説明

ヒューズ回路

【課題】ヒューズ回路の2つの出力側にそれぞれ所期の論理値に設定された論理信号出力する。
【解決手段】ヒューズ回路10は、電圧源VDDと、第1主電極、第2主電極、及び制御電極を有する第1及び第2のトランジスタQ11,Q12と、電圧源と第1のトランジスタのソースSとの間に直列に配置される第1の電気ヒューズRf1と、電圧源と第2のトランジスタのソースとの間に直列に配置される第2の電気ヒューズRf2を備える。さらに、第1,第2の電力供給回路Q13,Q14と、第1及び第2のトランジスタのドレインD側から論理値出力を取り出す第1及び第2の出力X,Yを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒューズ回路に関し、特に電流切断型の電気ヒューズが所期の状態に溶断・切断されている否かを判定するものに関する。
【背景技術】
【0002】
電気ヒューズは、半導体記憶装置の冗長回路として、また、A−D変換器、D−A変換器に使用される抵抗、コンデンサなどのトリミング、オペアンプのトリミングなどに使用される。たとえば半導体記憶装置では、その回路機能を実現するためにヒューズ素子を使用することが少なくない。ヒューズ素子には2つの形式が知られている。1つは、レーザ切断型であり、もう1つは電流切断型である。レーザ切断型は、パッケージングの前に工場でレーザによって処理するものであり、パッケージ後には処理できないというデメリットが生じる。一方、電流切断型はパッケージ後にプログラムすることができるというメリットが得られる。しかし、電流切断型には、金属材料が完全に切断されないという不具合が生じうる。なぜならば、電流切断型はトランジスタデコーダが必要とされ、このために溶融電流は制限されること、また、トランジスタデコーダに用いるたとえばMOSトランジスタの閾値電圧Vtの変動などのためヒューズを完全に切断することができなくなるからである。
【0003】
特許文献1(特開平5―128891号公報)は、無駄な電力消費をなくし、半導体記憶装置の消費電力の低減化を図るとしている。
【0004】
図11は特許文献1、図6に示されたヒューズ回路を示す。ヒューズ回路は、電源線25、接地線26、ラッチ回路27、ヒューズ32、抵抗33、コンデンサ34,35、出力端子36,37、ノード38,39を有する。電源線25には電源電圧VCCが供給され、接地線26の電位は接地電位GNDに維持される。ラッチ回路27はpMOSトランジスタ28,29、nMOSトランジスタ30,31で構成される。
【0005】
ヒューズ32の抵抗値r32と抵抗33の抵抗値r33との間には、ヒューズ32が切断されていない場合には、r32<r33の関係に設定され、それぞれの大きさは、たとえば2KΩ及び4KΩであるとしている。
【0006】
図11に示す回路構成は、電源線25と接地線26との間に、ヒューズ32、pMOSトランジスタ28、nMOSトランジスタ30をこの順に直列に接続する。また、電源線25と接地線26との間に、抵抗33、pMOSトランジスタ29、nMOSトランジスタ31をこの順に直列に接続する。pMOSトランジスタ28及びnMOSトランジスタ30のゲートGをpMOSトランジスタ29とnMOSトランジスタ31の共通接続点、すなわちノード41に接続する。pMOSトランジスタ29及びnMOSトランジスタ31のゲートGをpMOSトランジスタ28とnMOSトランジスタ30との共通接続点、すなわちノード40に接続する。ヒューズ32とpMOSトランジスタ28との共通接続点、すなわちノード38と接地線26との間にコンデンサ34を接続し、抵抗33とpMOSトランジスタ29との共通接続点、すなわちノード39と接地線26との間にコンデンサ35を接続する。こうした回路構成では、ノード40(出力端子36)及びノード41(出力端子37)からヒューズ32の切断の有無の情報を取り出す。
【0007】
図11に示す従来のヒューズ回路は、切断対象としているのはヒューズ32のみであり、抵抗33は切断の対象外であるため、出力端子36,37に出力される論理値のレベルはハイレベルかローレベルのどちらかに限定される。すなわち、出力端子36に着目すると、ヒューズ32の切断前の論理値はハイレベルに固定され、切断後の論理値はローレベルに限定されてしまう。したがって、ヒューズ32の切断後に出力端子36にハイレベルを出力するということはできない。このため、出力端子36,37に接続される各種各様の論理回路は限定される。
【0008】
特許文献2(特開2000―182393号公報)は、プログラム回路及び冗長アドレスデコーダを開示する。プログラム回路は、一対のトランジスタとそれに対応する一対の負荷素子を含むフリップフロップで構成され、一対の負荷素子の一方をプログラム手段として使用する。
【0009】
図12は特許文献2、図3に示されたプログラム回路に参照符号を一部加え、さらに一部変えて示す。
【0010】
プログラム回路は、第1のフリップフリップを構成する一対のpMOSトランジスタp1,p2、第2のフリップフロップを構成する一対のnMOSトランジスタn1,n2、及び2個のヒューズFa,Fbを有する。
【0011】
nMOSトランジスタn1のドレインDは、ヒューズFaを介して共通接続点Aに、nMOSトランジスタn2のドレインDは、ヒューズFbを介して共通接続点Bにそれぞれ接続されている。ヒューズFbは、ヒューズFaの切断前の抵抗値より大きく、切断後抵抗値より小さな抵抗値を有している。またヒューズFbは抵抗体により形成してもよく、例えば、2個のヒューズFaからなるヒューズFb1,Fb2としてもよいとしている。
【0012】
図12にはヒューズFa,Fbが用意されるが、切断の対象となるのはヒューズFaだけであり、ヒューズFbは切断の対象外である。
【0013】
特許文献2によれば、ヒーズFaが切断されていない場合には、共通接続点Bの電位が電源電圧VDD、共通接続点Aの電位がGNDとなるとしている。一方、ヒューズFaが切断されている場合には、共通接続点Aの電位が電源電圧VDD、共通接続点Bの電位はGNDとなるとしている。
【0014】
いずれにしても特許文献2においては、ヒューズFaの切断前、及び切断後の共通接続点A,Bの電位はハイレベルである電源電圧VDDか、またはローレベルである接地電位GNDのいずれか1つに限定されてしまう。
【0015】
すなわち、切断対象となるのはヒューズFaだけであるので、たとえばヒューズFaの切断後においては、共通接続点Aの電位は電源電圧VDDとほぼ同じレベルとなり、共通接続点Bの電位は接地電位GNDとほぼ同じレベルに限定されてしまう。言い換えれば、共通接続点Aの電位をローレベルに、共通接続点Bの電位をハイレベルにそれぞれ設定することはできない。
【0016】
特許文献3(特開2002−208296号公報)は、低電源電圧でCMOSプロセスと両立するヒューズの状態を検出する差動電圧検出回路を開示する。
【0017】
特許文献4(特開2006−59429号公報)は、第1の抵抗素子である電気ヒューズが溶断する前後の抵抗と第2の抵抗素子であるリファレンス抵抗との比較読み出しを行う半導体記憶装置において、内蔵するMOSトランジスタの閾値電圧Vtのばらつきや外乱ノイズ等の特性劣化要因に対する耐性の向上及び信頼性の向上を図るとしている。
【0018】
図13は特許文献4、図10に示された半導体記憶装置の読み出し回路図を示す。なお、特許文献4は、特許文献3のファミリー特許に当たる米国特許6,384,664号公報を引用し、特許文献4によれば、特許文献4、図10に示した図面は、米国特許6,384,664号公報の代表図面であるとしている。したがって、本書に示した図13は、特許文献4、図10に相当するとともに、米国特許公報6,384,664号に添付の図1にも相当していることを申し添える。
【0019】
図13には、電気ヒューズ101、リファレンス抵抗102、PMOSトランジスタ105,106,112,113、NMOSトランジスタ107,108,109,110,111、インバータ回路114,115、及びNOR回路116が示されている。
【0020】
電源VDDHと基準電位GNDの間に電気ヒューズ101とNMOSトランジスタ103、リファレンス抵抗102とNMOSトランジスタ104がそれぞれ配置されている。PMOSトランジスタ105,106とNMOSトランジスタ107,108は、いわゆるクロスカップルされ、NMOSトランジスタ107,108のソースSにはNMOSトランジスタ109,100のドレインDがそれぞれ接続され、NMOSトランジスタ109,110のソースSと基準電位GNDとの間にNMOSトランジスタ111が配置されている。また、電源VDDHとクロスカップルノードN3,N4との間にはPMOSトランジスタ112,113が配置され、クロスカップルノードN3,N4はそれぞれインバータ回路114,115に接続され、その出力/DO、DOはNOR回路116に入力されており、NOR回路116の出力信号READがNMOSトランジスタ103,104に入力されている。
【0021】
図13において、読み出し動作を行わないスタンバイ状態において、信号/READは“0”で、この信号/READが入力されるNMOSトランジスタ111はオフし、クロスカップルノードN3,N4はPMOSトランジスタ112,113により電源電圧VDDHにプリチャージされている。インバータ回路114,115の出力/DO,DOはともに“0”であり、NOR回路116の出力READは“1”となってNMOSトランジスタ103,104はオン状態にある。このとき、電気ヒューズ101とリファレンス抵抗102にはNMOSトランジスタ103,104を介して電流が流れることで電圧降下が発生し、ノードN1,N2は電源電圧VDDHから電圧降下分だけ低い中間電圧レベルとなり、中間電圧レベルがNMOSトランジスタ109,110のゲートにそれぞれ入力される。
【0022】
読み出し動作が開始され、信号/READが“0”から“1”になると、PMOSトランジスタ112,113はオフとなり、NMOSトランジスタ111がオンとなる。このとき、NMOSトランジスタ109,110は電源電圧VDDHよりも低い中間電圧レベルをノードN1,N2からゲートに受けてともにオン状態にあるため、クロスカップルノードN3,N4はともにプリチャージレベル(電源電圧VDDH)から基準電位GNDに向かってディスチャージを開始する。
