パターン形成方法、パターン形成装置および電子応用装置の製造方法
【課題】 各種のパターンを高精細かつ高精度にしかも簡単な工程で形成することができるパターン形成方法を提供する。
【解決手段】 表面に親液性の部分1aと撥液性の部分1bとを有する基板1上に流動性を有する材料3を塗布した後、この材料3が塗布された基板1と表面が親液性の部材4とを、この部材4と材料3とが互いに接触するように相対的に移動させる。親液性の部分1aの表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上、撥液性の部分1bの表面自由エネルギーは30mJ/m2 以下、表面が親液性の部材4の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上とする。基板1と部材4との間隙は0.1μm以上10mm以下とする。流動性を有する材料3は、液体、混合溶液、分散液等である。移動速度は0.01mm/s以上1000mm/s以下とする。
【解決手段】 表面に親液性の部分1aと撥液性の部分1bとを有する基板1上に流動性を有する材料3を塗布した後、この材料3が塗布された基板1と表面が親液性の部材4とを、この部材4と材料3とが互いに接触するように相対的に移動させる。親液性の部分1aの表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上、撥液性の部分1bの表面自由エネルギーは30mJ/m2 以下、表面が親液性の部材4の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上とする。基板1と部材4との間隙は0.1μm以上10mm以下とする。流動性を有する材料3は、液体、混合溶液、分散液等である。移動速度は0.01mm/s以上1000mm/s以下とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パターン形成方法、パターン形成装置および電子応用装置の製造方法に関し、例えば、電子応用装置において用いられる各種のパターンの形成に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パターン形成方法として、例えば、オフセット印刷法、インクジェット法、スリットコート法等を用いたものが知られている。
オフセット印刷法では、親水性と撥油性とが制御された平版に対して、ロールを用いてインクを充填する(例えば、非特許文献1参照)。通常のオフセット印刷法では、版の親水部にあらかじめ水を担持させておき、ロール上に油性のインクを塗膜した後、版とロールとを接触させる。また、水なしオフセット印刷法では、撥油部はシリコーン樹脂で形成される。
【非特許文献1】泉和人著「新・ 印刷機械入門」(印刷学会出版部、2001年10月31日発行)
【0003】
インクジェット法は、フォトリソグラフィ技術を用いずに、設計したパターンを直接基板上に形成することができる優れた方法である。このインクジェット法では、インクジェットヘッドの駆動位置精度、吐出液滴の大きさ、吐出液滴の着弾精度等の問題から、パターン形成を目的とする基板上に親液性と撥液性とを制御する層を設けるような工夫が取り入れられてきた。例えば、特許文献1には、親・撥液性パターンに対してインクジェットの液滴を適切に着弾させる方法について開示されている。
【特許文献1】特開2003−317945号公報
【0004】
スリットコート法は、上記のインクジェット法の精細度限界を改善することができる可能性がある方法である。例えば、特許文献2にその詳細が開示されているが、この方法は、液体を親・撥液性の制御された基板上に塗布するために用いられているだけで、撥液部に残った液体は別の工程で除去することを前提としている。
【特許文献2】特開2003−260406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オフセット印刷法では、インクをはじくのが水であるためパターンの輪郭が不鮮明になりやすく、高精細なパターンを要求される電子製品には応用することが難しいという課題がある。また、撥油部をシリコーン樹脂で形成する水なしオフセット印刷法ではその製法上精細度は30μm以上であり、より高精細にすることは困難である。
インクジェット法では、特許文献1に開示されている手法を用いたとしても、インクジェット液滴の大きさ(20μm〜)と着弾精度(±30μm)による精細度の限界は存在すると考えられる。
スリットコート法では、特許文献2に開示されているように、撥液部に残った液体は、別工程で基板の回転、傾斜、ガスの噴きつけ等により除去することを前提としているため、工程が複雑になるといった問題点が存在している。
上記の方法以外にも、親・撥液性を制御した基板を液体中に浸漬する等といった方法が提案されているが、パターンの精細度が高まると複数の親液部にまたがるように液体が充填されたり(図13)、パターンの必要がない基板の裏面にも撥液処理をしなければならない等の問題が指摘される。図13中、符号101は基板、101aは親液性の部分、101bは撥液性の部分、102は液体を示す。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、各種のパターンを高精細かつ高精度にしかも簡単な工程で形成することができるパターン形成方法およびパターン形成装置ならびにこのパターン形成方法を用いた電子応用装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布する工程と、
上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程とを有することを特徴とするパターン形成方法である。
【0008】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板において、一般的には、親液性の部分の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上、撥液性の部分の表面自由エネルギーは30mJ/m2 以下である。流動性を有する材料は、液体、混合溶液、分散液等であり、形成するパターンに応じてその組成、溶媒等が選ばれる。表面が親液性の部材の表面自由エネルギーは、一般的には50mJ/m2 以上である。この部材の形状は必要に応じて選ぶことが可能であるが、典型的には棒状(バー状)である。この部材と流動性を有する材料とが互いに接触するように相対的に移動させる際の移動速度は必要に応じて選ぶことが可能であるが、一般的には0.01mm/s以上1000mm/s以下、典型的には0.5mm/s以上100mm/s以下である。この場合、基板と上記の部材との間隙は、基板上に塗布された流動性を有する材料と上記の部材とが互いに接触する範囲内で選ぶことが可能であるが、一般的には0.1μm以上10mm以下、好適には1μm以上1mm以下、典型的には5μm以上300μm以下である。流動性を有する材料が塗布された基板と上記の部材との相対的な移動に関しては、基板を固定し、この基板に対して上記の部材を移動させてもよいし、上記の部材を固定し、この部材に対して基板を移動させてもよい。典型的には、流動性を有する材料が塗布された基板と上記の部材とを互いに平行に相対的に移動させる。このパターン形成方法は、必要に応じて、材料が塗布された基板と親液性の部材とを相対的に移動させた後、その材料の乾燥または焼成を行う工程をさらに有する。
このパターン形成方法は各種のパターンの形成に適用することができる。具体例を挙げると、プリント回路基板の電極パターン、光散乱シートの散乱層パターン、各種の電子デバイスの電極パターン、トランジスタの絶縁層パターン、塗布型半導体のパターン、有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料のパターン、保護膜パターン、ナノ微粒子のパターンなどの形成に適用することができる。
【0009】
第2の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布しながら、上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程を有することを特徴とするパターン形成方法である。
第2の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0010】
第3の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板の保持手段と、
上記基板に流動性を有する材料を塗布する手段と、
表面が親液性の部材と、
上記材料が塗布された上記基板と上記部材とを、上記部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる手段とを有することを特徴とするパターン形成装置である。
第3の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0011】
第4の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を、所定の容器に収容された流動性を有する材料中に浸漬する工程と、
上記基板を上記材料から引き上げ、この際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるようにする工程とを有することを特徴とするパターン形成方法である。
【0012】
第4の発明においては、例えば、容器に複数種類の材料が深さ方向に互いに分離した状態で収容され、この容器の底面から最下層の材料中に基板を浸漬し、複数種類の材料を順次通るようにこの基板を引き上げ、この際、材料同士の界面を基板が通過するときに表面が親液性の部材と基板との間に毛細管現象により下層側の材料が満たされるようにする。あるいは、容器に複数種類の材料が深さ方向および/または水平方向に互いに分離した状態で収容され、基板を一つの材料中に浸漬し、複数種類の材料を順次通るように基板を移動させ、他の一つの材料から基板を引き上げ、この際、材料同士の界面を基板が通過するときに表面が親液性の部材と基板との間に毛細管現象により進行方向後ろ側の材料が満たされるようにする。
第4の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0013】
第5の発明は、
流動性を有する材料が収容される容器と、
上記容器に収容される上記材料に表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を浸漬し、上記材料から上記基板を引き上げる手段と、
上記基板を上記材料から引き上げる際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材とを有することを特徴とするパターン形成装置である。
第5の発明においては、例えば、容器に複数種類の材料が深さ方向に互いに分離した状態で収容される場合に、材料同士の界面を基板が通過するときに基板との間に下層側の材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材をさらに有する。あるいは、容器に複数種類の材料が深さ方向および/または水平方向に互いに分離した状態で収容される場合に、材料同士の界面を基板が通過するときに基板との間に毛細管現象により進行方向後ろ側の材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材をさらに有する。
第5の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0014】
第6の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布する工程と、
