説明

フィコトキシン及びその使用

【解決手段】 少なくとも1つの三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンの有効量と少なくとも1つの添加化合物とを有する神経伝達を干渉するための薬学的組成物が開示される。本発明の組成物の有効量と薬学的に許容可能な担体とを有する、局所的適用のための調整が提供される。少なくとも1つの三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンの有効量の局所的適用を有する神経伝達を干渉する方法は、筋肉弛緩、知覚麻痺、筋肉痙攣、及び同様な原因に関連した様々な徴候を治療するために提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、筋肉障害を治療する方法、及び前記方法において及び他の目的で使用され得る複素環式グアニジン型化合物を含有する薬学的組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
麻痺性貝毒(PSP)は、興奮性細胞に見出される電位依存性ナトリウムチャネル上の受容体部位に可逆的に結合するフィコトキシン(phycotoxins)の混合物に由来するものである。主な臨床症状は急性麻痺疾患である。フィコトキシン或いは藻類毒素は、微小プランクトン藻類によって産生される。これらの毒素は、二枚貝などの濾過摂食物(filter feeders)に蓄積する。フィコトキシンによって汚染された貝類をヒトが消費すると、PSP、健忘性貝毒(ASP)、下痢性貝毒(DSP)、神経毒性貝毒(NSP)、シガテラ中毒(CP)、及びラン藻毒(CNP)の6つの疾患を引き起こす。
【0003】
PSPを産生するフィコトキシンは、3,4,6−トリアルキル(trialquil)テトラヒドロプリンの共通構造を有する。26個の自然発生PSPが記載されており、これらフィコトキシンは非タンパク質であり、289〜450ダルトンの低分子量化合物である。
【0004】
ゴニオトキシン(GTXs)は、総毒素含有量の80%以上を占める貝類抽出物において見出される最も豊富なPSP毒素である。前記PSP毒素の高い毒性は、興奮性細胞の電位依存性ナトリウムチャネル上の受容体部位への可逆的な結合に起因しており、すなわち、ナトリウムイオンの流入を遮断し、神経細胞及び筋肉細胞が活動電位を産生するのを妨げ、その結果神経伝達を遮断し、呼吸停止及び心血管ショックを介して哺乳類を死に導くものである。少量のPSP毒の適用は、用量依存性である期間において横紋筋の弛緩性麻痺を引き起こす。
【0005】
本発明のゴニオトキシンは、液体調整物を注入することによって、若しくは哺乳類の皮膚に適用する局所的麻酔剤として、哺乳類の使用に対する局所麻酔剤を提供するものである。
【0006】
本発明のゴニオトキシンは、筋肉障害、筋肉痙縮或いは筋肉活動によって引き起こされる若しくは悪化する様々な病気の治療において驚くべき有益な結果も提供するものである。
【0007】
皮膚に損傷を与えない、若しくは発疹、炎症、感作、或いは他の不快をもたらさない即効性かつ持続性のある局所麻酔剤に対する必要性が残されている。更に、様々な病気に対するより効果的で低侵襲的な治療法に対する必要性もまた残されている。
【発明の開示】
【発明の効果】
【0008】
本発明の第一の観点において、1若しくはそれ以上のゴニオトキシンを含有する前記薬学的組成物の有効量を投与する工程を有する様々な病気を治療する方法が提供される。この方法において、筋肉弛緩及び/若しくは麻酔は、筋肉障害、筋肉痙縮、若しくは筋肉活動によって引き起こされる或いは悪化されたものに関連した様々な病気に対する有益な治療を提供する目的のために使用される。
【0009】
本発明の別の観点において、少なくとも1つの三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンの有効量と少なくとも1つの他の活性成分とを有する神経伝達を干渉するための薬学組成物が提供される。
【0010】
本発明の別の観点において、本発明の組成物の有効量と顔用クリームとを有する顔の若返りのための調整を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下の定義は、本発明の説明に適用する。
【0012】
本明細書において使用される「有効量」とは、神経筋プレート(neuromuscular plate)において、神経伝達物質アセチルコリンのシナプス前放出少なくとも一部遮断することによって神経伝達を妨げるのに十分な量、つまり、伝達を妨げ、筋肉を麻痺させ、更に筋肉の収縮を阻止し、又は拘縮した筋肉の弛緩を引き起こすのに十分な量のことである。
【0013】
そのような量は活性のユニットで与えられる。1活性単位は、20グラムのCF1アルビノ又はBALB−C系統マウス脚における大腿二頭筋の筋肉収縮を1.5〜2.0時間遮断するために必要である本発明の組成物の量と一致する。前記毒素は、0.5mlの用量で前記マウスの右脚の大腿二頭筋に筋肉注射で注入される。左脚はコントロールとして使用される。
【0014】
各用量で使用された毒素の量を測定するために、オンライン蛍光検出(HPLC−FLD)を用いて、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析が行われる。この方法によって、あらゆる混合物、抽出物、或いは製剤処方中における各毒素の質量の測定が可能である。
【0015】
本願明細書及び添付の請求項において用いられる単数形の「a」、「an」、及び「the」は、本文中において明らかに別のものを指示していない限り、複数の指示対象物を含むことに留意すべきである。つまり、例えば「薬理学的な活性物質(a pharmacologically active agent)」の言及は2若しくはそれ以上の活性物質の混合物を含み、「促進剤(an enhancer)」という言及は2若しくはそれ以上の促進剤の混合物を含む、などということである。
【0016】
本発明の説明及び請求項において、以下の専門用語は以下に設定された定義に従って使用されるであろう。
【0017】
本明細書において使用される「治療する」及び「治療」という用語は、症状の重篤度及び/又は頻度を軽減すること、症状及び/又は根本的な原因を除去すること、症状及び/又はそれらの基本的な原因の発生を阻止すること、及び損傷を改善又は修復することに言及するものである。従って、この用語が本願明細書において使用される場合、哺乳類を「治療する」本発明の方法は、病気を患った個人において障害を妨げること、及び臨床的に症状を示す個人における障害を治療することの両方を含む。
【0018】
「活性物質」、「薬剤」、及び「薬理学的な活性物質」という用語は、所望の効果を誘発する化学物質又は化合物に言及するものとして本明細書においてほとんど同じ意味で使用され、更に、治療上有効、予防的に有効、或いは美容上有効である物質を含むものである。これらの化合物の誘導体及び類似体、又は所望の効果を誘発することが具体的に述べられた化合物の種類もまた含まれる。
【0019】
「治療上有効」な量とは、非毒性であるが、所望の治療効果を提供するために十分である活性剤の量を意味するものである。
【0020】
「経皮的な」薬物送達とは、薬物が皮膚組織を通って個体の血流に入り、その結果、全身効果が引き起こされるように、個人の皮膚表面に薬物を投与することを意味するものである。「経皮的な」という用語は、薬物が粘膜組織を通って個人の血流に入るように、「経粘膜的」に薬物を投与すること、すなわち、個体の粘膜(例えば舌下、口腔、膣、直腸など)の表面に薬物を投与することを含むことが意図される。
【0021】
「局所的投与」という用語は、例えば様々な皮膚障害の治療を目的とした、皮膚や粘膜への薬理学的活性物質の局所的薬剤の運搬を意味するその従来の意味で使用される。局所的薬剤投与は、経皮的投与と比較して、全身効果というよりはむしろ局所的効果を提供するものである。他に提示されているか或いは示唆されていない限り、「局所的薬剤投与」及び「経皮的薬剤投与」という用語はほぼ同じ意味で使用される。
【0022】
「体表面」という用語は、皮膚或いは粘膜組織を言及するために使用される。
【0023】
皮膚或いは粘膜組織の「所定領域」とは、活性物質が通過して送達される皮膚或いは粘膜組織の領域を意味しており、無処置無傷の生体皮膚或いは粘膜組織の領域を定義することが意図されている。この領域は、通常、約5cm〜約200cmの範囲であり、より一般的には約5cm〜約100cmの範囲であり、好ましくは約20cm〜約60cmの範囲である。しかしながら、薬剤が投与される皮膚或いは粘膜組織の領域は、所望の治療、運搬装置が使用されるか否か、投与量、処置領域のサイズ、及び他の因子などの因子に依存して著しく異なることがあることは、薬剤送達の分野の当業者には理解されるであろう。
【0024】
本明細書において使用されるように「透過促進(penetration enhancement)」或いは「浸透促進(permeation enhancement)」とは、単独で適用した場合(すなわち、身体表面を介した薬剤の「流入(flux)」)の透過に対する前記活性物質の皮膚または粘膜への浸透割合の増加に言及するものである。このような促進剤により促進された浸透は、例えば、当該技術分野で既知のフランツ拡散装置等を用いて動物あるいはヒトの皮膚への薬剤の拡散速度を測定することで観測できる。
【0025】
「浸透促進剤の有効量」とは、、所望の浸透速度増加を与えるに十分な促進剤或いは透過促進治療の非毒性量或いは含量を意味する。透過促進剤は、透過深度、投与速度、及び送達される薬剤の量にも影響する。
【0026】
本明細書において使用される「担体(carriers)」或いは「賦形剤(vehicles)」は、経皮的或いは局所的薬剤投与に適した担体物質に言及する。本明細書において有用な担体及び賦形剤は、使用量では無毒性であって、更に有害な方法で当該組成物のその他の成分と相互作用をしない当該技術分野で周知な任意の物質を含む。
【0027】
「水溶性」という用語は、水を含むものであるか、若しくは皮膚或いは粘膜組織に適用した直後に水を含有するようになる剤形或いは薬剤送達システムに言及する。
【0028】
本発明の特定の方法は、実質的な即時麻酔及び筋肉弛緩効果を提供するだけでなく、予想外の長期間で有益な筋肉弛緩効果も提供するということは驚くべき発見であった。結果として、本発明の特定の方法は、痙縮性筋肉に関連した神経筋障害、機能亢進汗腺などの交感神経障害の治療に特によく適しており、炎症或いは炎症による痛みを軽減し、眼瞼痙攣、肛門裂傷及び噴門痙攣、斜視、限局性筋失調症、多汗症、例えば膀胱弛緩による泌尿器科障害、筋肉痙縮に関連する疼痛管理、筋肉痙縮、創傷縫合及びステープリングを含む創傷治療、薄片生検、顔面しわの軽減或いは除去、手根幹症候群、線維筋痛症、関節発赤、関節痛、手術後疼痛管理、関節炎、坐骨神経症、腱鞘炎、頚部痛或いは頚部損傷、背痛、半側顔面痙攣、機能亢進喉頭、若年性脳性麻痺、痙縮、偏頭痛を含む頭痛、書痙、ミオフェイシャル痛、振戦、顔面痙攣、歯軋り、顎関節痛、痙性斜頸、歯科用麻酔、歯痛の治療、発毛、消化管障害、機能亢進性顔のしわの線、美容障害、肩の痛み、腱板損傷、末梢神経機能障害、偏頭痛或いは緊張型頭痛、上部及び下部食道括約筋の障害、胃不全麻痺、肥大性幽門狭窄、痔核、一過性直腸神経痛、過敏性腸症候群、筋肉痙縮、血管?縮性障害、子宮に関する障害、或いは膀胱痙縮、オディ括約筋機能不全、及びショートセグメントヒルシュスプルング病、脳卒中及び運動制御問題を治療する、更には注入に関わる痛み(痛い注入)及びI.V.針挿入の軽減或いは除去する。GTX化合物の予想外に長期な筋肉弛緩効果は、治癒工程を促進すると見出された。
【0029】
本発明の方法及び組成物において使用されたフィコトキシンは、289〜450ダルトンの間の非タンパク質低分子量化合物である。これは同じ目的のために使用された先行技術の組成物よりもいくつかの利点を提供する。第一に、フィコトキシンは非タンパク質であるので、フィコトキシンに対するアレルギー反応の可能性が非常に低い。第二に、フィコトキシンの小さいサイズによって、それらは経皮的運搬のための優れた候補物質となる。また本発明のフィコトキシンは、例えばボツリンA毒素と比較して非常に強力であり、従ってより少量がより長い持続効果を達成するために使用され得る。更に、本発明のフィコトキシンはしばしば、ボツリンA毒素と比較してより短期間で効果を認められる。また、フィコトキシンの小さいサイズによってそれらは比較的素早く体から排出され、その結果、有害な副作用或いは体内での毒素蓄積のリスクを軽減する。
【0030】
本発明の方法において使用された組成物は、少なくとも1つのフィコトキシンの有効量を有する。より好ましくは、本発明の組成物は、以下に説明される化学式Iで示された化合物の少なくとも1つの有効量と、薬学的に許容可能な局所担体とを有するものであり、
【0031】
【化4】

