説明

フィルム接着剤を多孔板に塗布する方法及び装置

フィルム接着剤に細網化用多孔板を作成するための方法及び装置。この方法は、多孔板を支持するステップを含む。この方法はまた、フィルム接着剤の硬化を開始させることなく、フィルム接着剤を多孔板に接着させるステップを含む。この方法は、フィルム接着剤に真空を加える。次に、この方法は細網化ユニットを通して所定の速度で多孔板を移動させる。次に、この方法はフィルム接着剤を軟化させ、最後に空気流によって穿孔からフィルム接着剤を取り除く。この方法は普通、多くの産業において使用される音響シート・パネルを作り出すのに使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概して、接着剤をパネルに塗布することに関し、より詳細には、航空宇宙産業で使用される音響面シートにフィルム接着剤を塗布することに関する。
【背景技術】
【0002】
消音が必要な、航空宇宙産業又は他の産業で使用される音響面シートの芯に接着剤を塗布する方法が、長年の間知られてきた。知られているこれらの従来技術の芯細網化システムは、音響パネルの芯の上で直接細網化されたフィルム接着剤を有する。細網化の後、芯は音響パネルの表面に連結され、音響パネルの孔又は穿孔が芯の孔と合致するように位置合せされている。芯細網化システムは普通、放射放熱器により、芯上で軟化された状態で維持されたフィルム接着剤を有する。フィルム接着剤は芯上で軟化され、芯材料の孔からフィルム接着剤を取り除くために、エア・ナイフの上を通過する。
【0003】
普通、芯はハニカム型形状をしており、芯自体の上部にのみ、かつハニカム芯のオリフィス内ではないところに接着剤を有することが望ましい。従来技術の芯細網化システムでは、フィルム接着剤が軟化した後、細網化装置内のレール上を摺動するワイヤ・ラック上の細網化装置を通過する。その後、エア・ナイフは圧縮空気を芯の下から、芯から約30.48cm(1フィート)の距離で案内する。これによって、接着剤をハニカム・セル構造の各セルの上部の周りから吹き出させることが可能になり、それによって理論的には、セルの通路を遮るものがなく、且つ接着剤のない状態にすることができる。従来技術の芯細網化システムの最終製品は、芯セルの縁部の周りにフィルム接着剤を含む芯である。しかし、従来技術のシステムの多くは、芯セルとプライ孔の寸法が異なることにより、プライ孔が結合中に遮断され、それによって音響パネル内のさらに多くの穿孔を詰まらせる接着剤の流出にもつながる。音響パネルは普通、音響面シートの穿孔又はオリフィス内で音を吸収することによって機能する。これらの孔の何れかが遮断される、又はさらに多くの孔の詰まりが生じる可能性がある接着剤が流出する場合、音響面シートの音吸収能力が急激に小さくなる。
【0004】
従来技術の芯細網化方法は、芯の細網化中に多くの問題に出くわす。まず、芯から外板接着剤を切断する、又は除去するのに使用されるエア・ナイフは、普通は芯細網化システムの芯セルの端部に残された接着剤と混合し、これを劣化させる汚染物質を含む圧縮空気によって駆動される。これらの汚染物質は、芯と音響面シートの外側パネル又は外板の間の粘着力を小さくする。芯から音響部材の外側パネルが分離されることによって、パネルの雑音吸収特性が低下し、構造的完全性が小さくなり、また緩く連結された芯と外側パネルの間のあらゆる振動により外来雑音が作り出される。従来技術の芯細化方法に関連する別の問題は、フィルム接着剤を囲む空気が冷却可能であり、それによって芯セルの縁部でのフィルム接着剤の破断につながる。このような破断により、フィルム接着剤がパネルに位置合せされ、それに固定される場合、フィルム接着剤の有効性が小さくなる。さらに、空気が十分冷却され、エア・ナイフが適当な圧力で移動しない場合、フィルム接着剤はハニカム芯構造内のセルの開口部の上からは取り除かれず、それによってセルが音響を吸収するのを妨げ、音響シートの音響吸収の全体的有効性を小さくする。従来技術の芯細網化方法はまた、ハニカム・セルの縁部に沿って均一な隅肉を発達させ、それを有するという問題がある。さらに、エア・ナイフに誤った角度が使用された場合、芯に関して、ベンチュリが各個別のセル内で発達することができ、隅肉はセルの上部に適切に形成されず、それによってこのように損傷したセルの音響吸収能力の減少が生じる。
【0005】
