説明

ファン組立体

【課題】空気流を所望の方向に動かすことができるファン組立体を提供する。
【解決手段】ファン組立体のためのノズルは、空気入口と、空気出口と、空気入口から空気出口まで空気を送るための内部通路と、環状内壁と、内壁の周りに延びる外壁とを含む。内部通路は、内壁と外壁の間に配置される。内壁は、少なくとも部分的にノズルの外側からの空気を空気出口から噴出する空気によって引き込むボアを形成する。流れ制御ポートは、空気出口から下流に配置される。流れ制御チャンバは、空気を流れ制御ポートに送るために設けられる。制御機構は、流れ制御ポートを通る空気流を選択的に妨げて、空気出口から噴出する空気流を偏向させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファン組立体のためのノズル及びこのようなノズルを含むファン組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の家庭用ファンは、典型的には、軸線周りで回転するように取り付けられたブレード又はベーンのセットと、空気流を発生させるようにブレードのセットを回転させる駆動装置とを含む。空気流の運動及び循環は、「風速冷却」又は微風を作り出し、結果として、熱が対流及び蒸発により放散するのでユーザは冷却作用を受ける。ブレードは、一般的に、ファンの使用中にユーザが回転ブレードと接触状態になるのを防止して、空気流がハウジングを通過することを可能にするケージ内に配置される。
【0003】
米国特許第2,488,467号は、ファン組立体から空気を放出するためにケージに入れたブレードを使用しないファンを説明する。代わりに、ファン組立体は基部を含み、基部は、空気流を吸い込むためのモータ駆動式インペラと、基部に連結されて各々がファンから空気流を噴出するためにノズルの前部に位置する環状出口を含む一連の同心状の環状ノズルとを収容する。各ノズルは、ボアを形成するようにボア軸線の周りに延びる。
【0004】
各ノズルは翼形を有する。翼形は、ノズルの後部に位置する前縁、ノズルの前部に位置する後縁、並びに前縁と後縁との間に延びる翼弦線を有すると考えることができる。米国特許第2,488,467号では、各ノズルの翼弦線は、ノズルのボア軸線に平行である。空気出口は、翼弦線上に位置し、ノズルから離れるように延びる方向及び翼弦線に沿って空気流を噴出するように配置される。
【0005】
ファン組立体から空気を放出するようにケージに入れたブレードを用いない別のファン組立体は、国際公開第2010/100451号で説明されている。このファン組立体は、同様に、一次空気流を基部の中に吸い込むためのモータ駆動式インペラと、基部に連結され一次空気流をファンから噴出する環状口部を含む単一環状ノズルとを収容する、円筒基部を含む。ノズルは、ファン組立体の局所的な環境内の空気が、環状口部から噴出する一次空気流によって引き込まれる開口部を形成して一次空気流を増幅する。ノズルはコアンダ面を含み、環状口部は、コアンダ面上に一次空気流を向けるように配置される。コアンダ面は開口部の中心軸線の周りに対称的に延びるので、ファン組立体によって発生した空気流は、円筒又は切頭円錐状プロファイルを有する環状噴流の形態である。
【0006】
ユーザは、空気流がノズルから噴出される方向を2つのうちのどちらかの方法で変えることができる。基部は、ファン組立体によって発生する空気流が、約180°の円弧の周りで広がるように、基部の中心を通過する垂直軸線の周りでノズル及び基部の一部を首振りさせるように作動可能な首振り機構を含む。また、基部は、傾動機構を含み、ノズル及び基部の上部を水平に対して最大10°の角度だけ基部の下部に対して傾けることを可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第2,488,467号明細書
【特許文献2】国際公開第2010/100451号
【特許文献3】国際公開第2010/100453号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、ファン組立体のためのノズルを提供し、ノズルは、空気入口と、空気出口と、空気入口から空気出口まで空気を送るための内部通路と、環状内壁と、内壁の周りに延びる外壁であって、内部通路が内壁と外壁の間に配置され、内壁が少なくとも部分的にノズルの外側からの空気を空気出口から噴出する空気によって引き込むボアを形成する外壁と、空気出口から下流に配置される流れ制御ポートと、空気を流れ制御ポートに送るための流れ制御チャンバと、流れ制御ポートを通る空気流を選択的に妨げるための制御手段とを備える。
【0009】
流れ制御ポートを通る空気流を選択的に妨げることにより、空気出口から噴出する空気流のプロファイルを変更することができる。流れ制御ポートを通る空気流の阻止は、ノズルから噴出する空気流を横切る圧力勾配を変化させる効果がある。圧力勾配の変化により、噴出した空気流に作用する力をもたらすことができる。この力の作用により、空気流を所望の方向に動かすことができる。
【0010】
好ましくは、ノズルは、空気出口から下流に配置される案内面を備える。案内面は、空気出口に隣接して配置することができる。空気出口は、案内面の上に空気流を向けるように構成することができる。流れ制御ポートは、空気出口と案内面との間に配置することができる。例えば、流れ制御ポートは、空気出口に隣接して配置することができる。
【0011】
流れ制御ポートは、案内面の上に空気を向けるように構成することができる。流れ制御ポートは、空気出口と案内面との間に配置することができる。代替的に、流れ制御ポートは、案内面内、案内面の少なくとも一部の下流に配置することができる。
【0012】
ノズルは、単一の案内面を含むことができるが、1つの実施形態では、ノズルは2つの案内面を含み、空気出口は、2つの案内面の間に空気流を噴出するように構成される。流れ制御チャンバは、第1の案内面に隣接して配置される第1の流れ制御ポートと、第2の案内面に隣接して配置される第2の流れ制御ポートとを含むことができる。代替的に、ノズルは、第1の流れ制御チャンバ及び第2の流れ制御チャンバを含むことができ、各流れ制御チャンバは、それぞれの案内面に隣接して配置されるそれぞれの流れ制御ポートを有する。
【0013】
空気が流れ制御ポートの各々から噴出されて、空気出口から噴出する空気流と合体される場合、ノズルから噴出する空気流は、2つの案内面のうちの1つに沿う傾向をもつことになる。空気流が沿う案内面は、流れ制御ポートを通る空気流の流量、流れ制御ポートから噴出する空気の速度、空気出口の形状、案内面に対する空気出口の方向、及び案内面の形状等の多数の設計パラメータの1つ又はそれ以上に依存する場合がある。
