説明

ヒストンデアセチラーゼの新規な阻害剤としての置換されたプロペニルピペラジン誘導体

【化1】


本発明は、ヒストンデアセチラーゼ阻害性酵素活性を有する式(I)[式中、R、R、R、RおよびXは定義された意味を有する]の新規な化合物、それらの製造、それらを含有する組成物、並びに薬品としてのそれらの使用を含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酵素活性を阻害するヒストンデアセチラーゼ(HDAC)を有する化合物に関する。それは、さらに、それらの製造方法、それらを含んでなる組成物、並びにインビトロおよびインビボの両者においてHDACを阻害するためのそして薬品としての、例えば増殖性症状、例えば癌および乾癬を抑制するための薬品としてのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
核ヒストン類は、遺伝子転写並びに他のDNA−鋳型化方法、例えば複製、修復、組み換え、および染色体分離を調節するために寄与する機構の重要なそして能動的な成分として知られる。それらは、アセチル化、ホスホリル化、メチル化、ユビキチン化、およびADP−リボシル化を包含する翻訳後修飾の主体である。
【0003】
ここでは「HDAC類」と称するヒストンデアセチラーゼ(類)は、コアヌクレオソームヒストン類H2A、H2B、H3およびH4を包含する蛋白質のリシン基上のアセチル修飾の除去に触媒作用を与える酵素である。ここでは「HAT類」と称するヒストンアセチルトランスフェラーゼ(類)と一緒になって、HDAC類はヒストン類のアセチル化水準を調節する。ヌクレオソームヒストン類のアセチル化の均衡は多くの遺伝子の転写において重要な役割を演ずる。ヒストン類の過剰アセチル化は縮合した染色質構造と関連して遺伝子転写の抑制をもたらすが、アセチル化されたヒストン類はより開放的な染色質構造および転写の活性化と関連する。
【0004】
11種の構造的に関連したHDAC類が記載されておりそして2つの種類に入る。種類IのHDAC類はHDAC1、2、3、8および11よりなるが、種類IIのHDAC類はHDAC4、5、6、7、9および10よりなる。第三の種類のHDAC類の構成員は種類Iおよび種類IIのHDAC類と構造的に関連しない。種類I/IIのHDAC類は亜鉛−依存性機構により操作されるが、種類IIIのHDAC類はNAD−依存性である。
【0005】
ヒストン類の他に、他の蛋白質、特に転写因子、例えばp53、GATA−1およびE2F、核受容体、例えばグルココルチコイド受容体、チロイド受容体、エストロゲン受容体、並びに細胞周期調節蛋白質、例えばpRb、もアセチル化用の基質であった。蛋白質のアセチル化は蛋白質安定化、例えばp53安定化、補因子の漸増および増加したDNA結合と関係していた。p53は、種々のストレス信号、例えばDNA損傷、に反応して細胞周期停止またはアポプトーシスを誘発しうる腫瘍抑制剤である。p53−由来細胞周期停止に関する主な標的はp21遺伝子であるようである。p53によるその活性化の次に、p21がサイクリン/サイクリン依存性キナーゼ複合体とのその会合により同定されて、G1およびG2フェーズの両者における細胞周期停止、老化中のその上方調整、および増殖性細胞核抗原とのその相互作用をもたらす。
【0006】
HDAC類の阻害剤の研究は、それらが細胞周期停止、細胞分化、アポプトーシスおよび形質転換された表現型の逆転において重要な役割を演ずることを示している。
【0007】
阻害剤であるトリコスタチン(Trichostatin)A(TSA)は、例えば、G1およびG2フェーズの両者において細胞周期停止を引き起こし、種々の細胞系統の形質転換された表現型を逆転し、そしてフレンド白血病細胞などの分化を誘発する。TSA
(およびスベロイルアニリドヒドロキサム酸SAHA)はマウスにおいて細胞成長を阻止し、末端分化を誘発し、そして腫瘍の生成を予防することが報告された(非特許文献1)。
【0008】
トリコスタチンAは線維症、例えば肝臓線維症および肝臓チローシス(chirrhosis)の処置において有用であることも報告された(1998年3月11日に公告された欧州特許出願であるGreets et al.の特許文献1)。
【0009】
HDAC阻害剤に関するファーマコフォア(pharmacophore)は、HDAC類の亜鉛−含有活性部位と相互作用する金属−結合領域、リンカー領域、および活性部位の縁にある基と相互作用する表面認識領域またはキャッピング領域よりなる。
【0010】
HDAC類の阻害剤はp21遺伝子発現を誘発することも報告された。これらの阻害剤によるp21遺伝子の転写活性化はp21プロモーター領域内でのヒストン類H3およびH4のアセチル化合物の染色質改造により促進される。p21のこの活性化はp53−非依存性方式で起き、そしてそれ故、HDAC阻害剤は多くの腫瘍の特徴である突然変異したp53遺伝子を有する細胞内で作用する。
【0011】
さらに、HDAC阻害剤は間接的活性、例えば宿主免疫応答の増加および腫瘍血管形成の阻害、を有することができ、そしてそれ故、原発性腫瘍の成長を抑制しそして転移を防ぎうる(非特許文献2)。
【0012】
上記に鑑み、HDAC阻害剤は突然変異したp53遺伝子を有する腫瘍を包含する細胞増殖性疾患または症状の処置において大きな可能性を有しうる。
【0013】
2003年8月14日に公告された特許出願である特許文献2は二環式ヒドロキサメート類をヒストンデアセチラーゼの阻害剤として開示している。
【0014】
2003年9月18日に公告された特許出願である特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10は、とりわけ、置換されたピペラジニルピリミジニルヒドロキサム酸類をヒストンデアセチラーゼの阻害剤として開示しており、さらに特許文献8はR306465を開示している。
【0015】
2003年10月9日に公告された特許出願である特許文献11はピペラジン結合を含んでなるカルバミン酸化合物を、HDAC阻害剤として、開示している。
【0016】
2003年10月23日に公告された特許出願である特許文献12は置換されたピペラジニルフェニルベンズアミド化合物を、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤として、開示している。
【0017】
2004年1月29日に公告された特許出願である特許文献13はアリール基およびヒドロキサメートの間にアルキルリンカーを含有する誘導体を、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤として、開示している。
【0018】
2004年2月12日に公告された特許出願である特許文献14は(ヘテロ)アリールアルケニル置換された二環式ヒドロキサメート類を、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤として、開示している。
【0019】
2004年7月29日に公告された特許出願である特許文献15は抗−炎症および抗腫瘍活性を有するN−ヒドロキシ−ベンズアミド誘導体を開示している。
【0020】
2004年7月29日に公告された特許出願である特許文献16は置換されたアリールヒドロキサメート誘導体をヒストンデアセチラーゼ阻害剤として開示している。
【0021】
2004年8月26日に公告された特許出願である特許文献17はインドール類、ベンズイミダゾール類およびナフヒミダゾール類(naphhimidazoles)をヒストンデアセチラーゼ阻害剤として開示している。
【0022】
2004年9月30日に公告された特許出願である特許文献18は非−芳香族複素環式環系に結合されたヒドロキサメート類をヒストンデアセチラーゼ阻害剤として開示している。
【0023】
2004年10月28日に公告された特許出願である特許文献19はヒドロキサメート誘導体をヒストンデアセチラーゼ阻害剤として開示している。
【0024】
2005年3月31日に公告された特許出願である特許文献20はベンズイミダゾール類をヒストンデアセチラーゼ阻害剤として開示している。
【0025】
2005年4月7日に公告された特許出願である特許文献21および特許文献22はベンズアミド類をヒストンデアセチラーゼ阻害剤として開示している。
【0026】
2005年5月6日に公告された特許出願である特許文献23はアシルウレア結合されたおよびスルホニルウレア結合されたヒドロキサメート類をヒストンデアセチラーゼ阻害剤として開示している。
【0027】
これも2005年5月6日に公告された特許出願である特許文献24はビアリール結合されたヒドロキサメート類をヒストンデアセチラーゼ阻害剤として開示している。
【0028】
本発明の化合物は、構造、それらの薬理学的活性および/または薬理学的能力において先行技術と異なる。
【特許文献1】欧州特許第0827742号明細書
【特許文献2】欧州特許第1472216号明細書
【特許文献3】欧州特許第1485099号明細書
【特許文献4】欧州特許第1485348号明細書
【特許文献5】欧州特許第1485353号明細書
【特許文献6】欧州特許第1485354号明細書
【特許文献7】欧州特許第1485364号明細書
【特許文献8】欧州特許第1485365号明細書
【特許文献9】欧州特許第1485370号明細書
【特許文献10】欧州特許第1485378号明細書
【特許文献11】欧州特許第1492534号明細書
【特許文献12】欧州特許第1495002号明細書
【特許文献13】国際公開第04/009536号パンフレット
【特許文献14】欧州特許第1525199号明細書
【特許文献15】国際公開第04/063146号パンフレット
【特許文献16】国際公開第04/063169号パンフレット
【特許文献17】国際公開第04/072047号パンフレット
【特許文献18】国際公開第04/082638号パンフレット
【特許文献19】国際公開第04/092115号パンフレット
【特許文献20】国際公開第05/028447号パンフレット
【特許文献21】国際公開第05/030704号パンフレット
【特許文献22】国際公開第05/030705号パンフレット
【特許文献23】国際公開第05/040101号パンフレット
【特許文献24】国際公開第05/040161号パンフレット
【非特許文献1】Finnin et al., Nature, 401: 188−193, 1999
【非特許文献2】Mai et al., Medicinal Research Reviews, 25: 261−309
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0029】
解決すべき課題は、増加したバイオアベイラビリティーおよび/またはインビボ能力を有する高い酵素および細胞活性を有するヒストンデアセチラーゼ阻害剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0030】
本発明の新規な化合物は上記の課題を解決するものである。本発明の化合物は優れたヒストンデアセチラーゼ阻害性の酵素および細胞活性を示す。それらは、細胞およびインビボ水準の両者において、p21遺伝子を活性化する高い能力を有する。それらは望ましい薬物動力学特徴およびp450酵素に対する低い親和力を有し、それが不利な薬品−薬品相互作用の危険性を減じて、より広い安全域を可能にする。
【0031】
本発明の有利な特徴は代謝安定性、溶解性および/またはp21誘発能力である。より特に、本発明の化合物はラットの肝細胞中で増加した半減期を有し、水溶液中で増加した溶解性/安定性を有し、および/または増加したインビボp21プロモーター誘発能力を有する。
【0032】
本発明は、式(I)
【0033】
【化1】

