説明

フォトレジスト供給装置

【課題】窒素などの不活性ガスの消費量を低減でき且つ気泡が完全に除去されたフォトレジストを安定して連続供給できるフォトレジスト供給装置を提供する。
【解決手段】可フォトレジスト供給装置は、可搬式容器(1a)、(1b)で搬入されるフォトレジストを処理プロセスへポンプ(4)により連続供給するフォトレジスト供給装置であり、可搬式容器(1a)、(1b)からポンプ(4)へ至る送液ライン(L1)、(L2)…を複数系統備え、各送液ライン(L1)、(L2)には、可搬式容器(1a)、(1b)から取り出されたフォトレジストを一旦収容する中間容器(2a)、(2b)が設けられる。中間容器(2a)、(2b)は、分離した気体を排出可能な気液分離器として構成され、そして、複数系統の送液ライン(L1)、(L2)は、中間容器(2a)、(2b)の液量に応じて切替使用する様に構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトレジスト供給装置に関するものであり、詳しくは、半導体や液晶デバイス製造におけるフォトレジスト塗布装置などの処理プロセスに対し、可搬式容器で搬入されるフォトレジストをポンプにより連続供給するフォトレジスト供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体や液晶基板を製造する際のフォトリソグラフィでは、可搬式容器で搬入された調製済みのフォトレジストを使用している。斯かるフォトレジストは、窒素で加圧することにより、可搬式容器からフォトレジスト供給装置の貯槽に移し替えられた後、同様に窒素で加圧することにより、フォトレジスト供給装置の流路を通じてフォトレジスト塗布装置などの処理プロセスへ供給される。そして、上記の供給装置においては、処理プロセスへ至る流路の途中に樹脂多孔質材料から成るフィルター(脱気機構)を配置している。斯かるフィルターの装着は、フォトレジスト中に混入した圧送用の窒素の微細気泡を捕捉することにより、フォトマスクの性能低下を防止し、現像欠陥の発生を防止することを企図したものである。
【特許文献1】特開平9−7936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記の処理プロセスにおいては、昨今、デバイスの大型化、量産化に伴い、大量のフォトレジストを消費する傾向にあり、フォトレジスト供給装置においても、圧送用の窒素も大量に消費する様になっている。そこで、窒素の消費量を低減し、大量のフォトレジストを連続して安定供給するには、送液ポンプの利用が望まれる。しかしながら、フォトレジスト供給装置においてポンプを使用した場合、可搬式容器からフォトレジストを取り出す際に混入する窒素(シール用および取出用の窒素)の気泡がポンプの撹拌作用および吸入・吐出圧力によってフォトレジスト中に更に拡散するため、実際、フィルターでは完全に除去できないのが実情である。
【0004】
本発明は、上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、可搬式容器で搬入されるフォトレジストを処理プロセスへポンプにより連続供給するフォトレジスト供給装置であって、窒素などの不活性ガスの消費量を低減でき且つ気泡が完全に除去されたフォトレジストを安定して連続供給できるフォトレジスト供給装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明では、上記の課題を解決するため、可搬式容器からポンプへ至る送液ラインを複数の可搬式容器に対応させて複数系統設けると共に、ポンプの吸入側に相当する各送液ラインの途中に気液分離器として機能する中間容器を設け、中間容器にフォトレジストを一旦収容することにより、フォトレジストに混入した気体を予め分離排出し、気泡の除去されたフォトレジストをポンプで処理プロセスに送液する様にした。そして、中間容器の液量に応じて送液ラインを切替ることにより、処理プロセスへ連続供給する様にした。
【0006】
