説明

ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの三環式阻害剤

本発明は、式(I)中のR1、R2、R3、W、X、Y、Z、m、n、およびpが明細書に定義の通りである、式(I)の三環式化合物、ならびにこれを含む薬学的組成物、ならびにヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(例えば、11-HSD1)に関連する状態を治療するための本発明の化合物および組成物の使用方法、ならびにヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼに関連する状態を治療するための薬剤の調製における本発明の化合物の使用方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、11β-HSD1などのヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを調節するための方法における、ならびに糖尿病および肥満などのヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に関連する疾患を治療または予防するための方法における、新規化合物、組成物、およびいずれかの使用に向けられる。この方法は、それを必要としている患者への三環式化合物の治療的有効量の投与を含む。新規三環式化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、立体異性体、もしくはプロドラッグが本明細書において提示される。
【背景技術】
【0002】
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)は、ステロイドホルモンをそれらの不活性代謝物に変換することにより、ステロイドホルモン受容体の占有率および活性化を調節する。最近の総説については、Nobel et al., Eur. J. Biochem. 2001, 268:4113-4125を参照されたい。
【0003】
HSDには多くのクラスがある。11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD)は活性グルココルチコイド(コルチゾールおよびコルチコステロンなど)と、それらの非活性体(コルチゾンおよび11-デヒドロコルチコステロンなど)との相互変換を触媒する。アイソフォーム11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(11β-HSD1)は肝臓、脂肪組織、骨格筋、骨、脳、肺および他のグルココルチコイド組織で発現され、糖尿病、肥満、および加齢性認知機能不全などの、グルココルチコイド作用の低下により改善しうる多くの障害に対する治療法の標的となる可能性がある。Seckl, et al., Ehdocrinology, 2001, 142:1371-1376。
【0004】
グルココルチコイドが糖尿病発症において中心的役割を果たしていること、およびグルココルチコイドがグルカゴンの肝臓への作用を可能にすることは周知である。Long et al., J. Exp. Med. 1936, 63:465-490;およびHoussay, Endocrinology 1942, 30:884-892。加えて、11β-HSD1が局所グルココルチコイド作用および肝臓でのグルコース産生の調節において重要な役割を果たしていることは十分に実証されている。Jamieson et al., J. Endocrinol. 2000, 165:685-692。
【0005】
さらに、糖尿病治療におけるHSDの作用メカニズムの仮説は、マウスやラットで行われた様々な実験によって裏付けられている。これらの試験から、肝グルコース産生における2つの重要な酵素、ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ(PEPCK)およびグルコース-6-ホスファターゼ(G6Pアーゼ)のmRNAレベルおよび活性はHSD阻害剤の投与後に下がることが明らかにされた。加えて、血糖レベルおよび肝グルコース産生は11β-HSD1ノックアウトマウスでは低いことが示された。このマウスノックアウトモデルを用いて集めた他のデータにより、PEPCKおよびG6Pアーゼの基底レベルはグルココルチコイドとは無関係に調節されるため、11β-HSD1の阻害が低血糖を引き起こすことはないことも確認されている。Kotelevtsev et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1997, 94:14924-14929。
【0006】
HSDは肥満においても役割を果たしている。肥満は、X症候群ならびにII型(インスリン非依存性)糖尿病における重要な因子で、腹部脂胖症は糖不耐性、高インスリン血症、高トリグリセリド血症、およびX症候群の他の因子(例えば、高血圧、低HDLレベル、および高VLDLレベル)と関連づけられているため、大網脂肪はこれらの疾患両方の発症において最も重要であると思われる。Montague et al., Diabetes 2000, 49:883-888。前脂肪細胞(ストローマ細胞)において11β-HSDを阻害すると、脂肪細胞への分化の速度低下が起こることも報告されている。これは大網脂肪蓄積の拡大減少(おそらくは低減)を引き起こし、それによって中心性肥満の低減を引き起こしうることが予想される。Bujalska et al., Lancet 1997, 349:1210-1213。
【0007】
Halleux et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 1999, 84:4097-4105に報告されたとおり、成熟脂肪細胞における11β-HSD1の阻害は、独立の心血管危険因子であるプラスミノゲン活性化因子阻害剤1(PAI-1)の分泌を減弱すると予想される。加えて、グルココルチコイド活性と特定の心血管危険因子との間に相関性があることが示されている。これは、グルココルチコイド作用の低下は特定の心血管疾患の治療または予防において有益であることを示唆するものである。Walker et al., Hypertension 1998, 31:891-895;およびFraser et al., Hypertension 1999, 33:1364-1368。
【0008】
HSDは食欲制御の過程にも関連するとされており、したがって体重関連障害においてさらなる役割を果たすと考えられる。副腎摘出が食物摂取と視床下部神経ペプチドY発現の両方ともを高めるように絶食の効果を減弱することが知られている。これは、グルココルチコイドが食物摂取の促進において役割を果たすこと、および脳内の11β-HSD1の阻害が満腹感を高め、したがって食物摂取の低下を来すことを示唆するものである。Woods et al., Science 1998, 280:1378-1383。
【0009】
HSDの調節に関連する、可能性のある別の治療効果は、様々な膵栄養物に関連するものである。マウス膵β細胞における11β-HSD1の阻害がインスリン分泌を高めることが報告されている。Davani et al., J. Biol. Chem. 2000, 275:34841-34844。これは、以前に判明していた、グルココルチコイドがインビボでの膵インスリン放出低下の原因であるとの発見に続くものである。Billaudel et al., Horm. Metab. Res. 1979, 11:555-560。したがって、11β-HSD1の阻害は、予想される肝臓への効果および脂肪減少効果以外の、糖尿病治療における他の有益な効果を生じることが示唆される。
【0010】
11β-HSD1は脳内のグルココルチコイド活性も調節し、したがって神経毒性に寄与する。Rajan et al., Neuroscience 1996, 16:65-70;およびSeckl et al., Neuroendocrinol. 2000, 18:49-99。ストレスおよび/またはグルココルチコイドは認知機能に影響をおよぼすことが知られており(de Quervain et al., Nature 1998, 394:787-790)、未発表の結果より、非特異的11β-HSD阻害剤で治療したラットにおいて有意な記憶改善が示されている。これらの報告は、脳内のグルココルチコイドの公知の作用に加えて、脳内のHSDを阻害することで不安および関連状態に対するプラスの治療効果が得られることを示唆している。Tronche et al., Nature Genetics 1999, 23:99-103。11β-HSD1は海馬細胞において11-DHCをコルチコステロンへと再活性化し、キナーゼ神経毒性を強化して、加齢性学習障害を引き起こすこともある。したがって、11β-HSD1の選択的阻害剤は、加齢に伴う海馬機能低下に対して保護すると考えられる。Yau et al., Proc Natl. Acad. Sci. USA 2001, 98:4716-4721。したがって、ヒト脳内の11β-HSD1の阻害は、認知障害、うつ、および食欲亢進などの神経機能への有害なグルココルチコイド仲介性作用に対して保護するとの仮説が立てられている。
【0011】
HSDは、グルココルチコイドは免疫系を抑制するとの一般的な認識に基づき、免疫調節において役割を果たすと考えられる。免疫系とHPA(視床下部下垂体副腎)系との間に力学的相互作用があることが知られており(Rook, Baillier's Clin. Endocrinol. Metab. 2000, 13:576-581)、グルココルチコイドは細胞性応答と液性応答との間のバランスを取る助けとなる。ストレスによって誘導されうるグルココルチコイド活性の亢進は液性応答に関連し、したがって11β-HSD1の阻害は応答を細胞に基づく(cell-based)反応へとシフトさせることもある。結核、ライ、および乾癬などの特定の疾患状態において、免疫反応は典型的に、細胞に基づく反応がより適当である場合にも、液性応答に偏っている。これらの場合に細胞に基づく応答に向かわせるための使用について、11β-HSD1の阻害の研究が行われている。Mason, Immunology Today 1991, 12:57-60。したがって、11β-HSD1阻害の代替の用途は、免疫化に関連する一時的な免疫応答を強化して、細胞に基づく応答が確実に得られるようにすることであると考えられる。
【0012】
最近の報告から、グルココルチコイド標的受容体およびHSDのレベルは緑内障を発症するリスクに関連していることが示唆される。Stokes et al., Invest. Ophthalmol. 2000, 41:1629-1638。さらに、11β-HSD1の阻害と眼内圧低下との間の関連が報告された。1999年6月12〜15日、San DiegoでのEndocrine Society meeting、ポスターP3-698、Walker et al.。非特異的11β-HSD1阻害剤、カルベノキソロンの投与は、健常患者において眼内圧の20%の低下を引き起こすことが示された。眼内で、11β-HSD1は角膜上皮の基底細胞、角膜の非色素上皮(non-pigmented epithelialium)(房水産生部位)、毛様体筋、ならびに虹彩の括約筋および散大筋においてもっぱら発現される。これとは対照的に、遠縁のイソ酵素11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型(「11β-HSD2」)は非色素毛様体上皮および角膜内皮で高度に発現される。房水流出部位の小柱網ではHSDは見いだされていない。したがって、11β-HSD1は房水産生において役割を有することが示唆される。
【0013】
グルココルチコイドは骨格の発生および機能においても必須の役割を果たすが、過剰にあるとそのような発生および機能にとって有害である。グルココルチコイド誘導性の骨損失は、部分的には骨芽細胞増殖およびコラーゲン合成の抑制に由来する。Kim et al., J. Endocrinol. 1999, 162:371-379。グルココルチコイドの骨小結節形成に対する有害作用は、非特異的11β-HSD1阻害剤であるカルベノキソロンの投与によって減弱することができる。Bellows et al., Bone 1998, 23:119-125。さらなる報告により、11β-HSD1は破骨細胞における活性グルココルチコイドのレベルを高め、したがって骨再吸収を促進する役割を担っていることが示唆される。Cooper et al., Bone 2000, 27:375-381。このデータは、11β-HSD1の阻害が、並行して作用しうる1つまたは複数のメカニズムを介して、骨粗鬆症に対し有益な効果を有することを示唆するものである。
【0014】
胆汁酸が11β-HSD2を阻害すること、およびそのような阻害がコルチゾール/コルチゾンの平衡をコルチゾールの方にシフトさせることが知られている。Quattropani et al., J. Clin. Invest. Nov. 2001, 108:1299-305。したがって、11β-HSD2の肝臓における活性低下は、コルチゾール/コルチゾンの平衡をコルチゾンの方に逆行させ、それにより高血圧などの疾患における治療上の利益が得られると予想される。
【0015】
17-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β-HSD)の様々なアイソザイムはアンドロゲン受容体またはエストロゲン受容体に結合し、エストラジオール/エストロンおよびテストステロン/アンドロステンジオンを含む様々な性ホルモンの相互変換を触媒する。今日までに、ヒトにおいて6つのアイソザイムが同定されており、これらは子宮内膜組織、乳房組織、結腸組織、および精巣を含む様々なヒト組織で発現される。17-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型(17β-HSD2)はヒト子宮内膜で発現され、その活性は子宮頸癌に関連することが報告されている。Kitawaki et al., J. Clin. Endocrin. Metab., 2000, 85:3292-3296。17-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ3型(17β-HSD3)は精巣で発現され、その調節はアンドロゲン関連障害の治療のために有用でありうる。
【0016】
アンドロゲンおよびエストロゲンはそれらの17β-ヒドロキシ配置で活性であるが、それらの17-ケト誘導体はアンドロゲンおよびエストロゲン受容体に結合せず、したがって不活性である。性ホルモンの活性体と不活性体(エストラジオール/エストロンおよびテストステロン/アンドロステンジオン)との間の変換は、17β-HSDファミリーのメンバーによって触媒される。17β-HSD1は乳房組織において、悪性乳房腫瘍の成長にとって重要なエストラジオールの生成を触媒する。Labrie et al., Mol. Cell. Endocrinol. 1991, 78:C113-C118。同様の役割が結腸癌における17β-HSD4に対して示唆されている。English et al., J. Clin. Endocrinol. Metab. 1999, 84:2080-2085。17β-HSD3はほぼ精巣でのみ発現され、アンドロステンジオンをテストステロンに変換する。胎児発生中にこの酵素が不足すると、雄性の偽雌雄同体現象が起こる。Geissler et al., Nat. Genet. 1994, 7:34-39。17β-HSD3および様々な3α-HSDアイソザイムは、アンドロゲンの不活性体と活性体との間のシャッフルを引き起こす複雑な代謝経路に関与している。Penning et al., Biochem. J. 2000, 351:67-77。したがって、特定のHSDの調節は、アンドロゲンおよびエストロゲン関連障害の治療において有益な効果を有する可能性がある。
【0017】
20-α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(20α-HSD)はプロゲスチンの相互変換(プロゲステロンと20α-ヒドロキシプロゲステロンとの間など)を触媒する。20α-HSDの他の基質には、17α-ヒドロキシプレグネノロンおよび17α-ヒドロキシプロゲステロンが含まれ、20α-OHステロイドを生じる。いくつかの20α-HSDアイソフォームが同定されており、20α-HSDは胎盤、卵巣、精巣および副腎を含む様々な組織で発現される。Peltoketo, et al., J. Mol. Endocrinol. 1999, 23:1-11。
【0018】
3-α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α-HSD)は、アンドロゲン、ジヒドロテストステロン(DHT)と5α-アンドロスタン-3α,17β-ジオールとの相互変換およびアンドロゲン、DHEAとアンドロステンジオンとの相互変換を触媒する。したがって、3α-HSDはアンドロゲン代謝において重要な役割を果たす。Ge et al., Biology of Reproduction 1999, 60:855-860。
【0019】
HSD阻害の分野で行われた以前の研究にもかかわらず、HSDの様々なファミリーの強力な阻害剤であり、糖尿病、肥満、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、免疫異常(immune disorder)、うつ、高血圧などのHSD仲介性状態を治療するために有効な、新規化合物がいまだに必要とされている。
【発明の概要】
【0020】
簡単に言うと、本発明は、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型(以下、「11β-HSD1」)、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型(以下、「11β-HSD2」)、および17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ3型(以下、「17β-HSD3」)を含むが、それらに限定されるわけではない、11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、17β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、20α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ、および3α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼなどであって、それらのすべてのアイソフォームを含む、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)の活性を調節するための新規化合物、その組成物、および方法に関する。一つ態様において、本発明の化合物はHSD活性を阻害する。
【0021】
本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの作用に関連する疾患または障害を治療または予防するための方法であって、それを必要としている患者に、三環式化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、立体異性体、もしくはプロドラッグ、あるいはそれらの混合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法にも関する。本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの選択的および非選択的阻害剤の両方を含む。
【0022】
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの選択的および非選択的阻害剤はそれぞれ、例えば、異常なグルコースレベルまたは視床下部機能に関連する疾患の治療または予防において利点を有することが理解されるべきである。本発明はHSDの選択的阻害剤も含む。他の型の受容体もしくはグルコース代謝に関連する遺伝子標的よりもクラスとしてのHSDへの選択性に関するもの、または様々なHSDもしくはその特定のアイソフォームに対し、他のHSDもしくはその特定のアイソフォームに比べて選択的であるものの、2つの型の選択性が企図される。
【0023】
一つの態様において、三環式化合物は、選択的または非選択的11β-HSD阻害剤として作用することができる。化合物は不活性11-ケトステロイドとそれらの活性ヒドロキシ等価物との相互変換を阻害しうる。本発明は、それによって不活性体の活性体への変換を制御しうる方法を提供し、そのような制御の結果として得られる有用な治療効果を目的とする。より具体的には、本発明はヒトにおけるコルチゾンとコルチゾールとの間の相互変換に関するが、それらに限定されるわけではない。
【0024】
別の態様において、本発明の三環式化合物は経口により活性である。
【0025】
三環式化合物は、下記の一つまたは複数を含むが、それらに限定されるわけではない、多くの代謝機能の調節のためにも有用である:(i)炭水化物代謝の調節、(ii)タンパク質代謝の調節、(iii)脂質代謝の調節、(iv)正常な成長および/または発生の調節、(v)認知機能への影響、(vi)ストレスおよび鉱質コルチコイド活性に対する抵抗性。
【0026】
三環式化合物は、肝糖新生を阻害するためにも有用でありえ、かつ真性糖尿病、肥満(中心性肥満(entripetal obesity)を含む)、ニューロン損失および/または高齢の認知障害における内因性グルココルチコイドの作用を軽減するためにも有効でありうる。したがって、さらなる態様において、本発明は、三環式化合物を投与する患者で1つまたは複数の治療効果を生じることを目的とした方法におけるHSD阻害剤の使用を提供し、該治療効果は、肝糖新生の阻害、脂肪組織および筋肉におけるインスリン感受性の増大、ならびにグルココルチコイドにより増強された神経毒性によるニューロン損失/認知障害または神経の機能不全もしくは損傷の予防または軽減からなる群より選択される。
【0027】
本発明は、肝インスリン抵抗性、脂肪組織インスリン抵抗性、筋肉インスリン抵抗性、グルココルチコイドにより増強された神経毒性によるニューロン損失または機能不全、および前述の状態の任意の組み合わせからなる群より選択される状態を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法をさらに提供する。
【0028】
本発明の三環式化合物は、式(I)を有する化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、立体異性体、もしくはプロドラッグである。

【0029】
一つの態様において、R1およびR2の各出現は独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、

である。
【0030】
R3の各出現は独立に、存在なし、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、

である。
【0031】
Wは、C(R)2、O、S、NR、NC(O)R'、NC(O)OR'、NC(O)N(R')2、またはNS(O)2R'である。
【0032】
X、Y、およびZは独立に、C、N、O、またはSである。
【0033】
Rの各出現は独立に、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、

である。
【0034】
R'の各出現は独立に、水素、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである。
【0035】
または、2つのR'基が同じ窒素原子に結合している場合、それらはその結合している窒素原子と一緒になって複素環またはヘテロアリール基を形成することができる。
【0036】
R''の各出現は独立に、水素、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである。
【0037】
任意のシクロアルキル部分、ヘテロシクロアルキル部分、アリール部分、またはヘテロアリール部分は、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)アルコキシ、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、