上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程とを有することを特徴とする電子応用装置の製造方法である。
【0015】
第7の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布しながら、上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程を有することを特徴とする電子応用装置の製造方法である。
【0016】
第8の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を、所定の容器に収容された流動性を有する材料中に浸漬する工程と、
上記基板を上記材料から引き上げ、この際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるようにする工程とを有することを特徴とする電子応用装置の製造方法である。
第6〜第8の発明において、電子応用装置には、電極パターン等の各種のパターンを用いる各種のものが含まれ、例えば液晶ディスプレイその他の画像表示装置等が含まれる。
【0017】
上述のように構成されたこの発明においては、表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板に付着した流動性を有する材料と表面が親液性の部材とを相対的に移動させることにより、移動後には基板の親液性の部分にのみその材料が残るようにすることができる。
また、表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板が流動性を有する材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と基板との間に毛細管現象によりその材料が満たされるようにすることにより、移動後には基板の親液性の部分にのみその材料が残るようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、各種のパターンを高精細かつ高精度にしかも簡単な工程で形成することができる。そして、このパターン形成方法を用いることにより、液晶ディスプレイ等の電子応用装置を低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1および図2はこの発明の第1の実施形態によるパターン形成方法を示す。
この第1の実施形態においては、図1Aに示すように、まず、表面に親液部1aと撥液部1bとを有する基板1を用意する。ここで、親液部1aの表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上、撥液部1bの表面自由エネルギーは30mJ/m2 以下である。この基板1は例えば次のようにして形成することができる。第1の方法では、表面が親液性のガラス基板等の基板の上に感光性のポリイミドやフォトレジストを塗布し、これをフォトリソグラフィ法によりパターニングしてマスクパターンを形成し、このマスクパターンに覆われていない部分のガラス基板の表面をフッ素材料を含むプラズマガスにより改質し、撥液性とする。この後、マスクパターンを除去する。この場合、マスクパターンに覆われていた部分のガラス基板表面は親液性である。第2の方法では、表面が親液性のガラス基板等の基板の全面に撥液材料としてフッ素樹脂の溶液を塗布した後、インプリント法によりパターンを形成する。この場合、このパターン部分が撥液性、このパターンが形成されていない元の基板部分が親液性である。フッ素樹脂の代わりに、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等のシリコーン樹脂を用いてもよい。第3の方法では、撥液材料として、フッ素基やメチル基を有し、かつ無機質材料と化学結合するメトキシ基やエトキシ基を有するシランカップリング剤を水や有機溶剤に希釈し、これを表面が親液性のガラス基板等の基板の全面に塗布し、乾燥を行うことで得られた膜に対して、メタルマスクを用いて紫外線(UV)オゾン処理や酸素プラズマ処理を行うことによりパターニングを行う。この場合、パターン部分が撥液性、このパターンが形成されていない元の基板部分が親液性である。このパターンは、フォトマスクを介して紫外線を照射することにより形成してもよい。
【0020】
次に、図1Bに示すように、上記の基板1をパターン形成装置のステージ2上に載せ、このステージ2の上方に設けられた所定の滴下装置(図示せず)から、基板1上の一部または全体に、パターンの材料となる流動性を有する液体3を滴下する。この液体3の量は最終的に親液部1aに残す分量に対して十分な量が必要であり、その液面は、次の工程で用いる親液性のバーに接触可能な高さにあることが望ましい。また、基板1上の一部に液体3を滴下する場合は、基板1の進行方向に対して先頭となる位置に滴下する。図1Bにおいては、基板1の進行方向に対して先頭となる位置に液体3が滴下されている場合が示されている。
【0021】
次に、図1Cに示すように、図示省略した支持部材により基板1の表面と平行に設置された例えば矩形断面で表面が親液性のバー4に対して、図中矢印で示すように、水平面内でステージ2を移動させる。この場合、基板1とバー4との間隙は1μm以上1mm以下とすることが望ましい。このバー4の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上である。このバー4の材料は、具体的には、例えば、アルミニウム(Al)やステンレス鋼等の金属または合金、ガラス、シリコン(Si)等である。
【0022】
上記のようにして親液性のバー4に対してステージ2を移動させると、図2Aに示すように、基板1上の液体3の上部がバー4と接触する。このとき、このバー4の表面が親液性であることにより液体3はこのバー4の規制を受け、その周囲に保持(あるいは固定)される。こうしてバー4に液体3を保持したまま、基板1がバー4から外れた位置に来るまでステージ2を移動させる。この状態を図2Bに示す。図2Bに示すように、移動する基板1の撥液部1bにおいては、液体3がすべるように移動するため液体3は残らず、一方、親液部1aにおいては、その表面張力と液体3自身の表面張力とで決定される量の液体3が残留することになる。最初に滴下した液体3のうち親液部1aに残留しなかった過剰な液体3は、バー4に保持され、あるいは基板1の進行方向に対して後ろの位置のステージ2上に残される。これらの過剰な液体3は回収して再使用することが可能である。
使用する液体3の性質に応じて、必要であれば、親液部1aに液体3が残留した基板1の乾燥や焼成を行う。
以上のようにして、図1Fに示すように、目的とするパターン5が得られる。
【0023】
この第1の実施形態によれば、表面に親液部1aと撥液部1bとを有する基板1上の、基板1の進行方向に対して先頭となる位置にパターンの材料となる流動性を有する液体3を滴下した後、表面が親液性のバー4に対して基板1を平行に移動させることにより基板1上の液体3の上部をバー4と接触させてこのバー4に液体3を保持し、この状態で基板1をバー4から外れた位置に来るまで移動させるようにしているので、基板1の親液部1aの表面にのみ液体3を残すことができ、必要に応じて乾燥または焼成を行うことにより最終的に目的とするパターン5を形成することができる。この方法によれば、親液部1aと撥液部1bとはフォトリソグラフィ法により高精細かつ高精度に形成することができるため、目的とするパターン5を従来のオフセット印刷法やインクジェット法に比べて高精細かつ高精度に形成することができる。また、この方法によれば、表面に親液部1aと撥液部1bとを有する基板1を用意し、その上に液体3を滴下し、バー4に対して基板1を平行に移動させるだけでよく、従来のスリットコート法のように不要なインクを除去する工程を設ける必要がないので、目的とするパターン5を簡単な工程で低コストに形成することができる。
【0024】
次に、この発明の第2の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第2の実施形態においては、図3に示すように、基板1上への液体3の塗布にスリットコーター6を用いる。このスリットコーター6では、スリット6aの先端から液体3を吐出するようになっている。そして、基板1の上方からこのスリットコーター6を近づけ、バー4に対して基板1を図3中矢印で示すように平行に移動させながら、スリット6aの先端から液体3を基板1上に吐出し、塗布する。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、基板1上への液体3の塗布と親液部1aへの液体3の充填とを同一工程で行うことができるため、より簡単な工程でパターンを形成することができるという利点を得ることができる。
【0025】
次に、この発明の第3の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第3の実施形態においては、図4に示すように、ステージ2と基板1との上下関係を第1および第2の実施形態と逆にし、基板1上への液体3の塗布にキャピラリーコーター7を用いる。このキャピラリーコーター7では、キャピラリー7aの先端から毛細管現象により液体3を吐出するようになっている。そして、基板1の下方からこのキャピラリーコーター7を近づけ、バー4に対して基板1を図4中矢印で示すように平行に移動させながら、キャピラリー7aの先端から液体3を毛細管現象により基板1に吐出し、塗布する。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0026】
次に、この発明の第4の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第4の実施形態においては、図5に示すように、表面が親液性のバー4の断面形状が、基板1側に凸の半円形になっている。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0027】
次に、この発明の第5の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第5の実施形態においては、図6に示すように、表面が親液性のバー4の断面形状が円形になっている。このバー4はその中心軸の周りに回転可能になっており、必要に応じて回転させることができるようになっている。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【実施例1】
【0028】
実施例1では、第5の実施形態によるパターン形成方法をめっき電極パターンの形成に適用した場合について説明する。
まず、表面に親液部1aと撥液部1bとを有する基板1をガラス基板を用いて次のように形成した。
ガラス基板として、コーニング社製の1737ガラスを用いた。その上にパターン形成材料として、東レ社製ポジ型感光性ポリイミド(フォトニースPW−1530)をスピンコーティング法にて塗布(2000rpm/30秒)し、続いて乾燥(120℃/3分)を行った後、大日本スクリーン製造社製の手動露光機(MA−1200型)にて、フォトマスクを介してパターン露光(ブロードバンドのUV光源、i線で250mJ/cm2 )を行い、現像(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液にて90秒のパドル現像)、焼成(140℃/30秒+300℃/60分)を行った。こうして得られたポリイミドのパターンは厚さが2.5μmで、パターンの精細度は、最も高いものでライン/スペースが10/10(μm)であった。
【0029】
次に、上記のようにして形成したポリイミドパターンの表面に対して、芝浦メカトロニクス社製のCDE(Chemical Dry Etching)装置(CDE−N80)にて、フッ素プラズマ・ラジカル処理を行った。このときのプロセス条件は次のとおりである。