また、従来技術の芯細網化方法には普通、20パーセント超の芯細網化システム内に欠点がある。製造者は、音響シートのハニカム芯内の芯セルが開かれていない、又は遮断されていることによる、音響シート・パネルの劣化を10パーセント未満に抑えたいと考える。音響面シートの雑音減衰は、現代の宇宙航空体の設計において重要である。ハニカム芯内のセルがより多く遮断されればされるほど、音響パネルに潜在的な雑音吸収が小さくなる。これらの音響パネルは、コックピット、本体、翼、及びエンジン内の格納容器壁内に組込まれ、それによって雑音の減少がこのような製品の有効性によって重要である。
【0006】
したがって、ハニカム芯の縁部の代わりに、パネルにフィルム接着剤を直接接着させる新しい細網化方法に対する需要が当業界にはある。また、汚染量を少なくし、音響面シートの芯セル内のセルを部分的に遮断する、又は遮断した細網化方法に対する需要が当業界にはある。さらに、音響面シート・パネルを製造し、構築する低コストの方法に対する需要が当業界にはある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の1つの目的は、改良型の細網化方法を提供することである。
【0008】
本発明の別の目的は、パネル及びフィルム接着剤を細網化する新規の方法及び装置を提供することである。
【0009】
本発明の別の目的は、一定の温度を維持し、空気流の上を通過する前にフィルム接着剤の軟化を促進するパネルを細網化する方法を提供することである。
【0010】
本発明の別の目的は、様々な輪郭をした部品上でパネル及びフィルム接着剤の細網化を作り出す方法を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、フィルム接着剤の汚染、及びフィルム接着剤のあらゆる破断を減らすパネルを細網化する方法を提供することである。
【0012】
本発明の別の目的は、芯と多孔板内の孔の間でオリフィスを遮断することなく、パネル及びフィルム接着剤を細網化する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前述の目的を達成するため、パネル及びフィルム接着剤を細網化する方法は、輪郭を付けた表面でパネルを支持するステップを含む。この方法はまた、真空によって一定量の圧力をフィルム接着剤及びパネルに加えるステップを含む。この方法はまた、フィルム接着剤を硬化させることなくフィルム接着剤をパネルに最初に接着させるまで、低い程度の熱でフィルム接着剤を加熱するステップを含む。次に、この方法で輪郭付きヘッド及びシュラウドを含む細網化ユニットを通して、初期フィルム接着剤と共にパネルを移動させる。パネルは輪郭付きヘッドと接触する。この方法はまた、熱がシュラウドに含まれるように、フィルム接着剤を熱で軟化させるステップを含む。細網化方法はその後、輪郭付きヘッド内に配置されたノズルに入る前に、空気流を乾燥させ、濾過し、加熱する。この方法はその後、所定速度の空気流でパネルの穿孔からフィルム接着剤を移動させる。
【0014】
本発明の1つの利点は、パネル及びフィルム接着剤細網化方法は、フィルム接着剤を芯ではなくパネルに直接連結させることである。
【0015】
本発明の別の利点は、フィルム接着剤が空気流の上を通過する前にこのような状態で軟化され、維持されることである。
【0016】
本発明の別の利点は、パネル及びフィルム接着剤細網化装置が、細網化過程中に放射放熱器より安定した環境を提供するシュラウドを備えることである。
【0017】
本発明の別の利点は、多孔板、が部品形状に対応するように変更させることができる輪郭表面板の上で移動されることである。
【0018】
本発明の別の利点は、空気流がフィルム接着剤を取り除くのに使用される前に、清浄化され、乾燥され、加熱されることである。
【0019】
本発明の別の利点は、空気流は近接してパネルの上に向けられていることである。
【0020】
本発明の別の利点は、空気流がパネルに対して近接しているので、空気流は乱気流を生成しないということである。
【0021】
本発明の別の利点は、空気流がフィルム接着剤に冷却効果を与えないということである。
【0022】
本発明の別の利点は、音響面シートの費用及び製造時間が少なくなることである。
【0023】
本発明の別の利点は、音響面シートが音響性能、即ち音吸収及び音減衰における顕著な改良点を有することである。
【実施例】
【0024】
