説明

バルブユニット及び液体噴射装置

【課題】製造工程を簡略化できると共に、複数の圧力室内における流動圧調整機能のばらつきを抑制することができるバルブユニット及び液体噴射装置を提供する。
【解決手段】バルブユニット19は、2つの液体供給路の途中に設けられてインクを流入させる流入口39a及びインクを流出させる流出口39bを有する隣り合う2つの圧力室39と、各圧力室39の壁面の一部を構成し、該圧力室39内の圧力変動に基づいて変位する隔壁フィルム37と、各圧力室39内にそれぞれ設けられ、閉弁状態となることにより流入口39aを閉鎖するとともに、開弁状態となることにより流入口39aを開放する弁部材44と、各圧力室39内にそれぞれ設けられ、各弁部材44を常には閉弁状態に付勢する弁付勢ばね46と、各隔壁フィルム37により各圧力室39との隔壁を構成するように2つの圧力室39の外側に設けられ、その内部が負圧に保持された共通負圧室42とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バルブユニット及び液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体噴射ヘッドから液体をターゲットに対して噴射する液体噴射装置として、例えば、インクジェット式プリンタ(以下、単に「プリンタ」と言う)が知られている。このプリンタは、それぞれインク(液体)を収容する複数のインクカートリッジ(液体収容体)と、インクを噴射可能な記録ヘッド(液体噴射ヘッド)を備えている。そして、各インクカートリッジ内のインクを各別に複数のインク供給路(液体供給路)を通じて記録ヘッド側に供給し、そのインクを記録ヘッドのノズルから記録媒体に噴射することで印刷を行っている。
【0003】
こうしたプリンタにあっては、各インクカートリッジから記録ヘッドにインクを安定して供給することが望ましい。そこで、こうした要望に応えるために、近時、インク供給路の途中にインクの流動圧を調整するためのバルブユニットを備えたプリンタが提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
具体的には、特許文献1におけるプリンタに備えられたバルブユニットは、複数の凹部が形成された定形性を有する流路形成部材と、この流路形成部材の各凹部をそれぞれ封止する複数のフィルム部材と、これらのフィルム部材で流路形成部材の各凹部を封止することで形成された各圧力室への各インク流入口を各々開閉する複数の弁部材とを備えている。これらの各弁部材は、常時は圧力室内に配設された弁付勢ばねによってインク流入口を閉鎖する閉弁状態に各々付勢されている。また、各フィルム部材は、その内面に一体化された受圧板が対応する圧力室内に配設された受圧用ばねに押圧されることによって圧力室の外側に向かう方向に付勢されている。
【0004】
そして、このバルブユニットにおいては、各圧力室内の圧力が所定圧よりも減少すると、各フィルム部材が対応する受圧用ばねの付勢力に抗して内側に撓むようになっている。そのため、ノズルからインクが吐出されることにより各圧力室内のインク量が減少して各圧力室内に負圧が生じると、各フィルム部材が対応する圧力室の内側に撓んで変位し、この変位に基づき受圧板を介して各弁部材に押圧力を付与するようになる。そして、この押圧力を各弁部材が受けると、対応する弁付勢ばねの付勢力に抗して各弁部材がインク流入口を開放する開弁状態となり、各インク流入口からインクが各圧力室内へ流入するようになっている。
【0005】
このように、特許文献1のプリンタでは、こうしたバルブユニットの流動圧調整機能によって、ノズルから吐出されるインクの量に応じて、各インクカートリッジから記録ヘッドへそれぞれ適切な量のインクを安定して供給することができるようになっている。
【特許文献1】特開2005−95861号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、こうしたバルブユニットにあっては、複数のばね(弁付勢ばね、受圧用ばね)を各圧力室内に備えているため、組立ての際には、流路形成部材の各凹部内に2つのばねを押し縮めながら各フィルム部材を溶着させなければならず、作業が困難であった。さらに、各受圧用ばねの取付位置がずれた場合には、こうした取付位置のずれにより、圧力室ごとに流動圧調整機能がばらついてしまうという問題が生じていた。
【0007】
なお、上記インクジェット式プリンタに限らず、複数の液体収容体に各々収容されている各液体を液体収容体毎に個別対応する複数の液体供給路を通じて液体噴射ヘッドに供給し、同液体噴射ヘッドに各液体収容体と個別対応するように設けられている各ノズルを通じて上記各液体を噴射する液体噴射装置に備えられたバルブユニットにあっては、こうした実情も概ね共通したものとなっている。