【0034】
[式中、
各Xは独立してNまたはCHであり、
はフェニル、ナフタレニルまたはヘテロシクリルであり、ここで
該フェニルまたはナフタレニルの各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキル、アリール、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシメチル、アミノメチル、C1−6アルキルアミノメチル、C1−6アルキルカルボニルアミノメチル、C1−6アルキルスルホニルアミノメチル、アミノスルホニル、C1−6アルキルアミノスルホニルまたはヘテロシクリルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、
は水素、−CH−R、トリフルオロメチル、−C(=O)−R、または−CH−NRであり、ここで
各Rは水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−
アルキルオキシ、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イミダゾリルまたはトリアゾリルから独立して選択され、
各Rはヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、C1−6シクロアルキルアミノ、ヒドロキシC1−6アルキルアミノ、ピペラジニル、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルアミノ、N−メチルピペラジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルから独立して選択され、
各RおよびRは水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルスルホニル、またはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノスルホニルから独立して選択され、
は水素、ヒドロキシメチル、アミノメチルまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノメチルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
上記におけるアリールはフェニルまたはナフタレニルであり、ここで
該フェニルまたはナフタレニルの各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、トリフルオロメチル、シアノまたはヒドロキシカルボニルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、そして
上記におけるヘテロシクリルはフラニル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキソリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、トリチアニル、インドリジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニルまたはナフチリジニルであり、ここで
該複素環の各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよい]
の化合物、それらのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な付加塩および立体化学的異性体形態に関する。
【0035】
用語「ヒストンデアセチラーゼ阻害剤」または「ヒストンデアセチラーゼの阻害剤」は、ヒストンデアセチラーゼと相互作用しそしてその活性、より特にその酵素活性を阻害しうる化合物を同定するために使用される。ヒストンデアセチラーゼ活性を阻害することは、ヒストンからアセチル基を除去するヒストンデアセチラーゼの能力を減ずることを意味する。好ましくは、そのような阻害は特異的であり、すなわちヒストンデアセチラーゼ阻害剤はある種の別の無関係な生物学的効果を生ずるのに必要な阻害剤の濃度より低い濃度においてヒストンからアセチル基を除去するヒストンデアセチラーゼの能力を減ずる。
【0036】
前記の定義および以下で使用される際、ハロは、フルオロ、クロロ、ブロモおよびヨードを総称し、C1−4アルキルは、炭素数1〜4の直鎖状および分枝鎖状の飽和炭化水素基、例えばメチル、エチル、プロピル、ブチル、1−メチルエチル、2−メチルプロピルなどを定義し、C1−6アルキルは、C1−4アルキルおよび炭素数5〜6のそれより高級な同族体、例えば、ペンチル、2−メチルブチル、ヘキシル、2−メチルペンチルなどを包含し、ポリハロC1−6アルキルは、3個の同一もしくは相異なるハロ置換基を含有するC1−6アルキル、例えばトリフルオロメチルを定義し、そしてC3−6シクロアルキルは、炭素数3〜6の環式炭化水素基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロ
ペンチル、シクロペンテニル、シクロヘキシルなどを包含する。
【0037】
製薬学的に許容可能な付加塩は、製薬学的に許容可能な酸付加塩および製薬学的に許容可能な塩基付加塩を包括する。上記の製薬学的に許容可能な酸付加塩は、式(I)の化合物が生成可能な治療的に活性な無毒の酸付加塩形態を含んでなる。塩基性を有する式(I)の化合物を、該塩基形態を適当な酸で処理することにより、それらの製薬学的に許容可能な酸付加塩に転化することができる。適当な酸は、例えば、無機酸、例えばハロゲン化水素酸、例えば塩酸もしくは臭化水素酸、硫酸、硝酸、燐酸および同様な酸、または有機酸、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロパン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、シュウ酸、マロン酸、琥珀酸(すなわちブタンジオン酸)、マレイン酸、フマル酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シクラミン酸、サリチル酸、p−アミノ−サリチル酸、パモ酸および同様な酸を含んでなる。酸性を有する式(I)の化合物を、該酸形態を適当な有機または無機塩基で処理することにより、それらの製薬学的に許容可能な塩基付加塩に転化することができる。適当な塩基塩形態は、例えば、アンモニウム塩類、アルカリおよびアルカリ土類金属塩、例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム塩など、有機塩基、例えばベンザチン、N−メチル−D−グルカミンとの塩、ヒドラバミン塩、並びにアミノ酸、例えば、アルギニン、リシンなどとの塩類を含んでなる。用語「酸または塩基付加塩類」は、式(I)の化合物が生成しうる水和物および溶媒付加形態も含んでなる。そのような形態の例は、例えば水和物、アルコレートなどである。
【0038】
用語「式(I)の化合物の立体化学的異性体形態」は、ここで使用される際には、式(I)の化合物が有することができる同じ結合順序により結合された同じ原子から構成されるが交換可能でない異なる三次元構造を有する全ての可能な化合物を定義する。その他の方法で述べられたりまたは指示されたりしない限り、化合物の化学的表示は該化合物が有することができる全ての可能な立体化学的異性体形態の混合物を包括する。該混合物は該化合物の基本的分子構造の全てのジアステレオマーおよび/またはエナンチオマーを含有できる。純粋形態または互いの混合物状の両方の式(I)の化合物の全ての立体化学的異性体形態が本発明の範囲内に包括されることが意図される。
【0039】
式(I)の化合物のN−オキシド形態は、1個もしくは数個の窒素原子がいわゆるN−オキシド、特に、ピペリジン−、ピペラジンまたはピリダジニル−窒素の1個もしくはそれ以上がN−オキシド化されたN−オキシドに酸化されている式(I)の化合物を含んでなることを意味する。
【0040】
式(I)の化合物のあるものはそれらの互変異性体形態でも存在しうる。上記の式には明白には示されていないそのような形態は本発明の範囲内に包含されることが意図される。
【0041】
以下で使用される際には、常に、用語「式(I)の化合物」は、製薬学的に許容可能な付加塩および全ての立体異性体形態も包含することを意味する。
【0042】
ここで使用される際には、用語「ヒストンデアセチラーゼ」および「HDAC」は、ヒストンのN−末端におけるリシン基のε−アミノ基からアセチル基を除去する酵素群のいずれかをさすことが意図される。文脈によりその他の方法で指示されない限り、用語「ヒストン」は、いずれかの種からのH1、H2A、H2B、H3、H4、およびH5を包含するいずれかのヒストン蛋白質をさすことを意味する。ヒトHDAC蛋白質または遺伝子生成物は、HDAC−1、HDAC−2、HDAC−3、HDAC−4、HDAC−5、HDAC−6、HDAC−7、HDAC−8、HDAC−9、HDAC−10およびHDAC−11を包含するが、それらに限定されない。ヒストンデアセチラーゼは原生動物ま
たは菌・カビ源から誘導されうる。
【0043】
興味ある化合物の第一群は、下記の限定の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物よりなる:
a)Rがフェニルまたはナフタレニルであり、ここで
各々の該フェニルまたはナフタレニルがC1−6アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−6アルキルオキシメチル、C1−6アルキルアミノメチル、C1−6アルキルカルボニルアミノメチル、C1−6アルキルスルホニルアミノメチル、アミノスルホニルまたはC1−6アルキルアミノスルホニルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されており、或いは
b)Rが−CH−R、トリフルオロメチル、−C(=O)−R、または−CH−NRであり、
c)RがC1−6アルキルである。
【0044】
興味ある化合物の第二群は、下記の限定の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物よりなる:
a)Rがフェニル、ナフタレニルまたはヘテロシクリルであり、ここで
各々の該フェニルがアリール、ヒドロキシ、アミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシメチル、アミノメチル、C1−6アルキルアミノメチル、C1−6アルキルカルボニルアミノメチル、C1−6アルキルスルホニルアミノメチル、アミノスルホニル、C1−6アルキルアミノスルホニルまたはヘテロシクリルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されており、或いは
b)Rが−CH−R、トリフルオロメチル、−C(=O)−R、または−CH−NRであり、
c)RがC1−6アルキルである。
【0045】
興味ある化合物の第三群は、下記の限定の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物よりなる:
a)Rがフェニル、ナフタレニルまたはヘテロシクリルであり、ここで
各々の該フェニルまたはナフタレニルがC1−6アルキルスルホニルアミノ、C1−6アルキルオキシメチル、アミノメチル、C1−6アルキルアミノメチル、C1−6アルキルカルボニルアミノメチル、C1−6アルキルスルホニルアミノメチル、アミノスルホニル、またはC1−6アルキルアミノスルホニルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されており、或いは
b)Rが−CH−R、トリフルオロメチル、−C(=O)−R、または−CH−NRであり、
c)RがC1−6アルキルである。
【0046】
興味ある化合物の第四群は、下記の限定の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物よりなる:
a)各Rが水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イミダゾリルまたはトリアゾリルから独立して選択され、
b)各Rがヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、C1−6シクロアルキルアミノ、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルから独立して選択され、
c)Rが水素である。
【0047】
興味ある化合物の第五群は、下記の限定の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)
の化合物よりなる:
a)各XがNであり、
b)Rがフェニルまたは場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキルまたはアリールで置換されていてもよいフェニルであり、
c)Rが−CH−Rまたは−C(=O)−Rであり、
d)各Rが水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルカルボニルオキシ、N−メチルピペラジニル、モルホリニルまたはイミダゾリルから独立して選択され、
e)各RがC1−6アルキルアミノ、C1−6シクロアルキルアミノ、ヒドロキシC1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルアミノまたはモルホリニルから独立して選択され、
f)Rが水素であり、或いは
g)Rが水素またはC1−6アルキルである。
【0048】
興味ある化合物の第六群は、下記の限定の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物よりなる:
a)各RがC1−6アルキルアミノ、C1−6シクロアルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルアミノまたはモルホリニルから独立して選択される。
【0049】
興味ある化合物の第七群は、下記の限定の1つもしくはそれ以上が適用される式(I)の化合物よりなる:
a)各XがNであり、
b)Rがフェニルまたはハロで置換されたフェニルであり、
c)Rが−CH−Rであり、
d)各Rが水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、またはC1−6アルキルカルボニルオキシから独立して選択され、
e)Rが水素であり、
f)Rが水素である。
【0050】
好ましい化合物の群は、各XがNであり、Rがフェニルまたは場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキルまたはアリールで置換されていてもよいフェニルであり、Rが−CH−Rまたは−C(=O)−Rであり、各Rが水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルカルボニルオキシ、N−メチルピペラジニル、モルホリニルまたはイミダゾリルから独立して選択され、各RがC1−6アルキルアミノ、C1−6シクロアルキルアミノ、ヒドロキシC1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルアミノまたはモルホリニルから独立して選択され、Rが水素でありそしてRが水素またはC1−6アルキルである式(I)の化合物よりなる。
【0051】
好ましい化合物の別の群は、Rが−CH−R、トリフルオロメチル、−C(=O)−R、または−CH−NRである式(I)の化合物よりなる。
【0052】
より好ましい化合物の別の群は、各XがNであり、Rがフェニルまたはハロで置換されたフェニルであり、Rが−CH−Rであり、各Rが水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、またはC1−6アルキルカルボニルオキシから独立して選択され、Rが水素であり、そしてRが水素である式(I)の化合物よりなる。
【0053】
最も好ましい化合物は、化合物番号1、化合物番号8、化合物番号11、化合物番号9、化合物番号33、化合物番号34、化合物番号7または化合物番号25である。
【0054】
【表1】

【0055】
式(I)の化合物およびそれらの製薬学的に許容可能な塩並びにそれらのN−オキシドおよび立体化学的異性体形態は従来方法で製造することができる。出発物質および一部の中間体は既知の化合物でありそして市販されているかまたは当該技術で一般的に既知である従来の反応工程に従い製造することができる。
【0056】
ある種の製造方法は以下でさらに詳細に記載される。式(I)の最終化合物を得るための他の方法は実施例に記載される。
【0057】
a)式(II)の中間体を適当な酸、例えば、トリフルオロ酢酸と反応させることにより、式(I)のヒドロキサム酸を製造することができる。該反応は適当な溶媒、例えば、メタノールまたはジクロロメタン中で行われる。
【0058】
【化2】

【0059】
b)式(III)の中間体を適当な試薬、例えばN−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン一塩酸塩(EDC)および1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下で式(IV)の中間体と反応させることにより、式(II)の中間体を製造することができる。この反応は塩基、例えばトリエチルアミンの存在下で、適当な溶媒、例えばジクロロメタンおよびテトラヒドロフランの混合物中で行うことができる。
【0060】
【化3】

【0061】
c)別の方法では、式(XI)の中間体を、適当な溶媒、例えばアルコール、例えばエタノール中で、1,4−ジオキサン−2,5−ジオールおよび式(VII)[式中、Rは以上で定義された通りである]の適当なボロン酸(boronic acid)と反応させることにより、ここで式(II−a)の中間体と称するRが水素である式(II)の中間体を一段階で製造することができる。
【0062】
【化4】

【0063】
d)式(V)の中間体を、適当な溶媒、例えばアルコール、例えばエタノールまたはプロパノール中で、適当な酸性溶液、例えば塩酸、または塩基性溶液、例えば臭化水素もしくは水酸化ナトリウムと反応させることにより、式(III)の中間体を製造することができる。
【0064】
【化5】

【0065】
本発明は、また、式(V)
【0066】
【化6】

【0067】
[式中、
各Xは独立してNまたはCHであり、
はフェニル、ナフタレニルまたはヘテロシクリルであり、ここで
該フェニルまたはナフタレニルの各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキル、アリール、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシメチル、アミノメチル、C1−6アルキルアミノメチル、C1−6アルキルカルボニルアミノメチル、C1−6アルキルスルホニルアミノメチル、アミノスルホニル、C1−6アルキルアミノスルホニルまたはヘテロシクリルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、
は水素、−CH−R、トリフルオロメチル、−C(=O)−R、または−CH−NRであり、ここで
各Rは水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イミダゾリルまたはトリアゾリルから独立して選択され、
各Rはヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、C1−6シクロアルキルアミノ、ヒドロキシC1−6アルキルアミノ、ピペラジニル、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルアミノ、N−メチルピペラジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルから独立して選択され、
各RおよびRは水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルスルホニル、またはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノスルホニルから独立して選択され、
は水素、ヒドロキシメチル、アミノメチルまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノメチルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
上記におけるアリールはフェニルまたはナフタレニルであり、ここで
該フェニルまたはナフタレニルの各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、トリフルオロメチル、シアノまたはヒドロキシカルボニルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、そして
上記におけるヘテロシクリルはフラニル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジ
ニル、ジオキソリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、トリチアニル、インドリジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニルまたはナフチリジニルであり、ここで
該複素環の各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、またはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよい]
の化合物、それらのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な付加塩および立体化学的異性体形態にも関する。
【0068】
式(V)の化合物に関する、興味ある、好ましい、より好ましいおよび最も好ましい化合物の群は、式(I)の化合物に関して定義された群に従い定義される。
【0069】
式(V)の新規な中間体は、a)ここで式(V−a)の中間体と称するRが−CHOHでありそしてRが水素である式(V)の中間体を、既知の反応または官能基変換により、ここで式(V−b)の中間体と称するRが−CHOH以外である式(V)の化合物に転化することにより製造することができる。例えば、式(V−a)のアルコールをアミン、エステルおよびエーテルに転化させることができる。アミンを対応するアミドに変換させることができそして第一級アミンを第二級または第三級アミンに転化させることができる。
【0070】
【化7】

【0071】
b)式(VI)の中間体を、適当な溶媒、例えばアルコール、例えばエタノール中で、1,4−ジオキサン−2,5−ジオールおよび式(VII)[式中、Rは以上で定義された通りである]の適当なボロン酸と反応させることにより、式(V−a)の新規な中間体を一段階で製造することができる。
【0072】
【化8】

【0073】
c)式(VI)の中間体を、適当な試薬、例えばテトラキス(エタノレート)チタンまたは水素化ホウ素ナトリウムの存在下で、適当な溶媒、例えば1,2−ジクロロエタン中で、式(VIII)の適当なケトンと反応させることにより、式(V−b)の新規な中間体を製造することができる。
【0074】
【化9】

【0075】
d)式(VI)の中間体を、適当な溶媒、例えば1,2−ジクロロメタン中で、2−オキソ−プロパン酸および式(VII)[式中、Rは以上で定義された通りである]の適当なボロン酸と反応させることにより、ここで式(V−c)の化合物と称するRが−COOHである式(V)の新規な中間体を一段階で製造することができる。Rが−COOHである式(V−c)の中間体を、当該技術で既知の反応または官能基変換、例えばアミン類およびアミド類への転化により、Rが−C(=O)−Rである式(V)の中間体に転化することができる。
【0076】
【化10】

【0077】
式(IX)の中間体を、適当な溶媒、例えばジクロロメタン中で、ピペリジンと反応させることにより、式(XI)の中間体を製造することができる。
【0078】
【化11】

【0079】
式(X)の中間体を、適当な試薬、例えばN−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン一塩酸塩(EDC)および1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(HOBT)の存在下で、式(IV)の中間体と反応させることにより、式(IX)の中間体を製造することができる。反応は塩基、例えばトリエチルアミンの存在下で、溶媒、例えばジクロロメタンおよびテトラヒドロフランの混合物中で行うことができる。
【0080】
【化12】

【0081】
式(VI)の中間体を、水酸化ナトリウムの存在下で、適当な溶媒、例えばテトラヒドロフラン中で、式(XII)の中間体と反応させ、引き続き塩酸を用いて中和しそして炭酸ナトリウムを添加することにより、式(X)の中間体を製造することができる。
【0082】
【化13】

