説明

パーソナルケア組成物からの一定の芳香成分の送達の向上

リモネン、γテルピネン、ブラシル酸エチレンまたはこれらの組合せを取り込む芳香剤を第四級アンモニウム塩とともに有するパーソナルケア組成物を提供する。塩は、構造式AB(式中、Aは陽イオン荷電成分であり、Bは陰イオン荷電成分であり、およびAは1個の第四級化窒素原子、少なくとも2個のヒドロキシル基および250以下の分子量を有する。)を有する。第四級アンモニウム塩は、パーソナルケア組成物が人体の皮膚または毛髪に最初に塗布されたとき、芳香成分の揮発を向上させる香気増強剤として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人体表面への塗布時に一定の芳香成分を急速に放出することにより、パーソナルケア組成物の審美性を改善するパーソナルケア組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
消費者にとってパーソナルケア製品の最も重大な審美性は、おそらく芳香である。香気を迅速に送達することも重要である。
【0003】
芳香のタイミングおよび効果を操作する多くの技術が報告されている。発生の遅延は、香気成分のカプセル封入により達成されている。例えば、米国特許5,135,747(Faryniarzら)は、半透性壁材内にカプセル封入された無香性の悪臭中和剤脱臭香料(deo perfume)混合物、およびより急速に放出可能な、化粧品として許容されるビヒクル中のカプセル封入されていない芳香剤香料混合物を報告している。徐放性も、プロアコードにより達成されている。プロアコードの化学物質はゆっくりと分解し、分解断片としての有香性成分を放出する。メントールは、パーソナルケア組成物中に含有されるプロアコードの商業的に流通される最も一般的な分解構成要素である。この技術の例示は、変換して芳香アルコール、例えば、リナロール、ジヒドロミルセノールおよび他のアルコールを化学的に放出するβ−ケトエステルプロアコードを使用する米国特許6,100,233(Sivikら)である。
【0004】
安定放出技術も報告されている。最も顕著なものは、持続性香料に関する一連の開示である。継続する嗅覚知覚を提供する持続性香料を送達するパーソナルトリートメント組成物を記載している米国特許5,833,999;米国特許5,849,310および米国特許6,086,903(全てTrinhら)を参照のこと。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第5,135,747号明細書
【特許文献2】米国特許第6,100,233号明細書
【特許文献3】米国特許第5,833,999号明細書
【特許文献4】米国特許第5,849,310号明細書
【特許文献5】米国特許第6,086,903号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
放出の遅延および香料発生の延長についての技術が公知であるが、芳香剤をヒトの皮膚または毛髪上に迅速に放出するという問題を解決するものは存在しない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(i)リモネン、γテルピネン、ブラシル酸エチレンおよびこれらの混合物からなる群から選択される芳香成分0.000001%から2%;
(ii)構造AB(式中、Aは塩ABの陽イオン荷電成分であり、Bは塩ABの陰イオン荷電成分であり、およびAは単一の第四級化窒素原子、少なくとも2個のヒドロキシ基および250以下の分子量を有する。)のジヒドロキシプロピル第四級アンモニウム塩0.05重量%から30重量%;および
(iii)化粧品として許容される担体
を含むパーソナルケア組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0008】
芳香成分のリモネン、γテルピネンおよびブラシル酸エチレンが、香気増強剤の使用によりパーソナルケア組成物からの向上された揮発性を有することができることを見出した。この薬剤は、ジヒドロキシプロピル第四級アンモニウム塩であることを見出した。
【0009】
パーソナルケア組成物という用語は、外観、清浄、臭気制御または一般的な審美性の改善のために人体に塗布される任意の製品を意味する。パーソナルケア組成物の限定されない例は、リーブオンスキンローションおよびクリーム、シャンプー、コンディショナー、シャワーゲル、トイレットバー(toilet bar)、制汗剤、消臭剤、歯科製品、シェーブクリーム、脱毛剤、リップスティック、ファンデーション、マスカラ、サンレスタナーならびにサンスクリーンローションを含む。
