説明

ビットレジスターリング層を有する半導体メモリ装置及びその駆動方法

半導体メモリ装置は、データを貯蔵するための複数個のメモリセルを有するメモリ層と、前記メモリセルが不良かどうかに関する状態情報を記録するための少なくとも一つのビットレジスターリング層と、を含む。前記メモリ層は、分子メモリ、カーボンナノチューブメモリ、原子メモリ、シングルエレクトロンメモリ、特に化学的ボトムアップ方式で製造されるメモリなどのようなナノメータースケールメモリ装置とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体メモリ装置に係るもので、詳しくは、データを貯蔵するメモリセルが不良状態か良好状態かに関する情報を記録するためのビットレジスターリング層を有する半導体メモリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体メモリ装置内の多数のメモリセルのうち1つでも不良が存在する場合、半導体メモリ装置としての機能が正常に働かないので、その半導体メモリ装置は不良品として処理される。不良の発生する確率が低くても、不良メモリセルは発生し、その歩留まりは減少する。しかし、歩留まりを増加させるために、予め半導体メモリ装置内に配置した予備メモリセルを用いて不良セルを代替することができる。このように半導体メモリ装置の製造途中に無作為的に発生する不良セルを救済するために配置されるものが冗長(redundancy)回路である。
【0003】
しかしながら、冗長回路を配置するに従いチップの面積が増加し、欠陥救済に必要なテストの増加などが問題となって高密度集積回路(LSI)においてはあまり実用化されていない。冗長回路は、特にダイナミックRAM(DRAM)においてはチップの面積増加がLSIに比べて相対的に少ないため、64K−256Kから本格的に採用されている。
【0004】
より詳しく説明すると、半導体メモリ装置において冗長回路は実質的な半導体メモリ装置の容量(例えばn×n)の外に追加で余分のセルを配置し(例えば(n+m)×(n+m’)−(n×n)を配置;ここで、m,m’は冗長セルの数を意味する)、不良メモリセルが存在するかどうかを分析した後、1つまたはそれ以上の不良セルを含んだローまたはコラムの連結を切り、冗長セル側に連結されるようにする。結果的に容量がn×nになるようにすることにより、欠陥のない半導体メモリ装置として製造するための回路である。
【0005】
以下、添付図を参照して冗長回路の効率性を説明する。
図1から図3は多様な冗長回路のセルサイズ下での不良ビット発生率の変化に従うn×nメモリブロックの歩留まりを示す。
図1においてY軸はメモリブロックの歩留まりを示し、X軸は不良ビットの発生率を示す。図1において曲線はメモリブロックに対応する冗長セルサイズ(m;m=1,2,4,...)に従う不良ビット発生率と16×16メモリブロックの歩留まりの関係を示す。
【0006】
図示したように、一定の不良ビット発生率で冗長セルの数が増加する場合、メモリブロックの歩留まりも増加することがわかる。例えば、不良ビット発生率が0.01(1%)で、冗長セルmの数が1の場合にメモリブロックの歩留まりは約0.6(60%)である。同一の不良ビット発生率で冗長セルサイズmが2の場合にメモリブロックの歩留まりは0.95(95%)である。即ち、不良ビット発生率が0.01で、冗長セルサイズmが4以上の場合にはメモリブロックの歩留まりは1である。
【0007】
図2及び図3のグラフの説明は図1の説明と類似である。
図3に示すように、n×n=1024×1024のメモリブロックを作るために、2048×2048の冗長セルサイズ、即ち、実際必要なメモリ面積の9倍の大きさで半導体メモリ装置が製造されても、約0.3%の不良ビット発生率でメモリブロックの歩留まりが0になることがわかる。
【0008】
即ち、不良ビット発生率を数%(例えば1%)以下に減少させることが難しいと予想されるナノメートルスケール(nanometer scale)のメモリ装置(例えば、分子メモリ、カーボンナノチューブメモリ、原子メモリ、シングルエレクトロンメモリ、特に化学的にボトムアップ方式で製造されるメモリなど)は、上記のような冗長セルで不良セルを救済する方法は有用ではないとの問題点を有する。
【0009】
前記ナノメートルスケールのメモリ装置は、ナノメートル、即ち、0.000000001メートル単位に操作可能な超微細技術(分子を直接制御する水準)のようなナノ技術を使用して製造されたメモリ装置であり、ナノ素子またはナノメモリ素子ともいわれる。前記ナノメートルスケールのメモリ装置に対する例は米国特許第6,936,233号及び第6,750,471号などに開示されている。
【0010】
上記のように冗長セルで不良セルを救済するメモリ設計方法の短所を克服するために、ハードディスクドライバのFAT(File Allocation Table)構造と類似に別途のメモリ層を作り、そのメモリ層に不良メモリセルに関する情報を記録する方法が採用されることもできる。