【0083】
式(I)の化合物および一部の中間体はそれらの構造中に少なくとも1個のステレオジェン中心を有することができる。このステレオジェン中心はRまたはS立体配置で存在しうる。
【0084】
上記の方法で製造される式(I)の化合物は一般的にエナンチオマー類のラセミ混合物であり、それらは当該技術で既知の分離工程に従い互いに分離することができる。式(I)のラセミ化合物は、適当なキラル酸との反応により、対応するジアステレオマー塩形態に転化することができる。該ジアステレオマー塩形態はその後に、例えば、選択的または分別結晶化により分離されそしてエナンチオマーはアルカリによりそこから遊離される。式(I)の化合物のエナンチオマー形態の別の分離方法はキラル静止相を使用する液体クロマトグラフィーを包括する。該純粋な立体化学的異性体も、反応が立体特異的に起きる条件下で、適当な出発物質の対応する純粋な立体化学的異性体形態から誘導することもできる。好ましくは、特異的な立体異性体が所望される場合には、該化合物は立体特異的製造方法により合成されるであろう。これらの方法は有利にはエナンチオマー的に純粋な出発物質を使用するであろう。
【0085】
式(I)の化合物、それらの製薬学的に許容可能な酸付加塩類および立体異性体形態は、それらがヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害効果を有する点で、価値ある薬理学的性質を有する。
【0086】
本発明は、有効量の本発明の化合物を投与することにより、形質転換された細胞を包含する細胞の異常成長を抑制する方法を提供する。細胞の異常成長は、正常な調節機構とは別の細胞成長(例えば、接触抑制の損失)をさす。これは癌細胞の成長停止、末端分化および/またはアポプトーシスを引き起こすことによる直接的なもの並びに腫瘍の新生血管形成を抑制することによる間接的なものの両方の腫瘍成長の抑制を包含する。
【0087】
本発明はまた、有効量の本発明の化合物をそのような処置を必要とする患者、例えば哺乳動物(そしてより特に人間)に投与することにより腫瘍成長を抑制する方法も提供する。特に、本発明は有効量の本発明の化合物の投与により腫瘍の成長を抑制する方法を提供する。抑制できる腫瘍の例は、肺癌(例えば腺癌、そして非−小細胞杯盤を包含する)、
膵臓癌(例えば、膵臓癌腫、例えば外分泌膵臓癌腫)、結腸癌(例えば、結腸直腸癌腫、例えば、結腸腺癌および結腸腺腫)、進行した疾患を包含する前立腺癌、リンパ系統の造血腫瘍(例えば、急性リンパ性白血病、B−細胞リンパ腫、バーキットリンパ腫)、骨髄性白血病(例えば急性骨髄性白血病(AMC))、甲状腺小胞癌、脊髄形成異常症候群(MDS)、間葉器官の腫瘍(例えば線維肉腫および横紋筋肉主)、黒色腫、奇形癌、神経芽腫、神経膠腫、皮膚の良性腫瘍(例えば角化棘細胞腫)、肺癌腫(例えば進行した肺癌)、腎臓癌腫、卵巣癌腫、膀胱癌腫および表皮癌腫であるが、それらに限定されない。
【0088】
本発明に従う化合物は他の治療目的、例えば:
a)癌を処置するための腫瘍の照射の前、最中または後に本発明に従う化合物を投与することによる放射療法に対する腫瘍の感作、
b)関節炎および骨病理学症状、例えば慢性関節リウマチ、変形性関節症、若年性関節炎、痛風、多発性関節炎、乾癬性関節炎、強直性脊椎炎および全身的紅斑性狼瘡、の処置、c)脈管増殖性疾患、アテローム硬化症および再狭窄を包含する平滑筋細胞増殖の抑制、d)炎症症状および皮膚症状、例えば潰瘍性大腸炎、クローン病、アレルギー性鼻炎、対宿主性移植片病、結膜炎、喘息、ARDS、ベーチェット病、移植拒絶反応、蕁麻疹、アレルギー性皮膚炎、円形脱毛症、強皮症、発疹、湿疹、皮膚筋炎、ざ瘡、糖尿病、全身的紅斑性狼瘡、カワサキ病、多発性硬化症、気腫、嚢胞性線維症および慢性気管支炎の処置、
e)子宮内膜症、子宮類線維腫、機能不全性子宮出血および子宮内膜肥厚症の処置、
f)網膜および脈絡膜管に影響する血管疾患を包含する眼の血管新生の処置、
g)心不全の処置、
h)免疫抑制症状の抑制、例えばHIV感染症の処置、
i)腎不全の処置、
j)内分泌疾患の抑制、
k)糖新生不全の抑制、
l)神経病理学、例えばパーキンソン病または認識疾患をもたらす神経病理学、例えば、アルツハイマー病もしくはポリグルタミン関連ニューロン疾患の処置、
m)精神医学疾患、例えば統合失調症、双極性疾患、鬱病、不安症および精神病の処置;n)神経筋肉病理学、例えば、筋萎縮性側策硬化症の抑制、
o)脊椎筋肉萎縮症の処置、
p)遺伝子の発現を増強させることによる処置を受けることが可能な他の病理学的症状の処置、
q)遺伝子療法の促進、
r)脂質生成の抑制、
s)寄生虫症、例えばマラリアの処置
のために使用することができる。
【0089】
従って、本発明は薬品としての使用のため式(I)の化合物の並びに上記症状の1つもしくはそれ以上を処置するための薬品の製造用の式(I)の化合物の使用を開示する。
【0090】
式(I)の化合物、それらの製薬学的に許容可能な酸付加塩および立体異性体形態は、それらが標識の付いた化合物およびHDACの間の複合体の生成を検出または測定することを含んでなる生物学的試料内でHDACを検出または同定するために使用できる点で、価値ある診断性質を有することができる。
【0091】
検出または同定方法は、標識剤、例えば放射性同位体、酵素、蛍光物質、発光物質などで標識付けされる化合物を使用することができる。放射性同位体の例は125I、131I、Hおよび14Cを包含する。酵素は一般的に適当な基質の抱合により検出可能にされ、基質はまた検出可能な反応に触媒作用を与える。それらの例は、例えば、ベータ−ガラクトシダーゼ、ベータ−グルコシダーゼ、アルカリ性ホスファターゼ、ペルオキシダー
ゼおよびマレートデヒドロゲナーゼ、好ましくはホースラディッシュペルオキシダーゼ、を包含する。発光物質は、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、エクオリンおよびルシフェラーゼを包含する。
【0092】
生物学的試料は体組織または体液として定義することができる。体液の例は脳脊髄液、血液、血漿、血清、尿、痰、唾液などである。
【0093】
それらの有用な薬理学的性質のためには、当該化合物は投与目的のための種々の製薬学的形態に調合することができる。
【0094】
本発明の製薬学的組成物を製造するために、有効量の活性成分としての、塩基または酸付加塩形態の、特定化合物を投与に望ましい調合形態によって広範囲の形態をとりうる製薬学的に許容可能な担体と緊密に混合して組み合わせる。これらの製薬学的組成物は望ましくは、好ましくは経口的な、直腸への、経皮的な、または非経口的注射による投与に適する単位薬用量形態である。例えば、組成物を経口的薬用量形態で製造する際には、一般的な製薬学的媒体、例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤および液剤の如き経口的液体調合物の場合には水、グリコール類、油類、アルコール類など、または粉剤、丸剤、カプセル剤および錠剤の場合には固体担体、例えば澱粉、糖類、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを使用することができる。
【0095】
それらの投与の容易さのために、錠剤およびカプセル剤が最も有利な経口的薬用量単位形態であり、この場合にはもちろん固体の製薬学的担体が使用される。非経口的組成物用には、担体は一般的には少なくとも大部分は殺菌水を含んでなるが、例えば溶解を助けるための他の成分を含むことができる。例えば、担体が食塩水溶液、グルコース溶液または食塩水およびグルコース溶液の混合物を含んでなる注射液剤を製造することができる。注射懸濁剤を製造することもでき、その場合には適当な液体担体、懸濁化剤などを使用することができる。経皮投与に適する組成物中では、担体は場合により浸透促進剤および/または適当な湿潤剤を、場合により少量部分のいずれかの性質の適当な皮膚に対して有意な悪影響を引き起こさない添加剤と組み合わせて含んでなることができる。該添加剤は皮膚への投与を促進させることができおよび/または所望する組成物の製造を助けとなりうる。これらの組成物は種々の方法で、例えば、経皮パッチとして、滴下剤としてまたは軟膏剤として、投与することができる。
【0096】
上記の製薬学的組成物を投与の容易さおよび薬用量の均一さのために薬用量単位形態に調合することが特に有利である。ここで明細書および特許請求の範囲で使用される薬用量単位形態は、各々の単位が所望する治療効果を生ずるように計算された予め決められた量の活性成分を必要な製薬学的担体と共に含有する単位薬用量として適する物理的に分離した単位をさす。そのような薬用量単位形態の例は錠剤(刻み目付きまたはコーティング錠剤を包含する)、カプセル剤、丸剤、粉末パケット剤、ウエファー剤、注射液剤または懸濁剤、小匙一杯分、大匙一杯分など、並びにそれらの分離された複数分である。
【0097】
当業者は以下に示される試験結果から有効量を容易に決めることができるであろう。一般的に、治療的に有効な量は0.005mg/kg〜100mg/kgの体重、そして特に0.005mg/kg〜10mg/kgの体重であろう。必要な服用量を1日にわたり適当な間隔で2回、3回、4回またはそれ以上の回数の分割−服用量として投与することが適切でありうる。そのような分割−服用量は、例えば、単位薬用量形態当たり0.5〜500mg、そして特に10mg〜500mgの活性成分を含有する単位薬用量形態として調合することができる。
【0098】
本発明の別の面として、HDAC−阻害剤と別の抗癌剤との組み合わせが、特に薬品と
しての使用のために、より具体的には他の癌または関連疾患の処置において推奨される。
【0099】
上記症状の処置のためには、本発明の化合物は1種もしくはそれ以上の薬剤、より特に、他の抗癌剤と組み合わせて有利に使用することができる。抗癌剤の例は、
−白金配位化合物、例えばシスプラチン(cisplatinn)、カルボプラチン(carboplatinn)またはオキサリプラチン(oxalyplatin)、
−タキサン化合物、例えばパルシタキセル(paclitaxel)またはドセタキセル(docetaxel)、
−トポイソメラ−ゼI阻害剤、例えばカンプトテシン化合物、例えばイリノテカン(irinotecan)またはトポテカン(topotecan)、
−トポイソメラ−ゼII阻害剤、例えば抗−腫瘍ポドフィロトキシン誘導体、例えばエトポシド(etoposide)またはテニポシド(teniposide)、
−抗−腫瘍ビンカアルカロイド類、例えばビンブラスチン(vinblastine)、ビンクリスチン(vincristine)またはビノレルビン(vinorelbine)、
−抗−腫瘍ヌクレオシド誘導体、例えば5−フルオラシル(5−fluorouracil)、ゲンシタビン(gemcitabine)またはカペシタビン(kapecitabine)、
−アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタードまたはニトロソウレア、例えばシクロホスファミド(cyclophosphamide)、クロランブシル(chlorambucil)、カルムスチン(carmustine)またはロムスチン(lomustine)、
−抗−腫瘍アンスラサイクリン誘導体、例えばダウロルビシン(daunorubicin)、ドキソルビシン(doxorubicin)、イダルビシン(idarubicin)またはミトキサントロン(mitoxantrone)、
−HER2抗体、例えばトラスツズマブ(trastuzumab)、
−エストロゲン受容体拮抗物質または選択的エストロゲン受容体調節剤、例えばタモキシフェンン(tamoxifen)、トレミフェン(toremifene)、ドロロキフェン(droloxifene)、ファスロデックス(faslodex)またはラロキシフェン(raloxifene)、
−アロマターゼ阻害剤、例えばエキセメスタン(exemestane)、アナストロゾール(anastrozole)、レトラゾール(letrazole)およびボロゾール(vorozole)、
−分化剤、例えばレチノイド類、ビタミンDおおよびレチン酸代謝妨害剤(RAMBA)、例えばアククタン(accutane)、
−DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤、例えばアザシチジン(azacytidine)、
−キナーゼ阻害剤、例えばフラボペリドール(flavoperidol)、イマチニブ・メシレート(imatinib mesylate)またはゲフィチニブ(gefitinib)、
−ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤、
−他のHDAC阻害剤、
−ユビキチン−プロテアソーム経路の阻害剤、例えばベルケード(Velcade)、或いは
−ヨンデリス(Yondelis)
である。
【0100】
用語「白金配位化合物」は、ここでは、白金をイオンの形態で提供する腫瘍細胞成長阻害性白金配位化合物を示すために使用される。
【0101】
用語「タキサン化合物」は、タキサン環を有しそしてある種のイチイ(Taxus)樹木からの抽出物に関連するまたはそこから誘導される化合物の種類を示す。
【0102】
用語「トピソメラーゼ阻害剤」は、真核生物細胞中でDNAトポロジーを変更しうる酵素を示すために使用される。それらは重要な細胞機能および細胞増殖にとって必須である。真核生物細胞中には2種のトポイソメラーゼ類、すなわちタイプIおよびタイプII、がある。トポイソメラーゼIは約100,000の分子量の単量体状酵素である。この酵素はDNAに結合しそして過渡的な一本鎖切断を導入し、二重螺旋を巻き戻し(またそのまま巻き戻しを可能にし)そして引き続きDNAストランドからの解離前に切断部を再封印する。トピソメラーゼIIは、DNAストランド切断の誘発またはフリーラジカルの生成を含む同様な作用機構を有する。
【0103】
用語「カンプトテシン化合物」は、中国の樹木であるカンプトテシン・アクミナタ(Camptothecin acuminata)およびインドの樹木であるノタポジテス・フォエチダ(Nothapodytes foetida)から誘導される水−不溶性アルカロイドである親カンプトテシンに関連するかまたはそこから誘導される化合物を示すために使用される。
【0104】
用語「ポドフィロトキシン化合物」は、マンドレーク植物から抽出される親ポドフィロトキシンに関連するかまたはそこから誘導される化合物を示すために使用される。
【0105】
用語「抗−腫瘍ビンカアルカロイド類」は、キョウチクトウ植物(Vinca rosea)の抽出物に関連するかまたはそこから誘導される化合物を示すために使用される。
【0106】
用語「アルキル化剤」は、それらが生理学的条件下でアルキル基を生物学的に必須である高分子、例えばDNAを与える能力を有する共通の特徴を有する化学物質の多様な群を包括する。例えばナイトロジェンマスタードおよびニトロソウレアの如きより重要な剤のほとんどでは、活性アルキル化部分が複雑な退化反応後にインビボで生成し、それらの一部は酵素性である。アルキル化剤の最も重要な薬理学的作用は、特定のDNA合成および細胞分割において細胞増殖に関係する基本的機構を妨害することである。アルキル化剤がDNA機能および急速に増殖する組織中での一体性を妨害する能力が、それらの治療用途およびそれらの毒性の多くの基礎を提供する。
【0107】
用語「抗−腫瘍アンスラサイクリン誘導体」は、グリコシド性結合により結合された異常な糖であるダウノサミンを有するテトラサイクリン環構造を有することにより特徴づけられるカビ・菌であるStrep. peuticus var. caesiusおよびそれらの誘導体から得られる抗生物質を含んでなる。
【0108】
原発性乳癌腫におけるヒト表皮成長因子受容体2蛋白質(HER2)の増殖がある種の患者に関しては劣悪な臨床予後に関係することが示された。トラスツズマブは、HER2受容体の細胞外領域に高い親和度でそして特異的に結合する高度に精製された組み換えDNA−由来のヒト化されたモノクローン性IgG1カッパ抗体である。
【0109】
多くの乳癌はエストロゲン受容体を有しそしてこれらの腫瘍の成長はエストロゲンにより刺激される。用語「エストロゲン受容体拮抗物質」および「選択的エストロゲン受容体調節剤」は、エストロゲン受容体(ER)に結合するエストラジオールの競合阻害剤を示すために使用される。選択的エストロゲン受容体調節剤は、ERに結合される時には、受容体の三次元形状における変化を誘発して、DNA上のエストロゲン原因要素(ERE)に対するその結合を調節する。
【0110】
閉経後女性では、循環するエストロゲンの主要源は末梢組織内のアロマターゼ酵素による副腎および卵巣アンドロゲン類(アンドロステネジオンおよびテツソステロン)のエストロゲン類(エストロンおよびエストラジオール)への転化からである。アロマターゼ阻害または不活性化によるエストロゲン欠乏は、ホルモン−依存性乳癌を有するある種の閉経後患者に対する有効なそして選択的な処置である。
【0111】
用語「抗エストロゲン剤」は、ここでは、エストロゲン受容体拮抗物質および選択的エストロゲン受容体調節剤だけでなく以上で論じられたアロマターゼ阻害剤も包含するために使用される。
【0112】
用語「分化剤」は、種々の方法で細胞増殖を阻害しそして分化を促進しうる化合物を包括する。ビタミンDおよびレチノイド類は広範囲の正常なおよび悪性の細胞タイプの成長および分化の調節において主要な役割を演ずることが知られる。レチン酸代謝妨害罪(RAMBA類)は、レチン酸のシトクロムP450−介在代謝を抑制することにより、内因性レチン酸類の水準を増加させる。
【0113】
DNAメチル化変動はとりわけヒト新形成における最も普遍的な異常である。選択された遺伝子のプロモーター内の過剰メチル化は一般的に関係する遺伝子の不活性化と関連する。用語「DNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤」は、DNAメチルトランスフェラーゼの薬理学的阻害および腫瘍抑制剤遺伝子発現の再活性化により作用する化合物を示すために使用される。
【0114】
用語「キナーゼ阻害剤」は、細胞周期進化およびプログラムされた細胞死滅(アポプトーシス)に関与するキナーゼ類の有効な阻害剤を含んでなる。
【0115】
用語「ファルネシルトランスフェラーゼ阻害剤」は、Rasおよび他の細胞内蛋白質のファルネシル化を防止するように設計された化合物を示すために示される。それらは悪性細胞増殖および生存に対する影響を有することが示された。
【0116】
用語「他のHDAC阻害剤」は
−カルボキシレート類、例えばブチレート、桂皮酸、4−フェニルブチレートまたはバルプロ酸、
−ヒドロキサム酸類、例えばスベロイルアニリドヒドロキサム酸(SAHA)、ピペラジン含有SAHA同族体、ビアリールヒドロキサメートA−161906およびそのカルボゾリルエーテル−、テトラヒドロピリジン−およびテトラロン−同族体、二環式アリール−N−ヒドロキシカルボキサミド類、ピロキサミド、CG−1521、PXD−101、スルホンアミドヒドロキサム酸、LAQ−824、LBH−589、トリコスタチンA(TSA)、オキサムフラチン、スクリプタイド、スクリプタイド関連三環式分子、m−カルボキシ桂皮酸ビスヒドロキサム酸(CBHA)、CBHA−類似ヒドロキサム酸類、トラポキシン−ヒドロキサム酸同族体、R306465並びに関連するベンゾイル−およびヘテロアリール−ヒドロキサム酸類、アミノスベレート類およびマロニルジアミド類、
−環式テトラペプチド類、例えばトラポキシン、アピジシン、デプシペプチド、スピルコスタチン−関連化合物、RedFK−228、スルフヒドリル−含有環式テトラペプチド類(SCOP類)、ヒドロキサム酸含有環式テトラペプチド類(CHAP類)、TAN−174類およびアズムアミド類、
−ベンズアミド類、例えばMS−275またはCI−994、或いは
−デプデシン
を含んでなるが、それらに限定されない。
【0117】
用語「ユビキチン−プロテアゾーム経路の阻害剤」は、細胞周期調節蛋白質を包含する
プロテアゾーム内の細胞蛋白質の標的化された破壊を抑制する化合物を同定するために使用される。
【0118】
癌の処置のために、照射と組み合わせて、本発明に従う化合物を上記の患者に投与することができる。照射はイオン化照射および特にガンマ照射、特に線状加速器によりまたは現在普遍的に使用されている放射性核種により発生されるもの、を意味する。放射性核種による腫瘍の照射は外的または内的でありうる。
【0119】
本発明は、また、抗癌剤と本発明に従うHDAC阻害剤との本発明に従う組み合わせにも関する。
【0120】
本発明は、また、例えば腫瘍細胞の成長を抑制するための医学的療法における使用のための本発明に従う組み合わせにも関する。
【0121】
本発明は、また、腫瘍細胞の成長を抑制するための本発明に従う組み合わせにも関する。
【0122】
本発明は、また、患者に有効量の本発明に従う組み合わせを投与することを含んでなるヒト患者における腫瘍細胞の成長を抑制する方法にも関する。
【0123】
本発明は、さらに、有効量の本発明に従う組み合わせを投与することによる形質転換された細胞を包含する細胞の異常成長を抑制する方法にも関する。
【0124】
他の薬剤およびHDAC阻害剤を同時に(例えば別個のもしくは単一の組成物状で)またはいずれかの順序で連続的に投与することができる。後者の場合には、有利なまたは相乗的な効果が確実に得られるのに充分な期間内に且つ充分な量および方法で2種の化合物が投与されるであろう。投与の好ましい方法および順序並びに組み合わせの各成分に関するそれぞれの薬用量および処方は投与される特定の他の薬剤およびHDAC阻害剤、それらの投与方式、処置される特定の腫瘍および処置される特定の宿主に依存することは認識されよう。投与の最適な方法および順序並びに薬用量および処方は従来方法を用いてそしてここに示された情報に鑑みて当業者により容易に決めることができる。
【0125】
白金配位化合物は、有利には、処置の経過中に1〜500mg/平方メートル(mg/m)の体表面積、例えば50〜400mg/mの体表面積の薬用量で、特にシスプラチンに関しては約75mg/mの薬用量でそしてカルボプラチンに関しては約300mg/mの薬用量で投与される。
【0126】
タキサン化合物は、有利には、処置の経過中に50〜400mg/平方メートル(mg/m)の体表面積、例えば75〜250mg/mの体表面積の薬用量で、特にパクリタキセルに関しては約175〜250mg/mの薬用量でそしてドセタキセルに関しては約75〜150mg/mの薬用量で投与される。
【0127】
カンプトテシン化合物は、有利には、処置の経過中に0.1〜400mg/平方メートル(mg/m)の体表面積、例えば1〜300mg/mの体表面積の薬用量で、特にイリノテカンに関しては約100〜350mg/mの薬用量でそしてトポテカンに関しては約1〜2mg/mの薬用量で投与される。
【0128】
抗−腫瘍ポドフィロトキシン誘導体は、有利には、処置の経過中に30〜300mg/平方メートル(mg/m)の体表面積、例えば50〜250mg/mの体表面積の薬用量で、特にエトポシドに関しては約35〜100mg/mの薬用量でそしてテニポシ
ドに関しては約50〜250mg/mの薬用量で投与される。
【0129】
抗−腫瘍ビンカアルカロイドは、有利には、処置の経過中に2〜30mg/平方メートル(mg/m)の体表面積の薬用量で、特にビンブラスチンに関しては約3〜12mg/mの薬用量で、ビンクリスチンに関しては約1〜2mg/mの薬用量で、そしてビノレルビンに関しては約10〜30mg/mの薬用量で投与される。
【0130】
抗−腫瘍ヌクレオシド誘導体は、有利には、処置の経過中に200〜2500mg/平方メートル(mg/m)の体表面積、例えば700〜1500mg/mの体表面積の薬用量で、特に5−FUに関しては約200〜500mg/mの薬用量で、ゲンシタビンに関しては約800〜1200mg/mの薬用量でそしてカペシタビンに関しては約1000〜2500mg/mの薬用量で投与される。
【0131】
アルキル化剤、例えばナイトロジェンマスタードまたはニトロソウレアは、有利には、処置の経過中に100〜500mg/平方メートル(mg/m)の体表面積、例えば120〜200mg/mの体表面積の薬用量で、特にシクロホスファミドに関しては約100〜500mg/mの薬用量で、クロランブシルに関しては約0.1〜0.2mg/mの薬用量で、カルムスチンに関しては約150〜200mg/mの薬用量で、そしてロムスチンに関しては約100〜150mg/mの薬用量で投与される。
【0132】
抗−腫瘍アンスラサイクリン誘導体は、有利には、処置の経過中に10〜75mg/平方メートル(mg/m)の体表面積、例えば15〜60mg/mの体表面積、の薬用量で、特にドキソルビシンに関しては約40〜75mg/mの薬用量で、ダウノルビシンに関しては約25〜45mg/mの薬用量で、そしてイダルビシンに関しては約10〜15mg/mの薬用量で投与される。
【0133】
トラスツズマブは、有利には、処置の経過中に1〜5mg/平方メートル(mg/m)の体表面積、例えば2〜4mg/mの体表面積の薬用量で投与される。
【0134】
抗エストロゲン剤は、有利には、特定の剤および処置される症状によるが、1日当たり約1〜100mgの薬用量で投与される。タモキシフェンは、有利には、経口的に5〜50mg、好ましくは10〜20mgの薬用量で1日2回投与され、治療効果を達成し且つ維持するのに充分な時間にわたり療法を続ける。トレミフェンは、有利には、経口的に約60mgの薬用量で1日1回投与され、治療効果を達成し且つ維持するのに充分な時間にわたり療法を続ける。アナストロゾールは、有利には、経口的に約1mgの薬用量で1日1回投与される。ドロキシフェンは、有利には、経口的に約20−100mgの薬用量で1日1回投与される。ラロキシフェンは、有利には、経口的に約60mgの薬用量で1日1回投与される。エキセメスタンは、有利には、経口的に約25mgの薬用量で1日1回投与される。
【0135】
これらの薬用量は処置の経過当たり例えば1回、2回またはそれ以上投与され、それは例えば7、14、21または28日毎に繰り返すことができる。
【0136】
それらの有用な薬理学的性質のために、本発明に従う組み合わせの成分、すなわち他の薬剤およびHDAC阻害剤を投与目的のための種々の製薬学的形態に調合することができる。成分は個別の製薬学的組成物中に別個にまたは両方の成分を含有する単一の製薬学的組成物中に調合することができる。
【0137】
本発明は従って、他の薬剤およびHDAC阻害剤を1種もしくはそれ以上の製薬学的担体と一緒に含んでなる製薬学的組成物にも関する。
【0138】
本発明は、また、抗癌剤および本発明に従うHDAC阻害剤を1種もしくはそれ以上の製薬学的担体と一緒に含んでなる製薬学的組成物の形態の本発明に従う組み合わせにも関する。
【0139】
本発明は、さらに、腫瘍細胞の成長を抑制するための製薬学的組成物の製造における本発明に従う組み合わせの使用にも関する。
【0140】
本発明は、さらに、癌に罹っている患者の処置における同時の、別個のまたは連続的な使用のための組み合わせ調合物としての、本発明に従うHDAC阻害剤を第一の活性成分としてそして抗癌剤を第二の活性成分として含有する製品にも関する。
【実施例】
【0141】
実験の部
以下の実施例は説明目的のために提供される。以下で、「EDC」はN−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン一塩酸塩として定義され、「DCM」はジクロロメタンとして定義され、「DIPE」はジイソプロピルエーテルとして定義され、「DMF」はN,N−ジメチルホルムアミドとして定義され、「EtOAc」は酢酸エチルとして定義され、「EtOH」はエタノールとして定義され、「HOBT」は1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾールとして定義され、「MeOH」はメタノールとして定義され、「TFA」はトリフルオロ酢酸として定義されそして「THF」はテトラヒドロフランとして定義される。
A.中間体化合物の製造
実施例A1
a)中間体1の製造
【0142】
【化14】