すなわち、本発明の要旨は、可搬式容器で搬入されるフォトレジストを処理プロセスへポンプにより連続供給するフォトレジスト供給装置であって、基端に可搬式容器が接続され且つ当該可搬式容器から前記ポンプへ至る送液ラインを複数系統備え、各送液ラインには、可搬式容器から取り出されたフォトレジストを一旦収容する中間容器が設けられ、当該中間容器は、分離した気体を排出可能な気液分離器として構成され、前記複数系統の送液ラインは、前記中間容器の液量に応じて切替使用する様に構成されていることを特徴とするフォトレジスト供給装置に存する。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係るフォトレジスト供給装置によれば、可搬式容器から送液ラインに受け入れたフォトレジストを特定の中間容器に一旦収容し、気体の除去されたフォトレジストをポンプで供給し、かつ、中間容器の液量に応じて切替使用する様に構成されているため、窒素などの不活性ガスの消費量を低減することが出来、しかも、気泡が完全に除去されたフォトレジストを処理プロセスに安定して連続供給することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係るフォトレジスト供給装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るフォトレジスト供給装置の主要部の構成例を示す系統図である。なお、以下の説明においては、フォトレジスト供給装置を「供給装置」と略記する。
【0009】
本発明の供給装置は、図1に示す様に、可搬式容器(1a)、(1b)で搬入されるフォトレジストをフォトリソグラフィ等の処理プロセス(図示省略)へポンプ(4)により連続供給する装置である。フォトレジストとしては、基板の露光された部分が現像液によって可溶となる各種のポジ型フォトレジスト、および、露光されなかった部分が現像液で溶解する各種のネガ型フォトレジストが挙げられる。
【0010】
可搬式容器(1a)、(1b)は、調製済みのフォトレジストを搬送するための流通容器であり、斯かる容器には、収容したフォトレジストの変質を防止するため、フォトレジストと共に窒素などの不活性ガスが封入される。可搬式容器(1a)、(1b)としては、後述する中間容器(2a)、(2b)に窒素などの不活性ガスでフォトレジストを取り出すのに必要な圧力を加えることの出来る容器、具体的には常用圧力10KPa程度の樹脂製密閉容器が使用される。通常、可搬式容器(1a)、(1b)の内容積は、20〜200リットル程度である。
【0011】
可搬式容器(1a)、(1b)の上端部には、加圧用の窒素を容器に供給するためのガス供給口と、容器底部近傍まで伸長されたサイホン管を備えたフォトレジスト取出口とが設けられている。すなわち、可搬式容器(1a)、(1b)は、各々、後述する第1送液ライン(L1)、第2送液ライン(L2)の各基端にフレキシブルホース(61a)、(61b)を介してフォトレジスト取出口が接続され、第1送液ライン(L1)及び第2送液ライン(L2)に各対応する窒素供給流路(72a)、(72b)にフレキシブルホース(71a)、(71b)を介してガス供給口が接続される様に構成されている。
【0012】
本発明の供給装置は、上記の可搬式容器(1a)、(1b)…での搬入に対応して逐次フォトレジストを受け入れるため、前述の様に基端に可搬式容器(1a)、(1b)…が接続され且つ当該可搬式容器から上記のポンプ(4)へ至る送液ラインを複数系統備えている。処理プロセス側におけるフォトレジストの消費量にもよるが、通常は、第1送液ライン(L1)と第2送液ライン(L2)の2つの系統が設けられる。そして、各送液ラインには、各々、可搬式容器(1a)、(1b)から取り出されたフォトレジストを一旦収容する中間容器(2a)、(2b)が設けられる。
【0013】
上記の送液ラインについて更に具体的に説明すると、例えば、第1送液ライン(L1)は、可搬式容器(1a)のフォトレジスト取出口に接続する上記のフレキシブルホース(61a)が一端に付設され且つフォトレジスト取込み用の弁(81a)を介して他端が中間容器(2a)に至る流路(62a)と、受け入れた可搬式容器(1a)のフォトレジストを一時的に貯留する中間容器(2a)と、中間容器(2a)から流路切替用の弁(83b)を介してポンプ(4)へ至る流路(63a)と、ポンプ(4)からフィルター機構へ至る共通の流路(66)と、フィルター機構から処理プロセスへ至るフォトレジスト供給用の流路(69)とから主に構成される。
