説明

ファイル管理装置及びその制御方法

【課題】 記録媒体のフォーマットが可能なファイル管理装置において、フォーマット実行前に従来以上に詳細な情報を利用者に提示すること。
【解決手段】 記録媒体に記録されているファイルのうち、所定の種別のファイルの総数を検出し、記録媒体のフォーマットメニュー画面450において、ファイル総数403、405をファイル種別を表す情報402、404と共に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はファイル管理装置及びその制御方法に関し、特に記録媒体のフォーマットが可能なファイル管理装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラのように、着脱可能な記録媒体を利用可能な電子機器が増えている。デジタルカメラの場合、撮影した画像や録音した音声をデータファイルとして記録媒体に記録する構成が一般的である。そのため、装着した記録媒体の空き容量が不足した場合、その記録媒体を利用した記録を行うには、既に記録されているデータファイルを消去する必要がある。消去は通常選択的に行う方法と一括して行う方法とが提供されており、全てのファイルを一括で消去する手段として記録媒体をフォーマット(初期化)する機能が搭載されている。
【0003】
フォーマットは通常取り消すことが出来ない処理であり、誤って実行すると全てのファイルが喪失するため、実行時には確認や警告を促すのが一般的である。例えば非特許文献1には、デジタルカメラが搭載するフォーマット機能において、記録媒体の総容量に対し現在使用中のデータサイズを併記し、フォーマットを実行すると表示されている量のデータが消去されることに対する注意を喚起することが示されている。
【0004】
【非特許文献1】「キヤノン(株)キヤノンデジタルカメラPowerShotA95カメラユーザーズガイド」、2004年、p.20
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の技術では、記録媒体で現在使用中のデータサイズを利用者は理解することが可能であるが、例えばデジタルカメラのように静止画や動画や音声といった異なる種類のデータファイルを生成可能な機器において、ファイル種別毎の情報を得ることができなかった。
【0006】
また、静止画や動画といった画像をブラウズするモードと、音声のみをブラウズするモードといったように、ファイル種別に応じた複数のブラウズモードを有する機器が存在する。このような機器において記録媒体のフォーマットを行う場合、現在とは異なるモードでのみブラウズされる種類のファイルのデータ量やファイル数を利用者は知ることができない。例えば、画像ブラウズモードと音声ブラウズモードを有する機器において、画像ブラウズモード中に記録媒体のフォーマットを行う場合、音声ファイルの総数を知ることなく記録媒体のフォーマットを行うことになる。すなわち、音声ファイルのデータ量やファイル数を知ることなく音声ファイルを含む全ファイルを削除することになる。
【0007】
本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、記録媒体のフォーマットが可能なファイル管理装置において、フォーマット実行前に従来以上に詳細な情報を利用者に提示することを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、記録媒体のフォーマットが可能なファイル管理装置であって、記録媒体に記録されているファイルのうち、所定の種別のファイルの総数を検出するファイル総数検出手段と、記録媒体のフォーマットを実行する前に、ファイル総数を所定の種別を表す情報と共に表示する表示手段を有することを特徴とするファイル管理装置によって達成される。
【0009】
また、上述の目的は、本発明のファイル管理装置を備えた撮像装置によっても達成される。
【0010】
また、上述の目的は、記録媒体のフォーマットが可能なファイル管理装置であって、記録媒体に記録されているファイルのうち、所定の種別のファイルの総数を検出するファイル総数検出工程と、記録媒体のフォーマットを実行する前に、ファイル総数を所定の種別を表す情報と共に表示する表示工程を有することを特徴とするファイル管理装置の制御方法によっても達成される。
【発明の効果】
【0011】
このような構成により、本発明によれば、記録媒体のフォーマットが可能なファイル管理装置において、フォーマット実行前に従来以上に詳細な情報を利用者に提示することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明によるファイル管理装置の一実施形態としてのデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
図1において、デジタルカメラ100は、撮影レンズからなる光学系21、光学像を電気信号に変換する撮像部22、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器23を有する。A/D変換器23は、撮像部22が出力するアナログ信号や、音声制御部11が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換する場合に用いられる。