【0143】
2−(1−ピペラジニル)−5−ピリミジンカルボン酸エチルエステル(0.016モル)、(2−フェニルエテニル)−ボロン酸(0.016モル)および1,4−ジオキサン−2,5−ジオール(0.016モル)のEtOH(250ml)中混合物を2日間にわたり室温において撹拌しそして次に溶媒を蒸発させた(真空)。残渣をDCM中に加えそして水および有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(15−40μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 97/1)により精製した。純粋な画分を蒸発させて、4g(61%)の中間体1、融点128℃、を生成した。中間体1に対応するエステル類はキラルクロマトグラフィーにより分離することができる。
b)中間体2の製造
【0144】
【化15】

【0145】
中間体1(0.0007モル)の1N水酸化ナトリウム(10ml)およびTHF(20ml)中混合物を室温において48時間にわたり撹拌した。1N塩酸(10ml)を加えた。溶媒を蒸発させた。沈殿を濾過し、水で、次にDIPEで洗浄し、そして乾燥して、0.2g(72%)の中間体2、融点232℃、を生成した。
c)中間体3の製造
【0146】
【化16】

【0147】
トリエチルアミン(0.012モル)、N−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(0.00593モル)、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.00593モル)およびO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミン(0.00593モル)を中間体2(0.00395モル)のDCM(70ml)およびTHF(70ml)の混合物中の混合物に加え、次に反応混合物を3日間にわたり室温において撹拌した。HOを加えた。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾別しそして溶媒を蒸発させた。残渣をカラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)により精製した。生成物画分を集めそして有機溶媒を蒸発させて、1.5g(84%)の中間体3を生成した。
実施例A2
a)中間体4の製造
【0148】
【化17】

【0149】
2−(1−ピペラジニル)−5−ピリミジンカルボン酸エチルエステル(0.0042モル)、1,4−ジオキサン−2,5−ジオール(0.0042モル)および(E)[2−(4−クロロフェニル)エテニル]−ボロン酸(0.0042モル)のEtOH(100ml)中混合物を室温において72時間にわたり撹拌し、水中に注ぎそしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(1.8g)をシリカゲル(15−40μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)により精製した。2つの画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.85gのF1(油)および0.25gのF2(全体的収率:63%)を生成した。F1を2−プロパンオン/DIPEから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.6gの中間体4、融点110℃、を生成した。
b)中間体5の製造
【0150】
【化18】

【0151】
メタンスルホニルクロリド(0.0012モル)を5℃において中間体4(0.0006モル)およびトリエチルアミン(0.0024モル)のTHF(15ml)中溶液にN流下で加えた。混合物を室温にし、次に1時間にわたり撹拌し、そして氷水中に注いだ。混合物をDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて、0.3gの中間体5を生成した。この生成物を次の反応段階で直接使用した。
c)中間体6の製造
【0152】
【化19】

【0153】
中間体5(0.0006モル)、モルホリン(0.0009モル)および炭酸カリウム(0.0018モル)のアセトニトリル(30ml)中混合物を80℃において15時間にわたり撹拌し、水中に注ぎそしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.27g)をシリカゲル(5μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 100/0〜90/10)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.085g(29%)の中間体6を生成した。
d)中間体7の製造
【0154】
【化20】

【0155】
中間体6(0.0002モル)の1N水酸化ナトリウム(1.5ml)およびTHF(
3ml)中混合物を室温において72時間にわたり撹拌した。1N塩酸(1.5ml)を加えた。混合物を乾固まで蒸発させて、中間体7を生成した。この生成物を次の反応段階で直接使用した。
e)中間体8の製造
【0156】
【化21】

【0157】
中間体7(0.0002モル)、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミン(0.0002モル)、EDC(0.0002モル)、HOBT(0.0002モル)およびトリエチルアミン(0.0002モル)のDCM/THF(10ml)中混合物を室温において48時間にわたり撹拌し、水中に注ぎそしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.095g)をシリカゲル(5μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.04g(41%)の中間体8を生成した。
実施例A3
a)中間体11の製造
【0158】
【化22】