ここで、R及びRはそれぞれ、−H及び−OHから成る群から選択され、R及びRはそれぞれ、−H及び−SOから成る群から選択され、Rは−H、−OH、−COONH、−COONHSO、及び−COOCHから成る群から選択されるものであり、ただし、R及びRのいずれか1つは−OSOであるか、若しくはRは−COONHSOである。
【0032】
本発明に従った好ましい三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンは、以下の表に説明されたような化学式Iのゴニオトキシン(本明細書では以下「GXT」とする)である。
【0033】
【表1】

【0034】
本発明の方法及び処方は、フィコトキシンの投与に応答するいかなる状態、疾病、若しくは疾患を治療するために、フィコトキシンの注入、局所的、若しくは経皮的投与によって投与される。一般的に、本発明の処方及びデリバリーシステムは、筋肉をほぐす及び/若しくは筋収縮を軽減させるための麻酔薬(すなわち鎮痛用)として、フィコトキシンを投与するのに使用される。通常、前記化合物は筋肉弛緩剤として、若しくは筋収縮を軽減させるために使用される。
【0035】
各用量は、フィコトキシンの活性の1〜約5000ユニットを含む。より好ましくは、各用量は、フィコトキシンの活性の32ユニット以上〜最大約5000ユニットを含む。さらにより好ましくは、各用量は、フィコトキシンの活性の32以上〜約1000ユニット、より好ましくは、フィコトキシンの活性の40以上〜約1000ユニット、及びさらにより好ましくは、フィコトキシンの活性の約50〜約500ユニットを含む。最も好ましくは、各用量は、フィコトキシンの活性の約75〜約200ユニットを含む。用量は、所望の効果が得られるまで適宜、必要に応じて、筋肉弛緩を持続させるために繰り返されることができる。
【0036】
本発明の1つの方法によれば、動物若しくはヒトは、筋肉内に若しくは筋肉付近への本発明の組成物の直接的な局所的注入によって治療される。いくつかの実施形態において、注入位置の筋肉は、高度の緊張若しくは痙攣を呈するが、これは全ての治療の有効性に必要であるということではない。各注入は、溶剤、アジュバント、及び/若しくは担体物質を含んで最高2ミリリットルの組成物に限られる。投与は、例えば、27〜30の標準規格注射針を有する1ミリリットルのツベルクリン型使い捨て注射器を使用して達成される。或いは、特定の方法に対しては、米国特許第5,674,205号明細書(その開示は、本発明の方法での使用に適した内視鏡の詳細を提供することを目的として、この参照により本明細書に組み込まれるものである)に記載されているような内視鏡を使用して投薬量を投与することが望ましい。1実施形態において、0.9%塩化ナトリウム溶液中のGTX2及びGTX3(GTX1及びGTX4の一方若しくは両方を任意に含む)の注入可能な混合溶液が使用される。前記注入可能な溶液は、あらゆる適切な濃度を有することができるが、好ましくは1ミリリットルにつき40以上〜約1000ユニットを含む。1実施形態において、前記注入可能な溶液中のGTX3に対するGTX2の比は、約2:1である。
【0037】
或いは、本発明の薬学的組成物は、局所調合の形状で局所的に適用される。局所調合を形成するために、本発明の薬学的組成物の有効量は、薬理学的に許容可能な局所担体に添加される。局所的に適用されるとき、前記組成物は、体表面への適用に適しているいずれの形状であっても良く、例えば、クリーム、ローション、溶液、ゲル、軟膏、ペースト、或いはそれらと同等のものを有する、及び/若しくはリポソーム、ミセル及び/若しくはミクロスフィアを含むように調整される。前記局所調合は、前記調合の重量に基づいて、前記GTX化合物重量の約0.0001%〜約0.01%を含む。或いは、前記局所調合は、前記調合の重量に基づいて、前記GTX化合物重量の約0.001%〜約0.01%を含む。
【0038】
本発明の方法において、前記薬学的組成物は、直接身体表面に適用される、若しくは薬物送達装置の使用が関与しても良い。従って、処方若しくは薬剤貯蔵剤形は、水性、すなわち水を含むものであっても良く、若しくは非水性であり、身体表面から蒸発している水分が薬剤投与の間、処方若しくは経皮的なシステムの中で維持されるような閉塞性塗布と組み合わせて使用されても良い。しかし、ある場合には例えば閉塞性ゲルがあれば、非水性の処方は、閉塞性層の有無に拘わらず使用されることができる。
【0039】
例えば、緊張性頭痛及び線維筋痛の治療等の鎮痛適用において、1回の用量の投与が、少なくとも4週間、時には著しく長く持続する効果を提供することが分かっている。GTX毒素を投与すると、このような長期間の緩和が提供され得ることは予期されなかった。加えて、GTX毒素を投与すると、ボツリヌスA毒素等の他の毒素に耐性である徴候が治療され得ることが分かっている。これはまた、GTX毒素の予想外の効果である。
【0040】
本発明の方法において、フィコトキシン若しくはフィコトキシンの組み合わせは、添加化合物の有無に拘わらず投与されることができ、添加化合物と併せて投与される場合、フィコトキシンは、添加化合物の投与の前、間若しくは投与後に投与されることが当業者によって理解される。加えて、フィコトキシン及び添加化合物の投与手段も異なるものであり、例えばフィコトキシンは、有痛性の注入の投与より前に経皮的適用によって投与される。
【0041】
本発明の他の観点は、少なくとも1つの他の化合物と組み合わせて、特定のフィコトキシンを有する組成物に関連するものである。このような組成物は、様々な適用に適しており、例えば、潜在的に手術を回避するために、潜在的に副作用を軽減するために、及びアレルギー、免疫拒絶、若しくは血腫を最小限に抑えるために、多くの美容及び臨床的な適用に使用され得る。特に筋肉障害、筋肉痙攣、若しくは筋動作が問題の状態の原因若しくは要因であるときに、特定のフィコトキシンは、有益な結果を有する美容及び治療方法で使用され得ることもまた分かっている。
【0042】
本発明の組成物は、少なくとも1つのフィコトキシンの有効量を有する。より好ましくは、本発明の組成物は、以下に示す化学式Iによって表される化合物の少なくとも1つの有効量と、薬理学的に許容可能な局所的担体とを有するものであって、前記化学式Iは、
【0043】
【化5】

