説明

フォトマスク及び液晶表示装置用カラーフィルタ

【課題】着色画素上からブラックマトリックス上方の着色画素上にまで延長された枝リブ84であっても、枝リブの全長にわたり、均一な幅を有する枝リブを形成する配向制御突起形成用のフォトマスクを提供すること。
【解決手段】ブラックマトリックス端上方の近傍の着色画素上に形成される配向制御用突起84−3に対応したフォトマスク上の遮光部の幅(Wa)を、また、ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成される配向制御用突起84−2に対応したフォトマスク上の遮光部の幅(Wc)を、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起84−1に対応したフォトマスク上の遮光部の幅(Wb)より大きくしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向制御突起が設けられた液晶表示装置用カラーフィルタに関するものであり、特に、配向制御突起を構成する枝リブが着色画素上からブラックマトリックス上方の着色画素上にまで延長された枝リブであっても、枝リブの全長にわたり、均一な幅を有する枝リブを形成できるフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
図4は、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を模式的に示した平面図である。また、図5は、図4に示すカラーフィルタのX−X’線における断面図である。
図4、及び図5に示すように、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタ(4)は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成されたものである。
図4、及び図5はカラーフィルタを模式的に示したもので、着色画素(42)は12個表されているが、実際のカラーフィルタにおいては、例えば、対角17インチの画面に数百μm程度の着色画素が多数個配列されている。
【0003】
液晶表示装置の多くに用いられている、上記構造のカラーフィルタの製造方法としては、先ず、ガラス基板上にブラックマトリックスを形成してブラックマトリックス基板とし、次に、このブラックマトリックス基板上のブラックマトリックスのパターンに位置合わせして着色画素を形成し、更に透明導電膜を位置合わせして形成するといった方法が広く用いられている。
ブラックマトリックス(41)は、遮光性を有するマトリックス状のものであり、着色画素(42)は、例えば、赤色、緑色、青色のフィルタ機能を有するものであり、透明導電膜(43)は、透明な電極として設けられたものである。
【0004】
ブラックマトリックス(41)は、着色画素(42)間のマトリックス部(41A)と、着色画素(42)が形成された領域(表示部)の周辺部を囲む額縁部(41B)とで構成されている。
ブラックマトリックスは、カラーフィルタの着色画素の位置を定め、大きさを均一なものとし、また、表示装置に用いられた際に、好ましくない光を遮蔽し、表示装置の画像をムラのない均一な、且つコントラストを向上させた画像にする機能を有している。
【0005】
このブラックマトリックス基板の製造には、ガラス基板(40)上にブラックマトリックスの材料としてのクロム(Cr)、酸化クロム(CrOX )などの金属、もしくは金属化合物を薄膜状に成膜し、成膜された薄膜上に、例えば、ポジ型のフォトレジストを用いてエッチングレジストパターンを形成し、次に、成膜された金属薄膜の露出部分のエッチング及びエッチングレジストパターンの剥膜を行い、Cr、CrOX などの金属薄膜からなるブラックマトリックス(41)を形成するといった方法がとられている。
或いは、ガラス基板(40)上に、ブラックマトリックス形成用の黒色感光性樹脂を用いてフォトリソグラフィ法によってブラックマトリックス(41)を形成するといった方法がとられている。
【0006】
また、着色画素(42)の形成は、このブラックマトリックス基板上に、例えば、顔料などの色素を分散させたネガ型のフォトレジストを用いて塗布膜を設け、この塗布膜への露光、現像によって着色画素を形成するといった方法がとられている。
また、透明導電膜(43)の形成は、着色画素が形成されたブラックマトリックス基板上に、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)を用いスパッタ法によって透
明導電膜を形成するといった方法がとられている。
【0007】