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、製造工程を簡略化できると共に、複数の圧力室内における流動圧調整機能のばらつきを抑制することができるバルブユニット及び液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明のバルブユニットは、各別に液体を供給する複数の液体供給路の各途中にそれぞれ設けられ、対応する液体供給路の上流側から液体を流入させるための流入口及び該液体供給路の下流側へ液体を流出させるための流出口を有する複数の圧力室と、前記各圧力室と個別対応するように複数設けられ、対応する圧力室の壁面の一部を構成し、その圧力室内の圧力変動に基づいて変位する可撓性部材と、前記各圧力室内にそれぞれ設けられ、閉弁状態となることにより前記流入口を閉鎖するとともに、開弁状態となることにより前記流入口を開放する弁部材と、前記各圧力室内にそれぞれ設けられ、前記弁部材を常には閉弁状態となる方向に付勢する付勢部材と、前記各圧力室のうち隣り合う少なくとも2つの圧力室にそれぞれ設けられた前記各可撓性部材により前記少なくとも2つの圧力室との隔壁を構成するように当該少なくとも2つの圧力室の外側に設けられ、その内部が負圧に保持された共通負圧室とを備え、前記各圧力室の前記各流出口から液体が流出するのに伴って前記各圧力室内に発生した負圧により、前記各可撓性部材が前記共通負圧室内に保持された負圧に抗して各別に変位し、この変位に伴う作用を受けた前記各弁部材が前記各付勢部材の付勢力に抗して前記各流入口を開放することで各々開弁状態となるように構成したことを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、隣り合う少なくとも2つの圧力室の外側に各可撓性部材により各圧力室との隔壁を構成する共通負圧室が設けられていることから、各可撓性部材は共通負圧室内の負圧を受ける。すなわち、この負圧により、各可撓性部材はばねによって圧力室の外側に向かう方向に付勢されているのと同等の作用を受ける。そのため、各圧力室内に複数のばねを備えた従来とは異なり、各圧力室内に配置されるばねの数を削減することができる。したがって、1つの圧力室内に2つのばねを押し縮めながら組立てを行う必要がなくなり、製造工程を簡略化できる。また、各圧力室の可撓性部材は、共通負圧室内に保持された共通の負圧を受けるため、複数の圧力室における流動圧調整機能のばらつきを抑制することができる。
【0011】
また、本発明のバルブユニットにおいては、前記共通負圧室は、前記各可撓性部材以外で構成される壁面の一部が可撓性を有する封止部材により構成されていることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、共通負圧室の各可撓性部材以外で構成される壁面の一部が可撓性を有する封止部材により構成されることから、共通負圧室の内容積を増減させることにより、共通負圧室の圧力を変化させることができる。
【0013】
また、前記共通負圧室内に、該共通負圧室の内容積を拡大する方向に前記封止部材を付勢することで、前記共通負圧室内に負圧を発生させる負圧保持部材を備えることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、共通負圧室の壁面の一部を構成する封止部材を負圧保持部材によって当該共通負圧室の外側に向かう方向に付勢した状態に保持することで、共通負圧室内に負圧を発生させることができる。そして、このように負圧保持部材としてばねを用いた場合においても、圧力室ごとにばねを備えた従来とは異なり、ばねの取付位置のずれによる複数の圧力室における流動圧調整機能のばらつきを抑制することができる。
【0015】
また、本発明のバルブユニットにおいては、前記負圧保持部材は、前記共通負圧室内に1つ設けられていることが好ましい。
この構成によれば、複数の圧力室に対して1つの負圧保持部材を備えればすむので、部材点数を削減することができる。
【0016】
また、本発明のバルブユニットにおいては、前記封止部材は、その初期状態の姿勢態様が前記共通負圧室内に負圧を生じさせる姿勢態様とされ、その初期状態の姿勢態様へ戻る方向への弾性復元力を有することようにしてもよい。
【0017】
この構成によれば、共通負圧室の壁面の一部を構成する封止部材は、仮にばねのような負圧保持部材によって付勢されなくても、封止部材自身が初期状態の姿勢態様へ戻る方向への弾性復元力によって、共通負圧室内を負圧に保持することができる。これにより、ばね等の負圧保持部材を備える必要がなくなり、部品点数を削減することができる。また、仮に共通負圧室内に負圧保持部材を備えた場合においても、封止部材の弾性復元力により負圧保持部材の負荷を軽減することができるため、当該負圧保持部材の小型化を図ることができる。
【0018】
また、本発明のバルブユニットにおいては、前記封止部材は、前記共通負圧室を挟んで前記各可撓性部材と対向する位置に設けられるのが好ましい。
この構成によれば、共通負圧室において、表面積を確保する必要のある各可撓性部材で構成される壁面と封止部材で構成される壁面とを対向する位置に設けることにより、装置の小型化を図ることができる。
【0019】
また、本発明のバルブユニットにおいては、1つの前記可撓性部材により構成される前記共通負圧室の壁面部分の面積は前記封止部材により構成される前記共通負圧室の壁面部分の面積よりも小さいことが好ましい。
【0020】
この構成によれば、各可撓性部材により構成される共通負圧室の壁面部分の面積を小さくすることで、各可撓性部材を通じて圧力室に空気が混入することを抑制することができる。
【0021】
