バルブ装置
【課題】弁座に設けられたオリフィスにおける流体の圧力損失を低減できる構成を備えたバルブ装置を提供すること。
【解決手段】バルブ装置1において流体流路23と流体流出路41の間に配置された弁座60は、流体流路23と流体流出路41を連通させるオリフィス61と、弁体50がオリフィス61を閉じる際に当接する弁座面62を備える。オリフィス61は、オリフィス61の下端開口61aと同一径の第1オリフィス部分611と、この第1オリフィス部分611よりも大径の第2オリフィス部分612を備えている。従って、オリフィス61が、下端開口61aと同一の一定の内径で形成されている場合と比較して、流体がオリフィス61を通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【解決手段】バルブ装置1において流体流路23と流体流出路41の間に配置された弁座60は、流体流路23と流体流出路41を連通させるオリフィス61と、弁体50がオリフィス61を閉じる際に当接する弁座面62を備える。オリフィス61は、オリフィス61の下端開口61aと同一径の第1オリフィス部分611と、この第1オリフィス部分611よりも大径の第2オリフィス部分612を備えている。従って、オリフィス61が、下端開口61aと同一の一定の内径で形成されている場合と比較して、流体がオリフィス61を通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリフィスが形成されている弁座と、弁座に当接する閉位置と弁座から離れた開位置との間を移動してオリフィスを開閉する弁体とを有するバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流路の途中にオリフィスが形成されている弁座を配置しておき、弁体を弁座に当接する閉位置と弁座から離れた開位置との間で移動させてオリフィスを開閉することにより、流路を通過する流体の流れを制御するバルブ装置は特許文献1に記載されている。同文献では、オリフィスの内径は、弁体との当接面となっている弁座の弁座面に露出しているオリフィスの先端開口の内径と同一であり、流路よりも小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−5330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような筒形状のオリフィスでは、流体がオリフィスの先端開口側からオリフィスを通過するに際して圧力の損失が発生するという問題が生じる。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、弁座に形成されているオリフィスにおける流体の圧力損失を低減できる構成を備えたバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、
オリフィスが形成されている弁座と、前記弁座に当接する閉位置と前記弁座から離れた開位置との間を移動して前記オリフィスを開閉する弁体とを有するバルブ装置において、
前記弁座は、台座部と前記台座部から前記弁体の側に突出する突出部とを備えており、
前記オリフィスは、前記台座部および前記突出部を貫通して延びており、
前記突出部の先端には、前記弁体との当接面となる弁座面が前記オリフィスの先端開口を取り囲んで形成されており、
前記オリフィスには、前記先端開口の側から前記オリフィスの中心軸線方向に沿って、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記先端開口と同一の第1断面を備える第1オリフィス部分と、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記第1断面よりも広い面積の第2断面を備える第2オリフィス部分とが形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、弁座に形成されているオリフィスは、オリフィスの先端開口と同一形状、同一面積の第1断面を備える第1オリフィス部分と、この第1オリフィス部分の第1断面よりも広い面積の第2断面を備える第2オリフィス部分を備えている。従って、オリフィスが、先端開口と同一面積の断面形状を備えるように形成されている場合と比較して、流体がオリフィスを通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【0008】
本発明において、前記第2オリフィス部分は、前記第1オリフィス部分から遠ざかるに連れて前記第2断面の面積が増加していることが望ましい。このようにすれば、流体がオリフィスを通過する際に発生する圧力損失を、更に、低減させることができる。
【0009】
本発明において、前記突出部は、前記先端開口の側から前記オリフィスの中心軸線方向に沿って延びる円筒形状部と、前記円筒形状部の後端から後方側に向けて広がっている円錐台形状部とを備えていることが望ましい。このようにすれば、弁体と弁座面の当接面積を小さくすることができるので、弁体による単位面積当たりの閉止圧力を高めることができる。よって、弁体が弁座面に当接したときに、弁体によるオリフィスの先端開口のシール性を向上させることができる。また、円筒形状部の先端面を弁体が当接する弁座面とすることができるので、円錐台形状をしている突出部の先端に弁座面を形成する場合と比較して、弁座面を精度よく形成することが容易となる。さらに、弁体と弁座面の当接面積を小さくすることができるので、例えば、弁体が弁座面との当接部分に少なからず粘着性をもっているゴムなどの弾性部材を備えていても、弾性部材の粘着に拘わらず弁体を弁座面(オリフィスの先端開口)から離すことができる。また、衝撃などによって弁体の弾性部材がオリフィス先端部に想定以上に食い込むような場合には、弾性部材が食い込むほどに、円錐台形状部によって弾性部材が広い面で力を受ける。従って、弁体の弾性部材の損傷を防ぐことができる。
【0010】
ここで、弁座に対して弁体が流体の流通方向の上流側に位置するようにバルブ装置を配置する場合には、流体の圧力(背圧)と受圧面積(弁座と弁体との当接面積)との積が弁体の推力よりも小さくないと弁体を上流側に移動させることが困難となり、オリフィスを開くことができなくなる。また、受圧面積が変動してしまうと弁体によるオリフィスの開閉が不安定なものとなる。これに対して、突出部はオリフィスの先端開口の側に円筒形状部を備えているので、流路を閉じる際に、弾性部材からなる弁体の当接部分が流体の圧力を受けて弾性変形の範囲で突出部の先端に食い込んでも、弁座と弁体との当接面積が増加しない。よって、弁体によるオリフィスの開閉が安定し、弁体が移動できなくなることもない。
【0011】
本発明において、前記オリフィスには、前記オリフィスの中心軸線方向に沿って、前記第2オリフィス部分の後方に、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記第2断面よりも広い面積の第3断面を備える第3オリフィス部分が形成されていることが望ましい。このようにすれば、流体がオリフィスを通過する際に発生する圧力損失を、更に、一層、低減させることができる。
【0012】
この場合において、前記台座部は、前記突出部の後端から、前記中心軸線方向と直交する方向に広がる一定厚さの端板部を備えており、前記端板部の後端面には、前記中心軸線と直交する断面形状が前記第2断面よりも広い面積の一定深さの凹部が形成され、前記凹部が形成されている部分における前記端板部の板厚が他の部分の板厚に比べて薄くなっており、前記凹部の中心部分には、前記第2オリフィス部分が開口しており、前記凹部の開口によって前記オリフィスの後端開口が規定されており、前記凹部の内周面によって前記第3オリフィス部分が規定されていることが望ましい。このようにすれば、流路が形成されている部材に弁座を連結する際に、この部材と弁座の間に位置ずれが発生した場合でも、流路とオリフィスの連通状態を確保することが容易となる。また、凹部を形成することによって端板部において突出部が形成されている部分が薄くなっているので弁体が弁座面に衝突した場合などにおいて、弁座を弾性変形させることができるので、弁座の破損を回避できる。
【0013】
この場合において、前記オリフィスの前記後端開口に連通する第1流体流路が形成されている第1流路構成部材を有し、前記第1流体流路は、前記後端開口と同一形状で前記後端開口に同軸に接続されている流路開口を備えており、前記流路開口は、前記第3オリフィス部分の前記第3断面と同一形状であり、前記第1流体流路には、前記流路開口の側から当該第1流体流路の中心軸線方向に沿って、前記流路開口から遠ざかるに連れて当該第1流体流路の中心軸線方向と直交する方向の断面形状の面積が狭くなっている第1流路部分と、当該第1流体流路の中心軸線方向と直交する方向の断面形状の面積が第1流路部分の断面形状よりも狭い面積となっている第2流路部分とが形成されていることが望ましい。このようにすれば、第3オリフィス部分と第1流路部分によって径の大きな流路部分が形成されるとともに、弁座のオリフィスと第1流体流路との繋ぎ目に段差が生じることがない。この結果、例えば、流体が液体である場合に、その液体に気体が混入したり、バルブ装置内で気体が発生したりしたとしても、この気体を第3オリフィス部分あるいは第1流路部分から排出することが可能になる。よって、気体が第3オリフィス部分あるいは第1流路部分に滞留してしまうことを防止できる。
【0014】
この場合において、前記オリフィスの前記先端開口に連通する第2流体流路が形成されている第2流路構成部材を有し、前記弁座は、前記端板部が前記第1流路構成部材と前記第2流路構成部材との間に挟まれた状態で固定されていることが望ましい。このようにすれば、弁座を第1流体流路と第2流体流路の間に配置することが容易となる。
【0015】
本発明において、前記弁座は、金属製であることが望ましい。金属は樹脂などと比較して精度よく加工できるので、弁座を金属製としておけば、微細なオリフィスを形成する場合などに、その内径寸法などの精度を向上させることができる。また、後加工によって、弁座面の面精度を向上させることができるので、弁体によるシール性を向上させることができる。
【0016】
この場合において、前記弁座は、プレス加工品であることが望ましい。プレス加工によれば、突出部およびオリフィスを精度よく形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、弁座に形成されているオリフィスは、オリフィスの先端開口と同一形状、同一面積の第1断面を備える第1オリフィス部分と、この第1オリフィス部分の第1断面よりも広い面積の第2断面を備える第2オリフィス部分を備えている。従って、オリフィスが、先端開口と同一面積の断面形状を備えるように形成されている場合と比較して、流体がオリフィスを通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用したバルブ装置の外観斜視図である。
【図2】本発明を適用したバルブ装置の分解斜視図である。
【図3】本発明を適用したバルブ装置の縦断面図である。
【図4】第1流路構成部材の斜視図、側面図、および縦断面図である。
【図5】第2流路構成部材を上方および下方から見た斜視図、並びに、縦断面図である。
【図6】弁座を上方および下方から見た斜視図、並びに、縦断面図である。
【図7】補強部材を上方および下方から見た斜視図、並びに、縦断面図である。
【図8】第1流路構成部材、弁座および第2流路構成部材の連結部分を拡大して示す部分断面図である。
【図9】弁体の縦断面図、並びに、弁体の上端部分および下端部分の部分断面図である。
【図10】弁体が弁座面から離れている状態のバルブ装置の縦断面図である。
【図11】弁体が弁座面に衝突した場合を説明するための説明図である。
【図12】弁座の別の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は本発明を適用したバルブ装置の外観斜視図である。なお、以下の説明では、便宜上、バルブ装置の上下を図の上下に従って説明する。バルブ装置1は、円柱形状の胴部2と、軸線方向Lを胴部2から下方に同軸上に延びている流入管3と、軸線方向Lを胴部2から上方に同軸上に延びている流出管4を備えている。流入管3は胴部2よりも小径であり、その下端面には液体や気体などの流体が流入する流入口3aが形成されている。流出管4は胴部2よりも小径であり、その上端面には流体が流出する流出口4aが形成されている。胴部2の下端部分には一対の端子ピン5、6が径方向外側に向けて突出するように取り付けられた端子台7が設けられている。バルブ装置1は、下端の流入口3aと上端の流出口4aの間に構成されているバルブ装置内流路8を通過する流体の流れを制御する。
【0021】
図2はバルブ装置1の分解斜視図である。図3(a)はバルブ装置1の縦断面図であり、図3(b)は図3(a)と直交する平面で切断したバルブ装置1の縦断面図である。バルブ装置1は、胴部2の外壁を構成している磁性材料からなる円筒形状のケース10を有している。ケース10は、その内側に、流入管3、端子ピン5、6および端子台7を備える流入側流路構成部材(第2流路構成部材)20と、流出管4を備える流出側流路構成部材(第1流路構成部材)40を保持している。ケース10の下端開口11からは流入管3が突出しており、ケース10の上端開口12からは流出管4が突出している。ケース10の下端部分には切欠部13が形成されており、切欠部13からは端子台7が軸線方向Lと直交する方向に突出している。
【0022】
流入側流路構成部材20は、流入管3および端子台7を備える底部21と、この底部21から円筒状に延びる胴部22を備えている。胴部22の内側は流体流路(第2流体流路)23となっており、底部21には、図3に示すように、流入管3を貫通して流入口3aと流体流路23とを連通させる流体流入路24が形成されている。胴部22の外周面には第1〜第4駆動コイル25〜28が軸線方向Lに並んで巻き回されている。ここで、ケース10は、第1〜第4駆動コイル25〜28の外周側を覆うヨークとしても機能している。
【0023】
胴部22の内側、すなわち、流体流路23には、軸線方向Lに移動可能な状態で弁体50が挿入されている。弁体50は、軸線方向Lに配列された第1〜第3永久磁石51〜53を搭載している。
【0024】
流出側流路構成部材40は、流入側流路構成部材20の上端に同軸上に取り付けられている。流出側流路構成部材40には、流出管4を貫通して延びる流体流出路(第1流体流路)41が形成されている。
【0025】
流入側流路構成部材20と流出側流路構成部材40との間には、これら2つの部材の間に挟まれた状態で弁座60が固定されている。弁座60には、流体流路23と流体流出路41を連通させるオリフィス61と、弁体50がオリフィス61を閉じる際に、その当接面となる弁座面62が形成されている。
【0026】
弁座60の外周側にはOリング70が配置されている。Oリング70は流入側流路構成部材20、流出側流路構成部材40および弁座60の全てに当接しており、流入口3aから流体流入路24に流入し、流体流路23、オリフィス61および流体流出路41を介して流出口4aに至るバルブ装置内流路8を流通する流体が漏れないようにシールしている。Oリング70は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)からなる。
【0027】
流入側流路構成部材20の胴部22の上端の内側部分には、円環状の補強部材80が配置されている。流入側流路構成部材20の胴部22の上端部分の外側には、半円弧形状をした一対の磁性板90が、軸線方向Lと直交する径方向の外側から嵌め込まれている。
【0028】