O2 :40sccm
CF4 :270sccm
N2 :80sccm
圧力 :80Pa
パワー :700W
基板温度:70℃
時間 :30秒
このフッ素プラズマ・ラジカル処理により、ポリイミドパターン表面の自由エネルギーが18.0mJ/m2 となり、高い撥液性のパターンが得られた。同時に、このときのガラス基板表面の自由エネルギーは70mJ/m2 であり、親液性が得られている。こうして、図7Aに示すように、ガラス基板8からなる親液部1aとフッ素プラズマ・ラジカル処理されたポリイミドからなる撥液部1bとを有する基板1が形成された。
【0030】
次に、この基板1に対して、めっき電極形成用の流動性を有する材料として液体3を充填する。この液体3の充填には、本発明者らが製作したパターン形成装置を用いた。このパターン形成装置の概略構成を図8に示す。図8に示すように、このパターン形成装置においては、基台9上にステージ2が水平移動可能に設けられ、このステージ2上に基板1が載置されている。親液性のバー4は、ロール10の外周に親液性のフィルム11を巻き付けたものである。ステージ2およびバー4はそれぞれステッピングモーターで駆動されるようになっており、同期・非同期いずれでも制御可能になっている。ステージ2は高さの調節機構および基板1の真空吸着機能を有している。
【0031】
液体3の充填は次のプロセス条件で行った。液体3としては、信越化学社製シランカップリング剤KBM−603/乳酸エチル希釈溶液(濃度:2.0wt%)を用いた。基板1とバー4との間隙gは100μm、基板1の送り速度は2mm/sとした。親液性のフィルム10としては旭化成社製の厚さ2.0mmのAPR(登録商標)フィルムを用いた。以上のプロセスにより、図7Aに示すように、アミノ系シランカップリング剤であるKBM−603のパターン5が親液部1a上にのみ形成された。このパターン5の厚さは1nmであった。次に、シランカップリング剤とガラス基板8とを化学結合させるために、120℃/5分の乾燥を行った。この後、基板1をエタノール溶液に浸漬した状態で超音波洗浄を20分行い、過剰なシランカップリング剤を除去し、基板1を100℃で5分乾燥させた。
【0032】
次に、無電解めっき用のパラジウム触媒溶液に基板1を浸漬し、触媒処理を行った。パラジウムは、シランカップリング剤中のアミンと配位結合を形成するので、次の工程で形成するめっき膜に良好な密着性を与える。また、パラジウムは、ガラスとは結合しないため、シランカップリング剤の存在する領域にのみ付着させることができる。こうして、図7Bに示すように、パターン5上にのみ粒状のパラジウム触媒12が形成される。このパラジウム触媒12の粒径は10nmであった。
次に、無電解Niめっきプロセスにより、Ni膜を成膜した。めっき液は、上村工業社製のNi−B用めっき液BEL−801を用いた。
上記の一連のプロセスにより、図7Cに示すように、精細度がライン/スペースで10/10(μm)のNi膜からなるめっき電極パターン13が得られた。
【0033】
次に、この発明の第6の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第6の実施形態においては、図9に示すようなパターン形成装置を用いる。図9に示すように、このパターン形成装置においては、容器21内にパターン形成用の液体3が入れられている。また、この液体3と外部空間との界面に親液性のバー4が設けられている。このバー4の下部は液体3中に浸漬されているのが望ましい。これは、最終的に基板1の親液部1a上にのみ液体3が確実に残されるようにするためである。基板1は図示省略した駆動機構により上下動可能に構成されており、液体3中に浸漬し、引き上げることができるようになっている。
【0034】
このパターン形成装置を用いて次のようにしてパターンを形成する。
まず、基板1を容器21の上方から垂直に下降させ、液体3中に完全に浸漬させた後、基板1を徐々に引き上げる。基板1が液体3と外部空間との界面を通過するとき、液体3が毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、基板1が引き上げられるにつれて、親液部1a上にのみ液体3が残されていく。こうして、目的とするパターンが親液部1a上にのみ形成される。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【実施例2】
【0035】
実施例2では、第6の実施形態によるパターン形成方法をインジウム−スズ酸化物(ITO)電極パターンの形成に適用した場合について説明する。
まず、実施例1と同様にして親液部1aと撥液部1bとを有する基板1を作製した。
パターン形成用の液体3としては、針状ITO微粒子分散液(住友金属鉱山社製SC−100)を用いた。基板1の引き上げ速度は1mm/s、基板1とバー4との間隙は50μmとした。
上記条件により針状ITO微粒子分散液を親液部1a上にのみ残した後、窒素置換炉により120℃で1時間焼成を行った。これによって、厚さが1μmでシート抵抗が103 Ω/□のITO電極パターンが得られた。このITO電極パターンは精細度がライン/スペースで10/10(μm)であった。
【0036】
次に、この発明の第7の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第7の実施形態においては、図10に示すようなパターン形成装置を用いる。図10に示すように、このパターン形成装置においては、容器21内にパターン形成用の互いに異なる二種類の液体3a、3bが深さ方向に互いに分離した状態で入れられている。これらの液体3a、3bは、互いに比重が異なり(この場合、液体3aの比重の方が液体3bの比重より大きい)、かつ相溶性がないものである。また、下層の液体3aと上層の液体3bとの界面および上層の液体3bと外部空間との界面にそれぞれ親液性のバー4が設けられている。下層の液体3aと上層の液体3bとの界面のバー4の下部は下層の液体3aに浸漬されているのが望ましく、上層の液体3bと外部空間との界面のバー4の下部は液体3b中に浸漬されているのが望ましい。この場合、基板1は、図示省略した駆動機構により、容器21の底面に設けられた基板投入口22から液体3a中に導入することができ、また、容器21外に引き上げることができるようになっている。基板投入口22には例えば一対のローラー23a、23bが設置され、基板1が液体3a中に導入されるのに同期してこれらのローラー23a、23bにより基板1を両面から挟むことで液体3aが容器21外に漏れないようにしている。
【0037】
このパターン形成装置を用いて次のようにしてパターンを形成する。
まず、基板1を容器21の底面の基板投入口22から下層の液体3a中に導入し、徐々に引き上げる。基板1が液体3aと液体3bとの界面を通過するとき、液体3aが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、基板1が引き上げられるにつれて、親液部1a上にのみ液体3aが残されていく。基板1がさらに引き上げられて液体3bと外部空間との界面を通過するとき、液体3bが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、親液部1a上に残された液体3aの上に液体3bが残される。こうして、親液部1a上に互いに異なる二種類の液体3a、3bが充填される。そして、最終的に、互いに異なる材料からなる二層構造のパターンが親液部1a上にのみ形成される。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第7の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、二層構造のパターンを容易に形成することができるという利点を得ることができる。
【実施例3】
【0038】
実施例3では、第7の実施形態によるパターン形成方法をポリテトラフルオロエチレン/ITO電極パターンの形成に適用した場合について説明する。
まず、実施例1と同様にして親液部1aと撥液部1bとを有する基板1を作製した。
パターン形成用の液体3aとしては、比重1.78のポリテトラフルオロエチレン樹脂溶液(三井フロロケミカル社製ポリテトラフルオロエチレンAF1600)を用いた。パターン形成用の液体3bとしては、比重1.5の針状ITO微粒子分散液(住友金属鉱山社製SC−100)を用いた。基板1の引き上げ速度は1mm/s、基板1とバー4との間隙は50μmとした。
上記条件により基板1の親液部1a上にのみ順次、ポリテトラフルオロエチレン樹脂および針状ITO微粒子分散液を残した後、窒素置換炉により120℃で1時間焼成を行った。これによって、厚さが500nmのポリテトラフルオロエチレン樹脂上に厚さが1μmでシート抵抗が103 Ω/□のITO電極パターンが得られた。このITO電極パターンは精細度がライン/スペースで20/20(μm)であった。この場合、ポリテトラフルオロエチレン樹脂は厚さが500nmと十分に厚いため、十分な酸化防止効果を得ることができる。
【0039】
次に、この発明の第8の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第8の実施形態においては、図11に示すようなパターン形成装置を用いる。図11に示すように、このパターン形成装置においては、容器21内にパターン形成用の互いに異なる二種類の液体3a、3bが深さ方向および水平方向に互いに分離した状態で入れられている。これらの液体3a、3bは、互いに比重が異なり(この場合、液体3aの比重の方が液体3bの比重より大きい)、かつ相溶性がないものである。この場合、液体3a、3bは深さ方向においては比重の差により互いに分離され、水平方向においては仕切り板24により互いに分離されている。また、下層の液体3aと上層の液体3bとの界面および上層の液体3bと外部空間との界面にそれぞれ親液性のバー4が設けられている。下層の液体3aと上層の液体3bとの界面のバー4の下部は下層の液体3aに浸漬されているのが望ましく、上層の液体3bと外部空間との界面のバー4の下部は液体3b中に浸漬されているのが望ましい。この場合、基板1は、図示省略した駆動機構により、仕切り板24の片側の部分の上方から垂直に下降させ、液体3a中に完全に浸漬した後、図11中矢印で示すように液体3a中を移動させ、液体3bを通って容器21外に引き上げることができるようになっている。
【0040】
このパターン形成装置を用いて次のようにしてパターンを形成する。
まず、基板1を容器21の仕切り板24の片側の液体3a中に垂直に浸漬し、さらにこの液体3a中を矢印で示すように移動させ、基板1が垂直になった状態で垂直に引き上げる。基板1が液体3aと液体3bとの界面を通過するとき、液体3aが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、基板1が引き上げられるにつれて、親液部1a上にのみ液体3aが残されていく。基板1がさらに引き上げられて液体3bと外部空間との界面を通過するとき、液体3bが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、親液部1a上に残された液体3aの上に液体3bが残される。こうして、親液部1a上に互いに異なる二種類の液体3a、3bが充填される。そして、最終的に、互いに異なる材料からなる二層構造のパターンが親液部1a上にのみ形成される。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第8の実施形態によれば、第7の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0041】