本発明の液体噴射装置においては、それぞれ液体を収容する複数の液体収容体と、前記液体をターゲットに対して噴射可能な液体噴射ヘッドと、前記各液体収容体側から前記液体噴射ヘッド側へ前記液体を各別に供給するための複数の液体供給路と、上述したバルブユニットとを備えたことを特徴とする。
【0022】
この構成によれば、バルブユニットの各圧力室内に配置されるばねの数を削減される。したがって、1つの圧力室内に2つのばねを押し縮めながら組立てを行う必要がなくなり、製造工程を簡略化できる。また、各圧力室の各可撓性部材は、共通負圧室内に保持された共通の負圧を受けるため、複数の圧力室における流動圧調整機能のばらつきを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
(第1の実施形態)
以下、本発明をインクジェット式プリンタ(以下、単にプリンタという)に具体化した第1の実施形態を図1〜図4に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」をいう場合は、特に断らない限り、図1に矢印で示す前後方向(副走査方向)及び左右方向(主走査方向)、並びに図2〜図5に矢印で示す上下方向(重力方向)をそれぞれ示すものとする。
【0024】
図1に示すように、本実施形態の液体噴射装置としてのプリンタ11は、略矩形箱状をなす本体ケース12を備えている。本体ケース12内の下部には、その長手方向である左右方向に沿ってプラテン13が架設されている。プラテン13は、ターゲットとしての記録用紙Pを支持する支持台であって、このプラテン13上には、図示しない紙送り機構により記録用紙Pが副走査方向となる前後方向に沿って給送されるようになっている。また、本体ケース12内には、プラテン13の長手方向(左右方向)と平行に棒状のガイド部材14が架設されている。
【0025】
このガイド部材14には、キャリッジ15がガイド部材14の軸線方向(左右方向)に往復移動可能な状態で支持されている。キャリッジ15は、一対のプーリ16a間に張設された無端状のタイミングベルト16を介してキャリッジモータ17に連結されている。したがって、キャリッジ15は、キャリッジモータ17の駆動により、ガイド部材14に沿って往復移動されるようになっている。
【0026】
キャリッジ15のプラテン13に対向する面には、液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド18が設けられている。また、キャリッジ15上には、液体としてのインクを記録ヘッド18に供給するバルブユニット19が2つ設けられている。
【0027】
また、記録ヘッド18の下面には、プリンタ11に使用されるインクの色に対応した複数(本実施形態においては4つ)のノズル20(図2参照、同図には1つのみ図示。)が形成されている。そして、各ノズル20からプラテン13上に給送された記録用紙Pにインク滴が噴射されることで印刷が行われるようになっている。
【0028】
本体ケース12の右端部にはカートリッジホルダ21が設けられると共に、カートリッジホルダ21とプラテン13との間には、記録ヘッド18の退避位置となるホームポジションHPが設けられている。印刷の開始前などには、このホームポジションHPにおいて記録ヘッド18に対するクリーニング等、各種メンテナンス処理が実行される。
【0029】
カートリッジホルダ21には、液体収容体としてのインクカートリッジ22が着脱可能に複数個(本実施形態においては4個)装着されている。各インクカートリッジ22は矩形箱状のケース23を備えている。このケース23内には、インクカートリッジ22毎に色の異なるインクを充填した、可撓性のフィルムからなる袋状のインクパック24(図2参照)が収容されている。そして、各インクカートリッジ22は、カートリッジホルダ21に装着された場合にインク供給チューブ25の上流端に接続されることにより、インク供給チューブ25を介してキャリッジ15上の各バルブユニット19とそれぞれ接続されるようになっている。
【0030】
なお、本実施形態のプリンタ11においては、マゼンタ、シアン、ブラック、イエローの4色のインクが使用され、これら4色に対応する4個のインクカートリッジ22にそれぞれ個別対応する4本のインク供給チューブ25が接続されている。そして、2つのバルブユニット19は、一方はブラックとイエロー、他方はマゼンタとシアンの各色のインクに対応して、各バルブユニット19に対してそれぞれ2本のインク供給チューブ25が接続されている。
【0031】
カートリッジホルダ21の上側には、加圧ユニット26が搭載されている。この加圧ユニット26は、空気供給路27を介して加圧空気をインクカートリッジ22内に圧送する装置であって、加圧ポンプ28、圧力検出器29及び大気開放弁30を備えている。圧力検出器29によって空気供給路27内の加圧空気の圧力が検出され、この検出値に基づいて加圧ポンプ28の駆動制御が行われる。また、何らかの事情により空気供給路27内の圧力が過度の状態になった場合は、大気開放弁30が開放動作して空気供給路27内の圧力を大気中に放出するようになっている。
【0032】
