説明

バンプコイニングヘッド

【課題】バンプコイニングヘッドのバンププレス冶具と電子部品の面との平行調整が容易なバンプコイニングヘッドを提供する。
【解決手段】基板保持台90に保持された電子部品5のバンプ6の頂部を押圧するバンプコイニングヘッド1であって、バンプコイニングヘッド1は、取付部材10、20と、バンププレス冶具80と、バンププレス冶具の下面の角度を調整する角度調整部材を有する。角度調整部材は、上部プレート30と、上部プレートの下部に位置する下部プレート70と、バンププレス冶具を取付ける下部保持部材83と、上部プレート10と下部プレート70を取付け、下部プレート70の中心を保持して上部プレート10に対して所定角度回動可能に保持するとともに、電子部品5が保持された基板保持台90とバンププレス冶具80の下面81が平行に位置したときにその角度を維持する角度保持部材76を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板、チップコンデンサ、ICチップ等の電子部品の表面に形成された複数のバンプの頂部を平坦な面に形成するバンプ平坦化装置の先端に取付けられて、バンプ平坦化装置の基板保持台に保持された電子部品のバンプの頂部を押圧するバンプコイニングヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
基板、チップコンデンサ、ICチップ等の電子部品の表面には、電気的接続の端子として電子部品の表面から盛り上がったバンプをハンダや金などにより形成している。
この様なハンダや金などにより形成されたバンプは、接続される相手部品である電子部品に形成された接続端子と接続されるが、この接続を確実にするために、バンプの頂部を平坦にすることが行われている。
【0003】
例えば、図18に示すように、複数のバンプ106が形成された配線基板105を基板保持台190に保持して、上から140〜170℃に加熱したバンププレス冶具180を押圧して、バンププレス冶具180の下面181でバンプ106の頂部を平坦化するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、図19に示すように、複数のバンプ206が形成された配線基板205を基板保持台290に保持して、上からバンププレス冶具280を押圧して、超音波振動をバンプ206の高さ方向と平行な方向に与えて、バンププレス冶具280の下面281でバンプ206の頂部を平坦化するものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0005】
しかしながら、生産効率を上げるために、電子部品の表面に形成された多数のバンプの頂部を平坦な面に形成する場合に、多数のバンプを一度に押圧して形成しているが、その押圧は均一であることが必要である。
即ち、押圧力に偏りがあると1つの電子部品の場所によりバンプの平坦な面の高さや大きさが異なり不均一となり、相手部品との接続が不十分となることがあった。
【0006】
特に、バンプの頂部を押圧するバンプコイニングヘッドのバンププレス冶具において、その下面が基板保持台に保持された電子部品の面と平行でない場合には、押圧されたバンプの平坦な面の不均一が生じることとなる。
電子部品の広さは、20〜50mm×20〜50mmであり、バンプの高さは、通常では20〜100μ程度であるため、この平行度は極めて精密な調整が要求される。
【0007】
また、バンプの頂部を押圧される電子部品の高さと大きさは、多種類あり、その都度バンプコイニングヘッドのバンププレス冶具を取り換えて、バンププレス冶具と電子部品の面との平行調整することが行われて、この調整に長時間要しており、生産効率の面から改良が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−218161号公報
【特許文献2】特開2002−270630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
そこで本発明は、バンプコイニングヘッドのバンププレス冶具と電子部品の面との平行調整が容易なバンプコイニングヘッドを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、電子部品の表面に形成された複数のバンプの頂部を平坦な面に形成するバンプ平坦化装置の先端に取付けられて、基板保持台に保持された電子部品のバンプの頂部を押圧するバンプコイニングヘッドであって、
バンプコイニングヘッドは、バンプ平坦化装置にバンプコイニングヘッドを取付ける取付部材と、電子部品のバンプの頂部に当接するバンププレス冶具と、バンププレス冶具の下面の角度を調整する角度調整部材を有し、
