説明

バルク重合プロセス

(a)一種以上の単量体、触媒系、および単量体、触媒および溶媒の総重量に対して50重量%未満の有機溶媒を第一の容器に投入する工程、(b)単量体の20重量%以下の転化率に単量体を重合させ、反応性のポリマーおよび単量体の混合物を生成させる工程、
(c)容器から反応性ポリマーおよび単量体の混合物を取り除く工程、並びに(d)合計の単量体転化率が25重量%になる前に、反応性ポリマーを停止させる工程を含むポリジエンを連続的に製造するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、単量体をバルク重合するためのプロセスに関する。
【背景技術】
【0002】
バルク重合(塊状重合とも呼ばれる)においては、反応媒体は通常溶媒を含まず;すなわち、単量体は、如何なる溶媒も存在しないもしくは実質的に如何なる溶媒も存在しない状態で重合され得、要するに、単量体自体が希釈剤として作用し得る。バルク重合は主として単量体および触媒を含むので、汚染の可能性が減少し、生成物の分離を容易にできる。経済的な利点としては、プラントの新規処理能力のための資本コストがより低廉であること、操業にかかるエネルゴーコストがより低いこと、並びにより少ない人員で操業できることが挙げられる。また、溶媒が存在しないという特徴によって、廃液および汚水による汚染が低減されることに伴い、環境上の利点がもたらされる。
【0003】
それにもかかわらず、重合系の粘度が非常に高くなるので、バルク重合は、注意深い温度制御を必要とする可能性があり、強力で複雑な撹拌装置を必要とする可能性がある。希釈液を加えない場合、セメントの粘度と発熱による効果によって、温度制御が非常に困難になる可能性がある。また、シス−1,4−ポリブタジエンは、高温において1,3−ブタジエン単量体中で不溶性である。
【0004】
これらの理由から、バルク重合プロセスは、商業的に成功することが立証されていなかった。バルク系に伴う利点が非常に魅力的であるので、バルクで実施される重合系を改善する必要がある。
【発明の開示】
【0005】
また、本発明は、ポリジエンを連続製造する方法を提供するものであり、該方法は、(a)一種以上の単量体と、触媒系と、単量体、触媒および溶媒の総重量に対して50重量%未満の有機溶媒とを第一の容器に投入する工程、(b)単量体の20重量%以下の転化率に単量体を重合させ、反応性のポリマーおよび単量体の混合物を生成させる工程、(c)容器から反応性ポリマーおよび単量体の混合物を取り除く工程、並びに(d)合計の単量体転化率が25重量%になる前に、反応性ポリマーを停止させる工程を含む。
【0006】
また、本発明は、ジエン単量体のポリマーを提供するものである。ランタニド系触媒に由来する場合、ポリマーは少なくとも97のシス含量を有し、また、少なくとも40%のリビング末端を有する前駆体に由来する場合は、少なくとも一つの末端が官能化されている。また、ポリマーは、ネオジム系の触媒系に由来してもよく、ムーニー粘度(100℃でのML1+4)が約15から約45であってもよい。また、ポリマーは、コバルト系の触媒系に由来してもよく、分枝状のポリマーであってもよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、ポリジエンを連続製造する方法を提供するものであり、該方法は、(a)液体の共役ジエン単量体および配位触媒系を第一の容器に加え、50重量%未満の有機溶媒を含む液体の重合媒体を生成させる工程、(b)触媒によって単量体を重合させてポリジエンとし、これにより重合媒体の温度を上昇させて単量体の一部を気相の単量体に変化させる工程、(c)重合媒体を撹拌して、それにより単量体の一部が気相の単量体に変化するのを促進する工程、(d)容器から気相の単量体を取り除く工程、(e)任意選択的に、容器から取り除いた気相の単量体を液体の単量体に凝縮させる工程、(f)任意選択的に、凝縮した液体の単量体を第一の容器に移す工程、(g)第一の容器内の単量体の濃度を第一の容器内の重合媒体の少なくとも80重量%に維持するため、並びに、第一の容器内のヘッドスペースを第一の容器の容積の約40%から約60%に維持するために、第一の容器から重合媒体の一部を取り除く工程であって、取り除かれた該重合媒体の一部が残存単量体を含むことを特徴とする工程、(h)第一の容器から取り除かれた重合媒体を第二の容器に移す工程、(i)撹拌して、第二の容器中の重合媒体の流れを維持する工程、(j)残存単量体の一部を気相の残存単量体に転換させるのに十分な温度に第二の容器内を維持する工程、(k)任意選択的に、第二の反応器から取り除かれた気相の未反応単量体を液体の単量体に凝縮させる工程、(l)任意選択的に、第二の容器から取り除かれた気相の単量体から転換させた液体の単量体を第一の容器に移す工程、(m)任意選択的に、第二の反応器内でポリジエンを官能化させるために、第二の容器に官能化剤を加える工程、(n)単量体の更なる重合を停止させるために、第二の容器に停止剤を加える工程、並びに、(0)ポリジエンを回収する工程を含む。
【0008】
一以上の実施態様において、本発明の多段階バルク重合プロセスは、バルク相において利用可能な単量体を部分的に重合させる第一の段階と、それに続き、未反応の単量体の少なくとも一部を取り除き、重合度を制御する第二の段階を含む。
【0009】
第一の段階においては、単量体を約20%までの最大転化率に重合させることができるが、このことは利用可能な単量体の約20%以下を重合させることをさす。一実施態様においては、最大転化率は約15%以下であり、他の実施態様においては約12%以下であり、その他の実施態様では約10%以下である。
【0010】
バルク系において重合を行うが、このことは、一般に、この系が、系内の単量体、ポリマーおよび溶媒の総重量に対して、有機溶媒を約50%未満、他の実施態様においては約20%未満、その他の実施態様においては約10%未満、更に他の実施態様においては約5%未満、更にその他の実施態様においては約2%未満含むことをさす。一実施態様においては、プロセスを有機溶媒もしくは希釈剤が実質的に存在しない状態で実行し、このことは、さもなければ重合プロセスにかなりの影響を及ぼすであろう量の溶媒が存在しないことをさす。つまり、当業者はバルク重合プロセス(すなわち単量体が溶媒として作用するプロセス)の利点を評価し、そのため、本発明のプロセスは、バルクでプロセスを実行することによって追求していた利点に悪影響を与えるであろう有機溶媒がより少量存在する状態で実行することができる。別の実施態様においては、使用する原料に由来する有機溶媒もしくは希釈剤以外の有機溶媒もしくは希釈剤が存在しない状態で、プロセスを実行してもよい。また別の実施態様においては、重合系には有機溶媒は存在しない。
【0011】
ここで、有機溶媒もしくは希釈剤という用語は、慣習的意味で使用され;すなわち、重合したり製造されるポリマーの構造中に入り込んだりしない有機化合物をさす。一般的に、これらの有機溶媒は、触媒組成物に対して非反応性で不活性である。典型的な有機溶媒としては、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、および脂環式炭化水素が挙げられる。芳香族炭化水素の非限定的な例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、およびメシチレンが挙げられる。脂肪族炭化水素の非限定的な例としては、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、イソペンタン、イソヘキサン類、イソペンタン類、イソオクタン類、2,2−ジメチルブタン、石油エーテル、ケロシン、およびミネラルスピリットが挙げられる。並びに、脂環式炭化水素の非限定的な例としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、およびメチルシクロヘキサンが挙げられる。また、上記炭化水素の市販の混合物を使用してもよい。
【0012】