【0011】
【特許文献1】米国特許第6936233号明細書
【特許文献2】米国特許第6750471号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、上記のような方式は図4に示すように、ブロックサイズに従いメモリブロック歩留まりに深刻な問題を引き起こす。
図4はn×nサイズの半導体メモリ装置をブロック単位で管理する場合のメモリブロックの歩留まりの一例を示すグラフである。
【0013】
図4に示すように、ブロックのサイズが増加するほど、メモリブロックの歩留まりは急激に減少する。例えば、16×16サイズ(n=16)のメモリブロックで、5E−3(0.5%)の不良ビットが発生する場合、メモリブロックの歩留まりは0.4(40%)にも至らない。これはメモリブロックの面積が、不良ビットが発生していない場合よりも2倍以上に大きくなったことを意味し、ブロックサイズが一層大きくなると、要求される面積は急激に大きくなるとの問題点を引き起こす。
【課題を解決するための手段】
【0014】
そこで、本発明の目的は、データを貯蔵するための複数個のメモリセルを有する半導体メモリ装置を提供することにある。
このような目的を達成するために本発明の一態様に従い半導体メモリ装置は、前記メモリセルに対する状態情報を記録するための少なくとも1ビットレジスターリング層を含む。ここで、前記ビットレジスターリング層は前記メモリセルのそれぞれに対応する複数個のビットレジスタを含むことができる。
【0015】
本発明の一態様に従い、それぞれのビットレジスタは対応のメモリセルが不良であるかどうかを表す状態情報を記録するために構成される。前記ビットレジスタは1回プログラム可能なメモリとすることができる。例えば、前記ビットレジスタはヒューズまたはアンチヒューズの構造を有することができる。
【0016】
他の態様に従い、半導体メモリ装置は第1、第2ビットレジスターリング層を含み、それぞれの第1、第2レジスターリング層はメモリセルに対する状態情報を記録するために構成される。
一態様に従い、前記メモリ層は分子メモリ、カーボンナノチューブメモリ、原子メモリ、及びシングルエレクトロンメモリのうちいずれか一つである。
【0017】
本発明はまた複数個のメモリセルを有する半導体メモリ装置を駆動するための方法を提供する。
このような駆動方法の一態様は、メモリセルに関連したビットレジスタに記録された状態情報をリードする段階と、前記状態情報に基づいたメモリセルをアクセスする段階とを含む。前記状態情報はメモリセルが不良であるかどうかを表し、前記駆動段階は、前記状態情報が前記メモリセルが不良であることを表す場合にはメモリセルを駆動しない。
【0018】
一態様において前記駆動段階は前記状態情報に基づいたメモリセルからデータをリードすることを含む。他の態様において前記駆動段階は前記状態情報に基づいたメモリセルにデータをライトすることを含む。
さらに、一態様において前記リード段階はメモリセルに関連した1ビット以上のレジスタに記録された状態情報をリードし、前記駆動段階は対応のビットレジスタからリードされた前記状態情報がメモリセルが不良でないことを表す場合にはメモリセルを駆動する。
【0019】
他の態様において、前記駆動段階は少なくとも一つの対応ビットレジスタからリードされた状態情報が前記メモリセルが不良でないことを表す場合にはメモリセルを駆動する。
また他の態様において、前記駆動段階は少なくとも一つの対応ビットレジスタからリードされた状態情報が前記メモリセルが不良であることを表す場合にはメモリセルを駆動しない。
【0020】
また、このような方法の一態様は、それぞれのメモリセルが不良かどうかをテストする段階と、前記テストの結果に基づきビットレジスタに状態情報を記録する段階とを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例を添付図を参照して詳しく説明する。実施例での説明は、本発明に対する理解を助けるための例として挙げられたものにすぎないため、本発明の範囲を制限するものとして使用されてはいけない。図面において同様な参照符号は同様な構成要素である。
【0022】
図5Aは、本発明の一実施例によるビットレジスターリング層を有する半導体メモリ装置の構成の一部を示す図であり、図5Bは図5Aでのビットレジスターリング層の概略斜視図である。
図5A及び図5Bを参照すると、本発明の一実施例による半導体メモリ装置は、メモリ層200及びビットレジスターリング層100を備える。ビットレジスターリング層100とメモリ層200間を絶縁させるために層間絶縁膜150が配置される。
【0023】
メモリ層200はデータを貯蔵するためのメモリセルを有する。
ビットレジスターリング層100は前記各メモリセルが不良かどうかを示す状態情報を記録するために機能する。不良ビット発生率が10%以上になると予想されるナノメートルスケールのメモリ装置においては、そのブロックサイズが1ビット単位に管理されるときに意味のあるデバイスになることができる。
