説明

フォトレジストパターン形成方法及び半導体素子

【課題】遠紫外線領域で用いることができ、露光後熱処理遅延安定性に優れたフォトレジスト用共重合体含むフォトレジスト組成物を提供する。
【解決手段】下記式(1)の単量体を有する重合体を含む本発明のフォトレジスト組成物は優れたエッチング耐性及び耐熱性を有し、遠紫外線領域、特にArF用レジストの露光後遅延安定性(post exposure delay stability)を画期的に向上させることができる。
【化1】


前記式で、Z1、Z2、R1、R2、R3、R4、R5、Z及びpは明細書に定義した通りである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規のフォトレジスト用単量体、その製造方法、その重合体及びその重合体を利用したフォトレジスト組成物に関し、より詳しくは高集積半導体素子の微細回路製造時に、遠紫外線領域の光源を利用したリソグラフィー工程で外部アミンの汚染に敏感でないフォトレジスト用共重合体とその製造方法、及びその重合体を含むフォトレジスト組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の微細加工工程で高感度を達成するため、近来はKrF(249nm)、ArF(193nm)又はEUVのような化学増幅性の遠紫外線(DUV:Deep Ultra Violet)領域の光源を用いるリソグラフィーに適したフォトレジストが脚光を浴びており、このようなフォトレジストは光酸発生剤(photoacid generator)と酸に敏感に反応する構造のフォトレジスト用重合体を配合して製造される。
このようなフォトレジストの作用機構は、光酸発生剤が光源から紫外線を受けると酸を発生させ、このように発生した酸によりマトリックス高分子の主鎖又は側鎖が反応して分解されたり高分子の極性が大きく変化し、現像液により溶解され、無くなる。その反面、光を受けなかった部分は本来の構造をそのまま有するため現像液に溶解されず無くならない。このようにして、マスクの像を基板上に陽画像で残すことができる。このようなリソグラフィー工程で、解像度は光源の波長に依存し光源の波長が小さくなるほど微細パターンを形成することができ、これに従いこのような光源に適したフォトレジストが求められている。
【0003】
さらに、一般にフォトレジストは優れたエッチング耐性と耐熱性及び接着性を有しなければならず、公知の現像液、例えば2.38wt%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液に現像可能なものが工程費用を節減できる等、幾多の面で有利である。
しかし、このような全ての性質を満足する重合体、特に遠紫外線用フォトレジストを製造することは非常に困難である。例えば、主鎖がポリアクリレート系の重合体は合成するのは容易であるが、エッチング耐性の確保及び現像工程に問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以後、主鎖に脂肪族環単位体(alicyclic unit)が含まれたフォトレジストを用いてエッチング耐性を確保したが、脂肪族環単位体の導入が実際の半導体製造工程で重大な問題を発生させ、ArFレジストにおける大きな問題点のうちの一つである露光後遅延安定性(post exposure delay stability)は未だ解決されていないのが実情である。
即ち、半導体製造工程で露光した後、熱処理するときまでの時間が遅滞するに伴い、露光後レジスト内に発生した酸が外部汚染物質、主にアミン類の化合物と中和反応して消滅することにより、現像時に露光部位の表面が溶解せず微細パターンを得られないか或いはT−topが発生する問題点がある。
本発明の目的は遠紫外線領域で用いることができ、露光後熱処理遅延に関する新規のフォトレジスト用単量体とその製造方法、前記単量体を含むフォトレジスト用共重合体とその製造方法、及び前記重合体を含むフォトレジスト組成物を提供することであり、特に前記フォトレジスト組成物を利用するフォトレジストパターン形成方法及び半導体素子を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここに本発明者等は、前述の従来技術の問題点を解決するため努力を続けていた中、アセタールが含まれた脂肪族環化合物を単量体とする重合体がエッチング耐性及び耐熱性も優れるだけでなく、露光後熱処理遅延に安定した感光剤を製造することができるという点を見出し本発明を完成した。
【0006】
以上の課題を解決するため、第1の発明は、
下記式(1)で示される化合物であることを特徴とするフォトレジスト用単量体である。
【化1】

