フォトマスク、及び、液晶表示装置の製造方法
【課題】横電界駆動方式の反射モードを含む液晶表示装置において、コントラスト比を向上できる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置10は、反射領域21を含む。TFT基板14上には、反射領域21に対応して、断面形状が凹凸を有するように形成された反射板16が形成される。反射板16上の絶縁層41上には、液晶層13を駆動するための画素電極35及び共通電極37が形成される。反射板16の画素電極35及び共通電極37の下に対応する領域における凹凸の傾斜角は、画素電極35と共通電極37との間に対応する領域における凹凸の傾斜角よりも小さく設定される。これにより、液晶が動かない電極上を反射し通過する光が、観察者側に出射せず、コントラスト比を向上できる。
【解決手段】液晶表示装置10は、反射領域21を含む。TFT基板14上には、反射領域21に対応して、断面形状が凹凸を有するように形成された反射板16が形成される。反射板16上の絶縁層41上には、液晶層13を駆動するための画素電極35及び共通電極37が形成される。反射板16の画素電極35及び共通電極37の下に対応する領域における凹凸の傾斜角は、画素電極35と共通電極37との間に対応する領域における凹凸の傾斜角よりも小さく設定される。これにより、液晶が動かない電極上を反射し通過する光が、観察者側に出射せず、コントラスト比を向上できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸形状の反射板を有する横電界駆動方式の反射型又は半透過型の液晶表示装置を製造する際に用いるフォトマスク、及び、そのような液晶表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IPS方式やFFS方式のように、同一基板上に画素電極及び共通電極を配置し、画素電極と共通電極との間の電界によって液晶分子をスイッチングさせる方式で表示を行う、反射型や半透過型の液晶表示装置が、提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2では、反射モードを電圧無印加で黒表示とするノーマリーブラックで用いる半透過型横電界駆動方式が提案されている。また、特願2006−180200では、反射モードを、電圧無印加で白表示とするノーマリーホワイトで用いる半透過型横電界駆動方式が提案されている。
【0003】
以下、特許文献1で提案されている横電界駆動方式の半透過型液晶表示装置について説明する。図25は、特許文献1に記載の液晶表示装置の断面を模式的に示している。液晶表示装置200は、互いに対向する一対の基板(TFT基板214及び対向基板212)と、TFT基板214と対向基板212との間に挟みこまれた液晶層213と、TFT基板214及び対向基板212の液晶層213とは反対側に貼り付けられた偏光板211、215とを有する。液晶層213と偏光板215との間には1/2波長板218が挿入されている。図25では、図示を省略するが、液晶表示装置200は、偏光板215側からバックライト光を入射するバックライト装置を備えている。また、TFT基板214及び対向基板212の液晶層213側の表面には、それぞれ水平配向膜が形成されている。この2つの水平配向膜の配向方向がなす角が、ツイスト角となる。
【0004】
液晶表示装置200は、偏光板215から偏光板211側にバックライト光源からの光を透過させて表示を行う透過領域222と、偏光板211側から入射した光を反射板216にて反射し表示を行う反射領域221とを有する。TFT基板214の液晶層213側には、第1の絶縁膜217が形成される。反射領域221では、第1の絶縁膜217の上に、第2の絶縁膜242が形成され、その上に、反射板216が形成される。反射板216の上には、第3の絶縁膜241が形成され、第の3絶縁膜241上に、横電界駆動電極(画素電極235、共通電極237)が形成される。一方、透過領域222では、TFT基板214上の第1の絶縁膜217上に、横電界駆動電極(画素電極236、共通電極238)が形成される。
【0005】
反射領域221では、画素電極235と共通電極237とは平行に形成され、画素電極235と共通電極237との間に形成される電界により、液晶層213が駆動される。また、透過領域222においても、画素電極236と共通電極238とは平行に形成され、画素電極236と共通電極238との間に形成される電界により、液晶層213が駆動される。第2の絶縁膜242及び第3の絶縁膜241は、反射領域221の液晶セルギャップと透過領域222の液晶セルギャップとの差を調整する。具体的には、透過領域222における液晶層213のギャップを1/2波長としたとき、反射領域221における液晶層213のギャップは1/4波長に調整される。
【0006】
図26(a)は、上記構成の液晶表示装置における偏光板211の偏光軸方向及び液晶層213における液晶配向方向を示し、同図(b)は、反射領域221での光の偏光状態を示している。同図(a)に示すように、偏光板211の偏光軸及び液晶層213における液晶配向方向を、90°とする。この場合、電圧無印加状態では、偏光板211を通過した配置角90°の直線偏光は、液晶層213をそのまま通過して直線偏光のまま反射板216を反射し、反射された直線偏光はそのまま液晶層213を通過し、偏光板211を通過して白表示となる。電圧印加状態では、液晶層213の配置角は45°となり、偏光板211を通過した直線偏光は、液晶層213を通過して右回りの円偏光になり、反射板216で反射して右回りの円偏光となって液晶層213を通過し、偏光板211に配置角0°の直線偏光として入射する。このため、偏光板211から出射できずに黒表示になる。すなわち、ノーマリーホワイト表示となる。
【0007】
図27(a)は、上記構成の液晶表示装置における偏光板211の偏光軸方向及び液晶層213における液晶配向方向の別の例を示し、同図(b)は、反射領域221での光の偏光状態を示している。同図(a)に示すように、偏光板211の偏光軸を90°、液晶層213における液晶配向方向を45°とした場合を考える。この場合、電圧無印加状態では、偏光板211を通過した配置角90°の直線偏光は、液晶層213を通過して右回りの円偏光になり、反射板216で反射し左回りの円偏光になる。この左回りの円偏光は、液晶層213を通過して、配置角0°の直線偏光となるため、偏光板211を出射できず、黒表示になる。電圧印加状態では、液晶層213の配置角は0°となり、偏光板211を通過した配置角90°の直線偏光は、液晶層213を通過して配置角90°のまま反射板216で反射する。反射板216の反射光は、配置角90°の直線偏光のまま液晶層213を通過し、偏光板211を出射して白表示になる。すなわち、ノーマリーブラックとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−344837号公報
【特許文献2】特開2005−338256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、図28に、図25に示す液晶表示装置における電圧印加時の液晶配向状態を示す。電圧印加状態では、くし歯電極間(画素電極235、共通電極237間)には横方向の電界が形成され、液晶層213の液晶は、電界方向に沿って液晶が配向する。しかしながら、くし歯電極上では、液晶層213に横方向電界が印加されないため、液晶が回転しない。従って、液晶表示装置200をノーマリーホワイトで用いた場合には、電極上の液晶が回転しないため、電圧印加時も電極上の表示は“白”のままであり、電極間のみが“黒”となるので、コントラスト比が低下するという問題が発生する。具体的に、反射板216の凹凸を、画素電極235と共通電極237との間、及び、電極上で同じ形状とした場合には、電圧印加状態でも、電極上は明るい表示のままであり、コントラスト比は3:1以下であった。ノーマリーブラックについても、同様に、電極上の液晶が回転しないため、電圧印加状態でも電極上は“黒”のままであり、電極間のみが“白”となるので、反射率が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、横電界駆動方式の反射又は半透過型の液晶表示装置において、電圧印加時にくし歯電極上の液晶が十分に回転しなくても、ノーマリーホワイト表示で反射コントラスト比の低下を抑えることができ、ノーマリーブラック表示で反射率の低下を抑制できる液晶表示装置の製造方法、及び、反射板形成に用いるフォトマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のフォトマスクは、横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた、前記電極下に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均が、隣接する2つの電極間に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均より低い液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域にグレートーン又はハーフトーンが配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、少なくとも一部に反射領域を有し、横電界駆動方式で駆動される、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた、前記電極下に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均が、隣接する2つの電極間に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均より低い液晶表示装置の製造方法であって、基板上に感光性樹脂を塗布する工程と、上述のフォトマスクを用いて感光性樹脂を露光する工程と、現像により感光した感光性樹脂を除去する工程と、現像後の感光性樹脂を焼成し凹凸OC膜を形成する工程と、前記凹凸OC膜上に反射板を形成する工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフォトマスクでは、電極下の少なくとも一部にグレートーンまたはハーフトーン領域を形成していることから、電極間の凹凸部分に露光される量よりも、電極下の凹凸部分に露光される量が減少する。このため、電極下のみ平均傾斜角度を低下させることができ、電極上を反射し通過した光を正反射方向へ反射することができるので、コントラスト比を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の断面を示す断面図。