【0010】
本発明の重要な材料は、構造AB(式中、Aは塩ABの陽イオン荷電成分であり、およびBは塩ABの陰イオン荷電成分であり、Aは1個の第四級化窒素原子、少なくとも2個のヒドロキシル基および250以下、好ましくは200以下、および最適には170以下の分子量を有する。)のジヒドロキシプロピル第四級アンモニウム塩である。
【0011】
陰イオン荷電成分Bは有機物または無機物であってよいが、但し、材料は化粧品として許容されるものである。典型的な無機陰イオンは、ハロゲン化物、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩およびホウ酸塩である。最も好ましくはハロゲン化物、特に塩化物である。有機陰イオン性対イオンは、メト硫酸塩、トルオイル硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、乳酸塩、グルコン酸塩およびベンゼンスルホン酸塩を含む。負荷電成分Bの数および電荷は、成分Aの正電荷を中和させるのに十分なものである。
【0012】
第四級アンモニウム塩の好ましい実施形態は、ジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキルまたはヒドロキシアルキル)アンモニウム塩である。
【0013】
これらの塩は、種々の合成手順において、とりわけ、クロロヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキルまたはヒドロキシアルキル)アンモニウム塩の加水分解により得ることができる。通常、第四級化アンモニウム基上のC−Cアルキルまたはヒドロキシアルキル構成要素は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシメチルおよびこれらの混合物である。特に好ましくはINCI命名法により「トリモニウム」基として公知のトリメチルアンモニウム基である。最も好ましい種類は、C−Cアルキルがメチル基である、塩化1,2−ジヒドロキシプロピルトリモニウムである。
【0014】
第四級アンモニウム塩の量は、パーソナルケア組成物に対して0.05重量%から30重量%、好ましくは0.1重量%から25重量%、より好ましくは5重量%から20重量%、最適には10重量%から15重量%の範囲であってよい。
【0015】
本発明による増強に感受性の芳香成分は、リモネン、γテルピネン、ブラシル酸エチレンおよびこれらの組合せである。ブラシル酸エチレンは、芳香成分混合物以外のものを本質的に有しない組成物において悪臭を隠す香気として特に有用である。これらの成分のそれぞれの量は、それぞれ、パーソナルケア組成物に対して0.000001重量%から2重量%、好ましくは0.00001重量%から1重量%、より好ましくは0.0001重量%から0.5重量%、および最適には0.001重量%から0.1重量%の範囲であってよい。
【0016】
本発明の組成物は、化粧品として許容される担体も含む。担体の量は、パーソナルケア組成物に対して1重量%から99.9重量%、好ましくは70重量%から95重量%、最適には80重量%から90重量%の範囲であってよい。有用な担体として、水、皮膚軟化剤、脂肪酸、脂肪族アルコール、保湿剤、増粘剤およびこれらの組合せが挙げられる。担体は、水性、無水性またはエマルションであってよい。好ましくは組成物は、水性の、特にW/O型もしくはO/W型または三相系W/O/W型の種類の水および油のエマルションである。水は、存在する場合、パーソナルケア組成物に対して5重量%から95重量%、好ましくは20重量%から70重量%、最適には35重量%から60重量%の範囲の量であってよい。
【0017】
皮膚軟化剤材料は、化粧品として許容される担体として機能することができる。皮膚軟化剤材料は、シリコーン油、合成エステルおよび炭化水素の形態であってよい。皮膚軟化剤の量は、パーソナルケア組成物に対して、概して0.1重量%から95重量%、好ましくは1重量%から50重量%の範囲であってよい。
【0018】
シリコーン油は、揮発性および非揮発性の種類に分類することができる。本明細書において使用される用語「揮発性」は、周囲温度において計測可能な蒸気圧を有する材料を意味する。揮発性シリコーン油は、3個から9個、好ましくは4個から5個のケイ素原子を含有する環式(シクロメチコン)または直鎖ポリジメチルシロキサンから選択されることが好ましい。
