説明

パーソナルケアのためのペプチドベースの体表面試薬

髪、皮膚、爪、歯、歯茎、角膜組織、および口腔表面などの体表面に高親和力で結合するペプチドが同定された。体表面結合ペプチドと利点付与剤とをカップリングして形成されるペプチドベースの体表面試薬について記載されている。ペプチドベースの体表面試薬としては、ペプチドベースの毛髪コンディショナー、染髪剤、皮膚コンディショナー、皮膚着色剤、爪着色剤、および口腔ケア試薬が挙げられる。ペプチドベースの毛髪コンディショナーおよび染髪剤は、それぞれ毛髪コンディショナーまたは着色剤にカップリングした髪結合ペプチドを含んでなる。ペプチドベースの皮膚コンディショナーおよび皮膚着色剤は、それぞれ皮膚コンディショナーまたは着色剤にカップリングした皮膚結合ペプチド含んでなる。ペプチドベース爪着色剤は、着色剤にカップリングした爪結合ペプチドを含んでなる。ペプチドベースの口腔ケア試薬は、口腔ケア利点付与剤にカップリングした口腔表面結合ペプチドを含んでなる。これらの全組成物で、ペプチドは、活性剤に直接カップリングしてもよく、またはスペーサー経由でカップリングしてもよい。これらのペプチドベースのコンディショナーおよび着色剤試薬を含有するパーソナルケア組成物についてもまた記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書は、2003年9月8日に出願され今は満了となった米国特許仮出願第60/501498号明細書の利益を主張する2004年9月7日に出願された米国特許出願第10/935642号明細書の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、パーソナルケア製品の分野に関する。より具体的には本発明は、特異的皮膚結合、毛髪結合、および爪結合ペプチドをベースとする、皮膚コンディショナー、毛髪コンディショナー、毛髪着色剤、爪着色剤、および皮膚着色剤に関する。
【背景技術】
【0003】
膜形成物質は、コンディショナーおよび保湿剤として皮膚および毛髪ケアための組成物において広く使用され、環境および化学的損傷から皮膚および毛髪を保護する。これらの物質は、皮膚または毛髪上に吸着され、および/またはその中に吸収されて保護コーティングを形成する。一般に使用される膜形成物質としては、シリコーン、ポリビニルピロリドン、アクリル酸ポリマーなどの合成ポリマーと、多糖類と、コラーゲン、ケラチン、エラスチン、カゼイン、絹および大豆タンパク質などのタンパク質とが挙げられる。多くのタンパク質は、特に効果的な膜形成剤であることが知られている。皮膚および毛髪ケア製品で使用される条件におけるそれらの低溶解性のために、タンパク質は一般にタンパク質の加水分解によって形成されるペプチドの形態で使用される。
【0004】
毛髪ケアおよび髪染め組成物中で、膜形成物質は毛髪表面に保護膜を形成して、グルーミングおよびスタイリング、洗髪、および紫外線およびパーマ剤で一般に使用される反応性化学薬品、髪染め製品、漂白剤、および毛髪ケラチンタンパク質を変性させる毛髪ストレートナーへの曝露による損傷から保護するするために使用される。さらにこれらの膜形成物質は、毛髪の弾性を改善する。毛髪ケア製品で使用されている膜形成物質としては、ケラチン、コラーゲン、大豆および絹タンパク質などのタンパク質およびそれらの加水分解産物、そしてポリアクリレート、長鎖アルキル四級化アミン、およびシロキサンポリマーなどのポリマー材料が挙げられる。例えばカネル(Cannell)らは、特許文献1で、化学的および紫外線損傷から毛髪を処置するための毛髪ケア組成物について述べる。その組成物は、豊富なアニオン性アミノ酸、特に、イオウ含有アミノ酸、および二価のカチオンを有する加水分解タンパク質を含んでなる。その開示では、加水分解タンパク質のアニオン性構成要素が、カチオン性架橋の手段によって毛髪に結合することが提案されている。アミノ酸およびそれらの誘導体もまた、毛髪を質改良および強化するために毛髪ケア組成物で使用されている。例えば、オツール(O’Toole)らは特許文献2で、ヒスチジン、リジン、メチオニン、チロシン、トリプトファン、およびシステイン化合物から選択される4種以上のアミノ酸化合物を含有する毛髪ケア組成物について述べている。
【0005】
膜形成物質もまた、皮膚に保護膜を形成するために、皮膚ケア組成物で使用されている。これらの膜は皮膚に油分を与え被覆して、水分蒸発を受動的に妨げ、皮膚を滑らかにおよび軟化する役割を果たすことができる。皮膚ケア組成物で一般に使用される膜形成物質としては、加水分解された動物および植物タンパク質(プチャルスキー(Puchalski)らに付与された特許文献3、エルメンショーイ(El−Menshawy)らに付与された特許文献4、およびコジマ(Kojima)らに付与された特許文献5)、および絹タンパク質(フィリップ(Philippe)らに付与された、特許文献6、およびファーネストック(Fahnestock)らに付与された、同時係属中の特許文献7)が挙げられる。アミノ酸および誘導体もまた、コンディショナーとして皮膚ケア組成物で使用されている。例えば、コジマ(Kojima)らは特許文献8で、アミノ酸および/またはそれらの誘導体と、ドコサヘキサエン酸、その塩またはそのエステルとを含有する皮膚ケア組成物について述べる。
【0006】
髪染め剤は、具体的には、恒久的、半恒久的または直接的、および一時的の3つのカテゴリーに分類されてもよい。恒久的毛髪染料は、概して約4から6週間持続する毛髪色を提供する酸化染料である。これらの酸化毛髪染料は、2つの部分からなり、1つの部分はその他の成分に加えて酸化染料を含有し、他方第2の部分は過酸化水素などの酸化剤を含有する。2つの構成要素は使用直前に混合される。酸化剤は染料前駆物質を酸化し、それは次に一緒になって毛幹内に大型着色分子を形成する。酸化毛髪染料は持続性の色を提供するが、それらが含有する酸化剤は、毛髪損傷を引き起こす。半恒久的または直接毛髪染料は、毛髪に適用されて、約6回から12回の洗髪の間、色を提供するあらかじめ成形された染料分子である。このタイプの毛髪染料は過酸化物を含有しないので、毛髪に対してより穏やかであるが、毛髪色は長持ちしない。ヘンセン(Hensen)らが特許文献9で述べるように、粒度10〜500nmのナノ粒子髪染め材料の使用によって、いくらかの改善された耐久性が達成されている。これらのナノ粒子髪染め材料は、ナノスケールの寸法を与えて毛髪への増大する吸収を示すように処置された従来の直接毛髪染料である。一時的毛髪染料は毛髪表面に適用され、1回の洗髪で除去される着色剤である。毛髪を損傷する酸化剤の使用なしに、恒久的毛髪染料の耐久性を提供する毛髪着色剤を開発することが望ましいであろう。
【0007】
現行の皮膚ケアおよび毛髪ケア組成物、非酸化的毛髪染料、ならびに爪着色剤の主要な問題は、持続性効果に要求される必要な耐久性を欠いていることである。この理由で、毛髪、皮膚または爪に対する化粧品の結合を向上させる試みがなされている。例えば、リチャードソン(Richardson)らは特許文献10で、グリーン(Green)らは特許文献11で、酵素トランスグルタミナーゼを使用した毛髪、皮膚、および爪に対する、皮膚コンディショナー、毛髪コンディショナー、着色剤、サンスクリーン、および芳香剤などの化粧品剤の共有結合について述べる。この酵素は、化粧品剤のアミン部分を皮膚、毛髪、および爪のグルタミン残基に架橋する。同様にグリーンら(Green)は、特許文献12で化粧品剤を毛髪、皮膚、および爪に共有結合的に付着するための酵素リジンオキシダーゼの使用について述べる。
【0008】
別のアプローチでは、化粧品剤がタンパク質またはタンパク質水解物に共有結合的に付着されている。例えばラング(Lang)らは、特許文献13で、タンパク質鎖にグラフト化された染料分子残基を含有する、動物または植物タンパク質、またはそれらの加水分解産物を含有する一時的着色組成物について述べる。これらの組成物ではタンパク質はコンディショナーとしての役割をし、毛髪、皮膚、または爪に対する化粧品剤の結合を向上させない。ホリコシ(Horikoshi)らは特許文献14で、イガラシ(Igarashi)らは特許文献15で、染料または顔料に共有結合的に付着する抗ケラチン抗体からなる髪染め剤について述べる。抗体は毛髪に結合し、それによって毛髪に対する毛髪着色剤の結合を向上させる。同様にキザワ(Kizawa)らは特許文献16で、毛髪表面層を認識する抗体、および毛髪処置におけるその使用について述べる。着色ラテックス粒子に共役するその抗毛髪抗体からなる毛髪着色剤についてもまた述べられる。毛髪に対する染料の結合を向上させるための抗体の使用は、髪染めの耐久性を増大させるのに効果的であるが、これらの抗体は製造が困難かつ高価である。テラダ(Terada)らは特許文献17で、皮膚および毛髪ケア組成物のための染料、リガンド、および化粧品剤と共役する好ましくは抗ケラチンである一本鎖抗体からなる抱合体の使用について述べる。一本鎖抗体は遺伝工学技術を使用して調製してもよいが、それでもなおそれらは大型サイズのために調製は困難かつ高価である。フィンドレー(Findlay)は特許文献18で、コンディショナー、染料、および芳香剤のための化粧品剤に対する結合領域、および毛髪繊維表面または皮膚表面の少なくとも一部に結合する別の結合領域を含有する、β−ラクトグロブリンなどのカリシンタンパク質の使用について述べる。これらのタンパク質もまた大型であり、製造が困難かつ高価である。
【0009】
リンター(Linter)は特許文献19で、脂肪酸鎖にグラフト化されたペプチド、およびそれらの化粧品および皮膚医薬品用途における使用について述べる。その開示で述べられるペプチドは、コラーゲン合成を刺激することから選択され、それらは毛髪および皮膚コンディショナー、および毛髪、爪、および皮膚着色剤の耐久性を向上させる特異的結合ペプチドではない。
【0010】
1985年に導入されて以来、ファージディスプレイは、ペプチド、タンパク質、および薬剤標的のための小型分子をはじめとする多様なリガンドを発見するために広く使用されている(非特許文献1)。その用途は、タンパク質の折りたたみ、新しい触媒の活性、新しい特性を有するDNA結合タンパク質、および組織工学のための新しいペプチドベースの生体材料骨格の研究などのその他の分野に拡大されている(非特許文献2および非特許文献3)。非特許文献4は、無機半導体基材の異なる結晶学的形態に特異的に結合できるペプチド配列を同定するための、ファージディスプレイスクリーニングの使用を開示する。
【0011】
ペプチドライブラリーと抗標的とを接触させて、抗標的に結合するペプチドを除去し、次に非結合ペプチドを標的に接触させることを含んでなる、修正スクリーニング法について述べられている(エステル(Estell)らの特許文献20、マレー(Murray)らの特許文献21、およびジャンセン(Janssen)らの特許文献22)。その方法を使用して、毛髪に結合するが皮膚に結合しない配列番号1として示されるペプチド配列、および皮膚に結合するが毛髪に結合しない配列番号2として示されるペプチド配列が同定された。同一方法を使用してジャンセン(Janssen)ら特許文献23は、その他の皮膚結合および毛髪結合ペプチド、ならびにいくつかの結合モチーフを同定した。これらの開示では、パーソナルケア用途におけるこれらのペプチドの可能な使用が提案されているが、高親和力の毛髪コンディショナー、皮膚コンディショナー、毛髪着色剤、爪着色剤、および皮膚着色剤を調製するための、着色剤およびコンディショナーに対するこれらのペプチドの結合については述べられていない。高親和力ファージ−ペプチドクローンを同定する方法についてもまた、これらの開示で述べられている。方法はPCRを使用して、酸溶出後に標的に結合したままであるペプチドを同定することを伴う。
【0012】
非特許文献5は、特異的ヒト組織の成分を標的にするようデザインされたペプチドファミリーが、パーソナルケア用途のために開発されたことを報告する。しかしその公報で、ペプチドベースのコンディショナーまたは着色剤についての記述は開示されていない。
【0013】
配列番号3として示される本発明のペプチド結合配列の1つが、いくつかのその他の目的のために報告されている。例えばハップ(Hupp)らは特許文献24で、哺乳類の細胞サイクルを調節する、または細胞死を誘導または防止するのに有用である、p300ポリペプチドに対するp53ポリペプチドの結合を調節するのに使用するためのペプチドとして、ペプチド配列配列番号3を開示する。リウ(Liu)らは特許文献25で、関節炎およびその他の炎症性疾患がある患者において、炎症性変化を防止または逆転するために、腫瘍壊死因子αの受容体に対する結合を阻害する同一ペプチド配列の使用について述べる。配列番号4として示される本発明別のペプチド結合配列は、ジャゴタ(Jagota)らにより特許文献26で、カーボンナノチューブ結合ペプチドとして報告されている。
【0014】
上記を鑑み、持続的効果のための改善された耐久性を提供し、調製が容易で安価な毛髪および皮膚コンディショナー、および毛髪、爪、および皮膚着色剤に対する必要性が存在する。
【0015】
出願人らは、髪、皮膚、爪、歯、歯茎、角膜組織、および口腔表面などの皮膚表面に高親和力で特異的に結合するファージディスプレイスクリーニングを使用してペプチド配列を同定し、それらを使用して、毛髪コンディショナー、皮膚コンディショナー、毛染髪剤、爪着色剤、皮膚着色剤、および口腔ケア試薬などのペプチドベースの体表面試薬をデザインすることで既述の要件を満たした。
【0016】
【特許文献1】米国特許第6,013,250号明細書
【特許文献2】国際公開第0051556号パンフレット
【特許文献3】米国特許第4,416,873号明細書
【特許文献4】米国特許第4,482,537号明細書
【特許文献5】特開平02311412号公報
【特許文献6】米国特許第6,280,747号明細書
【特許文献7】米国特許出願第10/704337号明細書
【特許文献8】特開平06065049号公報
【特許文献9】国際公開第01045652号パンフレット
【特許文献10】米国特許第5,490,980号明細書
【特許文献11】米国特許第6,267,957号明細書
【特許文献12】国際公開第0107009号パンフレット
【特許文献13】米国特許第5,192,332号明細書
【特許文献14】特開平08104614号公報
【特許文献15】米国特許第5,597,386号明細書
【特許文献16】特開平09003100号公報
【特許文献17】特開2002363026号公報
【特許文献18】国際公開第00048558号パンフレット
【特許文献19】米国特許第6,620,419号明細書
【特許文献20】国際公開第0179479号パンフレット
【特許文献21】米国特許出願公報第2002/0098524号明細書
【特許文献22】米国特許出願公報第2003/0152976号明細書
【特許文献23】国際公開第04048399号パンフレット
【特許文献24】国際公開第02065134号パンフレット
【特許文献25】米国特許第6,344,443号明細書
【特許文献26】国際公開第03102020号パンフレット
【非特許文献1】ディクシト(Dixit)、J.of Sci. & Ind.Research、57:173〜183(1998)
【非特許文献2】ヘース(Hoess)、Chem.Rev.101:3205〜3218(2001)
【非特許文献3】ホームズ(Holmes)、Trends Biotechnol.20:16〜21(2002)
【非特許文献4】ホエーリー(Whaley)ら、Nature 405:665〜668(2000)
【非特許文献5】ライヒ(Reisch)、Chem.Eng.News 80:16〜21(2002)
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、毛髪、皮膚および爪に高親和力で結合するペプチド配列を提供する。本発明はまた、毛髪、皮膚、および爪のためのペプチドベースのコンディショナーおよび着色剤も提供する。一実施態様では、ペプチドベースのコンディショナーおよび着色剤は、ジブロック組成物である。
【0018】
したがって本発明は、配列番号5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、64、66、69、および70よりなる群から選択される毛髪結合ペプチドを提供する。
【0019】
同様に本発明は、配列番号60に記載の爪結合ペプチドを提供する。
【0020】
別の実施態様では、本発明は、配列番号61に記載の皮膚結合ペプチドを提供する。
【0021】
一実施態様では、本発明は一般構造式(BSBP)−BA
[式中、
a)BSBPは体表面結合ペプチドであり、
b)BAは利点付与剤であり、そして
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベース体表面試薬を提供する。
【0022】
あるいは本発明は、一般構造式[(BSBP)−S]−BA
[式中、
a)BSBPは体表面結合ペプチドであり、
b)BAは利点付与剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベース体表面試薬を提供する。
【0023】
別の実施態様では、本発明は、一般構造式(HBP)−HCA
[式中、
a)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)HCAは毛髪コンディショナーであり、そして
c)nは1〜約1000の範囲である]
を有する、ジブロックのペプチドベース毛髪コンディショナーを提供する。
【0024】
同様に本発明は、一般構造式(SBP)−SCA
[式中、
a)SBPは皮膚結合ペプチドであり、
b)SCAは皮膚コンディショナーであり、そして
c)nは1〜約1000の範囲である]
を有する、ジブロックのペプチドベース皮膚コンディショナーを提供する。
【0025】
他の実施態様では、本発明は、一般構造式(HBP)−C
[式中、
a)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、そして
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有する、ジブロックのペプチドベース毛髪着色剤を提供する。
【0026】
別の実施態様では、本発明は、一般構造式(NBP)−C
[式中、
a)NBPは爪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、そして
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有する、ジブロックのペプチドベース爪着色剤を提供する。
【0027】
別の実施態様では、本発明は、一般構造式(SBP)−C
[式中、
a)SBPは皮膚結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、そして
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有する、ジブロックのペプチドベースの皮膚着色剤を提供する。
【0028】
同様の実施態様では、本発明は、一般構造式[(HBP)−S]−HCA
[式中、
a)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)HCAは毛髪コンディショナーであり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約1000の範囲である]
を有する、トリブロックのペプチドベース毛髪コンディショナーを提供する。
【0029】
あるいは、本発明は、一般構造式[(SBP)−S]−SCA
[式中、
a)SBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)SCAは皮膚コンディショナーであり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約1000の範囲である]
を有する、トリブロックのペプチドベース皮膚コンディショナーを提供する。
【0030】
同様に本発明は、一般構造式[(HBP)−S]−C
[式中、
a)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有する、トリブロックのペプチドベース毛髪着色剤を提供する。
【0031】
別の実施態様では、本発明は、一般構造式[(NBP)−S]−C
[式中、
a)NBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有する、トリブロックのペプチドベース爪着色剤を提供する。
【0032】
別の実施態様は、本発明は、一般構造式[(SBP)−S]−C
[式中、
a)SBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有する、トリブロックのペプチドベースの皮膚着色剤を提供する。
【0033】
他の実施態様では、本発明は一般構造式(OBP)−OBA
[式中、
a)OBPは口腔表面結合ペプチドであり、
b)OBAは口腔ケア利点付与剤であり、
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有する、ジブロックのペプチドベース口腔ケア試薬を提供する。
【0034】
同様に本発明は、一般構造式[(OBP)−S]−OBA
[式中、
a)OBPは口腔表面結合ペプチドであり、
b)OBAは口腔ケア利点付与剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベース口腔ケア試薬を提供する。
【0035】
さらに本発明は、
a)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
b)(a)のライブラリーを体表面サンプルと接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−体表面サンプル複合体、
(ii)非結合体表面サンプル、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
c)(b)のファージ−ペプチド−体表面サンプル複合体を単離するステップと、
d)弱く結合したファージ−ペプチドを(c)の単離されたファージ−ペプチド複合体から溶出させるステップと、
e)ステップ(d)の後に残ったファージ−ペプチド−体表面サンプル複合体を細菌宿主細胞に直接感染させるステップと、
f)ステップ(e)の感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させるステップと、
g)体表面に対して高結合親和力を有するファージ−ペプチドをステップ(f)の生育細胞から単離し同定するステップと
を含んでなる、高親和力体表面結合−ペプチドの創製方法を提供する。
【0036】
好ましい実施態様では、本発明は、毛髪に本発明の組成物を適用して保護層を形成させることを含んでなる、毛髪上にペプチドベースのコンディショナーの保護層を形成する方法を提供する。
【0037】
同様に本発明は、皮膚または口唇に本発明の組成物を適用して保護層を形成させることを含んでなる、皮膚または口唇上にペプチドベースのコンディショナーの保護層を形成する方法を提供する。
【0038】
一実施態様では、本発明は、体表面結合ペプチドが体表面に接着する条件下に体表面がある状態で、体表面結合ペプチドおよび利点付与剤を含んでなる、請求項4または5のいずれか一項に記載のペプチドベースの体表面試薬を体表面に接触させるステップを含んでなる、利点付与剤を体表面に適用する方法を提供する。
【0039】
別の実施態様では、本発明は、本発明の毛髪、眉、皮膚または爪着色組成物を毛髪、眉、皮膚または爪の着色を引き起こすのに十分な時間にわたり、毛髪、眉、皮膚または爪に適用して、毛髪、眉、皮膚または爪の着色方法を提供する。
【0040】
好ましい実施態様では、本発明は、
a)i)(HBP)−C、および
ii)[(HBP)−S]−C
[式中、
1)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
2)Cは着色剤であり、
3)nは1〜約10,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約10,000の範囲である]
よりなる群から選択される毛髪着色剤を含んでなる髪染め組成物を準備し、
ここで、毛髪結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備し、
B)(A)のライブラリーを毛髪サンプルと接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−毛髪複合体、
(ii)非結合毛髪、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめ、
C)(B)のファージ−ペプチド−毛髪複合体を単離し、
D)(C)の単離されたペプチド複合体から弱く結合したペプチドを溶出するステップと、
E)ステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−毛髪複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、あるいはステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−毛髪複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な生育培地中で生育させ、生育した細胞からファージ−ペプチドを単離し同定するかのいずれかによって残存する結合したファージ−ペプチドを同定する
ことを含んでなり、
ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸であり、MB50として測定して10−5Mに等しいかそれより小さい毛髪に対する結合親和力を有する方法によって選択されるステップと、
b)(a)の毛髪着色剤をペプチドベースの着色剤が毛髪、眉または睫毛に結合するのに十分な時間にわたり、毛髪、眉または睫毛に適用するステップ
を含んでなる毛髪、眉または睫毛の着色方法を提供する。
【0041】
別の実施態様では、本発明は、
a)i)(HBP)−HCA、および
ii)[(HBP)−S]−HCA
[式中、
1)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
2)HCAは毛髪コンディショナーであり、
3)nは1〜約1,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約1,000の範囲である]
よりなる群から選択される毛髪コンディショナーを含んでなる毛髪ケア組成物を準備し、
ここで、毛髪結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーを毛髪サンプルと接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−毛髪複合体、
(ii)非結合毛髪、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−毛髪複合体を単離するステップと、
D)(C)の単離されたペプチド複合体から弱く結合したペプチドを溶出させるステップと、
E)ステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−毛髪複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−毛髪複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な生育培地中で生育させ、生育した細胞からファージ−ペプチドを単離し、残存する結合したファージ−ペプチドを同定するかのいずれかによって同定するステップ
を含んでなり、ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸であり、MB50として測定すると10−5Mに等しいかそれより小さい毛髪に対する結合親和力を有する方法によって選択するステップと、
b)(a)の毛髪コンディショナーを毛髪に適用して前記保護層を形成せしめるステップ
を含んでなる髪の上にペプチドベースコンディショナーの保護層を形成する方法を提供する。
【0042】
あるいは、本発明は、
a)i)(SBP)−SCA、および
ii)[(SBP)−S]−SCA
[式中、
1)SBPは皮膚結合ペプチドであり、
2)SCAは皮膚コンディショナーであり、
3)nは1〜約1,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約1,000の範囲である]
よりなる群から選択される皮膚コンディショナーを含んでなる、皮膚ケア組成物を準備するステップと、
ここで、皮膚結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーを皮膚サンプルと接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−皮膚複合体、
(ii)非結合皮膚、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−皮膚複合体を単離するステップと、
D)(C)の単離されたペプチド複合体から弱く結合したペプチドを溶出するステップと、
E)ステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−皮膚複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、あるいはステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−皮膚複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な生育培地中で生育させ、生育した細胞からファージ−ペプチドを単離し、残存する結合したファージ−ペプチドを同定するかのいずれかによって同定し、
ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸であり、MB50として測定すると10−5Mに等しいかそれより小さい皮膚に対する結合親和力を有する方法によって選択されるステップと、
b)(a)の皮膚コンディショナーを皮膚または口唇に適用して前記保護層を形成させる
ステップ
を含んでなる保護層を皮膚または口唇に形成する方法を提供する。