角度調整部材は、取付部材の下面に取付けられる上部プレートと、上部プレートの下部に位置する下部プレートと、下部プレートの下面にバンププレス冶具を取付ける下部保持部材と、上部プレートと下部プレートを取付け、下部プレートの中心を保持して上部プレートに対して所定角度回動可能に保持するとともに、電子部品が保持された基板保持台とバンププレス冶具の下面が平行に位置したときにその角度を維持する角度保持部材を有することを特徴とするバンプコイニングヘッドである。
【0011】
請求項1の本発明では、バンプコイニングヘッドは、バンプ平坦化装置に取付けられる取付部材と、電子部品のバンプの頂部に当接するバンププレス冶具と、バンププレス冶具の下面の角度を調整する角度調整部材を有する。このため、バンプコイニングヘッドは取付部材でバンプ平坦化装置に取付けられると、角度調整部材によりバンププレス冶具の下面と電子部品との角度を精密に平行にすることができる。
【0012】
角度調整部材は、取付部材の下面に取付けられる上部プレートと、上部プレートの下部に位置する下部プレートと、下部プレートの下面にバンププレス冶具を取付ける下部保持部材とを有する。このため、上部プレートが取付部材によりバンプ平坦化装置に固定されることができるとともに、下部プレートにバンププレス冶具を固定することができる。取付部材は、複数の部材に分けて製造することができる。
【0013】
上部プレートと下部プレートを取付け、下部プレートの中心を保持して上部プレートに対して所定角度傾斜可能に保持するため、バンプコイニングヘッドをバンプ平坦化装置に取付けた後に、下部プレートの角度を傾斜させてバンププレス冶具の下面の角度を、基板保持台とバンプが形成された電子部品の表面の角度と平行にすることができる。
【0014】
電子部品が保持された基板保持台とバンププレス冶具の下面が平行に位置したときにその角度を維持する角度保持部材を有する。このため、一旦、バンププレス冶具の下面の角度を基板保持台の上面とバンプが形成された電子部品の表面の角度と平行にした後は、その平行度を維持して連続的にバンプの頂部を均一な平坦な面にすることができる。
【0015】
請求項2の本発明は、角度保持部材は、上部プレートの中心と下部プレートの中心とを先端にボールジョイントを有する取付けジョイントで連結し、取付けジョイントのシャフト部は上部プレートに螺着され、取付けジョイントの先端のボールジョイントのボール保持部は下部プレートに取付け、上部プレートと下部プレートとの角度維持は、上部プレートと下部プレートを複数のボルトで固定したバンプコイニングヘッドである。
【0016】
請求項2の本発明では、角度保持部材は、上部プレートの中心と下部プレートの中心とを先端にボールジョイントを有する取付けジョイントで連結したため、上部プレートに取付けられたボールジョイントにより、下部プレートの中心を回転の中心として、下部プレートの角度を前後左右いずれの方向にも傾けることができる。
【0017】
取付けジョイントのシャフト部は上部プレートに螺着され、取付けジョイントの先端のボールジョイントのボール保持部は下部プレートに取付けられたため、上部プレートに取付けジョイントが固定されて、下部プレートは、ボール保持部に固定されて上部プレートに対して傾斜角度を自在にすることができる。
上部プレートと下部プレートとの角度維持は、上部プレートと下部プレートを複数のボルトで固定したため、複数のボルトをねじ込むことにより、任意の角度で、下部プレートの角度が強固に固定され、下部プレートの電子部品との角度を維持することができる。
【0018】
請求項3の本発明は、上部プレートの下面と下部プレートの上面の少なくとも一方が、中心方向に向けて徐々に両者の間隔を狭くするように斜面状に形成され、上部プレートと下部プレートの間に、中間プレートを設け、中間プレートの中央には中間プレート中央孔を形成するとともに、
中間プレート中央孔の周囲に半径方向外側に向かって複数の中間プレート摺動凹部を形成し、中間プレート摺動凹部に、内部にボールを有し上面と下面がそれぞれ上部プレートと下部プレートに当接する平面を有するボールリテーナが摺動自在に嵌挿され、ボールリテーナは、中間プレートの中心方向に付勢され、
中間プレート中央孔には、ガイドプレートが回動自在に挿入され、ガイドプレートは、中間プレート摺動凹部と同じ数で対応する位置にガイドプレート突部と、ガイドプレート突部の間にガイドプレート凹部が形成され、ガイドプレートの回動によりガイドプレート突部とガイドプレート凹部に順にボールリテーナが当接可能に形成されたバンプコイニングヘッドである。
【0019】
請求項3の本発明では、上部プレートと下部プレートの間に、中間プレートを設け、中間プレートの中央には中間プレート中央孔を形成する。このため、中間プレートの中央に上部プレートと下部プレートを保持する取付けジョイントやガイドプレート等の部材を設けることができる。また、ガイドプレートを回動自在に設けることができる。
【0020】
上部プレートの下面と下部プレートの上面の少なくとも一方が、中心方向に向けて徐々に両者の間隔を狭くするように斜面状に形成され、中間プレート中央孔の周囲に半径方向外側に向かって複数の中間プレート摺動凹部を形成し、中間プレート摺動凹部に、内部にボールを有し上面と下面がそれぞれ上部プレートと下部プレートに当接する平面を有するボールリテーナが摺動自在に嵌挿される。
