説明

パチンコ、パチスロ監視システム

【課題】 パチンコ、パチスロの遊技機に不正操作がなされたタイミングと連動して、不正操作の状況を場所と時間を特定して把握する。
【解決手段】各遊技機の一定時間あたりの大当たり回数が確率的に設定した値より多い場合を不正操作の可能性ありとして、その前後の遊戯者の操作手元状況の画像を取得する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、パチンコ或はパチスロの遊技機における不正操作検出監視技術に関わる。
【背景技術】
【0002】
パチンコ或はパチスロの遊技機に対する不正操作は、遊技機の内部機構に何らかの機械的或は電磁的な作用を与えておこなうもの、遊戯者がリズムを発生する機械などの助けを借りて遊技機の持つ統計的或は確率的な特性を利用して操作する方法などがある。これらの多様な不正操作手段を検出するには、それぞれの作用に適合した機器を複合して用意しなければならないだけでなく、新たな不正操作手段が現れるたびにそれに適合した検出手段を準備しなければならない。またその多くは、不正操作の行われた場所と時間を特定して検出するものではない。
遊技場内を何台かの可動視点カメラで走査して監視する手段も行われているが、多数の遊技機をそれぞれ常時監視するものではなく死角も生じやすい。カメラの台数を増やせば改善可能であるが、不正行為が行われる場所と時間が不明なので膨大なデータ量を保存しなければならず現実的な手段ではない。不正検出のための画像調査も困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
不正操作の結果として生ずる大当たりの発生頻度の異常を捕らえて、不正操作の検出をおこなうことにより、多様な不正操作手段の個々に直接対応することなく統一的で有効な不正監視検出手段を可能にする。不正操作が行われた可能性のある遊技機と、不正操作が行われた可能性のあるタイミングを特定する手段を可能にする。
さらにそのタイミングと場所に連動して遊戯者の操作状況の画像を記録保存することによって、データ処理量の拡大を防ぎつつ不正操作の状況の精査確認を容易にする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は各種の不正操作を直接検出するものではないが、不正操作が行われるとその結果として大当たり回数の頻度が各遊技機に確率的統計的に設定された頻度を超えて発生することに着目してなされたものである。
第一の発明は、各遊技機の一定時間(T時間とする)あたりの大当たり回数を計数し、その回数が設定した値より多い場合を不正操作の可能性ありとして警報を発生する。
設定値は、各遊技機の実稼動状態をモニターして正常操作時の大当たり頻度のデータを取得し、この発生頻度の中心値を著しく超える値を用いるのが有効である。また周知のように各遊技機は第三者機関によって大当たり回数の頻度が過剰にならないように確率的に制限されており、この値を参照して設定値としても良い。第三者機関による大当たり発生頻度の制限は抽選回数に対して行われており遊戯時間に比例するものではないが、不正操作が行われている時は相当の遊戯速度が継続されていると時と考えてよく、単位時間当たりの大当たり回数でモニターする本発明法が最も実質的である。
【0005】
第二の発明は、上記の手法によって不正警報を発した遊技機とそのタイミングが特定されるので、各種監視カメラを連動させて不正操作の現場である大当たり発生前後の画像を取得し、不正操作のある現場を直接画像で確認できるようにしたものである。画像を精査することによって不正操作を特定することが可能になる。
【0006】
第三の発明は各遊技機に不正操作の行われる可能性の最も高い遊技機前面と遊戯者の操作手元状況を撮像カメラで捉えるようにしたものである。カメラを常時撮像状態にしておき、遊技機からの大当たり情報を受けてその前後の一定期間の映像をとりだして、望ましくはT時間以上の間一時保存する。引き続く大当たりの回数が一定時間内(T時間)で設定値より少なければ、不正操作の兆候は無いとして一時保存したデータは破棄してよく、大当たりの回数が設定値を超えた場合は不正操作が行われた可能性が有りとして画像データを確定保存する。この画像を精査することによって不正操作の有無を確定する。
撮像カメラは目的の画像を撮れればよく、各遊技機に複数台設けることも、或いは一台のカメラで複数台の遊技機を受け持つようにしても良い。
【0007】
第四の発明はカメラからの画像データをデータ圧縮して適用する場合について考案されたものである。一般に知られるように画像データの圧縮は画面内及び時間的に連続する画面の冗長度を減らして行われるので、連続する画像データから任意に一部を選択的に抽出するには相当量のデータ処理を必要とする。本発明では連続して撮像された映像から大当たり時の前後の画像データを、最終的には大当たり回数が設定値を超えた時の大当たり時の前後のデータを抽出するが、連続する画像圧縮データの場合はこの編集抽出手段に相当量のデータ処理を必要とする。第四の発明はこの点に着目して行ったもので、カメラからの画像データを取り込む際に、あらかじめ抽出や編集に適した短時間毎にデータを区切って圧縮し、短い時間の圧縮画像データファイルの列として画像データを取り込む。この手段によって、大当たり時の前後の画像データを、最終的には大当たり回数が設定値を超えた時の大当たり時の前後のデータを抽出保存する際に、該当する圧縮画像データのファイルを移動するだけで済み、画像データの切断などの編集操作を省くことが出来る。
【発明の効果】
【0008】
多様な不正操作の種類に関係なく統一的で有効な不正監視検出手段であり、日々生じる未知の不正手段に対しても強い検出手段となる。さらに、不正操作がなされた可能性の有る各遊技機とそのタイミングを直接特定できる。このタイミングと場所に連動して、不正が行われた可能性のある場合に限って画像が抽出されて保存されるため、処理するデータ量が少なくて済むだけでなく不正操作の精査と特定が容易になる。これらの特徴からシステム全体のコストを大幅に軽減でき、全台の監視が可能になるともに、管理コストも少なくて済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
