フレキシブルディスプレイ及びその製造方法
【課題】 何ら不具合が発生することなく高歩留りで製造され、プラスチックフィルムを基板として使用する、有機TFTを備えたフレキシブルディスプレイを提供する。
【解決手段】 プラスチックフィルム40の上に、接着層34と、バリア絶縁層37と、下から順に、有機活性層36a、36b、ゲート絶縁層32及びゲート電極30a,30bが形成され、ソース電極24a、24x及びドレイン電極24b、24yが有機活性層36a,36bに電気的に接続された構造のTFT5,6と、ドレイン電極24yに電気的に接続された画素電極26と、複数の画素電極26上にそれぞれ形成された有機EL層3と、金属電極46と、封止層48とが形成されて構成される。
【解決手段】 プラスチックフィルム40の上に、接着層34と、バリア絶縁層37と、下から順に、有機活性層36a、36b、ゲート絶縁層32及びゲート電極30a,30bが形成され、ソース電極24a、24x及びドレイン電極24b、24yが有機活性層36a,36bに電気的に接続された構造のTFT5,6と、ドレイン電極24yに電気的に接続された画素電極26と、複数の画素電極26上にそれぞれ形成された有機EL層3と、金属電極46と、封止層48とが形成されて構成される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルディスプレイ及びその製造方法に係り、さらに詳しくは、基板としてプラスチックフィルムを使用した有機ELディスプレイや液晶ディスプレイなどに適用できるフレキシブルディスプレイ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electroluminescence)ディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置は、情報機器などへ急速にその用途を拡大している。近年、プラスチックフィルムを基板として使用するフレキシブルディスプレイが注目されている。そのようなフレキシブルディスプレイは、丸めて収納できて持ち運びに便利な超薄型・軽量のモバイル用ばかりではなく、大型ディスプレイ用としても利用できる。
【0003】
しかし、プラスチックフィルムは、剛性が弱く、また熱変形温度が低いため、熱処理を伴う製造工程において反りや膨張収縮のような熱変形が生じ易い。このため、プラスチックフィルム上に直接各種素子を形成する製造方法では、熱処理を伴う製造工程などの条件が制限され、また高精度の位置合わせが困難になるので、所望の特性を有する素子基板を製造できなくなる場合がある。
【0004】
このような問題を回避するために、耐熱性で剛性のガラス基板の上に製造条件が制限されないで透明電極やカラーフィルタ層などを高精度で位置合わせして形成して転写層とした後、この転写層をプラスチックフィルム上に転写・形成することにより、液晶表示装置用素子基板を製造する方法がある(特許文献1)。
【0005】
また、表示特性の優れたディスプレイとするには、画素ごとに駆動用トランジスタを組み込んだアクティブ駆動が必要となる。フレキシブルディプレイには曲げに追随できる柔軟なTFT素子が必要であり、従来の駆動用トランジスタとしての低温ポリシリコンTFTやアモルファスシリコンTFTでは十分な信頼性が得られないおそれがある。このため、フレキシブルディスプレイの駆動用トランジスタとして、曲げに追随できる柔軟な有機半導体層を活性層として用いる有機TFTが注目されている。
【0006】
特許文献2には、基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体層、及びソース・ドレイン電極を順次形成し、ドレイン電極に接続された陽極上に有機EL素子を形成することにより、有機ELディスプレイを製造する方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、耐熱基材上に分離層を形成し、その上にゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体層及びソース・ドレインから構成される有機TFTを形成した後に、有機TFTを耐熱基材から表面基材(プラスチック基板)に転写する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2003−131199号公報
【特許文献2】特開2003−255857号公報
【特許文献3】特開2003−318195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、有機半導体層及び有機EL層は、有機溶剤、水、プラズマ、電子線又は熱処理などの処理を伴うフォトリソグラフィ及びエッチング工程でその性能が劣化したり、ひいてはほとんど機能しなくなったりする問題がある。
【0009】
上記した特許文献2及び3では、有機半導体層を形成した後に、ソース・ドレインなどをパターニングする必要があるので、フォトリソグラフィ工程での有機半導体層の性能劣化が問題になるおそれがある。
【0010】
このように、プラスチックフィルムを基板として使用する、有機TFTを備えたフレキシブルディスプレイの製造方法は十分に確立されておらず、プラスチックフィルム上に所望の有機TFTや有機EL素子を高歩留りで安定して形成する方法が切望されている。
【0011】
