説明

バンプによる接続方法

【課題】
本発明の目的は、取り扱いが簡便で、かつ、生産性にも優れた小型の温度補償型発振器を得ることができる温度補償型発振器を提供することにある。
【解決手段】
電子部品6をバンプ7により実装し電子部品6を固着する場合に、バンプ7の実装に要する以外の表面に保護膜13を施した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯用通信機器等の電子機器に用いられる温度補償型発振器等の半導体素子を接続するバンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯用通信機器等の電子機器に温度補償型発振器が用いられている。
【0003】
かかる従来の温度補償型発振器としては、例えば図4に示す如く、内部に図中には示されていないが、圧電振動素子が収容されている第1の容器体23を、キャビティ部25内に前記の圧電振動素子の振動に基づいて発振出力を制御する半導体素子26やコンデンサ等の電子部品素子が収容されている第2の容器体21上に取着させた構造のものが知られており、かかる温度補償型発振器をマザーボード等の外部配線基板上に載置させた上、第2の容器体21の下面に設けられている外部端子を外部配線基板の配線に半田接合することにより外部配線基板上に実装される。
【0004】
なお、第1の容器体23や第2の容器体21は、通常、セラミック材料によって形成されており、その内部や表面には配線導体が形成され、従来周知のセラミックグリーンシート積層法等を採用することにより製作される。
【0005】
また、前記半導体素子26の内部には、圧電振動素子の温度特性に応じて作成された温度補償データに基づいて温度補償型発振器の発振周波数を補正するための温度補償回路が設けられており、温度補償型発振器を組み立てた後、上述の温度補償データを半導体素子26のメモリ内に格納すべく、第2の容器体21の下面や外側面等には温度補償データ書込用の書込制御端子27が設けられていた。この書込制御端子27に温度補償データ書込装置のプローブ針を当てて半導体素子26内のメモリに温度補償データを入力することにより、温度補償データが半導体素子26のメモリ内に格納される。
【特許文献1】特開2004−129090号公報
【0006】
なお、出願人は前記した先行技術文献情報で特定される先行技術文献以外には、本発明に関連する先行技術文献を、本件出願時までに発見するに至らなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の温度補償型発振器の半導体素子26が第2の容器21の凹状の開口部に配置させてある場合、温度補償型発振器が小型化するにつれ、第2の容器21の凹状の開口部と半導体素子26間の隙間が狭くなり、半導体素子26の回路形成面(下面)と第2の容器の枠壁間に絶縁性の樹脂材を注入するのが困難となり、温度補償型発振器の生産性が著しく低下するという欠点を有していた。
【0008】
本発明は上記欠点に鑑み考え出されたものであり、従ってその目的は、取り扱いが簡便で、かつ、生産性にも優れた小型の温度補償型発振器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のバンプは、電子部品をバンプにより実装し前記電子部品を固着する場合に、前記バンプの実装に要する以外の表面に保護膜を施したことを特徴とする。
【0010】
また、本発明のバンプによる接続方法は、電子部品の実装導通部以外を保護処理してある電子部品をバンプにより実装と固着を行うバンプによる接続方法において、
前記電子部品の実装導通部にバンプを形成する手段と、前記バンプの相対する実装箇所を除いた表面に保護処理を施す手段と、前記保護処理を施したバンプにより、前記電子部品を実装する工程とを含むことを特徴とする。
【0011】
また、上記構成において本発明のバンプによる接続方法における電子部品は、半導体素子であることを特徴とする。
【0012】
また、上記構成において本発明のバンプによる接続方法は、バンプによる接続方法で半導体素子を実装し、圧電振動子と組合せることで温度補償型発振器を得ることを特徴とする。
【0013】
また、上記構成において本発明のバンプによる接続方法による保護処理は、アンダーフィルフラックスを用いてバンプ表面に膜を形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明のバンプによれば、電子部品をバンプにより実装し前記電子部品を固着する場合に、前記バンプの実装に要する以外の表面に保護膜を施したことから、前記電子部品の下面のバンプを被う最低限のアンダーフィルフラックス量でよく、生産性の向上が可能となる。
【0015】
本発明のバンプの接続方法によれば、アンダーフィルフラックスの性質として金属表面を反応触媒として作用させる特性があり、バンプ表面の金属表面に保護膜が自然に付着形成されるため、バンプに保護膜を形成する際の作業性、生産性の向上が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図においての同一の符号は同じ対象を示すものとする。
【0017】