【図2】画素電極及び共通電極の駆動信号波形を示す波形図。
【図3】反射領域における光の偏光状態を示す模式図。
【図4】液晶表示装置における光の進行の様子を模式的に示す断面図。
【図5】凹凸膜の形成に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図6】凹凸膜の形成に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図7】凹凸膜の形成に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図8】凹凸膜の形成に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図9】評価時の光入射方向と受光角及び正反射角とを示す模式図。
【図10】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(d)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図11】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図12】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図13】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図14】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図15】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図16】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)は、(a)の一部断面を示す断面図。
【図17】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(d)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図18】多角形のパターンで凹凸膜を形成する際に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図19】円形のパターンで凹凸膜を形成する際に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図20】楕円形のパターンで凹凸膜を形成する際に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図21】遮光パターンを有するパターンで凹凸膜を形成する際に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図22】第3実施形態において凹凸形状を形成する際に用いるパターンを示す平面図。
【図23】凹凸形状を形成する際に用いるパターンの別の例を示す平面図。
【図24】第4実施形態において凹凸形状を形成する際に用いるパターンを示す平面図。
【図25】特許文献1に記載の液晶表示装置の断面を模式的に示す断面図。
【図26】(a)は、液晶表示装置における偏光板の偏光軸方向及び液晶層における液晶配向方向を示す模式図、(b)は、反射領域での光の偏光状態を示す模式図。
【図27】(a)は、液晶表示装置における偏光板の偏光軸方向及び液晶層における液晶配向方向の別の例を示す模式図、(b)は、反射領域での光の偏光状態を示す模式図。
【図28】図25に示す液晶表示装置における電圧印加時の液晶配向状態を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置の断面を示している。液晶表示装置10は、第1偏光板11、対向基板12、液晶層13、TFT基板14、第2偏光板15、及び、1/2波長板18を有する。液晶表示装置10は、図25に示す液晶表示装置200と同様に、反射領域と透過領域とを有する半透過型液晶表示装置として構成されており、図1は、そのうちの反射領域21における断面構造を示している。
【0016】
第1偏光板11の偏光方向(光透過方向又は光吸収方向)と、第2偏光板15の偏光方向とは、互いに直交する。液晶層13は、電圧無印加時に、分子長軸方向が、第1偏光板11又は第2偏光板15の偏光方向と一致する向きに配列された液晶分子を有する。以下では、第1偏光板11の光透過軸方向を90°、第2偏光板15の偏光方向を0°、液晶層13における電圧無印加時の液晶分子長軸方向を90°として説明する。
【0017】
TFT基板14上の反射領域21では、絶縁膜17の上に、第2の絶縁膜42が形成され、その上に、反射板16が形成される。反射板16の上には、第3の絶縁膜41が形成される。反射板16は、第1偏光板11側から入射する光を、第1偏光板11側に反射する。反射領域21は、反射板16によって反射された光を表示光源とする。反射板16は、一般に、光の散乱効果を高めるために、断面形状が凹凸を有するように形成される。断面形状が凹凸を有する形状にするためには、第2の絶縁膜42に凹凸を形成し、その上に反射板をAlやAgなどの金属膜やそれらの合金を積層することでも形成することができる。液晶表示装置10は、第2偏光板15の下層側に、図示しないバックライト光源を有しており、図示しない透過領域は、そのバックライト光源を表示光源とする。
【0018】
透過領域の液晶セルギャップは、液晶層13のリタデーションがほぼλ/2となるように調整されている。ここで、ほぼλ/2と書いたのは、液晶層13に電圧が印加され、液晶層13の長軸方向が回転した場合、セルギャップの中央部では液晶層13は回転するが、基板付近では液晶層13の回転は迎えられるため、実際にはリタデーションを(λ/2)+αに設定したときに、実効的なリタデーションがλ/2となるからである。例えば、液晶層13のリタデーションをΔnd=300nmに設定した場合、電圧を印加した場合の実効リタデーションはΔndeff=λ/2=550/2=275nmとなる。一方、反射領域21では、絶縁膜17の高さを適切に設定することにより、液晶層13のリタデーションが電圧をかけた状態での実効リタデーションがλ/4になるようにセルギャップが調整されている。
【0019】
第3の絶縁膜41上には、絶縁膜17上には、液晶を駆動するための画素電極35と、基準電位を与えるための共通電極37とが形成される。また、図示は省略するが、TFT基板14上には、透過領域に対応して、透過領域における液晶を駆動するための画素電極及び共通電極が形成されている。共通電極37は、ゲート線と平行に延びる部分と、表示領域内に突き出した部分とを有する。共通電極37は、画素電極35と基板平面内で対向する位置に形成される。また、透過領域内の共通電極は、透過領域内の画素電極と基板平面内で対向する位置に形成される。各領域の共通電極には、それぞれ、液晶表示装置10内の各画素に共通の所定の信号駆動波形の信号が供給される。
【0020】
図2は、画素電極及び共通電極の駆動信号波形を示している。同図において、データ信号は、各画素の画素電極35に供給される信号であり、共通信号は、共通電極37に供給される信号である。この例では、データ信号と共通信号とは、逆位相の信号となっており、画素電極35の電位と、共通電極37の電位との電位差はVdとなり、反射領域21の液晶層13には、この電位差Vdに応じた強度の電界が印加される。
【0021】
図3は、図2に示す波形の信号が印加されたときの反射領域21における光の偏光状態を示している。図2に示す波形の信号が印加された状態では、反射領域21内の液晶層13の液晶分子は、画素電極35と共通電極37との間の電界により、配列方向が45°回転する。このため、図3に示すように、外部から第1偏光板11を通過した90°偏光(縦方向)の直線偏光は、液晶層13を通過する際に偏光状態が変化し、左回りの円偏光となる。この左回りの円偏光は、反射板16で反射して右回りの円偏光となり、液晶層13を再び通過して、0°偏光(横方向)の直線偏光となる。従って、反射板16による反射光は、第1偏光板11を通過できず、反射領域21は黒表示となる。
【0022】
以下、横電界駆動方式の反射型又は半透過型液晶表示装置において、反射板の凹凸形状をどのような形状とすることで、電圧印加時にくし歯上の液晶が十分に回転しなくても、ノーマリーホワイト表示で反射コントラストが低下する問題、又は、ノーマリーブラック表示で反射率が低下する問題を解消できるかについて検討した結果を説明する。液晶表示装置の構造としては、図1に示す構造の液晶表示装置を考える。すなわち、画素の一部又は全部に、凹凸層を有し、その上部に反射板が形成され、反射板と層間膜とを介して画素電極と共通電極とがくし歯状に形成された特許文献1に記載の液晶表示装置(図25)と同様の横電界駆動方式の反射又は半透過型液晶表示装置を考える。
【0023】
上記解決すべき課題において指摘したように、横電界方式では、電圧印加状態でもくし歯上の液晶は動作しないため、くし歯電極上の液晶を通った光はノイズとなる。そこで、くし歯電極上を通った反射光について、人間が見る視点から外して反射させることを考えた。すなわち、電極上の光の反射方向と、電極間の光の反射方向とが重なるために、黒表示における反射率を下げることができず、コントラスト比を低下させていたことから、電極上の光の反射方向と電極間の光の反射方向とを重ならないようにすることで、反射モードにおけるコントラスト比を向上できると考えた。
【0024】
電極間の液晶は、電圧を印加することで基板平面方向に回転し、電極上の液晶は電圧を印加しても基板平面方向に回転しないことから、電極間については、反射板で光を観察者方向に向けて反射させ、電極上については、反射板で光を観察者以外の方向に向けて反射させることで、観察する側のコントラスト比を向上させ、視認性を上げることができる。観察者側の方向は、基板垂直方向から所定の角度の範囲内の角度、例えば入射角30°に対して、0°〜15°として定義する。また、観察者以外の方向としては、基板平面に対して鏡面反射する方向、例えば入射角30°に対して、出射角30°の方向を考える。この鏡面反射の方向を、正反射方向と呼ぶ。
【0025】