図4、及び図5に示すカラーフィルタ(4)は、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタとして基本的な機能を備えたものである。液晶表示装置は、このようなカラーフィルタを内蔵することにより、フルカラー表示が実現し、その応用範囲が飛躍的に広がり、液晶カラーTV、ノート型PCなど液晶表示装置を用いた多くの商品が創出された。
多様な液晶表示装置の開発、実用に伴い、液晶表示装置に用いられるカラーフィルタには、上記基本的な機能に付随して下記のような、種々な機能が付加されるようになった。
【0008】
例えば、配向分割機能。従来の液晶表示装置に於いては、液晶分子を一様に配向させるために、液晶を挟持する両基板に設けられた透明導電膜上に、予めポリイミドを塗布し、その表面に一様なラビング処理をしておく。
しかし、TN型液晶においては、原理的に広い視野角を得ることは困難であり、コントラストが低下し表示品質が悪化する。コントラストが良好な視野角は狭いといった問題を有していた。
【0009】
このような問題を解決する一技術として、一画素内での液晶分子の配向方向が一方向でなく、複数の方向になるように制御した視野角の広い、配向分割垂直配向型液晶表示装置(MVA(Multi−domain Vertical Alignment)−LCDが開発された。
【0010】
図7は、このようなMVA−LCDの断面を模式的に示した説明図である。図7に示すように、MVA−LCD(80)は、液晶分子(21)を介して配向制御突起(22a)、(22b)が設けられたTFT側基板(20)と、配向制御突起(23)が設けられたカラーフィルタ(8)とを配置した構造であるが、配向制御突起(22a)、(22b)及び配向制御突起(23)は一画素内で互い違いの位置に設けられている。
【0011】
図7に白太矢印で示すように、電圧印加時の状態では、画素内で配向制御突起(22a)〜配向制御突起(23)間の液晶分子は、図中左斜めに傾斜し、配向制御突起(23)〜配向制御突起(22b)間の液晶分子は、右斜めに傾斜する。すなわち、ラビング処理に代わり、突起を設けることにより液晶分子の配向を制御するものである。
【0012】
図8(a)、(b)は、MVA−LCDに用いられるカラーフィルタの一例の画素を拡大して示す平面図、及び断面図である。この例では、配向制御用突起(83)は、画素内で90°屈曲させてある。
このようなカラーフィルタを用いた液晶表示装置は、画素内で液晶分子の傾斜方向が4方向となり、視野角は広いものとなる。
【0013】
図9は、図8に示す配向制御用突起(83)に改良が加えられた一例の部分平面図である。図8に示す配向制御用突起が設けられた液晶表示装置においては、例えば、TFT側基板の画素電極の端近傍での電界の歪みが、画素内の液晶分子の配向に乱れを発生させているので、この乱れを正すために、図9に示す配向制御用突起では、画素電極の端近傍に対応したカラーフィルタ上の位置に、配向制御用突起(83)から枝分かれした配向制御用突起(84)を設けたものである。
【0014】
図9中、点線(E1)にて表す位置が、TFT側基板の画素電極の端を表しており、この画素電極の端(E1)に対応したカラーフィルタ上の位置に、配向制御用突起(84)が設けられている。
尚、図8に示す配向制御用突起(83)は、画素サイズが100×300μm程度において、その幅(W)は9〜12μm程度、高さ(H)は0.8〜1.4μm程度である。平
面形状がストライプ状で、断面形状が、例えば、かまぼこ状、半円形状であることからしてリブと称されている。図9に示すように、枝分かれした配向制御用突起(84)を有する配向制御用突起においては、配向制御用突起(83)は主リブ、枝分かれした配向制御用突起(84)は枝リブと称されている。
【0015】
前記図4に示すカラーフィルタ(4)に追加される機能としては、上記配向分割機能の他に、スペーサー機能、高信頼性機能、透過・反射併用機能、分光特性調整機能、光路差調整機能、光散乱機能などがあげられる。これら諸機能の内、そのカラーフィルタの用途、仕様にもとづき1機能或いは複数の機能が図4に示すカラーフィルタ(4)に追加される。
従って、例えば、図4に示すカラーフィルタ(4)に配向分割機能が追加された仕様のカラーフィルタを製造する際には、図4に示すカラーフィルタ(4)を作製した後に、例えば、図9に示す枝リブ(84)を有する配向制御突起(83)を形成する。
【0016】
上記カラーフィルタを構成するブラックマトリックス、着色画素、及び配向制御突起(83、84)をフォトリソグラフィ法によりパターンとして形成する際には、例えば、先ずガラス基板に対して必要に応じた洗浄処理を施し、続いて塗布装置によるフォトレジストの塗布、減圧乾燥装置による予備乾燥処理、プリベーク装置によるプリベーク処理、露光装置によるパターン露光、現像処理ユニットによる現像処理、加熱ユニットによるポストベーク処理が順次に施され、ガラス基板に所定のパターンを形成する。