【0043】
別の実施態様では、本発明は、
a)i)(SBP)−C、および
ii)[(SBP)−S]−C
[式中、
1)SBPは皮膚結合ペプチドであり、
2)Cは着色剤であり、
3)nは1〜約10,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約10,000の範囲である]
よりなる群から選択される皮膚着色剤を含んでなる化粧料組成物を準備し、
ここで、皮膚結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーを皮膚サンプルと接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−皮膚複合体、
(ii)非結合皮膚、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−皮膚複合体を単離するステップと、
D)(C)の単離されたペプチド複合体から弱く結合したペプチドを溶出させるステップと、
E)ステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−皮膚複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−皮膚複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な生育培地中で生育させ、生育した細胞からファージ−ペプチドを単離し、残存する結合したファージ−ペプチドを同定するかのいずれかによって同定するステップ
を含んでなり、
ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸であり、かつMB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい皮膚に対する結合親和力を有する方法によって選択されるステップと、
b)(a)の皮膚着色剤を皮膚または口唇に適用するステップ
を含んでなる皮膚または口唇の着色方法を提供する。
【0044】
あるいは、本発明は、
a)i)(NBP)−C、および
ii)[(NBP)−S]−C
[式中、
1)NBPは爪結合ペプチドであり、
2)Cは着色剤であり、
3)nは1〜約10,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約10,000の範囲である]
よりなる群から選択される爪着色剤を含んでなる、マニキュア組成物を準備するステップと、
ここで爪結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーを爪サンプルと接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−爪複合体、
(ii)非結合爪、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−爪複合体を単離するステップと、
D)弱く結合したペプチドを(C)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
E)ステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−爪複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−爪複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な生育培地中で生育させ、生育した細胞からファージ−ペプチドを単離し同定するかのいずれかによって残存する結合したファージ−ペプチドを同定するステップ
を含んでなり、
ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸であり、かつMB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい爪に対する結合親和力を有する方法によって選択されるステップと、
b)(a)の爪着色剤を爪に適用するステップ
を含んでなる爪の着色方法を提供する。
【0045】
別の実施態様では、本発明は、
a)i)(OBP)−OBAおよび
ii)[(OBP)−S]−OBA
[式中、
1)OBPは口腔表面結合ペプチドであり、
2)OBAは口腔ケア利点付与剤であり、
3)nは1〜約10,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約10,000の範囲である]
よりなる群から選択される口腔ケア試薬を提供するステップと、
ここで、口腔表面結合ペプチドは、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーと口腔表面サンプルとを接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体、
(ii)非結合口腔表面サンプル、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体を単離するステップと、
D)弱く結合したペプチドを(C)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
E)残留結合ファージ−ペプチドをステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体を細菌宿主細胞に直接感染させて、感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させ、そしてファージペプチドを生育細胞から単離し同定するかのいずれかによって同定するステップと
ここで、ファージ−ペプチドは約7〜約25個のアミノ酸であり、かつMB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい口腔表面サンプルに対する結合親和力を有する方法によって選択されるステップと
b)(a)の口腔ケア利点付与剤をペプチドベースの口腔ケア剤が口腔表面に結合するのに十分な時間にわたり、口腔表面に適用するステップと
を含んでなる口腔ケア利点試薬を口腔表面に適用する方法を提供する。
【0046】
配列の簡単な説明
本願明細書の部分を形成する以下の詳細な説明、図、および添付の配列説明から、本発明をより完全に理解できる。
【0047】
以下の配列は、37C.F.R.1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含む特許出願の要件−配列規則(Requirements for Patent Applications Containing Nucleotide Sequences and/or Amino Acid Sequence Disclosures − the Sequence Rules)」)を満たし、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)およびEPOおよびPCTの配列表要件(規則5.2および49.5(aの2)、および実施細則第208号および附属書C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために使用される記号および型式は、37C.F.R.§1.822で述べられる規則に従う。
【0048】
配列番号1は、毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0049】
配列番号2は、皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0050】
配列番号3〜52、54〜59は、本発明の毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0051】
配列番号53は、本発明の毛髪結合および爪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0052】
配列番号60は、本発明の爪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0053】
配列番号61は、本発明の皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0054】
配列番号62は、ファージDNAを配列決定するのに使用されるオリゴヌクレオチドである。
【0055】
配列番号63は、ELISA結合アッセイにおいて対照として使用されるペプチドのアミノ酸配列である。
【0056】
配列番号64は、システイン付加毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0057】
配列番号65は、カスパーゼ3開裂部位のアミノ酸配列である。
【0058】
配列番号66、69、および70は、洗髪抵抗性毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0059】
配列番号67および68は、実施例8で述べる、洗髪抵抗性、毛髪結合ファージペプチドを増幅するのに使用されるプライマーのヌクレオチド配列である。
【0060】
配列番号71〜74は、実施例9で使用されるビオチニル化毛髪結合および皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0061】
配列番号75は、実施例16で使用される完全に保護されたD21ペプチドのアミノ酸配列である。
【0062】
配列番号76〜98は、毛髪結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【0063】
配列番号99〜104は、皮膚結合ペプチドのアミノ酸配列である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0064】
本発明は、高親和力で髪、皮膚、爪、歯、歯茎、などのヒト身体表面に特異的に結合するペプチド配列を提供する。さらに本発明は、体表面に利点を運ぶ様々な利点付与剤とカップリングされた体表面結合ペプチドを含んでなる、ペプチドベースの体表面試薬を提供する。典型的な本発明の組成物は、ペプチドベースの髪および皮膚コンディショナー、および改善された耐久性がある髪、爪、および皮膚着色剤である。
【0065】
本発明のペプチドベースの体表面試薬は、パーソナルケア製品の開発技術に利点と進歩を提供する。試薬はペプチドベースであるため、それらは水性環境から表面に強力に結合できることから、多くの場合、水可溶性であり耐水性でもある。さらに試薬の水性性質のために、それらは臭気発生化学薬品を使用することなしに体表面から除去されてもよい。本発明の試薬は標的体表面にほとんど即座に結合し、ほとんどのパーソナルケア用途に典型的な長い乾燥時間の必要性を排除する。さらに本発明の試薬は、体表面に対するそれらの親和力において特異的であり、特異的表面に対するそれらの適用を単離する必要性を不必要にする。したがって染髪のために髪に結合する試薬は皮膚に結合せず、逆もまた同様である。最も重要には、試薬のペプチドの性質は、それらを皮膚や眼および口の膜組織などの露出した体表面に対して事実上、非毒性かつ非刺激性にする。
【0066】
ここでは以下の定義を使用し、特許請求の範囲ならびに明細書の解釈のために参照するものとする。
【0067】
「HBP」とは、髪結合ペプチドを意味する。
【0068】
「SBP」とは、皮膚結合ペプチドを意味する。
【0069】
「NBP」とは、爪結合ペプチドを意味する。
【0070】
「OBP」とは、口腔表面結合ペプチドを意味する。
【0071】
「TBP」とは、歯結合ペプチドを意味する。
【0072】
「HCA」とは、毛髪コンディショナーを意味する。
【0073】
「SCA」とは、皮膚コンディショナーを意味する。
【0074】
「C」とは、髪、皮膚、または爪のための着色剤を意味する。
【0075】
「OBA」とは、口腔利点付与剤を意味する。
【0076】
「S」とは、スペーサーを意味する。
【0077】
「BSBP」とは、体表面結合ペプチドを意味する。
【0078】
「BA」とは、利点付与剤を意味する。
【0079】
「ペプチド」という用語は、ペプチド結合または変性ペプチド結合によって相互結合した2つ以上のアミノ酸を指す。
【0080】
「体表面」という用語は、利点付与剤を保有するペプチドの結合基質としての役割を果たすヒトの体のあらゆる表面を意味する。典型的な体表面としては、髪、皮膚、爪、歯、歯茎、および角膜組織が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0081】
「利点付与剤」という用語は、体表面への適用のために結合ペプチドとカップリングされてもよい化合物または物質に適用される一般用語である。利点付与剤としては、パーソナルケア産業で一般に使用されるその他の物質と並んで、典型的にコンディショナー、着色剤、香料、白化剤などが挙げられる。
【0082】
「髪」という用語は、ここでの用法ではヒト髪、眉毛、および睫毛を指す。
【0083】
「皮膚」という用語は、ここでの用法ではヒト皮膚、またはヒト皮膚代用品であるブタ皮膚、ビトロスキン(Vitro−Skin)(登録商標)、およびエピダーム(EpiDerm)(登録商標)を指す。体表面としての皮膚は、ここでの用法では概して上皮性細胞の層を含んでなり、内皮細胞層をさらに含んでなってもよい。
【0084】
「爪」という用語は、ここでの用法ではヒト指爪および足指爪を指す。
【0085】
「カップリング」および「カップリングした」という用語は、ここでの用法ではあらゆる化学対合を指し、共有結合および非共有結合相互作用の双方を含む。
【0086】
本発明の髪結合、皮膚結合、および爪結合ペプチドの選択に適用される「ストリンジェンシー」という用語は、髪、皮膚、または爪からペプチドを溶出させるのに使用される溶出剤(通常洗剤)の濃度を指す。より高濃度の溶出剤は、よりストリンジェントな条件を提供する。
【0087】
「ペプチド−体表面サンプル複合体」という用語は、ペプチド上の結合部位を通じて体表面サンプルに結合するペプチドを含んでなる構造を意味する。
【0088】
「ペプチド−毛髪複合体」という用語は、ペプチド上の結合部位を通じて毛髪繊維に結合するペプチドを含んでなる構造を意味する。
【0089】
「ペプチド−皮膚複合体」という用語は、ペプチド上の結合部位を通じて皮膚に結合するペプチドを含んでなる構造を意味する。
【0090】
「ペプチド−爪複合体」という用語は、ペプチド上の結合部位を通じて手指爪または足指爪結に結合するペプチドを含んでなる構造を意味する。
【0091】
「ペプチド−基質複合体」という用語は、ペプチド−毛髪、ペプチド−皮膚、またはペプチド−爪複合体のいずれかを指す。
【0092】
「MB50」という用語は、実施例9で述べられるように、ELISAベースの結合アッセイで得られる最大シグナルの50%のシグナルを与える結合ペプチドの濃度を指す。MB50は、複合体構成要素の結合相互作用または親和力の強度の指標を提供する。MB50の値が低いほど、ペプチドとその対応する基質との相互作用はより強力である。
【0093】
「結合親和力」という用語は、結合すペプチドとそれぞれの基質との相互作用の強度を指す。結合親和力はここではMB50値で定義され、ELISAベースの結合アッセイで判定される。
【0094】
「ナノ粒子」という用語は、ここでは1〜100nmの平均粒径を有する粒子と定義される。好ましくは粒子の平均粒径は約1〜40nmである。ここでの用法では、「粒度」および「粒径」は同一の意味を有する。ナノ粒子としては、金属、半導体、ポリマー、またはシリカ粒子が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0095】
「アミノ酸」という用語は、タンパク質またはポリペプチドの基本的化学構造単位を指す。具体的なアミノ酸を同定するのに、ここでは以下の略語が使用される。
【0096】
【表1】

