パターン描画装置の状態監視方法および状態監視装置
【課題】周期性のあるパターンにおいて、回折光量差によるコントラストからパターン変動発生箇所を精度良く識別し、かつ、その変動発生周期を簡便に導出することによってパターン描画装置の状態監視を実施できるパターン描画装置の状態監視方法を提供する。
【解決手段】描画装置によって周期性パターンが形成された基板に照明光を斜め入射し、周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置向け状態監視方法であって、前記周期性パターンのパターン情報入力工程と、位置決め工程と、パターンピッチと撮像分解能の関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率設定工程と、デフォーカス工程と、デフォーカスさせた位置において、前記基板の周期性パターンを撮像し被処理画像を取得する撮像工程と、前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出工程と、前記基板上で発生しているむら欠陥が描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定工程とを具備する。
【解決手段】描画装置によって周期性パターンが形成された基板に照明光を斜め入射し、周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置向け状態監視方法であって、前記周期性パターンのパターン情報入力工程と、位置決め工程と、パターンピッチと撮像分解能の関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率設定工程と、デフォーカス工程と、デフォーカスさせた位置において、前記基板の周期性パターンを撮像し被処理画像を取得する撮像工程と、前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出工程と、前記基板上で発生しているむら欠陥が描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定工程とを具備する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、パターン描画装置の状態監視を行うためのパターン描画装置の状態監視方法および状態監視装置に関する。
なお、周期性パターンとは、一定の間隔を有するパターンの集合体を称し、たとえば、パターンが所定のピッチで配列したストライプ状の周期性パターン、あるいは、開口部のパターンが所定の周期で2次元的に配列したマトリクス状のパターン等が該当する。周期性パターンを有する基板としては、特に半導体装置、撮像デバイスおよび表示デバイス等を製造する際にフォトリソグラフィ処理の露光工程で用いられるフォトマスクが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置、撮像デバイスおよび表示デバイス等の製造工程で用いられるフォトマスクとしては、ガラス等の透明基板上にクロム等の遮光膜が一定のパターンに部分的に除去されて構成されたものが知られている。
【0003】
フォトマスクのような周期性パターンにおけるむら欠陥は、通常、微細なピッチずれや位置ずれが規則的に配列していることが原因であることが多いため、個々のパターン検査では発見することが困難であるが、周期性パターンを広い領域において観察したときに初めて認識される欠陥である。
【0004】
周期性のあるパターン、たとえば、CCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクのむらを安定的、高精度に撮像、検出可能な周期性パターンむら検査装置を提供することを目的として、照明光が被検査体に照射され、周期性パターンによって生じる透過回折光を画像検査する検査装置が公知である(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
周期性パターンの正常部では開口部の形状、ピッチが一定となるため互いに干渉し、一定の方向に回折光を生じる。それに対し、むら部では開口部の形状、ピッチが不規則になるため、形状、ピッチに応じて、その次数ごとに種々の方向に種々の強さで回折光が生じる。この検査装置では、正常部とむら部における回折光強度コントラストの違いから、むら部を検出する方式をとっている。
【0006】
特許文献1に開示されているようなCCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクでは、パターンピッチは5μm〜30μm程度であり、各回折次数における回折光が互いに分離し易いようなパターンが多い。しかし、たとえば、LCD製造用フォトマスクでは、そのパターンピッチは20μm程度のものから1000μm程度のものまで幅広く存在し、割合としてはCCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクよりもパターンピッチが大きいものが多い。パターンピッチが100μmを超えるようなパターンでは回折光が互いに分離し難くなるため、正常部と異常部のコントラストの違いからむら部を検出する手法は難しいのではないかと考えられていた。
【0007】
これに対して、たとえば、主パターン(パターン周期が80〜2000μm)に対し、この主パターンとは周期の異なる補助パターン(パターン周期が1〜50μm)を、主パターン以外の領域に、主パターンと同時に描画することによって形成し、この補助パターンからの回折光コントラスト差を捉えることにより描画起因のエラー発生位置を捉え、エラーが発生している補助パターンと同一直線上に配置された主パターンにおいても同様のエラーが生じているものとみなす検査方法が公知である(たとえば、特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、実際の描画工程においては、1回のビーム走査中にビームの強度ばらつきや走査位置のずれによって、部分的にパターン寸法ずれや位置ずれが発生する可能性がある。たとえ同一直線状であってもむら欠陥の程度が変化している可能性があるため、上記特許文献2の方法は効果的であるとは言い難い。
【0009】
また、LCD製造用フォトマスクは、CCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクに比べパターンピッチが大きいものが多い。そのため、マクロ撮像を行った場合でも合焦点位置において被検査画像中でパターンが解像してしまい、被検査画像上でむら欠陥との弁別が困難となり、検査精度が低下してしまう問題がある。パターン解像による影響を低減させる手法としてはデフォーカスを挙げることができる。
【0010】
シャドウマスクにおけるむら検査方法にて、意図的に焦点位置をずらした状態で被検査基板を撮像し画像取得を行っている例(たとえば、特許文献3参照)が挙げられるが、これは基板の被検査面に対して斜めから光を照射して回折光を捉える方法ではない。
【0011】
特許文献1でも示されているように、やはり周期性パターンにおけるむらを安定して検出するためにはパターンにおいて生じた回折光を捉え、正常部と欠陥部とで生じた回折光量差に着目することが有効であることが公知であるとされてきている。
【0012】
ところで、パターン描画装置における描画方式はベクタ方式とラスタ方式に分類される。CCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクや半導体装置用基板製造用のフォトマスクにおけるパターン描画にはEB(電子線)描画装置が用いられ、その殆どが描画部のみビーム走査を行うベクタ方式によるものである。一方で、LCD製造用フォトマスクにおけるパターン描画ではレーザ描画装置が用いられており、領域全体をスキャンし、描画部のみビームをオンするラスタ方式が用いられている。
【0013】
これら描画装置では、それぞれ固有の描画パラメータが設けられている例が多く、たとえば、LCD製造用フォトマスク向けレーザ描画装置では、1回のビーム走査幅を示すスキャンレングス(Scan Length)というパラメータが存在する。パターンピッチとスキャンレングスが異なる場合において、パターンエッジとこのスキャンレングスの境界部分が重なる時にパターンの寸法変動が生じる例がある。
【0014】
また、EB描画装置においては描画フィールド(FIELD)と呼ばれる正方形状の描画領域が設定され、この描画領域境界部分でパターンの寸法変動や位置変動が生じる例が確認されてきている。上記のような現象により生じるむら欠陥は、その描画パラメータに依存した周期性を有しているため、描画装置における描画パラメータとむら発生周期との関係性が重要視されてきている。
【0015】
そして、上述した従来技術は、製造工程上における製品検査に係る内容に留まっていると言える。検査工程にて発見された製品不良を、上流側の工程において未然に防止するという観点からは、LCD製造用フォトマスクのような基板上に周期性パターンが形成された製品におけるむら欠陥を効果的に可視化し、かつ、その発生周期を簡便に導出することで描画装置の状態監視を行い、その結果を描画装置側へフィードバックすることによって最適な描画条件を設定するような、むら欠陥発生を未然に防ぐための手法の確立が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2006−275609号公報
【特許文献2】特許第3366802号公報