図1は本発明の温度補償型発振器の図2に示すX−X’線で切断した場合の断面図であり、図2は絶縁性のセラミックウエハー基板18から切断された1個の基板領域Aとその一端の捨代領域Bを示した開口部14を有する容器9の上面図である。また、図3はそのセラミックウエハー基板18の上面図である。図1に示す温度補償型発振器は、半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9の下面に外部接続電極端子17が設けられ、半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9の上面には半導体素子6が搭載されている。また、半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9の開口部14を囲う側面には枠壁12、枠壁12の外側面には複数個の書込制御端子10が形成されている。また、本発明の温度補償型発振器においては枠壁12の一部には開放部8が形成されている。
【0018】
また、図1に示すように枠壁12の上面には、圧電振動素子5が収容されている圧電振動子1を載置して固定した構造を有している。また、半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9とその上面に搭載された半導体素子6間のバンプ7部分には保護膜13が被膜されており、この保護膜13により半導体素子6の回路形成面(下面)の実装導通部と容器9との接続部分を保護している。
【0019】
図1において前記圧電振動子1は、例えば、ガラス−セラミック、アルミナセラミックス等のセラミック材料から成る基板2と、基板2と同様のセラミック材料から成る側壁3、42アロイやコバール、リン青銅等の金属から成る蓋体4とから成り、前記基板2の上面に側壁3を取着させ、その上面に蓋体4を載置して固定させることによって圧電振動子1が構成され、側壁3の内側に位置する基板2の上面に圧電振動素子5が実装されている。
【0020】
また、図2において半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9の開放部8は捨代領域Bまで開口されており、捨代領域Bの開放部8は容器9の開口部14に配置された半導体素子6の回路形成面(下面)のバンプ7を保護するための保護膜13の形成状態を確認するための確認口とし利用される。
【0021】
前記圧電振動子1は、その内部に、具体的には、基板2の上面と側壁3の内面と蓋体4の下面とで囲まれる空間部内に圧電振動素子5を収容して気密封止されており、基板2の上面には圧電振動素子5の振動電極に接続される一対の搭載パッド等が、基板2の下面には後述する容器9上の枠壁12に接続される複数個の接続用端子15がそれぞれ設けられ、これらのパッドや端子は基板2表面の配線パターンや基板内部に埋設されているビアホール等を介して、対応するもの同士、相互に電気的に接続されている。
【0022】
一方、前記圧電振動子1の内部に収容される圧電振動素子5は、所定の結晶軸でカットした圧電片の両主面に一対の振動電極を被着・形成して成り、外部からの変動電圧が一対の振動電極を介して圧電片に印加されると、所定の周波数で厚みすべり振動を起こす。
【0023】
ここで圧電振動子1の蓋体4を圧電振動子1の接続用端子15や容器9の接続用端子16を介して後述するグランド端子用の外部接続電極端子17に接続させておけば、その使用時に、金属から成る蓋体4が基準電位に接続されてシールド機能が付与されることと成るため、圧電振動素子5や半導体素子6を外部からの不要な電気的作用から良好に保護することができる。従って、圧電振動子1の蓋体4は圧電振動子1の接続用端子15や容器9の接続用端子16を介してグランド端子用の外部接続電極端子17に接続させておくことが好ましい。
【0024】
そして、上述した圧電振動子1が取着される半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9は概略矩形状を成しており、ガラス布基材エポキシ樹脂やポリカーボネイト,エポキシ樹脂,ポリイミド樹脂等の樹脂材料やガラス−セラミック,アルミナセラミックス等のセラミック材料等によって平板状を成すように形成されている。
【0025】
前記半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9は、基板領域Aの下面の四隅部に4つの外部接続電極端子17(電源電圧端子、グランド端子、発振出力端子、発振制御端子)が形成され、上面の四隅部を囲む周縁には枠壁12が、また上面の中央域にはフリップチップ型の半導体素子6が、更に四隅部間の枠壁12の外側側面には書込制御端子10が設けられている。
【0026】
前記半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9の下面に設けられている4つの外部接続電極端子17は、温度補償型発振器をマザーボード等の外部配線基板に接続するための端子として機能するものであり、温度補償型発振器を外部配線基板上に搭載する際、外部配線基板の回路配線と半田等の導電性接合材を介して電気的に接続されるように成っている。
【0027】
また、前記半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9の上面に設けられる枠壁12は、半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9と圧電振動子1との間に、半導体素子6を配置させるのに必要な所定の間隔を確保しつつ、半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9の接続用端子16を圧電振動子1の接続用端子15に接続するためのものである。
【0028】