【0013】
また、タイミング発生回路12は、撮像部22、音声制御部11、A/D変換器23、D/A変換器13にクロック信号や制御信号を供給する。タイミング発生回路12はメモリ制御回路15およびシステム制御部17により制御される。画像処理回路24は、A/D変換器23からのデータ或いはメモリ制御回路15からのデータに対し、所定の画素補間処理や色変換処理を行う。
【0014】
また、画像処理回路24においては、システム制御部17がTTL(スルー・ザ・レンズ)方式のAF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理、EF(フラッシュプリ発光)処理を行うための演算処理を、撮像した画像データに対して行っている。さらに、画像処理回路24においては、撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果に基づいてTTL方式のAWB(オートホワイトバランス)処理も行っている。
【0015】
A/D変換器23の出力データは、画像処理回路24及びメモリ制御回路15の両方もしくはメモリ制御回路15のみを介して、メモリ32に書き込まれる。
メモリ32は撮影した静止画像や動画像のデータ及び、これらのデータから画像ファイルを構成する場合のファイルヘッダを格納するために設けられ、所定枚数の静止画像や所定時間の動画像を格納するのに十分な記憶容量を備えている。
【0016】
圧縮・伸張回路16は適応離散コサイン変換(ADCT)等を用いる圧縮符号化方法を用いて静止画像/動画像データを圧縮伸張する。圧縮・伸張回路16はシャッター25をトリガにして、メモリ32に格納された撮影画像を読み込んで圧縮処理を行い、処理を終えたデータをメモリ32に書き込む。
また、記録部19などからメモリ32に読み込まれた圧縮画像を読み込んで伸張処理を行い、処理を終えたデータをメモリ32に書き込む。
【0017】
圧縮・伸張回路16によってメモリ32に書き込まれた画像データは、システム制御部17のファイル部20においてデータファイル化され、インターフェース18を介して記録媒体200に記録される。
またメモリ32は画像表示用メモリとしても用いられる。メモリ32に書き込まれた表示用の画像データはD/A変換器13を介してLCD等からなる画像表示部14により表示される。
【0018】
マイク10から出力された音声信号は、アンプ等で構成される音声制御部11を介してA/D変換部23においてデジタル信号に変換された後、メモリ制御部15によってメモリ32に格納される。
【0019】
メモリ32に格納された音声データは、システム制御部17のファイル部20においてデータファイル化され、インターフェース18を介して記録媒体200に記録される。一方、記録媒体200に記録されている音声ファイルはメモリ32に読み込まれた後、D/A変換部13を介してアナログ信号に変換される。そして、音声制御部11において制御された信号がスピーカー39において発音される。
【0020】
システム制御部17は例えばCPUであり、図示しないROMやメモリ31に記録された制御プログラムを実行することによりデジタルカメラ100全体を制御する。メモリ31はシステム制御部17の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶するメモリである。
【0021】
操作部25は、利用者がデジタルカメラ100に指示を入力するための入力手段として設けられ、消去ボタンや、メニューボタン、SET(選択/実行)ボタン、十字に配置された4つの方向キーなどから構成される。
【0022】
メニューボタンが押されると各種設定が可能なメニュー画面が画像表示部14に表示される。利用者は画像表示部14に表示されたメニュー画面を方向キーやSETボタンを用いて移動、選択、設定することにより、直感的に各種設定を行うことが可能である。
【0023】
シャッターボタン26は例えば半押し状態でオンするスイッチと全押し状態でオンするスイッチを有し、AF,AE処理の開始トリガや、撮影開始のトリガに用いられる。
【0024】
モード切替スイッチ27は、利用者がデジタルカメラ100(システム制御部17)の動作モードを撮影モード、画像再生モード、音声記録再生モード等の間で切り替えるためのスイッチである。
【0025】
電源制御部30は、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成される。電源制御部30は、電池の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果およびシステム制御部17の指示に基づいてDC−DCコンバータを制御し、必要な電圧を必要な期間、記録部19を含む各部へ供給する。
【0026】
電源28はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプター等からなり、コネクタ33、34を介してデジタルカメラ100に装着される。