次に、この発明の第9の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第9の実施形態においては、図12に示すようなパターン形成装置を用いる。図12に示すように、このパターン形成装置においては、第8の実施形態と同様に、容器21内にパターン形成用の互いに異なる二種類の液体3a、3bが深さ方向および水平方向に互いに分離した状態で入れられている。これらの液体3a、3bは、互いに比重が異なり(この場合、液体3aの比重の方が液体3bの比重より大きい)、かつ相溶性がないものである。この場合、液体3a、3bは、深さ方向においては比重の差により互いに分離され、水平方向においては仕切り板24により互いに分離されている。また、仕切り板24の片側の下層の液体3aと上層の液体3bとの界面および仕切り板24の他方の片側の液体3aと外部空間との界面にそれぞれ親液性のバー4が設けられている。仕切り板24の片側の下層の液体3aと上層の液体3bとの界面のバー4の下部は下層の液体3aに浸漬されているのが望ましく、仕切り板24の他方の片側の液体3aと外部空間との界面のバー4の下部は液体3a中に浸漬されているのが望ましい。この場合、基板1は、図示省略した駆動機構により、仕切り板24の片側の部分の上方から垂直に下降させ、液体3b中に浸漬した後、図12中矢印で示すように液体3a中を移動させ、仕切り板24の他方の片側の部分の液体3aを通って容器21外に引き上げることができるようになっている。
【0042】
このパターン形成装置を用いて次のようにしてパターンを形成する。
まず、基板1を容器21の仕切り板24の片側の液体3b中に垂直に浸漬し、この液体3bと液体3aとの界面を垂直に通過させた後、液体3a中を矢印で示すように仕切り板24の他方の片側の部分に移動させ、基板1が垂直になった状態で容器21外に垂直に引き上げる。こうして基板1が液体3aと液体3bとの界面を通るとき、液体3bが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、基板1が引き上げられるにつれて、親液部1a上にのみ液体3bが残されていく。また、基板1が液体3aから引き上げられるとき、液体3aが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、親液部1a上に残された液体3bの上に液体3aが残される。こうして、親液部1a上に互いに異なる二種類の液体3b、3aが順次充填される。そして、最終的に、互いに異なる材料からなる二層構造のパターンが親液部1a上にのみ形成される。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第9の実施形態によれば、第7の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0043】
以上、この発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセス等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の第1の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3】この発明の第2の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図4】この発明の第3の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図5】この発明の第4の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図6】この発明の第5の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図7】この発明の実施例1によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図8】この発明の実施例1によるパターン形成方法において用いられるパターン形成装置を示す略線図である。
【図9】この発明の第6の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図10】この発明の第7の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図11】この発明の第8の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第9の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図13】従来のパターン形成方法の問題点を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1…基板、2…ステージ、3、3a、3b…液体、4…バー、5…パターン、6…スリットコーター、7…キャピラリーコーター、8…ガラス基板、10…ロール、11…親液性のフィルム、12…パラジウム触媒、13…めっき電極パターン、21…容器、22…基板投入口、24…仕切り板
【技術分野】
【0001】
この発明は、パターン形成方法、パターン形成装置および電子応用装置の製造方法に関し、例えば、電子応用装置において用いられる各種のパターンの形成に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、パターン形成方法として、例えば、オフセット印刷法、インクジェット法、スリットコート法等を用いたものが知られている。
オフセット印刷法では、親水性と撥油性とが制御された平版に対して、ロールを用いてインクを充填する(例えば、非特許文献1参照)。通常のオフセット印刷法では、版の親水部にあらかじめ水を担持させておき、ロール上に油性のインクを塗膜した後、版とロールとを接触させる。また、水なしオフセット印刷法では、撥油部はシリコーン樹脂で形成される。
【非特許文献1】泉和人著「新・ 印刷機械入門」(印刷学会出版部、2001年10月31日発行)
【0003】
インクジェット法は、フォトリソグラフィ技術を用いずに、設計したパターンを直接基板上に形成することができる優れた方法である。このインクジェット法では、インクジェットヘッドの駆動位置精度、吐出液滴の大きさ、吐出液滴の着弾精度等の問題から、パターン形成を目的とする基板上に親液性と撥液性とを制御する層を設けるような工夫が取り入れられてきた。例えば、特許文献1には、親・撥液性パターンに対してインクジェットの液滴を適切に着弾させる方法について開示されている。
【特許文献1】特開2003−317945号公報
【0004】
スリットコート法は、上記のインクジェット法の精細度限界を改善することができる可能性がある方法である。例えば、特許文献2にその詳細が開示されているが、この方法は、液体を親・撥液性の制御された基板上に塗布するために用いられているだけで、撥液部に残った液体は別の工程で除去することを前提としている。
【特許文献2】特開2003−260406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、オフセット印刷法では、インクをはじくのが水であるためパターンの輪郭が不鮮明になりやすく、高精細なパターンを要求される電子製品には応用することが難しいという課題がある。また、撥油部をシリコーン樹脂で形成する水なしオフセット印刷法ではその製法上精細度は30μm以上であり、より高精細にすることは困難である。
インクジェット法では、特許文献1に開示されている手法を用いたとしても、インクジェット液滴の大きさ(20μm〜)と着弾精度(±30μm)による精細度の限界は存在すると考えられる。
スリットコート法では、特許文献2に開示されているように、撥液部に残った液体は、別工程で基板の回転、傾斜、ガスの噴きつけ等により除去することを前提としているため、工程が複雑になるといった問題点が存在している。
上記の方法以外にも、親・撥液性を制御した基板を液体中に浸漬する等といった方法が提案されているが、パターンの精細度が高まると複数の親液部にまたがるように液体が充填されたり(図13)、パターンの必要がない基板の裏面にも撥液処理をしなければならない等の問題が指摘される。図13中、符号101は基板、101aは親液性の部分、101bは撥液性の部分、102は液体を示す。
【0006】
そこで、この発明が解決しようとする課題は、各種のパターンを高精細かつ高精度にしかも簡単な工程で形成することができるパターン形成方法およびパターン形成装置ならびにこのパターン形成方法を用いた電子応用装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、第1の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布する工程と、
上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程とを有することを特徴とするパターン形成方法である。
【0008】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板において、一般的には、親液性の部分の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上、撥液性の部分の表面自由エネルギーは30mJ/m2 以下である。流動性を有する材料は、液体、混合溶液、分散液等であり、形成するパターンに応じてその組成、溶媒等が選ばれる。表面が親液性の部材の表面自由エネルギーは、一般的には50mJ/m2 以上である。この部材の形状は必要に応じて選ぶことが可能であるが、典型的には棒状(バー状)である。この部材と流動性を有する材料とが互いに接触するように相対的に移動させる際の移動速度は必要に応じて選ぶことが可能であるが、一般的には0.01mm/s以上1000mm/s以下、典型的には0.5mm/s以上100mm/s以下である。この場合、基板と上記の部材との間隙は、基板上に塗布された流動性を有する材料と上記の部材とが互いに接触する範囲内で選ぶことが可能であるが、一般的には0.1μm以上10mm以下、好適には1μm以上1mm以下、典型的には5μm以上300μm以下である。流動性を有する材料が塗布された基板と上記の部材との相対的な移動に関しては、基板を固定し、この基板に対して上記の部材を移動させてもよいし、上記の部材を固定し、この部材に対して基板を移動させてもよい。典型的には、流動性を有する材料が塗布された基板と上記の部材とを互いに平行に相対的に移動させる。このパターン形成方法は、必要に応じて、材料が塗布された基板と親液性の部材とを相対的に移動させた後、その材料の乾燥または焼成を行う工程をさらに有する。
このパターン形成方法は各種のパターンの形成に適用することができる。具体例を挙げると、プリント回路基板の電極パターン、光散乱シートの散乱層パターン、各種の電子デバイスの電極パターン、トランジスタの絶縁層パターン、塗布型半導体のパターン、有機エレクトロルミネッセンス(EL)材料のパターン、保護膜パターン、ナノ微粒子のパターンなどの形成に適用することができる。
【0009】
第2の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布しながら、上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程を有することを特徴とするパターン形成方法である。
第2の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0010】
第3の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板の保持手段と、
上記基板に流動性を有する材料を塗布する手段と、
表面が親液性の部材と、
