説明

バックアップ電源システム

【課題】電源異常時において制御機器への必要な電力の供給を可能としつつも、車両全体での消費電力量を抑えつつ、コスト、体積及び重量の増加を抑制することが可能なバックアップ電源システムを提供する。
【解決手段】バックアップ電源システム1は、車両に搭載されたDC/DCコンバータ20からの電力供給を受けて車両のブレーキを作動させる電子制御ブレーキ50と、電子制御ブレーキ50に供給する電圧の値が所定値を下回る電源異常時に、電子制御ブレーキ50に電力を供給するバックアップ電源60とを備えている。また、バックアップ電源60はキャパシタ61を有している。特に、キャパシタ61の充電電圧は、バックアップ電源60の温度が低いほど高い電圧に設定されると共に、車両の速度が高いほど高い電圧に設定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ電源システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子制御ブレーキへ電力を供給する電源(電気自動車やハイブリッド車両においてDC/DCコンバータや12Vバッテリ、一般車両においてオルタネータや12Vバッテリ)が故障等により異常となった場合、電子制御ブレーキへの電力供給をバックアップ電源に切り替えるバックアップ電源システムが提案されている。ここで、バックアップ電源にはキャパシタが用いられ、キャパシタの充電電圧は12Vなど一義的に定められた電圧とされている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−234488号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、キャパシタは温度が低下すると内部抵抗が上昇する特性があり、極低温時(例えば−30℃)には常温時(例えば20℃)と比較し、充電電圧を高く設定する必要がある。しかし、特許文献1に記載のバックアップ電源システムはキャパシタの充電電圧をある値に一義的に設定している。このため、常温時を基準として充電電圧を設定すると極低温時には充電電圧が充分でなく電源異常時に電子制御ブレーキへ必要な電力を供給することができなくなってしまう。
【0005】
一方、極低温時を基準としてキャパシタの充電電圧を設定すると、常に高い電圧でキャパシタを充電することとなる。このため、車両全体での消費電力量が高くなり、燃費(電気自動車では電費)が悪化する要因となってしまう。
【0006】
また、キャパシタの容量増加を行うことにより、充電電圧を低減することも可能であるが、バックアップ電源のコストが高くなるうえ、体積や重量の増加につながってしまう。
【0007】
なお、上記問題は、電源異常時に電子制御ブレーキへ必要な電力を供給するバックアップ電源システムに限らず、車両に搭載される他の制御機器へ必要な電力を供給するバックアップ電源システムについても共通する問題である。
【0008】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、電源異常時において制御機器への必要な電力の供給を可能としつつも、車両全体での消費電力量を抑えつつ、コスト、体積及び重量の増加を抑制することが可能なバックアップ電源システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のバックアップ電源システムは、車両に搭載された電源からの電力供給を受けて駆動する制御機器と、電源異常時に制御機器に電力を供給するバックアップ電源とを備えている。また、バックアップ電源はキャパシタを有し、キャパシタの充電電圧はバックアップ電源の温度が低いほど高い電圧に設定される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、キャパシタの充電電圧はバックアップ電源の温度が低いほど高い電圧に設定されるため、キャパシタは温度に応じて適切に充電可能となり、電源異常時において制御機器へ必要な電力を供給することができる。また、キャパシタは温度に応じて適切に充電可能であることから、必要以上に充電する必要もなく車両全体での消費電力量を抑えることができ、且つ、キャパシタの容量増加を行う必要もなく、コスト、体積及び重量の増加につながらない。従って、電源異常時において制御機器への必要な電力の供給を可能としつつも、車両全体での消費電力量を抑えつつ、コスト、体積及び重量の増加を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施形態に係るバックアップ電源を示す概略構成図である。
【図2】図1に示した記憶部に記憶されたマップを示す概念図である。