第1〜第4駆動コイル25〜28に電流を流すことにより、弁体50は、軸線方向Lを上下方向に直動移動する。弁体50が弁座面62に当接してオリフィス61を閉状態とすると、流入口3aから流出口4aへの流体の流れは停止する。弁体50が弁座面62から離れてオリフィス61を開放状態とすると、流入口3aから流出口4aへ流体が流れる。図3に示す状態では、弁体50は弁座面62に当接してオリフィス61を閉状態とする閉位置50Aにある。
【0029】
(流入側流路構成部材)
図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ流入側流路構成部材20の斜視図、側面図、および縦断面図である。流入側流路構成部材20は、樹脂製であり、有機溶剤に強く、強度があるPPS(ポリフェニレンスルファイド)で形成されている。流入側流路構成部材20の胴部22は、胴部22の上端において外周側に拡径して上方に突出する円環状のフランジ部29と、胴部22の外周面に設けられている第1〜第4円環状突部30〜33を備えている。第4円環状突部33の下側には底部21が連続しており、底部21には、第1〜第4駆動コイル25〜28のコイル線の端末部分を接続するための端子ピン5、6を固定している端子台7が設けられている。底部21の下側部分は胴部22よりも小径となっており、この下端部分は流入管3となっている。
【0030】
フランジ部29の上端部分の内側には、円環状段部291が設けられている。円環状段部291は、フランジ部29の上端面29aに胴部22の内径よりも大きな内径を備える円形凹部を胴部22と同軸上に設けることによって形成されている。図8に示すように、円環状段部291には、補強部材80が嵌め込まれる。フランジ部29の外周側には内側に窪む円環状凹部292が形成されている。この円環状凹部292には、図2に示すように、一対の磁性板90が径方向の外側から嵌め込まれる。
【0031】
フランジ部29の上端面29aには、上方の突出する円環状突部293が設けられている。図4(a)、(c)に示すように、円環状突部293の先端面293aの径方向の内側の縁部分および外側の縁部分には、面取りによるテーパー面293b、293cが形成されている。円環状突部293は後述する流出側流路構成部材40の円環状凹部44に挿入される。
【0032】
第1〜第4円環状突部30〜33は、上端に位置する第1円環状突部30とフランジ部29の間、および、各円環状突部30〜33の間が等間隔となるように設けられている。第4円環状突部33の下側には、第4円環状突部33と連続するように端子台7が一体に設けられている。ここで、胴部22はコイルボビンとして機能しており、フランジ部29と第1円環状突部30の間の区画、第1円環状突部30と第2円環状突部31の間の区画、第2円環状突部31と第3円環状突部32の間の区画、および、第3円環状突部32と第4円環状突部33の間の区画は、それぞれコイル線が巻回される第1〜第4コイル巻回部34〜37として利用される。すなわち、図3に示すように、これら第1〜第4コイル巻回部34〜37にコイル線が巻き回させることによって、胴部22の外周面には第1〜第4駆動コイル25〜28が構成されている。第1〜第4駆動コイル25〜28は軸線方向Lで同じ幅に形成されているとともに、軸線方向Lで隣接する第1〜第4駆動コイル25〜28同士でコイル線の巻き回し方向が逆となっている。また、第1〜第4駆動コイル25〜28は、2本の端子ピン5、6に対して電気的に直列に接続されている。
【0033】
第1〜第3円環状突部30〜32には、これら第1〜第3円環状突部30〜32を挟んで上下に隔てられている第1〜第4コイル巻回部34〜37を連通させる第1〜第3溝部301、311、321がそれぞれ形成されている。第1〜第3溝部301、311、321は、第1〜第3円環状突部30〜32のそれぞれにおいて180°離れた角度位置に2つ設けられている。また、一体に形成された第4円環状突部33と端子台7には、第3円環状突部32と第4円環状突部33の間の第4コイル巻回部35から軸線方向Lに延びて端子台7の中央部分を通過する第4溝部331が形成されている。また、端子台7の下端部分には、第4溝部331のよりも幅の広い第5溝部332が、第4溝部331と連続するように形成されている。
【0034】
第1〜第4駆動コイル25〜28を連続して形成する際には、一方の端子ピン5に端末部分を接続したコイル線を、第5溝部332および第4溝部331を介して第4コイル巻回部37の側に引き出し、第4コイル巻回部37に巻き回して第4駆動コイル28を形成する。次に、第3溝部321を介してコイル線を隣の第3コイル巻回部36に引き出して、第3駆動コイル25を形成する。その後、同様にして、第2コイル巻回部35と第1コイル巻回部34に、第2駆動コイル26と第1駆動コイル25をこの順番で形成する。しかる後に、コイル線の端末部分を第1溝部301、第2溝部311、第3溝部321、第4溝部331および第5溝部332を通過するように引き回して他方の端子ピン6に接続する。
【0035】
ここで、端子台7において端子ピン5、6が突出している端面7aは、第1〜第4駆動コイル25〜28に電流を供給するためのフレキシブルプリント基板などの給電基板(図示省略)と端子ピン5、6とを電気的に接続する際に、この給電基板を載せる基板載置面となっているが、本例では、コイル線の端末部分が、この端面7aよりも低い第4溝部331および第5溝部332を通過して端子ピン5、6の近傍まで引き回されているので、端子台7と給電基板との間にコイル線の端末部分を挟みこんで断線することを防止あるいは低減できる。また、コイル線の端末部分が端子台7の中央部分に形成された第4溝部331および端子台7の下端部分に形成された第5溝部332を介して端子ピン5、6に接続されているので、端子台7を外側に露出させるためにケース10に形成されている切欠部13の縁に第1〜第4駆動コイル25〜28の端末部分が接触して、断線することを回避できる。
【0036】
底部21において、胴部22の内側に露出している円環状端面21aには、図4(c)に示すように、周方向の一部分から流体流路23内に向って突出するストッパ211が設けられている。ストッパ211は、胴部22の内側に挿入された弁体50が、移動範囲の下側の端に達したときに弁体50に流体流入路24の側から当接して、弁体50の移動範囲の下側の端(上流端)を規定する。
【0037】
(流出側流路構成部材)
図5(a)、(b)、(c)は、それぞれ流出側流路構成部材40を上方から見た斜視図、下方から見た斜視図、および縦断面図である。流出側流路構成部材40は、PPSなどの樹脂製であり、円柱部42と、この円柱部42の下端に形成された円盤部43を備えている。円柱部42は流出管4を構成している部分であり、図5(c)に示すように、流体流出路41は、円柱部42および円盤部43と同軸状態でこれらを貫通している。円盤部43の下面には上方に窪む円環状凹部44が形成されている。円環状凹部44は流体流出路41と同軸上に形成されており、その径方向の断面形状は矩形である。
【0038】
円環状凹部44より内側の内側下端面部分43aの中央には流体流出路41の下端開口(流路開口)41aが露出している。下端開口41aは流出口4aよりも大径となっており、流体流出路41には、下端開口41aの側から軸線方向Lに沿って、下端開口41aから遠ざかるに連れて、すなわち、流出口4a側に向けて内径が減少している第1流路部分411と、この第1流路部分411よりも小径の第2流路部分412が形成されている。第2流路部分412の内径は流出口4aの内径と同一となっている。第2流路部分412は、円柱部42を貫通して円盤部43の軸線方向の中程まで達している。第1流路部分411の内周面は、内側下端面部分43aから上方に向って内側に傾斜するテーパー面となっており、第2流路部分412の内周面に連続している。ここで、内側下端面部分43aは、円環状凹部44より外側の外側下端面部分43bよりも僅かに上方に位置している。
【0039】
(弁座)
図6(a)、(b)、(c)は、それぞれ弁座60を上方から見た斜視図、下方から見た斜視図、および縦断面図である。弁座60は、非磁性であり、かつ、防錆性の強いステンレス鋼、チタン、アルミニウムなどの金属板をプレス成形することにより形成されている。弁座60は、台座部63と、台座部63の中心部分から下方に突出する突出部64を有している。台座部63は、突出部64の上端から軸線方向Lと直交する方向に広がる一定厚さの円盤状の端板部65と、端板部65の外周縁から立ち上がる円環状壁66を備えている。突出部64は、下端側から、円筒形状部641と、この円筒形状部641に連続する円錐台形状部642を備えており、円錐台形状部642は端板部65に繋がっている。円錐台形状部642は円筒形状部641の側から端板部65の側に近づくに連れてその肉厚が厚くなっている。
【0040】
オリフィス61は、台座部63および突出部64を同軸上に貫通して延びている。突出部64の先端には、オリフィス61の下端開口(先端開口)61aが露出しており、この下端開口61aを取り囲んで平坦な弁座面62が形成されている。オリフィス61には、下端開口61aの側から軸線方向Lに沿って、下端開口61aと同一径で延びる第1オリフィス部分611と、第1オリフィス部分611よりも大径の第2オリフィス部分612と、第2オリフィス部分612よりも大径の第3オリフィス部分613が形成されている。第2オリフィス部分612は、第1オリフィス部分611から遠ざかるに連れて内径が増加しており、円錐状となっている。
【0041】
端板部65の上端面65aには、第2オリフィス部分612より大きな内径の一定深さの円形凹部67が形成されており、この円形凹部67が第3オリフィス部分613となっている。より具体的には、円形凹部67の内周面によって第3オリフィス部分613の内周面が規定されており、円形凹部67の上端開口によってオリフィス61の上端開口(後端開口)61bが規定されている。円形凹部67の中心部分には、第2オリフィス部分612が開口している。また、円形凹部67が形成されることにより、円形凹部67が形成されている部分における端板部65の板厚が他の部分の板厚に比べて薄くなっている。すなわち、端板部65における突出部64の形成部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄くなっている。
【0042】
ここで、弁座60は、円形の金属板を絞り加工することにより、円環状壁66、円形凹部67、突出部64、および、第2オリフィス部分612を形成する。また、突出部64、および、第2オリフィス部分612が形成された後に、穴抜き加工を行い、第1オリフィス部分611を形成する。その後、突出部64の先端面に研磨、研削、バレル、化学研磨などの後加工を施し、弁座面62の面精度を向上させる。
【0043】
(補強部材)
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ補強部材80を上方から見た斜視図、上方から見た斜視図側面図、図7(a)のA−A線における縦断面図、および図7(a)のB−B線における縦断面図である。補強部材80は樹脂製であり、PPSから形成されている。補強部材80は、円環状板部81と、円環状板部81の外周縁から下方に延びる円環状壁82を備えている。円環状板部81の下面の周方向の一部分には下方に突出する突部83が設けられている。本例では、2つの突部83が周方向において互いに180度離れた位置に形成されており、各突部83の外周縁は円環状壁82の内周面に連続している。突部83は、弁体50に当接して弁体50の移動範囲の弁座60の側の端を規定するストッパとなるものである。なお、突部83が円環状壁82に連続するように形成されていることにより、円環状壁82の強度の向上が図られている。
【0044】
円環状板部81の内周面は、下面の側から、下端部分が外側に拡径するテーパー面となっている拡径部分81aと、内径が一定の一定径部分81bを備えている。補強部材80の外径寸法および高さ寸法は、流入側流路構成部材20の円環状段部291に嵌合する寸法となっている。
【0045】
なお、補強部材80は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウムなどの金属から形成することもできる。
【0046】
(流入側流路構成部材、流出側流路構成部材および弁座の連結)
図8は、流入側流路構成部材20、弁座60および流出側流路構成部材40の連結部分を拡大して示す部分断面図である。流入側流路構成部材20、流出側流路構成部材40および弁座60を連結して、流入口3aから流出口4aに至るバルブ装置内流路8を形成する際には、まず、流出側流路構成部材40の円環状凹部44に弁座60の円環状壁66を挿入して、弁座60の端板部65を流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aに当接させた状態とする。
【0047】
ここで、流出側流路構成部材40の円環状凹部44の内周面のうち外側を向いている内周面部分44aは位置決め面として機能しており、この内周面部分44aに弁座60の円環状壁66の内側面66aを当接させながら円環状壁66を円環状凹部44に挿入することによって、弁座60と流出側流路構成部材40が同軸上に配置される。この結果、流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aに露出している下端開口41aと、弁座60の端板部65の上端面65aに露出しているオリフィス61の上端開口61bが重ねられ、流出側流路構成部材40に形成されている流体流出路41と弁座60に形成されているオリフィス61が同軸上に配置されて連通した状態となる。
【0048】
この結果、オリフィス61の先端開口61aから流出口4aまでの間は、先端開口61aと同一径で延びる第1オリフィス部分611、第1オリフィス部分611の上端から連続して上方に向かって径が拡大している第2オリフィス部分612、第2オリフィス部分612よりも大きな径を備え、同一径で延びる第3オリフィス部分613、第3オリフィス部分613の上端から連続して上方に向って径が縮小している第1流路部分411、および、第1流路部分411の上端から連続して流出口4aと同一径で延びる第2流路部分412により接続される。また、オリフィス61の第3オリフィス部分613と流体流出路41の第1流路部分411によって、オリフィス61の先端開口61aから流出口4aに至る流路の途中に、他の部分よりも径の大きな流路部分が形成される。
【0049】
なお、弁座60の円環状壁66の高さ寸法は、円環状凹部44の高さ寸法よりも短く設定されており、弁座60の端板部65が流出側流路構成部材40の内側下端面部分43a部分に当接させた状態となるまで円環状壁66を円環状凹部44に挿入した状態において、円環状壁66の上端面66bと円環状凹部44の底面44bとの間には隙間が形成されている。
【0050】
次に、弁座60の円環状壁66の外周面66cと、円環状凹部44の内周面のうち内側を向いている内周面部分44cの間にOリング70を配置する。Oリング70は、弁座60と流出側流路構成部材40に当接するとともに、これらの間で径方向に圧縮された状態で配置される。
【0051】
ここで、流入側流路構成部材20の円環状段部291に補強部材80を嵌め込む。補強部材80が流入側流路構成部材20の内側に取り付けられると、補強部材80の上端面80aと、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aとが同一平面上に位置した状態となる。
【0052】
しかる後に、流出側流路構成部材40の円環状凹部44に流入側流路構成部材20の円環状突部293を挿入して、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aの外周縁部分を、流出側流路構成部材40の外側下端面部分43bに当接させた状態とする。