【0014】
流れ制御ポートの1つを通る空気流が、例えば、流れ制御ポートの1つを閉塞することによって、又はその流れ制御ポートに接続された流れ制御チャンバを通る空気流を妨げることによって阻止される場合、ノズルから噴出する空気流を横切る圧力勾配は変化する。例えば、第1の案内面に隣接して配置される第1の流れ制御ポートから実質的に空気が噴出されない場合、相対的に低い圧力は第1の案内面の近くで生成することができる。従って、空気流を横切って生成される圧力差は、第1の案内面に向かって空気流を付勢する力を生じる。勿論、前述の設計パラメータに応じて、空気流は、すでにその表面に沿っていても、この場合に、空気流は、第1の制御ポートを通る空気流が妨げられる場合に、その案内面に沿うままとなる。第2の流れ制御ポートから実質的に空気が噴出されず、第1の流れ制御ポートから空気が噴出されるように、流れ制御ポートを通る空気流が実質的に切り替えられる場合、空気流を横切る圧力差は逆転する。これにより、空気流を第2の案内面に向かって付勢する力が生じて、空気流は第2の案内面に沿うことになる。空気流は、好ましくは第1の案内面から引き離される。
【0015】
他方では、空気を「開放した」流れ制御ポートから噴出する流量及び/又は速度に応じて、この流れ制御ポートから噴出する空気流は、この流れ制御ポートに隣接して配置される案内面に沿うことができる。この場合、空気出口から噴出する空気流は、流れ制御ポートから噴出する空気流内で同伴することができる。
【0016】
何れの場合も、空気をノズルから噴出する方向は、空気流が沿う案内面の形状によって決まる。例えば、案内面は、ノズルから噴出する空気流が外向きに開いたプロファイルを有するように、ボアの軸線に対して外向きにテーパー付けすることができる。代替的に、案内面は、ノズルから噴出する空気流が内向きテーパー付けのプロファイルを有するように、ボアの軸線に対して内向きにテーパー付けすることができる。ノズルがこのような2つの案内面を含む場合、一方の案内面は、ボアに向かってテーパー付けすることができ、他方の案内面は、ボアから離れるようにテーパー付けすることができる。案内面は、切頭円錐状形状とすること、又は湾曲することができる。1つの実施形態では、案内面は、凸状形状である。案内面は、切子面とすることもでき、各ファセットは直線又は曲線のいずれかである。
【0017】
前述のように、流れ制御ポートからの空気流の選択的阻止により、空気出口から噴出する空気流は、案内面に沿うか又は案内面から引き離すことができる。流れ制御ポート又は各流れ制御ポートは、空気出口と案内面との間に配置することができるので、案内面の上に空気を噴出するように構成することができる。
【0018】
流れ制御ポートからの空気流の阻止により、空気流が第1の案内面から引き離されるが、第2の案内面には沿わせない場合、空気をノズルから噴出する方向は、ノズルのボアの軸線に対する空気出口の傾斜等のパラメータに依存する場合がある。例えば、空気出口は、ボアの軸線に向かって延びる方向に空気を噴出するように構成することができる。
【0019】
空気出口は、好ましくはスロットの形態である。内部通路は、好ましくはノズルのボアを取り囲む。空気出口は、好ましくは少なくとも部分的にボアの周りに延びる。例えば、ノズルは、少なくとも部分的にボアの周りを延びる単一の空気出口を含むことができる。例えば、空気出口は、ボアを取り囲むこともできる。ボアは、ボア軸線と直交する平面において円形断面を有することができるので、空気出口は平面において円形とすることができる。代替的に、ノズルは、ボアの周りで離間した複数の空気出口を含むことができる。
【0020】
ノズルは、ボア軸線に直交する平面において非円形断面を有するボアを形成するように形作ることができる。例えば、この断面は、楕円形又は矩形とすることができる。ノズルは、比較的長い2つの直線部分、上側湾曲部分、及び下側湾曲部分を有することができ、各湾曲部分は、直線部分のそれぞれの端部と接合する。この場合も同様に、ノズルは、少なくとも部分的にボアの周りに延びる単一の空気出口を含むことができる。例えば、ノズルの直線部分及び上側湾曲部分の各々は、この空気出口のそれぞれの部分を含むことができる。代替的に、ノズルは、各々が空気流のそれぞれの部分を噴出するための2つの空気出口を備えることができる。ノズルの各直線部分は、これらの2つの空気出口のそれぞれの1つを備えることができる。
【0021】
案内面は、好ましくは少なくとも部分的にボアの周りに延び、より好ましくはボアを取り囲む。ノズルが2つの案内面を含む場合、第1の案内面は、好ましくは少なくとも部分的に第2の案内面の周りに延び、より好ましくはこれを取り囲むので、第2の案内面は、ボアと第1の案内面との間に位置する。
【0022】
好都合には、ノズルは、空気出口を形成する環状前部ケーシング部分で形成することができ、空気出口は、第1の案内面を形成する第1の環状表面と、第1の環状曲面に結合されてこの周りに延びる第2の案内面を形成する第2の環状表面とを有する。ケーシング部分の2つの環状表面は、空気出口を横切って各環状表面の間に延びる複数のスポーク又はウェブによって連結することができる。結果として、空気流の各部が第1の案内面に沿う場合、空気は、ボアの軸線に向かって内向きにテーパー付けされるプロファイルでもってノズルから噴出するが、空気流の各部が第2の案内面に沿う場合、空気は、ボアの軸線から離れるように外向きにテーパー付けされるプロファイルでもってノズルから噴出することができる。
【0023】
本明細書では一次空気流と呼ぶ、ノズルから噴出する空気は、ノズルを取り囲む空気を同伴して、一次空気流及び同伴空気の両方をユーザに与える空気増幅器として作用する。同伴空気は、本明細書では二次空気流と呼ぶ場合もある。二次空気流は、部屋の空間、領域、又はノズルを囲む外部環境から引き込まれる。一次空気流は、同伴二次空気流と合体してノズルの前部から前方に放出される合体又は全体空気流を形成する。
【0024】
一次空気流がノズルから噴出される方向を変化させると、一次空気流による二次空気流の同伴の程度を変化させることができるので、ファン組立体が発生する合体空気流の流量を変化させることができる。
【0025】