【図3】本実施形態に係るバックアップ電源システムの動作を示すフローチャートである。
【図4】図3に示したステップS6における充電電圧の決定方法を示す図である。
【図5】図3に示したステップS9における充電電圧の決定方法を示す図である。
【図6】図3に示したステップS10における充電電圧の決定方法を示す図である。
【図7】第2実施形態に係るバックアップ電源システムを示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係るバックアップ電源1を示す概略構成図である。なお、図1では、電気自動車又はハイブリッド車両に搭載されるバックアップ電源システム1を示している。図1に示すように、バックアップ電源システム1は、概略的にモータMと、強電バッテリ10と、DC/DCコンバータ20と、12Vバッテリ30と、電子電装システム群40と、電子制御ブレーキ(制御機器)50と、バックアップ電源60とを備えている。
【0013】
モータMは、電力供給により駆動する電動機であって、強電バッテリ10からの電力供給を受けて駆動する。また、モータMは回生時において強電バッテリ10を充電する発電機としても機能する。
【0014】
強電バッテリ10はモータMの電源となるものであり、例えば42Vバッテリが用いられる。DC/DCコンバータ20は、強電バッテリ10からの42V電圧を例えば12V電圧に変換する変換器である。DC/DCコンバータ20により変換された電圧は、電子電装システム群40、電子制御ブレーキ50、及びバックアップ電源60に供給される。12Vバッテリ30は、電子電装システム群40、電子制御ブレーキ50、及びバックアップ電源60への電力供給源となるものである。また、12Vバッテリ30は、DC/DCコンバータ20を介して強電バッテリ10により充電される。
【0015】
電子電装システム群40は複数の電子電装システム40〜40からなる。電子電装システム40〜40としては、例えば、エンジン制御システム、駆動制御システム、ABS等のシャシ制御システム、メータ、ヘッドライト、ドア、シート、オートエアコンなどのボディ制御システムが該当する。
【0016】
電子制御ブレーキ50は、負圧ブースターを電動モータブースターに置き換えたブレーキシステムであって、電力供給を受けた電動モータの作動によりブレーキペダルの操作力にアシスト力を付与するブレーキシステムである。このブレーキシステムは、電動モータの回転を回転-直動変換機構により直線運動に変換して出力部材に伝達し、出力部材によりマスタシリンダのピストンを推進してマスタシリンダ内の圧力室にブレーキ液圧を発生させて運転者のブレーキペダルの操作力を倍力させている。負圧を必要としないシステムであるためエンジンを搭載していない電気自動車において使用されるブレーキシステムである。
【0017】
また、電子制御ブレーキ50とDC/DCコンバータ20及び12Vバッテリ30とをつなぐ接続線上にはスイッチ51が設けられている。このスイッチ51により、DC/DCコンバータ20及び12Vバッテリ30から電子制御ブレーキ50への電力供給が制御される。
【0018】
バックアップ電源60は、電源異常時において電子制御ブレーキ50に電力を供給するものである。ここで、電源異常時とは、例えば電子制御ブレーキ50に供給される電圧の値が所定値(例えば11V)を下回ったときである。このバックアップ電源60は、キャパシタ61と、充電回路62と、ダイオード63と、スイッチ64とを備えている。キャパシタ61は、具体的に電気二重層キャパシタ(コンデンサ)のセルを直並列に接続したキャパシタセル群で構成されている。
【0019】
充電回路62は、キャパシタ61を充電するものである。ダイオード63は、キャパシタ61に蓄電した電気エネルギーを電子制御ブレーキ50に供給するために、バックアップ電源60の電圧入力部に設けられたものである。スイッチ64は、スイッチ51を介して電子制御ブレーキ50に供給される電圧が所定値を下回った場合に、オンして(通電状態となり)キャパシタ61から電子制御ブレーキ50に電気エネルギーを供給させるものである。なお、スイッチ64がオンとなる場合、スイッチ51はオフ(遮断状態)となる。
【0020】
さらに、バックアップ電源システム1は、温度センサ71及び車速センサ72を備えている。温度センサ71は、バックアップ電源60の温度を検出するものである。具体的に温度センサ71は、キャパシタ61に直接設けられていてもよいし、キャパシタ61を配置している基板に設置されていてもよい。また、温度センサ71は、バックアップ電源60を収納するケースに設けられていてもよいし、車両で用いられている温度センサをそのまま代用して共通としてもよい。すなわち、温度センサ71は、バックアップ電源60の温度を検出できる限り、様々な位置に設けることができる。