【0024】
従って、ビットレジスターリング層100は前記メモリセルのそれぞれに対応する複数個のビットレジスタを備えることができる。メモリセルのそれぞれに対応する複数個のビットレジスタには各メモリセルが不良かどうかを示す情報が記録される。
ビットレジスターリング層100は、図5Aに示すように、層間絶縁膜150を介してメモリ層200の上部にスタックされる構造に形成される。このようなスタック構造により、ビットレジスターリング層100を有する半導体メモリ装置の総面積を減少させることができる。
【0025】
例えば、不良のメモリセルに対応するビットレジスタにデータ0が記録され、前記メモリセルが良好状態の場合には前記メモリセルに対応するビットレジスタにデータ1が記録されることができる。従って、前記メモリセルが不良状態の場合にそのメモリセルへのアクセスを防止するためのデータ0が前記ビットレジスタに記録されて、前記半導体メモリ装置の動作時に不良メモリセルはアクセスされないようになる。
反対に、不良のメモリセルに対応するビットレジスタにデータ1が記録され、メモリセルが良好状態の場合には前記メモリセルに対応するビットレジスタにデータ0が記録されることができる。
【0026】
前記ビットレジスタは1回プログラム可能なメモリであることができる。これは不良ビットが良好ビットにめったに変化しないからであり、メモリ層でテストされたビットが不良ビットである場合には前記不良ビットに対応するビットレジスタに1回のプログラミングが実行されることができる。従って、前記ビットレジスタはROM(Read Only Memory)であることができる。
前記ビットレジスタは図5Bに具体的に図示されていないが、上部金属層H1,H2と下部金属層L1,L2の交差点に形成されることができる。
【0027】
例えば、前記ビットレジスタはヒューズ構造に形成されることができる。即ち、メモリセルが良好状態である場合、前記ビットレジスタは初期連結状態を維持するための構造(この場合は前記ビットレジスタにデータ1が記録される)で、メモリセルが不良状態である場合には前記ビットレジスタは絶縁される構造(この場合は前記ビットレジスタにデータ0が記録される)である。前記ビットレジスタは過電流を流して絶縁させるか、レーザビームを加えて絶縁させるなどの多様な方法により絶縁されることもできる。以下、図8を参照して詳しく説明する。
【0028】
反対に、前記ビットレジスタはアンティヒューズ(anti-fuse)構造に形成されることもできる。即ち、メモリセルが良好状態の場合には初期状態の絶縁状態を維持する(この場合は前記ビットレジスタにデータ0が記録された状態である)。メモリセルが不良状態の場合には前記ビットレジスタは連結されるようにする(この場合は前記ビットレジスタにデータ1が記録された状態である)構造に形成されることもできる。
【0029】
さらに、前記ビットレジスタは良好状態または不良状態になることもできるため、前記ビットレジスタがそのビットレジスタに対応するメモリセルが良好か不良かにかかわらずに不良状態である場合には、ビットレジスタはメモリセルが不良状態であるときにビットレジスタのデータと同一な値を有することができる。従って、メモリセルが不良状態で且つそれに対応するビットレジスタが不良状態であるときにも、そのビットレジスタにメモリセルが良好状態であるとの情報が記録されるので、動作中の誤動作が減少するようになる。以下、図7を参照して詳しく説明する。
【0030】
図5Cは図5Aにおけるメモリ層200を示す概略的斜視図である。メモリ層200はビットラインB1,B2と、メモリセルMC1,MC2,MC3,MC4と、ワードラインW1,W2とを含む。
図6は図5Aの半導体メモリ装置のビットレジスターリング層での有効ビット、即ち、ビットレジスターリング層でのビットレジスタの良好状態に従って総メモリセルの歩留まり(またはメモリビットの歩留まり)を示すグラフである。
【0031】
図6において、X軸(BRL;Bit Register Layer)はビットレジスターリング層の歩留まり、即ち、ビットレジスタの良好状態をパーセントで示したもので、Y軸(TMBY;Total Memory Bit Yield)は総メモリセルの歩留まりをパーセントで示したものである。
図6を参照すると、ビットレジスターリング層の歩留まりに従う総メモリセルの歩留まりはメモリ層でのビット歩留まり(40%、60%、80%、100%)別に図示される。
【0032】
例えば、メモリ層でのビット歩留まりが40%である場合、総メモリセルの歩留まりは40%(この場合、ビットレジスターリング層の歩留まりは100%)であるが、ビットレジスターリング層の歩留まりが80%である場合には、総メモリセルの歩留まりは約30%である。