理論に縛られることを意図するものではないが、本出願人は、一次空気流による二次空気流の同伴速度は、ノズルから噴出する一次空気流の外側プロファイルの表面積の大きさに関係すると考えている。ノズルに入る空気の所定流量に対して、一次空気流が、外向きにテーパー付けされる又は外向きに開く場合、外側プロファイルの表面積は相対的に大きくなり、一次空気流とノズルを取り囲む空気との混合が促進されて合体空気流の流量が増大するが、一次空気流が内向きにテーパー付けされる場合、外側プロファイルの表面積は相対的に小さくなり、一次空気流による二次空気流の同伴が少なくなり、合体空気流の流量が減少する。ノズルのボアを通る空気流の誘発が損なわれる場合もある。
【0026】
ボア軸線と直交すると共に空気出口の平面から下流にオフセットする平面で測定する場合に、ノズルが発生する合体空気流の流量の増加は、空気流がノズルから噴出される方向を変えることによって、この平面上の合体空気流の最大速度を低下させるように作用する。これにより、ノズル近傍の多くのユーザを冷却するための、部屋又はオフィスを通り抜ける比較的広い範囲の空気流を発生するのに適したノズルを作ることができる。他方で、ノズルが発生する合体空気流の流量の減少は、合体空気流の最大速度を高くする作用がある。これにより、ノズルの前方のユーザを急速に冷却するための空気流を発生するのに適したノズルを作ることができる。ノズルが発生する空気流のプロファイルは、流れ制御チャンバを通る空気流の通路を選択的に使用可能にするか又は阻止することにより、これらの2つの異なるプロファイルの間を迅速に切り替えることができる。
【0027】
空気出口及び案内面の幾何学形状は、少なくとも一部において、ノズルが発生する空気流に対して2つの異なるプロファイルを制御することができる。例えば、ボア軸線を通過する平面に沿った断面で見て、ノズルの上端と下端との略中間に配置される場合、第1の案内面の曲率は、第2の案内面の曲率と異なることができる。例えば、この断面では、第1の案内面は、第2の案内面よりも大きな曲率を有することができる。
【0028】
空気出口は、各空気出口に関して、案内面の一方が、他方の案内面よりも空気出口の近くに位置するように配置することができる。代替的に又は追加的に、空気出口は、案内面の一方が、他方よりもボア軸線の周りに延びてこれに平行な仮想曲面の近くに位置するように配置することができ、仮想曲面は、全体的に空気出口から噴出する空気流のプロファイルを表すように空気出口の中心を通過する。
【0029】
好ましくは、制御手段は、流れ制御ポートを通る空気流を妨げる第1の状態と、流れ制御ポートを通る空気流を可能にする第2の状態とを有する。制御手段は、流れ制御チャンバの空気入口を閉塞するための弁本体と、入口に対して弁本体を移動させるためのアクチュエータとを含む弁の形態とすることができる。代替的に、弁本体は、流れ制御ポートを閉塞するように構成することができる。弁は、これらの2つの状態の間でユーザが押す、引く、又はそうでなければ移動させる手動操作可能な弁とすることができる。1つの実施形態では、弁は、ユーザが、例えばリモコン装置を用いて遠隔操作することによって、又はファン組立体に配置されるボタン又は他のスイッチを操作することによって作動される電磁弁である。
【0030】
流れ制御チャンバは、ノズルの外部表面上に配置される空気入口を有することができる。この場合、内部通路が受け入れる全ての空気流は、空気出口から噴出させることができる。しかしながら、流れ制御チャンバは、内部通路から流れ制御空気流を受け入れるように構成することが好ましい。この場合、内部通路が受け入れる空気流の第1の部分は、選択的に流れ制御チャンバに入って流れ制御空気流を形成することができ、空気流の残りの部分は、空気出口を通って内部通路から噴出されて、空気出口の下流の流れ制御空気流と再び合体するようになっている。
【0031】
内部通路は、ノズルの内壁によって流れ制御チャンバから隔離することができる。この壁は、好ましくは、流れ制御チャンバの空気入口を含む。流れ制御チャンバの空気入口は、好ましくはノズルの基部の方に配置され、それを通って空気流がノズルに入る。
【0032】
流れ制御チャンバは、内部通路に隣接してノズルを貫通して延びることができる。従って、流れ制御チャンバは、ノズルのボアの周りに少なくとも部分的に延びることができ、ボアを取り囲むことができる。
【0033】
前述のように、ノズルは、空気出口に隣接して配置される第2の流れ制御ポートと、空気出口から噴出する空気流を偏向するように第2の流れ制御ポートに空気を送るための第2の流れ制御チャンバとを含むことができる。この第2の流れ制御ポートは、好ましくは、空気出口と第2の案内面との間に配置される。
【0034】
制御手段は、第2の流れ制御ポートを通る空気流を選択的に妨げるように構成することができる。制御手段は、第1の流れ制御ポートを通る空気流を妨げる第1の状態と、第2の流れ制御ポートを通る空気流を妨げる第2の状態とを有することができる。例えば、制御手段の状態は、単一の弁本体の位置を調節することによって制御することができる。代替的に、制御手段は、第1の流れ制御チャンバの空気入口を閉塞するための第1の弁本体と、第2の流れ制御チャンバの空気入口を閉塞するための第2の弁本体と、空気入口に対して弁本体を移動させるためのアクチュエータとを含むことができる。それぞれの流れ制御チャンバの空気入口を閉塞するのでなく、制御手段は、第1及び第2の流れ制御ポートのうちの選択された1つを閉塞するように構成することができる。
【0035】
第1の流れ制御チャンバと同様に、第2の流れ制御チャンバは、ノズルの外部表面上に配置される入口を有することができる。しかしながら、ノズルは、ノズルの内部容積を内部通路と2つの流れ制御チャンバに分けるための複数の内壁等の手段を含むことが好ましい。
【0036】
好ましくは、第2の流れ制御チャンバの空気入口は、ノズルの基部の方に配置される。また、第2の流れ制御チャンバは、内部通路に隣接してノズルを貫通して延びることができる。従って、第2の流れ制御チャンバは、ノズルのボアの周りで少なくとも部分的に延びることができ、ボアを取り囲むことができる。空気出口は、各流れ制御チャンバの間に配置することができる。
【0037】
内部通路は、ノズルが受け入れる空気流の少なくとも一部を加熱するための手段を含むことができる。
【0038】
第2の態様では、本発明は、インペラと、インペラを回転させて空気流を発生させるためのモータと、空気流を受け入れるための前述のようなノズルと、モータを制御するためのモータコントローラとを含むファン組立体を提供する。モータコントローラは、ユーザが制御手段を操作する場合にモータの速度を自動的に調節するように構成することができる。例えば、モータコントローラは、制御手段を操作して、ノズルが発生する空気流をボア軸線に向かって集中させる場合に、モータの速度を低下させるように構成することができる。