有機溶媒の他の例としては、パラフィン油、芳香油、もしくは一般に油展ポリマーに使用されている他の炭化水素等の高分子量の高沸点炭化水素が挙げられる。これらの炭化水素は不揮発性であるので、一般的に分離の必要がなく、ポリマーと共に残留する。高分子量炭化水素の含量がポリマーの約5重量%未満の場合、上記ポリマーの性能特性は、ほとんど影響を受けない。
【0013】
一般的に、第一工程は、単量体および触媒系を反応容器に投入することによって開始される。バッチプロセス、連続プロセス、もしくは半連続プロセスとして、重合を実行できるので、単量体及び触媒系を投入する方法は変えてもよい。また、単量体及び触媒系を投入する方法は、使用する触媒系に基づいて変えてもよい。
【0014】
一以上の実施態様において、プロセスの第一の段階は、触媒および単量体を連続的に容器に供給し、重合媒体の一部を容器から連続的に取り除く連続重合プロセスを含む。第一の段階で重合度もしくは単量体の転化率を制御できるので、容器から取り除かれる重合媒体には、単量体、ポリマー、および残留触媒が含まれていてもよい。
【0015】
本発明のプロセスによって重合することができる単量体には、揮発性の単量体および任意に不揮発性の単量体が含まれる。揮発性の単量体としては、重合反応による熱の発生速度と同じ速度且つ所望のポリマー生成物を生成できる温度で、未反応の単量体が気化することによって、熱を取り除くのを可能にするのに十分不揮発性である単量体が挙げられる。一以上の実施態様においては、揮発生単量体としては、所望の重合温度よりも沸点が少なくとも10℃、他の実施態様においては少なくとも20℃、その他の実施態様においては少なくとも30℃低い単量体が挙げられる。特定の実施態様において、単量体はハロゲン化されておらず;例えば、塩化ビニル単量体は除外される。
【0016】
典型的な揮発性単量体としては、特に限定されるものではないが、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ペンタ−ジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、および2,4−ヘキサジエン等の共役ジエンが挙げられる。有用なオレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、および1−ペンテンが挙げられる。
【0017】
ある実施態様においては、単量体の湿度(即ち、含水量)を制御することが有用であるかもしれない。例えば、ある種のランタニド系の触媒系を使用した場合、単量体を乾燥することが有用であるかもしれない。一実施態様において、ランタニド系の触媒系を使用した場合、単量体中の水のレベルを約20ppm未満に、別の実施態様においては約10ppm未満に、他の実施態様においては約5ppm未満に、更に他の実施態様においては約3ppm未満に低下させる。
【0018】
一方、ある種のコバルト系の触媒系を使用した場合、高い湿度レベルを有する単量体を使用することが有用であることが明らかとなるかもしれない。一実施態様において、コバルト系の触媒系を使用した場合、単量体は、好ましくは約30から約50ppm、更に好ましくは約35から約45ppm、より一層好ましくは約38から約42ppmの水を有する。
【0019】
当業者が理解するであろうように、単量体中の水のレベルは調節可能である。例えば、単量体が幾分湿っている(すなわち水をあるレベルで含んでいる)場合、所望の水のレベルを実現するために従前の技術を用いて、単量体を乾燥することができる。一方、使用する単量体が比較的乾燥している場合には、単量体を加湿できる。単量体を加湿するためのいくつかの方法が、当業者に公知である。典型的なシステムは、充填材料のベッド、水の層、および水の上のヘッドスペースを含む加湿カラムを使用する。空洞の下端に隣接した注入口は、充填材料によって離散した乾燥炭化水素の流れを受け、それを通過する際に水を溶解させる。混入した水滴は、水の層の上部の開放ゾーン内の湿ったベッドから落下し、カラムの上部領域において、まだ湿っている炭化水素の流れが実質的に液体の水分を含まないままとなる。このプロセスは、国際特許第02/072510 A1号に記載されており、これを参照してここに援用する。あるいは、湿らせた溶媒を使用することによって単量体を湿らすことができる。換言すれば、単量体を溶媒と混合したり、もしくは溶媒によって運び、溶媒中の湿気が供給した単量体の流れを加湿する作用をする。当業者が理解するであろうように、いくつかの技術によって溶媒を加湿できる。
【0020】
本発明のプロセスを実行するために使用する触媒系は、配位触媒系を含むことが好ましい。配位触媒系の一タイプとしては、ランタニド系の系が挙げられ、他のタイプとしては、コバルト系の系が挙げられる。
【0021】
一以上の実施態様においては、(a)ランタニド化合物、(b)アルキル化剤、および(c)含ハロゲン化合物を組み合わせることによって、ランタニド系の触媒系を生成させる。また、他の有機金属化合物もしくはルイス塩基等の他の試薬が任意に含まれてもよい。一実施態様において、ランタニド系の触媒系は、(a)ネオジムネオデカノエート、(b)トリイソブチルアルミニウム、および(c)ジイソブチルアルミニウムクロライドもしくはイソブチルアルミニウムジクロライドを含む。ランタニド触媒系は、米国特許第3,297,667号、第3,541,063号、第3,794,604号、第4,461,883号、第4,444,903号、第4,525,594号、第4,699,960号、第5,017,539号、第5,428,119号、第5,064,910号、および第5,844,050号に記載されているように、当業者に周知であり、これらを参照してここに援用すると共に、同時係属中の米国シリアル番号第10/468,515号にも記載されており、同様に、これを参照してここに援用する。
【0022】
様々なランタニド化合物もしくはその混合物をランタニド触媒組成物の成分(a)として使用できる。一以上の実施態様において、これらの化合物は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、もしくは脂環式炭化水素等の炭化水素溶媒に可溶性である。しかしながら、炭化水素に不溶なランタニド化合物も、重合媒体に懸濁させて触媒的に活性な化学種を形成できるので、同様に有用である。
【0023】
ランタニド化合物としては、ランタン、ネオジム、セリウム、プラセオジム、プロメチウム、サマリウム、ユーロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エウビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウムおよびジジミウムの少なくとも一原子を含む。特定の実施態様において、これらの化合物は、ネオジム、ランタン、サマリウム、もしくはジジミウムを含む。ジジミウムは、モナズ砂から得た希土類元素の市販の混合物である
【0024】
ランタニド化合物中のランタニド原子は、特に限定されるものではないが、0、+2、+3、及び+4酸化状態等の様々な酸化状態をとることができる。ランタニド原子が+3の酸化状態にある三価のランタニド化合物が、一以上の実施態様において特に有用である。好適なランタニド化合物としては、特に限定されるものではないが、ランタニドカルボン酸塩、ランタニド有機リン酸塩、ランタニド有機ホスホン酸塩、ランタニド有機ホスフィン酸塩、ランタニドカルバミン酸塩、ランタニドジチオカルバメート、ランタニドキサントゲン酸塩、ランタニドβ−ジケトネート、ランタニドアルコキシドもしくはアリールオキシド、ランタニドハロゲン化物、ランタニド偽ハロゲン化物、ランタニドオキシハロゲン化物、および有機ランタニド化合物が挙げられる。
【0025】
様々なアルキル化剤もしくはこれらの混合物を、ランタニド触媒組成物の成分(b)として使用できる。ヒドロカルビル化剤とも呼ばれるアルキル化剤は、他の金属にヒドロカルビル基を転移できる有機金属化合物である。一般的にこれらの剤は、1,2および3族金属(IA、IIA、IIIA族金属)等の陽性金属の有機金属化合物である。好ましいアルキル化剤としては、有機アルミニウムおよび有機マグネシウム化合物が挙げられる。アルキル化剤が不安定なハロゲン原子を含む場合、アルキル化剤は、含ハロゲン化合物としても作用する可能性がある。一以上の実施態様においては、米国シリアル番号第10/737,591号に開示されたもののような混合アルキル化系を使用してもよく、これを参照してここに援用する。