【0097】
「遺伝子」は、コード配列に先行する制御配列(5’非コード配列)およびその後ろの制御配列(3’非コード配列)を含めた特定のタンパクを発現する核酸断片を指す。「天然遺伝子」は、それ自体の制御配列を有して自然界に見いだされる遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」は、自然界には一緒に見られない制御およびコード配列を含んでなる天然遺伝子でないあらゆる遺伝子を指す。したがってキメラ遺伝子は、異なる供給源から誘導される制御配列およびコード配列、あるいは同一供給源から誘導されるが、自然界に見られるのとは異なるやり方で配列された制御配列およびコード配列を含んでなってもよい。「外来性」遺伝子は、常態では宿主生物に見られないが、遺伝子移入によって宿主生物中に導入される遺伝子を指す。外来遺伝子は、非天然生物に挿入された天然遺伝子、またはキメラ遺伝子を含んでなることができる。
【0098】
「合成遺伝子」は、当業者に知られた手順を使用して化学的に合成されるオリゴヌクレオチド構成単位から構築できる。これらの構成単位をライゲートしアニールして遺伝子セグメントを形成し、次にそれを酵素的にアセンブルして遺伝子全体を構成してもよい。DNA配列に関連して「化学的に合成された」とは、構成要素ヌクレオチドが生体外で(in vitro)アセンブルされたことを意味する。DNAの手動化学合成は確立した手順を使用して達成されても良く、あるいはいくつかの市販の機器の1つを使用して自動化学合成を実施できる。したがってヌクレオチド配列の最適化に基づいて、遺伝子を最適な遺伝子発現のために調整し、宿主細胞のコドンバイアスを反映させることができる。当業者は、コドン利用が宿主によって好まれるコドンに偏っている場合の遺伝子発現成功の見込みの真価を認める。好ましいコドンの判定は、配列情報が利用できる宿主細胞から誘導された遺伝子の調査に基づくことができる。
【0099】
「コード配列」は、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「適切な調節配列」は、コード配列の上流(5’非コード配列)、配列内、または下流(3’非コード配列)に位置して、転写、RNAプロセシングまたは安定性、または関連コード配列の翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位、およびステム−ループ構造を含んでもよい。
【0100】
「プロモーター」は、コード配列または機能性RNAの発現を調節できるDNA配列を指す。概してコード配列は、プロモーター配列に対して3’に位置する。プロモーターは、そっくりそのまま天然遺伝子から誘導されても良く、あるいは自然界に見られる異なるプロモーターから誘導される異なる要素からなっても良く、あるいは合成DNAセグメントを含んでなってさえよい。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞タイプ中で、あるいは異なる発達段階において、あるいは異なる環境または生理学的条件に呼応して、遺伝子の発現を導いてもよいことが当業者には理解される。ほとんどの細胞タイプ中でほとんどの場合に遺伝子の発現を引き起こすプロモーターは、一般に「構造プロモーター」と称される。ほとんどの場合、制御配列のはっきりした境界は完全に画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有してもよいこともさらに認識される。
【0101】
「発現」という用語は、ここでの用法では、発明の核酸断片から誘導されるセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を指してもよい。
【0102】
「形質転換」という用語は、遺伝的に安定した遺伝形質をもたらす、宿主生物体ゲノム中への核酸断片の転移を指す。形質転換核酸断片を含有する宿主生物体は、「トランスジェニック」または「組換え」または「形質転換」生物体と称される。
【0103】
「宿主細胞」という用語は、外来性ポリヌクレオチド配列によって、形質転換または形質移入されている、または形質転換または形質移入が可能な細胞を指す。
【0104】
「プラスミド」、「ベクター」、および「カセット」と言う用語は、細胞の中心的代謝の一部ではない遺伝子を運ぶことが多く、通常環状二本鎖DNA分子の形態である染色体外因子を指す。このような因子は、あらゆる供給源から誘導される一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAの配列、ゲノム一体化配列、直鎖または環状のファージまたはヌクレオチド配列を自律的に複製するかもしれず、そこではいくつかのヌクレオチド配列が独自の構成に連結または組換えされ、それは選択された遺伝子産物のために、適切な3’非翻訳配列と共にプロモーター断片およびDNA配列を細胞中に導入することができる。「形質転換カセット」は、外来性遺伝子を含有し、外来遺伝子に加えて特定の宿主細胞の形質転換を容易にする因子を有する特定のベクターを指す。「発現カセット」は、外来性遺伝子を含有し、外来性遺伝子に加えて外来性宿主におけるその遺伝子の促進された発現を可能にする因子を有する特定のベクターを指す。
【0105】
「ファージ」または「バクテリオファージ」という用語は、細菌に感染するウィルスを指す。本発明の目的では改変形態を使用してもよい。好ましいバクテリオファージは、M13と称される「野生型」ファージから誘導される。M13システムは細菌中で生育できるので、感染した細胞を破壊せず、新しいファージを連続的に作らせる。これは一本鎖DNAファージである。
【0106】
「ファージディスプレイ」という用語は、バクテリオファージまたはファージミド粒子表面の機能性外来性ペプチドまたは小型タンパク質のディスプレイを指す。遺伝子改変ファージを使用して、ペプチドをそれらの未変性表面タンパク質のセグメントとして提示してもよい。ペプチドライブラリーは、異なる遺伝子配列を有するファージ集団によって生成してもよい。
【0107】
「PCR」または「ポリメラーゼ連鎖反応」は、特異的DNAセグメントの増幅のために使用される技術である(米国特許第4,683,195号明細書および米国特許第4,800,159号明細書)。
【0108】
ここで使用される標準組換えDNAおよび分子クローン化技術は当技術分野で良く知られており、サムブルック(Sambrook)J.、フリッチュ(Fritsch)E.F.、およびマニアティス(Maniatis)T.「分子クローン化:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク(NY)(1989)(以下、マニアティス(Maniatis));およびシルハビー(Silhavy)T.J.、ベンナン(Bennan)M.L.およびエンクイスト(Enquist)L.W.「遺伝子融合実験(Experiments with Gene Fusions)」Cold Spring Harbor Laboratory Cold Press、Spring Harbor、NY(1984);およびオースベル(Ausubel)F.M.ら「分子生物学現代プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscienceによる出版(1987)で述べられている。
【0109】
本発明は、特異的毛髪結合、皮膚結合、および爪結合ペプチド、および毛髪、皮膚、および爪用コンディショナーおよび着色剤のためのそれらの使用を含んでなる。
【0110】
体表面
本発明の体表面は、結合ペプチドの基質の役割を果たすヒト身体上のあらゆる表面である。典型的な体表面としては、髪、皮膚、爪、歯、歯茎、角膜組織、および口腔組織が挙げられるが、これに限定されるものではない。多くの場合、本発明の体表面は空気に露出するが、場合によっては、例えば口腔などは表面が内部にある。したがって体表面は、上皮ならびに内皮細胞双方の層を含むことができる。
【0111】
体表面サンプルは、多様な供給源から入手できる。例えばヒト髪サンプルは、例えばブラウン、黒色、赤色、およびブロンドなどの異なる色で、そしてアフリカ系アメリカ人、白人、およびアジア人などの様々なタイプで、ニューヨーク州ベルローズのインターナショナル・ヘア・インポーターズ・アンド・プロダクツ(International Hair Importers and Products(Bellerose,NY))から商業的に入手できる。さらに例えば過酸化水素を使用して髪サンプルを処理し、脱色した髪を得てもよい。肉屋およびスーパーマーケットから入手できるブタ皮膚、コネチカット州ミルフォードのIMS Inc.(Milford,CT)から入手できるビトロスキン(Vitro−Skin)(登録商標)、およびマサチューセッツ州アッシュランドのマテック社(MatTek Corp.(Ashland,MA))から入手できるエピダーム(EpiDerm)(登録商標)は、ヒト皮膚の良好な代用品である。ヒト指爪および足指爪は、ボランティアから得てもよい。抜歯されたヒトの歯および義歯は、歯科医院から得てもよい。さらに例えばカリフォルニア州サンリアンドロのバークレー・アドバンスド・バイオマテリアル(Berkeley Advanced Biomaterial,Inc.(San Leandro,CA))から多くの形態で入手できるヒドロキシアパタイトをヒトの歯のモデルとして使用してもよい。
【0112】
体表面結合ペプチド
体表面結合ペプチドは、ここでは、例えば髪、皮膚、爪、歯、舌、頬、口唇、歯茎、角膜組織、および口腔組織をはじめとするが、これに限定されるものではない特異的体表面に、高親和力で特異的に結合するペプチド配列として定義される。本発明の体表面結合ペプチドは、約7個のアミノ酸〜約45個のアミノ酸であり、より好ましくは約7個のアミノ酸〜約20個のアミノ酸である。本発明の結合ペプチドは、MB50値により測定して、約10−2Mに等しいかそれより小さい、約10−3Mに等しいかそれより小さい、約10−4Mに等しいかそれより小さい、約10−5Mに等しいかそれより小さい、好ましくは約10−6Mに等しいかそれより小さい、より好ましくは約10−7Mに等しいかそれより小さいそれらの各基質に対する結合親和力を有する。
【0113】
適切な体表面結合ペプチド配列は、当技術分野でよく知られている方法を使用して選択されてもよい。本発明のペプチドは無作為に生成され、次に関心のある表面に対するそれらの結合親和力に基づいて、例えば髪、皮膚、爪、または口腔表面サンプルなどの特異的体表面に対して選択される。ペプチドのランダムライブラリーの作成についてはよく知られており、細菌ディスプレイ(ケンプ(Kemp),D.J.;Proc.Natl.Acad.Sci.USA78(7):4520〜4524(1981)、およびへルマン(Helfman)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA80(1):31〜35、(1983))、酵母ディスプレイ(チェン(Chien)ら、Proc Natl Acad Sci USA88(21):9578〜82(1991))、コンビナトリアル固相ペプチド合成(米国特許第5,449,754号明細書、米国特許第5,480,971号明細書、米国特許第5,585,275号明細書、米国特許第5,639,603号明細書)、およびファージディスプレイ技術(米国特許第5,223,409号明細書、米国特許第5,403,484号明細書、米国特許第5,571,698号明細書、米国特許第5,837,500号明細書)をはじめとする多様な技術によって達成されてもよい。このような生物学的ペプチドライブラリーを作り出す技術については、ダニ(Dani),M.、J.of Receptor&Signal Transduction Res.、21(4):447〜468(2001)で述べられる。
【0114】
ペプチドを無作為に作り出す好ましい方法は、ファージディスプレイによる。ファージディスプレイは、生体外(in vitro)選択技術であり、その中ではペプチドまたはタンパク質がバクテリオファージの外被タンパク質に遺伝的に融合して、ファージビリオンの外面に融合ペプチドのディスプレイをもたらす一方、融合をコードするDNAはビリオン中に存在する。ディスプレイされるペプチドとそれをコードするDNAの間のこの物理的結合により、「バイオパニング」と称される単純な生体外(in vitro)選択手順によって、それぞれが対応するDNA配列に結合する膨大な数のペプチドの変異体のスクリーニングができるようになる。その最も単純な形態では、バイオパニングは、ファージディスプレイされた変異体のプールをプレートまたはビーズ上に固定化されている関心のある標的と共にインキュベートして、非結合ファージを洗い流し、ファージと標的間の結合相互作用を中断して特異的に結合したファージを溶出して実施される。次に溶出されたファージを生体内(in vivo)で増幅し、プロセスを反復してファージプールの段階的な濃縮をもたらし、最も堅固な結合配列が選択される。3回以上の選択/増幅後、個々のクローンがDNA配列決定によって特性判定される。
【0115】
ペプチドの適切なライブラリーを生成させた後、次にそれらと、具体的には体表面サンプルである適量の試験基質とを接触させる。サンプルと接触させるために、ペプチドのライブラリーを適切な溶液中に溶解させる。体表面サンプルは、溶液中に懸濁してもまたはプレートまたはビーズ上に固定化してもよい。好ましい溶液は界面活性剤を含有する緩衝食塩水である。適切な溶液は、0.5%トウィーン(Tween)(登録商標)20添加トリス−緩衝食塩水(TBS)である。溶液はペプチドの体表面サンプルへの質量移動速度を増大させることで、最大結合を得る所要時間を短縮するために、あらゆる手段でさらに撹拌しても良い。
【0116】
接触すると、いくつかの無作為に生成したペプチドが体表面サンプルに結合して、例えばペプチド−髪、ペプチド−皮膚、ペプチド−爪、またはペプチド−口腔表面複合体などのペプチド−体−表面複合体を形成する。非結合ペプチドは、洗浄によって除去してもよい。全ての非結合材料を除去した後、試験表面に対して異なる程度の結合親和性を有するペプチドを異なるストリンジェンシーを有する緩衝液中での選択洗浄によって分画してもよい。使用緩衝液のストリンジェンシーの増大は、ペプチド−体表面複合体中でのペプチドと体表面間の結合強度の増大を必要とする。
【0117】
酸性pH(1.5〜3.0)、塩基性pH(10〜12.5)、MgCl(3〜5M)およびLiCl(5〜10M)などの高い塩濃度、水、エチレングリコール(25〜50%)、ジオキサン(5〜20%)、チオシアネート(1〜5M)、グアニジン(2〜5M)、尿素(2〜8M)、そしてSDS(ドデシル硫酸ナトリウム)、DOC(デオキシコール酸ナトリウム)、ノニデット(Nonidet)P−40、トリトン(Triton)X−100、トウィーン(Tween)(登録商標)20などの様々な濃度の異なる界面活性剤をはじめとするが、これに限定されるものではないいくつかの物質を使用して、ペプチド選択における緩衝液溶液のストリンジェンシーを変化させてもよく、トウィーン(Tween)(登録商標)20が好ましい。これらの物質は、トリス−HCl、トリス−緩衝食塩水、トリス−ホウ酸、トリス−酢酸、トリエチルアミン、リン酸緩衝液、およびグリシン−HClをはじめとするが、これに限定されるものではない緩衝液溶液中で調製されてもよく、トリス−緩衝食塩水溶液が好ましい。
【0118】
体表面基質に対する増大する結合親和性を有するペプチドは、ストリンジェンシーが増大する緩衝液を使用して、選択プロセスの反復によって溶出してもよいことが理解されるであろう。溶出されたペプチドは、当技術分野で知られているあらゆる手段によって同定および配列決定できる。
【0119】
したがって、例えば本発明の髪結合ペプチド、皮膚結合ペプチド、爪結合ペプチド、または口腔表面結合ペプチドなどの体表面結合ペプチドを生成させるために、以下の方法を使用した。コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーと関心のある体表面とを接触させて、ファージペプチド−体表面複合体を形成する。ファージ−ペプチド−体−表面複合体を非複合ペプチドおよび非結合基質から分離して、ファージ−ペプチド−体表面複合体からの結合ファージ−ペプチドを好ましくは酸処理によって複合体から溶出させる。次に溶出したペプチドを同定し配列決定した。例えば髪に結合するが皮膚には結合しないペプチド、または皮膚に結合するが髪には結合しないペプチドなどのように、1つの基質に結合するが他には結合しないペプチド配列を同定するために、サブトラクティブパニングステップを追加する。具体的にはコンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーと非標的とを最初に接触させて、それに結合するファージ−ペプチドを除去する。次に非結合ファージ−ペプチドと所望の基質とを接触させ、上のプロセスに従う。あるいはコンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーと、非標的および所望の基質とを同時に接触させてもよい。次にファージ−ペプチド−体表面複合体をファージ−ペプチド−非標的複合体から分離して、所望のファージ−ペプチド−体表面複合体のための上述の方法に従う。
【0120】
本発明の一実施態様は、体表面に対するより高い親和力のペプチドを単離するための変性されたファージディスプレイスクリーニング法を提供する。変性された方法では、上述のようにファージ−ペプチド−体表面複合体が形成される。次にこれらの複合体を溶出緩衝液で処理する。上述のあらゆる溶出緩衝液を使用してもよい。好ましくは溶出緩衝液は酸性溶液である。次に残る溶出抵抗性ファージ−ペプチド−体表面複合体を使用して、大腸菌(E.Coli)ER2738などの細菌宿主細胞を直接感染させる。感染した宿主細胞をLB(ルリア−ベルターニ)培地などの適切な増殖培地中で生育させ、この培養をIPTG(イソプロピルβ−D−チオガラクトピラノシド)およびS−GalTM添加LB培地などの適切な増殖培地を含有する寒天上に播種する。生育後、DNA単離およびシーケンシングのためにプラークを選択して、関心のある体表面に対する高結合親和力があるペプチド配列を同定する。
【0121】
別の実施態様では、参照によって本書に援用されるジャンセン(Janssen)らに付与された米国特許出願公報第2003/0152976号で述べられるように、適切なプライマーを使用してファージ−ペプチド−体表面複合体にPCRを直接実施することにより、上述の修正ファージディスプレイスクリーニング法からPCRを使用して、溶出抵抗性ファージ−ペプチドを同定してもよい。
【0122】
上の方法を使用して、毛髪結合、皮膚結合、および爪結合ペプチドが同定されている。具体的には配列番号3〜18、28〜38、40〜56、および64として示される標準的ブラウン毛髪に対する高親和力を有する結合ペプチド、配列番号66、69および70として示される洗髪抵抗性で標準的ブラウン毛髪に対する高親和力を有する結合ペプチド、配列番号7、8、19〜27、38〜40、43、44、47、57、58、および59として示される漂白毛髪に対する高親和力を有する結合ペプチド、配列番号53および60として示される手指爪に対する高親和力を有する結合ペプチド、および配列番号61として示される皮膚に対する高親和力を有する結合ペプチドが単離された。さらに手指爪結合ペプチドは漂白毛髪に結合し、本発明のペプチドベース毛髪コンディショナーおよび毛髪着色剤中で使用してもよいことが分かった。漂白毛髪結合ペプチドは手指爪に結合し、本発明のペプチドベース爪着色剤中で使用してもよい。
【0123】
結合ペプチドの製造
本発明の結合ペプチドは、当技術分野でよく知られている標準ペプチド合成法を使用して調製されてもよい(例えばスチュアート(Stewart)ら「固体相ペプチド合成(Solid Phase Peptide Synthesis)」Pierce Chemical Co.、ロックフォード(Rockford)、イリノイ州(IL)、1984;ボダンスキー(Bodanszky)「ペプチド合成の原理(Principles of Peptide Synthesis)」Springer−Verlag、ニューヨーク(New York)、1984;およびペニングトン(Pennington)ら「ペプチド合成プロトコル(Peptide Synthesis Protocols)」Humana Press、トトワ(Totowa)、ニュージャージー州(NJ)、1994を参照されたい)。さらに多くの会社が、カスタムペプチド合成サービスを提供している。
【0124】
あるいは、本発明のペプチドは、組換えDNAおよび分子クローニング技術を使用して調製されてもよい。毛髪結合、皮膚結合または爪結合ペプチドをコードする遺伝子は、異種の宿主細胞中、特に微生物の宿主細胞中で生成されてもよい。
【0125】
本発明の結合ペプチドの発現に好ましい異種の宿主細胞は、菌・カビまたは細菌ファミリー内に広く存在して、広範な温度、pH値、および溶剤耐性で生育する微生物宿主である。転写、翻訳、およびタンパク質生合成器官は、細胞原材料とは無関係に同一であるので、細胞生物体量を作り出すのに使用される炭素原材料とは無関係に、機能性遺伝子が発現される。宿主の例としてはアスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)などの菌・カビ性または酵母菌種、またはサルモネラ(Salmonella)、バシラス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、エシェリキア(Escherichia)、シュードモナス(Pseudomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、アナベナ(Anabaena),チオバシラス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)およびクレブシエラ(Klebsiella)などの細菌種が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0126】
多様な発現システムを使用して、本発明のペプチドを生成できる。このようなベクターとしては、例えば細菌プラスミド由来、バクテリオファージ由来、トランスポゾン由来、挿入要素由来、酵母エピソーム由来、バキュロウイルスやレトロウィルスなどのウィルス由来のベクターなどの染色体、エピソーム、およびウィルス−由来ベクター、およびコスミドおよびファージミドなどのプラスミドおよびバクテリオファージ遺伝要素に由来するものなどのそれらの組み合わせに由来するベクターが挙げられるが、これに限定されるものではない。発現システムコンストラクトは、発現を調節し、ならびに引き起こす調節領域を含有してもよい。一般に、宿主細胞中でポリヌクレオチドまたはポリペプチドを維持、増殖または発現するのに適した、あらゆるシステムまたはベクターをこの関連で発現に使用してもよい。微生物の発現システムおよび発現ベクターは、宿主細胞の生育に比べて外来性タンパク質の高レベル発現を導く制御配列を含有する。制御配列は当業者によく知られており、例としては、例えば転写促進因子配列などのベクター中の調節要素の存在をはじめとする化学的または物理的刺激に応答して、遺伝子発現をスイッチオンまたはオフするものが挙げられるが、これに限定されるものではない。これらのいずれでも、キメラ遺伝子を構築して本発明のあらゆる結合ペプチドを生成するのに使用できる。次に形質転換を通じて、これらのキメラ遺伝子を適切な微生物中に導入して、ペプチドの高レベル発現を提供できる。
【0127】
適切な宿主細胞の形質転換に有用なベクターまたはカセットについては、当技術分野でよく知られている。典型的にベクターまたはカセットは、当該遺伝子の転写および翻訳を導く配列、1つもしくはそれ以上の選択可能なマーカー、および自律性の複製または染色体の組み込みができるようにする配列を含有する。適切なベクターは、転写開始制御を宿す遺伝子の5'領域、および転写終了を制御するDNA断片の3'領域を含んでなる。双方の制御領域が形質転換宿主細胞の同族遺伝子から誘導されることが最も好ましいが、このような制御領域は必ずしも産生宿主として選択された特定の種に天然の遺伝子から誘導されなくてよいものと理解される。選択可能なマーカー遺伝子は、形質転換宿主細胞の選択のために、大腸菌(E.coli)におけるテトラサイクリンまたはアンピシリン抵抗性などの表現型形質を提供する。
【0128】
所望の宿主細胞においてキメラ遺伝子の発現を駆動するのに有用な開始制御領域またはプロモーターは多数あり、当業者にはなじみ深い。事実上、遺伝子を駆動できるあらゆるプロモーターが、以下をはじめとするが、これに限定されるものではない、本発明の結合ペプチドを生成するのに適している。CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス(Saccharomyces)における発現に有用)、AOX1(ピチア(Pichia)における発現に有用)、およびlac、ara、tet、trp、lP、lP、T7、tac、およびtrc(大腸菌(Escherichia coli)における発現に有用)、ならびにバシラス(Bacillus)における発現に有用なamy、apr、nprプロモーターおよび様々なファージプロモーター。
【0129】
末端制御領域もまた、好ましい宿主に天然の様々な遺伝子から誘導されてもよい。場合により終了部位は不必要かもしれないが、含まれれば最も好ましい。
【0130】
上述のような適切なDNA配列を含有するベクター、ならびに適切なプロモーターまたは制御配列を用いて、宿主が本発明のペプチドを発現するように、適切な宿主を形質転換してもよい。本発明のDNA構築物から誘導されるRNAを使用して、このようなペプチドを生成するのに、細胞フリーの翻訳システムもまた用いることができる。場合により、形質転換された宿主の分泌生成物として、本遺伝子産物を生成することが所望されるかもしれない。生育培地中への所望のタンパク質の分泌は、簡易化されたより安価な精製手順という利点を有する。分泌シグナル配列は、細胞膜を超えた発現できるタンパク質の能動輸送を促進するのに有用であることが多いことが、当技術分野ではよく知られている。分泌できる形質転換された宿主の創造は、産生宿主において機能性である分泌シグナルをコードするDNA配列の組み込みによって達成されてもよい。適切なシグナル配列を選択する方法は、当技術分野でよく知られている(例えば欧州特許第546049号明細書および国際公開第9324631号パンフレットを参照されたい)。分泌シグナルDNAまたは促進要素は、発現−制御DNAと本遺伝子または遺伝子断片の間、および後者の同一読み枠内に位置してもよい。
【0131】
ペプチドベース毛髪コンディショナー
本発明のペプチドベース毛髪コンディショナーは、毛髪結合ペプチド(HBP)と毛髪コンディショナー(HCA)とをカップリングさせて形成される。コンディショナーの毛髪結合ペプチド部分は毛髪に強力に結合するので、持続的コンディショナー効果のためにコンディショナーを毛髪に付着させたままにする。毛髪結合ペプチドとしては、配列番号3〜59、64、66、69、および70によって示される本発明の毛髪結合ペプチド配列をはじめとする上述のスクリーニング法によって選択される毛髪結合ペプチド、最も好ましくは毛髪に強力に結合するが皮膚には結合しない、配列番号46および配列番号66によって示されるペプチドが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらにどちらも参照によって本書に援用されるジャンセン(Janssen)らに付与された米国特許出願公報第2003/0152976号、およびジャンセン(Janssen)らの国際公開第04048399号パンフレットでそれぞれ述べられる、配列番号1、および配列番号76〜98をはじめとするが、これに限定されるものではない、あらゆる既知の毛髪結合ペプチドを使用してもよい。漂白毛髪のためには、配列番号60として示される手指爪結合ペプチドもまた使用してよい。
【0132】
毛髪コンディショナーは、ここでは髪の外観、手触り、および艶を改善するならびに髪を増やすまたは柔軟性を増大させる薬剤として定義される。毛髪コンディショナーとしては、スタイリング助剤、縮毛矯正剤、毛髪強化剤、およびナノ粒子などのボリューム仕上げ剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明のペプチドベースの毛髪コンディショナーでは、あらゆる既知の毛髪コンディショナーを使用してもよい。毛髪コンディショナーは当技術分野でよく知られており、例えば参照によって本書に援用されるグリーン(Green)ら(国際公開第0107009号パンフレット)にあり、様々な供給源から市販される。毛髪コンディショナーの適切な例としては、カチオン化グアーガム、ジアリル四級アンモニウム塩/アクリルアミド共重合体、四級化ポリビニルピロリドンおよびその誘導体、および様々なポリクオタニウム−化合物などのカチオン性ポリマーと、塩化ステアラルコニウム、塩化セントリモニム、およびサパミン塩酸塩などのカチオン性界面活性剤と、ベヘニルアルコールなどの脂肪アルコールと、ステアリルアミンなどの脂肪アミンと、ワックスと、エステルと、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、およびポリエチレングリコールなどの非イオン性ポリマーと、シリコーンと、デカメチルシクロペンタシロキサンなどのシロキサンと、アモジメチコンなどのポリマーエマルジョンと、シリカナノ粒子およびポリマーナノ粒子などのナノ粒子が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の好ましい毛髪コンディショナーは、下で述べられるようにアミンまたはヒドロキシル官能基を含有して、髪結合ペプチドへのカップリングを容易にする。好ましいコンディショナーの例は、オクチルアミン(CAS111−86−4号)、ステアリルアミン(CAS124−30−1号)、オハイオ州シンシナチのコグニス社(Cognis Corp.(Cincinnati,OH))からのベヘニルアルコール(CAS661−19−8号)、ビニル基末端シロキサン、ビニル基末端シリコーン(CAS68083−19−2号)、ビニル基末端メチルビニルシロキサン、ビニル基末端メチルビニルシリコーン(CAS68951−99−5号)、ヒドロキシル末端シロキサン、ヒドロキシル末端シリコーン(CAS80801−30−5号)、アミノ−変性シリコーン誘導体、[(アミノエチル)アミノ]プロピルヒドロキシルジメチルシロキサン、[(アミノエチル)アミノ]プロピルヒドロキシルジメチルシリコーン、およびα−トリデシル−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)(CAS24938−91−8号)である。
【0133】
本発明のペプチドベースの毛髪コンディショナーは、直接、または任意のスペーサー経由のいずれかによって、特異的髪結合ペプチドと毛髪コンディショナーとをカップリングして調製される。カップリング相互作用は、水素結合、静電相互作用、疎水性相互作用、またはファン・デル・ワールス相互作用などの共有結合または非共有結合相互作用であってもよい。非共有結合相互作用の場合、ペプチドベースの毛髪コンディショナーは、ペプチドとコンディショナーおよび任意のスペーサー(使用する場合)を混合して、十分な時間相互作用を生じさせて調製してもよい。非結合材料は、例えばゲル透過クロマトグラフィーなどの当技術分野で既知の方法を使用して、得られたペプチドベースの毛髪コンディショナー付加物から分離してもよい。
【0134】
本発明のペプチドベースの毛髪コンディショナーはまた、直接、またはスペーサー経由のいずれかによって、特異的髪結合ペプチドと毛髪コンディショナーとを共有結合的に付着させて調製してもよい。あらゆる既知のペプチドまたはタンパク質抱合体化学を使用して、本発明のペプチドベース毛髪コンディショナーを形成してもよい。抱合体化学は当技術分野でよく知られている(例えばハマーソン(Hermanson)、「生物抱合体技術(Bioconjugate Techniques)」、Academic Pres、New York(1996)参照)。適切なカップリング剤としては、カルボジイミドカップリング剤、ペプチド上の末端アミンおよび/またはカルボン酸末端基と、そして毛髪コンディショナー上のアミン、カルボン酸、またはアルコール基と反応性の二酸塩化物、ジイソシアネート、およびその他の二官能性カップリング試薬が挙げられるが、これに限定されるものではない。好ましいカップリング剤は、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド(EDC)およびN,N’−ジシクロヘキシル−カルボジイミド(DCC)などのカルボジイミドカップリング剤であり、アルコール、およびアミン基へのカップリングの他めにカルボン酸基を活性化するのに使用してもよい。さらにペプチド上の反応性アミンまたはカルボン酸基を保護して、ペプチドベース毛髪コンディショナーのための所望の構造を作り出すことが必要かもしれない。t−ブチルオキシカルボニル(t−Boc)などのアミノ酸のための保護基の使用については、当技術分野でよく知られている(例えばスチュワート(Stewart)ら(上述)、ボダンスキー(Bodanszky)(上述)、およびペニングトン(Pennington)ら(上述)を参照されたい)。場合によっては、毛髪結合ペプチドへのカップリングのために、毛髪コンディショナー上に、カルボン酸、アルコール、アミン、またはアルデヒド基などの反応性基を導入することが必要かもしれない。これらの修飾は、当技術分野でよく知られている酸化、還元などの日常的化学反応を使用して行ってもよい。
【0135】
スペーサーを介して毛髪結合ペプチドと毛髪コンディショナーを結合することもまた望ましかもしれない。スペーサーは、作用薬がペプチドと毛髪との結合を妨げないことを確実にするために、コンディショナーをペプチドから隔てる役割をする。スペーサーは、アルキル鎖、フェニル化合物、エチレングリコール、アミド、エステルなどの多様な分子のいずれであってもよい。好ましいスペーサーは親水性であり、1〜約100個の原子、より好ましくは2〜約30個の原子の鎖長を有する。好ましいスペーサーの例としては、エタノールアミン、エチレングリコール、鎖長炭素原子6個のポリエチレン、3〜6個の反復単位を有するポリエチレングリコール、フェノキシエタノール、プロパノールアミド、ブチレングリコール、ブチレングリコールアミド、プロピルフェニル鎖、およびエチル、プロピル、ヘキシル、ステリル、セチル、およびパルミトイルアルキル鎖が挙げられるが、これに限定されるものではない。スペーサーは、上述のいずれかのカップリング化学反応を使用して、ペプチドおよび毛髪コンディショナーに共有結合的に付着させてもよい。スペーサーの組み込みを容易にするために、ペプチドおよびコンディショナーへのカップリングのためのスペーサーおよび反応性基を両端に含有する二官能性架橋剤を使用してもよい。適切な二官能性架橋剤は当技術分野でよく知られており、1,6−ジアミノヘキサンなどのジアミンと、グルタルアルデヒドなどのジアルデヒドと、エチレングリコール−ビス(コハク酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル)、ジスクシンイミジルグルタラート、ジスクシンイミジルスベラート、およびエチレングリコール−ビス(スクシンイミジルスクシナート)などのビスN−ヒドロキシスクシンイミドエステルと、ヘキサメチレンジイソシアネートなどのジイソシアネートと、1,4ブタンジイルジグリシジルエーテルなどのビスオキシランと、スクシニルジサリチレートなどのジカルボン酸などが挙げられるが、これに限定されるものではない。各末端に異なる反応性基を含有するヘテロ二官能性架橋剤もまた使用してよい。ヘテロ二官能性架橋剤の例としては、
【0136】
【化1】

