説明

パレット洗浄システム

【解決手段】 パレット洗浄システム2は、水平状態のパレット1を起立状態とする起立部Cと、パレットに洗浄液を噴射する洗浄部Dと、パレットに付着した洗浄液を脱水する脱水部Eと、パレットを乾燥させる乾燥部Fとを備えている。
このうち、上記乾燥部Fは、乾燥手段19を備えた乾燥室20と、複数の起立状態のパレットを所定間隔で保持して、該パレットを載置面に直交する方向に搬送する主コンベヤ(第7コンベヤ22)と、主コンベヤの搬送方向に直交する方向にパレットを移動させて主コンベヤにパレットを供給する供給コンベヤ(第6コンベヤ21)と、主コンベヤの搬送方向に直交する方向にパレットを移動させて主コンベヤからパレットを排出する排出コンベヤ(第8コンベヤ23)とを備えている。
【効果】 パレットの洗浄から乾燥までを効率的に行うとともに設置面積を抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパレット洗浄システムに関し、詳しくは起立状態のパレットに洗浄液を噴射する洗浄部と、パレットを乾燥させる乾燥部とを備えたパレット洗浄システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品等を載置するパレットを洗浄するパレット洗浄システムが知られており、このパレット洗浄システムは、水平状態のパレットを起立状態とする起立部と、パレットに洗浄液を噴射する洗浄部と、パレットから洗浄液を除去する脱水部とを備えたものが知られている(特許文献1)。
ここで、パレットを脱水しただけでは完全に洗浄液を除去できない場合があることから、洗浄液の凍結によるパレットの貼り付きを防止するため、パレットを乾燥させる乾燥部を備えたパレット洗浄システムも知られている(特許文献2)。
【特許文献1】登録第3999529号公報
【特許文献2】実開平6−52973号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献2のパレット洗浄システムの場合、乾燥部を構成する乾燥室内に搬入したパレットを停止させて乾燥処理を行うため、停止時間を長くとれば乾燥効果が上がるが、乾燥部の上流側に位置する洗浄部や脱水部での作業が滞り、パレット洗浄システム全体の効率が低下してしまう。逆に、効率を上げるために乾燥部での停止時間を短くすると、乾燥が不完全となってパレットに洗浄液が残留してしまうという問題が発生するおそれがある。
そこで、乾燥効果とパレット洗浄システム全体の効率とを両立させるには、特許文献2の乾燥室の内部に複数のパレットを収納することが考えられるが、パレットは載置面に平行な方向に搬送されているため、乾燥室が長大なものとなってしまい、設置面積が拡大することになる。
このような問題に鑑み、本発明はパレットの洗浄から乾燥までを効率的に行うとともに設置面積を抑えたパレット洗浄システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明にかかるパレット洗浄システムは、少なくとも表面または裏面のいずれか一方に載置面の形成された板状のパレットを洗浄するパレット洗浄システムにおいて、
上記載置面が水平方向を向いた起立状態のパレットに洗浄液を噴射する洗浄部と、パレットを乾燥させる乾燥部と、起立状態のパレットを載置面に平行な方向に搬送して該パレットを上記乾燥部に給排する搬送手段とを備え、
上記乾燥部には、乾燥手段を備えた乾燥室と、乾燥室内に設けられて複数の起立状態のパレットを表面または裏面が相対するように所定間隔で保持して、該パレットを載置面に直交する方向に搬送する主コンベヤとが設けられ、
上記搬送手段は、乾燥室内でパレットを主コンベヤへ受け渡す供給コンベヤと、乾燥室内でパレットを主コンベヤから受け取る排出コンベヤとを備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0005】
上記発明によれば、乾燥室内に設けた主コンベヤによって複数のパレットを保持するため、各パレットを長時間かけて十分に乾燥させることが可能であり、乾燥部の上流側の洗浄部などにおける作業を滞らせることなく、効率的にパレットの洗浄を行うことができる。
また、主コンベヤは起立状態のパレットを載置面に直交する方向に搬送するため、複数のパレットを乾燥させるにもかかわらず、乾燥部をコンパクトにすることができ、設置面積を抑えることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下図示実施例について説明すると、図1はパレット1を洗浄するパレット洗浄システム2を示し、図2は図1のII―II部の側面図を、図3は図1のIII―III部の側面図をそれぞれ示し、また図中において上記パレット1を2点鎖線で示している。
