説明

バッテリー電圧検出方法

【課題】外出時に無線機のバッテリーが急激に消耗して、通信が出来なくなると、利用者は極めて不便な状態となる。
【解決手段】バッテリー10の電圧が所定電圧まで低下するとアラーム信号を発生する電池電圧検出手段20を備え、1.5Tの間に所定の無線認証通信が発生すれば無線子機の数は2台と判定できるので、電池電圧検出手段20に設定するアラーム開始電圧を例えば2.5Vから2.7Vに設定を変更するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムを構成する無線機のバッテリー電圧検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイル機器の多機能化により、モバイル機器(特に携帯電話)による個人認証やクレジットカード化が進みつつあり利用者の利便性は著しく向上しつつある。それに伴って重要なクレジット情報や、運賃、通話料等の金銭に関わる情報を取り扱う場合、モバイル機器が本人の物であるかを確認できることは極めて重要な事項である。
【0003】
また、クレジット機能を持った携帯電話と利用者が所持する無線キーとの間で通信を行い携帯電話本体が間違いなく利用者の物であるかを検証する技術が実用化されている。これは、利用者の所持する、小型無線機と携帯電話内の無線機との通信によって、携帯電話が、利用者本人の物であるかを認証する技術である。
【0004】
この様に、携帯電話と無線キーとの通信は本人特定の為にセキュリティ面で、極めて重要な通信である。そして、重要な通信であるが故に、無線機の電源消耗による不通はできる限り発生させてはならず、無線機の電源の寿命はできる限り正確且つ速やかに知り得る事が望まれる。
【0005】
従来、この種の通信システムのバッテリーの電圧検出方法としては、バッテリーの寿命の末期に発生する内部抵抗の増大に注目して電源電圧の低下を検出してバッテリー寿命を検出し、利用者にバッテリーの消耗を報知するものである(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−241039号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、前述の携帯電話をクレジットカード代わりに利用する場合、どちらかの無線機のバッテリーが消耗して通信が出来なくなった場合、クレジット機能まで使えなくなり、利用者は極めて不便な状態に陥る事が考えられるので、バッテリーアラームは、余裕を持って、バッテリーが完全に消耗しきる前に、予備アラームとして利用者にバッテリーの消耗を報知し、速やかに、バッテリーの交換を促すのが望ましい。
【0007】
しかしながら、無線機器のバッテリー寿命の計算は、一般的に、定常時の通信頻度での計算値に基づいて計算され、バッテリーの電圧低下アラーム電圧の設定もそれに基づいて、設定されるのが普通である。また、定常時より通信頻度が高いと、バッテリーの消耗は急峻に進み、バッテリーの電圧低下アラームを出して、直ぐに、完全放電となり通信が出来なくなる事が考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記従来の課題を解決するために、本発明は第1の無線装置内のバッテリー電圧検出手段と所定電圧に設定された、バッテリー電圧アラーム手段によって電圧検出を行う無線通信システムの電源電圧検出手段で、第2、第3、第Nの無線機との通信頻度に応じてバッテリー電圧検出アラームの設定電圧を可変することで、通信頻度に応じて、バッテリー電圧低下アラームの電圧の検出電圧の閾値を変更しようとするものである。
【0009】
これにより、バッテリー電圧低下アラームは利用者にバッテリーの交換時期を報知する
役目をするものとし、無線機器(携帯電話)のマニュアルには、バッテリー電圧低下アラームが動作したら、速やかにバッテリーを交換するように、動機付けを行うことができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明のバッテリーアラーム設定方法は、通信頻度が高い場合は、アラームの電圧検出の閾値を高く、通信頻度が低い場合はアラームの電圧検出の閾値を低く設定するものである。
【0011】
これによって、バッテリー電圧低下検出アラームが早めに動作するので、通信頻度の多い環境で使っている利用者はバッテリーの電圧低下を早めに知ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