であり、ここで、
及びRはそれぞれ、−H及び−OHから成る群から選択され、R及びRはそれぞれ、−H及び−SOから成る群から独立して選択され、及びRは、−H、−OH、−COONH、−COONHSO-、及び−COOCHから成る群から選択されるものであるが、但し、R及びRのうちのいずれか1つは-OSO-であるか、若しくはRは−COONHSO-でなければならないものである。
【0044】
本発明に従った好ましい三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンは、以下の表に記載の化学式Iのゴニオトキシン(以下"GTX")である。
【0045】
【表2】

【0046】
本発明の1観点において、前記薬学的組成物は、少なくとも1つの添加化合物と組み合わせた少なくとも1つのフィコトキシンを有する。より好ましい観点において、本発明の組成物は、GTX1、GTX2、GTX3、GTX4、及びGTX5から選択される少なくとも1つのGTX化合物と、ベータカイン−LA、テトラカイン、メピバカイン、プリロカイン、エチドカイン、ブピバカイン、リドカイン、モルヒネ、TAC(テトラカイン、アドレナリン(エピネフリン)、及びコカイン)、LET(リドカイン、エピネフリン、及びテトラカイン)、トピカイン、モルヒネ、若しくは同種の局所的麻酔剤から選択された1つの局所的麻酔薬及びそれらの組み合わせと、薬理学的に許容可能な担体とを含む。これに限られるものではないが、水を含むあらゆる薬理学的に許容可能な担体が使用される。本発明の化合物は、酢酸若しくは0.09%塩化ナトリウム溶液で通常希釈される。
【0047】
表2は、本発明での使用に特によく適しているいくつかの局所麻酔薬をまとめたものである。
【0048】
【表3】