空気供給路27は、大気開放弁30の下流側に配設された分配器31を境にインクカートリッジ22の個数と同数に分岐されている。そして、分岐された各空気供給路27は、それぞれの下流端が各々対応するインクカートリッジ22に接続され、そのインクカートリッジ22のケース23内に連通している。したがって、加圧ユニット26の加圧ポンプ28が駆動された場合には、加圧ポンプ28から圧送された加圧空気が空気供給路27を介して各インクカートリッジ22のケース23内にそれぞれ導入されるようになっている。
【0033】
図2に示すように、各インクカートリッジ22のケース23内は加圧室32となっており、この加圧室32内にインクパック24がそれぞれ収容されている。加圧ポンプ28から空気供給路27を介して圧送された加圧空気は加圧室32に導入され、加圧空気の空気圧によってインクパック24が押し潰される。すると、インクパック24内のインクが各インク供給チューブ25に導出され、インク供給チューブ25を通じて対応するバルブユニット19に圧送される。なお、図2においては、インク供給チューブ25を1本のみ図示しているが、上述したように、1つのバルブユニット19には2本のインク供給チューブ25が接続されている。
【0034】
1つのバルブユニット19内には、そのバルブユニット19内に各インク供給チューブ25から供給されるインクを流入させるための流入路19aと、そのバルブユニット19内から記録ヘッド18側にインクを流出させるための流出路19bとがそれぞれ形成されている。そして、本実施形態においては、上述したインク供給チューブ25、流入路19a、及び流出路19bによって、インクカートリッジ22側から記録ヘッド18側へインク(液体)を供給するためのインク供給路(液体供給路)が構成されている。
【0035】
一方、記録ヘッド18内には、2つのバルブユニット19に各2本ずつ形成された流出路19bと連通するインク流路18aがそれぞれ形成されると共に、各インク流路18aに対応して記録ヘッド18の下面に形成された各ノズル20との間には、インクを一時貯留可能なインク室Rがそれぞれ設けられている。各インク室Rの上側には上下方向に振動してインク室R内の容積を拡大及び縮小する振動板(図示略)がそれぞれ配設されると共に、各振動板の上側には振動板を振動させるための圧電素子(図示略)がそれぞれ配設されている。そして、各圧電素子が上下方向に収縮及び伸張して対応する振動板を上下方向に振動させることにより、記録ヘッド18の各ノズル20からインクが所定容量の液滴となって吐出されるようになっている。
【0036】
次に、バルブユニット19の具体的構成について図3に基づいて説明する。
図3に示すように、バルブユニット19は、それぞれ定形性を有する第1流路形成部材33と第2流路形成部材34と負圧室形成部材35とが積層された構造をしている。すなわち、バルブユニット19は、第1流路形成部材33上に第2流路形成部材34が接合されると共に、その第2流路形成部材34上に負圧室形成部材35が接合されることにより、三層が一体化されたユニット構造をしている。
【0037】
まず、第1流路形成部材33は、その外形が略直方体形状をなしており、その平面状をなす上面には平面視円形状の凹部33aが2つ隣り合って形成されると共に、各凹部33aの内底面において、各内底面の中心から第1流路形成部材33の中心寄りに偏心して、お互いに鏡像配置となる位置に円錐台形状をなす凸部33bが各一つ形成されている。そして、各凸部33bの上端面に各凹部33a内へのインクの流入口39aをそれぞれ開口するようにして、上述した流入路19aが第1流路形成部材33内にインク色ごとに形成されている。
【0038】
次に、第2流路形成部材34は、第1流路形成部材33よりも上下方向の厚みが薄い略直方体形状をなしており、その平面状をなす下面が第1流路形成部材33の上面と接合されている。また、第2流路形成部材34の上面には、第1流路形成部材33の各凹部33aに対して上下方向でそれぞれ部分的に重なり合うように、平面視円形状の凹部34aが2つ形成されている。各凹部34aは、各中心が第1流路形成部材33の凹部33aの中心から見た場合に前記各凸部33bとは反対側にそれぞれ偏心し、お互いに鏡像配置の位置態様となるように設けられる。そして、各凹部34aの内周面を上側に延長するような膨出態様で、第2流路形成部材34の上面には、円環状の突縁部34bがそれぞれ形成されている。
【0039】
また、第2流路形成部材34における各凹部34aの底部中央には、各凹部34aを第1流路形成部材33の対応する凹部33aに連通させる中心孔34cがそれぞれ貫通形成されている。各中心孔34cは、その開口面積が第1流路形成部材33の各凹部33aの開口面積よりも小さく、対応する凹部33aの開口した範囲内に位置するように形成されている。
【0040】
また、第2流路形成部材34における各凹部34aの内底面において、その中心孔34cよりもそれぞれ外側となる位置には、上述した流出路19bが、各凹部34aの内底面にインクの流出口39bをそれぞれ開口するようにして、第2流路形成部材34及び第1流路形成部材33にインク色ごとに貫通形成されている。
【0041】