【0014】
また、第1送液ライン(L1)の基端側には、上記の可搬式容器(1a)からフォトレジストを受け入れる際、可搬式容器(1a)に不活性ガスとしての例えば窒素を供給するため、窒素容器の集合装置または貯槽、減圧調整器、バッファタンク等から成る窒素供給装置(図示省略)が設けられており、斯かる窒素供給装置は、これから伸長された窒素供給流路(72a)及び上記のフレキシブルホース(71a)を通じて可搬式容器(1a)に押出用の窒素を供給する様になされている。
【0015】
中間容器(2a)は、可搬式容器(1a)と同等の加圧に耐え得る容器として構成される。中間容器(2a)は、その上端部から底部近傍に至るサイホン管を内部に備えており、斯かるサイホン管には、上記の流路(62a)の他端が接続されている。また、中間容器(2a)の上端には、フォトレジストに同伴して流入した窒素を排出するため、弁(88a)を有する排気流路(73a)が付設される。そして、中間容器(2a)の底部には、当該中間容器からフォトレジストを取り出すため、上記のポンプ(4)へ至る流路(63a)が接続されている。
【0016】
すなわち、中間容器(2a)は、取り込んだフォトレジストを一時貯留することにより、フォトレジストとこれに混入した窒素とを分離し、分離した気体である窒素を排気流路(73b)から排出可能な気液分離器として構成されている。なお、中間容器(2a)の内容積は、通常、5〜20リットル程度に設計される。図中の符号(82a)は、流路(63a)の分岐部に付設されたドレン弁を示す。
【0017】
また、窒素を排出するための排気流路(73a)は、第1送液ライン(L1)の基端側に設けられた前述の窒素供給装置に接続され、窒素供給装置においては、中間容器(2a)から排出された窒素をバッファタンクに回収し、可搬式容器(1a)へ供給する押出用の窒素として再利用する様になされている。上記の様に、可搬式容器(1a)に供給された押出用の窒素を中間容器(2a)で回収し、再度押出用に利用することにより、窒素の消費量を一層低減することが出来る。
【0018】
更に、中間容器(2a)には、常に液体のフォトレジストだけをポンプ(4)側へ送り出し、かつ、容器内の気体がポンプ(4)側へ排出されるのを防止するため、当該中間容器内の液量を検出する液面計(3a)が設けられる。液面計(3a)としては、差圧型、フロート型、光電センサー型、超音波型などの信号出力可能な各種の液面計測機器を使用できる。
【0019】
液面計(3a)は、中間容器(2a)において管理すべきフォトレジストの液面、すなわち、フォトレジストをオーバーフローさせることなく中間容器(2a)に安全に導入し得る液面の上限(H)と、気体が同伴することなくフォトレジストをポンプ(4)側に安全に排出し得る液面の下限(L)(下限残量)とを検出する様に設定される。より好ましくは、液面計(3a)は、図示する様に、安全に稼働可能な液面の上記の上限(H)及び下限(L)の他、稼働を停止すべき危険領域の上限(HH)及び下限(LL)を検出する様に設定される。
【0020】
本発明においては、処理プロセスへのフォトレジストの供給コストを低減するため、中間容器(2a)から下流側は、ポンプ(4)を使用してフォトレジストを送液する様になされている。ポンプ(4)としては、例えば、日本ピラー工業(株)製の低脈圧ベローズポンプ「PS−10MA」(商品名)等の送液ポンプが使用される。上記のポンプ(4)は、後述する様に第1送液ライン(L1)と第2送液ライン(L2)を切り替えて使用するに当たり、図示しないが、第1送液ライン(L1)及び第2送液ライン(L2)に共通して使用する様に1基だけ設けられてもよいし、また、図示する様に、送液ライン毎に複数基個別に設けられてもよい。
【0021】