【0019】
皮膚軟化剤材料として有用な非揮発性シリコーン油は、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサンおよびポリエーテルシロキサンコポリマーを含む。本明細書において有用な本質的に非揮発性のポリアルキルシロキサンは、例えば、25℃において5×10−6/sから0.1m/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンを含む。本組成物において有用な好ましい非揮発性皮膚軟化剤として、25℃において1×10−5/sから4×10−4/sの粘度を有するポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0020】
非揮発性シリコーンの別のクラスは、乳化および非乳化シリコーンエラストマーである。このカテゴリーの代表例は、Dow Corning 9040、General Electric SFE 839およびShin−Etsu KSG−18として入手可能なジメチコン/ビニルジメチコンクロスポリマーである。シリコーンワックス、例えば、Silwax WSL(ラウリン酸ジメチコンコポリオール)も有用であり得る。
【0021】
エステル皮膚軟化剤として、以下のものが挙げられる。
【0022】
1)10個から24個の炭素原子を有する飽和脂肪酸のアルキルエステル。これらの例は、ネオペンタン酸ベヘニル、イソナノン酸イソノニル(isononyl isonanonoate)、ミリスチン酸イソプロピルおよびステアリン酸オクチルを含む。
【0023】
2)エーテル−エステル、例えば、エトキシ化飽和脂肪族アルコールの脂肪酸エステル。
【0024】
3)多価アルコールエステル。エチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ジエチレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール(200−6000)モノ−およびジ−脂肪酸エステル、プロピレングリコールモノ−およびジ−脂肪酸エステル、モノステアリン酸ポリプロピレングリコール2000、モノステアリン酸エトキシ化プロピレングリコール、グリセリルモノ−およびジ−脂肪酸エステル、ポリグリセロールポリ−脂肪族エステル、モノ−ステアリン酸エトキシ化グリセリル、モノステアリン酸1,3−ブチレングリコール、ジステアリン酸1,3−ブチレングリコール、ポリオキシエチレンポリオール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルおよびポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルが、十分な多価アルコールエステルである。特に有用なのは、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンおよびC−C30アルコールのネオペンチルグリコールエステルである。
【0025】
4)ワックスエステル、例えば、蜜蝋、鯨蝋およびトリベヘニンワックス。
【0026】
5)脂肪酸の糖エステル、例えば、ポリベヘン酸スクロースおよびポリ綿実脂肪酸スクロース。
【0027】
化粧品として許容される好適な担体である炭化水素は、ペトロラタム、鉱油、C11−C13イソパラフィン、および特にPresperse IncからPermethyl 101Aとして市販されているイソヘキサデカンを含む。
【0028】
10個から30個の炭素原子を有する脂肪酸も、化粧品として許容される担体として好適であり得る。このカテゴリーの例示は、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ヒドロキシステアリン酸およびベヘン酸である。
【0029】
10個から30個の炭素原子を有する脂肪族アルコールは、化粧品として許容される担体の別の有用なカテゴリーである。このカテゴリーの例示は、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコールおよびセチルアルコールである。
【0030】