図4に、液晶表示装置における光の進行の様子を示す。一般に、反射モードを有する液晶表示装置において、人間は、30°で入射した光を、0°から15°程度の方向で反射した光として見ると言われている。その理由は、30°で入射した光を、30°付近に出射した光で見ると、反射光源が見えてしまい、表示画像を十分に視認することができないからである。一般に、光の入射角を30°とした時に、反射板16の凹凸の傾斜角αと、反射光の出射光の出射角βとの関係は、図4のように簡略化して考えると、以下の式(1)から式(3)の3式の関係から、式(4)と近似できる。
n1・sin(30°)=n2・sinθ2 (1)
θ3=θ2−2・α (2)
n1・sinβ=n2・sinθ3 (3)
α={sin-1[(n1/n2)・sinβ]-sin-1[(n1/n2)・sin(30°)]}/2 (4)
【0026】
大気の屈折率をn1=1.0、反射板16上の第3の絶縁膜41の屈折率をn2=1.5とすると、式(4)から、30°で入射した光を、0°〜15°付近(観察者方向)に反射させるには、凹凸の傾斜角を4.7°〜9.1°の角度成分が多くなるように制御すればよい。また、30°で入射した光を、20°〜30°(正反射方向)に反射させるには、凹凸の傾斜角を0°〜2.9°の角度成分が多くなるように制御すればよい。このように、凹凸膜の電極に重なる領域部分の平均傾斜角を、電極間に重なる領域部分の平均傾斜角に対して小さくすることで、30°の入射角で入射した光について、電極間では観察者方向に反射させつつ、電極上では正反射方向へ反射させることができる。式(4)から、凹凸の傾斜角αは、第3の絶縁膜41の屈折率に依存するので、用いる絶縁膜41の屈折率に応じて、各領域での傾斜角を設計すればよい。具体的には、屈折率を1.5よりも小さくすれば双方の領域での傾斜角をそれぞれ小さくし、屈折率を1.5よりも大きくすれば双方の領域での傾斜角をそれぞれ大きくすればよい。ここで、反射板16の凹凸形状の表面は連続的に変化しており、その表面のある一部分に対する接線とTFT基板表面とのなす角度の絶対値を傾斜角αとする。αの測定方法としてたとえば、原子間力顕微鏡(AFM)により反射板の表面の高さを測定し、その隣接する2点間の傾きの絶対値を近似的に傾斜角とする方法もある。
【0027】
以上を基に、液晶が回転しないくし歯電極上を通過し反射される光が人間に視認されないようにするには、電極上については、出射方向が30°方向を中心とした正反射方向に集中して反射させ、出射角が0°〜15°の範囲には反射させなければよい。これを実現させるために、くし歯下の反射板領域と、くし歯間の反射板領域とで、反射凹凸の傾斜角を異ならせることを考えた。具体的には、上記から、くし歯下反射板領域の凹凸の平均傾斜角を0〜2.9°にし、反射光の出射角を正反射方向に集中させるのに対し、くし歯間反射板領域では凹凸の平均傾斜角を4.7〜9.1°程度にし、反射光の出射角を、人間が反射光を見る0°〜15°方向に制御した。ここで、平均傾斜角度は、指定した領域における傾斜角の平均値とする。例えば、前述のAFMにより測定し計算した値の平均値として平均傾斜角度とする方法もある。
【0028】
反射板16の傾斜角度を、電極下と電極間とで異なる傾斜角とするに際して、くし歯電極下には極力凹凸を形成しない方法で、傾斜角を、電極下に対応した領域(領域A)と、電極間に対応した領域(領域B)とに分けることを検討した。凹凸膜のパターンについては、図5及び図6に示すような規則正しいパターンを用いると、干渉により視認性が悪化するために、図7及び図8に示すようなランダムに配置した三角形の辺の部分を凸にした凹凸パターンを用いた。図7に示すパターンは、図5と同様に、電極部に凹凸を形成しているパターンであり、図8に示すパターンは、図6と同様に、電極部分の凸部を除去したパターンである。このような凹凸パターンを用いて反射板16の凹凸を形成することで、ノーマリーホワイト表示の反射モードにおけるコントラスト比が、どの程度改善したかを検討する。
【0029】
光漏れを評価するには、黒表示時の反射率と白表示時の反射率の比、すなわちコントラスト比を評価すればよい。評価は、図9に示すように、基板平面に対して垂直な方向から0°〜15°の方向を観察者側(受光器の受光角)とし、受光角に対して垂直方向と反対側の30°の方向を入射光の投光角として、投光器から出射した光を光源にして液晶表示装置10で反射された光の反射率を受光器で測定して評価を行った。反射率は、硫酸バリウムで作成した標準白色版(WS−3,TOPCOM社製)を用いたときに、受光角0°の反射率を100%として相対反射率を測定した。
【0030】
電極間及び電極下に同じ傾斜角で凹凸層が形成された従来と同様の反射板を用いた液晶表示装置でコントラスト比を測定したところ、コントラスト比は、5:1程度であった。これに対し、電極間には凹凸を有し、電極下には凹凸を有しない凹凸膜を作成し、反射板16の傾斜角を、領域Aと領域Bとで異なる傾斜角とした液晶表示装置を作成して評価を行ったところ、コントラスト比は13:1まで向上した。このように、領域Aと領域Bとで反射板16の傾斜角度を異なる角度にし、液晶が動かない電極上の通過し反射される光を30°方向を中心とした正反射方向に集中して反射して、受光角が0〜15°の範囲には入射しないようにすることで、コントラスト比を上昇させ、視認性を向上させることができることが確認された。
【0031】
以下、図10〜図17を参照して、TFT基板14の製造過程について説明する。なお、これら図中において、(a)は平面図を示し、その他は、各部の断面図を示している。まず、基板上に、ゲート線31、第1共通電極配線37a、及び、第2共通電極配線38aを、図10(a)に示すパターンで形成する。このときの反射領域21、透過領域22、及び、反射領域21と透過領域22との境界部(段差部)のそれぞれの断面は、図10(b)〜(d)に示すようになる。反射領域21では、反射板16に電位を与えるために、第1共通電極配線37aが、表示領域内に突き出すように形成される。その後、ゲート線31、第1共通電極配線37a、及び、第2共通電極配線38aを、絶縁膜17(図1)で覆う。
【0032】
次いで、図11(a)に示すように、TFTを形成するための半導体層39を形成する。各部の断面は同図(b)〜(e)に示すようになる。この半導体層の形成では、同図(b)に示すように、半導体層39が、ゲート線31(ゲート電極)とオーバラップするように形成される。その後、図12(a)に示すパターンで、TFTのソース・ドレインに接続される画素電極配線35a、36aを形成する。このとき、反射領域21、透過領域22、及び、反射領域21と透過領域22との境界部(段差部)のそれぞれの断面は、図12(b)〜(e)に示すようになる。
【0033】
反射領域21では、隣接する画素電極配線35aの間に、第1共通電極配線37aが形成される。このとき、第1共通電極配線37aは、表示領域において、画素電極配線35aと第1共通電極配線37aとの面積比が1:1となるように形成される。これは、画像表示時に、後に形成する反射板16に、反射板16に、画素電極35と共通電極37との中間電位を与えるようにするためである。第1共通電極配線37a及び第2共通電極配線38aの形成後、その上を絶縁膜17で覆う。
【0034】
引き続き、凹凸OC層(第2の絶縁膜)42を、図13(a)に示すように形成する。この凹凸OC層42は、同図(b)〜(e)に示すように、断面が凹凸を有するように形成される。凹凸層の形成では、基板上に感光性樹脂を塗布し、フォトマスクを用いて感光性樹脂を露光し、現像により感光した感光性樹脂を除去し、現像後の感光性樹脂を焼成して凹凸OC膜を形成する。このように形成した凹凸OC層42の上にAl層を形成し、図14(a)に示すパターンで、反射領域21に反射板16を形成する。このときの反射領域21、透過領域22、及び、反射領域21と透過領域22との境界部のそれぞれの断面は、同図(b)〜(e)に示すようになる。
【0035】
反射板16の形成後、図15(a)に示すパターンで、平坦OC層(第3の絶縁膜)41を形成する。この平坦OC層41の形成により、同図(b)〜(e)に示すように、反射領域21と透過領域22との境界に段差が生じ、双方の領域において、セルギャップが調整される。その後、図16(a)に示す位置に、画素電極配線35a、36a、及び、共通電極配線37a、38aを覆う絶縁膜17にコンタクトホール43を形成し、画素電極配線35a、36a、及び、共通電極配線37a、38aを露出させる(同図(b))。
【0036】
コンタクトホールの形成後、図17(a)に示すパターンで、平坦OC層41上に、画素電極35、36と、共通電極37、38とを形成する。反射領域21、透過領域22、及び、反射領域21と透過領域22との境界部におけるそれぞれの断面は、同図(b)〜(d)に示すようになる。この画素電極35、36及び共通電極37、38の形成では、各電極と、画素電極配線35a、36a、及び、共通電極配線37a、38aとを、それぞれコンタクトホールを介して接続する。以上の工程により、本実施形態の半透過型液晶表示装置10で使用するTFT基板14が製造される。
【0037】
効果について説明する。本実施形態では、ノーマリーホワイト表示の反射モードを有する横方向電界方式の液晶表示装置10において、反射板16の凹凸形状における傾斜角を電極下と電極間とで異なる傾斜角とする。電極下に対応する領域での傾斜角、及び、電極間に対応する領域での傾斜角を適切に設定することで、電極間を通過し反射する光を受光角が0°〜15°の範囲に出射させると共に、液晶が動かない電極上を通過し反射する光については、30°方向を中心とした正反射方向に集中して反射することができ、電極上を通過し反射する光が、受光角が0°〜15°の範囲に出射しないようにすることで、傾斜角を電極間と電極下とで変えない場合に比して、コントラスト比を上昇させることができ、視認性を向上させることができる。
【0038】
なお、上記では、凹凸層に三角形のパターンで辺の部分を凸にするパターン(図7、図8)を用いたが、これに代えて、図18に示すような三角形以外の多角形パターンの辺を凸部又は凹部に対応させたパターンを用いることもできる。また、図19に示すような円を用いたパターンや、図20に示すような楕円を用いたパターンを用いることもできる。このようなパターンを用いる場合には、円形領域内を凸部に対応させてもよく、円形領域内を凹部に対応させてもよい。これらパターンを組み合わせて用いたパターンで、反射板16の凹凸を形成する構成であってもよい。また、ここで挙げたパターン以外のパターンであっても、所望の反射特性が得られるようなパターンであればよく、これらの場合においても、電極間に凹凸を有し、電極下には凹凸を有しないように構成すればよい。また、上述では凹凸パターンを形成するフォトマスクにおいて電極下に対応するパターンを除去するフォトマスクを用いたが、図21に示すような、電極下に対応するパターンを遮光パターンにしたフォトマスク用いても、同様に傾斜角を低くすることができる。