メモリ層でのビット歩留まりが100%、即ち、不良ビットが存在しない場合、総メモリセルの歩留まりはビットレジスターリング層の歩留まりにより決定される。即ち、メモリ層でのビット歩留まりが100%で、ビットレジスターリング層の歩留まりが20%であれば、総メモリセルの歩留まりは20%である。ビットレジスターリング層の歩留まりが60%であれば、総メモリセルの歩留まりは60%である。
【0033】
図7及び図8は図5Bのビットレジスターリング層でのビットレジスタの一例を概略的に示す斜視図である。
図7を参照すると、上部金属層H1及び下部金属層L1が絶縁層I1により絶縁されたアンティヒューズ構造のビットレジスタが図示されている。
前記ビットレジスタに対応するメモリセルが良好状態の場合には絶縁層I1により絶縁状態が維持され、前記ビットレジスタに対応するメモリセルが不良状態の場合には上部金属層H1に過電流を流して絶縁層I1が破壊されるようにして、上部金属層H1と下部金属層L1が電気的に連結されるようになる。
【0034】
反対に、前記ビットレジスタに対応するメモリセルが良好状態の場合に上部金属層H1に過電流を流して絶縁層11が破壊されるようにして上部金属層H1と下部金属層L1が電気的に連結し、前記ビットレジスタに対応するメモリセルが不良状態の場合には絶縁層I1により絶縁状態が維持されることができる。
【0035】
前記ビットレジスタは良好状態または不良状態であることができる。例えば、前記ビットレジスタの製造時に絶縁層I1が損傷される恐れがあるので、対応するメモリセルの状態にかかわらず前記ビットレジスタが恒常連結状態になることがあるかもしれない。このため、前記メモリセルが不良状態の場合でも対応のビットレジスタは意図しなかった状態となる。それ故に、このような誤動作を減少させるために前記ビットレジスタ自体が不良状態の場合には、対応のメモリセルが不良状態であるときにビットレジスタに記録されたデータと同一な値を有するのが好ましい。従って、対応のメモリセルが良好状態の場合にビットレジスタが絶縁状態に維持され、対応のメモリセルが不良状態の場合に連結状態となるようにする構造が好ましい。
【0036】
図8は、上部金属層H1及び下部金属層L1がヒューズF1により連結されたヒューズ構造のビットレジスタを示す。
前記ビットレジスタに対応するメモリセルが良好状態の場合にはヒューズF1により連結状態が維持され、前記ビットレジスタに対応するメモリセルが不良状態の場合には上部金属層H1に過電流を流してヒューズF1が切断されることにより、上部金属層H1と下部金属層L1が電気的に分離される絶縁状態となる。
【0037】
反対に、前記ビットレジスタに対応するメモリセルが良好状態の場合に上部金属層H1に過電流を流してヒューズF1が切断されることにより、上部金属層H1と下部金属層L1が電気的に分離され、前記ビットレジスタに対応するメモリセルが不良状態の場合にはヒューズF1により連結状態が維持される。
同様に、前記メモリセルが不良状態の場合、対応するビットレジスタは意図しない状態(例えば、前記ビットレジスタのヒューズF1がセッティングの前に既に切断された状態)であるかもしれない。それ故に、このような誤動作を減少させるために、対応するメモリセルが良好状態の場合にビットレジスタが連結状態に維持され、対応するメモリセルが不良状態の場合に絶縁状態になるようにする構造が好ましい。
【0038】
このように、前記メモリセルのそれぞれが良好状態か不良状態かをテストした後、そのテスト結果に基づきそれぞれのメモリセルに対応するビットレジスタをプログラミングすることにより、半導体メモリ装置のパワーアップ中に前記ビットレジスタが先にアクセスされるに従い、対応のメモリセルがアクセスできるかどうか(すなわち、不良であるか否か)が決定される。
そこで、本発明の実施例によると、多量の不良ビットに存在する欠陥を効果的に処理することができる。本発明の実施例は特に、不良ビット発生率の高い分子メモリのようなナノメートルスケールメモリ装置に適用されることができる。
【0039】
そして、前記ビットレジスターリング層は前記メモリ層とは異なった製造方法により製造されるか、または前記メモリ層と同一な製造方法により製造されることもできる。即ち、前記メモリ層が分子メモリ製造法により製造された場合、前記ビットレジスターリング層は分子メモリ製造法とは異なった製造法により製造されるか、または前記メモリ層と同一な分子メモリ製造法により製造されることもできる。
【0040】
図9Aは本発明の他の実施例によるビットレジスターリング層を有する半導体メモリ装置の構成の一部を示す図で、図9Bは図9Aのビットレジスターリング層の概略斜視図である。特に、前記実施例は2つのビットレジスターリング層を備える。
図5A及び図5Bに示された半導体メモリ装置はビットレジスターリング層のビットレジスタの数とメモリ層のメモリセルの数の比が1:1の場合であり、図9Aに示される半導体メモリ装置はビットレジスターリング層のビットレジスタの数とメモリ層のメモリセルの数の比が2:1の場合である。
【0041】
