説明

ヒドロキシ脂肪酸を含む化粧品組成物

本発明は、新規の化粧品または医薬品組成物に関する。より詳しくは、本発明は、健康な皮膚の生理学的恒常性の負の発達によって生じるいかなる症候も治療または予防するため、ならびに発毛の促進および脱毛からの保護のための新規の化粧品または医薬品組成物に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、新規の化粧品または医薬品組成物に関する。より詳しくは、本発明は、健康な皮膚の生理学的恒常性の負の発達によって生じる症候を治療または予防するため、ならびに発毛の促進および脱毛からの保護のための新規の化粧品または医薬品組成物に関する。
【0002】
従って、1つの態様では、本発明は、好ましくはC6とC12の間の位置に、1つまたは2つのヒドロキシル、アルコキシ、好ましくはメトキシまたはエトキシ、C2〜C4−アシル保護アミノ(好ましくは、C2)またはオキソ基を有する6〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸、もしくは前記酸の塩、エステルまたはアミド、あるいはこれらの酸の混合物と、化粧品または医薬品組成物において従来使用されているキャリアとを含む化粧品または医薬品組成物に関する。
【0003】
エステルまたはアミドは、好ましくは、アルキルエステルまたはアルキルアミドである。ここで、「アルキル」という用語は直鎖および分枝状のアルキル基を包含する。すなわち、「C1〜4−アルキル」は、直鎖C1〜4−アルキル(メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル)および分枝状C3〜4−アルキル(イソ−プロピル、イソ−ブチル、tert−ブチル)を包含する。
【0004】
塩は、皮膚に対して毒性がなく、および/またはアレルギー反応を引き起こさない金属カチオンおよび有機カチオンを意味する美容的に許容可能なカチオンによって形成することができる。このようなカチオンの例としては、アンモニウム塩およびアルキルアンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムイオンなどのアルカリカチオン、ならびにカルシウムおよびマグネシウムイオンなどのアルカリ土類金属カチオンがある。
【0005】
本発明の1つの実施形態では、脂肪族脂肪酸は、好ましくは6〜18個の炭素原子を有する飽和直鎖脂肪酸またはω−分枝鎖脂肪酸である。もう1つの実施形態では、脂肪族脂肪酸は、6〜18個の炭素原子を有し、好ましくはヒドロキシによってC6とC12の間の位置で置換された飽和直鎖またはω−分枝鎖脂肪酸である。特に好ましい脂肪酸は、9−ヒドロキシステアリン酸である。
【0006】
さらなる態様では、本発明は、上記のような定義および選択を有する脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドと、レチノイドとを含む化粧品または医薬品組成物に関する。
【0007】
本発明において使用するためのレチノイドは、例えば、レチノイン酸またはレチノールおよび異性体、例えばその9−、11−または13−シス異性体、およびその誘導体であり、酢酸、フェニル酪酸、プロピオン酸、ラウリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、リノール酸などのレチニルエステル、またはレチニルアルキルカーボネート、またはレチノキシトリメチルシランなどのエーテル、または(全トランス)−レチナールまたはそのアセタール、もしくはレチノイン酸またはメトキシPEG−12レチンアミド(「PEG−12」=−(CH−CH−O−)12)などのそのアミドを含む。
【0008】
より具体的には、本発明は、健康な皮膚の生理学的恒常性の負の発達によって生じる症候の治療または予防のため、ならびに発毛の促進および脱毛からの保護のために、上記のような定義および選択を有する少なくとも1つの脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドと、任意で1つのレチノイドとを含む化粧品または医薬品組成物に関する。
【0009】
健康な皮膚の生理学的恒常性の負の発達によって生じる症候の治療または予防には、しわまたは乾燥肌または敏感肌の治療または予防、表皮の肥厚、皮膚細胞の老化の阻害、光損傷の予防または治療、酸化ストレス現象の予防または治療、セルライトの予防または治療、セラミドおよび脂質合成の障害の予防および治療、過剰な皮脂産生の予防、皮膚中のマトリックスメタロプロテアーゼまたは他のプロテアーゼの活性の低減、ざ瘡(=抗ざ瘡)、アトピー性湿疹、多形日光疹、乾癬および白斑(vertiligo)を含む炎症性皮膚状態の治療および予防が含まれる。
【0010】
さらにもう1つの態様では、本発明は、健康な皮膚の生理学的恒常性の負の発達によって生じる症候の治療または予防、ならびに痒みのある皮膚または炎症を起こした皮膚の治療または予防、そして発毛の促進および脱毛からの保護の方法に関し、本方法は、このような治療または予防を必要としている人に、任意でそして好ましくはレチノイドと併用して、そして好ましくは本発明に従う化粧品または医薬品組成物の形態で、上記のような定義および選択を有する有効な量の脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドを局所的に投与することを提供する。
【0011】
本発明の好ましい実施形態は、しわまたは人間の乾燥肌または敏感肌を治療または予防する、発毛を促進する、脱毛から保護する、そして表皮を肥厚する方法であり、本方法は、このような治療または予防を必要としている人に、任意でそして好ましくはレチノイドと併用して、上記のような定義および選択を有する有効な量の脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドを局所的に投与するステップを含む。
【0012】
本発明のさらなる目的は、色素異常症の予防または治療のため、および/または均一な皮膚の色合いを提供するための方法であり、本方法は、このような治療または予防を必要としている人に、上記で定義したような本発明に従う有効な量の組成物を局所的に投与するステップを含み、その組成物はレチノイドを含有する。
【0013】
本発明のもう1つの目的は色素沈着を強化するための方法であり、本方法は、このような強化を必要としている人に、有効な量の上記で定義したような本発明に従う組成物を局所的に投与し、そして日焼け活性物質(tanning active)を局所的に投与するステップを含む。ここで、日焼け活性物質は、有効な量の本発明に従う組成物の投与の前、その後、またはそれと同時に投与され得る。そして、その組成物中にはレチノイドは本質的に存在しない。
【0014】
「有効な量」という用語は、生理学的な効果を得るために必要な量を指す。生理学的な効果は、1回の適用量によってまたは頻回の適用によって達成され得る。投与される量は、もちろん、任意でレチノイドと併用した上記のような定義および選択を有する脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドを含む特定の組成物の生理学的特徴ならびにその投与のモードおよび経路、レシピエントの年齢、健康および重量、症候の性質および程度、同時的な治療の種類、治療の頻度、そして所望される効果などの既知の因子に依存して変化し、当業者により調整することができる。