【0039】
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、表示方式が、ノーマリーブラック表示である点で、第1実施形態と相違する。液晶表示装置の構成及びTFT基板の構成は、第1実施形態と同じである。本実施形態においても、くし歯電極下には、極力凹凸を形成しない方法で、反射板の傾斜角を、電極下に対応した領域(領域A)と電極間に対応した領域(領域B)とで分けることを検討した。凹凸の形成に用いたパターンについては、第1実施形態で用いたパターンと同様なパターンとした。すなわち、図7及び図8に示すような、ランダムに配置した三角形の辺の部分を凸部に対応させた凹凸パターンを用いた。
【0040】
上記凹凸パターンによって反射板の凹凸の傾斜角を領域Aと領域Bとで分けることにより、ノーマリーブラック表示の反射モードにおける反射率がどのように変わったかを測定した。下記表1に、その結果を示す。表1において、平均傾斜角度は、電極上を平坦化した部分と、していない部分とを含めて計算している。同じ平均傾斜角度にした場合には、電極上を平坦化した方が、反射率が向上している。これは、凹凸を形成するときに、傾斜角度が0°〜3°になる部分を電極上に集中して配置したことにより、電極間で反射され白表示に寄与する傾斜角の成分、すなわち傾斜角度が5°〜9°の成分を増加させることができていることを意味している。
【表1】
【0041】
以上の結果より、ノーマリーブラック表示を行う本実施形態においても、電極上の凹凸を平坦化することで、白表示を明るくすることができることが確認された。また、電圧を印加しない黒表示を行った場合には、電極上の凹凸を平坦化することの影響は無視できる程度であるので、白表示における反射率が上昇しただけコントラスト比が上昇することになり、本実施形態においても、高コントラスト比を得ることができた。
【0042】
第3実施形態について説明する。第1及び第2実施形態では、電極下の反射板の凹凸を除去することで、高コントラスト比を得たが、本実施形態では、電極間にドット状のパターンを配置し、電極下の部分には、電極間のドット状パターンよりも小さいパターンを配置することで、電極下の反射板の凹凸の傾斜角度を小さくする方法について説明する。液晶表示装置の構成、TFT基板の製造方法、及び、画素の駆動方法については、第1及び第2実施形態と同様である。
【0043】
図22に、本実施形態において凹凸形状を形成する際に用いるパターンを示す。このパターンでは、電極間については、矩形状のドットパターンを配置し、電極下には、それよりも小さな矩形状のドットパターンを配置している。同図では、ドット状パターンを矩形状のパターンとしているが、円形や楕円形、多角形のパターンを用いてもよい。このようなパターンを用いることで、電極下に対応した領域での凹凸を平坦化できる。
【0044】
図22に示すパターンを用いて反射板の凹凸を形成する場合、第1実施形態及び第2実施形態で説明した電極下の凹凸を除去したパターンを用いる場合に比して、電極下の平坦部分と、その周辺部分とで形成される電極に平行に形成される傾斜の角度を低減することができ、0°〜15°の反射率とコントラスト比とが低減せずに他の方位から入射した光が散乱されず、良好な視認性を得ることができる。なお、図22では、電極下に小さなドット状パターンを配置したが、図23に示すように、この部分に、半透過膜を利用したハーフトーンを用いても、同様な効果を得ることができる。
【0045】
第4実施形態について説明する。図24は、本実施形態において、反射板の凹凸を形成する際に用いるパターンを示している。液晶表示装置の構成、TFT基板の製造方法、及び、液晶の駆動方法については、上記各実施形態と同様である。本実施形態では、従来の凹凸パターン(図7)を形成するフォトマスクに対して、電極下の少なくとも一部にハーフトーン領域を形成している。この場合、従来と同じ凹凸パターンに電極部分のみにハーフトーンを形成することで、電極間の凹凸部分に露光される量よりも、電極下の凹凸部分に露光される量が減少する。このため、電極下のみ平均傾斜角度を低下させることができ、電極上を反射し通過した光を正反射方向へ反射することができるので、コントラスト比を向上できる。
【0046】
以上、本発明の各実施形態では、反射板の傾斜角度を、電極下に対応する領域と、電極間とで異なる傾斜角とすることで、液晶が動かない電極上を反射し通過する光を正反射方向を中心とした方向へ反射することができるため、ノーマリーホワイト方式では、従来の方法では3:1であったコントラスト比を、13:1以上に向上することができた。また、ノーマリーブラック方式では、表1に示すように、反射率が同一平均傾斜角度に対して最大70%(平均傾斜角度9°)、反射率が最大となる平均傾斜角度7.5°においても23%の反射率向上が実現でき、コントラスト比も向上できた。
【0047】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の液晶表示装置、その製造方法、及び、フォトマスクは、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【0048】
上記の実施形態の一部又は全部を一例とする発明は、以下の付記のようにも記載されうるが、本願発明は、下記の構成に限られない。
【0049】
(付記1)
横電界駆動方式で駆動される少なくとも一部に反射領域を有する液晶表示装置において、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けられた液晶を駆動するための複数の電極とを備え、前記反射板の凹凸形状における傾斜角が、隣接する2つの電極間に対応する領域と、電極下に対応する領域とで異なることを特徴とする液晶表示装置。
【0050】
(付記2)
前記電極下に対応する領域における前記反射板の傾斜角が、前記隣接する2つの電極間に対応する領域における前記反射板の傾斜角よりも小さい、付記1に記載の液晶表示装置。
【0051】
(付記3)
前記隣接する2つの電極間に対応する領域における前記反射板の傾斜角度が、当該領域における前記反射板の反射光が観察者に向けて出射される角度に設定され、前記電極下に対応する領域における前記反射板の傾斜角度が、当該領域における前記反射板の反射光が正反射方向に向けて出射される角度に設定されている、付記1に記載の液晶表示装置。
【0052】
(付記4)
前記反射板に対する光の入射角度を30°としたとき、前記隣接する2つの電極間に対応する領域における前記反射板の傾斜角の成分のうち、4.7°〜9.1°の範囲内の成分が0°〜2.9°の成分よりも多く、前記電極下に対応する領域における前記反射板の傾斜角の成分のうち、0°〜2.9°の範囲内の成分が4.7°〜9.1°の成分よりも多い、付記1に記載の液晶表示装置。
【0053】
(付記5)
横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域の凹凸パターンが除去されていることを特徴とするフォトマスク。
【0054】
(付記6)
横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域に遮光パターンが追加されていることを特徴とするフォトマスク。
【0055】
(付記7)
横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域にグレートーン又はハーフトーンが配置されていることを特徴とするフォトマスク。
【0056】
(付記8)
少なくとも一部に反射領域を有し、横電界駆動方式で駆動される液晶表示装置の製造方法であって、基板上に感光性樹脂を塗布する工程と、付記5乃至7の何れか一つに記載のフォトマスクを用いて感光性樹脂を露光する工程と、現像により感光した感光性樹脂を除去する工程と、現像後の感光性樹脂を焼成し凹凸OC膜を形成する工程と、前記凹凸OC膜上に反射板を形成する工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【0057】
付記1の液晶表示装置では、電極下に対応する領域と、隣接する2つの電極間に対応する領域とで、反射板の凹凸形状における傾斜角を異なる傾斜角とする。このようにすることで、反射モードでの光の散乱方向を、電極部の領域と電極間の領域とで、異なる方向にすることができる。これにより、反射モードをノーマリーホワイトで使用する際には、黒表示時に輝度が低下して反射コントラスト比を向上できる。また、反射モードをノーマリーブラックで使用する際には、反射率が向上し、反射コントラスト比を向上できる。
【符号の説明】
【0058】
10:液晶表示装置
11、15:偏光板
12:対向基板
13:液晶層
14:TFT基板
16:反射板
17、41、42:絶縁膜
21:反射領域
35、36:画素電極
37、38:共通電極
39:半導体層
【技術分野】
【0001】
本発明は、凹凸形状の反射板を有する横電界駆動方式の反射型又は半透過型の液晶表示装置を製造する際に用いるフォトマスク、及び、そのような液晶表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、IPS方式やFFS方式のように、同一基板上に画素電極及び共通電極を配置し、画素電極と共通電極との間の電界によって液晶分子をスイッチングさせる方式で表示を行う、反射型や半透過型の液晶表示装置が、提案されている。例えば、特許文献1や特許文献2では、反射モードを電圧無印加で黒表示とするノーマリーブラックで用いる半透過型横電界駆動方式が提案されている。また、特願2006−180200では、反射モードを、電圧無印加で白表示とするノーマリーホワイトで用いる半透過型横電界駆動方式が提案されている。
【0003】
以下、特許文献1で提案されている横電界駆動方式の半透過型液晶表示装置について説明する。図25は、特許文献1に記載の液晶表示装置の断面を模式的に示している。液晶表示装置200は、互いに対向する一対の基板(TFT基板214及び対向基板212)と、TFT基板214と対向基板212との間に挟みこまれた液晶層213と、TFT基板214及び対向基板212の液晶層213とは反対側に貼り付けられた偏光板211、215とを有する。液晶層213と偏光板215との間には1/2波長板218が挿入されている。図25では、図示を省略するが、液晶表示装置200は、偏光板215側からバックライト光を入射するバックライト装置を備えている。また、TFT基板214及び対向基板212の液晶層213側の表面には、それぞれ水平配向膜が形成されている。この2つの水平配向膜の配向方向がなす角が、ツイスト角となる。