【特許文献3】特開2007−271591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、周期性のあるパターン、特に、LCD製造用フォトマスクのような基板において、回折光量差によるコントラストからパターン変動発生箇所を精度良く識別し、かつ、その変動発生周期を簡便に導出することによってパターン描画装置の状態監視を実施することができるパターン描画装置の状態監視方法および状態監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、前記基板に対し照明光を斜め方向から照射することで、前記周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置の状態監視方法であって、前記周期性パターンのピッチ、サイズ等の製品情報、および前記基板上へのパターン描画条件、前記パターン描画装置の種類等の描画情報を入力するパターン情報入力工程と、前記基板の被撮像面内方向における位置決めを行う位置決め工程と、前記パターン情報入力工程において入力された前記周期性パターンに関する情報を基に、パターンピッチと撮像分解能との関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率設定工程と、前記基板の周期性パターンが形成された面を被撮像面とし、合焦点位置を被撮像面に対して鉛直方法に所定量ずらすデフォーカス工程と、前記合焦点位置から所定量デフォーカスさせた位置において、前記基板の周期性パターンを撮像し被処理画像を取得する撮像工程と、前記被処理画像上で確認される前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出工程と、このむら欠陥周期算出工程において求めたむら周期と、前記パターン情報入力工程において入力されたパターン描画条件との比較により、前記基板上で発生しているむら欠陥がパターン描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定工程とを具備している。
【0019】
本発明の請求項2に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1において、前記パターン情報入力工程は、前記基板の周期性パターンに対して、任意の水平方向角度での照明について撮像条件の設定ができるように、照明と前記基板との水平角度方向に関する条件入力が可能であることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項3に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1または2において、前記基板の周期性パターンのパターンピッチは20μm〜400μmであることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項4に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記照明光は、中心波長が540nmの緑色光であることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項5に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記撮像工程は、前記基板の周期性パターンからの回折光を、光電変換素子を利用した撮像手段によって実施するものであり、かつ、前記撮像手段は、前記基板の周期性パターンにより生じる回折光のうち、前記基板の被撮像面に対して垂直な回折光のみを抽出する光学系を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項6に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記撮像倍率設定工程は、撮像倍率の設定を行うのに電動式ズームレンズを利用することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項7に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記デフォーカス工程は、前記合焦点位置からのデフォーカス量が光学系の焦点深度よりも大きいことを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項8に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記デフォーカス工程は、前記合焦点位置を被撮像面に対して鉛直に遠ざける方向にずらすことを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項9に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜8のいずれかにおいて、前記むら欠陥周期算出工程は、前記撮像工程により取得された被処理画像に対して2次元フーリエ変換を利用することで周期を算出することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項10に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜9のいずれかにおいて、前記パターン描画装置は、波長が413nmのクリプトンイオンレーザを基板上で走査させることによりパターンを描画するラスタ式パターン描画装置であることを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項11に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜10のいずれかにおいて、前記基板は、波長が365nm〜436nmの範囲内における所定の波長域の光を露光するためのフォトマスクであることを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項12に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜11のいずれかにおいて、前記基板は、液晶表示装置用部材製造用フォトマスクであることを特徴とする。
【0030】
本発明の請求項13に係わるパターン描画装置の状態監視装置は、パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、前記基板に対し照明光を斜め方向から照射することで、前記周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置の状態監視装置であって、前記基板を載置し、X軸、Y軸方向に駆動する機構を具備する搬送手段と、前記基板の所定領域に光を照射してその所定領域を撮像して得られた画像に所定の画像処理を行って、前記基板の被撮像面内方向における位置決めを行う位置決め手段と、照明光として可視光を発生可能な光源を具備する照明ヘッドと、この照明ヘッドを支持し、かつ、前記搬送手段に載置された前記基板上の一定領域に略平行な照明光を照射しつつ前記基板の被撮像面に垂直な方向に対する照明光照射角度φを制御可能であり、さらに、前記照明ヘッドを前記基板の被検査面に対して水平な角度θ方向に駆動することが可能な照明ヘッド駆動手段と、前記照明ヘッドによって照明光が前記基板の周期性パターンに照射されることにより生じる回折光を撮像する撮像手段と、この撮像手段を前記基板の被検査面に対して鉛直方向(Z軸方向)に駆動させることが可能な撮像部駆動手段と、前記位置決め手段からの映像出力および前記撮像手段からの映像出力を画像情報とする画像入力手段と、前記周期性パターンのピッチ、サイズ等の製品情報、および前記基板上へのパターン描画条件、前記パターン描画装置の種類等の描画情報の入力やその他操作を行うための対人操作手段と、この対人操作手段により入力された前記周期性パターンに関する情報を基に、パターンピッチと撮像分解能との関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率決定手段と、前記基板の周期性パターンが形成された面を被撮像面とし、合焦点位置を被撮像面に対して鉛直方法に所定量ずらすデフォーカス手段と、前記撮像手段により取得された被処理画像上で確認される前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出手段と、このむら欠陥周期算出工程において求めたむら周期と、前記対人操作手段において入力されたパターン描画条件との比較により、前記基板上で発生しているむら欠陥がパターン描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定手段と、前記搬送手段、前記位置決め手段、前記照明ヘッド、前記照明ヘッド駆動手段、前記撮像手段、および、前記撮像部駆動手段の動作制御を行う制御手段と、前記位置決め手段および前記撮像手段にて撮像した画像および前記制御手段による処理結果を表示する表示手段とを具備している。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、周期性のあるパターン、特に、LCD製造用フォトマスクのような基板において、回折光量差によるコントラストからパターン変動発生箇所を精度良く識別し、かつ、その変動発生周期を簡便に導出することによってパターン描画装置の状態監視を実施することができるパターン描画装置の状態監視方法および状態監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係るパターン描画装置の状態監視装置の要部を概略的に示す模式図。
【図2】照明ヘッドの光源に内蔵された光学フィルタの分光透過率を示す特性図。
【図3】パターン描画装置の状態監視方法を説明するフローチャート。
【図4】基板と投光方向θ軸との対応関係を模式的に示す図。
【図5】被処理画像に対する矩形計算領域の定義方法を模式的に示す図。
【図6】被処理画像からの積算値ΣIと比較基準値Σ0の算出方法を模式的に示す図。
【図7】被処理画像からの2次元フーリエ変換によるパワースペクトル像導出方法を模式的に示す図。
【図8】第1の実施例における周期性パターンの形状を模式的に示す図。
【図9】第1の実施例における取得画像とパワースペクトル像を示す図。
【図10】第2の実施例における周期性パターンの形状を模式的に示す図。
【図11】第2の実施例における取得画像とパワースペクトル像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るパターン描画装置の状態監視装置の要部を概略的に示すものである。図1では、透過回折光を得るための装置構成例を示している。なお、本状態監視装置は、外乱光や迷光を極力低減させた暗環境かつ基板への異物付着を防止するクリーン環境で稼動されることが望ましい。
【0034】
図1に示すように、本状態監視装置は、透過照明部10、基板60の位置決め動作および基板搬送動作が可能なX−Yステージ部20、基板60の位置決めを実施するためのアライメント用撮像部30、基板60からの回折像を撮像し、被処理画像取得を実施する撮像部40、および、処理・制御部100から構成されている。