からなる群より選択される1から4つのメンバーで置換されていてもよい。
【0038】
Lは(C1〜C8)アルキレンである。
【0039】
変数mは1から5の整数である。
【0040】
変数nは0から2の整数である。
【0041】
変数pは0から11の整数である。
【0042】
式(I)の化合物の別の態様において、R1の少なくとも1つの出現は水素以外である。
【0043】
式(I)の規定にもかかわらず、下記であることが理解されるべきである:
R1の出現は、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、または-SO2-アルキルではなく;
R2の出現は、-C(O)N(R')2、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または-CO2Hではなく;かつ
R3の出現は、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、-NH2、-NH-アルキル、アミノアルキル、-C(O)O-アルキル、-C(O)-アルキル、または-L-OC(O)-アルキルではない。
【0044】
さらに、XがSであり、かつYがNである場合、R1の出現は下記ではない:
シアノもしくはニトロ;
-OR''、-SR''、ヒドロキシアルキル、もしくは-OC(O)-アルキル;
-NH2、-NHR'、-N(アルキル)2、-NR'C(O)R'、-NR'C(O)OR''、もしくは-NR'C(O)N(R')2;または
-C(O)-アルキル、-C(O)-アリール、-CO2H、-C(O)O-アルキル、-C(O)N(R')2、もしくは-L-C(O)R'。
【0045】
加えて、下記の化合物は本発明の範囲から除外される:
4-シクロヘキシル-5-(3-フルオロフェニル)-2-メチルオキサゾール


4-シクロヘキシル-2-エチル-5-(3-フルオロフェニル)オキサゾール


5-(4-クロロフェニル)-4-シクロペンチル-2-[(1S)-1-フルオロエチル]チアゾール


5-(4-クロロフェニル)-4-シクロヘキシル-2-エチルチアゾール


4-シクロペンチル-2-エチル-5-(4-エチルフェニル)チアゾール


5-(3-クロロフェニル)-4-シクロペンチル-2-エチルチアゾール


4-シクロペンチル-2-エチル-5-(3-メチルフェニル)チアゾール


5-(2-クロロフェニル)-4-シクロペンチル-2-エチルチアゾール


4-シクロペンチル-2-エチル-5-(2-メチルフェニル)チアゾール


4-シクロヘキシル-5-(3-フルオロフェニル)-2-メチルオキサゾール


3-[4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-チアゾリル]-1-ピロリジンカルボン酸エチルエステル


4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-(3-ピロリジニル)チアゾール


1-(4-フルオロフェニル)-4-[3-[4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-チアゾリル]-1-ピロリジニル]-1-ブタノン


4-(4-フルオロフェニル)-5-[1-[3-[2-(4-フルオロフェニル)-1,3-ジオキソラン-2-イル]プロピル]-3-ピロリジニル]-2-メチルチアゾール


4-シクロヘキシル-5-(3-フルオロフェニル)-2-メチルオキサゾール

;および
4-[5-シクロヘキシル-2-(メチルチオ)-4-チアゾリル]-2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール


【0046】
一つの態様において、本発明は、三環式化合物と、薬学的に許容される媒体、担体、賦形剤、または希釈剤とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0047】
別の態様において、本発明は、三環式化合物と、1つまたは複数の追加の治療薬とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0048】
さらなる態様において、本発明は、糖尿病、X症候群、肥満、多嚢胞性卵巣、摂食障害、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、クッシング症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管の再狭窄、網膜症、腎症、神経変性疾患、ニューロパシー、筋消耗(muscle wasting)、認知障害、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性疾患(inflammatory disorder)、および免疫異常からなる群より選択される状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0049】
さらに別の態様において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ仲介性の状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0050】
さらなる態様において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0051】
さらに別の態様において、本発明は、細胞におけるヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの機能を調節するための方法であって、式(I)の三環式化合物と細胞とを接触させる段階を含む方法を提供する。
【0052】
一つの態様において、本発明は、11β-HSD1仲介性の状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0053】
別の態様において、本発明は、細胞における11β-HSD1の機能を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0054】
さらなる態様において、本発明は、11β-HSD1を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0055】
本発明のこれらおよび他の態様は下記の詳細な説明を参照すれば明らかになると考えられる。そのために、特定の特許および他の文書を本明細書において引用し、本発明の様々な態様をより具体的に示す。これらの文書はそれぞれその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
【発明を実施するための形態】
【0056】
詳細な説明
本明細書において用いられる用語は下記の意味を有する。
【0057】
本明細書において用いられる「アルキル」なる用語は、示された数の炭素原子を有する直鎖または分枝鎖飽和炭化水素を意味する。例えば、(C1〜C6)アルキル基には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、およびネオヘキシルが含まれることになるが、それらに限定されるわけではない。アルキル基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0058】
本明細書において用いられる「アルケニル」なる用語は、示された数の炭素原子および少なくとも一つの二重結合を有する直鎖または分枝鎖不飽和炭化水素を意味する。(C2〜C8)アルケニル基の例には、エチレン、プロピレン、1-ブチレン、2-ブチレン、イソブチレン、sec-ブチレン、1-ペンテン、2-ペンテン、イソペンテン、1-ヘキセン、2-ヘキセン、3-ヘキセン、イソヘキセン、1-ヘプテン、2-ヘプテン、3-ヘプテン、イソヘプテン、1-オクテン、2-オクテン、3-オクテン、4-オクテン、およびイソオクテンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。アルケニル基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0059】
本明細書において用いられる「アルキニル」なる用語は、示された数の炭素原子および少なくとも一つの三重結合を有する直鎖または分枝鎖不飽和炭化水素を意味する。(C2〜C8)アルキニル基の例には、アセチレン、プロピン、1-ブチン、2-ブチン、1-ペンチン、2-ペンチン、1-ヘキシン、2-ヘキシン、3-ヘキシン、1-ヘプチン、2-ヘプチン、3-ヘプチン、1-オクチン、2-オクチン、3-オクチン、および4-オクチンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。アルキニル基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0060】
本明細書において用いられる「アルキレン」なる用語は、二価の直鎖または分枝アルキル基(例えば、二つの他の部分に、しばしば連結基として結合しているアルキル基)を意味する。(C1〜C7)アルキレンの例には、-CH2-、-CH2CH2-、-CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2-、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2-、および-CH2CH2CH2CH2CH2CH2CH2-、ならびにその分枝型が含まれる。アルキレン基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。例えば、(C3)アルキレン-OHの例には、-CH2CH2CH2-OH、-CH2CH(OH)CH3、-C(CH3)2OH、-CH(OH)CH2CH3、および-CH(CH3)CH2-OHが含まれる。
【0061】
本明細書において用いられる「アルコキシ」なる用語は、示された数の炭素原子を有する直鎖または分枝-O-アルキル基を意味する。例えば、(C1〜C6)アルコキシ基には、-O-メチル、-O-エチル、-O-プロピル、-O-イソプロピル、-O-ブチル、-O-sec-ブチル、-O-tert-ブチル、-O-ペンチル、-O-イソペンチル、-O-ネオペンチル、-O-ヘキシル、-O-イソヘキシル、および-O-ネオヘキシルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0062】
本明細書において用いられる「アミノアルキル」なる用語は、アルキル基の水素原子の一つまたは複数が式-N(Ra)2のアミンで置き換えられており、ここでRaの各出現は独立に-Hまたは(C1〜C6)アルキルである、直鎖または分枝アルキル基(典型的には1から6個の炭素原子)を意味する。アミノアルキルの例には、-CH2NH2、-CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2N(CH3)2、t-ブチルアミノメチル、イソプロピルアミノメチルなどが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0063】
本明細書において用いられる「アリール」なる用語は、6から14員単環式、二環式、または三環式芳香族炭化水素環系を意味する。アリール基の例にはフェニルおよびナフチルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。アリール基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0064】
本明細書において用いられる「シクロアルキル」なる用語は、3から14員飽和または不飽和非芳香族単環式、二環式、または三環式炭化水素環系を意味する。二環式または三環式炭化水素環系はスピロ縮合されていてもよい。このクラスに含まれるものは、ベンゼン環に縮合されたシクロアルキル基である。代表的シクロアルキル基には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロブテニル、シクロペンチル、シクロペンテニル、シクロペンタジエニル、シクロヘキシル、シクロヘキセニル、1,3-シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロヘプテニル、1,3-シクロヘプタジエニル、1,4-シクロヘプタジエニル、-1,3,5-シクロヘプタトリエニル、シクロオクチル、シクロオクテニル、1,3-シクロオクタジエニル、1,4-シクロオクタジエニル、-1,3,5-シクロオクタトリエニル、スピロ[5,4]デカン、デカヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレン、ヘキサヒドロナフタレン、オクタヒドロインデン、ヘキサヒドロインデン、テトラヒドロインデン、デカヒドロベンゾシクロヘプテン、オクタヒドロベンゾシクロヘプテン、ヘキサヒドロベンゾシクロヘプテン、テトラヒドロベンゾシクロフェプテン(tetrahydrobenzocyclopheptene)、ドデカヒドロヘプタレン、デカヒドロヘプタレン、オクタヒドロヘプタレン、ヘキサヒドロヘプタレン、およびテトラヒドロヘプタレンが含まれるが、それらに限定されるわけではない。シクロアルキル基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0065】
本明細書において用いられる「ハロ」、「ハロゲン」、「ハロゲン化物」などの用語は、-F、-Cl、-Brまたは-Iを意味する。
【0066】
本明細書において用いられる「ハロアルキル」なる用語は、アルキル基の水素原子の一つまたは複数がハロゲン原子で置き換えられており、このハロゲン原子は同じでも異なっていてもよい、直鎖または分枝アルキル基を意味する。ハロアルキル基の例には、トリフルオロメチル、2,2,2-トリフルオロエチル、4-クロロブチル、3-ブロモプロピル、ペンタクロロエチル、および1,1,1-トリフルオロ-2-ブロモ-2-クロロエチルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0067】
本明細書において用いられる「ヘテロアリール」なる用語は、窒素、酸素および硫黄から選択される少なくとも一つのヘテロ原子を有し、かつ少なくとも1個の炭素原子を含む、5から14員の芳香族複素環を意味する。ヘテロアリールは単環式、二環式、または三環式環系でありうる。代表的ヘテロアリールは、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ピリミジル、アゼピニル、オキセピニル、およびキノキサリニルである。ヘテロアリール基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0068】
本明細書において用いられる「ヘテロ原子」なる用語は、酸素(O)、窒素(N)、および硫黄(S)を含むことになる。
【0069】
本明細書において用いられる「複素環」または「ヘテロシクロアルキル」なる用語は、飽和、不飽和、または芳香族のいずれかであり、窒素、酸素および硫黄から独立に選択され、ここで窒素および硫黄ヘテロ原子は任意に酸化されていてもよく、窒素ヘテロ原子は任意に四級化されていてもよい、1から4個のヘテロ原子を含む、5から14員環系を意味する。複素環は単環式、二環式、または三環式環系でありうる。二環式および三環式環系はスピロ縮合されていてもよい。二環式および三環式環系はベンゼン環に縮合された複素環またはヘテロアリールを含んでいてもよい。複素環は任意のヘテロ原子または炭素原子を介して結合されていてもよい。複素環には前述の定義のヘテロアリールが含まれる。複素環の代表例には、アジリジニル、オキシラニル、チイラニル、トリアゾリル、テトラゾリル、アジリニル、ジアジリジニル、ジアジリニル、オキサジリジニル、アゼチジニル、アゼチジノニル、オキセタニル、チエタニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリル、オキサジニル、チアジニル、ジアジニル、ジオキサニル、トリアジニル、テトラジニル、イミダゾリル、テトラゾリル、ピロリジニル、イソキサゾリル、フラニル、フラザニル、ピリジニル、オキサゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、チアゾリル、ベンズチアゾリル、チオフェニル、ピラゾリル、トリアゾリル、ピリミジニル、ベンズイミダゾリル、イソインドリル、インダゾリル、ベンゾジアゾリル、ベンゾトリアゾリル、ベンゾキサゾリル、ベンズイソキサゾリル、プリニル、インドリル、イソキノリニル、キノリニル、およびキナゾリニルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。複素環基は無置換でもよく、または本明細書において後述する一つもしくは複数の置換基で置換されていてもよい。
【0070】
本明細書において用いられる「ヒドロキシアルキル」なる用語は、アルキル基の水素原子の一つまたは複数が-OH基で置き換えられている、示された数の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基を意味する。ヒドロキシアルキル基の例には、-CH2OH、-CH2CH2OH、-CH2CH2CH2OH、-CH2CH2CH2CH2OH、-CH2CH2CH2CH2CH2OH、CH2CH2CH2CH2CH2CH2OH、およびその分枝型が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0071】
本明細書において用いられる「ヒドロキシハロアルキル」なる用語は、アルキル基の水素原子の一つまたは複数がハロゲン原子で置き換えられており、このハロゲン原子は同じでも異なっていてもよく、加えてアルキル基の水素原子の一つまたは複数が-OH基で置き換えられている、示された数の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキル基を意味する。ヒドロキシハロアルキル基の非限定例には、-C(CH3)(CF3)OHおよび-C(CF3)2OHが含まれる。
【0072】
アルキル、ヘテロアルキル、アルキレン、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、ヘテロシクロアルキル、シクロアルケニル、およびヘテロシクロアルケニルと呼ばれる基の置換基は、0から3の範囲の数の、

を含むが、それらに限定されるわけではない、様々な基でありえ、0、1または2個の置換基を有する基が典型的である。Ra、RbおよびRcは独立に、例えば、水素、無置換(C1〜C8)アルキル、無置換ヘテロ(C1〜C8)アルキル、無置換アリールならびに、例えば、-ハロ、無置換アルキル、無置換アルコキシ、無置換チオアルコキシおよび無置換アリール(C1〜C4)アルキルから選択される1から3個の置換基で置換されたアリールを意味しうる。RaおよびRbが同じ窒素原子に結合されている場合、これらはその窒素原子と一緒になって、例えば、5、6、または7員環を形成することができる。例えば、-NRaRbは1-ピロリジニルおよび4-モルホリニルを含むことになる。アルキルまたはヘテロアルキル基は0から3個の置換基を有し、本発明においては2個以下の置換基を有する基が典型的である。いくつかの態様において、アルキルまたはヘテロアルキルラジカルは無置換または一置換である。アルキルまたはヘテロアルキルラジカルは無置換でありうる。前述の置換基の議論から、当業者であれば「アルキル」なる用語はトリハロアルキル(例えば、-CF3および-CH2CF3)などの基を含むことが理解されると考えられる。
【0073】
アルキルおよびヘテロアルキルラジカルの置換基の代表例は、-ORa、=O、-NRaRb、-SRa、-ハロ、-SiRaRbRc、-OC(O)Ra、-C(O)Ra、-CO2Ra、-C(O)NRaRb、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbCO2Ra、-NRcSO2NRaRb、-S(O)Ra、-SO2Ra、-SO2NRaRb、-NRbSO2Ra、-CNおよび-NO2であり、ここでRa、RbおよびRcは前述の定義のとおりである。典型的置換基は、-ORa、=O、-NRaRb、-ハロ、-OC(O)Ra、-CO2Ra、-C(O)NRaRb、-OC(O)NRaRb、-NRbC(O)Ra、-NRbCO2Ra、-NRcSO2NRaRb、-SO2Ra、-SO2NRaRb、-NRbSO2Ra、-CNおよび-NO2から選択される。
【0074】
同様に、アリールおよびヘテロアリール基の置換基の代表例は、0から芳香環系の空いた原子価の総数の範囲の数の、-ハロ、

、パーフルオロアルコキシおよびパーフルオロ(C1〜C4)アルキルである。Ra、RbおよびRcは独立に、例えば、水素、無置換(C1〜C8)アルキル、無置換ヘテロ(C1〜C8)アルキル、無置換アリール、無置換ヘテロアリール、無置換アリール(C1〜C4)アルキル、および無置換アリールオキシ(C1〜C4)アルキルでありうる。典型的には、アリールまたはヘテロアリール基は0から3つの置換基を有し、本発明においては2個以下の置換基を有する基が典型的である。本発明の一つの態様において、アリールまたはヘテロアリール基は無置換または一置換である。別の態様において、アリールまたはヘテロアリール基は無置換である。
【0075】
アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の二つは式-T-C(O)-(CH2)q-U-の置換基で任意に置き換えられてもよく、ここでTおよびUは独立に-NH-、-O-、-CH2-または一重結合であり、qは0から2の整数である。または、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の二つは式-A-(CH2)r-B-の置換基で任意に置き換えられてもよく、ここでAおよびBは独立に-CH2-、-O-、-NH-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、-S(O)2NR'-または一重結合であり、rは1から3の整数である。このように形成された新しい環の一重結合の一つは、二重結合で任意に置き換えられてもよい。または、アリールまたはヘテロアリール環の隣接原子上の置換基の二つは式-(CH2)s-X-(CH2)t-の置換基で任意に置き換えられてもよく、ここでsおよびtは独立に0から3の整数であり、Xは-O-、-NRa-、-S-、-S(O)-、-S(O)2-、または-S(O)2NRa-である。-NRa-および-S(O)2NRa-における置換基Raは、例えば、水素または無置換(C1〜C6)アルキルでありうる。
【0076】
本明細書において用いられる置換基-CO2Hは、下記などの生物学的等価性の置換物で任意に置き換えられてもよい:

例えば、The Practice of Medicinal Chemistry; Wermuth, C.G., Ed.; Academic Press: New York, 1996; p. 203参照。
【0077】
本発明の三環式化合物は、立体化学、立体配置、幾何および配座異性体を含む様々な異性体で、ならびに様々な互変異性体、特に水素原子の結合点が異なる形で存在することもできる。本明細書において用いられる「異性体」なる用語は、化合物の互変異性体を含む、三環式化合物のすべての異性体を含むことが意図される。
【0078】
特定の三環式化合物は不斉中心を有し、したがって異なる鏡像異性体およびジアステレオマーで存在してもよい。三環式化合物は光学異性体またはジアステレオマーの形でありうる。したがって、本発明は、その光学異性体、ジアステレオマー、およびラセミ混合物を含むそれらの混合物の形の、本明細書に記載の三環式化合物およびそれらの使用を含む。三環式化合物の光学異性体は、不斉合成、キラルクロマトグラフィ、擬似移動床技術、または光学活性な分割剤の使用による立体異性体の化学的分離などの公知の技術によって得ることができる。
【0079】
本明細書において用いられ、特に明記されない限り、「立体異性体として純粋」なる用語は、その化合物の他方の立体異性体を実質的に含まない、化合物の一方の立体異性体を意味する。例えば、一つのキラル中心を有する立体異性体として純粋な化合物は、化合物の反対の鏡像異性体を実質的に含まないことになる。二つのキラル中心を有する立体異性体として純粋な化合物は、化合物の他のジアステレオマーを実質的に含まないことになる。典型的な立体異性体として純粋な化合物は、約80重量%を越える化合物の一方の立体異性体と、約20重量%未満の化合物の他方の立体異性体、または約90重量%を越える化合物の一方の立体異性体と、約10重量%未満の化合物の他方の立体異性体、または約95重量%を越える化合物の一方の立体異性体と、約5重量%未満の化合物の他方の立体異性体、または約97重量%を越える化合物の一方の立体異性体と、約3重量%未満の化合物の他方の立体異性体とを含む。
【0080】
示された構造とその構造に与えられた名称との間に矛盾がある場合、示された構造が支配することに留意すべきである。加えて、構造または構造の一部の立体化学が、例えば、太線または破線で示されていない場合、その構造または構造の一部はそのすべての立体異性体を含むと解釈すべきである。
【0081】
三環式化合物は薬学的に許容される塩の形でありうる。その構造に応じて、本明細書において用いられる「薬学的に許容される塩」なる句は三環式化合物の薬学的に許容される有機または無機酸または塩基の塩を意味する。代表的な薬学的に許容される塩には、例えば、酢酸塩、アムソネート(amsonate)(4,4-ジアミノスチルベン-2,2-ジスルホネート)、ベンゼンスルホン酸塩、ベンゾネート(benzonate)、炭酸水素塩、重硫酸塩、酒石酸水素塩、ホウ酸塩、臭化物、酪酸塩、カルシウム、エデト酸カルシウム、カムシレート(camsylate)、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、クラブラリエート(clavulariate)、二塩酸塩、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フィウナレート(fiunarate)、グルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニレート(glycollylarsanilate)、ヘキサフルオロリン酸塩、ヘキシルレゾルシネート(hexylresorcinate)、ヒドラバミン、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエート塩、ヨウ化物、イソチオネート(isothionate)、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、臭化メチル、硝酸メチル、硫酸メチル、ムケート(mucate)、ナプシレート(napsylate)、硝酸塩、N-メチルグルカミンアンモニウム塩、3-ヒドロキシ-2-ナフトエート、オレエート、シュウ酸塩、パルミチン酸塩、パモ酸塩(1,1-メテン-ビス-2-ヒドロキシ-3-ナフトエート、エインボネート(einbonate))、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ピクリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、プロピオン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、スルホサリキュレート(sulfosaliculate)、スラメート(suramate)、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエチオジド、および吉草酸塩などの、アルカリ金属塩、アルカリ土類塩、アンモニウム塩、水溶性および水不溶性塩が含まれる。さらに、薬学的に許容される塩はその構造内に複数の荷電原子を有することもできる。この場合、薬学的に許容される塩は複数の対イオンを有することができる。したがって、薬学的に許容される塩は一つもしくは複数の荷電原子および/または一つもしくは複数の対イオンを有することができる。
【0082】
本明細書において用いられる「単離および精製された形」なる用語は、単離された(例えば、合成有機化学反応混合物の他の成分から)時、単離物は単離物重量の少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または少なくとも98%の三環式化合物を含むことを意味する。一つの態様において、単離物は単離物重量の少なくとも95%の三環式化合物を含む。
【0083】
本明細書において用いられる「プロドラッグ」なる用語は、生物学的条件下(インビトロまたはインビボ)で加水分解、酸化、またはそれ以外の反応をして、活性化合物、特に三環式化合物を生じることができる、化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例には、生物加水分解可能なアミド、生物加水分解可能なエステル、生物加水分解可能なカルバメート、生物加水分解可能なカーボネート、生物加水分解可能なウレイド、および生物加水分解可能なホスフェート類縁体(例えば、モノホスフェート、ジホスフェートまたはトリホスフェート)などの生物加水分解可能な基を含む三環式化合物の誘導体および代謝物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、カルボキシル官能基を有する化合物のプロドラッグはカルボン酸の低級アルキルエステルであってもよい。カルボン酸エステルは、分子上の任意のカルボン酸部分をエステル化することにより都合よく形成される。プロドラッグは典型的には、Burger's Medicinal Chemistry and Drug Discovery 6th ed. (Donald J. Abraham ed., 2001, Wiley)、およびDesign and Application of Prodrugs (H. Bundgaard ed., 1985, Harwood Academic Publishers Gmfh)に記載のものなどの周知の方法を用いて調製することができる。
【0084】
本明細書において用いられる「治療する」、「治療すること」、および「治療」なる用語は、疾患または疾患に関連する症状の根絶または改善を意味する。特定の態様において、そのような用語は、疾患を有する患者への1つまたは複数の予防または治療薬の投与による、そのような疾患の蔓延または悪化の最小化を意味する。
【0085】
本明細書において用いられる「予防する」、「予防すること」、および「予防」なる用語は、予防または治療薬の投与による、患者における疾患の発症、再発または蔓延の防止を意味する。
【0086】
本明細書において用いられる「有効量」なる用語は、疾患の治療もしくは予防における治療もしくは予防上の利益を提供する、または疾患に関連する症状を遅延もしくは最小化するのに十分な、三環式化合物または他の活性成分の量を意味する。さらに、三環式化合物に関する治療的有効量とは、疾患の治療または予防における治療上の利益を提供する、治療薬単独での、または他の治療法との組み合わせでの量を意味する。三環式化合物に関連して用いる場合、この用語は全体の治療法を改善する、疾患の症状もしくは原因を低減もしくは回避する、または別の治療薬の治療上の有効性もしくは別の治療薬との相乗性を増強する量を含みうる。
【0087】
「調節する」、「調節」などの用語は、標的(例えば、11β-HSD1)の機能または活性を増大または低減する、化合物の能力を意味する。本明細書において用いられる「調節」は、その様々な形で、標的(例えば、11β-HSD1)の機能または活性の阻害、アンタゴニズム、部分アンタゴニズム、活性化、アゴニズムおよび/または部分アゴニズムを含むことが意図される。11β-HSD1阻害剤は、例えば、結合して、刺激を部分的または完全に阻止する、活性化を低減、防止、遅延する、シグナル伝達を不活化、脱感作、またはダウンレギュレートする化合物である。11β-HSD1活性化物質は、例えば、結合して、活性化を刺激、増大、開放、活性化、促進、増強、シグナル伝達を感作またはアップレギュレートする化合物である。
【0088】
標的(例えば、11β-HSD1)を調節する化合物の能力は、例えば、酵素アッセイまたは細胞ベースのアッセイにおいて示すことができる。例えば、11β-HSD1の阻害は、コルチゾンのコルチゾールへの変換を阻止することにより、患者のコルチゾールレベルを低下させ、かつ/または患者のコルチゾンレベルを上昇させうる。または、11β-HSD2の阻害は、コルチゾールのコルチゾンへの変換を阻止することにより、患者のコルチゾールレベルを上昇させ、かつ/または患者のコルチゾンレベルを低下させうる。
【0089】
「患者」は、動物(例えば、ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ、ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、ネコ、イヌ、マウス、ラット、ウサギまたはモルモット)を含む。一つの態様において、「患者」は非霊長類および霊長類(例えば、サルおよびヒト)などの哺乳動物を含む。別の態様において、患者はヒトである。特定の態様において、患者はヒト乳児、小児、青年または成人である。
【0090】
本明細書において用いられる「HSD」なる用語は、11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(11β-HSD)、17-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(17β-HSD)、20-α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(20α-HSD)、3-α-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(3α-HSD)、およびそのすべてのアイソフォームを含むが、それらに限定されるわけではない、一般にはヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素を意味する。
【0091】
本明細書において用いられる「11β-HSD1」なる用語は、11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素、その変異体、またはアイソフォームを意味する。11β-HSD1変異体は、天然の11β-HSD1と実質的に相同なタンパク質、すなわち1つまたは複数の天然または非天然に生じるアミノ酸欠失、挿入または置換を有するタンパク質(例えば、11β-HSD1誘導体、相同体および断片)を含む。11β-HSD1変異体のアミノ酸配列は、例えば、天然11β-HSD1と少なくとも約80%同一、または少なくとも約90%同一、または少なくとも約95%同一である。
【0092】
本明細書において用いられる「11β-HSD2」なる用語は、11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ2型酵素、その変異体、またはアイソフォームを意味する。11β-HSD2変異体は、天然の11β-HSD2と実質的に相同なタンパク質、すなわち1つまたは複数の天然または非天然に生じるアミノ酸欠失、挿入または置換を有するタンパク質(例えば、11β-HSD2誘導体、相同体および断片)を含む。11β-HSD2変異体のアミノ酸配列は、例えば、天然11β-HSD2と少なくとも約80%同一、または少なくとも約90%同一、または少なくとも約95%同一である。Bart et al., J. Med. Chem., 2002, 45:3813-3815参照。
【0093】
本明細書において用いられる「17β-HSD3」なる用語は、17-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ3型酵素、その変異体、またはアイソフォームを意味する。17β-HSD3変異体は、天然の17β-HSD3と実質的に相同なタンパク質、すなわち1つまたは複数の天然または非天然に生じるアミノ酸欠失、挿入または置換を有するタンパク質(例えば、17β-HSD3誘導体、相同体および断片)を含む。17β-HSD3変異体のアミノ酸配列は、例えば、天然17β-HSD3と少なくとも約80%同一、または少なくとも約90%同一、または少なくとも約95%同一である。
【0094】
本明細書において用いられる「HSD反応性状態または障害」なる用語および関連する語句は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ酵素(HSD)の調節に都合よく反応する状態または障害を意味する。HSD調節への好都合な反応には、疾患および/またはその随伴症状の軽減または抑止、疾患の阻害(すなわち、疾患またはその臨床症状の発生の停止または減少)、および疾患またはその臨床症状の退縮が含まれる。HSD反応性状態または疾患は、HSD調節に完全または部分的に反応性でありうる。HSD反応性状態または障害は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高いHSD活性に関連し、少なくとも部分的にHSD調節に反応性であるか、またはHSD調節による影響を受ける(例えば、HSD阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)。不適当なHSDの機能活性は、通常はHSDを発現しない細胞におけるHSD発現、HSD発現の低下、またはHSD発現の上昇の結果起こると考えられる。HSD反応性状態または障害には、任意のHSDまたはそのアイソフォームによって仲介される状態または障害が含まれうる。
【0095】
本明細書において用いられる「11β-HSD1反応性状態または障害」なる用語および関連する語句は、11β-HSD1活性の調節に都合よく反応する状態または障害を意味する。11β-HSD1調節への好都合な反応には、疾患および/またはその随伴症状の軽減または抑止、疾患の阻害(すなわち、疾患またはその臨床症状の発生の停止または減少)、および疾患またはその臨床症状の退縮が含まれる。11β-HSD1反応性状態または疾患は、11β-HSD1調節に完全または部分的に反応性でありうる。11β-HSD1反応性状態または障害は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い11β-HSD1活性に関連し、少なくとも部分的に11β-HSD1調節に反応性であるか、または11β-HSD1調節による影響を受ける(例えば、11β-HSD1阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)。不適当な11β-HSD1の機能活性は、通常は11β-HSD1を発現しない細胞における11β-HSD1発現、11β-HSD1発現の低下、または11β-HSD1発現の上昇の結果起こると考えられる。11β-HSD1反応性状態または障害には、11β-HSD1仲介性の状態または障害が含まれうる。
【0096】
本明細書において用いられる「11β-HSD2反応性状態または障害」なる用語および関連する語句は、11β-HSD2活性の調節に都合よく反応する状態または障害を意味する。11β-HSD2調節への好都合な反応には、疾患および/またはその随伴症状の軽減または抑止、疾患の阻害(すなわち、疾患またはその臨床症状の発生の停止または減少)、および疾患またはその臨床症状の退縮が含まれる。11β-HSD2反応性状態または疾患は、11β-HSD2調節に完全または部分的に反応性でありうる。11β-HSD2反応性状態または障害は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い11β-HSD2活性に関連し、少なくとも部分的に11β-HSD2調節に反応性であるか、または11β-HSD2調節による影響を受ける(例えば、11β-HSD2阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)。不適当な11β-HSD2の機能活性は、通常は11β-HSD2を発現しない細胞における11β-HSD2発現、11β-HSD2発現の低下、または11β-HSD2発現の上昇の結果起こると考えられる。11β-HSD2反応性状態または障害には、11β-HSD2仲介性の状態または障害が含まれうる。
【0097】
本明細書において用いられる「17β-HSD3反応性状態または障害」なる用語および関連する語句は、17β-HSD3活性の調節に都合よく反応する状態または障害を意味する。17β-HSD3調節への好都合な反応には、疾患および/またはその随伴症状の軽減または抑止、疾患の阻害(すなわち、疾患またはその臨床症状の発生の停止または減少)、および疾患またはその臨床症状の退縮が含まれる。17β-HSD3反応性状態または疾患は、17β-HSD3調節に完全または部分的に反応性でありうる。17β-HSD3反応性状態または障害は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い17β-HSD3活性に関連し、少なくとも部分的に17β-HSD3調節に反応性であるか、または17β-HSD3調節による影響を受ける(例えば、17β-HSD3阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)。不適当な17β-HSD3の機能活性は、通常は17β-HSD3を発現しない細胞における17β-HSD3発現、17β-HSD3発現の低下、または17β-HSD3発現の上昇の結果起こると考えられる。17β-HSD3反応性状態または障害には、17β-HSD3仲介性の状態または障害が含まれうる。
【0098】
本明細書において用いられる「HSD仲介性状態または障害」なる用語および関連する語句は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高いヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ(HSD)の活性によって特徴づけられる状態または障害を意味する。HSD仲介性状態または障害は、不適当なHSD活性によって完全または部分的に特徴づけられうる。しかし、HSD仲介性状態または障害とは、HSDの調節によって、根底にある状態または疾患に幾分かの効果がもたらされる(例えば、HSD阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)ものである。
【0099】
本明細書において用いられる「11β-HSD1仲介性状態または障害」なる用語および関連する語句は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い11β-HSD1活性によって特徴づけられる状態または障害を意味する。11β-HSD1仲介性状態または障害は、不適当な11β-HSD1活性によって完全または部分的に特徴づけられうる。しかし、11β-HSD1仲介性状態または障害とは、11β-HSD1の調節によって、根底にある状態または疾患に幾分かの効果がもたらされる(例えば、11β-HSD1阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)ものである。
【0100】
本明細書において用いられる「11β-HSD2仲介性状態または障害」なる用語および関連する語句は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い11β-HSD2活性によって特徴づけられる状態または障害を意味する。11β-HSD2仲介性状態または障害は、不適当な11β-HSD2活性によって完全または部分的に特徴づけられうる。しかし、11β-HSD2仲介性状態または障害とは、11β-HSD2の調節によって、根底にある状態または疾患に幾分かの効果がもたらされる(例えば、11β-HSD2阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)ものである。
【0101】
本明細書において用いられる「17β-HSD3仲介性状態または障害」なる用語および関連する語句は、不適当な、例えば、正常よりも低い、または高い17β-HSD3活性によって特徴づけられる状態または障害を意味する。17β-HSD3仲介性状態または障害は、不適当な17β-HSD3活性によって完全または部分的に特徴づけられうる。しかし、17β-HSD3仲介性状態または障害とは、17β-HSD3の調節によって、根底にある状態または疾患に幾分かの効果がもたらされる(例えば、17β-HSD3阻害剤が少なくとも一部の患者で患者の健康の幾分かの改善をもたらす)ものである。
【0102】
本明細書において用いられる「X症候群」とは、高インスリン血症;肥満;高レベルのトリグリセリド、尿酸、フィブリノゲン、低密度LDL粒子およびプラスミノゲン活性化因子阻害剤1(PAI-1);ならびに低レベルのHDLコレステロールを含む、異常の集まりを意味する。X症候群はさらに代謝症候群を含むことになる。
【0103】
下記の略語が本明細書において用いられ、以下に示す定義を有する。
【0104】
DCMはジクロロメタンである;DIPEAはジイソプロピルエチルアミンである;DMAPは4-ジメチルアミノピリジンである;DMEMはダルベッコ改変イーグル培地である;EtOAcは酢酸エチルである;HPLCは高性能液体クロマトグラフィである;LAHは水素化アルミニウムリチウムである;MeOHはメタノールである;MSは質量分析である;NMRは核磁気共鳴である;PBSはリン酸緩衝生理食塩水である;RTは室温である;SPAはシンチレーション近接アッセイである;TBAFはフッ化テトラブチルアンモニウムである;TBSはtert-ブチルジメチルシリルである;THFはテトラヒドロフランである;TLCは薄層クロマトグラフィである;prep TLCは分取(preparative)薄層クロマトグラフィである;およびTMSはトリメチルシリルである。
【0105】
「三環式化合物」なる用語における「三環式」なる語は、本発明の化合物に関して用いる場合、式(I)の化合物の三環式のコアを意味することが理解される。したがって、「三環式化合物」なる用語は、本発明の化合物に関して用いる場合、三環式のコアに加えて1つまたは複数の環式部分を有する、式(I)の化合物を含みうる。
【0106】
本発明の化合物
本発明は、適宜総称して「三環式化合物」と呼ばれる、式(I)の化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、立体異性体、もしくはプロドラッグ、またはそれらの混合物を提供する:

式中、R1、R2、R3、W、X、Y、Z、m、n、およびpは以下に定義する。
【0107】
いくつかの態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、R1およびR2の各出現は独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、

である。
【0108】
R3の各出現は独立に、存在なし、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、

である。
【0109】
Wは、C(R)2、O、S、NR、NC(O)R'、NC(O)OR'、NC(O)N(R')2、またはNS(O)2R'である。
【0110】
X、Y、およびZは独立に、C、N、O、またはSである。
【0111】
Rの各出現は独立に、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、

である。
【0112】
R'の各出現は独立に、水素、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである。
【0113】
または、いくつかの態様において、2つのR'基が同じ窒素原子に結合している場合、それらはその結合している窒素原子と一緒になって複素環またはヘテロアリール基を形成することができる。
【0114】
R''の各出現は独立に、水素、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、またはヘテロアリールである。
【0115】
任意のシクロアルキル部分、ヘテロシクロアルキル部分、アリール部分、またはヘテロアリール部分はヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)アルコキシ、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、

からなる群より選択される1から4つのメンバーで置換されていてもよい。
【0116】
Lは(C1〜C8)アルキレンである。
【0117】
変数mは1から5の整数であり、nは0から2の整数であり、かつpは0から11の整数である。
【0118】
下記の化合物は本発明の範囲から除外されることが理解されるべきである:
4-シクロヘキシル-5-(3-フルオロフェニル)-2-メチルオキサゾール