前記式で、
1及びZ2はCH2、CH2CH2、O又はSであり、
1及びR2は置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
3及びR4は水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
5は水素又はメチルであり、
pは0〜5の中から選択される整数である。
【0007】
第1の発明のフォトレジスト用単量体において、前記式(1)の化合物は、下記式(1a)〜下記式(1d)の化合物からなる群から選択されることを特徴とする。
【化2】

【化3】

第2の発明は、第1の発明のフォトレジスト用単量体の製造方法であって、
(a)下記式(2)の化合物と下記式(3)の化合物を反応させ、下記式(4)の化合物を得る段階、
(b)前記式(4)の化合物を触媒存在下でアルコール(R1OH又はR2OH)と反応させる段階、及び
(c)前記結果物をアルカリで中和させ、pが0である前記式(1)の化合物を得る段階を含むことを特徴とする。
【化4】

【化5】

【化6】

前記式で、
1及びR2は置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
3及びR4は水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
5は水素又はメチルであり、
ZはCH2、CH2CH2、O又はSである。
【0008】
第2の発明のフォトレジスト用単量体の製造方法において、前記(b)段階の触媒は、トリフルオロメタンスルホン酸(trifluoromethanesulfonic acid)であることを特徴とする。
【0009】
第3の発明は、第1単量体として下記式(1)の化合物を含むことを特徴とするフォトレジスト用共重合体である。
【化7】

前記式で、
1及びZ2はCH2、CH2CH2、O又はSであり、
1及びR2は置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
3及びR4は水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
5は水素又はメチルであり、
pは0〜5の中から選択される整数である。
【0010】
第3の発明のフォトレジスト用共重合体において、第2単量体として、下記式(5)の化合物をさらに含むことを特徴とする。
【化8】

前記式で、
1及びY2はCH2、CH2CH2、O又はSであり、
6は水素又はメチルであり、
8は水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
10は置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
qは0〜5の中から選択される整数である。
【0011】
第3の発明のフォトレジスト用共重合体において、第3単量体として、酸に敏感な保護基(acid labile protecting group)を有する化合物をさらに含むことを特徴とする。
【0012】
第3の発明のフォトレジスト用共重合体において、前記酸に敏感な保護基はt−ブチル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロピラン−2−イル、2−エトキシエチル及びt−ブトキシエチルからなる群から選択されることを特徴とする。
【0013】
第3の発明のフォトレジスト用共重合体において、前記酸に敏感な保護基を有する化合物は、下記式(6)の化合物であることを特徴とする。
【化9】

前記式で、
1及びX2はCH2、CH2CH2、O又はSであり、
7は水素又はメチルであり、
9は水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
rは0〜5の中から選択される整数である。
【0014】
第3の発明のフォトレジスト用共重合体において、下記式(7)の化合物であることを特徴とする。
【化10】

前記式で、
1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2はそれぞれCH2、CH2CH2、O又はSであり、
5、R6及びR7は互いに同じであるか異なり、水素又はメチルであり、
1、R2及びR10はそれぞれ置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
3、R4、R8及びR9はそれぞれ水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
p、q及びrはそれぞれ0〜5の中から選択される整数であり、
a:b:c:dは各単量体の重合モル比として0.50:0.125〜0.40:0.025〜0.10:0.05〜0.35である。
【0015】
第3の発明のフォトレジスト用共重合体において、前記式(7)の化合物は、下記式(7a)又は下記式(7b)の化合物であることを特徴とする。
【化11】

【化12】

前記式で、a:b:c:dは各単量体の重合モル比として0.50:0.125〜0.40:0.025〜0.10:0.05〜0.35である。
【0016】
第3の発明のフォトレジスト用共重合体において、分子量が4,000〜12,000であることを特徴とする。
【0017】
第4の発明は、第3の発明のフォトレジスト用共重合体の製造方法において、
(a)(i)下記式(1)の化合物、(ii)下記式(5)の化合物、(iii)選択的に下記式(6)の化合物及び無水マレイン酸を有機溶媒に溶解させる段階、
(b)前記(a)段階の結果物溶液に重合開始剤を添加する段階、及び
(c)前記(b)段階の溶液を窒素、又はアルゴン雰囲気下で反応させる段階を含むことを特徴とする。
【化13】