第1の発明は、バッテリー電源で動作する第1の無線装置と、前述の第1の無線装置と通信する、第2、第3、の無線装置で構成される無線通信システムで、第1の無線装置内のバッテリー電圧検出手段と所定電圧に設定された、電圧アラーム手段によって電圧検出を行う無線通信システムの電源電圧検出手段で、第2、第3、の無線機との通信頻度に応じて電圧検出アラームの設定電圧を可変することを特徴とする無線装置の電圧検出方法であり、第1の無線装置内に設けたバッテリー電圧検出手段のアラーム設定電圧を第2、第3、の無線装置との通信頻度に応じて、アラーム発生の閾値電圧をプログラマブルとしておき、通信頻度に応じて、閾値電圧を変化させようとするものである。
【0013】
これによって、バッテリー電圧低下検出アラームが早めに動作するので、通信頻度の多い環境で使っている利用者はバッテリーの電圧低下を早めに知る事ができる。また、アラームによってバッテリー交換のタイミングを知らせる事になるので、利用者は、早めにバッテリー交換を行い、通信認証が不可能になる事を事前に回避できるので、安定してモバイル機器を使い続ける事ができる。特に、通信頻度が多くバッテリー消耗が急峻である場合にはその効果が顕著である。
【0014】
第2の発明は、特に、第1の発明において、無線機間の通信頻度が通常より多い場合には、アラーム発生の閾値電圧を高く設定する請求項1記載の無線装置の電圧検出方法である。
【0015】
これによって、初期に子機が1台で運用を開始し、子機を買い足す等によって、子機が増えた場合でも、外出先で突然バッテリー交換指示が表示されて、焦る事がない。
【0016】
第3の発明は、特に、第1の発明において、無線機間の通信頻度が通常より少ない場合には、アラーム発生の閾値電圧を低く設定する請求項1記載の無線装置の電圧検出方法である。
【0017】
これにより、初期に子機が2台で運用を開始し、子機の台数を変更した場合には、バッテリーアラームの閾値を低く設定されるので、バッテリーの交換サイクルを長くできる。
【0018】
第4の発明は、特に、第1または第2のいずれか1つの発明におけるバッテリーアラーム設定方法において、少なくとも1つの手段をコンピューターに実行させるためのプログラムである。プログラムで実現するので、マイコンなどを用いて本発明の音声認識システムの一部または全てを容易に実現することができる。また、記憶媒体に記録したり通信回線を用いてプログラムを配信したりすることができ、プログラムの配布が簡単にできる。
【0019】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の
形態によって本発明が限定されるものではない。
【0020】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は、第1の無線機100、第2の無線機150及び第3の無線機151のブロック図である。第1の無線機100はバッテリー10で駆動しており、電池電圧検出手段20は、バッテリー10の電圧が所定電圧まで低下するとアラーム信号を発生する。また、通信頻度カウンタ40は、認証無線通信の頻度をカウントする。認証無線は、無線通信手段50を介して行われる。なお、第2の無線機150及び第3の無線機151は、第1の無線機100と同様の構成とするので、説明を省略する。
【0022】
図2はそれぞれの無線装置の利用者との物理的位置関係を表す図である。
【0023】
第1の無線装置100はいわゆる親機であり、キーの役割をするものである。一方、第2の無線装置150及び第3の無線装置151はいわゆる子機であり、錠前の役割をするものである。子機の錠前は、親機である第1の無線装置100のキーからの通信で開錠され利用可能になるものである。なお、図2では、第2の無線装置150は携帯電話機200に搭載されており、第3の無線機151はノートPC300に搭載されている。
【0024】
第1の無線機100と第2の無線機150または第3の無線機151はそれぞれに相互間の登録を行い、登録されたペアリング以外では認証が成立しないアルゴリズムとする。
【0025】
図3は、第1の無線機100(親機)に対して1台の無線子機(第2の無線機150または第3の無線機151のうちいずれか)との通信認証タイミング(図3中、上段)、及び第1の無線機100(親機)に対して2台の無線子機との通信認証タイミング(図3中、下段)を表す図である。
【0026】
以下、図3を用いて、第1の無線装置100と第2の無線機150の認証通信を説明する。
【0027】