【0049】
ELA−Max及びELA−Max5は、4%若しくは5%リドカインのリポソームデリバリーシステムを含む。このデリバリーシステムは、水媒体に分散されたいくつかの脂質二重層を含んでいる多重膜ベシクルを有する。リポソームは、麻酔薬の皮膚への侵入を容易にし、徐放性も提供することができる。
【0050】
S−caine(商標)パッチは、麻酔薬デリバリーの速度を増加させるための酸素活性加熱システム(oxygen−activated heating system)を利用するデリバリーシステムである。このパッチは、本発明の方法で使用される、若しくは本発明のフィコトキシン組成物は、このようなパッチに処方される。市販のS−caine(商標)パッチは、制御されたレベルの熱(39〜41℃)を2時間生成する使い捨て発熱体を有する、リドカイン及びテトラカインの1:1共融混合物を含む。S−パッチは、薄片生検及び静脈穿刺に伴う痛みを和らげることに効果的である。関連した局所的適用は、S−caine局所麻酔薬のピール(層)である。前記ピールは、容易に除去される柔軟膜へと乾燥するクリームである。それは、顔等の身体の輪郭となる領域に最も効果的である。
【0051】
表2から分かるように、これらの典型的な適用は、いかなる手順を開始する少なくとも30分前に、局所的処方の適用を通常必要とする。フィコトキシンの添加は、麻酔化合物によって提供される遅発的な利点に加えて、実質的に即時的な利点を提供することによって待機期間を大きく減らす。
【0052】
本発明の別の観点において、本発明の組成物は、鎮痛剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDS)等の1若しくはそれ以上の化合物;抗アメーバ薬、広範囲及び中範囲薬剤、真菌薬物、モノバクタム及びウイルス性因子を含む抗生物質;中枢神経系薬剤;ミネラル;免疫調節物質;免疫抑制薬;甲状腺製剤;ステロイド及びホルモン;リステリン(Restylane(登録商標))及びアレルギー薬物注入などの他の有痛性注入、及びB複合体、ビタミンC、ビタミンB12及び葉酸等の水溶性ビタミンから選択されたビタミン、及び獣医用の処方と組み合わせた少なくとも1つのGTX化合物を含む。
【0053】
本発明のより好ましい観点において、鎮痛剤は、アセトアミノフェン、イブプロフェン、フルリプロフェン、ケトプロフェン、ボルタレン(米国特許第3,652,762号明細書)、フェナセチン、及びサリチルアミドを含む。NSAIDSは、ナプロキセン、アセトアミノフェン、イブプロフェン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェナセチン、サリチルアミド、及びインドメタシンを含む。抗生物質は、抗アメーバ薬、広範囲及び中範囲薬剤、真菌薬物、アレルギー薬物、モノバクタム及びウイルス性物質を含み、特にエリスロマイシン、ペニシリン、及びセファロスポリン、及びそれらの誘導体等の物質、チオリダジン、ジアゼパム、メクリジン、エルゴロイドメシラート、クロルプロマジン、カルビドーパ、及びレボドパ等の中枢神経系薬剤を含んでいる。金属塩は、塩化カリウム及び炭酸リチウムを含む。ミネラルは、鉄、クロム、モリブデン及びカリウムを含む。甲状腺製剤は、合成甲状腺ホルモン及びチロキシンナトリウムを含む。ステロイド及びホルモンは、ACTH、タンパク質同化ステロイド、アンドロゲン及びエストロゲンの併用、アンドロゲン、コルチコイド及び鎮痛剤、エストロゲン、糖質コルチコイド、ゴナドトロピン、ゴナドトロピン放出ホルモン、ヒト成長ホルモン、低カルシウム性ホルモン、メノトロピン、副甲状腺、プロゲステロン、プロゲストーゲン、プロゲストーゲン及びエストロゲンの併用、ソマトスタチン様化合物、尿性卵胞性刺激ホルモン、バソプレシン、及びその他のものを含む。ビタミンは、B複合体、ビタミンC、ビタミンB12、及び葉酸等の水溶性ビタミン、及び獣医用の処方を含む。上記化学式Iに関して説明された状態を条件として、他の混合物及び上記化合物と三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンとの組み合わせが本発明の範囲内であることは、当業者によって理解されるべきである。
【0054】
リステリン若しくはRESTYLANE(登録商標)は、透明な生体分解性NASHA(非動物安定化ヒアルロン酸ゲルであり、これは唇のボリュームを増し、しわ及びひだを持ち上げるために皮膚に注入される。リステリンは、例えば、唇をよりふっくら見せるためのコラーゲン注入より安全であると見なされている。FDAは最近、中度から重度の顔のしわ及びひだ(鼻唇溝、鼻及び口の間のライン等)の矯正用の注入としてRestylane(登録商標)を承認した。しかし、このような注入は多くの神経終末を含む領域に注入されるため、多くの場合有痛性の傾向がある。本組成物は、注入の痛みを軽減することに役立つ。
【0055】
同様に、I.V.針の静脈穿刺及び留置も有痛性である。本組成物の迅速及び安全な作用によって、前記組成物が適用されるときと効果的な麻酔との間の待機期間は、著しく減少される。
【0056】
或いは、本発明の薬学的組成物は、サキシトキシン(STX)、ネオサキシトキシン、デカルボアモイルサキシトキシン、及びボツリヌスA毒素からなる群から選択される少なくとも1つの化合物、さらに少なくとも1つのGTX化合物、及び任意に2若しくはそれ以上のGTX化合物、及び少なくとも1つの他の化合物を有する。
【0057】
本発明は、修飾若しくは組換え毒素、及び遺伝子組換えによって作られた毒素の誘導体若しくは断片と同様に、細菌培養、毒素抽出、濃縮、保存、凍結乾燥及び/若しくは再構成によって得られた若しくは処理された毒素の使用を含む。
【0058】
理論に縛られることなく、局所的に適用される場合、これらの化合物は単一の生物学的分子レセプター(すなわち、全てのニューロン及び興奮性細胞に存在する電位依存性ナトリウムチャネル)に可逆的に結合することによって、神経インパルス若しくはニューロン伝達の伝播を遮断し、それらの抗痙攣性の作用を実行するように見える。このチャネルに結合することによって、神経細胞へのナトリウムの侵入はなくなり、脱分極は起こらなくなり、従って、インパルスの伝播は止められる。この作用機構は、神経筋板中での少なくとも一部の神経伝達物質アセチルコリンのシナプス前放出を遮断し、従って神経筋伝達を妨げ、筋肉を麻痺させ、筋肉の収縮を阻止し、若しくは病理学的問題によって収縮された筋肉の弛緩を引き起こすものである。一部の顔の筋肉(それらの全てがしわの形成に関連し関与する)が収縮しないように、この機構は特に美容目的に効果的であり、求められている顔の若返りの効果を作り出す。
【0059】
前記製剤中の活性物質の濃度は大きく変化させることが可能であり、治療される状態、所望の効果、活性物質がその標的に達する能力及び速さ、及び患者及び医師の特定な知識範囲内の他の要素を含む様々な要素に依存するであろう。好ましい処方は、治療部位に約1〜1000ユニットの活性物質の用量を移送するのに充分な量の活性物質を一般的に含む。より好ましくは、前記移送される用量は約20〜500ユニットの活性物質である。さらにより好ましくは、前記移送される用量は32ユニットより大きく約1000ユニットまでの活性物質であり、最も好ましくは、前記移送される用量は、40より大きく約1000ユニットまでの活性物質、約50〜1000ユニットの活性物質、約50〜500ユニットの活性物質、若しくは約75〜200ユニットの活性物質である。
【0060】
本発明の薬学的調整物は、麻痺した若しくは収縮が阻止された筋肉若しくはニューロンの周りに投与される。本発明は、特定の薬物送達システム、装置構造、促進剤若しくは担体に限られるものではなく、変更されるものである。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を記述することのみを目的とし、限定されることを意図しないこともまた理解される。
【0061】
本発明はまた、注入による適用のための組成物に関するものである。前記組成物は、注入に適しているいかなる形状であっても良い。本発明の組成物は、少なくとも1つのフィコトキシン、少なくとも1つの添加化合物、及び薬学的に許容可能な担体を有する。より好ましい観点において、本発明の組成物は、少なくとも1つの添加化合物及び薬学的に許容可能な担体とともに、2若しくはそれ以上のフィコトキシンを有する。注入による適用は、筋肉の周り、特に最大神経支配領域の周りの異なる場所に、2ミリリットルの量でなければならない。注入されたとき、その効果は実質的に即時的である。
【0062】
本発明の組成物及び方法の経皮的な効果は、直ちに明らかとなり、通常、活性化合物が皮膚を通り抜けて浸透した後、最短30秒〜5分以内で起こる。通常、皮膚を通り抜けた活性化合物の浸透の15分以内に最大の効果に達する。その効果的な持続期間は、投与される体積及び特定の組成物と同様に、投与される用量、問題の筋肉に依存する。これは全ての臨床的な適用及び病理学のパターンである。
【0063】
局所的若しくは経皮的な組成物は、身体表面への適用に適しているいかなる形状であっても良く、例えば、クリーム、ローション、溶液、ゲル、軟膏、ペースト等を有することができる、及び/若しくはリポソーム、ミセル、及び/若しくはミクロスフィアを含むように調合され得る。前記組成物は体表面に直接適用される、若しくは薬物送達装置の使用を含む。従って、製剤若しくは薬剤貯蔵容器は、水性、すなわち水を含むものであるか、若しくは非水性であり、身体表面から蒸発している水分が薬剤投与の間、処方若しくは経皮的なシステムの中で維持されるために、閉塞塗布と組み合わせて使用される。しかしある場合には、例えば閉塞性のゲルがあれば、非水性処方は、閉塞性の層の有無に拘わらず使用されることができる。
【0064】
軟膏は、一般的にワセリン若しくは他の石油派生物を基材とする半流動性調製物である。当業者に周知のように、使用される特定の軟膏基剤は最適な薬剤送達を提供するものであり、好ましくは、例えば、皮膚軟化薬等と同様に他の所望の特性を提供するものである。他の担体若しくは溶媒と同様に、軟膏基剤は不活性、安定、非刺激性及び非感作性でなければならない。Remington(The Science and Practice of Pharmacy,19th Ed.(Easton,Pa.:Mack Publishing Co.,1995),at pages 1399〜1404)において説明されたように、軟膏基剤は4種類、油脂性基剤、乳化基剤、エマルション性基剤、及び水溶性基剤にグループ化される。油脂性の軟膏基剤は、例えば、植物油、動物から得られた脂肪、及び石油から得られた半流動炭化水素を含む。乳化軟膏基剤(吸収性軟膏基剤としても既知である)は、ほとんど水を含まず、例えばヒドロキシステリン硫酸塩、脱水ラノリン及び親水ワセリンを含む。エマルション性軟膏基剤は、油中水(W/O)エマルション性若しくは水中油(O/W)エマルションであり、例えばセチルアルコール、モノステリン酸グリセリン、ラノリン及びステアリン酸を含む。好ましい水溶性軟膏基剤は、変動分子量のポリエチレングリコールから調整される(再度、Remington(The Science and Practice of Pharmacy for further information)を参照のこと)。
【0065】
クリームは、粘性液若しくは半流動エマルション性であり、水中油若しくは油中水のどちらかである。クリーム基剤は水洗性であり、油相、乳化剤、及び水相を含む。前記油相(「内」相とも呼ばれる)は、ワセリン、及びセチル若しくはステアリルアルコール等の脂肪アルコールを通常有する。必ずしもではないが、通常水相は体積で油相を上回り、通常湿潤剤を含む。クリーム処方中の乳化剤は、通常非イオン、アニオン性、カチオン性若しくは両性界面活性剤である。
【0066】
ゲルは、半流動の懸濁型システムである。単相のゲルは、担体液体(それは一般的に水性である)の全体にわたって実質的に均一に分散される有機巨大分子を含むが、好ましくは、アルコール及び任意に油を含む。好ましい「有機巨大分子」、すなわちゲル化剤は、ポリマーの「カルボマー」ファミリー(例えば、Carbopol(商標)として市販で手に入るカルボキシポリアルキレン)等の架橋アクリル酸ポリマーである。また、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン共重合体、及びポリビニルアルコール等の親水性ポリマー;ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート、及びメチルセルロース等のセルロースポリマー;トラガカントゴム及びキサンタンゴム等のゴム;アルギン酸ナトリウム;及びゼラチンも好ましい。均一なゲルを調合するために、アルコール若しくはグリセリン等の分散剤が添加され得る、若しくはゲル化剤は、粉砕、機械的混合或いは撹拌、若しくはそれらの組み合わせによって分散される。
【0067】
ローションは、摩擦することなく皮膚表面に適用される調整物であり、一般的に液状若しくは半流動体の調整物であり、活性物質を含む固体微粒子が水若しくはアルコール基剤中に存在している。ローションは、通常固形物の懸濁液であり、好ましくは、本目的のため、水中油型の液状油性のエマルションを有する。大きな身体領域を治療するためには、より流動的な組成物を適用するのが容易であるため、ローションが本明細書の好ましい製剤である。ローション中の不溶分は細かく分割されていることが通常必要である。ローションは、皮膚と接触する前記活性物質の局在化及び保持に有益な化合物(例えば、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース等)と同様に、より優れた分散を産生するために懸濁化剤を含む。
【0068】
ペーストは、前記活性物質が適切な基剤に懸濁される、半流動性の投薬形態である。基剤の性質に従って、ペーストは、脂肪性ペースト若しくは単相の水性ゲルでできたペーストの間で分けられる。脂肪性ペースト中の基剤は、通常ワセリン若しくは親水性ワセリン等である。単相の水性ゲルでできたペーストは、通常カルボキシメチルセルロース若しくは同種のものを基剤として組み入れている。
【0069】
前記製剤は、リポソーム、ミセル及びミクロスフィアによっても調合される。リポソームは、脂質二重層を有している脂質壁を持つ微小なベシクルであり、同様に本明細書の薬物送達システムとしても使用され得る。本発明において使用されるリポソーム調整物は、カチオン性(正電荷)、アニオン性(負電荷)、及び中性の調製物を含む。カチオン性リポソームは、容易に利用できる。例えば、N[1−2,3−ジオレイルオキシ]プロピル]−N,N,N−トリエチルアンモニウム(DOTMA)リポソームは、商品名Lipofectin(商標)として利用できる(GEBCO BRL,Grand Island,ニューヨーク州)。同様に、アニオン性及び中性リポソームは、例えばAvanti Polar Lipids(Birmingham,Ala.)から容易に利用でき、若しくは容易に利用できる物質を使用して容易に調合され得る。このような物質は、ホスファチジルコリン、コレステロール、ホスファチジルエタノールアミン、ジオレオイルホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイルホスファチジルグリセリン(DOPG)、ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)を含む。これらの物質はまた、適切な比率でDOTMAに混合され得る。これらの物質を使用したリポソームの製造方法は、当該技術分野においてよく知られている。
【0070】