4-シクロヘキシル-2-エチル-5-(3-フルオロフェニル)オキサゾール


5-(4-クロロフェニル)-4-シクロペンチル-2-[(1S)-1-フルオロエチル]チアゾール


5-(4-クロロフェニル)-4-シクロヘキシル-2-エチルチアゾール


4-シクロペンチル-2-エチル-5-(4-エチルフェニル)チアゾール


5-(3-クロロフェニル)-4-シクロペンチル-2-エチルチアゾール


4-シクロペンチル-2-エチル-5-(3-メチルフェニル)チアゾール


5-(2-クロロフェニル)-4-シクロペンチル-2-エチルチアゾール


4-シクロペンチル-2-エチル-5-(2-メチルフェニル)チアゾール


4-シクロヘキシル-5-(3-フルオロフェニル)-2-メチルオキサゾール


3-[4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-チアゾリル]-1-ピロリジンカルボン酸エチルエステル


4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-(3-ピロリジニル)チアゾール


1-(4-フルオロフェニル)-4-[3-[4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-チアゾリル]-1-ピロリジニル]-1-ブタノン


4-(4-フルオロフェニル)-5-[1-[3-[2-(4-フルオロフェニル)-1,3-ジオキソラン-2-イル]プロピル]-3-ピロリジニル]-2-メチルチアゾール


4-シクロヘキシル-5-(3-フルオロフェニル)-2-メチルオキサゾール

;または
4-[5-シクロヘキシル-2-(メチルチオ)-4-チアゾリル]-2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール


【0119】
一つの態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、R1の少なくとも1つの出現は水素以外である。
【0120】
別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、R1の出現は、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、または-SO2-アルキルではない。
【0121】
さらに別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、R2の出現は、-C(O)N(R')2、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または-CO2Hではない。
【0122】
さらなる態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、R3の出現は、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、-NH2、-NH-アルキル、アミノアルキル、-C(O)O-アルキル、-C(O)-アルキル、または-L-OC(O)-アルキルではない。
【0123】
さらに別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XがSであり、かつYがNである場合、R1の出現は下記ではない:
シアノもしくはニトロ;
-OR''、-SR''、ヒドロキシアルキル、もしくは-OC(O)-アルキル;
-NH2、-NHR'、-N(アルキル)2、-NR'C(O)R'、-NR'C(O)OR''、もしくは-NR'C(O)N(R')2;または
-C(O)-アルキル、-C(O)-アリール、-CO2H、-C(O)O-アルキル、-C(O)N(R')2、もしくは-L-C(O)R'。
【0124】
別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、mは1、2または3であり、かつpは0、1または2である。
【0125】
さらに別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、mは1または2であり、かつpは0または1である。
【0126】
いくつかの態様において、R1およびR2の各出現は独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルコキシ、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または-C(O)R'である。
【0127】
他の態様において、R3の各出現は独立に、存在なし、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルコキシ、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、または(C3〜C7)ヘテロシクロアルキルである。
【0128】
さらに別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、nは0または1であり、かつpは0である。
【0129】
いくつかの態様において、R1の各出現は独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルコキシ、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または-C(O)R'である。
【0130】
さらに他の態様において、R3の各出現は独立に、存在なし、水素、ハロゲン、(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルコキシ、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、または(C3〜C7)ヘテロシクロアルキルである。
【0131】
別の態様において、WはC(R)2、O、NR、NC(O)R'、またはNS(O)2R'である。
【0132】
一つの態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはOであり、ZはNであり、かつYはCである。
【0133】
別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはNであり、ZはOであり、かつYはCである。
【0134】
さらに別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはCであり、ZはNであり、かつYはOである。
【0135】
さらに別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはCであり、ZはOであり、かつYはNである。
【0136】
さらに別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはNであり、ZはNであり、かつYはCである。一つの態様において、Xに結合しているR3は存在せず、かつZに結合しているR3は存在する。別の態様において、Zに結合しているR3は存在せず、かつXに結合しているR3は存在する。
【0137】
さらなる態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはCであり、ZはNであり、かつYはNである。一つの態様において、Zに結合しているR3は存在せず、かつYに結合しているR3は存在する。別の態様において、Yに結合しているR3は存在せず、かつZに結合しているR3は存在する。
【0138】
さらに別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはOであり、ZはCであり、かつYはNである。
【0139】
さらに別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはNであり、ZはCであり、かつYはOである。
【0140】
さらなる態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはSであり、ZはCであり、かつYはNである。
【0141】
別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはNであり、ZはCであり、かつYはSである。
【0142】
一つの態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはOであり、ZはNであり、YはCであり、mは2であり、nは1であり、pは0であり、かつWはC(R)2である。
【0143】
別の態様において、本明細書に記載する他の態様と任意に組み合わせて、XはOであり、ZはNであり、YはCであり、mは1であり、nは1であり、pは0であり、かつWはC(R)2であり、ここでR1はヒドロキシハロアルキルであり、かつRの少なくとも1つの出現はアリールである。
【0144】
式(I)の化合物は不斉中心を有し、したがって異なる鏡像異性体またはジアステレオマーで存在することができる。本発明は、式(I)の化合物のすべての光学異性体および立体異性体ならびにそれらの混合物の使用、ならびにそれらを用いうる、または含みうるすべての薬学的組成物および治療方法に関する。
【0145】
前述の化合物のラセミ体、ラセミ混合物、および立体異性体、特にジアステレオマー混合物またはジアステレオマーとして純粋な化合物および鏡像異性体または鏡像異性体として純粋な化合物がすべて本発明に含まれることに留意すべきである。
【0146】
式(I)の化合物の具体例を下記の表1に示す。
【0147】
(表1)式(I)の化合物の例