【0015】
もう1つの実施形態では、本発明に従う組成物は、上記で定義したような健康な皮膚の生理学的恒常性の負の発達によって生じる症候の治療または予防ため、ならびに発毛の促進および脱毛からの保護のために使用することができる。本発明に従う組成物は、さらに、痒みのある皮膚または炎症を起こした皮膚の治療または予防のため、あるいは色素沈着を強化するために使用することができる(しかしながら、後者は、レチノイドは存在しないが日焼け活性物質が存在する場合のみである)。しかしながら、レチノイドが本発明の組成物中に存在する場合には、上記で定義したような脂肪酸もしくはその塩、エステルまたはアミドによるレチノイドの増強が色素脱失をもたらし得るので、組成物は、色素異常症の予防または治療のため、および/または均一な皮膚の色合いを提供するために使用することができる。
【0016】
好ましくは、本発明の組成物は、しわまたは乾燥肌または敏感肌の治療または予防のため、発毛の促進のため、脱毛からの保護のため、表皮の肥厚のため、(レチノイドが存在する場合には)色素異常症の予防または治療のためおよび/または均一な皮膚の色合いを提供するため、および/または(レチノイドが存在せず、日焼け活性物質が存在する場合には)色素沈着を強化するために使用される。従って、本発明に従う組成物、すなわち上記で定義したような定義および選択を有する脂肪酸もしくはその塩、エステルまたはアミドは、日焼け活性物質の効果を高めることによって色素沈着を強化することができる。
【0017】
通常は、本発明に従う化粧品または医薬品組成物は、上記で定義したような脂肪酸のうちの1つを含有するが、本発明はその特定の態様に限定されることなく、2つ以上の上記で定義したような脂肪酸もしくはその塩、エステルまたはアミドが存在してもよい。上記で述べたように、レチノイドがさらに存在して、相加的または相乗的な美容効果、すなわち、健康な皮膚の生理学的恒常性の負の発達によって生じる症候の改善また予防、ならびに発毛の促進および脱毛からの保護を提供することができる。この場合も、2つ以上のレチノイドが存在してもよい。本発明の組成物中にレチノイドが存在する場合、上記のような定義および選択を有する脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドのレチノイドに対する重量比は、適切には約1000:1〜1:1000、より好ましくは約100:1〜1:100、そして特に約30:1〜1:30である。上記で定義したような脂肪酸もしくはその塩、エステルまたはアミドは、人間の皮膚内に既に存在しているレチノイドとの相加または相乗効果も示す。
【0018】
本発明によって提供される組成物において、上記のような定義および選択を有する脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドの量は、適切には全組成物の約0.0001〜約50%、好ましくは約0.001〜約20重量%である。より好ましくは、上記で定義したような脂肪酸は、約0.01重量%〜約1重量%の量、最も好ましくは約0.5重量%の量で組成物中に含有される。レチノイドまたはその誘導体が存在する場合、後者の量は、組成物の全重量を基準として、適切には約0.0001〜約50重量%、好ましくは約0.001〜約20重量%、最も好ましくは約0.01〜約1重量%の量、特に約0.1重量%の量である。本発明によると、組成物の全重量を基準として、約0.5重量%の量の上記のような定義および選択を有する脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドと、約0.1重量%の量のレチノイドまたはその誘導体とを含む組成物が好ましい。
【0019】
本明細書で使用されるような「化粧品組成物」という用語は、例えば、人間の皮膚のケアのための局所組成物を指し、Roempp Lexikon Chemie、第10版、1997年、Georg Thieme Verlag Stuttgart、ニューヨーク(New York)の表題「Kosmetika」も参照される。
【0020】
局所(化粧品または医薬品)組成物の種類および局所組成物の調製、ならびにさらに適切な添加剤に関しては、関連の文献、例えばノバク(Novak)G.A.、Die kosmetischen Praeparate−Band 2、Die kosmetischen Praeparate−Rezeptur,Rohstoffe,wissenschaftliche Grundlagen(Verlag fuer Chem.Industrie H.Ziolkowski KG、アウグスブルグ(Augsburg))を参照することができる。
【0021】
皮膚に適用すべき本発明に従う化粧品または医薬品組成物の量は、組成物中の活性成分の濃度および所望される美容または薬学的効果に依存する。例えば、適用は、クリームを皮膚に塗布するようなものであり得る。通常、クリームは皮膚1cmあたりクリーム2mgの量で塗布される。しかしながら、皮膚に塗布される組成物の量は重要ではなく、特定の量の塗布された組成物で所望の効果を達成することができなければ、例えば、組成物をより多く塗布することによって、あるいはより多くの活性成分を含有する組成物を塗布することによって、より高濃度の活性成分を使用することができる。
【0022】
本発明に従う化粧品または医薬品組成物は、好ましくは少なくとも1日1回、例えば1日に2回または3回適用される。通常、所望の効果が達成されるまで少なくとも2週間かかる。しかしながら、所望の効果が完全に最大限になるまで、数週間、あるいはさらに数ヶ月かかることもある。
【0023】
本発明の組成物は、上記で定義したような定義および選択を有する脂肪酸もしくはその塩、エステルまたはアミドを、美容的にまたは薬学的に許容可能な賦形剤または希釈剤と共に含有する。他に何も記載されていなければ、以下で言及される賦形剤、添加剤、希釈剤などは、化粧品組成物に適している。
【0024】
他に何も記載されていなければ、本出願において、部および割合は重量によるものであり、組成物の全重量を基準とする。
【0025】
好ましくは、本発明の化粧品または医薬品組成物は、溶媒または脂肪性物質中の懸濁液または分散液の形態、あるいはエマルジョンまたはミクロエマルジョン(特に、O/WまたはW/O型、O/W/OまたはW/O/W型)、PET−エマルジョン、多重エマルジョン、ビッカーリング(bickering)エマルジョン、ヒドロゲル、アルコールゲル、リポゲル、一相または多相溶液または気泡分散液(vesicular dispersion)および、ペンによって、マスクとして、あるいはスプレーとして適用することもできる他の通常の組成物の形態の局所組成物である。エマルジョンは、アニオン性、非イオン性、カチオン性または両性界面活性剤を含有することもできる。
【0026】
本発明に従う好ましい組成物は、スキンケア調製剤、ヘアケア調製剤、装飾調製剤、光保護調製剤および機能性調製剤である。
【0027】