更に、上述した半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9の中央域には、複数個の電極パッド11が設けられており、これら電極パッド11に半導体素子6の接続パッドをバンプ7を介して電気的、及び機械的に接続させることによって半導体素子6が開口部14を有する容器9上の所定位置に取着される。
【0029】
前記半導体素子6は、その回路形成面(下面)に、周囲の温度状態を検知する感温素子、圧電振動素子5の温度特性を補償する温度補償データを格納するメモリ、メモリ内の温度補償データに基づいて圧電振動素子5の振動特性を温度変化に応じて補正する温度補償回路、先の温度補償回路に接続されて所定の発振出力を生成する発振回路等が設けられており、この発振回路で生成された発振出力は、外部に出力された後、例えば、クロック信号等の基準信号として利用される。
【0030】
なお、上述した半導体素子6と開口部14を有する容器9との間のバンプ7の表面にはアンダーフィルフラックス等から成る保護膜13が介在されており、この保護膜13として用いられるアンダーフィルフラックスには金属表面を反応触媒として作用させる特性があり、バンプ7の金属表面に保護膜13が自然に付着するため、半導体素子6の回路形成面(下面)のバンプ7の金属表面のみを保護膜13で被覆することができる。よって半導体素子6の実装導通部にバンプ7を接合後にバンプ7表面に保護膜(アンダーフィルフラックス)13を塗布し、半導体素子6と保護膜(アンダーフィルフラックス)13が形成されたバンプ7を容器9の実装導通部に配置後、リフロー炉等で熱処理を行うことで容易にバンプ7の実装に要する以外の表面に保護膜13を形成することが可能となる。
【0031】
これにより、半導体素子6を収容する開口部14を有する容器9に対する半導体素子6の取着強度が向上されるとともに、半導体素子6の回路形成面(下面)に実装導通部以外を保護処理してある半導体素子6を用いれば、保護膜13によってバンプ7表面が良好に被覆され、その結果回路形成面の電子回路が大気中の水分等によって腐食されるのを有効に防止することができる。
【0032】
ここで、本発明の特徴部分は図1、図2に示すように、電子部品(半導体素子)6をバンプ7により実装し電子部品(半導体素子)6を固着する場合に、バンプ7の実装に要する以外の表面に保護膜13を形成したことから、電子部品(半導体素子)6の下面のバンプ7を被う最低限の保護膜(アンダーフィルフラックス)13でよく、塗布量の塗布バラツキを抑えることが可能となる。
【0033】
また、本発明のバンプ7の接続方法によれば、アンダーフィルフラックス(保護膜)13には金属表面を反応触媒として作用させる特性があり、バンプ7の金属表面に保護膜13が自然に付着するため、バンプ7に保護膜13を形成する際の作業性、生産性の向上が可能となる。
【0034】
なお、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
【0035】
例えば、上述の実施形態においては、図2に示すようにバンプ7の金属表面のみに保護膜(アンダーフィルフラックス)13が被膜されているが、半導体素子6の回路形成面(下面)にも保護膜(アンダーフィルフラックス)13を被膜しても構わない。この場合も本発明の技術的範囲に含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施形態にかかる温度補償型発振器の概略の断面図である。
【図2】本発明の実施形態にかかる温度補償型発振器の絶縁性のセラミックウエハー基板から切断された1個の基板領域とその一端の捨代領域を示した開口部を有する容器の上面図である。
【図3】本発明の実施形態にかかる温度補償型発振器に用いられるセラミックウエハー基板の上面図である。
【図4】従来の温度補償型発振器の概略の斜視図である。
【符号の説明】
【0037】
1・・・圧電振動子
2・・・基板
3・・・側壁
4・・・蓋体
5・・・圧電振動素子
6・・・半導体素子
7・・・バンプ
8・・・開放部
9・・・容器
10・・・書込制御端子
11・・・電極パッド
12・・・枠壁
13・・・保護膜
14・・・開口部
15・・・圧電振動子の接続用端子
16・・・容器の接続用端子
17・・・外部接続電極端子
18・・・セラミックウエハー基板
A・・・基板領域
B・・・捨代領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の実装導通部以外を保護処理してある電子部品をバンプにより実装と固着を行うバンプによる接続方法において、
前記電子部品の実装導通部にバンプを形成する手段と、前記バンプの相対する実装箇所を除いた表面に保護処理を施す手段と、前記保護処理を施したバンプにより、前記電子部品を実装する工程とを含むことを特徴とするバンプによる接続方法。
【請求項2】
請求項1に記載にある電子部品は、半導体素子であることを特徴とするバンプによる接続方法。
【請求項3】
請求項1記載のバンプによる接続方法で半導体素子を実装し、圧電振動子と組合せることで温度補償型発振器を得ることを特徴とするバンプによる接続方法。
【請求項4】
請求項1に記載の保護処理は、アンダーフィルフラックスを用いてバンプ表面に膜を形成することを特徴とするバンプによる接続方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−310560(P2006−310560A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131561(P2005−131561)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】