【0148】
本発明は、単離および精製された形の式(I)の三環式化合物も提供する。
【0149】
本発明は、式(I)の三環式化合物の治療的有効量と、薬学的に許容される媒体、担体、希釈剤または賦形剤とを含む、薬学的組成物をさらに提供する。
【0150】
一つの態様において、薬学的組成物は上の表1から選択される三環式化合物を含む。
【0151】
さらに、本発明は、式(I)の三環式化合物の治療的有効量と、1つまたは複数の追加の治療薬とを含む、薬学的組成物を提供する。
【0152】
ある態様において、薬学的組成物は、糖尿病、X症候群、肥満、多嚢胞性卵巣、摂食障害、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、クッシング症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管の再狭窄、網膜症、腎症、神経変性疾患、ニューロパシー、筋消耗、認知障害、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性疾患、および免疫異常からなる群より選択される状態または障害を治療するのに有用な、1つまたは複数の追加の治療薬を含む。
【0153】
さらに、本発明は、糖尿病、X症候群、肥満、多嚢胞性卵巣、摂食障害、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、クッシング症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管の再狭窄、網膜症、腎症、神経変性疾患、ニューロパシー、筋消耗、認知障害、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性疾患、および免疫異常からなる群より選択される状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0154】
一つの態様において、三環式化合物は上の表Iから選択される。
【0155】
ある態様において、本発明は、インスリン依存性糖尿病を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0156】
別の態様において、本発明は、インスリン非依存性糖尿病を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0157】
さらに別の態様において、本発明は、インスリン抵抗性を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0158】
さらなる態様において、本発明は、肥満を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法も提供する。
【0159】
本発明は、コルチゾール産生を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法も提供する。
【0160】
さらに、本発明は、肝グルコース産生を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0161】
さらに、本発明は、視床下部機能を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0162】
本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ仲介性状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法も提供する。
【0163】
さらに、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に反応性の状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0164】
一つの態様において、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼは11β-HSD1である。
【0165】
本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法も提供する。
【0166】
さらに、本発明は、細胞におけるヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの機能を調節するための方法を提供する。一つの態様において、式(I)の三環式化合物と細胞とを接触させる。別の態様において、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を、そのような調節を必要としている患者に投与する。さらなる態様において、三環式化合物はヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを阻害する。
【0167】
一つの態様において、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼは11β-HSD1である。
【0168】
ある態様において、本発明は、11β-HSD1仲介性状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0169】
別の態様において、本発明は、11β-HSD1の調節に反応性の状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0170】
さらに別の態様において、本発明は、11β-HSD1を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0171】
さらなる態様において、本発明は、細胞における11β-HSD1の機能を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0172】
ある態様において、本発明は、11β-HSD2仲介性状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0173】
別の態様において、本発明は、11β-HSD2の調節に反応性の状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0174】
さらに別の態様において、本発明は、11β-HSD2を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0175】
さらに別の態様において、本発明は、細胞における11β-HSD2の機能を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0176】
ある態様において、本発明は、17β-HSD3仲介性状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0177】
別の態様において、本発明は、17β-HSD3の調節に反応性の状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0178】
さらなる態様において、本発明は、17β-HSD3を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0179】
さらに別の態様において、本発明は、細胞における17β-HSD3の機能を調節するための方法であって、それを必要としている患者に、式(I)の三環式化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法を提供する。
【0180】
本発明は、薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用にも関する。一つの態様において、薬剤は前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物と、薬学的に許容される媒体、担体、賦形剤、または希釈剤とを含む。
【0181】
さらに、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ仲介性状態または障害を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される媒体、担体、賦形剤、または希釈剤とを含む。
【0182】
ある態様において、本発明は、11β-HSD1、11β-HSD2または17β-HSD3によって仲介される状態または障害を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0183】
さらに、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に反応性の状態または障害を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される媒体、担体、賦形剤、または希釈剤とを含む。
【0184】
ある態様において、本発明は、11β-HSD1、11β-HSD2または17β-HSD3の調節に反応性の状態または障害を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0185】
さらに、本発明は、糖尿病、X症候群、肥満、多嚢胞性卵巣、摂食障害、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、クッシング症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管の再狭窄、網膜症、腎症、神経変性疾患、ニューロパシー、筋消耗、認知障害、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性疾患、または免疫異常を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される媒体、担体、賦形剤、または希釈剤とを含む。
【0186】
本発明の一つの態様は、糖尿病を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0187】
本発明の別の態様は、インスリン依存性糖尿病を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0188】
本発明のさらなる態様は、インスリン非依存性糖尿病を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0189】
本発明のさらに別の態様は、インスリン抵抗性を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0190】
本発明のある態様は、肥満を治療するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0191】
本発明の別の態様は、コルチゾール産生を調節するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0192】
本発明のさらに別の態様は、肝グルコース産生を調節するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0193】
本発明のさらなる態様は、視床下部機能を調節するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0194】
本発明の一つの態様は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを調節するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0195】
本発明の別の態様は、11β-HSD1、11β-HSD2または17β-HSD3を調節するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0196】
本発明のさらに別の態様は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの機能を調節するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0197】
本発明のさらに別の態様は、11β-HSD1、11β-HSD2または17β-HSD3の機能を調節するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0198】
本発明のさらなる態様は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを阻害するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0199】
本発明のさらに別の態様は、11β-HSD1、11β-HSD2または17β-HSD3を阻害するための薬剤の調製における、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物の使用に関し、該薬剤は、式(I)の化合物と、薬学的に許容される担体とを含む。
【0200】
本発明は、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物を含む薬剤の製造にも関する。
【0201】
さらに、本発明は、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物を含む薬剤を製造する方法であって、式(I)の化合物を薬学的に許容される媒体、担体、賦形剤、または希釈剤と混合して、薬剤を生成する段階を含む方法に関する。
【0202】
一つの態様において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ仲介性状態または障害を治療するための薬剤を製造する方法であって、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物を薬学的に許容される担体と混合して、薬剤を生成する段階を含む方法に関する。
【0203】
別の態様において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に反応性の状態または障害を治療するための薬剤を製造する方法であって、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物を薬学的に許容される担体と混合して、薬剤を生成する段階を含む方法に関する。
【0204】
さらなる態様において、本発明は、糖尿病、X症候群、肥満、多嚢胞性卵巣、摂食障害、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、クッシング症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管の再狭窄、網膜症、腎症、神経変性疾患、ニューロパシー、筋消耗、認知障害、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性疾患、または免疫異常を治療するための薬剤を製造する方法であって、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物を薬学的に許容される担体と混合して、薬剤を生成する段階を含む方法に関する。
【0205】
さらに別の態様において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを調節するための薬剤を製造する方法であって、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物を薬学的に許容される担体と混合して、薬剤を生成する段階を含む方法に関する。
【0206】
さらに別の態様において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの機能を調節するための薬剤を製造する方法であって、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物を薬学的に許容される担体と混合して、薬剤を生成する段階を含む方法に関する。
【0207】
さらなる態様において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを阻害するための薬剤を製造する方法であって、前述の態様の任意の一つに記載の式(I)の化合物を薬学的に許容される担体と混合して、薬剤を生成する段階を含む方法に関する。
【0208】
薬学的組成物
三環式化合物、またはその薬学的に許容される立体異性体、プロドラッグ、塩、溶媒和化合物、水和物、もしくは包接化合物を含む薬学的組成物および単回単位用量剤形も本発明に含まれる。本発明の個々の剤形は、経口、経粘膜(舌下、口腔内、直腸内、鼻内、または腟内を含む)、非経口(皮下、筋肉内、ボーラス注射、動脈内、または静脈内を含む)、経皮、または局所(topical)投与に適していると考えられる。
【0209】
本発明の単回単位用量剤形は、患者への経口、経粘膜(例えば、鼻内、舌下、腟内、口腔内、または直腸内)、非経口(例えば、皮下、静脈内、ボーラス注射、筋肉内、または動脈内)、または経皮投与に適している。剤形の例には、錠剤;カプレット;ゼラチン軟カプセル剤などのカプセル剤;カシェ剤;トローチ;ロゼンジ;分散剤;坐剤;軟膏;パップ剤(湿布剤);ペースト;散剤;包帯剤;クリーム;硬膏剤;液剤;パッチ;エアロゾル(例えば、鼻スプレーまたは吸入器);ゲル;懸濁剤(例えば、水性もしくは非水性懸濁液、水中油乳剤、または油中水乳濁液)、液剤、およびエリキシル剤を含む、患者への経口または経粘膜投与に適した液体剤形;患者への非経口投与に適した液体剤形;ならびに再構成して患者への非経口投与に適した液体剤形を提供することができる滅菌固体(例えば、結晶またはアモルファス固体)が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0210】
本発明の剤形の組成、形状、およびタイプは、典型的にはそれらの用途に応じて変動することになる。例えば、炎症または関連疾患の急性治療において用いる剤形は、それが含む1つまたは複数の活性成分を、同じ疾患の慢性治療において用いる剤形よりも多量に含むこともある。同様に、非経口剤形は、それが含む1つまたは複数の活性成分を、同じ疾患または障害を治療するために用いる経口剤形よりも少量で含むこともある。本発明に含まれる具体的な剤形が互いに異なるこれらおよび他の様式は、当業者には容易に明らかになると思われる。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., Mack Publishing, Easton, PA (1990)参照。
【0211】
典型的な薬学的組成物および剤形は、1つまたは複数の担体、賦形剤または希釈剤を含む。適当な賦形剤は薬学の当業者には周知であり、適当な賦形剤の非限定例を本明細書に記載する。特定の賦形剤が薬学的組成物または剤形への取り込みに適しているかどうかは、剤形を患者に投与する様式を含むが、それに限定されるわけではない、当技術分野において周知の様々な因子に依存する。例えば、錠剤などの経口剤形は、非経口剤形における使用に適していない賦形剤を含むこともある。特定の賦形剤の適合性は、剤形中の具体的活性成分にも依存しうる。
【0212】
水はいくつかの化合物の分解を促進することがあるため、本発明は、活性成分を含む無水(例えば、<1%の水)薬学的組成物および剤形をさらに含む。例えば、水の添加(例えば、5%)は、貯蔵寿命または製剤の経時安定性などの特徴を調べるために、長期保存を模擬する手段として薬学分野で広く認められている。例えば、Jens T. Carstensen, Drug Stability: Principles & Practice, 2d. Ed., Marcel Dekker, NY, NY, 1995, pp. 379-80参照。実際、水および熱はいくつかの化合物の分解を促進する。このように、水分および/または湿度は製剤の製造、取り扱い、包装、保存、輸送、および使用中に遭遇することが多いため、製剤に対する水の影響は非常に重要となりうる。
【0213】
本発明の無水薬学的組成物および剤形は、無水または低水分含有成分および低水分または低湿度条件を用いて調製することができる。乳糖および一級または二級アミンを含む少なくとも一つの活性成分を含む薬学的組成物および剤形は、製造、包装、および/または保存中の水分および/または湿度との実質的接触が予想されるとしても、無水でありうる。
【0214】
無水薬学的組成物は、その無水の性質が維持されるように調製および保存すべきである。したがって、無水組成物は、適当な処方キットに含まれうるような、水への曝露を防止することが知られている材料を用いて包装することができる。適当な包装の例には、密封されたホイル、プラスティック、単位用量容器(例えば、バイアル)、ブリスターパック、およびストリップパックが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0215】
本発明は、活性成分が分解する速度を低下させる1つまたは複数の化合物を含む薬学的組成物および剤形をさらに含む。本明細書において「安定化剤」と呼ばれるそのような化合物には、アスコルビン酸などの抗酸化剤、pH緩衝剤、または塩緩衝剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0216】
三環式化合物は、11β-HSD1調節剤、糖尿病の予防もしくは治療薬、糖尿病合併症(例えば、網膜症、腎症、ニューロパシー、心筋梗塞、および動脈硬化症による脳梗塞)の予防もしくは治療薬、高脂血症の予防もしくは治療薬、肥満、神経変性疾患などの予防もしくは治療薬、または11β-HSD1仲介性疾患の予防もしくは治療薬として、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ブタ、サル)に投与することができる。
【0217】
三環式化合物は、疾患の予防または治療を目的として、糖尿病または肥満などの疾患治療のための1つまたは複数の追加の治療薬と並行して、哺乳動物に投与することができる。したがって、本発明の三環式化合物は、糖尿病および肥満を含むが、それらに限定されるわけではない、多くの疾患の治療または予防のための他の治療薬と組み合わせて投与することができる。
【0218】
治療する疾患および患者の状態に応じて、本発明の化合物を経口、非経口(例えば、筋肉内、腹腔内、静脈内、ICV、大槽内注射もしくは注入、皮下注射または埋込み)、吸入、鼻内、腟内、直腸内、舌下、または局所(例えば、経皮、局部(local))投与経路で投与してもよく、かつそれぞれの投与経路に適した通常の非毒性の薬学的に許容される担体、補助剤および媒体を含む適当な単位用量製剤中、単独または一緒に製剤化してもよい。本発明は、活性成分が決められた期間で放出されるデポー製剤での本発明の化合物の投与も企図する。
【0219】
組み合わせの投与の場合、三環式化合物を、糖尿病、肥満、もしくは他の疾患の治療もしくは予防のために有用な1つもしくは複数の追加の治療薬と同時に投与してもよく、または他の治療薬の前もしくは後に投与してもよい。組み合わせの投与の場合、三環式化合物および1つまたは複数の追加の治療薬を含む薬学的組成物を投与することもできる。または、三環式化合物を含む薬学的組成物と、1つまたは複数の追加の治療薬を含む薬学的組成物とを、別々に投与してもよい。それぞれの薬学的組成物の投与経路は同じでも異なっていてもよい。
【0220】
組み合わせの投与の場合、三環式化合物を、1回の投与につき50mgから800mgの用量で投与してもよく、1日に1回から数回、またはより低頻度(例えば、1週間に1回)で投与してもよい。加えて、化合物をより少量で投与してもよい。組み合わせの薬剤は、糖尿病もしくは肥満の予防もしくは治療用に一般に用いられる用量、またはそれよりも少量で投与することができる。
【0221】
賦形剤の量およびタイプと同様、剤形中の活性成分の量および具体的なタイプは、患者に投与する経路などであるが、それらに限定されるわけではない因子に応じて異なることもある。しかし、本発明の典型的な剤形は、三環式化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、包接化合物、水和物、多形もしくはプロドラッグを含む。糖尿病、肥満、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、免疫異常、うつまたはヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に関連する他の状態もしくは障害の治療または予防において、適当な用量レベルは一般に、1日に患者の体重1kgあたり約0.001から約100mgで、1回または複数回で投与することができる。例示的な用量レベルは1日に約0.01から約25mg/kg、または1日に約0.05から約10mg/kgである。他の態様において、適当な用量レベルは1日に約0.01から約25mg/kg、1日に約0.05から約10mg/kg、または1日に約0.1から約5mg/kgでありうる。この範囲内で、用量は1日に約0.005から約0.05、約0.05から約0.5、または約0.5から約5.0mg/kgでありえ、これは1日に約0.1mgから約2000mgの範囲内に入り、1日1回の用量で朝に投与するか、または1日を通して食事と共に分割用量で投与してもよい。一つの態様において、1日用量を等しく分割した用量で1日2回投与する。1日用量の範囲は1日に約5mgから約500mg、または1日に約10mgから約300mgの間でありうる。患者を管理する際に、治療は低い用量、おそらくは約1mgから約25mgで開始し、患者の包括的反応に応じて、必要があれば1日に約200mgから約2000mgまで、1回用量または分割用量のいずれかとして増量することができる。
【0222】
多剤療法のために、本発明の化合物の第二の活性成分に対する重量比は変動することがあり、各成分の有効量に依存することになる。一般に、それぞれの有効量を用いることになる。したがって、例えば、本発明の化合物をNSAIDと組み合わせる場合、本発明の化合物のNSAIDに対する重量比は一般に、約200:1から約1:200などの、約1000:1から約1:1000の範囲となる。本発明の化合物と他の活性成分との組み合わせも一般に前述の範囲内となるが、それぞれの場合に、各活性成分の有効量を用いるべきである。
【0223】
しかし、任意の特定の患者の具体的用量レベルおよび投与頻度は変動することがあり、用いる具体的化合物の活性;その化合物の代謝的安定性および作用期間;患者の年齢、体重、全身の健康、性別、および食事;投与の様式および時間;排出速度;薬物組み合わせ;特定の状態の重症度;ならびに治療を受けている宿主を含む様々な因子に依存することになる。
【0224】
経口剤形
経口投与に適した本発明の薬学的組成物は、錠剤(例えば、咀嚼錠)、カプレット、カプセル剤、および液剤(例えば、着香シロップ)などであるが、それらに限定されるわけではない、分離した剤形で提供することができる。そのような剤形はあらかじめ決められた量の活性成分を含み、当業者には周知の製薬法により調製してもよい。一般には、Remington's Pharmaceutical Sciences, l8th ed., Mack Publishing, Easton, PA (1990)参照。
【0225】
本発明の典型的な経口剤形は、通常の薬学的調剤技術に従って、活性成分を少なくとも一つの賦形剤と密接混合物中で混合することにより調製する。賦形剤は、投与のために望まれる製剤の形に応じて、多様な形態を取ることができる。例えば、経口液体またはエアロゾル剤形における使用に適した賦形剤には、水、グリコール、油、アルコール、着香剤、保存剤、および着色剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。固体経口剤形(例えば、散剤、錠剤、カプセル剤、およびカプレット)における使用に適した賦形剤の例には、デンプン、糖、微結晶セルロース、希釈剤、造粒剤、滑沢剤、結合剤、および崩壊剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0226】
それらの投与は容易であるため、錠剤およびカプセル剤は最も有利な経口単位用量剤形であり、ここでは固体賦形剤が用いられる。望まれる場合には、錠剤を標準の水性または非水性技術によってコーティングすることができる。そのような剤形は任意の製薬法によって調製することができる。一般に、薬学的組成物および剤形は、活性成分を液体担体、微粒子固体担体、または両方と均質かつ密接に混合し、次いで必要があれば生成物を望まれる体裁に成形することにより調製する。
【0227】
例えば、錠剤は圧縮または成形により調製することができる。圧縮錠は、適当な機器で、粉末または顆粒などの流動体の活性成分を、任意に賦形剤と混合して圧縮することにより調製することができる。成形錠は、適当な機器で、非活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を成形することにより調製することができる。
【0228】
本発明の経口剤形において用いることができる賦形剤の例には、結合剤、充填剤、崩壊剤、および滑沢剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。薬学的組成物および剤形における使用に適した結合剤には、トウモロコシデンプン、ジャガイモデンプン、または他のデンプン、ゼラチン、アカシアなどの天然および合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、他のアルジネート、粉末トラガカント、ガーゴム、セルロースおよびその誘導体(例えば、エチルセルロース、酢酸セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム)、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、アルファ化デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、(例えば、No. 2208、2906、2910)、微結晶セルロース、ならびにそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0229】
本明細書において開示される薬学的組成物および剤形における使用に適した充填剤の例には、タルク、炭酸カルシウム(例えば、顆粒または粉末)、微結晶セルロース、粉末セルロース、デキストレート、カオリン、マンニトール、ケイ酸、ソルビトール、デンプン、アルファ化デンプン、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。本発明の薬学的組成物中の結合剤または充填剤は典型的には薬学的組成物または剤形の約50から約99重量パーセントで存在する。
【0230】
微結晶セルロースの適当な形には、AVICEL-PH-101、AVICEL-PH-103 AVICEL RC-581、AVICEL-PH-105(FMC Corporation, American Viscose Division, Avicel Sales, Marcus Hook, PAから入手可能)として販売されている材料、およびその混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。具体的結合剤は、AVICEL RC-581として販売されている微結晶セルロースとカルボキシメチルセルロースナトリウムとの混合物である。適当な無水または低水分賦形剤または添加剤には、AVICEL-PH-103(商標)およびStarch 1500 LMが含まれる。
【0231】
水性環境に曝露されると崩壊する錠剤を提供するために、本発明の組成物において崩壊剤を用いる。過剰の崩壊剤を含む錠剤は保存中に崩壊する可能性があるが、崩壊剤が少なすぎるものは所望の速度または所望の条件下で崩壊しないこともある。したがって、多すぎたり、少なすぎて、活性成分の放出を不都合に変えることのない、十分な量の崩壊剤を用いて本発明の固体経口剤形を形成すべきである。用いる崩壊剤の量は製剤のタイプに応じて変動し、当業者には容易に識別することができる。典型的な薬学的組成物は、約0.5から約15重量パーセントの崩壊剤、具体的には約1から約5重量パーセントの崩壊剤を含む。
【0232】
本発明の薬学的組成物および剤形において用いることができる崩壊剤には、寒天、アルギン酸、炭酸カルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、クロスポビドン、ポラクリリンカリウム、デンプングリコール酸ナトリウム、ジャガイモまたはタピオカデンプン、アルファ化デンプン、他のデンプン、粘土、他のアルギン、他のセルロース、ガム、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0233】
本発明の薬学的組成物および剤形において用いることができる滑沢剤には、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、軽油、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコール、他のグリコール、ステアリン酸、ラウリル硫酸ナトリウム、タルク、硬化植物油(例えば、落花生油、綿実油、ヒマワリ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、およびダイズ油)、ステアリン酸亜鉛、オレイン酸エチル、エチルラウリエート(ethyl laureate)、寒天、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。追加の滑沢剤には、例えば、サイロイド(syloid)シリカゲル(AEROSIL 200、Baltimore, MDのW. R. Grace Co.が製造)、合成シリカの凝固エアロゾル(Plano, TXのDegussa Co.が販売)、CAB-O-SIL(発熱性二酸化ケイ素製品、Boston, MAのCabot Co.が販売)、およびそれらの混合物が含まれる。少しでも用いる場合には、滑沢剤は典型的には、それらが組み込まれる薬学的組成物または剤形の約1重量パーセント未満の量で用いる。
【0234】
経口投与のために、組成物を約1から約1000ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形で提供することができる。他の態様において、組成物を治療する患者への用量を症状に合わせて調節するために、約1.0、約5.0、約10.0、約15.0. 約20.0、約25.0、約50.0、約75.0、約100.0、約150.0、約200.0、約250.0、約300.0、約400.0、約500.0、約600.0、約750.0、約800.0、約900.0、または約1000.0ミリグラムの活性成分を含む錠剤の形で提供する。化合物は、例えば、1日に1または2回などの1日に1から4回の投与法で投与してもよい。
【0235】
遅延放出剤形
本発明の活性成分は、当業者には周知の制御放出手段または送達装置によって投与することができる。例には、以下に限定されるわけではないが、それぞれ参照により本明細書に組み入れられる、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;第4,008,719号;第5,674,533号;第5,059,595号;第5,591,767号;第5,120,548号;第5,073,543号;第5,639,476号;第5,354,556号;および第5,733,566号に記載のものが含まれる。そのような剤形は、例えば、ヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過膜、浸透圧システム、多層コーティング、微粒子、リポソーム、ミクロスフェア、またはそれらの組み合わせを用いて様々な比率の所望の放出特性を提供する、1つまたは複数の活性成分の遅延または制御放出を提供するために用いることができる。本明細書に記載のものを含む、当業者には公知の適当な制御放出製剤は、本発明の活性成分と共に用いるために容易に選択することができる。したがって、本発明は、制御放出に適合させた錠剤、カプセル剤、ゲルキャップ、およびカプレットなどであるが、それらに限定されるわけではない、経口投与に適した単回単位用量剤形を含む。