上記材料が塗布された上記基板と上記部材とを、上記部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる手段とを有することを特徴とするパターン形成装置である。
第3の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0011】
第4の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を、所定の容器に収容された流動性を有する材料中に浸漬する工程と、
上記基板を上記材料から引き上げ、この際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるようにする工程とを有することを特徴とするパターン形成方法である。
【0012】
第4の発明においては、例えば、容器に複数種類の材料が深さ方向に互いに分離した状態で収容され、この容器の底面から最下層の材料中に基板を浸漬し、複数種類の材料を順次通るようにこの基板を引き上げ、この際、材料同士の界面を基板が通過するときに表面が親液性の部材と基板との間に毛細管現象により下層側の材料が満たされるようにする。あるいは、容器に複数種類の材料が深さ方向および/または水平方向に互いに分離した状態で収容され、基板を一つの材料中に浸漬し、複数種類の材料を順次通るように基板を移動させ、他の一つの材料から基板を引き上げ、この際、材料同士の界面を基板が通過するときに表面が親液性の部材と基板との間に毛細管現象により進行方向後ろ側の材料が満たされるようにする。
第4の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0013】
第5の発明は、
流動性を有する材料が収容される容器と、
上記容器に収容される上記材料に表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を浸漬し、上記材料から上記基板を引き上げる手段と、
上記基板を上記材料から引き上げる際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材とを有することを特徴とするパターン形成装置である。
第5の発明においては、例えば、容器に複数種類の材料が深さ方向に互いに分離した状態で収容される場合に、材料同士の界面を基板が通過するときに基板との間に下層側の材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材をさらに有する。あるいは、容器に複数種類の材料が深さ方向および/または水平方向に互いに分離した状態で収容される場合に、材料同士の界面を基板が通過するときに基板との間に毛細管現象により進行方向後ろ側の材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材をさらに有する。
第5の発明においては、その性質に反しない限り、第1の発明に関連して説明したことが成立する。
【0014】
第6の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布する工程と、
上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程とを有することを特徴とする電子応用装置の製造方法である。
【0015】
第7の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布しながら、上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程を有することを特徴とする電子応用装置の製造方法である。
【0016】
第8の発明は、
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を、所定の容器に収容された流動性を有する材料中に浸漬する工程と、
上記基板を上記材料から引き上げ、この際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるようにする工程とを有することを特徴とする電子応用装置の製造方法である。
第6〜第8の発明において、電子応用装置には、電極パターン等の各種のパターンを用いる各種のものが含まれ、例えば液晶ディスプレイその他の画像表示装置等が含まれる。
【0017】
上述のように構成されたこの発明においては、表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板に付着した流動性を有する材料と表面が親液性の部材とを相対的に移動させることにより、移動後には基板の親液性の部分にのみその材料が残るようにすることができる。
また、表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板が流動性を有する材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と基板との間に毛細管現象によりその材料が満たされるようにすることにより、移動後には基板の親液性の部分にのみその材料が残るようにすることができる。
【発明の効果】
【0018】
この発明によれば、各種のパターンを高精細かつ高精度にしかも簡単な工程で形成することができる。そして、このパターン形成方法を用いることにより、液晶ディスプレイ等の電子応用装置を低コストで製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1および図2はこの発明の第1の実施形態によるパターン形成方法を示す。
この第1の実施形態においては、図1Aに示すように、まず、表面に親液部1aと撥液部1bとを有する基板1を用意する。ここで、親液部1aの表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上、撥液部1bの表面自由エネルギーは30mJ/m2 以下である。この基板1は例えば次のようにして形成することができる。第1の方法では、表面が親液性のガラス基板等の基板の上に感光性のポリイミドやフォトレジストを塗布し、これをフォトリソグラフィ法によりパターニングしてマスクパターンを形成し、このマスクパターンに覆われていない部分のガラス基板の表面をフッ素材料を含むプラズマガスにより改質し、撥液性とする。この後、マスクパターンを除去する。この場合、マスクパターンに覆われていた部分のガラス基板表面は親液性である。第2の方法では、表面が親液性のガラス基板等の基板の全面に撥液材料としてフッ素樹脂の溶液を塗布した後、インプリント法によりパターンを形成する。この場合、このパターン部分が撥液性、このパターンが形成されていない元の基板部分が親液性である。フッ素樹脂の代わりに、PDMS(ポリジメチルシロキサン)等のシリコーン樹脂を用いてもよい。第3の方法では、撥液材料として、フッ素基やメチル基を有し、かつ無機質材料と化学結合するメトキシ基やエトキシ基を有するシランカップリング剤を水や有機溶剤に希釈し、これを表面が親液性のガラス基板等の基板の全面に塗布し、乾燥を行うことで得られた膜に対して、メタルマスクを用いて紫外線(UV)オゾン処理や酸素プラズマ処理を行うことによりパターニングを行う。この場合、パターン部分が撥液性、このパターンが形成されていない元の基板部分が親液性である。このパターンは、フォトマスクを介して紫外線を照射することにより形成してもよい。
【0020】
次に、図1Bに示すように、上記の基板1をパターン形成装置のステージ2上に載せ、このステージ2の上方に設けられた所定の滴下装置(図示せず)から、基板1上の一部または全体に、パターンの材料となる流動性を有する液体3を滴下する。この液体3の量は最終的に親液部1aに残す分量に対して十分な量が必要であり、その液面は、次の工程で用いる親液性のバーに接触可能な高さにあることが望ましい。また、基板1上の一部に液体3を滴下する場合は、基板1の進行方向に対して先頭となる位置に滴下する。図1Bにおいては、基板1の進行方向に対して先頭となる位置に液体3が滴下されている場合が示されている。
【0021】
次に、図1Cに示すように、図示省略した支持部材により基板1の表面と平行に設置された例えば矩形断面で表面が親液性のバー4に対して、図中矢印で示すように、水平面内でステージ2を移動させる。この場合、基板1とバー4との間隙は1μm以上1mm以下とすることが望ましい。このバー4の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上である。このバー4の材料は、具体的には、例えば、アルミニウム(Al)やステンレス鋼等の金属または合金、ガラス、シリコン(Si)等である。
【0022】
上記のようにして親液性のバー4に対してステージ2を移動させると、図2Aに示すように、基板1上の液体3の上部がバー4と接触する。このとき、このバー4の表面が親液性であることにより液体3はこのバー4の規制を受け、その周囲に保持(あるいは固定)される。こうしてバー4に液体3を保持したまま、基板1がバー4から外れた位置に来るまでステージ2を移動させる。この状態を図2Bに示す。図2Bに示すように、移動する基板1の撥液部1bにおいては、液体3がすべるように移動するため液体3は残らず、一方、親液部1aにおいては、その表面張力と液体3自身の表面張力とで決定される量の液体3が残留することになる。最初に滴下した液体3のうち親液部1aに残留しなかった過剰な液体3は、バー4に保持され、あるいは基板1の進行方向に対して後ろの位置のステージ2上に残される。これらの過剰な液体3は回収して再使用することが可能である。
使用する液体3の性質に応じて、必要であれば、親液部1aに液体3が残留した基板1の乾燥や焼成を行う。
以上のようにして、図1Fに示すように、目的とするパターン5が得られる。
【0023】
この第1の実施形態によれば、表面に親液部1aと撥液部1bとを有する基板1上の、基板1の進行方向に対して先頭となる位置にパターンの材料となる流動性を有する液体3を滴下した後、表面が親液性のバー4に対して基板1を平行に移動させることにより基板1上の液体3の上部をバー4と接触させてこのバー4に液体3を保持し、この状態で基板1をバー4から外れた位置に来るまで移動させるようにしているので、基板1の親液部1aの表面にのみ液体3を残すことができ、必要に応じて乾燥または焼成を行うことにより最終的に目的とするパターン5を形成することができる。この方法によれば、親液部1aと撥液部1bとはフォトリソグラフィ法により高精細かつ高精度に形成することができるため、目的とするパターン5を従来のオフセット印刷法やインクジェット法に比べて高精細かつ高精度に形成することができる。また、この方法によれば、表面に親液部1aと撥液部1bとを有する基板1を用意し、その上に液体3を滴下し、バー4に対して基板1を平行に移動させるだけでよく、従来のスリットコート法のように不要なインクを除去する工程を設ける必要がないので、目的とするパターン5を簡単な工程で低コストに形成することができる。
【0024】
次に、この発明の第2の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第2の実施形態においては、図3に示すように、基板1上への液体3の塗布にスリットコーター6を用いる。このスリットコーター6では、スリット6aの先端から液体3を吐出するようになっている。そして、基板1の上方からこのスリットコーター6を近づけ、バー4に対して基板1を図3中矢印で示すように平行に移動させながら、スリット6aの先端から液体3を基板1上に吐出し、塗布する。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、基板1上への液体3の塗布と親液部1aへの液体3の充填とを同一工程で行うことができるため、より簡単な工程でパターンを形成することができるという利点を得ることができる。
【0025】