まず無線子機が1台であるとき、第1の無線機100と第2の無線機150は、T時間毎に通信を行い、受信信号の電界強度によって所定距離内(通信可能範囲内)に相手があるかを確かめる動作を行う。ここで、第1の無線機100の無線通信によって第2の無線機150が応答を返すことによって認証を行っており、第1の無線機100はキー、第2の無線機150は錠前と呼ぶことができる。
【0028】
つまり、T時間毎に第1の通信装置と第2の通信装置間で認証通信を行い、所定範囲以内に、お互いが有るかを認証することで無線装置2が利用者の周辺に有るかを判定し、認証する仕組みである。
【0029】
次に、無線子機が2台(第2の無線機150及び第3の無線機151)であるときについて説明する。無線子機がもう1台増えると、錠前が2個になり2個目の錠前も親機に準備されたキーによって認証される。この時の認証インターバルはTであるが、2台目の無線子機については通信の開始は1台目の無線子機の認証通信が行われてから1/2Tのタイミングで通信を開始するものとする。
【0030】
次に無線子機の台数の判定方法について説明すると、図3の下段に示すように、監視時間を1.5T行うものとし、無線子機が1台であった場合、認証のインターバルはTで行われるので、2回以上認証通信が発生することはなく、1.5T時間内に3以上の認証通
信が発生した場合は無線子機が2台と判定できる。このアルゴリズムを使う事で、システムの使用開始時から、子機の増減が変化しても1個、2個を判定する事が可能である。
【0031】
ここで、当初は1台の無線子機で運用していた利用者が、無線子機の数を増やして2台として運用を開始した時を想定して説明する。
【0032】
所定時間(ここでは1.5Tとして説明する)の間に所定(ここでは3として説明する)の無線認証通信が発生すれば、子機の数は2台と判定できるので、電池電圧検出手段に設定するアラーム開始電圧は、例えば、2.5V(標準値)から、閾値を高く例えば2.7V(閾値高)に設定を変更するものである。
【0033】
今まで1台の無線子機との認証で消費するバッテリーの消耗カーブと無線子機2台との認証で消費するバッテリーの消費カーブは異なる。当然、無線子機2台との認証の方が、バッテリーの消費は大きくなるので、利用者に速やかに、バッテリーの交換を促すことで、異動先等での突然の認証不可による機器の利用不可に遭遇することがない。
【0034】
告ぎに、当初は2台の無線子機で運用していた利用者が、無線子機1台の使用を中止した場合を想定して説明する。
【0035】
所定時間(ここでは1.5Tとして説明する)の間に所定(ここでは2として説明する)の無線認証通信が発生すれば、子機の数は1台と判定できるので、電池電圧検出手段に設定する、アラーム開始電圧は、例えば、2.7V(閾値高)から、閾値を低く例えば2.5V(標準値)に設定を変更するものである。
【0036】
今まで2台の無線子機との通信で、バッテリーの消耗は大きかったものが、無線子機が1台になることによって、バッテリーの消耗が少なくなる。それに合わせてバッテリーのアラーム開始電圧を低く設定することで、バッテリーを長期間使える事になりわずらわしいバッテリー交換のサイクルを長くする事ができるものである。
【0037】
次に、本発明の第1の無線装置100(無線親機)と、第2の無線機150または第3の無線機151(無線子機)間の認証方法について説明する。
【0038】
前提条件として、第1の無線装置100について無線子機は2台まで利用可能とし、無線子機は必要に応じて増減が可能なものとする。また、無線親機と無線子機は、予め登録されており、互いにペアリングをされているものとする。
【0039】
図4は、第1の無線装置100(無線親機)の動作フローである。第1の無線装置100の電源が投入されると連続受信動作に入り(ST1)、認証通信受信して認証通信か否かを判定する(ST2)。もし、ST2で認証通信でないと判定されれば、連続受信動作(ST1)に戻る。
【0040】
もし、ST2で認証通信であると判定されれば、予め登録された無線子機からの認証通信信号かを判定し、もし認証信号が正しくペアリングされた子機なら認証許可信号を送信する(ST3)。
【0041】
ST3以後、周期的に無線子機からの認証信号を受信する動作を行うが、省電力化の為、認証通信信号の受信の時だけ、スリープモードから抜け出て、受信する動作を行う。つまり、タイマー割り込みを有効としてスリープモードに入る(ST4)。この動作時には消費電力は極めて低く抑えられる。
【0042】
次に、認証通信信号が送信されるタイミングまで所定時間待つ(ST5)。そして、タイマー割り込みにより起動し、短時間受信を行い、認証通信信号を受信する(ST6)。
【0043】