【0035】
透過照明部10は、円弧レール11がターンテーブル12上に設置されている。円弧レール11には照明ヘッド13が設けられていて、この照明ヘッド13には光源14からライトガイド15を用いて導光している。円弧レール11上で照明ヘッド13を駆動することによって基板60の被撮像面に対して垂直方向の照射角度調整を可能としている(なお、この駆動軸をφ軸と定義する)。
【0036】
円弧レール11上のどの位置にあっても照明ヘッド13は、X−Yステージ部20上の所定位置に照明光を照射することができるように調整されており、これによって、X−Yステージ部20上の基板60の被撮像面に対して、様々な照射角度からの透過照明が可能となっている。
【0037】
また、ターンテーブル12により円弧レール11を被撮像面に対して水平方向に回転させることが可能であり(この駆動軸をθ軸と定義する)、水平方向における任意方向から照明光の照射が可能となっている。
【0038】
なお、照明ヘッド13には平行光学系が設けられている。光源14には、フィルタチェンジャ機構が設けられており、複数の波長選択フィルタを用いることが可能となっているが、本実施の形態では図2に示す分光透過率を有する、ピーク波長が540nmのバンドパスフィルタを用いている。
【0039】
また、光源14としては十分な照度を有しているものが望ましく、本実施の形態では光源14にはメタルハライド光源を用いている。仮に照度が不足するような場合には、複数個の光源を用いた装置構成としてもよい。
【0040】
基板60は、X−Yステージ部20におけるワークストッパ21にてXおよびY方向で固定される。なお、ワークストッパ21は基板サイズに応じて固定位置の調整が可能である。
【0041】
X−Yステージ部20は、基板60を図1のX軸方向およびY軸方向に平行移動する機能を有する。これによって、あらかじめ設定した動作手順にしたがって基板60をX軸およびY軸方向に駆動する。
【0042】
アライメント用撮像部30は、カメラ31、レンズ32、照明灯33、および、照明制御装置34から構成される。基板60上のアライメントマークを含む領域に対して同軸落射形式で照明光が照射され、その観察画像がカメラ31により撮像される。照明灯33は、照明制御装置34により点灯/消灯制御および照明光強度の調節ができるようになっており、実際の制御動作は処理・制御部100により実施される。
【0043】
なお、本実施の形態では、カメラ31にはエリアCCDカメラを、レンズ32には同軸落射形式の固定倍率テレセントリックレンズを、そして照明灯33には高輝度スポット型の白色LEDを用いている。
【0044】
撮像部40は、カメラ41、平行光学系42、および、Zステージ43から構成される。カメラ41としては、可視光域に分光感度特性を有している光電変換素子を具備していることが望ましい。本実施の形態では、カメラ41としてエリアCCDカメラを用いているが、ラインCCDカメラを用いてもよい。
【0045】
平行光学系42には電動式テレセントリックズームレンズを用いている。このとき、レンズのテレセントリシティとして0.5°以下を満足するようなものが望ましい。また、Zステージ43によりカメラ41とレンズ42が、基板60上の被撮像面に対して鉛直方向に移動することができ、この動作によって焦点位置の微調整が可能となる。
【0046】
処理・制御部100は、情報処理部101、信号入力装置102、信号入力装置103、表示部104、および、対人操作部105から構成されており、透過照明部10、X−Yステージ部20、アライメント用撮像部30、撮像部40の動作管理および制御を行い、アライメント用撮像部30および撮像部40からの出力を画像情報あるいは信号として入力を行い、演算処理を行う。さらに、その処理結果や処理画像を表示手段104に表示する。
【0047】
図3は、本発明の実施の形態に係るパターン描画装置の状態監視方法を説明するフローチャートである。本状態監視方法は、ステップS1〜S12という一連の工程によって行われるもので、以下、各ステップの内容を順に説明する。なお、基板60の着脱等のオペレーション操作については説明を省略する。
【0048】
まず、対人操作部105により、基板60におけるパターンピッチ、サイズ、パネルレイアウト、パターン描画条件、パターン描画装置の種類等のパターン描画情報を、情報処理部101へ入力する(ステップS1)。また、この段階で、前述したθ軸の種類も入力する。ここで、図4に基板60とθとの対応関係を示す(この場合は、例としてθ=0°、45°、90°の3種類について定義した)。
【0049】
次に、X−Yステージ部20とアライメント用撮像部30により、基板60に対するアライメント動作を実施する(ステップS2)。
【0050】
次に、平行光学系42におけるレンズ倍率を設定する(ステップS3)。本実施の形態では、カメラ41における撮像素子サイズとレンズ倍率とによって決まる撮像分解能rと、基板60におけるピッチdiとの関係が下記式(1)を満たすようなレンズ倍率を設定する。なお、式中のhは相対比を表し、正の整数であることとする。
r=h×di ……(1)
ただし、基板60では、ステップS1にて設定したθに応じて光の照射方向に対応した見かけ上のピッチの値が変化するため、各θ軸における見かけ上のピッチdi値を算出する必要がある。
【0051】
基板60の天地方向に対してX方向のピッチをΔx、Y方向のピッチをΔyとすると、
0°≦θ≦45°のときは、
【数1】
【0052】
45°<θ≦90°のときは、
【数2】
【0053】
90°<θ≦135°のときは、
【数3】
【0054】
135°<θ≦180°のときは、
【数4】
【0055】
としてそれぞれ算出される。
【0056】
次に、10°≦φ≦60°の範囲で、むら欠陥の可視化に最適とされる照明照射角度φを設定する(ステップS4)。
【0057】
次に、X−Yステージ部20を駆動させ、処理対象パネルを撮像位置へ移動する(ステップS5)。なお、照明ヘッド13は、ステップS4で設定したφ位置へ移動させる。
【0058】
次に、カメラ41にて処理対象パネルの画像取込を行いながら、Zステージ43によりZ軸方向への微調整を行い、焦点位置からのデフォーカスを実施する(ステップS6)。
【0059】
次に、カメラ41にて画像取込を行いながら、画像処理を実施するのに十分な画像輝度が確保されるように、光源14からの出力を調節し、取込画像輝度レベルの調整を行う(ステップS7)。
【0060】
以上、ステップS3〜S7までの処理が、ステップS1にて入力した全てのθに対して実施されたかどうか判断し(ステップS8)、実施されていなければ、ステップS3に戻り、上記同様な処理を繰り返す。
【0061】
ステップS8において全てのθに対して実施されたと判断した場合、ステップS3〜S7にて設定された条件に基づき、処理対象パネルにおける被処理画像取込を実施する(ステップS9)。
【0062】
次に、ステップS9にて得られた被処理画像に対し、むら評価値Cの算出を実施する(ステップS10)。ここで、むら評価値Cとは、本実施の形態において得られたむら欠陥画像における正常部とパターン変動部との間で生じた輝度コントラストを数値化したものである。
【0063】
以下、ステップS10におけるむら評価値C算出方法について、ステップC1〜C3の順に簡単に説明する。
【0064】
図5に示すように、ステップS9にて得られた被処理画像に対して矩形計算領域を定義し、計算領域内の各画素における輝度値をXおよびY方向に別個に積算し、積算値ΣIを計算する(ステップC1)。なお、積算値は、積算した画素数で割った平均値を取り扱う。図5では、矩形計算領域を被処理画像内側へ内挿した状態を示したが、矩形計算領域は被処理画像全面に設定してもよい。
【0065】
次に、ステップC1にて計算した積算値に対する比較基準値Σ0を計算する(ステップC2)。積算値からの比較基準値の導出について図6に模式的に示す。本実施の形態では、比較基準値の導出方法として移動平均処理を利用する。
【0066】
次に、下記式(6)の演算により、評価値Cを算出する(ステップC3)。
C=|ΣI―Σ0| ……(6)
なお、本実施の形態において複数枚のパネルについて処理を行う場合には、そのうち最も評価値Cが大きくなるものを代表値として取り扱う。
以上、ステップC1〜C3を、むら評価値Cの算出方法に関する説明とする。
【0067】
次に、ステップS9にて得られた被処理画像に対し、2次元フーリエ変換によるむら欠陥発生周期Fの算出を実施する(ステップS11)。
以下、ステップS11における2次元フーリエ変換によるむら欠陥周期算出方法について、ステップF1〜F3の順に簡単に説明する。
【0068】
図7に示すように、ステップS9にて得られた被処理画像において、画像中心を基準とし、縦R画素、横R画素の矩形領域を定義し、矩形領域内にて2次元フーリエ変換を実行し、パワースペクトル像を導出する(ステップF1)。
【0069】
なお、2次元フーリエ変換実行の前処理として、矩形領域内の画像に対する2値化処理を実施する。また、矩形領域の一辺の長さRは、取得された被処理画像の大きさによってその値を変更してもよい。ただし、計算に高速フーリエ変換(FFT)を使用するため、128、256、512というように2のべき乗で表わされる数値となるようにRの値を定義する必要がある。
【0070】
次に、パワースペクトル像から、画像X方向およびY方向それぞれにおいて、空間周波数fに対するパワースペクトル分布を求める(ステップF2)。ここで、空間周波数fとは、ステップF1にて定義した矩形領域の一辺の長さにおける周波数として定義される値である。
【0071】
次に、ステップF2で求めたパワースペクトル分布において最も大きなスペクトルをとる空間周波数fを求め、被処理画像における画像分解能から、空間周波数fをむら欠陥発生周期Fへ変換する(ステップF3)。
以上、ステップF1〜F3を、2次元フーリエ変換によるむら欠陥発生周期算出方法に関する説明とする。
【0072】
次に、ステップS10、S11により得られた結果を基に、以下の条件に基づいて状態判定を行い、その結果を表示部104へ表示する(ステップS12)。このとき、むら評価値Cに対する判定用閾値をC_Th、むら欠陥発生周期Fに対する判定値をF_Lithoと定義しておき、
C>C_Th
かつ、
F=F_Litho