【0039】
本発明の第1の態様に関連して説明した特徴は、本発明の第2の態様に同様に適用可能であり、逆もまた同様である。
【0040】
本発明の実施形態は添付の図面を参照して以下に例示的に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】ファン組立体の正面図である。
【図2】図1の線A−Aに沿ったファン組立体の垂直断面図である。
【図3】図1のファン組立体のノズルの分解図である。
【図4】ノズルの右側面図である。
【図5】ノズルの正面図である。
【図6】図5の線H−Hに沿ったノズルの水平断面図である。
【図7】図6で特定した区域Jの拡大図である。
【図8】ノズルの下から見た右側斜視図である。
【図9】ノズルの内部及び後部ケーシング部、及び流れコントローラを含む、ノズルの一部の上から見た後側斜視図である。
【図10】図9に示すノズルの一部の右側面図である。
【図11】図10の線F−Fに沿った部分垂直断面図である。
【図12】図11の線G−Gに沿った水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
図1は、ファン組立体10の外観図である。ファン組立体10は、空気流がファン組立体10に入る空気入口14を含む本体12と、この本体12上に取り付けられた環状ノズル16とを含む。ノズル16は、ファン組立体10から空気流を噴出するための空気出口18を含む。
【0043】
本体12は、略円筒形の下側本体部分22上に取り付けられた略円筒形の主本体部分20を含む。主本体部分20及び下側本体部分22は、上側本体部分20の外部表面が、実質的に下側本体部分22の外部表面と同一平面にあるように、実質的に同じ外径を有することが好ましい。主本体部分20は、空気がファン組立体10に入る空気入口14を含む。本実施形態では、空気入口14は、主本体部分20に形成された開口アレイを含む。代替的に、空気入口14は、主本体部分20に形成された窓内に取り付けられた1つ又はそれ以上のグリル又はメッシュを含むことができる。主本体部分20は、その上端で開放して(図示のように)、空気流が本体12から排出される空気出口23(図2に示す)を備える。空気出口23は、ノズル16と主本体部分20との間に位置する任意の上側本体部分に設けることができる。
【0044】
下側本体部分22は、ファン組立体10のユーザインターフェイスを含む。ユーザインターフェイスは、ユーザが操作可能な複数のボタン24、26、ユーザがファン組立体10の種々の機能を制御できるようにするためのダイヤル28、並びにボタン24、26及びダイヤル28に接続されたユーザインターフェイス制御回路30を含む。また、下側本体部分22は、リモコン装置(図示せず)からの信号がファン組立体10に入る窓32を含む。下側本体部分22は、ファン組立体10が置かれる表面と係合するように基部プレート34上に取り付けられる。
【0045】
図2は、ファン組立体10を通る断面図を示す。下側本体部分22は、全体を符号36で示す、ユーザインターフェイス制御回路30に接続された主制御回路を収容する。ボタン24、26及びダイヤル28の作動に応答して、ユーザインターフェイス制御回路30は、主制御回路36に適切な信号を伝達するように構成されて、ファン組立体10の種々の作動を制御する。
【0046】
また、下側本体部分22は、全体を符号38で示す、主本体部分20を下側本体部分22に対して首振りさせるための機構を収容する。首振り機構38の作動は、ボタン26のユーザ操作に応答して主制御回路36によって制御される。下側本体部分22に対する主本体部分20の各首振り周期の範囲は、好ましくは60°から180°、本実施形態では約90°である。ファン組立体10に電力を供給するための主電力ケーブル39は、下側本体部分22に形成された開口を貫通して延びる。ケーブル39は、主電源に接続するためにプラグ(図示せず)に接続される。
【0047】
主本体部分20は、空気入口14を通って本体12の中に空気を吸い込むためのインペラ40を収容する。好ましくは、インペラ40は、混合流インペラの形態である。インペラ40は、モータ44から外向きに延びる回転シャフト42に接続される。本実施形態では、モータ44は、ダイヤル28のユーザ操作に応答して主制御回路36によって速度変更できるDCブラシレスモータである。モータ44は、下側部分48に結合された上側部分46を含むモータバケット内に収容される。モータバケットの上側部分46は、ディフューザ50を含む。ディフューザ50は、湾曲ブレードを有する環状ディスクの形態である。
【0048】
モータバケットは、略切頭円錐状インペラハウジング52内に配置され、該ハウジング上に取り付けられる。インペラハウジング52は、次に、基部12の主本体部分20内に配置されてこれに結合された複数の角度離間した支持体54、本実施形態では3つの支持体上に取り付けられる。インペラ40及びインペラハウジング52は、インペラ40がインペラハウジング52の内面に近接するがこれと接触しないように成形される。略環状の入口部分56は、空気をインペラハウジング52の中に案内するためにインペラハウジング52の底面に結合される。電気ケーブル58は、主制御回路36から、本体12の主本体部分20及び下側本体部分22に形成された開口、及びインペラハウジング52及びモータバケットに形成された開口を通ってモータ44に至る。
【0049】
好ましくは、本体12は、本体12からのノイズ発生を低減するための消音発泡体を含む。本実施形態では、本体12の主本体部分20は、空気入口14の下に位置する第1の環状発泡部材60と、インペラハウジング52と入口部材56との間に位置する第2の環状発泡部材62とを含む。
【0050】
図1から図4を参照すると、ノズル16は、環状形状を有する。ノズル16は、ボア軸線Xの周りに延びて、ノズル16のボア64を形成する。本実施例では、ボア64は、ノズル16の幅(ノズル16の側壁の間に延びる方向に測定した場合)よりも大きい高さ(ノズルの上端からノズル16の下端まで延びる方向に測定した場合)を有する略細長い形状を有する。ノズル16は、本体12の主本体部分20の開放上端に結合され、本体12から空気流を受け取るための開放下端68を有する基部66を含む。前述のように、ノズル16は、ファン組立体10から空気流を噴出するための空気出口18を有する。空気出口18は、ノズル16の前端70に向かって配置され、好ましくは、ボア軸線Xの周りに延びるスロットの形態である。空気出口18は、好ましくは、0.5mmから5mmの範囲の相対的に一定の幅を有する。