ミセルは、それらの水溶性頭部が外側の球殻を形成し、一方で疎水性の炭化水素鎖は球の中心方向に向きコアを形成するように配置される界面活性剤分子を有するものであると当該技術分野において既知である。ミセルが自然に生じるように、ミセルは十分に高い濃度の界面活性剤を含んでいる水溶液中で形成する。ミセルを形成するのに有益な界面活性剤は、これに限定されるものではないが、ラウリン酸カリウム、オクタンスルホン酸ナトリウム、デカンスルホン酸ナトリウム、ドデカンスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドキュセートナトリウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウムブロミド、塩化ドデシルアンモニウム、ポリオキシ8ドデシルエーテル、ポリオキシ12ドデシルエーテル、ノノキシノール10、及びノノキシノール30を含む。ミセル製剤は、局所的或いは経皮的な送達システムの貯蔵容器への組み入れ、若しくは身体表面に適用される製剤への組み入れのどちらかによって本発明と併せて使用され得る。
【0071】
同様に、ミクロスフィアは本処方及び薬物送達システムに組み込まれる。リポソーム及びミセルのように、ミクロスフィアは基本的に薬物若しくは薬物含有処方に含まれる。必ずではないが、それらは通常、脂質、好ましくはリン脂質等の荷電脂質から形成される。脂質ミクロスフィアの調合は、当該技術分野においてよく知られており、関連のあるテキスト及び文献に記載されている。
【0072】
当業者にとって既知の様々な添加物は、前記組成物に含まれる。例えば、比較的少量のアルコールを含む溶剤は、前記活性物質の可溶化を容易にするために使用される。他の任意の添加剤は、乳白剤、抗酸化剤、芳香剤、着色剤、ゲル化剤、増粘剤、安定剤等を含む。貯蔵上の腐敗を防ぐために、すなわちイースト及び糸状菌等の微生物の成長を阻害するために、抗菌物質等の他の物質も添加される。適切な抗菌物質は、一般的にp−ヒドロキシ安息香酸、すなわちメチル及びプロピルパラベンのメチル及びプロピルエステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸、イミドウレア、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【0073】
本発明の経皮的な組成物は、浸透促進剤及び/若しくは浸透増強治療との組み合わせで患者の身体表面の予定領域に投与される。適切な浸透促進剤の1つの種類は、身体表面に損傷を生じさせずに、身体表面を通る前記物質の流動を増強するのに効果的な量の、若しくは超音波治療と組み合わせでの水酸化物−解除剤等の化学的浸透促進剤である。他の適切な化学的浸透促進剤は、例えば、W.R.Pfister and D.S.T.Hsieh,"Permeation Enhancers Compatible with Transdermal Drug Delivery Systems,Part I:Selection and Formulation Considerations,"Pharm.Technol.,September 1990、及びW.R.Pfister and D.S.T.Hsieh,"Permeation Enhancers Compatible with Transdermal Drug Delivery Systems,Part II:System Design Considerations,"Pharm.Technol.,October 1990に記載されており、これらの開示は、適切な化学的浸透促進剤を記載するために、この参照によって本明細書に組み込まれるものである。本発明において使用される例示的な化学的浸透促進剤は、これに限定されるものではないが、アルコール、尿素などのアミン及びアミド、アミノ酸、アミノ酸エステル、Azone(登録商標)、ピロリドン、テルペン、脂肪酸、脂肪酸エステル、大環状化合物、界面活性剤、スルホキシド、リポソーム、トランスフェローム(transferomes)、レシチンベシクル、エソソーム(ethosomes)、水、アニオン性、カチオン性及び非イオン性活性剤、ポリオール及び精油を含む。
【0074】
本発明のGTX化合物は、比較的小さい分子量を有する一般的に小分子であり、水溶性であり、前記化合物と関連する正電荷を有しているものであり、従ってカチオンである。理想的には、脂溶性であり中性の電荷を有する小分子を使用して経皮的な浸透は実行される。従ってこの場合は、前記GTX化合物の経皮的なデリバリーを改良するために、特定の状況の下でアニオン性化学的浸透促進剤及び/若しくはアニオン界面活性剤を使用することが望ましい。また、脂溶性は経皮的なデリバリーを改良するため、それらの親水−親油性バランス(HLB)を変え、より脂溶性になるように、前記GTX化合物を化学的に改変することが望ましい。このような改変の1つの例は、例えば、いずれの適切な従来の手段でGTX分子に長鎖脂肪性分子を取り付けることによって、GTX分子に親油性「尾部」を加えることである。
【0075】
従って、前記活性物質を経皮的に移送する本方法は変更することができるが、活性成分の効果的な血中濃度若しくは浸透レベルを提供するのに十分な期間、皮膚若しくは粘膜組織の予定領域に、三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンを含む組成物を適用することは必ず含まれる。前記方法は、軟膏、ゲル、クリーム等としての前記組成物の直接適用を含む、若しくは当該技術分野において教示された(例えば、米国特許第4,915,950号、4,906,463号、5,091,186号、或いは5,246,705号明細書)薬物送達装置の使用を含むことができ、これらの開示は、特定の経皮的な薬物送達装置の記載若しくは以下に記載したようなことを目的として、この参照によって本明細書に組み込まれるものである。
【0076】
本発明の別の実施形態において、イオントフォレシス、フォノフォレシス、ソノ−マクロポレーション、温度調節、磁気変調、及び機械的調節から選択された物理的な経皮的な浸透促進方法は、単独若しくは他の物理的或いは化学的浸透促進剤と組み合わせて使用され得る。これらの方法の多くの実施例は、例えば、"Drug Permeation Enhancement,Theory and Applications,"D.S.T.Hsieh,ed.,Marcel Dekker,New York,New York(1994)に見出される。
【0077】
イオントフォレシスは、毒素を有する組成物を含んでいるパッチ若しくは皮膚領域を通過して電流を通すことによって皮下部位に毒素を移送することができる。特定の実施形態において、電極は経皮的なパッチ若しくは皮膚上の外面に設置され、接地電極は他の場所に設置される。電流は前記毒素が皮膚を貫通するために適用される。電流の量は一般的に1mA/cm未満であり、好ましくは、0.3〜0.7mA/cmで使用される。様々なGTXが+1の電荷を有しているため、例えば+2の電荷を有する他の分子と比較して、GTXはイオントフォレシスの適用を経て皮膚への透過を容易にする。
【0078】
浸透増強の特に好ましい方法は、フォノフォレシス及びソノ−マクロポレーションである。これらの方法は、薬剤の経口投与で見られる胃腸の劣化及び肝臓の初回通過代謝の回避を含むいくつかの利点を提供し、それは非侵襲性であるので患者の承諾を改善し、皮膚に損傷を与える化学的浸透促進剤の使用の必要をなくすことができ、イオン性若しくは非イオン性の活性成分の送達に使用されることができ、水性及び非水性の担体の両方と併せてよく機能し、深い皮下組織に前記活性成分を移送することができ、これらの方法は経皮的なパッチ及び/若しくは浸透促進剤等の他の経皮的な送達システムと組み合わせて使用されることができる。フォノフォレシスは、例えば、E.J.Novak,Arch.Phys.Med.Rehabil.,May,231(1964)、及びH.A.E.Benson,J.C.McElnay,and R.Harland,Int.J.Pharm.,44,65(1988)において、局所麻酔薬を移送するために使用されている。フォノフォレシスの最適な条件は、"Y.Sun and J.C.Liu,"Transdermal Drug Delivery by Phonoporesis:Basics,Mechanisms,and Techniques of Application,Chapter 15,"Drug Permeation Enhancement Theory and Applications,D.S.T.Hsieh,Ed.,Marcel Dekker,New York,New York(1994)に記載されており、これらの開示は、適切なフォノフォレシス条件を記載することを目的として、この参照によって本明細書に組み込まれるものである。
【0079】
フォノフォレシスが使用される場合、前記組成物は、変換器の表面から患者まで音響エネルギーを伝達するための適切なカップリング剤を含まなければならない。水の音響インピーダンス及び軟組織の音響インピーダンスの間には小さな差異しかないので、水は好ましいカップリング剤である。或いは、水性チキソトロピックゲル、グリセリン、及び鉱油等の市販のカップリング剤を使用することができる。
【0080】
フォノフォレシスを実行する際には、約10kHz〜約20MHzの振動数を使用することができる。より好ましくは、約1MHz〜約16MHzの振動数を使用する。超音波は連続的若しくはパルスであっても良く、治療の強度及び持続期間は患者及び要求される薬物送達の所望レベルに依存して当業者によって決定され得る。一般的に、フォノフォレシスでは約2W/cm未満の強度が適用される。
【0081】
或いは、ソノ−マクロポレーションが使用され得る。ソノ−マクロポレーションが使用される場合、一般的に2W/cm以上〜約40W/cmの音響強度が、約10〜100kHz、より好ましくは20〜80kHzの振動数と組み合わせて使用される。ソノ−マクロポレーションは、約400〜600kDaの分子量を持つ大きな分子の浸透を促進するのに最も有益である。
【0082】
前述の組成物及び送達方法は、必要に応じて本発明の様々な方法を実施するために使用され得る。従って記載されているあらゆる組成物は、本明細書において記載される様々な病気、筋障害若しくは他の状態のいずれかを治療するために使用され得る。
【0083】
以下の実施例において、「用量」は患者への1回の投与中に使用される毒素の量に言及するものである。1回の用量は1若しくはそれ以上の部位に適用される。「治療」は所望の効果を達成するために患者に与えられる用量の総数を指す。マウスアッセイによって決定された、GTX2及びGTX3の混合物の100ユニットは、HPLC−FLDによって測定されたように、25μgのGTX2及びGTX3と等量である。
【実施例1】
【0084】
1活性単位は、20グラムのCF1アルビノBALB−C系統マウスの大腿二頭筋の筋収縮を1.5〜2時間阻害するのに必要とされる本発明の組成物量に対応する。この毒素は、マウス右脚大腿二頭筋筋肉内に0.5ml注射した。左脚は対照として使用した。これはマウス3匹において行い、麻痺効果は最初の2時間では30分毎にテストし、その後2、4、8時間毎そして一晩置いてテストした。注射された用量に依存し、麻痺効果は24時間又はそれ以上持続し得る。本実施例によって本発明の毒素の効果の可逆性が確認され、効果の持続期間が前記毒素の投与量調節により制御され得ることを実証した。
【実施例2】
【0085】
線維筋痛
毒素の各用量は、ゴニオトキシン(GTX2/GTX3)混合物の活性の10〜400ユニットを含み、図1の図に示された2〜20の筋肉ポイントにおいて局所的に筋肉内へ浸透させた。各注入ポイントには、0.1〜0.2ml(10〜20ユニット)の毒素溶液を注入し、溶液1ミリリットルにつきGTX2/GTX3混合物の活性の100ユニットを含むものである。担体は、0.9%塩化ナトリウム滅菌溶液であり、保存料は無添加である。この用量は、例えば医者に処方されるか又は痛みを最小限にするために患者の要求に応じて、4週間毎に繰り返した。
【0086】
10人の患者が非盲検試験に登録されていた。この患者らは、特定の診断基準を満たす必要がある。この試験の評価及び承認に基づき、患者に上述のように毒素を投与した。各患者の症候及び局所的痛みのポイントに従って、医者は、図1に示される一般的注入部位の図に従って浸透ポイントの数を決定した。各投与後20分で、10人の全患者が痛みの完全な緩和を報告した。患者は1回の投与後3ヶ月間追跡調査し、2人の患者のみが治療後4及び8週間で痛みの症状を再発させた。
【実施例3】
【0087】
緊張性頭痛
毒素の各用量は、ゴニオトキシン(GTX2/GTX3)混合物の活性の10〜400ユニットを含み、図2の図に従って2〜20の筋肉ポイントにおいて局所的に筋肉内へ浸透させた。各注入ポイントには、0.1ml(10ユニット)の毒素溶液を注入し、溶液1ミリリットルにつきGTX2/GTX3混合物の活性の100ユニットを含む。担体は、0.9%塩化ナトリウム滅菌溶液であり、保存料は無添加である。この用量は、例えば医者に処方されるか又は患者の要求に応じて、4週間毎に繰り返した。
【0088】
20人の患者が非盲検試験に登録されていた。この患者らは、以下の診断基準を満たす必要がある:彼等は、慢性患者でなければならず、第一に少なくとも週2回非血管性緊張性頭痛があり、以前にこの状態に対して鎮痛剤、全身性筋肉弛緩剤、局所的コルチコステロイド浸潤、又は抗うつ薬で治療を受けていた。この試験の評価及び承認に基づき、医者は、基本的に図2を参照し上述の一般的注入部位の図に従って毒素浸透ポイントの数を決定した。
【0089】
結果が示すように、投与後20分で、20人の全患者は痛みの完全な緩和を報告した。患者は、1回の投与後約3ヶ月間追跡調査した。現在まで、全患者の内4人の患者のみが、治療の4〜6週間後、緊張性頭痛からかすかな痛みの再発を経験した。
【実施例4】
【0090】
眼瞼痙攣及び片側顔面痙攣
毒素の各用量は、ゴニオトキシン(GTX2/GTX3)混合物の活性の10〜400ユニットを含み、2〜4投与ポイントを介して眼窩筋へ局所的に筋肉内浸透させた。付加的な局所的投与ポイントは、医者により及び/若しくは各患者の病状の深刻さに従って決定されたように、他の顔面筋肉において使用した。各注入ポイントへは、0.1〜0.4ml(10〜40ユニット活性)の毒素溶液を注入し、溶液1ミリリットルにつきGTX2/GTX3混合物の活性の100ユニットを含む。担体は、0.9%塩化ナトリウム滅菌溶液であり、保存料は無添加である。この投与は、医者に処方されるか又は患者の要求に応じて2〜4週間毎に繰り返した。
【0091】
数人のボランティアが眼瞼痙攣及び/若しくは片側痙攣の治療を受けていた。患者の症候に合わせ、医者は注入ポイントの数(2〜20)を決定した。
【0092】
図3A及び図3Bにおいて、眼瞼痙攣のある患者においてGTX毒素の局所的投与の効果を示した。図3Aにおいて、患者のまぶたは収縮していて、目は閉じており、眼瞼痙攣の病状の特性を示していた。注入後2分で患者は目を開けることができ、痙攣は収まった(図3B)。この効果は2週間持続した。
【0093】
図4Aにおいて、ボツリヌス菌毒素A耐性を示す持続性片側顔面痙攣のある患者を示した。GTX毒素は、上述のように投与された。注入の2分後、顔面筋肉は、図4Bで示されるように弛緩した。この効果は1週間持続した。
【実施例5】
【0094】
しわ対策用化粧品ゲル
エトキシジグリコール 6.500% w/w
ラウレス−7 1.000% w/w
ジアゾリジニル尿素 0.300% w/w
メチルパラベン 0.150% w/w
プロピルパラベン 0.050% w/w
ヒドロキシエチルセルロース 1.500% w/w
毒素GTX2/GTX3 0.01〜0.0001% w/w
水 100% w/wになるまで
【0095】
成分の目的:
エトキシジグリコール:浸透促進剤(有機溶媒)
ラウレス−7:浸透促進剤(界面活性剤)
ジアゾリジニル尿素、メチルパラベン、プロピルパラベン:保存料
ヒドロキシエチルセルロース:増粘剤
【0096】
配合手順:
ヒドロキシエチルセルロース以外の全成分を水に溶解し、攪拌して透明で均一な溶液にした。ボルテックス混合でヒドロキシエチルセルロースポリマーを分散させ、ボルテックスなしで滑らかで透明のゲル状になるまで攪拌を続けた。
【実施例6】
【0097】
局所投与のクリーム
【表4】