【0053】
ここで、既に流出側流路構成部材40の円環状凹部44に挿入されている弁座60の円環状壁66の外周面66cは位置決め面として機能しており、この外周面66cに円環状突部293の外周面のうち内側を向いている内周面部分293dを当接させながら円環状突部293を円環状凹部44に挿入することによって、流入側流路構成部材20が、弁座60および流出側流路構成部材40と同軸上に配置される。また、補強部材80が弁座60および流出側流路構成部材40と同軸上に配置され、補強部材80の上端面80aが、弁座60の端板部65に当接した状態となる。これにより、流入側流路構成部材20に形成されている流体流入路24および流体流路23は、弁座60に形成されているオリフィス61および流出側流路構成部材40に形成されている流体流出路41と同軸上に配置され、流入口3aから、流体流入路24、流体流路23、オリフィス61および流体流出路41を介して流出口4aに至るバルブ装置1内のバルブ装置内流路8が構成される。
【0054】
また、流出側流路構成部材40の円環状凹部44に流入側流路構成部材20の円環状突部293が挿入されることによって、Oリング70は、流入側流路構成部材20と流出側流路構成部材40との間で軸線方向Lに圧縮された状態となる。すなわち、流入側流路構成部材20の円環状突部293の高さ寸法は、円環状凹部44の高さ寸法よりも短く設定されており、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aの外周縁部分を、流出側流路構成部材40の外側下端面部分43bに当接させた状態となるまで円環状壁66を円環状凹部44に挿入すると、Oリング70は流入側流路構成部材20の円環状凹部44の底面44bと、流出側流路構成部材40の円環状突部293の先端面293aの間に挟まれて、弾性変形した状態となる。
【0055】
なお、ゴム製のOリング70は圧縮によって体積が変化しないので、円環状凹部44には圧縮により変形したOリング70の変形部分を逃がすスペースが必要となるが、このようなスペースは、円環状壁66の上端面66bと円環状凹部44の底面44bとの間の隙間として確保されている。また、円環状突部293の先端面293aの径方向の両側部分にはテーパー面293b、293cが形成されているので、テーパー面293bと弁座60の円環状壁66の外周面66cとの間の隙間、および、テーパー面293cと円環状凹部44の内側を向いている内周面部分44cとの間の隙間として確保されている。
【0056】
ここで、Oリング70が配置されている空間、すなわち、流出側流路構成部材40の円環状凹部44、弁座60の円環状壁66、および、流入側流路構成部材20の円環状突部293によって形成されているOリング配置用の空間の断面積は、Oリング70の断面積とほぼ同一としておくことが好ましい。
【0057】
(弁体)
図9(a)は弁体50の縦断面図であり、図9(b)は弁体50の上端部分を拡大して示す部分断面図であり、図9(c)は弁体50の下端部分を拡大して示す部分断面図である。弁体50は非磁性材料の樹脂あるいは金属から形成された筒状のホルダ54を有している。ホルダ54の上端部には、内側に直角に折り曲げられた上端折り曲げ部541が形成されており、上端折り曲げ部541の中央には上端開口542が設けられている。ホルダ54の下端部には、内側に直角に折り曲げられた下端折り曲げ部543が形成されており、下端折り曲げ部543の中央には下端開口544が設けられている。
【0058】
ホルダ54には、上端折り曲げ部541の側から、軸線方向Lに圧縮された状態の弾性部材55、上側蓋部材56、円柱形状の第1〜第3永久磁石51〜53、下側蓋部材57が収納されている。また、第1永久磁石51の上端、第3永久磁石53の下端、および、隣り合う第1〜第3永久磁石51〜53の間には、円板状の磁性板58a〜58dが配置されている。上側蓋部材56、第1〜第3永久磁石51〜53、下側蓋部材57、磁性板58a〜58dは、弾性部材55の弾性復帰力によって、下端折り曲げ部543の側に押し付けられて固定されている。
【0059】
弾性部材55はゴム製であり、本例では、EPDMからなる。図9(b)に示すように、弾性部材55は、大径円盤部551と、大径円盤部551から上方に同軸上に突出している上側小径円盤部552と、大径円盤部551から下方に同軸上に突出している下側小径円盤部553と、下側小径円盤部553から下方に同軸上に突出する突出部554を備えている。下側小径円盤部553は上側小径円盤部552よりも大径であり、突出部554の外面は、弾性部材55の軸線を中心として外周側へ向って上に湾曲する凸曲面となっている。大径円盤部551はホルダ54の上端折り曲げ部541に当接して上端開口542をシールしており、上側小径円盤部552は、上端開口542を介してホルダ54の外側に突出している。上側小径円盤部552の外周面と上端開口542の内周縁との間には隙間が設けられており、上側小径円盤部552と、上端折り曲げ部541とは非接触の状態となっている。
【0060】
上側蓋部材56は、外径寸法がホルダ54の内径寸法と対応する寸法に設定されている大径部561と、この大径部561よりも小径で、大径部561から下方に同軸上に突出している小径部562を備えている。大径部561の外周面561aはホルダ54の内周面54aに当接している。大径部561の上端面の外周縁は切り欠かれており、これにより円環状のテーパー面561bが形成されている。大径部561の中央部分には凹部561cが設けられており、凹部561cの底面の中央部分には、中心が下方に窪む凹曲面561dが形成されている。
【0061】
ここで、弾性部材55は、下側小径円盤部553および突出部554が上側蓋部材56の凹部561cおよび凹曲面561dに嵌り込んでいる。図9に示す状態では、弾性部材55は、大径円盤部551が上端折り曲げ部541と上側蓋部材56との間で圧縮されており、弾性部材55の大径円盤部551の外周縁は、大径部561のテーパー面561bの上方まで達している。なお、テーパー面561bが形成されることによって上側蓋部材56とホルダ54の内周面54aとの間に設けられた空間は、圧縮によって弾性変形した大径円盤部551の一部分が移動する空間となっている。
【0062】
上側蓋部材56の大径部561と小径部562の境界部分に構成された円環状段部563には、上側Oリング59aが配置されている。上側Oリング59aは、小径部562の外周側に配置されており、図9に示す状態では、軸線方向Lと直交する方向に圧縮された状態で小径部562の外周面562aおよびホルダ54の内周面54aに当接している。上側Oリング59aは、軸線方向Lと直交する周方向でシール性を発揮している。
【0063】
次に、第1〜第3永久磁石51〜53は、図9(a)に示すように、隣り合う永久磁石同士が互いに同極を相手方の永久磁石の方に向けている。より詳細には、上端の第1永久磁石51は上がN極、下がS極となるように配置されており、その下方に隣接配置されている第2永久磁石52は上がS極、下がN極となるように配置されており、さらにその下方に配置されている第3永久磁石53は上がN極、下がS極となるように配置されている。この結果、弁体50では、特に同極を同士を対向して配置している磁性板58c〜58dが位置する個所では磁束が集中している。
【0064】
下側蓋部材57は、図9(c)に示すように、外径寸法がホルダ54の内径寸法と対応する寸法に設定された大径部571と、この大径部571よりも小径で、大径部571から上方に同軸上に突出している小径部572を備えている。大径部571の外周面571aはホルダ54の内周面54aに当接している。大径部571の下端面571bの中央部分には凹部571cが設けられている。この凹部571cの底面は、中央が上方に窪む凹曲面571dとなっている。
【0065】
下側蓋部材57の大径部571と小径部572の境界部分に構成された円環状段部573には、下側Oリング59bが配置されている。下側Oリング59bは、小径部572の外周側に配置されており、図9に示す状態では、軸線方向Lと直交する方向に圧縮された状態で小径部572の外周面572aおよびホルダ54の内周面54aに当接している。下側Oリング59bは、軸線方向Lと直交する周方向でシール性を発揮している。
【0066】
(バルブ装置の動作)
次に、図3および図10を参照してバルブ装置1の動作を説明する。図10(a)はバルブ装置1の縦断面図であり、図10(b)は図10(a)と直交する平面で切断したバルブ装置1の縦断面図である。図10(a)の縦断面図は図3(a)の縦断面図と対応しており、図10(b)の縦断面図は図3(b)の縦断面図と対応している。図10は、弁体50が弁座面62から離れている状態のバルブ装置1を示している。
【0067】
図3に示す状態は、第1〜第4駆動コイル25〜28は励磁されておらず、弁体50は、弁体50の永久磁石51〜53と、一対の磁性板90の磁気的な吸引力F1によって、閉位置50Aに保持されている状態である。すなわち、弁体50の弾性部材55が弁座面62に当接してオリフィス61の下端開口61aを塞いでおり、これにより、流入口3aから流出口4aへ至るバルブ装置内流路8は閉じられている。
【0068】
ここで、弁体50は、弁座面62よりも流入口3aの側、すなわち、流体の流通方向の上流側に位置しているので、流入口3aからバルブ装置1へ流れ込む流体の流体圧(背圧)が弁体50を閉位置50Aに向かって移動させる方向に力F2を働かせている。
【0069】
また、閉位置50Aは、補強部材80の突部83によって規定される弁体50の移動範囲の上側の端よりも下方に設定されており、図3(b)に示すように、閉位置50Aにおいてオリフィス61の下端開口61aを塞いでいる弁体50と、補強部材80の突部83とは隙間を開けて対向しており、当接していない。従って、閉位置50Aにおいて弁体50が弁座面62に当接することにより形成されているオリフィス61の下端開口61aの閉状態が、弁体50が補強部材80に当接することによって損なわれてしまうことがない。
【0070】
次に、バルブ装置内流路8を開放する際には、第1〜第4駆動コイル25〜28に電流を流して、各駆動コイル25〜28に所定の極性とする。これにより、第1〜第4駆動コイル25〜28を流れる電流の向きと、永久磁石51〜53による磁束の軸線方向Lと直交する垂直成分の向きが直交する。この結果、図10に示すように、永久磁石51〜53の磁束と第1〜第4駆動コイル25〜28との間に働くローレンツ力が、弁体50を閉位置50Aから下方へと移動させる力F3として働く。
【0071】
ここで、第1〜第4駆動コイル25〜28への電流供給開始時点では、図3に示すように、弁体50の磁性板58a〜58dは、対応する第1〜第4駆動コイル25〜28の軸線方向Lの中央に位置しており、永久磁石51〜53の磁束のうち軸線方向Lと直交する垂直成分が第1〜第4駆動コイル25〜28と鎖交する磁界を効率よく形成しているので、力F3として大きな推力が発生する。従って、弁体50は、一対の磁性板90との間の磁気的な吸引力F1、および、流入口3aらバルブ装置1内へ流れ込む流体の流体圧に起因する力F2に抗して、下方に移動する。この結果、図10に示すように、弁体50は、弁座面62から離れて下端開口61aを開放状態とする開位置50Bに至る。
【0072】
弁体50が開位置50Bに移動すると、弁体50は弁座面62から流体の流通方向の上流側に離れる。開位置50Bでは、弁体50は、磁性板58a〜58dが、それぞれ対応する第1〜第4駆動コイル25〜28の下側部分に位置した状態となる。また、弁体50は、ホルダ54の下端折り曲げ部543が流入側流路構成部材20のストッパ211に当接した状態となり、流入口3aから流体流入路24、流体流路23、オリフィス61、流体流出路41を介して流出口4aに至るバルブ装置1の内部のバルブ装置内流路8は開放状態となる。この結果、流入口3aから流体流入路24を介して流入した流体は、流体流路23において弁体50の外周面と胴部22の内周面との間を流れ、オリフィス61および流体流出路41を介して流出口4aから流出する。
【0073】
ここで、弁体50が開位置50Bに移動すると、図10(b)に示すように、流体流入路24の上端開口241と、弁体50の下側蓋部材57の凹部571cとが狭い間隔をあけて対向した状態となる。従って、流体流入路24の側の流体圧が想定以上に上昇すると、凹部571cによって圧力損失が生じ、弁体50が流体流出路41の側に移動して弁座面62に当接し、オリフィス61の下端開口61aを閉じる。
【0074】
次に、バルブ装置内流路8を閉状態に戻す際には、弁体50を閉位置50Aから開位置50Bへ移動させる場合とは逆方向の電流を第1〜第4駆動コイル25〜28へ供給する。これにより、弁体50は、第1〜第3永久磁石51〜53と第1〜第4駆動コイル25〜28との間に発生するF3とは反対方向のローレンツ力(不図示)、弁体50と一対の磁性板90との間の磁気的な吸引力F1および流入口3aからバルブ装置1へ流れ込む流体の流体圧に起因する力F2によって上方に移動して、閉位置50Aに至る。この結果、弁体50が流体流出路41の側に移動して、弁座面62に当接し、オリフィス61の下端開口61aを閉じる。
【0075】
なお、バルブ装置内流路8を閉状態に戻す際には、第1〜第4駆動コイル25〜28への電流の供給を停止してもよい。第1〜第4駆動コイル25〜28への電流の供給を停止した場合には、弁体50の永久磁石51〜53と、一対の磁性板90の磁気的な吸引力F1、および、流入口3aらバルブ装置1内へ流れ込む流体の流体圧(背圧)に起因する力F2により、弁体50は閉位置50Aに移動する。
【0076】
(弁体が弁座面に衝突した場合)
ここで、バルブ装置1に衝撃が加わることにより弁体50が弁座面62に衝突した場合、あるいは、流体流入路24の側の流体圧が想定以上に上昇して弁体50が弁座面62に衝突した場合には、弁体50と補強部材80の突部83とが当接して、弁体50の軸線方向Lの移動を移動範囲の上側の端で停止させる。図11は弁体が弁座面に衝突した場合を説明するための説明図である。
【0077】
すなわち、弁体50が弁座面62に衝突すると、図11(a)に示すように、弁体50の弾性部材55が著しく変形して、弁体50は全体として図11(b)に示す閉位置50Aよりも上方に移動する。これに対して、本例では、弁体50の移動範囲の上側の端が閉位置50Aよりも僅かに上方に設定してあり、弁体50がこの移動範囲の上側の端に到達すると、補強部材80の突部83と弁体50のホルダの上側折り曲げ部541とが当接して、それよりも上方に移動しようとする弁体50の移動を阻止する。この結果、弁体50が弁座面62に衝突したときの弾性部材55の変形を弾性ひずみ内に抑えることができるので、弾性部材55の破損を回避できる。
【0078】
また、弾性部材55が著しく変形した場合には、弾性部材55が弁座60の突出部64の円錐台形状部642に当接するので、弾性部材55が突出部64に深く食い込んでしまうことが回避される。
【0079】
(作用効果)
本例によれば、弁座60に形成されているオリフィス61は、オリフィス61の下端開口61aと同一径の第1オリフィス部分611と、この第1オリフィス部分611よりも大径の第2オリフィス部分612を備えている。また、第2オリフィス部分612は、第1オリフィス部分611から遠ざかるに連れて内径が増加している。従って、オリフィス61が、先端開口61aと同一の一定の内径で形成されている場合と比較して、流体がオリフィス61を通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【0080】