次に、この発明の第3の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第3の実施形態においては、図4に示すように、ステージ2と基板1との上下関係を第1および第2の実施形態と逆にし、基板1上への液体3の塗布にキャピラリーコーター7を用いる。このキャピラリーコーター7では、キャピラリー7aの先端から毛細管現象により液体3を吐出するようになっている。そして、基板1の下方からこのキャピラリーコーター7を近づけ、バー4に対して基板1を図4中矢印で示すように平行に移動させながら、キャピラリー7aの先端から液体3を毛細管現象により基板1に吐出し、塗布する。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第3の実施形態によれば、第2の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0026】
次に、この発明の第4の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第4の実施形態においては、図5に示すように、表面が親液性のバー4の断面形状が、基板1側に凸の半円形になっている。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0027】
次に、この発明の第5の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第5の実施形態においては、図6に示すように、表面が親液性のバー4の断面形状が円形になっている。このバー4はその中心軸の周りに回転可能になっており、必要に応じて回転させることができるようになっている。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第5の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【実施例1】
【0028】
実施例1では、第5の実施形態によるパターン形成方法をめっき電極パターンの形成に適用した場合について説明する。
まず、表面に親液部1aと撥液部1bとを有する基板1をガラス基板を用いて次のように形成した。
ガラス基板として、コーニング社製の1737ガラスを用いた。その上にパターン形成材料として、東レ社製ポジ型感光性ポリイミド(フォトニースPW−1530)をスピンコーティング法にて塗布(2000rpm/30秒)し、続いて乾燥(120℃/3分)を行った後、大日本スクリーン製造社製の手動露光機(MA−1200型)にて、フォトマスクを介してパターン露光(ブロードバンドのUV光源、i線で250mJ/cm2 )を行い、現像(2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)溶液にて90秒のパドル現像)、焼成(140℃/30秒+300℃/60分)を行った。こうして得られたポリイミドのパターンは厚さが2.5μmで、パターンの精細度は、最も高いものでライン/スペースが10/10(μm)であった。
【0029】
次に、上記のようにして形成したポリイミドパターンの表面に対して、芝浦メカトロニクス社製のCDE(Chemical Dry Etching)装置(CDE−N80)にて、フッ素プラズマ・ラジカル処理を行った。このときのプロセス条件は次のとおりである。
O2 :40sccm
CF4 :270sccm
N2 :80sccm
圧力 :80Pa
パワー :700W
基板温度:70℃
時間 :30秒
このフッ素プラズマ・ラジカル処理により、ポリイミドパターン表面の自由エネルギーが18.0mJ/m2 となり、高い撥液性のパターンが得られた。同時に、このときのガラス基板表面の自由エネルギーは70mJ/m2 であり、親液性が得られている。こうして、図7Aに示すように、ガラス基板8からなる親液部1aとフッ素プラズマ・ラジカル処理されたポリイミドからなる撥液部1bとを有する基板1が形成された。
【0030】
次に、この基板1に対して、めっき電極形成用の流動性を有する材料として液体3を充填する。この液体3の充填には、本発明者らが製作したパターン形成装置を用いた。このパターン形成装置の概略構成を図8に示す。図8に示すように、このパターン形成装置においては、基台9上にステージ2が水平移動可能に設けられ、このステージ2上に基板1が載置されている。親液性のバー4は、ロール10の外周に親液性のフィルム11を巻き付けたものである。ステージ2およびバー4はそれぞれステッピングモーターで駆動されるようになっており、同期・非同期いずれでも制御可能になっている。ステージ2は高さの調節機構および基板1の真空吸着機能を有している。
【0031】
液体3の充填は次のプロセス条件で行った。液体3としては、信越化学社製シランカップリング剤KBM−603/乳酸エチル希釈溶液(濃度:2.0wt%)を用いた。基板1とバー4との間隙gは100μm、基板1の送り速度は2mm/sとした。親液性のフィルム10としては旭化成社製の厚さ2.0mmのAPR(登録商標)フィルムを用いた。以上のプロセスにより、図7Aに示すように、アミノ系シランカップリング剤であるKBM−603のパターン5が親液部1a上にのみ形成された。このパターン5の厚さは1nmであった。次に、シランカップリング剤とガラス基板8とを化学結合させるために、120℃/5分の乾燥を行った。この後、基板1をエタノール溶液に浸漬した状態で超音波洗浄を20分行い、過剰なシランカップリング剤を除去し、基板1を100℃で5分乾燥させた。
【0032】
次に、無電解めっき用のパラジウム触媒溶液に基板1を浸漬し、触媒処理を行った。パラジウムは、シランカップリング剤中のアミンと配位結合を形成するので、次の工程で形成するめっき膜に良好な密着性を与える。また、パラジウムは、ガラスとは結合しないため、シランカップリング剤の存在する領域にのみ付着させることができる。こうして、図7Bに示すように、パターン5上にのみ粒状のパラジウム触媒12が形成される。このパラジウム触媒12の粒径は10nmであった。
次に、無電解Niめっきプロセスにより、Ni膜を成膜した。めっき液は、上村工業社製のNi−B用めっき液BEL−801を用いた。
上記の一連のプロセスにより、図7Cに示すように、精細度がライン/スペースで10/10(μm)のNi膜からなるめっき電極パターン13が得られた。
【0033】
次に、この発明の第6の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第6の実施形態においては、図9に示すようなパターン形成装置を用いる。図9に示すように、このパターン形成装置においては、容器21内にパターン形成用の液体3が入れられている。また、この液体3と外部空間との界面に親液性のバー4が設けられている。このバー4の下部は液体3中に浸漬されているのが望ましい。これは、最終的に基板1の親液部1a上にのみ液体3が確実に残されるようにするためである。基板1は図示省略した駆動機構により上下動可能に構成されており、液体3中に浸漬し、引き上げることができるようになっている。
【0034】
このパターン形成装置を用いて次のようにしてパターンを形成する。
まず、基板1を容器21の上方から垂直に下降させ、液体3中に完全に浸漬させた後、基板1を徐々に引き上げる。基板1が液体3と外部空間との界面を通過するとき、液体3が毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、基板1が引き上げられるにつれて、親液部1a上にのみ液体3が残されていく。こうして、目的とするパターンが親液部1a上にのみ形成される。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第6の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【実施例2】
【0035】
実施例2では、第6の実施形態によるパターン形成方法をインジウム−スズ酸化物(ITO)電極パターンの形成に適用した場合について説明する。
まず、実施例1と同様にして親液部1aと撥液部1bとを有する基板1を作製した。
パターン形成用の液体3としては、針状ITO微粒子分散液(住友金属鉱山社製SC−100)を用いた。基板1の引き上げ速度は1mm/s、基板1とバー4との間隙は50μmとした。
上記条件により針状ITO微粒子分散液を親液部1a上にのみ残した後、窒素置換炉により120℃で1時間焼成を行った。これによって、厚さが1μmでシート抵抗が103 Ω/□のITO電極パターンが得られた。このITO電極パターンは精細度がライン/スペースで10/10(μm)であった。
【0036】
次に、この発明の第7の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第7の実施形態においては、図10に示すようなパターン形成装置を用いる。図10に示すように、このパターン形成装置においては、容器21内にパターン形成用の互いに異なる二種類の液体3a、3bが深さ方向に互いに分離した状態で入れられている。これらの液体3a、3bは、互いに比重が異なり(この場合、液体3aの比重の方が液体3bの比重より大きい)、かつ相溶性がないものである。また、下層の液体3aと上層の液体3bとの界面および上層の液体3bと外部空間との界面にそれぞれ親液性のバー4が設けられている。下層の液体3aと上層の液体3bとの界面のバー4の下部は下層の液体3aに浸漬されているのが望ましく、上層の液体3bと外部空間との界面のバー4の下部は液体3b中に浸漬されているのが望ましい。この場合、基板1は、図示省略した駆動機構により、容器21の底面に設けられた基板投入口22から液体3a中に導入することができ、また、容器21外に引き上げることができるようになっている。基板投入口22には例えば一対のローラー23a、23bが設置され、基板1が液体3a中に導入されるのに同期してこれらのローラー23a、23bにより基板1を両面から挟むことで液体3aが容器21外に漏れないようにしている。
【0037】
このパターン形成装置を用いて次のようにしてパターンを形成する。
まず、基板1を容器21の底面の基板投入口22から下層の液体3a中に導入し、徐々に引き上げる。基板1が液体3aと液体3bとの界面を通過するとき、液体3aが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、基板1が引き上げられるにつれて、親液部1a上にのみ液体3aが残されていく。基板1がさらに引き上げられて液体3bと外部空間との界面を通過するとき、液体3bが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、親液部1a上に残された液体3aの上に液体3bが残される。こうして、親液部1a上に互いに異なる二種類の液体3a、3bが充填される。そして、最終的に、互いに異なる材料からなる二層構造のパターンが親液部1a上にのみ形成される。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第7の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点に加えて、二層構造のパターンを容易に形成することができるという利点を得ることができる。
【実施例3】
【0038】
実施例3では、第7の実施形態によるパターン形成方法をポリテトラフルオロエチレン/ITO電極パターンの形成に適用した場合について説明する。
まず、実施例1と同様にして親液部1aと撥液部1bとを有する基板1を作製した。
パターン形成用の液体3aとしては、比重1.78のポリテトラフルオロエチレン樹脂溶液(三井フロロケミカル社製ポリテトラフルオロエチレンAF1600)を用いた。パターン形成用の液体3bとしては、比重1.5の針状ITO微粒子分散液(住友金属鉱山社製SC−100)を用いた。基板1の引き上げ速度は1mm/s、基板1とバー4との間隙は50μmとした。