【0236】
制御放出製剤は、それらの対応する非制御のもので得られるよりも、薬物療法を改善することができる。理想的には、最適に設計された制御放出製剤の医学的治療における使用は、最短時間で状態を治癒または管理するために用いる最少量の薬物によって特徴づけられる。制御放出製剤の利点には、薬物の活性拡大、投与頻度の低下、および患者のコンプライアンス上昇が含まれる。加えて、制御放出製剤は、作用開始時間または薬物の血中レベルなどの他の特徴に影響をおよぼすために用いることができ、したがって、副作用(例えば、有害作用)の発生に影響をおよぼすことができる。
【0237】
ほとんどの制御放出製剤は、最初は所望の治療効果を直ちに生ずる量の薬物(活性成分)を放出し、次いで長期間にわたってこのレベルの治療または予防効果を維持するために、他の量の薬物を徐々に、かつ持続的に放出するよう設計される。体内で薬物のこの一定レベルを維持するために、薬物は剤形から、代謝され、体から排出される薬物の量に置き換わる速度で放出されなければならない。活性成分の制御放出は、pH、温度、酵素、水、または他の生理的条件もしくは化合物を含むが、それらに限定されるわけではない、様々な条件によって刺激されうる。
【0238】
非経口剤形
非経口剤形は、皮下、静脈内(ボーラス注射を含む)、筋肉内、および動脈内を含むが、それらに限定されるわけではない、様々な経路によって患者に投与することができる。それらの投与は典型的に、汚染に対する患者の自然な防御を回避するため、非経口剤形は無菌であるか、または患者への投与の前に滅菌可能でありうる。非経口剤形の例には、注射用に準備ができている液剤、注射用の薬学的に許容される媒体に溶解または懸濁する準備ができている乾燥製剤、注射用に準備ができている懸濁剤、および乳剤が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、微粒子を含まない剤形に再構成するのに適した凍結乾燥滅菌組成物はヒトへの投与に適している。
【0239】
本発明の非経口剤形を提供するために用いることができる適当な媒体は、当業者には周知である。例には、米国薬局方注射用蒸留水;塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロース・塩化ナトリウム注射液、および乳酸加リンゲル液などであるが、それらに限定されるわけではない、水性媒体;エチルアルコール、ポリエチレングリコール、およびポリプロピレングリコールなどであるが、それらに限定されるわけではない、水混和性媒体;ならびにトウモロコシ油、綿実油、落花生油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、および安息香酸ベンジルなどであるが、それらに限定されるわけではない、非水性媒体が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0240】
本明細書において開示される1つまたは複数の活性成分の溶解性を高める化合物も、本発明の非経口剤形中に組み込むことができる。
【0241】
非経口剤形は、癌患者の疾患を予防、治療または管理する方法のための典型例である。
【0242】
経皮剤形および局所用剤形
本発明の経皮剤形および局所用剤形には、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、液剤、乳剤、懸濁剤、または当業者には公知の他の剤形が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton, PA (1990);およびIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia, PA (1985)参照。経皮剤形には「レザバータイプ」または「マトリックスタイプ」パッチが含まれ、これらは皮膚に適用し、特定の期間装着して、所望の量の活性成分を浸透させることができる。
【0243】
本発明に含まれる経皮剤形および局所用剤形を提供するために用いることができる、適当な賦形剤(例えば、担体および希釈剤)および他の材料は、薬学の当業者には周知であり、所与の薬学的組成物または剤形を適用することになる特定の組織に依存する。この事実を考慮して、典型的な賦形剤には、非毒性で薬学的に許容される、ローション、チンキ剤、クリーム、乳剤、ゲルまたは軟膏を生成するための、水、アセトン、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。望まれる場合には、加湿剤または湿潤剤も薬学的組成物および剤形に加えることができる。そのような追加の成分の例は当技術分野において周知である。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton, PA (1990)参照。
【0244】
治療する特定の組織に応じて、追加の成分を、本発明の活性成分による治療の前に、一緒に、または後に用いてもよい。例えば、浸透増強剤を用いて活性成分の組織への送達を補助することができる。適当な浸透増強剤には、アセトン;エタノール、オレイル、およびテトラヒドロフリルなどの様々なアルコール;ジメチルスルホキシドなどのアルキルスルホキシド;ジメチルアセトアミド;ジメチルホルムアミド;ポリエチレングリコール;ポリビニルピロリドンなどのピロリドン;コリドン(Kollidon)等級(ポビドン、ポリビドン(Polyvidone));尿素;ならびにトゥイーン(Tween)80(ポリソルベート80)およびスパン(Span)60(モノステアリン酸ソルビタン)などの様々な水溶性または不溶性糖エステルが含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0245】
薬学的組成物もしくは剤形、または薬学的組成物もしくは剤形を適用する組織のpHも、1つまたは複数の活性成分の送達を改善するために調節してもよい。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張性も、送達を改善するために調節することができる。1つまたは複数の活性成分の親水性または親油性を有利に変えて送達を改善するために、ステアレートなどの化合物を薬学的組成物または剤形に加えることもできる。これに関して、ステアレートは製剤の脂質媒体、乳化剤または界面活性剤、および送達増強または浸透増強剤として役立ちうる。活性成分の異なる塩、水和物または溶媒和化合物を用いて、得られる組成物の性質をさらに調節することもできる。
【0246】
経粘膜剤形および肺送達
本発明の経粘膜剤形には、眼科用液剤、噴霧剤およびエアロゾル、または当業者には公知の他の剤形が含まれるが、それらに限定されるわけではない。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton, PA (1990);およびIntroduction to Pharmaceutical Dosage Forms, 4th ed., Lea & Febiger, Philadelphia, PA (1985)参照。口腔内の粘膜組織を治療するのに適した剤形は、洗口剤または口内ゲルとして製剤化することができる。一つの態様において、エアロゾルは担体を含む。別の態様において、エアロゾルは担体を含まない。
【0247】
本発明の化合物は吸入により肺に直接投与することもできる(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Tong et al.、国際公開公報第97/39745号、およびClark et al.、国際公開公報第99/47196を参照されたい)。吸入による投与のために、三環式化合物をいくつかの異なる装置により都合よく肺に送達することができる。例えば、適当な低沸点噴射剤、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素または他の適当なガスを含むキャニスターを用いる定量噴霧式吸入器(「MDI」)を用いて、三環式化合物を肺に直接送達することができる。MDI装置は3M Corporation、Aventis、Boehringer Ingleheim、Forest Laboratories、Glaxo-Wellcome、Schering PloughおよびVecturaなどのいくつかの供給元から市販されている。
【0248】
または、粉末吸入器(DPI)装置を用いて三環式化合物を肺に投与することができる(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Raleigh et al., Proc. Amer. Assoc. Cancer Research Annual Meeting, 1999, 40, 397を参照されたい)。DPI装置は典型的には、容器内で乾燥粉末の霧を発生させ、これを次いで患者が吸入することができる、ガスの爆発などのメカニズムを用いる。DPI装置も当技術分野において周知であり、例えば、Fisons、Glaxo-Wellcome、Inhale Therapeutic Systems、ML Laboratories、QdoseおよびVecturaを含むいくつかの供給業者から購入することができる。普及している変形は反復投与DPI(「MDDPI」)システムで、これは複数回の治療用量の送達を可能にする。MDDPI装置はAstraZeneca、Glaxo Wellcome、IVAX、Schering Plough、SkyePharmaおよびVecturaなどの会社から市販されている。例えば、これらのシステムのために、化合物の粉末混合物と、乳糖またはデンプンなどの適当な粉末基剤とを含む、吸入器または注入器において用いるためのゼラチンのカプセルおよびカートリッジを調製することができる。
【0249】
三環式化合物を肺に送達するために用いることができる別のタイプの装置は、例えば、Aradigm Corporationによって供給される液体噴霧装置である。液体噴霧システムは非常に小さいノズルの孔を用いて、液体製剤をエアロゾル化し、これを次いで肺に直接吸入することができる。
【0250】
一つの態様において、ネブライザー装置を用いて、三環式化合物を肺に送達する。ネブライザーは、例えば、容易に吸入することができる微粒子を生成するために超音波エネルギーを用いて、液体製剤からエアロゾルを生成する(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Verschoyle et al., British J Cancer, 1999, 80, Suppl 2, 96を参照されたい)。ネブライザーの例には、Sheffield/Systemic Pulmonary Delivery Ltd.(すべて参照により本明細書に組み入れられる、Armer et al.、米国特許第5,954,047号;van der Linden et al.、米国特許第5,950,619号;およびvan der Linden et al.、米国特許第5,970,974号を参照されたい)、Aventis、およびBatelle Pulmonary Therapeuticsによって供給される装置が含まれる。ネブライザー装置によって送達される吸入化合物は、気道・消化管癌(Engelke et al., Poster 342 at American Association of Cancer Research, San Francisco, Calif., Apr. 1-5, 2000)および肺癌(Dahl et al., Poster 524 at American Association of Cancer Research, San Francisco, Calif., April 1-5, 2000)の治療薬として現在試験中である。
【0251】
一つの態様において、電気流体力学(「EHD」)エアロゾル装置を用いて、三環式化合物を肺に送達する。EHDエアロゾル装置は電気エネルギーを用いて液体薬物溶液または懸濁液をエアロゾル化する(例えば、すべて参照により本明細書に組み入れられる、Noakes et al.、米国特許第4,765,539号;Coffee、米国特許第4,962,885号;Coffee、国際公開公報第94/12285号;Coffee、国際公開公報第94/14543号;Coffee、国際公開公報第95/26234号、Coffee、国際公開公報第95/26235号;およびCoffee、国際公開公報第95/32807号を参照されたい)。本発明の製剤の化合物の電気化学的性質は、この薬物を肺にEHDエアロゾル装置を用いて送達する際に最適化するための重要なパラメーターであると考えられ、そのような最適化は当業者であれば日常的に実施している。EHDエアロゾル装置は既存の肺送達技術よりも効率的に薬物を肺に送達しうる。三環式化合物の肺内送達の他の方法は当業者には公知であると思われ、本発明の範囲内である。
【0252】
ネブライザーおよび液体噴霧装置ならびにEHDエアロゾル装置と共に用いるのに適した液体製剤は、典型的には、三環式化合物を薬学的に許容される担体と共に含む。例えば、薬学的に許容される担体は、アルコール、水、ポリエチレングリコールまたはパーフルオロカーボンなどの液体である。任意に、三環式化合物の溶液または懸濁液のエアロゾル特性を変えるために、別の材料を加えてもよい。いくつかの態様において、この材料は、アルコール、グリコール、ポリグリコールまたは脂肪酸などの液体である。エアロゾル装置における使用に適した液体薬物溶液または懸濁液の他の製剤法は当業者には公知である(例えば、参照により本明細書に組み入れられる、Biesalski、米国特許第5,112,598号、およびBiesalski、第5,556,611号を参照されたい)。本発明の化合物は、例えば、カカオ脂または他のグリセリドなどの通常の坐剤基剤を含む、坐剤または保持浣腸などの直腸または膣組成物に製剤化することもできる。
【0253】
前述の製剤に加えて、三環式化合物はデポー製剤として製剤化することもできる。そのような長期作用製剤は、埋込み(例えば、皮下または筋肉内)または筋肉内注射により投与することができる。したがって、例えば、化合物は適当なポリマーもしくは疎水性材料(例えば、許容される油中の乳濁液として)またはイオン交換樹脂と共に、あるいは難溶性誘導体、例えば、難溶性の塩として製剤化することができる。
【0254】
他の送達システム
または、他の薬学的送達システムを用いることもできる。リポソームおよび乳剤は、三環式化合物を送達するために用いることができる送達媒体の周知の例である。ジメチルスルホキシドなどの特定の有機溶媒を用いることもできるが、より大きい毒性という犠牲が伴うかもしれない。本発明の化合物を制御放出系で送達することもできる。一つの態様において、ポンプを用いることができる(Sefton, CRC Crit. Ref. Biomed. Eng., 1987, 14, 201; Buchwald et al., Surgery, 1980, 88, 507; Saudek et al., New Engl. J. Med., 1989, 321, 574)。別の態様において、ポリマー材料を用いることができる(Medical Applications of Controlled Release, Langer and Wise (eds.), CRC Press, Boca Raton, Fla. (1974); Controlled Drug Bioavailability, Drug Product Design and Performance, Smolen and Ball (eds.), Wiley, New York (1984); Ranger and Peppas, J. Macromol. Sci. Rev. Macromol. Chem., 1983, 23, 61参照; Levy et al., Science, 1985, 228, 190; During et al., Ann. Neurol., 1989, 25, 351; Howard et al., J. Neurosurg., 1989, 71, 105も参照されたい)。さらに別の態様において、本発明の化合物の標的、例えば肺の近くに制御放出系を置くこともでき、したがって全身用量のほんの一部しか必要としない(例えば、Goodson, in Medical Applications of Controlled Release, supra, vol. 2, pp. 115 (1984)参照)。他の制御放出系を用いることもできる(例えば、Langer, Science, 1990, 249, 1527参照)。
【0255】
本発明に含まれる経粘膜剤形を提供するために用いることができる適当な賦形剤(例えば、担体および希釈剤)および他の材料は薬学の当業者には周知であり、所与の薬学的組成物または剤形を投与することになる特定の部位または方法に依存する。この事実を考慮して、典型的な賦形剤には、非毒性かつ薬学的に許容される、水、エタノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタン-1,3-ジオール、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、鉱油、およびそれらの混合物が含まれるが、それらに限定されるわけではない。そのような追加の成分の例は当技術分野において周知である。例えば、Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th eds., Mack Publishing, Easton, PA (1990)参照。
【0256】
薬学的組成物もしくは剤形、または薬学的組成物もしくは剤形を適用する組織のpHも、1つまたは複数の活性成分の送達を改善するために調節することができる。同様に、溶媒担体の極性、そのイオン強度、または張性も、送達を改善するために調節することができる。1つまたは複数の活性成分の親水性または親油性を有利に変えて送達を改善するために、ステアレートなどの化合物を薬学的組成物または剤形に加えることもできる。これに関して、ステアレートは製剤の脂質媒体、乳化剤または界面活性剤、および送達増強または浸透増強剤として役立ちうる。活性成分の異なる塩、水和物または溶媒和化合物を用いて、得られる組成物の性質をさらに調節することもできる。
【0257】
三環式化合物の治療的使用
一つの態様において、本発明は、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に関連する状態または障害を治療または予防するための方法であって、そのような状態または障害を有している患者に、本発明の化合物または組成物の治療的有効量を投与することによる方法を提供する。一つの態様群において、ヒトまたは他の種における慢性疾患を含む状態および障害を、11β-HSD1などのヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節剤、刺激剤、または阻害剤で治療することができる。
【0258】
糖尿病の治療または予防
糖尿病および糖尿病状態を、三環式化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる。
【0259】
三環式化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる糖尿病の型には、I型糖尿病(若年型糖尿病、インスリン依存性糖尿病(IDDM))、II型糖尿病(インスリン非依存性糖尿病(NIDDM))、異常インスリン症、膵臓障害に関連する糖尿病、他の障害(クッシング症候群、先端巨大症、クロム親和細胞腫、グルカゴノーマ、原発性アルドステロン症、およびソマトスタチン産生腫瘍など)に関連する糖尿病、A型およびB型インスリン抵抗性症候群、脂肪萎縮性糖尿病(lipatrophic diabetes)、およびβ細胞毒素により誘導される糖尿病が含まれる。
【0260】
一つの態様において、治療する糖尿病の型はII型糖尿病である。
【0261】
肥満の治療または予防
肥満を、三環式化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる。
【0262】
肥満は、遺伝、環境(例えば、消費するよりも少ないエネルギーを使っている)および調節決定因子を有すると考えられる。肥満には外因性肥満、過インスリン性肥満、過血漿性肥満、甲状腺機能低下肥満、視床下部性肥満、症候性肥満、小児肥満、上半身肥満、食事性肥満、性機能低下性肥満、単純肥満および中心性肥満、下垂体性肥満ならびに過食症が含まれる。ハイパーリデミア(hyperlidemia)および糖尿病などの代謝障害、ならびに高血圧および冠動脈疾患などの心血管障害は一般に肥満と関連している。
【0263】
肥満による合併症も、三環式化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる。そのような合併症には、睡眠無呼吸、ピックウィック症候群、荷重および非荷重関節の整形外科疾患、ならびに発汗または皮膚分泌増加による皮膚障害が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0264】
他の状態の治療または予防
三環式化合物の治療的有効量を投与することにより治療または予防することができる他の状態には、ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼまたはその特定のアイソフォームの、阻害などの調節に反応性で、それによりそのような調節剤の投与から利益を得る、いかなる状態も含まれるが、それらに限定されるわけではない。これに関する代表的状態には、X症候群、多嚢胞性卵巣、摂食障害(例えば、食欲不振および食欲亢進)、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症およびクッシング症候群などの代謝障害および関連する心血管危険因子;それらに関連する疾患、例えば、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管の再狭窄、網膜症および腎症など;神経変性疾患、ニューロパシーおよび筋消耗などの神経障害;加齢性学習障害、痴呆、神経変性などの認知障害、ならびに重度障害(例えば、パーキンソンまたはアルツハイマー関連痴呆)から軽度障害(例えば、加齢性記憶障害、薬物誘導性認知障害)までの範囲の被験体における認知機能の障害(Sandeep, et al., PNAS参照、www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.0306996101で電子的に利用可能);前立腺癌、結腸癌、乳癌、良性前立腺肥大症、卵巣癌、子宮癌、および男性偽半陰陽(male pseudohermaphrodism)などのアンドロゲンおよび/またはエストロゲン関連障害;子宮内膜症;うつ;乾癬;緑内障;骨粗鬆症;ウイルス感染症;炎症性疾患;ならびに免疫異常が含まれるが、それらに限定されるわけではない。本発明の化合物は障害のない被験体の認知機能も改善しうる(例えば、一般集団のための認知増強剤として作用する)。
【0265】
追加の治療薬
一つの態様において、本発明の治療または予防法は、本明細書に開示される疾患または障害を治療または予防するのに有用な1つまたは複数の追加の治療薬の治療的有効量の投与をさらに含む。この態様において、他の治療薬の治療効果が発揮される時期は三環式化合物の治療効果が発揮される時期と重なる。
【0266】
本発明の化合物は、糖尿病、肥満、緑内障、骨粗鬆症、認知障害、免疫異常、うつおよび前述の病状を含む、本発明の化合物が有用な状態または障害の治療、予防、抑制または改善において有用な他の物質と混合してもよく、またはそれらと組み合わせて用いてもよい。
【0267】
そのような他の物質、または薬物は、それらのために一般的に用いられている経路および量で、三環式化合物と同時または逐次投与してもよい。一つの態様において、三環式化合物を1つまたは複数の他の物質または薬物と同時に用いる場合、薬学的組成物は本発明の化合物に加えて1つまたは複数のそのような他の物質または薬物を含む。したがって、本発明の薬学的組成物には、三環式化合物に加えて、1つまたは複数の他の活性成分または治療薬も含むものが含まれる。
【0268】
ある態様において、糖尿病の治療または予防のために、三環式化合物を、インスリン、吸入型インスリン(Exubera(登録商標))、インスリン様物質、インスリン分泌促進物質、スルホニルウレア(例えば、グリブリド、メグリナチド(meglinatide)、グリメピリド、グリクラジド、グリピジド、グリキドン、クロロプロプレスポンシベミド(chloropropresponsivemide)、トルブタミド、アセトヘキサミド、グリコピラミド(glycopyramide)、カルブタミド、グリボヌリド(glibonuride)、グリソキセピド、グリブチアゾール(glybuthiazole)、グリブゾール(glibuzole)、グリへキサミド(glyhexamide)、グリミジン、グリピナミド(glypinamide)、フェンブタミド(phenbutamide)、トルシルアミド(tolcylamide)およびトラザミド)、ビグアニド(例えば、メトホルミン(Glucophage(登録商標)))、α-グルコシダーゼ阻害剤(例えば、アカルボース、ボグリボースおよびミグリトール)、チアゾリジノン化合物(例えば、ロシグリタゾン(Avandia(登録商標))、トログリタゾン(Rezulin(登録商標))、シグリタゾン、ピオグリタゾン(Actos(登録商標))およびエングリタゾン)、食事性グルコース調節剤(例えば、レパグリニドおよびナテグリニド)、およびグルカゴン受容体アンタゴニストなどの抗糖尿病薬を含むが、それらに限定されるわけではない、1つまたは複数の追加の治療薬と共に投与することができる。
【0269】
別の態様において、肥満の治療または予防のために、三環式化合物を、β3アドレナリン受容体アゴニスト、レプチンまたはその誘導体、神経ペプチドY(例えば、NPY5)アンタゴニスト、およびマジンドールを含むが、それらに限定されるわけではない、1つまたは複数の追加の治療薬と共に投与することができる。
【0270】
別々に投与するにせよ、同じ薬学的組成物中で投与するにせよ、三環式化合物と組み合わせてもよい他の治療薬の例には下記が含まれるが、それらに限定されるわけではない:(i)HMG-CoAレダクターゼ阻害剤(例えば、ロバスタチン、シンバスタチン(Zocor(登録商標))、プラバスタチン、フルバスタチン、アトルバスタチン(Lipitor(登録商標))および他のスタチン)、胆汁酸抑制剤(例えば、コレスチラミンおよびコレスチポール)、ビタミンB3(ニコチン酸、またはナイアシンとしても知られている)、ビタミンB6(ピリドキシン)、ビタミンB12(シアノコバラミン)、フィブリン酸誘導体(例えば、ゲムフィブロジル、クロフィブレート、フェノフィブレートおよびベンザフィブレート(benzafibrate))、プロブコール、ニトログリセリン、およびコレステロール吸収の阻害剤(例えば、β-シトステロールおよびメリナミドなどのアシルCoA-コレステロールアシルトランスフェラーゼ(ACAT)阻害剤)、HMG-CoAシンターゼ阻害剤、スクアレンエポキシダーゼ阻害剤およびスクアレン合成酵素(squalene synthetase)阻害剤などのコレステロール低下剤;(ii)血栓溶解剤(例えば、ストレプトキナーゼ、アルテプラーゼ、アニストレプラーゼおよびレテプラーゼ)、ヘパリン、ヒルジンおよびワルファリン誘導体、β-遮断薬(例えば、アテノロール)、βアドレナリンアゴニスト(例えば、イソプロテレノール)、アンギオテンシンIIアンタゴニスト、ACE阻害剤および血管拡張薬(例えば、ニトロプルシドナトリウム、塩酸ニカルジピン、ニトログリセリンおよびエナロプリラト(enaloprilat))などの抗血栓剤;(iii)PPARアゴニスト(例えば、PPARγおよびPPARδアゴニスト);(iv)DPアンタゴニスト;(v)ワセリンおよびラノリンなどの潤滑剤または皮膚軟化剤、角質溶解剤、ビタミンD3誘導体(例えば、カルシポトリエンおよびカルシポトリオール(Dovonex(登録商標)))、PUVA、アントラリン(Drithrocreme(登録商標))、エトレチネート(Tegison(登録商標))およびイソトレチノイン;(vi)コリン作用性アゴニスト(例えば、ピロカルピンおよびカルバコール)、コリンエステラーゼ阻害剤(例えば、フィゾスチグミン、ネオスチグミン、デマカリウム(demacarium)、ヨウ化エコチオフェートおよびイソフルロフェート(isofluorophate))、炭酸脱水酵素阻害剤(例えば、アセタゾラミド、ジクロルフェナミド、メタゾラミド、エトキシゾラミドおよびドルゾラミド)、非選択的アドレナリンアゴニスト(例えば、エピネフリンおよびジピベフリン)、α2-選択的アドレナリンアゴニスト(例えば、アプラクロニジンおよびブリモニジン)、β-遮断薬(例えば、チモロール、ベタゾロール(betazolol)、レボブノロール、カルテオロールおよびメチプラノロール)、プロスタグランジン類縁体(例えば、ラタノプロスト)および浸透圧利尿薬(例えば、グリセリン、マンニトールおよびイソソルビド)などの緑内障治療薬;ベクロメタゾン、メチルプレドニゾロン、ベタメタゾン、プレドニゾン、プレニゾロン(prenisolone)、デキサメタゾン、フルチカゾンおよびヒドロコルチゾンなどのコルチコステロイド、ならびにブデソニドなどのコルチコステロイド類縁体;(vii)シクロスポリン(シクロスポリンA、Sandimmune(登録商標)、Neoral(登録商標))、タクロリムス(FK-506、Prograf(登録商標))、ラパマイシン(シロリムス、Rapamune(登録商標))および他のFK-506型免疫抑制剤、ならびにミコフェノレート(mycophenolate)(例えば、ミコフェノール酸モフェチル(CellCept(登録商標))などの免疫抑制剤;(viii)プロピオン酸誘導体(例えば、アルミノプロフェン、ベノキサプロフェン、ブクロクス酸(bucloxic acid)、カルプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、フルプロフェン(fluprofen)、フルルビプロフェン、イブプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、ミロプロフェン(miroprofen)、ナプロキセン、オキサプロジン、ピルプロフェン、プラノプロフェン、スプロフェン、チアプロフェン酸およびチオキサプロフェン(tioxaprofen))、酢酸誘導体(例えば、インドメタシン、アセメタシン、アルクロフェナク、クリダナク、ジクロフェナク、フェンクロフェナク(fenclofenac)、フェンクロズ酸(fenclozic acid)、フェンチアザク、フロフェナク(furofenac)、イブフェナク、イソキセパク(isoxepac)、オキシピナク(oxpinac)、スリンダク、チオピナク(tiopinac)、トルメチン、ジドメタシン(zidometacin)およびゾメピラック)、フェナム酸(fenamic acid)誘導体(例えば、フルフェナム酸(fiufenamic acid)、メクロフェナム酸、メフェナム酸、ニフルム酸およびトルフェナム酸)、ビフェニルカルボン酸誘導体(例えば、ジフルニサルおよびフルフェニサル(flufenisal))、オキシカム(oxicam)(例えば、イソキシカム(isoxicam)、ピロキシカム(piroxicam)、スドキシカム(sudoxicam)およびテノキシカン(tenoxican))、サリチレート(例えば、アセチルサリチル酸およびスルファサラジン)、およびピラゾロン(例えば、アパゾン、ベズピペリロン(bezpiperylon)、フェプラゾン、モフェブタゾン、オキシフェンブタゾンおよびフェニルブタゾン)などの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID);(ix)セレコキシブ(Celebrex(登録商標))およびロフェコキシブ(Vioxx(登録商標))などのシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)阻害剤;(xi)ホスホジエステラーゼIV型(PDE-IV)の阻害剤;(xii)コデイン、フェンタニル、ヒドロモルフォン、レボルファノール、メペリジン、メサドン、モルフィン、オキシコドン、オキシモルフォン、プロポキシフェン、ブプレノルフィン、ブトルファノール、デゾシン、ナルブフィンおよびペンタゾシンなどのオピオイド鎮痛剤;(xiii)肝保護物質;および(xiv)5-アミノサリチル酸およびそのプロドラッグなどの他の化合物。
【0271】
本発明の化合物の1つまたは複数の追加の活性成分に対する重量比は変動することがあり、各成分の有効用量に依存することになる。一般に、それぞれの有効用量を用いることになる。したがって、例えば、三環式化合物をNSAIDと組み合わせる場合、本発明の化合物のNSAIDに対する重量比は一般に、例えば、約200:1から約1:200などの約1000:1から約1:1000の範囲となる。三環式化合物と1つまたは複数の追加の活性成分との組み合わせも、一般には前述の範囲内に入ることになるが、それぞれの場合に、各活性成分の有効用量を用いるべきである。
【0272】
キット
本発明は、三環式化合物、またはその組成物の患者への投与を単純化することができるキットを含む。
【0273】
本発明の典型的キットは三環式化合物の単位用量を含む。一つの態様において、単位用量剤形は、三環式化合物の治療的有効量と薬学的に許容される媒体とを含む、無菌でありうる容器に含まれる。別の態様において、単位用量剤形は、三環式化合物の治療的有効量を凍結乾燥物または薬学的に許容される塩として含む容器に含まれる。この場合、キットは、凍結乾燥物の再構成または塩の溶解のために有用な溶液を含む別の容器をさらに含むことができる。キットは、三環式化合物の使用のためにラベルまたは印刷した説明書も含むことができる。
【0274】
さらなる態様において、キットは本発明の組成物の単位用量剤形を含む。
【0275】
本発明のキットは、三環式化合物、またはその組成物の単位用量剤形を投与するために有用な、1つまたは複数の装置をさらに含むこともできる。そのような装置の例には、単位用量剤形を任意に含む、シリンジ、点滴袋、パッチまたは浣腸が含まれるが、それらに限定されるわけではない。
【0276】
本発明は、本発明の少数の態様の例示として意図される、実施例において開示される特定の態様による範囲に限定されるものではなく、機能的に等価のいかなる態様も本発明の範囲内である。事実、本明細書に示され、記載されているものに加えて、本発明の様々な改変は当業者には明らかになり、添付の特許請求の範囲内に入ることが意図される。このために、1つまたは複数の水素原子またはメチル基は、そのような有機化合物の認められた簡略表記に一致する構造式から省略してもよく、有機化学の当業者であればそれらの存在を容易に理解するであろうことに留意すべきである。
【0277】
式(I)の三環式化合物の調製
式(I)の化合物の調製のための代表的な合成スキーム、方法、反応、試薬、および反応条件を以下に記載する。当業者であれば、本明細書に記載し、特許請求の範囲において示す、式(I)の化合物を合成するために利用可能な様々な合成スキーム、方法、反応、試薬、および反応条件があることを理解すると考えられる。
【0278】
特定の官能基の反応または生成を促進するため、または望ましくない副反応を回避するために、保護(または「ブロッキング」)基を用いてもよい。望ましくない副反応から官能基を保護するための保護基の使用は当技術分野において周知である。保護基は、当技術分野において公知のとおり、特定の試薬、反応条件、および反応順序との保護基の適合性に応じて、最終生成物を合成するための工程の任意の段階における任意の化合物上の任意の官能基のために用いてもよい。
【0279】
実施例1:2-(4-(4-シクロヘキシルオキサゾル-5-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロ-プロパン-2-オールの調製
4-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ベンズアルデヒド