【0159】
チタンエチレート(0.0085モル)を室温において2−(1−ピペラジニル)−5−ピリミジンカルボン酸エチルエステル(0.0042モル)および4−フェニル−3−ブテン−2−オン(0.0051モル)の1,2−ジクロロ−エタン(45ml)中溶液にN流下で加えた。混合物を室温において24時間にわたり撹拌した。NaBH(OAc)(0.0085モル)を加えた。混合物を5時間にわたり撹拌しそして氷水中に注いだ。DCMを加えた。混合物をセライト上で濾過した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(1.16g)をクロマシル(kromasil)(5μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 100/0〜95/5)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.12g(8%)の中間体11を生成した。
b)中間体12の製造
【0160】
【化23】

【0161】
中間体11(0.0003モル)および水酸化ナトリウム(0.0013モル)のEtOH(15ml)中混合物を3時間にわたり撹拌しそして還流し、次に室温に冷却しそして乾固まで蒸発させた。残渣をジエチルエーテル中に加えた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.12g(10%)の中間体12、融点>260℃、を生成した。
c)中間体13の製造
【0162】
【化24】

【0163】
EDC(0.0006モル)およびHOBT(0.0006モル)を室温において中間体12(0.0003モル)のTHF(15ml)およびDCM(15ml)中溶液にN流下で加えた。混合物を15分間にわたり撹拌した。O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミン(0.0006モル)を加えた。混合物を室温において48時間にわたり撹拌し、氷水中に注ぎそしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.25g)をクロマシル(5μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 100/0〜95/5)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.1g(70%)の中間体13を生成した。
実施例A4
a)中間体14の製造
【0164】
【化25】

【0165】
2−(1−ピペラジニル)−5−ピリミジンカルボン酸エチルエステル(0.059モル)のTHF(300ml)および1N水酸化ナトリウム(300ml)中混合物を一晩にわたり室温において放置しそして次に撹拌した。1N塩酸(300ml)を加えそして混合物を10分間にわたり撹拌した。炭酸ナトリウム(0.178モル)を加えそして生じた混合物を10分間にわたり室温において撹拌し、次に1−[[(9H−フルオレン−9−イルメトキシ)カルボニル]オキシ]−2,5−ピロリジンジオン(0.059モル)を少部分ずつ加えそして反応混合物を室温において15時間にわたり撹拌した。混合物を濃HClで酸性化しそして沈殿を濾別しそして乾燥して(真空)、22.5g(90%)の中間体14、融点218.5−221.2℃、を生成した。
b)中間体15の製造
【0166】
【化26】

【0167】
トリエチルアミン(0.069モル)、次にEDC(0.0303モル)およびHOBT(0.0303モル)、引き続きO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミン(0.0303モル)を中間体14(0.0233モル)のDCM/THF(500ml)中混合物に加えそして反応混合物を室温において18時間にわたり撹拌した。混合物をDCMで希釈しそして水で洗浄した。有機層を分離しそして10%炭酸ナトリウム溶液で洗浄した。分離した有機層を乾燥し(MgSO)、濾別しそして溶媒を蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH
100分間で100/0→97.5/2.5)により精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、8.4g(68%)の中間体15を生成した。
c)中間体16の製造
【0168】
【化27】

【0169】
中間体15(0.016モル)のピリジン(0.040モル)およびDCM(200ml)中混合物を一晩にわたり室温において撹拌しそして反応混合物を水で抽出し、次に水層を濃縮しそしてアセトニトリルと共−蒸発させた。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NH 95/5/0.5)により精製した。生成物画分を集めそして溶媒を蒸発させて、2.5g(50%)の中間体16、融点70.8−93.9℃、を生成した。
d)中間体17の製造
【0170】
【化28】

【0171】
中間体16(0.002モル)、(E)[2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−ボロン酸(0.002モル)および1,4−ジオキサン−2,5−ジオール(0.002モル)のEtOH(25ml)中混合物を室温において15時間にわたり撹拌し、氷上に注いだ。NaHCOを加えた。混合物をDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(0.68g)をクロマシル(5μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 100/0〜90/10)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.27g(29%)の中間体17、融点90℃、を生成した。
実施例A5
a)中間体18の製造
【0172】
【化29】

【0173】
2−オキソ−プロパン酸(0.0169モル)、次に2−(1−ピペラジニル)−5−ピリミジンカルボン酸エチルエステル(0.0169モル)を[2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−ボロン酸(0.0169モル)のDCM(150ml)中溶液に加えた。混合物を室温において15時間にわたり撹拌した。2−オキソ−プロパン酸(0.4当量)および[2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−ボロン酸(0.1当量)を加えた。混合物を室温において15時間にわたり撹拌した。有機層を水で洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣(7.7g)をシリカゲル(15−40μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 92/8/0.1)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。この残渣(6g)を3N HCl中に溶解させた。混合物を室温において2時間にわたり撹拌した。沈殿を濾過し、水(最少量)で洗浄しそして乾燥して、2.8g(36%)の中間体18を生成した。
b)中間体19の製造
【0174】
【化30】

【0175】
HOBT(0.0022モル)、次にEDC(0.0022モル)を中間体18(0.0015モル)、N−メチル−メタナミン(0.0022モル)およびトリエチルアミン(0.0075モル)のDCM/THF(40ml)中溶液に加えた。混合物を室温において24時間にわたり撹拌し、水中に注ぎそしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣をDIPE中に加えた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.58g(85%)の中間体19、融点195℃、を生成した。
c)中間体20の製造
【0176】
【化31】

【0177】
中間体19(0.0011モル)および水酸化リチウム(0.0023モル)のTHF(20ml)および水(10ml)中混合物を室温において15時間にわたり撹拌した。3N HClを加えた。THFを蒸発させた。沈殿を濾過し、水で、次にジエチルエーテルで洗浄し、そして乾燥して、0.45g(82%)の中間体20を生成した。
d)中間体21の製造
【0178】
【化32】

【0179】
HOBT(0.0014モル)、次にEDC(0.0014モル)を室温において中間体20(0.0009モル)、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミン(0.0014モル)およびトリエチルアミン(0.0043モル)のDCM/THF(50/50)(75ml)中溶液に加えた。混合物を室温において48時間にわたり撹拌し、水中に注ぎそしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣(0.7g)をシリカゲル(5μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 99/1/0.1〜94/6/0.6)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.38g(75%)の中間体21を生成した。
実施例A6
a)中間体22の製造
【0180】
【化33】

【0181】
60%水素化ナトリウム(0.0085モル)を一部分ずつ5℃において中間体1(0.0065モル)のTHF(60ml)中溶液にN流下で加えた。混合物を5℃において15分間にわたり撹拌した。ヨードメタン(0.0078モル)のTHF(5ml)中溶液を滴下した。混合物を5℃において1時間にわたり撹拌し、次に室温において5時間にわたり撹拌し、氷上に注ぎそしてEtOAcで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣(1.75g)をシリカゲル(15−40μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH 99/1)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.87g(34%)の中間体22を生成した。
b)中間体23の製造
【0182】
【化34】

【0183】
中間体22(0.0027モル)および水酸化リチウム一水和物(0.0055モル)のTHF(40ml)および水(20ml)中混合物を室温において48時間にわたり撹拌し、1N HClで酸性化した。THFを蒸発させた。沈殿を濾過し、最少量の水で洗浄しそして乾燥して、0.91g(83%)の中間体23を生成した。
c)中間体24の製造
【0184】
【化35】

【0185】
HOBT(0.0033モル)およびEDC(0.0033モル)を室温において中間体23(0.0022モル)、O−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミン(0.0033モル)およびトリエチルアミン(0.01モル)のDCM/THF(90ml)中溶液にN流下で加えた。混合物を室温において48時間にわたり撹拌し、水中に注ぎそしてDCMで抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過しそして溶媒を蒸発させた。残渣(1.3g)をシリカゲル(15−40μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 97/3/0.1)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させて、0.93g(89%)の中間体24を生成した。
実施例A7
a)中間体25の製造
【0186】
【化36】

【0187】
2−(1−ピペラジニル)−5−ピリジルカルボン酸エチルエステル(0.0085モル)、1,4−ジオキサン−2,5−ジオール(0.0093モル)および(E)−[2−(4−フルオロフェニル)エテニル]−ボロン酸(0.0042モル)のEtOH(200ml)中混合物を室温において15時間にわたり撹拌し、次に濾過した。濾液を蒸発させた。残渣をEtOAc中に加えた。有機層を飽和NaClで洗浄し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させた。残渣(3.3g)をジエチルエーテル中に溶解させそして5℃のイソプロパノール中5−6N HCl(2ml)の滴下により酸性化した。沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄しそして乾燥した。この画分を水中に加え、KCOを加えそして混合物をDCMにより抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾過し、そして溶媒を蒸発させて、2.7g(79%)の中間体25を生成した。
b)中間体26の製造
【0188】
【化37】

【0189】
中間体25(0.002モル)、水酸化リチウム(0.004モル)の水(20ml)およびTHF(40ml)中混合物を室温において15時間にわたり撹拌した。混合物を濃縮した。3N塩酸を加えた。沈殿を濾過し、水で、次にジエチルエーテルで洗浄しそして乾燥して、0.52g(63%)の中間体26を生成した。
c)中間体27の製造
【0190】
【化38】

【0191】
トリエチルアミン(0.0057モル)、N−(エチルカルボンイミドイル)−N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン(0.0019モル)、1−ヒドロキシ−1H−ベンゾトリアゾール(0.0019モル)およびO−(テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イル)−ヒドロキシルアミン(0.0019モル)を中間体26(0.0012モル)のDCM(50ml)およびTHF(50ml)の混合物中の混合物に加えた。反応混合物を24時間にわたり室温において撹拌し、次にHO中に注ぎそしてDCMにより抽出した。有機層を分離し、乾燥し(MgSO)、濾別しそして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:DCM/MeOH/NHOH 95/5/0.2)により精製した。生成物画分を集めそして有機溶媒を蒸発させて、0.55g(91%)を生成した。この残渣をジエチルエーテル中に加え、沈殿を濾別しそして乾燥して、0.5gの中間体27、融点133℃、を生成した。
実施例A8
中間体28および29の製造
【0192】
【化39】

【0193】
無水酢酸(0.014モル)を5℃において、中間体3(0.0014モル)、4−N−N−ジメチルアミノピリジン(0.0095g)およびピリジン(2.5ml)のDCM(14ml)中混合物に滴下した。混合物を室温において24時間にわたり撹拌し、濃縮し、水中に加えそして酢酸エチルで抽出した。有機層を乾燥し(MgSO)、濾別しそして溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲル(5μm)上のカラムクロマトグラフィー(勾配溶離剤:DCM/MeOH 95/5)により精製した。純粋な画分を集めそして有機溶媒を蒸発させて、0.48g(58%)の中間体28を生成した。シュウ酸塩を画分(0.05g)上で製造しそして2−プロパノン/ジエチルエーテルから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.042gの中間体29、融点154℃、を生成した。
【0194】
表F−1は、上記実施例の1つに従い製造された中間体を挙げる。
【0195】
【表2】

【0196】
【表3】

【0197】
B.最終化合物の製造
実施例B1
化合物1の製造
【0198】
【化40】

【0199】
中間体3(0.00121モル)のTFA(2.5ml)およびMeOH(50ml)中混合物を48時間にわたり撹拌しそして次に溶媒を蒸発させた。残渣をシリカゲルLiChroprep(R)NH(25−40μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/HO 80/20/2)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣をジエチルエーテル中に加えそして沈殿を次に濾過しそして50℃において乾燥して(真空)、0.26g(64%)の化合物1、融点187℃、を生成した。
実施例B2
化合物2の製造
【0200】
【化41】

【0201】
中間体8(0.00007モル)のトリフルオロ酢酸(0.2ml)およびMeOH(4.5ml)中混合物を室温において96時間にわたり撹拌した。溶媒を乾固まで蒸発させた。残渣をジエチルエーテル/2−プロパノンから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.025g(57%)の化合物2、融点135℃、を生成した。
実施例B3
化合物7の製造
【0202】
【化42】

【0203】
中間体13(0.0002モル)のTFA(0.5ml)およびMeOH(10ml)中混合物を室温において48時間にわたり撹拌し、次に乾固まで蒸発させた。残渣をジエチルエーテルから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.044g(44%)の化合物7、融点161℃、を生成した。
実施例B4
化合物8の製造
【0204】
【化43】

【0205】
中間体17(0.0005モル)のTFA(1.2ml)およびMeOH(24ml)中混合物を室温において5日間にわたり撹拌した。溶媒を乾固まで蒸発させた。残渣(0.26g)をシリカゲルLiChroprep(R)NH(25−40μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/HO 70/30/3)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣(0.16g)をジエチルエーテルから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.13g(66%)の化合物8、融点180℃、を生成した。
実施例B5
化合物9の製造
【0206】
【化44】

【0207】
中間体28(0.0004モル)のTFA(1ml)およびMeOH(20ml)中混合物を室温において96時間にわたり撹拌し、次に蒸発させた。残渣(0.23g)をシリカゲルLiChroprep(R)NH(25−40μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/HO 80/20/2)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。残渣(0.106g)をジエチルエーテル/DIPEから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.067g(34%)の化合物9、融点161℃、を生成した。
実施例B6
化合物10の製造
【0208】
【化45】

【0209】
TFA(1.9ml)を5℃において中間体21(0.0007モル)のMeOH(38ml)中溶液に滴下した。混合物を室温において48時間にわたり撹拌し、次に乾固まで蒸発させた。残渣をジエチルエーテル/CHCNから結晶化させた。沈殿を濾過し、ジエチルエーテルで洗浄しそして乾燥して、0.24g(62%)の化合物10、融点146℃、を生成した。
実施例B7
化合物11の製造
【0210】
【化46】

【0211】
中間体24(0.0018モル)のTFA(4.4ml)およびMeOH(87ml)中混合物を室温において4日間にわたり撹拌し、次に乾固まで蒸発させた。残渣(1.05g)をシリカゲルLiChroprep(R)NH(25−40μm)上のカラムクロマトグラフィー(溶離剤:DCM/MeOH/HO 80/20/2)により精製した。純粋な画分を集めそして溶媒を蒸発させた。この画分(0.634g)をジエチルエーテル中に加えた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.43gの化合物11、融点212℃、を生成した。
実施例B8
化合物31の製造
【0212】
【化47】

【0213】
中間体27(0.0011モル)のトリフルオロ酢酸(3ml)およびMeOH(60ml)中混合物を室温において48時間にわたり撹拌した。溶媒を乾固まで蒸発させた。残渣をジエチルエーテルから結晶化させた。沈殿を濾別しそして乾燥して、0.515g(89%)の化合物31、融点145℃、を生成した。
【0214】
表F−2は、上記実施例の1つに従い製造された化合物を挙げる。下記の略語が表で使用された:CHFはトリフルオロ酢酸塩を示す。
【0215】
【表4】