本発明の他の目的、特性、及び利点は、添付の図面と合わせて、後の説明及び添付の請求項から明らかになるだろう。
【0025】
図面を参照すると、本発明によるパネル及びフィルム接着剤を細網化する方法及び装置が示されている。パネル及びフィルム接着剤の細網化方法及び装置は普通、宇宙航空体に使用される音響宇宙航空面シート又はパネルを製造するのに使用される。このような宇宙航空体での使用は、エンジン用の格納容器壁からこのような航空体の本体及び翼用の外板までの何れかである。音響面シートは普通、グラファイト又はファイバーグラスからできているが、航空機の設計及び重量の要件によって、複合材料、プラスチック、又は金属などの他の材料を使用することもできる。音響面パネルに重要なことは、雑音の減衰である。パネルは、雑音を減衰する及び/又は音波を吸収するように使用されるハニカム芯セルを有する。パネルは、航空機又は他の宇宙航空体の乗員及びパイロットに聞こえるあらゆる雑音を減衰するのを助ける。音響パネル内の芯セルがフィルム接着剤又はフィルム接着剤に結合された汚染物質によって塞がれている、又は部分的に塞がれている場合、音響パネルの雑音吸収能力及び雑音減衰能力が大きく減少し、それによって航空機などの操作者又は乗員により多くの異質雑音を作り出す。
【0026】
本発明により、多孔パネル(多孔板)10内の穿孔又はオリフィス12を部分的又は完全に覆うことなく、パネル表面を覆うフィルム接着剤14を有する最終製品を産出する多孔板10の上でフィルム接着剤14を細網化することが可能になる。これにより、多孔板10のオリフィス12がハニカム芯内のセルと正確に位置合せすることが可能になり、それによって音響パネルに対する音響吸収及び音減衰能力が与えられる。音響パネルの最終製品はその一方側に固体パネルを有し、ハニカム芯はその表面に糊付けされており、その上にフィルム接着剤細網化方法が施された多孔板10は、芯と板10の間のフィルム接着剤の硬化によりハニカム芯セルの反対端部に固定されている。エンジン格納容器壁、又は航空機の外板に設置された場合、多孔板10はファン又はタービン・ブレードなどのエンジンの内側部品に向かって配置されたオリフィス12を有して、多孔音響パネル・システムの音吸収能力に影響を与える。
【0027】
図1から3は、従来技術の芯の細網化方法を示す。芯の細網化方法は、中に複数のセル18を含むハニカム芯16の上で行なわれる。ハニカム芯16はその後、音響面シートを形成するように反対側でプライと中実のパネルの間に配置される。芯の細網化は、芯16の縁部の上で直接細網化されるフィルム接着剤20を用いる。フィルム接着剤20は、放射放熱器によって芯16の上で軟化され、軟化状態で維持される。芯16はその後、接着剤20が芯セル18の外縁部の上に残っており、固定されているだけであるように、セル16からフィルム接着剤20を取り除くのに使用されるエア・ナイフの上のレール上を摺動するワイヤ・ラック上でユニットを通過する。従来技術のシステムでは、エア・ナイフは約30.48cm(1フィート)の距離で芯16の下から圧縮空気を案内する。このエア・ナイフは、空気を接着剤を通して吹き出させ、理論的には接着剤を各セルの上部の周りに配置されているだけにし、各セル通路はフィルム接着剤20がなく取り除かれている。しかし実際には、これは常には起こらない。フィルム接着剤20は、芯セル18の縁部の周りに接着することだけを想定している。しかし、従来技術の方法では、芯セル18とプライ孔の寸法が違うことにより、プライ孔の多くが結合中に遮断される。さらに、フィルム接着剤20が芯セル18の縁部に取り付けられて、接着剤の流出の可能性がより高くなり、したがってプライ・パネルに固定する前後に接着剤でセル18が詰まる可能性が高くなる。図3は、細網化過程が行なわれた後に各芯セル18の上縁部に配置された隅肉を有する、従来技術の芯セル及びフィルム接着剤20の側面図を示している。図2は、一方の側には上で細網化されたフィルム接着剤20を有し、もう一方の側には上に接着剤がない、ハニカム芯セル16の拡大図を示している。
【0028】
図4から9は、本発明によるパネル及びフィルム接着剤を細網化する装置及び方法を示している。この方法により、パネル10を細網化させてフィルム接着剤14で結合することが可能になる。本発明によるパネル及びフィルム接着剤細網化を行なう必要がある装置は、接着ユニット22及び細網化ユニット24を含む。