【0137】
(式中、
はH、または−SONa、−NO、または−Brなどの置換基基であり、Rは−CHCH(エチル)、−(CH(プロピル)、または−(CH(プロピルフェニル)などのスペーサーである)の構造を有する化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。このようなヘテロ二官能性架橋剤の例は、3−マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。これらの試薬のN−ヒドロキシスクシンイミドエステル基は、コンディショナー上のアミンまたはアルコール基と反応するのに対し、マレイミド基はペプチド上に存在するチオール基と反応する。チオール基は、結合ペプチド配列(少なくともC末端またはN末端)の少なくとも1端にシステイン基を付加して、ペプチドに組み込んでもよい。グリシンなどのいくつかのスペーサーアミノ酸残基を結合ペプチド配列と末端システインの間に組み込んで、反応するチオール基を結合配列から隔ててもよい。
【0138】
さらにスペーサーは、あらゆるアミノ酸およびそれらの混合物から構成されるペプチドであってもよい。好ましいペプチドスペーサーは、アミノ酸グリシン、アラニン、およびセリン、およびそれらの混合物から構成される。さらにペプチドスペーサーは、配列番号65によって示される、プロテアーゼカスパーゼ3部位などの特異的酵素開裂部位を含有してもよく、それは毛髪からのコンディショナーの酵素的除去を可能にする。ペプチドスペーサーは、1〜約50個のアミノ酸であってもよく、好ましくは1〜約20個のアミノ酸である。これらのペプチドスペーサーは、当技術分野で既知のあらゆる方法によって、結合ペプチド配列に結合させてもよい。例えば上述の標準ペプチド合成法を使用して、結合ペプチド−ペプチドスペーサージブロックの全体を調製してもよい。さらに結合ペプチドおよびペプチドスペーサーブロックは、カルボジイミドカップリング剤(例えばハマーソン(Hermanson)、生物抱合体技術(Bioconjugate Techniques)、Academic Pres、New York(1996)を参照されたい)、およびペプチド上の末端アミンおよび/またはカルボン酸末端基と反応性の二酸塩化物、ジイソシアネート、およびその他の二官能性カップリング試薬を使用して組み合わせてもよい。あるいは上述の組換えDNAおよび分子クローニング技術を使用して、結合ペプチド−ペプチドスペーサージブロック全体を調製してもよい。スペーサーはまた、上述の方法を使用して調製されてもよい、ペプチドスペーサーおよび有機スペーサー分子の組み合わせであってもよい。
【0139】
複数の毛髪結合ペプチドを毛髪コンディショナーに結合させて、ペプチドベース毛髪コンディショナーと毛髪の間の相互作用を向上させることもまた、望ましいかもしれない。同一毛髪結合ペプチドの多重コピー、または異なる毛髪結合ペプチドの組み合わせのどちらかを使用してもよい。大型コンディショナー粒子の場合(例えば粒子エマルジョン)、多数、すなわち約1,000個までの毛髪結合ペプチドがコンディショナーにっ結合していてもよい。より小型のコンディショナー分子には、より少数、すなわち約50個までの毛髪結合ペプチドが結合できる。したがって本発明の一実施態様では、ペプチドベース毛髪コンディショナーは、一般構造式(HBP)−HCA[式中、nは1〜約1,000、好ましくは1〜約50の範囲である]を有する、毛髪結合ペプチド(HBP)および毛髪コンディショナー(HCA)からなるジブロック組成物である。別の実施態様では、ペプチドベース毛髪コンディショナーは、上述のように毛髪結合ペプチドを毛髪コンディショナーから隔てるスペーサー(S)を含有する。毛髪結合ペプチドの多重コピーが、単一スペーサー分子に結合していてもよい。この実施態様では、ペプチドベース毛髪コンディショナーは、一般構造式[(HBP)−S]−HCA[式中、nは1〜約1,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約50であり、mは1〜約50の範囲であり、好ましくはmは1〜約10である]を有する、毛髪結合ペプチド、スペーサー、および毛髪コンディショナーからなるトリブロック組成物である。
【0140】
ここでの用法では、HBPは総称であり、単一髪結合ペプチド配列を指すことは意図しないものと理解される。上で使用されるnまたはmが1を超える場合、異なる配列の一連の髪結合ペプチドが組成物の一部を形成してもよい状況を提供することは、十分本発明の範囲内である。さらにこれらの構造が、必ずしもペプチド、毛髪コンディショナー、および任意のスペーサー間の共有結合を表さないことを理解すべきである。上述のようにペプチド、毛髪コンディショナー、および任意のスペーサー間のカップリング相互作用は、共有結合または非共有結合のいずれであってもよい。
【0141】
本発明のペプチドベース毛髪コンディショナーを毛髪ケアのための組成物中で使用してもよい。毛髪結合ペプチドそれ自体が、毛髪の処置のためのコンディショナーとしての役割を果たすことができることもまた認識される。毛髪ケア組成物はここでは、シャンプー、コンディショナー、ローション、エアロゾル、ゲル、ムース、および化粧用に許容可能な媒体中に、有効量のペプチドベース毛髪コンディショナーまたは異なるペプチドベース毛髪コンディショナーの混合物を含んでなる毛髪染料をはじめとするが、これに限定されるものではない、毛髪処置のための組成物として定義される。毛髪ケア組成物で使用するためのペプチドベース毛髪コンディショナーまたは毛髪結合ペプチドの有効量は、ここでは、組成物総重量に対して約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約5重量%の比率として定義される。毛髪ケア組成物のための化粧用に許容可能な媒体の構成要素については、全て参照によって本書に援用されるフィリップ(Philippe)らに付与された米国特許第6,280,747号明細書、およびオムラ(Omura)らに付与された米国特許第6,139,851号明細書、およびカネル(Cannell)らに付与された米国特許第6,013,250号明細書で述べられる。例えばこれらの毛髪ケア組成物は、水性、アルコール性または水性−アルコール性溶液であることができ、アルコールは好ましくは水性−アルコール性溶液総重量に対して約1〜約75重量%の比率のエタノールまたはイソプロパノールである。さらにヘアケア組成物は、抗酸化剤、保存料、充填材、界面活性剤、UVAおよび/またはUVBサンスクリーン、香料、増粘剤、ウェッティング作用薬およびアニオン性、非イオン性または両性ポリマー、および染料または顔料をはじめとするがこれに限定されるものではない、1つもしくはそれ以上の従来の化粧品または皮膚科的添加剤またはアジュバントを含有してもよい。
【0142】
ペプチドベース皮膚コンディショナー
本発明のペプチドベース皮膚コンディショナーは、皮膚結合ペプチド(SBP)と皮膚コンディショナー(SCA)とをカップリングして形成される。コンディショナーの皮膚結合ペプチド部分は皮膚に強力に結合するので、持続的コンディショナー効果のために、コンディショナーが皮膚に付着したままになる。皮膚結合ペプチドとしては、配列番号61として示される本発明の皮膚結合ペプチド配列をはじめとする、上述のスクリーニング法によって選択される皮膚結合ペプチドが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらにジャンセン(Janssen)らに付与された米国特許出願公報第2003/0152976号、およびジャンセン(Janssen)らの国際公開第04048399号パンフレットでそれぞれ述べられる、配列番号2、および配列番号99〜104をはじめとするが、これに限定されるものではない、あらゆる知られている皮膚結合ペプチドを使用してもよい。
【0143】
ここで定義される皮膚コンディショナーとしては、皮膚を引き締めるアストリンゼン、死滅皮膚細胞を除去するエクスフォリエント、滑らかで柔らかくしなやかな外見の維持を助ける柔軟化粧水、皮膚の最上層の含水量を増大させる保湿剤、皮膚表面からの水蒸発を遅延させる閉鎖剤、および乾燥または損傷した皮膚の外見を向上させ、または剥離を低下させ、しなやかさを復元する種々雑多な化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明のペプチドベース皮膚コンディショナー中では、あらゆる既知の皮膚コンディショナーを使用してもよい。皮膚コンディショナーは当技術分野でよく知られており(例えばグリーン(Green)ら(国際公開第0107009号パンフレット)を参照されたい)、様々な供給元から市販される。皮膚コンディショナーの適切な例としては、α−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、ポリオール、ヒアルロン酸、D,L−パンテノール、ポリサリチレート、ビタミンAパルミテート、ビタミンEアセテート、グリセリン、ソルビトール、シリコーン、シリコーン誘導体、ラノリン、天然油、およびトリグリセリドエステルが挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の好ましい皮膚コンディショナーは、ポリサリチレート、ミシガン州ミッドランドのダウ・ケミカル(Dow Chemical(Midland、MI))からのプロピレングリコール(CAS 57−55−6号)、オハイオ州シンシナチのプロクター&ギャンブル(Proctor & Gamble Co.(Cincinnati、OH))からのグリセリン(CAS56−81−5号)、デラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont Co.(Wilmington、DE))からのグリコール酸(CAS79−14−1号)、マサチューセッツ州ワード・ヒルのアルファ・エーサー(Alfa Aesar(Ward Hill、MA))からの乳酸(CAS50−21−5号)、アルファ・エーサー(Alfa Aesar)からのリンゴ酸(CAS617−48−1号)、アルファ・エーサー(Alfa Aesar)からのクエン酸(CAS77−92−号9)、アルファ・エーサー(Alfa Aesar)からの酒石酸(CAS133−37−9号)、グルカル酸(CAS87−73−0号)、ガラクタル酸(CAS526−99−8号)、3−ヒドロキシ吉草酸(CAS10237−77−1号)、アルファ・エーサー(Alfa Aesar)からのサリチル酸(CAS69−72−7号)、およびデラウェア州ウィルミントンのデュポン(DuPont Co.(Wilmington、DE))からの1,3プロパンジオール(CAS504−63−2号)である。ポリサリチレートは、参照によって本書に援用されるホワイトら(White)らに付与された米国特許第4,855,483号明細書で述べられる方法によって調製してもよい。グルカル酸は、メルボウ(Merbouh)らのCarbohydr.Res.336:75〜78(2001)で述べられる方法を使用して合成してももよい。3−ヒドロキシ吉草酸は、ブラムッチ(Bramucci)の国際公開第02012530号パンフレットで述べられるようにして調製してもよい。
【0144】
本発明のペプチドベース皮膚コンディショナーは、特異的皮膚結合ペプチドを皮膚コンディショナーに直接またはスペーサーを介して、カップリングさせて調製される。上述のいずれかのカップリング法を使用してもよい。上述のように、毛髪結合ペプチドにカップリングするために、皮膚コンディショナー上にカルボン酸、アルコール、アミン、またはアルデヒド基などの反応性基を導入することが必要かもしれない。複数の皮膚結合ペプチドを皮膚コンディショナーにカップリングさせて、ペプチドベース皮膚コンディショナーと皮膚の間の相互作用を向上させることもまた望ましいかもしれない。同一皮膚結合ペプチドの多重コピー、または異なる皮膚結合ペプチドの組み合わせのどちらかを使用してもよい。大型コンディショナー粒子の場合、多数、すなわち約1,000個までの毛髪結合ペプチドがコンディショナーにカップリングしていてもよい。より小型のコンディショナー分子には、より少数、すなわち約50個までの毛髪結合ペプチドが付着できる。したがって本発明の一実施態様では、ペプチドベース皮膚コンディショナーは、一般構造式(SBP)−SCA[式中、nは1〜約1,000、好ましくは1〜約50の範囲である]を有する、皮膚結合ペプチド(SBP)および皮膚コンディショナー(SCA)からなるジブロック組成物である。
【0145】
別の実施態様では、ペプチドベース皮膚コンディショナーは、上述のように、皮膚結合ペプチドを皮膚コンディショナーから隔てるスペーサー(S)を含有する。皮膚結合ペプチドの多重コピーが、単一スペーサー分子にカップリングしていてもよい。この実施態様では、ペプチドベース皮膚コンディショナーは、一般構造式[(SBP)−S]−SCA[式中、nは1〜約1,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約50であり、mは1〜約50の範囲であり、好ましくはmは1〜約10である]を有する、毛髪結合ペプチド、スペーサー、および毛髪コンディショナーからなるトリブロック組成物である。
【0146】
ここでの用法では、SBPは総称であり、単一皮膚結合ペプチド配列を指すことは意図しないものと理解される。上で使用されるnまたはmが1を超える場合、異なる配列の一連の皮膚結合ペプチドが組成物の一部を形成してもよい状況を提供することは、十分本発明の範囲内である。さらにこれらの構造が、必ずしもペプチド、皮膚コンディショナー、および任意のスペーサー間の共有結合を表さないことを理解すべきである。上述のようにペプチド、皮膚コンディショナー、および任意のスペーサー間のカップリング相互作用は、共有結合または非共有結合のいずれであってもよい。
【0147】
本発明のペプチドベース皮膚コンディショナーを皮膚ケアのための組成物中で使用してもよい。皮膚結合ペプチドそれ自体が、皮膚のためのコンディショナーとしての役割を果たすことができることもまた認識される。皮膚ケア組成物は、ここでは化粧用に許容可能な媒体中に有効量のペプチドベース皮膚コンディショナー、または異なるペプチドベース皮膚コンディショナー混合物を含んでなる組成物と定義される。これらの組成物の用途としては、皮膚ケア、皮膚クレンジング、メイクアップ、およびアンチリンクル製品が挙げられるが、これに限定されるものではない。皮膚ケア組成物のためのペプチドベース皮膚コンディショナーまたは皮膚結合ペプチドの有効量は、組成物総重量に対して約0.001%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約5重量%の比率として定義される。この比率は、皮膚ケア組成物のタイプの関数として変化してよい。化粧用に許容可能な媒体のための適切な組成物は、上述のフィリップ(Philippe)らによって述べられる。例えば化粧用に許容可能な媒体は、概して組成物総重量に対して約10〜約90重量%の比率の脂肪物質を含有する無水組成物であってもよく、ここでは脂肪相は、少なくとも1つの液体、固形または半固形脂肪物質を含有する。脂肪物質としては、油、ワックス、ガム、およびいわゆるペースト状脂肪物質が挙げられるが、これに限定されるものではない。あるいは、組成物は、油中水または水中油エマルジョンなどの安定した分散体の形態であってもよい。さらに組成物は、抗酸化剤、保存料、充填材、界面活性剤、UVAおよび/またはUVBサンスクリーン、香料、増粘剤、ウェッティング剤およびアニオン性、非イオン性または両性ポリマー、および染料または顔料をはじめとするが、これに限定されるものではない、1つもしくはそれ以上の従来の化粧品または皮膚科的添加剤またはアジュバントを含有してもよい。
【0148】
ペプチドベース毛髪着色剤
本発明のペプチドベース毛髪着色剤は、毛髪結合ペプチド(HBP)と着色剤(C)とをカップリングさせて形成される。ペプチドベース毛髪着色剤の毛髪結合ペプチド部分は毛髪に強力に結合するので、着色剤が持続的髪染め効果のために毛髪に付着したままになる。毛髪結合ペプチドとしては、配列番号3〜59、64、66、69、および70によって示される本発明の毛髪結合ペプチド配列、最も好ましくは、毛髪に強力に結合するが皮膚には結合しない配列番号46および配列番号66によって示されるペプチドをはじめとする、上述のスクリーニング法によって選択される毛髪結合ペプチドが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらにジャンセン(Janssen)らに付与された米国特許出願公報第2003/0152976号明細書、およびジャンセン(Janssen)らの国際公開第04048399号パンフレットでそれぞれ述べられる、配列番号1、および配列番号76〜98をはじめとするが、これに限定されるものではない、あらゆる既知の皮膚結合ペプチドを使用してもよい。漂白毛髪のためには、配列番号60として示される手指爪結合ペプチドもまた使用してよい。
【0149】
着色剤はここでは、毛髪、皮膚、または爪の色を変化させるのに使用してもよい、あらゆる染料、顔料などとして定義される。本発明のペプチドベース毛髪着色剤では、あらゆる既知の着色剤を使用してもよい。髪染め剤は当技術分野でよく知られており(例えばグリーン(Green)ら(上述)、「CFTA国際色ハンドブック(CFTA International Color Handbook)第二版、Micelle Press、England(1992)、および「化粧品ハンドブック(Cosmetic Handbook)」米食品医薬品局、FDA/IASBooklet(1992)を参照されたい)、例えばペンシルベニア州ピッツバーグのベイヤー(Bayer(Pittsburgh、PA))、ニューヨーク州タリータウンのチバ・ガイギー(Ciba−Geigy、(Tarrytown、NY))、ニュージャージー州ブリッジウォーターのICI(ICI(Bridge Water、NJ))、オーストリア国ウィーンのサンドス(Sandoz(Vienna、Austria))、ニュージャージー州マウントオリブのBASF(BASF(Mount Olive、NJ)、およびドイツ国フランクフルトのヘキスト(Hoechst(Frankfurt、Germany))などの様々な供給元から市販される。適切な髪染め剤としては、4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール、4−アミノ−3−ニトロフェノール、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、2−ニトロ−パラフェニレンジアミン、N,N−ヒドロキシエチル−2−ニトロ−フェニレンジアミン、4−ニトロ−インドール、ヘンナ、HCブルー1、HCブルー2、HCイエロー4、HCレッド3、HCレッド5、ディスパースバイオレット4、ディスパースブラック9、HCブルー7、HCブルー12、HCイエロー2、HCイエロー6、HCイエロー8、HCイエロー12、HCブラウン2、D&Cイエロー1、D&Cイエロー3、D&Cブルー1、ディスパースブルー3、ディスパースバイオレット1、D&Cレッド21号などのエオシン誘導体、およびD&Cレッド27号とD&Cレッド21号とD&Cオレンジ10号と組み合わせたD&Cレッドオレンジ5号などのハロゲン化フルオレセイン誘導体などの染料、およびD&Cレッド36号およびD&Cオレンジ17号、そしてD&Cレッド7号、11、31および34のカルシウムレーキ、D&Cレッド12号のバリウムレーキ、D&Cレッド13号のストロンチウムレーキ、FD&Cイエロー5号、FD&Cイエロー6号、D&Cレッド27号、D&Cレッド21号およびFD&Cブルー1号のアルミニウムレーキ、酸化鉄、マンガンバイオレット、酸化クロム、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、バリウムオキシド、ウルトラマリンブルー、クエン酸ビスマス、およびカーボンブラック粒子などの顔料が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明の好ましい髪染め剤は、D&Cイエロー1および3、HCイエロー6および8、D&Cブルー1、HCブルー1、HCブラウン2、HCレッド5、2−ニトロ−パラフェニレンジアミン、N,N−ヒドロキシエチル−2−ニトロ−フェニレンジアミン、4−ニトロ−インドール、およびカーボンブラックである。
【0150】
金属および半導体ナノ粒子もまた、それらの強力な発光のために髪染め剤として使用してもよい(ヴィック(Vic)らの米国特許出願公開第2004/0010864号明細書)。金属ナノ粒子としては、金、銀、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウム、オスミウム、鉄、銅、コバルト、およびこれらの金属から構成される合金の粒子が挙げられるが、これに限定されるものではない。「合金」とはここでは均質な2種以上の金属の混合物と定義される。「半導体ナノ粒子」としては、セレン化カドミウム、硫化カドミウム、硫化銀、硫化カドミウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛、セレン化亜鉛、硫化鉛、ヒ化ガリウム、ケイ素、酸化スズ、酸化鉄、およびリン化インジウムの粒子が挙げられるが、これに限定されるものではない。ナノ粒子を適切な有機コーティングまたは単層の使用によって、安定化させ水溶性にできる。ここでの用法では、単層−保護されるナノ粒子は、安定化ナノ粒子の1タイプである。安定化水溶性金属および半導体ナノ粒子を調製する方法は当技術分野で知られており、参照によって本書に援用されるファング(Huang)らによって同時係属米国特許出願第10/622889号明細書で述べられる。ナノ粒子の色は粒子サイズに依存する。したがってナノ粒子のサイズを調節することで、異なる色を得てもよい。例えばZnS被覆されたCdSeナノ粒子は、2〜6nmの粒度範囲にわたって、可視スペクトル全体をカバーする。具体的にはコアサイズ2.3、4.2、4.8、および5.5nmのCdSeナノ粒子は、それぞれ485、565、590、および625nmを中心とする波長で発光する。異なるサイズの水溶性ナノ粒子は、上述のファング(Huang)で述べられるサイズ分画法を使用して、広いサイズ分布のナノ粒子から得てもよい。この方法は、電解質の存在下におけるナノ粒子溶液への水混和性有機溶剤の調節される添加を含んでなる。水混和性有機溶剤の添加を増大させると、減少したサイズのナノ粒子の沈殿がもたらされる。金属および半導体ナノ粒子はまた、上述のようにボリューム仕上げ剤の役割を果たしてもよい。
【0151】
特に有用なのは、着色剤としての役割を果たすだけでなく、さらに有害なUV放射線をブロックする役割も果たすかもしれない二酸化チタンナノ粒子である。適切な二酸化チタンナノ粒子については、米国特許第5,451,390号明細書、米国特許第5,672,330号明細書、および米国特許第5,762,914号明細書で述べられる。二酸化チタンP25は、デグサ(Degussa)から入手できる適切な市販品の例である。二酸化チタンナノ粒子のその他の供給業者としては、ケミラ(Kemira)、ザハトレーベン(Sachtleben)、およびテイカ(Tayca)が挙げられる。
【0152】
二酸化チタンナノ粒子は、液体懸濁液中の粒子の粒度分布を測定する動的光散乱による判定で、典型的に100nm未満の平均粒径を有する。粒子は典型的に凝集し、それは約3nm〜約6000nmの範囲であってもよい。当技術分野で既知のあらゆるプロセスを使用して、このような粒子を調製できる。本プロセスは、二酸化チタンナノ粒子が生成するならば、チタンハロゲン化物の気相酸化または可溶性チタン複合体からの溶液沈殿を伴ってもよい。
【0153】
二酸化チタンナノ粒子を調製する好ましいプロセスは、酸素と、好ましくは四塩化チタンであるチタンハロゲン化物とを、典型的に摂氏400〜2000度の範囲である高温反応ゾーンに注入することである。反応ゾーン中に存在する高温度条件下では、二酸化チタンのナノ粒子が形成されて、高い表面積および狭い粒度分布を有する。反応器中のエネルギー源は、プラズマトーチなどのあらゆる熱源であってもよい。
【0154】
さらに着色剤は、着色ポリマー微小球であってもよい。例示的なポリマー微小球としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルトルエン、スチレン/ブタジエン共重合体、およびラテックスの微小球が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明での使用のためには、微小球は約10nm〜約2μmの直径を有する。微小球は、上述したものなどのあらゆる適切な染料を微小球にカップリングして、着色してもよい。染料は微小球表面にカップリングしても、または多孔性微小球の多孔性構造内に吸着させてもよい。官能性付与されて共有結合できる非染色および染色微小球をはじめとする適切な微小球は、インディアナ州フィッシャーのバング・ラボラトリーズ(Bang Laboratories(Fisher,IN))などの会社から入手できる。
【0155】
本発明のペプチドベース毛髪着色剤は、特異的毛髪結合ペプチドを着色剤に直接またはスペーサーを介して共有結合的にカップリングして調製される。上述のいずれかのカップリング法を使用してもよい。上述のように、毛髪結合ペプチドにカップリングするために、着色剤上にカルボン酸、アルコール、アミン、またはアルデヒド基などの反応性基を導入することが必要かもしれない。これらの修飾は、当技術分野でよく知られている日常的化学反応を使用して行ってもよい。例えば硝酸、過酸化水素などの過酸化物、または過硫酸アンモニウムなどの無機開始剤を使用してカーボンブラック粒子の表面を酸化して機能性基を作り出してもよい。好ましくは、カラスコ−マリン(Carrasco−Marin)ら(J.Chem.Soc.、Faraday Trans.93:2211〜2215(1997))が述べるように、カーボンブラック表面は過硫酸アンモニウムを使用して酸化される。アミノ官能基は、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)−二塩酸塩などの有機開始剤を使用して、カーボンブラック表面に導入してもよい。無機顔料およびナノ粒子を誘導体化して、カルボン酸またはアミノ官能基に同様に導入してもよい。
【0156】
さらに髪結合ペプチドは、顔料結合ペプチドを使用して顔料にカップリングされてもよい。適切な顔料結合ペプチド配列は、当技術分野で知られている。例えば、ノモト(Nomoto)らは欧州特許第1275728号明細書で、カーボンブラック、銅フタロシアニン、二酸化チタン、および二酸化ケイ素に結合するペプチドについて述べる。オブライエン(O’Brien)らは、同時係属および同一譲受人の米国特許出願第10/935254号明細書で、カーボンブラック、クロモフタール(Cromophtal)(登録商標)イエロー、サンファスト(Sunfast)(登録商標)マジェンタ、およびサンファスト(Sunfast)(登録商標)ブルーに結合するペプチドについて述べる。さらに別の顔料結合ペプチドは、上述のスクリーニング法のいずれかを使用して同定してもよい。顔料結合ペプチドは、上述のカップリング法のいずれかを使用して直接またはスペーサー経由のいずれかで、髪結合ペプチドにカップリングしてもよい。髪結合ペプチド−顔料結合ペプチドジブロックまたはトリブロック(スペーサーが使用される場合)を顔料に接触させて、それを顔料結合ペプチドに付着させる。
【0157】
複数の毛髪結合ペプチドを着色剤にカップリングさせて、ペプチドベース毛髪着色剤と毛髪の間の相互作用を向上させることもまた、望ましいかもしれない。同一毛髪結合ペプチドの多重コピー、または異なる毛髪結合ペプチドの組み合わせのどちらかを使用してもよい。大型顔料粒子の場合、多数、すなわち約10,000個までの毛髪結合ペプチドが顔料にカップリングしていてもよい。より小型の染料には、より少数、すなわち約50個までの毛髪結合ペプチドがカップリングできる。したがって本発明の一実施態様では、ペプチドベース毛髪着色剤は、一般構造式(HBP)−C[式中、nは1〜約10,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約500である]を有する、毛髪結合ペプチド(HBP)および着色剤(C)からなるジブロック組成物である。
【0158】
別の実施態様では、ペプチドベース毛髪着色剤は、上述のように、結合ペプチドを髪染め剤から隔てるスペーサー(S)を含有する。毛髪結合ペプチドの多重コピーが、単一スペーサー分子にカップリングしていてもよい。この実施態様では、ペプチドベース毛髪着色剤は、一般構造式[(HBP)−S]−C[式中、nは1〜約10,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約500であり、mは1〜約50の範囲であり、好ましくはmは1〜約10である]を有する、毛髪結合ペプチド、スペーサー、および着色剤からなるトリブロック組成物である。
【0159】
ここでの用法では、HBPは総称であり、単一髪結合ペプチド配列を指すことは意図しないものと理解される。上で使用されるnまたはmが1を超える場合、異なる配列の一連の髪結合ペプチドが組成物の一部を形成してもよい状況を提供することは、十分本発明の範囲内である。さらにこれらの構造が、必ずしもペプチド、着色剤、および任意のスペーサー間の共有結合を表さないことを理解すべきである。上述のようにペプチド、着色剤、および任意のスペーサー間のカップリング相互作用は、共有結合または非共有結合のいずれであってもよい。
【0160】
本発明のペプチドベース毛髪着色剤を髪染め組成物中で、毛髪の着色のために使用してもよい。髪染め組成物は、ここでは化粧用に許容可能な媒体中に有効量のペプチドベース毛髪着色剤または異なるペプチドベース毛髪着色剤の混合物を含んでなる、毛髪の着色、染色、または漂白のための組成物と定義される。髪染め組成物中で使用するためのペプチドベース毛髪着色剤の有効量は、ここでは組成物総重量に対して約0.001%〜約20重量%の比率と定義される。髪染め組成物のための化粧用に許容可能な媒体の構成要素については、どちらも参照によって本書に援用されるディアス(Dias)らに付与された米国特許第6,398,821号明細書およびドゥーツ(Deutz)らに付与された米国特許第6,129,770号明細書で述べられる。例えば髪染め組成物は、金属イオン封鎖剤、安定剤、増粘剤、緩衝液、キャリア、界面活性剤、溶剤、抗酸化剤、ポリマー、およびコンディショナーを含有してもよい。コンディショナーは、本発明のペプチドベース毛髪コンディショナーおよび毛髪結合ペプチドを髪染め組成物総重量に対して約0.01%〜約10%、好ましくは約0.01%〜約5重量%の比率で含んでもよい。
【0161】
本発明のペプチドベース毛髪着色剤はまた、マスカラ、および眉ずみをはじめとするが、これに限定されるものではない、睫毛または眉に適用される化粧料組成物中の着色剤として使用してもよい。これらは脂肪物質を組成物総重量に対して概して約10〜約90重量%の比率で含有する、化粧用に許容可能な媒体を含んでなる、無水メイクアップ製品であってもよく、脂肪相は、上述のように少なくとも1つの液体、固形または半固形脂肪物質を含有する。脂肪物質としては、油、ワックス、ガム、およびいわゆるペースト状脂肪物質が挙げられるが、これに限定されるものではない。あるいは、これらの組成物は、上述のように、油中水または水中油エマルジョンなどの安定した分散体の形態であってもよい。これらの組成物中で、ペプチドベース毛髪着色剤の比率は、組成物総重量に対して概して約0.001%〜約20重量%である。
【0162】
ペプチドベース爪着色剤
本発明のペプチドベース爪着色剤は、爪結合ペプチド(NBP)を着色剤(C)にカップリングして形成される。ペプチドベース爪着色剤の爪結合ペプチド部分は、手指爪または足指爪に強力に結合することで、着色剤が持続的着色効果のために爪に付着したままになる。爪結合ペプチドとしては、配列番号53および60によって示される本発明の爪結合ペプチド配列、最も好ましくは配列番号60によって示されるペプチドをはじめとする、上述のスクリーニング法によって選択される爪結合ペプチドが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに配列番号7、8、19〜27、38、39、40、43〜45、47、57、58、および59として示される漂白毛髪結合ペプチドを使用してもよい。
【0163】
本発明のペプチドベース爪着色剤は、上述のいずれかのカップリング法を使用して、特異的爪結合ペプチドを着色剤に直接またはスペーサーを介してカップリングして調製される。本発明のペプチドベース爪着色剤中では、上述のいずれかの着色剤を使用してもよい。本発明ペプチドベース爪着色剤中で使用するのに好ましい着色剤としては、D&Cレッド8、10、30、および36号、D&Cレッド6、9、および12号のバリウムレーキ、D&Cレッド7、11、31、および34号のカルシウムレーキ、D&Cレッド30号とD&Cオレンジ17号とD&Cブルー6号のストロンチウムレーキが挙げられる。
【0164】
複数の爪結合ペプチドを着色剤にカップリングさせて、ペプチドベース爪着色剤と爪の間の相互作用を向上させることもまた、望ましいかもしれない。同一爪結合ペプチドの多重コピー、または異なる爪結合ペプチドの組み合わせのどちらかを使用してもよい。大型顔料粒子の場合、多数、すなわち約10,000個までの爪結合ペプチドが顔料にカップリングしていてもよい。より小型の染料には、より少数、すなわち約50個までの爪結合ペプチドがカップリングできる。したがって本発明の一実施態様では、ペプチドベース爪着色剤は、一般構造式(NBP)−C[式中、nは1〜約10,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約500である]を有する、爪結合ペプチド(NBP)および着色剤(C)からなるジブロック組成物である。
【0165】
別の実施態様では、ペプチドベース爪着色剤は、上述のように、結合ペプチドを着色剤から隔てるスペーサー(S)を含有する。爪結合ペプチドの多重コピーが、単一スペーサー分子にカップリングしていてもよい。この実施態様では、ペプチドベース爪着色剤は、一般構造式[(NBP)−S]−C[式中、nは1〜約10,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約500であり、mは1〜約50の範囲であり、好ましくはmは1〜約10である]を有する、爪結合ペプチド、スペーサー、および着色剤からなるトリブロック組成物である。
【0166】
ここでの用法では、NBPは総称であり、単一爪結合ペプチド配列を指すことは意図しないものと理解される。上で使用されるnまたはmが1を超える場合、異なる配列の一連の爪結合ペプチドが組成物の一部を形成してもよい状況を提供することは、十分本発明の範囲内である。さらにこれらの構造が、必ずしもペプチド、着色剤、および任意のスペーサー間の共有結合を表さないことを理解すべきである。上述のようにペプチド、着色剤、および任意のスペーサー間のカップリング相互作用は、共有結合または非共有結合のいずれであってもよい。
【0167】
本発明のペプチドベース爪着色剤をマニキュア組成物中で、手指爪および足指爪を着色するために使用してもよい。マニキュア組成物は、ここでは化粧用に許容可能な媒体中に、有効量のペプチドベース爪着色剤または異なるペプチドベース爪着色剤の混合物を含んでなる爪を処置および着色するための組成物と定義される。マニキュア組成物中で使用するためのペプチドベース爪着色剤の有効量は、ここでは組成物総重量に対して約0.001%〜約20重量%の比率と定義される。マニキュアのための化粧用に許容可能な媒体の組成物は、上述のフィリップ(Philippe)らによって述べられる。マニキュア組成物は典型的に、溶剤、およびセルロース誘導体、ポリビニル誘導体、アクリルポリマーまたは共重合体、ビニル共重合体、およびポリエステルポリマーなどの膜形成物質を含有する。さらにマニキュアは、リン酸トリクレシル、ベンジルベンゾエート、リン酸トリブチル、アセチルリシノール酸ブチル、クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル、フタル酸ジブチルまたはショウノウなどの可塑剤を含有してもよい。
【0168】
ペプチドベースの皮膚着色剤
本発明のペプチドベースの皮膚着色剤は、皮膚結合ペプチド(SBP)と着色剤(C)とをカップリングさせて形成される。ペプチドベースの皮膚着色剤の皮膚結合ペプチド部分は皮膚に強力に結合するので、着色剤が持続的皮膚着色効果のために皮膚に付着したままになる。皮膚結合ペプチドとしては、配列番号61として示される本発明の皮膚結合ペプチド配列をはじめとする、上述のスクリーニング法によって選択される皮膚結合ペプチドが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらにジャンセン(Janssen)らに付与された米国特許出願公開第2003/0152976号明細書、およびジャンセン(Janssen)らの国際公開第04048399号パンフレットでそれぞれ述べられる、配列番号2、および配列番号99〜104をはじめとするが、これに限定されるものではない、あらゆる既知の皮膚結合ペプチドを使用してもよい。
【0169】
本発明のペプチドベースの皮膚着色剤は、上述のいずれかのカップリング法を使用して、特異的皮膚結合ペプチドを着色剤に直接またはスペーサーを介して共有結合的にカップリングさせて調製される。上述のいずれかの着色剤を使用してもよい。本発明のペプチドベースの皮膚着色剤中で使用するのに好ましい着色剤としては、以下の染料が挙げられる。D&Cレッド21号などのエオシン誘導体およびD&Cレッド27号などのハロゲン化フルオレセイン誘導体、D&Cレッド21号およびD&Cオレンジ10号と組み合わせたD&Cレッドオレンジ5号、および顔料、二酸化チタン、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、D&Cレッド36号およびD&Cオレンジ17号、D&Cレッド7、11、31、および34号のカルシウムレーキ、D&Cレッド12号のバリウムレーキ、D&Cレッド13号のストロンチウムレーキ、FD&Cイエロー5号とFD&Cイエロー6号とD&Cレッド27号とD&Cレッド21号とFD&Cブルー1号のアルミニウムレーキ、酸化鉄、マンガンバイオレット、酸化クロム、ウルトラマリンブルー、およびカーボンブラック。着色剤はまた、日光への曝露なしに皮膚に日焼けした外見を作り出す、ジヒドロキシアセトンなどのサンレス・タンニング作用薬であってもよい。
【0170】
複数の皮膚結合ペプチドを着色剤にカップリングさせて、ペプチドベースの皮膚着色剤と皮膚の間の相互作用を向上させることもまた、望ましいかもしれない。同一皮膚結合ペプチドの多重コピー、または異なる皮膚結合ペプチドの組み合わせのどちらかを使用してもよい。大型顔料粒子の場合、多数、すなわち約10,000個までの皮膚結合ペプチドが顔料にカップリングしていてもよい。より小型の染料には、より少数、すなわち約50個までの皮膚結合ペプチドがカップリングできる。したがって本発明の一実施態様では、ペプチドベースの皮膚着色剤は、一般構造式(SBP)−C[式中、nは1〜約10,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約500である]を有する、皮膚結合ペプチド(SBP)および着色剤(C)からなるジブロック組成物である。
【0171】
別の実施態様では、ペプチドベースの皮膚着色剤は、上述のように、結合ペプチドを着色剤から隔てるスペーサー(S)を含有する。皮膚結合ペプチドの多重コピーが、単一スペーサー分子にカップリングしていてもよい。この実施態様では、ペプチドベースの皮膚着色剤は、一般構造式[(SBP)−S]−C[式中、nは1〜約10,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約500であり、mは1〜約50の範囲であり、好ましくはmは1〜約10である]を有する、皮膚結合ペプチド、スペーサー、および着色剤からなるトリブロック組成物である。
【0172】
ここでの用法では、SBPは総称であり、単一皮膚結合ペプチド配列を指すことは意図しないものと理解される。上で使用されるnまたはmが1を超える場合、異なる配列の一連の皮膚結合ペプチドが組成物の一部を形成してもよい状況を提供することは、十分本発明の範囲内である。さらにこれらの構造が、必ずしもペプチド、着色剤、および任意のスペーサー間の共有結合を表さないことを理解すべきである。上述のようにペプチド、着色剤、および任意のスペーサー間のカップリング相互作用は、共有結合または非共有結合のいずれであってもよい。
【0173】
本発明のペプチドベースの皮膚着色剤は、ファンデーション、頬紅、口紅、リップライナー、リップグロス、アイシャドウ、およびアイライナーをはじめとするが、これに限定されるものではない、化粧品およびメイクアップ製品中の着色剤として使用してもよい。これらは脂肪物質を含有する、化粧用に許容可能な媒体を含んでなる無水メイクアップ製品であってもよく、またはそれらは上述のように、油中水または水中油エマルジョンなどの安定した分散体の形態であってもよい。これらの組成物では、ペプチドベースの皮膚着色剤の比率は、概して組成物総重量に対して約0.001%〜約40重量%である。
【0174】
ペプチドベースの口腔ケア試薬
本発明のペプチドベースの口腔ケア試薬は口腔表面結合ペプチド(OBP)と口腔ケア利点付与剤(OBA)とをカップリングして形成される。口腔表面結合ペプチドとしては、歯結合ペプチド(TBP)、皮膚結合ペプチド(SBP)、歯茎、頬、および舌結合ペプチドが挙げられるが、これに限定されるものではない。ペプチドベースの口腔ケア剤のペプチド部分は、歯、歯茎、頬、舌、または口腔のその他の表面に強力に結合するので、きする効果を長く持続させるために利点付与剤を付着したままにする。上述の皮膚結合ペプチドは、歯茎、頬、または舌への付着のために有用かもしれない。好ましくは関心のある特異的口腔表面のための結合ペプチドは、上述のスクリーニング法を使用して同定される。
【0175】
本発明のペプチドベースの口腔ケア試薬は、上述のカップリング法を使用して、直接またはスペーサー経由のいずれかで口腔表面結合ペプチドと口腔ケア利点付与剤とをカップリングして調製される。口腔ケア利点付与剤は、当技術分野でよく知られている(例えば全て参照によって本書に援用されるホワイト(White)らに付与された米国特許第6,740,311号明細書、ローラー(Lawler)らに付与された米国特許第6,706,256号明細書、およびフュグルザング(Fuglsang)らに付与された米国特許第6,264925号明細書を参照されたい)。例示的な口腔利点付与剤としては、白色着色剤、白化剤、酵素、抗プラーク剤、抗汚染剤、抗微生物剤、抗齲蝕剤、着香剤、冷却剤、および唾液分泌剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0176】
ペプチドベースの歯白化剤中で使用してもよい適切な白色着色剤としては、二酸化チタンおよび二酸化チタンナノ粒子などの白色顔料と、ヒドロキシアパタイトおよびジルコン(ケイ酸ジルコニウム)などの白色ミネラルとが挙げられるが、これに限定されるものではない。適切な酵素は、オキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、グリコシダーゼ、エステラーゼ、および多糖類加水分解酵素をはじめとするが、これに限定されるものではない天然または組み換え酵素であってもよい。抗プラーク剤としては、フッ化物イオン源および抗微生物剤が挙げられるが、これに限定されるものではない。適切な抗微生物剤としては、ヘイニー(Haynie)に付与された米国特許第5,847,047号明細書で述べられるもの、マガイニン、およびセクロピンなどの抗微生物ペプチドと、トリクロサン、クロルヘキシジン、四級アンモニウム化合物、クロロキシイレノール、クロロキシエタノール、フタル酸とその塩、およびチモールなどの殺微生物剤とが挙げられるが、これに限定されるものではない。適切な着香剤としては、ウインターグリーン油、ハッカ油、スペアミント油、メントール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、およびバニリンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
【0177】
ペプチドベースの口腔ケア剤と口腔表面間の相互作用を増強するために、口腔利点付与剤にカップリングした複数の口腔表面結合ペプチドを有することも望ましいかもしれない。同一口腔表面結合ペプチドの複数コピー、または異なる口腔表面結合ペプチドの組み合わせのいずれかを使用してもよい。大型顔料粒子の場合、多数、すなわち約10,000個以下の口腔表面結合ペプチドを顔料にカップリングしてもよい。より小型の口腔利点付与剤分子には、より小数、すなわち約50個以下の口腔表面結合ペプチドをカップリングできる。したがって本発明の一実施態様では、ペプチドベースの口腔ケア試薬は、一般構造式(OBP)−OBA[式中、nは1〜約10,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約500である]を有する、口腔表面結合ペプチド(OBP)および口腔利点付与剤(OBA)から成るジブロック組成物である。
【0178】
別の実施態様では、ペプチドベースの口腔ケア試薬は、上述のように結合ペプチドを口腔利点付与剤から隔てるスペーサー(S)を含有する。口腔表面結合ペプチドの複数コピーは、単一スペーサー分子にカップリングしてもよい。この実施態様では、ペプチドベースの口腔ケア試薬は、一般構造式[(OBP)−S]−OBA[式中、nは1〜約10,000の範囲であり、好ましくはnは1〜約500であり、mは1〜約50の範囲であり、好ましくはmは1〜約10である]を有する、口腔表面結合ペプチド、スペーサー、および口腔利点付与剤から成るトリブロック組成物である。
【0179】
ここでの用法では、OBPは総称であり、単一口腔表面結合ペプチド配列を指すことは意図しないものと理解される。上で使用されるnまたはmが1を超える場合、異なる配列の一連の口腔表面結合ペプチドが組成物の一部を形成してもよい状況を提供することは、十分本発明の範囲内である。さらにこれらの構造が、必ずしもペプチド、口腔利点付与剤、および任意のスペーサー間の共有結合を表さないことを理解すべきである。上述のようにペプチド、口腔利点付与剤、および任意のスペーサー間のカップリング相互作用は、共有結合または非共有結合のいずれであってもよい。
【0180】
本発明のペプチドベースの口腔ケア試薬は、粉末、ペースト、ゲル、液体、軟膏、または錠剤などのあらゆる適切な物理的形状を有してもよい、口腔ケア製品で使用してもよい。例示的な口腔ケア製品としては、練り歯磨き、歯科用クリーム、ゲルまたは歯磨き粉、うがい液、口臭防止剤、およびデンタルフロスが挙げられるが、これに限定されるものではない。口腔ケア製品は、口腔的に許容可能なキャリア媒体中に、有効量の本発明のペプチドベースの口腔ケア試薬を含んでなる。口腔ケア製品中で使用するための有効量のペプチドベースの口腔ケア剤は、製品のタイプ次第で異なってもよい。典型的に有効量のペプチドベースの口腔ケア剤は、総生成組成物の約0.001%〜約90重量%の比率である。口腔ケア製品は1つのタイプのペプチドベースの口腔ケア剤、または異なるペプチドベースの口腔ケア試薬の混合物を含有してもよい。
【0181】
口腔的に許容可能なキャリア媒体の構成要素は、前出のホワイト(White)ら、ローラー(Lawler)ら、およびフュグルザング(Fuglsang)で述べられる。例えば本発明のペプチドベースの口腔ケア試薬に加えて、口腔ケア製品は上述のように研磨材、界面活性剤、キレート剤、フッ化物源、増粘剤、緩衝剤、溶剤、保湿剤、キャリア、充填剤、および追加的口腔利点付与剤の1つ以上を含有してもよい。
【0182】
本発明の口腔ケア製品は、当技術分野でよく知られている標準技術を使用して調製してもよい。組成物が2つ以上の相を含んでなる場合、典型的に、異なる相は、同様の相分配の材料を任意の順序で添加して別個に調製される。2つの相は激しい混合を使用して、多相系(例えばエマルジョンまたは分散体)を形成して組み合わせられる。
【0183】
毛髪、皮膚、爪、および口腔の処置方法
別の実施態様では、本発明のペプチドベースのコンディショナーおよび着色剤で、毛髪、皮膚、および爪を処置するための方法が提供される。具体的には本発明は、有効量のペプチドベース皮膚コンディショナーまたはペプチドベース毛髪コンディショナーを含んでなる上述の組成物の1つを皮膚、毛髪、または口唇に適用し、保護膜を形成させることで、皮膚、毛髪、または口唇上にペプチドベースのコンディショナーの保護膜を形成する方法もまた含んでなる。本発明の組成物は、スプレー、ブラッシング、および手による適用をはじめとするが、これに限定されるものではない、様々な手段によって皮膚、毛髪、または口唇に適用してもよい。ペプチドベースのコンディショナー組成物は、保護膜を形成するのに十分な時間にわたり、好ましくは少なくとも約0.1〜60分間、皮膚、毛髪、または口唇と接触したままになる。
【0184】
本発明はまた、上述の手段によって有効量のペプチドベースの染髪剤を含んでなる染髪組成物を髪に適用して、染髪する方法も提供する。染髪組成物を好ましくは約5秒〜約50分、より好ましくは約5秒〜約60秒間、髪の着色を引き起こすのに十分な時間髪に接触させ、次に染髪組成物を髪からすすぎ落としてもよい。
【0185】
本発明はまた、ペプチドベースの皮膚着色剤の有効量を含んでなる皮膚着色組成物を上述の手段によって皮膚または口唇に適用することで、皮膚または口唇の着色方法も提供する。
【0186】
本発明はまた、ペプチドベース爪着色剤の有効量を含んでなるマニキュア組成物を上述の手段によって手指爪または足指爪に適用することで、手指爪または足指爪の着色方法も提供する。
【0187】
本発明はまた、ペプチドベース毛髪着色剤の有効量を含んでなる化粧料組成物を上述の手段によって眉および睫毛に適用することで、眉および睫毛の着色方法も提供する。
【0188】
本発明はまた、ペプチドベースの白化剤が歯に結合するのに十分な時間にわたり、ペプチドベースの白化剤を含んでなる口腔ケア製品組成物を歯に適用して、歯を白くする方法もを提供する。次に組成物を歯からすすぎ落としてもよい。口腔ケア製品組成物は、ブラッシング、すすぎをはじめとするが、これに限定されるものではないあらゆる適切な方法を使用して、組成物で被覆された適用用ストリップまたはデンタルフロスを使用して、歯に適用してもよい。
【0189】
本発明はまた、ペプチドベースの口臭防止剤を含んでなる口腔ケア製品を口腔に適用して、吐く息を新鮮にする方法も提供する。口腔ケア製品は、リンス、練り歯磨き、スプレー、ガム、またはキャンディとして適用してもよい。
【0190】
上の結合試薬の体表面への適用方法は、試薬が水性環境内で表面に結合し、そして多くは最初の適用時から5〜約60秒以内に迅速に結合する能力によって特徴づけられる。本発明の試薬は多方面にわたる用途があるが、それらの耐水性および迅速で密接な結合特性において一つにまとまった多面的生体接着剤である。
【実施例】
【0191】
以下の実施例で本発明をさらに明らかにする。これらの実施例は本発明の好ましい実施態様を示しながら、例示のみの目的で提示されるものと理解される。上の考察およびこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的特性を確認し、その精神と範囲を逸脱することなく本発明に様々な変更をおよび修正を加えて、それを様々な用途および条件に適合できる。
【0192】
使用されるの略語の意味は次のとおり。「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「h」は時間を意味し、「μL」をマイクロリットルを意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「nm」はナノメートルを意味し、「mm」はミリメートルを意味し、「cm」はセンチメートルを意味し、「μm」はマイクロメートルを意味し、「mM」はミリモルを意味し、「M」はモル数を意味し、「mmol」はミリモルを意味し、「μモル」はマイクロモルを意味し、「g」はグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「g」は重力定数を意味し、「rpm」は分あたりの回転数を意味し、「pfu」はプラークを形成する単位を意味し、「BSA」はウシ血清アルブミンを意味し、「ELISA」は酵素結合免疫吸着アッセイを意味し、「IPTG」はイソプロピルb−D−チオガラクトピラノシドを意味し、「A」は吸収を意味し、「A450」は波長450nmで測定した吸収を意味し、「TBS」はトリス−緩衝食塩水を意味し、「TBST−X」はトウィーン(Tween)(登録商標)20含有トリス−緩衝食塩水を意味して「X」はトウィーン(Tween)(登録商標)20の重量%であり、「Xgal」は5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドを意味し、「SEM」は平均値の標準誤差を意味し、「ESCA」は化学的分析のための電子分光法を意味し、「eV」は電子ボルトを意味し、「TGA」は熱重量分析法を意味し、「GPC」はゲル透過クロマトグラフィーを意味し、「MW」は分子量を意味し、「M」は重量−平均分子量を意味し、「vol%」は容積%を意味する。「NMR」とは、核磁気共鳴分光法を意味し、「MALDI質量分析法」とは、マトリックス支援レーザー脱離イオン化質量分析法を意味する。
【0193】
一般方法:
実施例で使用される標準組換えDNAおよび分子クローン化技術は当技術分野で良く知られており、サムブルック(Sambrook)J.、フリッチュ(Fritsch)E.F.、およびマニアティス(Maniatis)T.「分子クローン化:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」;Cold Spring Harbor Laboratory Press:コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク(N.Y.)、1989、およびT.J.シルハビー(Silhavy)、M.L.ベンナン(Bennan)およびL.W.エンクイスト(Enquist)「遺伝子融合実験(Experiments with Gene Fusions)」Cold Spring Harbor Laboratory、コールドスプリングハーバー(Cold Spring Harbor)、ニューヨーク(N.Y.)(1984);およびオースベル(Ausubel)F.M.ら「分子生物学現代プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscience、ニューヨーク(N.Y.)による出版(1987)で述べられている。
【0194】
細菌培養の維持および生育に適した材料および方法についても、当技術分野で良く知られている。以下の実施例で使用するのに適した技術は、以下で述べられる。「一般微生物学方法マニュアル(Manual of Methods for General Bacteriology」、フィリップス・ゲアハルト(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.マレー(R.G.E.Murray)、ラルフN.コスティロウ(Ralph N.Costilow)、ユージーンW.ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリスA.ウッド(Willis A.Wood)、ノエルR.クリーグ(Noel R.Krieg)、およびG.ブリッグス・フィリップス(G.Briggs Phillips)編、米国微生物学会、ワシントン(Washington)D.C.(1994)またはトーマスD.ブロック(Thomas D.Brock)著「バイオテクノロジー:工業微生物学テキストブック(Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology)」第2版、Sinauer Associates Inc.:サンダーランド(Sunderland)、マサチューセッツ州(MA)(1989)。細菌細胞の生育および維持のために使用される全ての試薬、制限酵素および材料は、特に断りのない限り、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals(Milwaukee、WI))、メリーランド州スパークスのBDダイアグノスティック・システムズ(BD Diagnostic Systems(Sparks、MD))、メリーランド州ロックビルのライフ・テクノロジーズ(Life Technologies(Rockville、MD))またはミズーリ州セントルイスのシグマケミカル(Sigma Chemical Company(St.Louis、MO))から得た。
【0195】
実施例1
標準バイオパニング(biopanning)を使用した毛髪結合ファージペプチド選択
この実施例の目的は、標準ファージディスプレイバイオパニングを使用して、標準的毛髪および漂白毛髪に結合する毛髪結合ファージペプチドを同定することであった。
【0196】
ファージディスプレイペプチドライブラリー:
本発明使用したファージライブラリーであるPh.D.−12TMファージディスプレイペプチドライブラリーキットおよびPh.D.−7TMファージディスプレイライブラリーキットは、マサチューセッツ州のニューイングランドバイオラブズ(New England BioLabs(Beverly、MA))から購入した。これらのキットは、M13ファージのマイナーコートタンパク質(pIII)に融合したランダムペプチド7または12−merのコンビナトリアルライブラリーに基づく。ディスプレイされるペプチドは、シグナルペプチドが切断された後に、外被タンパク質の第1の残基がディスプレイされるペプチドの第1の残基になるように、pIIIのN−末端に発現する。Ph.D.−7およびPh.D.−12ライブラリーは、それぞれおよそ2.8×10および2.7×10個の配列からなる。10μLの容積は、各ペプチド配列の約55個のコピーを含有する。結果にバイヤスが入り込むのを避けるために、製造元が提供するオリジナルのライブラリーを使用して、実験の各1回目を実施した。
【0197】
毛髪サンプルの調製
標準的毛髪として使用したサンプルは、ニューヨーク州ベルロースのインターナショナル・ヘア・インポーツ・アンド・プロダクツ(International Hair Importers and Products(Bellerose、NY))から得られた6−インチ中程度のブラウンのヒト毛髪であった。毛髪を90%イソプロパノールに室温で30min入れて、次に10minずつ5回脱イオン水で洗浄した。毛髪を一晩室温で風乾させた。
【0198】
漂白毛髪サンプルを調製するために、水酸化アンモニウムでpH10.2に調節した6%Hに中程度のブラウンのヒト毛髪を室温で10min入れて、次に次に10minずつ5回脱イオン水で洗浄した。毛髪を一晩室温で風乾させた。
【0199】
標準的および漂白毛髪サンプルを0.5〜1cmの長さに切断し、ブタ皮膚の底部を有するカスタム24−ウェルバイオパニング器官のウェルに、約5〜10mgの毛髪を入れた。等しい数のブタ皮膚底部ウェルを空のままにしておいた。ブタ皮膚底部装置は、皮膚に対して親和力を有するファージ−ペプチドを除去するサブトラクティブ手順として使用された。この装置は、ニューハンプシャー州キーンのシュライヒャー&シュル(Schleicher & Schuell(Keene、NH))から得られたドットブロット装置を修正してバイオパニングプロセスに適合させて作り出した。具体的にはドットブロット装置の最上部96−ウェルブロックを24−ウェルブロックで置き換えた。4×6インチ処理済みブタ皮膚を24−ウェルブロックの下に入れて、装置を締め付けることで、ブタ皮膚底部を有するパニングウェルを形成した。ブタ皮膚は地元のスーパーで購入し、−80℃に保存した。使用前に皮膚を脱イオン水に入れて解凍し、次にペーパータオルを使用しブロッティングして乾燥した。皮膚表面を90%イソプロパノールで拭い、次に脱イオン水ですすいだ。0.5%トウィーン(Tween)(登録商標)20(TBST−0.5%)を含有するTBST中1mg/mLのBSAからなるブロッキングバッファーを24−ウェル装置に満たし、4℃で1hインキュベートした。ウェルおよび毛髪をTBST−0.5%で5回洗浄した。1mg/mLのBSAを含有する1mlのTBST−0.5%を各ウェルに添加した。次に毛髪サンプルを含有しないブタ皮膚底部ウェルに、12−merまたは7−merライブラリーのどちらかである10μLのオリジナルのファージライブラリー(2×1011pfu)を添加し、ファージライブラリーを室温で15minインキュベートした。毛髪サンプルを含有するブタ皮膚底部ウェルに、次に非結合ファージを移し、室温で15minインキュベートした。毛髪サンプルおよびウェルをTBST−0.5%で10回洗浄した。次に毛髪を24−ウェルプレートの清潔なプラスチック底部ウェルに移し、0.2Mグリシン−HCl中の1mg/mLのBSA、pH2.2からなる1mLの非特異的溶出緩衝液を各ウェルに添加して10minインキュベートし、結合ファージを溶出した。次に1Mトリス−HCl、pH9.2からなる160μLの中和緩衝液を各ウェルに添加した。各ウェルから溶出されたファージを力価測定および配列決定のために新しい試験管に移した。
【0200】
結合したファージを力価測定するために、溶出されたファージをSM緩衝液(100mM NaCl、12.3mM MgSO−7HO、50mMトリス−HCl、pH7.5、およびゼラチン0.01wt/vol%)で希釈し、10〜10の連続10倍希釈液を調製した。LB培地で20min生育させ、次に45℃で3mLのアガローストップ(5mM MgCl添加LB培地、および0.7%アガロース)と混合した、ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs)からの200μLの対数増殖期中期大腸菌(E.coli)ER2738と共に、各希釈物の10μLアリコートをインキュベートした。この混合物をシグマケミカル(Sigma Chemical Co.)からのS−GalTM/LB寒天プレート上に広げ、37℃で一晩インキュベートした。S−GalTM/LB寒天混合物は、500mLの蒸留水中に5gのトリプトン、2.5gの酵母抽出物、5gの塩化ナトリウム、6gの寒天、150mgの3,4−シクロヘキセノエスクレチン−β−D−ガラクトピラノシド(S−GalTM)、250mgのクエン酸第二鉄アンモニウム、および15mgのイソプロピルβ−D−チオガラクトシド(IPTG)を含有した。S−GalTM/LBを121〜124℃で15〜20min高圧滅菌してプレートを調製した。DNAの単離および配列分析のために、単一黒色プラークを無作為に選んだ。
【0201】
LB培地中で1:100に希釈した一晩培養物からの希釈された大腸菌(E.coli)ER2738と共に、残存する溶出されたファージを37℃で4.5hインキュベートして増幅した。その後、細胞培養物を30s遠心分離して、上部80%の上清を新鮮な試験管に移し、1/6容積のPEG/NaCl(20%ポリエチレングリコール−800、2.5M塩化ナトリウム)を添加し、ファージを4℃で一晩沈殿させた。沈殿物を4℃、10,000×gでの遠心分離によって収集し、得られたペレットを1mLのTBS中に再懸濁した。これが第1回目の増幅されたストックであった。次に増幅された第1回目のファージストックを上述したのと同一方法に従って力価測定した。2回目のバイオパニングのために、第1回目からの2x1011pfuを超えるファージストックを使用した。実験次第で、バイオパニングプロセスを3〜6回反復した。
【0202】
製造元ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)の説明書に従って単一プラーク溶解産物を調製し、カリフォルニア州バレンシアのキアゲン(Qiagen(Valencia、CA))からのQIAprep Spin M13キットを使用して一本鎖ファージゲノムのDNAを精製して、配列番号62として示される−96gIII配列決定プライマー(5’−CCCTCATAGTTAGCGTAACG−3’)を使用してデュポン(DuPont)配列決定設備で配列決定した。ディスプレイされるペプチドは、遺伝子IIIのシグナルペプチドの直後に位置した。
【0203】
5回目のバイオパニングから単離された、12−merライブラリーから溶出された標準的毛髪結合ファージペプチドのアミノ酸配列を表1に示す。5回目のバイオパニングから単離された、12−merライブラリーから溶出された漂白毛髪結合ファージペプチドのアミノ酸配列を表2に示す。3回目のバイオパニングから単離された、95個の無作為に選択されたクローンからの7−merライブラリーから溶出された標準的毛髪結合ファージペプチドの反復するアミノ酸配列を表3に示す。
【0204】
【表2】