【0280】
(a)THF(100mL)中の4-アセチル安息香酸メチル(8.9g、50.0mmol、1.0当量)およびCF3SiMe3(14.2g、100.0mmol、2.0当量)の混合物にTBAF(75mL、1.0M THF溶液、75.0mmol、1.5当量)を0℃で滴加した。室温で12時間撹拌した後、混合物をCH2Cl2(100mL)で希釈した。有機層を飽和NaHCO3水溶液および食塩水で洗浄し、乾燥させて、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィ(15%EtOAc/ヘキサン)で精製して、エステルを無色液体で得た:

【0281】
(b)(1)無水THF(50mL)中の上で得たエステル(7.44g、30mmol、1.0当量)の溶液にLiAlH4(36mL、1.0M Et2O溶液、36mmol、1.2当量)を0℃でゆっくり加えた。0℃で4時間撹拌した後、反応混合物を反応停止(H2Oおよび2N NaOH)し、抽出(EtOAc)し、乾燥(Na2SO4)させて、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(40%EtOAc/ヘキサン)で精製して、一級アルコールを得た。
【0282】
(2)デス-マーチンペルヨージナン(periodinane)(7.86g、18.5mmol、1.2当量)をCH2Cl2(10mL)およびTHF(5mL)中の上で得たアルコール(3.4g、15.5mmol、1.0当量)の溶液に0℃で加えた。室温で24時間撹拌した後、混合物を飽和NaHCO3水溶液で反応停止し、CH2Cl2で希釈した。水層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、アルデヒドを白色固体で得た:

【0283】
2-(4-(4-シクロヘキシルオキサゾル-5-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オール

【0284】
(a)NaH(0.8g、20.0mmol、油中60%分散液、2.0当量)をDMSO(10mL)およびEt2O(10mL)中のトルエンスルホニルメチルイソシアニド(1.95g、10.0mmol、1.0当量)の溶液に0℃で5分かけて加え、反応混合物を室温まで加温しながら20分間撹拌した。ヨウ化シクロヘキシル(1.55mL、12mmol、1.2当量)を3分かけて滴加し、得られた混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(250mL)で希釈し、分離した有機層を水(60mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、生成物を白色固体で得た:

【0285】
(b)上で得たアルキル化TosMIC(480mg、1.73mmol、1.2当量)をMeOH(2mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(25%MeOH溶液、0.94mL、3当量)で処理し、次いで4-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ベンズアルデヒド(314mg、1.44mmol、1.0当量)を加えた。80℃で2時間加熱した後、反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(80mL)で希釈し、食塩水で洗浄した。分離した有機層をNa2SO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(30%EtOAc/ヘキサン)で精製して、2-(4-(4-シクロヘキシルオキサゾル-5-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オールを白色固体で得た:

【0286】
実施例2:1,1,1-トリフルオロ-2-(4-(4-(1-トシルピペリジン-4-イル)オキサゾル-5-イル)フェニル)プロパン-2-オールの調製
4-ブロモ-1-トシルピペリジン

【0287】
4-ブロモピペリジン(5.75g、23.5mmol)をピリジン(50mL)に溶解し、塩化トシル(5.8g、30.5mmol)で処理した。反応混合物を室温で12時間撹拌し、次いでジクロロメタン(150mL)およびHCl(1M水溶液、50mL)で希釈した。有機層を食塩水(80mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(40%EtOAc/ヘキサン)で精製して、4-ブロモ-1-トシルピペリジンを白色固体で得た:

【0288】
4-(イソシアノ(トシル)メチル)-1-トシルピペリジン

【0289】
NaH(0.92g、23.07mmol、油中60%分散液)をDMF(70mL)に0℃で一度に加えた。DMF(12mL)中のトルエンスルホニルメチルイソシアニド(3.0g、15.38mmol)を5分かけて滴加し、混合物を室温まで加温しながら20分間撹拌した。次いで、DMF(10mL)中の4-ブロモ-1-トシルピペリジン(4.46g、18.4mmol)を3分かけて滴加し、得られた混合物を室温で16時間撹拌した。次いで、混合物を酢酸エチル(250mL)およびLiCl(1M水溶液、60mL)で希釈し、分離した有機層を水(60mL)で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、4-(イソシアノ(トシル)メチル)-1-トシルピペリジンを白色固体で得た:

【0290】
1,1,1-トリフルオロ-2-(4-(4-(1-トシルピペリジン-4-イル)オキサゾル-5-イル)フェニル)プロパン-2-オール

【0291】
4-(イソシアノ(トシル)メチル)-1-トシルピペリジン(260mg、0.73mmol)をMeOH(6mL)に溶解し、ナトリウムメトキシド(1.0M MeOH溶液、0.7mL)で処理し、次いで4-(1,1,1-トリフルオロ-2-ヒドロキシプロパン-2-イル)ベンズアルデヒド(159mg、0.73mmol)を加えた。80℃で2時間撹拌した後、混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(80mL)および飽和NaHCO3水溶液(30mL)で希釈した。分離した有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(15%EtOAc/ヘキサン)で精製して、1,1,1-トリフルオロ-2-(4-(4-(1-トシルピペリジン-4-イル)オキサゾル-5-イル)フェニル)プロパン-2-オールを白色固体で得た:

【0292】
実施例3:2-(4-(4-シクロヘキシルイソキサゾル-5-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オールの調製

【0293】
(a)4-アセチル安息香酸メチル(20.0g、112.3mmol)をベンゼン(250mL)に溶解し、エチレングリコール(6.3mL、112.3mmol)およびパラ-トルエンスルホン酸(1.92g、11.2mmol)を一度に加えた。ディーン-スタークトラップ(Dean-Stark trap)を用いて3時間加熱還流した後、混合物を冷却し、飽和NaHCO3水溶液、水および食塩水で逐次洗浄した。分離した有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(15%EtOAc/ヘキサン)で精製して、ケタールを無色油状物で得た:

【0294】
(b)上で得たケタール(18.5g、83.3mmol)を無水THF(150mL)中のN,O-ジメチルヒドロキシルアミンヒドロクロリド(10.15g、104.1mmol)でスラリー化し、-10℃まで冷却した。塩化イソプロピルマグネシウム(125mL、2.0M THF溶液、250mmol)を滴加漏斗から20分かけて滴加した。混合物を室温まで加温し、2時間撹拌し、次いで飽和NH4Cl水溶液(100mL)、水(60mL)で反応停止し、酢酸エチル(80mL)で希釈した。分離した水層を酢酸エチル(300mL)で抽出し、MgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、ベンズアミドを無色油状物で得た:

【0295】
(c)(ブロモメチル)シクロヘキサン(8.3mL、60mmol)を無水THF(100mL)中のMg(1.44g、60mmol)およびI2(10mg)の混合物に室温、N2雰囲気下で加えた。混合物を2時間撹拌し、次いで無水THF(80mL)中の上で得たベンズアミド(5.0g、20mmol)の溶液に加えた。得られた反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで酢酸エチル(300mL)、飽和NH4Cl水溶液(60mL)および水(140mL)で希釈した。分離した有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(15%EtOAc/ヘキサン)で精製して、ケトンを白色固体で得た:

【0296】
(d)上で得たケトン(1.6g、5.55mmol)をギ酸エチル(20mL)に溶解し、ナトリウムエトキシド(755mg、11.1mmol)を一度に加えた。反応混合物を室温で16時間撹拌し、次いで酢酸エチル(250mL)および飽和NaHCO3水溶液(100mL)で希釈した。分離した有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(10%EtOAc/ヘキサン)で精製して、ケトアルデヒドを無色油状物で得た:

【0297】
(e)塩酸ヒドロキシルアミン(48.4mg、0.71mmol)をピリジン(1mL)中の上で得たケトアルデヒド(150mg、0.48mmol)の溶液に加えた。80℃で1時間加熱した後、混合物を23℃まで冷却し、3N HClで反応停止した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。粗製材料をTHF(2mL)および濃HCl(0.5mL)に溶解し、1時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液で反応停止し、CH2Cl2で希釈した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、ケトイソキサゾールを白色固体で得た。
【0298】
(f)THF(1mL)中の上で得たケトイソキサゾール(80mg、0.26mmol)およびCF3TMS(72.7mg、0.52mmol)の溶液に、0℃でTBAF(383μL、1M THF溶液、0.38mmol)を滴加した。室温で12時間撹拌した後、混合物を飽和NaHCO3水溶液で反応停止し、EtOAcで希釈した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、2-(4-(4-シクロヘキシルイソキサゾル-5-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オールを白色固体で得た:

【0299】
実施例4:2-(4-(4-シクロヘキシルイソキサゾル-5-イル)フェニル)プロパン-2-オールの調製

【0300】
メチルリチウム(159μL、1.6M Et2O溶液、0.25mmol)をTHF(2mL)中の上で得た1-(4-(4-シクロヘキシルイソキサゾル-5-イル)フェニル)エタノン(57mg、0.21mmol)の溶液に0℃で滴加した。15分間撹拌した後、さらに100μLのメチルリチウム溶液を反応混合物に加えた。0℃でさらに1時間撹拌した後、混合物を飽和NH4Cl水溶液で反応停止し、EtOAcで希釈した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、黄色油状物を得た。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(20%→40%EtOAc/ヘキサン)で精製して、2-(4-(4-シクロヘキシルイソキサゾル-5-イル)フェニル)プロパン-2-オールを無色油状物で得た:

【0301】
実施例5:2-(4-(4-シクロヘキシル-3-メチルイソキサゾル-5-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オールの調製

【0302】
(a)(1)臭化メチルマグネシウム(830μL、3M Et2O溶液、2.5mmol)をEt2O(3mL)中の上で得たケトアルデヒド(395mg、1.25mmol)の溶液に0℃で滴加した。グリニャール試薬のほぼ半量を加えた後、2mLのTHFを加え、反応混合物を23℃まで加温し、その時点で残りのグリニャール試薬を加えた。30分間撹拌した後、混合物を飽和NH4Cl水溶液で反応停止し、EtOAcで希釈した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、黄色油状物を得た。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(5%→25%EtOAc/ヘキサン)で精製して、アルコールを無色油状物で得た。
【0303】
(2)デス-マーチンペルヨージナン(257mg、0.60mmol)をCH2Cl2(10mL)中の上で得たアルコール(134mg、0.40mmol)および炭酸水素ナトリウム(67mg、0.80mmol)の混合物に0℃で加えた。2時間撹拌した後、混合物を飽和NaHCO3水溶液で反応停止し、CH2Cl2で希釈した。水層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、黄色油状物を得た。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(15%→25%EtOAc/ヘキサン)で精製して、ジケトンを無色油状物で得た。
【0304】
(b)(1)塩酸ヒドロキシルアミン(50mg、0.72mmol)をピリジン(4mL)中の上で得たジケトン(118mg、0.36mmol)の溶液に加え、得られた混合物を80℃に加熱した。19時間撹拌した後、混合物を23℃まで冷却し、3N HClで反応停止した。水層をEtOAcで抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗製オキシムを得た。
【0305】
(2)粗製オキシムをTHF(2mL)に溶解し、2N HCl(1mL)を加え、溶液を4時間撹拌した。反応混合物を飽和NaHCO3水溶液で反応停止し、CH2Cl2で希釈した。水層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(8%→25%EtOAc/ヘキサン)で精製して、ケトイソキサゾールを白色固体で得た。
【0306】
(3)THF(1mL)中の上で得たケトイソキサゾール(66mg、0.23mmol)およびCF3TMS(45μL、0.30mmol)の溶液に、0℃でTBAF(340μL、1M THF溶液、0.34mmol)を滴加した。1時間撹拌した後、混合物を飽和NaHCO3水溶液で反応停止し、CH2Cl2で希釈した。水層をCH2Cl2で抽出し、合わせた有機層をNaClで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、ろ過し、減圧下で濃縮した。粗製材料をフラッシュカラムクロマトグラフィ(15%→30%EtOAc/ヘキサン)で精製して、表題アルコールを白色泡状物で得た:

【0307】
実施例6:2-(4-(4-シクロヘキシルイソキサゾル-3-イル)フェニル)プロパン-2-オールの調製

【0308】
(a)上で得たケトアルデヒド(0.17g、0.54mmol)をベンゼン(5mL)に溶解し、エチレングリコール(0.03mL、0.54mmol)およびパラ-トルエンスルホン酸(9mg、0.054mmol)で処理した。80℃で12時間加熱した後、混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(60mL)および飽和NaHCO3水溶液(30mL)で希釈した。分離した有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(10%EtOAc/ヘキサン)で精製して、アセタールを無色油状物で得た:

【0309】
(b)(1)アセタール(320mg、0.89mmol)をピリジン(5mL)に溶解し、塩酸ヒドロキシルアミン(200mg、2.89mmol)で処理した。100℃で16時間加熱した後、反応混合物を室温まで冷却し、酢酸エチル(100mL)および水(50mL)で希釈した。分離した有機層を乾燥(MgSO4)させ、ろ過し、減圧下で濃縮して、粗製オキシムを得た。
【0310】
(2)粗製オキシムを無水THF(5mL)に溶解し、濃HCl(0.5mL)で処理した。得られた混合物を室温で14時間撹拌し、次いで酢酸エチル(100mL)および飽和NaHCO3水溶液(50mL)で希釈した。分離した有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(5%EtOAc/ヘキサン)で精製して、逆ケトイソキサゾールを白色固体で得た:

【0311】
(3)逆ケトイソキサゾール(140mg、0.52mmol)を無水THF(10mL)に溶解し、0℃まで冷却した。反応混合物をメチルリチウム(1.6M THF溶液、0.62mL、1.04mmol)で処理し、室温で2.5時間撹拌した。次いで、反応混合物を酢酸エチル(60mL)および水(30mL)で希釈し、分離した有機層をMgSO4で乾燥させ、ろ過して、減圧下で濃縮した。残渣をフラッシュクロマトグラフィ(10%EtOAc/ヘキサン)で精製して、2-(4-(4-シクロヘキシルイソキサゾル-3-イル)フェニル)プロパン-2-オールを白色固体で得た:

【0312】
実施例7:2-(4-(5-シクロヘキシル-2-メチルチアゾル-4-イル)フェニル)-1,1,1-トリフルオロプロパン-2-オールの調製

【0313】
(a)DCM(10mL)中の上で得た2-シクロヘキシル-1-(4-(2-メチル-1,3-ジオキソラン-2-イル)フェニル)エタノン(1.5g、5.2mmol、1.0当量)の溶液に、三臭化ピリジニウム(1.66g、5.2mmol、1.0当量)を加えた。25℃で3時間撹拌した後、得られた混合物を希釈(飽和NaHCO3)し、抽出(10%MeOH/DCM)した。有機層を乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、5-9%EtOAc/ヘキサン)で精製して、α-ブロモケトンを無色油状物で得た。
【0314】
(b)MeOH(2mL)中のチオアセトアミド(150mg、2.0mmol、1.0当量)の溶液に、MeOH(2mL)中の上で得たα-ブロモケトン(740mg、2.0mmol、1.0当量)の溶液を50℃で滴加した。50℃で4時間撹拌した後、得られた混合物を希釈(飽和NaHCO3)し、抽出(10%MeOH/DCM)した。有機層を乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、5-20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、ケトチアゾールを無色油状物で得た。
【0315】
(c)THF(1mL)中のケトチアゾール(30mg、0.1mmol、1.0当量)およびTMS-CF3(21.3mg、0.15mmol、1.5当量)の混合物に、TBAF(1.0M/THF、0.2mL、0.2mmol、2.0当量)を加えた。25℃で0.5時間撹拌した後、得られた混合物を希釈(飽和NaHCO3)し、抽出(10%MeOH/DCM)した。有機層を乾燥(Na2SO4)させ、減圧下で濃縮した。フラッシュクロマトグラフィ(SiO2、10-20%EtOAc/ヘキサン)で精製して、表題アルコールを白色固体で得た:

【0316】
生物学的実施例
三環式化合物の生物学的評価のために有用な方法
様々な疾患および障害におけるHSDの役割を開示している広範な文献に加えて、本発明の三環式化合物を試験するために有用なアッセイを本明細書において記載する。
【0317】
アッセイ
インビトロでの11β-HSD1(11β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型)活性の阻害
11β-HSD1活性の阻害を、酵素供給源としてバキュロウイルスシステムを用いて発現させたヒト11β-HSD1(以下、組換え11β-HSD1)を用いての、コルチゾンからコルチゾールへの変換に対する抑制作用のSPA(scintillation proximity assay;シンチレーション近接アッセイ)システムによる定量的評価によって調べた。反応のために、試薬を96穴プレート(96穴Opti-plates(商標)-96(Packard))に下記の最終濃度で100μl量まで加え、反応を室温で90分間行った。用いた反応溶液は、0.1%BSA(Sigma)含有PBSに溶解した0.1μg/ml組換え11β-HSD1、500μM NADPH、16nM 3Hコルチゾン(Amersham Biosciences、1.78Tbq/mol)で、試験薬は化合物溶液(DMSOに溶解)2μlであった。90分後、0.08μg抗コルチゾールマウスモノクローナル抗体(East Coast Biologics)、365μg SPA PVTマウス抗体結合ビーズ(Amersham Biosciences)および175μMカルベノキソロン(Sigma)を含むPBS(40μL、0.1%BSA(Sigma)含有)を反応溶液に加えて反応を停止した。反応完了後、プレートを室温で終夜インキュベートし、放射能をTopcount(Packard)により測定した。対照用に、試験薬の代わりに2μlのDMSOを含むウェルの値(0%阻害)を用い、陽性対照用に、試験薬の代わりにカルベノキソロンを最終濃度50μMで含むウェルの値(100%阻害)を用いた。試験薬の阻害(%)を、((対照の値-試験薬の値)/(対照の値-陽性対照の値))×100(%)により算出した。IC50値をコンピューターによるカーブフィッティングソフトウェアを用いて解析した。
【0318】
本実施例は11β-HSD1を調節する化合物を評価および選択する際に有用なアッセイを提供する。
【0319】
SPAによる11β-HSD1の生化学アッセイ
組換えヒト、マウスおよびラット11β-HSD1をバキュロウイルス発現システムで発現させ、アフィニティ精製により単離し、インビトロでのコルチゾンからコルチゾール変換のための酵素供給源として用いた。3H-コルチゾン(Amersham Bioscience、1.78Tbq/mol. 49Ci/mmol)を基質として用い、モノクローナル抗コルチゾール抗体およびシンチレーション近接アッセイ(SPA)システムを用いて、11β-HSD1触媒反応の生成物、3H-コルチゾールを検出した。反応は96穴Opti-plates(商標)-96(Packard)内で、0.1%BSA(Sigma)補足PBS緩衝液中、DMSO中の試験化合物または対照2μL、0.1μg/mL 11β-HSD1タンパク質、500μM NADPHおよび16nM放射性コルチゾンを含む100μL量で、室温で90分間行った。0.08μg抗コルチゾールモノクローナル抗体(East Coast Biologics)、365μg SPA PVT抗体結合ビーズ(Amersham Biosciences)および175μMカルベノキソロン(Sigma)を含む緩衝液40μLを加えて反応を停止した。
【0320】
プレートを室温で終夜インキュベートした後、Topcount(Packard)で読み取った。11β-HSD1酵素活性の50%阻害点(IC50)を、コンピューターによるカーブフィッティングソフトウェアを用いて評価した。
【0321】
SPAによる、11β-HSD1の細胞ベースのアッセイ
この細胞ベースのアッセイは、ヒト組換え11β-HSD1を安定に過剰発現するHEK-293細胞株における3H-コルチゾンの3H-コルチゾールへの変換を測定する。HEK-293細胞を10%ウシ胎仔血清を補足したDMEM/F12中で培養し、ポリ-D-リジン-コーティング96穴アッセイプレート(Costar 3903)に、ウェル毎に100,000細胞/50μLアッセイ培地(フェノールを含まないDMEM/F12(Invitrogen)+0.2%BSA+1%抗菌-抗真菌溶液)で播種した。溶液を37℃で24時間インキュベートし、所望の濃度の化合物を含むアッセイ培地25μLおよび40nMの3H-コルチゾンを含むアッセイ培地25μLを各ウェルに加えて反応を開始した。反応混合物を37℃で90分間インキュベートし、0.2μg抗コルチゾールモノクローナル抗体(East Coast Biologics)、500μg SPA PVT抗体結合ビーズ(Amersham Biosciences)および500μMカルベノキソロン(Sigma)を含むアッセイ培地25μLを加えて反応を停止した。
【0322】
プレートを室温で少なくとも2時間インキュベートした後、Topcount(Packard)で読み取った。11β-HSD1酵素活性の50%阻害点(IC50)を、コンピューターによるカーブフィッティングソフトウェアを用いて評価した。
【0323】
シンチレーション近接アッセイ(SPA)
[1,2(n)-3H]-コルチゾンはAmersham Pharmacia Biotechから購入した。抗コルチゾールモノクローナルマウス抗体、クローン6D6.7はImmunotechから入手し、モノクローナル抗マウス抗体でコーティングしたシンチレーション近接アッセイ(SPA)ビーズはAmersham Pharmacia Biotechから購入した。NADPH、4ナトリウム塩はCalbiochemから入手し、グルコース-6-リン酸(G-6-P)はSigmaにより供給された。ヒト11-β-ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼ1型酵素(11-β-HSD1)はピチア-パストリス(Pichia pastoris)において発現された。18-β-グリチルレチン酸(GA)はSigmaから入手した。化合物の連続希釈はTecan Genesis RSP 150で行った。試験する化合物をDMSOに溶解(1mM)し、1mM EDTAを含む50mM トリス-HCl、pH7.2で希釈した。
【0324】
プレートの増殖をWallacQuadraで行った。ビーズに結合した生成物[3H]-コルチゾールの量をPackard、Top Countマイクロプレート液体シンチレーション計数器で定量した。
【0325】
11-β-HSD1酵素アッセイを、ウェルの全量220μLで、1mM EDTAを含む30mMトリス-HCl、pH7.2、基質混合物トリチウム化コルチゾン/NADPH(175nM/181μM)、G-6-P(1mM)および連続希釈した阻害剤(9から0.15μM)を含む、96穴マイクロタイタープレート(Packard、Optiplate)中で実施した。反応をピチア-パストリス細胞ホモジネートまたはピチア-パストリスから調製したミクロソームのいずれかとしてのヒト11-β-HSD1の添加により開始した(用いた酵素の最終量は0.057から0.11mg/mLの間で変動した)。混合後、プレートを室温で30から45分間振盪した。反応を1mM GA停止溶液10μLで停止した。次いで、モノクローナルマウス抗体(4μMを10μL)と、続いてSPAビーズ(製造者の指示に従って懸濁した)100μLを加えた。適当な対照を11-β-HSD1を省くことにより設定して、非特異的結合(NSB)値を得た。
【0326】
プレートをプラスティックフィルムで覆い、振盪機上、室温で30分間インキュベートした後、計数した。ビーズに結合した[3H]-コルチゾールの量をマイクロプレート液体シンチレーション計数器で定量した。阻害剤のKi値の算出をActivity Baseを用いて行った。Ki値はIC50から算出し、Km値はCheng Prushoff式(ミカエリス-メンテン式に従う可逆的阻害による)を用いて算出する:Ki=IC50(1+[S]/Km)(Cheng, Y.C.; Prushoff, W.H., Biochem. Pharmacol. 1973, 22, 3099-3108)。IC50は、コルチゾンのコルチゾールへの代謝回転の低下が各物質の阻害能力に依存するアッセイで実験的に測定する。
【0327】
11β-HSD1のクローニング、発現、および精製
マウス酵素の発現および精製はJ. Zhang et al., Biochemistry 2005, 44, 6948-57により記載されている。ヒト酵素の発現および精製はマウスの一連の手順と同様である。
【0328】
酵素アッセイ
化合物のIC50およびKiを以下の方法で求める。
1. アッセイ緩衝液(pH7.2、50mMトリス-HCL、1mM EDTA)を毎週新しく調製する。
2. 以下の溶液を調製する:
NADPH(Sigma、200μM)
3H-コルチゾン(Amersham Biosciences、45Ci/mmol、200nM)
酵素調製物(Enzyme Prep)(ヒトの場合20nM、マウスの場合10nM)
コルチゾール抗体(East Coast Biologicals、1:50希釈)
抗マウスSPAビーズ(Amersham Biosciences、15mg/ml)
18β-グリチルレチン酸(「GA」)(Aldrich、1μM)
化合物保存溶液(DMSO中10mM)、アッセイ緩衝液中で連続希釈。各化合物を通常は6段階の異なる濃度(10μMから0.1nM)で試験する。溶液および希釈液はすべてアッセイ緩衝液中で調製する。
3. アッセイを白/白96穴アッセイプレート(Corning)を用い、全量100μLで行う。
4. 96穴プレートの各ウェルにアッセイ緩衝液(30μL)、化合物(10μL)、NADPH(10μL)、および3H-コルチゾン(10μL)を加える。
5. HSD-1酵素調製物40μLをウェルに加えることにより反応を開始する。
6. プレートをテープで覆い、オービタルシェーカー上、室温で1時間インキュベートする。
7. 1時間後、テープを取り除き、抗コルチゾール抗体(10μL)、GA溶液(10μL)、およびSPAビーズ調製物(100μL)を加える。
8. プレートをオービタルシェーカー上、室温でインキュベート(30分間)する。
9. TopCount NXTリーダーで読み取る。
10. 用量反応曲線をまずGraphpad Prismソフトウェアを用いてプロットし、IC50値を求める。
11. このIC50値ならびに基質およびHSD1酵素についての公知のKm値を用いて、Ki推定値をChenおよびPrusoffの式{Ki=IC50/[1+(基質/Km)]}により算出することができる。
【0329】
本発明の化合物はアッセイにおいて11β-HSD1酵素に対する阻害活性を示し、IC50は55nMから1000nMの範囲である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩、溶媒和化合物、立体異性体、もしくはプロドラッグ:

式中、
R1およびR2の各出現が独立に、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、

であり;
R3の各出現が独立に、存在なし、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、

であり;
Wが、C(R)2、O、S、NR、NC(O)R'、NC(O)OR'、NC(O)N(R')2、またはNS(O)2R'であり;
X、Y、およびZが独立に、C、N、O、またはSであり;かつ
Rの各出現が独立に、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、

であり;
R'の各出現が独立に、水素、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであるか、
または、2つのR'基が同じ窒素原子に結合している場合、それらはその結合している窒素原子と一緒になって複素環またはヘテロアリール基を形成することができ;R''の各出現が独立に、水素、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、もしくはヘテロアリールであり;
ここで任意のシクロアルキル部分、ヘテロシクロアルキル部分、アリール部分、またはヘテロアリール部分が、ヒドロキシル、ハロゲン、シアノ、ニトロ、(C1〜C8)アルキル、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)アルコキシ、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、

からなる群より選択される1から4つのメンバーで置換されていてもよく;
Lが(C1〜C8)アルキレンであり;
mが1、2、または3であり;
nが0から2の整数であり;かつ
pが0、1、または2であり;
ただし、
R1の少なくとも1つの出現は水素ではなく;
R1の出現は、-SO2NH2、-SO2NH-アルキル、または-SO2-アルキルではなく;
R2の出現は、-C(O)N(R')2、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、または-CO2Hではなく;かつ
R3の出現は、ヒドロキシル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、-NH2、-NH-アルキル、アミノアルキル、-C(O)O-アルキル、-C(O)-アルキル、または-L-OC(O)-アルキルではない
ことを条件とし;
ただし、XがSであり、かつYがNである場合、R1の出現は、
シアノもしくはニトロ;
-OR''、-SR''、ヒドロキシアルキル、もしくは-OC(O)-アルキル;
-NH2、-NHR'、-N(アルキル)2、-NR'C(O)R'、-NR'C(O)OR''、もしくは-NR'C(O)N(R')2;または
-C(O)-アルキル、-C(O)-アリール、-CO2H、-C(O)O-アルキル、-C(O)N(R')2、もしくは-L-C(O)R'
ではないことを条件とし;かつ
ただし、化合物は、
4-シクロヘキシル-5-(3-フルオロフェニル)-2-メチルオキサゾール


4-シクロヘキシル-2-エチル-5-(3-フルオロフェニル)オキサゾール


5-(4-クロロフェニル)-4-シクロペンチル-2-[(1S)-1-フルオロエチル]チアゾール


5-(4-クロロフェニル)-4-シクロヘキシル-2-エチルチアゾール


4-シクロペンチル-2-エチル-5-(4-エチルフェニル)チアゾール


5-(3-クロロフェニル)-4-シクロペンチル-2-エチルチアゾール


4-シクロペンチル-2-エチル-5-(3-メチルフェニル)チアゾール


5-(2-クロロフェニル)-4-シクロペンチル-2-エチルチアゾール


4-シクロペンチル-2-エチル-5-(2-メチルフェニル)チアゾール


4-シクロヘキシル-5-(3-フルオロフェニル)-2-メチルオキサゾール


3-[4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-チアゾリル]-1-ピロリジンカルボン酸エチルエステル


4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-(3-ピロリジニル)チアゾール


1-(4-フルオロフェニル)-4-[3-[4-(4-フルオロフェニル)-2-メチル-5-チアゾリル]-1-ピロリジニル]-1-ブタノン


4-(4-フルオロフェニル)-5-[1-[3-[2-(4-フルオロフェニル)-1,3-ジオキソラン-2-イル]プロピル]-3-ピロリジニル]-2-メチルチアゾール


4-シクロヘキシル-5-(3-フルオロフェニル)-2-メチルオキサゾール

;または
4-[5-シクロヘキシル-2-(メチルチオ)-4-チアゾリル]-2,6-ビス(1,1-ジメチルエチル)フェノール

ではないことを条件とする。
【請求項2】
mが1または2であり;
pが0または1であり;
R1およびR2の各出現が独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルコキシ、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または-C(O)R'であり;かつ
R3の各出現が独立に、存在なし、水素、ハロゲン、シアノ、(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルコキシ、(C2〜C8)アルケニル、(C2〜C8)アルキニル、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)シクロアルキル、(C1〜C8)アルキル(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、(C1〜C8)アルキルアリール、(C1〜C8)アルキルヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、または(C3〜C7)ヘテロシクロアルキルである、
請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが0または1であり;
pが0であり;
R1の各出現が独立に、水素、ヒドロキシル、ハロゲン、(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルコキシ、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシアルキル、(C1〜C8)ヒドロキシハロアルキル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、(C3〜C7)ヘテロシクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または-C(O)R'であり;
R3の各出現が独立に、存在なし、水素、ハロゲン、(C1〜C8)アルキル、(C1〜C8)アルコキシ、(C1〜C8)ハロアルキル、(C1〜C8)アルコキシ(C1〜C8)アルキル、(C3〜C7)シクロアルキル、または(C3〜C7)ヘテロシクロアルキルであり;かつ
Wが、C(R)2、O、NR、NC(O)R'、またはNS(O)2R'である、
請求項2記載の化合物。
【請求項4】
下記の表から選択されるものである、請求項1記載の化合物:



【請求項5】
請求項1記載の化合物の治療的有効量と、薬学的に許容される担体とを含む、薬学的組成物。
【請求項6】
化合物が下記の表から選択されるものである、請求項5記載の薬学的組成物:



【請求項7】
請求項1記載の化合物の治療的有効量と、1つまたは複数の追加の治療薬とを含む、薬学的組成物。
【請求項8】
1つまたは複数の追加の治療薬が、糖尿病、X症候群、肥満、多嚢胞性卵巣、摂食障害、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、クッシング症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管の再狭窄、網膜症、腎症、神経変性疾患、ニューロパシー、筋消耗(muscle wasting)、認知障害、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性疾患(inflammatory disorder)、および免疫異常(immune disorder)からなる群より選択される状態または障害を治療するのに有用である、請求項7記載の薬学的組成物。
【請求項9】
糖尿病、X症候群、肥満、多嚢胞性卵巣、摂食障害、頭蓋咽頭腫、プラダー-ウィリ症候群、フレーリッヒ症候群、高脂血症、異脂肪血症、高コレステロール血症、高トリグリセリド血症、低HDLレベル、高HDLレベル、高血糖、インスリン抵抗性、高インスリン血症、クッシング症候群、高血圧、アテローム性動脈硬化症、血管の再狭窄、網膜症、腎症、神経変性疾患、ニューロパシー、筋消耗、認知障害、痴呆、うつ、乾癬、緑内障、骨粗鬆症、ウイルス感染症、炎症性疾患、および免疫異常からなる群より選択される状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、請求項0記載の化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法。
【請求項10】
状態または障害が糖尿病または肥満である、請求項9記載の方法。
【請求項11】
化合物が下記の表から選択されるものである、請求項9記載の方法:



【請求項12】
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの調節に反応性の状態または障害を治療するための方法であって、それを必要としている患者に、請求項1記載の化合物の治療的有効量を投与する段階を含む方法。
【請求項13】
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼが11β-HSD1である、請求項12記載の方法。
【請求項14】
細胞におけるヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼの機能を調節する方法であって、請求項1記載の化合物と細胞とを接触させる段階を含む方法。
【請求項15】
化合物がヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼを阻害する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
ヒドロキシステロイドデヒドロゲナーゼが11β-HSD1である、請求項14記載の方法。

【公表番号】特表2010−529192(P2010−529192A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512168(P2010−512168)
【出願日】平成20年6月11日(2008.6.11)
【国際出願番号】PCT/US2008/007269
【国際公開番号】WO2008/156601
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(506147331)アムゲン インコーポレイティッド (27)
【Fターム(参考)】