【0023】
ディスチャージの速度はNMOSトランジスタ109,110のゲート電圧とデバイスサイズに依存する。例えば、電気ヒューズ101が溶断されていない場合は、電気ヒューズ101による電圧降下はリファレンス抵抗102による電圧降下より小さい。このため、ノードN1をゲート入力とするNMOSトランジスタ110のほうが電流能力は高くなり、ノードN3がより速くディスチャージされてノードN3とN4には微小な電圧差が発生する。この微小電圧差を増幅して最終的にノードN3は“0”、ノードN4は“1”の電圧レベルとなる。
【0024】
インバータ114,115の出力は、スタンバイ状態時においてはノードN3,N4は電源電圧VDDHにプリチャージされて“0”であったが、読み出し動作により、ノードN3,N4に伝達されたノードN1,N2の電圧差が比較・増幅されると、ノードN3は“0”、ノードN4は“1”となるため、出力/DOが“1”、出力DOが“0”となる。よって、出力/DO、DOが入力されるNOR回路116の出力READは“1”から“0”になってNMOSトランジスタ103,104はオフとなり、中間電圧レベルにあったノードN1,N2は電気ヒューズ101,リファレンス抵抗102を介して電源電圧VDDHと同じレベルになる。
【0025】
このようにNMOSトランジスタ103,104は、電源投入から読み出し動作が始まるまでは出力READが“1”でオン状態にあり、ノードN1,N2には抵抗値に応じた中間レベルの電圧が発生しているが、読み出し動作が開始され、ノードN1,N2の電圧差の比較・増幅動作が完了すると、その結果がフィードバックされてNMOSトランジスタ103,104はオフとなり、ノードN1,N2はともに電源電圧VDDHとほぼ同じレベルになる。
【0026】
図13に示した半導体記憶装置の読み出し回路では、電気ヒューズ101の抵抗値とリファレンス抵抗102の抵抗値とに応じて発生する中間電圧レベルがノードN1,N2を介してNMOSトランジスタ109,110のゲートに入力されている。例えばMOSトランジスタの閾値電圧Vtのばらつきが大きい製造プロセスで形成された場合や、読み出し動作時に外的ノイズが印加された場合、ノードN3,N4が電源電圧VDDHからともにディスチャージされて微小電圧が発生し、電圧さに基づき増幅が開始される過程において、データの誤ラッチが発生して読み出し不具合を生じてしまうことが危惧される。
【0027】
また、図13に示す半導体記憶装置の読み出し回路は、電気ヒューズ101は、NMOSトランジスタ103側に配置しているため、電気ヒューズ101を切断する前と、した後の電位レベルの変化はトランジスタ103側すなわちノードN1にしか取り出すことができないという不具合が生じる。
【0028】
なお、特許文献4、段落0080を参照すると、リファレンス抵抗102を電気ヒューズ101と同じ材料、形状のものを複数直列に接続して形成すると、面積は若干大きくなるものの、プロセスばらつき等に対して十分にマージンのある抵抗設定が可能となる旨示唆する。しかし、特許文献4においても、特許文献1,特許文献2と同様に、リファレンス抵抗102を電気ヒューズ101と同様に切断の対象とすることまでは何ら示唆も開示もしていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開平5−128891号公報
【特許文献2】特開2000−182393号公報
【特許文献3】特開2002−208296号公報
【特許文献4】特開2006−59429号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
本発明の課題は、上記に鑑み、ヒューズ回路の2つの出力側にそれぞれ所期の論理値に設定された論理信号出力することができるヒューズ回路を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の第1態様のヒューズ回路(10)は、第1,第2の電気ヒューズからなる一対の切断可能な電気ヒューズ(Rf1,Rf2)を第1主電極(ソースS)、第2主電極(ドレインD)、及び制御電極(ゲートG)を有する一対のトランジスタ(Q11(Q15),Q12(Q16))で構成したフリップフロップ(FF1)の負荷素子としたものである。
【0032】
また、本発明の第2態様のヒューズ回路(10)は、第1態様において、フリップフロップ(FF1,FF2)は第1導電形式からなる第1,第2トランジスタを有し、第1(Q11)及び第2(Q12)のトランジスタの第1主電極(ソースS)に一対の電気ヒューズ(Rf1,Rf2)を各別に接続したものである
【0033】
また、本発明の第3態様のヒューズ回路(10)は、第2態様において、一対の電気ヒューズ(Rf1,Rf2)は電流が供給されることによって溶断切断され、溶断切断される前の一対の電気ヒューズ(Rf1,Rf2)の抵抗値は共に等しく設定されるものである。
【0034】
また、本発明の第4態様のヒューズ回路(10)は、第2態様において、フリップフロップ(FF)はさらに、第2導電形式の第3,第4のトランジスタを有し、第1のトランジスタの第2主電極は第3のトランジスタの第2主電極、及び第2,第4のトランジスタの各制御電極に直接直流的に接続されて第1ノードを成し、第2のトランジスタの第2主電極は、第4のトランジスタの第2主電極、及び第1,第3のトランジスタの各制御電極に直接直流的に接続されて第2ノードを成すものである。
【発明の効果】
【0035】
上記の構成によれば、フリップフロップの負荷素子として溶断・切断可能な一対の電気ヒューズを配置するようにしたので、フリップフロップの2つの出力をハイレベルまたはローレベルの所望する論理値レベルに設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるヒューズ回路図である。
【図2】本発明の第2の実施形態にかかるヒューズ回路図である。
【図3】本発明の第3の実施形態にかかるヒューズ回路図である。
【図4】本発明の第4の実施形態にかかるヒューズ回路図である。
【図5】本発明の第5の実施形態にかかるヒューズ回路図である。
【図6】本発明の第5の実施形態にかかる図5の一部を等価的に示したヒューズ回路図である。
【図7】本発明及び従来のヒューズ回路の等価回路を模式的に示す図である。
【図8】本発明の第3実施形態にかかるタイミングチャートを示す。
【図9】本発明の第5実施形態にかかるタイミングチャートを示す。
【図10】本発明のヒューズ回路に用いる電気ヒューズの第1状態及び第2状態を説明するための図である。
【図11】従来のヒューズ回路を示す図である。
【図12】従来のプログラム回路を示す図である。
【図13】従来の半導体記憶装置を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明を説明するにあたり、まず、トランジスタを第1導電形式及び第2導電形式の2つに分ける。本書において、第1導電形式とは、MOSトランジスタの場合はnチャネル型、またはpチャネル型を指し、バイポーラトランジスタの場合はNPN型、またはPNP型を指す。第2導電形式とは、第1導電形式とは反対の導電型を指すものとする。
【0038】
また、本書において、説明の便宜上、トランジスタの各電極を第1主電極、第2主電極、及び制御電極として呼称する。この主旨は本発明の回路構成はMOSトランジスタでもバイポーラトランジスタでも構成することができるからであり、両タイプのトランジスタに共用できる呼称としてこれらの語句が適切であると判断したからである。
【0039】
また、本書において、MOSトランジスタであるとき、第1主電極,第2主電極,及び制御電極とは、第1導電形式または第2導電形式に関わらず、それぞれソース,ドレイン,ゲートを指すものとする。また、バイポーラトランジスタであるときは、第1導電形式または第2導電形式に関わらず、それぞれエミッタ,コレクタ,及びベースを指すものとする。
【0040】
本書において特に断らない限り、pMOSトランジスタはPNP型バイポーラトランジスタに、nMOSトランジスタはNPN型バイポーラトランジスタにそれぞれ置き換えることできると解するべきである。
【0041】
(第1の実施形態)
図1は本発明の第1の実施形態にかかるヒューズ回路を示す。本発明にかかるヒューズ回路10の特徴は、フリップフロップの負荷素子として電流によって溶断可能な一対の電気ヒューズを用いることにある。
【0042】
ヒューズ回路10は、電圧源VDD、基準電位VSS、フリップフロップFF1、トランジスタQ11,Q12、及び電気ヒューズRf1,Rf2を有する。
【0043】
フリップフロップFF1は、nMOSトランジスタからなる一対のトランジスタQ11,Q12で構成され、トランジスタQ11,Q12の制御電極であるゲートGは互いに別のトランジスタの第2主電極であるドレインDに接続されている。このように一対のトランジスタの制御電極が他方のトランジスタの第2主電極に接続される回路構成は一般的にクロスカップリングと称される。本発明でのフリップフロップは、このようにクロスカップリングされた一対のトランジスタを指す。なお、この種の分野ではフリップフロップをラッチ回路と称することも少なくない。
【0044】
トランジスタQ11,Q12のソースSは各別に電気ヒューズRf1,Rfの第1端子T1に接続され、それらの第2端子T2は共通接続され電圧源VDDに接続されている。
【0045】
電気ヒューズRf1及びRf2は互いに別の材料で構成してもよいが好ましくは同じ材料で構成する。たとえばシリサイドポリシリコンで構成されている。さらに本発明の特徴の1つとして、電気ヒューズRf1及びRf2の両者が溶断・切断の対象になっており、電流を流すことによって両者のいずれか一方が溶断される。どちらの電気ヒューズを切断するかの決定は、切断後のノードX,Yの電位またはノードX1,Y1をハイレベルまたはローレベルのどちらに設定するかによって決める。電気ヒューズRf1及びRf2の切断前の抵抗値は共にたとえば100Ω〜200Ωに設定される。電気ヒューズRf1及びRf2の抵抗値はたとえば共に100Ωに設定されていてもよく、一方がたとえば100Ωで他方がたとえば200Ωという具合に不均一であってもかまわない。もちろんこれらの抵抗値は数KΩのオーダーであってもかまわない。