【0021】
車速センサ72は、車両の速度を検出するものであり、車両の速度計に車速を表示するために設けられた車速センサと共通とされている。また、電子制御ブレーキ50は、温度センサ71からの温度情報、及び、車速センサ72からの速度情報を通信により入力する。
【0022】
さらに、電子制御ブレーキ50は内部に記憶部(記憶手段)52を備え、記憶部52は、バックアップ電源60の温度及び車両の速度と、キャパシタ61の充電電圧との相関を示すマップを記憶している。このマップが示すキャパシタ61の充電電圧は、電源異常時において電子制御ブレーキ50へ必要な電力を供給でき、且つ、キャパシタ61に必要以上に充電させないものとなっている。
【0023】
図2は、図1に示した記憶部52に記憶されたマップを示す概念図である。図2に示すように、キャパシタ61の充電電圧は、温度が低くなるほど高い電圧となっている。これは、キャパシタ61の温度が低くなるとキャパシタ61の内部抵抗が上昇するためである。また、マップは、車両の速度が高いほど高い電圧を示している。これは、車両の速度が高くなるほど車両停止までの時間が長くなることから、キャパシタ61の充電電圧を高くする必要があるからである。
【0024】
再度、図1を参照する。図1に示す電子制御ブレーキ50は、温度センサ71からの温度情報、及び、車速センサ72からの速度情報を通信により入力すると、マップに基づいてキャパシタ61の充電電圧を決定する機能を有している。また、電子制御ブレーキ50は、決定した充電電圧の情報を第1電子電装システム40に通信にて送信する機能を有
している。
【0025】
また、本実施形態において第1電子電装システム40は、充電制御電圧判定部41を有している。充電制御電圧判定部41は、電子制御ブレーキ50にて決定された充電電圧の情報を入力すると、DC/DCコンバータ20を制御して、キャパシタ61への充電電圧を制御する。なお、充電制御電圧判定部41は、キャパシタ61への充電電圧を確保できれば、車両側からの要求電圧が充電電圧よりも高い場合、充電電圧でなく車両側からの要求電圧に制御するようにしてもよい。
【0026】
図3は、本実施形態に係るバックアップ電源システム1の動作を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、電子制御ブレーキ50は温度センサ71から温度情報を取得可能であるか否かを判断する(S1)。温度情報を取得可能であると判断した場合(S1:YES)、電子制御ブレーキ50は温度センサ71から温度情報を取得する(S2)。
【0027】
その後、電子制御ブレーキ50は車速センサ72から速度情報を取得可能であるか否かを判断する(S3)。速度情報を取得可能であると判断した場合(S3:YES)、電子制御ブレーキ50は車速センサ72から速度情報を取得する(S4)。次いで、電子制御ブレーキ50は、ステップS2及びステップS4にて取得した温度情報と速度情報とから、図2に示したようなマップに基づいて充電電圧を決定する(S5)。そして、処理はステップS11に移行する。
【0028】
一方、速度情報を取得可能でないと判断した場合(S3:NO)、電子制御ブレーキ50は、ステップS2にて取得した温度情報と、仮定した速度とから、図2に示したようなマップに基づいて充電電圧を決定する(S6)。そして、処理はステップS11に移行する。ここで、電子制御ブレーキ50は、車両の速度が最も高い速度であると仮定してマップに基づいて充電電圧を決定する。なお、最も高い速度とは、当該車両にて実現可能な速度であったり、マップに記憶されている速度のうちで最も高いものであったりする。
【0029】
図4は、図3に示したステップS6における充電電圧の決定方法を示す図である。図4に示すように、例えばマップ内において最も高い速度が時速250kmであったとする。この場合、電子制御ブレーキ50は、車両の速度が時速250kmであると仮定して充電電圧を決定する。すなわち、電子制御ブレーキ50は、マップ上において太線で示す曲線と温度情報とから充電電圧を決定する。
【0030】
再度図1を参照する。温度情報を取得可能でないと判断した場合(S1:NO)、電子制御ブレーキ50は車速センサ72から速度情報を取得可能であるか否かを判断する(S7)。速度情報を取得可能であると判断した場合(S7:YES)、電子制御ブレーキ50は車速センサ72から速度情報を取得する(S8)。次いで、電子制御ブレーキ50は、仮定した温度と、ステップS4にて取得した速度情報とから、図2に示したようなマップに基づいて充電電圧を決定する(S9)。そして、処理はステップS11に移行する。ここで、電子制御ブレーキ50は、温度が最も低い温度であると仮定してマップに基づいて充電電圧を決定する。なお、最も低い温度とは、当該車両環境において発生可能な温度であったり、マップに記憶されている温度のうちで最も高いものであったりする。