【0017】
カラーフィルタを製造する際の上記パターン露光には、ガラス基板(40)のサイズと略同程度のサイズのフォトマスクを用いて露光する方法が広く採用されている。カラーフィルタの画面全体を1回の露光で一括して行う、所謂、一括露光法である。この露光法では、フォトレジストの塗布膜が設けられたガラス基板の上方に、近接露光のギャップを介してフォトマスクが配置され、パターンが形成されたフォトマスクは、その膜面を下方、すなわち、ガラス基板の塗布膜に対向させる近接露光が広く採用されている。
【0018】
図6は、液晶表示装置用カラーフィルタの製造における近接露光の一例を説明する断面図である。図6に示すように、ブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び透明導電膜(43)が順次に形成されたガラス基板(40)上にフォトレジストの塗布膜(60)が形成され、その上方には近接露光のギャップ(G)を設けてフォトマスク(PM)が配置されている。
フォトマスク(PM)は、フォトスペーサー及び配向制御突起の形成に対応したパターンが形成されている例である。フォトマスクの膜面(51)はフォトレジストの塗布膜(60)に対向している。
【0019】
このようなギャップ(G)を設けた近接露光によって、均一なパターンを形成する際には、露光装置における露光強度の面内バラツキ、露光光のディグリネーション(平行度)、ギャップ(G)の面内バラツキなどが重要な要素となってくる。
また、このようなギャップ(G)を設けた近接露光によって、パターンを形成する際には、露光光の回折の影響を受けるので、形成できるパターンの幅には制約が伴う。
【0020】
図6において、フォトマスク(PM)の上方からの露光光(L)は、フォトマスク(PM)の光透過部を経て透明感光性樹脂層(60)に照射されるが、近接露光のギャップ(G)が充分にあると、照射される光は、光透過部の下方の透明感光性樹脂層(60)部分のみでなく、照射される光の回折により、照射される光はフォトマスクの遮光部の下方の透明感光性樹脂層(60)部分にも達し、例えば、用いた無色透明感光性樹脂がポジ型の透明感光性樹脂である際には、現像液に可溶なものへと光分解される。
【0021】
この回折される光は、幅の大きなフォトスペーサー(73)に対応した、幅の大きな遮光部の下方では少なく、幅の小さな配向制御用突起(83)に対応した、幅の小さな遮光部の下方では多くなる。
図6中に示す点線は、照射される光の回折によって光分解されない、すなわち、現像処理後にフォトスペーサー及び配向制御用突起として形成される部分に対応した透明感光性樹脂層(60)の部分を表している。
【0022】
このように、ギャップ(G)を設けた近接露光によって、パターンを形成する際には、露光光の回折の影響を受けるので、形成できるパターンの幅には制約が伴う。例えば、上記配向制御用突起(83)に対応した、幅の小さな遮光部の幅が更に小さくなると、配向制御用突起の幅は更に小さくなり、ついにはパターンは形成されなくなる。
【0023】
一方、配向制御用突起(83)が設けられたカラーフィルタは、設けられた配向制御用突起の総面積に準じて光の透過率が低下する。すなわち、配向制御用突起が設けられたカラーフィルタを用いた液晶表示装置には、その分の輝度(透過率)の低下がもたらされる。
従って、液晶表示装置の輝度(透過率)を更に向上させるために、配向制御用突起の幅に関しては、画素内の液晶分子の配向を正常に行う機能が保たれる範囲で、極力狭い幅であることが要求されている。
【0024】
図10(a)は、配向制御用突起が設けられたカラーフィルタの他の例における部分平面図である。また、図10(b)は、(a)におけるX−X線での部分断面図である。図10(a)、(b)に示すように、カラーフィルタのこの部分においては、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)、及び枝分かれした配向制御用突起(枝リブ)(84)が形成されている。
図10中、右方が着色画素(42)であり、左方がブラックマトリックス(41)である。図示される範囲では、着色画素(42)はブラックマトリックス(41)上にも形成されている。
【0025】
枝リブ(84)は、図示せぬ主リブから枝分かれした枝リブ(84)の一部分である。画素内で着色画素(42)上に形成された枝リブ(84)は、ブラックマトリックス(41)上方に延長され、ブラックマトリックス(41)上の着色画素(42)上にも連続して形成されされている。