【0051】
ノズル16は、環状後部ケーシング部分72、環状内部ケーシング部分74、及び環状前部ケーシング部分76を含む。後部ケーシング部分72は、ノズル16の基部66を含む。本明細書では、各ケーシング部分は単一の構成要素から形成されるものとして示されるが、ケーシング部分の1つ又はそれ以上は、例えば、接着剤を用いて相互に結合された複数の構成要素から形成することができる。後部ケーシング部分72は、環状内壁78及び後部ケーシング部分72の後端82における内壁78に結合された環状外壁80を有する。内壁78は、ノズル16のボア64の後方部分を形成する。内壁78及び外壁80は、全体としてノズル16の内部通路84を形成する。本実施例では、内部通路84は、ノズル16のボア64を取り囲む環状形状である。従って、内部通路84の形状は、内壁78の形状に密接に追従するので、ボア64の両側に位置する2つの直線部分を有し、上側湾曲部分は直線部分の上端に結合し、下側湾曲部分は直線部分の下端に結合する。空気は、空気出口18を通る内部通路84から噴出される。空気出口18は、1mmから3mmの範囲の幅W1を有する出口オリフィスに向かってテーパー付けされる。
【0052】
空気出口18は、ノズル16の前部ケーシング部分76によって形成される。前部ケーシング部分76は、略環状形状であり、環状内壁88及び環状外壁90を有する。内壁88は、ノズル16のボア64の前側部分を形成する。空気出口18は、前部ケーシング部分76の内壁88と外壁90との間に配置される。
【0053】
空気出口18は、外壁90の内部表面の一部を形成する第1の案内面92と、内壁88の内部表面の一部を形成する第2の案内面94の後方に配置される。従って、空気出口18は、案内面92、94の間で空気流を噴出するように構成される。本実施例では、各案内面92、94は、凸状形状であり、第1の案内面92はボア軸線Xから離れるように湾曲し、第2の案内面94はボア軸線Xに向かって湾曲している。代替的に、各案内面92、94は、切子面とすることができる。図7に示すように、ボア軸線Xを通過する平面に沿った断面で見て、ノズル16の上端と下端との略中間に位置する場合、案内面92、94は、異なる曲率を有することができ、本実施例では、第1の案内面92は、第2の案内面94よりも大きな曲率をもつ。
【0054】
一連のウェブ96は、内壁88を外壁90に結合する。好ましくは、ウェブ96は、内壁88及び外壁90と一体化され、約1mmの厚みがある。また、ウェブ96は、壁88、90から空気出口18まで、空気出口18を横切って延びて、空気出口18を壁88、90に結合する。従って、ウェブ96は、内部通路84から空気出口18を通過する空気を、空気がボア軸線Xに略平行な方向にノズル16から噴出されるように案内する働きをすることもできる。また、ウェブ96は、空気出口18の幅を管理する働きをすることができる。内壁88及び外壁90が別個の構成要素から形成される場合、ウェブ96は、壁88、90の他方側と係合して、各壁を引き離して結果的に空気出口18の幅を決定するための、壁88、90の一方側に配置される一連のスペーサに置き換えることができる。
【0055】
図5に示すように、本実施例では、空気出口18は、内部通路84の直線部分及び上側湾曲部分だけから空気を受け取るように、ノズル16のボア軸線Xの周りで部分的に延びる。前部ケーシング部分76の下側湾曲部分は、前部ケーシング部分76の下側湾曲部分からの空気の噴出を阻止するバリア98を形成するように形作られる。これにより、ノズル16が細長い形状を有する場合に、ノズル16から噴出する空気流のプロファイルをより綿密に制御することができるが、そうでなければ、空気はボア軸線Xに向かって比較的急角度で上向きに噴出する傾向がある。バリア98は図2に示されており、空気出口18の長さに沿って周期的に構成されたウェブ96の形状と同じ断面形状を有する。
【0056】
図7に戻ると、製造時、内部ケーシング部分74は、後部ケーシング部分72内に挿入される。内部ケーシング部分74は、後部ケーシング部分72の外壁80の内部表面と係合する環状外壁100と、後部ケーシング部分72の内壁88の内部表面と係合する環状内壁102とを有する。段部は、壁100、102の前端上に形成されて、後部ケーシング部分72の中への内部ケーシング部分74の挿入を制限するためのストッパ部材をもたらし、段部は、接着剤を用いて後部ケーシング部分72に結合することができる。内部ケーシング部分74は、壁100、102の後端の間に延びる後壁104を有する。後壁104に形成された開口106は、空気が内部通路84から空気出口18まで移動することを可能にする。この場合も同様に、開口106は、内部通路84の直線部分及び上側湾曲部分のみから空気出口18に空気を送るように、ノズル16のボア軸線Xの周りに部分的に延びる。比較的短いウェブ108は、開口106の長さに沿って周期的に配置して、開口106の幅を管理することができる。図9に示すように、これらのウェブ108の間の間隔は、内部ケーシング部分74が後部ケーシング部分72の中に完全に挿入される時に、各ウェブ96の端部がそれぞれのウェブ108の端部と当接するように、各ウェブ96の間隔と略同一である。次に、前部ケーシング部分76は、内部ケーシング部分74が、後部ケーシング部分72及び前部ケーシング部分76によって囲まれるように、例えば、接着剤を用いて後部ケーシング部分72に取り付けられる。
【0057】
内部通路84に加えて、ノズル16は、第1の流れ制御チャンバ110を形成する。第1の流れ制御チャンバ110は、環状形状であり、ノズル16のボア64の周りに延びる。第1の流れ制御チャンバ110は、空気出口18、前部ケーシング部分76の外壁90並びに内部ケーシング部分74の外壁100、及び後壁104によって境界付けられる。第1の流れ制御チャンバ110は、第1の案内面92に隣接して配置される流れ制御ポート111に空気を送るように構成される。流れ制御ポート111は、空気出口18と第1の案内面92との間に配置され、第1の流れ制御チャンバ110から第1の案内面92の上に空気を送るように構成される。
【0058】