図9Aないし図9Bを参照すると、半導体メモリ装置はデータを貯蔵するためのメモリセルを有するメモリ層300を含む。メモリセルにそれぞれ対応し、対応のメモリセルの不良または良好状態に従い互いに異なった状態となる複数個のビットレジスタを有する2つのビットレジスターリング層110,120は、メモリ層300上に形成される。ビットレジスターリング層110,120及びメモリ層300はそれぞれ層間絶縁膜115,125により絶縁されている。
【0042】
図9Bは、第1ビットレジスターリング層110が図5Bのビットレジスターリング層100と同様な構造を有する上部金属層H11、H12と下部金属層L11,L12を含むことを示す。類似に、図9Bは、第2ビットレジスターリング層120が図5Bのビットレジスターリング層100と同様な構造を有する上部金属層H21,H22と下部金属層L21,L22を含むことを示す。即ち、第1,2ビットレジスターリング層110,120は図7または図8と関連して詳しく説明された特定構造を有するか、または別の特定構造を有することができる。
【0043】
また、上述の観点から、第1,2ビットレジスターリング層110,120により伝えられた良好及び不良状態はすべての関連した他の手段を含んで、図5Aから図8に関してビットレジスターリング層100に対し説明することができる。
メモリ層300で一つのメモリセルと対応するビットレジスタは二つのビットレジスターリング層110,120のそれぞれに配置されるので、その二つのビットレジスタは一つのメモリセルに対応する。従って、同じメモリセルに対応する前記ビットレジスタ中の一つが不良状態で、残された一つが良好の状態で、また、それらの対応メモリセルが良好の状態である場合、前記メモリセルは半導体メモリ装置の動作中にアクセスされる。
【0044】
例えば、メモリ層300でメモリセルに対応するビットレジスタのうち1つが不良状態で、前記メモリセルに対応するビットレジスタのうち残りの1つが良好状態である場合、前記メモリセルの良好または不良状態を示す情報は良好状態のビットレジスタに基づいて記録される。しかし、ほかの選択も採用することができる。例えば、前記ビットレジスタ中の一つが前記メモリセルが不良であることを示した場合、前記メモリセルは不良として扱われる。即ち、良好として処理される(アクセス可能なものとして扱われる)メモリセルに対しては、両方のビットレジスタが関連メモリセルが良好であることを示すべきである。他の例として、前記メモリセルは、両方の関連ビットレジスタが前記メモリセルが不良であることを示す場合のみに不良として扱われる。
【0045】
図9Cは図9Aのメモリ層300を示した他の概略的斜視図である。メモリ層300はビットラインB1,B2とメモリセルMC1,MC2,MC3,MC4と、ワードラインW1,W2を含む。
図10は図9Aの半導体メモリ装置のビットレジスターリング層での有効ビットと関連して総メモリビットの歩留まりを示すグラフである。
図10を参照すると、2つのビットレジスターリング層の歩留まりと関連して総メモリセルの歩留まりがメモリ層でのビット歩留まり(40%、60%、80%、100%)別に区別されて図示されている。点線で図示されたグラフは前記ビットレジスターリング層が1つである場合、即ち、図5Aに示した半導体メモリ装置の場合のグラフである。
【0046】
例えば、メモリ層でのビット歩留まりが40%である場合に総メモリセルの歩留まりが40%であれば理想的であるが(この場合にビットレジスターリング層の歩留まりは100%である)、ビットレジスターリング層の歩留まりが80%であれば、総メモリセルの歩留まりはほぼ40%に近くなる。このことから二つのビットレジスターリング層の歩留まりが一つのビットレジスタ層の歩留まりに比べ顕著に向上していることがわかる。
【0047】
上述のような説明において、二つのビットレジスターリング層が挙げられて説明されたが、このような実施例は三つ以上のビットレジスターリング層の場合にも適用できる。この場合、総メモリセルの歩留まりはもっと理想的な値に近くなることができる。さらに、良好または不良状態を示すビットレジスタの限界値が関連メモリセルが良好か不良を決定するために使用される。
図11と関連して、各メモリセルのテスト結果に基づいたビットレジスタをセッティングする過程を説明する。
【0048】
まず、それぞれのメモリセルの良好または不良状態をビット単位にテストし(S10)、テストされたメモリセルが不良ビット、即ち、不良状態のメモリセルであるか良好状態のメモリセルであるかが判断(S20)される。周知のように、テストと不良ビット判断過程は技術分野でよく知られているので、詳しくは説明しない。不良状態のメモリセルの場合には対応のビットレジスタにデータ0を記録する。テストされたメモリセルが良好状態の場合にはそのメモリセルに対応するビットレジスタの初期状態がそのまま維持される。この場合、そのメモリセルに対応するビットレジスタの初期状態はデータ0とは区別されるデータ(例えば、データ1)を示す状態であることが好ましい。あるいは、テストされたメモリセルが良好状態の場合には不良状態の場合と区別されるデータ1を対応のビットレジスタに記録することもできる。