尚、図10において、符号(E2)は着色画素(42)の下方のブラックマトリックス(41)の端を表している。また、着色画素(42)上に設けられる透明導電膜は省略してある。
【0026】
このようなカラーフィルタにおいて、形成する枝リブ(84)に対応したフォトマスクのパターンの幅(W)を小さく形成していくと、幅(W)の枝リブ(84)が形成されなくなってしまうより前に、ブラックマトリックス(41)の端(E2)上方の近傍の枝リブの部分に欠損が発生するといった現象が起こる。
【0027】
図11(a)、(b)は、パターンの幅(W)を小さく形成した際の挙動を説明する平面図である。図10(a)のX−X線に該当する部分を拡大して用いている。
図11(a)、(b)に示すように、ガラス基板上方の着色画素(42)上には小さな幅(W1、W1<W)を有する着色画素上枝リブ(84−1)が形成されている。しかし、ブラックマトリックス(41)上方には、着色画素上枝リブ(84−1)の幅(W1)よりも小さな幅(W2、W2<W1)を有するブラックマトリックス上方枝リブ(84−2)が形成されている。
【0028】
また、ブラックマトリックス(41)の端(E2)上方の近傍には、図11(a)に示すように、上記ブラックマトリックス上方枝リブ(84−2)の幅(W2)より更に小さな幅で、窪み状のブラックマトリックス端上方枝リブ(84−3)が形成される。或いは、図11(b)に示すように、枝リブは形成されず、窪みをともなった欠損(K)の状態となる。
【0029】
用いたフォトマスク上での枝リブ(84)に対応したパターンの幅は、枝リブ(84)の全長にわたり同一の幅であるが、上記のように、枝リブ(84)の全長にわたり均一な幅を有する枝リブ(84)は形成されなくなる。
【0030】
すなわち、着色画素(42)上においては、枝リブ(84)の幅を現状よりも小さく(W→W1、W1<W)できることが示唆される。しかしながら、ブラックマトリックス(41)上方におけるブラックマトリックス上方枝リブ(84−2)の狭幅化(W2、W2<W1)や、ブラックマトリックス端上方枝リブ(84−3)の窪み化(W3、W3<W2)或いは枝リブの欠損(K)が発生してしまうことは、この枝リブ(84)は最早、液晶分子の配向の乱れを正常に制御する配向制御用突起としての機能を有しないことを意味している。
【特許文献1】特許第3255107号公報
【特許文献2】特開2002−82426号公報
【特許文献3】特開2000−298209号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、配向制御突起が設けられた液晶表示装置用カラーフィルタにおいて、配向制御突起を構成する枝リブがガラス基板上方の着色画素上からブラックマトリックス上方の着色画素上にまで延長された枝リブであっても、ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成されるブラックマトリックス上方枝リブ(84−2)の幅を、着色画素上に形成される着色画素上枝リブ(84−1)の幅と差がなく、また、ブラックマトリックスの端(E2)上方の近傍に形成されるブラックマトリックス端上方枝リブ(84−3)に窪み化或いは枝リブの欠損などを発生させず、すなわち、着色画素上、ブラックマトリックスの端上方の近傍の着色画素上、及びブラックマトリックス上方の着色画素上の枝リブの全長にわたり、均一な幅を有する枝リブを形成することのできる配向制御突起の形成用のフォトマスクを提供することを課題とするものである。
また、本発明は、上記フォトマスクを用いて製造した、枝リブの全長にわたり均一な幅を有する液晶表示装置用カラーフィルタを提供することを課題とする。
これにより、現状より狭い幅の枝リブを容易に形成することができ、配向制御用突起が設けられたカラーフィルタを用いた液晶表示装置において、輝度(透過率)を容易に向上させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0032】
本発明は、基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクにおいて、配向制御用突起の形成に用いるフォトレジストがポジ型である際に、
前記フォトマスクは、前記ブラックマトリックス端上方の近傍の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の遮光部の幅(Wa)を、その下方にブラッ
クマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の遮光部の幅(Wb)より大きくしたことを特徴とするフォトマスクである。
【0033】
また、本発明は、基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクにおいて、配向制御用突起の形成に用いるフォトレジストがポジ型である際に、