また、本実施例では、ノズル16は、第2の流れ制御チャンバ112を形成する。第2の流れ制御チャンバ112も同様に環状形状であり、ノズル16のボア64の周りに延びる。第1の流れ制御チャンバ110は、第2の流れ制御チャンバ112の周りに延びる。第2の流れ制御チャンバ112は、空気出口18、前部ケーシング部分76の内壁88並びに内部ケーシング部分74の内壁102、及び後壁104によって境界付けられる。第2の流れ制御チャンバ112は、第2の案内面94に隣接して配置される流れ制御ポート113に空気を送るように構成される。流れ制御ポート113は、空気出口18と第2の案内面94との間に配置され、第2の流れ制御チャンバ112から第2の案内面94の上へ空気を送るように構成される。
【0059】
空気は、内部ケーシング部分74の後壁104に形成されたそれぞれの空気入口116、118を通って流れ制御チャンバ110、112の各々に入る。図2、図3、図9、及び図11に示すように、各空気入口116、118は、内部通路84の下側湾曲部分から空気を受け取るように構成される。
【0060】
ノズル16は、流れ制御チャンバ110、112を通る空気流を制御するための制御機構120を含む。本実施例では、制御機構120は、流れ制御ポート111、113のうちの一方を通る空気流を選択的に妨げるように構成されるが、同時に空気が流れ制御ポート111、113の他方を通ることを可能にする。例えば、第1の状態では、制御機構120は、第1の流れ制御チャンバ110を通る空気流を妨げるように構成されるのに対して、第2の状態では、制御機構120は、第2の流れ制御チャンバ112を通る空気流を妨げるように構成される。
【0061】
図2、図3、図8、及び図9に明瞭に示すように、制御機構120は、主にノズル16の後部ケーシング部分72内に配置される。制御機構120は、第1の流れ制御チャンバ110の空気入口116を閉塞するための第1の弁本体122と、第2の流れ制御チャンバ112の空気入口118を閉塞するための第2の弁本体124とを含む。また、制御機構120は、弁本体122、124をそれぞれの空気入口116、118に向かって及びこれらから離れるように移動させるためのアクチュエータ126を含む。本実施例では、アクチュエータ126は、モータ駆動式歯車構成である。歯車構成は、モータが第1の方向に駆動する場合、第1の弁本体122は内部ケーシング部分74の後壁104に向かって移動して第1の流れ制御チャンバ110の空気入口116を閉塞するが、第2の弁本体124は内部ケーシング部分74の後壁104から離れるように移動して第2の流れ制御チャンバ112の空気入口118を開放するように構成される。モータが第1の方向と反対の第2の方向に駆動する場合、第1の弁本体122は内部ケーシング部分74の後壁104から離れるように移動して第1の流れ制御チャンバ110の空気入口116を開放するが、第2の弁本体124は内部ケーシング部分74の後壁104に向かって移動して第2の流れ制御チャンバ112の空気入口118を閉塞する。
【0062】
アクチュエータ126のモータは、主制御回路36によって又はバッテリ等の内部電源によって電力を供給することができる。代替的に、歯車構成は、手動で駆動することができる。アクチュエータ126は、ノズル16の基部66に位置する小さな開口130を通って突出するレバー128を用いてユーザが操作できる。代替的に、アクチュエータ126は、ファン組立体10の本体12の下側ケーシング部分22上に配置される追加のボタンを用いて、及び/又はリモコン装置上に配置されるボタンを用いて操作できる。この場合、ユーザインターフェイス制御回路30は、主制御回路36に適切な信号を伝送することができ、これはアクチュエータ126を作動させてその第1及び第2の状態のうちの選択された一方に制御機構120を位置づけるように主制御回路36に指示する。
【0063】
ファン組立体10を作動させるために、ユーザは、ユーザインターフェイスのボタン24を押圧する。ユーザインターフェイス制御回路30は、この操作を主制御回路36に伝達し、これに応答して、主制御回路34は、インペラ40を回転させるようモータ44を起動させる。インペラ40の回転により、一次空気流すなわち第1の空気流は空気入口14を通って本体12の中に吸い込まれる。ユーザは、ユーザインターフェイスのダイヤル28を操作することで、モータ44の速度、従って空気が空気入口14を通って本体12の中に吸い込まれる速度を制御できる。モータ44の速度に応じて、インペラ40が発生する空気流の流量は、10リットル/秒から40リットル/秒とすることができる。空気流は、主本体部分20の開放上端においてインペラハウジング52及び空気出口23を順次通過して、ノズル16の内部通路84に入る。
【0064】
本実施例では、ファン組立体10のスイッチをONにすると、制御機構120は、第1の状態と第2の状態との間に位置付けられるように構成される。この状態では、制御機構120によって、空気は空気入口116、118の各々を通って送ることができる。ファン組立体10のスイッチがOFFになると、制御機構120はこの状態に移動するように構成できるので、制御機構120は、次回、ファン組立体10のスイッチをONにすると自動的にこの初期状態になる。
【0065】
この初期状態の制御機構によって、空気流の第1の部分は、空気入口116を通過して、第1の流れ制御チャンバ110を通過する第1の流れ制御空気流を形成する。空気流の第2の部分は、空気入口118を通過して、第2の流れ制御チャンバ112を通過する第2の流れ制御空気流を形成する。空気流の第3の部分は、内部通路84内に残り、第3の部分は、ノズル16のボア64の周りで反対方向に向かう2つの空気流に分けられる。これらの空気流の各々は、内部通路84の2つの直線部分のそれぞれに入り、各々は上側湾曲部分に向かって略垂直方向に送られる。空気流が内部通路84の直線部分及び上側湾曲部分を通過する際に、空気は空気出口18を通って噴出される。
【0066】
第1の流れ制御チャンバ110によって、第1の流れ制御空気流は、ノズル16のボア64の周りで同様に反対方向に向かう2つの空気流に分けられる。内部通路84と同様に、これらの空気流の各々は、第1の流れ制御チャンバ110の2つの直線部分のそれぞれに入り、各々は第1の流れ制御チャンバ110の上側湾曲部分に向かって略垂直方向に送られる。空気流が第1の流れ制御チャンバ110の直線部分及び上側湾曲部分を通過する際に、空気は第1の案内面92に隣接する、好ましくはこれに沿った第1の流れ制御ポート111から噴出される。第2の流れ制御チャンバ112によって、流れ制御空気流は、ノズル16のボア64の周りで反対方向に向かう2つの空気流に分けられる。これらの空気流の各々は、第2の流れ制御チャンバ112の2つの直線部分のそれぞれに入り、各々は上側湾曲部分に向かって略垂直方向に送られる。空気流が第2の流れ制御チャンバ112の直線部分及び上側湾曲部分を通過する際に、空気は第2の案内面94に隣接する、好ましくはこれに沿った流れ制御ポート113から噴出される。従って、流れ制御空気流は、空気出口18から噴出する空気と結合して、インペラが発生する空気流と再結合するようになっている。