また、オリフィス61において、下端開口61aに連続する第1オリフィス部分611は下端開口61aと同一径で延びているので、弁座60に対してオリフィス61の先端部分を形成する加工が容易である。この結果、突出部64の先端における下端開口61aの位置および内径を精度よく形成できるので、弁体50が弁座面62に当接したときに、弁体50による下端開口61aのシール性が向上する。
【0081】
さらに、弁座面62は、突出部64は先端の小径の円筒形状部641に設けられているので、弁体50と弁座面62の当接面積が小さい。従って、弁体50による単位面積当たりの閉止圧力を高めることができ、シール性を向上させることができる。また、弁体50の弾性部材55の粘着性に拘わらず、弁体50を弁座面62から離すことができる。
【0082】
ここで、本例のバルブ装置1のように、弁座60に対して弁体50が流体の流通方向の上流側に位置するように配置されている場合には、流体の圧力(背圧)と受圧面積(弁座61と弁体50との当接面積)との積が弁体50の推力よりも小さくないと弁体50を移動させることが困難となり、オリフィス61を開放状態とすることができなくなる。流路が開かなくなってしまう。また、受圧面積が変動してしまうと、弁体50によるオリフィス61の開閉が不安定なものとなる。これに対して、突出部64はオリフィス61の先端開口61aの側に円筒形状部641を備えているので、オリフィス61を閉じる際に、弾性部材55からなる弁体50の当接部分が流体の圧力を受けて弾性変形の範囲で突出部64の先端に食い込んでも、弁座61と弁体50との当接面積が増加しない。よって、弁体50によるオリフィス61の開閉が安定し、弁体50が移動できなくなることもない。
【0083】
また、突出部64は先端の小径の円筒形状部641に連続して円錐台形状部642を備えているので、衝撃などによって弁体50の弾性部材55が突出部64に想定以上に食い込むような場合には、弾性部材55が食い込むほどに、円錐台形状部642によって弾性部材55が広い面で力を受ける。従って、弾性部材55の損傷を防ぐことができる。
【0084】
さらに、本例によれば、弁座60は金属製であり、プレス加工により成形されているので、微細なオリフィス61を形成する際に、その内径寸法などの精度を向上させることができる。また、弁座60が金属製であれば、後加工によって突出部64の先端面、すなわち弁座面62の面精度を向上させることができるので、弁体50によるシール性を向上させることができる。
【0085】
また、本例によれば、端板部65において突出部64が突出する側とは反対側に円形凹部67が形成されているので、流出側流路構成部材40と弁座60とを連結する際に位置ずれが発生した場合でも、流体流出路41とオリフィス61の連通状態を確保できる。また、円形凹部67を形成することによって、端板部65において突出部64が形成されている板部分が薄くなり、その剛性を低下させているので、弁体50が弁座面62に衝突した場合などにおいて、弁座60を弾性変形させることができ、弁座60が破損することを回避できる。
【0086】
さらに、本例では、オリフィス61の第3オリフィス部分613の上端開口61bと流体流出路41の第1流路部分411の下端開口41aとは同一形状であり、流出側流路構成部材40に弁座60を取り付けた状態では、上端開口61bと下端開口41aが同軸上に配置されるので、第3オリフィス部分613と第1流路部分411によって径の大きな流路部分が形成されるとともに、弁座60のオリフィス61と流体流出路41との繋ぎ目に段差が生じることがない。この結果、例えば、流体が液体である場合に、その液体に気体が混入したり、バルブ装置1内で気体が発生したりしたとしても、この気体を第3オリフィス部分613あるいは第1流路部分411から排出することが可能になる。よって、気体が第3オリフィス部分613あるいは第1流路部分411に滞留してしまうことを防止できる。
【0087】
次に、本例によれば、1つのOリング70を、第1流路構成部材20、第2流路構成部材40、および、弁座60に圧縮させられた状態で当接させて、流体が漏れないようにシールしている。従って、従来と比較して少ない部品点数により、弁座60を2つの流路構成部材20、40の間に挟み込む構成を実現することができる。また、1つのOリング70で流体が漏れないようにシールしているので、複数のOリング70を用いてシールする場合と比較して、Oリング70を配置するためのスペースを削減することができる。よって、バルブ装置1の小型化を図ることができる。
【0088】
また、本例によれば、Oリング70は、弁座60および第2流路構成部材40に、径方向で圧縮させられた状態で当接するとともに、第1流路構成部材20および第2流路構成部材40に軸線方向Lで圧縮させられた状態で当接しているので、Oリング70と各部材との当接面積を増加させて、Oリング70と各部材とを確実に密着させることができる。よって、Oリング70が1つであっても、流体の漏れを確実に防止できる。
【0089】
また、次に、本例によれば、胴部22の開放端部分に設けられたフランジ部29の内側に環状の補強部材80が取り付けられているので、胴部22の開放端の側の部位の変形を抑制することができる。また、補強部材80を配置することによって、胴部22の円筒度を高めることができるので、胴部22の内周面と胴部22の内側に挿入された弁体50の外周面との間のクリアランスを一定の状態とすることが容易となる。この結果、弁体50の外周面と胴部22の内周面の間を流体が流れたときの弁体50の挙動が安定するので、弁体50によってオリフィス61の下端開口61aを確実に閉鎖できる。さらに、本例では、胴部22の外周面に巻き回した第1〜第4駆動コイル25〜28の締め付けによって胴部22の開口端の側の変形が発生しやすくなっているが、補強部材80を備えているので、第1〜第4駆動コイル25〜28の巻き回しに起因する変形を回避することができる。
【0090】
また、本例では、補強部材80の突部83は、弁体50に当接して弁体50の移動範囲の上側の端を規定するストッパ211となっている。補強部材80を弁体50の移動範囲を規定するストッパ211として兼用できるので、部品点数の増加を抑制できる。また、弁体50を補強部材80の端面全体に当接させる場合と比較して、オリフィス61の下端開口61aの近傍における流体流路23を広く確保できるので、オリフィス61の下端開口61aが開いた状態となっている場合における流体の圧力損失を抑制できる。
【0091】
また、本例では、補強部材80の円環状板部81が、弁座60の端板部65に当接しているので、補強部材80によって弁座60も補強されている。
【0092】
(弁座の変形例)
図12は弁座の別の例を示す断面図である。図12に示す弁座は上記の弁座と対応する構成を備えているので、対応する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0093】
図12(a)に示す弁座60Aは、円錐台形状部642を、円筒形状の大径円筒形状部642Aとしたものである。このようにしても、弁体50が突出部64に衝突したときに、弁体50の弾性部材55を大径円筒形状部642Aに当接させることができるので、弾性部材55が突出部64に深く食い込んでしまうことを防止できる。
【0094】
図12(b)に示す弁座60Bは、実施例の弁座60の第2オリフィス部分612を、一定の内径で延びる第2オリフィス部分612Aとしたものである。図12(c)に示す弁座60Cは、変形例の弁座60Aの第2オリフィス部分612を、一定の内径で延びる第2オリフィス部分612Aとしたものである。このようにしても、オリフィス61が下端開口61aと同一径で設けられている場合と比較して、流体がオリフィス61を通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【0095】
なお、上記のいずれの例においても、第3オリフィス部分613、すなわち、円形凹部67を省略することができる。
【0096】
(その他の実施の形態)
なお、上記の例では、流体流入路24、流体流路23、オリフィス61、および、流体流出路41は、軸線方向Lと直交する方向における断面形状がいずれも円形であるものとして説明しているが、これらの断面形状は、円形に限られるものではなく、多角形形状であってもよい。この場合には、各流路部分において内径を連続的に拡大させる際には、断面形状の面積を連続的に広くすればよい。その逆に、各流路部分において内径を連続的に縮小する際には、断面形状の面積を連続的に狭くすればよい。
【0097】
また、上記の例では、流出側流路構成部材40の流体流出路41は、径の大きい第1流路部分411を備えているが、この第1流路部分411を流出口4aと同一の内径を備えるものとして構成してもよい。このようにしても、弁座60が円形凹部67を備えている場合には、弁座60を流出側流路構成部材40に取り付けると、弁座60の円形凹部67によって内径の大きい流路部分が形成される。従って、流体流出路41の側から流体が高圧で逆流してきた場合に、弁座60にかかる圧力が分散される。従って、弁座60の変形あるいは破損を防止できる。
【0098】
また、弁座60の突出部64の円筒形状部641の先端の外周縁部分にアールを施しておくことができる。また、円筒形状部641の下端部分の径方向の断面形状を、下方に突出する円弧形状としておくことができる。このようにすれば、弁体50が弁座面62に衝突した場合などに、弁体50の弾性部材の破損を抑制することができる。
【符号の説明】
【0099】
1・バルブ装置、2・胴部、3・流入管、3a・流入口、4・流出管、4a・流出口、5・端子ピン、6・端子ピン、7・端子台、7a・端面、8・バルブ装置内流路、10・ケース、11・下端開口、12・上端開口、13・切欠部、20・流入側流路構成部材(第2流路構成部材)、21a・円環状端面、21・底部、22・胴部、23・流体流路(第2流体流路)、24・流体流入路、25・28・第1〜第駆動コイル、29・フランジ部、29a・上端面、30・33・第1〜第4円環状突部、34・37・第1〜第4コイル巻回部、40・流出側流路構成部材(第1流路構成部材)、41・流体流出路(第1流体流路)、41a・下端開口、42・円柱部、43・円盤部、43a・内側下端面部分、43b・外側下端面部分、44・円環状凹部、44a・内周面部分、44b・底面、44c・内周面部分、50A・閉位置、50B・開位置、50・弁体、51・53・第1〜第3永久磁石、54・ホルダ、54a・内周面、55・弾性部材、56・上側蓋部材、57・下側蓋部材、58a・58d・第1〜第4磁性板、59a・上側Oリング、59b・下側Oリング、60・60A・60B・60C・弁座、61・オリフィス、61a・下端開口(先端開口)、61b・上端開口(後端開口)、62・弁座面、63・台座部、64・突出部、65・端板部、65a・上端面、66・円環状壁、66a・内側面、66b・上端面、66c・外周面、67・円形凹部、70・Oリング、80・補強部材、80a・上端面、81・円環状板部、81a・拡径部分、81b・一定径部分、82・円環状壁、83・突部、90・磁性板、211・ストッパ、241・上端開口、291・円環状段部、292・円環状凹部、293・円環状突部、293a・先端面、293b・テーパー面、293c・テーパー面、293d・内周面部分、301・第1溝部、311・第2溝部、321・第3溝部、331・第4溝部、332・第5溝部、411・第1流路部分、412・第2流路部分、541・上端折り曲げ部、542・上端開口、543・下端折り曲げ部、544・下端開口、551・大径円盤部、552・上側小径円盤部、553・下側小径円盤部、554・突出部、561・大径部、561a・外周面、561b・テーパー面、561c・凹部、561d・凹曲面、562・小径部、562a・外周面、563・円環状段部、571・大径部、571a・外周面、571b・下端面、571c・凹部、571d・凹曲面、572・小径部、572a・外周面、573・円環状段部、611・第1オリフィス部分、612・612A・第2オリフィス部分、613・第3オリフィス部分、641・円筒形状部、642・円錐台形状部、642A・大径円筒形状部、L・軸線方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、オリフィスが形成されている弁座と、弁座に当接する閉位置と弁座から離れた開位置との間を移動してオリフィスを開閉する弁体とを有するバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
流路の途中にオリフィスが形成されている弁座を配置しておき、弁体を弁座に当接する閉位置と弁座から離れた開位置との間で移動させてオリフィスを開閉することにより、流路を通過する流体の流れを制御するバルブ装置は特許文献1に記載されている。同文献では、オリフィスの内径は、弁体との当接面となっている弁座の弁座面に露出しているオリフィスの先端開口の内径と同一であり、流路よりも小さい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−5330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のような筒形状のオリフィスでは、流体がオリフィスの先端開口側からオリフィスを通過するに際して圧力の損失が発生するという問題が生じる。
【0005】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、弁座に形成されているオリフィスにおける流体の圧力損失を低減できる構成を備えたバルブ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、
オリフィスが形成されている弁座と、前記弁座に当接する閉位置と前記弁座から離れた開位置との間を移動して前記オリフィスを開閉する弁体とを有するバルブ装置において、
前記弁座は、台座部と前記台座部から前記弁体の側に突出する突出部とを備えており、
前記オリフィスは、前記台座部および前記突出部を貫通して延びており、
前記突出部の先端には、前記弁体との当接面となる弁座面が前記オリフィスの先端開口を取り囲んで形成されており、
前記オリフィスには、前記先端開口の側から前記オリフィスの中心軸線方向に沿って、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記先端開口と同一の第1断面を備える第1オリフィス部分と、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記第1断面よりも広い面積の第2断面を備える第2オリフィス部分とが形成されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、弁座に形成されているオリフィスは、オリフィスの先端開口と同一形状、同一面積の第1断面を備える第1オリフィス部分と、この第1オリフィス部分の第1断面よりも広い面積の第2断面を備える第2オリフィス部分を備えている。従って、オリフィスが、先端開口と同一面積の断面形状を備えるように形成されている場合と比較して、流体がオリフィスを通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【0008】
本発明において、前記第2オリフィス部分は、前記第1オリフィス部分から遠ざかるに連れて前記第2断面の面積が増加していることが望ましい。このようにすれば、流体がオリフィスを通過する際に発生する圧力損失を、更に、低減させることができる。
【0009】