【0216】
【表5】

【0217】
【表6】

【0218】
C.薬理学的実施例:
ヒストンデアセチラーゼの阻害に関するインビトロ検定(実施例C.1参照)が式(I)の化合物で得られたHDAC酵素活性の阻害を測定する。
【0219】
式(I)の化合物の細胞活性が細胞毒性または生存に関する比色計検定を用いてA2780腫瘍細胞上で測定された(Mosmann Tim, Journal of Immunological Methods 65: 55−63, 1983)(実施例C.2参照)。
【0220】
化合物の溶解性が溶液中に滞在する化合物の能力を測定する。第一の方法では、希釈時の溶液中に滞在する化合物の能力(実施例C.3.a参照)が測定される。DMSO−貯蔵溶液を単一の水性緩衝溶媒を用いて三連続段階で希釈する。各希釈に関して、濁度をネフェロメーターで測定する。第二の方法では、化学ルミネッセント窒素検知器を用いて異なるpHにおける化合物の溶解性を測定することができる(実施例C.3.b参照)。
【0221】
薬品の浸透性はそれが1つの媒体から他のものの中に移動するその能力を表す。具体的にはそれが腸膜を通って血液流の中におよび/または血液流から標的中に移動するその能力である。浸透性(実施例C.4)はフィルター−固定された人工膜燐脂質二層の生成により測定することができる。フィルター−固定された人工膜検定では、96−ウエルマイクロタイタープレートおよび96−ウエルフィルタープレートを有する「サンドイッチ」が形成され、各複合体ウエルが125μmマイクロ−フィルターディスク(0.45μm孔)により分離された底部に供与体溶液をそして頂部に受容体溶液を有するジオレイルホスファチジル−コリンの2%(重量/容量)ドデカン溶液でコーティングされた2つの部屋に、システムが水性緩衝溶液と接触する時に多重層性の二層がフィルター経路内に生成する条件下で、分割される。この人工膜を通る化合物の浸透性はcm/sで測定される。目的は、2種のpHである4.0および7.4における平行な人工膜を通る薬品の浸透性を観察することである。化合物検出は250〜500nmの間の最適波長においてUV−分光計を用いて行われる。
【0222】
薬品の代謝は、脂質−可溶性の地球外生物および地球内生物化合物が1種もしくは複数の有極性の、水−可溶性の、そして排泄可能な代謝物質に酵素的に転換されることを意味する。薬品代謝の主要器官は肝臓である。代謝産物はしばしば親薬品より活性が小さいかまたは不活性である。しかしながら、ある種の代謝産物は増加した活性または有毒な影響を有しうる。それ故、代謝は「無毒化」および「有毒化」工程の両者を包含しうる。薬品および化学物質を処理する生物の能力を決める主要な酵素系統はシトクロムP450モノオキシゲナーゼ類により代表され、それらはNADPH依存性酵素である。化合物の代謝安定性はインビトロで細胞下ヒト組織を用いて測定することができる(実施例C.5.a.参照)。ここでは化合物の代謝安定性はミクロソーム類を用いるこれらの化合物の15分間のインキュベーション後に代謝された薬品の%として表示される。化合物の定量化はlC−MS分析により測定された。化合物の代謝安定性は、ラットの肝細胞内の化合物の半減期を計算することにより、測定することもできる(実施例C.5.b.参照)。
【0223】
広範囲の抗−腫瘍剤がDNA損傷剤およびヒストンデアセチラーゼ阻害剤を包含するp21蛋白質を活性化することは示されていた。DNA損傷剤は腫瘍抑制剤p53によりp21遺伝子を活性化するが、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤は転写因子Sp1を介してp21遺伝子を転写的に活性化する。それ故、DNA損傷剤はp53原因要素によりp21プロモーターを活性化させるが、ヒストンデアセチラーゼ阻害剤はspl部位(TATAボックスに関して−60bp〜+40bp領域に位置する)により活性化し、両者ともp21蛋白質の増加した発現をもたらす。細胞内のp21プロモーターがp53原因要素を含んでいないp21 1300bpプロモーター断片よりなる場合には、それは従ってDNA損傷剤に対して非−原因性である。化合物がp21を誘発する能力は数種の方法で評
価することができる。第一の方法は、腫瘍細胞を当該化合物で処理しそして細胞の溶解後にp21酵素結合された免疫吸収剤検定(オンコジーン(Oncogene)のWAF1
ELISA)を用いてp21誘発を検出することである。21検定は、マウスのモノクローンおよびウサギのポリクローン抗体の両者を用いる「サンドイッチ」酵素免疫検定である。ヒトp21蛋白質に特異的なウサギのポリクローン抗体がキット内に準備されたプラスチックウエルの表面上で固定された。検定しようとする試料内に存在するp21は捕獲抗体に結合するであろう。ビオチニル化された検知剤であるモノクローン抗体もヒトp21蛋白質を認識し、そして捕獲抗体により保持されたp21に結合するであろう。検知剤である抗体は、また、ホースラディッシュペルオキシダーゼ−抱合ストレプタビジンにより結合される。ホースラディッシュペルオキシダーゼは無色溶液から青色(または停止試薬の添加後には黄色)溶液への発色基質であるテトラ−メチルベンジジンの転化に触媒作用を与え、その強度はプレートに結合されるp21蛋白質の量に比例する。着色された反応生成物は分光計を用いて定量化される。定量化は既知濃度のp21を用いる標準曲線の作成により得られる(凍結乾燥の条件下)。この検定がp21誘発をDNA損傷の結果としてまたはヒストンデアセチラーゼ阻害剤の結果として測定することができる(実施例C.6.a.参照)。
【0224】
別の方法は、化合物がp21を誘発する能力を細胞水準におけるHDAC阻害の結果として試験する。細胞は、p53原因要素を含んでならずそして対照水準と比べてレポーター遺伝子発現の増加が化合物をp21誘発能力を有すると同定するp21 1300bpプロモーター断片を含有する発現ベクターを用いて安定的にトランスフェクトすることができる。レポーター遺伝子は蛍光蛋白質でありそしてレポーター遺伝子の発現は発生した蛍光の量として測定される(実施例C.6.b.参照)。最後の方法は、マウスを化合物の製薬学的活性をスクリーニングするために使用するインビボ方法である。上記の安定的に形質転換された腫瘍細胞はマウスに腫瘍の生成を行うのに充分な量で投与することができる。腫瘍細胞が腫瘍を生成するのに充分な時間が経過した後に、有効な活性化合物を動物に投与しそしてレポータ−遺伝子の発現を測定することにより腫瘍細胞上の該化合物の効果を評価する。製薬学的に活性な化合物を用いるインキュベーションは対照水準と比べてレポーター遺伝子発現の増加をもたらすであろう(実施例C.6.c.参照)。
【0225】
特異的なHDAC阻害剤はたくさんあるCYP P450蛋白質のように他の酵素を阻害しないはずである。CYP P450(発現された大腸菌)蛋白質3A4、2D6、および2C9はそれらの特異的基質を蛍光分子に転化させる。CYP3A4蛋白質は7−ベンジルオキシ−トリフルオロメチルクマリン(BFC)を7−ヒドロキシ−トリフルオロメチルクマリンに転化させる。CYP2D6蛋白質は3−[2−(N,N−ジエチル−N−メチルアミノ)エチル]−7−メトキシ−4−メチルクマリン(AMMC)を3−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル]−7−ヒドロキシ−4−メチルクマリン塩酸塩に転化させそしてCYP2C9蛋白質は7−メトキシ−4−トリフルオロメチルクマリン(MFC)を7−ヒドロキシ−トリフルオロメチルクマリンに転化させる。酵素反応を抑制する化合物は蛍光信号の減少をもたらすであろう(実施例C.7参照)。
【0226】
実施例C.1:ヒストンデアセチラーゼの阻害用のインビトロ検定
バイオモル(Biomol)のHDAC蛍光活性検定/薬品発見キット(HDAC Fluorescent Activity Assay/Drug Discovery
Kit of Biomol)(登録番号:AK−500−0001)が使用された。HDAC蛍光活性検定はフルオル・デ・リス(Fluor de Lys)(Fluorogenic Histone deAcetylase Lysyl)基質および現像剤組み合わせを基にしている。フルオル・デ・リス基質はアセチル化されたリシン側鎖を含んでなる。基質の脱アセチル化が基質を感作して、第二段階においてフルオル・デ・リス基質現像剤を用いる処置が蛍光を生成する。HeLa核抽出物(供給業者:バイオモル
)を60μg/mlにおいて75μMの基質を用いてインキュベートした。フルオル・デ・リス基質を、25mMのトリス、137mMのNaCl、2.7mMのKClおよび1mMのMgCl.6HOを含有するpH7.4の緩衝液の中に加えた。30分後に、1容量の現像剤を加えた。蛍光は355nm光で励起されそして発光(450nm)を蛍光定量プレート読み取り器上で検出した。各実験に関して、対照(HeLa核抽出物および緩衝液を含有する)、ブランクインキュベーション(緩衝液を含有するがHeLa核抽出物は含有しない)および試料(DMSO中に溶解させそして緩衝液およびHeLa核抽出物中でさらに希釈された化合物を含有する)を平行実験した。第一の場合には、化合物を10−5Mの濃度で試験した。化合物が10−5Mにおいて活性を示した時に、濃度−応答曲線を作成し、そこでは化合物は10−5M〜10−9Mの間の濃度において試験された。試料を4回試験した。各試験において、ブランク値が対照および試料値の両者から引き算された。対照試料は100%の基質脱アセチル化であった。各試験に関して、蛍光は対照の平均値の百分率として表示された。適切なIC50−値(代謝産物の量を対照の50%に減じるのに必要な薬品の濃度)が等級付けされたデータに関するプロビット分析を用いて計算された。ここでは試験化合物の効果はpIC50(IC50−値の負のLlog値)として表示される。(表F−3参照)
【0227】
実施例C.2:A2780細胞に対する抗増殖活性の測定
試験した全ての化合物をDMSO中に溶解させそして培養培地中でさらに希釈した。最終的なDMSO濃度は細胞増殖検定において0.1%(v/v)を越えてはならなかった。対照はA2780細胞を含有したが化合物を含有せずそしてブランクはDMSOを含有したが細胞は含有しなかった。MTTを5mg/mlでPBS中に溶解させた。0.1MのグリシンおよびNaOH(1N)でpH10.5に緩衝された0.1MのNaClよりなるグリシン緩衝液を製造した(全ての試薬はメルク(Merck)からであった)。ヒトA2780卵巣癌腫(T.C.Hamilton博士[米国、ペンシルバニア州のフォックス・チェース・キャンサー・センター(Fox Chase Cancer Centre)]からの親切な提供)を2mMのL−グルタミン、50μg/mlのゲンタマイシンおよび10%の胎牛血清が補充されたTPMI1640培地の中で培養した。
【0228】
細胞を単層培養物として37℃において湿された5%CO雰囲気中で定型的に保った。細胞を1週間に1回トリプシン/EDTA溶液を用いて1:40の分裂比で継代培養した。全ての培地および補充剤はライフ・テクノロジーズ(Life Technologies)から得られた。細胞はゲン−プローブ・マイコプラズマ組織培養キット(Gen−Probe Mycoplasma Tissue Culture kit)(供給業者:バイオメリエウクス(BioMerieux))を用いて測定された際にマイコプラズマ汚染がなかった。細胞をNUNCTM96−ウエル培養プレート(供給業者:ライフ・テクノロジーズ)中に接種しそして一晩にわたりプラスチックに付着させた。プレート培養用に使用された密度は200μl培地の合計容量で、1個のウエル当たり1500個の細胞であった。プレートへの細胞付着後に、培地を交換しそして薬品および/または溶媒を200μlの最終容量となるまで加えた。4日間のインキュベーション後に、培地を200μlの新しい培地により交換しそして細胞密度および生存率をMTT−ベース検定を用いて評価した。各ウエルに、25μlのMTT溶液を加えそして細胞を2時間にわたり37℃においてさらにインキュベートした。培地を次に注意深く吸引しそして25μlのグリシン、その後の100μlのDMSOの添加により青色のMTT−ホルマザン生成物を溶解させた。マイクロテスト・プレートを10分間にわたりマイクロプレート・シェーカー上で振りそして540nmにおける吸収をエマックス(Emax)96−ウエル分光計(供給業者:ソパヘム(Sopachem))を用いて測定した。実験において、各実験条件に関する結果は3回の反復ウエルの平均である。最初のスクリーニング目的のために、化合物を10−6Mの単一の固定濃度において試験した。活性化合物に関しては、実験を繰り返して完全な濃度−応答曲線を作成した。各実験に関して、対照(薬品を含有しない)およびブランクインキュベーション(細胞または薬品を含有しない)を平行実験した。ブランク値は全ての対照および試料値から引き算された。各試料に関して、細胞成長に関する平均値(吸収単位)は対照の細胞成長に関する平均値の百分率として表示された。適宜、IC50−値(細胞成長を対照の50%に減ずるのに必要な薬品の濃度)が等級付けされたデータに関するプロビット分析を用いて計算された(Finney, D.J., Probit Analyses, 2nd Ed. Chapter 10, Graded Responses, Cambridge University Press, Cambridge 1962)。ここでは試験化合物の効果はpIC50(IC50−値の負のLlog値)として表示される(表F−3参照)。
【0229】
実施例C.3:溶解性/安定性
C.3.a.水性媒体中の運動溶解性
第一希釈段階において、DMSO(5mM)中に溶解させた10μlの活性化合物の濃縮貯蔵溶液を100μlのpH7.4の燐酸塩クエン酸塩緩衝液に加えそして混合した。第二希釈段階において、第一希釈段階のアリコート(20μl)を100μlのpH7.4の緩衝液中にさらに分散させそして混合した。最後に、第三希釈段階において、第二希釈段階の試料(20μl)を100μlのpH7.4の燐酸塩クエン酸塩緩衝液中でさらに希釈しそして混合した。全ての希釈は96−ウエルプレート中で行われた。最後の希釈段階直後に、三連続希釈段階の濁度を比濁分析計を用いて測定した。偶発的な誤りを除外するために希釈は各化合物に関して3回行われた。濁度測定に基づき、3種類の等級付けを行う。高い溶解性を有する化合物が3の得点を得、そしてこの化合物に関しては第一希釈物は透明である。中程度の溶解性を有する化合物は2の得点を得た。これらの化合物に関しては、第一希釈物は不透明でありそして第二希釈物は透明である。低い溶解性を有する化合物は1の得点を得、そしてこれらの化合物に関すると第一および第二希釈物の両方とも不透明である(表F−3参照)。
【0230】
C.3.b.溶解性
種々のpHにおける化合物の溶解性は化学的ルミネッセント窒素検知器を使用して測定することもできる(表F−3参照)。
【0231】
実施例C.4:平行人工膜浸透性分析
貯蔵試料(100%DMSO中の5mMの貯蔵溶液10μlのアリコート)を2mlのpH4またはpH7.4の水性緩衝液システム(PSR4システム濃厚溶液(System Solution Concentrate)(pION))を含有する深いウエルまたは予備混合プレート中で希釈した。試料を基準プレートに加える前に、150μlの緩衝液をウエルに加えそしてブランクUV−測定を行った。その後に緩衝液を廃棄しそしてプレートを基準プレートとして使用した。全ての測定をUV−耐性プレート(供給業者:コスター(Costar)またはグレイナー(Greiner))中で行った。基準プレートのブランク測定後に、150μlの希釈された試料を基準プレートに加えそして200μlの希釈された試料をドナープレート1に加えた。
【0232】
アクセプターフィルタープレート1(供給業者:ミリポア(Millipore)、タイプ:MAIP N45)を4μlの人工膜−生成溶液(0.1%の2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノールを含有するドデカン中の1,2−ジオレイル−sn−グリセル−3−ホスホコリン)でコーティングしそしてドナープレート1の頂部に置いて「サンドイッチ」を形成した。緩衝液(200μl)をアクセプターウエル中に分散させた。サンドイッチを蓋で覆いそして18時間にわたり室温において暗所で貯蔵した。アクセプタープレート2のブランク測定は、ウエルへの150μlの緩衝液の添加とその後のUV−測定により、行われた。アクセプタープレート2のブランク測定後に、緩衝液を廃棄しそして150μlのアクセプター溶液をアクセプターフィルタープレート1からアク
セプタープレート2に移した。次に、アクセプターフィルタープレート1をサンドイッチから除去した。ドナープレート2のブランク測定(上記参照)後に、150μlのドナー溶液をドナープレート1からドナープレート2に移した。ドナープレート2、アクセプタープレート2および基準プレートウエルのUVスペクトルを(スペクトラマックス(SpectraMAX)190を用いて)走査した。全てのスペクトルを処理してPSR4pコマンド・ソフトウエアを用いて浸透性を計算した。全ての化合物を3回測定した。カルバマゼピン、グリセオフルビン、アシクログアニシン、アテノロール、フロセミド、およびクロロチアジドを各実験における標準として使用した。化合物は低い浸透性(平均効果<0.5×10−6cm/s;得点1)、中程度の浸透性(1×10−6cm/s>平均効果0.5×10−6cm/s;得点2)または高い浸透性(1×10−6cm/s;得点3)を有するとして3種の範疇に等級付けされた。
【0233】
実施例C.5:代謝安定性
実施例C.5.a.
Gorrd et al.(Xenobiotica 5: 453−462, 1975)に従い組織の機械的ホモジェナイジェーション後の遠心分離により、細胞下組織調合物を製造した。肝臓組織を氷冷0.1Mトリス−HCl(pH7.4)緩衝液中ですすいで過剰の血液を洗浄した。組織を次に乾いた瓶に詰め、重量測定しそして手術鋏を用いて粗く切断した。組織片を3容量の氷冷0.1M燐酸塩緩衝液(pH7.4)中で、テフロン乳棒またはソルボール・オムニ−ミックス・ホモジェナイザー(Sorvall Omni−Mix homogeniser)を装備したポッター−S(Potter−S)(ブラウン(Braun)、イタリー)を用いて7×10秒間にわたりホモジェナイズした。両方の場合とも、容器はホモジェナイゼーション中は氷の中/上に保たれた。
【0234】
組織ホモジェネートを9000×gにおいて20分間にわたり4℃においてソルボール遠心器またはベックマン(Beckman)超遠心器を用いて遠心した。生じた懸濁液を−80℃において貯蔵しそして「S9」と指定した。
【0235】
S9部分を100,000×gにおいて60分間にわたり(4℃)ベックマン超遠心器を用いてさらに遠心した。生じた懸濁液を注意深く吸引し、アリコートにしそして「シトゾル」と指定した。ペレットを0.1M燐酸塩緩衝液(pH7.4)中に0.5gの元の組織重量当り1mlの最終容量で再懸濁させそして「ミクロソーム」と指定した。
【0236】
全ての細胞下部分をアリコートにし、直ちに液体窒素中で凍結しそして使用時まで−80℃において貯蔵した。
【0237】
試験しようとする試料に関しては、インキュベーション混合物をPBS(0.1M)、化合物(5μM)、ミクロソーム(1mg/ml)およびNADPH−発生システム(0.8mMの6−燐酸グルコース、0.8mMの塩化マグネシウムおよび0.8単位の6−燐酸グルコースデヒドロゲナーゼ)を含有していた。対照試料は同じ物質を含有していたがミクロソームは熱不活性化された(摂氏95℃において10分間)ミクロソームにより交換されていた。対照試料中の化合物の回収率は常に100%であった。
【0238】
混合物を5分間にわたり摂氏37℃において予備インキュベートした。反応は時点0(t=0)において0.8mMのNADPの添加により開始されそして試料を15分間(t=15)にわたりインキュベートした。反応を2容量のDMSOの添加により終結させた。次に試料を10分間にわたり900×gにおいて遠心しそして上澄み液を室温において分析前に24時間を越えない時間にわたり貯蔵した。全てのインキュベーションは2回ずつ行われた。上澄み液の分析はLC−MS分析を用いて行われた。試料の溶離はエクステラMS C18(50×4.6mm、5μm、ウォーターズ、米国)上で行われた。アリアンス(Alliance)2790(供給業者:ウォーターズ、米国)HPLCシステムが使用された。溶離は緩衝液A(HO/アセトニトリル(95/5)中の25mMの酢酸アンモニウム(pH5.2)を用いるものであり、溶媒Bはアセトニトリルでありそして溶媒Cは2.4ml/分の流速のメタノールであった。使用された勾配は0%から5分間で50%Bおよび50%Cを越え、1分間で100%Bまでの線状方式での有機相濃度増加であり、そして有機相の濃度はさらに1.5分間にわたり静止状態に保たれた。試料の合計注入容量は25μlであった。
【0239】
ESI源が装着されたクアットロ(Quattro)(供給業者:マイクロマス(Micromass)、マンチェスター、英国)三重四極子質量分光計が検知器として使用された。源および脱溶媒和温度はそれぞれ120および350℃に設定されそして窒素がネブライザーおよび乾燥用気体として使用された。データは正の走査方式(単一イオン反応)で得られた。円錐電圧は10Vに設定されそして滞在時間は1秒間であった。
【0240】
代謝安定性は活性ミクロソーム類の存在下における15分間のインキュベーション後の化合物の%代謝(E(act))として表示された
【0241】
【数1】