前記フォトマスクは、前記ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の遮光部の幅(Wc)を、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の遮光部の幅(Wb)より大きくしたことを特徴とするフォトマスクである。
【0034】
また、本発明は、基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクにおいて、配向制御用突起の形成に用いるフォトレジストがネガ型である際に、
前記フォトマスクは、前記ブラックマトリックス端上方の近傍の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の開口部の幅(Wp)を、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の開口部の幅(Wq)より大きくしたことを特徴とするフォトマスクである。
【0035】
また、本発明は、基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクにおいて、配向制御用突起の形成に用いるフォトレジストがネガ型である際に、
前記フォトマスクは、前記ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の開口部の幅(Wr)を、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の開口部の幅(Wq)より大きくしたことを特徴とするフォトマスクである。
【0036】
また、本発明は、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフォトマスクを用いて製造したことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタである。
【発明の効果】
【0037】
本発明は、基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクにおいて、配向制御用突起の形成に用いるフォトレジストがポジ型である際に、フォトマスクは、ブラックマトリックス端上方の近傍の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応したフォトマスク上の遮光部の幅(Wa)を、また、ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応したフォトマスク上の遮光部の幅(Wc)を、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起に対応したフォトマスク上の遮光部の幅(Wb)より大きくしたので、枝リブが着色画素上からブラックマトリックス上方の着色画素上にまで延長された枝リブであっても、枝リブの全長にわたり、均一な幅を有する枝リブを形成することのできる配向制御突起の形成用のフォトマスクとなる。
これにより、現状より狭い幅の枝リブを容易に形成することができ、配向制御用突起が設けられたカラーフィルタを用いた液晶表示装置において、輝度(透過率)を容易に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明者は、前記図11に示すように、枝リブ(84)の幅を現状よりも小さく形成すると、ブラックマトリックス上方における枝リブは狭幅となり、また、ブラックマトリックス端上方の近傍における枝リブには窪み或いは欠損が発生してしまう原因について、さまざまな観点から精査した結果、枝リブを形成するためのフォトレジストの塗膜の厚さと、形成される枝リブの幅との間に相関を見いだし本発明を達成するに至った。
【0039】
図1(a)は、ガラス基板(40)上にブラックマトリックス(41)、着色画素(42)が形成され、続いて枝リブを形成するためにフォトレジストの塗膜(60)が設けられた状態の断面図である。前記図10(a)のX−X線に相当する部分である。
図1(a)に示すように、着色画素(42)はブラックマトリックス(41)上にも形成されている。この着色画素(42)を形成する際には、ガラス基板(40)上面とブラックマトリックス(41)上面との間に段差(D1)があるが、この段差(D1)の状態は、着色画素(42)の形成後においても解消されることはない。
【0040】