パレット洗浄システム2は、複数枚のパレット1が積層された状態で供給される供給部Aと、積層されたパレット1を1枚ずつ取り出す取出部Bと、パレット1を水平状態から起立状態に姿勢を変更する起立部Cと、高圧水によりパレット1を洗浄する洗浄部Dと、パレット1を遠心回転して脱水する脱水部Eと、熱風によりパレット1を乾燥させる乾燥部Fと、パレット1の姿勢を起立状態から水平状態に変更する倒し部Gと、パレット1を積層する段積部Hと、積層されたパレット1を排出する排出部Iとから構成されている。
上記パレット1は樹脂製で板状を有し、表面および裏面に物品を載置するための載置面1aが形成されるとともに、側面1bにはそれぞれフォークリフトのフォークが挿入される挿入口1cが形成されている(図2参照)。
そして以下の説明において、パレット1の水平状態とは上記載置面1aが上下方向を向くとともに上記側面1bが水平方向を向いている状態を示し、起立状態とはこの載置面1aが水平方向を向いた状態を示すものとする。
なお、本実施例のパレット洗浄システム2によれば、載置面1aが表面または裏面だけに形成されているパレット1や、載置面1aが長方形のパレット1など、さまざまな形態のパレット1を処理することが可能となっている。
【0007】
上記供給部Aには複数の水平状態のパレット1が積層された状態で供給されるようになっており、該供給部Aには図1における図示右方から図示左方に向けてパレット1を搬送する第1コンベヤ3が設けられている。
【0008】
上記取出部Bには、上記第1コンベヤ3から供給されたパレット1を受け取る第1補助コンベヤ4と、パレット1を一枚ずつ上記起立部Cへと搬送する第2コンベヤ5と、下から2枚目のパレット1を所定高さで保持する保持手段6とが設けられている。
上記第1補助コンベヤ4は上記第1コンベヤ3の延長上に設けられており、パレット1を第1コンベヤ3と同一方向に移動させるとともに、フレーム7に固定された油圧シリンダ4aによって昇降するようになっている。
上記第2コンベヤ5は上記第1補助コンベヤ4を挟んで平行に設けられた2列のチェーンコンベヤによって構成され、図1における図示上方から下方、すなわち上記第1コンベヤ3および第1補助コンベヤ4の搬送方向に直交する方向に設けられている。
また第2コンベヤ5は上記第1コンベヤ3よりも若干低い位置に搬送面が設定されており、パレット1が上記第1コンベヤ3から上記第1補助コンベヤ4へと移動する際に、パレット1が第2コンベヤ5に接触しないようになっている。
上記保持手段6は、フレーム7に揺動自在に設けられた4つのフォーク6aと、該フォーク6aを開閉させる2つのエアシリンダ6bとから構成され、上記フォーク6aはパレット1の図2における図示左方および図示右方にそれぞれ2つずつ配置されている。
そして、エアシリンダ6bはフォーク6aをパレット1の挿入口1cに挿入した閉鎖状態と、挿入口1cから離脱した開放状態とに切り替え、上記閉鎖状態となってフォーク6aが挿入口1cに挿入されると、パレット1は保持手段6によって所定高さに保持され、該パレット1と上記第2コンベヤ5との間には少なくとも1枚のパレット1が通過可能な隙間が形成されるようになっている。
【0009】
上記起立部Cには、上記第2コンベヤ5の下流に設けられてパレット1を保持する保持部材8と、該保持部材8を軸支する軸部9と、上記保持部材8を軸部9を中心に揺動させるエアシリンダ10とが設けられるとともに、起立状態のパレット1を上記洗浄部Dに搬送する第3コンベヤ11が設けられている。
上記保持部材8は第2コンベヤ5の下流端に位置し、パレット1の載置面1aを両側から保持するとともに、起立部Cの待機状態において上記軸部9およびエアシリンダ10により第2コンベヤ5に倒れた状態に保持されるようになっている。
そして、上記第2コンベヤ5がパレット1を下流端まで搬送すると、パレット1が保持部材8に収納され、エアシリンダ10が保持部材8を軸部9を中心に揺動させると、パレット1が水平状態から起立状態となり、パレット1を側面1bを下方に向けた状態で第3コンベヤ11上に載置するようになっている。
第3コンベヤ11は起立状態のパレット1を図1の図示左方から右方、すなわち載置面1aに平行する方向に搬送するようになっている。
【0010】
上記洗浄部Dには、ハウジングによって形成される洗浄室12と、該洗浄室12内に設けられた2つの噴射ノズル13と、各噴射ノズル13を移動させる2つの移動手段14とが設けられ、上記第3コンベヤ11は起立部Cから延伸して洗浄室12を貫通するように設けられている。