【0004】
液晶表示装置200は、偏光板215から偏光板211側にバックライト光源からの光を透過させて表示を行う透過領域222と、偏光板211側から入射した光を反射板216にて反射し表示を行う反射領域221とを有する。TFT基板214の液晶層213側には、第1の絶縁膜217が形成される。反射領域221では、第1の絶縁膜217の上に、第2の絶縁膜242が形成され、その上に、反射板216が形成される。反射板216の上には、第3の絶縁膜241が形成され、第の3絶縁膜241上に、横電界駆動電極(画素電極235、共通電極237)が形成される。一方、透過領域222では、TFT基板214上の第1の絶縁膜217上に、横電界駆動電極(画素電極236、共通電極238)が形成される。
【0005】
反射領域221では、画素電極235と共通電極237とは平行に形成され、画素電極235と共通電極237との間に形成される電界により、液晶層213が駆動される。また、透過領域222においても、画素電極236と共通電極238とは平行に形成され、画素電極236と共通電極238との間に形成される電界により、液晶層213が駆動される。第2の絶縁膜242及び第3の絶縁膜241は、反射領域221の液晶セルギャップと透過領域222の液晶セルギャップとの差を調整する。具体的には、透過領域222における液晶層213のギャップを1/2波長としたとき、反射領域221における液晶層213のギャップは1/4波長に調整される。
【0006】
図26(a)は、上記構成の液晶表示装置における偏光板211の偏光軸方向及び液晶層213における液晶配向方向を示し、同図(b)は、反射領域221での光の偏光状態を示している。同図(a)に示すように、偏光板211の偏光軸及び液晶層213における液晶配向方向を、90°とする。この場合、電圧無印加状態では、偏光板211を通過した配置角90°の直線偏光は、液晶層213をそのまま通過して直線偏光のまま反射板216を反射し、反射された直線偏光はそのまま液晶層213を通過し、偏光板211を通過して白表示となる。電圧印加状態では、液晶層213の配置角は45°となり、偏光板211を通過した直線偏光は、液晶層213を通過して右回りの円偏光になり、反射板216で反射して右回りの円偏光となって液晶層213を通過し、偏光板211に配置角0°の直線偏光として入射する。このため、偏光板211から出射できずに黒表示になる。すなわち、ノーマリーホワイト表示となる。
【0007】
図27(a)は、上記構成の液晶表示装置における偏光板211の偏光軸方向及び液晶層213における液晶配向方向の別の例を示し、同図(b)は、反射領域221での光の偏光状態を示している。同図(a)に示すように、偏光板211の偏光軸を90°、液晶層213における液晶配向方向を45°とした場合を考える。この場合、電圧無印加状態では、偏光板211を通過した配置角90°の直線偏光は、液晶層213を通過して右回りの円偏光になり、反射板216で反射し左回りの円偏光になる。この左回りの円偏光は、液晶層213を通過して、配置角0°の直線偏光となるため、偏光板211を出射できず、黒表示になる。電圧印加状態では、液晶層213の配置角は0°となり、偏光板211を通過した配置角90°の直線偏光は、液晶層213を通過して配置角90°のまま反射板216で反射する。反射板216の反射光は、配置角90°の直線偏光のまま液晶層213を通過し、偏光板211を出射して白表示になる。すなわち、ノーマリーブラックとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−344837号公報
【特許文献2】特開2005−338256号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ここで、図28に、図25に示す液晶表示装置における電圧印加時の液晶配向状態を示す。電圧印加状態では、くし歯電極間(画素電極235、共通電極237間)には横方向の電界が形成され、液晶層213の液晶は、電界方向に沿って液晶が配向する。しかしながら、くし歯電極上では、液晶層213に横方向電界が印加されないため、液晶が回転しない。従って、液晶表示装置200をノーマリーホワイトで用いた場合には、電極上の液晶が回転しないため、電圧印加時も電極上の表示は“白”のままであり、電極間のみが“黒”となるので、コントラスト比が低下するという問題が発生する。具体的に、反射板216の凹凸を、画素電極235と共通電極237との間、及び、電極上で同じ形状とした場合には、電圧印加状態でも、電極上は明るい表示のままであり、コントラスト比は3:1以下であった。ノーマリーブラックについても、同様に、電極上の液晶が回転しないため、電圧印加状態でも電極上は“黒”のままであり、電極間のみが“白”となるので、反射率が低下するという問題がある。
【0010】
本発明は、上記従来技術の問題点を解消し、横電界駆動方式の反射又は半透過型の液晶表示装置において、電圧印加時にくし歯電極上の液晶が十分に回転しなくても、ノーマリーホワイト表示で反射コントラスト比の低下を抑えることができ、ノーマリーブラック表示で反射率の低下を抑制できる液晶表示装置の製造方法、及び、反射板形成に用いるフォトマスクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明のフォトマスクは、横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた、前記電極下に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均が、隣接する2つの電極間に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均より低い液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域にグレートーン又はハーフトーンが配置されていることを特徴とする。
【0012】
本発明の液晶表示装置の製造方法は、少なくとも一部に反射領域を有し、横電界駆動方式で駆動される、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた、前記電極下に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均が、隣接する2つの電極間に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均より低い液晶表示装置の製造方法であって、基板上に感光性樹脂を塗布する工程と、上述のフォトマスクを用いて感光性樹脂を露光する工程と、現像により感光した感光性樹脂を除去する工程と、現像後の感光性樹脂を焼成し凹凸OC膜を形成する工程と、前記凹凸OC膜上に反射板を形成する工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明のフォトマスクでは、電極下の少なくとも一部にグレートーンまたはハーフトーン領域を形成していることから、電極間の凹凸部分に露光される量よりも、電極下の凹凸部分に露光される量が減少する。このため、電極下のみ平均傾斜角度を低下させることができ、電極上を反射し通過した光を正反射方向へ反射することができるので、コントラスト比を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1実施形態の液晶表示装置の断面を示す断面図。
【図2】画素電極及び共通電極の駆動信号波形を示す波形図。
【図3】反射領域における光の偏光状態を示す模式図。
【図4】液晶表示装置における光の進行の様子を模式的に示す断面図。
【図5】凹凸膜の形成に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図6】凹凸膜の形成に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図7】凹凸膜の形成に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図8】凹凸膜の形成に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図9】評価時の光入射方向と受光角及び正反射角とを示す模式図。
【図10】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(d)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図11】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図12】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図13】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図14】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図15】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(e)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図16】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)は、(a)の一部断面を示す断面図。
【図17】(a)は、TFT基板の製造過程を示す平面図、(b)〜(d)は、(a)における各部の断面を示す断面図。
【図18】多角形のパターンで凹凸膜を形成する際に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図19】円形のパターンで凹凸膜を形成する際に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図20】楕円形のパターンで凹凸膜を形成する際に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図21】遮光パターンを有するパターンで凹凸膜を形成する際に用いるフォトマスクのパターンを示す平面図。
【図22】第3実施形態において凹凸形状を形成する際に用いるパターンを示す平面図。
【図23】凹凸形状を形成する際に用いるパターンの別の例を示す平面図。
【図24】第4実施形態において凹凸形状を形成する際に用いるパターンを示す平面図。
【図25】特許文献1に記載の液晶表示装置の断面を模式的に示す断面図。