【0205】
【表3】

【0206】
【表4】

【0207】
実施例2
修正法を使用した高親和力毛髪結合ファージペプチドの選択
この実施例の目的は、より高い結合親和力を有する毛髪結合ファージペプチドを同定することであった。
【0208】
実施例1で述べたようにして酸性溶出緩衝液で処理した毛髪を、溶出緩衝液でさらに3回洗浄し、次にTBST−0.5%で3回洗浄した。酸抵抗性ファージペプチドがなおも付着したままのこれらの毛髪を使用して、対数増殖期中期細菌宿主細胞であるニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Labs)からの500μLの大腸菌(E.coli)ER2738に直接感染させ、次にそれをLB培地で20min生育させ、次に3mLのアガローストップ(5mMMgCl添加LB培地、および0.7%アガロース)と45℃で混合した。この混合物をLB培地/IPTG/S−GalTM(15g/L寒天、0.05g/LIPTG、および0.04g/LS−GalTM添加LB培地)プレート上に広げ、37℃で一晩インキュベートした。黒色プラークを計数してファージ力価を計算した。実施例1で述べたようにして、DNAの単離および配列分析のために、単一黒色プラークを無作為に選んだ。実施例1で述べたようにして、7−merおよび12−merファージディスプレイライブラリーでスクリーニングした標準的毛髪および漂白毛髪サンプル上でこのプロセスを実施し、これらの高親和力の毛髪結合ファージペプチドのアミノ酸配列を表4−7に示す。
【0209】
【表5】