【0029】
接着ユニット22は図5及び6に示すように、テーブル又はベース26とカバー28とを備える。カバー28は、テーブル26の一方の側部で軸周りに回転可能であり、それによってカバー28はテーブル26に対して開閉する。カバー28は、その内表面に配置された放射熱源30を有する。一実施例では、放射熱源30は複数の電球である。電球は、所定の熱量を発し、一実施例では約48.9℃(華氏120度)の低い程度の熱が必要である。しかし、21.1℃から104.4℃(華氏70度から220度)の範囲の間の何れの熱を接着ユニット22に使用してもよいことに留意すべきである。加熱空気、熱ブランケットなどの他の放射熱源を使用することもできることにも留意すべきである。この操作で使用される温度及び滞留時間は、異なるフィルム接着剤システム用にカスタマイズする必要がある。音響システムは、航空宇宙産業の範囲外では、極めて異なるパラメータを必要とする可能性がある。したがって、本発明の装置及び機器は、このような変更に対応するように可変制御を有する。本発明に使用されるフィルム接着剤システムの部品構造又は変数に適当であるかどうかによって、これらの他の熱源を使用することができる。接着ユニット22の熱源30は、接着ユニット22のテーブル26上に支持された多孔板10に向かって下に熱を放射する。多孔板10は、航空宇宙産業で使用される板10の形状を真似る輪郭付き表面又は心棒32によって支持されている。輪郭付き心棒32を使用することによって、多孔板10は接着ユニット動作中に完全な支持体を有することが可能になり、それによってパネル及びフィルム接着剤細網化方法の初期接着過程によるあらゆる歪みを防ぐ。
【0030】
接着ユニット22はまた、テーブル26の表面を通る真空システムを含む。接着ユニット22は、テーブル26の一方の側部で連結され、テーブル26のもう一方の側部から持ち上げることが可能な真空バッグ34を備える。一実施例では、真空バッグ34はゴム・パッドであるが、これに限らないがプラスチック、合成物、金属などのほかの材料を真空バッグに使用することもできる。テーブル26に加えられる真空は、テーブル26を通して少なくとも1つのオリフィス36によって作り出され、それによって真空がオリフィス36を通して加えられた後に、真空バッグ34をテーブル26の表面に向かって圧縮することが可能になる。真空バッグ34により、穏やかな圧力、即ち約10から20psiを、方法の接着ユニット段階中にフィルム接着剤14及び多孔板10に加えることが可能になる。圧力は穏やかであり、低すぎる又は高すぎる圧力はフィルム接着剤14の多孔板10への初期接着に悪影響を与えることに留意すべきである。フィルム接着剤14の硬化を開始することなく、多孔板10とフィルム接着剤14の間にあるレベルの接着を作り出すのに、接着ユニット22が使用されることに留意すべきである。接着ユニット22内の変数は調節可能であり、それによって異なる接着剤構成が提供される。様々なパネル構成はまた、輪郭付き表面心棒32を細網化されている新しい部品に合うものに変えることによって対応させることができる。
【0031】
図6に示すように、輪郭付き心棒32はテーブル26の外表面上に直接配置される。その後、多孔板10は輪郭付き心棒32の上に直接配置される。心棒32は、多孔板10の正確な形状を真似ており、それによって接着ユニット過程全体を通しての支持を提供する。次に、フィルム接着剤14の層が多孔板10の上部に直接配置される。多孔板10はそこを通る複数のオリフィス12を含むことに留意すべきである。そこで、真空バッグ34はフィルム接着剤14の上に配置され、真空バッグ34がテーブル26に向かって下に圧縮されるように真空がテーブル26を介して加えられ、それによってフィルム接着剤14を穏やかな圧力で多孔板10内に圧縮する。テーブルのカバー28はその後閉じられ、放射熱源30の電源が入れられ、それによって熱及び穏やかな圧力がフィルム接着剤14及び多孔板10に加えられる。熱及び圧力は、約30秒間残っており、それによってフィルム接着剤14の硬化を開始することなく、フィルム接着剤14と多孔板10の間の初期接着が可能になる。この滞留時間は異なるフィルム接着剤システムで変化する。普通、フィルム接着剤14は初期接着に到達した時に、全体を通して泡が見え始める。約30秒が、パネル細網化方法の接着ユニットでのステップにかかるおおよその時間であることに留意すべきである。数秒から最大数分までのどこでも、フィルム接着剤14と多孔板10の間の初期接着に使用することができることに留意すべきである。