上記噴射ノズル13は図示しない洗浄液供給手段から供給された洗浄液を高圧で噴射するようになっており、洗浄液としては、水道水や、洗剤や粉体メディアを混合した液体を用いることができる。
上記噴射ノズル13および移動手段14は第3コンベヤ11を挟んで設けられており、移動手段14は各噴射ノズル13を第3コンベヤ11の搬送路に沿って往復動させるとともに上下に昇降させて、パレット1の全体に洗浄液が噴射されるようになっている。
【0011】
上記脱水部Eには、ハウジングによって形成される脱水室15と、上記第3コンベヤ11から起立状態のままでパレット1を受け取り、脱水室15内に供給する第4コンベヤ16と、パレット1を鉛直方向を軸にして回転させる回転手段17と、パレット1を脱水部Eから乾燥部Fに搬送する第5コンベヤ18とが設けられている。
第4コンベヤ16および第5コンベヤ18は上記第3コンベヤ11の延長上に設けられており、パレット1を図1の図示左方から右方、すなわち載置面1aに平行する方向に搬送するようになっている。
上記回転手段17は、第4コンベヤ16と第5コンベヤ18との間に設けられ、パレット1の下部を保持する下部キャップ17aと、パレット1の上部を保持する上部キャップ17bと、上部キャップ17bを回転および昇降させる駆動機構17cとから構成されている。
上記駆動機構17cは、パレット1が下部キャップ17aの位置まで搬送されると、上部キャップ17bを下降させて下部キャップ17aと上部キャップ17bとによりパレット1を保持し、その後上部キャップ17bを回転させることでパレット1を水平に回転させるようになっている。
また、第4コンベヤ16の下流端を上下に揺動する図示しない揺動手段と、第5コンベヤ18の上流端を上下に揺動する図示しない揺動手段とが設けられ、これら揺動手段によって回転手段17の作動時には第4コンベヤ16の下流端と第5コンベヤ18の上流端が下方に揺動し、上記下部キャップ17aに干渉しないようになっている。
なお、上記脱水部Eとして、上記特許文献1に記載されているようなパレット1の対角部分を保持して回転させるものや、エアブローや振動により脱水を行うものであってもよい。
【0012】
上記乾燥部Fには、ハウジングによって形成される乾燥室20と、乾燥室20の上部に設けられた乾燥手段19と、上記第5コンベヤ18から起立状態のままで受け取ったパレット1を乾燥室20に供給する供給コンベヤとしての第6コンベヤ21と、複数の起立状態のパレット1を搬送する主コンベヤとしての第7コンベヤ22と、上記第7コンベヤ22上のパレット1を乾燥室20の外部に排出する排出コンベヤとしての第8コンベヤ23とが設けられている。
上記乾燥室20には、図1における図示左方の上方に、上記第6コンベヤ21が供給するパレット1を通過させる供給口20aが形成され、図示右方の下方に、上記第8コンベヤ23が排出するパレット1を通過させる排出口20bが形成され、これら供給口20aおよび排出口20bには自動的に開閉されるシャッタ24が設けられている。
ここで、上記供給口20aおよび排出口20bの開口部は、載置面1aに平行な方向に搬送される起立状態のパレット1の断面形状に近接するように形成されており、供給口20aおよび排出口20bを通過するパレット1との間には僅かな隙間しか形成されないようになっている。
また、上記乾燥室20の内部には、乾燥室20を区画する2枚の仕切り板20cが設けられ、それぞれ第7コンベヤ22による搬送経路上における上記第6コンベヤ21からのパレット供給位置よりも下流側および、上記第8コンベヤ23へのパレット排出位置よりも上流側に設けられている。
各仕切り板20cは、第7コンベヤ22によって搬送されるパレットを通過させる開口部を備えており、該開口部の形状は第7コンベヤ22によって載置面1aに直交する方向に搬送されるパレット1の断面形状に近接するように形成されており、仕切り板20cを通過するパレット1との間には僅かな隙間しか形成されないようになっている。
上記乾燥手段19は乾燥室20の上部に設けられており、上記2枚の仕切り板20cの間の空間に、熱せられた乾燥空気を上部から下方に向けて送風するようになっており、熱風の一部はパレット1の上方を向いた挿入口1cに吹き込まれるようになっている。
【0013】
上記第6コンベヤ21は、上記第5コンベヤ18の延長上に設けられており、パレット1を図1の図示左方から右方、すなわち載置面1aに平行する方向に搬送するようになっている。
上記第7コンベヤ22は、パレット1を図1の図示上方から下方、すなわち載置面1aに直交する方向に間欠的に搬送するようになっており、複数のパレット1を載置面1aが相対するように所定間隔で保持しながら搬送するようになっている。