【0210】
【表6】

【0211】
【表7】

【0212】
【表8】

【0213】
実施例3
高親和力手指爪結合ファージペプチドの選択
この実施例の目的は、手指爪に対する高結合親和力を有するファージペプチドを同定することであった。実施例2で述べた修正バイオパニング法を使用して、高親和力の手指爪結合ファージ−ペプチドクローンを同定した。
【0214】
被験者からヒト手指爪を採取した。手指爪を石鹸溶液でブラッシングして清潔にし、脱イオン水ですすいで室温で風乾させた。次に手指爪を液体N下で粉末にし、96−ウェルフィルタープレートの各ウェルに10mgの手指爪を添加した。手指爪サンプルをTBST−0.5%中の1mg/mLのBSAからなるブロッキングバッファーで1h処理し、次にTBST−0.5%で洗浄した。手指爪サンプルをファージライブラリー(Ph.D−12ファージディスプレイペプチドライブラリーキット)と共にインキュベートし、実施例1で述べたのと同一条件を使用して10回洗浄した。実施例1で述べた酸性溶出ステップ後、手指爪サンプルを溶出緩衝液でさらに3回洗浄し、次にTBST−0.5%で3回洗浄した。酸抵抗性ファージペプチドがなおも付着したままのこれらの酸処理済み手指爪を使用して、実施例2で述べたようにして、大腸菌(E.coli)ER2738細胞を直接感染させた。このバイオパニングプロセスを3回反復した。DNA単離および配列分析のために全部で75個の単一黒色ファージプラークを無作為に選択し、2個の反復するクローンが同定された。これらのファージペプチドのアミノ酸配列を表8に列挙する。これらの手指爪結合ペプチドはまた、漂白毛髪に良好に結合することも分かった。
【0215】
【表9】

【0216】
実施例4
高親和力皮膚結合ファージペプチドの選択
この実施例の目的は、皮膚への高結合親和力を有するファージペプチドを同定することであった。実施例2および4で述べた修正バイオパニング法を使用して、高親和力の皮膚結合ファージ−ペプチドクローンを同定した。ブタ皮膚がプロセスにおけるヒト皮膚モデルとしての役割をした。
【0217】
実施例1で述べたようにしてブタ皮膚を調製した。実施例4で述べたのと同一手順を使用して、カスタムのブタ皮膚底部バイオパニング装置で3回のスクリーニングを実施した。DNA単離および配列分析のために、全部で28の単一黒色ファージプラークを無作為に選び、1個の反復するクローンを同定した。28の配列中に9回出現するこのファージペプチドのアミノ酸配列は、配列番号61として示されるTPFHSPENAPGSであった。
【0218】
実施例5
毛髪結合ファージクローンの結合親和力の定量的特性決定
この実施例の目的は、力価測定およびELISAによって、ファージクローン結合親和力を定量することであった。
【0219】
毛髪結合ファージクローンの力価測定:
特異的ペプチドをディスプレイするファージクローンを使用して、異なるペプチド配列の結合特性を比較した。力価ベースのアッセイを使用して、ファージ結合を定量化した。このアッセイでは、10〜10の信号雑音比を有する10mgの毛髪表面によって保持される出力pfuを測定した。全てのファージクローンへの入力は1014pfuであった。このアッセイがペプチド結合でなく、むしろペプチド発現ファージ粒子を測定することを強調しなくてはならない。
【0220】
標準的毛髪を0.5cm長さに切断し、10mgの切断毛髪をキアゲン(Qiagen)からの96−ウェルフィルタープレートの各ウェルに入れた。次にウェルにTBST−0.5%中に1mg/mLのBSAを含有するブロッキングバッファーを満たして、4℃で1hインキュベートした。毛髪をTBST−0.5%で5回洗浄した。次にウェルに1mg/mLのBSAを含有する1mLのTBST−0.5%を満たし、次に精製したファージクローン(1014pfu)を各ウェルに添加した。毛髪サンプルを室温で15minインキュベートし、次にTBST−0.5%で10回洗浄した。毛髪を清潔なウェルに移し、pH2.2で0.2Mグリシン−HCl中の1mg/mLBSAからなる1.0mLの非特異的溶出緩衝液を各ウェルに添加した。サンプルを10minインキュベートし、次に160μLの中和緩衝液(1Mトリス−HCl、pH9.2)を各ウェルに添加した。各ウェルから溶出されたファージを力価測定および配列分析のために新しい試験管に移した。
【0221】
結合したファージの力価を測定するために、溶出されたファージをSM緩衝液で希釈して、10〜10の連続10倍希釈を調製した。各希釈物の10μLのアリコートをニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Labs)からの200μLの対数増殖期中期大腸菌(E.coli)ER2738と共にインキュベートして、LB培地で20min生育し、次に45℃で3mLのアガローストップ(5mMMgCl添加LB培地、および0.7%アガロース)と混合した。この混合物をLB培地/IPTG/Xgalプレート(15g/L寒天、0.05g/LIPTG、および0.04g/LXgal添加LB培地)上に広げ、37℃で一晩インキュベートした。青色プラークを計数してファージ力価を計算し、それを表9に示す。
【0222】
【表10】

【0223】
ELISAによる毛髪結合ファージクローンの特性決定:
酵素結合抗体免疫吸着アッセイ(ELISA)を使用して、選択したファージ−ペプチドクローンの毛髪結合特異性を評価した。無作為に選択した対照G−F9、KHGPDLLRSAPR(配列番号63として示される)と共に、実施例1および2で同定したファージ−ペプチドクローンを増幅した。あらかじめブロックした毛髪表面に、1014pfuを超えるファージを添加した。毛髪結合特異性を実証する対照として、あらかじめブロックしたブタ皮膚表面にも同一量のファージを添加した。
【0224】
ユニークな毛髪またはブタ皮膚−底部96−ウェル装置は、ニューハンプシャー州キーンのシュライヒャー&シュル(Schleicher & Schuell Inc.(Keene、NH))からのミニフォールド(Minifold)Iドット−ブロットシステムの最上部96−ウェルブロックの下に、1層のパラフィルム(Parafilm)(登録商標)を張って、パラフィルム(Parafilm)(登録商標)カバー上に毛髪または無毛ブタ皮膚の層を追加し、次に装置を締め付けて作り出した。試験する各クローンについて、毛髪で覆われたウェルをTBS中の2%脱脂粉乳(シュライヒャー&シュル(Schleicher & Schuell Inc.))からなる200μLのブロッキングバッファーと共に、室温で1hインキュベートした。対照の役割をさせるために、ウェルの底部にブタ皮膚がある第2のミニフォールド(Minifold)システムをブロッキングバッファーで同時に処理した。システムを反転させ、ペーパータオルでブロッティングして乾燥させ、ブロッキングバッファーを除去した。システムをTBST−0.05%からなるウォッシュバッファーで6回すすいだ。ウェルに1mg/mLのBSAを含有する200μLのTBST−0.5%を満たし、次に10μL(1012個を超えるコピー)の精製されたファージストックを各ウェルに添加した。サンプルを緩慢に振盪しながら37℃で15minインキュベートした。ウェルをTBST−0.5%で10〜20回洗浄して非結合ファージを除去した。次にブロッキングバッファーで1:500に希釈したニュージャージー州ピスカタウェイのアマーシャムUSA(Amersham USA(Piscataway、NJ))からのホースラディシュ・ペルオキシダーゼ/抗M13抗体抱合体100μLを各ウェルに添加して、室温で1hインキュベートした。抱合体溶液を除去し、ウェルをTBST−0.05%で6回洗浄した。イリノイ州ロックフォードのピアスバイオテクノロジー(Pierce Biotechnology(Rockford、IL))から得られたTMB基質(200μL)を各ウェルに添加し、5〜30min、典型的に10min室温で発色させた。次に停止液(200μLの2M HSO)を各ウェルに添加し、溶液を96−ウェルプレートに移し、カリフォルニア州サニーベールのモレキュラー・デバイシス(Molecular Devices(Sunnyvale、CA)からのマイクロプレート分光光度計を使用してA450を測定した。少なくとも3回の測定の平均で報告される得られた吸光度値、および平均値の標準誤差(SEM)を表10に示す。
【0225】
【表11】

【0226】
表10のデータで示されるように、全ての毛髪結合クローンは、毛髪に対して対照よりも顕著により高い結合親和力を有した。さらに毛髪結合クローンは、ブタ皮膚に比べて、毛髪に対する様々な程度の選択性を示した。クローンD21は、毛髪に対する非常に強い親和力、ブタ皮膚に対する非常に低い親和力を有し、毛髪に対する最も高い選択性を有した。
【0227】
実施例6
ペプチド結合特異性および親和力の確認
この実施例の目的は、競合ELISAを使用して、毛髪結合ペプチドD21のペプチド結合部位の特異性および親和力を試験することである。ELISAアッセイは、毛髪表面に結合したままであるファージ粒子のみを検出する。したがって合成ペプチドがファージ粒子と毛髪表面の同一結合部位を得るために競合する場合、ペプチド競合のために、合成ペプチドのELISAシステムへの添加はELISA結果を顕著に低下させる。
【0228】
配列番号46として示される合成毛髪結合ペプチドD21は、カリフォルニア州ダブリンのシンペップ(SynPep(Dublin、CA))によって合成された。対照として、配列番号61として示される無関係合成皮膚結合ペプチドをシステムに添加した。実験的条件は、実施例5で述べたELISA法で使用したのと同様であった。簡単に述べると、標準的毛髪のサンプルを含有する96−ウェルフィルタープレートの各ウェルに、100μLの結合緩衝液(0.1%トウィーン(Tween)(登録商標)20および1mg/mL BSA添加1×TBS)および1011pfuの純粋なD21ファージ粒子を添加した。合成ペプチド(100μg)を各ウェルに添加した(濃度0.8mMに対応する)。反応を穏やかに振盪しながら室温で1h実施し、続いてTBST−0.5%で5回洗浄した。残りのステップは、実施例5で述べたELISA法で使用したものと同一であった。450nm(A450)での吸光度で示されるELISA結果を表11に示す。個々のELISA試験はそれぞれ三連で実施し、表11中の値は三連の判定の平均である。
【0229】
【表12】

【0230】
これらの結果は、合成ペプチドD21が、毛髪表面の同一結合部位を得るためにファージクローンD21と競合することを実証する。
【0231】
実施例7
バイオパニングを使用した洗髪抵抗性毛髪結合ファージ−ペプチドの選択
この実施例の目的は、シャンプー洗浄と共にバイオパニングを使用して、洗髪抵抗性毛髪結合ファージ−ペプチドを選択することである。
【0232】
洗髪抵抗性毛髪結合ペプチドを選択するために、実施例2で述べたようにして、標準的および漂白毛髪に対する12−merファージペプチドライブラリーを使用したバイオパニング実験を実施した。非結合ファージを洗い落とすのに標準的TBST緩衝液を使用する代わりに、オハイオ州シンシナチのプロクター&ギャンブル(Proctor & Gamble(Cincinnati、OH))からのパンテーンプロVシャンプー、シアーボリューム、(Pantene Pro−V shampoo、Sheer Volume)10%、30%、および50%のシャンプー溶液で、ファージ−複合体を形成した毛髪を別々の試験管内で5min洗浄し、続いて6回TBS緩衝液で洗浄した。実施例2で述べた修正バイオパニング法で述べるように、洗浄した毛髪を直接使用して宿主細菌細胞を感染させた。
【0233】
この方法の潜在的問題は、ファージが細菌宿主細胞に感染する能力に対するシャンプーの影響である。対照実験では、既知量のファージ粒子を10%のシャンプー溶液に5min添加し、次に溶液の一部を使用して細菌細胞を感染させた。シャンプー処理済みファージの力価は、未処理ファージよりも90%低かった。30%および50%のシャンプー処理は、ファージが宿主細胞に感染する能力にさらに深刻な損傷を与えた。それにもかかわらず、表12に示すように2つの洗髪抵抗性毛髪結合ファージ−ペプチドが同定された。
【0234】
【表13】

【0235】
実施例8
PCRを使用した洗髪抵抗性毛髪結合ファージ−ペプチドの選択
この実施例の目的は、PCR法を使用して洗髪抵抗性毛髪結合ファージ−ペプチドを選択し、ファージへのシャンプー誘発性損傷問題を回避することである。このPCR法の原理は、ファージの生死にかかわらず、ファージ粒子内部のDNA断片がPCRを使用して回収でき、次に毛髪結合ペプチド配列に対応する回収されたDNA断片をファージベクター内に再度クローンして、健康なファージ粒子にパッケージングできることである。
【0236】
実施例1で述べたようにして、標準的および漂白毛髪に対する7−merおよび12−merファージ−ペプチドライブラリーを使用して、バイオパニング実験を実施した。最終洗浄後、ファージ処理済み毛髪に5minのシャンプー洗浄、続いて6回のTBS緩衝液洗浄を施した。シャンプー洗浄した毛髪を1mLの水で満たした新しい試験管に入れ、15min煮沸してDNAを放出した。DNAを含有するこの煮沸した溶液をPCR反応のためのDNAテンプレートとして使用した。PCR反応で使用したプライマーは、配列番号67として示されるM13KE−1412順方向5’−CAAGCCTCAGCGACCGAATA−3’、および配列番号68で示されるM13KE−1794逆方向5’−CGTAACACTGAGTTTCGTCACCA−3’プライマーであった。PCR条件は、96℃で3minの変性、続いて35サイクルの94℃で30sec、50℃で30secおよび60℃で2minであった。PCR生成物(約400bp)、およびニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs)からのM13KEベクターを制限酵素Eag IおよびAcc65 Iで消化した。ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England BioLabs)からのPh.D.TMペプチドディスプレイクローニングシステムで述べられる、ライゲーションおよび形質転換条件を使用した。得られた洗髪抵抗性毛髪結合ファージ−ペプチドのアミノ酸配列は、配列番号70として示されるNTSQLSTである。
【0237】
実施例9
毛髪結合および皮膚結合ペプチドの親和力判定
この実施例の目的は、ELISAアッセイを使用して、MB50値として測定される、毛髪結合および皮膚結合ペプチドのそれぞれの基質に対する親和力を判定することであった。
【0238】
毛髪結合および皮膚結合ペプチドは、カリフォルニア州ダブリンのシンペップ(SynPep Inc.(Dublin、CA))によって合成された。検出目的で、ビオチニル化リジン残基をアミノ酸結合配列のC−末端に付加してペプチドをビオチニル化し、アミド化システインを配列のC−末端に付加した。表13に示すように、試験されたペプチドのアミノ酸配列は配列番号71〜74として示される。
【0239】
毛髪サンプルでは、使用手順は次の通りであった。使用した表面特異的96−ウェルシステムの設定は、実施例5で述べたのと同一であった。簡単に述べるとイリノイ州ロックフォードのピアスケミカル(Pierce Chemical Co.(Rockford、IL))からのブロッキングバッファー(スーパーブロック(SuperBlock)TM)で毛髪またはブタ皮膚表面がある96−ウェルを室温で1hブロックし、続いて室温で2minずつTBST−0.5%で6回洗浄した。様々な濃度のビオチニル化結合ペプチドを各ウェルに添加し、37℃で15minインキュベートし、室温で2minずつTBST−0.5%で6回洗浄した。次にピアスケミカル(Pierce Chemical Co.)からのストレプトアビジン−ホースラディシュ・ペルオキシダーゼ(HRP)抱合体を各ウェルに添加し(ウェルあたり1.0μg)、室温で1hインキュベートした。インキュベーション後、ウェルを室温で2minずつTBST−0.5%で6回洗浄した。最後に実施例5で述べたようにして、発色および測定を実施した。
【0240】
ペプチド−皮膚複合体のMB50測定のために、以下の手順を使用した。最初にブタ皮膚を処理して皮膚中の内在性ビオチンをブロックした。これはストレプトアビジンをブロッキングバッファーに添加して行った。ブタ皮膚サンプルをブロックした後、皮膚をD−ビオチンで処置して過剰なストレプトアビジン結合部位をブロックした。残りのステップは、毛髪サンプルで使用したのと同一であった。
【0241】
カリフォルニア州サンディエゴのグラフパッド・プリズム・ソフトウェア(GraphPad Software,Inc.(San Diego、CA)からのグラフパッド・プリズム(GraphPad Prism)4.0)を使用して、結果をA450対ペプチド濃度としてプロットした。スキャッチャードプロットからMB50値を計算して、表13にまとめる。結果は、毛髪結合ペプチド(D21、F35、およびI−B5)および皮膚結合ペプチド(配列番号61)のそれぞれの基質に対する結合親和力が高かった一方、毛髪結合ペプチド(D−21およびI−B5)の皮膚に対する結合親和力が比較的低かったことを実証する。
【0242】
【表14】

【0243】
実施例10
ペプチドベースのカーボンブラック毛髪着色剤の調製
この実施例の目的は、カーボンブラック粒子表面に、配列番号46として示される毛髪結合ペプチドD21を共有結合的に結合することで、ペプチドベースのカーボンブラック毛髪着色剤を調製することであった。2,2’−アゾビス(2メチルプロピオンアミド)−二塩酸塩との反応によって、カーボンブラック粒子表面に官能性付与して遊離アミノ基を導入した。次に官能性付与カーボンブラック粒子を特異的毛髪結合ペプチドと共有結合的に結合した。
【0244】
カーボンブラック表面の官能性付与:
ニュージャージー州アレンデールのデグサ(Degussa(Allendale、NJ))からの2.0gのカーボンブラック(ニペックス(Nipex)(登録商標)160−IQ)、およびウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ(Aldrich(Milwaukee、WI)からの1.0gの2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)二塩酸塩を100mL丸底フラスコに入れ、30mLのジオキサンを添加した。フラスコを窒素で5minパージした。次にフラスコをゴム隔壁で密封し、反応混合物を65℃で14h撹拌した。その後、アイオワ州デュビュクのバーンステッド/サーモライン(Barnstead/Thermolyne(Dubuque、IA))、からのナノピュア(Nanopure)浄水システムで調製した50mLの脱イオン水を混合物に添加した。希釈溶液を遠心分離して官能性付与カーボンブラック粒子を収集し、有機溶剤および未反応試薬を除去した。カーボンブラック粒子を脱イオン水で洗浄し、遠心分離した。この洗浄および遠心処置プロセスをさらに2回反復した。次に凍結乾燥によって官能性付与カーボンブラック粒子を乾燥させた。
【0245】
ファージクローンD21からのt−Boc−保護される毛髪結合ペプチドの合成
この反応の目的は、毛髪結合ペプチドのアミノ末端基を保護することであった。25mL丸底フラスコ内で、カリフォルニア州ダブリンのシンペップ(Synpep(Dublin、CA))から得られた、配列番号46として示されるファージクローンD21(0.25g)からの毛髪結合ペプチド(純度95%)を2.5mLの脱イオン水と混合し、次に、20mgのNaOHおよび0.25mLのt−ブチルアルコールを添加した。混合物を2min撹拌した後、アルドリッチ(Aldrich)からの0.12gのジ−tert−ブチル二炭酸(t−Boc無水物)を滴下して添加した。フラスコをゴム隔壁で密封し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物は、反応開始時には透明であったのが濁り、次に1h後に沈殿した。水(10mL)を添加すると、反応混合物は乳白色のエマルジョンを形成し、次にそれを1回当たり5mLの塩化メチレンで3回抽出した。有機層を1回当たり5mLの脱イオン水で2回洗浄した。透明な水層を全て合わせ、凍結乾燥によって乾燥させて0.20gの綿毛様白色粉末(収率80%)を得た。生成物を液体クロマトグラフィー−質量分析法(LC−MS)によって分析したところ、純度が90重量%で1323g/モルの分子量を有することが分かった。
【0246】
アミノ官能性付与カーボンブラックとt−Boc−D21−ペプチドとのカップリング:
アミノ官能性付与カーボンブラック(87mg)、t−Boc−D21−ペプチド(80mg)、およびジシクロヘキシルカルボジイミド(22mg)を3mLのテトラヒドロフラン(THF)に添加した。この混合物を撹拌しながら、数滴のTHF中のジメチルアミノピリジン(17μL)溶液を滴下して添加した。得られた暗色の懸濁液を撹拌しながら40℃で6h加熱して、続いて室温で一晩撹拌した。生成物にトリフルオロ酢酸(0.6mL)を添加し、混合物をさらに6h撹拌した。次に5mLの脱イオン水を反応混合物に添加した。混合物を3,500rpmで2min遠心分離し、上清をデカントした。遠心管内に残存する固形物を脱イオン水で洗浄し、再度遠心分離した。上清のpHがおよそ6.0に達するまで、この洗浄を反復した。次に凍結乾燥機を使用して暗色の残留物を2日間乾燥させ、暗色の粉末を得た。
【0247】
実施例11
ペプチドベースのカーボンブラック毛髪着色剤を使用した毛染め
この実施例の目的は、実施例10で調製したペプチドベースのカーボンブラック毛髪着色剤を使用して、天然の白毛のサンプルを着色することである。
【0248】
ニューヨーク州ベルロースのインターナショナル・ヘア・インポーツ・アンド・プロダクツ(International Hair Importers and Products(Bellerose、NY))からの天然の白毛の束(およそ100本)を10mLの50%イソプロパノールと30min混合して、次に少なくとも5回蒸留水で洗浄して清潔にした。風乾後、10mLの蒸留水に溶解させた、実施例10で述べた50mgの毛髪結合D21ペプチド−カーボンブラック毛髪着色剤を含有する溶液に、清潔になった毛髪を30min浸漬した。乾燥後、毛髪を少なくとも5回蒸留水で洗浄した。オリジナルの天然の白毛は明るい黒色になった。毛髪をシャンプー溶液に浸漬してガラスピペットで撹拌し、染まった毛髪を30%シャンプー溶液(パンテーンプロV(PantenePro−V)シャンプー)で3回洗浄した。次に毛髪を蒸留水で少なくとも10回すすいだ。染まった天然の白毛の最終色は、非常に明るい黒色であった。
【0249】
実施例12
ペプチドベース毛髪コンディショナーの調製
この実施例の目的は、カルボジイミドカップリングを使用して、配列番号46として示される毛髪結合D21ペプチドとベヘニルアルコールを共有結合的に結合することで、ペプチドベース毛髪コンディショナーを調製することであった。
【0250】
25mL丸底フラスコ内で、2.0mLのTHFに、アルドリッチ(Aldrich)からのベヘニルアルコール81.7mg、および62.0mgのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を溶解した。2.0mLのジメチルホルムアミド(DMF)中に、カリフォルニア州ダブリンのシンペップ(SynPep(Dublin、CA))から得られた配列番号46の9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)N−末端保護形態(純度95%)0.25gを含有する溶液を上の混合物に添加した。次に50μLのジメチルアミノピリジン(DMAP)を反応混合物に添加した。撹拌しながら、反応混合物を40℃に3h、次に室温に一晩保った。次に溶剤を室温で4h真空下で蒸発させた。その後、混合物を25mLの酢酸エチルに溶解し、各抽出で10mLの脱イオン水を使用して、未反応ペプチドを水で3回抽出した。酢酸エチル相を単離し、回転蒸発器を使用して酢酸エチルを除去した。得られた固形生成物を2.5mLのTHFおよび2.5mLのDMFからなる溶剤に溶解し、1.5mLのピペリジンを添加して、D21ペプチドのアミノ基を脱ブロックした。この混合物を室温で2h撹拌し、次に回転蒸発によって真空下で溶剤を除去した。最終生成物をLC/MSによって特性決定した。
【0251】
実施例13
ペプチドベース毛髪コンディショナーの調製
この実施例の目的は、ヘテロ二官能性架橋剤3−マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルを使用して、配列番号64として示される毛髪結合システイン付加D21ペプチドとオクチルアミンを共有結合的に結合することでペプチドベース毛髪コンディショナーを調製することであった。
【0252】
ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ(Aldrich(Milwaukee、WI)から得られたオクチルアミン11.6mgを0.3mLにDMFに添加して希釈した。5mL丸底フラスコ内で、この希釈溶液を0.2mLのDMF中にアルドリッチ(Aldrich)からの25mgの3−マレイミドプロピオン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、およびアルドリッチ(Aldrich)からの5mgのジイソプロピルエチルアミンを含有する撹拌される溶液に添加した。反応混合物は直ちに濁り、次に数分後透明になった。溶液をさらに4h撹拌した。溶液を次に高真空下で乾燥させた。ニュージャージー州ギブズタウンのEMDケミカルズ(EMD Chemicals(Gibbstown、NJ))(以前のEMサイエンス(EM Science))からのシリカゲル60カラム、および溶出液としてDMF/エーテルを使用して、カラムクロマトグラフィーによって、生成物オクチルアミン付加マレイミドプロピオネートを精製した。
【0253】
およそ12mgの上記生成物を5mL丸底フラスコに入れ、カリフォルニア州ダブリンのシンペップ(SynPep(Dublin、CA))から得られた配列番号64として示される50mgのシステイン付加D21ペプチド、およびpH7.2の0.5mL 0.1Mリン酸緩衝液を添加した。システイン付加D21ペプチドは3個のグリシン残基、および毛髪結合D21ペプチド(配列番号46)のペプチド結合配列の末端に付加されるシステインを有した。この混合物を室温で6h撹拌した。最終生成物C8−D21ペプチド毛髪コンディショナーを水/エーテルで抽出して精製した。
【0254】
実施例14
ペプチドベースのカーボンブラック毛髪着色剤の調製
この実施例の目的は、エタノールアミンで官能性付与されたカーボンブラックを使用して、ペプチドベースのカーボンブラック毛髪着色剤を調製することであった。カーボンブラック表面に付加したペプチド数は、化学的分析から推定できた。
【0255】
酸官能性付与カーボンブラック粒子の調製:
1,000mLのビーカー内に、デグサ(Degussa)からの25.5gのカーボンブラック(Nipex−160−IQ)、アルドリッチ(Aldrich)からの100gのアンモニウム過硫酸塩[(NH](98%)、およびEMDケミカルズ(EMD Chemicals)からの333mLの1.0M HSO(98%、GR等級)水性溶液を入れた。混合物を磁気撹拌プレートで24h室温で撹拌した。その後、反応混合物を500mLのプラスティック遠心管に移し、8,500rpmで20min遠心分離した。上清は透明になり、除去された。遠心分離を使用して生成物を脱イオン水で6回洗浄し、各洗浄後に生成物を収集した。最終生成物は中性(pH=6.0)であり、凍結乾燥によって24h乾燥させた。ペンシルベニア州モンゴメリービルのマイクロトラックからの(Microtrac Inc.(Montgomeryville、PA)からの粒度分析器(マイクロトラック・ウルトラファイン・パーティクル・アナライザー(Microtrac Ultrafine Particle Analyzer))を使用して測定した、官能性付与カーボンブラック粒子の平均サイズは、100nmであった。
【0256】
エタノールアミンを使用したアミノ官能性付与カーボンブラックの調製:
2gの乾燥させた酸官能性付与カーボンブラック、アルドリッチ(Aldrich)からの25mLのエタノールアミン(99%)、およびEMDケミカルズ(EMD Chemicals)からの1mLの濃HSO(98%、GR等級)を100mL丸底フラスコ内で混合した。混合物を磁気撹拌機で迅速に撹拌し、6h還流した。混合物を室温に冷却した後、EMDケミカルズ(EMD Chemicals)からの十分な量の水酸化アンモニウム(28.0〜30.0%のNH)を混合物添加して、中和した。次に実施例6で述べたようにして混合物を遠心分離し、水で洗浄した。最終生成物は中性(pH=6.0)で、凍結乾燥により24h乾燥させた。乾燥させたアミノ官能性付与カーボンブラックは、容易に水に分散した。
【0257】
デュポン・コーポレート分析化学センター(DuPont Corporate Center for Analytical Science)において、官能性付与カーボンブラックの表面組成物をESCAで分析した。ESCAでは、単一エネルギーX線を材料表面に集中させて表面原子を励起させる。表面の最上部10nm内の元素に特徴的なエネルギーを有するコアおよび原子価殻電子が放出され、それらのエネルギーを分析して、表面組成物に関する定性的および定量的情報を得た。放出された電子の動態学的エネルギーは、表面化学種の官能基および酸化状態に関する情報を提供する。この実施例では、使用したX線源は、エネルギー1253.6eVを有するマグネシウムアノードであった。サンプルを45度の出口角(およそ5〜10nmのサンプリング深度)で分析した。ESCA分析結果を表14に示す。エタノールアミン官能性付与カーボンブラックでは、表面は、主に未反応−COOH基および−C(=O)−OCHCHNH基から構成された。アミン(y)とカルボン酸基(x)の比率を計算するためには単純な式を使用し、具体的には、y/(x+y)=(N%/14)/(O%/32)をエタノールアミンのために使用する。結果を表14に示す。
【0258】
【表15】