【0026】
「有機アルミニウム化合物」という用語は、少なくとも一つのアルミニウム−炭素結合を含む如何なるアルミニウム化合物をもさす。炭化水素溶媒に可溶な有機アルミニウム化合物が好ましい。アルキル化剤が不安定なハロゲン原子を含む有機アルミニウム化合物である場合、有機アルミニウム化合物は、アルキル化剤および含ハロゲン化合物の両方として作用できる。
【0027】
利用可能な有機アルミニウム化合物の一クラスは、一般式AlRnX3-nで表され、ここで、各Rは、同一でも異なっていてもよく、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合している一価の有機基であり、各Xは、同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシレート基、アルコキシド基、もしくはアリールオキシド基であり、nは1から3の整数である。各Rは、特に限定されるものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、アリル基、およびアルキニル基等のヒドロカルビル基であることができ、各基は1個又は当該基を形成するのに適切な最少の炭素原子数〜約20個までの炭素原子を含むのが好ましい。これらのヒドロカルビル基は、特に限定されるものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、およびリン酸原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0028】
好適な有機アルミニウム化合物の他のクラスは、アルミノキサンである。アルミノキサンには、一般式:
【化1】

で表わすことができるオリゴマー状の鎖状アルミノキサン、および一般式:
【化2】

で表わすことができるオリゴマー状の環状アルミノオキサンが包含され、式中、xは1から約100の整数であり、好ましくは約10から約50であり;yは2から約100の整数であり、好ましくは約3から約20であり、;並びに各R1は、同一でも異なっていてもよく、炭素原子を介してアルミニウム原子に結合している一価の有機基である。各R1は、特に限定されるものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、アリル基、およびアルキニル基等のヒドロカルビル基であることができ、各基は1個又は当該基を形成するのに適切な最少の炭素原子数〜約20個までの炭素原子を含むのが好ましい。これらのヒドロカルビル基は、特に限定されるものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、およびリン酸原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。本出願書類中で使用されているアルミノキサンのモル数は、オリゴマー状のアルミノキサン分子のモル数ではなくアルミニウム原子のモル数をさすことに留意されたい。この習慣は、アルミノキサンを利用した触媒反応の技術分野で一般に採用されているものである。
【0029】
アルミノキサンは、トリヒドロカルビルアルミニウム化合物と水を反応させることによって調製できる。この反応は、(1)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を有機溶媒中に溶解させ、次に水と接触させる方法、(2)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、例えば金属塩中に含まれる結晶水、または無機もしくは有機化合物に吸着された水と反応させる方法、および(3)トリヒドロカルビルアルミニウム化合物を、重合される単量体もしくは単量体の溶液の存在下で水と反応させる方法等の公知の方法に従って実行することができる。
【0030】
有機マグネシウム化合物という用語は、少なくとも一つのマグネシウム−炭素結合を含む如何なるマグネシウム化合物をもさす。炭化水素溶媒に可溶な有機マグネシウム化合物が好ましい。利用可能な有機マグネシウム化合物の一クラスは、一般式MgR22で表され、ここで、各R2は、同一でも異なっていてもよく、一価の有機基であり、但し、該基は、炭素原子を介してマグネシウム原子に結合している。各R2は、特に限定されるものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、およびアルキニル基等のヒドロカルビル基であることができ、各基は1個又は当該基を形成するのに適切な最少の炭素原子数〜約20個までの炭素原子を含むのが好ましい。これらのヒドロカルビル基は、特に限定されるものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、およびリン酸原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。
【0031】
成分(b)として利用できる有機マグネシウム化合物の他のクラスは、一般式R3MgXで示され、ここで、R3は、一価の有機基であり、但し、該基は、炭素原子を介してマグネシウム原子に結合しており、Xは、水素原子、ハロゲン原子、カルボキシレート基、アルコキシド基、もしくはアリールオキシド基である。アルキル化剤が不安定なハロゲン原子を含む有機マグネシウム化合物である場合、有機マグネシウム化合物は、アルキル化剤および含ハロゲン化合物の両方の働きをすることができる。R3は、特に限定されるものではないが、アルキル基、シクロアルキル基、置換シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、置換シクロアルケニル基、アリール基、アリル基、置換アリール基、アラルキル基、アルカリル基、およびアルキニル基等のヒドロカルビル基であることが好ましく、各基は1個又は当該基を形成するのに適切な最少の炭素原子数〜約20個までの炭素原子を含むのが好ましい。これらのヒドロカルビル基は、特に限定されるものではないが、窒素原子、酸素原子、ホウ素原子、ケイ素原子、硫黄原子、およびリン酸原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。Xは、カルボキレート基、アルコキシド基もしくはアリールオキシド基であることが好ましく、各基は、1から20個の炭素原子を含むことが好ましい。
【0032】
ランタニド触媒組成物の成分(c)として、一つ以上の不安定なハロゲン原子を含む様々な化合物もしくはそれらの混合物を使用できる。これらの化合物を、単に含ハロゲン化合物と呼ぶこともできる。ハロゲン原子の例としては、特に限定されるものではないが、フッ素、塩素、臭素、およびヨウ素が挙げられる。また、二種以上のハロゲン原子の組み合わせも利用できる。炭化水素溶媒に可溶な含ハロゲン化合物が好ましい。しかしながら、炭化水素に不溶な含ハロゲン化合物は、オリゴマー化媒体中に懸濁させて触媒的に活性な化学種を形成できるので、有用である。
【0033】
含ハロゲン化合物の有用なタイプとしては、特に限定されるものではないが、元素状態のハロゲン、ハロゲンの混合物、ハロゲンの水素化物、有機ハロゲン化物、無機ハロゲン化物、金属ハロゲン化物、有機金属ハロゲン化物およびこれらの混合物が挙げられる。
【0034】
ランタニド触媒組成物は、広範囲の触媒濃度および触媒成分に渡って、共役ジエンを立体規則性のポリジエンに重合するための触媒活性が高い。触媒成分(a)、(b)および(c)は、相互作用して活性な触媒種を形成し得るものと思われる。従って、どの触媒成分の最適濃度も、他の触媒成分の濃度に依存する。一実施態様において、アルキル化剤のランタニド化合物に対するモル比(アルキル化剤/Ln)は、約1:1から約200:1、他の実施態様では約2:1から約100:1、更に他の実施態様では約5:1から約50:1の範囲で変化しうる。含ハロゲン化合物のランタニド化合物に対するモル比(ハロゲン原子/Ln)は、約0.5:1から約20:1、他の実施態様では約1:1から約10:1、その他の実施態様では約2:1から約6:1の範囲で変化しうる。ここで使用したモル比という用語は、成分中の当該構成要素の当量比をさし、例えば、含ハロゲン化合物中のハロゲン原子のランタニド化合物中のランタニド原子に対する当量をさす。