【図26】(a)は、液晶表示装置における偏光板の偏光軸方向及び液晶層における液晶配向方向を示す模式図、(b)は、反射領域での光の偏光状態を示す模式図。
【図27】(a)は、液晶表示装置における偏光板の偏光軸方向及び液晶層における液晶配向方向の別の例を示す模式図、(b)は、反射領域での光の偏光状態を示す模式図。
【図28】図25に示す液晶表示装置における電圧印加時の液晶配向状態を模式的に示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1実施形態の液晶表示装置の断面を示している。液晶表示装置10は、第1偏光板11、対向基板12、液晶層13、TFT基板14、第2偏光板15、及び、1/2波長板18を有する。液晶表示装置10は、図25に示す液晶表示装置200と同様に、反射領域と透過領域とを有する半透過型液晶表示装置として構成されており、図1は、そのうちの反射領域21における断面構造を示している。
【0016】
第1偏光板11の偏光方向(光透過方向又は光吸収方向)と、第2偏光板15の偏光方向とは、互いに直交する。液晶層13は、電圧無印加時に、分子長軸方向が、第1偏光板11又は第2偏光板15の偏光方向と一致する向きに配列された液晶分子を有する。以下では、第1偏光板11の光透過軸方向を90°、第2偏光板15の偏光方向を0°、液晶層13における電圧無印加時の液晶分子長軸方向を90°として説明する。
【0017】
TFT基板14上の反射領域21では、絶縁膜17の上に、第2の絶縁膜42が形成され、その上に、反射板16が形成される。反射板16の上には、第3の絶縁膜41が形成される。反射板16は、第1偏光板11側から入射する光を、第1偏光板11側に反射する。反射領域21は、反射板16によって反射された光を表示光源とする。反射板16は、一般に、光の散乱効果を高めるために、断面形状が凹凸を有するように形成される。断面形状が凹凸を有する形状にするためには、第2の絶縁膜42に凹凸を形成し、その上に反射板をAlやAgなどの金属膜やそれらの合金を積層することでも形成することができる。液晶表示装置10は、第2偏光板15の下層側に、図示しないバックライト光源を有しており、図示しない透過領域は、そのバックライト光源を表示光源とする。
【0018】
透過領域の液晶セルギャップは、液晶層13のリタデーションがほぼλ/2となるように調整されている。ここで、ほぼλ/2と書いたのは、液晶層13に電圧が印加され、液晶層13の長軸方向が回転した場合、セルギャップの中央部では液晶層13は回転するが、基板付近では液晶層13の回転は迎えられるため、実際にはリタデーションを(λ/2)+αに設定したときに、実効的なリタデーションがλ/2となるからである。例えば、液晶層13のリタデーションをΔnd=300nmに設定した場合、電圧を印加した場合の実効リタデーションはΔndeff=λ/2=550/2=275nmとなる。一方、反射領域21では、絶縁膜17の高さを適切に設定することにより、液晶層13のリタデーションが電圧をかけた状態での実効リタデーションがλ/4になるようにセルギャップが調整されている。
【0019】
第3の絶縁膜41上には、絶縁膜17上には、液晶を駆動するための画素電極35と、基準電位を与えるための共通電極37とが形成される。また、図示は省略するが、TFT基板14上には、透過領域に対応して、透過領域における液晶を駆動するための画素電極及び共通電極が形成されている。共通電極37は、ゲート線と平行に延びる部分と、表示領域内に突き出した部分とを有する。共通電極37は、画素電極35と基板平面内で対向する位置に形成される。また、透過領域内の共通電極は、透過領域内の画素電極と基板平面内で対向する位置に形成される。各領域の共通電極には、それぞれ、液晶表示装置10内の各画素に共通の所定の信号駆動波形の信号が供給される。
【0020】
図2は、画素電極及び共通電極の駆動信号波形を示している。同図において、データ信号は、各画素の画素電極35に供給される信号であり、共通信号は、共通電極37に供給される信号である。この例では、データ信号と共通信号とは、逆位相の信号となっており、画素電極35の電位と、共通電極37の電位との電位差はVdとなり、反射領域21の液晶層13には、この電位差Vdに応じた強度の電界が印加される。
【0021】
図3は、図2に示す波形の信号が印加されたときの反射領域21における光の偏光状態を示している。図2に示す波形の信号が印加された状態では、反射領域21内の液晶層13の液晶分子は、画素電極35と共通電極37との間の電界により、配列方向が45°回転する。このため、図3に示すように、外部から第1偏光板11を通過した90°偏光(縦方向)の直線偏光は、液晶層13を通過する際に偏光状態が変化し、左回りの円偏光となる。この左回りの円偏光は、反射板16で反射して右回りの円偏光となり、液晶層13を再び通過して、0°偏光(横方向)の直線偏光となる。従って、反射板16による反射光は、第1偏光板11を通過できず、反射領域21は黒表示となる。
【0022】
以下、横電界駆動方式の反射型又は半透過型液晶表示装置において、反射板の凹凸形状をどのような形状とすることで、電圧印加時にくし歯上の液晶が十分に回転しなくても、ノーマリーホワイト表示で反射コントラストが低下する問題、又は、ノーマリーブラック表示で反射率が低下する問題を解消できるかについて検討した結果を説明する。液晶表示装置の構造としては、図1に示す構造の液晶表示装置を考える。すなわち、画素の一部又は全部に、凹凸層を有し、その上部に反射板が形成され、反射板と層間膜とを介して画素電極と共通電極とがくし歯状に形成された特許文献1に記載の液晶表示装置(図25)と同様の横電界駆動方式の反射又は半透過型液晶表示装置を考える。
【0023】
上記解決すべき課題において指摘したように、横電界方式では、電圧印加状態でもくし歯上の液晶は動作しないため、くし歯電極上の液晶を通った光はノイズとなる。そこで、くし歯電極上を通った反射光について、人間が見る視点から外して反射させることを考えた。すなわち、電極上の光の反射方向と、電極間の光の反射方向とが重なるために、黒表示における反射率を下げることができず、コントラスト比を低下させていたことから、電極上の光の反射方向と電極間の光の反射方向とを重ならないようにすることで、反射モードにおけるコントラスト比を向上できると考えた。
【0024】
電極間の液晶は、電圧を印加することで基板平面方向に回転し、電極上の液晶は電圧を印加しても基板平面方向に回転しないことから、電極間については、反射板で光を観察者方向に向けて反射させ、電極上については、反射板で光を観察者以外の方向に向けて反射させることで、観察する側のコントラスト比を向上させ、視認性を上げることができる。観察者側の方向は、基板垂直方向から所定の角度の範囲内の角度、例えば入射角30°に対して、0°〜15°として定義する。また、観察者以外の方向としては、基板平面に対して鏡面反射する方向、例えば入射角30°に対して、出射角30°の方向を考える。この鏡面反射の方向を、正反射方向と呼ぶ。
【0025】
図4に、液晶表示装置における光の進行の様子を示す。一般に、反射モードを有する液晶表示装置において、人間は、30°で入射した光を、0°から15°程度の方向で反射した光として見ると言われている。その理由は、30°で入射した光を、30°付近に出射した光で見ると、反射光源が見えてしまい、表示画像を十分に視認することができないからである。一般に、光の入射角を30°とした時に、反射板16の凹凸の傾斜角αと、反射光の出射光の出射角βとの関係は、図4のように簡略化して考えると、以下の式(1)から式(3)の3式の関係から、式(4)と近似できる。
n1・sin(30°)=n2・sinθ2 (1)
θ3=θ2−2・α (2)
n1・sinβ=n2・sinθ3 (3)
α={sin-1[(n1/n2)・sinβ]-sin-1[(n1/n2)・sin(30°)]}/2 (4)
【0026】
大気の屈折率をn1=1.0、反射板16上の第3の絶縁膜41の屈折率をn2=1.5とすると、式(4)から、30°で入射した光を、0°〜15°付近(観察者方向)に反射させるには、凹凸の傾斜角を4.7°〜9.1°の角度成分が多くなるように制御すればよい。また、30°で入射した光を、20°〜30°(正反射方向)に反射させるには、凹凸の傾斜角を0°〜2.9°の角度成分が多くなるように制御すればよい。このように、凹凸膜の電極に重なる領域部分の平均傾斜角を、電極間に重なる領域部分の平均傾斜角に対して小さくすることで、30°の入射角で入射した光について、電極間では観察者方向に反射させつつ、電極上では正反射方向へ反射させることができる。式(4)から、凹凸の傾斜角αは、第3の絶縁膜41の屈折率に依存するので、用いる絶縁膜41の屈折率に応じて、各領域での傾斜角を設計すればよい。具体的には、屈折率を1.5よりも小さくすれば双方の領域での傾斜角をそれぞれ小さくし、屈折率を1.5よりも大きくすれば双方の領域での傾斜角をそれぞれ大きくすればよい。ここで、反射板16の凹凸形状の表面は連続的に変化しており、その表面のある一部分に対する接線とTFT基板表面とのなす角度の絶対値を傾斜角αとする。αの測定方法としてたとえば、原子間力顕微鏡(AFM)により反射板の表面の高さを測定し、その隣接する2点間の傾きの絶対値を近似的に傾斜角とする方法もある。
【0027】
以上を基に、液晶が回転しないくし歯電極上を通過し反射される光が人間に視認されないようにするには、電極上については、出射方向が30°方向を中心とした正反射方向に集中して反射させ、出射角が0°〜15°の範囲には反射させなければよい。これを実現させるために、くし歯下の反射板領域と、くし歯間の反射板領域とで、反射凹凸の傾斜角を異ならせることを考えた。具体的には、上記から、くし歯下反射板領域の凹凸の平均傾斜角を0〜2.9°にし、反射光の出射角を正反射方向に集中させるのに対し、くし歯間反射板領域では凹凸の平均傾斜角を4.7〜9.1°程度にし、反射光の出射角を、人間が反射光を見る0°〜15°方向に制御した。ここで、平均傾斜角度は、指定した領域における傾斜角の平均値とする。例えば、前述のAFMにより測定し計算した値の平均値として平均傾斜角度とする方法もある。
【0028】
反射板16の傾斜角度を、電極下と電極間とで異なる傾斜角とするに際して、くし歯電極下には極力凹凸を形成しない方法で、傾斜角を、電極下に対応した領域(領域A)と、電極間に対応した領域(領域B)とに分けることを検討した。凹凸膜のパターンについては、図5及び図6に示すような規則正しいパターンを用いると、干渉により視認性が悪化するために、図7及び図8に示すようなランダムに配置した三角形の辺の部分を凸にした凹凸パターンを用いた。図7に示すパターンは、図5と同様に、電極部に凹凸を形成しているパターンであり、図8に示すパターンは、図6と同様に、電極部分の凸部を除去したパターンである。このような凹凸パターンを用いて反射板16の凹凸を形成することで、ノーマリーホワイト表示の反射モードにおけるコントラスト比が、どの程度改善したかを検討する。