【0021】
このため、ボールリテーナの摺動位置により上部プレートと下部プレートの間の角度を調整することができる。即ち、ボールリテーナの位置が半径方向外側にあると、ボールリテーナは、上部プレートの下面と下部プレートの上面に対して隙間ができ、上部プレートに対して下部プレートは角度を変えることができる。ボールリテーナが中心側に位置すると、上部プレートの下面と下部プレートの上面に対して隙間がなく、ボールリテーナが上部プレートと下部プレートの間の角度を固定する方向に位置させることができる。
【0022】
ボールリテーナは、中間プレートの中心方向に付勢されるため、ボールリテーナは常に上部プレートの下面と下部プレートの上面に対して当接するように動くため、ボールリテーナが上部プレートと下部プレートの間の角度を固定するように位置させることができ、下部プレートの動きを止めるように作用する。
【0023】
中間プレート中央孔には、ガイドプレートが回動自在に挿入され、ガイドプレートは、中間プレート摺動凹部と同じ数で対応する位置にガイドプレート突部と、ガイドプレート突部の間にガイドプレート凹部が形成され、ガイドプレートの回動によりガイドプレート突部とガイドプレート凹部にボールリテーナが当接可能に形成された。このため、ガイドプレート突部はガイドプレートの回転により、ボールリテーナの位置を半径方向の外方に押出すことができるとともに、さらに回転によりボールリテーナがガイドプレート凹部に沿って中心方向に摺動する隙間を与えることができる。
【0024】
請求項4の本発明は、ガイドプレートは、スライドピンを円周方向に移動して回動自在としたバンプコイニングヘッドである。
【0025】
請求項4の本発明では、ガイドプレートの外周部にスライドピンを取付け、スライドピンを円周方向に移動してガイドプレートを回動自在としたため、スライドピンを動かすことにより、ガイドプレートを回動させ、ボールリテーナを摺動させて、ボールリテーナを半径方向外側に移動させ、下部プレートが傾くことを可能にする。
【0026】
請求項5の本発明は、上部プレートと下部プレートは、その4隅が4本のボルトにより上部プレートと下部プレートが固定され、下部プレートの電子部品との角度を維持するバンプコイニングヘッドである。
【0027】
請求項5の本発明では、上部プレートと下部プレートは、その4隅が4本のボルトにより上部プレートと下部プレートが固定されているため、4本のボルトのいずれかをねじ込むことにより、任意の角度で、下部プレートの角度が強固に固定され、下部プレートの電子部品との角度を調整し、維持することができる。4本のボルトであるため、下部プレートの角度の調整が容易である。
【0028】
請求項6の本発明は、ボルトは、ホワイトメタル製のワッシャが嵌挿されているバンプコイニングヘッドである。
【0029】
請求項6の本発明では、ボルトは、ホワイトメタル製のワッシャが嵌挿されているため、ボルトをスムースに回転させることができるとともに、長時間使用しても摩耗したり変形したりすることがなく、ボルトを固定することができる。
【0030】
請求項7の本発明は、取付部材は、バンプ平坦化装置に取付けられる取付板と、取付板と上部プレートを連結する保持ブロックから形成されるバンプコイニングヘッドである。
【0031】
請求項7の本発明では、取付部材は、バンプ平坦化装置に取付けられる取付板と、取付板と上部プレートを連結する保持ブロックから形成されるため、取付板を板状に形成し、保持ブロックを四角柱状に形成して、製造が容易である。
【0032】
請求項8の本発明は、ボールリテーナは、ばね鋼で形成されたバンプコイニングヘッドである。
【0033】
請求項8の本発明では、ボールリテーナは、ばね鋼で形成されたため、弾性を有しており、複数のボルトをねじ込むことにより、ボールリテーナが若干変形して、バンププレス冶具の下面と、基板保持台及び下部プレートの電子部品との微小な角度を調整することができる。
【発明の効果】
【0034】
上部プレートと下部プレートを取付け、下部プレートを上部プレートに対して所定角度傾斜可能に保持するため、下部プレートの角度を回動させてバンププレス冶具の下面の角度を、バンプが形成された電子部品の表面の角度と平行にすることができる。
角度保持部材により、一旦、バンププレス冶具の下面の角度をバンプが形成された電子部品の表面の角度と平行にした後は、その平行度を維持して連続的にバンプの頂部を均一な平坦な面にすることができる。
【0035】
上部プレートの下面と下部プレートの上面の少なくとも一方が、中心方向に向けて徐々に両者の間隔を狭くするように斜面状に形成され、中間プレート中央孔の周囲に半径方向外側に向かって複数の中間プレート摺動凹部を形成し、中間プレート摺動凹部に、内部にボールを有し上面と下面がそれぞれ上部プレートと下部プレートに当接する平面を有するボールリテーナが摺動自在に嵌挿されるため、ボールリテーナの摺動位置により上部プレートと下部プレートの間の角度を固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドの全体の構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドの全体の構成を示す側面図である。