スキンケア調製剤の例としては、特に、ボディオイル、ボディローション、ボディジェル、トリートメントクリーム、皮膚の保護軟膏、シェービングフォームまたはジェルなどのシェービング調製剤、ベビーパウダーなどのスキンパウダー、保湿ジェル、保湿スプレー、リバイタライジングボディスプレー、セルライトジェル、抗ざ瘡調製剤およびピーリング調製剤がある。
【0028】
ヘアケア調製剤の例としては、例えば、シャンプーの形態の洗髪調製剤、ヘアコンディショナー、ヘアケア調製剤、例えばトリートメント調製剤、プレトリートメント調製剤、ヘアトニック、スタイリングクリーム、スタイリングジェル、ポマード、ヘアリンス、トリートメントパック、強力ヘアトリートメント、ヘアストレートニング調製剤、液体ヘアセット用調製剤、ヘアフォームおよびヘアスプレーおよびラッカー、パーマ剤、ヘアジェル、毛髪固定剤および毛髪染色または漂白剤がある。
【0029】
装飾調製剤の例としては、特に、口紅、アイシャドウ、マスカラ、ドライおよびモイストメイクアップ、ルージュ、パウダー、および日焼けローションがある。
【0030】
機能性調製剤の例としては、ホルモン調製剤、ビタミン調製剤、野菜抽出物調製剤、抗老化調製剤、および抗菌(抗細菌または抗真菌)調製剤など(これらに限定されない)の活性成分を含有する化粧品または医薬品組成物がある。
【0031】
本発明に従う化粧品組成物は、液体、ローション、高粘度のローション、ジェル、クリーム、乳液、軟膏、ペースト、粉末、メイクアップ、または固体チューブスティックの形態でよく、任意で、エアロゾルとしてパッケージ化されて、エアロゾルムースなどのムース、フォームまたはスプレーフォーム、スプレー、スティック、ゲル、膏薬、粉末、クレンザー、石鹸またはエアロゾルまたはワイプの形態で提供され得る。
【0032】
また本発明の組成物は、防腐剤/酸化防止剤、脂肪性物質/油、水、有機溶媒、シリコーン、増粘剤、柔軟剤、乳化剤、日焼け止め剤、消泡剤、保湿剤、香料、界面活性剤、充填剤、金属イオン封鎖剤、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性ポリマーもしくはこれらの混合物、推進剤、酸性化または塩基性化剤、染料、着色剤、顔料またはナノ顔料、例えば、紫外放射を物理的に遮断することによって光防御効果を提供するのに適したもの、あるいは化粧品または薬剤に通常処方される他の成分などの通常の化粧品または医薬品の補助剤および添加剤を含有することもできる。
【0033】
追加の量の酸化防止剤/防腐剤は通常好ましい。本発明に基づいて、化粧品または薬剤に通常処方される全ての既知の酸化防止剤を使用することができる。特に好ましいのは、アミノ酸(例えば、グリシン、ヒスチジン、チロシン、トリプトファン)およびその誘導体、イミダゾール(例えば、ウロカニン酸)および誘導体、D,L−カルノシン、D−カルノシン、L−カルノシンなどのペプチドおよび誘導体(例えば、アンセリン)、カロテノイド、カロテン(例えば、α−カロテン、β−カロテン、リコペン)および誘導体、クロロゲン酸および誘導体、リポ酸および誘導体(例えば、ジヒドロリポ酸)、アウロチオグルコース、プロピルチオウラシルおよび他のチオール(例えば、チオレドキシン、グルタチオン、システイン、シスチン、シスタミンおよびそのグリコシル−、N−アセチル−、メチル−、エチル−、プロピル−、アミル−、ブチル−およびラウリル−、パルミトイル−、オレイル−、y−リノレイル−、コレステリル−およびグリセリルエステル)およびその塩、ジラウリルチオジプロピオナート、ジステアリルチオジプロピオナート、チオジプロピオン酸およびその誘導体(エステル、エーテル、ペプチド、脂質、ヌクレオチド、ヌクレオシドおよび塩)、ならびに非常に低い適合性用量(例えば、pmol〜μmol/kg)のスルホキシミン化合物(ブチオニンスルホキシミン、ホモシステインスルホキシミン、ブチオニンスルホン、ペンタ−、ヘキサ−、ヘプタチオニンスルホキシミンなど)、さらに(金属)−キレート剤(α−ヒドロキシ脂肪酸、パルミン酸(palmic acid)、フィチン酸(phytinic acid)、ラクトフェリンなど)、β−ヒドロキシ酸(クエン酸、乳酸、リンゴ酸など)、フミン酸、没食子酸、没食子抽出物、ビリルビン、ビリベルジン、EDTA、EGTAおよびその誘導体、不飽和脂肪酸およびその誘導体(γ−リノール酸、リノール酸、オレイン酸など)、葉酸およびその誘導体、ユビキノンおよびユビキノールおよびそれらの誘導体、ビタミンCおよび誘導体(パルミチン酸アスコルビルおよびテトライソパルミチン酸アスコルビル、Mg−リン酸アスコルビル、Na−リン酸アスコルビル、Na−酢酸アスコルビルなど)、トコフェロールおよび誘導体(ビタミン−E−アセタートなど)、天然または合成ビタミンEの混合物、ビタミンAおよび誘導体(ビタミン−A−パルミタートおよび−アセタート)、ならびに安息香酸コニフェリル、ルチン酸および誘導体、α−グリコシルルチン、フェルラ酸、フルフリリデングルシトール、カルノシン、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、トリヒドロキシブチロフェノン、尿素およびその誘導体、マンノースおよび誘導体、亜鉛および誘導体(例えば、ZnO、ZnSO)、セレンおよび誘導体(例えば、セレノメチオニン)、スチルベンおよび誘導体(スチルベンオキシド、トランス−スチルベンオキシドなど)、そして指定された活性成分の適切な誘導体(塩、エステル、エーテル、糖、ヌクレオチド、ヌクレオシド、ペプチドおよび脂質)からなる群から選択される酸化防止剤である。1つまたは複数の防腐剤/酸化防止剤は、本発明の組成物の全重量の約0.01重量%〜約10重量%の量で存在し得る。好ましくは、1つまたは複数の防腐剤/酸化防止剤は、約0.1重量%〜約1重量%の量で存在する。
【0034】
通常、局所製剤は、乳化剤、可溶化剤などのような界面活性成分も含有する。乳化剤は、2つ以上の非混和性成分が均一に混ざることを可能にする。さらに、乳化剤は、組成物を安定化する働きをする。O/W、W/O、O/W/OまたはW/O/W型エマルジョン/ミクロエマルジョンを形成するために本発明において使用され得る乳化剤には、オレイン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、ジイソステリン酸ポリグリセリル−3、オレイン酸/イソステアリン酸のポリグリセロールエステル、ヘキサリシノール酸ポリグリセリル−6、オレイン酸ポリグリセリル−4、オレイン酸ポリグリセリル−4/PEG−8プロピレングリコールココアート、オレアミドDEA、ミリスチン酸TEA、ステアリン酸TEA、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、リシノール酸カリウム、ナトリウムココアート、牛脂脂肪酸ナトリウム、ヒマシ脂肪酸カリウム、オレイン酸ナトリウム、およびこれらの混合物が含まれる。更に適切な乳化剤は、リン酸セチル(アンフィソル(Amphisol)(登録商標)A)、セチルリン酸ジエタノールアミン(アンフィソル(登録商標))、セチルリン酸カリウム(アンフィソル(登録商標)K)、ナトリウムグリセリルオレアートホスファート、水素化リン酸ベジタブルグリセリドおよびこれらの混合物などのリン酸エステルおよびその塩である。さらに、1つまたは複数の合成ポリマーが乳化剤として使用されてもよい。例えば、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー、アクリレート/ステアレス−20メタクリレートコポリマー、PEG−22/ドデシルグリコールコポリマー、PEG−45/ドデシルグリコールコポリマー、ならびにこれらの混合物である。好ましい乳化剤は、リン酸セチル(アンフィソル(登録商標)A)、セチルリン酸ジエタノールアミン(アンフィソル(登録商標))、セチルリン酸カリウム(アンフィソル(登録商標)K)、PVPエイコセンコポリマー、アクリレート/C10〜30−アルキルアクリレートクロスポリマー、イソステアリン酸PEG−20ソルビタン、イソステアリン酸ソルビタン、およびこれらの混合物である。1つまたは複数の乳化剤は、本発明の組成物の全重量の約0.01重量%〜約20重量%の全量で存在する。好ましくは、約0.1重量%〜約10重量%の乳化剤が使用される。