【0029】
光漏れを評価するには、黒表示時の反射率と白表示時の反射率の比、すなわちコントラスト比を評価すればよい。評価は、図9に示すように、基板平面に対して垂直な方向から0°〜15°の方向を観察者側(受光器の受光角)とし、受光角に対して垂直方向と反対側の30°の方向を入射光の投光角として、投光器から出射した光を光源にして液晶表示装置10で反射された光の反射率を受光器で測定して評価を行った。反射率は、硫酸バリウムで作成した標準白色版(WS−3,TOPCOM社製)を用いたときに、受光角0°の反射率を100%として相対反射率を測定した。
【0030】
電極間及び電極下に同じ傾斜角で凹凸層が形成された従来と同様の反射板を用いた液晶表示装置でコントラスト比を測定したところ、コントラスト比は、5:1程度であった。これに対し、電極間には凹凸を有し、電極下には凹凸を有しない凹凸膜を作成し、反射板16の傾斜角を、領域Aと領域Bとで異なる傾斜角とした液晶表示装置を作成して評価を行ったところ、コントラスト比は13:1まで向上した。このように、領域Aと領域Bとで反射板16の傾斜角度を異なる角度にし、液晶が動かない電極上の通過し反射される光を30°方向を中心とした正反射方向に集中して反射して、受光角が0〜15°の範囲には入射しないようにすることで、コントラスト比を上昇させ、視認性を向上させることができることが確認された。
【0031】
以下、図10〜図17を参照して、TFT基板14の製造過程について説明する。なお、これら図中において、(a)は平面図を示し、その他は、各部の断面図を示している。まず、基板上に、ゲート線31、第1共通電極配線37a、及び、第2共通電極配線38aを、図10(a)に示すパターンで形成する。このときの反射領域21、透過領域22、及び、反射領域21と透過領域22との境界部(段差部)のそれぞれの断面は、図10(b)〜(d)に示すようになる。反射領域21では、反射板16に電位を与えるために、第1共通電極配線37aが、表示領域内に突き出すように形成される。その後、ゲート線31、第1共通電極配線37a、及び、第2共通電極配線38aを、絶縁膜17(図1)で覆う。
【0032】
次いで、図11(a)に示すように、TFTを形成するための半導体層39を形成する。各部の断面は同図(b)〜(e)に示すようになる。この半導体層の形成では、同図(b)に示すように、半導体層39が、ゲート線31(ゲート電極)とオーバラップするように形成される。その後、図12(a)に示すパターンで、TFTのソース・ドレインに接続される画素電極配線35a、36aを形成する。このとき、反射領域21、透過領域22、及び、反射領域21と透過領域22との境界部(段差部)のそれぞれの断面は、図12(b)〜(e)に示すようになる。
【0033】
反射領域21では、隣接する画素電極配線35aの間に、第1共通電極配線37aが形成される。このとき、第1共通電極配線37aは、表示領域において、画素電極配線35aと第1共通電極配線37aとの面積比が1:1となるように形成される。これは、画像表示時に、後に形成する反射板16に、反射板16に、画素電極35と共通電極37との中間電位を与えるようにするためである。第1共通電極配線37a及び第2共通電極配線38aの形成後、その上を絶縁膜17で覆う。
【0034】
引き続き、凹凸OC層(第2の絶縁膜)42を、図13(a)に示すように形成する。この凹凸OC層42は、同図(b)〜(e)に示すように、断面が凹凸を有するように形成される。凹凸層の形成では、基板上に感光性樹脂を塗布し、フォトマスクを用いて感光性樹脂を露光し、現像により感光した感光性樹脂を除去し、現像後の感光性樹脂を焼成して凹凸OC膜を形成する。このように形成した凹凸OC層42の上にAl層を形成し、図14(a)に示すパターンで、反射領域21に反射板16を形成する。このときの反射領域21、透過領域22、及び、反射領域21と透過領域22との境界部のそれぞれの断面は、同図(b)〜(e)に示すようになる。
【0035】
反射板16の形成後、図15(a)に示すパターンで、平坦OC層(第3の絶縁膜)41を形成する。この平坦OC層41の形成により、同図(b)〜(e)に示すように、反射領域21と透過領域22との境界に段差が生じ、双方の領域において、セルギャップが調整される。その後、図16(a)に示す位置に、画素電極配線35a、36a、及び、共通電極配線37a、38aを覆う絶縁膜17にコンタクトホール43を形成し、画素電極配線35a、36a、及び、共通電極配線37a、38aを露出させる(同図(b))。
【0036】
コンタクトホールの形成後、図17(a)に示すパターンで、平坦OC層41上に、画素電極35、36と、共通電極37、38とを形成する。反射領域21、透過領域22、及び、反射領域21と透過領域22との境界部におけるそれぞれの断面は、同図(b)〜(d)に示すようになる。この画素電極35、36及び共通電極37、38の形成では、各電極と、画素電極配線35a、36a、及び、共通電極配線37a、38aとを、それぞれコンタクトホールを介して接続する。以上の工程により、本実施形態の半透過型液晶表示装置10で使用するTFT基板14が製造される。
【0037】
効果について説明する。本実施形態では、ノーマリーホワイト表示の反射モードを有する横方向電界方式の液晶表示装置10において、反射板16の凹凸形状における傾斜角を電極下と電極間とで異なる傾斜角とする。電極下に対応する領域での傾斜角、及び、電極間に対応する領域での傾斜角を適切に設定することで、電極間を通過し反射する光を受光角が0°〜15°の範囲に出射させると共に、液晶が動かない電極上を通過し反射する光については、30°方向を中心とした正反射方向に集中して反射することができ、電極上を通過し反射する光が、受光角が0°〜15°の範囲に出射しないようにすることで、傾斜角を電極間と電極下とで変えない場合に比して、コントラスト比を上昇させることができ、視認性を向上させることができる。
【0038】
なお、上記では、凹凸層に三角形のパターンで辺の部分を凸にするパターン(図7、図8)を用いたが、これに代えて、図18に示すような三角形以外の多角形パターンの辺を凸部又は凹部に対応させたパターンを用いることもできる。また、図19に示すような円を用いたパターンや、図20に示すような楕円を用いたパターンを用いることもできる。このようなパターンを用いる場合には、円形領域内を凸部に対応させてもよく、円形領域内を凹部に対応させてもよい。これらパターンを組み合わせて用いたパターンで、反射板16の凹凸を形成する構成であってもよい。また、ここで挙げたパターン以外のパターンであっても、所望の反射特性が得られるようなパターンであればよく、これらの場合においても、電極間に凹凸を有し、電極下には凹凸を有しないように構成すればよい。また、上述では凹凸パターンを形成するフォトマスクにおいて電極下に対応するパターンを除去するフォトマスクを用いたが、図21に示すような、電極下に対応するパターンを遮光パターンにしたフォトマスク用いても、同様に傾斜角を低くすることができる。
【0039】
次に、第2実施形態について説明する。本実施形態は、表示方式が、ノーマリーブラック表示である点で、第1実施形態と相違する。液晶表示装置の構成及びTFT基板の構成は、第1実施形態と同じである。本実施形態においても、くし歯電極下には、極力凹凸を形成しない方法で、反射板の傾斜角を、電極下に対応した領域(領域A)と電極間に対応した領域(領域B)とで分けることを検討した。凹凸の形成に用いたパターンについては、第1実施形態で用いたパターンと同様なパターンとした。すなわち、図7及び図8に示すような、ランダムに配置した三角形の辺の部分を凸部に対応させた凹凸パターンを用いた。
【0040】
上記凹凸パターンによって反射板の凹凸の傾斜角を領域Aと領域Bとで分けることにより、ノーマリーブラック表示の反射モードにおける反射率がどのように変わったかを測定した。下記表1に、その結果を示す。表1において、平均傾斜角度は、電極上を平坦化した部分と、していない部分とを含めて計算している。同じ平均傾斜角度にした場合には、電極上を平坦化した方が、反射率が向上している。これは、凹凸を形成するときに、傾斜角度が0°〜3°になる部分を電極上に集中して配置したことにより、電極間で反射され白表示に寄与する傾斜角の成分、すなわち傾斜角度が5°〜9°の成分を増加させることができていることを意味している。
【表1】
【0041】
以上の結果より、ノーマリーブラック表示を行う本実施形態においても、電極上の凹凸を平坦化することで、白表示を明るくすることができることが確認された。また、電圧を印加しない黒表示を行った場合には、電極上の凹凸を平坦化することの影響は無視できる程度であるので、白表示における反射率が上昇しただけコントラスト比が上昇することになり、本実施形態においても、高コントラスト比を得ることができた。
【0042】
第3実施形態について説明する。第1及び第2実施形態では、電極下の反射板の凹凸を除去することで、高コントラスト比を得たが、本実施形態では、電極間にドット状のパターンを配置し、電極下の部分には、電極間のドット状パターンよりも小さいパターンを配置することで、電極下の反射板の凹凸の傾斜角度を小さくする方法について説明する。液晶表示装置の構成、TFT基板の製造方法、及び、画素の駆動方法については、第1及び第2実施形態と同様である。
【0043】
図22に、本実施形態において凹凸形状を形成する際に用いるパターンを示す。このパターンでは、電極間については、矩形状のドットパターンを配置し、電極下には、それよりも小さな矩形状のドットパターンを配置している。同図では、ドット状パターンを矩形状のパターンとしているが、円形や楕円形、多角形のパターンを用いてもよい。このようなパターンを用いることで、電極下に対応した領域での凹凸を平坦化できる。
【0044】
図22に示すパターンを用いて反射板の凹凸を形成する場合、第1実施形態及び第2実施形態で説明した電極下の凹凸を除去したパターンを用いる場合に比して、電極下の平坦部分と、その周辺部分とで形成される電極に平行に形成される傾斜の角度を低減することができ、0°〜15°の反射率とコントラスト比とが低減せずに他の方位から入射した光が散乱されず、良好な視認性を得ることができる。なお、図22では、電極下に小さなドット状パターンを配置したが、図23に示すように、この部分に、半透過膜を利用したハーフトーンを用いても、同様な効果を得ることができる。