本発明において、前記突出部は、前記先端開口の側から前記オリフィスの中心軸線方向に沿って延びる円筒形状部と、前記円筒形状部の後端から後方側に向けて広がっている円錐台形状部とを備えていることが望ましい。このようにすれば、弁体と弁座面の当接面積を小さくすることができるので、弁体による単位面積当たりの閉止圧力を高めることができる。よって、弁体が弁座面に当接したときに、弁体によるオリフィスの先端開口のシール性を向上させることができる。また、円筒形状部の先端面を弁体が当接する弁座面とすることができるので、円錐台形状をしている突出部の先端に弁座面を形成する場合と比較して、弁座面を精度よく形成することが容易となる。さらに、弁体と弁座面の当接面積を小さくすることができるので、例えば、弁体が弁座面との当接部分に少なからず粘着性をもっているゴムなどの弾性部材を備えていても、弾性部材の粘着に拘わらず弁体を弁座面(オリフィスの先端開口)から離すことができる。また、衝撃などによって弁体の弾性部材がオリフィス先端部に想定以上に食い込むような場合には、弾性部材が食い込むほどに、円錐台形状部によって弾性部材が広い面で力を受ける。従って、弁体の弾性部材の損傷を防ぐことができる。
【0010】
ここで、弁座に対して弁体が流体の流通方向の上流側に位置するようにバルブ装置を配置する場合には、流体の圧力(背圧)と受圧面積(弁座と弁体との当接面積)との積が弁体の推力よりも小さくないと弁体を上流側に移動させることが困難となり、オリフィスを開くことができなくなる。また、受圧面積が変動してしまうと弁体によるオリフィスの開閉が不安定なものとなる。これに対して、突出部はオリフィスの先端開口の側に円筒形状部を備えているので、流路を閉じる際に、弾性部材からなる弁体の当接部分が流体の圧力を受けて弾性変形の範囲で突出部の先端に食い込んでも、弁座と弁体との当接面積が増加しない。よって、弁体によるオリフィスの開閉が安定し、弁体が移動できなくなることもない。
【0011】
本発明において、前記オリフィスには、前記オリフィスの中心軸線方向に沿って、前記第2オリフィス部分の後方に、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記第2断面よりも広い面積の第3断面を備える第3オリフィス部分が形成されていることが望ましい。このようにすれば、流体がオリフィスを通過する際に発生する圧力損失を、更に、一層、低減させることができる。
【0012】
この場合において、前記台座部は、前記突出部の後端から、前記中心軸線方向と直交する方向に広がる一定厚さの端板部を備えており、前記端板部の後端面には、前記中心軸線と直交する断面形状が前記第2断面よりも広い面積の一定深さの凹部が形成され、前記凹部が形成されている部分における前記端板部の板厚が他の部分の板厚に比べて薄くなっており、前記凹部の中心部分には、前記第2オリフィス部分が開口しており、前記凹部の開口によって前記オリフィスの後端開口が規定されており、前記凹部の内周面によって前記第3オリフィス部分が規定されていることが望ましい。このようにすれば、流路が形成されている部材に弁座を連結する際に、この部材と弁座の間に位置ずれが発生した場合でも、流路とオリフィスの連通状態を確保することが容易となる。また、凹部を形成することによって端板部において突出部が形成されている部分が薄くなっているので弁体が弁座面に衝突した場合などにおいて、弁座を弾性変形させることができるので、弁座の破損を回避できる。
【0013】
この場合において、前記オリフィスの前記後端開口に連通する第1流体流路が形成されている第1流路構成部材を有し、前記第1流体流路は、前記後端開口と同一形状で前記後端開口に同軸に接続されている流路開口を備えており、前記流路開口は、前記第3オリフィス部分の前記第3断面と同一形状であり、前記第1流体流路には、前記流路開口の側から当該第1流体流路の中心軸線方向に沿って、前記流路開口から遠ざかるに連れて当該第1流体流路の中心軸線方向と直交する方向の断面形状の面積が狭くなっている第1流路部分と、当該第1流体流路の中心軸線方向と直交する方向の断面形状の面積が第1流路部分の断面形状よりも狭い面積となっている第2流路部分とが形成されていることが望ましい。このようにすれば、第3オリフィス部分と第1流路部分によって径の大きな流路部分が形成されるとともに、弁座のオリフィスと第1流体流路との繋ぎ目に段差が生じることがない。この結果、例えば、流体が液体である場合に、その液体に気体が混入したり、バルブ装置内で気体が発生したりしたとしても、この気体を第3オリフィス部分あるいは第1流路部分から排出することが可能になる。よって、気体が第3オリフィス部分あるいは第1流路部分に滞留してしまうことを防止できる。
【0014】
この場合において、前記オリフィスの前記先端開口に連通する第2流体流路が形成されている第2流路構成部材を有し、前記弁座は、前記端板部が前記第1流路構成部材と前記第2流路構成部材との間に挟まれた状態で固定されていることが望ましい。このようにすれば、弁座を第1流体流路と第2流体流路の間に配置することが容易となる。
【0015】
本発明において、前記弁座は、金属製であることが望ましい。金属は樹脂などと比較して精度よく加工できるので、弁座を金属製としておけば、微細なオリフィスを形成する場合などに、その内径寸法などの精度を向上させることができる。また、後加工によって、弁座面の面精度を向上させることができるので、弁体によるシール性を向上させることができる。
【0016】
この場合において、前記弁座は、プレス加工品であることが望ましい。プレス加工によれば、突出部およびオリフィスを精度よく形成することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、弁座に形成されているオリフィスは、オリフィスの先端開口と同一形状、同一面積の第1断面を備える第1オリフィス部分と、この第1オリフィス部分の第1断面よりも広い面積の第2断面を備える第2オリフィス部分を備えている。従って、オリフィスが、先端開口と同一面積の断面形状を備えるように形成されている場合と比較して、流体がオリフィスを通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明を適用したバルブ装置の外観斜視図である。
【図2】本発明を適用したバルブ装置の分解斜視図である。
【図3】本発明を適用したバルブ装置の縦断面図である。
【図4】第1流路構成部材の斜視図、側面図、および縦断面図である。
【図5】第2流路構成部材を上方および下方から見た斜視図、並びに、縦断面図である。
【図6】弁座を上方および下方から見た斜視図、並びに、縦断面図である。
【図7】補強部材を上方および下方から見た斜視図、並びに、縦断面図である。
【図8】第1流路構成部材、弁座および第2流路構成部材の連結部分を拡大して示す部分断面図である。
【図9】弁体の縦断面図、並びに、弁体の上端部分および下端部分の部分断面図である。
【図10】弁体が弁座面から離れている状態のバルブ装置の縦断面図である。
【図11】弁体が弁座面に衝突した場合を説明するための説明図である。
【図12】弁座の別の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に図面を参照しながら、本発明を実施するための形態を説明する。
【0020】
(全体構成)
図1は本発明を適用したバルブ装置の外観斜視図である。なお、以下の説明では、便宜上、バルブ装置の上下を図の上下に従って説明する。バルブ装置1は、円柱形状の胴部2と、軸線方向Lを胴部2から下方に同軸上に延びている流入管3と、軸線方向Lを胴部2から上方に同軸上に延びている流出管4を備えている。流入管3は胴部2よりも小径であり、その下端面には液体や気体などの流体が流入する流入口3aが形成されている。流出管4は胴部2よりも小径であり、その上端面には流体が流出する流出口4aが形成されている。胴部2の下端部分には一対の端子ピン5、6が径方向外側に向けて突出するように取り付けられた端子台7が設けられている。バルブ装置1は、下端の流入口3aと上端の流出口4aの間に構成されているバルブ装置内流路8を通過する流体の流れを制御する。
【0021】
図2はバルブ装置1の分解斜視図である。図3(a)はバルブ装置1の縦断面図であり、図3(b)は図3(a)と直交する平面で切断したバルブ装置1の縦断面図である。バルブ装置1は、胴部2の外壁を構成している磁性材料からなる円筒形状のケース10を有している。ケース10は、その内側に、流入管3、端子ピン5、6および端子台7を備える流入側流路構成部材(第2流路構成部材)20と、流出管4を備える流出側流路構成部材(第1流路構成部材)40を保持している。ケース10の下端開口11からは流入管3が突出しており、ケース10の上端開口12からは流出管4が突出している。ケース10の下端部分には切欠部13が形成されており、切欠部13からは端子台7が軸線方向Lと直交する方向に突出している。
【0022】
流入側流路構成部材20は、流入管3および端子台7を備える底部21と、この底部21から円筒状に延びる胴部22を備えている。胴部22の内側は流体流路(第2流体流路)23となっており、底部21には、図3に示すように、流入管3を貫通して流入口3aと流体流路23とを連通させる流体流入路24が形成されている。胴部22の外周面には第1〜第4駆動コイル25〜28が軸線方向Lに並んで巻き回されている。ここで、ケース10は、第1〜第4駆動コイル25〜28の外周側を覆うヨークとしても機能している。
【0023】
胴部22の内側、すなわち、流体流路23には、軸線方向Lに移動可能な状態で弁体50が挿入されている。弁体50は、軸線方向Lに配列された第1〜第3永久磁石51〜53を搭載している。
【0024】
流出側流路構成部材40は、流入側流路構成部材20の上端に同軸上に取り付けられている。流出側流路構成部材40には、流出管4を貫通して延びる流体流出路(第1流体流路)41が形成されている。
【0025】
流入側流路構成部材20と流出側流路構成部材40との間には、これら2つの部材の間に挟まれた状態で弁座60が固定されている。弁座60には、流体流路23と流体流出路41を連通させるオリフィス61と、弁体50がオリフィス61を閉じる際に、その当接面となる弁座面62が形成されている。
【0026】
弁座60の外周側にはOリング70が配置されている。Oリング70は流入側流路構成部材20、流出側流路構成部材40および弁座60の全てに当接しており、流入口3aから流体流入路24に流入し、流体流路23、オリフィス61および流体流出路41を介して流出口4aに至るバルブ装置内流路8を流通する流体が漏れないようにシールしている。Oリング70は、例えば、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)からなる。
【0027】
流入側流路構成部材20の胴部22の上端の内側部分には、円環状の補強部材80が配置されている。流入側流路構成部材20の胴部22の上端部分の外側には、半円弧形状をした一対の磁性板90が、軸線方向Lと直交する径方向の外側から嵌め込まれている。
【0028】
第1〜第4駆動コイル25〜28に電流を流すことにより、弁体50は、軸線方向Lを上下方向に直動移動する。弁体50が弁座面62に当接してオリフィス61を閉状態とすると、流入口3aから流出口4aへの流体の流れは停止する。弁体50が弁座面62から離れてオリフィス61を開放状態とすると、流入口3aから流出口4aへ流体が流れる。図3に示す状態では、弁体50は弁座面62に当接してオリフィス61を閉状態とする閉位置50Aにある。
【0029】
(流入側流路構成部材)
図4(a)、(b)、(c)は、それぞれ流入側流路構成部材20の斜視図、側面図、および縦断面図である。流入側流路構成部材20は、樹脂製であり、有機溶剤に強く、強度があるPPS(ポリフェニレンスルファイド)で形成されている。流入側流路構成部材20の胴部22は、胴部22の上端において外周側に拡径して上方に突出する円環状のフランジ部29と、胴部22の外周面に設けられている第1〜第4円環状突部30〜33を備えている。第4円環状突部33の下側には底部21が連続しており、底部21には、第1〜第4駆動コイル25〜28のコイル線の端末部分を接続するための端子ピン5、6を固定している端子台7が設けられている。底部21の下側部分は胴部22よりも小径となっており、この下端部分は流入管3となっている。
【0030】
フランジ部29の上端部分の内側には、円環状段部291が設けられている。円環状段部291は、フランジ部29の上端面29aに胴部22の内径よりも大きな内径を備える円形凹部を胴部22と同軸上に設けることによって形成されている。図8に示すように、円環状段部291には、補強部材80が嵌め込まれる。フランジ部29の外周側には内側に窪む円環状凹部292が形成されている。この円環状凹部292には、図2に示すように、一対の磁性板90が径方向の外側から嵌め込まれる。
【0031】
フランジ部29の上端面29aには、上方の突出する円環状突部293が設けられている。図4(a)、(c)に示すように、円環状突部293の先端面293aの径方向の内側の縁部分および外側の縁部分には、面取りによるテーパー面293b、293cが形成されている。円環状突部293は後述する流出側流路構成部材40の円環状凹部44に挿入される。
【0032】
第1〜第4円環状突部30〜33は、上端に位置する第1円環状突部30とフランジ部29の間、および、各円環状突部30〜33の間が等間隔となるように設けられている。第4円環状突部33の下側には、第4円環状突部33と連続するように端子台7が一体に設けられている。ここで、胴部22はコイルボビンとして機能しており、フランジ部29と第1円環状突部30の間の区画、第1円環状突部30と第2円環状突部31の間の区画、第2円環状突部31と第3円環状突部32の間の区画、および、第3円環状突部32と第4円環状突部33の間の区画は、それぞれコイル線が巻回される第1〜第4コイル巻回部34〜37として利用される。すなわち、図3に示すように、これら第1〜第4コイル巻回部34〜37にコイル線が巻き回させることによって、胴部22の外周面には第1〜第4駆動コイル25〜28が構成されている。第1〜第4駆動コイル25〜28は軸線方向Lで同じ幅に形成されているとともに、軸線方向Lで隣接する第1〜第4駆動コイル25〜28同士でコイル線の巻き回し方向が逆となっている。また、第1〜第4駆動コイル25〜28は、2本の端子ピン5、6に対して電気的に直列に接続されている。
【0033】
第1〜第3円環状突部30〜32には、これら第1〜第3円環状突部30〜32を挟んで上下に隔てられている第1〜第4コイル巻回部34〜37を連通させる第1〜第3溝部301、311、321がそれぞれ形成されている。第1〜第3溝部301、311、321は、第1〜第3円環状突部30〜32のそれぞれにおいて180°離れた角度位置に2つ設けられている。また、一体に形成された第4円環状突部33と端子台7には、第3円環状突部32と第4円環状突部33の間の第4コイル巻回部35から軸線方向Lに延びて端子台7の中央部分を通過する第4溝部331が形成されている。また、端子台7の下端部分には、第4溝部331のよりも幅の広い第5溝部332が、第4溝部331と連続するように形成されている。
【0034】
第1〜第4駆動コイル25〜28を連続して形成する際には、一方の端子ピン5に端末部分を接続したコイル線を、第5溝部332および第4溝部331を介して第4コイル巻回部37の側に引き出し、第4コイル巻回部37に巻き回して第4駆動コイル28を形成する。次に、第3溝部321を介してコイル線を隣の第3コイル巻回部36に引き出して、第3駆動コイル25を形成する。その後、同様にして、第2コイル巻回部35と第1コイル巻回部34に、第2駆動コイル26と第1駆動コイル25をこの順番で形成する。しかる後に、コイル線の端末部分を第1溝部301、第2溝部311、第3溝部321、第4溝部331および第5溝部332を通過するように引き回して他方の端子ピン6に接続する。