【0049】
また他の実施例として、テストされたメモリセルが不良状態である場合、対応のビットレジスタにデータ1を記録することもできる。この場合、そのメモリセルに対応するビットレジスタの初期状態はデータ1とは区別されるデータ(例えば、データ0)を示す状態であることが好ましい。他の実施例として、テストされたメモリセルが良好状態の場合には不良状態の場合と区別されるデータ0を対応のビットレジスタに記録することもできる。過程のそのほかの変化はこの開示から容易に明らかになるであろう。
【0050】
前記ビットレジスタセッティング過程はそれぞれのメモリセルに対し反復的に行われることが好ましい。従って、それぞれのメモリセルにそれぞれ対応するビットレジスタにテスト結果に対する情報が記録される。前述したように、2つ以上のビットレジスターリング層が具備される場合にはメモリセルのそれぞれに対応するビットレジスタは2つ以上になる。
【0051】
さらに、前記テストの結果にかかわらず対応のビットレジスタが不良状態の場合には、前記ビットレジスタに対応するメモリセルが不良状態時のビットレジスタの状態と同一な状態になるようにする段階をさらに含むことができる。従って、ビットレジスタ自体が不良状態で、対応のメモリセルが不良状態の場合にそのメモリセルはアクセスできないようになる。
以下、図12を参照して、図11のビットレジスタセッティングを経た半導体メモリ装置のメモリセルにデータをライトする過程を説明する。
【0052】
まず、対応のビットレジスタに記録されたデータをリードして(S110)、記録されたデータが1または0であるかを判断する(S120)。記録されたデータが0の場合にはそのメモリセルにデータをライトせずに次のビットレジスタに移動する(S130)。記録されたデータが1の場合にはそのメモリセルにデータをライトする(S140)。このような過程が前記半導体メモリ装置に入力されるデータビット数だけ反復して行われることにより、メモリセルに入力データをライトする過程が完了する。勿論、不良状態は0でなく1として示されることは理解されるであろう。この場合、ビットレジスタが記録されたデータ1を有すればデータはライトされず、ビットレジスタが記録されたデータ0を有すればデータはライトされる。
【0053】
以下、図13を参照して、図11のビットレジスタをセッティングする過程の後に半導体メモリ装置のメモリセルからデータをリードする過程を説明する。
まず、対応のビットレジスタに記録されたデータをリードして(S210)、記録されたデータが1か0かを判断する(S220)。記録されたデータが0の場合にはそのメモリセルからデータをリードせずに次のビットレジスタに移動する(S230)。記録されたデータが1の場合にはそのメモリセルからデータをリードする(S240)。このような過程が前記半導体メモリ装置からリードしようとするデータビット数だけ反復して行われることにより、メモリセルからデータをリードする過程が完了する。勿論、不良状態は0でなく1として示されることは理解されるであろう。この場合、ビットレジスタが記録されたデータ1を有すればデータはリードされず、ビットレジスタが記録されたデータ0を有すればデータはリードされる。
【0054】
上述のように、本発明のビットレジスターリング層は不良ビットの発生率が非常に高い半導体メモリ装置、例えば、分子メモリ、カーボンナノチューブメモリ、原子メモリ、シングルエレクトロンメモリ、特に化学的にボトムアップ方式で製造されるメモリなどのナノメートルスケールのメモリ装置などに多様に適用されることにより、メモリの歩留まりが一層増進される。さらに本発明は半導体メモリ装置の歩留まりを一層増加させることができるとの効果がある。
【0055】
実施例をもって本発明を説明したが、本発明の範囲は開示された実施例に限定されないのは勿論のことである。本発明の実施例によるビットレジスターリング層を有する半導体メモリ装置及びその駆動方法は前記実施例に限定されず、本発明の基本原理を外れない範囲内で多様に設計され、応用されることは本発明が属する技術分野で通常の知識を有したものにとっては自明な事実であるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】多様なセルサイズと冗長回路を有するメモリ素子において不良ビット発生率に従うメモリブロックの歩留まりを示すグラフである。
【図2】多様なセルサイズと冗長回路を有するメモリ素子において不良ビット発生率に従うメモリブロックの歩留まりを示すグラフである。
【図3】多様なセルサイズと冗長回路を有するメモリ素子において不良ビット発生率に従うメモリブロックの歩留まりを示すグラフである。
【図4】n×nサイズの半導体メモリ装置をブロック単位に管理する場合のメモリブロックの歩留まりの一例を示すグラフである。
【図5A】本発明の一実施例によるビットレジスターリング層を有する半導体メモリ装置の構成の一部を示す概略図である。