【0045】
第4実施形態について説明する。図24は、本実施形態において、反射板の凹凸を形成する際に用いるパターンを示している。液晶表示装置の構成、TFT基板の製造方法、及び、液晶の駆動方法については、上記各実施形態と同様である。本実施形態では、従来の凹凸パターン(図7)を形成するフォトマスクに対して、電極下の少なくとも一部にハーフトーン領域を形成している。この場合、従来と同じ凹凸パターンに電極部分のみにハーフトーンを形成することで、電極間の凹凸部分に露光される量よりも、電極下の凹凸部分に露光される量が減少する。このため、電極下のみ平均傾斜角度を低下させることができ、電極上を反射し通過した光を正反射方向へ反射することができるので、コントラスト比を向上できる。
【0046】
以上、本発明の各実施形態では、反射板の傾斜角度を、電極下に対応する領域と、電極間とで異なる傾斜角とすることで、液晶が動かない電極上を反射し通過する光を正反射方向を中心とした方向へ反射することができるため、ノーマリーホワイト方式では、従来の方法では3:1であったコントラスト比を、13:1以上に向上することができた。また、ノーマリーブラック方式では、表1に示すように、反射率が同一平均傾斜角度に対して最大70%(平均傾斜角度9°)、反射率が最大となる平均傾斜角度7.5°においても23%の反射率向上が実現でき、コントラスト比も向上できた。
【0047】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の液晶表示装置、その製造方法、及び、フォトマスクは、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【0048】
上記の実施形態の一部又は全部を一例とする発明は、以下の付記のようにも記載されうるが、本願発明は、下記の構成に限られない。
【0049】
(付記1)
横電界駆動方式で駆動される少なくとも一部に反射領域を有する液晶表示装置において、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けられた液晶を駆動するための複数の電極とを備え、前記反射板の凹凸形状における傾斜角が、隣接する2つの電極間に対応する領域と、電極下に対応する領域とで異なることを特徴とする液晶表示装置。
【0050】
(付記2)
前記電極下に対応する領域における前記反射板の傾斜角が、前記隣接する2つの電極間に対応する領域における前記反射板の傾斜角よりも小さい、付記1に記載の液晶表示装置。
【0051】
(付記3)
前記隣接する2つの電極間に対応する領域における前記反射板の傾斜角度が、当該領域における前記反射板の反射光が観察者に向けて出射される角度に設定され、前記電極下に対応する領域における前記反射板の傾斜角度が、当該領域における前記反射板の反射光が正反射方向に向けて出射される角度に設定されている、付記1に記載の液晶表示装置。
【0052】
(付記4)
前記反射板に対する光の入射角度を30°としたとき、前記隣接する2つの電極間に対応する領域における前記反射板の傾斜角の成分のうち、4.7°〜9.1°の範囲内の成分が0°〜2.9°の成分よりも多く、前記電極下に対応する領域における前記反射板の傾斜角の成分のうち、0°〜2.9°の範囲内の成分が4.7°〜9.1°の成分よりも多い、付記1に記載の液晶表示装置。
【0053】
(付記5)
横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域の凹凸パターンが除去されていることを特徴とするフォトマスク。
【0054】
(付記6)
横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域に遮光パターンが追加されていることを特徴とするフォトマスク。
【0055】
(付記7)
横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域にグレートーン又はハーフトーンが配置されていることを特徴とするフォトマスク。
【0056】
(付記8)
少なくとも一部に反射領域を有し、横電界駆動方式で駆動される液晶表示装置の製造方法であって、基板上に感光性樹脂を塗布する工程と、付記5乃至7の何れか一つに記載のフォトマスクを用いて感光性樹脂を露光する工程と、現像により感光した感光性樹脂を除去する工程と、現像後の感光性樹脂を焼成し凹凸OC膜を形成する工程と、前記凹凸OC膜上に反射板を形成する工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【0057】
付記1の液晶表示装置では、電極下に対応する領域と、隣接する2つの電極間に対応する領域とで、反射板の凹凸形状における傾斜角を異なる傾斜角とする。このようにすることで、反射モードでの光の散乱方向を、電極部の領域と電極間の領域とで、異なる方向にすることができる。これにより、反射モードをノーマリーホワイトで使用する際には、黒表示時に輝度が低下して反射コントラスト比を向上できる。また、反射モードをノーマリーブラックで使用する際には、反射率が向上し、反射コントラスト比を向上できる。
【符号の説明】
【0058】
10:液晶表示装置
11、15:偏光板
12:対向基板
13:液晶層
14:TFT基板
16:反射板
17、41、42:絶縁膜
21:反射領域
35、36:画素電極
37、38:共通電極
39:半導体層
【特許請求の範囲】
【請求項1】
横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた、前記電極下に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均が、隣接する2つの電極間に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均より低い液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域にグレートーン又はハーフトーンが配置されていることを特徴とするフォトマスク。
【請求項2】
前記隣接する2つの電極間に対応する領域における前記反射板の傾斜角が、当該領域における前記反射板の反射光が観察者に向けて出射される角度に設定され、前記電極下に対応する領域における前記反射板の傾斜角が、当該領域における前記反射板の反射光が正反射方向に向けて出射される角度に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項3】
少なくとも一部に反射領域を有し、横電界駆動方式で駆動される、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた、前記電極下に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均が、隣接する2つの電極間に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均より低い液晶表示装置の製造方法であって、基板上に感光性樹脂を塗布する工程と、請求項1または2に記載のフォトマスクを用いて感光性樹脂を露光する工程と、現像により感光した感光性樹脂を除去する工程と、現像後の感光性樹脂を焼成し凹凸OC膜を形成する工程と、前記凹凸OC膜上に反射板を形成する工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項1】
横電界駆動方式で駆動され、少なくとも一部に反射領域を有し、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた、前記電極下に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均が、隣接する2つの電極間に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均より低い液晶表示装置における前記反射板の凹凸形状を形成するフォトマスクであって、前記電極下に対応する領域にグレートーン又はハーフトーンが配置されていることを特徴とするフォトマスク。
【請求項2】
前記隣接する2つの電極間に対応する領域における前記反射板の傾斜角が、当該領域における前記反射板の反射光が観察者に向けて出射される角度に設定され、前記電極下に対応する領域における前記反射板の傾斜角が、当該領域における前記反射板の反射光が正反射方向に向けて出射される角度に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のフォトマスク。
【請求項3】
少なくとも一部に反射領域を有し、横電界駆動方式で駆動される、断面が凹凸形状に形成された反射板と、前記反射板上に絶縁膜を介して設けた液晶を駆動するための複数の電極とを備えた、前記電極下に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均が、隣接する2つの電極間に対応する領域における、前記反射板の傾斜角の絶対値の平均より低い液晶表示装置の製造方法であって、基板上に感光性樹脂を塗布する工程と、請求項1または2に記載のフォトマスクを用いて感光性樹脂を露光する工程と、現像により感光した感光性樹脂を除去する工程と、現像後の感光性樹脂を焼成し凹凸OC膜を形成する工程と、前記凹凸OC膜上に反射板を形成する工程とを有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【公開番号】特開2012−194557(P2012−194557A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−88820(P2012−88820)
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2007−8498(P2007−8498)の分割
【原出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年4月9日(2012.4.9)
【分割の表示】特願2007−8498(P2007−8498)の分割
【原出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(303018827)NLTテクノロジー株式会社 (547)
【Fターム(参考)】
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