【化14】

【化15】

前記式で、
1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2はそれぞれCH2、CH2CH2、O又はSであり、
5、R6及びR7は互いに同じであるか異なり、水素又はメチルであり、
1、R2及びR10はそれぞれ置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
3、R4、R8及びR9はそれぞれ水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
p、q及びrはそれぞれ0〜5の中から選択される整数である。
【0018】
第4の発明のフォトレジスト用共重合体の製造方法において、前記有機溶媒はテトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、メチルエチルケトン及びジオキサンからなる群から選択されることを特徴とする。
【0019】
第4の発明のフォトレジスト用共重合体の製造方法において、前記重合開始剤は2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド及びt−ブチルパーオキサイドからなる群から選択されることを特徴とする。
【0020】
第5の発明は、第4の発明のフォトレジスト用共重合体と、有機溶媒と、光酸発生剤を含むことを特徴とするフォトレジスト組成物である。
【0021】
第5の発明のフォトレジスト組成物において、前記光酸発生剤は、硫化塩系又はオニウム塩系であることを特徴とする。
【0022】
第5の発明のフォトレジスト組成物において、前記光酸発生剤は、ジフェニル沃素塩ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル沃素塩ヘキサフルオロアルセネート、ジフェニル沃素塩ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルパラメトキシフェニルトリフレート、ジフェニルパラトルエニルトリフレート、ジフェニルパライソブチルフェニルトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、及びジブチルナフチルスルホニウムトリフレートからなる群から選択されるものを一つ又は二つ以上含むことを特徴とする。
【0023】
第5の発明のフォトレジスト組成物において、前記光酸発生剤はフォトレジスト用樹脂(フォトレジスト用共重合体)に対し、0.1〜10重量%の比率で用いられることを特徴とする。
【0024】
第5の発明のフォトレジスト組成物において、前記有機溶媒はメチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン及び2−へプタノンからなる群から選択されることを特徴とする。
【0025】
第5の発明のフォトレジスト組成物において、前記有機溶媒は前記フォトレジスト用樹脂(フォトレジスト用共重合体)に対し、200〜800重量%の比率で用いられることを特徴とする。
【0026】
第6の発明は、
(a)下記式(7)の化合物であるフォトレジスト用共重合体と、有機溶媒と、光酸発生剤とを含むフォトレジスト組成物を、被食刻層上部に塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、
(b)前記フォトレジスト膜を露光する段階、及び
(c)前記結果物を現像し望むパターンを得る段階を含むことを特徴とするフォトレジストパターン形成方法である。
【化16】