多価アルコールタイプの保湿剤は、化粧品として許容される担体として使用することができる。典型的な多価アルコールは、グリセロール、ポリアルキレングリコールを含み、およびより好ましくはプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールおよびこれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソプレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシ化グリセロール、プロポキシ化グリセロールおよびこれらの混合物を含む、アルキレンポリオールならびにこれらの誘導体を含む。
【0031】
保湿剤の量は、パーソナルケア組成物に対して、概して0.5重量%から50重量%、好ましくは1重量%から15重量%の範囲であってよい。
【0032】
増粘剤は、本発明による組成物の化粧品として許容される担体の一部として利用することができる。典型的な増粘剤は、架橋アクリラート(例えば、Carbopol 982(登録商標))、疎水性修飾アクリラート(例えば、Carbopol 1382(登録商標))、セルロース誘導体および天然ガムを含む。有用なセルロース誘導体として、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメトセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、エチルセルロースおよびヒドロキシメチルセルロースが挙げられる。本発明に好適な天然ガムは、グアー、キサンタン、スクレロチウム、カラゲナン、ペクチンおよびこれらのガムの組合せを含む。無機物、特に粘土、例えば、ベントナイトおよびヘクトライト、ヒュームドシリカおよびケイ酸塩、例えば、ケイ酸アルミニウムマグネシウム(Veegum(登録商標))も、増粘剤として利用されてよい。増粘剤の量は、パーソナルケア組成物に対して0.0001重量%から10重量%、通常は、0.001重量%から1重量%、最適には0.01重量%から0.5重量%の範囲であってよい。
【0033】
本発明のパーソナルケア組成物は、任意の形態であってよい。パーソナルケア組成物の形態は、ローション、クリーム、ロールオン配合物、スティック、ムース、エアロゾルおよび非エアロゾルスプレーならびに布(例えば、不織織物)塗布配合物を含むことができる。
【0034】
界面活性剤も本発明の組成物中に存在してよい。界面活性剤の合計濃度は、存在する場合、パーソナルケア組成物に対して0.1重量%から40重量%、好ましくは1重量%から20重量%、最適には1重量%から5重量%の範囲であってよい。界面活性剤は、陰イオン性、非イオン性、陽イオン性および両性活性物質からなる群から選択されてよい。特に好ましい非イオン性界面活性剤は、疎水性物質1モル当たりエチレンオキシドまたはプロピレンオキシド2モルから100モルと縮合しているC10−C20脂肪族アルコールまたは酸疎水性物質;アルキレンオキシド2モルから20モルと縮合しているC−C10アルキルフェノール;エチレングリコールのモノ−およびジ−脂肪酸エステル;脂肪酸モノグリセリド;ソルビタン、モノ−およびジ−C−C20脂肪酸;およびポリオキシエチレンソルビタンならびにこれらの組合せを有するものである。アルキルポリグリコシドおよびサッカライド脂肪族アミド(例えば、メチルグルコンアミド)も、好適な非イオン性界面活性剤である。
【0035】
好ましい陰イオン性界面活性剤は、セッケン、アルキルエーテル硫酸塩およびスルホン酸塩、アルキル硫酸塩およびスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルおよびジアルキルスルホコハク酸塩、C−C20アシルイセチオン酸塩、C−C20アルキルエーテルリン酸塩、C−C20サルコシン酸塩ならびにこれらの組合せを含む。
【0036】
サンスクリーン活性物質も本発明の組成物中に含まれてよい。特に好ましくはp−メトキシケイヒ酸エチルヘキシル(Parsol MCX(登録商標)として入手可能)、アボベンゼン(Parsol 1789(登録商標)として入手可能)、サリチル酸オクチル(Dermablock OS(登録商標)として入手可能)、テトラフタリリデンジカンファースルホン酸(Mexoryl SX(登録商標)として入手可能)、ベンゾフェノン−4およびベンゾフェノン−3(オキシベンゾン)のような材料である。無機サンスクリーン活性物質、例えば、極微細二酸化チタン、酸化亜鉛、ポリエチレンおよび種々の他のポリマーが使用されてよい。用語「極微細」は、10nmから200nm、好ましくは20nmから100nmの範囲の平均サイズの粒子を意味する。サンスクリーン剤の量は、存在する場合、一般に、パーソナルケア組成物に対して0.1重量%から30重量%、好ましくは2重量%から20重量%、最適には4重量%から10重量%の範囲であってよい。