【0032】
フィルム接着剤14を接着剤ユニット22内の多孔板10に一時的に接着させた後、細網化システムのステップ2が開始される。図4及び7に示すように、ステップ2は部分的にそこに接着されたフィルム接着剤14を有する多孔板10を細網化ユニット40内に置くステップを含む。細網化ユニット40はテーブル42を備える。テーブル42は、テーブル42の上表面に配置された鋳造又は形成されたゴム製の輪郭付きヘッド44を有する。鋳造又は形成されたゴム製の輪郭付きヘッド44は交換可能であり、多孔板10の表面と一致するような輪郭をしている。輪郭ヘッド又はプレート44は一実施例では、ゴム材料でできている。しかし、あらゆる他の鋳造可能又は形成可能プラスチック、合成物、又は金属材料を鋳造輪郭付きヘッド又はプレート44に使用することもできることに留意すべきである。輪郭付きヘッド又はプレート44はテーブル42から取り除くことができ、新しい輪郭ヘッド44を中で交換することができるように入れ替え可能であり、それによって細網化過程用の多孔板10部品の変更が可能になる。輪郭付きヘッドの中心点を通して、空気流48を輪郭付きヘッド44を通して上に案内する空気ノズル46が配置されている。特定のパネルに一致させた輪郭ヘッド44は、加工されているパネルへの空気流の圧力の分配をさらに大きくするのを助ける。
【0033】
シュラウド50は、輪郭付きヘッド44の上に直接且つ隣接して配置されている。シュラウド50は好ましくは金属材料から製造される。しかし、熱を含むことが可能なあらゆる他の種類のセラミック、プラスチック、又は複合材料をシュラウド50に使用することも可能であることに留意すべきである。シュラウド50はまた、細網化過程の観察を可能にする窓を中に含んでいる。シュラウド50は、細網化過程の前、及びその間にフィルム接着剤14を暖かく保つ熱の格納容器として働く。シュラウド50は、細網化過程全体の間に空気を適切に加熱し続ける温室効果を提供する。シュラウド50は普通、カップ形状断面をしている。シュラウド50は輪郭付きヘッド44に対して移動することが可能であり、それによって一実施例では、約2.54cm(1インチ)の間隙がシュラウド50の端部と多孔板10のフィルム接着剤側の間に生じる。この間隙は、細網化されている多孔板10の寸法によって、5.08cm(2インチ)から最大60.96cm(2フィート)の何れでもよいことに留意すべきである。
【0034】
細網化ユニット40はまた、図4及び7に示すように、少なくとも1つのフィルタ及びドライヤ機構52を備える。フィルタ及びドライヤ52は、細網化過程用に空気流48を作り出すのに使用される空気を濾過し、乾燥させる。濾過及び乾燥された空気48は、一連の配管54を通して加熱ユニット56まで送風機58によって移動される。加熱ユニット56は、空気48を所定の温度、一実施例では、約73.9℃から79.4℃(華氏165度から175度)まで加熱する。しかし、細網化過程用の空気流48の必要性によって、15.6℃(華氏60度)から最大204.4℃(華氏400度)までのどの温度範囲を使用してもよいことに留意すべきである。加熱ユニット56は、テーブル42の底表面の下に配置されている。加熱ユニット56は、その中心点を通してノズル46を備える、テーブル42の底部又は輪郭付きヘッド44の底部のいずれかに直接連結されている。ノズル46により、空気流48は確実に所定の幅及び直径寸法を有する。加熱された空気流48は、ノズル・オリフィス46の直前に配置されたチャンバ62内に案内される。空気チャンバ62は、ノズル46の長さにわたって、熱及び空気流圧力分布を同一にする。空気流48は、送風機58内の変数により異なる圧力が可能である。制御室60がまた、テーブル42の上又は近くに配置され、熱及び空気流速度に電子制御を提供する。したがって、熱をプログラミングすることができ、空気流速度を細網化ユニット40の操作者がプログラミングすることもできる。
【0035】