また、第2流路形成部材34における各突縁部34bの上端面には、可撓性部材としての隔壁フィルム37が凹部34a内へ少し撓んだ状態で、各凹部34aの上端開口を封止するようにそれぞれ固着されている。また、各隔壁フィルム37の対応する凹部34a内に臨む内面側の略中央部には、各凹部34aの開口面積よりも面積の小さい円板状の押圧板38がそれぞれ固着されている。そして、各隔壁フィルム37で2つの凹部34aがそれぞれ封止されることにより、バルブユニット19内には、第1流路形成部材33の各凹部33aと第2流路形成部材34の各凹部34a及び両凹部33a,34a間を連通する各中心孔34cの各内部空間からなる2つの圧力室39が、各隔壁フィルム37により壁面の一部が構成されるようにしてそれぞれ形成されている。隣り合う2つの圧力室39は、お互いに鏡像配置となっており、それぞれ同じ内容積となっている。
【0042】
次に、負圧室形成部材35は、その上下方向の厚みが第1流路形成部材33と第2流路形成部材34の各厚みの中間程度である略直方体形状をなしており、その平面状をなす下面が第2流路形成部材34の上面と接合されている。負圧室形成部材35は、上下方向(厚さ方向)に貫通する1つの貫通孔35aを有しており、この貫通孔35aは、その開口面積が第2流路形成部材34の各凹部34aの開口面積よりも大きい。そして、負圧室形成部材35が第2流路形成部材34上に積層された場合には、貫通孔35aによって形成された負圧室形成部材35の内側面の下端部分に第2流路形成部材34の2つの突縁部34bの円環外周がそれぞれ内接する態様となっている。
【0043】
また、負圧室形成部材35の上面には、貫通孔35aの上端開口を封止するように、少なくとも水蒸気バリア性に優れた可撓性素材からなる封止部材としての封止フィルム40が固着されている。また、封止フィルム40の貫通孔35a内に臨む内面側の略中央部には、貫通孔35aの開口面積よりも面積の小さい円板状の受圧板41が固着されている。そして、この封止フィルム40で貫通孔35aの上端開口が封止されることにより、バルブユニット19内には、貫通孔35aの内部空間からなる共通負圧室42が、封止フィルム40により壁面の一部が構成されると共に、上述した各隔壁フィルム37により2つの圧力室39との隔壁が構成されるようにして形成されている。なお、共通負圧室42において、1つの隔壁フィルム37で構成される壁面の面積は、その隔壁フィルム37が固着される凹部34aの開口面積の方が封止フィルム40が固着される貫通孔35aの開口面積よりも小さいため、その封止フィルム40で構成される他方の壁面の面積よりも小さくなっている。
【0044】
次に、圧力室39の内部構成について説明する。なお、2つの圧力室39は、その内部構成についてもお互いに鏡像配置となっており、構成要素は同じであるため、ここでは図3において右側に配置された1つの圧力室39について説明する。
【0045】
図3に示すように、圧力室39を構成する下側の凹部33aの内底面略中央部には基台部43が設けられ、この基台部43に対して弁部材44が支持されている。弁部材44は、その先端(図3では左端)に流入口39aと対峙する弁体45を固着した作用点側アーム部44aと、その先端(図3では上端)が上側の凹部34a内で押圧板38と対峙する力点側アーム部44bと、これら両アーム部44a,44b間を連結する連結アーム部44cとを備えている。
【0046】
また、弁部材44は、作用点側アーム部44aと連結アーム部44cとの連結部分及び力点側アーム部44bと連結アーム部44cとの連結部分がそれぞれ略「へ」の字状をなす角度で連結されることにより、作用点側アーム部44aと力点側アーム部44bが互いの軸方向を直角に交差させた形状に形成されている。そして、作用点側アーム部44aと連結アーム部44cとの連結部分から側方(図3では紙面と直交する方向)に突設された支軸44dが基台部43の軸受部43aに対して回動可能に支持されることにより、弁部材44は、弁体45が流入口39aを閉鎖する閉弁状態と流入口39aを開放する開弁状態との間で弁開閉動作するようになっている。
【0047】
また、圧力室39を構成する下側の凹部33a内において、流入口39aと弁体45を挟んで対峙する位置には、圧縮コイルスプリングからなる弁付勢ばね46が配置されている。そして、この弁付勢ばね46は、収縮した蓄力状態において、その一端(図3では上端)が第2流路形成部材34の下面に当接する一方、その他端(図3では下端)が弁体45に当接することにより、弁体45を常には流入口39aを閉鎖する閉弁状態となる方向へ付勢している。
【0048】
次に、共通負圧室42の内部構成について説明する。
図3に示すように、共通負圧室42を構成する貫通孔35a内には第2流路形成部材34の突縁部34bよりも大径の圧縮コイルスプリングからなる負圧保持部材としての受圧用ばね47が2つの突縁部34bの間に配置される態様で収容されている。そして、この受圧用ばね47は、収縮した蓄力状態において、その一端(図3では上端)が受圧板41の下面に当接する一方、その他端(図3では下端)が第2流路形成部材34の上面に当接することにより、受圧板41を介して封止フィルム40を常には共通負圧室42の内容積を拡大する方向へ付勢している。
【0049】
そのため、受圧用ばね47が受圧板41を介して封止フィルム40を付勢する状態では、共通負圧室42の内容積が拡大する方向へ封止フィルムが変位するため、共通負圧室42内は負圧が発生した状態に保持される。そのため、共通負圧室42と2つの圧力室39との隔壁を構成する各隔壁フィルム37は、共通負圧室42内に発生した負圧を受け、共通負圧室42側に付勢された状態となる。
【0050】