【0035】
局所組成物の脂質相は、
鉱油およびミネラルワックス、
カプリン酸またはカプリル酸のトリグリセリドおよびヒマシ油などの油、
油またはワックスおよび他の天然または合成油、好ましい実施形態では、脂肪酸とアルコール、例えばイソプロパノール、プロピレングリコール、グリセリンとのエステル、もしくは脂肪アルコールとカルボン酸または脂肪酸とのエステル、
アルキルベンゾアート、および/または
ジメチルポリシロキサン、ジエチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン、シクロメチコンなどのシリコーン油およびこれらの混合物
から有利に選択することができる。
【0036】
本発明のエマルジョン、ミクロエマルジョン、オレオゲル、ヒドロディスパージョン(hydrodispersion)またはリポディスパージョン(lipodispersion)の油相中に取り込むことができる典型的な脂肪性物質は、3〜30個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の線状または分枝状アルキルカルボン酸と、3〜30個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の線状および/または分枝状アルコールとのエステル、ならびに芳香族カルボン酸と、3〜30個の炭素原子の飽和および/または不飽和の線状または分枝状アルコールとのエステルから有利に選択される。このようなエステルは、パルミチン酸オクチル、オクチルココアート、イソステアリン酸オクチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソノナン酸セテアリル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸イソプロピル、オレイン酸イソプロピル、ステアリン酸n−ブチル、ラウリン酸n−ヘキシル、オレイン酸n−デシル、ステアリン酸イソオクチル、ステアリン酸イソノニル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−オクチルドデシル、ヘプタン酸ステアリル、オレイン酸オレイル、エルカ酸オレイル、オレイン酸エルシル、エルカ酸エルシル、ステアリン酸トリデシル、トリメリト酸トリデシル、ならびにこのようなエステルの合成、半合成または天然混合物、例えばホホバ油から有利に選択することができる。
【0037】
本発明の局所組成物において使用するのに適切なその他の脂肪性成分には、レシチンなどの極性油および脂肪酸トリグリセリド、すなわち8〜24個の炭素原子、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する飽和および/または不飽和の線状または分枝状カルボン酸のトリグリセロールエステルが含まれるが、脂肪酸トリグセリドは、好ましくは、合成、半合成または天然油(例えば、ココグリセリド、オリーブ油、ヒマワリ油、大豆油、ピーナッツ油、菜種油、スィートアーモンド油、ヤシ油、ココナッツ油、ヒマシ油、水素化ヒマシ油、コムギ油、グレープシード油、マカダミアナッツ油など)と、線状および/または分枝状の炭化水素およびワックス、例えば鉱油、ワセリン(ペトロラタム)などの無極性油と、パラフィン、スクアランおよびスクアレン、ポリオレフィン、水素化ポリイソブテンおよびイソヘキサデカン(好ましいポリオレフィンはポリデセンである)と、ジカプリリルエーテルなどのジアルキルエーテルと、好ましくはシクロメチコン(オクタメチルシクロテトラシロキサン、セチルジメチコン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、ポリ(メチルフェニルシロキサン)およびこれらの混合物などの線状または環状シリコーン油とから選択される。
【0038】
本発明の局所組成物中に有利に取り込むことができるさらにその他の脂肪性成分は、イソエイコサン、ジヘプタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリル酸/ジカプリン酸プロピレングリコール、カプリル酸/カプリン酸/コハク酸ジグリセリル、カプリル酸/カプリン酸ブチレングリコール、C12〜13−アルキルラクタート、ジ−C12〜13−アルキルタルトラート、トリイソステアリン、ヘキサカプリル酸/ヘキサカプリン酸ジペンタエリスリチル、モノイソステアリン酸プロピレングリコール、トリカプリリン、ジメチルイソソルビドである。特に有益なのは、C12〜15−アルキルベンゾアートおよびイソステアリン酸2−エチルヘキシルの混合物、C12〜15−アルキルベンゾアートおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物、ならびにC12〜15−アルキルベンゾアート、イソステアリン酸2−エチルヘキシルおよびイソノナン酸イソトリデシルの混合物の使用である。
【0039】
本発明の組成物の油相は、ビーワックス、チャイナワックス、バンブルビーワックスおよびその他の昆虫のワックスならびにシアバターおよびココアバターなどの天然の植物性または動物性ワックスを含有することもできる。
【0040】
水和を保持するためまたは皮膚を再水和するために本発明の局所組成物中に保湿剤が取り込まれてもよい。保護コーティングを提供することによって皮膚から水が蒸発するのを防止する保湿剤は、皮膚軟化薬と呼ばれる。
【0041】
さらに、皮膚軟化薬は皮膚表面に軟化またはスージング効果を提供し、通常、局所使用のために安全であると考えられる。好ましい皮膚軟化薬には、鉱油、ラノリン、ペトロラタム、カプリン酸/カプリル酸トリグリセルアルデヒド、コレステロール、ジメチコン、シクロメチコンなどのシリコーン、アーモンド油、ホホバ油、アボカド油、ヒマシ油、ゴマ油、ひまわり油、ココナッツ油およびグレープシード油、ココアバター、オリーブ油アロエ抽出物、オレイン酸およびステアリン酸などの脂肪酸、セチルおよびヘキサデシル(ENJAY)などの脂肪アルコール、アジピン酸ジイソプロピル、ヒドロキシ安息香酸エステル、C9〜15−アルコールの安息香酸エステル、イソノナン酸イソノニル、ポリオキシプロピレンブチルエーテルおよびポリオキシプロピレンセチルエーテルなどのエーテル、ならびにC12〜15−アルキルベンゾアート、そしてこれらの混合物が含まれる。最も好ましい皮膚軟化薬は、ヒドロキシ安息香酸エステル、アロエベラ、C12〜15−アルキルベンゾアート、そしてこれらの混合物である。皮膚軟化薬は、組成物の全重量の約1重量%〜約20重量%の量で存在する。皮膚軟化薬の好ましい量は、約2重量%〜約15重量%、最も好ましくは約4重量%〜約10重量%である。