上記第8コンベヤ23は、パレット1を図1の図示左方から右方、すなわち載置面1aに平行する方向に搬送するようになっている。
つまり、第7コンベヤ22は、パレット供給位置でパレット1を上流側の第6コンベヤ21から受け取ると、パレット1を載置面1aに直交する向きで搬送し、その後パレット1を下流側のパレット排出位置まで搬送すると、第8コンベヤ23に受け渡すようになっている。
【0014】
図4は上記第6〜第8コンベヤ21〜23の斜視図を示し、上記第7コンベヤ22は、上下1対の下部コンベヤ22aおよび上部コンベヤ22bから構成され、各コンベヤ22a、22bには上記パレット1を保持する保持部材22cが所定間隔に設けられている。
上記コンベヤ22a、22bはそれぞれ平行に設けられた2つのチェーンコンベヤによって構成され、上記保持部材22cはそれぞれ断面コ字形を有しており、上下の各2つの保持部材22cによって1つのパレット1が倒れないように保持されるようになっている。
下部コンベヤ22aのパレット載置面つまり保持部材22cによる保持位置は第6コンベヤ21の搬送面よりわずかに低くなっている。
上記下部コンベヤ22aを構成する2列のチェーンコンベヤの間には、上記パレット供給位置に第2補助コンベヤ25が設けられ、上記パレット排出位置に第3補助コンベヤ26が設けられている。
上記第2、第3補助コンベヤ25、26は図示しない昇降手段によって昇降するようになっており、上昇するとその搬送面が第6コンベヤ21、第8コンベヤ23の各搬送面と同じ高さに位置し、下降すると下部コンベヤ22aの保持部材22cによる該保持位置よりも低い高さに位置するようになっている。
このため、パレット1が上記第6コンベヤ21から上記第2補助コンベヤ25へと移動する際に、図示しない昇降手段により第2補助コンベヤ25は上昇してパレット1が第7コンベヤ22に接触しないようにするとともに、第2補助コンベヤ25が図示しない昇降手段により下降することにより、パレット1が第7コンベヤ22に受け渡されるようになっている。
また、パレット1が上記第7コンベヤ22によって上記第3補助コンベヤ26上に移動する際に、第3補助コンベヤ26は下降してパレット1が第7コンベヤ22に接触しないようにするとともに、第3補助コンベヤ26が上昇することによって第7コンベヤ22からパレット1を受け取るようになっている。
【0015】
上記倒し部Gおよび段積部Hは、それぞれ上記起立部Cおよび取出部Bとほぼ同じ構成を有している。
上記倒し部Gには、上記第8コンベヤ23の下流端側で起立状態のパレット1を保持する保持部材27と、該保持部材27を軸支する軸部28と、上記保持部材27を軸部28を中心に揺動させる図示しないエアシリンダと、水平状態のパレット1を上記段積部Hに搬送する第9コンベヤ30とが設けられている。また第8コンベヤ23が乾燥部Fの第3補助コンベヤ26の延長上から延伸して設けられている。
上記保持部材27は第8コンベヤ23の下流端に位置し、パレット1の載置面1aを両側から保持するとともに、倒し部Gの待機状態では起立した状態に保持されている。
そして、第8コンベヤ23がパレット1を下流端まで搬送すると、パレット1が起立状態で保持部材27に収納され、保持部材27を軸部28を中心に揺動させることで、パレット1が起立状態から水平状態となり、パレット1は載置面1aを下方に向けた状態で第9コンベヤ30上に載置されることとなる。
上記第9コンベヤ30は平行に設けられた2列のチェーンコンベヤから構成され、水平状態とされたパレット1を図1の図示下方から図示上方、すなわち上記第8コンベヤ23の搬送方向に直交する方向に搬送するようになっている。
【0016】
上記段積部Hは、上記第9コンベヤ30が搬送したパレット1を下方から支持する第4補助コンベヤ31と、パレット1を所定高さに保持する保持手段32と、積層されたパレット1を上記排出部Iに移動させる第10コンベヤ33とから構成されている。
上記第4補助コンベヤ31は、図1において積層されたパレット1を図1の図示右方から図示左方、すなわち上記第9コンベヤ30の搬送方向に直交する方向にパレット1を搬送するとともに、図示しない油圧シリンダによって昇降するようになっている。
上記保持手段32は、4つのフォーク32aと、該フォーク32aを開閉させる図示しないエアシリンダとから構成されている。
そして、フォーク32aはパレット1の挿入口1cに挿入した閉鎖状態と、挿入口1cから離脱した開放状態とに切り替わり、上記閉鎖状態となってフォーク32aが挿入口1cに挿入されると、パレット1はこの保持手段32によって所定高さに保持されるようになっている。