【0035】
触媒成分(a)、(b)および(c)の組み合わせもしくは混合によって、ランタニド触媒組成物を形成できる。触媒活性種はこの組み合わせの結果として生じると思われるが、種々の成分もしくは構成要素間の相互作用もしくは反応の程度に関しては、確実に分っているわけではない。それゆえ、“触媒組成物”という用語は、成分の単なる混合物、物理的もしくは化学的誘引力によって生じる様々な成分の錯体、成分の化学反応生成物、または前記の組み合わせを包含するために使用される。
【0036】
ランタニド触媒系を用いたポリマーの製造には、一般的に触媒として有効量の前記触媒組成物を使用する。重合物に使用される総触媒濃度は、成分の純度、重合温度、所望の重合率および転化率、所望の分子量、並びに他の多くの要素等の様々な要素の相互作用に依存する。従って、それぞれの触媒成分を触媒として有効な量使用すべきであるという以外に、特定の総触媒濃度を確定的に述べることはできない。一以上の実施態様において、ランタニド化合物の使用量は、共役ジエン単量体100gに対して約0.01から約2mmol、他の実施態様においては約0.02から約1mmol、その他の実施態様においては約0.05から0.5mmolの範囲で変化しうる。
【0037】
様々な手法および添加順序を採用して、本プロセスの第一の段階で用いる容器にランタニド系の触媒成分を投入することができる。一実施態様においては、重合系に触媒成分を運び易くするために、触媒成分を溶解もしくは懸濁させるためのキャリアとして少量の有機溶媒を使用してもよい。更に他の実施態様においては、共役ジエン単量体を触媒のキャリアとして使用できる。
【0038】
一実施態様においては、ランタニド系の系を予備調製し、熟成させてもよい。具体的には、触媒成分(例えばランタニド化合物およびアルキル化剤、並びに含ハロゲン化合物)を、約1分から約1時間、別の実施態様においては約3分から約30分、他の実施態様においては約5分から約20分間混合および熟成することができる。この熟成は、重合させる単量体の少なくとも80%、他の実施態様において少なくとも90%、その他の実施態様においては少なくとも99%の存在下で行ってもよい。熟成プロセスは、常温および常圧で行うことができる。一以上の実施態様においては、熟成プロセスを冷却せずに行う。
【0039】
(a)コバルト化合物、(b)アルキル化剤、および(c)含ハロゲン化合物を組み合わせて、コバルト系を生成させることができる。また、他の有機金属化合物もしくはルイス塩基等の他の試薬を任意に含ませてもよい。一実施態様において、コバルト触媒系は、(a)コバルト(II)2−エチルヘキサノエート、(b)トリイソブチルアルミニウム、および(c)ジイソブチルアルミニウムクロライドもしくはイソブチルアルミニウムジクロライドを含む。
【0040】
コバルト触媒組成物の成分(a)として、様々なコバルト化合物もしくはその混合物を使用できる。これら化合物は、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、もしくは脂環式炭化水素等の炭化水素溶媒に可溶であるかもしれない。しかしながら、炭化水素に不溶なコバルト化合物は、重合媒体中に分散させて触媒的に活性な化学種を形成できるので、同様に有用である。
【0041】
ランタニド化合物中のコバルト原子は、特に限定されるものではないが、二価の酸化状態を含む様々な酸化状態をとることができる。適切なコバルト化合物としては、特に限定されるものではないが、コバルトカルボン酸塩、コバルト有機リン酸、コバルト有機ホスホン酸塩、コバルト有機ホスフィン酸塩、コバルトカルバミン酸塩、コバルトジチオカルバミン酸塩、コバルトキサントゲン酸塩、コバルトβ−ジケトネート、コバルトアルコキシドもしくはアリールオキシド、コバルトハロゲン化物、コバルト偽ハロゲン化物、コバルトオキシハロゲン化物、および有機コバルト化合物が挙げられる。
【0042】
コバルト触媒組成物の成分(b)として、様々なアルキル化剤もしくはそれらの混合物を使用できる。ランタニド触媒系に関して上記の様に定義したアルキル化剤を使用することができ、それゆえ前記の議論をここに引用する。
【0043】
コバルト触媒組成物の成分(c)として、一つ以上の不安定なハロゲン原子を含む様々な化合物もしくはそれらの混合物を使用できる。ランタニド触媒系に関して上記の様に定義したアルキル化剤を使用することができ、それゆえ前記の議論をここに引用する。
【0044】
コバルト触媒組成物は、広範囲の触媒濃度および触媒成分の比率に渡って、共役ジエンを重合するための触媒活性が高い。触媒成分(a)、(b)および(c)は相互作用して活性な触媒種を形成する可能性があるものと思われる。従って、どの触媒成分の最適濃度も、他の触媒成分の濃度に依存する。一実施態様において、アルキル化剤のコバルト化合物に対するモル比(アルキル化剤/Co)は、約80:1から約15:1、別の実施態様では約60:1から約35:1、その他の実施態様では約45:1から約55:1の範囲で変化しうる。また、含ハロゲン化合物のコバルト化合物に対するモル比(ハロゲン原子/Co)は、約900:1から約400:1、別の実施態様では約650:1から約500:1、その他の実施態様では約550:1から約600:1の範囲で変化しうる。ここで使用したモル比という用語は、成分中の当該構成要素の当量、例えば含ハロゲン化合物中のハロゲン原子のコバルト化合物中のコバルト原子に対する当量、をさす。
【0045】
触媒成分(a)、(b)および(c)の組み合わせもしくは混合によって、触媒組成物を生成させることができる。活性触媒種は、この組み合わせから生じるものと思われるが、種々の成分乃至構成要素間の相互作用及び反応の度合いは、確実に分っているわけではない。それゆえ、”触媒組成物”という用語は、成分の単なる混合物、物理的もしくは化学的誘引力によって生じる様々な成分の錯体、成分の化学反応生成物、または前記の組み合わせを包含するために使用される。
【0046】
コバルト触媒組成物は、インサイチュー(例えば第一の反応器内)でもしくは成分を反応器に加える直前に調製されることが好ましく、例えば、供給ライン内で成分を混合することによって生じるかもしれない。また、コバルト触媒組成物は、不活性な有機溶媒を含んでもよく、不活性な有機溶媒でコバルト触媒組成物を希釈することもできる。
【0047】
コバルト触媒系を用いたポリマーの製造には、一般的に前記触媒組成物を触媒として有効量使用する。重合物に使用された総触媒濃度は、成分の純度、重合温度、所望の重合率および転化率、所望の分子量、並びに他の多くの要素等の様々な要素の相互作用に依存する。従って、それぞれの触媒成分を触媒として有効な量使用すべきであるという以外に、特定の総触媒濃度を確定的に述べることはできない。一般的に、コバルト化合物の使用量は、共役ジエン単量体100gに対して約0.01から約2mmol、他の実施態様においては約0.02から約1mmol、その他の実施態様においては約0.05から約0.5mmolの範囲で変化しうる。
【0048】
第一の段階での重合反応は、嫌気条件下で、低温且つ重合温度における単量体の蒸気圧以下で行うことができる。重合媒体中に有機溶媒が存在する場合、溶媒は、プロセスが実行される蒸気圧に影響を与えうる。
【0049】