【0046】
トランジスタQ13の主たる目的は電気ヒューズRf1を切断するためのいわゆる電力供給回路として用意される。トランジスタQ13と電気ヒューズRf1とは電圧源VDDと基準電位VSSとの間に直列に接続されている。トランジスタQ13をオンすると、電圧源VDD,電気ヒューズRf1,トランジスタQ13のドレインD−ソースSの導電路、及び基準電位VSSからなる直列回路に切断電流idが流れる。この切断電流idの大きさは、トランジスタQ13のゲートGに印加するゲート電圧Vc1の大きさによって決められる。電気ヒューズRf1を十分に溶断・切断するにはたとえば50mAの切断電流idが必要であるとすると、ゲート電圧Vc1は、トランジスタQ13の閾値電圧Vtのばらつきも考慮し、切断電流id≧50mAの関係を維持するように設定される。
【0047】
同様にトランジスタQ14は電気ヒューズRf2を切断するためのいわゆる電力供給回路として用意される。トランジスタQ14と電気ヒューズRf2とは電圧源VDDと基準電位VSSとの間に直列に接続されている。トランジスタQ14をオンすると、電圧源VDD、電気ヒューズRf2、トランジスタQ14のドレインD−ソースSの導電路、及び基準電位VSSからなる直列回路に切断電流idが流れる。この切断電流idの大きさは、トランジスタQ14のゲートGに印加するゲート電圧Vc2の大きさによって決められる。電気ヒューズRf2を十分に溶断するにはたとえば50mAの切断電流idが必要であるとすると、ゲート電圧Vc1は、トランジスタQ14の閾値電圧Vtのばらつきも考慮し、切断電流id≧50mAの関係を維持するように設定される。
【0048】
トランジスタQ13,Q14は本来電気ヒューズRf1,Rf2を溶断(切断)するために用意されるが、これとは別の目的でも使用することもできる。たとえば、電気ヒューズRf1,Rf2を切断する前にノードX,YまたはノードX1,Y1の電位をハイレベルまたはローレベルのいずれかに固定する場合に用いることができる。すなわち、電気ヒューズRf1,Rf2のいずれかを切断する前に、たとえばトランジスタQ13のゲートGに同トランジスタが浅くオンするような電位を印加しトランジスタQ14のゲートGには同トランジスタが完全にオフするような電位を印加するようにしておけば、ノードX,Yの電位をハイレベルまたはローレベルのいずれかに設定することができる。一方、トランジスタQ14のゲートGに同トランジスタが浅くオンするような電位を印加し、トランジスタQ13のゲートGには同トランジスタが完全にオフするような電位を印加するようにしておけば、前とは反転された状態に設定することができる。
【0049】
なお、電気ヒューズRf1またはRf2を切断する前に、ノードX,X1,Y,Y1の電位を所定の論理値レベルに設定しておく目的は、電気ヒューズRf1またはRf2を切断したときに、切断が正常に行われたのか否かを判定するためである。したがって、切断が正常に行われれば、ノードX,X1,Y,Y1の電位は切断の前後で反転する。
【0050】
ヒューズ回路10は一般的に半導体集積回路で構成されているので、トランジスタQ13,Q14の各電極間、或いは各電極と電圧源VDDまたは基準電位VSSとの間には寄生容量が介在される。このためトランジスタQ13とQ14の物理的な大きさを異ならせるならば、トランジスタQ13及びQ14の各電極間に介在される容量を異ならせることができる。また、トランジスタQ13とQ14の物理的な大きさは同じにしてこれらトランジスタの各電極間に外部容量を付加させるようにして、トランジスタQ13及びQ14に介在される容量の大きさを異ならせるようにしてもよい。これによって、電圧源VDDを投入した直後のノードX,Y及びノードX1,Y1に出力する論理値を所望するハイレベルまたはローレベルのいずれかに設定することができる。
【0051】
なお、フリップフロップFF1の出力に相当するノードX,Yには他の論理回路や負荷素子又は他のフリップフロップなどと結合することもできる。
【0052】
ここで、第1の実施形態にかかる発明の概念を要約すると次のとおりである。すなわち、ヒューズ回路10は、第1,第2の電気ヒューズからなる一対の切断可能な電気ヒューズ(Rf1,Rf2)を有する。さらに第1主電極(ソースS)、第2主電極(ドレインD)、及び制御電極(ゲートG)を有する一対のトランジスタ(Q11,Q12)で構成されたフリップフロップFF1を有する。さらに一対の切断可能な電気ヒューズ(Rf1,Rf2)はフリップフロップFF1の負荷素子として接続されておる。
【0053】
また第1の実施形態では、電気ヒューズ(Rf1,Rf2)は、フリップフロップ(FF1)を構成する一対のトランジスタの第1主電極(ソースS)に各別に接続される。
【0054】
さらに好ましくは、電気ヒューズRf1とRf2が切断される前の抵抗値はほぼ同じ大きさに設定される。なお、電気ヒューズRf1とRf2の抵抗値が同じであるとき、電圧源VDDを投入した直後のノードX,Yの論理値レベルが定まらないということが生じうる。こうしたことが、電気ヒューズRf1,Rf2の切断状態を確定するのに不具合な場合は、電圧源VDDの投入時でのトランジスタQ13,Q14のオン状態またはオフ状態を不均衡状態に設定することで克服することができる。すなわち、トランジスタQ13を浅くオンさせるかトランジスタQ14を浅くオンさせることで、ノードX,Yの所望の論理値レベルを出力することができる。
【0055】
なお、上述のやり方ではトランジスタQ13,Q14を用いるものであるが、これとは別のやり方でも可能である。たとえば、ノードX1,Y1と、基準電位VSSまたは電圧源VDDとの間に外部抵抗を接続して、フリップフロップFF1を構成するトランジスタQ11またはQ12のいずれか1つをオンまたはオフするようにすればよい。
【0056】
(第2の実施形態)
図2は本発明の第2の実施形態にかかるヒューズ回路20を示す。本発明にかかるヒューズ回路20の構成は、図1に示したものと基本的には同じである。
【0057】
フリップフロップFF2は、pMOSトランジスタからなる一対のトランジスタQ15,Q16で構成され、トランジスタQ15,Q16の制御電極であるゲートGは互いに別のトランジスタのドレインDに接続されている。すなわち、トランジスタQ15及びQ16はクロスカップリングされ、図1と同様にフリップフロップを構成している。
【0058】
図2において、トランジスタQ15,Q16のソースSは各別に電気ヒューズRf1,Rfの第1端子T1に接続され、それらの第2端子T2は共通に接続され基準電位VSSに接続されている。
【0059】
電気ヒューズRf1及びRf2の材料は、第1の実施形態で述べたものと同じものを用いることができるので詳述は割愛する。特に電気ヒューズRf1及びRf2を同じ材料で構成し、かつそれらの抵抗値を等しくなるように設定しておけば、製造上のばらつきを小さく抑えることができ、かつ、電気ヒューズRf1及びRf2を切断するために各別に用意する電力供給回路も同じ回路構成とすることができるので好都合となる。
【0060】
トランジスタQ17の主たる目的は電気ヒューズRf1を切断するためのいわゆる電力供給回路として用意される。トランジスタQ17と電気ヒューズRf1とは電圧源VDDと基準電位VSSとの間に直列に接続されている。トランジスタQ17をオンすると、電圧源VDD、トランジスタQ17のドレインD−ソースSの導電路、電気ヒューズRf1、及び基準電位VSSからなる直列回路に切断電流idが流れる。この切断電流idの大きさは、トランジスタQ17のゲートGに印加するゲート電圧Vc1の大きさによって決められる。電気ヒューズRf1を十分に溶断するにはたとえば50mAの切断電流idが必要であるとすると、ゲート電圧Vc1はトランジスタQ17の閾値電圧Vtのばらつきも考慮し、切断電流id≧50mAの関係を維持するように設定される。
【0061】
同様にトランジスタQ18は電気ヒューズRf2を切断するためのいわゆる電力供給回路として用意される。トランジスタQ18と電気ヒューズRf2とは電圧源VDDと基準電位VSSとの間に直列に接続されている。トランジスタQ18をオンすると、電圧源VDD,電気ヒューズRf2,トランジスタQ18のドレインD−ソースSの導電路、及び基準電位VSSからなる直列回路に切断電流idが流れる。この切断電流idの大きさは、トランジスタQ18のゲートGに印加するゲート電圧Vc2の大きさによって決められる。電気ヒューズRf2を十分に溶断するには、たとえば50mAの切断電流idが必要であるとすると、ゲート電圧Vc2はトランジスタQ18の閾値電圧Vtのばらつきも考慮し、切断電流id≧50mAの関係を維持するように設定される。
【0062】
トランジスタQ17,Q18は本来電気ヒューズRf1,Rf2を溶断(切断)するために用意されているが、これとは別の目的でも使用することもできる。たとえば、電気ヒューズRf1,Rf2を切断する前にノードX,YまたはノードX1,Y1の電位をハイレベルまたはローレベルのいずれかに設定する場合に用いることができる。すなわち、電気ヒューズRf1,Rf2のいずれかを切断する前に、たとえばトランジスタQ17のゲートGに同トランジスタが浅くオンするような電位を印加し、トランジスタQ18のゲートGには同トランジスタが完全にオフするような電位を印加するようにしておけば、ノードX,Yの電位をハイレベルまたはローレベルのいずれかに設定することができる。一方、トランジスタQ18のゲートGに同トランジスタが浅くオンするような電位を印加し、トランジスタQ17のゲートGには同トランジスタが完全にオフするような電位を印加するようにしておけば、前とは反転された状態に設定することができる。
【0063】
また、第2の実施形態では第1の実施形態と同様にヒューズ回路20は、一般的に半導体集積回路で構成されているので、トランジスタQ17,Q18の各電極間、或いは各電極と電圧源VDDまたは基準電位VSSとの間には寄生容量が介在されることになる。このためトランジスタQ17とQ18の物理的な大きさを異ならせるならば、トランジスタQ17及びQ18の各電極間に介在される容量を異ならせることができる。また、トランジスタQ17とQ18の物理的な大きさは同じにしてこれらトランジスタの各電極間に外部容量を付加して、トランジスタQ17及びQ18に介在される容量の大きさを異ならせることによって、電圧源VDDを投入した直後のノードX,Y及びノードX1,Y1に出力する論理値を所望するハイレベルまたはローレベルのいずれかに設定することができる。