パネル及びフィルム接着剤細網化方法は、フィルム接着剤14が接着ユニット22内の多孔板10に最初に塗布された後に、接着ユニット22でのステップの直後、又はその後すぐに細網化ユニット40内で終了する。多孔板10は、細網化ユニット40を通して所定の方向に移動される。多孔板10が細網化ユニット40を通して移動される速度は、必要な細網化量と部品の寸法及び材料によって変化することができる。細網化システムを通る部品の移動速度を制御するのに、材料移動システムを利用してもよい。しかし一実施例では、細網化ユニット40はエア・ナイフ又は空気流48の上で多孔板10内の各列のオリフィス12を約1秒間保持するが、多孔板10内のオリフィス12の細網化を完了させることができるのに必要な設計要件及び空気流48によって、空気流又はエア・ナイフ48の上に保持する時間はどんな他の時間量でもよい。ノズル46は、乾燥、濾過、及び加熱させた空気流48を多孔板10のオリフィス又は穿孔12を通して、上にフィルム接着剤14を有していない板10の側部から加える。さらに、多孔板10はノズル46と接触又は近接し、且つこれと直接平行であることに留意すべきである。これにより、空気流48をいつでもパネル・オリフィス12と平行にすることが可能になり、それによって並行な空気流48を多孔板10のオリフィス12を通すことが可能になる。空気流48の速度又は圧力、熱量、及び板10がユニット40を通って移動する速度は全て調節可能であり、それによってこれらの変数を細網化されている接着剤システム内の異なるパネルの異なる要件に対応するように変化させることができる。輪郭付きヘッド44はまた、異なる多孔板形状に設計することが可能であり、したがって異なる多孔板が細網化ユニット40内で使用できるので交換可能である。
【0036】
シュラウド50は、熱を含み、空気流48を通した移動の前にフィルム接着剤14の軟化を促進するため、フィルム接着剤14を含む板10表面側から所定の距離に配置されている。これにより、空気流48の上を通過するときに、フィルム接着剤14を軟らかく簡単に除去可能な状態にすることが可能であり、したがって多孔板10のオリフィス12からの全てのフィルム接着剤14の除去を完了させることが可能である。多孔板10及びフィルム接着剤14はシュラウド50の下にある間に、一定の温度に維持されている。シュラウド50は、従来技術の芯細網化システムで使用される放射放熱器よりも安定した環境を作り出す。シュラウド50は、シュラウド50の下でフィルム接着剤14の均一な温度を確保するように加熱した空気を再循環させる温室効果を促進させる。多孔板10は多孔板10の曲率が細網化ユニット40の制約にならないように、輪郭付きヘッド44の上で手動で押し込まれる。細網化ユニット10を通して多孔板10を移動させる自動方法を使用することもできることが考えられることにも留意すべきである。極めて近接している又は直接接触する近傍から多孔板10の直接上に、清潔かつ乾燥した加熱空気を有する空気流48を使用することにより、確実に汚染物質が空気流48の中からなくなる。さらに、板10の底部に対して空気流48が極めて近接していることにより、どんな部品の角もオリフィス12内の乱気流を生成せず、それによって完全な細網化及び多孔板10内のオリフィス12の閉塞の防止が可能になる。空気流48が斜めにオリフィス12に入った場合、ベンチュリがオリフィス12内で発達し、それによってオリフィス12からフィルム接着剤14が完全に取り除くことを妨げられ、フィルム接着剤14の一部がオリフィス12に残ってしまう。これによって、多孔板10の音響吸収速度を遅くする。さらに、空気流48を多孔板10に直接接触させることにより、フィルム接着剤14に到達する前に、空気流48の冷却効果が確実になくなり、それによって多孔板10のオリフィス12からの適切な除去の前に、フィルム接着剤14が裂けたり、破れたりする可能性がなくなる。芯の代わりに多孔板10にフィルム接着剤14を接着させることにより、多孔板10と芯の間でオリフィス12が閉塞することなく、両方の部品の間の均一な硬化が可能になる。これにより、音響性能が明らかに改善され、それによって音減衰が大きくなる。
【0037】
図9は、板細網化過程が完了した後の多孔板10の上面図を示している。図8はこのような板10の断面図を示している。最終製品の板は、多孔板10に均一に接着されたフィルム接着剤14を呈する。フィルム接着剤14はこの段階では硬化されていないことに留意すべきである。多孔板10はオリフィス12が閉塞されていなく、それによって多孔板10がハニカム・セル芯に最終的に取り付けられるときに、完全な音響減衰効果が可能になる。
【0038】