一以上の実施態様においては、約65℃未満、別の実施態様においては約45℃未満、その他の実施態様においては約40℃未満、更にその他の実施態様においては約30℃未満に重合温度を維持することができ、一以上の実施態様では、重合温度は約15℃から約33℃(任意に24℃から約32℃)である。反応が起こっている容器を外部から冷却すること、単量体の蒸気を取り除くことによって反応を内部から冷却すること、もしくはこれら2つの方法の組み合わせを使用することによって、重合温度を制御することができる。一実施態様においては、単量体の蒸気を容器から取り除き、プロセス内での将来の重合反応のために凝縮させることができる。例えば、自動冷却ループを使用し、それによって、単量体の蒸気を容器から取り除き、凝縮させ、および容器に再循環させることができる。他の実施態様においては、容器には水の流れ及び/又は水の温度によって制御可能な蒸発カラムを備え付けることができる。あるいは、蒸気を除去、凝縮することができ、また単量体の凝縮液を貯蔵タンクに供給することができる。
【0050】
上記の通り、液体の重合媒体は、未反応の単量体、ポリマー、触媒成分、残留溶媒、および残留汚染物を含んでいてもよい。単量体の蒸気により所望の冷却効果を実現するために、容器内に適切なヘッドスペースを維持してもよい。このヘッドスペースは、重合媒体で満たされていないものの単量体の蒸気を含むことが可能な容器の容積を含み、容器の容積の約35から約65%、また他の実施態様では約45から約55パーセントとすることができる。ヘッドスペースを使用する利点の一つは、泡を壊すことによって反応器もしくは周辺機器の汚染問題を最小にできることである。反応器のヘッドスペースの体積分率は、形成される泡の安定性及び反応を等温的に運転し続けるのに必要な単量体の気化速度(泡の形成速度)に依存し得る。泡の安定性に寄与し得る要因としては、ポリマーの濃度、ポリマーの分子量、および重合体のミクロ構造が挙げられる。
【0051】
液相中とすることが可能な重合媒体を、当該技術分野で公知の混合技術を用いて混合することができる。例えば、ピッチブレード、ラシュトン、フラットブレードタービン、もしくは螺旋ミキサー、並びにアンカー、或いはその組み合わせを用いて、混合を行うことができる。特に、本発明のある実施態様は、溶液重合に使用できる従前の反応装置を使用して、有利に実行することができる。この従前の装置を有益に使用できる可能性は、主として、第一の段階で維持される低い転化率の結果として一般的に非常に高い粘度を生じないもしくは作り出さないという事実に起因する。
【0052】
本発明のプロセスの第一の段階を実施するために使用する容器には、様々な反応器が含まれる。一実施態様においては、連続撹拌タンク型反応器(CSTR)を使用できる。CSTRは、タンクの縦軸に沿って動く撹拌機が上端部に備え付けられたタンクを特徴としうる。反応器の長さ対直径の比は、3未満、他の実施態様においては2未満とすることができる。
【0053】
一旦プロセスの第一の段階で重合もしくは単量体の転化率が最大に達した後、重合媒体を第一の段階に使用された第一の容器から取り除き、第二の容器で行う第二の段階に移す。第一の段階から第二の段階へのポリマーの移動を、ポンプを使用して実現してもよい。ポンプのスピードは、第一の容器からの排出速度及び第二の容器への投入量を制御できる。液体レベル装置を用いて、第一の容器内の高さを測定し、生成物の溶液を第一の容器から第二の容器に移動させるポンプの速度を調節することができる。また、一以上の実施態様において、成分もしくは他の材料をポンプにもしくはその近傍に加えることができる。例えば、酸化防止剤もしくは溶媒、もしくは停止剤をポンプに加えることができる。
【0054】
第二の段階中で、重合反応を停止させることができる。その代わりとして、第一の段階と第二の段階の間で、重合反応を停止させることができる。換言すれば、第一の容器と第二の容器の間の供給ラインもしくはポンプに適量の停止剤を加えることによって、重合反応を停止させることができる。換言すれば、この後者の実施態様において、重合の停止は、重合媒体が第二の容器に入る前に始まるであろう。
【0055】
本プロセスの第二の段階における任意の態様には、ポリマー生成物から溶媒および未反応の単量体を分離することが含まれる。第二の段階でポリマー生成物から溶媒もしくは未反応の単量体を不十分もしくは所望の量未満しか取り除けない可能性がある実施態様においては、ポリマー生成物を更に処理することができる。
【0056】
第二の段階中で単量体が著しく転化(もしくは重合)する前に、重合反応を停止させてもよい。単量体の合計転化率が25%未満となる前に、重合反応を停止させてもよく、ここで、単量体の合計転化率とは、第一および第二の段階の両方での単量体の転換量もしくは度合いのことをさす。他の実施態様においては、単量体の合計転化率が22%未満、その他の実施態様においては20%未満、更に他の実施態様においては17%未満となる前に、重合反応を停止させることができる。例えば、単量体の転化率が約15%の時点で第一の段階における容器から重合媒体を取り除いた場合、その後、他の10%の単量体が転化する前に第二の段階における重合反応を停止させることができ、これにより、単量体の合計転化率が約25%未満となるであろう。当業者であれば、必要以上の計算もしくは実験をすることなしに、第二の段階で重合を継続させられる程度を判断できるであろう。別の言い方をすれば、第二の段階での重合の程度は、系に加えた全単量体の5%未満、別の実施態様においては3%未満、他の実施態様においては1%未満が第二の段階で重合するように限定されるかもしれない。
【0057】
当該技術分野で公知の多数の技術を用いて、重合反応を停止させることができる。例えば、有用な技術としては、プロトン化剤もしくは停止剤の添加、カップリング剤の添加、官能化停止剤の添加、もしくはそれらの組み合わせが挙げられ、これらは、リビングポリマー鎖と反応もしくは相互作用して、さらに成長もしくは重合するのを防止する。一以上の実施態様においては、アルミニウム−アルキル錯体がポリマー生成物にかなりの影響を及ぼすのを防止するために、十分な停止剤を加えることができる。
【0058】
例えば、反応性もしくは反応中のポリマーをプロトン源と反応させることによって、停止もしくはプロトン化することができる。プロトン源を供給するために使用できる化合物もしくは試薬としては、水、アルコール(例えばイソプロピルアルコール)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、tert-ブチル-カテコール(TBC)、並びに、種々の他のグリコールおよび有機酸が挙げられる。
【0059】
また、リビングもしくは偽リビングポリマーを、重合を停止させるだけでなくポリマーを末端官能化したりカップリングしたりする化合物と反応させることもできる。一以上の実施態様において、ポリマーと官能化剤とが反応する可能性は、ポリマーのリビング特性もしくは偽リビング特性に起因する可能性がある。典型的な官能化もしくはカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、金属ハロゲン化物、メタロイドハロゲン化物、アルコキシシラン、含イミン化合物、エステル、エステル−カルボキシレート金属錯体、アルキルエステルカルボキシレート金属錯体、アルデヒドもしくはケトン、アミド、イソシアネート、イソチオシアネート、イミン、およびエポキシドが挙げられる。これらのタイプのカップリング剤および官能化剤は、他の場所、即ち、米国特許出願連続番号第10/296,082号および第10/296,084号;米国特許第4,906,706号、第4,990,573号、第5,064,910号、第5,567,784号、および第5,844,050号;日本国特許出願公開第05-051406号、第05-059103号、第10-306113号、および第11-035633号に記載されており、これらを参照してここに援用する。重合反応混合物を停止剤もしくは酸化防止剤と接触させる前に、リビングもしくは偽リビングである可能性があるポリマーをカップリング剤もしくは官能化剤と接触させてもよい。
【0060】
一以上の実施態様において、カップリング剤もしくは官能化剤の使用量は、リビングポリマーもしくは偽リビングポリマー1モルに対して、約0.01から約100モル、他の実施態様においては約0.1から約50モル、その他の実施態様においては約0.2から約25モルの範囲で変化しうる。
【0061】