前記式で、
1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2はそれぞれCH2、CH2CH2、O又はSであり、
5、R6及びR7は互いに同じであるか異なり、水素又はメチルであり、
1、R2及びR10はそれぞれ置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
3、R4、R8及びR9はそれぞれ水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
p、q及びrはそれぞれ0〜5の中から選択される整数であり、
a:b:c:dは各単量体の重合モル比として0.50:0.125〜0.40:0.025〜0.10:0.05〜0.35である。
【0027】
第6の発明のフォトレジストパターン形成方法において、前記(b)段階の(i)露光前及び露光後、又は(ii)露光前又は露光後にそれぞれベーク工程を行なう段階をさらに含むことを特徴とする。
【0028】
第6の発明のフォトレジストパターン形成方法において、前記ベーク工程は、70〜200℃で行われることを特徴とする。
【0029】
第6の発明のフォトレジストパターン形成方法において、前記露光工程は光源としてArF、KrF及びEUVを含む遠紫外線(DUV、Deep Ultra Violet)、E−ビーム、X線又はイオンビームを利用して行われることを特徴とする。
【0030】
第6の発明のフォトレジストパターン形成方法において、前記露光工程は、1〜100mJ/cm2の露光エネルギーで行われることを特徴とする。
【0031】
第7の発明は、第6の発明のフォトレジストパターン形成方法を利用して製造されることを特徴とする半導体素子である。
【発明の効果】
【0032】
本発明のフォトレジスト組成物は他の感光剤より外部アミン汚染に敏感に反応しない露光後遅延安定性が非常に優れた感光剤であるため、超微細パターン、特にArF(193nm)光源のような極短波長領域の光源を採用するフォトリソグラフィーに適する。また、本発明のフォトレジスト組成物は、優れたエッチング耐性及び耐熱性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明のフォトレジスト組成物を利用して露光後遅延なく得られたパターンを示す写真である。
【図2】本発明のフォトレジスト組成物を利用して露光後30分間遅延させた場合のパターンを示す写真である。
【図3】本発明のフォトレジスト組成物を利用して露光後60分間遅延させた場合のパターンを示す写真である。
【図4】本発明のフォトレジスト組成物を利用して露光後120分間遅延させた場合のパターンを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
前記目的を達成するため本発明では、アセタールが含まれた脂肪族環化合物であるフォトレジスト用単量体及びその製造方法、前記単量体を含むフォトレジスト用共重合体及びその製造方法、前記共重合体を含むフォトレジスト組成物、及び前記フォトレジスト組成物を利用するフォトレジストパターン形成方法、この方法により製造された半導体素子を提供する。
【0035】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明ではまず、フォトレジスト単量体に用いられる下記式(1)の化合物を提供する。
【化17】

前記式で、
1及びZ2はCH2、CH2CH2、O又はSであり、
1及びR2は置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
3及びR4は水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
5は水素又はメチルであり、
pは0〜5の中から選択される整数である。
【0036】
前記式(1)の化合物は、下記式(1a)〜下記式(1d)の化合物からなる群から選択されるのが好ましい。
【化18】

【化19】

前記式(1)の化合物は多様な方法で製造することができるが、具体的な例としてpが0である場合の式(1)の化合物は下記の段階を含む方法により製造される。
(a)下記式(2)の化合物と式(3)の化合物を反応させ式(4)の化合物を得る段階、
(b)式(4)の化合物を触媒存在下でアルコール(R1OH又はR2OH)と反応させる段階、及び
(c)前記結果物をアルカリで中和させ式(1)の化合物を得る段階。
【化20】

【化21】

【化22】

前記式で、
1、R2、R3、R4及びR5は前述の通りであり、
Zは前記Z2と同一である。
【0037】
前記製造方法中、(a)段階では式(2)の化合物を有機溶媒とともに−15〜−25℃まで冷却・攪拌した後、これに式(3)の化合物を一滴ずつ滴下して8〜12時間の間攪拌し、未反応物及び溶媒を除去した後減圧蒸留して式(4)の化合物を得る。
次の(b)及び(c)段階では、前記式(4)の化合物とアルコール(R1OH又はR2OH)を触媒存在下で還流しながら反応させ、還流終了後アルカリで中和した後減圧蒸留して目的の式(1)の化合物を得る。このとき(b)段階の触媒はトリフルオロメタンスルホン酸(trifluoromethanesulfonic acid)を用いるのが好ましい。
【0038】
本発明ではさらに、第1単量体として前記式(1)の化合物を含むフォトレジスト用共重合体を提供する。
【0039】
前記本発明の共重合体は、第2単量体として下記式(5)の化合物をさらに含むことができる。
【化23】

前記式で、
1及びY2はCH2、CH2CH2、O又はSであり、
6は水素又はメチルであり、
8は水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
10は置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
qは0〜5の中から選択される整数である。
【0040】
本発明の共重合体はさらに、第3単量体として酸に敏感な保護基(acid labile protecting group)を有する化合物をさらに含むことができる。酸に敏感な保護基はt−ブチル、テトラヒドロフラン−2−イル、テトラヒドロピラン−2−イル、2−エトキシエチル及びt−ブトキシエチルからなる群から選択されたものが好ましい。なお、酸に敏感な保護基を有する化合物は下記式(6)の化合物であるのが好ましい。
【化24】