上記条件により基板1の親液部1a上にのみ順次、ポリテトラフルオロエチレン樹脂および針状ITO微粒子分散液を残した後、窒素置換炉により120℃で1時間焼成を行った。これによって、厚さが500nmのポリテトラフルオロエチレン樹脂上に厚さが1μmでシート抵抗が103 Ω/□のITO電極パターンが得られた。このITO電極パターンは精細度がライン/スペースで20/20(μm)であった。この場合、ポリテトラフルオロエチレン樹脂は厚さが500nmと十分に厚いため、十分な酸化防止効果を得ることができる。
【0039】
次に、この発明の第8の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第8の実施形態においては、図11に示すようなパターン形成装置を用いる。図11に示すように、このパターン形成装置においては、容器21内にパターン形成用の互いに異なる二種類の液体3a、3bが深さ方向および水平方向に互いに分離した状態で入れられている。これらの液体3a、3bは、互いに比重が異なり(この場合、液体3aの比重の方が液体3bの比重より大きい)、かつ相溶性がないものである。この場合、液体3a、3bは深さ方向においては比重の差により互いに分離され、水平方向においては仕切り板24により互いに分離されている。また、下層の液体3aと上層の液体3bとの界面および上層の液体3bと外部空間との界面にそれぞれ親液性のバー4が設けられている。下層の液体3aと上層の液体3bとの界面のバー4の下部は下層の液体3aに浸漬されているのが望ましく、上層の液体3bと外部空間との界面のバー4の下部は液体3b中に浸漬されているのが望ましい。この場合、基板1は、図示省略した駆動機構により、仕切り板24の片側の部分の上方から垂直に下降させ、液体3a中に完全に浸漬した後、図11中矢印で示すように液体3a中を移動させ、液体3bを通って容器21外に引き上げることができるようになっている。
【0040】
このパターン形成装置を用いて次のようにしてパターンを形成する。
まず、基板1を容器21の仕切り板24の片側の液体3a中に垂直に浸漬し、さらにこの液体3a中を矢印で示すように移動させ、基板1が垂直になった状態で垂直に引き上げる。基板1が液体3aと液体3bとの界面を通過するとき、液体3aが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、基板1が引き上げられるにつれて、親液部1a上にのみ液体3aが残されていく。基板1がさらに引き上げられて液体3bと外部空間との界面を通過するとき、液体3bが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、親液部1a上に残された液体3aの上に液体3bが残される。こうして、親液部1a上に互いに異なる二種類の液体3a、3bが充填される。そして、最終的に、互いに異なる材料からなる二層構造のパターンが親液部1a上にのみ形成される。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第8の実施形態によれば、第7の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0041】
次に、この発明の第9の実施形態によるパターン形成方法について説明する。
この第9の実施形態においては、図12に示すようなパターン形成装置を用いる。図12に示すように、このパターン形成装置においては、第8の実施形態と同様に、容器21内にパターン形成用の互いに異なる二種類の液体3a、3bが深さ方向および水平方向に互いに分離した状態で入れられている。これらの液体3a、3bは、互いに比重が異なり(この場合、液体3aの比重の方が液体3bの比重より大きい)、かつ相溶性がないものである。この場合、液体3a、3bは、深さ方向においては比重の差により互いに分離され、水平方向においては仕切り板24により互いに分離されている。また、仕切り板24の片側の下層の液体3aと上層の液体3bとの界面および仕切り板24の他方の片側の液体3aと外部空間との界面にそれぞれ親液性のバー4が設けられている。仕切り板24の片側の下層の液体3aと上層の液体3bとの界面のバー4の下部は下層の液体3aに浸漬されているのが望ましく、仕切り板24の他方の片側の液体3aと外部空間との界面のバー4の下部は液体3a中に浸漬されているのが望ましい。この場合、基板1は、図示省略した駆動機構により、仕切り板24の片側の部分の上方から垂直に下降させ、液体3b中に浸漬した後、図12中矢印で示すように液体3a中を移動させ、仕切り板24の他方の片側の部分の液体3aを通って容器21外に引き上げることができるようになっている。
【0042】
このパターン形成装置を用いて次のようにしてパターンを形成する。
まず、基板1を容器21の仕切り板24の片側の液体3b中に垂直に浸漬し、この液体3bと液体3aとの界面を垂直に通過させた後、液体3a中を矢印で示すように仕切り板24の他方の片側の部分に移動させ、基板1が垂直になった状態で容器21外に垂直に引き上げる。こうして基板1が液体3aと液体3bとの界面を通るとき、液体3bが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、基板1が引き上げられるにつれて、親液部1a上にのみ液体3bが残されていく。また、基板1が液体3aから引き上げられるとき、液体3aが毛細管現象により基板1とバー4との間に満たされ、親液部1a上に残された液体3bの上に液体3aが残される。こうして、親液部1a上に互いに異なる二種類の液体3b、3aが順次充填される。そして、最終的に、互いに異なる材料からなる二層構造のパターンが親液部1a上にのみ形成される。
上記以外のことについては第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
この第9の実施形態によれば、第7の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0043】
以上、この発明の実施形態および実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態および実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
例えば、上述の実施形態および実施例において挙げた数値、構造、形状、材料、原料、プロセス等はあくまでも例に過ぎず、必要に応じてこれらと異なる数値、構造、形状、材料、原料、プロセス等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】この発明の第1の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図2】この発明の第1の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図3】この発明の第2の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図4】この発明の第3の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図5】この発明の第4の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図6】この発明の第5の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図7】この発明の実施例1によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図8】この発明の実施例1によるパターン形成方法において用いられるパターン形成装置を示す略線図である。
【図9】この発明の第6の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図10】この発明の第7の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図11】この発明の第8の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図12】この発明の第9の実施形態によるパターン形成方法を説明するための断面図である。
【図13】従来のパターン形成方法の問題点を説明するための断面図である。
【符号の説明】
【0045】
1…基板、2…ステージ、3、3a、3b…液体、4…バー、5…パターン、6…スリットコーター、7…キャピラリーコーター、8…ガラス基板、10…ロール、11…親液性のフィルム、12…パラジウム触媒、13…めっき電極パターン、21…容器、22…基板投入口、24…仕切り板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布する工程と、
上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程とを有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
上記材料が塗布された上記基板と上記部材とを相対的に移動させた後、上記材料の乾燥または焼成を行う工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
上記基板の上記親液性の部分の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上であり、上記基板の上記撥液性の部分の表面自由エネルギーは30mJ/m2 以下であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項4】
上記部材の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項5】
上記移動速度が0.01mm/s以上1000mm/s以下であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項6】
上記材料が塗布された上記基板と上記部材とを互いに平行に相対的に移動させることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項7】
上記基板と上記部材との間隙が0.1μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項8】
上記基板と上記部材との間隙が1μm以上1mm以下であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項9】
上記材料が塗布された上記基板を固定し、上記材料が塗布された上記基板に対して上記部材を移動させることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項10】
上記部材を固定し、上記部材に対して上記材料が塗布された上記基板を移動させることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項11】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布しながら、上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項12】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板の保持手段と、
上記基板に流動性を有する材料を塗布する手段と、
表面が親液性の部材と、