ある実施態様においては、重合媒体中の単量体(即ち、未反応の単量体)の少なくとも80%、他の実施態様においては少なくとも90%、その他の実施態様においては少なくとも95%、更に他の実施態様においては少なくとも99%を第二の段階で取り除くことができる。
【0062】
ある実施態様においては、重合媒体中に存在する如何なる溶媒の少なくとも50%、他の実施態様では少なくとも80%、その他の実施態様では少なくとも95%、更に他の実施態様においては少なくとも99%を第二の段階で取り除くことができる。
【0063】
当該技術分野で公知の種々の技術もしくはそれらの組み合わせを採用して、単量体および溶媒を取り除くことができる。例えば、重合媒体の温度を、単量体を揮散させるのに十分な温度に上昇もしくは維持することができる。また、本プロセスの第二の段階を行う容器中の圧力を低下させるこができ、このことは、同様に単量体の揮発を助けることができる。さらに、重合媒体を撹拌することができ、このことは、重合媒体から単量体を取り除くのに更に役立つ可能性がある。一実施態様においては、加熱、減圧、および撹拌の組み合わせを採用することができる。
【0064】
一実施態様においては約60℃を超える温度、他の実施態様においては約66℃を超える温度、その他の実施態様においては約71℃を超える温度に、第二の段階の重合媒体の温度を維持することができる。
【0065】
一実施態様においては、本プロセスの第二の段階を実施する容器内の圧力を約10kPa未満、他の実施態様においては約105kPa未満、その他の実施態様においては約100kPa未満に維持することができる。
【0066】
当業者に公知の様々な方法を用いて、本プロセスの第二の段階で重合媒体を撹拌することができる。撹拌により、より広い表面積の重合媒体を露曝させ、それによって、未反応の単量体の放出を促進させることができる。
【0067】
一実施態様においては、本プロセスの第二の段階を実行する容器として、揮発分除去装置を使用できる。揮発分除去装置は、揮発分除去押出機を含み、該押出機は一般的に外部加熱ジャケットによって加熱可能なスクリュー装置を含む。これらの押出機は、シングルもしくはツインスクリュー押出機として、当業者に公知である。
【0068】
あるいは、揮発分除去装置は、パドルが取り付けられたシャフトを含む押出機様の機器を含むことができる。これらの押出機様機器は、一つのシャフトもしくは複数のシャフトを含む。該シャフトは、該機器の長さ並びにポリマーもしくは重合媒体の流れに対し軸方向とすることができる。ポンプを使って、ポリマーもしくは重合媒体を機器に強制的に通してもよく、またシャフトが回転することにより、パドルがポリマーもしくは重合媒体をかき混ぜ、それにより、未反応の単量体の放出を促進することができる。揮発分除去装置を通過する重合媒体の動きを、重合媒体を揮発分除去装置中に導けるポンプによって促すことができ、また、揮発分除去装置に連なり若しくはその末端に任意に取り付けることが可能な押出機により任意選択的に更に促すことも可能である(すなわち、押出機は、重合媒体が揮発分除去装置中を通過するのを促進する)が、揮発分除去装置を通過する重合媒体の動きを助けるために、パドルを傾けることができる。
【0069】
揮発分除去装置は、さらに逆混合容器を含むことができる。一般的に、これらの逆混合容器は、一つのシャフトを含み、該シャフトは、重合媒体を勢いよく混合して噛み砕くために使用できるブレードを含む。
【0070】
ある実施態様においては、様々な揮発分除去装置の組み合わせを用いて、所望の結果を達成することができる。これらの組み合わせには、押出機の使用も含まれる。一例においては、シングルシャフト“押出機様”揮発分除去装置(例えばパドルを含むもの)を、ツインスクリュー押出機と共に使用することができる。この例では、重合媒体は、最初に“押出機様”揮発分除去装置に入り、次に、ツインスクリュー押出器に入る。ツインスクリュー押出器は、重合媒体が揮発分除去装置を通過するのを促進するのに有利である。揮発分除去装置のパドルを、輸送の必要性を満たすために調整できる。
【0071】
別の実施態様においては、ツインシャフト“押出機様”揮発分除去装置を使用できる。ある実施態様においては、回転するパドルが互いにかみ合うように、各シャフトのパドルを並べてもよい。シャフトは、同じ向きにも、逆向きにも回転できる。
【0072】
更に別の実施態様においては、逆混合揮発容器の後をツインスクリュー押出機とすることができ、該ツインスクリュー押出機の後をツインシャフト押出機様揮発分除去装置とすることができ、該ツインシャフト押出機様揮発分除去装置の後をツインスクリュー押出機とすることができる。
【0073】
揮発分除去装置は、当該技術分野で公知であり、市販されている。例えば、揮発分除去装置は、リスト(LIST)(スイス);コペリオン ワーナー アンド フレイデラー(Coperion Werner & Phleiderer);もしくはエヌエフエム ウェルディング エンジニアリング社(NFM Welding Engineers, Inc)(オハイオ)から入手することができる。リストから入手できる典型的な装置としては、種々の混合/混練バーもしくはパドルを含むシングルシャフト“押出機様”揮発分除去装置であるディスコサーム(DISCOTHERM)(商標)B;各シャフトがそれぞれ相関しているデュアルシャフト“押出機様”揮発分除去装置であるCRP(商標);各シャフトが互いに逆方向に回転するデュアルシャフト揮発分除去装置であるORP(商標)が挙げられる。
【0074】
一以上の実施態様においては、揮発分除去装置を単量体回収システムに取り付ける。換言すれば、単量体をポリマー生成物から取り除くのと同時に、単量体を冷却もしくは蒸発システムに導くことができる。回収された単量体を、任意選択的に第一の段階の原料として戻すことができる
【0075】
一以上の実施態様においては、第二の段階において酸化防止剤を重合媒体に加えることができる。第二の容器(例えば揮発分除去装置)に入る前に、或いは第二の段階で使用さえる容器中で、もしくはその後に、酸化防止剤を加えることができる。有用な酸化防止剤としては、商品名イルガノックス(商標)1076およびイルガノックス(商標)1520として入手できるものが挙げられる。また、ゴム製品に従来から使用されている他の成分を、第二の段階において加えることもできる。
【0076】
本発明のプロセスの第二の段階は、重合媒体の更なる処理を含んでもよく、もしくはその後に更なる処理を続けてもよい。一実施態様において、重合媒体の更なる処理には、重合媒体からの更なる脱溶媒もしくは単量体の除去が含まれうる。これは、当該技術分野で公知の様々な技術を使用して達成することができる。一実施態様においては、更なる脱溶媒もしくは単量体の除去を、重合媒体をシングルもしくはツインスクリュー押出機等の更に別の押出機に通し処理することによって達成できる。その後、ポリマー生成物を、梱包することができ、また、ある実施態様においては梱包の前にさいの目状に切断したり、ペレット化することもできる。
【0077】
本プロセスを実行するための典型的なシステム構成を、配置100を示す図1を参照して説明する。一般に、プロセス110の第一の段階を、連続撹拌タンク反応器111を用いて実現することができる。この反応器には、混合装置115が含まれ、該混合装置115には、シャフト113に取り付けられた混合ブレード112が含まれ、該シャフト113はモーター114によって駆動する。使用可能な単量体および触媒成分、並びに他の原料を、注入口118(他の注入口が存在していてもよい)を通して反応器に加えることができる。
【0078】
また、反応器111は、自動冷却ループ120を備えていてもよい。気化した単量体は、排出口121を通ってループ120に入ることができ、適切な配管を使ってコンデンサー122に導くことができる。凝縮した単量体(すなわち液体の単量体)を、注入口125を通して反応器111に戻すことができる。あるいは、凝縮した単量体を、貯蔵タンク(図示せず)に導きその中に貯蔵することができる。
【0079】