【0042】
水と結合し、それにより水を皮膚表面に保持する保湿剤は、湿潤剤と呼ばれる。グリセリン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、乳酸、ピロリドンカルボン酸、尿素、リン脂質、コラーゲン、エラスチン、セラミド、レシチンソルビトール、PEG−4、およびこれらの混合物などの適切な湿潤剤を本発明の局所組成物中に取り込むことができる。さらに適切な保湿剤は、ヒアルロン酸、キトサンおよび/または例えばSOLABIA Sによってフコゲル(Fucogel)(登録商標)1000(CAS番号178463−23−5)として入手可能なフコースが豊富な多糖類などの、水溶性および/または膨潤性/および/または水でゲル化する多糖類群の高分子保湿剤である。1つまたは複数の湿潤剤は、本発明の組成物中に約0.5重量%〜約8重量%、好ましくは約1重量%〜約5重量%で任意で存在する。
【0043】
本発明の好ましい局所組成物の水相は、アルコール、特に低級アルコール、好ましくはエタノールおよび/またはイソプロパノール、低級ジオールまたはポリオールおよびそのエーテル、好ましくはプロピレングリコール、グリセリン、エチレングリコール、エチレングリコールのモノエチル−またはモノブチルエーテル、プロピレングリコールのモノメチル−または−モノエチル−または−モノブチルエーテル、ジエチレングリコールのモノメチル−またはモノエチルエーテルおよび類似生成物、ポリマー、気泡安定剤、電解質および特に1つまたは複数の増粘剤などの通常の化粧品または医薬品の添加剤を含有することができる。
【0044】
本発明の製剤において生成物の粘稠度を適切にする助けをするために使用され得る増粘剤には、カルボマー、二酸化ケイ素、ケイ酸マグネシウムおよび/またはケイ酸アルミニウム、ビーズワックス、ステアリン酸、ステアリルアルコール多糖類、およびキサンタンガムなどのこれらの誘導体、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリアクリルアミド、アクリレートクロスポリマー、好ましくは980、981、1382、2984、5984のタイプのカルボポール(carbopole)(登録商標)などのカルボマーが単独で、あるいはこれらの混合物が含まれる。
【0045】
例えば乳化剤またはフォームビルダー/安定剤などの成分を中和するために本発明の組成物中に含まれ得る適切な中和剤には、水酸化ナトリウムおよびカリウムなどのアルカリ水酸化物、ジエタノールアミン(DEA)、トリエタノールアミン(TEA)、アミノメチルプロパノール、およびこれらの混合物などの有機塩基、アルギニンおよびリシンなどのアミノ酸、ならびに上記のいずれかの任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。中和剤は、約0.01重量%〜約8重量%、好ましくは1重量%〜約5重量%の量で本発明の組成物中に存在し得る。
【0046】
疎水性乳化剤の挙動を変化させるために、本発明の組成物への電解質の添加が必要なこともある。従って、本発明のエマルジョン/ミクロエマルジョンは、好ましくは、塩化物イオン、硫酸イオン、炭酸イオン、ホウ酸イオンおよびアルミン酸イオン(これらに限定されない)などのアニオンを含む1つまたはいくつかの塩の電解質を含有し得る。その他の適切な電解質は、ラクタート、アセタート、ベンゾアート、プロピオナート、タルトラートおよびシトラートなどの有機アニオンに基づくことができるが、これらに限定されない。カチオンとしては、好ましくは、アンモニウム、アルキルアンモニウム、アルカリ金属またはアルカリ土類金属、マグネシウムイオン、鉄イオンまたは亜鉛イオンが選択される。特に好ましい塩は、塩化カリウムおよびナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、ならびにこれらの混合物である。電解質は、約0.01重量%〜約8重量%の量で本発明の組成物中に存在することができる。
【0047】
本発明の組成物を調製するために本発明によると、活性成分はそのまま、あるいはカプセル化形態、例えばリポソーム形態で使用することができる。リポソームは、好ましくは、レシチンを用いて、ステロールまたは植物ステロールを添加してまたは添加せずに形成される。活性成分のカプセル化は単独でも他の活性成分と一緒でもよい。上記で定義したような選択および定義を有する脂肪酸もしくはその塩、エステルまたはアミドだけ、あるいはレチノイドだけをカプセル化することが可能であるが、両方の成分を一緒に、あるいは別々のカプセルにカプセル化することも可能である。
【0048】
その他の実施形態には、レチノイドを分解から保護することを目標とする、または制御された送達のための固体または半固体カプセルが含まれる。カプセルは、レチノイドを単独で含有してもよいし、上記で定義したような選択および定義を有する脂肪酸もしくはその塩、エステルまたはアミドと一緒に含有してもよい。適切なカプセル化技術は、例えば、国際公開第0180823号パンフレット、国際公開第9903450号パンフレット、国際公開第9317784号パンフレットまたはFragrance Journal(2001年)、29(2)、83−90頁に記載されている。
【0049】
本発明の組成物は、特にざ瘡、しわ、ライン、萎縮症、炎症を予防または低減するための1つまたは複数の追加の薬学的にまたは美容的に活性な成分、ならびに局所麻酔剤、人工的な日焼け剤および促進剤、抗菌剤、抗真菌剤および日焼け止め添加剤を含有することもできるが、これらに限定されない。
【0050】
このような成分の例としては、ペプチド(例えば、マトリキシル(MatrixylTM)[ペンタペプチド誘導体])、オリゴペプチド、ワックスベースの合成ペプチド(例えば、パルミチン酸オクチルおよびトリベへニンおよびイソステアリン酸ソルビタンおよびパルミトイル−オリゴペプチド)、グリセロール、尿素、グアニジン(例えば、アミノグアニジン)と、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンA(例えば、パルミチン酸レチニルまたはプロピオン酸レチニルなどのレチノイド誘導体)、ビタミンE(例えば、酢酸トコフェロール)、ビタミンB(例えば、ナイアシンアミド)およびビタミンB(例えば、パンテノール)、ビタミンBおよびビタミンB12、ビオチン、葉酸などのビタミンおよびその誘導体と、抗ざ瘡活性物質または薬剤(例えば、レゾルシノール、サリチル酸など)と、酸化防止剤(例えば、植物ステロール、リポ酸)と、フラボノイド(例えば、イソフラボン、植物エストロゲン)と、アロエベラ抽出物、アラントインなどの皮膚のスージングおよびヒーリング剤と、精油、香料、皮膚感覚剤(skin sensate)、乳白剤などの美的な目的に適切な薬剤、芳香族化合物(例えば、クローブ油、メントール、カンファー、ユーカリ油、およびオイゲノール)、落屑活性物質(desquamatory active)、AHA酸などのヒドロキシ酸、ラジカル捕捉剤、ファルネソール、抗真菌活性物質、特にビサボロール、1,2−ペンタンジオール、ヘキサンジオールまたは1,2−オクタンジオールなどのアルキルジオール、フィトール、フィタントリオールなどのポリオール、セラミドおよび疑似セラミド、アミノ酸、タンパク質加水分解物、多価不飽和脂肪酸、キネチンのような植物抽出物、DNAまたはRNAおよびこれらの断片化産物、炭水化物、複合脂肪酸、カルニチン、カルノシン、ビオチノネン(biochinonen)、フィトフルエン、フィトエン、そしてこれらの対応する誘導体がある。