という条件を満たした場合、状態監視対象となるパターン描画装置起因のむら欠陥が発生していると判定する。
【0073】
なお、F_Lithoに該当する数値は、通常パターン描画装置における描画走査周期、あるいは、その整数倍の値が該当する。数値がパターン描画装置において複数存在する場合、むら欠陥発生周期Fの値がそのいずれかに該当した場合に、パターン描画装置起因のむら欠陥が発生していると判定することにしてもよい。
【0074】
また、上記判定条件においてむら欠陥発生周期Fと、判定値F_Lithoの値は完全に一致している必要はなく、場合によっては数μmの誤差を許容しても構わないものとする。
【0075】
以上説明したように、本発明に係る実施の形態の状態監視方法によれば、周期性のあるパターン、特に、LCD製造用フォトマスクのような基板において、回折光量差によるコントラストからパターン変動発生箇所を精度良く識別し、かつ、その変動発生周期を簡便に導出することによってパターン描画装置の状態監視を実施することが可能となる。
【実施例】
【0076】
以下に、本発明における実施例について説明する。
全ての実施例において使用したパターン描画装置は同一であり、描画走査周期の値は420μmである。また、むら評価値Cに対する判定用閾値C_Th=100とし、F_Lithoの値には、420μm、840μmをステップS1にて入力する。なお、パターン描画装置における描画走査方向は全て図4におけるX方向であり、本実施例では基板60への相対投光方向θ=0°とした場合の結果を示す。
【0077】
第1の実施例として、ピッチd=20.5μmのL/S状のパターン51が形成された基板60を監視対象基板とした結果を示す。パターン51の模式図を図8に示す。このパターン51が形成された基板60に対し、ステップS1〜S9の処理に基づいて、φ=30°から照明光を照射し、相対比h=2.439、デフォーカス量が15.0mmの条件にて被処理画像の取得を行った。さらに、ステップS10、S11においてむら評価値Cおよびむら欠陥発生周期Fを算出した結果、C=118.0、F=426.7μmとなった。なお、R=256である。
【0078】
本実施例におけるパターン51の描画に用いたパターン描画装置の描画走査周期の値は420μmであり、2次元フーリエ変換によって得られたむら欠陥発生周期Fの値に非常に近い。以上の結果より、ステップS12においてパターン描画装置起因のむら欠陥が発生していると判定することができる。
第1の実施例に係る取得画像を図9(a)に示し、パワースペクトル像を図9(b)に示す。
【0079】
続いて、第2の実施例として、ピッチd=119.5μmの格子状のパターン52が形成された基板60を監視対象基板とした結果を示す。パターン52の模式図を図10に示す。このパターン52が形成された基板60に対し、ステップS1〜S9の処理に基づいて、φ=30°から照明光を照射し、相対比h=0.795、デフォーカス量が9.0mmの条件にて被処理画像の取得を行った。さらに、ステップS10、S11においてむら評価値Cおよびむら欠陥発生周期Fを算出した結果、C=66.8、F=838.6μmとなった。なお、R=256である。
【0080】
むら欠陥発生周期Fの値が、パターン52の描画に用いたパターン描画装置の描画走査周期の2倍に相当する840μmと近い値であるが、C<C_Thが成り立つため、本実施例では、ステップS12においてパターン描画装置起因のむら欠陥が発生していないという判定結果となる。
第2の実施例に係る取得画像を図11(a)に示し、パワースペクトル像を図11(b)に示す。
【符号の説明】
【0081】
10…透過照明部、11…円弧レール、12…ターンテーブル、13…照明ヘッド、14…光源、15…ライトガイド、20…X−Yステージ部、21…ワークストッパ、30…アライメント用撮像部、31…カメラ、32…レンズ、33…照明灯、34…照明制御装置、40…撮像部、41…カメラ、42…平行光学系、43…Zステージ、51…パターン、52…パターン、60…基板、100…処理・制御部、101…情報処理部、102…信号入力装置、103…信号入力装置、104…表示部、105…対人操作部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、パターン描画装置の状態監視を行うためのパターン描画装置の状態監視方法および状態監視装置に関する。
なお、周期性パターンとは、一定の間隔を有するパターンの集合体を称し、たとえば、パターンが所定のピッチで配列したストライプ状の周期性パターン、あるいは、開口部のパターンが所定の周期で2次元的に配列したマトリクス状のパターン等が該当する。周期性パターンを有する基板としては、特に半導体装置、撮像デバイスおよび表示デバイス等を製造する際にフォトリソグラフィ処理の露光工程で用いられるフォトマスクが挙げられる。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体装置、撮像デバイスおよび表示デバイス等の製造工程で用いられるフォトマスクとしては、ガラス等の透明基板上にクロム等の遮光膜が一定のパターンに部分的に除去されて構成されたものが知られている。
【0003】
フォトマスクのような周期性パターンにおけるむら欠陥は、通常、微細なピッチずれや位置ずれが規則的に配列していることが原因であることが多いため、個々のパターン検査では発見することが困難であるが、周期性パターンを広い領域において観察したときに初めて認識される欠陥である。
【0004】
周期性のあるパターン、たとえば、CCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクのむらを安定的、高精度に撮像、検出可能な周期性パターンむら検査装置を提供することを目的として、照明光が被検査体に照射され、周期性パターンによって生じる透過回折光を画像検査する検査装置が公知である(たとえば、特許文献1参照)。
【0005】
周期性パターンの正常部では開口部の形状、ピッチが一定となるため互いに干渉し、一定の方向に回折光を生じる。それに対し、むら部では開口部の形状、ピッチが不規則になるため、形状、ピッチに応じて、その次数ごとに種々の方向に種々の強さで回折光が生じる。この検査装置では、正常部とむら部における回折光強度コントラストの違いから、むら部を検出する方式をとっている。
【0006】
特許文献1に開示されているようなCCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクでは、パターンピッチは5μm〜30μm程度であり、各回折次数における回折光が互いに分離し易いようなパターンが多い。しかし、たとえば、LCD製造用フォトマスクでは、そのパターンピッチは20μm程度のものから1000μm程度のものまで幅広く存在し、割合としてはCCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクよりもパターンピッチが大きいものが多い。パターンピッチが100μmを超えるようなパターンでは回折光が互いに分離し難くなるため、正常部と異常部のコントラストの違いからむら部を検出する手法は難しいのではないかと考えられていた。
【0007】
これに対して、たとえば、主パターン(パターン周期が80〜2000μm)に対し、この主パターンとは周期の異なる補助パターン(パターン周期が1〜50μm)を、主パターン以外の領域に、主パターンと同時に描画することによって形成し、この補助パターンからの回折光コントラスト差を捉えることにより描画起因のエラー発生位置を捉え、エラーが発生している補助パターンと同一直線上に配置された主パターンにおいても同様のエラーが生じているものとみなす検査方法が公知である(たとえば、特許文献2参照)。
【0008】
しかしながら、実際の描画工程においては、1回のビーム走査中にビームの強度ばらつきや走査位置のずれによって、部分的にパターン寸法ずれや位置ずれが発生する可能性がある。たとえ同一直線状であってもむら欠陥の程度が変化している可能性があるため、上記特許文献2の方法は効果的であるとは言い難い。
【0009】
また、LCD製造用フォトマスクは、CCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクに比べパターンピッチが大きいものが多い。そのため、マクロ撮像を行った場合でも合焦点位置において被検査画像中でパターンが解像してしまい、被検査画像上でむら欠陥との弁別が困難となり、検査精度が低下してしまう問題がある。パターン解像による影響を低減させる手法としてはデフォーカスを挙げることができる。
【0010】
シャドウマスクにおけるむら検査方法にて、意図的に焦点位置をずらした状態で被検査基板を撮像し画像取得を行っている例(たとえば、特許文献3参照)が挙げられるが、これは基板の被検査面に対して斜めから光を照射して回折光を捉える方法ではない。
【0011】
特許文献1でも示されているように、やはり周期性パターンにおけるむらを安定して検出するためにはパターンにおいて生じた回折光を捉え、正常部と欠陥部とで生じた回折光量差に着目することが有効であることが公知であるとされてきている。
【0012】
ところで、パターン描画装置における描画方式はベクタ方式とラスタ方式に分類される。CCD、CMOSデバイス製造用フォトマスクや半導体装置用基板製造用のフォトマスクにおけるパターン描画にはEB(電子線)描画装置が用いられ、その殆どが描画部のみビーム走査を行うベクタ方式によるものである。一方で、LCD製造用フォトマスクにおけるパターン描画ではレーザ描画装置が用いられており、領域全体をスキャンし、描画部のみビームをオンするラスタ方式が用いられている。
【0013】
これら描画装置では、それぞれ固有の描画パラメータが設けられている例が多く、たとえば、LCD製造用フォトマスク向けレーザ描画装置では、1回のビーム走査幅を示すスキャンレングス(Scan Length)というパラメータが存在する。パターンピッチとスキャンレングスが異なる場合において、パターンエッジとこのスキャンレングスの境界部分が重なる時にパターンの寸法変動が生じる例がある。
【0014】
また、EB描画装置においては描画フィールド(FIELD)と呼ばれる正方形状の描画領域が設定され、この描画領域境界部分でパターンの寸法変動や位置変動が生じる例が確認されてきている。上記のような現象により生じるむら欠陥は、その描画パラメータに依存した周期性を有しているため、描画装置における描画パラメータとむら発生周期との関係性が重要視されてきている。