次に、以上のように構成されたバルブユニット19の作用について説明する。
まず、プリンタ11は印刷に先だって、その準備作業として記録ヘッド18がホームポジションHPに配置された状態で各ノズル20からインクを吐出又は吸引することで、各インク供給チューブ25よりも下流側における流入路19a、圧力室39、流出路19b、インク流路18a及びインク室Rの内部にそれぞれ対応するインクを充填する。
【0051】
この準備作業が完了した状態において、各弁部材44は、図3に示すように、作用点側アーム部44aは水平に、また、力点側アーム部44bは垂直になった態様で、弁付勢ばね46によって下向きに付勢された弁体45が凸部33bに当接して各流入口39aをそれぞれ閉鎖している。また、各隔壁フィルム37は共通負圧室42内の負圧を受けて上向きに付勢された状態になっている。
【0052】
さて、印刷準備作業が完了した後、印刷が開始されると、加圧ポンプ28が駆動されて各インクカートリッジ22内の加圧室32に加圧空気が送出される。この加圧空気によってインクパック24が加圧され、各インクパック24内のインクが加圧状態でバルブユニット19側に送出される。そして、各インク供給チューブ25及び各流入路19aを通じてインクが対応する流入口39aまで至ると、加圧されたインクの圧力が各弁体45にそれぞれ加わるが、この圧力よりも弁付勢ばね46の付勢力の方が大きくなっている。
【0053】
そのため、印刷開始時には各圧力室39の流入口39aは弁体45により閉鎖された閉弁状態にあり、バルブユニット19の上流側と下流側とはいずれも非連通状態にある。この状態において、記録ヘッド18に備えられた各圧電素子が駆動されてインクがノズル20から吐出されると、対応する圧力室39の流出口39bからインクが流出してインク室Rに供給される。
【0054】
なお、インクの流出量は、印刷内容によってその色ごとに異なるため、ここでは図3において右側に配置された圧力室39内のインク量が減少した場合について説明する。
インクの流出に伴って圧力室39内のインク量が減少すると、圧力室39内に負圧が発生する。そして、この負圧が所定圧(=受圧用ばね47の付勢力)よりも大きくなると、隔壁フィルム37が共通負圧室42内の負圧に抗して圧力室39側に撓み、隔壁フィルム37の下面中央に設けられた押圧板38が下側に向かって変位する。このとき、変位する押圧板38がその下側で対峙する弁部材44における力点側アーム部44bの先端に押圧力を加えると、弁部材44は支軸44dを中心に図3において時計回り方向に回動しようとする。そして、この押圧板38による押圧力が弁付勢ばね46の付勢力よりも大きくなると、弁部材44は、図3に示す閉弁状態から図4に示す開弁状態へと回動変位する。すると、弁体45が弁付勢ばね46の付勢力に抗して凸部33bから離間し、流入口39aを開放する。その結果、バルブユニット19内において上流側の流入路19aと下流側の圧力室39とが連通状態となる。
【0055】
流入口39aが開放された開弁状態になると、図4中に矢印で示すように、圧力室39内から流出口39bを通じて流出路19bへとインクが流出すると共に、加圧状態のインクで満たされた流入路19aから圧力室39内にインクが流入する。流入したインクにより圧力室39内に発生した負圧が上述した所定圧よりも小さくなると、隔壁フィルム37は共通負圧室42側に撓み、押圧板38が元の位置に向かって上側に変位する。そして、弁部材44における力点側アーム部44bの先端に加えられていた押圧力が弁付勢ばね46の付勢力よりも小さくなると、弁部材44は図4において反時計回りに回動し、弁体45が凸部33bに当接して流入口39aが閉鎖された閉弁状態となる。
【0056】
このように、本実施形態のバルブユニット19にあっては、インクの色ごとに設けられた弁部材44の開弁動作及び閉弁動作が対応する圧力室39内でそれぞれ繰り返されることにより、印刷時においては、各ノズル20からそれぞれ吐出されるインクの量に応じて、適切な量のインクを安定して記録ヘッド18に供給することができるようになる。
【0057】
以上説明した本実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)上記実施形態では、従来は弁付勢ばね46と共に各圧力室39内に収容される構成であった受圧用ばね47を隔壁フィルム37により各圧力室39と隔絶された共通負圧室42内に収容しているため、圧力室39内に2つのばねを押し縮めながら組立作業を行う必要がなく、製造工程を簡略化できる。
【0058】
(2)上記実施形態では、各隔壁フィルム37は共通負圧室42内に保持された負圧を受けているので、複数の圧力室39における流動圧調整機能のばらつきを抑制することができる。
【0059】
(3)上記実施形態では、共通負圧室42は壁面の一部が可撓性を有する封止フィルム40により構成されているため、共通負圧室42の内容積を増減させることで共通負圧室42内の圧力を変化させることができる。
【0060】
(4)上記実施形態では、共通負圧室42の壁面の一部を構成する封止フィルム40に設けられた受圧板41を負圧保持部材としての受圧用ばね47によって共通負圧室42の外側に向かう方向に付勢した状態に保持することで、共通負圧室42内に負圧を発生させることができる。そして、このように負圧保持部材としてばねを用いた場合においても、圧力室39ごとにばねを備えた従来とは異なり、ばねの取付位置のずれによる複数の圧力室39における流動圧調整機能のばらつきを抑制することができる。