【0259】
アミノ官能性付与カーボンブラックとt−Boc−D21−ペプチドとのカップリング:
次にアミノ官能性付与カーボンブラック粒子と配列番号46として示される特異的毛髪結合ペプチドD21とを共有結合的に結合した。t−Boc保護されたD21ペプチドは、実施例10で述べたようにして合成される。次にアミノ官能性付与カーボンブラック(87mg)、t−Boc−D21−ペプチド(80mg)、およびジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(22mg)を3mLのテトラヒドロフラン(THF)に添加した。この混合物を撹拌しながら、数滴のTHF中のジメチルアミノピリジン(DMAP)(17μL)溶液を滴下して添加した。得られた暗色の懸濁液を撹拌しながら40℃で6h加熱して、続いて室温で一晩撹拌した。D21ペプチドからt−Boc保護基を除去するために、生成物にトリフルオロ酢酸(TFA)(0.6mL)を添加して、混合物をさらに6h撹拌した。次に反応混合物に5mLの脱イオン水を添加した。混合物を3,500rpmで2min遠心分離し、上清をデカントした。遠心管内に残存する固形物を脱イオン水で洗浄し、再度遠心分離した。上清のpHがおよそ6.0に達するまで、この洗浄を反復した。次に凍結乾燥機を使用して暗色の残留物を2日間乾燥させ、暗色の粉末を得た。
【0260】
アミノ官能性付与カーボンブラック粒子、およびペプチド結合カーボンブラック粒子をESCA、元素分析、およびTGA(熱重量分析)によって分析した。分析結果は、エタノールアミンで変性したカーボンブラック上の有機層が、総重量のおよそ12%であったことを示した。D21ペプチドをカーボンブラック粒子に付着させた後、ペプチドの重量百分率は18〜30%の範囲であった。したがって100nmのカーボンブラック粒子あたり、全部で9.5×10個の分子がエタノールアミンと反応した後に表面に付着し、全部で7,700個のD21ペプチド分子がペプチドとの反応後にカーボンブラック表面に付着した。カーボンブラック表面のペプチド密度の計算からは、D21ペプチドがそれぞれ4nmを占めたことが明らかにされ、これはおよそ12nmであるファージに付着したペプチド密度と比較できる。
【0261】
実施例15
ペプチドベースのカーボンブラック毛髪着色剤の特異性
この実施例の目的は、D21ペプチド−カーボンブラック毛髪着色剤の特異性を実証することであった。
【0262】
実施例14で述べたようにして、D21ペプチドベースのカーボンブラック着色剤を調製した。
【0263】
地元のスーパーから得られた1片のブタ皮膚(10cm×10cm)を30mLの30%イソプロパノールに10min混合し、次に少なくとも5回蒸留水で洗浄して清潔にした。風乾後、10mLの蒸留水に溶解した50mgのD21ペプチド−カーボンブラック着色剤溶液を含有する複数のウェルがあるプレートホルダーに、清潔になったブタ皮膚を浸漬した。着色剤を適用して15min後、シャンプー溶液をウェルに滴下してデカントし、30%シャンプー溶液(パンテーンプロV(PantenePro−V)シャンプー)でブタ皮膚を3回洗浄した。次にブタ皮膚を蒸留水で5回すすいだ。
【0264】
ニューヨーク州ベルロースのインターナショナル・ヘア・インポーツ・アンド・プロダクツ(International Hair Importers and Products(Bellerose、NY))から得られた標準的白毛サンプルをブタ皮膚と同様に処理した。
【0265】
洗浄後、ブタ皮膚がごくわずかな暗色を示したのに対し、毛髪は非常に明るい黒色になった。これらの結果は、D21ペプチド−カーボンブラック着色剤が毛髪に対する特異的結合を有するが、皮膚に対しては有さないことを実証する。
【0266】
実施例16
ペプチド−ポリシロキサン毛髪コンディショナーの調製
この実施例の目的は、D21ペプチド−ポリシロキサン毛髪コンディショナーを合成することである。配列番号46として示されるD21ペプチドの反応性側鎖官能基は、ポリシロキサンとの反応がペプチドのC−末端基だけで進行するように、完全に保護された。さらにグリシン残基からなるトリペプチドスペーサーを結合配列のC−末端に付加した。
【0267】
5mL丸底フラスコ内で、カリフォルニア州ダブリンのシンペップ(SynPep(Dublin、CA))からの配列番号78として示される、50mgの完全に保護されたD21ペプチドFmoc−R(Pbf)T(tBu)N(Trt)AAD(OtBu)H(Trt)PAAVT(tBu)GGG(ここでFmocはフルオレニルメトキシルカルボニルを意味し、Pbfは2,2,6,4,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニルを意味し、tBuはt−ブチルを意味し、Trtはトリチルを意味し、Otbuはt−ブトキシルを意味する)(MW 2522、0.02mmol、純度95%)をドイツ国ダルムシュタットのE.メルク(E.Merck(Darmstadt、Germany)からの1mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。サンプルバイアル内で、ミシガン州ミッドランドのダウ・コーニング(Dow Corning(Midland、MI)からのポリシロキサン流体2−8566(77mg)(N%=0.875%、0.024mmolの−NH)をE.メルク(E.Merck)からの2mLのTHFに溶解し、次にペプチド溶液を含有する丸底フラスコに移した。次に5mgのジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC、0.024mmol)および5μLのジメチルアミノピリジン(DMAP)をフラスコにいれた。フラスコをゴム栓で密封し、反応混合物を50℃で5h、次に室温で一晩撹拌した。反応が完了した後、溶剤を真空下でくみ出した。乾燥後、122mgの固形生成物が得られた。収量は約90%であった。
【0268】
固形生成物をEMDケミカルズ(EMD Chemicals)からのN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)に溶解し、分子量を判定するための屈折率検出を伴うGPC(ゲル透過クロマトグラフィー)分析のために、DMAC中5mg/mLの生成物溶液を調製した。オリジナルのポリシロキサン(ダウ・コーニング(Dow Corning 2−8566))はDMACに可溶性でなく、クロマトグラムの分離領域には観察されなかった。D21ペプチドは鋭い低分子量ピークを有し、生成物サンプルは、遊離D21ペプチドからのピークと、D21ペプチドでグラフト化されたポリシロキサンに帰属するとされた幅広いピークとの2つのピークを含有した。重量−平均分子量(M)は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)標準から計算した。D21ペプチドおよびペプチド−ポリシロキサンコンディショナーのMは、それぞれ4.7×10および4.4×10であった。
【0269】
トリフルオロ酢酸/HO/チオアニソール/エタンジチオール/フェノール(85:5:5:2.5:2.5の容積比)の組成を有する(試薬Kと称される)開裂試薬を使用して、D21ペプチドの側鎖官能基から保護基を切断した。試薬K(1mL)を−20℃に予冷し、次に100mgのD21ペプチド−ポリシロキサンコンディショナーに添加した。混合物を室温で3〜4h撹拌し、次に高真空下で試薬Kを除去した。次にDMF中の61.2mgの20vol%ピペリジンを混合物に添加して、30min撹拌し、続いて高真空下でポンピングして、ペプチドのN−末端からFmoc保護基を除去した。最終生成物はTHF、DMF、またはDMAC中に完全に可溶性でなかった。最終生成物のGPC分析は、低溶解性のために不可能であった。
【0270】
実施例17
ペプチドベース毛髪コンディショナーの有効性
この実施例の目的は、ヒト毛髪繊維中の摩擦力を低下させる上でのペプチドベース毛髪コンディショナーの有効性を実証して、その性能を市販されるコンディショナーと比較することであった。繊維摩擦は、毛髪繊維アセンブリー(すなわち複数の繊維)を櫛でとかしたときの動態の顕著な要因である。単一毛髪繊維の摩擦力特性は、毛髪アセンブリーを櫛でとかしたときの動態と関連づけることができる。繊維内摩擦試験では、コンディショナー適用による毛髪表面に対する改善を例示する。繊維間摩擦が低いほど、毛髪は見かけと手触りがより滑らかになり、櫛でとかすのがより容易になる。この実施例で用いた繊維間摩擦測定法は、確かな定量的データを与えるいくつかの毛髪繊維試験の1つであり、概して産業界で受け入れられている。
【0271】
配列番号46として示され、ベヘニルアルコールに共有結合的する毛髪結合ペプチドからなる、実施例12で述べたペプチドベース毛髪コンディショナーを蒸留水中の0.25重量%のペプチドベースのコンディショナーと、イリノイ州ディケータのAMDレシチン(ADM Lecithin(Decatur、IL))からの1.5重量%のパフォーミックス(Performix)TMレシチンとの混合物からなる調合物中で使用した。マサチューセッツ州のイースト・ロングミードゥのシルバーソン・マシーン(Silverson Machine、Inc.(East Longmeadow、MA))からの一般目的粉砕ヘッドおよび0.95cmミニマイクロ管状フレーム付きシルバーソン(Silverson)L4RT−A高剪断試験室ミキサーを使用して、水性溶液を7000rpmで4min混合した。ミシガン州ミッドランドのダウ・コーニング(Dow Corning Corp.(Midland、MI))からの市販のコンディショナーダウ・コーニング(Dow Corning)(登録商標)929カチオン性エマルジョンの蒸留水中0.5%溶液を同一混合条件を使用して調製した。
【0272】
インターナショナル・ヘア・インポーツ・アンド・プロダクツ(International Hair Importers and Products)からのヨーロッパ人の暗ブラウン毛髪見本を試験前にイソプロパノールに30min浸漬し、次に蒸留水で10回洗浄して清潔にした。摩擦試験のために、これらの見本からの単一毛髪繊維をニュージャージー州プリンストンのテキスタイル・リサーチ・インスティティチュート(Textile Research Institute(TRI)(Princeton、NJ))に送った。TRIでは、毛髪繊維をコンディショナー溶液におよそ35℃で5min撹拌せずに浸漬した。その後、それらを1minぬるま湯ですすいで、次に21℃および65%の相対湿度で一晩乾燥させた。
【0273】
カマス(Kamath)ら(J.Appl.Polymer Sci.、85:394〜414(2002))が述べるように、単一繊維摩擦装置を使用して繊維間摩擦試験によって、処理済み毛髪繊維の摩擦力測定を実施した。インストロン張力試験機を使用して、1mm/minのクロスヘッド速度で、クロム鋼ワイヤに対する高標準力(高負荷)(0.74g)で毛髪繊維を評価した。低標準力(低負荷)(8.5mg)は、テキスタイル・リサーチ・インスティティチュート(Textile Research Institute)からのTRI/ScanTM表面力分析器を使用して、別の単一毛髪繊維に対して測定した。この装置は、小さな力をカーン(Cahn)(登録商標)マイクロバランス(質量分解能0.1mg)で測定し、コンピューター制御ステージを特徴とする。これらの測定結果を表15に示す。
【0274】
【表16】