【0015】
そして、上述した従来技術は、製造工程上における製品検査に係る内容に留まっていると言える。検査工程にて発見された製品不良を、上流側の工程において未然に防止するという観点からは、LCD製造用フォトマスクのような基板上に周期性パターンが形成された製品におけるむら欠陥を効果的に可視化し、かつ、その発生周期を簡便に導出することで描画装置の状態監視を行い、その結果を描画装置側へフィードバックすることによって最適な描画条件を設定するような、むら欠陥発生を未然に防ぐための手法の確立が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2006−275609号公報
【特許文献2】特許第3366802号公報
【特許文献3】特開2007−271591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、周期性のあるパターン、特に、LCD製造用フォトマスクのような基板において、回折光量差によるコントラストからパターン変動発生箇所を精度良く識別し、かつ、その変動発生周期を簡便に導出することによってパターン描画装置の状態監視を実施することができるパターン描画装置の状態監視方法および状態監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の請求項1に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、前記基板に対し照明光を斜め方向から照射することで、前記周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置の状態監視方法であって、前記周期性パターンのピッチ、サイズ等の製品情報、および前記基板上へのパターン描画条件、前記パターン描画装置の種類等の描画情報を入力するパターン情報入力工程と、前記基板の被撮像面内方向における位置決めを行う位置決め工程と、前記パターン情報入力工程において入力された前記周期性パターンに関する情報を基に、パターンピッチと撮像分解能との関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率設定工程と、前記基板の周期性パターンが形成された面を被撮像面とし、合焦点位置を被撮像面に対して鉛直方法に所定量ずらすデフォーカス工程と、前記合焦点位置から所定量デフォーカスさせた位置において、前記基板の周期性パターンを撮像し被処理画像を取得する撮像工程と、前記被処理画像上で確認される前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出工程と、このむら欠陥周期算出工程において求めたむら周期と、前記パターン情報入力工程において入力されたパターン描画条件との比較により、前記基板上で発生しているむら欠陥がパターン描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定工程とを具備している。
【0019】
本発明の請求項2に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1において、前記パターン情報入力工程は、前記基板の周期性パターンに対して、任意の水平方向角度での照明について撮像条件の設定ができるように、照明と前記基板との水平角度方向に関する条件入力が可能であることを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項3に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1または2において、前記基板の周期性パターンのパターンピッチは20μm〜400μmであることを特徴とする。
【0021】
本発明の請求項4に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜3のいずれかにおいて、前記照明光は、中心波長が540nmの緑色光であることを特徴とする。
【0022】
本発明の請求項5に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜4のいずれかにおいて、前記撮像工程は、前記基板の周期性パターンからの回折光を、光電変換素子を利用した撮像手段によって実施するものであり、かつ、前記撮像手段は、前記基板の周期性パターンにより生じる回折光のうち、前記基板の被撮像面に対して垂直な回折光のみを抽出する光学系を有することを特徴とする。
【0023】
本発明の請求項6に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜5のいずれかにおいて、前記撮像倍率設定工程は、撮像倍率の設定を行うのに電動式ズームレンズを利用することを特徴とする。
【0024】
本発明の請求項7に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜6のいずれかにおいて、前記デフォーカス工程は、前記合焦点位置からのデフォーカス量が光学系の焦点深度よりも大きいことを特徴とする。
【0025】
本発明の請求項8に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜7のいずれかにおいて、前記デフォーカス工程は、前記合焦点位置を被撮像面に対して鉛直に遠ざける方向にずらすことを特徴とする。
【0026】
本発明の請求項9に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜8のいずれかにおいて、前記むら欠陥周期算出工程は、前記撮像工程により取得された被処理画像に対して2次元フーリエ変換を利用することで周期を算出することを特徴とする。
【0027】
本発明の請求項10に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜9のいずれかにおいて、前記パターン描画装置は、波長が413nmのクリプトンイオンレーザを基板上で走査させることによりパターンを描画するラスタ式パターン描画装置であることを特徴とする。
【0028】
本発明の請求項11に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜10のいずれかにおいて、前記基板は、波長が365nm〜436nmの範囲内における所定の波長域の光を露光するためのフォトマスクであることを特徴とする。
【0029】
本発明の請求項12に係わるパターン描画装置の状態監視方法は、請求項1〜11のいずれかにおいて、前記基板は、液晶表示装置用部材製造用フォトマスクであることを特徴とする。
【0030】
本発明の請求項13に係わるパターン描画装置の状態監視装置は、パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、前記基板に対し照明光を斜め方向から照射することで、前記周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置の状態監視装置であって、前記基板を載置し、X軸、Y軸方向に駆動する機構を具備する搬送手段と、前記基板の所定領域に光を照射してその所定領域を撮像して得られた画像に所定の画像処理を行って、前記基板の被撮像面内方向における位置決めを行う位置決め手段と、照明光として可視光を発生可能な光源を具備する照明ヘッドと、この照明ヘッドを支持し、かつ、前記搬送手段に載置された前記基板上の一定領域に略平行な照明光を照射しつつ前記基板の被撮像面に垂直な方向に対する照明光照射角度φを制御可能であり、さらに、前記照明ヘッドを前記基板の被検査面に対して水平な角度θ方向に駆動することが可能な照明ヘッド駆動手段と、前記照明ヘッドによって照明光が前記基板の周期性パターンに照射されることにより生じる回折光を撮像する撮像手段と、この撮像手段を前記基板の被検査面に対して鉛直方向(Z軸方向)に駆動させることが可能な撮像部駆動手段と、前記位置決め手段からの映像出力および前記撮像手段からの映像出力を画像情報とする画像入力手段と、前記周期性パターンのピッチ、サイズ等の製品情報、および前記基板上へのパターン描画条件、前記パターン描画装置の種類等の描画情報の入力やその他操作を行うための対人操作手段と、この対人操作手段により入力された前記周期性パターンに関する情報を基に、パターンピッチと撮像分解能との関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率決定手段と、前記基板の周期性パターンが形成された面を被撮像面とし、合焦点位置を被撮像面に対して鉛直方法に所定量ずらすデフォーカス手段と、前記撮像手段により取得された被処理画像上で確認される前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出手段と、このむら欠陥周期算出工程において求めたむら周期と、前記対人操作手段において入力されたパターン描画条件との比較により、前記基板上で発生しているむら欠陥がパターン描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定手段と、前記搬送手段、前記位置決め手段、前記照明ヘッド、前記照明ヘッド駆動手段、前記撮像手段、および、前記撮像部駆動手段の動作制御を行う制御手段と、前記位置決め手段および前記撮像手段にて撮像した画像および前記制御手段による処理結果を表示する表示手段とを具備している。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、周期性のあるパターン、特に、LCD製造用フォトマスクのような基板において、回折光量差によるコントラストからパターン変動発生箇所を精度良く識別し、かつ、その変動発生周期を簡便に導出することによってパターン描画装置の状態監視を実施することができるパターン描画装置の状態監視方法および状態監視装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の実施の形態に係るパターン描画装置の状態監視装置の要部を概略的に示す模式図。
【図2】照明ヘッドの光源に内蔵された光学フィルタの分光透過率を示す特性図。
【図3】パターン描画装置の状態監視方法を説明するフローチャート。