【0064】
なお、フリップフロップFF2の出力に相当するノードX,Yには他の論理回路や負荷素子又は他のフリップフロップなどと結合することができる。たとえば、図1に示したフリップフロップFF1と、ノードX同士及びノードY同士で結合して、1つの新たなフリップフロップを構成することができる。
【0065】
ここで、第2の実施形態にかかる発明の概念を要約すると次のとおりである。すなわち、ヒューズ回路20は、第1,第2の電気ヒューズからなる一対の切断可能な電気ヒューズ(Rf1,Rf2)を有する。さらに第1主電極(ソースS)、第2主電極(ドレインD)、及び制御電極(ゲートG)を有する一対のトランジスタ(Q15,Q16)で構成されたフリップフロップFF2を有する。さらに一対の切断可能な電気ヒューズ(Rf1,Rf2)はフリップフロップFF2の負荷素子として接続される。
【0066】
また第2の実施形態は、電気ヒューズ(Rf1,Rf2)は、フリップフロップ(FF2)を構成する一対のトランジスタの第1主電極(ソースS)に各別に接続される。
【0067】
さらに好ましくは、電気ヒューズRf1とRf2が切断される前の抵抗値は第1の実施形態と同様に同じ大きさに設定することができる。もちろん、電気ヒューズRf1とRf2の抵抗値の大きさは異ならせるようにしてもかまわない。なお、電気ヒューズRf1とRf2の抵抗値が同じであるとき、電圧源VDDを投入した直後のノードX,Yの論理値レベルが定まらないということが生じうる。こうしたことが、電気ヒューズRf1,Rf2の切断状態を確定するのに不具合な場合は、電圧源VDDの投入時でのトランジスタQ13,Q14のオン状態またはオフ状態を不均衡状態に設定することで克服することができる。すなわち、トランジスタQ13を浅くオンさせるかトランジスタQ14を浅くオンさせることで、ノードX,Yの所望の論理値レベルを出力することができる。
【0068】
(第3の実施形態)
図3は本発明にかかる第3の実施形態を示す。図3に示すヒューズ回路30に用いるフリップフロップFFは、図1に示したフリップフロップFF1と図2に示したフリップフロップFF2を組み合わせたものとほぼ等しく、電気ヒューズRf1,Rf2は電圧源VDD側に設けた構成としている。すなわち、電気ヒューズRf1,Rf2の接続箇所は、図1のものと等価である。
【0069】
ヒューズ回路30において、トランジスタQ11の制御電極であるゲートGはトランジスタ12のドレインDに、トランジスタQ12の制御電極であるゲートGはトランジスタ11の第2主電極であるドレインDに接続されている。前に述べたように一対のトランジスタの各制御電極が他方のトランジスタの各第2主電極に接続される回路構成は一般的にクロスカップリングと称される。本発明でのフリップフロップはクロスカップリングされた一対のトランジスタで構成される。
【0070】
トランジスタQ11,12の第1主電極であるソースSはそれぞれ電気ヒューズRf1,Rf2の第1端子T1に接続され、それらの第2端子T2は共通接続され電圧源VDDに接続されている。トランジスタQ11,Q12の第2主電極である各ドレインDは、第1導電形式とは異なる第2導電形式のトランジスタQ15,Q16の第2主電極であるドレインDに各別に接続される。
【0071】
トランジスタQ11の第2主電極であるドレインDは、トランジスタQ15のドレインD及び、トランジスタQ12,Q16の各ゲートGに直接直流的に接続される。トランジスタQ15,Q16のソースSは共に基準電位VSSに接続される。
【0072】
トランジスタQ12の第2主電極であるドレインDは、トランジスタQ16のドレインD及び、トランジスタQ11,Q15の各ゲートGに直接直流的に接続される。
【0073】
なお、トランジスタQ11とトランジスタQ15とからなる回路構成は、よく知られたいわゆるCMOSインバータを成している。同様にトランジスタQ12とトランジスタQ16とからなる回路構成もCMOSインバータを成している。したがって、図3に示すフリップフロップFFは通常CMOS型のフリップフロップと称することができ、一般的にはラッチ回路とも称される。
【0074】
電気ヒューズRf1は、電圧源VDDとトランジスタQ11の第1主電極であるソースSとの間に直列に、電気ヒューズRf2は、電圧源VDDとトランジスタQ12の第1主電極であるソースSとの間に直列にそれぞれ配置されている。
【0075】
電気ヒューズRf1,Rf2はそれぞれ第1状態及び第2状態を有する。第1状態であるか第2状態であるかはヒューズの性質によって変わる。すなわち、一般的なヒューズはノーマル状態では導通状態におかれるので比較的低抵抗値を示す。その大きさはたとえば100Ω前後、好ましくは1KΩ以下であり、比較的低抵抗値に設定される。本書において、比較的低抵抗値を有する状態が第1状態として定義される。電気ヒューズRf1,Rf2は電流によって溶断またはトリミングされ、その抵抗値は第1状態とは異なる大きさを示す。こうした状態が第2状態であるとして定義される。特に電気ヒューズが切断され導通状態を失うとその抵抗値は数MΩにも至り、第1状態の抵抗値の少なくとも1桁以上は大きくなる。なお、一般的な電気ヒューズの第1状態での抵抗値はそれを形成する材料によっても異なってくる。
【0076】
電気ヒューズの中には一般的なヒューズとは異なるいわゆるアンチヒューズと呼ばれるものが存在する。アンチヒューズは、ノーマル状態では非導通状態である。こうした場合には第1状態での抵抗値は数百KΩ以上であり、たとえばその抵抗値は10MΩにも達し、第2状態、すなわち、アンチヒューズが導通状態になると、その抵抗値はたとえば200Ω〜500Ωまで極端に低下する。アンチヒューズの場合には完全に導通されない場合、その抵抗値は一般的なヒューズとは異なりその抵抗値はたとえば400KΩ以上を示すともいわれている。
【0077】
ノードX及びノードYは本発明のヒューズ回路の出力であるとして定義される。出力はヒューズ回路で検出された電圧をたとえばバッファBf1,Bf2を介して各種各様の論理回路に接続される。
【0078】
トランジスタQ13及びQ14は、図1に示した第1の実施形態でも述べたように、電気ヒューズRf1またはRf2を切断するときの電流を供給するためにそれぞれ用意されている。すなわち、トランジスタQ13及びQ14は、電気ヒューズRf1及び電気ヒューズRf2を各別に第1状態から第2状態に遷移させる第1及び第2の電力供給回路としての働きを有する。第1状態では電気ヒューズRf1または電気ヒューズRf2のいずれか一方が比較的低抵抗値で導通しており、第2状態では比較的高抵抗値に置かれており、理想的には電流、電圧の供給が切断されている状態に置かれる。
【0079】
ヒューズ回路30の出力が、第1状態であるかそれとも第2状態であるかの判定は出力ノードX,Yの電位、すなわちその論理値レベルを測定して行われる。
【0080】
なお、電気ヒューズがアンチヒューズである場合は、そのヒューズの材料にもよるが、第1状態は電気ヒューズの抵抗値がたとえば100KΩ以上であり、第2状態ではたとえば300Ω未満の抵抗値を示す。
【0081】
電気ヒューズRf1を第1状態から第2状態に遷移させるとき、すなわち、電気ヒューズRf1を切断するときには、たとえば50mA程度の切断電流が流れるようにトランジスタQ13のゲートGにゲート電圧Vc1を印加する。
【0082】
同様に電気ヒューズRf2を第1状態から第2状態に遷移させるとき、すなわち、電気ヒューズRf2を切断するときにはトランジスタQ14のゲートGに、電気ヒューズRf2にたとえば50mA程度の切断電流idが流れる程度の電圧Vc2を印加する。なお、電気ヒューズRf2を切断するに必要な切断電流idは、電気ヒューズRf2の抵抗値の大きさやその材料によって異なるが、電気ヒューズRf2の第1状態での抵抗値が小さければ、供給されるジュール熱が小さくなるため大きな切断電流が必要となり、切断しにくくなるのが一般的である。したがって、抵抗値は小さくとも、たとえば100Ω前後であることが好ましい。
【0083】
本発明にかかる一対の電気ヒューズRf1,Rf2は、両者とも切断の対象としている。このため、ノードX,ノードYに出力する論理値を所望する論理値レベルに設定することができるという特徴を有する。すなわち、ノードXをローレベルに設定した場合には電気ヒューズRf1を切断すればよく、また、ノードYをローレベルに設定した場合には電気ヒューズRf2を切断するようにすればよい。このことはバッファBf1,Bf2の後段に接続する論理回路の構成に応じて臨機応変に対応することができるので好都合である。
【0084】
第3の実施形態のヒューズ回路の骨子は、電圧源VDDと基準電位VSSの両者を電源として定義すると次ぎのように要約することができる。すなわち、本発明にかかるヒューズ回路は、第1,第2の電気ヒューズからなる一対の切断可能な電気ヒューズ(Rf1,Rf2)を有する。さらに、第1主電極(ソースS)、第2主電極(ドレインD)、及び制御電極(ゲートG)を有する第1導電形式の第1,第2のトランジスタ(Q11,Q12)と、第2導電形式の第3,第4のトランジスタ(Q15,Q16)を有する。そして、第1の電気ヒューズ(Rf1)は電源(VDD)と第1のトランジスタ(Q11)の第1主電極(ソースS)に、第2の電気ヒューズ(Rf2)は電源(VDD)と第2のトランジスタ(Q12)の第1主電極(ソース)に各別に接続される。さらに、第1のトランジスタ(Q11)の第2主電極(ドレインD)は、第3のトランジスタ(Q15)の第2主電極(ドレインD)、及び第2,第4のトランジスタ(Q12,Q14)の各制御電極(ゲートG)に直接直流的に接続されて第1ノード(X)を成す。さらに、第2のトランジスタ(Q12)の第2主電極(ドレインD)は、第4のトランジスタ(Q16)の第2主電極(ドレインD)、及び第1,第3のトランジスタ(Q11,Q13)の各制御電極(ゲートG)に直接直流的に接続されて第2ノード(Y)を成すものである。
【0085】
(第4の実施形態)
図4は本発明の第4の実施形態にかかるヒューズ回路40を示す。図3と同じ箇所には同じ参照符号を用いている。