上記材料が塗布された上記基板と上記部材とを、上記部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる手段とを有することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項13】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を、所定の容器に収容された流動性を有する材料中に浸漬する工程と、
上記基板を上記材料から引き上げ、この際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるようにする工程とを有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項14】
上記容器に複数種類の材料が深さ方向に互いに分離した状態で収容されており、上記容器の底面から上記最下層の材料中に上記基板を浸漬し、上記複数種類の材料を順次通るように上記基板を引き上げ、この際、上記材料同士の界面を上記基板が通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により下層側の上記材料が満たされるようにすることを特徴とする請求項13記載のパターン形成方法。
【請求項15】
上記容器に複数種類の材料が深さ方向および/または水平方向に互いに分離した状態で収容されており、上記基板を一つの上記材料中に浸漬し、上記複数種類の材料を順次通るように上記基板を移動させ、他の一つの上記材料から上記基板を引き上げ、この際、上記材料同士の界面を上記基板が通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により進行方向後ろ側の上記材料が満たされるようにすることを特徴とする請求項13記載のパターン形成方法。
【請求項16】
流動性を有する材料が収容される容器と、
上記容器に収容される上記材料に表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を浸漬し、上記材料から上記基板を引き上げる手段と、
上記基板を上記材料から引き上げる際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材とを有することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項17】
上記容器に複数種類の材料が深さ方向に互いに分離した状態で収容される場合に、上記材料同士の界面を上記基板が通過するときに上記基板との間に毛細管現象により下層側の上記材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材をさらに有することを特徴とする請求項16記載のパターン形成装置。
【請求項18】
上記容器に複数種類の材料が深さ方向および/または水平方向に互いに分離した状態で収容される場合に、上記材料同士の界面を上記基板が通過するときに上記基板との間に毛細管現象により進行方向後ろ側の上記材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材をさらに有することを特徴とする請求項16記載のパターン形成装置。
【請求項19】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布する工程と、
上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程とを有することを特徴とする電子応用装置の製造方法。
【請求項20】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布しながら、上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程を有することを特徴とする電子応用装置の製造方法。
【請求項21】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を、所定の容器に収容された流動性を有する材料中に浸漬する工程と、
上記基板を上記材料から引き上げ、この際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるようにする工程とを有することを特徴とする電子応用装置の製造方法。
【請求項1】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布する工程と、
上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程とを有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項2】
上記材料が塗布された上記基板と上記部材とを相対的に移動させた後、上記材料の乾燥または焼成を行う工程をさらに有することを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項3】
上記基板の上記親液性の部分の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上であり、上記基板の上記撥液性の部分の表面自由エネルギーは30mJ/m2 以下であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項4】
上記部材の表面自由エネルギーは50mJ/m2 以上であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項5】
上記移動速度が0.01mm/s以上1000mm/s以下であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項6】
上記材料が塗布された上記基板と上記部材とを互いに平行に相対的に移動させることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項7】
上記基板と上記部材との間隙が0.1μm以上10mm以下であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項8】
上記基板と上記部材との間隙が1μm以上1mm以下であることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項9】
上記材料が塗布された上記基板を固定し、上記材料が塗布された上記基板に対して上記部材を移動させることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項10】
上記部材を固定し、上記部材に対して上記材料が塗布された上記基板を移動させることを特徴とする請求項1記載のパターン形成方法。
【請求項11】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布しながら、上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程を有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項12】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板の保持手段と、
上記基板に流動性を有する材料を塗布する手段と、
表面が親液性の部材と、
上記材料が塗布された上記基板と上記部材とを、上記部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる手段とを有することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項13】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を、所定の容器に収容された流動性を有する材料中に浸漬する工程と、
上記基板を上記材料から引き上げ、この際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるようにする工程とを有することを特徴とするパターン形成方法。
【請求項14】
上記容器に複数種類の材料が深さ方向に互いに分離した状態で収容されており、上記容器の底面から上記最下層の材料中に上記基板を浸漬し、上記複数種類の材料を順次通るように上記基板を引き上げ、この際、上記材料同士の界面を上記基板が通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により下層側の上記材料が満たされるようにすることを特徴とする請求項13記載のパターン形成方法。
【請求項15】
上記容器に複数種類の材料が深さ方向および/または水平方向に互いに分離した状態で収容されており、上記基板を一つの上記材料中に浸漬し、上記複数種類の材料を順次通るように上記基板を移動させ、他の一つの上記材料から上記基板を引き上げ、この際、上記材料同士の界面を上記基板が通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により進行方向後ろ側の上記材料が満たされるようにすることを特徴とする請求項13記載のパターン形成方法。
【請求項16】
流動性を有する材料が収容される容器と、
上記容器に収容される上記材料に表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を浸漬し、上記材料から上記基板を引き上げる手段と、
上記基板を上記材料から引き上げる際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材とを有することを特徴とするパターン形成装置。
【請求項17】
上記容器に複数種類の材料が深さ方向に互いに分離した状態で収容される場合に、上記材料同士の界面を上記基板が通過するときに上記基板との間に毛細管現象により下層側の上記材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材をさらに有することを特徴とする請求項16記載のパターン形成装置。
【請求項18】
上記容器に複数種類の材料が深さ方向および/または水平方向に互いに分離した状態で収容される場合に、上記材料同士の界面を上記基板が通過するときに上記基板との間に毛細管現象により進行方向後ろ側の上記材料が満たされるように設けられた、表面が親液性の部材をさらに有することを特徴とする請求項16記載のパターン形成装置。
【請求項19】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布する工程と、
上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程とを有することを特徴とする電子応用装置の製造方法。
【請求項20】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板上に流動性を有する材料を塗布しながら、上記材料が塗布された上記基板と表面が親液性の部材とを、この部材と上記材料とが互いに接触するように相対的に移動させる工程を有することを特徴とする電子応用装置の製造方法。
【請求項21】
表面に親液性の部分と撥液性の部分とを有する基板を、所定の容器に収容された流動性を有する材料中に浸漬する工程と、
上記基板を上記材料から引き上げ、この際、上記基板が上記材料と外部空間との界面を通過するときに表面が親液性の部材と上記基板との間に毛細管現象により上記材料が満たされるようにする工程とを有することを特徴とする電子応用装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−167696(P2006−167696A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367910(P2004−367910)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]