【図4】基板と投光方向θ軸との対応関係を模式的に示す図。
【図5】被処理画像に対する矩形計算領域の定義方法を模式的に示す図。
【図6】被処理画像からの積算値ΣIと比較基準値Σ0の算出方法を模式的に示す図。
【図7】被処理画像からの2次元フーリエ変換によるパワースペクトル像導出方法を模式的に示す図。
【図8】第1の実施例における周期性パターンの形状を模式的に示す図。
【図9】第1の実施例における取得画像とパワースペクトル像を示す図。
【図10】第2の実施例における周期性パターンの形状を模式的に示す図。
【図11】第2の実施例における取得画像とパワースペクトル像を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るパターン描画装置の状態監視装置の要部を概略的に示すものである。図1では、透過回折光を得るための装置構成例を示している。なお、本状態監視装置は、外乱光や迷光を極力低減させた暗環境かつ基板への異物付着を防止するクリーン環境で稼動されることが望ましい。
【0034】
図1に示すように、本状態監視装置は、透過照明部10、基板60の位置決め動作および基板搬送動作が可能なX−Yステージ部20、基板60の位置決めを実施するためのアライメント用撮像部30、基板60からの回折像を撮像し、被処理画像取得を実施する撮像部40、および、処理・制御部100から構成されている。
【0035】
透過照明部10は、円弧レール11がターンテーブル12上に設置されている。円弧レール11には照明ヘッド13が設けられていて、この照明ヘッド13には光源14からライトガイド15を用いて導光している。円弧レール11上で照明ヘッド13を駆動することによって基板60の被撮像面に対して垂直方向の照射角度調整を可能としている(なお、この駆動軸をφ軸と定義する)。
【0036】
円弧レール11上のどの位置にあっても照明ヘッド13は、X−Yステージ部20上の所定位置に照明光を照射することができるように調整されており、これによって、X−Yステージ部20上の基板60の被撮像面に対して、様々な照射角度からの透過照明が可能となっている。
【0037】
また、ターンテーブル12により円弧レール11を被撮像面に対して水平方向に回転させることが可能であり(この駆動軸をθ軸と定義する)、水平方向における任意方向から照明光の照射が可能となっている。
【0038】
なお、照明ヘッド13には平行光学系が設けられている。光源14には、フィルタチェンジャ機構が設けられており、複数の波長選択フィルタを用いることが可能となっているが、本実施の形態では図2に示す分光透過率を有する、ピーク波長が540nmのバンドパスフィルタを用いている。
【0039】
また、光源14としては十分な照度を有しているものが望ましく、本実施の形態では光源14にはメタルハライド光源を用いている。仮に照度が不足するような場合には、複数個の光源を用いた装置構成としてもよい。
【0040】
基板60は、X−Yステージ部20におけるワークストッパ21にてXおよびY方向で固定される。なお、ワークストッパ21は基板サイズに応じて固定位置の調整が可能である。
【0041】
X−Yステージ部20は、基板60を図1のX軸方向およびY軸方向に平行移動する機能を有する。これによって、あらかじめ設定した動作手順にしたがって基板60をX軸およびY軸方向に駆動する。
【0042】
アライメント用撮像部30は、カメラ31、レンズ32、照明灯33、および、照明制御装置34から構成される。基板60上のアライメントマークを含む領域に対して同軸落射形式で照明光が照射され、その観察画像がカメラ31により撮像される。照明灯33は、照明制御装置34により点灯/消灯制御および照明光強度の調節ができるようになっており、実際の制御動作は処理・制御部100により実施される。
【0043】
なお、本実施の形態では、カメラ31にはエリアCCDカメラを、レンズ32には同軸落射形式の固定倍率テレセントリックレンズを、そして照明灯33には高輝度スポット型の白色LEDを用いている。
【0044】
撮像部40は、カメラ41、平行光学系42、および、Zステージ43から構成される。カメラ41としては、可視光域に分光感度特性を有している光電変換素子を具備していることが望ましい。本実施の形態では、カメラ41としてエリアCCDカメラを用いているが、ラインCCDカメラを用いてもよい。
【0045】
平行光学系42には電動式テレセントリックズームレンズを用いている。このとき、レンズのテレセントリシティとして0.5°以下を満足するようなものが望ましい。また、Zステージ43によりカメラ41とレンズ42が、基板60上の被撮像面に対して鉛直方向に移動することができ、この動作によって焦点位置の微調整が可能となる。
【0046】
処理・制御部100は、情報処理部101、信号入力装置102、信号入力装置103、表示部104、および、対人操作部105から構成されており、透過照明部10、X−Yステージ部20、アライメント用撮像部30、撮像部40の動作管理および制御を行い、アライメント用撮像部30および撮像部40からの出力を画像情報あるいは信号として入力を行い、演算処理を行う。さらに、その処理結果や処理画像を表示手段104に表示する。
【0047】
図3は、本発明の実施の形態に係るパターン描画装置の状態監視方法を説明するフローチャートである。本状態監視方法は、ステップS1〜S12という一連の工程によって行われるもので、以下、各ステップの内容を順に説明する。なお、基板60の着脱等のオペレーション操作については説明を省略する。
【0048】
まず、対人操作部105により、基板60におけるパターンピッチ、サイズ、パネルレイアウト、パターン描画条件、パターン描画装置の種類等のパターン描画情報を、情報処理部101へ入力する(ステップS1)。また、この段階で、前述したθ軸の種類も入力する。ここで、図4に基板60とθとの対応関係を示す(この場合は、例としてθ=0°、45°、90°の3種類について定義した)。
【0049】
次に、X−Yステージ部20とアライメント用撮像部30により、基板60に対するアライメント動作を実施する(ステップS2)。
【0050】
次に、平行光学系42におけるレンズ倍率を設定する(ステップS3)。本実施の形態では、カメラ41における撮像素子サイズとレンズ倍率とによって決まる撮像分解能rと、基板60におけるピッチdiとの関係が下記式(1)を満たすようなレンズ倍率を設定する。なお、式中のhは相対比を表し、正の整数であることとする。
r=h×di ……(1)
ただし、基板60では、ステップS1にて設定したθに応じて光の照射方向に対応した見かけ上のピッチの値が変化するため、各θ軸における見かけ上のピッチdi値を算出する必要がある。
【0051】
基板60の天地方向に対してX方向のピッチをΔx、Y方向のピッチをΔyとすると、
0°≦θ≦45°のときは、
【数1】
【0052】
45°<θ≦90°のときは、
【数2】
【0053】
90°<θ≦135°のときは、
【数3】
【0054】
135°<θ≦180°のときは、
【数4】
【0055】
としてそれぞれ算出される。
【0056】
次に、10°≦φ≦60°の範囲で、むら欠陥の可視化に最適とされる照明照射角度φを設定する(ステップS4)。
【0057】
次に、X−Yステージ部20を駆動させ、処理対象パネルを撮像位置へ移動する(ステップS5)。なお、照明ヘッド13は、ステップS4で設定したφ位置へ移動させる。
【0058】
次に、カメラ41にて処理対象パネルの画像取込を行いながら、Zステージ43によりZ軸方向への微調整を行い、焦点位置からのデフォーカスを実施する(ステップS6)。
【0059】
次に、カメラ41にて画像取込を行いながら、画像処理を実施するのに十分な画像輝度が確保されるように、光源14からの出力を調節し、取込画像輝度レベルの調整を行う(ステップS7)。
【0060】
以上、ステップS3〜S7までの処理が、ステップS1にて入力した全てのθに対して実施されたかどうか判断し(ステップS8)、実施されていなければ、ステップS3に戻り、上記同様な処理を繰り返す。
【0061】
ステップS8において全てのθに対して実施されたと判断した場合、ステップS3〜S7にて設定された条件に基づき、処理対象パネルにおける被処理画像取込を実施する(ステップS9)。
【0062】
次に、ステップS9にて得られた被処理画像に対し、むら評価値Cの算出を実施する(ステップS10)。ここで、むら評価値Cとは、本実施の形態において得られたむら欠陥画像における正常部とパターン変動部との間で生じた輝度コントラストを数値化したものである。
【0063】
以下、ステップS10におけるむら評価値C算出方法について、ステップC1〜C3の順に簡単に説明する。
【0064】
図5に示すように、ステップS9にて得られた被処理画像に対して矩形計算領域を定義し、計算領域内の各画素における輝度値をXおよびY方向に別個に積算し、積算値ΣIを計算する(ステップC1)。なお、積算値は、積算した画素数で割った平均値を取り扱う。図5では、矩形計算領域を被処理画像内側へ内挿した状態を示したが、矩形計算領域は被処理画像全面に設定してもよい。
【0065】
次に、ステップC1にて計算した積算値に対する比較基準値Σ0を計算する(ステップC2)。積算値からの比較基準値の導出について図6に模式的に示す。本実施の形態では、比較基準値の導出方法として移動平均処理を利用する。
【0066】
次に、下記式(6)の演算により、評価値Cを算出する(ステップC3)。
C=|ΣI―Σ0| ……(6)
なお、本実施の形態において複数枚のパネルについて処理を行う場合には、そのうち最も評価値Cが大きくなるものを代表値として取り扱う。
以上、ステップC1〜C3を、むら評価値Cの算出方法に関する説明とする。
【0067】
次に、ステップS9にて得られた被処理画像に対し、2次元フーリエ変換によるむら欠陥発生周期Fの算出を実施する(ステップS11)。
以下、ステップS11における2次元フーリエ変換によるむら欠陥周期算出方法について、ステップF1〜F3の順に簡単に説明する。
【0068】
図7に示すように、ステップS9にて得られた被処理画像において、画像中心を基準とし、縦R画素、横R画素の矩形領域を定義し、矩形領域内にて2次元フーリエ変換を実行し、パワースペクトル像を導出する(ステップF1)。
【0069】