本発明は上記した問題点を鑑みて創作されたものであり、何ら不具合が発生することなく高歩留りで製造される、プラスチックフィルムを基板として使用する、有機TFTを備えたフレキシブルディスプレイ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するため、本発明はフレキシブルディスプレイに係り、各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイであって、プラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記接着層の上に形成されたバリア絶縁層と、前記バリア絶縁層の上又は上方に形成され、下から順に、有機活性層、ゲート絶縁層及びゲート電極が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記バリア絶縁層の上方に形成され、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続された画素電極と、前記各画素の前記画素電極上にそれぞれ形成された発光層を含む有機EL層と、前記有機EL層上に形成された金属電極と、前記金属電極を被覆する封止層とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明のフレキシブルディスプレイは転写技術によって製造されるものであり、まず、耐熱性で剛性を有する仮基板(ガラス基板など)の上に、剥離層、有機活性層が最上になるように構成されたTFTとそのドレイン電極に接続された画素電極、及びバリア絶縁層より構成される転写層が製造条件が制限されることなく所望の膜特性をもって形成される。次いで、その転写層が接着層を介してプラスチックフィルム上に上下反転した状態で転写・形成される。続いて、剥離層が除去された後に、発光層を含む有機EL層が各画素の画素電極上にそれぞれ形成される。さらに、有機EL層上に金属電極が形成された後に、それらが封止層によって被覆される。
【0014】
上記した発明において、発光層は、赤色(R)発光層、緑色(G)発光層及び青色(B)発光層から構成されるようにしてもよいし、発光層として白色発光層を使用し、カラーフィルタ層を形成してもよい。あるいは、色の彩度を向上させる場合は、発光層を3原色の発光層から構成し、さらにカラーフィルタ層を形成することにより、カラーフィルタ層と3原色のEL発光とを組み合わせてフルカラー化するようにしてもよい。
【0015】
本発明と違って、プラスチックフィルム上に有機活性層を備えたTFT、画素電極及び有機EL層などが直接形成される構造では、有機活性層が形成された後にフォトリソリソグラフィ工程が必要となって有機活性層の性能が劣化するばかりではなく、低抵抗の画素電極(ITO)を形成する場合は高温での熱処理が伴うのでプラスチックフィルムが熱変形する問題がある。
【0016】
しかしながら、本発明では、有機活性層や有機EL層に悪影響を及ぼすフォトリソグラフィによるパターニング工程(TFTのゲート電極、ソース電極及びドレイン電極、画素電極を形成する工程)は、有機活性層や有機EL層を形成する前に仮基板上で行われる。さらに、仮基板上でソース電極及びドレイン電極に接続される有機活性層がマスク蒸着などで形成された後にバリア絶縁層が形成されて転写層が得られる。その後に、その転写層がプラスチックフィルム上に上下反転した状態で転写された後に、最上に露出する画素電極上に有機EL層がマスク蒸着などで形成される。このような製造方法を採用することにより、有機活性層や有機EL層がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその特性が劣化するおそれがなくなる。
【0017】
このように、本発明のフレキシブルディスプレイでは、何ら不具合が発生することなくTFT用の有機活性層及び有機EL層がプラスチックフィルム上に高歩留りで形成され、製造コストの低減や信頼性の向上を図ることができる。
【0018】
本発明のフレキシブルディスプレイは、有機EL層などを省略することにより、アクティブマトリクス型の液晶ディスプレイにも適用することができる。
【0019】
また、上記した課題を解決するため、本発明はフレキシブルディスプレイの製造方法に係り、各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイの製造方法であって、仮基板の上に剥離層を形成する工程と、前記剥離層の上に、下から順に、ゲート電極、ゲート絶縁層及び有機活性層が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続される画素電極とを形成する工程と、前記TFTの上又は上方に、バリア絶縁層を形成する工程と、前記バリア絶縁層の上に、接着層を介して、プラスチックフィルムを接着する工程と、前記仮基板を前記剥離層との界面から剥離することにより、前記プラスチックフィルム上に、前記接着層を介して、前記TFT、前記画素電極及び前記剥離層を上下反転させた状態で転写・形成する工程と、前記剥離層を除去して、前記TFT及び前記画素電極の一部を露出させる工程と、前記各画素の前記画素電極の上に発光層を含む有機EL層をそれぞれ形成する工程と、前記有機EL層上に金属電極を形成する工程と、前記金属電極を被覆する封止層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0020】