【0061】
(5)上記実施形態では、従来は各圧力室39内にそれぞれ収容されていた受圧用ばね47を、共通負圧室42内に1つ設ければよいので、部品点数を削減することができる。
(6)上記実施形態では、共通負圧室42において、表面積を確保する必要のある各隔壁フィルム37で構成される壁面と封止フィルム40で構成される壁面とが対向する位置に設けられているため、装置の小型化を図ることができる。
【0062】
(7)上記実施形態では、隔壁フィルム37は共通負圧室42内の負圧により付勢されているため、必要面積が小さくてすむ。そのため、封止フィルム40で構成される壁面の面積よりも隔壁フィルム37で構成される壁面の面積を小さくして、空気が混入する余地を少なくすることにより、各圧力室39内への空気の混入を抑制することができる。
【0063】
(第2の実施形態)
次に、本発明に係る発明の第2の実施形態について、図5に基づいて説明する。
なお、この実施形態も先の第1の実施形態と同様、本発明に係る液体噴射装置をインクジェット式プリンタに具体化したものであるが、共通負圧室42に関する構成の一部が上記第1の実施形態と異なっている。その他の点は基本的に第1の実施形態と同様であり、以下では第1の実施形態と相違する部分について主に説明する。
【0064】
本実施形態においては、図5に示すように、負圧室形成部材35の上面には、少なくとも水蒸気バリア性に優れた弾性復元力を有する可撓性素材からなる封止部材としての封止フィルム48が固着されている。この封止フィルム48は、第1の実施形態における封止フィルム40とは異なり、その封止フィルム48自体が初期状態の姿勢態様に戻ろうとする弾性復元力を有している。
【0065】
すなわち、この封止フィルム48は、負圧室形成部材35の上面に対して貫通孔35aの上端開口を封止する初期状態の姿勢態様で固着された後、一旦、共通負圧室42の内側方向へ弾性変形される。そして、この弾性変形させられた状態から元の初期状態の姿勢態様へ戻ろうとする弾性復元力によって共通負圧室42内を負圧に保持するようになっている。そのため、本実施形態の場合は、第1の実施形態の場合と異なり、共通負圧室42内には負圧保持部材としての受圧用ばねが設けられていない。また、封止フィルム48の内面側にも受圧板は設けられていない。
【0066】
以上のように構成された本実施形態のバルブユニット19のおいては、インクの流出に伴って発生した圧力室39内の負圧が、所定圧(=封止フィルム48の弾性復元力)よりも大きくなると、隔壁フィルム37が共通負圧室42内の負圧に抗して圧力室39側に撓むようになっている。
【0067】
その他の作用については、上述した第1の実施形態の場合と同様である。
以上説明した第2の実施形態によれば、上記第1の実施形態における(1)〜(7)の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
(8)封止部材として弾性復元力を有した素材からなる封止フィルム48を用いることにより、ばね等の負圧保持部材を用いることなく、共通負圧室42内を負圧に保持することができる。これにより、第1の実施形態の場合と異なり、受圧用ばね47及び受圧板41を備える必要がなくなり、部品点数を削減することができる。
【0068】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態に変更してもよい。
・第1の実施形態においては、隔壁フィルム37と封止フィルム40とを同一材料としてもよいし、別の材料としてもよい。
【0069】
・第2の実施形態においては、封止部材として弾性復元力を有する封止フィルムと併せて、共通負圧室内に受圧用ばね及び受圧板を備えるようにしてもよい。この場合には、封止部材の弾性復元力によって負圧保持部材としての受圧用ばねの負荷を軽減することができるため、当該部材の小型化を図ることができる。
【0070】
・各実施形態においては、各隔壁フィルム37により構成される共通負圧室42の壁面部分の面積と封止フィルム40により構成される共通負圧室42の壁面部分の面積とは、どちらが大きくてもよい。
【0071】
・各実施形態においては、各隔壁フィルム37と封止フィルム40とは対向する位置に設けられる場合に限らず、たとえばお互いに垂直をなす壁面の一部として設けられてもよい。
【0072】
・各実施形態においては、隔壁フィルム37は1つの圧力室39の異なる2面以上の壁面を構成する態様で複数設けられてもよいし、封止フィルム40は共通負圧室42の異なる2面以上の壁面を構成する態様で複数設けられてもよい。
【0073】
・各実施形態においては、共通負圧室42の壁面を構成する部材構成として封止フィルム40を用いなくてもよい。たとえば、吸引ポンプを備えて内部の空気を吸引排出することによって共通負圧室42内に負圧を保持するようにしてもよい。
【0074】
・各実施形態においては、1つのバルブユニット19に2つの圧力室39と1つの共通負圧室42を備えるようにしたが、3つ以上の圧力室39を1つのバルブユニット19に備えるようにしてもよい。また、各圧力室39に対応させるインクの色も、任意に設定してよい。