【0051】
さらに、本発明の化粧品および医薬品局所組成物は、UV−遮蔽剤(UV−フィルタ)を含有してもよい。追加のUV−遮蔽剤は、IR、UV−A、UV−B、UV−Cおよび/または広域帯フィルタから有利に選択される。UV−Bまたは広域性遮蔽剤、すなわち約290nmと340nmの間の吸収極大を有する物質の例は、有機化合物でも無機化合物でもよい。有機UV−Bまたは広域帯遮蔽剤は、例えば、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸2−エチルヘキシル(オクトクリレン、パーソル(PARSOL)(登録商標)340)、2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリル酸エチルなどのアクリレートと、4−メチルベンジリデンカンファー(パーソル(登録商標)5000)、3−ベンジリデンカンファー、メト硫酸カンファーベンザルコニウム、ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー、スルホベンジリデンカンファー、スルホメチルベンジリデンカンファー、テレフタリデンジカンファースルホン酸などのカンファー誘導体と、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(パーソル(登録商標)MCX)、メトキシケイ皮酸エトキシエチル、メトキシケイ皮酸ジエタノールアミン(パーソル(登録商標)Hydro)、メトキシケイ皮酸イソアミルなどのケイ皮酸誘導体、ならびにシロキサンに結合されたケイ皮酸誘導体と、p−アミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N−オキシプロピレン化p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリルなどのp−アミノ安息香酸誘導体と、ベンゾフェノン−3、ベンゾフェノン−4、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシ−ベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノンと、4−メトキシベンザルマロン酸ジ−(2−エチルヘキシル)などのベンザルマロン酸エステルと、欧州特許公開第EP0895776号明細書に記載されるような2−(4−エトキシアニリノメチレン)プロパン二酸ジエチルエステルなどの2−(4−エトキシ−アニリノメチレン)プロパン二酸エステルと、欧州特許公開第EP0358584B1号明細書、EP0538431B1号明細書およびEP0709080A1号明細書に記載されるようなパーソル(登録商標)SLXなどのベンゾマロナート基を含有するオルガノシロキサン化合物と、ドロメトリゾールトリシロキサン(メキソリル(Mexoryl)XL)と、例えば、2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸およびその塩(パーソル(登録商標)HS)(2−フェニルベンゾイミダゾールスルホン酸の塩は、例えば、ナトリウム塩またはカリウム塩などのアルカリ塩、アンモニウム塩、モルホリン塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩のような第1級、第2級および第3級アミンの塩などである)などのイミダゾール誘導体と、サリチル酸イソプロピルベンジル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ブチル、サリチル酸エチルヘキシル(パーソル(登録商標)EHS、ネオヘリオパン(Neo Heliopan)OS)、サリチル酸イソオクチルまたはサリチル酸ホモメンチル(ホモサレート、パーソル(登録商標)HMS、ネオヘリオパンHMS)などのサリチル酸誘導体と、エチルヘキシルトリアゾン(ユビナール(Uvinul)T−150)、ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(Uvasorb HEB)などのトリアジン誘導体とである。カプセル化メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(Eusolex UV−pearls)などのカプセル化UV−フィルタまたはUV−フィルタが装填されたマイクロカプセルは、例えば、EP1471995号明細書などに開示されている。
【0052】
広域性またはUVA遮蔽剤、すなわち約320nmと400nmの間の吸収極大を有する物質の例は、有機化合物でも無機化合物でもよい。有機広域性またはUVA遮蔽剤には、例えば、4−tert−ブチル−4’−メトキシジベンゾイル−メタン(パーソル(登録商標)1789)、ジメトキシジベンゾイルメタン、イソプロピルジベンゾイルメタンなどのジベンゾイルメタン誘導体と、2,2’−メチレン−ビス−(6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−フェノール(チノソーブ(Tinosorb)M)などのベンゾトリアゾール誘導体と、ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(チノソーブS)などと、2,2−(1,4−フェニレン)ビス−(1H−ベンゾイミダゾール−4,6−ジスルホン酸)(ネオヘリオパンAP)などのフェニレン−1,4−ビス−ベンゾイミダゾールスルホン酸または塩と、欧州特許公開第EP1046391号明細書に記載されるような2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシ−ベンゾイル)−安息香酸ヘキシルエステル(ユビナールA plus)などのアミノ置換ヒドロキシベンゾフェノンと、国際公開第2005080341A1号パンフレットに記載されるようなイオン性UV−Aフィルタとが含まれる。ジベンゾイルメタン誘導体は限られた光安定性を有するので、これらのUV−A遮蔽剤を光安定化することが望ましいであろう。従って、「従来のUV−A遮蔽剤」という用語は、例えば、欧州特許公開第EP0514491B1号明細書およびEP0780119A1号明細書に記載されるような3,3−ジフェニルアクリレート誘導体、米国特許第5,605,680号明細書に記載されるようなベンジリデンカンファー誘導体、欧州特許公開第EP0358584B1号明細書、EP0538431B1号明細書およびEP0709080A1号明細書に記載されるようなベンゾマロナート基を含有するオルガノシロキサンによって安定化された例えばパーソル(登録商標)1789などのジベンゾイルメタン誘導体も指す。