【0031】
図5は、図3に示したステップS9における充電電圧の決定方法を示す図である。図5に示すように、例えばマップ内において最も低い温度がマイナス40℃であったとする。この場合、電子制御ブレーキ50は、温度がマイナス40℃であると仮定して充電電圧を決定する。すなわち、電子制御ブレーキ50は、マップ上において破線枠内で示す各点と速度情報とから充電電圧を決定する。
【0032】
再度図1を参照する。一方、速度情報を取得可能でないと判断した場合(S7:NO)、電子制御ブレーキ50は、仮定した温度と、仮定した速度とから、図2に示したようなマップに基づいて充電電圧を決定する(S10)。そして、処理はステップS11に移行する。なお、仮定した温度及び仮定した速度とは上記したものと同様である。
【0033】
図6は、図3に示したステップS10における充電電圧の決定方法を示す図である。図6に示すように、例えばマップ内において最も高い速度が時速250kmであり、マップ内において最も低い温度がマイナス40℃であったとする。この場合、電子制御ブレーキ50は、車両の速度が時速250kmであると仮定すると共に、温度がマイナス40℃であると仮定して充電電圧を決定する。すなわち、電子制御ブレーキ50は、マップ上において点で示す電圧(すなわち15V)を充電電圧であると決定する。
【0034】
ステップS11において充電制御電圧判定部41は、DC/DCコンバータ20の制御電圧を決定する(S11)。この際、充電制御電圧判定部41は、車両側からの要求電圧がステップS5、ステップS6、ステップS9、又はステップS10において決定された充電電圧よりも高い場合、DC/DCコンバータ20の制御電圧を車両側からの要求電圧に決定する。そして、図3に示す処理は終了する。
【0035】
このようにして、本実施形態に係るバックアップ電源システム1によれば、キャパシタ61の充電電圧はバックアップ電源60の温度が低いほど高い電圧に設定されるため、キャパシタ61は温度に応じて適切に充電可能となり、電源異常時において電子制御ブレーキ50へ必要な電力を供給することができる。また、キャパシタ61は温度に応じて適切に充電可能であることから、必要以上に充電する必要もなく車両全体での消費電力量を抑えることができ、且つ、キャパシタ61の容量増加を行う必要もなく、コスト、体積及び重量の増加につながらない。従って、電源異常時において制御機器への必要な電力の供給を可能としつつも、車両全体での消費電力量を抑えつつ、コスト、体積及び重量の増加を抑制することができる。
【0036】
また、キャパシタ61の充電電圧は車両の速度が高いほど高い電圧に設定される。ここで、車両は速度が高くなるほど車両停止までの時間が長くなることから、キャパシタ61の充電電圧を高くする必要がある。このため、キャパシタ61の充電電圧を車両の速度が高いほど高い電圧に設定することで、温度のみならず車速を考慮して充電電圧を適切に設定することとなり、一層無駄に充電電圧を高くすることが防止される。よって、より適切に充電して電子制御ブレーキ50に必要な電力を供給することができる。
【0037】
また、バックアップ電源60の温度及び車両の速度とキャパシタ61の充電電圧との相関を示すマップを記憶し、キャパシタ61の充電電圧はマップに基づいて設定されるため、マップから充電電圧を決定して、演算負荷を軽減させることができる。
【0038】
また、キャパシタ61の充電電圧は、バックアップ電源60の温度を検出できない場合、バックアップ電源60の温度が最も低い温度であると仮定して設定されるため、少なくとも車両の速度に応じた充電を行うことができ、無駄に充電電圧が高く設定されることを防止することができる。
【0039】
また、キャパシタ61の充電電圧は、車両の速度を検出できない場合、車両の速度が最も高い速度であると仮定して設定されるため、少なくとも温度に応じた充電を行うことができ、無駄に充電電圧が高く設定されることを防止することができる。
【0040】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。第2実施形態に係るバックアップ電源
システムは第1実施形態のものと同様であるが、構成が一部異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0041】