【実施例7】
【0098】
【表5】

【実施例8】
【0099】
【表6】

【実施例9】
【0100】
軟膏
ワセリン 75.000% w/w
セスキオレイン酸ソルビタン 10.000% w/w
白ろう 10.000% w/w
毒素GTX2/GTX3 0.01〜0.0001%w/w
水 100%になるまで
【0101】
成分の目的:
ワセリン:皮膚軟化軟膏基剤
セスキオレイン酸ソルビタン:乳化剤、浸透促進剤
白ろう:増粘剤、安定剤
【0102】
配合手順:
ワセリン、セスキオレイン酸ソルビタン、及び白ロウを60℃で溶解し、均一になるまで攪拌した。ゆっくりと毒素の水溶液を入れ、軟膏が凝固するまで攪拌を続けた。
【実施例10】
【0103】
GTX2/GTX3混合物を含むクリーム処方は、健康な成人ボランティアの額(眉間又は渋面のしわ)及び目の周囲(カラスの足形のしわ)に適用した。使用後、経皮吸収を促進するためにそのあたりを30秒間手動の超音波装置(Beuty Care System,Model JS−2000,Annapolis,メリーランド州、米国)で治療した。前記クリームの適用は、24時間に亘って持続したしわの減少を誘導した。
【実施例11】
【0104】
実施例2において使用したGTX2とGTX3との混合物の200ユニット〜5,000ユニットまでの用量は、正常なボランティアの内肛門括約筋への注入によって投与した。これらの用量は不都合な又は負の副作用がなく十分に容認された。ボランティアは、比較的大量の毒素の局所的注入中及びその後も健康であった。
【実施例12】
【0105】
正常な括約筋強度(肛門直腸検圧法によって決定された静止時で72mmHg以下の圧力)を有する24〜48歳の健常成人男性10人を試験した。前記被験者は、痔、痔瘻、膿漏などの肛門直腸性病状は患っていなかった。診療前に、肛門直腸検圧法、筋電図検査法、ヘモグラム、基礎的代謝パネル及び尿検査の含む検査を実施した。
【0106】
GTX−2及びGTX−3を約2:1の割合で組み合わせた総容量1.0mlの100活性単位の用量を、インシュリンシリンジ(25ゲージ)を用いて、肛門内部括約筋の両側(各側面0.5ml)に浸潤させた。前記GTX−2とGTX−3との混合物は、チリのパタゴニアフィヨルドで漁獲され、PSP毒素で高度に汚染されていることが判明した甲殻類から通常の精製方法を使用して精製した。
【0107】
注射の2分後、肛門直腸検圧法を実施した。静止圧及び随意収縮圧を測定し、記録し、基準圧と比較した。毒素注射の前後で各参加者の直腸−肛門反射及び皮質−肛門反射も測定し、記録した。肛門管圧は、水充満ミクロバルーン及び外部変換(PVB)灌流装置を用いた固定貫通技術により記録した。出力の記録及び分析は、コンピュター化されたシステム(8チャネルポリグラフID、ポリグラム98版2.2のメトロニックポリグラフ)によって行った。
【0108】
肛門静止圧は、固定貫通技術を用いて水銀柱ミリメートル(mmHg)で記録し、コンピュターによって平均圧を定めた。各参加者における最大の随意収縮を肛門括約筋の随意収縮の評価により見積もった。振幅は水銀柱ミリメートルで表した。
【0109】
参加者は、24時間後及び48時間後、1週間後及び12日後に評価した。実験室分析のために、注射1週間後に血液及び尿サンプルを各参加者から採取した。尿中の毒素レベルは注射後4時間で測定した。あらゆる副作用及び痛みの度合いに加え、脈拍及び血圧を各回毎に記録した。注入時の痛み及び注入後2分の痛みのスコアは、痛みの最大値を10とする1〜10の痛み尺度を用いて、参加者の診察によって決定した。
【0110】
長期的な結果は、参加者との個人的コミュニケーション及び参加者の要望による診察検査を通して12ヶ月の中間フォローアップ後に決定した。
【0111】
いずれの参加者も本試験から脱落せず、不都合な又は負の副作用はなかった。臨床検査値ではいかなる著しい変化も示さず、注射後4時間後に収集した尿素サンプルから毒素は検出されなかった。毒素検出は、オンライン蛍光検出を備えた分析的高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により実行し、この方法の検出限界は、10ml中1マイクログラムであった。この結果はまた、PSP毒素が一度注射されると直ちに細胞外媒体に入り、希釈物を生成する事実に対応する。
【0112】
表1は、試験結果の要約である。表1に示されたように、全参加者は、肛門直腸検圧法を用いた注射中及びその2分後の肛門直腸内臨床検査により決定されたように、注射後30秒以内に括約筋弛緩を示した。参加者は全員、肛門麻酔を平均時間59.5分±7.12分(平均値±標準偏差)感じ、括約筋低緊張感覚を40.0±4.20分感じたと述べた。参加者の誰も腸内ガス失禁又は一過性便失禁を示さなかった。
【0113】
【表7】

【0114】
表2は、肛門直腸検圧法記録の要約である。検圧法記録は、肛門最大随意収縮圧において有意な減少を示した。注射後2分でこの圧力は、基準値の55.2±6.2%(平均値±標準偏差)であり、44.8%の減少であった。注射後24時間で、肛門最大随意収縮圧の低下は基準値の53%に増大した。注射後15日で、全ての肛門最大随意収縮圧が基準値に帰した。注射の前後に記録された筋電図検査法(EMG)では、この注射が筋肉の活性をほとんどなくすことを示された。12ヶ月の追跡診察(長期追跡調査)において、前記参加者はいずれも不都合な又は負の副作用(つまり肛門直腸の問題)を示さなかった。
【0115】
【表8】