送液ライン毎に個別に配置される場合は、ポンプ(4)として、第1送液ライン(L1)に対応するポンプ(4a)、および、第2送液ライン(L2)に対応するポンプ(4b)の2基が配置される。2基のポンプ(4a)、(4b)を個別に使用する場合、例えば、第1送液ライン(L1)においては、中間容器(2a)のフォトレジストを流路(63a)、(64a)を通じてポンプ(4a)に吸入し、吸入したフォトレジストを流路(65a)、共通流路(66)へ吐出する様に流路構成される。
【0022】
また、2基のポンプ(4a)、(4b)を配置した場合でも、弁(83a)、(83b)、(84a)、(84b)、(85a)及び(85b)の開閉制御により、1基のポンプ(4)、例えばポンプ(4a)を常用し、ポンプ(4b)を故障時などの予備として使用することも出来る。すなわち、1基のポンプ(4a)を常用する場合、第1送液ライン(L1)を稼働させる際は、上記の様に流路(63a)、(64a)を通じてポンプ(4a)にフォトレジストを吸入し、吸入したフォトレジストを流路(65a)、共通流路(66)へ吐出する様に流路構成され、そして、後述の第2送液ライン(L2)を稼働させる際は、中間容器(2b)のフォトレジストを流路(63b)、分岐流路(63c)、流路(64a)を通じてポンプ(4a)に吸入し、吸入したフォトレジストを流路(65a)、共通流路(66)へ吐出する様に流路構成される。
【0023】
一方、第2送液ライン(L2)も、上記の第1送液ライン(L1)と同様に構成される。すなわち、図示する様に、第2送液ライン(L2)は、フレキシブルホース(61b)が付設された流路(62b)、排気流路(73b)及び液面計(3b)が付設された中間容器(2b)、流路(63b)、(64b)、(65b)、弁(81b)、(88b)、(82b)、(83b)、(84b)及び(85b)等から構成され、これらの機器は、各々、第1送液ライン(L1)における流路(62a)、排気流路(73a)、液面計(3a)、中間容器(2a)、流路(63a)、(64a)、(65a)、弁(81a)、(88a)、(82a)、(83a)、(84a)及び(85a)と同様のものである。なお、第2送液ライン(L2)の基端側の窒素供給流路(72b)は、前述した窒素供給装置から伸長されており、フレキシブルホース(71b)を通じて可搬式容器(1b)に押出用の窒素を供給する様になされている。
【0024】
また、ポンプ(4)の下流側の共通流路(66)とフォトレジスト供給用の流路(69)との間には、異物や凝集物を最終的に除去するために、フィルター(5a)、(5b)を含むフィルター機構が設けられる。斯かるフィルター機構は、流路(67a)、弁(86a)、フィルター(5a)、弁(87a)及び流路(68a)から成る系統と、流路(67b)、弁(86b)、フィルター(5b)、弁(87b)及び流路(68b)から成る系統の2つの系統で構成される。これら2つ系統は、弁(86a)、(87a)、あるいは、弁(86b)、(87b)の開閉設定により、何れか一方を常用し、他方を予備として待機させる様になされている。
【0025】
本発明においては、処理プロセスに対してフォトレジストを連続供給するため、上記の複数系統の第1送液ライン(L1)、第2送液ライン(L2)は、中間容器(2a)、(2b)の液量に応じて切替使用する様に構成される。具体的には、中間容器(2a)、(2b)の液面計(3a)、(3b)による下限残量(液面の下限(L))の検出により切替可能に構成される。
【0026】
例えば第1送液ライン(L1)の中間容器(2a)において、液面計(3a)によりフォトレジストの液面が下限(L)を検出した場合には、第1送液ライン(L1)の稼働を停止し、第2送液ライン(L2)を稼働させ、また、第2送液ライン(L2)の中間容器(2b)において、液面計(3b)によりフォトレジストの液面が下限(L)を検出した場合には、第2送液ライン(L2)の稼働を停止し、第1送液ライン(L1)を稼働させる様になされている。
【0027】
本発明の供給装置においては、予め所定のプログラムが書き込まれた制御装置(図示省略)が使用され、斯かる制御装置による上記の幾つかの弁の開閉制御により、可搬式容器(1a)、(1b)からのフォトレジストの受入、処理プロセスへのフォトレジストの供給、および、上記の様な送液ラインの切替操作が自動的に行われる様になされている。