【0242】
であった。20%より低い代謝率を有した化合物は高度に代謝安定性であると定義された。20〜70%の間の代謝を有した化合物は中程度に安定性であると定義されそして70より高い代謝率を示した化合物は低い代謝安定性であると定義された。ベラパミルが低い代謝安定性(%代謝=73%)を有する化合物として含まれた。シサプリドが中程度の代謝安定性(%代謝45%)を有する化合物として含まれそしてプロパノールが中程度ないし高い代謝安定性(25%代謝)を有する化合物として含まれた。これらの対比化合物は代謝安定性検定を評価するために使用された。
【0243】
C.5.b:ラット肝細胞の細胞培養を用いる代謝安定性
ラットの肝細胞を雄のスプラーグ・ドウリー(Sprague Dowley)ラットから単離した。化合物を100%DMSO中5mM貯蔵溶液に溶解させそして5μMの最終濃度において0、15、30、60および120分間にわたり肝細胞の細胞培養物(50万個の生存細胞/0.5ml)と共に24−ウエルプレートを用いてインキュベートした。
【0244】
試料をLC−MS用に2種の容量のDMSOの添加により製造した。試料を充分に振りそして引き続き900gにおいて10分間にわたり(室温)遠心した。全ての実験を3回ずつ行った。生じた上澄み液の中で、50μlをLC−MSにより分析した。
【0245】
LC−MS用に、試料の溶離をハイパーシル(Hypersil)BDS C18カラム(50×4.6mm、5μm、サーモハイパーシル(Thermohypersil)、英国)上で行った。HPLCシステムはサーベイヤー(Surveyor)自動試料採取装置を装着したサーベイヤー分配システム(サーベイヤー・インコーポレーテッド(Surveyor Inc.)、サンノゼ、米国)を含んでなっていた。溶離は緩衝液A(HO/アセトニトリル(95/5)中の10mMの酢酸アンモニウム(pH6.9)および1.2ml/分の流速の溶媒B(アセトニトリル)を用いるものであった。使用された勾配は出発条件としての0.5分間の溶媒Aからであり、引き続き有機相濃度を2分間にわたり0%Bから95%Bまでの線状方式で増加させた。この相はさらに2分間にわた
り静止状態に保たれそして0.5分間で0%Bに再び減じられた。
【0246】
試料の合計注入容量は50μlであった。カラムオーブン温度は40℃に保たれた。LC流はMS検知用に分離されそして0.1mlを源の中に入れた。ESI源が装着された三重四極子質量分光計(サーモフィニガン(Thermofinnigan)、ラヨラ、米国)質量分光計が検知のために使用された。源電圧は3800Vに設定され、毛管温度は300℃に設定された。質量分光計は定量化目的のための1Daの走査幅を有するM+Hの質量に調節されたSIM中で正のイオン方式で操作された。器具調節、データ獲得および処理はエクスカリブル(Xcalibur)ソフトウエア(サーモフィニガン、サンノゼ、カリフォルニア州、米国)を用いて行われた。ラット肝細胞中の化合物の代謝安定性はインビトロ半減期として表示された。
【0247】
対照として、化合物R306465(国際公開第03/76422号明細書)が使用された(インビトロ半減期:8分間)。本出願の化合物4が試験されそして23分間のインビトロ半減期を有していた。
【0248】
実施例C.6:p21誘発能力
実施例C.6.a:p21酵素結合された免疫吸収剤検定
下記のプロトコールがヒトA2780卵巣癌腫細胞内のp21蛋白質発現水準を測定するために適用された。A2780細胞(20000個の細胞/180μl)を、2mMのL−グルタミン、50μg/mlのゲンタマイシンおよび10%の胎牛血清が補充されたRPMI1640培地中の96マイクロウエルプレートに接種した。細胞溶解の24時間前に、化合物を10−5、10−6、10−7および10−8Mの最終濃度において加えた。試験した全ての化合物をDMSO中に溶解させそしてさらなる希釈を培養培地中で行った。化合物添加の24時間後に、上澄み液を細胞から除去した。細胞を200μlの氷冷PBSで洗浄した。ウエルを吸引しそして30μlの溶解緩衝液(50mMのトリス.HCl(pH7.6)、150mMのNaCl、1%のノニデット(Nonidet)p40および10%のグリセロール)を加えた。プレートを一晩にわたり−70℃においてインキュベートした。
【0249】
適当な数のマイクロタイターをホイルポーチから除去しそして空のウエルホルダー中に入れた。洗浄緩衝液(20×プレート洗浄濃縮物:100mlのPBSの20倍濃度溶液および界面活性剤。2%のクロロアセとアミドを含有)の作用溶液(1×)を製造した。凍結乾燥したp21WAF標準を蒸留HOで再構成しそして試料希釈剤(キット内に準備された)でさらに希釈した。
【0250】
それらを試料希釈剤中で1:4に希釈することにより試料を製造した。試料(100μl)およびp21WAF1標準(100μl)をピペットで適当なウエル中に加えそして室温において2時間にわたりインキュベートした。ウエルを1×洗浄緩衝液で3回洗浄しそして次に100μlの検知剤である抗体試薬(ビオチニル化されたモノクローン性p21WAF1抗体)をピペットで各ウエル中に加えた。ウエルを室温において1時間にわたりインキュベートしそして次に1×洗浄緩衝液で洗浄した。400×抱合体(ペロキシダーゼ・ストレプタビジン抱合体:400倍に濃縮された溶液)を希釈しそして100μlの1×溶液をウエルに加えた。ウエルを室温において30分間にわたりインキュベートしそして次に1×洗浄緩衝液で3回そして蒸留HOで1回洗浄した。基質溶液(クロモジェン基質)(100μl)をウエルに加えそしてウエルを30分間にわたり暗所で室温においてインキュベートした。停止溶液を各ウエルに以前に加えられた基質溶液と同じ順序で加えた。各ウエル内の吸収を分光計プレート読み取り器を用いて450/595nmの二重波長において測定した。各実験に関して、対照(薬品を含有しない)およびブランクインキュベーション(細胞または薬品を含有しない)を平行実験した。ブランク値は全ての対照および試料値から引き算された。各試料に関して、p21WAF1誘発に関する値(吸収単位)は対照内に存在するp21WAF1の値の百分率として表示される。130%より高い誘発率は有意な誘発として定義される。4種の化合物を試験しそして全てが有意な誘発を示した。
【0251】
実施例C.6.b.:細胞方法
A2780細胞(ATCC)を、10%のFCS、2mMのL−グルタミンおよびゲンタマイシンが補充されたRPMI1640培地中で37℃において5%COで湿らされたインキュベーター中で培養した。全ての細胞培養溶液はギブコ−BRL(Gibco−BRL)(ガイサーズブルグ、メインランド州)により提供された。他の物質はヌンク(Nunc)により提供された。
【0252】
ゲノムDNAを増殖中のA2780細胞から抽出しそしてp21プロモーターの巣状にされたPCR単離用の鋳型として使用した。第一回増殖は20周期にわたり55℃のアニーリング温度においてオリゴヌクレオチド対であるGAGGGCGCGGTGCTTGGおよびTGCCGCCGCTCTCTCACCを使用して鋳型としてゲノムDNAを用いて行われた。TATAボックスに関して−4551〜+88断片を含有する生じた4.5kb断片を20周期にわたり88℃においてアニーリングしながらオリゴヌクレオチド類であるTCGGGTACCGAGGGCGCGGTGCTTGGおよびATACTCGAGTGCCGCCGCTCTCTCACCを用いて再増殖させて4.5kb断片を生じそして引き続きオリゴヌクレオチド対であるTCGGGTACCGGTAGATGGGAGCGGATAGACACATCおよびATACTCGAGTGCCGCCGCTCTCTCACCを用いて再増殖させてTATAボックスに関して−1300〜+88断片を含有する1.3kb断片を生じた。オリゴヌクレオチド類内に存在する制限部位XhoIおよびKpnI(下線が引かれた配列)がサブクローニング用に使用された。
【0253】
ルシフェラーゼレポーターがpGL3−塩基から除去されそしてZsGreenレポーター(pZsGreen1−N1プラスミドから)によりKpnIおよびXbal制限部位において置換された。KpnIおよびXbal制限部位におけるpGL3−塩基性−ZsGreen中へのヒトp21プロモーター領域の上記の1.3kb断片の挿入により、pGL3−塩基性−ZsGreen−1300を再構成した。全ての制限酵素はベーリンゲル・マンハイム(Boehringer Manheim)(ドイツ)により提供された。A2780細胞を6−ウエルプレート中で2×10個の細胞の密度においてプレート培養し、24時間にわたりインキュベートし、そして2μgのpGL3−塩基性−ZsGreen−1300および0.2μgのpSV2neoベクターを用いて製造業者により記載された通りにしてリポフェクタミン(Lipofectamine)2000(インビトロゲン(Invitrogen)、ブリュッセル、ベルギー)を使用することによりトランスフェクトした。トランスフェクトされた細胞を10日間にわたりG418(ギブコ−BRL、ガイサーズブルグ、メインランド州)を用いて選択しそして単独細胞懸濁液を成長させた。3週間後に、単独クローン類が得られた。
【0254】
A2780選択されたクローン類を発達させそして1個のウエル当たり10000個の細胞で96−ウエルプレート中に接種した。接種の24時間後に、細胞をさらに24時間にわたり(基部p21プロモーター領域内のsp1部位に影響を与える)化合物で処理した。引き続き、細胞を4%PFAで30’にわたり固定しそしてヘキスト(Hoechst)染料で対比染色した。ZsGreen生成およびその結果としての蛍光をもたらすp21プロモーター活性化をアセント・フルオロスカン(Ascent Fluoroskan)(サーモ・ラブシステムズ(Thermo Labsystems)、ブリュッセル、ベルギー)により監視した。
【0255】
各実験に関して、対照(薬品を含有しない)およびブランクインキュベーション(細胞または薬品を含有しない)を平行実験した。ブランク値は全ての対照および試料値から引き算された。各試料に関して、p21WAF1誘発に関する値(吸収単位)は対照内に存在するp21WAF1の値の百分率として表示される。130%より高い誘発率は有意な誘発として定義される。26種の化合物を試験しそして全てが有意な誘発を示した。
【0256】
実施例C.6.c.:インビボ方法
選択されたクローンをヌードマウスの脇腹に皮下注射し(10個の細胞/200μl)そして12日後にカリバスで測定可能な腫瘍が得られた。12日目から、動物に経口的または静脈内に毎日6日間にわたり溶媒および20−40mpkの化合物(各々4−10匹の動物)を投薬した。腫瘍を蛍光に関して社内で開発された自動化された全身映像化システム(Automated Whole Body Imaging System)(GFPフィルターが装着されそしてナショナル・インスツルメンツ(National Instruments)(R)からのIMAQヴィジョンソフトウエアに基づくソフトウエアパッケージにより調節されるCCDカメラタイプJAI(R)CV−M90に連結された蛍光立体顕微鏡タイプであるオリンパス(Olympus)(R)SZX12)により評価した。対照として、化合物R306465(国際公開第03/76422号パンフレット)が使用された。化合物は、不活性(蛍光が測定可能でない)、R306465より弱い、同一であるまたはより良好であると等級付けされた。化合物1が試験されそして経口投与後にR306465より良好であった。
【0257】
実施例C.7:P450阻害能力
試験した全ての化合物をDMSO(5mM)中に溶解させそして5 10−4Mへのさらなる希釈をアセトニトリル中で行った。さらなる希釈は検定緩衝液(0.1MのNaK燐酸塩緩衝液pH7.4)中で行われそして最終的な溶媒濃度は2%より高くてはならなかった。
【0258】
CYP3A4蛋白質に関する検定は1個のウエル当たり15pモルのP450/mgの蛋白質(0.01MのNaK燐酸塩緩衝液+1.15%のKCl中)、NADPH生成システム(検定緩衝液中の3.3mMの6−燐酸グルコース、0.4U/mlの6−燐酸グルコースデヒドロゲナーゼ、1.3mMのNADPおよび3.3mMのMgCl.6HO)および100μlの合計検定容量の化合物を含んでなる。37℃における5分間の予備−インキュベーション後に、検定緩衝液中への150μMの蛍光プローブ基質BFCの添加により酵素反応を開始させた。室温における30分間のインキュベーション後に、2容量のアセトニトリルの添加後に反応を終結させた。蛍光測定を405nmの励起波長および535nmの発光波長において行った。ケトコナゾール(IC50−値=3×10−8M)がこの実験において対比化合物として含まれた。
【0259】
CYP2D6蛋白質に関する検定は1個のウエル当たり6pモルのP450/mgの蛋白質(0.01MのNaK燐酸塩緩衝液+1.15%のKCl中)、NADPH生成システム(検定緩衝液中の0.41mMの6−燐酸グルコース、0.4U/mlの6−燐酸グルコースデヒドロゲナーゼ、0.0082mMのNADPおよび0.41mMのMgCl.6HO)および100μlの合計検定容量の化合物を含んでなる。37℃における5分間の予備−インキュベーション後に、検定緩衝液中への3μMの蛍光プローブ基質AMMCの添加により酵素反応を開始させた。室温における45分間のインキュベーション後に、2容量のアセトニトリルの添加後に反応を終結させた。蛍光測定を405nmの励起波長および460nmの発光波長において行った。キニジン(IC50−値<5×10−8M)がこの実験において対比化合物として含まれた。
【0260】
CYP2C9蛋白質に関する検定は1個のウエル当たり15pモルのP450/mgの
蛋白質(0.01MのNaK燐酸塩緩衝液+1.15%のKCl中)、NADPH生成システム(検定緩衝液中の3.3mMの6−燐酸グルコース、0.4U/mlの6−燐酸グルコースデヒドロゲナーゼ、1.3mMのNADPおよび3.3mMのMgCl.6HO)および100μlの合計検定容量の化合物を含んでなる。37℃における5分間の予備−インキュベーション後に、検定緩衝液中への200μMの蛍光プローブ基質MFCの添加により酵素反応を開始させた。室温における30分間のインキュベーション後に、2容量のアセトニトリルの添加後に反応を終結させた。蛍光測定を405nmの励起波長および535nmの発光波長において行った。スルファフェナゾール(IC50−値=6.8×10−7M)がこの実験において対比化合物として含まれた。
【0261】
最初のスクリーニング目的のために、化合物を1×10−5Mの単一の固定された濃度で試験した。活性化合物に関しては、実験を繰り返して完全な濃度−応答曲線を作成した。各実験に関して、対照(薬品を含有しない)およびブランクインキュベーション(酵素または薬品を含有しない)を平行実験した。全ての化合物を四重に検定した。ブランク値は全ての対照および試料値から引き算された。各試料に関して、試料のP450活性の平均値(相対的な蛍光単位)は対照のP450活性の平均値の百分率として表示された。阻害率は100%マイナス試料のP450活性の平均値として表示された。適宜、IC50−値(P450活性を対照の50%に減ずるのに必要な薬品の濃度)が計算された。
【0262】
【表7】