【図3】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドの全体の構成を示す、図1におけるA−A線に沿った断面図である。
【図4】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドの底面図である。
【図5】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される上部プレートの正面図である。
【図6】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される上部プレートの底面図である。
【図7】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される上部プレートの側面図である。
【図8】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される中間プレートにボールリテーナとガイドプレートを組付け、ガイドプレート突部をボールリテーナに当接させた状態の図1のB−B線に沿った断面図である。
【図9】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される中間プレートにボールリテーナとガイドプレートを組付け、ガイドプレート凹部をボールリテーナに当接するように回転させた状態の図1のB−B線に沿った断面図である。
【図10】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される中間プレートの平面図である。
【図11】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される中間プレートの側面図である。
【図12】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用されるガイドプレートの平面図である。
【図13】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用されるガイドプレートの側面図である。
【図14】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用されるボールリテーナ正面図である。
【図15】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される下部プレートの平面図である。
【図16】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される下部プレートの正面図である。
【図17】本発明の実施の形態を示すもので、バンプコイニングヘッドに使用される下部プレートの断面図である。
【図18】従来のバンプコイニングヘッドの断面図である。
【図19】従来の他のバンプコイニングヘッドの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の実施の形態を図1〜図17に基づき説明する。
本発明のバンプコイニングヘッドは、バンプ平坦化装置(図示せず)の先端に取付けられる。バンプ平坦化装置は、電子部品の表面に形成された複数のバンプの頂部を平坦な面に形成するものである。
【0038】
電子基盤である基板、チップコンデンサ、ICチップ等の電子部品の表面には、電気的接続の端子として電子部品の表面から盛り上がったバンプをハンダや金などにより形成している。このバンプは、接続される相手部品である電子部品に形成された接続端子と接続されるが、この接続を確実にするために、バンプの頂部を平坦にするように、バンプ平坦化装置が使用される。そのバンプ平坦化装置の先端に取付けられて、電子部品のバンプの頂部を押圧するものがバンプコイニングヘッドである。
【0039】
図1に示すように、バンプコイニングヘッド1は、バンプ平坦化装置にバンプコイニングヘッド1を取付ける取付板10と、その下の保持ブロック20と、保持ブロック20の下部に取付ける上部プレート30と、その下に隙間を置いて取付けられる下部プレート70と、上部プレート30と下部プレート70の間に取付けられる中間プレート50及びガイドプレート60と、上部プレート30と下部プレート70とを接続するボールリテーナ55と、下部プレート70の下面に下部保持部材である冶具ホルダにより取付けられるバンププレス冶具80から構成される。取付板10と保持ブロック20で取付部材を構成する。
以下、それぞれの構成部品について説明する。
【0040】