【図5B】図5Aでのビットレジスターリング層の概略を示す斜視図である。
【図5C】図5Aでのビットレジスターリング層の概略を示す斜視図である。
【図6】図5Aにおける半導体メモリ装置のビットレジスターリング層での有効ビットに従う総メモリビットの歩留まりを示すグラフである。
【図7】図5Bのビットレジスターリング層でのビットレジスタの一例を概略的に示す斜視図である。
【図8】図5Bのビットレジスターリング層でのビットレジスタの一例を概略的に示す斜視図である。
【図9A】本発明の他の実施例によるビットレジスターリング層を有する半導体メモリ装置の構成の一部を示す概略図である。
【図9B】図9Aにおけるビットレジスターリング層ユニットの概略を示す斜視図である。
【図9C】図9Aにおけるビットレジスターリング層ユニットの概略を示す斜視図である。
【図10】図9Aの半導体メモリ装置のビットレジスターリング層での有効ビットに従う総メモリビットの歩留まりを示すグラフである。
【図11】本発明の一実施例に従い半導体メモリ装置の駆動方法を説明するフローチャートである。
【図12】本発明の一実施例に従い半導体メモリ装置の駆動方法を説明するフローチャートである。
【図13】本発明の一実施例に従い半導体メモリ装置の駆動方法を説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを貯蔵するための複数個のメモリセルを有する半導体メモリ装置において、
前記メモリセルに関する状態情報を記録するための少なくとも一つのビットレジスターリング層を備えることを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項2】
前記ビットレジスターリング層は前記メモリセルのそれぞれに対応する複数個のビットレジスタを備えることを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ装置。
【請求項3】
前記それぞれのビットレジスタは対応のメモリセルが不良かどうかを表す状態情報を記録するために構成されることを特徴とする請求項2に記載の半導体メモリ装置。
【請求項4】
前記それぞれのビットレジスタは対応のメモリセルが不良であればデータ0を記録することを特徴とする請求項3に記載の半導体メモリ装置。
【請求項5】
前記ビットレジスタはヒューズ構造で形成されることを特徴とする請求項4に記載の半導体メモリ装置。
【請求項6】
前記それぞれのビットレジスタは対応のメモリセルが不良であればデータ1を記録することを特徴とする請求項3に記載の半導体メモリ装置。
【請求項7】
前記ビットレジスタはアンティヒューズ構造で形成されることを特徴とする請求項6に記載の半導体メモリ装置。
【請求項8】
前記少なくとも一つのビットレジスターリング層はメモリセルの状態情報を記録するための構成の第1ビットレジスターリング層と第2ビットレジスターリング層とを含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体メモリ装置。
【請求項9】
前記第1ビットレジスターリング層は前記対応のメモリセルの状態を表すための各メモリセルに対応するビットレジスタを含み、
第2ビットレジスターリング層は前記対応のメモリセルの状態を表すための各メモリセルに対応するビットレジスタを含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体メモリ装置。
【請求項10】
前記状態情報はメモリセルが不良かどうかを表すことを特徴とする請求項9に記載の半導体メモリ装置。
【請求項11】
半導体メモリ装置において、
データを貯蔵するためのメモリセルを有するメモリ層と、
前記メモリセルに関する状態情報を記録するための少なくとも1つのビットレジスターリング層と、を備えることを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項12】
前記ビットレジスターリング層は前記メモリセルのそれぞれに対応する複数個のビットレジスタを備えることを特徴とする請求項11に記載の半導体メモリ装置。
【請求項13】
前記それぞれのビットレジスタは対応のメモリセルが不良状態かどうかを表す状態情報を記録するための構成であることを特徴とする請求項12に記載の半導体メモリ装置。
【請求項14】
前記ビットレジスタは前記メモリセルが不良であればそのメモリセルをアクセスしないようにすることを表す状態情報を記録することを特徴とする請求項12に記載の半導体メモリ装置。
【請求項15】
各ビットレジスタは1回プログラム可能なメモリであることを特徴とする請求項14に記載の半導体メモリ装置。
【請求項16】
前記ビットレジスターリング層はメモリ層の上部に形成されることを特徴とする請求項11に記載の半導体メモリ装置。
【請求項17】
前記メモリ層は分子メモリ、カーボンナノチューブメモリ、原子メモリ、及びシングルエレクトロンメモリのうちいずれか一つであることを特徴とする請求項11に記載の半導体メモリ装置。