着色画素(42)の上面にては、ブラックマトリックス上方の着色画素上面(J1)と、その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上面(J2)と間に、段差(D1)よりは低い段差(D2)が残されている。ブラックマトリックス端上方の近傍においては、着色画素の上面は斜面となっている。
ブラックマトリックス上に塗布された、流動性を有する着色画素を形成するためのフォトレジストの塗膜が、その硬化前に流動、延展した部分である。
【0041】
このような上面を呈する着色画素上に、枝リブ形成用のフォトレジストの塗膜が形成されると、その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上に形成された枝リブ形成用のフォトレジストの塗膜の厚さ(T11)と、ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成された塗膜の厚さ(T12)と、ブラックマトリックス端上方の近傍の着色画素上に形成された塗膜の厚さ(T13)とは、T13<T12<T11の関係となる。
【0042】
このような塗膜の厚さの関係は、上記着色画素上面の段差(D2)と枝リブ形成用のフォトレジストの流動性によってもたらされる。
上記のような厚さの関係にある枝リブ形成用のフォトレジストの塗膜に、フォトマスクを介した露光を与え現像処理を行うと、図1(b)に示す平面図のように、枝リブの幅は、その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上の着色画素上枝リブ(84−1)の幅(W1)、ブラックマトリックス上方枝リブ(84−2)の幅(W2)、ブラックマトリックス端上方枝リブ(84−3)の幅(W3)の順に小さなものとなる(W1>W2>W3)。
【0043】
すなわち、枝リブを形成するためのフォトレジストの塗膜の厚さと、形成される枝リブの幅との間には正の相関がある。図1(b)に表された枝リブの幅の挙動は、前記図11(a)に示された挙動と同様のものである。
このような、塗膜の厚さと、形成される枝リブの幅との間に相関がもたらされるのは、枝リブを形成する際の露光及び現像処理を塗膜の厚さの高い、前記その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上の塗膜に対して適正な露光量を与え、また適正な現像処理を与えると起こり易いものである。また、ポジ型のフォトレジストにおいて顕著に起こる。
【0044】
図2(a)は、本発明によるフォトマスクの一例を説明する部分断面図である。このフォトマスクは、基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向
制御用突起形成用のフォトマスクであり、配向制御用突起(枝リブ)の形成に用いるフォトレジストがポジ型である際のフォトマスクである。図2(a)は、前記図10(a)におけるX−X線に相当する部分に対応したフォトマスク上の部分である。
【0045】
斜線で示す領域、符号(84P)は、枝リブ(84)に対応したフォトマスク上の遮光部である。この遮光部(84P)は、その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上の着色画素上枝リブ(84−1)に対応したフォトマスク上の遮光部(84P−1)と、ブラックマトリックス上方の着色画素上のブラックマトリックス上方枝リブ(84−2)に対応したフォトマスク上の遮光部(84P−2)と、ブラックマトリックス端上方枝リブ(84−3)に対応したフォトマスク上の遮光部(84P−3)とで構成されている。
【0046】
これらフォトマスク上の遮光部の幅は、遮光部(84P−1)の幅(Wb)<遮光部(84P−2)の幅(Wc)<遮光部(84P−3)の幅(Wa)の順に大きなものとなっている。
遮光部(84P−3)の幅(Wa)と遮光部(84P−1)の幅(Wb)との差(ΔWab)、及び遮光部(84P−3)の幅(Wa)と遮光部(84P−2)の幅(Wc)との差(ΔWac)は、各々図示されている。
【0047】
本発明によるフォトマスクは、上記のように、フォトマスク上の遮光部の幅が、幅(Wb)<幅(Wc)<幅(Wa)の関係にあるので、このフォトマスクを用いて形成した枝リブは、図3に示すように、その全長にわたり均一な幅(W11=W12=W13)のものとなる。
これにより、枝リブ(84)は、現状の幅よりも小さな幅に形成することが可能となり、カラーフィルタの透過率、すなわち、そのカラーフィルタを用いた液晶表示装置の輝度(透過率)を向上させることができる。
【0048】