【0037】
防腐剤は、望ましくは、潜在的に有害な微生物の増殖から保護するために本発明の化粧組成物中に取り込むことができる。本発明の組成物に好適な慣用の防腐剤は、パラ−ヒドロキシ安息香酸のアルキルエステルである。より最近使用されるようになっている他の防腐剤は、ヒダントイン誘導体、プロピオナート塩および種々の第四級アンモニウム化合物を含む。化粧品化学者は、適切な防腐剤に精通しており、防腐能力試験を満たし、製品安定性を提供する適切な防腐剤を定型的に選択する。特に好ましい防腐剤は、フェノキシエタノール、メチルパラベン、プロピルパラベン、イミダゾリジニルウレア、デヒドロ酢酸ナトリウムおよびベンジルアルコールである。防腐剤は、組成物の使用および防腐剤とエマルション中の他の成分との間に考えられる非相溶性を考慮して選択されるべきである。防腐剤は、好ましくはパーソナルケア組成物に対して0.01重量%から2重量%の範囲の量で使用される。
【0038】
本発明の組成物は、ビタミンを含んでよい。例示的なビタミンは、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB、ビタミンB(ナイアシンアミド)、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンEおよびビオチンである。ビタミンの誘導体も使用されてよい。例えば、ビタミンC誘導体は、テトライソパルミチン酸アスコルビル、リン酸アスコルビルマグネシウムおよびアルコルビルグリコシドを含む。ビタミンEの誘導体は、酢酸トコフェリル、パルミチン酸トコフェリルおよびリノール酸トロフェリルを含む。DL−パンテノールおよび誘導体も使用されてよい。特に好適なビタミンB誘導体は、パルミチン酸ピリドキシンである。フラバノイドも有用であり得、特にグリコシルヘスペリジン、ルチンおよびダイズイソフラボン(ゲニステイン、ダイドゼイン、エクオールおよびこれらのグルコシル誘導体を含む。)ならびにこれらの混合物が有用であり得る。ビタミンまたはフラボノイドの合計量は、存在する場合、パーソナルケア組成物に対して0.0001重量%から10重量%、好ましくは0.01重量%から1重量%、最適には0.1重量%から0.5重量%の範囲であってよい。
【0039】
有用な物質の別のタイプは、酵素、例えば、オキシダーゼ、プロテアーゼ、リパーゼおよび組合せのものであり得る。特に好ましくはBrooks Company、USAからBiocell SODとして市販されているスーパーオキシドジスムターゼである。
【0040】
スキンライトニング化合物が本発明の組成物中に含まれてよい。例示的な物質は、胎盤抽出物、乳酸、ナイアシンアミド、アルブチン、コウジ酸、フェルラ酸、レゾルシノールおよび4置換レゾルシノールを含む誘導体ならびにこれらの組合せである。これらの薬剤の量は、パーソナルケア組成物に対して0.1重量%から10重量%、好ましくは0.5重量%から2重量%の範囲であってよい。
【0041】
落屑促進剤が存在してよい。例示は、α−ヒドロキシカルボン酸およびβ−ヒドロキシカルボン酸である。用語「酸」は、遊離酸だけでなく、遊離酸の塩およびC−C30アルキルまたはアリールエステル、ならびに環式または直鎖ラクトン構造を形成するために水の除去から生成されるラクトンも含むことを意味する。代表的な酸は、グリコール酸、乳酸およびリンゴ酸である。サリチル酸は、β−ヒドロキシカルボン酸の代表例である。これらの材料の量は、存在する場合、パーソナルケア組成物に対して0.01重量%から15重量%の範囲であってよい。
【0042】
種々のハーブ抽出物が本発明の組成物中に場合により含まれてよい。例示は、ザクロ、シラカンバ(ベツラ・アルバ(Betula Alba))、緑茶、カモミール、カンゾウおよびこれらの抽出物の組合せである。抽出物は水溶性または水不溶性であってよく、それぞれ親水性または疎水性の溶媒中で保持される。水およびエタノールが好ましい抽出物溶媒である。
【0043】