前記式で、
1及びX2はCH2、CH2CH2、O又はSであり、
7は水素又はメチルであり、
9は水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
rは0〜5の中から選択される整数である。
【0041】
前記共重合体は下記式(7)の化合物であるのが好ましい。
【化25】

前記式で、
1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2はそれぞれCH2、CH2CH2、O又はSであり、
5、R6及びR7は互いに同じであるか異なり、水素又はメチルであり、
1、R2及びR10はそれぞれ置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
3、R4、R8及びR9はそれぞれ水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
p、q及びrはそれぞれ0〜5の中から選択される整数であり、
a:b:c:dは各単量体の重合モル比として0.50:0.125〜0.40:0.025〜0.10:0.05〜0.35である。
【0042】
前記式(7)は重合体の各単量体単位(unit)の総使用量を比較するための構造式であるだけで、各単量体単位の特定の順位を規定するものではない。例えば、“a”はポリマー全体に亘って分散されていることもあり、特定位置に集中していることもある無水マレイン酸の総使用量を示すものである。
【0043】
フォトレジストの露光後遅延安定性を向上させるための方法の一つとして、レジスト溶液中のポリマーの形を変化させる方法を考慮することができるが、このような概念のレジストにはずり減粘レジスト(shear thinning resist)がある。このようなずり減粘レジストを製造するためには、i)レジスト溶媒としてずり減粘溶媒(shear thinning solvent)の非ニュートン系溶媒を用いる方法、ii)ポリマーの構造を変形させる方法、及びiii)レジスト溶液を半導体基板に塗布するときの温度を調節する方法等がある。
本発明の場合、前記方法等のうち第二の方法に該当し、ポリマーの構造を変形させることによりずり減粘レジストを製造しようとするものである。即ち、前記本発明のポリマーは既存のフォトレジスト用ポリマーとは別に、溶媒内でずり減粘流体(shear thinning fluid)のように存在し、ポリマーが溶媒内で剛性棒型(rigid rod)又は楕円型(ellipsoidal)構造を有することによりレジスト内に生成された酸の蒸発を防ぎ、外部アミンにより中和され消滅することを防止することができ、したがって露光後遅延安定性を有することになる。
【0044】
前記式(7)の化合物は、分子量が4,000〜12,000である下記式(7a)又は式(7b)の化合物であるのが好ましい。
【化26】