また、保持手段32によってパレット1が保持されると、該パレット1と上記第9コンベヤ30との間には少なくとも1枚のパレット1が通過可能な隙間が形成されるようになっている。
上記第10コンベヤ33は上記第4補助コンベヤ31の延長上に設けられており、上記第4補助コンベヤ31から積層されたパレット1を受け取るとともに上記排出部Iへと搬送する。また第10コンベヤ33は上記第9コンベヤ30よりも若干高い位置にパレット1の搬送面が設定されている。
【0017】
上記構成を有するパレット洗浄システム2の動作について説明する。
まず、供給部Aに積層された複数枚のパレット1を供給すると、上記第1コンベヤ3は該積層されたパレット1を上記取出部Bに向けて搬送する。
取出部Bでは、上記第1補助コンベヤ4が油圧シリンダ4aによって第2コンベヤ5の上方に突出し、上記第1コンベヤ3と同一の搬送面となるように位置する。
そして上記第1コンベヤ3が搬送した積層されたパレット1が第1補助コンベヤ4上に停止すると、第1補助コンベヤ4を上昇させて、下から2枚目に位置するパレット1を保持手段6の高さに一致させる。
パレット1が上昇すると、保持手段6はエアシリンダ6bを作動させてフォーク6aを開放状態から閉鎖状態とし、下から2枚目に位置するパレット1の挿入口1cにフォーク6aの先端を入れる。
この状態から、第1補助コンベヤ4が第2コンベヤ5より下方へと下降することで、該第1補助コンベヤ4に載置されていた下から2枚目のパレット1は保持手段6のフォーク6aに保持され、最下段のパレット1だけが第2コンベヤ5上に移載され、第2コンベヤ5はこの水平状態のパレット1を上記起立部Cへと搬送する。
その後、取出部Bでは以上の操作を繰り返すことで、積層されたパレット1を1枚ずつ起立部Cへと搬送するようになっている。
【0018】
上記取出部Bから第2コンベヤ5によってパレット1が搬送されると、起立部Cでは上記保持部材8が水平状態となっていることから、該パレット1は水平状態のまま保持部材8に保持される。
続いて、上記エアシリンダ10が保持部材8を軸部9を中心に揺動させることで、パレット1は水平状態から起立状態となり、パレット1の下方の側面1bが上記第3コンベヤ11上に載置される。
このようにしてパレット1が起立状態となると、第3コンベヤ11はこのパレット1を上記洗浄部Dへと搬送し、このときパレット1は載置面1aに平行な方向で搬送されることとなる。
【0019】
洗浄部Dにおいて、第3コンベヤ11は洗浄室12の略中央でパレット1を一時的に停止させる。すると、上記移動手段14が噴射ノズル13を前後に往復動させながら上下に移動させ、噴射ノズル13からは高圧の洗浄液がパレット1に向けて噴射される。
そして所定時間経過してパレット1が洗浄されると、第3コンベヤ11はパレット1を移動させて洗浄室12から搬出すると共に、該パレット1を脱水部Eの第4コンベヤ16に移動させる。
【0020】
脱水部Eにおいて、第4コンベヤ16の下流端および第5コンベヤ18の上流端はそれぞれ搬送面が水平となるように上方に位置しており、この状態で第4コンベヤ16は脱水室15内にパレット1を搬入して上記回転手段17の下部キャップ17aの位置に停止させる。
そして、上記駆動機構17cが上部キャップ17bを下降させるとともに、上記揺動手段によって第4コンベヤ16の下流端および第5コンベヤ18の上流端が下方に退避することで、パレット1は上部キャップ17bと下部キャップ17aによって保持される。
その後、上記駆動機構17cが上部キャップ17bを回転させ、上記パレット1を水平方向に回転させることでパレット1に付着した洗浄液を脱水させる。
所定時間経過後、駆動機構17cは上部キャップ17bの長手方向を上記第5コンベヤ18の搬送方向に合わせて停止させる。その後、第4コンベヤ16の下流端および第5コンベヤ18の上流端を上昇して駆動機構17cが上部キャップ17bを上方に退避させる。
そして、第4コンベヤ16及び第5コンベヤ18はパレット1を移動させて脱水室15から搬出するとともに、第5コンベヤ18は該パレット1を乾燥部Fの第6コンベヤ21に移動させる。
【0021】
乾燥部Fにおいて、第6コンベヤ21が上記第5コンベヤ18からパレット1を受け取ると、乾燥室20の供給口20aに設けられたシャッタ24が開放されて、パレット1が乾燥室20内に搬入される。
このとき第7コンベヤ22は間欠駆動されており、上記下部コンベヤ22aおよび上部コンベヤ22bの保持部材22cをパレット供給位置に位置させて停止し、また第2補助コンベヤ25は下部コンベヤ22aの上方に位置している。