パネル及びフィルム接着剤細網化過程が完了した後、多孔板10は同様の形状の裏当て材に既に取り付けられたハニカム・セル芯に位置合せされる。多孔板10はハニカム芯セルに固定され、それによってフィルム接着剤14の硬化が起こり、多孔板10とハニカム芯の間に確実な連結が作り出される。芯内のハニカム・セルは、多孔板10のオリフィス12と位置合せし、それによって音響減衰効果を音響多孔板に含めることが可能になる。音波は、多孔板10のオリフィス12を通って、ハニカム芯構造内に入り、中で分散され、それによって多孔板音響シート・システムの格納容器内から放出されるあらゆる雑音を減衰させる。本発明は宇宙航空部品に対して説明したが、パネル細網化システムは、他の部品への接着剤の最終硬化の前に、フィルム接着剤14を最初に塗布すべきタイプのパネル10を用いるあらゆる産業に適用することができることに留意すべきである。
【0039】
本発明は図示する方法で説明した。使用した用語は、限定ではなく説明の用語の性質を意図しているものと理解されたい。
【0040】
上記教示に照らして、本発明の多くの変更形態及び変形形態が可能である。したがって、特許請求の範囲内で、本発明は特に説明しない限り実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】従来技術のハニカム芯の上面図である。
【図2】接着剤を有するが、フィルム接着剤は備えない従来技術のハニカム芯セルの側面図である。
【図3】上端部にフィルム接着剤隅肉を備える従来技術のハニカム芯セルの側面図である。
【図4】本発明による細網化ユニットの略図である。
【図5】本発明による接着ユニットの斜視図である。
【図6】本発明による接着ユニットの斜視図である。
【図7】本発明による細網化ユニットの斜視図である。
【図8】本発明による細網化方法が行なわれた後のパネルの断面図である。
【図9】本発明による細網化方法が行なわれた後の多孔板の上面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱源及び所定の形状の心棒を有する接着ユニットと、
加えた真空によって前記接着ユニットに固定されたパッドと、
送風機を有する細網化ユニットと、
前記送風機に隣接して配置されたフィルタと、
前記フィルタに隣接したドライヤと、
前記送風機に連結された加熱装置と、
前記加熱装置の一端部に連結されたノズルと、
前記ノズルが中に固定された、所定の形状の輪郭ヘッドと、
前記輪郭ヘッドに隣接したシュラウドとを備える、多孔板を作成する装置。
【請求項2】
前記熱源が、複数の電球からの放射熱を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接着ユニットはテーブル及びカバーを備え、前記カバーは前記テーブルに対して開閉可能である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記熱源は、前記カバーの内表面に固定された、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記テーブルが、前記真空を加えるのに使用される少なくとも1つのオリフィス又はチャネルを中に有する、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記パッドはゴム材料でできており、前記オリフィスに重なり、前記加えられた真空によって前記心棒上に前記板を保持する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記パッドは、所定の圧力を前記心棒上で前記板に加える、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記シュラウドは、中にガラス・カバーを備え、熱を含み、温室状効果を作り出す、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記輪郭ヘッドはゴム材料でできている、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記シュラウドは、前記輪郭ヘッドに対して移動可能である、請求項8に記載の装置。
【請求項11】
多孔板を支持するステップと、
フィルム接着剤の硬化を開始することなく、前記多孔板に前記フィルム接着剤を接着させるステップと、
前記フィルム接着剤に真空を加えるステップと、