取付板10は、平板状に形成され、取付ピン11でバンプ平坦化装置の先端の下面に固定され、後述する保持ブロック20と共に取付板ネジ孔12に挿入される取付ネジ21でバンプ平坦化装置に取付けられる。バンプ平坦化装置に設けられたサーボモータによりバンプコイニングヘッド1の全体が昇降することができる。サーボモータの代わりにエアシリンダ等を使用することもできる。
【0041】
取付板10の下面には保持ブロック20が取付けられている。保持ブロック20の上部には、取付ネジ21を挿入するブロック上部ネジ孔26が形成され、取付板10の取付板ネジ孔12と連通するように位置して、上記のとおり取付ネジ21で取付板10とともにバンプ平坦化装置の先端に取付けられる。取付部材である取付板10と保持ブロック20は、一体的に形成することもできる。
【0042】
保持ブロック20のブロック本体22は、保持ブロック20の上部から下方に柱状に延設される。ブロック本体22の下方には、上部プレート30と接するブロック下部23が一体的に形成されている。ブロック下部23の下面は、平面状に形成され、後述する上部プレート30の上面が接する。
また、後述するブロック下部ネジ孔27よりも若干内側の部分にブロックピン25を挿入するブロックピン穴28が形成されている。ブロックピン穴28は貫通していない。ブロック下部23と上部プレート30とは、ブロックピン25で固定されている。
【0043】
ブロック下部23の中心部の下部にはブロック凹部24が形成されている。
本実施の形態では、図1と図3に示すように、ブロック凹部24は、断面が四角形状で、図1の紙面に対して直角方向に貫通して形成されている。
ブロック下部23の四隅には後述する下部プレート保持ボルト76が挿入されるブロック下部ネジ孔27が形成されている。
【0044】
図2に示すように、ブロック下部23の側面には、上部プレート30、中間プレート50及び下部プレート70が水平方向にそれぞれ回転しないように、下部プレート70の上部にまで延設される回転止プレート29が、回転止プレートネジ29aにより取付けられている。
【0045】
本実施の形態では、上部プレート30は、図5〜7に示すように、四角の板状に形成され、四隅には後述する下部プレート保持ボルト76が挿入される上部プレートボルト孔34が貫通するように形成されている。上部プレート30の上面の中心よりの部分に、上部プレートボルト孔34を挟んで上部プレートピン穴35が貫通しないで形成されている。上部プレートピン穴35は、ブロックピン穴28と連通して、ブロックピン25により保持ブロック20と上部プレート30とを固定している。
【0046】
上部プレート30の中心には上部プレート中央孔33が形成され、後述する取付けジョイント40が挿入される。上部プレート30の上部プレート下面31の上部プレート中央孔33の周囲に下方に突出した上部プレート中央凸部32が形成されている。上部プレート中央孔33は、保持ブロック20のブロック凹部24と対応する位置に形成されている。本実施の形態では、上部プレート下面31は、平坦に形成されている。
【0047】
上部プレート30の下方には、上部プレート30と間隔をおいて下部プレート70が設けられている。下部プレート70は、図15〜17に示すように、上面は中心が若干盛り上がり、側部が若干低い緩やかな円錐状に形成されて、下部プレート上斜面73が形成されている。下部プレート70の四隅には後述する下部プレート保持ボルト76が挿入される下部プレートボルト孔71が貫通しないように形成されている。
なお、下部プレート上斜面73の代わりに、或いは下部プレート上斜面73と合わせて、上部プレート下面31を下部プレート上斜面73と同様に斜面状に形成することができる。
【0048】
下部プレート70の上面の中心には、下部プレート中央凹部72が形成されている。下部プレート70の下面は、平面状に形成され、後述するバンププレス冶具80を取付ける下部プレート下取付穴75が形成されている。
下部プレート70の下部には、バンププレス冶具80を加熱する加熱部74が形成されている。加熱部74にはヒータが取付けられている。
下部プレート下取付穴75は、バンププレス冶具80を取付ける冶具ホルダ83を固定する冶具ホルダボルト84が挿入される。
【0049】
下部プレート中央凹部72には、図1と図3に示すように、取付けジョイント40のボール保持部44が取付けられている。取付けジョイント40は、上部がシャフト部42とナット41を有し、シャフト部42の下部に金属製で球状のボール43が設けられ、ボール43の周囲を包み込むように、回動自在にボール保持部44が形成されている。
【0050】
取付けジョイント40のシャフト部42は、上部プレート30の上部プレート中央孔33に挿入され、上部プレート30の上面のナット41で上部プレート30に取付けられる。取付けジョイント40のボール保持部44が、下部プレート中央凹部72に固着されるため、上部プレート30に対して、下部プレート70は、中心部分で互いに所定の角度だけ方向自在に傾斜可能に取付けられる。取付けジョイント40のシャフト部42の上部とナット41は、保持ブロック20のブロック凹部24の中に位置することができる。下部プレート70は、上部プレート30に対しては20度程度傾斜することができる。
