみ処理装置、1a・・・粉砕室ケース、1b・・・蓋体、1c・・・駆動部、2・・・バキュームブレーカ、3・・・水栓管、4・・・シンク、4a・・・溢れ縁、5・・・電磁弁、6・・・水道管、7・・・排水管、8・・・制御部、9・・・蓋ロック検知用のセンサー、10a・・・給水側流路管、10b・・・吐水側流路管、20・・・カバー、20A・・・カバー空気取入口、20a〜20d・・・空気孔、20e・・・空気囲い込み用のリブ(空気囲い込み部)、21・・・本体、21a・・・給水側本体内部流路、21b・・・吐水側本体内部流路、22a・・・第1の給水側流路部材、22b・・・吐水側流路部材22b、22c・・・第2の給水側流路部材、24a,24b・・・ホースバンド(第1及び第2のバンド)、25・・・Vケース(収容ケース)、25a・・・ケース空気取入口、25c・・・ガイド孔(ガイド部)、26・・・フロータ(弁体)、26a・・・フロータ本体(弁体本体)、26b・・・ロッド(棒状部)、26d・・・姿勢保持用のリブ(案内部)、50A・・・給水系統、50B・・・吐水系統、100・・・生ごみ処理ユニット
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水装置に設置される大気圧式のバキュームブレーカであって、
上流側からの水を最上位置へ導く給水系統と、
前記給水系統により最上位置へ導かれた水を下流側へ導く吐水系統とを備え、
前記給水系統は、
本体の内部に設けられた給水側本体内部流路と、
前記給水側本体内部流路の一端に結合された第1の給水側流路部材と、
前記給水側本体内部流路の他端に結合された第2の給水側流路部材とを有し、
前記吐水系統は、
前記第2の給水側流路部材に一端が導通され、前記本体の内部に設けられた吐水側本体内部流路と、
前記吐水側本体内部流路の他端に結合された吐水側流路部材とを有することを特徴とするバキュームブレーカ。
【請求項2】
前記第1の給水側流路部材に第1のバンドにより取り付けられる給水側流路管と、
前記吐水側流路部材に第2のバンドにより取り付けられる吐水側流路管とを備え、
前記第1の給水側流路部材及び前記吐水側流路部材は、異なる長さに設定されて前記本体から突出し、
前記給水側流路管の第1のバンドの取り付け位置と、前記吐水側流路管の第2のバンドの取り付け位置とを変位させることを特徴とする請求項1に記載のバキュームブレーカ。
【請求項1】
給水装置に設置される大気圧式のバキュームブレーカであって、
上流側からの水を最上位置へ導く給水系統と、
前記給水系統により最上位置へ導かれた水を下流側へ導く吐水系統とを備え、
前記給水系統は、
本体の内部に設けられた給水側本体内部流路と、
前記給水側本体内部流路の一端に結合された第1の給水側流路部材と、
前記給水側本体内部流路の他端に結合された第2の給水側流路部材とを有し、
前記吐水系統は、
前記第2の給水側流路部材に一端が導通され、前記本体の内部に設けられた吐水側本体内部流路と、
前記吐水側本体内部流路の他端に結合された吐水側流路部材とを有することを特徴とするバキュームブレーカ。
【請求項2】
前記第1の給水側流路部材に第1のバンドにより取り付けられる給水側流路管と、
前記吐水側流路部材に第2のバンドにより取り付けられる吐水側流路管とを備え、
前記第1の給水側流路部材及び前記吐水側流路部材は、異なる長さに設定されて前記本体から突出し、
前記給水側流路管の第1のバンドの取り付け位置と、前記吐水側流路管の第2のバンドの取り付け位置とを変位させることを特徴とする請求項1に記載のバキュームブレーカ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公開番号】特開2009−52672(P2009−52672A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−220219(P2007−220219)
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年8月27日(2007.8.27)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】
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