【0075】
・各実施形態においては、共通負圧室42内に1つの受圧用ばね47を備えたが、受圧用ばね47を複数備えるようにしてもよい。
・各実施形態においては、本発明にかかる液体噴射装置をインクジェット式プリンタに適用する場合について説明したが、こうしたプリンタに限らない他の液体噴射装置にも本発明は同様に適用することができる。例えば、ファクシミリや複写機等に用いられる印刷装置や、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ、あるいは面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、さらには精密ピペットとしての試料噴射装置等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施形態におけるインクジェット式プリンタの概略平面図。
【図2】実施形態におけるプリンタのインク供給システムを説明する模式図。
【図3】第1の実施形態におけるバルブユニットの概略構成を示す部分断面図。
【図4】第1の実施形態におけるバルブユニットの作用を示す部分断面図。
【図5】第2の実施形態におけるバルブユニットの概略構成を示す部分断面図。
【符号の説明】
【0077】
11…液体噴射装置としてのプリンタ、18…液体噴射ヘッドとしての記録ヘッド、19…バルブユニット、19a…液体供給路を構成する流入路、19b…液体供給路を構成する流出路、22…液体収容体としてのインクカートリッジ、25…液体供給路を構成するインク供給チューブ、37…可撓性部材としての隔壁フィルム、39…圧力室、39a…流入口、39b…流出口、40,48…封止部材としての封止フィルム、42…共通負圧室、44…弁部材、46…付勢部材としての弁付勢ばね、47…負圧保持部材としての受圧用ばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各別に液体を供給する複数の液体供給路の各途中にそれぞれ設けられ、対応する液体供給路の上流側から液体を流入させるための流入口及び該液体供給路の下流側へ液体を流出させるための流出口を有する複数の圧力室と、
前記各圧力室と個別対応するように複数設けられ、対応する圧力室の壁面の一部を構成し、その圧力室内の圧力変動に基づいて変位する可撓性部材と、
前記各圧力室内にそれぞれ設けられ、閉弁状態となることにより前記流入口を閉鎖するとともに、開弁状態となることにより前記流入口を開放する弁部材と、
前記各圧力室内にそれぞれ設けられ、前記弁部材を常には閉弁状態となる方向に付勢する付勢部材と、
前記各圧力室のうち隣り合う少なくとも2つの圧力室にそれぞれ設けられた前記各可撓性部材により前記少なくとも2つの圧力室との隔壁を構成するように当該少なくとも2つの圧力室の外側に設けられ、その内部が負圧に保持された共通負圧室とを備え、
前記各圧力室の前記各流出口から液体が流出するのに伴って前記各圧力室内に発生した負圧により、前記各可撓性部材が前記共通負圧室内に保持された負圧に抗して各別に変位し、この変位に伴う作用を受けた前記各弁部材が前記各付勢部材の付勢力に抗して前記各流入口を開放することで各々開弁状態となるように構成したことを特徴とするバルブユニット。
【請求項2】
前記共通負圧室は、前記各可撓性部材以外で構成される壁面の一部が可撓性を有する封止部材により構成されていることを特徴とする請求項1に記載のバルブユニット。
【請求項3】
前記共通負圧室内に、該共通負圧室の内容積を拡大する方向に前記封止部材を付勢することで、前記共通負圧室内に負圧を発生させる負圧保持部材を備えたことを特徴とする請求項2に記載のバルブユニット。
【請求項4】
前記負圧保持部材は、前記共通負圧室内に1つ設けられていることを特徴とする請求項3に記載のバルブユニット。
【請求項5】
前記封止部材は、その初期状態の姿勢態様が前記共通負圧室内に負圧を生じさせる姿勢態様とされ、その初期状態の姿勢態様へ戻る方向への弾性復元力を有することを特徴とする請求項2〜4のうち何れか一項に記載のバルブユニット。
【請求項6】
前記封止部材は、前記共通負圧室を挟んで前記各可撓性部材と対向する位置に設けられることを特徴とする請求項2〜5のうちいずれか一項に記載のバルブユニット。
【請求項7】
1つの前記可撓性部材により構成される前記共通負圧室の壁面部分の面積は前記封止部材により構成される前記共通負圧室の壁面部分の面積よりも小さいことを特徴とする請求項2〜6のうちいずれか一項に記載のバルブユニット。
【請求項8】
それぞれ液体を収容する複数の液体収容体と、
前記液体をターゲットに対して噴射可能な液体噴射ヘッドと、
前記各液体収容体側から前記液体噴射ヘッド側へ前記液体を各別に供給するための複数の液体供給路と、
請求項1〜7のうちいずれか一項に記載のバルブユニットと
を備えたことを特徴とする液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−23789(P2008−23789A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−197263(P2006−197263)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】