【0051】
上部プレート30と下部プレート70の間には、図8と図9に示すように、中間プレート50と、ガイドプレート60が取付けられている。
中間プレート50は、図10と図11に示すように、板状に形成され、四隅には後述する下部プレート保持ボルト76が挿入される中間プレートボルト孔51が貫通するように形成されている。このため、下部プレート保持ボルト76により、上部プレート30、中間プレート50と下部プレート70が固定される。
【0052】
上部プレート30と下部プレート保持ボルト76の頭部の間には、メタルワッシャが設けられている。このため、下部プレート保持ボルト76をスムースに回転させることができるとともに、長時間使用しても摩耗したり変形したりすることがなく、下部プレート保持ボルト76を固定することができる。
【0053】
中間プレート50の中央部には、中間プレート中央孔54が形成されている。中間プレート中央孔54の周囲に半径方向外側に向かって放射状に複数の中間プレート摺動凹部52が形成されている。本実施の形態では、6個の中間プレート摺動凹部52が形成されている。中間プレート摺動凹部52のそれぞれの内部に、図8と図9に示すように、ボールリテーナ55が嵌め込まれている。
ボールリテーナ55は、中間プレート50の中心方向に付勢されている。
【0054】
中間プレート50の側面には、中間プレートスライド孔53が形成されている。中間プレートスライド孔53には、後述するガイドプレート60に取付けられたガイドプレートスライドピン63が摺動自在に挿入され、ガイドプレート60を回動させることができる。
【0055】
ボールリテーナ55は、図14に示すように、内部にボール56を有し上面と下面がそれぞれ上部プレート30と下部プレート70に当接する平面を有する。ボールリテーナ55は、ばね鋼で形成することができる。このため、後述するように、上部プレート30と下部プレート70で圧縮されたときに、弾性変形することができる。
【0056】
中間プレート中央孔54には、ガイドプレート60が回動自在に挿入されている。ガイドプレートは、図12と図13に示すように、平板状の円形に形成され、中間プレート摺動凹部52と同じ数で対応する位置にガイドプレート突部61を有している。ガイドプレート突部61とガイドプレート突部61の間には、ガイドプレート凹部65が形成されて、ガイドプレート突部61とガイドプレート凹部65が交互に形成されている。ガイドプレート突部61とガイドプレート凹部65は、中間プレート摺動凹部52に嵌め込まれたボールリテーナ55のボール56に当接する。
【0057】
ガイドプレート60には、ガイドプレート60を回動させるためのガイドプレートスライドピン63が取付けられている。ガイドプレートスライドピン63は、ガイドプレートピン孔62にネジ止めされている。このため、ガイドプレート60を回動させて、ガイドプレート突部61は回転により、ボールリテーナ55の位置を半径方向の外方に押出すことができる。さらにもう少し回動させると、ガイドプレート凹部65にボールリテーナ55が入り込み、ボールリテーナ55を中心方向に摺動させることができる。
【0058】
ガイドプレート60の中央には、ガイドプレート中央孔64が形成され、ガイドプレート中央孔64には上部プレート30の上部プレート中央凸部32がガイドプレート中央孔64の円周に沿って嵌め込まれている。これにより、ガイドプレート60は、スムースに円周方向に回動することができる。さらに、ガイドプレート中央孔64には、取付けジョイント40が挿入されている。
【0059】
図4に示すように、下部プレート70にはバンププレス冶具80が取付けられている。バンププレス冶具80は、下面であるバンププレス冶具下面81がきわめて平滑な平面状に形成され、バンププレス冶具上部82は周囲が横に張り出して形成されている。バンププレス冶具上部82に、下部保持部材である冶具ホルダ83を取付け、冶具ホルダ83を冶具ホルダボルト84で下部プレート下取付穴75に取付けることによりバンププレス冶具80を取付けることができる。バンププレス冶具80は、ダイス鋼、ステンレス鋼、窒化ケイ素、タングステン、炭化ケイ素等で作成することができる。
【0060】
下部プレート70の下部には加熱部74が設けられている。加熱部74にはヒータ等が埋設されて、バンププレス冶具80を加熱することができる。このため、バンプ6を押圧するときに、バンプ6を加熱しながら押圧することができ、スムースにバンプ6の頂部を平坦にすることができる。バンププレス冶具80の加熱は、100〜120度程度である。
【0061】
なお、バンププレス冶具80の下には、バンプ平坦化装置の基板保持台90が設けられて、基板保持台90の上面には、表面にバンプ6が形成された配線基板5が設置される。