【0053】
本発明の組成物に添加することができるUV−A遮蔽剤およびUV−B遮蔽剤の優れた概説は、DE−A10327432号明細書においても見出すことができる。この文献で開示される全てのUV遮蔽剤は本発明の組成物のための成分としても有用であり、参照によって本明細書中に含まれる。さらに、本発明の組成物は、UV−AおよびUV−Bフィルタを含有してもよい。UV−フィルタまたは遮蔽剤のさらなる例は、例えば、国際公開第04/000256号パンフレットにおいて開示されており、特に10〜12頁が参照され、参照によって本明細書中に含まれる。
【0054】
安全および有効な量のUV−遮蔽剤が使用され、組成物の全重量を基準として、一般的には約1重量%〜約20重量%、より一般的には約2重量%〜約10重量%である。
【0055】
本発明の化粧品または医薬品局所組成物中に取り込まれ得るその他の適切なUV−遮蔽剤は、微粒子化された金属酸化物(例えば、パーソル(登録商標)TX)などの無機顔料である。このような化合物の例としては、例えば、約15nm〜約100nmの平均一次粒径を有する二酸化チタン、約15nm〜約150nmの平均一次粒径を有する酸化亜鉛、約15nm〜約150nmの平均一次粒径を有する酸化ジルコニウム、約15nm〜約500nmの平均一次粒径を有する酸化鉄、およびこれらの混合物が挙げられる。金属酸化物粒子は、例えば酸化アルミニウムまたはジルコニウムなどの金属酸化物によって、あるいは例えばポリオール、メチコン、ステアリン酸アルミニウム、アルキルシランなどの有機コーティングによって被覆されてもよい。このようなコーティングは当該技術分野においてよく知られている。本明細書中で使用される場合、無機日焼け止め剤は、組成物の全重量を基準として、約0.1重量%〜約20重量%、好ましくは約0.5重量%〜約10重量%、より好ましくは約1重量%〜約5重量%の量で存在する。
【0056】
上記のような選択および定義を有する脂肪酸もしくはその塩、エステルまたはアミドは既知であるか、あるいは化合物の既知の種類に属しており、そしてそれ自体、既知の方法によってあるいはそれに類似して調製することができる。
【0057】
もう1つの実施形態では、本発明は、上記のような定義および選択を有する脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドの、レチノイドおよび/または日焼け活性物質の美容効果を高めるための使用に関する。
【0058】
任意でレチノイドと併用して、上記のような定義および選択を有する脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドを含む本発明の組成物の効力、ならびにレチノイドと上記で定義したような脂肪酸との間の相乗効果の概念は、以下に概説されるようなヒトの一次ケラチノサイトを用いるインビトロ試験システムにおいて実証され得る。マーカーは、ヒト上皮細胞中のよく知られた通常の分化マーカーである酵素トランスグルタミナーゼ1でよい。上皮ケラチノサイトはヒトの包皮の生検材料から単離され、37℃および5%COのグロースチャンバ内のケラチノサイト無血清媒体(KSFM、GIBCO)中で培養される。第2継代において、細胞は6ウェルプレートに移され、約50%の表面コンフルエンスに到達させられる。
【0059】
活性成分は、エタノールまたはエタノール/テトラヒドロフラン中に可溶化される。レチノイン酸溶液は、黄色光条件下でのみ取り扱われる。ケラチノサイト培養物が適切なコンフルエンスに到達したら、ケラチノサイトの分化を誘発し、それによりTG1の発現も誘発するために、KSFM媒体に1.3mMのカルシウムが補充され、レチノイン酸などのレチノイドを添加するか、上記のような定義および選択を有する脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドを添加するか、あるいは両方の物質を併用して添加することによる処置が開始される。全てのサンプルについて、媒体および/または処置物質は1日に2回取り替えられる。処置の開始の72時間後に細胞が採取され、RNAが抽出される。RNAはcDNAに逆転写される。対照培養物対処置培養物のTG1のmRNA転写レベルの相対的な定量化は、多重リアルタイムPCR分析を用いて決定される。
【0060】
本発明の化粧品または医薬品組成物が皮膚のしわを低減する能力は、「Skin topography measurement by interference fringe projection:a technical validation」(ラガルド(Lagarde)JM、ルーブライス(Rouvrais)C、ブラック(Black)D、ディリドロウ(Diridollou)S、ガル(Gall)Y、Skin research and technology:official journal of International Society for Bioengineering and the Skin(ISBS)と、International Society for Digital Imaging of Skin(ISDIS)と、International Society for Skin Imaging(ISSI)(2001年5月)、7(2)、112−21頁または「Direct and non−direct measurement techniques for analysis of skin surface topography」フィッシャー(Fischer)TW、ウィガー−アルベルティ(Wigger−Alberti)W、アイスナー(Eisner)P.、Skin pharmacology and applied skin physiology(1999年1月〜4月)、12(1−2)、1−11頁とに記載されるプロファイロメトリー法によって評価され得る。
【0061】
本発明の化合物および組成物が発毛を刺激また保護するする能力は、例えば国際公開第9817273号パンフレットに記載されるマウスモデルを用いて決定され得る。毛包を損傷するためにシクロホスファミド(Neostar、ファルマシア(Pharmacia))を用いる代わりに、マイトマイシンまたはメトトレキセートを使用することができる。また、新生マウスを用いて発毛促進を検出することも可能である。これらは同期されたヘアサイクルを有し、約3週間後に全ての毛包は休止期の段階に入る。次に、動物は処置され、どのくらい速くそしてどの程度まで毛髪が成長しているかが評価される。インビトロまたはインビボの構成を用いる同様の試験は、J.Invest.Dermato.symposium proceedings 3rd Int.Meeting of Hair Research Societies、8/1、39−45頁(2003年)においてもわかる。
【0062】
以下の実施例は本発明を実証するが、これらは本発明を限定すると解釈されてはならない。
【0063】
[実施例1]
以下に示される成分を含有する抗老化製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0064】
【表1】