リポ酸、カイネチン、レチノキシトリメチルシラン(Silcare 1M−75の商標でClariant Corp.から入手可能)、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA)およびこれらの組合せのような材料も含まれてよい。セラミド(セラミド1、セラミド3、セラミド3B、セラミド6およびセラミド7を含む。)ならびに擬セラミドも本発明の多くの組成物に利用されてよいが、除外されてもよい。これらの材料の量は、パーソナルケア組成物に対して0.000001重量%から10重量%、好ましくは0.0001重量%から1重量%の範囲であってよい。
【0044】
着色剤、不透明剤および研磨剤も本発明の組成物中に含まれてよい。これらの物質のそれぞれは、パーソナルケア組成物に対して0.05重量%から5重量%、好ましくは0.1重量%から3重量%の範囲であってよい。
【0045】
本発明の組成物は、例えば処理ワイプの形態で、皮膚塗布用の水不溶性基材中に場合により取り込むこともできる。
【0046】
全ての特許、特許出願および印刷刊行物を含む本明細書において参照される全ての文献は、本開示において参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【0047】
以下の実施例は、本発明の実施形態をより詳細に例示する。本明細書および付属の特許請求の範囲において参照される全ての部、パーセンテージおよび割合は、特に記載のない限り、重量に基づくものである。
【実施例1】
【0048】
化粧ローションの形態の本発明の代表的なパーソナルケア組成物を、表1に概説する。
【0049】
【表1】

【実施例2】
【0050】
本発明による油中水型の局所用液体メイクアップファンデーションを、以下の表IIに記載する。
【0051】
【表2】

【実施例3】
【0052】
第四級塩および本質的にブラシル酸エチレンからのみ形成された芳香マスクを取り込む相対的に無水の組成物を、表IIIに報告する。
【0053】
【表3】

【実施例4】
【0054】
第四級塩および芳香剤の主成分としてのリモネンを有するエアロゾル包装発泡清浄剤を、表IVに概説する。
【0055】
【表4】

【実施例5】
【0056】
使い捨て単回使用のパーソナルケアタオレット製品を、本発明により記載する。70/30のポリエステル/レーヨン不織タオレットを、1.8グラムの重量および15cm×20cmの寸法で調製する。このタオレット上に、以下の表Vに概説する第四級アンモニウム塩ならびに20%のリモネンおよび20%のγテルピネンを有する芳香剤を含む組成物1.0グラムを含浸させる。
【0057】
【表5】

【実施例6】
【0058】
本発明のトイレットバーの例示を、表VIに概説する。
【0059】
【表6】

【実施例7】
【0060】
本発明に関する有用なシャンプー組成物を、以下の表VIIに記載する。
【0061】
【表7】

【実施例8】
【0062】
本実施例は、本発明による、第四級アンモニウム塩およびブラシル酸エチレン芳香マスク成分を取り込む制汗剤/消臭剤配合物を例示する。
【0063】
【表8】

【実施例9】
【0064】
一連の実験を、香料混合物の典型成分の放出および香気発生の延長を評価するために実施した。試料を、水中の香気増強剤(ジヒドロキシプロピル第四級アンモニウム塩)の試料10重量%を試料ディープモイスチャ香料油0.05重量%とともに混合することにより室温(23℃)で調製した。この油は、限定されるものではないが、リモネン、ジヒドロミルセノール、酢酸ベンジル、γテルピネン、リナロール、ピネン、イソメチルイオノンおよび他のものを含む成分の混合物である。
【0065】
試料を、ヘッドスペースガスのガスクロマトグラフィ(GC)分析により分析した。この手順において、利用した装置は、Agilent ガスクロマトグラフィ(GC)6890/質量分析(MS)5973/水素炎イオン化検出器(FID)を使用する固相マイクロ抽出(SPME)システムであった。この装置は、芳香剤/増強剤/水の混合物および芳香剤/水の混合物についてヘッドスペース中の相対的な香料化合物存在量を計測した。芳香剤/増強剤/水の混合物1グラムを、セプタム付キャップにより密封した20mlのGCヘッドスペースサンプリングバイアル(Gerstel、Inc.製)中で調製し、室温(23℃)で維持した。GCカラムは、Agilent製HP−5MSカラム(内径0.25mm、長さ30m、固定相厚さ0.25μm)であった。GC条件は、以下のとおりであった。ヘリウムガスをキャリアガスとするスプリットレスモードのインジェクタ。インジェクションポートを250℃に加熱し、スプリットベントへのパージフローは0分において50ml/分であった。カラムは、1.3ml/分の流速のコンスタントフローモードであった。オーブン温度勾配は、75℃で2分間維持し、次いでオーブン温度を6℃/分の速度で100℃に、1.5℃/分の速度で150℃に、3℃/分の速度で190℃に、30℃/分の速度で300℃に増大させ、2分間維持する。MS条件は、0.5分間の溶媒遅延、低質量35から高質量300までのスキャン開始であった。オートサンプラの条件は、温置なしであった(全ての実験を室温で行った。)。SPMEファイバを、試料ヘッドスペース中に5分間の抽出のために挿入し、次いでインジェクタに15分間の脱着のために注入した。