【0067】
空気出口18から噴出する空気流は、第1及び第2の案内面92、94の一方に沿って流れる。本実施例では、ノズル16の寸法及び空気出口18の位置は、制御機構120が初期状態にある時に、空気流が、2つの案内面の一方に自動的に沿って確実に流れるように選択される。空気出口18は、空気出口18と第1の案内面92との間の最小距離W2が、空気出口18と第2の案内面94との間の最小距離W3と異なるように位置決めされる。距離W2、W3は、任意の選択されたサイズとすることができる。また、本実施例では、これらの距離W2、W3の各々は、好ましくは1mmから3mmの範囲であり、ボア軸線Xの周りで実質的に一定である。また、空気出口18は、案内面92、94の一方が、他方よりも、空気出口18の中心を通過するボア軸線Xの周りでこれに平行に延びる仮想曲面P1の近くに配置されるように位置決めされる。この面P1は、図7に示されており、全体的に空気出口18から噴出する空気プロファイルを説明する。本実施例では、平面P1と第1の案内面92との間の最小距離W4は、平面P1と第2の案内面94との間の最小距離W5よりも大きい。
【0068】
結果として、ファン組立体10のスイッチを最初にONにすると、ノズル16から噴出する空気流は、第2の案内面94に沿って流れる傾向がある。空気流がノズル16から噴出される際に、空気流のプロファイル及び方向は第2の案内面94の形状によって決まる。前述のように、本実施例では、第2の案内面94は、ノズル16のボア軸線Xに向かって湾曲するので、空気流は、P2で示す経路に沿ってボア軸線Xに向かって内向きにテーパー付けされるプロファイルでもってノズル16から噴出される。
【0069】
空気出口18からの空気流の噴出は、外部環境から空気を同伴して二次空気流を発生させる。空気は、ノズル16のボア64を通ってノズル16の周囲及びその前部の両方の環境から空気流の中に吸い込まれる。この二次空気流はノズル16から噴出する空気流と合体してファン組立体10から前方に放出される合体又は全体空気流(気流)を生成するようになっている。ボア軸線Xに向かって内向きにテーパー付けされる空気流によって、その外側プロフィールの表面積は相対的に小さくなり、これにより、ノズル16の前部の領域から相対的に小さな空気の同伴、及びノズル16のボア64を通る相対的に小さな空気流量がもたらされるので、ファン組立体10が発生する合体空気流は、相対的に小さな流量となる。しかしながら、インペラが発生する一次空気流の所定流量に対して、ファン組立体10が発生する合体空気流の流量が低減することは、ノズルから下流に配置される固定平面で生じる合体空気流の最大速度の増大に関連する。これにより、ボア軸線Xに向かう空気流の方向と一緒になって、ファン組立体の前方のユーザを急速に冷やすのに適する合体空気流が形成される。
【0070】
制御機構120のアクチュエータ126が作動して、制御機構120を第1の状態に位置付ける場合、第2の弁本体124は、内部ケーシング部分74の後面104から離れるように移動して、第2の流れ制御チャンバ112の空気入口118を開放状態に維持する。同時に、第1の弁本体122は、後面104に向かって移動して、第1の流れ制御チャンバ110の空気入口116を閉塞する。結果として、空気流の単一部分だけが内部通路から離れて分流されて、第2の流れ制御チャンバ112を通過する流れ制御空気流を形成するようになっている。
【0071】
前述のように、第2の流れ制御チャンバ112内で、流れ制御空気流は、ノズル16のボア64の周りで反対方向に向かう2つの空気流に分けられる。これらの空気流の各々は、第2の流れ制御チャンバ112の2つの直線部分のそれぞれに入り、各々は上側湾曲部分に向かって略垂直方向に送られる。空気流が第2の流れ制御チャンバ112の直線部分及び上側湾曲部分を通過する際に、空気は第2の案内面94に隣接する、好ましくはこれに沿った流れ制御ポート113から噴出される。流れ制御空気流は、空気出口18から噴出する空気と結合して、空気流と再結合するようになっている。しかしながら、流れ制御ポート111を通る空気の通路が流れ制御機構120によって妨げられる場合、相対的に低い圧力が第1の案内面92に隣接して作り出される。従って、空気流を横切って作り出された圧力差により、空気流を第1の案内面92に向かって付勢する力が生じ、結果的に空気流は第2の案内面94から引き離されて第1の案内面92に沿うようになる。
【0072】
前述のように、第1の案内面92は、ノズル16のボア軸線Xから離れて湾曲するので、空気流は、図7にP3で示す経路に沿ってボア軸線Xから離れるように外向きにテーパー付けされるプロファイルでもってノズル16から噴出される。ここでボア軸線Xから離れるように外向きにテーパー付けされる空気流によって、空気流の外側プロファイルの表面積は相対的に大きくなり、これにより、ノズル16の前の領域から空気の相対的に大きな同伴がもたらされるので、インペラが発生する空気の所定流量に対して、ファン組立体10が発生する合体空気流の流量は相対的に大きくなる。従って、制御機構120を第1の状態に位置付けることにより、ファン組立体10が部屋又はオフィスを通り抜ける比較的範囲の広い空気流を発生させるという結果につながる。
【0073】
次に、制御機構120のアクチュエータ126が作動されて、制御機構120を第2の状態に位置付ける場合、第2の弁本体124は、内部ケーシング部分74の後面104に向かって移動して、第2の流れ制御チャンバ112の空気入口118を閉塞する。同時に、第1の弁本体122は、後面104から離れるように移動して、第1の流れ制御チャンバ110の空気入口116を開放する。結果として、空気流の一部分は内部通路から離れて分流して、第1の流れ制御チャンバ110を通過する流れ制御空気流を形成する。
【0074】
前述のように、第1の流れ制御チャンバ110内で、流れ制御空気流は、ノズル16のボア64の周りで反対方向に向かう2つの空気流に分けられる。これらの空気流の各々は、第1の流れ制御チャンバ110の2つの直線部分のそれぞれに入り、各々は上側湾曲部分に向かって略垂直方向に送られる。空気流が第1の流れ制御チャンバ110の直線部分及び上側湾曲部分を通過する際に、空気は第1の案内面92に隣接する、好ましくはこれに沿った流れ制御ポート111から噴出される。流れ制御空気流は、空気出口18から噴出する空気と結合して、空気流と再結合することになる。しかしながら、流れ制御ポート113を通る空気の通路が、流れ制御機構120によって妨げられると、空気流を横切る圧力差は逆転する。これにより、空気流を第2の案内面94に向かって付勢する力が生じる。これにより、空気流は第1の案内面92から引き離されて第2の案内面94へ再び沿うようになる。