本発明の製造方法を使用することにより、上記した構成のフレキシブルディスプレイを容易に製造することができる。
【0021】
上記した発明において、TFT用の有機活性層及び有機EL層は、マスク蒸着、インクジェット法又は印刷によって形成される。インクジェット法又は印刷を採用する場合は、有機活性層及び有機EL層が形成される前に、それらが形成される部分に開口部が設けられた有機絶縁層パターンが形成されるようにし、有機絶縁層パターンが隔壁となった状態でそれら開口部に有機活性層及び有機EL層がそれぞれ位置合わせされて形成される。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明では、基板としてプラスチックフィルムを使用する、有機TFTを備えたアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイや液晶ディスプレイが何ら不具合が発生することなく高歩留りで製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1〜図5は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図、図6は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。第1実施形態では、本発明を有機ELディスプレイに適用する形態を例示して説明する。本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法は、図1(a)に示すように、まず、仮基板としてガラス基板20を用意し、そのガラス基板20上にポリイミド樹脂などからなる剥離層22を形成する。
【0025】
その後に、図1(b)に示すように、剥離層22上に膜厚が例えば100nmの金(Au)などよりなる導電層を形成し、フォトリソグラフィ及びエッチングにより導電層をパターニングする。これにより、スイッチング用TFT(Thin Film Transistor)(以下、Sw−TFTと記す)のソース電極24a及びドレイン電極24bと、駆動用TFT(以下、Dr−TFTと記す)のソース電極24x及びドレイン電極24yとが形成される。
【0026】
続いて、剥離層22、ソース電極24a,24x、及びドレイン電極24b,24yの上に、膜厚が例えば150nmのITO(Indium Tin Oxide)層などの透明導電層をスパッタ法により成膜した後に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより透明導電層をパターニングする。これにより、図1(c)に示すように、Dr−TFT用のドレイン電極24yに電気的に接続される画素電極26が剥離層22上に形成される。なお、画素電極26がDr−TFT用のドレイン電極24yの端部上に重なって形成されるようにしてもよい。本実施形態では、画素電極26となるITO層を耐熱性のガラス基板20上に形成することから、成膜温度が200℃程度のスパッタ法などを採用することができる。これにより、画素電極26(ITO)は低抵抗(比抵抗値:3×10−4Ω・cm以下)な電気特性をもって形成される。
【0027】
次いで、図1(d)に示すように、ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y及び画素電極26を被覆するアクリル樹脂などからなる保護層28を形成する。
【0028】
次いで、図2(a)に示すように、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、IZO又はITOなどよりなる導電層を蒸着やスパッタ法などにより保護層28上に成膜した後に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより導電層をパターニングする。これにより、Sw−TFT用のゲート電極30aがSw−TFTの用ソース電極24aとドレイン電極24bとの端部上にそれぞれ重なるようにそれらの間上の保護層28上に形成される。また同時に、Dr−TFT用のゲート電極30bがDr−TFT用のソース電極24xとドレイン電極24yとの端部上にそれぞれ重なるようにそれらの間上の保護層28上に形成される。
【0029】
以上により、ガラス基板20上に、ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y、画素電極26、及びゲート電極30a,30bがフォトリソグラフィによって所望のパターンに高精度に微細化されて形成される。
【0030】
続いて、図2(b)に示すように、各ゲート電極30a,30bを被覆するゲート絶縁層32を形成する。ゲート絶縁層32としては、膜厚が例えば200nmのシリコン酸化層(SiOX層)又はタンタル酸化層(Ta2O5層)などが使用され、これらの絶縁層がCVD又はスパッタ法などによって形成される。
【0031】
次いで、図2(c)に示すように、フォトリソグラフィ及びエッチングでゲート絶縁層32及び保護層28を加工することにより、Sw−TFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bにそれぞれ到達する深さの第1ビアホール32xと、Dr−TFT用のソース電極24x及びドレイン電極24yにそれぞれ到達する深さの第2ビアホール32yを形成する。
【0032】