図7は、第2実施形態に係るバックアップ電源システム2を示す概略構成図である。図7に示すように、第2実施形態では、電気自動車やハイブリッド車両ではなく一般車両に搭載されるバックアップ電源システム2を示している。
【0042】
第2実施形態に係るバックアップ電源システム2は、モータMに代えてエンジンEを有しており、DC/DCコンバータ20に代えてオルタネータ80を有している。さらに、バックアップ電源システム2は強電バッテリ10を有していない。
【0043】
このように一般車両に搭載されるバックアップ電源システム2についても第1実施形態と同様に電子制御ブレーキ50が充電電圧を決定し、充電制御電圧判定部41がオルタネータ80を制御することにより、キャパシタ61に適切に充電させることができる。
【0044】
このようにして、第2実施形態に係るバックアップ電源システム2によれば、第1実施形態と同様に、電源異常時において制御機器への必要な電力の供給を可能としつつも、車両全体での消費電力量を抑えつつ、コスト、体積及び重量の増加を抑制することができる。また、より適切に充電して電子制御ブレーキ50に必要な電力を供給することができ、マップから充電電圧を決定して演算負荷を軽減させることができる。さらに、無駄に充電電圧が高く設定されることを防止することができる。
【0045】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0046】
例えば、上記実施形態においてバックアップ電源システム1,2は、電子制御ブレーキ50に電気エネルギーを供給する例を説明したが、これに限らず、車両に搭載された電源からの電力供給を受けて駆動する他の制御機器に電気エネルギーを供給するようにしてもよい。
【0047】
また、上記実施形態において充電制御電圧判定部41は第1電子電装システム40に設けられているが、これに限らず、他の電子電装システム40〜40に設けられていてもよいし、電子電装システム40〜40内に設けられていなくともよい。
【符号の説明】
【0048】
1,2…バックアップ電源システム
10…強電バッテリ
20…DC/DCコンバータ
30…12Vバッテリ
40…電子電装システム群
40〜40…電子電装システム
41…充電制御電圧判定部
50…電子制御ブレーキ(制御機器)
51…スイッチ
52…記憶部(記憶手段)
60…バックアップ電源
61…キャパシタ
62…充電回路
63…ダイオード
64…スイッチ
71…温度センサ
72…車速センサ
80…オルタネータ
M…モータ
E…エンジン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された電源からの電力供給を受けて駆動する制御機器と、
前記電源異常時に前記制御機器に電力を供給するバックアップ電源と、を備え、
前記バックアップ電源は、キャパシタを有し、
前記キャパシタの充電電圧は、前記バックアップ電源の温度が低いほど高い電圧に設定される
ことを特徴とするバックアップ電源システム。
【請求項2】
前記制御機器は、電源からの電力供給を受けて車両のブレーキを作動させる電子制御ブレーキであって、
前記キャパシタの充電電圧は、車両の速度が高いほど高い電圧に設定される
ことを特徴とする請求項1に記載のバックアップ電源システム。
【請求項3】
前記バックアップ電源の温度及び車両の速度と前記キャパシタの充電電圧との相関を示すマップを記憶した記憶手段をさらに備え、
前記キャパシタの充電電圧は、前記記憶手段に記憶されるマップに基づいて設定される
ことを特徴とする請求項2に記載のバックアップ電源システム。
【請求項4】
前記キャパシタの充電電圧は、前記バックアップ電源の温度を検出できない場合、前記バックアップ電源の温度が最も低い温度であると仮定して、前記記憶手段に記憶されるマップに基づいて設定される
ことを特徴とする請求項3に記載のバックアップ電源システム。
【請求項5】
前記キャパシタの充電電圧は、前記車両の速度を検出できない場合、前記車両の速度が最も高い速度であると仮定して、前記記憶手段に記憶されるマップに基づいて設定される
ことを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載のバックアップ電源システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−91629(P2012−91629A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−239543(P2010−239543)
【出願日】平成22年10月26日(2010.10.26)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】