【0086】
図4が図3と相違するのは、第1に、電気ヒューズRf1,Rf2を基準電位VSS側に配置していることである。第2に、電気ヒューズRf1,Rf2の第1端子T1はnMOSトランジスタの第1主電極であるソースSに接続される。これに付随して第3に電気ヒューズRf1,Rf2の第2端子T2は共通接続されて基準電位VSSに共通接続されることで相違する。また、第4に電気ヒューズRf1,Rf2を切断するための電力供給回路を構成するトランジスタQ17,Q18をpMOSトランジスタで構成している点で相違する。
【0087】
すなわち、電気ヒューズRf1,Rf2を接続する箇所は、CMOSフリップフロップの電圧源VDD側ではなく、基準電位VSS側に接続したことで第1の実施形態とは相違する。こうした構成は、抵抗成分を有する電気ヒューズRf1,Rf2をフリップフロップFFの負荷装置を構成するトランジスタQ11,Q12側ではなく、トランジスタQ15,Q16の第1主電極すなわちソースS側に接続することになるので、フリップフロップFFの回路動作の安定性がやや低下することはいがめない。また、電力供給回路を構成するトランジスタQ17,Q18はpチャネルMOSトランジスタを用いる場合には電流容量の点でnチャネルMOSトランジスタのサイズよりも少し大きくしなければならない。しかし、ヒューズ回路としての回路機能は図1に示した第1の実施形態とほぼ同等とみなすことができる
【0088】
第4の実施形態のヒューズ回路の概念は、電圧源VDDと基準電位VSSの両者を電源として定義すると次ぎのように要約することができる。すなわち、本発明にかかるヒューズ回路は、第1,第2の電気ヒューズからなる一対の切断可能な電気ヒューズ(Rf1,Rf2)を有する。さらに、第1主電極(ソースS)、第2主電極(ドレインD)、及び制御電極(ゲートG)を有する第1導電形式の第1,第2のトランジスタ(Q15,Q16)と、第2導電形式の第3,第4のトランジスタ(Q11,Q12)を有する。そして、第1の電気ヒューズ(Rf1)は電源(VSS)と第1のトランジスタ(Q15)の第1主電極(ソースS)に、第2の電気ヒューズ(Rf2)は電源(VSS)と第2のトランジスタ(Q16)の第1主電極(ソース)に各別に接続される。さらに、第1のトランジスタ(Q15)の第2主電極(ドレインD)は、第3のトランジスタ(Q11)の第2主電極(ドレインD)、及び第2,第4のトランジスタ(Q16,Q12)の各制御電極(ゲートG)に直接直流的に接続されて第1ノード(X)を成す。さらに、第2のトランジスタ(Q16)の第2主電極(ドレインD)は、第4のトランジスタ(Q12)の第2主電極(ドレインD)、及び第1,第3のトランジスタ(Q15,Q11)の各制御電極(ゲートG)に直接直流的に接続されて第2ノード(Y)を成すものである。
【0089】
第4の実施形態のヒューズ回路40の発明の概念は、先に述べた第3の実施形態のヒューズ回路30の発明と同じであり、第3の実施形態で述べたトランジスタを第4の実施形態では括弧内に示したトランジスタに置き換えるならば両者はまったく同じになることがわかる。すなわち、第1のトランジスタQ11(Q15)、第2のトランジスタQ12(Q16)、第3のトランジスタQ15(Q11)、及び第4のトランジスタQ16(Q12)と置き換えられる。
【0090】
上述の第1,第2,第3,及び第4の各実施形態にかかるヒューズ回路10,20,30,及び40の1つの特徴は、電気ヒューズRf1,Rf2は、共に同じ材料で構成され第1状態でほぼ同じ抵抗値を有する一対の電気ヒューズを有することである。すなわち、上記のいずれの各実施の形態は、いずれも一対の電気ヒューズは両者とも切断の対象としているので、ノードX,ノードYに出力する論理値を所期のレベルに設定することができる。すなわち、ノードXをローレベルに設定した場合には電気ヒューズRf1を切断すればよく、また、ノードYをローレベルに設定した場合には電気ヒューズRf2を切断するようにして、ヒューズ回路の出力側の論理レベルを自在に設定することができる。このことはバッファBf1,Bf2の後段に接続する論理回路の構成に臨機応変に対応することができるので好都合となる。こうした特徴は、図11〜図13に示した従来のヒューズ回路や半導体記憶装置に期待することはできない。
【0091】
(第5の実施形態)
図5は本発明にかかる第5の実施形態にかかるヒューズ回路50を示す。ヒューズ回路50は、電圧源VDD、基準電位VSSを有する。
【0092】
図5に示す第5の実施形態は、フリップフロップFFを備えていることで第3,第4の実施形態と同じである。しかし電気ヒューズRf1,Rf2が配置される回路部が第3,第4の実施形態とは異なる。すなわち、第3,第4の実施形態では電気ヒューズRf1,Rf2を電圧源VDD側に接続するか基準電位VSS側に接続するかの違いはあるにせよ、いずれもフリップフロップFFを構成する一対のトランジスタの負荷素子として用いるものであった。これに対して、第5の実施形態は、フリップフロップFFとは別の回路部に電気ヒューズRf1,Rf2を配置させるというものである。こうした発明は図13に示した従来のものに類似する。
【0093】
図5に示す電気ヒューズRf1は他の実施形態でも述べたように、第1端子T1及び第2端子T2を有し、第1端子T1はトランジスタQ37のドレインD側に、その第2端子T2は電圧源VDDにそれぞれ接続される。電気ヒューズRf2も第1端子T1及び第2端子T2を有し、第1端子T1はトランジスタQ38のドレインD側に、その第2端子T2は電圧源VDDにそれぞれ接続される。
【0094】
トランジスタQ37の実質的な回路動作はダイオードとして働く。すなわち、そのドレインD側がカソードに、ゲートGとソースSとの共通接続点側がアノードにそれぞれ相当する。トランジスタQ37のゲートGとソースSとの共通接続点はノードXを介してフリップフロップFFの一方の出力に接続される。したがって、電気ヒューズRf1は、ダイオードとして働くトランジスタQ37を介して電圧源VDDとフリップフロップFFとの間に接続されている。
【0095】
ノードXにはバッファBf1が接続され、バッファBf1を介しフリップフロップFFから出力されるデータアウトDOを出力する。データアウトDOは図示しない各種各様の論理回路に供給される。
【0096】
トランジスタQ38の実質的な回路動作はトランジスタQ37と同じであり、ダイオードとして働く。すなわち、そのドレインD側がカソードに、ゲートGとソースSとの共通接続点側がアノードにそれぞれ相当する。トランジスタQ38のゲートGとソースSとの共通接続点はノードYを介してフリップフロップFFの他方の出力に接続される。したがって、電気ヒューズRf2は、ダイオードとして働くトランジスタQ38を介して電圧源VDDとフリップフロップFFとの間に接続されている。
【0097】
ノードYにはバッファBf2が接続され、バッファBf2を介しフリップフロップFFから出力されるデータアウト/DOを出力する。データアウト/DOは図示しない各種各様の論理回路に供給される。
【0098】
フリップフロップFFは、図3,図4に示すものと同じであるので詳細な説明は割愛する。
【0099】
トランジスタQ33及びQ34は、電気ヒューズRf1またはRf2を切断するときの切断電流idを供給するためにそれぞれ用意されている。すなわち、トランジスタQ33及びQ34は、電気ヒューズRf1及び電気ヒューズRf2を各別に第1状態から第2状態に遷移させる第1及び第2の電力供給回路としての役目を有する。ここで第1状態では電気ヒューズRf1及び電気ヒューズRf2が比較的低抵抗値で導通しており、第2状態では比較的高抵抗値に置かれており、電流、電圧の供給が切断されている状態を指す。第2状態の理想的な状態は電気ヒューズRf1及び電気ヒューズRf2のいずれか一方の抵抗値が1MΩ以上の極めて高い抵抗値を有していることである。しかし、現実的には電気ヒューズRf1,Rf2を完全に切断するには困難が伴い、その抵抗値は数百KΩのオーダーや数KΩのオーダーのものも出現することを考慮しておかなければならない。。
【0100】
トランジスタQ33はnチャネル型MOSトランジスタで構成される。トランジスタQ33のゲートGに電気ヒューズRf1を切断するに十分なハイレベルのゲート電圧Vc1を印加すると、電気ヒューズRf1は切断され、第1状態から第2状態に遷移する。
【0101】
トランジスタQ34はnチャネル型MOSトランジスタで構成される。トランジスタQ34のゲートGに電気ヒューズRf2を切断するに十分なハイレベルのゲート電圧Vc2を印加すると、電気ヒューズRf2は切断され、第1状態から第2状態に遷移する。
【0102】
なお、電流ヒューズRf1及びRf2はいずれか一方が切断されるだけであって、両者が切断されることはない。どちらの電気ヒューズを切断するかは、ノードX,Yのいずれをハイレベルに維持するかまたはローレベルに維持するかによって決定すればよい。また、ハイレベル,ローレベルの設定はバッファBf1,Bf2の後段に接続される各種各様のたとえば論理回路の回路構成に応じて設定すればよい。
【0103】
トランジスタQ35,Q36はpチャネル型MOSトランジスタで構成されており、いわゆるプリチャージのために用意される。ここでプリチャージは、電気ヒューズRf1,Rf2のいずれか一方を切断する前または切断した後に、ノードX,Yの両者の電位を一時的にハイレベルに維持するために行われる。こうした操作はいわばヒューズ回路の初期化に相当するものであり、ヒューズ回路の機能検査や電気ヒューズの切断、未切断の動作が正常であるか否かを確認するために行われる。プリチャージ時には、トランジスタQ35,Q36のゲートGがローレベルに設定されトランジスタQ35,Q36はオンし、ノードX,Yはハイレベルに維持される。トランジスタQ35,Q36のゲートGがハイレベルであるときプリチャージ動作は遮断される。
【0104】
図6は図5に示したトランジスタQ37,Q38の周辺を表したものである。前に述べたようにトランジスタQ37,Q38はダイオード素子として用意されているが、そうした状態を等価回路で示したものである。すなわち、トランジスタQ37はダイオードD37とコンデンサC37の並列回路に、また、トランジスタQ38はダイオードD38とコンデンサC38の並列回路にそれぞれ置き換えることができる。