【0028】
次に、本発明の供給装置を使用したフォトレジストの供給方法について説明する。処理プロセスにフォトレジストを供給するに当たり、先ず、準備操作として、例えば第1送液ライン(L1)の中間容器(2a)にフォトレジストを受け入れる。フォトレジストは、流路(62a)の弁(81a)を開放し、流路(63a)の弁(83a)を閉止し、かつ、排気流路(73a)の弁(88a)を開放した状態において、窒素供給装置から窒素供給流路(72a)、フレキシブルホース(71a)を通じて可搬式容器(1a)に窒素を供給することにより、フレキシブルホース(61a)、流路(62a)を通じて中間容器(2a)に押し出すことが出来る。
【0029】
フォトレジストの受入により、中間容器(2a)おいてフォトレジストの液面が上限(H)に達した場合、液面計(3a)の信号に基づき、可搬式容器(1a)への窒素の供給を停止し、フォトレジストの受入を停止すると共に、弁(81a)を閉止する。なお、可搬式容器(1a)からの受入の際に分離された余剰の窒素は、排気流路(73a)を通じて窒素供給装置に回収される。
【0030】
一方、中間容器(2a)にフォトレジストを受け入れる間または受け入れた後、上記と同様の操作により第2送液ライン(L2)にもフォトレジストを受け入れる。すなわち、フォトレジストは、弁(81b)を開放し、弁(83b)を閉止し、弁(88b)を開放した状態において、窒素供給装置から可搬式容器(1b)に窒素を供給することにより、流路(62b)を通じて中間容器(2b)に押し出される。そして、中間容器(2b)のフォトレジストの液面が上限(H)に達した場合、液面計(3b)の信号に基づき、可搬式容器(1b)への窒素の供給を停止してフォトレジストの受入を停止し、弁(81b)を閉止する。
【0031】
上記の様に、第1送液ライン(L1)の中間容器(2a)にフォトレジストを受け入れた場合、中間容器(2a)においては、一時的にフォトレジストを貯留するため、フォトレジスト中に混入した気体(可搬式容器(1a)に供給された窒素)が比重差で分離し、気体の除去されたフォトレジストを得ることが出来る。
【0032】
次いで、第1送液ライン(L1)を稼働させてフォトレジストを処理プロセスに供給する。フォトレジストを供給するには、弁(83a)、(84a)及び(85a)を開放すると共に、ポンプ(4a)を作動させる。これにより、中間容器(2a)から流路(63a)、(64a)及び(65a)を通じてフォトレジストを共通流路(66)に流す。そして、フィルター機構のうち、例えば、弁(86a)及び(87a)を開放してフィルター(5a)を使用することにより、共通流路(66)から流路(67a)及び(68a)並びに供給用の流路(69)を通じ、処理プロセスへフォトレジストを供給することが出来る。
【0033】
続いて、中間容器(2a)のフォトレジストの残量が少なくなった場合は、第1送液ライン(L1)から第2送液ライン(L2)へ切替操作を行う。斯かる切替操作は、中間容器(2a)においてフォトレジストの液面が下限(L)に達した場合、液面計(3a)の信号に基づいて行われる。
【0034】
その場合、先ず、第2送液ライン(L2)の弁(83a)、(84a)及び(85a)を開放すると共に、ポンプ(4b)を作動させる。これにより、中間容器(2b)から流路(63b)、(64b)及び(65b)を通じてフォトレジストを共通流路(66)に流す。そして、第2送液ライン(L2)の稼働開始と同時または僅かに遅いタイミングで第1送液ライン(L1)の稼働を停止する。すなわち、ポンプ(4a)の作動を停止し、弁(83a)、(84a)及び(85a)を閉止する。上記の様に第1送液ライン(L1)から第2送液ライン(L2)に切り替えることにより、処理プロセス側へ途切れなくフォトレジストを連続供給することが出来る。
【0035】