そして、第6コンベヤ21が上記パレット1を上記第2補助コンベヤ25に受け渡すと、第2補助コンベヤ25が下降して、パレット1は下部コンベヤ22a上に載置され、同時に4つの保持部材22cによって保持される。
続いて、第7コンベヤ22はパレット1を載置面1aに直交する方向に1ピッチ搬送し、該パレット1の上流側に隣接した保持部材22cには順次脱水部Eで処理されたパレット1が供給される。このようにして、第7コンベヤ22は複数のパレット1を載置面1aが相対するように保持して搬送する。
また、第7コンベヤ22がパレット供給位置からパレット1を1ピッチ搬送すると、そのパレット1はパレット供給位置近傍に設けられた仕切り板20cの位置で停止し、該パレット1により仕切り板20cの開口部を塞ぐようになっている。
一方、パレット排出位置近傍に設けた仕切り板20cの位置には、パレット排出位置のパレット1に対して1ピッチ上流側に位置するパレット1が停止し、該パレット1により仕切り板20cの開口部を塞ぐようになっている。
そして、上記乾燥室20に設けられた乾燥手段19は熱せられた空気を乾燥室20内に供給しパレット1を乾燥する。熱風の一部はパレット1の挿入口1cの内部に向けて送風されることから、挿入口1c内部に付着した洗浄液も乾燥することができる。
パレット1が第7コンベヤ22のパレット排出位置に達すると、上記第3補助コンベヤ26が上昇して、パレット1が保持部材22cのパレット載置面より離脱し、その後第3補助コンベヤ26はパレット1を載置面1aに平行な方向に移動させる。
そして、第8コンベヤ23が第3補助コンベヤ26からパレット1を受け取ると、上記乾燥室20の排出口20bに設けられたシャッタ24が開放され、パレット1が乾燥室20より搬出される。
【0022】
倒し部Gにおいて、上記保持部材27は起立した状態となっており、第8コンベヤ23によってパレット1が搬入されると、該パレット1は起立状態のまま保持部材27に保持される。
続いて、保持部材27を軸部28を中心に揺動させることで、パレット1は起立状態から水平状態となり、パレット1は載置面1aを下方に向けた状態で第9コンベヤ30上に載置されることとなる。
パレット1が水平状態となると、第9コンベヤ30はこのパレット1を上記段積部Hへと移動させる。
【0023】
段積部Hにおいて、上記第4補助コンベヤ31は第9コンベヤ30の下方に退避しており、上記第9コンベヤ30によって搬送されたパレット1は第4補助コンベヤ31の上方で停止する。
すると、第4補助コンベヤ31が上昇して該パレット1を保持手段32の高さに位置させると、保持手段32はフォーク6aを閉鎖状態としてパレット1を保持し、第4補助コンベヤ31が下降する。
これにより、保持手段32に保持されたパレット1の下方には第9コンベヤ30との間に新たなパレット1を通過させる隙間が形成されることとなる。
そして、第9コンベヤ30が倒し部Gからの新たなパレット1を第4補助コンベヤ31の上方に停止させると、第4補助コンベヤ31が上昇して、新たなパレット1を保持手段32に保持されたパレット1の下面に当接させる。
すると、保持手段32はフォーク6aを閉鎖状態から開放状態とし、続いて第4補助コンベヤ31はパレット1を1枚分だけ上昇させ、保持手段32はフォーク6aを再び閉鎖状態として新たなパレット1を保持する。
上記動作を繰り返すことで、保持手段32にはパレット1が積層された状態で保持されるようになり、所定枚数のパレット1が積層されたら、第4補助コンベヤ31によって積層されたパレット1を上記第10コンベヤ33の搬送面まで下降させる。
第4補助コンベヤ31は積層されたパレット1を第10コンベヤ33へと移動させ、その後第10コンベヤ33が該積層されたパレット1を上記排出部Iへと搬送する。排出部Iに搬送された積層されたパレット1はフォークリフト等により排出されるようになっている。
【0024】
上記実施例によれば、上記乾燥部Fの第7コンベヤ22は載置面1aに直交する方向にパレット1を搬送するため、少ない設置面積でパレット1を長時間かけて十分に乾燥させることが可能となる。
したがって、乾燥部Fの上流に位置する洗浄部Dなどにおける作業を滞らせずに、パレット1の乾燥を行うことができ、効率的にパレット1の洗浄を行うことができる。
また、上記乾燥部Fの第6〜第8コンベヤ21〜23によれば、パレット1を回転させる回転手段を設けずとも、パレット1の搬送方向を切り替えることが可能であることから、乾燥部Fの設置面積を抑えることができる。
さらに、第6、第8コンベヤ21、23は、載置面1aに平行する方向にパレット1を移動させ、かつ乾燥室20の供給口20aおよび排出口20bの開口部は、パレット1の断面形状に近接するように形成されていることから、パレット1と開口部との隙間からの熱風の漏出を最小限に抑え、しかもこれら供給口20aおよび排出口20bはシャッタ24によって開閉されるため、乾燥室20からの熱風の漏出を可及的に防止することができる。