【0275】
いずれの場合でもペプチドベースのコンディショナーは、ダウ・コーニング(Dow Corning)(登録商標)929カチオン性エマルジョンコンディショナーよりも低い平均摩擦を有した。引き続いて1.5%レシチンのコンディショナーサンプルを繊維摩擦(低負荷)について試験したところ、平均摩擦力は3.366mgであり、ペプチドベースのコンディショナーについて観察されたコンディショナー効果が、調合物中のレシチンの存在に起因するものでないことが示唆された。これらの結果は、ペプチドベース毛髪コンディショナーの有効性を実証する。
【0276】
実施例18
ペプチドベースの染髪剤の調製
この実施例の目的は、D21髪結合ペプチド(配列番号46)をディスパースオレンジ3染料に共有結合的に付着させて、ペプチドベースの染髪剤を調製することであった。染料を最初にイソシアネートで官能性付与し、次にD21ペプチドと反応させた。
【0277】
ディスパースオレンジ3の官能性付与:
乾燥した箱の中で、アルドリッチ(Aldrich)からの14.25gのディスパースオレンジ3を添加漏斗中の400mLの乾燥THF中に懸濁した。磁気撹拌棒を含有する、ニューヨーク州コーニングのコーニング社(Corning Inc.(Corning,NY))からの2L四つ口反応フラスコ(品番1533−12)に、200mLの乾燥トルエンを装入した。フラスコにコーニング社(Corning Inc.)からのコールドフィンガー冷却器(品番1209−04)と、添加漏斗に第2のコールドフィンガー冷却器を装着して排気フード内の油浴に入れた。
【0278】
ホスゲン(25.4mL)を室温で反応フラスコ内に濃縮した。ホスゲン添加完了後、油浴の温度を80℃に上昇させ、反応温度およびスクラバーからのガス放出をモニタリングしながら、ディスパースオレンジ3懸濁液を100mLの増分で滴下して、2時間かけて反応フラスコに添加した。添加全体を通じて、温度を64℃以下に維持した。添加完了後、反応物質を64℃で1時間加熱し、次に一晩撹拌して室温に冷却させた。
【0279】
内容物を40℃以下に保ちながら、反応溶剤が乾燥するまで真空蒸留し、真空をさらに1時間維持した。反応フラスコを乾燥した箱に移し、生成物を収集して一晩乾燥させた(15.65g)。プロトンNMRによって所望の生成物を確認した。
【0280】
イソシアネート官能性付与染料とD21髪結合ペプチドとのカップリング:
上述のように調製したイソシアネート官能性付与ディスパースオレンジ3[(2−(4−イソシアントフェニル)−1−(4−ニトロフェニル)ジアゼン](16mg)を5mLのDMFに溶解して、10mLのDMFに溶解されたシンペップ(SynPep)から得られた75mgの非保護D21ペプチド(配列番号46)を含有する溶液に添加した。溶液を室温で24時間撹拌した。溶剤を蒸発させて、91mgの紫がかった粉末を得た。生成物をMALDI質量分析法によって分析し、ペプチドへの染料分子の共有結合と一致する1766g/モルの分子量を有することが分かった。
【0281】
実施例19
バイオパニングを使用した歯結合ペプチドの選択
この机上の実施例の目的は、歯に高親和力で結合するファージペプチドをいかにして同定するかを述べることである。
【0282】
歯科医院から得てもよい抜歯されたヒトの歯を石鹸溶液でブラッシングし、脱イオン水ですすいで、室温で乾燥させて清潔にする。マサチューセッツ州アクトンのコーニング社(Corning Inc.(Acton,MA))からの15mL遠心管に、1本あたり1個の歯を入れる。TBST−0.5%中の1mg/mLのBSAから成るブロッキング緩衝液で歯サンプルを1時間処理し、次にTBST−0.5%で洗浄する。歯サンプルをファージライブラリー(Ph.D−12ファージディスプレイペプチドライブラリーキット)と共にインキュベートして、実施例1で述べられたのと同一条件を使用して10回洗浄する。実施例1で述べられる酸性溶出ステップ後、歯サンプルを溶出緩衝液でさらに3回洗浄し、次にTBST−0.5%で洗浄する。実施例2で述べられるように、耐酸性ファージペプチドがなおも付着したままの酸処理歯を直接に使用して、大腸菌(E.Coli)ER2738細胞を感染させる。増幅され単離されたファージと新鮮な歯サンプルとを接触させて、バイオパニング手順をさらに2回繰り返す。3回のバイオパニング後に、実施例1で述べられるように酸処理歯を使用して大腸菌(E.Coli)ER2738細胞を直接に感染させ、細胞を培養する。単一黒色プラークをDNA単離および配列分析のために無作為に選択する。実施例1で述べられるように製造元ニュー・イングランド・バイオラブズ(New England Biolabs)の取扱説明書に従って、単一プラーク溶解産物を調製し、カリフォルニア州バレンシアのキアジェン(Qiagen(Valencia,CA))からのQIAプレップスピン(prep Spin)M13キットを使用して一本鎖ファージゲノムDNAを精製し、−96gIIIシーケンシングプライマーを使用して配列決定する。
【0283】
同定されたペプチド配列は、歯に対する結合親和力を有する。同定された歯結合ペプチドの結合特異性および親和力は、実施例6で述べられるようにして判定される。
【0284】
実施例20
ペプチドベースの歯白化剤の調製
この机上の実施例の目的は、歯結合ペプチドと白色顔料二酸化チタンとのカップリングによってペプチドベースの歯白化剤をいかにして調製するかを述べることである。
【0285】
デラウェア州ウィルミントンのE.I.デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー(E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,DE))から入手できる2μm未満の平均粒度を有する乾燥二酸化チタンをアルドリッチ(Aldrich)から入手できる3−アミノプロピルトリエトキシシランの乾燥アセトン中溶液で処理して、アミノ基を二酸化チタン表面に共有結合的に付着させる。粒子を沈降する遠心処理後、傾斜して過剰な試薬を除去する。次に得られる粒子をシグマケミカル(Sigma Chemical Co.)から入手できる十分なグルタルアルデヒドで処理して、表面付着アミノ基と反応させる。
【0286】
実施例19で述べられる方法を使用して同定される歯結合ペプチドは、シンペップ(SynPep)から得られる。歯結合ペプチド配列は、C末端の1−5リジン残基で終結する。次に歯結合ペプチドをグルタルアルデヒド処理二酸化チタン粒子に添加して、ペプチド上のアミン基を通じて、グルタルアルデヒド上のペンダントの遊離アルデヒド基に共有結合的にカップリングする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配列番号5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、64、66、69、および70よりなる群から選択される髪結合ペプチド。
【請求項2】
配列番号60に記載の爪結合ペプチド。
【請求項3】
配列番号61に記載の皮膚結合ペプチド。
【請求項4】
一般構造式(BSBP)−BA
[式中、
a)BSBPは体表面結合ペプチドであり、
b)BAは利点付与剤(benefit agent)であり、そして
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベース体表面試薬。
【請求項5】
一般構造式[(BSBP)−S]−BA
[式中、
a)BSBPは体表面結合ペプチドであり、
b)BAは利点付与剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベース体表面試薬。
【請求項6】
体表面結合ペプチドが髪、爪、歯、歯茎、皮膚、角膜組織、および口腔組織よりなる群から選択される体表面に結合する請求項4または5のいずれか一項に記載の体表面試薬。
【請求項7】
体表面が上皮細胞層を含んでなる請求項6に記載の体表面試薬。
【請求項8】
体表面が内皮細胞層を含んでなる請求項6に記載の体表面試薬。
【請求項9】
利点付与剤が着色剤およびコンディショナーよりなる群から選択される請求項4または5のいずれかに記載の体表面試薬。
【請求項10】
コンディショナーがヘアスタイリング剤、縮毛矯正剤、毛髪強化剤、毛髪ボリューム付与剤、収斂剤、角質除去剤、皮膚軟化剤、保湿剤、および閉塞剤よりなる群から選択される請求項9に記載の体表面試薬。
【請求項11】
コンディショナーがカチオン性ポリマー、カチオン性界面活性剤、脂肪アルコール、脂肪アミン、非イオン性ポリマー、シリコーン、シロキサン、ポリマーエマルジョン、およびナノ粒子よりなる群から選択される毛髪コンディショナーである請求項9に記載の体表面試薬。
【請求項12】
コンディショナーがα−ヒドロキシ酸、β−ヒドロキシ酸、ポリオール、ヒアルロン酸、D,L−パンテノール、ポリサリチレート、パルミチン酸ビタミンA、酢酸ビタミンE、グリセリン、ソルビトール、シリコーン、シリコーン誘導体、ラノリン、天然油およびトリグリセリドエステルよりなる群から選択される皮膚コンディショナーである請求項9に記載の体表面試薬。
【請求項13】
着色剤が染料、顔料および着色微小球よりなる群から選択される染髪剤である請求項9に記載の体表面試薬。
【請求項14】
染料が4−ヒドロキシプロピルアミノ−3−ニトロフェノール、4−アミノ−3−ニトロフェノール、2−アミノ−6−クロロ−4−ニトロフェノール、2−ニトロ−パラフェニレンジアミン、N,N−ヒドロキシエチル−2−ニトロ−フェニレンジアミン、4−ニトロ−インドール、ヘンナ、HCブルー1、HCブルー2、HCイエロー4、HCレッド3、HCレッド5、ディスパースバイオレット4、ディスパースブラック9、HCブルー7、HCブルー12、HCイエロー2、HCイエロー6、HCイエロー8、HCイエロー12、HCブラウン2、D&Cイエロー1、D&Cイエロー3、D&Cブルー1、ディスパースブルー3、ディスパースバイオレット1、エオシン誘導体、およびハロゲン化フルオレセイン誘導体よりなる群から選択される請求項13に記載の体表面試薬。
【請求項15】
顔料がD&Cレッド36号、D&Cオレンジ17号、D&Cレッド7、11、31、および34号のカルシウムレーキ、D&Cレッド12号のバリウムレーキ、D&Cレッド13号のストロンチウムレーキ、FD&Cイエロー5号、FD&Cイエロー6号、D&Cレッド27号、D&Cレッド21号およびFD&Cブルー1号のアルミニウムレーキ、酸化鉄、マンガンバイオレット、酸化クロム、二酸化チタン、二酸化チタンナノ粒子、酸化亜鉛、酸化バリウム、群青、クエン酸ビスマス、ならびにカーボンブラック粒子よりなる群から選択される請求項13に記載の体表面試薬。
【請求項16】
微小球がポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリビニルトルエン、スチレン/ブタジエン共重合体、およびラテックスよりなる群から選択される材料を含んでなる請求項13に記載の体表面試薬。
【請求項17】
利点付与剤が白色着色剤、白化剤、酵素、抗プラーク剤、抗汚染剤、抗微生物剤、抗齲蝕剤、着香剤、冷却剤、および唾液分泌剤よりなる群から選択される口腔利点付与剤である請求項4または5のいずれか一項に記載の体表面試薬。
【請求項18】
一般構造式(HBP)−HCA
[式中、
a)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)HCAは毛髪コンディショナーであり、そして
c)nは1〜約1,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベース毛髪コンディショナー。
【請求項19】
一般構造式(SBP)−SCA
[式中、
a)SBPは皮膚結合ペプチドであり、
b)SCAは皮膚コンディショナーであり、そして
c)nは1〜約1,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベース皮膚コンディショナー。
【請求項20】
一般構造式(HBP)−C
[式中、
a)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、そして
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベース毛髪着色剤。
【請求項21】
一般構造式(NBP)−C
[式中、
a)NBPは爪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、そして
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベース爪着色剤。
【請求項22】
一般構造式(SBP)−C
[式中、
a)SBPは皮膚結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、そして
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベース皮膚着色剤。
【請求項23】
一般構造式[(HBP)−S]−HCA
[式中、
a)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)HCAは毛髪コンディショナーであり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約1,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベース毛髪コンディショナー。
【請求項24】
一般構造式[(SBP)−S]−SCA
[式中、
a)SBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)SCAは皮膚コンディショナーであり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約1,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベース皮膚コンディショナー。
【請求項25】
一般構造式[(HBP)−S]−C
[式中、
a)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベース毛髪着色剤。
【請求項26】
一般構造式[(NBP)−S]−C
[式中、
a)NBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベース爪着色剤。
【請求項27】
一般構造式[(SBP)−S]−C
[式中、
a)SBPは毛髪結合ペプチドであり、
b)Cは着色剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベース皮膚着色剤。
【請求項28】
一般構造式(OBP)−OBA
[式中、
a)OBPは口腔表面結合ペプチドであり、
b)OBAは口腔ケア利点付与剤であり、そして
c)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するジブロックのペプチドベース口腔ケア試薬。
【請求項29】
一般構造式[(OBP)−S]−OBA
[式中、
a)OBPは口腔表面結合ペプチドであり、
b)OBAは口腔ケア利点付与剤であり、
c)Sはスペーサーであり、
d)mは1〜約50の範囲であり、そして
e)nは1〜約10,000の範囲である]
を有するトリブロックのペプチドベース口腔ケア試薬。
【請求項30】
口腔表面結合ペプチドが歯結合ペプチドである請求項28または29のいずれか一項に記載のペプチドベースの口腔ケア試薬。
【請求項31】
髪結合ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸であり、MB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい髪に対する結合親和力を有する請求項18、20、23、または25のいずれか一項に記載のコンディショナーまたは着色剤。
【請求項32】
皮膚結合ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸であり、MB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい皮膚に対する結合親和力を有する請求項19、22、24、または27のいずれか一項に記載のコンディショナーまたは着色剤。
【請求項33】
爪結合ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸であり、MB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい爪に対する結合親和力を有する請求項21または26のいずれか一項に記載の着色剤。
【請求項34】
口腔表面結合ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸であり、MB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい口腔表面に対する結合親和力を有する請求項28または29のいずれか一項に記載の口腔ケア試薬。
【請求項35】
髪結合ペプチドが、
(i)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
(ii)(i)のライブラリーを髪サンプルと接触させて
A)ファージ−ペプチド−髪複合体、
B)非結合髪、および
C)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
(iii)(ii)のファージ−ペプチド−髪複合体を単離するステップと、
(iv)弱く結合したペプチドを(iii)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
(v)残留結合ファージ−ペプチドをステップ(iv)の後に残留するファージ−ペプチド−髪複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(iv)の後に残留するファージ−ペプチド−髪複合体を細菌宿主細胞に直接感染させて、感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させ、そしてファージペプチドを生育細胞から単離し同定するかのいずれかによって同定するステップと
を含んでなるプロセスによって単離される請求項31に記載のコンディショナーまたは着色剤。
【請求項36】
皮膚結合ペプチドが、
(i)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
(ii)(i)のライブラリーと皮膚サンプルとを接触させて
A)ファージ−ペプチド−皮膚複合体、
B)非結合皮膚、および
C)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
(iii)(ii)のァージ−ペプチド−皮膚複合体を単離するステップと、
(iv)弱く結合したペプチドを(iii)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
(v)残留結合ファージ−ペプチドをステップ(iv)の後に残留するファージ−ペプチド−皮膚サンプル複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(iv)の後に残留するファージ−ペプチド−皮膚サンプル複合体を細菌宿主細胞に直接感染させて、感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させ、そしてファージペプチドを生育細胞から単離し同定するかのいずれかによって同定するステップと
を含んでなるプロセスによって単離される請求項32に記載のコンディショナーまたは着色剤。
【請求項37】
爪結合ペプチドが、
(i)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
(ii)(i)のライブラリーと爪サンプルとを接触させて、
(A)ファージ−ペプチド−爪複合体、
(B)非結合爪、および
(C)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
(iii)(ii)のファージ−ペプチド−爪複合体を単離するステップと、
(iv)(iii)の単離されたペプチド複合体から弱く結合したペプチドを溶出するステップと、
(v)ステップ(iv)の後に残存するファージ−ペプチド−爪複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(iv)の後に残存するファージ−ペプチド−爪複合体を細菌宿主細胞に直接感染させて、感染した細胞を適切な生育培地中で生育させ、生育した細胞からファージ−ペプチドを単離し同定するかのいずれかによって残存する結合したファージ−ペプチドを同定するステップと
を含んでなるプロセスによって単離される請求項33に記載の着色剤。
【請求項38】
口腔表面結合ペプチドが、
(i)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
(ii)(i)のライブラリーと口腔表面サンプルとを接触させて
A)ファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体、
B)非結合口腔表面サンプル、および
C)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
(iii)(ii)のファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体を単離するステップと、
(iv)弱く結合したペプチドを(iii)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
(v)残留結合ファージ−ペプチドをステップ(iv)の後に残留するファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(iv)の後に残留するファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体を細菌宿主細胞に直接感染させて、感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させ、そしてファージペプチドを生育細胞から単離し同定するかのいずれかによって同定するステップと
を含んでなるプロセスによって単離される請求項34に記載の口腔ケア試薬。
【請求項39】
ペプチドが約7〜約45個のアミノ酸である請求項18〜29のいずれか一項に記載のペプチドベースのコンディショナー、着色剤または口腔ケア試薬。
【請求項40】
ペプチドが約7〜約20個のアミノ酸である請求項18〜29のいずれか一項に記載のペプチドベースのコンディショナー、着色剤または口腔ケア試薬。
【請求項41】
ペプチドがペプチド配列の少なくとも1つの末端上にシステイン残基をさらに含んでなる請求項18〜29のいずれか一項に記載のペプチドベースのコンディショナー、着色剤または口腔ケア試薬。
【請求項42】
毛髪結合ペプチドが配列番号1、3〜59、64、66、69、70、76〜97および98よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項18、20、23または25に記載のペプチドベース毛髪コンディショナーまたはペプチドベース毛髪着色剤。
【請求項43】
皮膚結合ペプチドが配列番号2、61、99〜103、および104よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項19、22、24または27に記載のペプチドベース皮膚コンディショナーまたはペプチドベースの皮膚着色剤。
【請求項44】
爪結合ペプチドが配列番号7、8、19〜27、38〜40、43〜45、47、53、57、58、59および60よりなる群から選択されるアミノ酸配列を有する請求項21または26に記載のペプチドベース爪着色剤。
【請求項45】
毛髪コンディショナーがオクチルアミン、ステアリルアミン、ベヘニルアルコール、ビニル基末端シロキサン、ビニル基末端シリコーン、ビニル基末端メチルビニルシロキサン、ビニル基末端メチルビニルシリコーン、ヒドロキシル末端シロキサン、ヒドロキシル末端シリコーン、アミノ−変性シリコーン誘導体、[(アミノエチル)アミノ]プロピルヒドロキシルジメチルシロキサン、[(アミノエチル)アミノ]プロピルヒドロキシルジメチルシリコーン、α−トリデシル−ω−ヒドロキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)、アモジメチコン、およびナノ粒子よりなる群から選択される請求項18または23に記載のペプチドベースの毛髪コンディショナー。
【請求項46】
皮膚コンディショナーがポリサリチレート、プロピレングリコール、グリセリン、グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、グルカル酸、ガラクタル酸、3−ヒドロキシ吉草酸、サリチル酸、二酸化チタンナノ粒子、および1,3−プロパンジオールよりなる群から選択される請求項19または24に記載のペプチドベース皮膚コンディショナー。
【請求項47】
着色剤がD&Cイエロー1、D&Cイエロー3、HCイエロー6、HCイエロー8、D&Cブルー1、HCブルー1、HCブラウン2、HCレッド5、2−ニトロ−パラフェニレンジアミン、N,N−ヒドロキシエチル−2−ニトロ−フェニレンジアミン、4−ニトロ−インドール、カーボンブラック、金属ナノ粒子、および半導体ナノ粒子よりなる群から選択される請求項20または25に記載のペプチドベース毛髪着色剤。
【請求項48】
着色剤が、D&Cレッド8、10、30、36号、D&Cレッド6、9、12号のバリウムレーキ、D&Cレッド7、11、31、34号のカルシウムレーキ、D&Cレッド30号のストロンチウムレーキ、D&Cオレンジ17号のストロンチウムレーキおよびD&Cブルー6号のストロンチウムレーキよりなる群から選択される請求項21または26に記載のペプチドベース爪着色剤。
【請求項49】
着色剤がD&Cレッド21号、D&Cレッド27号、D&Cレッドオレンジ5号、D&Cレッド21号、D&Cオレンジ10号、二酸化チタン、酸化亜鉛、D&Cレッド36号、D&Cオレンジ17号、D&Cレッド7、11、31、34号のカルシウムレーキ、D&Cレッド12号のバリウムレーキ、D&Cレッド13号のストロンチウムレーキ、FD&Cイエロー5号のアルミニウムレーキ、FD&Cイエロー6号のアルミニウムレーキ、D&Cレッド27号のアルミニウムレーキ、D&Cレッド21号のアルミニウムレーキ、FD&Cブルー1号のアルミニウムレーキ、酸化鉄、二酸化チタンナノ粒子、マンガンバイオレット、酸化クロム、ウルトラマリンブルー、カーボンブラック、およびジヒドロキシアセトンよりなる群から選択される請求項22または27に記載のペプチドベースの皮膚着色剤。
【請求項50】
スペーサーがエタノールアミン、エチレングリコール、鎖長が炭素原子6個のポリエチレン、3〜6個の反復単位を持つポリエチレングリコール、フェノキシエタノール、プロパノールアミド、ブチレングリコール、ブチレングリコールアミド、プロピルフェニル鎖、エチルアルキル鎖、プロピルアルキル鎖、ヘキシルアルキル鎖、ステリルアルキル鎖、セチルアルキル鎖、およびパルミトイルアルキル鎖よりなる群から選択される請求項23、24、25、26、27、または29に記載のペプチドベースのコンディショナー、着色剤または口腔ケア試薬。
【請求項51】
スペーサーがグリシン、アラニン、セリン、およびそれらの混合物よりなる群から選択されるアミノ酸を含んでなるペプチドである請求項23、24、25、26、27、29に記載のペプチドベースのコンディショナー、着色剤または口腔ケア試薬。
【請求項52】
利点付与剤が白色着色剤、白化剤、酵素、抗プラーク剤、抗汚染剤、抗微生物剤、抗齲蝕剤、着香剤、冷却剤、および唾液分泌剤よりなる群から選択される請求項28または29に記載のペプチド−ベースの口腔ケア試薬。
【請求項53】
白色着色剤または白化剤がヒドロキシアパタイト、ケイ酸ジルコニウム、二酸化チタン、および二酸化チタンナノ粒子よりなる群から選択される請求項52に記載のペプチド−ベースの口腔ケア試薬。
【請求項54】
酵素がオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、グリコシダーゼ、エステラーゼ、および多糖類加水分解酵素よりなる群から選択される請求項52に記載のペプチド−ベースの口腔ケア試薬。
【請求項55】
抗プラーク剤がフッ化物イオン源および抗微生物剤よりなる群から選択される請求項52に記載のペプチド−ベースの口腔ケア試薬。
【請求項56】
着香剤がウインターグリーン油、ハッカ油、スペアミント油、メントール、メチルサリチレート、ユーカリプトール、およびバニリンよりなる群から選択される請求項52に記載のペプチド−ベースの口腔ケア試薬。
【請求項57】
スペーサーが配列番号65に記載のアミノ酸配列を含んでなるペプチドである請求項23、24、25、26、27、または29に記載のペプチドベースのコンディショナー、着色剤、または口腔ケア試薬。
【請求項58】
請求項18または23に記載のペプチドベース毛髪コンディショナーの有効量を含んでなる毛髪ケア組成物。
【請求項59】
請求項19または24に記載のペプチドベース皮膚コンディショナーの有効量を含んでなる皮膚ケア組成物。
【請求項60】
請求項20または25に記載のペプチドベース毛髪着色剤の有効量を含んでなる髪染め組成物。
【請求項61】
請求項20または25に記載のペプチドベース毛髪着色剤の有効量を含んでなる化粧料組成物。
【請求項62】
請求項21または26に記載のペプチドベース爪着色剤の有効量を含んでなるマニキュア組成物。
【請求項63】
請求項22または27に記載のペプチドベースの皮膚着色剤の有効量を含んでなる化粧料組成物。
【請求項64】
請求項18または23に記載のペプチドベース毛髪コンディショナーの有効量を含んでなる髪染め組成物。
【請求項65】
請求項28または29に記載のペプチドベースの口腔ケア試薬の有効量を含んでなる口腔ケア試薬組成物。
【請求項66】
練り歯磨き、歯科用クリーム、ゲルまたは歯磨き粉、うがい液、口臭防止剤、およびデンタルフロスよりなる群から選択される請求項65に記載の口腔ケア試薬組成物。
【請求項67】
組成物が場合により、研磨材、界面活性剤、キレート剤、フッ化物源、増粘剤、緩衝剤、溶剤、保湿剤、キャリア、および充填剤(bulking agengt)よりなる群から選択される試薬を含んでなる請求項66に記載の口腔ケア試薬組成物。
【請求項68】
a)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備し、
b)(a)のライブラリーを体表面サンプルと接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−体表面サンプル複合体、
(ii)非結合体表面サンプル、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめ、
c)(b)のファージ−ペプチド−体表面サンプル複合体を単離し、
d)弱く結合したファージ−ペプチドを(c)の単離されたファージ−ペプチド複合体から溶出させ、
e)細菌宿主細胞をステップ(d)の後に残ったファージ−ペプチド−体表面サンプル複合体で直接に感染させ、
f)ステップ(e)の感染した細胞を適切な生育培地中で生育させ、
g)体表面に対して高結合親和力を有するファージ−ペプチドをステップ(f)の生育細胞から単離し同定すること
を含んでなる高親和力体表面結合−ペプチドの創製方法。
【請求項69】
体表面結合ペプチドおよび利点付与剤を体表面結合ペプチドが体表面に接着する条件下の体表面と共に、含んでなる、請求項4または5のいずれか一項に記載のペプチドベースの体表面試薬を体表面に接触させることを含んでなる利点付与剤を体表面に適用する方法。
【請求項70】
請求項58に記載の組成物を毛髪に適用し、保護層を形成させることを含んでなる、毛髪上にペプチドベースのコンディショナーの保護層を形成する方法。
【請求項71】
請求項59に記載の組成物を皮膚または口唇に適用し、保護層を形成させることを含んでなる、皮膚または口唇上にペプチドベースのコンディショナーの保護層を形成する方法。
【請求項72】
請求項60に記載の髪染め組成物を毛髪の着色を引き起こすのに十分な時間の間毛髪に適用することを含んでなる毛髪の着色方法。
【請求項73】
組成物を約5秒〜約50分間にわたり髪に適用する請求項72に記載の方法。
【請求項74】
組成物を約5秒〜約60秒間にわたり髪に適用する請求項73に記載の方法。
【請求項75】
請求項62に記載のマニキュア組成物を爪に適用することを含んでなる爪の着色方法。
【請求項76】
組成物を約5秒〜約60秒間にわたり爪に適用する請求項75に記載の方法。
【請求項77】
請求項63の化粧料組成物を皮膚または口唇に適用することを含んでなる皮膚または口唇の着色方法。
【請求項78】
組成物を皮膚または口唇に約5秒〜約60秒間にわたり適用する請求項77に記載の方法。
【請求項79】
請求項61に記載の化粧料組成物を眉または睫毛に適用することを含んでなる眉または睫毛の着色方法。
【請求項80】
組成物を約5秒〜約60秒間にわたり眉毛または睫毛に適用する請求項79に記載の方法。
【請求項81】
a)i)(HBP)−C、および
ii)[(HBP)−S]−C
[式中、
1)HBPは毛髪結合ペプチドであり、
2)Cは着色剤であり、
3)nは1〜約10,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約10,000の範囲である]
よりなる群から選択される毛髪着色剤を含んでなる髪染め組成物を準備し、
ここで、毛髪結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーを毛髪サンプルと接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−毛髪複合体、
(ii)非結合毛髪、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−毛髪複合体を単離するステップと、
D)(C)の単離されたペプチド複合体から弱く結合したペプチドを溶出するステップと、
E)ステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−毛髪複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、あるいはステップ(D)の後に残存するファージ−ペプチド−毛髪複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な生育培地中で生育させ、生育した細胞からファージ−ペプチドを単離し同定することによって残存する結合したファージ−ペプチドを同定するステップ
を含んでなり、ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸でありかつMB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい毛髪に対する結合親和力を有する方法によって選択されるステップと、
b)(a)の毛髪着色剤をペプチドベースの着色剤が毛髪、眉または睫毛に結合するのに十分な時間にわたり、毛髪、眉または睫毛に適用するステップ
を含んでなる毛髪、眉または睫毛の着色方法。
【請求項82】
a)i)(HBP)−HCA、および
ii)[(HBP)−S]−HCA
[式中、
1)HBPは髪結合ペプチドであり、
2)HCAは毛髪コンディショナーであり、
3)nは1〜約1,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約1,000の範囲である]
よりなる群から選択される毛髪コンディショナーを含んでなるヘアケア組成物を準備し、
ここで、髪結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーを髪サンプルと接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−髪複合体、
(ii)非結合髪、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−髪複合体を単離するステップと、
D)弱く結合したペプチドを(C)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
E)残留結合ファージ−ペプチドをステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−髪複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−髪複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させ、そしてファージペプチドを生育細胞から単離し同定するかのいずれかによって同定するステップ
を含んでなり、ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸でありかつMB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい髪に対する結合親和力を有する方法によって選択されるステップと、
b)(a)の毛髪コンディショナーを髪に適用して保護層を形成せしめるステップ
を含んでなる髪の上にペプチドベースのコンディショナーの保護層を形成する方法。
【請求項83】
a)i)(SBP)−SCA、および
ii)[(SBP)−S]−SCA
[式中、
1)SBPは皮膚結合ペプチドであり、
2)SCAは皮膚コンディショナーであり、
3)nは1〜約1,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約1,000の範囲である]
よりなる群から選択される皮膚コンディショナーを含んでなるヘアケア組成物を準備し、
ここで、皮膚結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーと皮膚サンプルとを接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−皮膚複合体、
(ii)非結合皮膚、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−皮膚複合体を単離するステップと、
D)弱く結合したペプチドを(C)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
E)残留結合ファージ−ペプチドをステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−皮膚複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−皮膚複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させ、そしてファージペプチドを生育細胞から単離し同定するかのいずれかによって同定し、ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸でありかつMB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい皮膚に対する結合親和力を有するステップ
を含んでなる方法によって選択するステップと、
b)(a)の皮膚コンディショナーを皮膚または口唇に適用して保護層を形成せしめるステップ
を含んでなる皮膚または口唇の上に保護層を形成する方法。
【請求項84】
a)i)(SBP)−Cおよび
ii)[(SBP)−S]−C
[式中、
1)SBPは皮膚結合ペプチドであり、
2)Cは着色剤であり、
3)nは1〜約10,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、
6)kは1〜約10,000の範囲である]
よりなる群から選択される皮膚着色剤を含んでなる化粧料組成物を準備し、
ここで、皮膚結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーと皮膚サンプルとを接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−皮膚複合体、
(ii)非結合皮膚、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−皮膚複合体を単離するステップと、
D)弱く結合したペプチドを(C)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
E)残留結合ファージ−ペプチドをステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−皮膚複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−皮膚複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させ、そしてファージペプチドを生育細胞から単離し同定するかのいずれかによって同定するステップ
を含んでなり、ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸でありかつMB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい皮膚に対する結合親和力を有する方法によって選択するステップと、
b)(a)の皮膚着色剤を皮膚または口唇に適用するステップ
を含んでなる皮膚または口唇の着色方法。
【請求項85】
a)i)(NBP)−C、および
ii)[(NBP)−S]−C
[式中、
1)NBPは爪結合ペプチドであり、
2)Cは着色剤であり、
3)nは1〜約10,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約10,000の範囲である]
よりなる群から選択される爪着色剤を含んでなるマニキュア組成物を準備し、
ここで、爪結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーと爪サンプルとを接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−爪複合体、
(ii)非結合爪、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−爪複合体を単離するステップと、
D)弱く結合したペプチドを(C)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
E)残留結合ファージ−ペプチドをステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−爪複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−爪複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させ、そしてファージペプチドを生育細胞から単離し同定するかのいずれかによって同定するステップ
を含んでなり、ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸でありかつMB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい爪に対する結合親和力を有する方法によって選択するステップと、
b)(a)の爪着色剤を爪に適用するステップ
を含んでなる爪の着色方法。
【請求項86】
a)i)(OBP)−OBA、および
ii)[(OBP)−S]−OBA
[式中、
1)OBPは口腔表面結合ペプチドであり、
2)OBAは口腔ケア利点付与剤であり、
3)nは1〜約10,000の範囲であり、
4)Sはスペーサーであり、
5)mは1〜約50の範囲であり、そして
6)kは1〜約10,000の範囲である]
よりなる群から選択される口腔ケア試薬を準備し、
ここで、口腔表面結合ペプチドが、
A)コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーを準備するステップと、
B)(A)のライブラリーと口腔表面サンプルとを接触させて、
(i)ファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体、
(ii)非結合口腔表面サンプル、および
(iii)非複合ペプチド
を含んでなる反応溶液を形成せしめるステップと、
C)(B)のファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体を単離するステップと、
D)弱く結合したペプチドを(C)の単離されたペプチド複合体から溶出させるステップと、
E)残留結合ファージ−ペプチドをステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体にポリメラーゼ連鎖反応を直接使用するか、またはステップ(D)の後に残留するファージ−ペプチド−口腔表面サンプル複合体を細菌宿主細胞に直接感染させ、感染した細胞を適切な増殖培地中で生育させ、そしてファージペプチドを生育細胞から単離し同定するかのいずれかによって同定するステップ
を含んでなり、ここで、ファージ−ペプチドが約7〜約25個のアミノ酸でありかつMB50として測定して、10−5Mに等しいかそれより小さい口腔表面サンプルに対する結合親和力を有する方法によって選択するステップと、
b)(a)の口腔ケア利点付与剤をペプチドベースの口腔ケア剤が口腔表面に結合するのに十分な時間にわたり口腔表面に適用するステップ
を含んでなる口腔ケア利点試薬を口腔表面に適用する方法。
【請求項87】
水性環境内で実施する請求項68〜86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
コンビナトリアルで創製されたファージ−ペプチドのライブラリーがPh.D.−12ファージディスプレイライブラリーおよびPh.D.−7ファージディスプレイライブラリーよりなる群から選択される請求項81〜86のいずれか一項に記載の方法。

【公表番号】特表2008−512372(P2008−512372A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−529815(P2007−529815)
【出願日】平成17年3月8日(2005.3.8)
【国際出願番号】PCT/US2005/007928
【国際公開番号】WO2006/028503
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】