【化27】

前記式で、a:b:c:dは各単量体の重合モル比として0.50:0.125〜0.40:0.025〜0.10:0.05〜0.35である。
【0045】
前記本発明の共重合体は、単量体等を通常のラジカル重合開始剤でラジカル重合して製造することができるが、その過程は下記の段階を含む。
(a)前記(i)式(1)の化合物、(ii)式(5)の化合物、選択的に(optionally)(iii)式(6)の化合物、及び(iv)無水マレイン酸を有機溶媒に溶解させる段階、
(b)前記(a)段階の結果物溶液に重合開始剤を添加する段階、及び
(c)前記(b)段階の溶液を窒素又はアルゴン雰囲気下で反応させる段階。
【0046】
重合溶媒の前記有機溶媒はテトラヒドロフラン、トルエン、ベンゼン、メチルエチルケトン及びジオキサンからなる群から選択され、重合開始剤は2,2’−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド及びt−ブチルパーオキサイドからなる群から選択されるのが好ましい。
【0047】
本発明ではさらに、本発明のフォトレジスト用樹脂と、有機溶媒と、光酸発生剤を含むフォトレジスト組成物を提供する。
前記光酸発生剤には、硫化塩系又はオニウム塩系化合物を用いることができ、具体的にジフェニル沃素塩ヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル沃素塩ヘキサフルオロアルセネート、ジフェニル沃素塩ヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルパラメトキシフェニルトリフレート、ジフェニルパラトルエニルトリフレート、ジフェニルパライソブチルフェニルトリフレート、ジフェニルパラ−t−ブチルフェニルトリフレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアルセネート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムトリフレート、及びジブチルナフチルスルホニウムトリフレート中から選択される化合物を用いるのが好ましい。
【0048】
さらに、光酸発生剤は前記共重合体に対し0.1〜10重量%の比率で用いられるのが好ましいが、光酸発生剤が0.1重量%未満の場合はフォトレジストの光に対する敏感度が弱くなり、10重量%を超過する場合は光酸発生剤が遠紫外線を多量に吸収し断面が不良のパターンを得ることになる。
【0049】
さらに、前記有機溶媒はメチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、及び2−へプタノンからなる群から選択され、前記樹脂に対し200〜800重量%の比率で用いられるのが好ましい。この比率は望む厚さのフォトレジストを得るための量である。
【0050】
本発明のフォトレジスト組成物はエッチング耐性、耐熱性及び接着性が優れるだけでなく、露光後遅延安定性が画期的に向上され、特にArF感光膜に有効に用いることができる。
【0051】
本発明ではさらに、下記の段階を含むフォトレジストパターン形成方法を提供する。
(a)本発明のフォトレジスト組成物を被食刻層上部に塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、
(b)前記フォトレジスト膜を露光する段階、及び
(c)前記結果物を現像し望むパターンを得る段階。
前記過程で、(b)段階のi)露光前及び露光後、又はii)露光前又は露光後にそれぞれベーク工程を行なう段階をさらに含むことができ、このようなベーク工程は70〜200℃で行われる。
さらに、前記露光工程は光源としてArF、KrF及びEUVを含む遠紫外線(DUV、Deep Ultra Violet)、E−ビーム、X線又はイオンビームを利用し、1〜100mJ/cm2の露光エネルギーで行われるのが好ましい。
【0052】
具体的に前記フォトレジストパターン形成方法の例を挙げると、本発明のフォトレジスト組成物をシリコンウェーハにスピン塗布して薄膜を製造した後、80〜170℃のオーブン又は熱板で1〜5分間ソフトベークし、遠紫外線露光装置又はエキシマレーザ露光装置を利用して露光した後、100〜200℃で露光後ベークする。このように露光したウェーハを2.38wt% TMAH水溶液で1分30秒間沈漬することにより、超微細レジスト画像を得ることができるようになる。
【0053】
さらに、本発明では前記本発明のフォトレジスト組成物を利用して前記パターン形成方法により製造された半導体素子を提供する。
【実施例】
【0054】
以下本発明を実施例に基づき詳しく説明する。但し、実施例は発明を例示するのみであり、本発明が下記実施例により限定されるものではない。
【0055】
I.単量体の製造
実施例1
式(1a)の単量体の合成
下記式(2a)のシクロペンタジエン1モルとTHF100gを1000mlラウンドフラスコに入れ、零下20℃まで冷却・攪拌した。ここに下記式(3a)のアクロレイン1.2モルを一滴ずつ滴下し10時間の間攪拌した後、減圧蒸留器で未反応物及び溶媒を除去し40℃で減圧蒸留して下記式(4a)の単量体を得た(収率:80%、106g)。下記式(4a)の単量体106gをメタノール400gとともに1000mlラウンドフラスコに入れ、ここにトリフルオロメタンスルホン酸0.1mlを添加した後85℃で10時間の間還流させた。還流終了後ここに水酸化カリウム(KOH)を投入しpH7になるよう中和してから、50℃で減圧蒸留して前記式(1a)の単量体を得た(収率:70%、74g)。
【化28】

【化29】

【化30】

実施例2
式(1b)の単量体合成
実施例1でメタノールの代りにエタノールを用いることを除いては、実施例1と同一の方法で反応を行い前記式(1b)の単量体を得た。
【0056】
II.重合体の製造
実施例3
式(7a)の重合体合成
無水マレイン酸0.1モルと下記式(6a)の単量体0.06モル、下記式(5a)の単量体0.01モル、前記実施例1で製造した式(1a)の単量体0.03モル、重合開始剤のAIBN0.5gにテトラヒドロフラン20gを250ccフラスコに入れ、窒素或いはアルゴン状態で65℃の温度で10時間反応させた。高分子反応完了後、エチルエーテル溶媒で高分子沈澱させ前記式(7a)の重合体を得た(収率:30%、8.5g)。
【化31】