【0065】
[実施例2]
以下に示される成分を含有する抗老化製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0066】
【表2】

【0067】
[実施例3]
以下に示される成分を含有するフェイシャルトリートメント製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0068】
【表3】

【0069】
[実施例4]
以下に示される成分を含有するフェイシャルトリートメント製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0070】
【表4】

【0071】
[実施例5]
以下に示される成分を含有する脱毛セラム(hair loss sera)は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0072】
【表5】

【0073】
[実施例6]
以下に示される成分を含有する脱毛セラムは、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0074】
【表6】

【0075】
[実施例7]
以下に示される成分を含有する皮膚強化ローションは、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0076】
【表7】

【0077】
[実施例8]
以下に示される成分を含有する皮膚強化ローションは、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0078】
【表8】

【0079】
[実施例9]
以下に示される成分を含有するしみ(age spot)の治療用製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0080】
【表9】

【0081】
[実施例10]
以下に示される成分を含有するしみの治療用製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0082】
【表10】

【0083】
[実施例11]
以下に示される成分を含有する抗セルライト製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0084】
【表11】

【0085】
[実施例12]
以下に示される成分を含有する抗セルライト製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0086】
【表12】

【0087】
[実施例13]
以下に示される成分を含有する皮膚修復製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0088】
【表13】

【0089】
[実施例14]
以下に示される成分を含有する皮膚修復製剤は、それ自体が既知の方法で調製することができる。
【0090】
【表14】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つまたは2つのヒドロキシ、アルコキシ、好ましくはメトキシまたはエトキシ、C2〜C4−アシル保護アミノ(好ましくは、C2)またはオキソ基を有する6〜18個の炭素原子を含有する脂肪酸、もしくは前記酸の塩、エステルまたはアミド、あるいはこれらの酸の混合物と、化粧品または医薬品組成物において従来使用されているキャリアとを含む化粧品または医薬品組成物。
【請求項2】
前記脂肪族脂肪酸が、飽和直鎖脂肪酸またはω−分枝鎖脂肪酸である請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記飽和直鎖またはω−分枝鎖脂肪酸が、6位〜12位の間で置換されている請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記飽和直鎖またはω−分枝脂肪酸が、ヒドロキシによって置換されている請求項3に記載の組成物。
【請求項5】
前記脂肪酸が9−ヒドロキシステアリン酸である請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
レチノイドをさらに含む請求項1〜5のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記レチノイドが、レチノイン酸またはその誘導体である請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
前記レチノイドが、酢酸レチニル、フェニル酪酸レチニル、プロピオン酸レチニル、オクタン酸レチニル、ラウリン酸レチニル、パルミチン酸レチニル、オレイン酸レチニル、リノール酸レチニル、レチニルアルキルカーボネート、レチノキシトリメチルシラン、(全トランス)−レチナールまたはそのアセタール、もしくはメトキシPEG−12レチンアミドである請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記脂肪酸の量が、全組成物の約0.0001〜約50重量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
前記脂肪酸の量が、全組成物の約0.001〜約20重量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記脂肪酸の化合物の量が、全組成物の約0.01〜約1重量%である請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記レチノイドまたはその誘導体の量が、全組成物の約0.001〜約50重量%である請求項6〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記レチノイドまたはその誘導体の量が、全組成物の約0.001〜約20重量%である請求項6〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記レチノイドまたはその誘導体の量が、全組成物の約0.01〜約1重量%である請求項6〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項15】
前記レチノイドまたはその誘導体に対する前記脂肪酸の重量比が、約1000:1〜約1:1000である請求項6〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記レチノイドまたはその誘導体に対する前記脂肪酸の重量比が、約100:1〜約1:100である請求項6〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項17】
前記レチノイドまたはその誘導体に対する前記脂肪酸の重量比が、約30:1〜約1:30である請求項6〜14のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
健康な皮膚の生理学的恒常性の負の発達によって生じる症候の予防または治療、発毛の促進、脱毛からの保護、痒みのある皮膚または炎症を起こした皮膚の予防および治療を目的とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項19】
色素異常症の予防または治療、および/または均一な皮膚の色合いを提供することを目的とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項20】
日焼け活性物質の効果を高めることによって色素沈着を強化することを目的とする請求項1〜5および9〜11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項21】
しわまたは乾燥肌または敏感肌の治療または予防、発毛の促進、脱毛からの保護、表皮の肥厚を目的とする請求項1〜17のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項22】
健康な皮膚の生理学的恒常性の負の発達によって生じる症候の治療または予防、そして痒みのある皮膚または炎症を起こした皮膚の治療または予防、ならびに発毛の促進および脱毛からの保護の方法であって、前記治療または予防を必要としている人に、任意でレチノイドと併用して、有効な量の脂肪酸もしくは塩、エステルまたはアミドを局所的に投与するステップを含む方法。

【公表番号】特表2009−508894(P2009−508894A)
【公表日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−531583(P2008−531583)
【出願日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際出願番号】PCT/EP2006/008961
【国際公開番号】WO2007/039057
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】