【0075】
制御機構120の状態を変更する作動に加えて、主制御回路36は、制御機構120の選択された状態に応じてモータ44の速度を自動的に調節するように構成できる。例えば、主制御回路36は、制御機構120が第1の状態に位置付けられる場合に、モータ44の速度を高くしてノズル16から噴出する空気流の速度を大きくするように構成できるので、ファン組立体10が配置される部屋又は他の場所の急速な冷却を促進できる。
【0076】
代替的に又は追加的に、主制御回路36は、制御機構120が第2の状態に位置付けられる場合に、モータ44の速度を低くしてノズル16から噴出する空気流の速度を低下させるように構成できる。このことは、発明者らの同時係属特許出願の国際公開第2010/100453号で説明した加熱素子を内部通路84内に配置する場合に特に有益であり、その開示内容は、引用により本明細書に組み込まれている。ユーザに向けられる加熱空気流の速度を低下させることで、ノズル16の直前のユーザを加熱するための「スポットヒータ」として使用するのに適したファン組立体10を作ることができる。
【0077】
要約すれば、ファン組立体のためのノズルは、空気入口、空気出口、空気入口から空気出口まで空気を送るための内部通路、環状内壁、及び内壁の周りに延びる外壁を含む。内部通路は、内壁と外壁との間に配置される。内壁は、空気出口から噴出する空気によってノズルの外側からの空気が引き込まれる、ボアを少なくとも部分的に形成する。流れ制御ポートは、空気出口に隣接して配置される。流れ制御チャンバは、空気を流れ制御ポートに送るために設けられる。制御機構は、流れ制御ポートを通る空気流を選択的に妨げて、空気出口から噴出する空気流を偏向させる。
【符号の説明】
【0078】
72 後部ケーシング部分
78 内壁
80 外壁
84 内部通路
88 内壁
90 外壁
92 第1の案内面
94 第2の案内面
100 外壁
102 内壁
104 後壁
106 開口
110 第1の流れ制御チャンバ
111 第1の流れ制御ポート
112 第2の流れ制御チャンバ
113 流れ制御ポート
118 空気入口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファン組立体のためのノズルであって、
空気入口と、
空気出口と、
前記空気入口から前記空気出口まで空気を送るための内部通路と、
環状内壁と、
前記内壁の周りに延びる外壁であって、前記内部通路が前記内壁と前記外壁の間に配置され、前記内壁が前記空気出口から噴出する空気によって前記ノズルの外側からの空気を引き込むボアを少なくとも部分的に形成する前記外壁と、
前記空気出口から下流に配置される流れ制御ポートと、
空気を前記流れ制御ポートに送るための流れ制御チャンバと、
前記流れ制御ポートを通る空気流を選択的に妨げるための制御手段と、
を備えるノズル。
【請求項2】
前記空気出口から下流に位置する案内面を備える、請求項1に記載のノズル。
【請求項3】
前記流れ制御ポートは、前記空気出口と前記案内面との間に配置される、請求項2に記載のノズル。
【請求項4】
前記流れ制御ポートは、前記案内面の上に空気流を向けるように構成される、請求項2又は請求項3に記載のノズル。
【請求項5】
前記案内面は、前記ボアの軸線の周りに少なくとも部分的に延びる、請求項2から請求項4のいずれかに記載のノズル。
【請求項6】
前記案内面は、前記ボアの軸線を取り囲む、請求項2から請求項5のいずれかに記載のノズル。
【請求項7】
前記案内面は、前記ボアの軸線に対して外向きにテーパー付けされる、請求項2から請求項6のいずれかに記載のノズル。
【請求項8】
前記案内面は、湾曲している、請求項2から請求項7のいずれかに記載のノズル。
【請求項9】
前記案内面は、凸状形状である、請求項2から請求項8のいずれかに記載のノズル。
【請求項10】
前記流れ制御チャンバは、前記内部通路の前方に配置される、請求項1から請求項9のいずれかに記載のノズル。
【請求項11】
前記内部通路は、前記ノズルのボアを取り囲む、請求項1から請求項10のいずれかに記載のノズル。
【請求項12】
前記空気出口は、前記ボアの周りに少なくとも部分的に延びる、請求項1から請求項11のいずれかに記載のノズル。
【請求項13】
前記空気出口は、前記ノズルのボアの周りに延びる湾曲部分を有する、請求項1から請求項12のいずれかに記載のノズル。
【請求項14】
前記空気出口は、スロットの形態である、請求項1から請求項13のいずれかに記載のノズル。
【請求項15】
前記制御手段は、前記流れ制御チャンバを通る前記空気の通路を妨げる第1の状態と、前記流れ制御チャンバを通る前記空気の通路を許容する第2の状態とを有する、請求項1から請求項14のいずれかに記載のノズル。
【請求項16】
前記制御手段は、前記流れ制御チャンバの空気入口を閉塞するための弁本体と、前記入口に対して前記弁本体を移動させるためのアクチュエータとを備える、請求項1から請求項15のいずれかに記載のノズル。
【請求項17】
前記流れ制御チャンバは、前記ボア軸線の周りに少なくとも部分的に延びる、請求項1から請求項16のいずれかに記載のノズル。
【請求項18】
前記流れ制御チャンバは、前記ボアを取り囲む、請求項1から請求項17のいずれかに記載のノズル。
【請求項19】
インペラと、前記インペラを回転させて空気流を発生させるためのモータと、前記空気流を受け取るための請求項1から請求項18のいずれかに記載のノズルと、前記モータを制御するためのコントローラとを備えるファン組立体。
【請求項20】
前記コントローラは、前記制御手段をユーザが操作する場合に前記モータの速度を自動的に調節するように構成される、請求項19に記載のファン組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−113301(P2013−113301A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−270759(P2012−270759)
【出願日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】