【0027】
インターフェース18はメモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのカメラ側インターフェースである。記録媒体200はコネクタ35、36を介してカメラ100に接続される。35はメモリカードやハードディスク等の記録媒体と接続を行うコネクタ、記録媒体着脱検知部38はコネクタ35に記録媒体200が装着されているか否かを検知する。
【0028】
記録媒体200はメモリカードやハードディスク等から構成される。記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部19、カメラ100とのインターフェース37、カメラ側のコネクタ35と嵌合するコネクタ36を備えている。
【0029】
図2は、本実施形態のデジタルカメラ100が記録媒体200に各種データを記録する際のデータ構造の例を示す図である。本実施形態のデジタルカメラ100は、階層ディレクトリ構造に従ってデータファイルを記録する。そして、画像データは、ROOTディレクトリ220直下のIMAGEディレクトリ201配下に保存される。IMAGEディレクトリ201以下のディレクトリには、撮影毎にカウントアップされるユニークな番号に基づいてディレクトリ番号およびファイル番号が付与される。
【0030】
例えばディレクトリ番号は100から順に発番され、それに基づき100IMAGEディレクトリ202が作成される。そして、100IMAGEディレクトリ202内に、さらに1から順にカウントアップされるファイル番号が付与されたファイル名を有する画像ファイルが記録される。
【0031】
例えば名称がIMG_0001.JPG(203)やIMG_0002.JPG(204)というファイルが撮影時に生成、記録される。1つのIMAGEディレクトリには100個までの画像ファイルが格納される。例えば100IMAGEディレクトリ202ではIMG_0100.JPG(205)までが格納される。101枚目以降の撮影では101IMAGEディレクトリ206が新規に作成され、その中にIMG_0101.JPGというファイル207が新規作成される。101IMAGEディレクトリ206においても100IMAGEディレクトリ202同様、1ずつ増加する数字を用いた名称を有す る画像ファイルが生成、記録されていく(208,209,210)。
【0032】
一方、音声データは、ROOTディレクトリ220直下に画像とは異なるSOUNDディレクトリ211が作成され、その中に記録される。
音声データを格納するためのディレクトリ名及びファイル名も画像データ用ディレクトリ及びファイルと同様、1ずつ増加する番号を含めた名称を用いて生成される。
【0033】
ここでは、SOUNDディレクトリは100から、音声データファイルは1(0001)から1ずつ増加する番号を用いて名称を生成するものとする。従って、まず100SOUNDディレクトリ212が作成され、そのディレクトリ中に音声記録の度に0001、0002、・・・を含む名称のファイルが生成、記録される。例えば音声ファイル名はSDR_0001.WAV(213)、SDR_0002.WAV(214)となる。
【0034】
●<初期動作>
図2に示すファイル構成を持つ記録媒体200が装着されたデジタルカメラ100の初期動作を図6のフローチャートを用いて説明する。この処理は、電池交換等の主電源投入や、記憶媒体200の装着時に行われる。
【0035】
まず、システム制御部17はメモリ31内のフラグや制御変数等を初期化する(S601)。
システム制御部17は、モード切替スイッチ27の設定位置を検出し、モード切替スイッチ27が電源OFFに設定されていたならば(S603)、電源制御部30によりデジタルカメラ100各部の不要な電源を遮断する等の所定の終了処理を行った後(S604)、S603に戻る。
【0036】
モード切替スイッチ27が電源OFFモードでなければ(S603)、システム制御部17は、電源制御部30により、電池等により構成される電源28の残容量や動作状況がデジタルカメラ100の動作上問題があるか否かを判断し(S605)、問題があるならば画像表示部14を用いて所定の警告表示を行った後に(S606)、S603に戻る。
【0037】
電源28に問題がないならば(S605)、システム制御部17は記録媒体200の動作状態がデジタルカメラ100の動作、特に記録媒体に対する画像データの記録再生動作に問題があるか否かを判断し(S607)、問題があるならば画像表示部14を用いて所定の警告表示をを行った後に(S606)、S603に戻る。
【0038】
記録媒体200の動作状態に問題がないならば(S607)、ファイル管理部29により、記録媒体200に記録されている画像用ディレクトリ(IMGAEディレクトリ)201以下に記録されている画像ファイルの総数を取得する(S608)。画像ファイル総数の取得処理について後で詳細に説明する。
【0039】