ポリマー及び単量体を含み得る重合媒体を、排出口126を通して連続的に取り除くことができる。その後、重合媒体を、ポンプ127を用いて第二の段階130に移すことができる。
【0080】
第二の段階130において、重合媒体を第一の段階110から適切な配管を通じて揮発分除去装置131へポンプでくみ上げることができ、該揮発分除去装置131は、油圧モーターもしくは電気モーターで駆動できるシャフト133に取り付けた種々のパドル132を含んでもよい。重合媒体は、注入口135で揮発分除去装置131に入る。ポンプ127によって重合媒体に加えられた力によって、重合媒体は揮発分除去装置131を通過させられる。
【0081】
揮発分除去装置131中の重合媒体から発生し得る単量体の蒸気は、排出口136を通して揮発分除去装置131から出る。その後、該単量体の蒸気は、圧縮機137で圧縮され、適切な配管を通してコンデンサー138に移され、また凝縮した単量体(すなわち液体の単量体)は、適切な配管を用いて第一の段階110に戻され、注入口129で反応器111に加えられ得る。あるいは、その後、凝縮した単量体を貯蔵タンク(図示せず)内に貯蔵することもできる。
【0082】
排出口140を通した揮発分除去装置131からの重合媒体の流れと共に、注入口135を通した揮発分除去装置131への重合媒体の流れを、揮発分除去装置131の容積が完全にいっぱいにならないように制御することができ、これによってヘッドスペース141を作り出すことができる。
【0083】
排出口140を通して揮発分除去装置131から出る重合媒体は、注入口135で揮発分除去装置131に入る重合媒体より少量の未反応単量体を含む可能性がある。この単量体の減少は、未反応の単量体が排出口136から除去され凝縮されたという事実に起因するかもしれない。それにもかかわらず、排出口140で揮発分除去装置131を出る重合媒体は、残留未反応単量体を含む可能性があり、それゆえ、重合媒体を、適切な配管を用いてシングルスクリュー押出機に移してもよい。重合媒体は、注入口146で押出機145に入り、排出口147を通して押出機145を出る。押出機145はツインスクリュー148を含み、該ツインスクリュー148を油圧モーターもしくは電気モーターで駆動してもよい。排出口147で押出器147を出るポリマー生成物を、その後、特に限定されるものではないが、ベーリング等の当該技術分野で公知の技術を用いて更に処理することができる。
【0084】
反応器111への原材料の導入は、使用する触媒系のタイプに基づいて変化し得る。一実施態様において、コバルト触媒系を用いた場合、図2に記載のシステムを用いて触媒および原材料の導入を実現できる。すなわち、反応器111に触媒および原材料を導入するためのシステム150は、注入口156からアルキル化剤(例えばトリブチルアルミニウム)およびハロゲン源(例えばジブチルアルミニウムクロライド)を導入するための第一の供給ライン155を含んでもよい。アルキル化剤を、アルキル化剤ライン153を通して第一の供給ライン155に供給でき、またハロゲン源をハロゲン源供給ライン154を通して第一の供給ライン155に供給できる。その結果、この実施態様においては、アルキル化剤およびハロゲン源を、注入口156から反応器111に導入する前に、第一の供給ライン155内で混合する。コバルト化合物を、第二の供給ライン157を通して注入口158で反応器111に注入できる。単量体は、第三の供給ライン159を通して注入口160で反応器111に入ってもよい(すなわちアルキル化剤およびハロゲン源とともに加えることができる)。あるいは、単量体を、第3の供給ライン159を通して、別個の異なる注入口(図示せず)に加えることができる。溶媒およびゲル化防止剤(例えば1,2−ブタジエン)等の他の成分を、同様のタイプの供給ラインを用いて様々な別の注入口で反応器111に注入することができる。
【0085】
ランタニド系の触媒系を使用した他の実施態様において、触媒成分および原材料を反応器111に導入するための典型的なシステムを図3に示す。該システム170は、触媒熟成容器175を含む。ランタニド化合物(例えばネオジムバーサテート)、アルキル化剤(例えばトリブチルアルミニウム)、および単量体を、第一の供給ライン171を通して注入口176で熟成容器175に注入できる。ランタニド化合物を、ランタニド供給ライン172を通して第一の供給ライン171に供給でき、アルキル化剤を、アルキル化剤供給ライン173を通して第一の供給ライン171に供給でき、また、単量体を、単量体供給ライン174を通して第一の供給ライン171に供給できる。従って、この実施態様においては、ランタニド化合物、アルキル化剤、および単量体を、注入口176で熟成容器175に導入する前に、第一の供給ライン171内で混合することができる。
【0086】
熟成容器175を、ランタニド化合物、アルキル化剤、および単量体を、第4の供給ライン191を通して注入口190で反応器111に導入する前に、複数の時間間隔で熟成できるように設計することができる。例えば、熟成容器175は複数の排出口(例えば、第一の排出口181、第二の排出口183、第三の排出口185、および第四の排出口187)を有することができ、それによって、各排出口から、特定の時間間隔で熟成させたランタニド化合物、アルキル化剤、および単量体の混合物を放出する。例えば、排出口181を出る混合物を約0から1分間熟成させることができ、排出口183を出る混合物を約5分間熟成させることができ、排出口185を出る混合物を約10分間熟成させることができ、並びに排出口187を出る混合物を約20分間熟成させることができる。これら様々な混合物を、その後、別々の排出ライン180、182、184、および186を通して第四の供給ライン191に導入できる。一以上の実施態様においては、該プロセスに運びこまれる触媒がばらばらの熟成時間ではなく実質的に一定の熟成時間を有し得るように、ただ一つの排出口を開けた状態で熟成容器175を操作する。ハロゲン源を、注入口193でハロゲン供給ライン192を通して反応器111に供給できる。
【0087】
一以上の実施態様においては、本発明のプロセスにより、目的とする性質を有するポリマーの製造が可能となるかもしれない。ある実施態様においては、該プロセスを有益に用いて、ポリブタジエンを特定の用途に使用できるようにする特定の性質を備えたポリブタジエンを合成することができる。
【0088】
一以上の実施態様において、ランタニド系の触媒系を使用する場合、本発明のプロセスにより、4未満、他の実施態様では3.5未満、その他の実施態様では3未満、更に他の実施態様では2.5未満の分子量分布を有するポリブタジエンが製造され得る。
【0089】
一以上の実施態様において、ランタニド系の触媒系を使用する場合、本発明のプロセスにより、約97を超える、他の実施態様では約98を超える、その他の実施態様では約99を超えるシス含量を有するポリブタジエンが製造され得る。
【0090】
一以上の実施態様において、ランタニド系の触媒系を使用する場合、有益なことに、本発明のプロセスは、非常に多くのポリブタジエンの末端を官能化できる可能性がある。当業者が理解するであろうように、ポリブタジエンの末端を官能化できる可能性は、ポリマーの求核試薬との反応性(すなわち、ポリマーが求核攻撃を受ける可能性)に関連しているかもしれない。このことは、一般に重合を終結もしくは停止させる前のポリマーのリビングもしくは偽リビング性質ともよばれ、この終結もしくは停止が求核試薬への該反応性を大きく減少させるもしくは不可能にする。一以上の実施態様において、本発明のプロセスは、有益なことに、本プロセスの第二の段階に重合媒体を供給することができ、ここで、重合媒体は、ポリマーの少なくとも10%が反応性末端もしくはリビング末端を、他の実施態様においてはポリマーの少なくとも20%が反応性末端もしくはリビング末端を、その他の実施態様においては40%を超えるポリマーが反応性末端もしくはリビング末端を、更に他の実施態様においては60%を超えるポリマーが反応性末端もしくはリビング末端を有することを特徴とする。
【0091】
また、コバルト系の触媒系を使用する場合、有益なことに、本発明のプロセスにより、高度に分枝した重合体が製造される可能性がある。該高度に分枝した重合体は、同一分子量の直鎖状ポリマーよりも溶液粘度が低いことを特徴とする。