そして、上記乾燥室20に仕切り板20cを設け、該仕切り板20cに第7コンベヤ22によって搬送されるパレット1の断面形状に近接するように開口部を形成しているので、供給口20aや排出口20bの方に熱風が流れるのを抑制して乾燥室20からの熱風の漏出を最小限に抑えることが可能となっている。
【0025】
図5は、第2実施例にかかるパレット洗浄システム2の一部を示している。なお、それ以外の構成については上記第1実施例のパレット洗浄システム2と略同様であるので、詳細な説明を省略する。
上記乾燥部Fは、乾燥手段を備えた乾燥室120と、脱水部Eで脱水されたパレット1を乾燥室120に搬入する供給コンベヤとしての第6コンベヤ121と、パレット1を図5の図示上方から図示下方に搬送する主コンベヤとしての第7コンベヤ122と、上記第7コンベヤ122の下流端に達したパレット1を図示左方から右方に移動させる移設コンベヤとしての第8コンベヤ123と、パレット1を図5の図示下方から図示上方に搬送する主コンベヤとしての第9コンベヤ124と、第9コンベヤ124上のパレット1を乾燥室120の外部に搬出する排出コンベヤとしての第10コンベヤ125とから構成されている。
なお、上記第10コンベヤ125は、上記第1実施例における第8コンベヤ23に該当し、パレット1を上記倒し部Gへと搬送するようになっている。
上記乾燥室120は、上記第1実施例の乾燥室20を2つ組合わせて形成され、上記第7、第9コンベヤ122、124により第1実施例の乾燥部Fに対して略2倍の数量のパレット1を乾燥することが可能となっている。
また、乾燥室120の図示左方の上方には上記第6コンベヤ121によりパレット1を搬入するための供給口120aが形成され、図示右方の上方には上記第10コンベヤ125によりパレット1を搬出するための排出口120bが形成されており、これら排出口120bおよび供給口120aにはそれぞれシャッタ126が設けられている。
さらに、第7コンベヤ122による搬送経路上における供給口120aよりも下流側および、第9コンベヤ124における排出口120bよりも上流側には、それぞれ乾燥室120を区画する仕切り板120cが設けられている。
そして各仕切り板120cには、第7、第9コンベヤ122,124によって搬送されるパレット1の断面形状に近接するように開口部が形成され、間欠搬送されたパレット1は該仕切り板120cの位置で停止するようになっている。
上記乾燥手段は、上記第7、第9コンベヤ122、124の上方に設けられており、第7、第9コンベヤ122、124によって搬送されるパレット1に熱風を吹きかけるようになっている。
【0026】
上記第7コンベヤ122および第9コンベヤ124はそれぞれ第1実施例における第7コンベヤ22と同様、下部コンベヤ、上部コンベヤ、保持部材によって構成され、共に複数のパレット1を載置面1aが相対した状態で保持し、かつ載置面1aに直交する方向に搬送するようになっている。
また上記第7コンベヤ122の上流端、および第9コンベヤ124の下流端には、それぞれ下部コンベヤの間に第2、第3補助コンベヤ127、128を備えており、第2補助コンベヤ127は第6コンベヤ121からパレット1を受け取り、第3補助コンベヤ128は第10コンベヤ125にパレット1を受け渡すようになっている。
上記第8コンベヤ123は、上記第7コンベヤ122の下流端、かつ第9コンベヤ124の上流端に位置しており、パレット1を図1の図示左方から右方、すなわち載置面1aに平行する方向に搬送するようになっている。
また上記第7コンベヤ122および第9コンベヤ124には、それぞれ上記第8コンベヤ123の延長上に第4、第5補助コンベヤ129,130を備えており、第4補助コンベヤ129は第7コンベヤ122の下流端に達したパレット1を第8コンベヤ123に移動させ、第5補助コンベヤ130は第8コンベヤ123からのパレット1を第9コンベヤ124上に移動させるものとなっている。
【0027】
上記構成を有する乾燥部Fによれば、第6コンベヤ121によって脱水部Eから載置面1aに平行な方向で供給されたパレット1は、第7コンベヤ122によって載置面1aに直交する方向に搬送され、その後第8コンベヤ123によって第9コンベヤ124に移設されると、第9コンベヤ124によって第7コンベヤ122とは反対方向に搬送されるようになっている。
つまり、本実施例の乾燥部Fによれば、第1実施例の乾燥部Fに比べて約2倍の搬送経路を有しており、上記乾燥手段からの熱せられた空気によりパレット1を十分に乾燥させることが可能となっている。