システム制御部17は画像ファイル総数を取得した後に再度モード切替スイッチ27の位置を判断し、撮影モードの場合、撮影モードに遷移し(S611)、画像再生モードの場合再生モードに遷移し(S610)、音声モードの場合音声モードに遷移する(S612)。音声モードに遷移した場合、その後音声ファイル総数の取得処理を行う(S613)。
【0040】
●<画像ファイル総数取得処理>
次に、図6のS608で行う画像ファイル総数取得処理について、図7に示すフローチャートを用いて説明する。
この処理は、ファイル総数検出手段としてのファイル管理部29により行われる。ファイル管理部29は、記録媒体200のROOTディレクトリ220のエントリをスキャンし(S701)、そこでIMAGEディレクトリ201が見つからなければ(S702)終了する。
【0041】
ROOTディレクトリ220のエントリスキャン(S701)の結果、IMAGEディレクトリ201が存在する場合、IMAGEディレクトリ201のエントリをスキャンする(S703)。このエントリスキャンの結果、ファイルエントリが見つからない場合(S704)、終了する。
【0042】
IMAGEディレクトリ201内にファイルエントリが存在する場合(S704)、そのエントリがディレクトリでない、もしくはディレクトリでも100IMAGE(202)のような書式(数値+”IMAGE”)でない場合(S705)、IMAGEディレクトリのエントリスキャン(S703)に戻る。
【0043】
S705において対象となるファイルエントリが所定の書式を有する画像格納用のディレクトリであると判断した場合、そのディレクトリ、例えば100IMAGE(202)ディレクトリのエントリをスキャンする(S706)。その結果、ファイルエントリがない場合(S707)、IMAGEディレクトリ201のエントリスキャン処理(S703)に戻る。
【0044】
S707でエントリが存在する場合、S708において、対象となるエントリがファイルであり、かつファイル名が画像ファイル用の書式、例えばIMG_0001.JPG(203)のようになっているかどうかを確認する。ファイル名が画像ファイル書式と合致した場合には画像ファイルとして認識し、画像ファイル数をインクリメントする(S709)。画像ファイル数はメモリ31に格納し(S710)、100IMAGEディレクトリ202のエントリスキャン処理(S706)に戻る。
【0045】
また、エントリがファイルでないもしくはファイル名が例えばIMG_0001.JPG(203)のような書式をしていない場合(S708)、100IMAGEディレクトリ202のエントリスキャン処理(S706)に戻る。このようにして、例えば100IMAGEディレクトリ202内のエントリスキャンを、エントリがなくなるまで繰り返す。
最終的にIMAGEディレクトリ201内のエントリをすべてスキャンするとエントリがなくなり(S704)、本処理を終了する。
【0046】
デジタルカメラ100が音声モードに遷移した場合に実行される音声ファイル総数取得処理(S613)についても、画像ファイル総数と同様に取得することができる。
すなわち、音声ファイルは前述した通り、ROOTディレクトリ220配下にIMAGEディレクトリ201と並列して存在するSOUNDディレクトリ211配下に格納されている。従って、前述した画像ファイル総数取得のフローチャートにおいて、エントリスキャンを行うディレクトリと、ファイル名の判定条件(ファイル名書式)を音声ファイル用に変更することにより、音声ファイルの総数を取得することが可能である。
【0047】
取得した音声ファイルの総数は、画像ファイル総数と同様にファイル管理部29がメモリ31に格納する。
【0048】
●<記録媒体のフォーマットメニュー画面生成処理>
次に、デジタルカメラ100が撮影モードS611または再生モードS610において記録媒体200のフォーマットメニュー画面を表示する際の動作について、図3及び図4を用いて説明する。
【0049】
図4は、デジタルカメラが表示するフォーマット処理画面と、操作部に含まれるメニューボタン、方向キー、SETボタンの操作に応じた画面遷移の例を示す図である。
操作部25のメニューボタンが押されるとシステム制御部17はメニュー表示用のデータをメモリ32に作成し、そのデータを画像表示部14に表示する。図4の画面400は、メニューボタンの押下により表示する初期メニュー画面の例を示す。
【0050】
このようなメニュー画面において、利用者は方向キーの上下キーを用いて所望の項目を選択し、SETボタンを押下することで、個別メニューを表示させることができる。ここで、「カードの初期化」が選択され、SETボタンが押下されると、システム制御部17は初期化メニュー画面450を作成し、画像表示部14に表示する。
【0051】
図3は、記録媒体のフォーマットメニュー画面を表示する際にシステム制御部17が行う処理を説明するフローチャートである。
システム制御部17は記録媒体200の所定領域から管理情報を取得し、その中から記録媒体200の総容量を取得する(S309)。また、管理情報から記録媒体200の空き容量を取得する(S310)。そして、S309で取得した総容量から、S310で取得した空き容量を差し引き、記録媒体の使用量を算出する(S311)。なお、管理情報として使用量が含まれていれば、直接管理情報から使用量を取得しても良い。