基板保持台90とバンププレス冶具下面81は平行に形成される。
バンプ平坦化装置のバンプコイニングヘッド1が下降すると、バンププレス冶具下面81がバンプ6の頂部を押圧することができる。
【0062】
次に、バンプコイニングヘッド1の使用方法を説明する。
まず、バンプコイニングヘッド1をバンプ平坦化装置の先端に取付ける。バンプコイニングヘッド1は、上部プレート30と下部プレート70が、取付けジョイント40により所定角度傾斜可能に取付けられ、上部プレート30と下部プレート70の間には、中間プレート50と、ガイドプレート60と、ボールリテーナ55が取付けられている。
また、下部プレート70の下面には、バンププレス冶具80が冶具ホルダ83によりネジ止めされている。
図1に示すように取付板10をバンプ平坦化装置の先端の下面に密着させて、取付ピン11を挿入した後に、取付ネジ21で取付板10と保持ブロック20を同時に取付ける。
【0063】
次に、バンププレス冶具下面81と基板保持台上面91とが厳密に平行になるように調整をする。
保持ブロック20と、上部プレート30とを貫通して、下部プレート70の位置を固定する下部プレート保持ボルト76を若干緩めて、図8に示すように、ガイドプレートスライドピン63をスライドさせる。そうすると、ボールリテーナ55にガイドプレート突部61が当接して、ボールリテーナ55は中間プレート摺動凹部52を半径方向外方向に移動する。そうすると、ボールリテーナ55と下部プレート70の間に隙間ができ、下部プレート70は、取付けジョイント40のボール43を中心に所定角度だけ上下方向に傾斜することができるようになる。
【0064】
その後、バンプ平坦化装置の先端を下降させることにより、バンプコイニングヘッド1を下方に移動させて、バンププレス冶具下面81を基板保持台上面91に密着させる。
そして、ガイドプレートスライドピン63を戻すと、ガイドプレート突部61がボールリテーナ55から外れて、ボールリテーナ55は中心方向に付勢されているので、ガイドプレート凹部65に沿ってボールリテーナ55は中間プレート摺動凹部52を中心方向に移動する。
【0065】
ボールリテーナ55の上面は上部プレート下面31に当接して摺動し、ボールリテーナ55の下面は下部プレート上斜面73に当接して摺動する。このとき、下部プレート上斜面73は、中心方向に徐々に高くなるように形成されているため、上部プレート30と下部プレート70の間の隙間は、中心方向にいくにつれて徐々に狭くなるように形成されている。このため、付勢されたボールリテーナ55は、上部プレート30と下部プレート70の間で両者に密着するまで摺動し、バンププレス冶具下面81が基板保持台上面91に密着した状態で下部プレート70の位置を固定して摺動が止まる。
【0066】
この状態で、四隅の下部プレート保持ボルト76を締め付けて下部プレート70とバンププレス冶具80を固定する。そして、バンプコイニングヘッド1を上方に移動させる。
この状態で、バンププレス冶具下面81は、基板保持台上面91との間で略平行となり、その平行度は、最大5μ程度の差である。ここで、平行度とは、バンププレス冶具下面81の一部が基板保持台上面91に当接したときに、バンププレス冶具下面81と基板保持台上面91の間の最大の隙間の大きさである。
【0067】
その後、基板保持台上面91に感圧試験紙を置き、もう一度バンプコイニングヘッド1を下降させて、バンププレス冶具下面81を基板保持台上面91に密着させ平行度を測定する。感圧試験紙を取り出すと、バンププレス冶具下面81と基板保持台上面91との間の隙間の狭い部分がより大きく変色しているため、平行度を試験することができる。
【0068】
バンププレス冶具下面81が基板保持台上面91と強く当接する部分に対応する下部プレート保持ボルト76を少し締め付けると下部プレート70の対応する部分が若干上方に移動する。このとき、ボールリテーナ55は、ばね鋼で形成されているため、弾性を有しており、下部プレート保持ボルト76をねじ込むことにより、ボールリテーナ55が若干弾性変形することができ、バンププレス冶具下面81との微小な角度を調整することができる。
【0069】
このねじ込みにより、バンププレス冶具下面81は、基板保持台上面91との間の平行度は、最大2μ程度の差まで調整することができる。この様にして、1回の調整によりバンププレス冶具下面81と基板保持台上面91との平行度を容易に、精密に調整することができる。
【0070】
この様に調整した後に、図1に示すように、基板保持台上面91に配線基板5を置き、バンプコイニングヘッド1を下降させて、配線基板5上の多数のバンプ6の頂部をバンププレス冶具80により押圧して、均一なバンプ6の頂部の押圧面を得ることができる。上部プレート30と下部プレート70とは、下部プレート保持ボルト76により強固に固定されているため、バンププレス冶具80は平行度を維持して、多数回の押圧作業でも連続して作業することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 バンプコイニングヘッド