また、上記洗浄部Dや脱水部Eにおけるパレット1の処理速度を高くしても、上記乾燥部Fによって十分にパレット1を乾燥させることができ、パレット1を効率的に洗浄することが可能である。
なお、この第2実施例に対し、上記第7、第9コンベヤ122、124に平行する主コンベヤをさらに増設し、パレット1の搬送経路を伸ばしてもよい。
さらに、第2実施例の配置では第10コンベヤ125が乾燥部Fからパレットを排出する排出コンベヤとなっているが、該第10コンベヤ125は供給コンベヤとしての第6コンベヤ121に対して一直線上に配置されているため、これら供給コンベヤと排出コンベヤとを1つの給排コンベヤで構成してもよい。
この場合、上記給排コンベヤに隣接した位置に、主コンベヤとなる第7コンベヤ122の上流端および第9コンベヤ124の下流端を設け、給排コンベヤと主コンベヤとの間に、パレット1を一旦持ち上げて移載させる移載手段を設ける構成とすることが考えられる。
このような構成であっても、第1実施例や第2実施例と同様の効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】第1実施例にかかるパレット洗浄システムの平面図
【図2】図1におけるII−II部の側面図
【図3】図1におけるIII−III部の側面図
【図4】乾燥部を示した斜視図
【図5】第2実施例にかかる乾燥部の平面図
【符号の説明】
【0029】
1 パレット 2 パレット洗浄システム
19 乾燥手段 22 乾燥室
21 第6コンベヤ 22 第7コンベヤ
23 第8コンベヤ 24 シャッタ
A 供給部 B 取出部
C 起立部 D 洗浄部
E 脱水部 F 乾燥部
G 倒し部 H 段積部
I 排出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表面または裏面のいずれか一方に載置面の形成された板状のパレットを洗浄するパレット洗浄システムにおいて、
上記載置面が水平方向を向いた起立状態のパレットに洗浄液を噴射する洗浄部と、パレットを乾燥させる乾燥部と、起立状態のパレットを載置面に平行な方向に搬送して該パレットを上記乾燥部に給排する搬送手段とを備え、
上記乾燥部には、乾燥手段を備えた乾燥室と、乾燥室内に設けられて複数の起立状態のパレットを表面または裏面が相対するように所定間隔で保持して、該パレットを載置面に直交する方向に搬送する主コンベヤとが設けられ、
上記搬送手段は、乾燥室内でパレットを主コンベヤへ受け渡す供給コンベヤと、乾燥室内でパレットを主コンベヤから受け取る排出コンベヤとを備えることを特徴とするパレット洗浄システム。
【請求項2】
上記乾燥室は、上記供給コンベヤおよび排出コンベヤによって搬送されるパレットの断面形状に近接するように形成された開口部を有する供給口および排出口を備え、
該供給口および排出口にパレットが通過する度に開閉されるシャッタを設けたことを特徴とする請求項1に記載のパレット洗浄システム。
【請求項3】
上記乾燥室に、上記主コンベヤによるパレットの搬送経路上における、上記供給コンベヤからのパレット供給位置よりも下流側および、上記排出コンベヤへのパレット排出位置よりも上流側に、それぞれ乾燥室を区画する仕切り板を設け、
各仕切り板に、主コンベヤによって搬送されるパレットの断面形状に近接するように開口部を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載のパレット洗浄システム。
【請求項4】
複数の主コンベヤを平行に設置して、隣接する主コンベヤが相互に反対方向にパレットを搬送するとともに、
該隣接する一方の主コンベヤの下流端から他方の主コンベヤの上流端へパレットを移動させる移設コンベヤを設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のパレット洗浄システム。
【請求項5】
上記主コンベヤはパレットを間欠搬送することを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のパレット洗浄システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−125388(P2010−125388A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−302910(P2008−302910)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(393028357)シブヤマシナリー株式会社 (77)
【Fターム(参考)】