なお、2次元フーリエ変換実行の前処理として、矩形領域内の画像に対する2値化処理を実施する。また、矩形領域の一辺の長さRは、取得された被処理画像の大きさによってその値を変更してもよい。ただし、計算に高速フーリエ変換(FFT)を使用するため、128、256、512というように2のべき乗で表わされる数値となるようにRの値を定義する必要がある。
【0070】
次に、パワースペクトル像から、画像X方向およびY方向それぞれにおいて、空間周波数fに対するパワースペクトル分布を求める(ステップF2)。ここで、空間周波数fとは、ステップF1にて定義した矩形領域の一辺の長さにおける周波数として定義される値である。
【0071】
次に、ステップF2で求めたパワースペクトル分布において最も大きなスペクトルをとる空間周波数fを求め、被処理画像における画像分解能から、空間周波数fをむら欠陥発生周期Fへ変換する(ステップF3)。
以上、ステップF1〜F3を、2次元フーリエ変換によるむら欠陥発生周期算出方法に関する説明とする。
【0072】
次に、ステップS10、S11により得られた結果を基に、以下の条件に基づいて状態判定を行い、その結果を表示部104へ表示する(ステップS12)。このとき、むら評価値Cに対する判定用閾値をC_Th、むら欠陥発生周期Fに対する判定値をF_Lithoと定義しておき、
C>C_Th
かつ、
F=F_Litho
という条件を満たした場合、状態監視対象となるパターン描画装置起因のむら欠陥が発生していると判定する。
【0073】
なお、F_Lithoに該当する数値は、通常パターン描画装置における描画走査周期、あるいは、その整数倍の値が該当する。数値がパターン描画装置において複数存在する場合、むら欠陥発生周期Fの値がそのいずれかに該当した場合に、パターン描画装置起因のむら欠陥が発生していると判定することにしてもよい。
【0074】
また、上記判定条件においてむら欠陥発生周期Fと、判定値F_Lithoの値は完全に一致している必要はなく、場合によっては数μmの誤差を許容しても構わないものとする。
【0075】
以上説明したように、本発明に係る実施の形態の状態監視方法によれば、周期性のあるパターン、特に、LCD製造用フォトマスクのような基板において、回折光量差によるコントラストからパターン変動発生箇所を精度良く識別し、かつ、その変動発生周期を簡便に導出することによってパターン描画装置の状態監視を実施することが可能となる。
【実施例】
【0076】
以下に、本発明における実施例について説明する。
全ての実施例において使用したパターン描画装置は同一であり、描画走査周期の値は420μmである。また、むら評価値Cに対する判定用閾値C_Th=100とし、F_Lithoの値には、420μm、840μmをステップS1にて入力する。なお、パターン描画装置における描画走査方向は全て図4におけるX方向であり、本実施例では基板60への相対投光方向θ=0°とした場合の結果を示す。
【0077】
第1の実施例として、ピッチd=20.5μmのL/S状のパターン51が形成された基板60を監視対象基板とした結果を示す。パターン51の模式図を図8に示す。このパターン51が形成された基板60に対し、ステップS1〜S9の処理に基づいて、φ=30°から照明光を照射し、相対比h=2.439、デフォーカス量が15.0mmの条件にて被処理画像の取得を行った。さらに、ステップS10、S11においてむら評価値Cおよびむら欠陥発生周期Fを算出した結果、C=118.0、F=426.7μmとなった。なお、R=256である。
【0078】
本実施例におけるパターン51の描画に用いたパターン描画装置の描画走査周期の値は420μmであり、2次元フーリエ変換によって得られたむら欠陥発生周期Fの値に非常に近い。以上の結果より、ステップS12においてパターン描画装置起因のむら欠陥が発生していると判定することができる。
第1の実施例に係る取得画像を図9(a)に示し、パワースペクトル像を図9(b)に示す。
【0079】
続いて、第2の実施例として、ピッチd=119.5μmの格子状のパターン52が形成された基板60を監視対象基板とした結果を示す。パターン52の模式図を図10に示す。このパターン52が形成された基板60に対し、ステップS1〜S9の処理に基づいて、φ=30°から照明光を照射し、相対比h=0.795、デフォーカス量が9.0mmの条件にて被処理画像の取得を行った。さらに、ステップS10、S11においてむら評価値Cおよびむら欠陥発生周期Fを算出した結果、C=66.8、F=838.6μmとなった。なお、R=256である。
【0080】
むら欠陥発生周期Fの値が、パターン52の描画に用いたパターン描画装置の描画走査周期の2倍に相当する840μmと近い値であるが、C<C_Thが成り立つため、本実施例では、ステップS12においてパターン描画装置起因のむら欠陥が発生していないという判定結果となる。
第2の実施例に係る取得画像を図11(a)に示し、パワースペクトル像を図11(b)に示す。
【符号の説明】
【0081】
10…透過照明部、11…円弧レール、12…ターンテーブル、13…照明ヘッド、14…光源、15…ライトガイド、20…X−Yステージ部、21…ワークストッパ、30…アライメント用撮像部、31…カメラ、32…レンズ、33…照明灯、34…照明制御装置、40…撮像部、41…カメラ、42…平行光学系、43…Zステージ、51…パターン、52…パターン、60…基板、100…処理・制御部、101…情報処理部、102…信号入力装置、103…信号入力装置、104…表示部、105…対人操作部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、前記基板に対し照明光を斜め方向から照射することで、前記周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置の状態監視方法であって、
前記周期性パターンのピッチ、サイズ等の製品情報、および前記基板上へのパターン描画条件、前記パターン描画装置の種類等の描画情報を入力するパターン情報入力工程と、
前記基板の被撮像面内方向における位置決めを行う位置決め工程と、
前記パターン情報入力工程において入力された前記周期性パターンに関する情報を基に、パターンピッチと撮像分解能との関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率設定工程と、
前記基板の周期性パターンが形成された面を被撮像面とし、合焦点位置を被撮像面に対して鉛直方法に所定量ずらすデフォーカス工程と、
前記合焦点位置から所定量デフォーカスさせた位置において、前記基板の周期性パターンを撮像し被処理画像を取得する撮像工程と、
前記被処理画像上で確認される前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出工程と、
このむら欠陥周期算出工程において求めたむら周期と、前記パターン情報入力工程において入力されたパターン描画条件との比較により、前記基板上で発生しているむら欠陥がパターン描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定工程と、
を具備したことを特徴とするパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項2】
前記パターン情報入力工程は、前記基板の周期性パターンに対して、任意の水平方向角度での照明について撮像条件の設定ができるように、照明と前記基板との水平角度方向に関する条件入力が可能であることを特徴とする請求項1記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項3】
前記基板の周期性パターンのパターンピッチは20μm〜400μmであることを特徴とする請求項1または2記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項4】
前記照明光は、中心波長が540nmの緑色光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項5】
前記撮像工程は、前記基板の周期性パターンからの回折光を、光電変換素子を利用した撮像手段によって実施するものであり、かつ、前記撮像手段は、前記基板の周期性パターンにより生じる回折光のうち、前記基板の被撮像面に対して垂直な回折光のみを抽出する光学系を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項6】
前記撮像倍率設定工程は、撮像倍率の設定を行うのに電動式ズームレンズを利用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項7】
前記デフォーカス工程は、前記合焦点位置からのデフォーカス量が光学系の焦点深度よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項8】
前記デフォーカス工程は、前記合焦点位置を被撮像面に対して鉛直に遠ざける方向にずらすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項9】
前記むら欠陥周期算出工程は、前記撮像工程により取得された被処理画像に対して2次元フーリエ変換を利用することで周期を算出することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項10】
前記パターン描画装置は、波長が413nmのクリプトンイオンレーザを基板上で走査させることによりパターンを描画するラスタ式パターン描画装置であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項11】
前記基板は、波長が365nm〜436nmの範囲内における所定の波長域の光を露光するためのフォトマスクであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項12】
前記基板は、液晶表示装置用部材製造用フォトマスクであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項13】
パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、前記基板に対し照明光を斜め方向から照射することで、前記周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置の状態監視装置であって、