【0052】
続いて、メモリ31に格納された画像ファイル数を取得し(S301)、メモリ31を参照し音声ファイル数が取得済みか否かの判断を行う(S302)。音声ファイル数が未取得の場合、前述したように記録媒体200をスキャンして音声ファイル総数を取得し(S303)、取得した値をメモリ31に格納する(S304)。
【0053】
S305で、システム制御部17は、メモリ31に格納された音声ファイル総数を取得する。このようにして取得した各情報を用いてフォーマットメニュー画面を作成し、画像表示部14において表示する(S306)。
【0054】
このように、本実施形態では、音声ファイル総数は、フォーマットメニュー画面作成時や、音声モード時など、必要な時にだけ取得する。そのため、通常用途である撮影モードS611および再生モードS610での起動処理やその後の動作を、音声ファイル数の取得により遅延させることはない。また、一度取得したファイル総数はメモリ31内に保持するため、ファイル数が変わらない限り記録媒体200のディレクトリをスキャンする必要がない。従って、この点からもファイル数取得による動作遅延の発生を抑制できる。
【0055】
図4に、本実施形態におけるフォーマットメニュー画面450の例を示す。
フォーマットメニュー画面450において、401は記録媒体200の総容量、406は記録媒体200の現在の使用量、407は総容量と、現在の使用量を視覚的に表現したステータスバー、404は画像ファイルを示すアイコン、405は画像総数、402は音声ファイルを示すアイコン、403は音声ファイル総数をそれぞれ示す。
【0056】
このように、ファイル種別を示す情報としてのアイコン402、404と、対応するファイル総数403、405とを並べて表示することで、記録媒体200中に存在するファイル種類と総数との関連付けが明確に把握できる。そのため、フォーマット処理を実行した場合、どのような種類のデータファイルがどれくらい消去されるかについて、利用者の注意を喚起することが可能となる。
【0057】
フォーマットメニュー画面450では、誤った実行指定を防止するため、「キャンセル」ボタンがデフォルトで選択された状態としてある。この状態で右方向キー409が押されると、システム制御部17は「キャンセル」ボタンから「OK」ボタンへ選択状態(フォーカス)を移動させる(画面410)。画面410の状態でSETボタン429が押されると、記録媒体に対し管理領域の初期化データを書き込むフォーマット動作を開始する。
【0058】
このときシステム制御部17は、フォーマット処理の進行状況を示すプログレスバー431を含む画面430を作成し、画面表示部14に表示する。このとき処理の進行状況に伴いプログレスバー431の状態は逐次更新される。
【0059】
記録媒体200に対するフォーマット動作が完了すると、システム制御部は上位メニュー400を再度表示し、フォーマット動作が完了したことを通知する。
【0060】
またフォーマットメニュー画面450において、上方向キー419が押されると、システム制御部17は、フォーカスを音声ファイル総数に移動させる(画面420)。また、音声ファイル総数の左右に三角形のアイコンを表示し、左右方向キーで削除する音声ファイル総数を変更できることを使用者に報知する。
【0061】
またシステム制御部17は、音声ファイル数に合致したディレクトリ番号(100SOUNDの”100”)およびファイル番号(”0050”)がハイフンで結合されたID421を表示する。
【0062】
さらに、数字の下に「SET再生」と示したガイダンス422を表示し、その状態でSETボタンを押すと421で示されたIDを名称とするファイルが再生されることを使用者に報知する表示を行う。
【0063】
この状態でSETボタン439が押されると、現在ID421で示されるファイルが記録媒体200よりメモリ32に読み込まれ、D/A変換器13でアナログ変換された音声信号を音声制御回路11において制御されスピーカー39において発音される(画面440)。
【0064】
ID421に該当する音声ファイルの再生中は、音声ファイル数表示403の下のガイダンスが「SET停止」441となり、SETボタンで音声再生動作が停止できることを使用者に報知する。この状態でSETボタンが押されると音声再生を停止する。
【0065】
このように、フォーマットメニュー画面450において表示された音声ファイル総数403を用いて、さらに記録媒体200に格納されているファイルの再生動作も実現することで、消去されるデータをフォーマット実行前に確認することが可能となる。
【0066】
●<ファイル総数の更新処理>
次に撮影モードS611または再生モードS610のいずれかにおいて起動したデジタルカメラ100におけるファイル操作処理に伴うファイル総数の更新処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0067】