一般に遊技機では大当たり時の信号が発生されておりこの信号を利用する。ここではパチンコ遊技の一例として、1時間に4回以上の大当たりが発生した時を不正可能性ありとして実施例を説明する。
【0010】
図1にシステムの概略図を示す。カメラ(11)は固定遠方から撮像方向(18)で示すように、遊技台前面(12)および遊戯者の操作手元(13)の画像で、ハンドル、上皿、下皿の近傍の画像を確実に捉える。各カメラからの映像(14)はそれぞれ画像処理装置(16)に送られ、分割編集に好便な任意の短時間、ここでは5分間毎に分割し、MPEGで圧縮処理されたファイルとして生成し、順次仮保存する。仮保存する画像データは不正検出に必要なデータ量でよく実施者が任意に設定する。ここでは大当たり回数の頻度の検証に一時間かかるので、少なくも撮像時を基点として一時間経過までの画像データファイルを仮保存する。一方、画像サーバ(17)は大当たり回数のデータ(15)を計数し、一時間が経過するまでに大当たりを4回以上検出したら、警報を発するとともに画像処理装置(16)にアクセスして仮保存の状態にある画像データファイルを取り込む。
【0011】
図2に本システムのデータ処理の流れを示す。(21)はカメラの撮像画像のストリームを示し、画像処理装置(16)に入力されて、5分間毎のMPEG圧縮ファイル列(22)が生成される。このデータ列の最新の一時間のデータ(222)は仮保存されており、それ以前のデータ列(221)は消去される。即ち新しい画像データを取り込むと同時に古いデータは順次破棄される。一方、サーバ(23)は大当たり信号(23x、・・)を受けて一時間当たり(24)の大当たり回数を計数している。ここの例では、(231)で示される期間では大当たり回数は一時間に三回以下であり不正操作は行われていない。(232)で示される期間は一時間以内(24)で四回の大当たりがあり、“X”表示の時間で異常が検出される。この異常信号によってサーバ(17)は画像処理装置(16)にアクセスして(22)に生成されているファイルの必要な部分(25)を取り込む。
【実施形態の効果】
【0012】
不正が行われた可能性のある場合に限って画像が抽出されて保存されるため、処理するデータ量が少なくて済み、システム全体のコストを大幅に軽減でき、全台の監視が可能になる。また不正操作の可能性の有る場所と時間が特定されるので、不正操作の精査と特定が容易になる。これらの利点から保安要員が少なくて済む事も自明である。
本法は容易に理解できるように、リアルタイム監視が可能であり、監視手法の大幅な改善も可能になる。
【他の実施形態】
【0013】
上記実施例はパチンコの不正操作の監視、検出について述べたが、パチスロについても全く同様に実施可能である。この場合も一般に大当たり信号が遊技機から出されているのでこれを利用し、カメラの監視においてはレバーを含む操作ボタン類とコイン投入口、コイン受け皿の近傍を撮像する。
【00014】
この手法に従来の既知の各種不正検出装置を併用することも可能である。即ち、既知の不正検出装置の不正検出信号を利用し、その信号発生と連動してその前後の操作手元画像を保存する。大当たり回数の頻度が異常の時だけでなく、他の不正操作の発生するリスクに対しても対応可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例1、パチンコ不正検知・監視全体構成図
【図2】本発明の実施例1、データ処理の例
【符号の説明】
11 カメラ
12 遊戯台前面
13 遊戯台操作者手元部分
14 カメラ映像信号
15 大当たり回数データ信号
16 画像処理装置
17 画像サーバ
18 カメラの撮像方向
19 画像表示装置
21 画像データストリーム
22 MPEG圧縮データファイル列
221 仮保存されるデータファイル列
222 破棄されるデータファイル列
23 大当たり信号の時間配列
23x 大当たり信号列
231 一定時間内の大当たり信号数が設定値以内である場合
232 一定時間内の大当たり信号数が設定値を超えた場合
24 大当たり回数を計数するための一定時間間隔
25 最終的に確定保存されるデータファイル列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パチンコ或いはパチスロの遊技機において、任意の単位時間(T時間)当たりの大当たり発生回数を計測する機構と、T時間あたりの大当たり発生回数が任意に設定した設定回数を超えたら不正警告信号を発生する機構を備えたことを特徴とする不正検知監視システム。
【請求項2】
請求項1において、各種監視カメラなどの撮像装置と該不正警告信号を連動させ、該不正信号が発生した時点前後の対象遊技機周辺の映像を抽出して記録表示する機構を備えたことを特徴とする不正検知監視システム。
【請求項3】
請求項2において、監視カメラは各遊技機前面と遊技機のハンドルもしくはレバーを含み遊戯者の操作手元の映像を取得する構造とし、大当たり前後の一定期間の映像を抜き出して少なくもT時間仮記録する画像記録装置を備え、さらに該不正警告信号の発生に連動して、その前後の仮記録された大当たり前後の画像データを抽出して確定保存することを特徴とする不正検知監視システム。
【請求項4】
請求項2,3において、カメラからの映像を、設定した短期間で区切られた圧縮画像データファイル列として生成する機構と、圧縮画像データファイル列を少なくもT時間仮記録する画像記録装置を備え、さらに該不正警告信号の発生に連動して、その前後の一定期間の圧縮画像データファイル群を上記仮記録データから抽出して確定保存することを特徴とする不正検知監視システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−21000(P2006−21000A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−228705(P2004−228705)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(504298785)株式会社美希企画 (1)
【Fターム(参考)】