【0105】
ダイオードD37は、電圧源VDD,電気ヒューズRf1,トランジスタQ15、及び基準電位VSSからなる直列導電路に逆方向に接続される。したがって、電圧源VDDからフリップフロップFF側に流れ込もうとする電流の経路を遮断する。これによって、電圧源VDDをオンしたときに電気ヒューズRf1及びトランジスタQ15に流れるという不具合を排除することができる。
【0106】
コンデンサC37は、ダイオードD37のアノード−カソード間に並列に接続される。コンデンサC37は、ダイオードD37に寄生的に生成されるのであえて設ける必要もないが、その容量を大きくしたい場合には別途設けることになる。コンデンサC37は、電圧源VDDに電源電圧を供給した瞬間時に電圧源VDDからノードX側に瞬時電流を供給するために用意される。これによって、フリップフロップFFのノードXまたはYの電位をハイレベルまたはローレベルのどちらかに設定することができる。
【0107】
ダイオードD38は、電圧源VDD,電気ヒューズRf2,トランジスタQ16、及び基準電位VSSからなる直列導電路に逆方向に接続される。したがって、電圧源VDDからフリップフロップFF側に流れ込もうとする電流の経路を遮断する。これによって、電圧源VDDをオンしたときに電気ヒューズRf2及びトランジスタQ16に流れるという不具合を排除することができる。
【0108】
コンデンサC38は、ダイオードD38のアノード−カソード間に並列に接続される。コンデンサC38は、ダイオードD38に寄生的に生成されるのであえて設ける必要もないが、その容量を大きくしたい場合には別途設けることになる。コンデンサC38は、電圧源VDDに電源電圧を供給した瞬間時に電圧源VDDからノードY側に瞬時電流を供給するために用意される。これによって、フリップフロップFFのノードYまたはXの電位をハイレベルまたはローレベルのどちらかに設定することができる。
【0109】
図7は図3に示した第3の実施形態にかかるヒューズ回路30の等価回路を模式的に示す図である。図7(a1)〜図7(c1)は一対の電気ヒューズを共に溶断・切断の対象としている場合である。すなわち、本発明にかかるものである。図7(a2)〜図7(b2)は一方が切断対象の電気ヒューズであるが、他方は切断対象ではない、いわゆるリファレンス抵抗として用意した一例を示す。
【0110】
図7(a1)は図3において、電気ヒューズRf1,Rf2が切断される前の状態を示す。電気ヒューズRf1及びRf2の切断前の抵抗値は、たとえば1KΩ未満であり、好ましくは200Ω以下である。なお、抵抗値が極端に小さくなると、電気ヒューズに供給できるジュール熱が小さくなり、溶断・切断が困難になるのでその抵抗値は小さくとも100Ω前後の抵抗値に維持することが好ましい。本発明においては、電気ヒューズRf1,Rf2はいずれもが切断対象としているが、両者が同時に切断されるという選択肢は存在しない。電気ヒューズRf1,Rf2は、たとえばシリサイドポリシリコン、ドープトポリシリコン、金属などから選ばれた少なくとも1つから選ばれ材料で構成することができる。電気ヒューズRf1,Rf2は、それぞれ電圧源VDDと、フリップフロップFFとの間に直列に接続される。すなわち、電気ヒューズRf1はフリップフロップFFのノードX側に、電気ヒューズRf2はフリップフロップFFのノードY側にそれぞれ接続される。
【0111】
フリップフロップFFは、インバータINV1とINV2が互いに逆方向に並列に接続された回路構成を成す。図7(a1)に示す、インバータINV1は、図3に示すpチャネルMOS型のトランジスタQ11と、nチャネルMOS型のトランジスタQ15からなる、いわゆるCMOSインバータで構成される。同様に、インバータINV2はpチャネルMOS型のトランジスタQ12と、nチャネルMOS型のトランジスタQ16からなる、いわゆるCMOSインバータで構成される。
【0112】
図7(b1)は、図7(a1)に示したいわゆる初期状態の電気ヒューズRf1,Rf2の中の電気ヒューズRf1が切断の対象にされた状態を模式的に示す。電気ヒューズRf1にたとえば50mA程度の電流を流し込むと溶断・切断され、切断部Pf1が生じる。電気ヒューズRf1の切断される前の抵抗値は100Ω前後であったが、完全に切断された後は切断部Pf1が形成され、その抵抗値は1MΩを超え、電気ヒューズRf1は導通状態から切断状態、すなわち第1状態から第2状態に遷移する。電気ヒューズRf1が第2状態に置かれると、フリップフロップFFのノードX,Yの論理レベルはそれぞれローレベルL,ハイレベルHとなる。したがって、電気ヒューズRf1の切断は、ノードX側をローレベルLに固定し、ノードY側をハイレベルHに設定したい場合に選択されることになる。
【0113】
なお、電気ヒューズRf1を切断したときにその抵抗値が1MΩを超えないと、ノードX側をローレベルLに、ノードY側をハイレベルHにそれぞれ設定できないということではない。電気ヒューズRf1が十分に切断されずに、その抵抗値が1KΩのオーダーであれば十分に所期の論理値を得ることはできる。実用的には切断後の電気ヒューズRf1の抵抗値は200Ω位であっても所期の論理値を得ることはできる。すなわち、電気ヒューズRf2の抵抗値が100Ωで電気ヒューズRf1の抵抗値が200Ωであれば、フリップフロップFFのノードX,Yの論理レベルをそれぞれローレベルL,ハイレベルHに固定することができ初期の目的を達成することができる。
【0114】
図7(c1)は、図7(a1)に示すいわゆる初期状態の電気ヒューズRf1,Rf2の中の電気ヒューズRf2が切断の対象にされた状態を模式的に示す。電気ヒューズRf2にたとえば50mA程度の電流を流し込むと溶断・切断され、切断部Pf2が生じる。電気ヒューズRf2の切断される前の抵抗値がたとえば100Ω前後であった場合、完全に切断された後の抵抗値は1MΩを超え、電気ヒューズRf2は導通状態から切断状態、すなわち第1状態から第2状態に遷移する。電気ヒューズRf2が第2状態に置かれると、フリップフロップFFのノードX,Yの論理レベルはそれぞれハイレベルH,ローレベルLとなる。したがって、電気ヒューズRf2の切断は、ノードX側をハイレベルHに固定し、ノードY側をローレベルLに設定したい場合に選択されることになる。
【0115】
なお、電気ヒューズRf2を切断したときにその抵抗値が1MΩを超えないと、ノードX側をハイレベルHに、ノードY側をローレベルLにそれぞれ設定できないということではなく、電気ヒューズRf2が十分に切断されずに、その抵抗値が1KΩのオーダーであれば十分に所期の論理値を得ることはできる。実用的には切断後の電気ヒューズRf2の抵抗値は200Ω位であっても所期の論理値を得ることはできる。すなわち、電気ヒューズRf1の抵抗値が100Ωで電気ヒューズRf2の抵抗値が200Ωであれば、フリップフロップFFのノードX,Yの論理レベルをそれぞれハイレベルH,ローレベルLに固定することができ初期の目的を達成することができる。
【0116】
図7(a2)は、電気ヒューズRfuseとリファレンス抵抗Rrefを用いた一例を模式的に示し、電気ヒューズRfuseを切断する前の等価回路図を示す。本例では切断対象になるのは電気ヒューズRfuseであり、リファレンス抵抗Rrefは切断の対象にはなっていない。こうした回路構成では、電気ヒューズRfuseとリファレンス抵抗Rrefを構成する材料は異ならせてもよく、同じであってもかまわない。電気ヒューズRfuseとリファレンス抵抗Rrefを仮に同じ材料で構成する場合には、特許文献4の項でも述べたように、面積は若干大きくなるものの、プロセスばらつき等に対して十分にマージンのある抵抗設定が可能となる
【0117】
図7(b2)は、図7(a2)に示したいわゆる初期状態の電気ヒューズRfuseが切断された状態を模式的に示す。切断部Prによって電気ヒューズRfuseは導通状態から切断状態、すなわち第1状態から第2状態に遷移する。電気ヒューズRfuseが第2状態に置かれると、フリップフロップFFのノードX,Yの論理レベルはそれぞれローレベルL,ハイレベルHとなる。こうした回路構成では、電気ヒューズを切断するのはノードXまたはノードY側に配置された電気ヒューズに限られ、かつ、それらのノードX,Yに出力できる論理レベルはハイレベルHかローレベルLの何れかに限られてしまう。このため、図7(a1)〜(c1)に示すように一対の電気ヒューズを用意し、それらのいずれか1つの電気ヒューズを切断するものに比べるとヒューズ回路の出力側に接続される論理回路の論理値の設定がハイレベルHまたはローレベルLの何れかに限られてしまうということが生じる。
【0118】
図8は、図3に示すヒューズ回路30において、電気ヒューズRf1を切断した後の主なノードの電圧波形を模式的に示すものである。
【0119】
図8(a)は、電圧源VDDを示す。電圧源VDDは時刻t1から徐々に立上り、時刻t2でたとえば5Vで一定となる。時刻t1からt2までの時間は数μsから10ms程度である。
【0120】
図8(b)は、電力供給用トランジスタQ13,Q14の各ゲートGに印加する電圧Vc1,Vc2、基準電位VSSを示す。基準電位VSSは、電気ヒューズRf1の切断前後に関わらず常に0ボルトである。ゲート電圧Vc1,Vc2は、電気ヒューズRf1を切断した後は、トランジスタQ13,Q14をオフに維持するために0ボルトに固定される。
【0121】
図8(c)は、ノードX1の電位を示す。ノードX1の電位は時刻t1経過後時刻t2に至るまでに瞬間的に上昇する。時刻t2に至る前に何らかの電圧が生じるのは、フリップフロップFFが電圧源VDDに到達する前に不安定な状態ではあるが、回路動作を開始するからである。時刻t1からノードX1が生じるまでの遅れ時間△tはフリップフロップFFの回路動作によって決まり、遅れ時間△tは1ns〜10ns程度である。また、瞬間的に生じる電圧の最大振幅値は0.6V〜VDD/2の範囲である。しかし、フリップフロップFFの動作が安定し、本来の増幅作用が行われると、ノードX1の電位は零Vで一定となる。
【0122】