具体的には、例えば、ブラックマトリックスの膜厚を1.4μm、着色画素の膜厚を1.7μm、配向制御用突起を構成する枝リブの、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上の膜厚が0.95μm、枝リブの、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上の幅を6.7μmに形成する際に、フォトマスク上の遮光部の幅(Wa)を遮光部の幅(Wb)より2μm大きくし、また、フォトマスク上の遮光部の幅(Wc)を遮光部の幅(Wb)より2μm大きくすることにより、全長にわたり均一な幅を有する枝リブを得ることができる。
【0049】
図2(b)は、請求項3及び請求項4に関わる本発明によるフォトマスクの一例を説明する部分断面図である。このフォトマスクは、基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクであり、配向制御用突起(枝リブ)の形成に用いるフォトレジストがネガ型である際のフォトマスクである。図2(b)は、前記図10(a)におけるX−X線に相当する部分に対応したフォトマスク上の部分である。
【0050】
斜線で示す領域、符号(84N)は、枝リブ(84)に対応したフォトマスク上の開口部である。この開口部(84N)は、その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上の着色画素上枝リブ(84−1)に対応したフォトマスク上の開口部(84N−1)と、ブラックマトリックス上方の着色画素上のブラックマトリックス上方枝リブ(84−2)に対応したフォトマスク上の開口部(84N−2)と、ブラックマトリックス端上方枝リブ(84−3)に対応したフォトマスク上の開口部(84N−3)とで構成されている。
【0051】
これらフォトマスク上の遮光部の幅は、開口部(84N−1)の幅(Wq)<開口部(84N−2)の幅(Wr)<開口部(84N−3)の幅(Wp)の順に大きなものとなっている。
開口部(84N−3)の幅(Wp)と開口部(84N−1)の幅(Wq)との差(ΔWpq)、及び開口部(84N−3)の幅(Wp)と開口部(84N−2)の幅(Wr)との差(ΔWpr)は、各々図示されている。
【0052】
本発明によるフォトマスクは、上記のように、フォトマスク上の遮光部の幅が、幅(Wq)<幅(Wr)<幅(Wp)の関係にあるので、このフォトマスクを用いて形成した枝リブは、図3に示すように、その全長にわたり均一な幅(W11=W12=W13)のものとなる。
これにより、枝リブ(84)は、前記図2(a)に示すポジ型フォトレジストを用いた際のフォトマスクの場合と同様に、現状の幅よりも小さな幅に形成することが可能となり、カラーフィルタの透過率、すなわち、そのカラーフィルタを用いた液晶表示装置の輝度(透過率)を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】(a)は、ガラス基板上にブラックマトリックス、着色画素が形成され、続いて枝リブを形成するフォトレジストの塗膜が設けられた状態の断面図である。(b)は、形成された枝リブの平面図である。
【図2】(a)は、本発明によるフォトマスクの一例を説明する部分断面図である。(b)は、請求項3及び請求項4に関わる本発明によるフォトマスクの一例を説明する部分断面図である。
【図3】本発明における枝リブの平面図である。
【図4】液晶表示装置に用いられるカラーフィルタの一例を模式的に示した平面図である。
【図5】図4に示すカラーフィルタのX−X’線における断面図である。
【図6】近接露光の一例を説明する断面図である。
【図7】MVA−LCDの断面を模式的に示した説明図である。
【図8】(a)、(b)は、MVA−LCDに用いられるカラーフィルタの一例の一画素を拡大して示す平面図、及び断面図である。
【図9】図8に示す配向制御用突起に改良が加えられた一例の部分平面図である。
【図10】(a)は、配向制御用突起が設けられたカラーフィルタの他の例における部分平面図である。(b)は、(a)におけるX−X線での部分断面図である。
【図11】(a)、(b)は、パターンの幅を小さく形成した際の挙動を説明する平面図である。
【符号の説明】
【0054】
4、8・・・カラーフィルタ
21・・・液晶分子
22a、22b、23、93、Mv・・・配向制御突起
40・・・ガラス基板
41・・・ブラックマトリックス
42・・・着色画素
43・・・透明導電膜
60・・・フォトレジストの塗布膜
73・・・フォトスペーサー
80・・・MVA−LCD
83・・・配向制御用突起(主リブ)
84・・・配向制御用突起(枝リブ)
84−1・・・着色画素上枝リブ
84−2・・・ブラックマトリックス上方枝リブ
84−3・・・ブラックマトリックス端上方枝リブ
84N・・・フォトマスク上の開口部
84N−1・・・着色画素上の着色画素上枝リブに対応したフォトマスク上の開口部