ここで、認証通信信号が無ければST4の前に戻り、この動作を繰り返す。また、認証信号が受信できれば、ペアリングされた子機かを判定し、予め登録された無線子機からの認証通信信号かを判定し、もし認証信号が正しくペアリングされた無線子機なら認証許可信号を送信する(ST8)。そして、ST4に戻る。この動作で、無線子機からの認証信号を1Tインターバルで判定し、無線子機が認証可機器かを次々と判定し続ける。
【0044】
次に、図5を用いて、第2の無線機150または第3の無線機151(無線子機)の動作フローを説明する。
【0045】
第2の無線機150の電源が投入されると、連続受信状態に入り(ST11)、所定時間以上認証無線通信が行われてないことを確認する。
【0046】
もし、第2の無線機150の認証インターバルが1Tなら、1Tより長い時間受信を行えば認証通信が行われているかを判定できるので、所定時間は第2の無線機150の認証インターバル時間から決定すれば良い。ここでは、1.5Tとして説明する。
【0047】
第2の無線機150は1.5Tだけ受信を行って、認証無線信号が検出できなければ、子機の受信範囲には認証動作を行う子機は無いと判断できる。もし、1.5T時間内に認証通信が受信できれば、子機の受信可能範囲内に他に子機が有る事が考えられるので、認証信号を受信してから、0.5T待って認証通信を行う(ST18)。
【0048】
図6は、本発明の無線通信システムのバッテリーの電圧検出方法の動作フローチャートである。
【0049】
まず、動作を開始すると、所定時間内(ここでは1.5T)の間の認証無線通信頻度を通信頻度カウンタ40によりカウントする(ST21)。次に、通信頻度数から子機の数を判定し(ST22)、もし、無線子機が1台ならバッテリーアラーム閾値電圧を標準値に設定する(ST23)。もし、無線子機が2台なら、バッテリーアラーム閾値電圧を高く設定する(ST25)。これにより、認証の頻度によって、バッテリー電圧低下アラームの設定値が可変される。
【産業上の利用可能性】
【0050】
以上のように、本発明にかかる通信システムのバッテリーの電圧検出方法は、利用者認証によって利用者を特定する電子認証として携帯電話やパーソナルコンピューターに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本実施の形態における無線装置のブロック構成図
【図2】本実施の形態における無線通信システムの全体構成図
【図3】本実施の形態における認証通信のタイミング図
【図4】本実施の形態における無線装置の信号受信動作フロー図
【図5】本実施の形態における無線装置の信号受信動作フロー図
【図6】本実施の形態における電圧検出フロー図
【符号の説明】
【0052】
10 バッテリー
20 電池電圧検出手段
30 CPU
40 通信頻度カウンタ
50 無線通信手段
100 無線装置(親機)
150 無線装置(子機)
151 無線装置(子機)
200 携帯電話機
300 ノートPC

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリー電源で動作する第1の無線装置と、第2第3の無線装置その間で無線通信により認証を行う無線システムで、前述の第1の無線装置に無線通信手段、通信頻度カウンタ、設定電圧がプログラマブルで、バッテリー電圧が所定電圧まで低下するとアラーム信号を発生する電池電圧検出手段を備え、所定時間内の通信頻度が予め設定した値から変化した時に前述の電池電圧検出手段のアラーム発生電圧を変化することを特徴とした無線通信システムのバッテリー電圧検出方法。
【請求項2】
通信相手局との通信頻度が、所定の通信頻度より多い場合には、自局のバッテリーアラームのアラーム発生閾値を高く設定する請求項1記載のバッテリー電圧検出方法。
【請求項3】
通信相手局との通信頻度が、所定の通信頻度より少ない場合には、自局のバッテリーアラームのアラーム発生閾値を低く設定する請求項1記載のバッテリー電圧検出方法。
【請求項4】
請求項1〜2のいずれか記載のバッテリー電圧検出方法をコンピューターに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−105708(P2009−105708A)
【公開日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−276203(P2007−276203)
【出願日】平成19年10月24日(2007.10.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】