図8(d)は、ノードXの電位を示す。ノードXの電位はノードX1と同様に時刻t1経過後時刻t2に至るまでに瞬間的に上昇する。時刻t2に至る前に何らかの電圧が生じるのはフリップフロップFFが電圧源VDDに到達する前に不安定な状態ではあるが回路動作を開始するからである。ノードXの最大電位はnチャネルMOS型トランジスタQ15,Q16の閾値電圧Vtによって決まる。フリップフロップFFの動作が安定すると、本来の増幅作用が行われ、ノードXの電位は0Vで一定となる。
【0123】
図8(e)は、ノードY1の電位を示す。ノードY1の電位は電気ヒューズRf2が切断されていないので電圧源VDDがそのまま表れる。したがって、ノードY1の電位は電圧源VDDに追随し、時刻t1から徐々に立上り、時刻t2で電圧源VDDとほぼ等しくなる。
【0124】
図8(f)は、ノードYの電位を示す。ノードYの電位はノードY1の電位とほぼ同じである。
【0125】
図8(c)〜(e)に示したノードX1,X2及び、ノードY1,Y2の時刻t2以降の論理レベルは、図7(b1)に示したノードX,Yの論理値と同じである。
【0126】
図8(g)はバッファBf2から取り出されるデータアウト/DOを示し、ノードYに取り出した出力、すなわち図8(f)とほぼ同じである。
【0127】
図9は図5に示すヒューズ回路50において、電気ヒューズRf1を切断した後の主なノードの電圧を示す。
【0128】
図9(a)は電圧源VDDを示し、時刻t1で電源電圧がオンされると徐々に上昇し、時刻t2に達すると一定の電圧に維持される。電圧源VDDは、時刻t2以降はそのままオンされた状態が継続される。
【0129】
図9(b)は、電力供給用トランジスタQ33,Q34の各ゲートGに印加する電圧Vc1,Vc2、及び基準電位VSSを示す。基準電位VSSは、電気ヒューズRf11,Rf2の切断前後に関わらず常に0ボルトである。ゲート電圧Vc1,Vc2は、電気ヒューズRf1,Rf2のいずれか一方を切断した後は、nチャネルMOS型トランジスタQ33,Q34をオフに維持するためにそれらのゲートGは0ボルトに維持される。
【0130】
図9(c)は、トランジスタQ35及びQ36のゲートGに印加するプリチャージ電圧Vpreを示す。プリチャージは電気ヒューズRf1及びRf2のいずれか一方を切断する前または切断した後にフリップフロップFFの出力側を初期化するために行われる。プリチャージ電圧Vpreは時刻t1から時刻t3に至るまでの期間ローレベルに維持される。時刻t3以降はハイレベルH(VDD)に維持される。トランジスタQ35及びQ36はpチャネル型であるので、ローレベルでオンし、ハイレベルでオフする。したがって、時刻t3の直前までの間プリチャージが行われ、時刻t3以降はプリチャージが解除される。なお、電圧源VDDがオンされる時刻t1からプリチャージを解除する時刻t3までの時間t13はヒューズ回路50の周辺制御回路の動作速度等によって決定される。
【0131】
図9(d)はノードXの電位を示す。ノードXは電気ヒューズRf1が接続されるフリップフロップFFの出力ノードに相当する。ノードXの電位は、電気ヒューズRf1,Rf2の切断がどちらであったにせよ、ノードX,Yにプリチャージが行われている期間はハイレベル、すなわち電圧源VDDとほぼ同じレベルに置かれる。なぜならば、プリチャージ期間はトランジスタQ35及びQ36の両者がオン状態であるため、ノードX,Yの電位はトランジスタQ35及びQ36のソース・ドレイン導電路を介して強制的に電圧源VDDが印加されるからである。したがって、ノードXの電位はプリチャージ期間である時刻t3の直前までハイレベル(VDD)に置かれる。
【0132】
図9(d)において時刻t3に達し、プリチャージが解除されるとフリップフロップFFは本来の挙動を示す。このため時刻t3からt4においてノードXの電位は不連続に変化する。不連続な時間t34の長さはフリップフロップFFの動作速度に依存し、動作速度が速いほど時間t34は短くなる。電気ヒューズRf1が切断された後の抵抗値rf1と切断されていない電気ヒューズRf2の抵抗値rf2を比較すると、rf1≫rf2の関係に置かれているため、ノードXとYの瞬間的な電位の引き合いでノードXの電位はハイレベル側に維持される。不連続に変化する時間はフリップフロップFFの応答特性に依存する。
【0133】
図9(e)はノードYの電位を示す。ノードYは電気ヒューズRf2が接続されるフリップフロップFFの出力ノードに相当する。ノードYの電位は、電気ヒューズRf1,Rf2の切断がどちらであったにせよ、ノードX,Yにプリチャージが行われている期間、すなわち時刻t3までは、ノードXの電位と同様にハイレベル、すなわち電圧源VDDのレベルを維持する。なぜならば、プリチャージ期間はトランジスタQ35及びQ36の両者がオン状態であるため、ノードX,Yの電位はトランジスタQ35及びQ36のソース・ドレイン導電路を介して強制的に電圧源VDDが印加されるからである。
【0134】
図9(e)において時刻t3に達し、プリチャージが解除されるとフリップフロップFFは本来の挙動を示す。このため時刻t3からt4においてノードYの電位は不連続に変化する。電気ヒューズRf1が切断された後の抵抗値rf1と切断されていない電気ヒューズRf2の抵抗値rf2を比較すると、rf1≫rf2の関係に置かれているため、ノードXとYの瞬間的な電位の引き合いでノードYの電位は不連続に低下し、ノードXの電位がハイレベル方向に近づくにつれてノードYの電位は急速にローレベルに近づき最終的にはローレベルに維持される。
【0135】
図9(d),(e)に示すように図5に示すヒューズ回路50は、電気ヒューズRf1を切断すればノードXにハイレベルをノードYにローレベルを出力することができる。一方、電気ヒューズRf2を切断するならばこの論理値の関係が逆転した、いわゆるノードXにローレベルをノードYにハイレベルをそれぞれ出力することができる。したがって、フリップフロップFFの2つの出力側にどちらのレベルを出力するかによって電気ヒューズRf1,Rf2のいずれかを切断すればよいかを決めることができるので用途に応じて適宜使い分けることができる。
【0136】
図10(a),(b)は、電気ヒューズRf1,Rf2の切断前及び切断後に流れる電流の度数分布を並べて配置したものである。併せてこれらの図面は電気ヒューズを切断した後の切断の良否を説明するためにも用いることができる。図10(a),(b)はその横軸に電気ヒューズに流れる電流ifrを縦軸にはその度数Nを模式的に示している。
【0137】
図10(a),(b)の両者は、電流の度数分布Nはまったく同じであるとして示す。両者の違いは、図10(a)はリファレンス抵抗を用いずに電気ヒューズRf1またはRf2の切断前とその切断後の状態を説明するために用意され、図10(b)はリファレンス抵抗を用いて電気ヒューズの切断前と切断後の状態を説明するために用意している。言い換えれば、図10(a)は、本発明の電気ヒューズの切断前と切断後の状態の違いを説明するために用意され、図10(b)は従来の電気ヒューズの切断前と切断後の状態の違いを説明するために用意されている。
【0138】
図10(a),(b)は、電気ヒューズRf1に流れる電流ifrが図を正視して左側から右側に向かって増加するように示している。言い換えれば、電気ヒューズ抵抗値は左側から右側に向かって小さくなるように表示されている。電気ヒューズRf1,Rf2の抵抗値は切断前SA1のほうが切断後SA2のそれよりも小さいので、切断前SA1は図の右側に置かれ、切断後SA2はその左側に置かれる。
【0139】
なお説明の便宜上、電気ヒューズRf1とRf2はまったく同じ抵抗値に選ばれているとする。ここでは、電気ヒューズRf1を取り上げて説明するが、電気ヒューズRf2についても同じことが言える。
【0140】
図10(a)、切断前SA1において、電気ヒューズRf1に流れる電流irfは標準電流ix1を中心とした度数分布を示す。標準電流ix1が流れる電気ヒューズRf1の抵抗値Rix1はたとえば数十Ωから1KΩの範囲であり比較的低い抵抗値に設定される。電気ヒューズRf1が切断される前にそこに流れる電流irfの分布は標準電流ix1を中心として、その許容値は電流ix2〜ix3の範囲であるとして示している。電流ix2は標準電流Ix1のたとえばマイナス30%の大きさに、電流Ix3は標準電流ix1のたとえばプラス30%の大きさにそれぞれ設定されている。言い換えれば、電気ヒューズRf1が切断される前においてはその設計上及び製造上、抵抗値Rix1を中心として抵抗値Rix2及びRix3の大きさは±30%の許容範囲に設定されている。
【0141】
切断前SA1において、電流の許容範囲ix2〜ix3は電気ヒューズRf1,Rf2の設計上、製造上、及びばらつきなどを考慮して決められるものであって、電気ヒューズRf1,Rf2の機能を有しているかいないかに関わらず設定される。したがって、電流ix2よりも少し小さいものや電流ix3よりも少し大きいもの、すなわち、許容範囲ix2〜ix3から逸脱したもの中には電気ヒューズとして十分に機能を発揮するものも含まれている。
【0142】
図10(a)に示す切断後SA2は、切断前SA1で分布していた電気ヒューズRf1を溶断・切断した後のそれらに流れる電流の分布を示したものである。電気ヒューズが完全に切断されると、数十Ωから1KΩの抵抗値は数MΩ〜数KΩの範囲に収まり、切断前SA1の抵抗値の十数倍から数千倍またはこれ以上に抵抗値は高くなる。電気ヒューズRf1が切断された後にそこに流れる電流分布D1のすそ野は一般的に切断前SA1よりも広くなる。なぜならば、電気ヒューズRf1が完全に切断されるならば、その抵抗値は数MΩ以上に至り、その分の広がりは極めて狭くはずであるが、完全あるいは十分に切断されずに一部の電気ヒューズが残るいわゆる、中途半端な「半切れ電気ヒューズ状態」が生じるからである。こうした「半切れ電気ヒューズ」は、電気ヒューズRf1を切断するに足りる電流が何らかの原因で十分に供給できない場合、或いは溶断された電気ヒューズの粒子が再結合する場合、或いは電気ヒューズRf1の抵抗値が比較的小さいために切断するに足りるジュール熱が供給できない場合などで生じる。切断状態が不十分な場合は、切断後SA2での抵抗値は10KΩのオーダーではなく1KΩのオーダー、さらには数百Ωのオーダーという具合に切断前SA1の電気ヒューズRf1の抵抗値のオーダーに近いものも生じうることもあり得る。
【0143】