続いて、図3(a)に示すように、第1ビアホール32xを介してSw−TFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bに電気的に接続されるSw−TFT用の有機活性層36aをゲート絶縁層32上に形成する。このとき同時に、第2ビアホール32yを介してDr−TFT用のソース電極24x及びドレイン電極24yに電気的に接続されるDr−TFT用の有機活性層36bがゲート絶縁層32上に形成される。
【0033】
各有機活性層36a,36bの材料としては、ペンタセン、セキシチオフェン、又はポリチオフェンなどの有機半導体が使用される。有機活性層36a,36bは、マスク蒸着により第1、第2ビアホール32x、32y内に充填された状態でゲート絶縁層32上に形成され、その膜厚は例えば50nm程度である。マスク蒸着は、真空蒸着装置の中でシャドーマスクを高精度で移動させることによって成膜と同時にパターンを形成する方法であり、フォトリソグラフィを使用することなく、パターン化された有機活性層36a,36bを形成することができる。このため、有機活性層36a,36bは、フォトリソグラフィ工程でのウェット処理やプラズマなどによってその性能が劣化するおそれがない。
【0034】
なお、第1,第2ビアホール32x,32yを導電性ペーストなどの導電材で埋め込んだ後に、有機活性層36a、36bを形成してもよく、第1、第2ビアホール32x,32yを介して有機活性層36a,36bとソース電極24a、24x及びドレイン電極24b,24yとが電気的に接続されるようにすればよい。
【0035】
このようにして、ゲート電極30a、ゲート絶縁層32、ソース電極24a、ドレイン電極24b、及びソース電極24aとドレイン電極24bに接続された有機活性層36aにより構成されるSw−TFT5が得られる。また、ゲート電極30b、ゲート絶縁層32、ソース電極24x、ドレイン電極24y、及びソース電極24xとドレイン電極24yに接続される有機活性層36bにより構成されるDr−TFT6が得られる。
【0036】
次いで、図3(b)に示すように、有機活性層36a,36bを被覆するバリア絶縁層37を形成する。バリア絶縁層37としては、水蒸気の侵入をブロックできるシリコン酸化層(SiOX)、シリコン窒化層(SiNX)又はシリコン酸化窒化層(SiON)などの無機絶縁層が好適に使用され、CVD法やスパッタ法によって形成される。なお、SiOX層、SiNX層及びSiON層から2つ以上選択して積層してもよい。
【0037】
その後に、図3(c)に示すように、図3(b)のバリア絶縁層37の上面に接着層34を介してプラスチックフィルム40を対向させて配置する。さらに、熱処理することにより接着層34を硬化させて、図3(b)の構造体の上にプラスチックフィルム40を接着する。プラスチックフィルム40としては、膜厚が100〜200μmのポリエーテルスルホンフィルムやポリカーボネートフィルムなどが好適に使用される。
【0038】
続いて、同じく図3(c)に示すように、プラスチックフィルム40の一端にロール29を固定し、このロール29を回転させながらガラス基板20を剥離する。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図3(c)のA部)に沿って剥離され、ガラス基板20が廃棄される。
【0039】
これにより、図4(a)に示すように、プラスチックフィルム40の上に、下から順に、接着層34、バリア絶縁層37、有機活性層36a,36b、ゲート絶縁層32、ゲート電極30a,30b、保護層28、ソース電極24a,24xとドレイン電極24b,24yと画素電極26、及び剥離層22が転写・形成される。
【0040】
その後に、図4(b)に示すように、酸素ガスのプラズマなどで剥離層22を除去する。これにより、ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y及び画素電極26の上面が露出する。
【0041】
このように、本実施形態では、ガラス基板20上に有機活性層36a,36bが上側になる構造で各TFT5,6を形成した後に、プラスチックフィルム40上に上下反転した状態で転写・形成する手法を採用している。従って、有機活性層36a,36bは、プラスチックフィルム40の上側に露出することなく、下側に埋め込まれた状態となるので、その後の各種の処理工程で有機活性層36a,36bにダメージを与えるおそれがなくなる。
【0042】
続いて、図4(c)に示すように、マスク蒸着によって画素電極26上に膜厚が例えば30nmの正孔輸送層38を選択的に形成する。正孔輸送層38としては、芳香族3級アミン誘導体であるα-NPDなどが好適に使用される。さらに、同じく図4(c)に示すように、正孔輸送層38上にマスク蒸着によって膜厚が例えば70nmの低分子系の発光層42を選択的に形成する。本実施形態では、3原色の発光層を形成してフルカラー化する形態を例示するので、後に図6で説明するように、3原色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の各画素部の正孔輸送層34上に赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層がそれぞれ形成される。そして、3原色の画素部(サブピクセル)が表示単位であるピクセルを構成する。
【0043】