この処理は、システム制御部17において、ファイルの生成、削除を実行した際に実行される。システム制御部17は、操作部25に含まれる削除ボタン押下(又は削除の実行を指示するSETボタン押下)を検知して、指定された画像ファイルを削除したり、シャッターボタン26の全押しを検知して、撮影を行い新規画像ファイルを作成する。そして、画像の生成や削除を実行すると、それをイベントとしてファイル管理部29へ通知する。
【0068】
まず、ファイル総数更新手段としてのファイル管理部29はイベントを監視し(S501)、画像新規作成イベント通知を受け取ると(S502)、画像カウンタ(例えば予めメモリ31に格納された画像ファイル総数を読み出して設定した変数)の値を1インクリメントする(S503)。そして、この画像カウンタの値により、メモリ31内に保持している画像ファイル総数を更新する(S504)。
【0069】
また、画像削除通知を受けると(S506)、画像カウンタを1デクリメントし(S505)、メモリ31内に保持している画像ファイル総数を画像カウンタの値により更新する(S504)。
【0070】
同様に、音声ファイルの新規作成イベントを検出した場合(S507)には、音声カウンタを1インクリメントし(S508)、メモリ31内に保持された音声ファイル総数を音声カウンタの値により更新する(S510)。また、音声ファイルが削除された場合(S511)、音声カウンタを1デクリメントし(S509)、メモリ31に保持された音声ファイル総数を音声カウンタの値により更新する(S510)。
【0071】
このファイル管理部29のイベントハンドラは停止指令をシステム制御部17から受け取ると(S512)、動作を終了する。
以上説明したように、本実施形態によれば、記録媒体に存在するファイル数をその種別毎に使用者に提示するため、使用者は、フォーマット実行により消去されるファイル数を、フォーマット実行前かつファイル種類毎に知ることができる。
【0072】
また、記録媒体200中に記録されたファイル種別毎の総数取得処理を、ファイル種類当たり1回だけ行って記憶し、その後は対象ファイルの新規作成や削除といった操作を検出してファイル数を更新する。これにより、フォーマットメニュー画面450生成時などにおいて現在のファイル種別毎の総数が必要となっても、その都度記録媒体200をスキャンしなおす必要がない。そのため、デジタルカメラ100の操作性を損なうことなく従来よりも詳細な情報を使用者に提供することが可能となる。
【0073】
(他の実施形態)
上述の実施形態では、発明の理解を容易にするため、ファイル種別が静止画(JPEG形式)と音声(WAV形式)である場合のみを説明したが、動画など更に別のファイル種別が存在していても良い。また、同じファイル種別に属し、異なる形式の異なるファイル(例えば静止画ファイルにおけるJPEG形式、GIF形式、BMP形式など)が存在していても良い。この場合、種別毎にまとめて総数を検出しても良いし、ファイル形式毎に総数を検出しても良い。
【0074】
尚、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムを、記録媒体から直接、或いは有線/無線通信を用いて当該プログラムを実行可能なコンピュータを有する装置に供給し、その装置が該供給されたプログラムを実行することによって同等の機能が達成される場合も本発明に含む。
【0075】
従って、本発明の機能処理を、ファイル管理機能を有する装置が有するコンピュータで実現するために、該コンピュータに供給、インストールされるプログラムコード自体も本発明を実現するものである。つまり、本発明の機能処理を実現するためのコンピュータプログラム自体も本発明に含まれる。
【0076】
その場合、プログラムの機能を有していれば、オブジェクトコード、インタプリタにより実行されるプログラム、OSに供給するスクリプトデータ等、プログラムの形態を問わない。
【0077】
プログラムを供給するための記録媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、磁気テープ等の磁気記録媒体、MO、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RW等の光/光磁気記憶媒体、不揮発性の半導体メモリなどがある。
【0078】
有線/無線通信を用いたプログラムの供給方法としては、本発明を実施する装置がコンピュータネットワークとの接続機能を有する場合には、コンピュータネットワーク上のサーバに本発明を形成するコンピュータプログラムそのもの、もしくは圧縮され自動インストール機能を含むファイル等、実施装置で本発明を形成するコンピュータプログラムとなりうるデータファイル(プログラムデータファイル)を記憶し、接続のあった実施装置にプログラムデータファイルをダウンロードする方法などが挙げられる。この場合、プログラムデータファイルを複数のセグメントファイルに分割し、セグメントファイルを異なるサーバに配置することも可能である。
【0079】