【0092】
一以上の実施態様においては、本発明のプロセスを用いて、ポリマー生成物に対し特定の目的ムーニー粘度を達成することができる。例えば、ネオジム系の触媒系を使用した場合、ムーニー粘度(100℃でのML1+4)を約15から約45に、他の実施態様においては約20から約40に、その他の実施態様においては約25から約35にすることができる。あるいは、コバルト系の触媒系を使用した場合、ムーニー粘度を約30から約55に、他の実施態様においては約33から約48に、その他の実施態様においては約38から約45にすることができる。
【0093】
当業者には、本発明の範囲及び精神から逸脱しない種々の変形及び変更が明らかである。本発明は、ここに示した説明用の例に正規に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】図1は、本発明の実施に有用な機器の配置の線描画である。
【図2】図2は、コバルト触媒系を用いて本発明のプロセスの第一の段階を実施するための容器の線描画である。
【図3】図3は、ランタニド触媒系を用いて本発明のプロセスの第一の段階を実施するための容器の線描画である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリジエンを連続的に製造するための方法であって:
(a)液体の共役ジエン単量体および配位触媒系を第一の容器に加え、50重量%未満の有機溶媒を含む液体の重合媒体を生成させる工程;
(b)触媒によって単量体を重合させてポリジエンとし、これにより重合媒体の温度を上昇させて単量体の一部を気相の単量体に変化させる工程;
(c)重合媒体を撹拌して、それにより単量体の一部が気相の単量体に変化するのを促進する工程;
(d)容器から気相の単量体を取り除く工程;
(e)任意選択的に、容器から取り除いた気相の単量体を液体の単量体に凝縮させる工程;
(f)任意選択的に、凝縮した液体の単量体を第一の容器に移す工程;
(g)第一の容器内の単量体の濃度を第一の容器内の重合媒体の約20重量%未満に維持するため、並びに、第一の容器内のヘッドスペースを第一の容器の容積の約40%から約60%に維持するために、第一の容器から重合媒体の一部を取り除く工程であって、取り除かれた該重合媒体の一部に残存単量体を含むことを特徴とする工程;
(h)第一の容器から取り除かれた重合媒体を第二の容器に移す工程;
(i)撹拌して、第二の容器中の重合媒体の流れを維持する工程;
(j)残存単量体の一部を気相の残存単量体に転換させるのに十分な温度に第二の容器内を維持する工程;
(k)任意選択的に、第二の反応器から取り除かれた気相の残存単量体を液体の単量体に凝縮させる工程;
(l)任意選択的に、第二の容器から取り除かれた気相の単量体から転換させた液体の単量体を第一の容器に移す工程;
(m)任意選択的に、第二の反応器内でポリジエンを官能化させるために、第二の容器に官能化剤を加える工程;
(n)単量体の更なる重合を停止させるために、第二の容器に停止剤を加える工程;並びに
(0)ポリジエンを回収する工程
を含む、ポリジエンを連続的に製造するための方法。
【請求項2】
第二の容器内におけるヘッドスペースを第二の容器の約30から約70%の容積に維持することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
配位触媒系がランタニド系の触媒系もしくはコバルト系の触媒系を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
共役ジエン単量体が1,3−ブタジエンを含み、
前記プロセスから回収したポリジエンは、分子量分布が4未満で、シス含量が約97重量%を超え、リビング末端を有する各ポリマーを10%より多く含んでいることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポリジエンを連続的に製造するための方法であって、
(a)一種以上の単量体と、触媒系と、単量体、触媒および溶媒の総重量に対して50重量%未満の有機溶媒とを第一の容器に投入する工程、
(b)単量体の20重量%以下の転化率まで単量体を重合させ、反応性のポリマーおよび単量体の混合物を生成させる工程、
(c)容器から反応性ポリマーおよび単量体の混合物を取り除く工程、並びに
(d)合計の単量体転化率が25重量%になる前に、反応性ポリマーを停止させる工程
を含むポリジエンを連続的に製造するための方法。
【請求項6】
前記単量体を重合させる工程が、約15重量%以下の単量体転化率を達成していることを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記初期混合物が、単量体、触媒および溶媒の総重量に対して約5重量%未満の有機溶媒を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項8】
単量体が1,3−ブタジエンを含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項9】
触媒系がランタニド系の触媒系もしくはコバルト系の触媒系を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項10】
触媒系がランタニド系の触媒系を含み、単量体が1,3−ブタジエンを含み、
前記プロセスは、分子量分布が4未満で、シス含量が約97%より大きく、ポリマーの少なくとも10%がリビング末端を有することを特徴とするポリブタジエンを製造する、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
単量体が共役ジエンを含み、触媒系がコバルト系の触媒系を含み、
前記方法が高度に分枝したポリジエンを製造することを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項12】
更に、反応性ポリマーと単量体の混合物を約65℃未満の温度に維持する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項13】
更に、反応性ポリマーと単量体の混合物を約30℃未満の温度に維持する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項14】
前記反応性ポリマーを停止させる工程が、反応性ポリマーを官能化することを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
更に、反応性ポリマーを官能化する工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項16】
ポリジエンを含むポリマー。
【請求項17】
ポリマーがランタニド系触媒からの誘導体を含むことを特徴とする請求項16に記載のポリマー。
【請求項18】
ポリマーが少なくとも97のシス含量を有することを特徴とする請求項17に記載のポリマー。
【請求項19】
ポリマーが少なくとも40%のリビング末端を含む前駆体からの誘導体を含み、少なくとも一つの末端が官能化されていることを特徴とする、請求項17に記載のポリマー。
【請求項20】
ポリマーがネオジム系の触媒系からの誘導体を含み、
ポリマーが約15から約45のムーニー粘度(100℃でのML1+4)を有することを特徴とする請求項16に記載のポリマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−526386(P2007−526386A)
【公表日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−501823(P2007−501823)
【出願日】平成17年2月22日(2005.2.22)
【国際出願番号】PCT/US2005/005560
【国際公開番号】WO2005/087824
【国際公開日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】