【化32】

実施例4
式(7b)の重合体合成
実施例3で式(1a)の単量体を用いる代りに実施例2で製造した式(1b)の単量体を用いることを除いては、実施例3と同一の方法で反応を行い前記式(7b)の重合体を得た。
【0057】
III.フォトレジスト組成物の製造及びパターン形成
実施例5
実施例3で製造した式(7a)の重合体20gにトリフェニルスルホニウムトリフレート0.24gをプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶媒160gに溶解してフォトレジスト組成物を製造した。
この組成物をシリコンウェーハに塗布して150℃で90秒間ベークした後ArF露光装備で露光し、次いで140℃で90秒間再びベークしてから2.38wt% TMAH現像液で現像して0.13μmL/Sの超微細パターンを得た。
【0058】
実施例6
実施例5で式(7a)の重合体の代りに実施例4で製造した式(7b)の重合体を用いることを除いては、実施例5と同一の方法でフォトレジスト組成物を製造してパターンを形成した。
【0059】
実施例7
露光後遅延安定性実験
前記実施例5及び実施例6で製造したフォトレジスト組成物を利用してパターンを形成する過程で、30ppb以上のアミン存在下でそれぞれ露光後0分、30分、60分及び120分間遅延した後現像し、パターンの大きさの変化を測定した結果を図1〜図4で示し、時間の遅延に伴うCD(線幅、Critical Dimension)の変化を表1に示した。
【0060】
【表1】

図1〜図4、及び表1で見られるように本発明のフォトレジスト組成物を用いる場合、他の感光剤を用いた場合より外部アミン汚染に敏感に反応せず時間遅延にも拘らず微細パターンを形成することができた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)下記式(7)の化合物であるフォトレジスト用共重合体と、有機溶媒と、光酸発生剤とを含むフォトレジスト組成物を、被食刻層上部に塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、
(b)前記フォトレジスト膜を露光する段階、及び
(c)前記結果物を現像し望むパターンを得る段階を含むことを特徴とするフォトレジストパターン形成方法。
【化1】

前記式で、
1、X2、Y1、Y2、Z1及びZ2はそれぞれCH2、CH2CH2、O又はSであり、
5、R6及びR7は互いに同じであるか異なり、水素又はメチルであり、
1、R2及びR10はそれぞれ置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
3、R4、R8及びR9はそれぞれ水素であるか、置換又は非置換された炭素数C1〜C5の主鎖又は側鎖アルキルであり、
p、q及びrはそれぞれ0〜5の中から選択される整数であり、
a:b:c:dは各単量体の重合モル比として0.50:0.125〜0.40:0.025〜0.10:0.05〜0.35である。
【請求項2】
前記(b)段階の(i)露光前及び露光後、又は(ii)露光前又は露光後にそれぞれベーク工程を行なう段階をさらに含むことを特徴とする請求項1記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項3】
前記ベーク工程は、70〜200℃で行われることを特徴とする請求項2記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項4】
前記露光工程は光源としてArF、KrF及びEUVを含む遠紫外線(DUV、Deep Ultra Violet)、E−ビーム、X線又はイオンビームを利用して行われることを特徴とする請求項1記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項5】
前記露光工程は、1〜100mJ/cm2の露光エネルギーで行われることを特徴とする請求項1記載のフォトレジストパターン形成方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載のフォトレジストパターン形成方法を利用して製造されることを特徴とする半導体素子。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−244904(P2009−244904A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−175421(P2009−175421)
【出願日】平成21年7月28日(2009.7.28)
【分割の表示】特願2000−246940(P2000−246940)の分割
【原出願日】平成12年8月16日(2000.8.16)
【出願人】(591024111)株式会社ハイニックスセミコンダクター (1,189)
【氏名又は名称原語表記】HYNIX SEMICONDUCTOR INC.
【住所又は居所原語表記】San 136−1,Ami−Ri,Bubal−Eup,Ichon−Shi,Kyoungki−Do,Korea
【Fターム(参考)】