【0035】
ここで、端子台7において端子ピン5、6が突出している端面7aは、第1〜第4駆動コイル25〜28に電流を供給するためのフレキシブルプリント基板などの給電基板(図示省略)と端子ピン5、6とを電気的に接続する際に、この給電基板を載せる基板載置面となっているが、本例では、コイル線の端末部分が、この端面7aよりも低い第4溝部331および第5溝部332を通過して端子ピン5、6の近傍まで引き回されているので、端子台7と給電基板との間にコイル線の端末部分を挟みこんで断線することを防止あるいは低減できる。また、コイル線の端末部分が端子台7の中央部分に形成された第4溝部331および端子台7の下端部分に形成された第5溝部332を介して端子ピン5、6に接続されているので、端子台7を外側に露出させるためにケース10に形成されている切欠部13の縁に第1〜第4駆動コイル25〜28の端末部分が接触して、断線することを回避できる。
【0036】
底部21において、胴部22の内側に露出している円環状端面21aには、図4(c)に示すように、周方向の一部分から流体流路23内に向って突出するストッパ211が設けられている。ストッパ211は、胴部22の内側に挿入された弁体50が、移動範囲の下側の端に達したときに弁体50に流体流入路24の側から当接して、弁体50の移動範囲の下側の端(上流端)を規定する。
【0037】
(流出側流路構成部材)
図5(a)、(b)、(c)は、それぞれ流出側流路構成部材40を上方から見た斜視図、下方から見た斜視図、および縦断面図である。流出側流路構成部材40は、PPSなどの樹脂製であり、円柱部42と、この円柱部42の下端に形成された円盤部43を備えている。円柱部42は流出管4を構成している部分であり、図5(c)に示すように、流体流出路41は、円柱部42および円盤部43と同軸状態でこれらを貫通している。円盤部43の下面には上方に窪む円環状凹部44が形成されている。円環状凹部44は流体流出路41と同軸上に形成されており、その径方向の断面形状は矩形である。
【0038】
円環状凹部44より内側の内側下端面部分43aの中央には流体流出路41の下端開口(流路開口)41aが露出している。下端開口41aは流出口4aよりも大径となっており、流体流出路41には、下端開口41aの側から軸線方向Lに沿って、下端開口41aから遠ざかるに連れて、すなわち、流出口4a側に向けて内径が減少している第1流路部分411と、この第1流路部分411よりも小径の第2流路部分412が形成されている。第2流路部分412の内径は流出口4aの内径と同一となっている。第2流路部分412は、円柱部42を貫通して円盤部43の軸線方向の中程まで達している。第1流路部分411の内周面は、内側下端面部分43aから上方に向って内側に傾斜するテーパー面となっており、第2流路部分412の内周面に連続している。ここで、内側下端面部分43aは、円環状凹部44より外側の外側下端面部分43bよりも僅かに上方に位置している。
【0039】
(弁座)
図6(a)、(b)、(c)は、それぞれ弁座60を上方から見た斜視図、下方から見た斜視図、および縦断面図である。弁座60は、非磁性であり、かつ、防錆性の強いステンレス鋼、チタン、アルミニウムなどの金属板をプレス成形することにより形成されている。弁座60は、台座部63と、台座部63の中心部分から下方に突出する突出部64を有している。台座部63は、突出部64の上端から軸線方向Lと直交する方向に広がる一定厚さの円盤状の端板部65と、端板部65の外周縁から立ち上がる円環状壁66を備えている。突出部64は、下端側から、円筒形状部641と、この円筒形状部641に連続する円錐台形状部642を備えており、円錐台形状部642は端板部65に繋がっている。円錐台形状部642は円筒形状部641の側から端板部65の側に近づくに連れてその肉厚が厚くなっている。
【0040】
オリフィス61は、台座部63および突出部64を同軸上に貫通して延びている。突出部64の先端には、オリフィス61の下端開口(先端開口)61aが露出しており、この下端開口61aを取り囲んで平坦な弁座面62が形成されている。オリフィス61には、下端開口61aの側から軸線方向Lに沿って、下端開口61aと同一径で延びる第1オリフィス部分611と、第1オリフィス部分611よりも大径の第2オリフィス部分612と、第2オリフィス部分612よりも大径の第3オリフィス部分613が形成されている。第2オリフィス部分612は、第1オリフィス部分611から遠ざかるに連れて内径が増加しており、円錐状となっている。
【0041】
端板部65の上端面65aには、第2オリフィス部分612より大きな内径の一定深さの円形凹部67が形成されており、この円形凹部67が第3オリフィス部分613となっている。より具体的には、円形凹部67の内周面によって第3オリフィス部分613の内周面が規定されており、円形凹部67の上端開口によってオリフィス61の上端開口(後端開口)61bが規定されている。円形凹部67の中心部分には、第2オリフィス部分612が開口している。また、円形凹部67が形成されることにより、円形凹部67が形成されている部分における端板部65の板厚が他の部分の板厚に比べて薄くなっている。すなわち、端板部65における突出部64の形成部分の板厚が他の部分の板厚よりも薄くなっている。
【0042】
ここで、弁座60は、円形の金属板を絞り加工することにより、円環状壁66、円形凹部67、突出部64、および、第2オリフィス部分612を形成する。また、突出部64、および、第2オリフィス部分612が形成された後に、穴抜き加工を行い、第1オリフィス部分611を形成する。その後、突出部64の先端面に研磨、研削、バレル、化学研磨などの後加工を施し、弁座面62の面精度を向上させる。
【0043】
(補強部材)
図7(a)、(b)、(c)、(d)は、それぞれ補強部材80を上方から見た斜視図、上方から見た斜視図側面図、図7(a)のA−A線における縦断面図、および図7(a)のB−B線における縦断面図である。補強部材80は樹脂製であり、PPSから形成されている。補強部材80は、円環状板部81と、円環状板部81の外周縁から下方に延びる円環状壁82を備えている。円環状板部81の下面の周方向の一部分には下方に突出する突部83が設けられている。本例では、2つの突部83が周方向において互いに180度離れた位置に形成されており、各突部83の外周縁は円環状壁82の内周面に連続している。突部83は、弁体50に当接して弁体50の移動範囲の弁座60の側の端を規定するストッパとなるものである。なお、突部83が円環状壁82に連続するように形成されていることにより、円環状壁82の強度の向上が図られている。
【0044】
円環状板部81の内周面は、下面の側から、下端部分が外側に拡径するテーパー面となっている拡径部分81aと、内径が一定の一定径部分81bを備えている。補強部材80の外径寸法および高さ寸法は、流入側流路構成部材20の円環状段部291に嵌合する寸法となっている。
【0045】
なお、補強部材80は、ステンレス鋼、チタン、アルミニウムなどの金属から形成することもできる。
【0046】
(流入側流路構成部材、流出側流路構成部材および弁座の連結)
図8は、流入側流路構成部材20、弁座60および流出側流路構成部材40の連結部分を拡大して示す部分断面図である。流入側流路構成部材20、流出側流路構成部材40および弁座60を連結して、流入口3aから流出口4aに至るバルブ装置内流路8を形成する際には、まず、流出側流路構成部材40の円環状凹部44に弁座60の円環状壁66を挿入して、弁座60の端板部65を流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aに当接させた状態とする。
【0047】
ここで、流出側流路構成部材40の円環状凹部44の内周面のうち外側を向いている内周面部分44aは位置決め面として機能しており、この内周面部分44aに弁座60の円環状壁66の内側面66aを当接させながら円環状壁66を円環状凹部44に挿入することによって、弁座60と流出側流路構成部材40が同軸上に配置される。この結果、流出側流路構成部材40の内側下端面部分43aに露出している下端開口41aと、弁座60の端板部65の上端面65aに露出しているオリフィス61の上端開口61bが重ねられ、流出側流路構成部材40に形成されている流体流出路41と弁座60に形成されているオリフィス61が同軸上に配置されて連通した状態となる。
【0048】
この結果、オリフィス61の先端開口61aから流出口4aまでの間は、先端開口61aと同一径で延びる第1オリフィス部分611、第1オリフィス部分611の上端から連続して上方に向かって径が拡大している第2オリフィス部分612、第2オリフィス部分612よりも大きな径を備え、同一径で延びる第3オリフィス部分613、第3オリフィス部分613の上端から連続して上方に向って径が縮小している第1流路部分411、および、第1流路部分411の上端から連続して流出口4aと同一径で延びる第2流路部分412により接続される。また、オリフィス61の第3オリフィス部分613と流体流出路41の第1流路部分411によって、オリフィス61の先端開口61aから流出口4aに至る流路の途中に、他の部分よりも径の大きな流路部分が形成される。
【0049】
なお、弁座60の円環状壁66の高さ寸法は、円環状凹部44の高さ寸法よりも短く設定されており、弁座60の端板部65が流出側流路構成部材40の内側下端面部分43a部分に当接させた状態となるまで円環状壁66を円環状凹部44に挿入した状態において、円環状壁66の上端面66bと円環状凹部44の底面44bとの間には隙間が形成されている。
【0050】
次に、弁座60の円環状壁66の外周面66cと、円環状凹部44の内周面のうち内側を向いている内周面部分44cの間にOリング70を配置する。Oリング70は、弁座60と流出側流路構成部材40に当接するとともに、これらの間で径方向に圧縮された状態で配置される。
【0051】
ここで、流入側流路構成部材20の円環状段部291に補強部材80を嵌め込む。補強部材80が流入側流路構成部材20の内側に取り付けられると、補強部材80の上端面80aと、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aとが同一平面上に位置した状態となる。
【0052】
しかる後に、流出側流路構成部材40の円環状凹部44に流入側流路構成部材20の円環状突部293を挿入して、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aの外周縁部分を、流出側流路構成部材40の外側下端面部分43bに当接させた状態とする。
【0053】
ここで、既に流出側流路構成部材40の円環状凹部44に挿入されている弁座60の円環状壁66の外周面66cは位置決め面として機能しており、この外周面66cに円環状突部293の外周面のうち内側を向いている内周面部分293dを当接させながら円環状突部293を円環状凹部44に挿入することによって、流入側流路構成部材20が、弁座60および流出側流路構成部材40と同軸上に配置される。また、補強部材80が弁座60および流出側流路構成部材40と同軸上に配置され、補強部材80の上端面80aが、弁座60の端板部65に当接した状態となる。これにより、流入側流路構成部材20に形成されている流体流入路24および流体流路23は、弁座60に形成されているオリフィス61および流出側流路構成部材40に形成されている流体流出路41と同軸上に配置され、流入口3aから、流体流入路24、流体流路23、オリフィス61および流体流出路41を介して流出口4aに至るバルブ装置1内のバルブ装置内流路8が構成される。
【0054】
また、流出側流路構成部材40の円環状凹部44に流入側流路構成部材20の円環状突部293が挿入されることによって、Oリング70は、流入側流路構成部材20と流出側流路構成部材40との間で軸線方向Lに圧縮された状態となる。すなわち、流入側流路構成部材20の円環状突部293の高さ寸法は、円環状凹部44の高さ寸法よりも短く設定されており、流入側流路構成部材20のフランジ部29の上端面29aの外周縁部分を、流出側流路構成部材40の外側下端面部分43bに当接させた状態となるまで円環状壁66を円環状凹部44に挿入すると、Oリング70は流入側流路構成部材20の円環状凹部44の底面44bと、流出側流路構成部材40の円環状突部293の先端面293aの間に挟まれて、弾性変形した状態となる。
【0055】
なお、ゴム製のOリング70は圧縮によって体積が変化しないので、円環状凹部44には圧縮により変形したOリング70の変形部分を逃がすスペースが必要となるが、このようなスペースは、円環状壁66の上端面66bと円環状凹部44の底面44bとの間の隙間として確保されている。また、円環状突部293の先端面293aの径方向の両側部分にはテーパー面293b、293cが形成されているので、テーパー面293bと弁座60の円環状壁66の外周面66cとの間の隙間、および、テーパー面293cと円環状凹部44の内側を向いている内周面部分44cとの間の隙間として確保されている。
【0056】
ここで、Oリング70が配置されている空間、すなわち、流出側流路構成部材40の円環状凹部44、弁座60の円環状壁66、および、流入側流路構成部材20の円環状突部293によって形成されているOリング配置用の空間の断面積は、Oリング70の断面積とほぼ同一としておくことが好ましい。
【0057】
(弁体)
図9(a)は弁体50の縦断面図であり、図9(b)は弁体50の上端部分を拡大して示す部分断面図であり、図9(c)は弁体50の下端部分を拡大して示す部分断面図である。弁体50は非磁性材料の樹脂あるいは金属から形成された筒状のホルダ54を有している。ホルダ54の上端部には、内側に直角に折り曲げられた上端折り曲げ部541が形成されており、上端折り曲げ部541の中央には上端開口542が設けられている。ホルダ54の下端部には、内側に直角に折り曲げられた下端折り曲げ部543が形成されており、下端折り曲げ部543の中央には下端開口544が設けられている。
【0058】
ホルダ54には、上端折り曲げ部541の側から、軸線方向Lに圧縮された状態の弾性部材55、上側蓋部材56、円柱形状の第1〜第3永久磁石51〜53、下側蓋部材57が収納されている。また、第1永久磁石51の上端、第3永久磁石53の下端、および、隣り合う第1〜第3永久磁石51〜53の間には、円板状の磁性板58a〜58dが配置されている。上側蓋部材56、第1〜第3永久磁石51〜53、下側蓋部材57、磁性板58a〜58dは、弾性部材55の弾性復帰力によって、下端折り曲げ部543の側に押し付けられて固定されている。
【0059】
弾性部材55はゴム製であり、本例では、EPDMからなる。図9(b)に示すように、弾性部材55は、大径円盤部551と、大径円盤部551から上方に同軸上に突出している上側小径円盤部552と、大径円盤部551から下方に同軸上に突出している下側小径円盤部553と、下側小径円盤部553から下方に同軸上に突出する突出部554を備えている。下側小径円盤部553は上側小径円盤部552よりも大径であり、突出部554の外面は、弾性部材55の軸線を中心として外周側へ向って上に湾曲する凸曲面となっている。大径円盤部551はホルダ54の上端折り曲げ部541に当接して上端開口542をシールしており、上側小径円盤部552は、上端開口542を介してホルダ54の外側に突出している。上側小径円盤部552の外周面と上端開口542の内周縁との間には隙間が設けられており、上側小径円盤部552と、上端折り曲げ部541とは非接触の状態となっている。
【0060】