図10(a)は前に述べたように、電気ヒューズRf1が切断される前とされた後にそこに流れる電流irfの分布または抵抗値の分布を表している。しかし、電気ヒューズRf1が切断された後の電気ヒューズRf1と電気ヒューズRf2に流れる電流の分布を並べて配置したものとも言える。すなわち、図10(a)、切断前SA1で示される電流分布は電気ヒューズRf2に対応し、切断後SA2で示される電流分布は電気ヒューズRf1の電流分布に対応する。
【0144】
図10(a)、切断後SA2の領域の一部に説明の便宜上、電流ip1(Rip1)を設けている。電流ip1は切断前SA1に設けた電流ix2よりも所定値だけ小さい。電流ip1は、抵抗Rip1に置き換えることができるが、抵抗Rip1は、電流ix2が流れる抵抗Rix2よりも最小抵抗Rmだけ大きいとして示している。最小抵抗Rmの大きさは換言すれば、電気ヒューズRf1が切断され、電気ヒューズRf2を切断しなかったときに両者の電気ヒューズ間に生じる抵抗の差の最小値であるとも解することができる。したがって、多くの電気ヒューズRf1またはRf2を切断したときにその切断前と切断後には抵抗値に差が生じるが、少なくともその差は最小抵抗Rm以上となることを示唆している。
【0145】
最小抵抗Rmを大きくとれるということは、たとえば、図3に示したヒューズ回路30において、電気ヒューズRf1を切断した後の電気ヒューズRf1と電気ヒューズRf2との抵抗値の差は大きくなるということであるので、フリップフロップFFのノードX,Yに所期の論理値レベルを取り出すことができる。仮に最小抵抗Rmの大きさが小さければフリップフロップFFの動作は不安定となり、ノードX,Yに所期の論理値レベルを取り出すことが期待できなくなる。
【0146】
図10(b)は、前に述べたようにリファレンス抵抗を用いて電気ヒューズの切断後の状態を説明するために用意している。すなわち、図10(b)は、図11または図12または図13に示す従来のヒューズ回路に適用される。
【0147】
図10(b)、切断前SA1は切断対象とされる電気ヒューズの切断される前に流れる電流irfの分布を示す。こうした分布は図10(a)に示したものと同じとなる。
【0148】
図10(b)、切断前SA2には、切断対象とされた電気ヒューズが切断された後にそれらに流れる電流irfの分布を示す。
【0149】
リファレンス抵抗を用いて電気ヒューズの切断状態を判定する方法は、リファレンス抵抗の大きさ及びその製造上のばらつきを考慮しなければならない。電流ir1(Rir1)はリファレンス抵抗Rir1に流れる電流に相当する。電流ir1は電気ヒューズの切断後SA2の状態が切断前SA1と明確に判別されるように電流ix2よりも所定の大きさだけ小さく設定されている。すなわち、電流ix2が流れる電気ヒューズの抵抗値Rix2よりも抵抗幅Rmuだけ大きな値に設定される。この抵抗幅Rmuは、換言すればリファレンス抵抗Rir1が標準値すなわち設計値よりも小さくなる方向にばらつく範囲を示す。しかし、リファレンス抵抗Rir1は標準値よりも高くなる方向にもばらつくので、抵抗幅Rmuとは別に抵抗幅Rmlを設けなければならない。
【0150】
抵抗幅Rmlは電気ヒューズが切断された否かを判定するために考慮されるものである。この抵抗幅Rmlは電気ヒューズが切断された後の分布に分布d2だけ食い込むことになる。このため電気ヒューズが良品とされる実質的な範囲は分布d1となる。こうしたことは、電気ヒューズの切断後の歩留まりを低下させることになるので好ましくない。すなわち、リファレンス抵抗を用いる方式はリファレンス抵抗の製造上のばらつきも考慮しなければならないので、好ましい方式とは言い難い。特にこうした傾向は電気ヒューズとリファレンス抵抗とを別の材料で構成し、かつ、両者間の抵抗値の差が大きいほど顕著に表れる。
【0151】
これに対して、本発明にかかるヒューズ回路は、リファレンス抵抗を用いずに電気ヒューズの切断前と切断後の状態の遷移を判定するので電気ヒューズの歩留まり低下を排除することができる。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本発明のヒューズ回路は、一対の電気ヒューズを構成する2つのヒューズを共に切断可能とし、かつこれらの電気ヒューズをフリップフロップの負荷素子として用いる。これによって、フリップフロップの2つの出力側にハイレベルまたはローレベルの所望する2つの論理値レベルを出力することができる。これによって、ヒューズ回路の用途を拡大させることができるのでその産業上の利用可能性は高い。
【符号の説明】
【0153】
10,20,30,40,50,60 ヒューズ回路
Bf1,Bf2 バッファ
C37,C38 コンデンサ
D37,D38 ダイオード
DO,/DO データアウト
FF,FF1,FF2 フリップフロップ
id 切断電流
INV1,INV2 インバータ
Q11,Q12,Q13,Q14,Q15,Q16,Q17,Q18,Q33,Q34,Q35,Q36,Q37,Q38 トランジスタ
Rf1,Rf2 電気ヒューズ
VDD 電圧源
VSS 基準電位
X,X1 ノード
Y,Y1 ノード











【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1,第2の電気ヒューズからなる一対の切断可能な電気ヒューズを第1主電極、第2主電極、及び制御電極を有する一対のトランジスタQ11,Q12で構成したフリップフロップの負荷素子としたヒューズ回路。
【請求項2】
前記フリップフロップは第1導電形式からなる第1,第2トランジスタを有し、前記第1及び第2のトランジスタの前記第1主電極と電源との間に前記一対の電気ヒューズを各別に接続した請求項1に記載のヒューズ回路。
【請求項3】
前記一対の電気ヒューズは電流が供給されることによって溶断切断され、前記溶断切断される前の前記一対の電気ヒューズの抵抗値は共に等しく設定される請求項2に記載のヒューズ回路。
【請求項4】
前記フリップフロップはさらに、第2導電形式の第3,第4のトランジスタを有し、前記第1のトランジスタの前記第2主電極は前記第3のトランジスタの前記第2主電極、及び前記第2,第4のトランジスタの各制御電極に直接直流的に接続されて第1ノードを成し、前記第2のトランジスタの前記第2主電極は、前記第4のトランジスタの前記第2主電極、及び前記第1,第3のトランジスタの各制御電極に直接直流的に接続されて第2ノードを成す請求項2に記載のヒューズ回路。
【請求項5】
前記第1の電気ヒューズを切断対象とし前記第2の電気ヒューズを非切断対象としたときと、前記第2の電気ヒューズを切断対象とし前記第1の電気ヒューズを非切断対象としたときに、前記第1のノード及び前記第2のノードには互いに反転した論理値が出力される請求項4に記載のヒューズ回路。
【請求項6】
前記第1,第2,第3,及び第4のトランジスタの第1主電極,第2主電極,及び制御電極は、それぞれソース,ドレイン,及びゲートである請求項4に記載のヒューズ回路。
【請求項7】
前記第1,第2,第3,及び第4のトランジスタの第1主電極,第2主電極,及び制御電極は、それぞれエミッタ,コレクタ,及びベースである請求項4に記載のヒューズ回路。
【請求項8】
前記第1及び第2の電気ヒューズは各別に第1端子及び第2端子を有し、前記第1の電気ヒューズの前記第1端子と前記第1のトランジスタの前記第1主電極とが共通接続され、前記第1の電気ヒューズの前記第2端子は電源に接続され、前記第2の電気ヒューズの前記第1端子と前記第2のトランジスタの前記第1主電極とが共通接続される請求項5に記載のヒューズ回路。
【請求項9】
第1,第2の電気ヒューズからなる一対の切断可能な電気ヒューズと、第1主電極、第2主電極、及び制御電極を有するトランジスタで構成したフリップフロップとを備え、前記フリップフリップは、第1導電形式からなる第1,第2トランジスタと、前記第1導電形式とは異なる第2導電形式の第3のトランジスタと第4のトランジスタを有し、前記第1,第2の第1主電極同士は共通接続されて電圧源に接続され、前記第1のトランジスタの第1主電極は前記第3のトランジスタの前記第2主電極、及び前記第2,第4のトランジスタの各制御電極に直接直流的に接続されて第1ノードを成し、前記第2のトランジスタの前記第2主電極は、前記第4のトランジスタの前記第2主電極、及び前記第1,第3のトランジスタの各制御電極に直接直流的に接続されて第2ノードを成し、前記第1の電気ヒューズはダイオード素子と直列に接続されて前記電圧源と前記第1ノードとの間に接続され、前記第2の電気ヒューズはダイオード素子と直列に接続されて前記電圧源と前記第2ノードとの間に接続される請求項9に記載のヒューズ回路。
【請求項10】
前記ダイオード素子は前記第1,第2のノード側がアノードであり、前記第1,第2の電気ヒューズ側がカソードである請求項9に記載のヒューズ回路。
【請求項11】
前記ダイオード素子のアノード・カソード間に各別にコンデンサが並列に接続される請求項10に記載のヒューズ回路。
【請求項12】
前記第1,第2の電気ヒューズと前記ダイオード素子との共通接続点と基準電位との間に前記第1,第2の電気ヒューズを溶断切断する電力供給回路が設けられる請求項9に記載のヒューズ回路。
【請求項13】
前記電圧源と前記第1のノードとの間に、前記第1のトランジと並列に、及び前記電圧源と前記第2のノードとの間に前記第2のトランジスタと並列に接続される第1プリチャージトランジスタ及び第2プリチャージトランジスタを各別に設け、前記第1または第2プリチャージトランジスタがオンされたとき、前記第1のノードまたは第2のノードはハイレベルに制御される請求項10に記載のヒューズ回路。
【請求項14】
前記電気ヒューズはシリサイドポリシリコン、ドープトポリシリコン、金属の少なくとも1つである請求項1または9に記載のヒューズ回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−134264(P2012−134264A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−283928(P2010−283928)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000116024)ローム株式会社 (3,539)
【Fターム(参考)】