5 配線基板
6 バンプ
10 取付板
20 保持ブロック
30 上部プレート
40 取付けジョイント
43 ボール
50 中間プレート
52 中間プレート摺動凹部
55 ボールリテーナ
60 ガイドプレート
63 スライドピン
70 下部プレート
72 下部プレート中央凹部
73 下部プレート上斜面
80 バンププレス冶具
90 基板保持台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子部品の表面に形成された複数のバンプの頂部を平坦な面に形成するバンプ平坦化装置の先端に取付けられて、基板保持台に保持された上記電子部品のバンプの頂部を押圧するバンプコイニングヘッドであって、
該バンプコイニングヘッドは、上記バンプ平坦化装置にバンプコイニングヘッドを取付ける取付部材と、上記電子部品のバンプの頂部に当接するバンププレス冶具と、該バンププレス冶具の下面の角度を調整する角度調整部材を有し、
該角度調整部材は、上記取付部材の下面に取付けられる上部プレートと、該上部プレートの下部に位置する下部プレートと、該下部プレートの下面に上記バンププレス冶具を取付ける下部保持部材と、上記上部プレートと上記下部プレートを取付け、上記下部プレートの中心部を保持して上記上部プレートに対して所定角度回動可能に保持するとともに、上記電子部品が保持された上記基板保持台と上記バンププレス冶具の下面が平行に位置したときにその角度を維持する角度保持部材を有することを特徴とするバンプコイニングヘッド。
【請求項2】
上記角度保持部材は、上記上部プレートの中心と上記下部プレートの中心とを先端にボールジョイントを有する取付けジョイントで連結し、該取付けジョイントのシャフト部は上記上部プレートに螺着され、上記取付けジョイントの先端のボールジョイントのボール保持部は上記下部プレートに取付けられ、上記上部プレートと上記下部プレートとの角度維持は、上記上部プレートと上記下部プレートを複数のボルトで固定した請求項1に記載のバンプコイニングヘッド。
【請求項3】
上記上部プレートの下面と下部プレートの上面の少なくとも一方が、中心方向に向けて徐々に両者の間隔を狭くするように斜面状に形成され、上記上部プレートと下部プレートの間に、中間プレートを設け、該中間プレートの中央には中間プレート中央孔を形成するとともに、
該中間プレート中央孔の周囲に半径方向外側に向かって複数の中間プレート摺動凹部を形成し、該中間プレート摺動凹部に、内部にボールを有し上面と下面がそれぞれ上記上部プレートと上記下部プレートに当接する平面を有するボールリテーナが摺動自在に嵌挿され、該ボールリテーナは、上記中間プレートの中心方向に付勢され、
上記中間プレート中央孔には、ガイドプレートが回動自在に挿入され、該ガイドプレートは、上記中間プレート摺動凹部と同じ数で対応する位置にガイドプレート突部と、上記ガイドプレート突部の間にガイドプレート凹部が形成され、上記ガイドプレートの回動により上記ガイドプレート突部と上記ガイドプレート凹部に順に上記ボールリテーナが当接可能に形成された請求項1又は請求項2に記載のバンプコイニングヘッド。
【請求項4】
上記ガイドプレートの外周部にスライドピンを取付け、スライドピンを円周方向に移動してガイドプレートを回動自在とした請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のバンプコイニングヘッド。
【請求項5】
上記上部プレートと上記下部プレートは、その4隅が4本のボルトにより上記上部プレートと上記下部プレートが固定され、上記下部プレートの上記電子部品との角度を維持する請求項3又は請求項4に記載のバンプコイニングヘッド。
【請求項6】
上記ボルトは、ホワイトメタル製のワッシャが嵌挿されている請求項5に記載のバンプコイニングヘッド。
【請求項7】
上記取付部材は、上記バンプ平坦化装置に取付けられる取付板と、該取付板と上記上部プレートを連結する保持ブロックから形成される請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のバンプコイニングヘッド。
【請求項8】
上記ボールリテーナは、ばね鋼で形成された請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のバンプコイニングヘッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2012−99719(P2012−99719A)
【公開日】平成24年5月24日(2012.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−247502(P2010−247502)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【出願人】(507309596)株式会社マクシス・シントー (4)
【Fターム(参考)】