84N−2・・・ブラックマトリックス上方枝リブに対応したフォトマスク上の開口部
84N−3・・・ブラックマトリックス端上方枝リブに対応したフォトマスク上の開口部84P・・・フォトマスク上の遮光部
84P−1・・・着色画素上枝リブに対応したフォトマスク上の遮光部
84P−2・・・ブラックマトリックス上方枝リブに対応したフォトマスク上の遮光部
84P−3・・・ブラックマトリックス端上方枝リブに対応したフォトマスク上の遮光部D1、D2・・・段差
E1・・・画素電極の端
E2・・・ブラックマトリックスの端
H・・・配向制御用突起の高さ
K・・・枝リブの欠損
PM・・・フォトマスク
T11・・・その下方にブラックマトリックスが設けられていない着色画素上に形成された枝リブ形成用のフォトレジストの塗膜の厚さ
T12・・・ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成された塗膜の厚さ
T13・・・ブラックマトリックス端上方の近傍の着色画素上に形成された塗膜の厚さ
W・・・配向制御用突起の幅
W1・・・着色画素上枝リブの幅
W2・・・ブラックマトリックス上方枝リブの幅
W3・・・ブラックマトリックス端上方枝リブの幅
W11、W12、W13・・・本発明における枝リブの幅
Wa・・・遮光部(84P−3)の幅
Wb・・・遮光部(84P−1)の幅
Wc・・・遮光部(84P−2)の幅
Wp・・・開口部(84N−3)の幅
Wq・・・開口部(84N−1)の幅
Wr・・・開口部(84N−2)の幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクにおいて、配向制御用突起の形成に用いるフォトレジストがポジ型である際に、
前記フォトマスクは、前記ブラックマトリックス端上方の近傍の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の遮光部の幅(Wa)を、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の遮光部の幅(Wb)より大きくしたことを特徴とするフォトマスク。
【請求項2】
基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクにおいて、配向制御用突起の形成に用いるフォトレジストがポジ型である際に、
前記フォトマスクは、前記ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の遮光部の幅(Wc)を、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の遮光部の幅(Wb)より大きくしたことを特徴とするフォトマスク。
【請求項3】
基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクにおいて、配向制御用突起の形成に用いるフォトレジストがネガ型である際に、
前記フォトマスクは、前記ブラックマトリックス端上方の近傍の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の開口部の幅(Wp)を、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の開口部の幅(Wq)より大きくしたことを特徴とするフォトマスク。
【請求項4】
基板上に、少なくともブラックマトリックス、着色画素、透明導電膜、及び配向制御用突起が形成された液晶表示装置用カラーフィルタを製造する際に用いる配向制御用突起形成用のフォトマスクにおいて、配向制御用突起の形成に用いるフォトレジストがネガ型である際に、
前記フォトマスクは、前記ブラックマトリックス上方の着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の開口部の幅(Wr)を、その下方にブラックマトリックスを有しない着色画素上に形成される配向制御用突起に対応した該フォトマスク上の開口部の幅(Wq)より大きくしたことを特徴とするフォトマスク。
【請求項5】
請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のフォトマスクを用いて製造したことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−293089(P2007−293089A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−121814(P2006−121814)
【出願日】平成18年4月26日(2006.4.26)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】