また、実施装置と外部コンピュータとを直接接続し、外部コンピュータから実施装置内の不揮発性メモリに本発明を構成するソフトウェアプログラムをダウンロードさせる様にしても良い。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本発明に係るファイル管理装置の一実施形態としてのデジタルカメラの構成例を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るデジタルカメラが記録媒体に各種データを記録する際のデータ構造の例を示す図である。
【図3】本実施形態のデジタルカメラが記録媒体のフォーマットメニュー画面を表示する際に行う処理を説明するフローチャートである。
【図4】実施形態に係るデジタルカメラが表示するフォーマット処理画面と、操作部に含まれるメニューボタン、方向キー、SETボタンの操作に応じた画面遷移の例を示す図である。
【図5】本実施形態のデジタルカメラにおけるファイル操作処理に伴うファイル総数のメンテナンス処理を説明するフローチャートである。
【図6】本実施形態のデジタルカメラの初期動作を説明するフローチャートである。
【図7】図6のS608で行う画像ファイル総数取得処理を説明するフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体のフォーマットが可能なファイル管理装置であって、
前記記録媒体に記録されているファイルのうち、所定の種別のファイルの総数を検出するファイル総数検出手段と、
前記記録媒体のフォーマットを実行する前に、前記ファイル総数を前記所定の種別を表す情報と共に表示する表示手段を有することを特徴とするファイル管理装置。
【請求項2】
前記ファイル管理装置が、前記記録媒体に記録されているファイルのうち、第1の種別のファイルを取り扱う第1の動作モードと、前記第1の種別とは異なる第2の種別のファイルを取り扱う第2の動作モードとを有し、
前記ファイル総数検出手段が、前記第1及び第2の種別のファイルの総数を検出すると共に、
前記表示手段が、前記第1及び第2の種別を表す情報と共に、前記第1及び第2の種別のファイルの総数を表示することを特徴とする請求項1記載のファイル管理装置。
【請求項3】
前記所定のファイル種別には、前記ファイル管理装置の初期動作において前記ファイル総数検出手段がファイルの総数を検出するファイル種別と、前記表示手段が表示を行う際にファイルの総数を検出するファイル種別とが含まれることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のファイル管理装置。
【請求項4】
画像ファイルの総数を前記ファイル管理装置の初期動作において検出し、音声ファイルの総数を前記表示手段が表示を行う際に検出することを特徴とする請求項3記載のファイル管理装置。
【請求項5】
前記ファイル総数検出手段が、前記検出したファイルの総数を記憶手段に記憶し、
前記表示手段が、前記記憶手段に記憶されたファイルの総数を用いて前記表示を行うことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のファイル管理装置。
【請求項6】
前記記録媒体に新たなファイルを生成するファイル生成手段と、
前記記録媒体に記録されているファイルを削除するファイル削除手段と、
前記ファイル生成又は削除により前記記録媒体に記録されているファイルの数が増減した場合、生成又は削除されたファイルの種別に応じて前記記憶手段に記憶されたファイルの総数を増減させるファイル総数更新手段を更に有することを特徴とする請求項5記載のファイル管理装置。
【請求項7】
使用者が前記ファイル管理装置に指示を与えるための入力手段と、
前記記録媒体に記録されているファイルを再生する再生手段とをさらに有し、
前記表示手段が、前記入力手段からの入力に応じて前記記録媒体に記録されているファイルの1つを特定するファイル特定情報を表示し、
前記ファイル特定情報が表示されている状態で前記入力手段から再生指示があった場合、前記ファイル特定情報により特定されるファイルを前記再生手段が再生することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のファイル管理装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載のファイル管理装置を備えた撮像装置。
【請求項9】
記録媒体のフォーマットが可能なファイル管理装置の制御方法であって、
前記記録媒体に記録されているファイルのうち、所定の種別のファイルの総数を検出するファイル総数検出工程と、
前記記録媒体のフォーマットを実行する前に、前記ファイル総数を前記所定の種別を表す情報と共に表示する表示工程を有することを特徴とするファイル管理装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−302037(P2006−302037A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−123988(P2005−123988)
【出願日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】