上側蓋部材56は、外径寸法がホルダ54の内径寸法と対応する寸法に設定されている大径部561と、この大径部561よりも小径で、大径部561から下方に同軸上に突出している小径部562を備えている。大径部561の外周面561aはホルダ54の内周面54aに当接している。大径部561の上端面の外周縁は切り欠かれており、これにより円環状のテーパー面561bが形成されている。大径部561の中央部分には凹部561cが設けられており、凹部561cの底面の中央部分には、中心が下方に窪む凹曲面561dが形成されている。
【0061】
ここで、弾性部材55は、下側小径円盤部553および突出部554が上側蓋部材56の凹部561cおよび凹曲面561dに嵌り込んでいる。図9に示す状態では、弾性部材55は、大径円盤部551が上端折り曲げ部541と上側蓋部材56との間で圧縮されており、弾性部材55の大径円盤部551の外周縁は、大径部561のテーパー面561bの上方まで達している。なお、テーパー面561bが形成されることによって上側蓋部材56とホルダ54の内周面54aとの間に設けられた空間は、圧縮によって弾性変形した大径円盤部551の一部分が移動する空間となっている。
【0062】
上側蓋部材56の大径部561と小径部562の境界部分に構成された円環状段部563には、上側Oリング59aが配置されている。上側Oリング59aは、小径部562の外周側に配置されており、図9に示す状態では、軸線方向Lと直交する方向に圧縮された状態で小径部562の外周面562aおよびホルダ54の内周面54aに当接している。上側Oリング59aは、軸線方向Lと直交する周方向でシール性を発揮している。
【0063】
次に、第1〜第3永久磁石51〜53は、図9(a)に示すように、隣り合う永久磁石同士が互いに同極を相手方の永久磁石の方に向けている。より詳細には、上端の第1永久磁石51は上がN極、下がS極となるように配置されており、その下方に隣接配置されている第2永久磁石52は上がS極、下がN極となるように配置されており、さらにその下方に配置されている第3永久磁石53は上がN極、下がS極となるように配置されている。この結果、弁体50では、特に同極を同士を対向して配置している磁性板58c〜58dが位置する個所では磁束が集中している。
【0064】
下側蓋部材57は、図9(c)に示すように、外径寸法がホルダ54の内径寸法と対応する寸法に設定された大径部571と、この大径部571よりも小径で、大径部571から上方に同軸上に突出している小径部572を備えている。大径部571の外周面571aはホルダ54の内周面54aに当接している。大径部571の下端面571bの中央部分には凹部571cが設けられている。この凹部571cの底面は、中央が上方に窪む凹曲面571dとなっている。
【0065】
下側蓋部材57の大径部571と小径部572の境界部分に構成された円環状段部573には、下側Oリング59bが配置されている。下側Oリング59bは、小径部572の外周側に配置されており、図9に示す状態では、軸線方向Lと直交する方向に圧縮された状態で小径部572の外周面572aおよびホルダ54の内周面54aに当接している。下側Oリング59bは、軸線方向Lと直交する周方向でシール性を発揮している。
【0066】
(バルブ装置の動作)
次に、図3および図10を参照してバルブ装置1の動作を説明する。図10(a)はバルブ装置1の縦断面図であり、図10(b)は図10(a)と直交する平面で切断したバルブ装置1の縦断面図である。図10(a)の縦断面図は図3(a)の縦断面図と対応しており、図10(b)の縦断面図は図3(b)の縦断面図と対応している。図10は、弁体50が弁座面62から離れている状態のバルブ装置1を示している。
【0067】
図3に示す状態は、第1〜第4駆動コイル25〜28は励磁されておらず、弁体50は、弁体50の永久磁石51〜53と、一対の磁性板90の磁気的な吸引力F1によって、閉位置50Aに保持されている状態である。すなわち、弁体50の弾性部材55が弁座面62に当接してオリフィス61の下端開口61aを塞いでおり、これにより、流入口3aから流出口4aへ至るバルブ装置内流路8は閉じられている。
【0068】
ここで、弁体50は、弁座面62よりも流入口3aの側、すなわち、流体の流通方向の上流側に位置しているので、流入口3aからバルブ装置1へ流れ込む流体の流体圧(背圧)が弁体50を閉位置50Aに向かって移動させる方向に力F2を働かせている。
【0069】
また、閉位置50Aは、補強部材80の突部83によって規定される弁体50の移動範囲の上側の端よりも下方に設定されており、図3(b)に示すように、閉位置50Aにおいてオリフィス61の下端開口61aを塞いでいる弁体50と、補強部材80の突部83とは隙間を開けて対向しており、当接していない。従って、閉位置50Aにおいて弁体50が弁座面62に当接することにより形成されているオリフィス61の下端開口61aの閉状態が、弁体50が補強部材80に当接することによって損なわれてしまうことがない。
【0070】
次に、バルブ装置内流路8を開放する際には、第1〜第4駆動コイル25〜28に電流を流して、各駆動コイル25〜28に所定の極性とする。これにより、第1〜第4駆動コイル25〜28を流れる電流の向きと、永久磁石51〜53による磁束の軸線方向Lと直交する垂直成分の向きが直交する。この結果、図10に示すように、永久磁石51〜53の磁束と第1〜第4駆動コイル25〜28との間に働くローレンツ力が、弁体50を閉位置50Aから下方へと移動させる力F3として働く。
【0071】
ここで、第1〜第4駆動コイル25〜28への電流供給開始時点では、図3に示すように、弁体50の磁性板58a〜58dは、対応する第1〜第4駆動コイル25〜28の軸線方向Lの中央に位置しており、永久磁石51〜53の磁束のうち軸線方向Lと直交する垂直成分が第1〜第4駆動コイル25〜28と鎖交する磁界を効率よく形成しているので、力F3として大きな推力が発生する。従って、弁体50は、一対の磁性板90との間の磁気的な吸引力F1、および、流入口3aらバルブ装置1内へ流れ込む流体の流体圧に起因する力F2に抗して、下方に移動する。この結果、図10に示すように、弁体50は、弁座面62から離れて下端開口61aを開放状態とする開位置50Bに至る。
【0072】
弁体50が開位置50Bに移動すると、弁体50は弁座面62から流体の流通方向の上流側に離れる。開位置50Bでは、弁体50は、磁性板58a〜58dが、それぞれ対応する第1〜第4駆動コイル25〜28の下側部分に位置した状態となる。また、弁体50は、ホルダ54の下端折り曲げ部543が流入側流路構成部材20のストッパ211に当接した状態となり、流入口3aから流体流入路24、流体流路23、オリフィス61、流体流出路41を介して流出口4aに至るバルブ装置1の内部のバルブ装置内流路8は開放状態となる。この結果、流入口3aから流体流入路24を介して流入した流体は、流体流路23において弁体50の外周面と胴部22の内周面との間を流れ、オリフィス61および流体流出路41を介して流出口4aから流出する。
【0073】
ここで、弁体50が開位置50Bに移動すると、図10(b)に示すように、流体流入路24の上端開口241と、弁体50の下側蓋部材57の凹部571cとが狭い間隔をあけて対向した状態となる。従って、流体流入路24の側の流体圧が想定以上に上昇すると、凹部571cによって圧力損失が生じ、弁体50が流体流出路41の側に移動して弁座面62に当接し、オリフィス61の下端開口61aを閉じる。
【0074】
次に、バルブ装置内流路8を閉状態に戻す際には、弁体50を閉位置50Aから開位置50Bへ移動させる場合とは逆方向の電流を第1〜第4駆動コイル25〜28へ供給する。これにより、弁体50は、第1〜第3永久磁石51〜53と第1〜第4駆動コイル25〜28との間に発生するF3とは反対方向のローレンツ力(不図示)、弁体50と一対の磁性板90との間の磁気的な吸引力F1および流入口3aからバルブ装置1へ流れ込む流体の流体圧に起因する力F2によって上方に移動して、閉位置50Aに至る。この結果、弁体50が流体流出路41の側に移動して、弁座面62に当接し、オリフィス61の下端開口61aを閉じる。
【0075】
なお、バルブ装置内流路8を閉状態に戻す際には、第1〜第4駆動コイル25〜28への電流の供給を停止してもよい。第1〜第4駆動コイル25〜28への電流の供給を停止した場合には、弁体50の永久磁石51〜53と、一対の磁性板90の磁気的な吸引力F1、および、流入口3aらバルブ装置1内へ流れ込む流体の流体圧(背圧)に起因する力F2により、弁体50は閉位置50Aに移動する。
【0076】
(弁体が弁座面に衝突した場合)
ここで、バルブ装置1に衝撃が加わることにより弁体50が弁座面62に衝突した場合、あるいは、流体流入路24の側の流体圧が想定以上に上昇して弁体50が弁座面62に衝突した場合には、弁体50と補強部材80の突部83とが当接して、弁体50の軸線方向Lの移動を移動範囲の上側の端で停止させる。図11は弁体が弁座面に衝突した場合を説明するための説明図である。
【0077】
すなわち、弁体50が弁座面62に衝突すると、図11(a)に示すように、弁体50の弾性部材55が著しく変形して、弁体50は全体として図11(b)に示す閉位置50Aよりも上方に移動する。これに対して、本例では、弁体50の移動範囲の上側の端が閉位置50Aよりも僅かに上方に設定してあり、弁体50がこの移動範囲の上側の端に到達すると、補強部材80の突部83と弁体50のホルダの上側折り曲げ部541とが当接して、それよりも上方に移動しようとする弁体50の移動を阻止する。この結果、弁体50が弁座面62に衝突したときの弾性部材55の変形を弾性ひずみ内に抑えることができるので、弾性部材55の破損を回避できる。
【0078】
また、弾性部材55が著しく変形した場合には、弾性部材55が弁座60の突出部64の円錐台形状部642に当接するので、弾性部材55が突出部64に深く食い込んでしまうことが回避される。
【0079】
(作用効果)
本例によれば、弁座60に形成されているオリフィス61は、オリフィス61の下端開口61aと同一径の第1オリフィス部分611と、この第1オリフィス部分611よりも大径の第2オリフィス部分612を備えている。また、第2オリフィス部分612は、第1オリフィス部分611から遠ざかるに連れて内径が増加している。従って、オリフィス61が、先端開口61aと同一の一定の内径で形成されている場合と比較して、流体がオリフィス61を通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【0080】
また、オリフィス61において、下端開口61aに連続する第1オリフィス部分611は下端開口61aと同一径で延びているので、弁座60に対してオリフィス61の先端部分を形成する加工が容易である。この結果、突出部64の先端における下端開口61aの位置および内径を精度よく形成できるので、弁体50が弁座面62に当接したときに、弁体50による下端開口61aのシール性が向上する。
【0081】
さらに、弁座面62は、突出部64は先端の小径の円筒形状部641に設けられているので、弁体50と弁座面62の当接面積が小さい。従って、弁体50による単位面積当たりの閉止圧力を高めることができ、シール性を向上させることができる。また、弁体50の弾性部材55の粘着性に拘わらず、弁体50を弁座面62から離すことができる。
【0082】
ここで、本例のバルブ装置1のように、弁座60に対して弁体50が流体の流通方向の上流側に位置するように配置されている場合には、流体の圧力(背圧)と受圧面積(弁座61と弁体50との当接面積)との積が弁体50の推力よりも小さくないと弁体50を移動させることが困難となり、オリフィス61を開放状態とすることができなくなる。流路が開かなくなってしまう。また、受圧面積が変動してしまうと、弁体50によるオリフィス61の開閉が不安定なものとなる。これに対して、突出部64はオリフィス61の先端開口61aの側に円筒形状部641を備えているので、オリフィス61を閉じる際に、弾性部材55からなる弁体50の当接部分が流体の圧力を受けて弾性変形の範囲で突出部64の先端に食い込んでも、弁座61と弁体50との当接面積が増加しない。よって、弁体50によるオリフィス61の開閉が安定し、弁体50が移動できなくなることもない。
【0083】
また、突出部64は先端の小径の円筒形状部641に連続して円錐台形状部642を備えているので、衝撃などによって弁体50の弾性部材55が突出部64に想定以上に食い込むような場合には、弾性部材55が食い込むほどに、円錐台形状部642によって弾性部材55が広い面で力を受ける。従って、弾性部材55の損傷を防ぐことができる。
【0084】
さらに、本例によれば、弁座60は金属製であり、プレス加工により成形されているので、微細なオリフィス61を形成する際に、その内径寸法などの精度を向上させることができる。また、弁座60が金属製であれば、後加工によって突出部64の先端面、すなわち弁座面62の面精度を向上させることができるので、弁体50によるシール性を向上させることができる。
【0085】
また、本例によれば、端板部65において突出部64が突出する側とは反対側に円形凹部67が形成されているので、流出側流路構成部材40と弁座60とを連結する際に位置ずれが発生した場合でも、流体流出路41とオリフィス61の連通状態を確保できる。また、円形凹部67を形成することによって、端板部65において突出部64が形成されている板部分が薄くなり、その剛性を低下させているので、弁体50が弁座面62に衝突した場合などにおいて、弁座60を弾性変形させることができ、弁座60が破損することを回避できる。
【0086】
さらに、本例では、オリフィス61の第3オリフィス部分613の上端開口61bと流体流出路41の第1流路部分411の下端開口41aとは同一形状であり、流出側流路構成部材40に弁座60を取り付けた状態では、上端開口61bと下端開口41aが同軸上に配置されるので、第3オリフィス部分613と第1流路部分411によって径の大きな流路部分が形成されるとともに、弁座60のオリフィス61と流体流出路41との繋ぎ目に段差が生じることがない。この結果、例えば、流体が液体である場合に、その液体に気体が混入したり、バルブ装置1内で気体が発生したりしたとしても、この気体を第3オリフィス部分613あるいは第1流路部分411から排出することが可能になる。よって、気体が第3オリフィス部分613あるいは第1流路部分411に滞留してしまうことを防止できる。
【0087】
次に、本例によれば、1つのOリング70を、第1流路構成部材20、第2流路構成部材40、および、弁座60に圧縮させられた状態で当接させて、流体が漏れないようにシールしている。従って、従来と比較して少ない部品点数により、弁座60を2つの流路構成部材20、40の間に挟み込む構成を実現することができる。また、1つのOリング70で流体が漏れないようにシールしているので、複数のOリング70を用いてシールする場合と比較して、Oリング70を配置するためのスペースを削減することができる。よって、バルブ装置1の小型化を図ることができる。
【0088】
また、本例によれば、Oリング70は、弁座60および第2流路構成部材40に、径方向で圧縮させられた状態で当接するとともに、第1流路構成部材20および第2流路構成部材40に軸線方向Lで圧縮させられた状態で当接しているので、Oリング70と各部材との当接面積を増加させて、Oリング70と各部材とを確実に密着させることができる。よって、Oリング70が1つであっても、流体の漏れを確実に防止できる。
【0089】