更に、送液ラインを第2送液ライン(L2)に切り替えた後は、停止させた第1送液ライン(L1)の中間容器(2a)に再びフォトレジストを新たな可搬式容器(図示省略)から受け入れる。以降は、上記と同様にして第1送液ライン(L1)と第2送液ライン(L2)を順次切替ながら、処理プロセスへのフォトレジストの供給および中間容器(2a)、(2b)へのフォトレジストの受入を繰り返すことにより、処理プロセスへフォトレジストを連続供給することが出来る。
【0036】
上記の様に、本発明の供給装置においては、可搬式容器(1a)、(1b)からポンプ(4)へ至る送液ラインを例えば第1送液ライン(L1)、第2送液ライン(L2)の様に可搬式容器に対応させて複数系統設けると共に、ポンプ(4)の吸入側に相当する各送液ライン(L1)、(L2)の途中に気液分離器として機能する中間容器(2a)、(2b)を設け、これら中間容器にフォトレジストを一旦収容することにより、フォトレジストに混入した気体を予め分離排出し、気体の除去されたフォトレジストをポンプ(4)で処理プロセスに送液する。しかも、中間容器(2a)、(2b)の液量に応じて第1送液ライン(L1)と第2送液ライン(L2)を切換え且つその間に新たなフォトレジストを補充することにより、処理プロセスへ途切れなくフォトレジストを供給する。
【0037】
従って、本発明の供給装置によれば、大量のフォトレジストを必要とされる処理プロセスに対しても、気泡が完全に除去されたフォトレジストを安定して連続供給することが出来、しかも、窒素の消費量を低減することが出来る。特に、可搬式容器(1a)、(1b)から中間容器(2a)、(2b)へフォトレジストを取り込んだ際、使用した窒素を窒素供給装置に回収し、可搬式容器(1a)、(1b)において押出用として再利用することにより、窒素の消費量をより低減することが出来、供給コストを一層低減することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係るフォトレジスト供給装置の主要部の構成例を示す系統図である。
【符号の説明】
【0039】
1a :可搬式容器
1b :可搬式容器
2a :中間容器
2b :中間容器
3a :液面計
3b :液面計
4 :ポンプ
4a :ポンプ
4b :ポンプ
5a :フィルター
5b :フィルター
61a:フレキシブルホース
61b:フレキシブルホース
71a:フレキシブルホース
71b:フレキシブルホース
72a:窒素供給流路
72b:窒素供給流路
73a:排気流路
73b:排気流路
L1 :第1送液ライン
L2 :第2送液ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可搬式容器で搬入されるフォトレジストを処理プロセスへポンプにより連続供給するフォトレジスト供給装置であって、基端に可搬式容器が接続され且つ当該可搬式容器から前記ポンプへ至る送液ラインを複数系統備え、各送液ラインには、可搬式容器から取り出されたフォトレジストを一旦収容する中間容器が設けられ、当該中間容器は、分離した気体を排出可能な気液分離器として構成され、前記複数系統の送液ラインは、前記中間容器の液量に応じて切替使用する様に構成されていることを特徴とするフォトレジスト供給装置。
【請求項2】
ポンプが送液ライン毎に複数基設けられている請求項1に記載のフォトレジスト供給装置。
【請求項3】
中間容器には、気体が同伴することなくフォトレジストを排出可能な下限残量を検出する液面計が付設され、複数系統の送液ラインは、前記液面計による下限残量の検出により切替可能に構成されている請求項1又は2に記載のフォトレジスト供給装置。

【図1】
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【公開番号】特開2007−142264(P2007−142264A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335872(P2005−335872)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【出願人】(000176763)三菱化学エンジニアリング株式会社 (85)
【Fターム(参考)】