【0263】
D.組成物実施例:フィルム−コーティングされた錠剤
錠剤芯の製造
100gの式(I)の化合物、570gのラクトースおよび200gの澱粉の混合物を良く混合しそしてその後に5gのドデシル硫酸ナトリウムおよび10gのポリビニル−ピロリドンの約200mlの水中溶液を用いて湿らせる。湿った粉末混合物をふるいにかけ、乾燥しそして再びふるいにかける。次に、100gの微結晶性セルロースおよび15gの水素化された植物油を加える。全体を良く混合しそして錠剤に圧縮して、各々が10mgの式(I)の化合物を含んでなる10,000個の錠剤を与える。
【0264】
コーティング
10gのメチルセルロースの75mlの変性エタノール中溶液に5gのエチルセルロースの150mlのジクロロメタン中溶液を加える。次に、75mlのジクロロメタンおよ
び2.5mlの1,2,3−プロパントリオールを加え、10gのポリエチレングリコールを溶融しそして75mlのジクロロメタン中に溶解させる。後者の溶液を前者に加えそして次に2.5gのオクタデカン酸マグネシウム、5gのポリビニル−ピロリドンおよび30mlの濃縮された着色懸濁液を加えそして全体をホモジェネートする。コーティング装置中で錠剤芯をこのようにして得られた混合物でコーティングする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

[式中、
各Xは独立してNまたはCHであり、
はフェニル、ナフタレニルまたはヘテロシクリルであり、ここで
該フェニルまたはナフタレニルの各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキル、アリール、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシメチル、アミノメチル、C1−6アルキルアミノメチル、C1−6アルキルカルボニルアミノメチル、C1−6アルキルスルホニルアミノメチル、アミノスルホニル、C1−6アルキルアミノスルホニルまたはヘテロシクリルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、
は水素、−CH−R、トリフルオロメチル、−C(=O)−R、または−CH−NRであり、ここで
各Rは水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イミダゾリルまたはトリアゾリルから独立して選択され、
各Rはヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、C1−6シクロアルキルアミノ、ヒドロキシC1−6アルキルアミノ、ピペラジニル、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルアミノ、N−メチルピペラジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルから独立して選択され、
各RおよびRは水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルスルホニル、またはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノスルホニルから独立して選択され、
は水素、ヒドロキシメチル、アミノメチルまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノメチルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
上記におけるアリールはフェニルまたはナフタレニルであり、ここで
該フェニルまたはナフタレニルの各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、トリフルオロメチル、シアノまたはヒドロキシカルボニルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、そして
上記におけるヘテロシクリルはフラニル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキソリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチアゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、トリチアニル、インドリジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、シ
ンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニルまたはナフチリジニルであり、ここで
該複素環の各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、モノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよい]
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な付加塩および立体化学的異性体形態。
【請求項2】
各XがNであり、Rがフェニルまたは場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキルまたはアリールで置換されていてもよいフェニルであり、Rが−CH−Rまたは−C(=O)−Rであり、各Rが水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルカルボニルオキシ、N−メチルピペラジニル、モルホリニルまたはイミダゾリルから独立して選択され、各RがC1−6アルキルアミノ、C1−6シクロアルキルアミノ、ヒドロキシC1−6アルキルアミノ、ジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルアミノまたはモルホリニルから独立して選択され、Rが水素でありそしてRが水素またはC1−6アルキルである請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
各XがNであり、Rがフェニルまたはハロで置換されたフェニルであり、Rが−CH−Rであり、各Rが水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、またはC1−6アルキルカルボニルオキシから独立して選択され、Rが水素であり、そしてRが水素である請求項1および2に記載の化合物。
【請求項4】
該化合物が化合物番号1、化合物番号8、化合物番号11、化合物番号9、化合物番号33、化合物番号34、化合物番号7または化合物番号25である請求項1、2および3に記載の化合物。
【表1】

【請求項5】
製薬学的に許容可能な担体および活性成分としての治療的に有効な量の請求項1〜4に記載の化合物を含んでなる製薬学的組成物。
【請求項6】
製薬学的に許容可能な担体および請求項1〜4に記載の化合物を緊密に混合する請求項5に記載の製薬学的組成物の製造方法。
【請求項7】
薬品としての使用のための請求項1〜4のいずれかに記載の化合物。
【請求項8】
増殖性疾患の処置用の薬品の製造のための請求項1〜4のいずれかに記載の化合物の使用。
【請求項9】
抗癌剤および請求項1〜4のいずれかに記載のHDAC阻害剤の組み合わせ。
【請求項10】
式(II)の中間体を適当な酸と反応させて式(I)のヒドロキサム酸を生成せしめることを特徴とする、請求項1に記載の化合物の製造方法。
【化2】

【請求項11】
式(V)
【化3】

[式中、
各Xは独立してNまたはCHであり、
はフェニル、ナフタレニルまたはヘテロシクリルであり、ここで
該フェニルまたはナフタレニルの各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、ポリハロC1−6アルキル、アリール、ヒドロキシ、シアノ、アミノ、C1−6アルキルカルボニルアミノ、C1−6アルキルスルホニルアミノ、ヒドロキシカルボニル、C1−6アルキルオキシカルボニル、ヒドロキシC1−6アルキル、C1−6アルキルオキシメチル、アミノメチル、C1−6アルキルアミノメチル、C1−6アルキルカルボニルアミノメチル、C1−6アルキルスルホニルアミノメチル、アミノスルホニル、C1−6アルキルアミノスルホニルまたはヘテロシクリルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、
は水素、−CH−R、トリフルオロメチル、−C(=O)−R、または−CH−NRであり、ここで
各Rは水素、ヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルオキシC1−6アルキルオキシ、C1−6アルキルカルボニルオキシ、ピペラジニル、N−メチルピペラジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、イミダゾリルまたはトリアゾリルから独立して選択され、
各Rはヒドロキシ、C1−6アルキルオキシ、アミノまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノ、C1−6シクロアルキルアミノ、ヒドロキシC1−6アルキルアミノ、ピペラジニル、モノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノC1−6アルキルアミノ、N−メチルピペラジニル、モルホリニルまたはチオモルホリニルから独立して選択され、
各RおよびRは水素、C1−6アルキル、C1−6アルキルカルボニル、C1−6アルキルスルホニル、またはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノスルホニルから独立して選択され、
は水素、ヒドロキシメチル、アミノメチルまたはモノ−もしくはジ(C1−6アルキル)アミノメチルであり、
は水素またはC1−6アルキルであり、
上記におけるアリールはフェニルまたはナフタレニルであり、ここで
該フェニルまたはナフタレニルの各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、トリフルオロメチル、シアノまたはヒドロキシカルボニルから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよく、そして
上記におけるヘテロシクリルはフラニル、チエニル、ピロリル、ピロリニル、ピロリジニル、ジオキソリル、オキサゾリル、チアゾリル、イミダゾリル、イミダゾリニル、イミダゾリジニル、ピラゾリル、ピラゾリニル、ピラゾリジニル、イソキサゾリル、イソチア
ゾリル、オキサジアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、ピラニル、ピリジニル、ピペリジニル、ジオキサニル、モルホリニル、ジチアニル、チオモルホリニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピペラジニル、トリアジニル、トリチアニル、インドリジニル、インドリル、インドリニル、ベンゾフラニル、ベンゾチオフェニル、インダゾリル、ベンズイミダゾリル、ベンズチアゾリル、プリニル、キノリジニル、キノリニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニルまたはナフチリジニルであり、ここで
該複素環の各々は場合によりハロ、C1−6アルキル、C1−6アルキルオキシ、シアノ、アミノ、またはモノ−もしくはジ(C1−4アルキル)アミノから各々独立して選択される1個もしくは2個の置換基で置換されていてもよい]
の化合物、そのN−オキシド形態、製薬学的に許容可能な付加塩および立体化学的異性体形態。
【請求項12】
a)ここで式(V−a)の化合物と称するRが−CHOHでありそしてRが水素である式(V)の化合物を、既知の反応または官能基変換により、ここで式(V−b)の化合物と称するRが−CHOH以外である式(V)の化合物に転化し、そして
【化4】

b)式(VI)の中間体を1,4−ジオキサン−2,5−ジオールおよび式(VII)[式中、Rは以上で定義された通りである]の適当なボロン酸(boronic acid)と反応させることにより式(V−a)の化合物を一段階で製造し、或いは
【化5】

c)式(VI)の中間体を式(VIII)[式中、RおよびRは以上で定義された通りである]の適当なケトンと反応させることにより式(V−b)の化合物を製造し、
【化6】

d)式(VI)の中間体を適当な溶媒中で2−オキソ−プロパン酸および式(VII)[式中、Rは以上で定義された通りである]の適当なボロン酸と反応させそして既知の反応または官能基変換によりRが−C(=O)−Rである式(V)の中間体にさらに転化することにより、ここで式(V−c)の化合物と称するRが−COOHである式(V)の化合物を一段階で製造する
【化7】

ことを特徴とする、請求項11に記載の化合物の製造方法。

【公表番号】特表2008−508234(P2008−508234A)
【公表日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−523072(P2007−523072)
【出願日】平成17年7月25日(2005.7.25)
【国際出願番号】PCT/EP2005/053611
【国際公開番号】WO2006/010749
【国際公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】