【0116】
表2から分かるように、GTX−2とGTX−3との混合物の投与後、完全な肛門括約筋弛緩が参加者の100%において直ちに達成された。これは、これら毒素の注射が括約筋に局所的に麻痺を起こさせることを示唆する。この弛緩は、注射の間に大腸肛門研究医によりなされた肛門の臨床評価により確認された。前記毒素の注射は、腸内ガス失禁又は便失禁などの持続性副作用を何ら伴わず、直腸−肛門反射及び皮質−肛門反射は正常であった。注射された毒素レベルは、過剰筋収縮は阻害するが、通常の行為に対し十分な強度を残す。
【0117】
毒素の局所的な末梢適用は、神経筋伝達を干渉し、活動電位を変化させ、一時的に括約筋の麻痺を引き起こす。GTXの活動形態は注射された筋肉に向けられており、その領域の他の筋肉には何ら影響を与えない。この麻痺効果より、括約筋局所注射が12日間持続することが示唆された。副作用はないので、局所的に注射されたこの毒素の使用は安全であり、肛門括約筋の使用に特に有効である。治癒組織の固定化は基本的治療原則であり、麻痺性毒素を使用する治療は上述の他の筋肉関連の病状の緩和において有効である可能性がある。
【実施例13】
【0118】
肛門裂傷を患った18〜70歳の成人50人を、安全で効果的な軟膏治療の代替で且つ治療過程を促進し外科的介入の必要性をなくす肛門強度の減少を介して、肛門裂傷の治療におけるGTXの局所的浸透の有効性効果を試験する研究の一環として評価した。
【0119】
患者は、次の試験対象患者基準:前部、後部又は両方の限局性潰瘍の証拠、排便後又は自発的痛み、出血又はその両方の症状を伴う末端での硬化及び内肛門括約筋水平線維後部の硬化、で評価した。2ヶ月持続期間の肛門裂傷歴のある患者は慢性的だとみなした。表3は、研究対象患者の詳細を含む。18歳未満又は71歳以上の患者は、妊婦であった又は以前に痔、瘻、又は肛門潰瘍などを併発した肛門裂傷を患っていたため今回の研究から除いた。
【0120】
【表9】

【0121】
本研究の治癒基準及び主要エンドポイントは、痛みからの解放及び裂肛上皮化であった。患者は、GTXの作用及びメカニズムに関し完全に知らされており、全患者が同意書を提出した。本研究は、無作為二重盲検臨床試験であり、ここにおいて患者は診断され、GTX−2とGTX−3との混合物又は0.9%塩化ナトリウムプラセボ水溶液を注射された。プラセボ治療の患者15人は、状態の改善も悪化も見られず、GTX注射された患者は3週間後に改善を見せ、その後に本研究は人道主義及び道義上公開した。
【0122】
試験投薬量は、1.0ml用量のGTX−2とGTX−3との混合物の100活性単位であり、裂肛の両側、内肛門括約筋に局所的に等量を浸潤させた。注射はインスリン針(25ゲージ)で達成した。
【0123】
肛門圧は、上述のように測定し記録した。患者は、注射後7、14、及び28日後に臨床評価した。注射中及び2分間の痛みは、患者に痛みを1〜10段階、痛みの最大値を10としてランク付けしてもらうことにより評価した。便軟化剤、膨張性下剤、座浴は処方しなかった。長期の成果は12ヶ月フォローアップ検査により決定した。
【0124】
【表10】

【0125】
【表11】

【0126】
本研究に参加した患者50人の誰も試験最中及びその後不都合及び負の副作用はなかった。表5に示されるように、100%の患者が指診及び肛門直腸検圧法により検出された弛緩を注射後に即座に示した。大腸肛門研究医は、指診中に肛門強度の減少を検出し、全患者は、彼らが注射後肛門麻酔を感じたと断言した。注射後7日での検査は、全患者において著しく減少した肛門強度が見られた。失禁は観察されず、全患者は直腸−肛門反射及び皮質−肛門反射を維持した(表4を参照)。
【0127】
表5には、検圧法の記録により示唆されたように、最大静止圧(MRP)の有意な減少が全患者において実証された。MRPの記録は、108.8±24.9から61.1±22.8mmHg(平均値±標準偏差)に減少し、MRPベースライン値の56.2±12.5mmHgまで減少した。これは平均43.8%の減少を表す。同様に最大随意収縮圧(MVCP)は、MVCP基準値の74.3±13.1mmHgまで減少し、これは平均25.7%の減少である。
【0128】
急性肛門裂傷患者は、注射48時間以内に出血が停止した。注射後7日での検査までに、これらの患者は排便後においてのみ中程度の痛みを伴い、外傷の上皮形成を示した。注射後14日での検査までに、全患者は瘢痕形成を伴う完全な上皮化を示した。
【0129】
慢性肛門裂傷患者もまた、48時間以内に出血が停止した。注射後7日での指診検査までに、慢性裂肛患者の50%が急性患者と同様の上皮化を示した。それにも関わらず、上皮化は注射後14日での検査から明らかになり、注射後28日での検査により98%の慢性肛門裂傷患者において上皮化が達成された。全患者が排便後の痛みがなく、無症候になった。
【0130】
1人の患者は、注射後3ヶ月で再発し、外科的介入を必要とした。この患者は、59歳の女性で、激しい痛み及び出血の期間を伴う8年間の肛門裂傷再発歴があり、さらに複雑なことに、裂肛下の浸潤と出血の傾向とを伴っていた。基準値での彼女の肛門直腸検圧値は、MRPで118mmHg、MVCPで171mmHgを示した。本研究の残りの患者は、無症候で正常のままであった。38ヶ月のフォローアップ後、わずか2人の患者が肛門裂傷を再発し、他の治療を必要とした。
【0131】
結果により、100%の患者が浸透直後肛門括約筋弛緩を経験したことが示唆された。内括約筋において麻痺が引き起こされ、同時に肛門強度の減少がおきた。腸内ガス失禁及び便失禁は見られず、全患者は、機能的肛門反射及び皮質−肛門反射を維持し、これは浸透が筋肉の過剰収縮を阻害し通常の筋肉行為に十分な強度を残すことを示唆するものである。注射の繰り返しによって何ら問題及び副作用をもたらされなかった。麻痺効果は1週間以上持続した。12ヶ月目の検査で、何ら副作用は見られなかった。
【0132】
本研究の50人の患者の内、3人の急性患者及び33人の慢性患者は、以前に座浴、便軟化剤、高繊維質の食事、腸制御、及び局所的軟膏で保存療法を受けていたが何ら効果がなかった(治癒しなかった)。本研究の治癒率は、28日以内で全患者の98%であったが、17人の急性患者は15日以内に治癒した。これらの結果は、他の薬学的治療(BoTox、ニトログリセリン或いはニフェジピン)より高い有効性を示した。
【0133】
本実施例によると、GTX治療は、実質即時的で比較的長く持続する筋肉弛緩効果をもたらし、様々な状態の治療に利便的に使用され得ることが強調される。GTX治療は、化学的脱神経誘導時間間隔を減少させる。GTXが100ユニットの活性投薬量で与えられる際、タンパク質分解性構造損失を伴う3ヶ月若しくはそれ以上の持続期間の非可逆性化学的脱神経をもたらすBoTox治療とは対照的に、12日間持続の可逆性化学的脱神経をもたらす。筋肉不活性化は、筋肉細胞壁上の新しい領域で新しい接合部を形成している神経から新しい原線維が成長するまで持続する。
【実施例14】
【0134】
1活性単位は、20グラムのCF1アルビノ系統マウスの脚の大腿二頭筋の筋収縮を1.5〜2.0時間阻害するのに必要とされる本発明の組成物量に対応する。この毒素は、0.5mlの用量でマウス右脚大腿二頭筋へ筋肉内に注射した。左脚は対照として使用した。これはマウス3匹において行い、麻痺効果は最初の2時間では30分毎にテストし、その後は2、4、8時間毎そして一晩置いてテストした。注射された用量に依存し、麻痺効果は24時間又はそれ以上持続し得る。本実施例によって、本発明の毒素の効果の可逆性が確認され、効果の持続性は毒素の投薬量調節により制御され得ることが実証された。
【実施例15】
【0135】
発汗過多
2人の患者は、手掌の発汗過多の治療を受けた。患者の症候に合わせ、医者は毒素注射ポイントの数(2〜20)を、基本的に指及び手掌の一般注射図に従って決定した。毒素の各用量は、GTX2/GTX3混合物の10〜400活性単位を含み、2〜10筋肉ポイントにおいて局所的に筋肉内へ浸透させた。各注射ポイントへは、0.1〜0.2ml(10〜20単位)の毒素溶液を注入し、1ミリリットルにつき100活性単位のGTX2/GTX3混合物を含む。この溶液は0.9%塩化ナトリウム滅菌溶液で製造し、保存料は無添加である。
【0136】
結果より、治療を受けていない対照の手掌における同様の濾紙の重さと比較して、治療中の手掌下に5分間置かれた濾紙の重さを決定することによって、測定されたように、手掌の汗量の減少が見られた。更に、前記毒素の効果は両方の濾紙の注射前後の外観検査により測定され得る。治療された手は、前記毒素の投与後放出された著しく少ない水分又は無水分を示した。
【0137】
本発明の様々な実施形態の上述の詳細な説明は、図示及び記載のみの目的で開示され、本発明の範囲をいかなる方法で限定するものではない。当業者は、本発明の範囲内において多くの修飾及び変形が可能であることを理解するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】図1は、線維筋痛症に対するGTX注射ポイントを図示したものである。
【図2】図2は、緊張性頭痛患者に対するGTX注射ポイントを図示したものである。
【図3】図3は、毒素適用前及び毒素適用後1分での、眼瞼痙攣を患った患者の図である。
【図4】図4は、毒素適用前及び適用後での半側顔面痙攣を患った患者の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼瞼痙攣、斜視、限局性筋失調症、多汗症、膀胱弛緩、筋肉痙縮に関連した痛み、及び筋肉痙縮から成る群から選択される少なくとも1つの病気を患った患者を治療する方法であって、
前記治療を必要とする患者に、以下の化学式(I)で示される三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンを少なくとも1つと、薬学的に許容可能な担体とを含む組成物の有効量を投与する工程を有するものであり、前記化学式(I)は、
【化1】