前記基板を載置し、X軸、Y軸方向に駆動する機構を具備する搬送手段と、
前記基板の所定領域に光を照射してその所定領域を撮像して得られた画像に所定の画像処理を行って、前記基板の被撮像面内方向における位置決めを行う位置決め手段と、
照明光として可視光を発生可能な光源を具備する照明ヘッドと、
この照明ヘッドを支持し、かつ、前記搬送手段に載置された前記基板上の一定領域に略平行な照明光を照射しつつ前記基板の被撮像面に垂直な方向に対する照明光照射角度φを制御可能であり、さらに、前記照明ヘッドを前記基板の被検査面に対して水平な角度θ方向に駆動することが可能な照明ヘッド駆動手段と、
前記照明ヘッドによって照明光が前記基板の周期性パターンに照射されることにより生じる回折光を撮像する撮像手段と、
この撮像手段を前記基板の被検査面に対して鉛直方向(Z軸方向)に駆動させることが可能な撮像部駆動手段と、
前記位置決め手段からの映像出力および前記撮像手段からの映像出力を画像情報とする画像入力手段と、
前記周期性パターンのピッチ、サイズ等の製品情報、および前記基板上へのパターン描画条件、前記パターン描画装置の種類等の描画情報の入力やその他操作を行うための対人操作手段と、
この対人操作手段により入力された前記周期性パターンに関する情報を基に、パターンピッチと撮像分解能との関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率決定手段と、
前記基板の周期性パターンが形成された面を被撮像面とし、合焦点位置を被撮像面に対して鉛直方法に所定量ずらすデフォーカス手段と、
前記撮像手段により取得された被処理画像上で確認される前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出手段と、
このむら欠陥周期算出工程において求めたむら周期と、前記対人操作手段において入力されたパターン描画条件との比較により、前記基板上で発生しているむら欠陥がパターン描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定手段と、
前記搬送手段、前記位置決め手段、前記照明ヘッド、前記照明ヘッド駆動手段、前記撮像手段、および、前記撮像部駆動手段の動作制御を行う制御手段と、
前記位置決め手段および前記撮像手段にて撮像した画像および前記制御手段による処理結果を表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とするパターン描画装置の状態監視装置。
【請求項1】
パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、前記基板に対し照明光を斜め方向から照射することで、前記周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置の状態監視方法であって、
前記周期性パターンのピッチ、サイズ等の製品情報、および前記基板上へのパターン描画条件、前記パターン描画装置の種類等の描画情報を入力するパターン情報入力工程と、
前記基板の被撮像面内方向における位置決めを行う位置決め工程と、
前記パターン情報入力工程において入力された前記周期性パターンに関する情報を基に、パターンピッチと撮像分解能との関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率設定工程と、
前記基板の周期性パターンが形成された面を被撮像面とし、合焦点位置を被撮像面に対して鉛直方法に所定量ずらすデフォーカス工程と、
前記合焦点位置から所定量デフォーカスさせた位置において、前記基板の周期性パターンを撮像し被処理画像を取得する撮像工程と、
前記被処理画像上で確認される前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出工程と、
このむら欠陥周期算出工程において求めたむら周期と、前記パターン情報入力工程において入力されたパターン描画条件との比較により、前記基板上で発生しているむら欠陥がパターン描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定工程と、
を具備したことを特徴とするパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項2】
前記パターン情報入力工程は、前記基板の周期性パターンに対して、任意の水平方向角度での照明について撮像条件の設定ができるように、照明と前記基板との水平角度方向に関する条件入力が可能であることを特徴とする請求項1記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項3】
前記基板の周期性パターンのパターンピッチは20μm〜400μmであることを特徴とする請求項1または2記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項4】
前記照明光は、中心波長が540nmの緑色光であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項5】
前記撮像工程は、前記基板の周期性パターンからの回折光を、光電変換素子を利用した撮像手段によって実施するものであり、かつ、前記撮像手段は、前記基板の周期性パターンにより生じる回折光のうち、前記基板の被撮像面に対して垂直な回折光のみを抽出する光学系を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項6】
前記撮像倍率設定工程は、撮像倍率の設定を行うのに電動式ズームレンズを利用することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項7】
前記デフォーカス工程は、前記合焦点位置からのデフォーカス量が光学系の焦点深度よりも大きいことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項8】
前記デフォーカス工程は、前記合焦点位置を被撮像面に対して鉛直に遠ざける方向にずらすことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項9】
前記むら欠陥周期算出工程は、前記撮像工程により取得された被処理画像に対して2次元フーリエ変換を利用することで周期を算出することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項10】
前記パターン描画装置は、波長が413nmのクリプトンイオンレーザを基板上で走査させることによりパターンを描画するラスタ式パターン描画装置であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項11】
前記基板は、波長が365nm〜436nmの範囲内における所定の波長域の光を露光するためのフォトマスクであることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項12】
前記基板は、液晶表示装置用部材製造用フォトマスクであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のパターン描画装置の状態監視方法。
【請求項13】
パターン描画装置によって周期性パターンが形成された基板を状態監視対象とし、前記基板に対し照明光を斜め方向から照射することで、前記周期性パターンにより生じる回折光を用いて画像取得を行い、処理判定を行うパターン描画装置の状態監視装置であって、
前記基板を載置し、X軸、Y軸方向に駆動する機構を具備する搬送手段と、
前記基板の所定領域に光を照射してその所定領域を撮像して得られた画像に所定の画像処理を行って、前記基板の被撮像面内方向における位置決めを行う位置決め手段と、
照明光として可視光を発生可能な光源を具備する照明ヘッドと、
この照明ヘッドを支持し、かつ、前記搬送手段に載置された前記基板上の一定領域に略平行な照明光を照射しつつ前記基板の被撮像面に垂直な方向に対する照明光照射角度φを制御可能であり、さらに、前記照明ヘッドを前記基板の被検査面に対して水平な角度θ方向に駆動することが可能な照明ヘッド駆動手段と、
前記照明ヘッドによって照明光が前記基板の周期性パターンに照射されることにより生じる回折光を撮像する撮像手段と、
この撮像手段を前記基板の被検査面に対して鉛直方向(Z軸方向)に駆動させることが可能な撮像部駆動手段と、
前記位置決め手段からの映像出力および前記撮像手段からの映像出力を画像情報とする画像入力手段と、
前記周期性パターンのピッチ、サイズ等の製品情報、および前記基板上へのパターン描画条件、前記パターン描画装置の種類等の描画情報の入力やその他操作を行うための対人操作手段と、
この対人操作手段により入力された前記周期性パターンに関する情報を基に、パターンピッチと撮像分解能との関係から撮像倍率を決定するための撮像倍率決定手段と、
前記基板の周期性パターンが形成された面を被撮像面とし、合焦点位置を被撮像面に対して鉛直方法に所定量ずらすデフォーカス手段と、
前記撮像手段により取得された被処理画像上で確認される前記基板上で発生しているむら欠陥の発生周期を求めるむら欠陥周期算出手段と、
このむら欠陥周期算出工程において求めたむら周期と、前記対人操作手段において入力されたパターン描画条件との比較により、前記基板上で発生しているむら欠陥がパターン描画装置起因のものであるかどうかの判定を行う判定手段と、
前記搬送手段、前記位置決め手段、前記照明ヘッド、前記照明ヘッド駆動手段、前記撮像手段、および、前記撮像部駆動手段の動作制御を行う制御手段と、
前記位置決め手段および前記撮像手段にて撮像した画像および前記制御手段による処理結果を表示する表示手段と、
を具備したことを特徴とするパターン描画装置の状態監視装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−185683(P2011−185683A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49901(P2010−49901)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】
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