また、次に、本例によれば、胴部22の開放端部分に設けられたフランジ部29の内側に環状の補強部材80が取り付けられているので、胴部22の開放端の側の部位の変形を抑制することができる。また、補強部材80を配置することによって、胴部22の円筒度を高めることができるので、胴部22の内周面と胴部22の内側に挿入された弁体50の外周面との間のクリアランスを一定の状態とすることが容易となる。この結果、弁体50の外周面と胴部22の内周面の間を流体が流れたときの弁体50の挙動が安定するので、弁体50によってオリフィス61の下端開口61aを確実に閉鎖できる。さらに、本例では、胴部22の外周面に巻き回した第1〜第4駆動コイル25〜28の締め付けによって胴部22の開口端の側の変形が発生しやすくなっているが、補強部材80を備えているので、第1〜第4駆動コイル25〜28の巻き回しに起因する変形を回避することができる。
【0090】
また、本例では、補強部材80の突部83は、弁体50に当接して弁体50の移動範囲の上側の端を規定するストッパ211となっている。補強部材80を弁体50の移動範囲を規定するストッパ211として兼用できるので、部品点数の増加を抑制できる。また、弁体50を補強部材80の端面全体に当接させる場合と比較して、オリフィス61の下端開口61aの近傍における流体流路23を広く確保できるので、オリフィス61の下端開口61aが開いた状態となっている場合における流体の圧力損失を抑制できる。
【0091】
また、本例では、補強部材80の円環状板部81が、弁座60の端板部65に当接しているので、補強部材80によって弁座60も補強されている。
【0092】
(弁座の変形例)
図12は弁座の別の例を示す断面図である。図12に示す弁座は上記の弁座と対応する構成を備えているので、対応する部分には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0093】
図12(a)に示す弁座60Aは、円錐台形状部642を、円筒形状の大径円筒形状部642Aとしたものである。このようにしても、弁体50が突出部64に衝突したときに、弁体50の弾性部材55を大径円筒形状部642Aに当接させることができるので、弾性部材55が突出部64に深く食い込んでしまうことを防止できる。
【0094】
図12(b)に示す弁座60Bは、実施例の弁座60の第2オリフィス部分612を、一定の内径で延びる第2オリフィス部分612Aとしたものである。図12(c)に示す弁座60Cは、変形例の弁座60Aの第2オリフィス部分612を、一定の内径で延びる第2オリフィス部分612Aとしたものである。このようにしても、オリフィス61が下端開口61aと同一径で設けられている場合と比較して、流体がオリフィス61を通過する際に発生する圧力損失を低減させることができる。
【0095】
なお、上記のいずれの例においても、第3オリフィス部分613、すなわち、円形凹部67を省略することができる。
【0096】
(その他の実施の形態)
なお、上記の例では、流体流入路24、流体流路23、オリフィス61、および、流体流出路41は、軸線方向Lと直交する方向における断面形状がいずれも円形であるものとして説明しているが、これらの断面形状は、円形に限られるものではなく、多角形形状であってもよい。この場合には、各流路部分において内径を連続的に拡大させる際には、断面形状の面積を連続的に広くすればよい。その逆に、各流路部分において内径を連続的に縮小する際には、断面形状の面積を連続的に狭くすればよい。
【0097】
また、上記の例では、流出側流路構成部材40の流体流出路41は、径の大きい第1流路部分411を備えているが、この第1流路部分411を流出口4aと同一の内径を備えるものとして構成してもよい。このようにしても、弁座60が円形凹部67を備えている場合には、弁座60を流出側流路構成部材40に取り付けると、弁座60の円形凹部67によって内径の大きい流路部分が形成される。従って、流体流出路41の側から流体が高圧で逆流してきた場合に、弁座60にかかる圧力が分散される。従って、弁座60の変形あるいは破損を防止できる。
【0098】
また、弁座60の突出部64の円筒形状部641の先端の外周縁部分にアールを施しておくことができる。また、円筒形状部641の下端部分の径方向の断面形状を、下方に突出する円弧形状としておくことができる。このようにすれば、弁体50が弁座面62に衝突した場合などに、弁体50の弾性部材の破損を抑制することができる。
【符号の説明】
【0099】
1・バルブ装置、2・胴部、3・流入管、3a・流入口、4・流出管、4a・流出口、5・端子ピン、6・端子ピン、7・端子台、7a・端面、8・バルブ装置内流路、10・ケース、11・下端開口、12・上端開口、13・切欠部、20・流入側流路構成部材(第2流路構成部材)、21a・円環状端面、21・底部、22・胴部、23・流体流路(第2流体流路)、24・流体流入路、25・28・第1〜第駆動コイル、29・フランジ部、29a・上端面、30・33・第1〜第4円環状突部、34・37・第1〜第4コイル巻回部、40・流出側流路構成部材(第1流路構成部材)、41・流体流出路(第1流体流路)、41a・下端開口、42・円柱部、43・円盤部、43a・内側下端面部分、43b・外側下端面部分、44・円環状凹部、44a・内周面部分、44b・底面、44c・内周面部分、50A・閉位置、50B・開位置、50・弁体、51・53・第1〜第3永久磁石、54・ホルダ、54a・内周面、55・弾性部材、56・上側蓋部材、57・下側蓋部材、58a・58d・第1〜第4磁性板、59a・上側Oリング、59b・下側Oリング、60・60A・60B・60C・弁座、61・オリフィス、61a・下端開口(先端開口)、61b・上端開口(後端開口)、62・弁座面、63・台座部、64・突出部、65・端板部、65a・上端面、66・円環状壁、66a・内側面、66b・上端面、66c・外周面、67・円形凹部、70・Oリング、80・補強部材、80a・上端面、81・円環状板部、81a・拡径部分、81b・一定径部分、82・円環状壁、83・突部、90・磁性板、211・ストッパ、241・上端開口、291・円環状段部、292・円環状凹部、293・円環状突部、293a・先端面、293b・テーパー面、293c・テーパー面、293d・内周面部分、301・第1溝部、311・第2溝部、321・第3溝部、331・第4溝部、332・第5溝部、411・第1流路部分、412・第2流路部分、541・上端折り曲げ部、542・上端開口、543・下端折り曲げ部、544・下端開口、551・大径円盤部、552・上側小径円盤部、553・下側小径円盤部、554・突出部、561・大径部、561a・外周面、561b・テーパー面、561c・凹部、561d・凹曲面、562・小径部、562a・外周面、563・円環状段部、571・大径部、571a・外周面、571b・下端面、571c・凹部、571d・凹曲面、572・小径部、572a・外周面、573・円環状段部、611・第1オリフィス部分、612・612A・第2オリフィス部分、613・第3オリフィス部分、641・円筒形状部、642・円錐台形状部、642A・大径円筒形状部、L・軸線方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
オリフィスが形成されている弁座と、前記弁座に当接する閉位置と前記弁座から離れた開位置との間を移動して前記オリフィスを開閉する弁体とを有するバルブ装置において、
前記弁座は、台座部と前記台座部から前記弁体の側に突出する突出部とを備えており、
前記オリフィスは、前記台座部および前記突出部を貫通して延びており、
前記突出部の先端には、前記弁体との当接面となる弁座面が前記オリフィスの先端開口を取り囲んで形成されており、
前記オリフィスには、前記先端開口の側から前記オリフィスの中心軸線方向に沿って、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記先端開口と同一の第1断面を備える第1オリフィス部分と、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記第1断面よりも広い面積の第2断面を備える第2オリフィス部分とが形成されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2オリフィス部分は、前記第1オリフィス部分から遠ざかるに連れて前記第2断面の面積が増加していることを特徴とするバルブ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記突出部は、前記先端開口の側から、前記オリフィスの中心軸線方向に沿って延びる円筒形状部と、前記円筒形状部の後端から後方側に向けて広がっている円錐台形状部とを備えていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記オリフィスには、前記オリフィスの中心軸線方向に沿って、前記第2オリフィス部分の後方に、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記第2断面よりも広い面積の第3断面を備える第3オリフィス部分が形成されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記台座部は、前記突出部の後端から、前記中心軸線方向と直交する方向に広がる一定厚さの端板部を備えており、
前記端板部の後端面には、前記中心軸線と直交する断面形状が前記第2断面よりも広い面積の一定深さの凹部が形成され、前記凹部が形成されている部分における前記端板部の板厚が他の部分の板厚に比べて薄くなっており、
前記凹部の中心部分には、前記第2オリフィス部分が開口しており、
前記凹部の開口によって前記オリフィスの後端開口が規定されており、
前記凹部の内周面によって前記第3オリフィス部分が規定されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記オリフィスの前記後端開口に連通する第1流体流路が形成されている第1流路構成部材を有し、
前記第1流体流路は、前記後端開口と同一形状で前記後端開口に同軸に接続されている流路開口を備えており、
前記流路開口は、前記第3オリフィス部分の前記第3断面と同一形状であり、
前記第1流体流路には、前記流路開口の側から当該第1流体流路の中心軸線方向に沿って、前記流路開口から遠ざかるに連れて当該第1流体流路の中心軸線方向と直交する方向の断面形状の面積が狭くなっている第1流路部分と、当該第1流体流路の中心軸線方向と直交する方向の断面形状の面積が第1流路部分の断面形状よりも狭い面積となっている第2流路部分とが形成されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記オリフィスの前記先端開口に連通する第2流体流路が形成されている第2流路構成部材を有し、
前記弁座は、前記端板部が前記第1流路構成部材と前記第2流路構成部材との間に挟まれた状態で固定されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項において、
前記弁座は、金属製であることを特徴とするバルブ装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記弁座は、プレス加工品であることを特徴とするバルブ装置。
【請求項1】
オリフィスが形成されている弁座と、前記弁座に当接する閉位置と前記弁座から離れた開位置との間を移動して前記オリフィスを開閉する弁体とを有するバルブ装置において、
前記弁座は、台座部と前記台座部から前記弁体の側に突出する突出部とを備えており、
前記オリフィスは、前記台座部および前記突出部を貫通して延びており、
前記突出部の先端には、前記弁体との当接面となる弁座面が前記オリフィスの先端開口を取り囲んで形成されており、
前記オリフィスには、前記先端開口の側から前記オリフィスの中心軸線方向に沿って、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記先端開口と同一の第1断面を備える第1オリフィス部分と、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記第1断面よりも広い面積の第2断面を備える第2オリフィス部分とが形成されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第2オリフィス部分は、前記第1オリフィス部分から遠ざかるに連れて前記第2断面の面積が増加していることを特徴とするバルブ装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記突出部は、前記先端開口の側から、前記オリフィスの中心軸線方向に沿って延びる円筒形状部と、前記円筒形状部の後端から後方側に向けて広がっている円錐台形状部とを備えていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記オリフィスには、前記オリフィスの中心軸線方向に沿って、前記第2オリフィス部分の後方に、前記中心軸線方向と直交する断面形状が前記第2断面よりも広い面積の第3断面を備える第3オリフィス部分が形成されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記台座部は、前記突出部の後端から、前記中心軸線方向と直交する方向に広がる一定厚さの端板部を備えており、
前記端板部の後端面には、前記中心軸線と直交する断面形状が前記第2断面よりも広い面積の一定深さの凹部が形成され、前記凹部が形成されている部分における前記端板部の板厚が他の部分の板厚に比べて薄くなっており、
前記凹部の中心部分には、前記第2オリフィス部分が開口しており、
前記凹部の開口によって前記オリフィスの後端開口が規定されており、
前記凹部の内周面によって前記第3オリフィス部分が規定されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項6】
請求項5において、
前記オリフィスの前記後端開口に連通する第1流体流路が形成されている第1流路構成部材を有し、
前記第1流体流路は、前記後端開口と同一形状で前記後端開口に同軸に接続されている流路開口を備えており、
前記流路開口は、前記第3オリフィス部分の前記第3断面と同一形状であり、
前記第1流体流路には、前記流路開口の側から当該第1流体流路の中心軸線方向に沿って、前記流路開口から遠ざかるに連れて当該第1流体流路の中心軸線方向と直交する方向の断面形状の面積が狭くなっている第1流路部分と、当該第1流体流路の中心軸線方向と直交する方向の断面形状の面積が第1流路部分の断面形状よりも狭い面積となっている第2流路部分とが形成されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記オリフィスの前記先端開口に連通する第2流体流路が形成されている第2流路構成部材を有し、
前記弁座は、前記端板部が前記第1流路構成部材と前記第2流路構成部材との間に挟まれた状態で固定されていることを特徴とするバルブ装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項において、
前記弁座は、金属製であることを特徴とするバルブ装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記弁座は、プレス加工品であることを特徴とするバルブ装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−77830(P2012−77830A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−222778(P2010−222778)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】
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