【請求項18】
前記メモリ層はナノースケールメモリセルを含むことを特徴とする請求項11に記載の半導体メモリ装置。
【請求項19】
半導体メモリ装置において、
データを貯蔵するための複数個のメモリセルを有するメモリ層と、
前記メモリセルのそれぞれに対応し、対応するメモリセルが不良かどうかに従い異なった状態を有するように構成される複数個のビットレジスタを有する少なくとも一つのビットレジスターリング層と、を備えることを特徴とする半導体メモリ装置。
【請求項20】
前記ビットレジスタは対応のメモリセルが不良状態の場合に第1状態となり、対応のメモリセルが良好状態の場合に第2状態となるように構成されることを特徴とする請求項19に記載の半導体メモリ装置。
【請求項21】
一つのビットレジスタが不良であれば前記ビットレジスタは第1状態となるように構成されることを特徴とする請求項20に記載の半導体メモリ装置。
【請求項22】
前記半導体メモリ装置はナノメータースケールメモリ装置であることを特徴とする請求項19に記載の半導体メモリ装置。
【請求項23】
複数個のメモリセルを有する半導体メモリ装置の駆動方法において、
前記メモリセルに関連したビットレジスタに記録された状態情報をリードする段階と、
前記状態情報に基づきメモリセルを駆動する段階と、を備えることを特徴とする半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項24】
前記状態情報は前記メモリセルが不良かどうかを表し、
前記駆動段階は、前記状態情報がメモリセルが不良であることを表した場合にメモリセルを駆動しないことを特徴とする請求項23に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項25】
前記駆動段階は前記状態情報に基づいたメモリセルからデータをリードする段階を含むことを特徴とする請求項23に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項26】
前記駆動段階は前記状態情報に基づいたメモリセルにデータをライトする段階を含むことを特徴とする請求項23に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項27】
前記リード段階は前記メモリセルに関連した一つ以上のビットレジスタに記録された状態情報をリードし、
前記駆動段階は、それぞれの関連したビットレジスタからリードされた状態情報が前記メモリセルが不良でないことを表した場合にメモリセルを駆動することを特徴とする請求項23に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項28】
前記リード段階は前記メモリセルに関連した一つ以上のビットレジスタに記録された状態情報をリードし、
前記駆動段階は少なくとも一つの関連したビットレジスタからリードされた状態情報が前記メモリセルが不良でないことを表した場合に前記メモリセルを駆動することを特徴とする請求項23に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項29】
前記リード段階は前記メモリセルに関連した一つ以上のビットレジスタに記録された状態情報をリードし、
駆動段階は、少なくとも一つの関連したビットレジスタが前記メモリセルが不良であることを表した場合にメモリセルを駆動しないことを特徴とする請求項23に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項30】
それぞれのメモリセルが不良かどうかをテストする段階と、前記テストの結果に基づき 前記ビットレジスタに状態情報を記録する段階とをさらに備えることを特徴とする請求項23に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。
【請求項31】
前記ビットレジスタが不良であれば不良メモリセルを表すためにビットレジスタを構成する段階をさらに備えることを特徴とする請求項30に記載の半導体メモリ装置の駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2009−517787(P2009−517787A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530997(P2008−530997)
【出願日】平成18年5月9日(2006.5.9)
【国際出願番号】PCT/KR2006/001727
【国際公開番号】WO2007/032588
【国際公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【出願人】(503447036)サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド (2,221)
【Fターム(参考)】