【0066】
ブラシル酸エチレンの場合において、この材料を、増強剤/水の20g溶液中に0.01g入れた。添加したブラシル酸エチレンは、増強剤/水溶液におけるこの材料の溶解度レベルを上回っていた。ブラシル酸エチレンについてのGCヘッドスペース分析において、MS条件は、0.5分間の溶媒遅延、99および98のイオンについてのSIMモード(選択イオン)であった。他の全ての条件は、上記段落に記載したものと同一であった。
【0067】
実験の結果を、以下の表IXに報告する。
【0068】
【表9】

【0069】
表IXの結果から、一定の芳香成分が、第四級アンモニウム塩の存在によりヘッドスペース中に特に増強されることが明らかである。これらの成分は、リモネン、γテルピネンおよびブラシル酸エチレンである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パーソナルケア組成物であって、
(i)リモネン、γテルピネン、ブラシル酸エチレンおよびこれらの混合物からなる群から選択される芳香成分0.000001%から2%;
(ii)構造式AB(式中、Aは塩ABの陽イオン荷電成分であり、Bは塩ABの陰イオン荷電成分であり、およびAは単一の第四級化窒素原子、少なくとも2個のヒドロキシ基および250以下の分子量を有する。)のジヒドロキシプロピル第四級アンモニウム塩0.05重量%から30重量%;および
(iii)化粧品として許容される担体
を含むパーソナルケア組成物。
【請求項2】
第四級アンモニウム塩がジヒドロキシプロピルトリ(C−Cアルキル)アンモニウム塩である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
塩が塩化ジヒドロキシプロピルトリモニウムである、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
リーブオンスキンローションおよびクリーム、シャンプー、ヘアコンディショナー、シャワーゲル、化粧石鹸、制汗剤、消臭剤、歯科製品、シェーブクリーム、脱毛剤、リップスティック、ファンデーション、マスカラ、サンレスタナーならびにサンスクリーンローションからなる群から選択される、請求項1から3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
芳香成分がリモネンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
芳香成分がγテルピネンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
芳香成分がブラシル酸エチレンである、請求項1から4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
芳香成分がリモネンであり、第四級アンモニウム塩が塩化ジヒドロキシプロピルトリモニウムである、請求項1、2または4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
芳香成分がブラシル酸エチレンであり、第四級アンモニウム塩が塩化ジヒドロキシプロピルトリモニウムである、請求項1、2または4のいずれか一項に記載の組成物。

【公表番号】特表2010−527966(P2010−527966A)
【公表日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508853(P2010−508853)
【出願日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際出願番号】PCT/EP2008/056320
【国際公開番号】WO2008/145598
【国際公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】