であり、ここで、
及びRはそれぞれ、−H及び−OHから成る群から選択され、R及びRはそれぞれ、−H及び−SOから成る群から選択され、Rは−H、−OH、−COONH、−COONHSO、及び−COOCHから成る群から選択されるものであるが、ただし、R及びRのいずれか1つは−OSOであるか、若しくはRは−COONHSOでなければならないものである
治療する方法。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記組成物は、筋肉内に注入されるものである。
【請求項3】
請求項1の方法において、前記化学式Iの少なくとも1つの化合物は、GTX−1、GTX−2、GTX−3、GTX−4、及びGTX−5から成る群から選択されるものである。
【請求項4】
請求項3の方法において、前記組成物は、GTX−2及びGTX−3を有するものである。
【請求項5】
請求項3の方法において、前記組成物の有効量は、約1〜約5000活性単位を有するものである。
【請求項6】
請求項3の方法において、前記組成物の有効量は、32より大きく約1000までの活性単位を有するものである。
【請求項7】
請求項3の方法において、前記組成物の有効量は、40以上〜約1000活性単位を有するものである。
【請求項8】
請求項3の方法において、前記組成物の有効量は、約50〜約500活性単位を有するものである。
【請求項9】
請求項3の方法において、前記組成物の有効量は、約75〜約200活性単位を有するものである。
【請求項10】
請求項3の方法において、前記組成物は更に、サキシトキシン、ネオサキシトキシン、デカルバモイルサキシトキシン、破傷風毒素、及びボツリンA毒素から成る群から選択された神経毒を有するものである。
【請求項11】
請求項3の方法において、前記組成物は更に、局所的麻酔薬を有するものである。
【請求項12】
請求項11の方法において、前記局所的麻酔薬は、ベンゾカイン、テトラカイン、メピバカイン、プリロカイン、エチドカイン、ブピバカイン、インドカインから成る群から選択されるものである。
【請求項13】
請求項2の方法において、前記組成物は、複数注入ポイントで注入されるものである。
【請求項14】
請求項13の方法において、前記複数注入ポイントの位置は、治療される特定の病気に対する予定治療プランに基づいて、少なくとも一部は決定されているものである。
【請求項15】
請求項1の方法において、前記組成物は、局所的に適用されるものである。
【請求項16】
請求項15の方法において、前記局所的組成物は、化学式Iの化合物の1若しくはそれ以上を、前記組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%〜約0.01重量%有するものである。
【請求項17】
請求項1の方法において、前記組成物は、経皮的に適用されるものである。
【請求項18】
手根管症候群、線維筋痛症、関節発赤、関節痛、手術後疼痛、関節炎、坐骨神経症、腱鞘炎、頸部痛、背痛、半側顔面痙攣、機能亢進喉頭、若年性脳性麻痺、痙縮、緊張型頭痛、偏頭痛、書痙、振戦、顔面痙攣、上部及び下部食道括約筋の障害、消化管障害、肥大性幽門狭窄、痔核、一過性直腸神経痛、過敏性腸症候群、筋肉痙縮、血管?縮性障害、子宮に関する障害、或いは膀胱痙縮、オディ括約筋機能不全、及びショートセグメントヒルシュスプルング病、及び歯軋りから成る群から選択される少なくとも1つの病気を患った患者を治療する方法であって、
前記治療を必要とする患者に、以下の化学式Iで示される三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンを少なくとも1つと、薬学的に許容可能な担体とを含む組成物の有効量を投与する工程を有するものであり、前記化学式Iは、
【化2】

であり、ここで、
及びRはそれぞれ、−H及び−OHから成る群から選択され、R及びRはそれぞれ、−H及び−SOから成る群から選択され、Rは−H、−OH、−COONH、−COONHSO、及び−COOCHから成る群から選択されるものではあるが、ただし、R及びRのいずれか1つは−OSOであるか、若しくはRは−COONHSOでなければならないものである、
治療する方法。
【請求項19】
請求項18の方法において、前記組成物は、筋肉内に注入されるものである。
【請求項20】
請求項18の方法において、前記化学式Iの少なくとも1つの化合物は、GTX−1、GTX−2、GTX−3、GTX−4、及びGTX−5から成る群から選択されるものである。
【請求項21】
請求項20の方法において、前記組成物は、GTX−2及びGTX−3を有するものである。
【請求項22】
請求項20の方法において、前記組成物の有効量は、約1〜約5000活性単位を有するものである。
【請求項23】
請求項20の方法において、前記組成物の有効量は、32より大きく約1000までの活性単位を有するものである。
【請求項24】
請求項20の方法において、前記組成物の有効量は、40より大きく約1000までの活性単位を有するものである。
【請求項25】
請求項20の方法において、前記組成物の有効量は、約50〜約500活性単位を有するものである。
【請求項26】
請求項20の方法において、前記組成物の有効量は、約75〜約200活性単位を有するものである。
【請求項27】
請求項20の方法において、前記組成物は更に、サキシトキシン、ネオサキシトキシン、デカルバモイルサキシトキシン、破傷風毒素、及びボツリンA毒素から成る群から選択される神経毒を有するものである。
【請求項28】
請求項20の方法において、前記組成物は更に、局所的麻酔薬を有するものである。
【請求項29】
請求項28の方法において、前記局所的麻酔薬は、ベンゾカイン、テトラカイン、メピバカイン、プリロカイン、エチドカイン、ブピバカイン、インドカインから成る群から選択されるものである。
【請求項30】
請求項18の方法において、前記組成物は、局所的に適用されるものである。
【請求項31】
請求項20の方法において、前記局所的組成物は、前記化学式Iの化合物の1若しくはそれ以上を、前記組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%〜約0.01重量%有するものである。
【請求項32】
請求項19の方法において、前記組成物は、複数注入ポイントで注入されるものである。
【請求項33】
請求項32の方法において、前記複数注入ポイントの位置は、治療される特定の病気に対する予定治療プランに基づいて、少なくとも一部は決定されているものである。
【請求項34】
請求項18の方法において、前記組成物は、経皮的に適用されるものである。
【請求項35】
しわを軽減する或いは除去する方法であって、
前記治療を必要とする患者に、以下の化学式Iで示される三環式3,4−プロピノペルヒドロプリンを少なくとも1つと、薬学的に許容可能な担体とを含む組成物の有効量を投与する工程を有するものであり、前記化学式Iは、
【化3】

であり、ここで、
及びRはそれぞれ、−H及び−OHから成る群から選択され、R及びRはそれぞれ、−H及び−SOから成る群から選択され、Rは−H、−OH、−COONH、−COONHSO、及び−COOCHから成る群から選択されるものであるが、ただし、R及びRのいずれか1つは−OSOであるか、若しくはRは−COONHSOでなければならないものである、
しわを軽減する或いは除去する方法。
【請求項36】
請求項35の方法において、前記組成物は、筋肉内に注入されるものである。
【請求項37】
請求項35の方法において、前記化学式Iの少なくとも1つの化合物は、GTX−1、GTX−2、GTX−3、GTX−4、及びGTX−5から成る群から選択されるものである。
【請求項38】
請求項37の方法において、前記組成物は、GTX−2及びGTX−3を有するものである。
【請求項39】
請求項37の方法において、前記組成物の有効量は、約1〜約5000活性単位を有するものである。
【請求項40】
請求項37の方法において、前記組成物の有効量は、32より大きく約1000までの活性単位を有するものである。
【請求項41】
請求項37の方法において、前記組成物の有効量は、40より大きく約1000までの活性単位を有するものである。
【請求項42】
請求項37の方法において、前記組成物の有効量は、約50〜約500活性単位を有するものである。
【請求項43】
請求項37の方法において、前記組成物の有効量は、約75〜約200活性単位を有するものである。
【請求項44】
請求項37の方法において、前記組成物は更に、サキシトキシン、ネオサキシトキシン、デカルバモイルサキシトキシン、破傷風毒素、及びボツリンA毒素から成る群から選択される神経毒を有するものである。
【請求項45】
請求項37の方法において、前記組成物は更に、局所的麻酔薬を有するものである。
【請求項46】
請求項45の方法において、前記局所的麻酔薬は、ベンゾカイン、テトラカイン、メピバカイン、プリロカイン、エチドカイン、ブピバカイン、インドカインから成る群から選択されるものである。
【請求項47】
請求項35の方法において、前記組成物は、局所的に適用されるものである。
【請求項48】
請求項37の方法において、前記局所的組成物は、化学式Iの化合物の1若しくはそれ以上を、前記組成物の総重量に基づいて、約0.0001重量%〜約0.01重量%有するものである。
【請求項49】
請求項36の方法において、前記組成物は、複数注入ポイントで注入されるものである。
【請求項50】
請求項49の方法において、前記複数注入ポイントの位置は、治療される特定の病気に対する予定治療プランに基づいて、少なくとも一部は決定されているものである。
【請求項51】
請求項35の方法において、前記組成物は、経皮的に適用されるものである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−536264(P2007−536264A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511659(P2007−511659)
【出願日】平成17年5月6日(2005.5.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/015946
【国際公開番号】WO2005/110417
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(506372885)ファイトトックス リミテッド (4)
【Fターム(参考)】