前記フィルム接着剤を軟化させるステップと、
細網化ユニットを通して所定の速度で前記多孔板を移動させるステップと、
空気流によって穿孔から前記フィルム接着剤を取り除くステップとを含む、多孔板の上でフィルム接着剤を細網化する方法。
【請求項12】
前記支持ステップが前記板の歪みを防ぐ、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記接着ステップはさらに、前記フィルム接着剤を加熱するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
さらに、所定の温度で所定の時間加熱する放射熱源を使用するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
真空を前記フィルム接着剤に加える前記ステップが、前記フィルム接着剤と前記板の間に緩やかな圧力を作り出し、それによって初期接着が可能になる、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記多孔板の上に直接前記空気流を配置するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記空気流を乾燥させるステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記空気流を濾過するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項19】
前記空気流を加熱するステップをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項20】
前記軟化ステップは、シュラウドによって前記フィルム接着剤の近くで熱を含み、前記シュラウドによって温室効果を作り出すステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項21】
前記除去ステップは、前記加熱したフィルム接着剤が前記穿孔から切り離され、細網化された模様を形成するように、空気流の速度を制御するステップを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項22】
前記軟化ステップが、前記空気流の上で前記板が移動する前に起こる、請求項11に記載の方法。
【請求項23】
輪郭付き表面で板を支持するステップと、
真空機構によってフィルム接着剤及び板に緩やかな圧力を加えるステップと、
硬化することなく前記フィルム接着剤の初期の接着まで、低い程度の熱で前記フィルム接着剤を加熱するステップと、
空気流を案内するノズルを中に有する輪郭ヘッドを含み、シュラウドを有する細網化ユニットを通して、初期フィルム接着で前記板を移動させて、板を前記輪郭ヘッドに接触させるステップと、
前記シュラウド内に含まれる熱で前記フィルム接着剤を軟化させるステップと、
前記空気流を乾燥させるステップと、
前記空気流を濾過するステップと、
前記ノズルに入る前に前記空気流を加熱するステップと、
前記空気流の所定速度で前記板の前記穿孔から前記フィルム接着剤を取り除くステップとを含む、板及びフィルム接着剤を細網化する方法。
【請求項24】
請求項23の前記方法により製造された製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図5】
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【図7】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−501057(P2006−501057A)
【公表日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−540178(P2004−540178)
【出願日】平成15年9月23日(2003.9.23)
【国際出願番号】PCT/US2003/029925
【国際公開番号】WO2004/028804
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(505109381)ジーケイエヌ ウェストランド アエロスペース、インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】