低分子系の発光層42としては、ホスト材料にドーピング材料が混合されたものが使用され、そのドーピング材料(分子)が発光する。ホスト材料では、例えばAlq3やジスチリルアリーレン誘導体(DPVBi)があり、ドーピング材料では、例えば緑色発光のクマリン6や赤色発光のDCJTBなどがある。
【0044】
続いて、同じく図4(c)に示すように、マスク蒸着によって発光層42上に電子輸送層44を形成する。電子輸送層44としては、キノリノールアルミ錯体(Alq3)などが好適に使用される。
【0045】
これにより、正孔輸送層38、発光層42及び電子輸送層44により構成される有機EL層3が得られる。
【0046】
なお、正孔輸送層38及び電子輸送層44のうちのいずれか一方のみが形成された形態としてもよいし、正孔輸送層38及び電子輸送層44の両者を省略した形態としてもよい。
【0047】
さらに、図4(d)に示すように、電子輸送層44上にマスク蒸着によって金属電極46を選択的に形成する。金属電極46としては、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)積層膜などが好適に使用され、LiF層の膜厚は0.2〜1nm、Al層の膜厚は100〜200nmに設定される。
【0048】
これにより、画素電極26、有機EL層3及び金属電極46により構成される有機EL素子2が得られる。
【0049】
このように、本実施形態では、有機活性層36a,36bや有機EL層3を形成する工程及びそれ以降の工程はフォトリソグラフィを使用しないので、有機活性層36a,36bや有機EL層3がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその性能が劣化するおそれがない。
【0050】
その後に、図5に示すように、有機EL素子2、Sw−TFT5及びDr−TFT6を被覆する封止層48を形成する。封止層48としては、シリコン酸化層(SiOX)やシリコン窒化層(SiNX)などが使用され、例えば成膜温度が100℃程度の低温CVDにより形成される。あるいは、防湿層が形成された樹脂フィルムを貼着して封止層48としてもよい。
【0051】
以上により、本発明の第1実施形態に係るフレキシブル有機ELディスプレイ1が完成する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法では、有機活性層36a,36bや有機EL層3に悪影響を及ぼすフォトリソグラフィによるパターニング工程(ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y、画素電極26、ゲート電極30a,30b、ビアホール32x,32yを形成する工程)は、有機活性層36a,36b及び有機EL層3を形成する前にガラス基板20上で行われる。さらに、ガラス基板20上でソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24yに接続される有機活性層36a,36bとそれを被覆するバリア絶縁層37が形成されて転写層が得られる。その後に、その転写層がプラスチックフィルム40上に上下反転した状態で転写された後に、有機EL素子2がマスク蒸着によって画素電極26上に形成される。
【0053】
このような製造方法を採用することにより、有機活性層36a,36bや有機EL層3がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその特性が劣化するおそれがなくなる。しかも、転写層をプラスチックフィルム40に転写した後(図4(b)の状態)では、最上にはソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y及び画素電極26が露出し、有機活性層36a,36bは下方に埋め込まれた状態となっているので、転写後であって有機EL素子2を形成する前(図4(b)と図4(c)の間の工程)にフォトリソグラフィ工程を遂行しても有機活性層36a,36bにダメージを与えるおそれはない。
【0054】
従って、Sw−TFT5及びDr−TFT6を被覆し、かつ画素電極26上に開口部を有する絶縁層をフォトリソグラフィによってパターニングすることができる。これにより、有機EL素子2の金属電極46をプラスチックフィルム40上の全面に形成する場合であっても何ら不具合が生じることはなく、有機ELディスプレイの設計の自由度を広くすることができる。
【0055】
このように、本実施形態では、プラスチックフィルムを基板として使用する、有機TFTを備えた有機ELディスプレイを高歩留りで安定して製造することができるようになる。さらには、有機活性層36a,36bの下に水蒸気をブロックできるバリア絶縁層37が形成されるので、外気からの水蒸気やプラスチックフィルム40内の水分が有機活性層36に侵入ことが防止され、信頼性の高い有機ELディスプレイとすることができる。
【0056】
図6には、第1実施形態のフレキシブルディスプレイの3原色の画素部(赤色画素部(R)、緑色画素部(G)、及び青色画素部(B))が描かれている。図6に示すように、第1実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1では、基板としてプラスチックフィルム40が使用され、その上に接着層34を介してバリア絶縁層37が形成されている。3原色の各画素部(R),(G),(B)のバリア絶縁層37上にはSw−TFT5の有機活性層36aとDr−TFT6の有機活性層36bとがそれぞれ形成されている。また、3原色の各画素部(R),(G),(B)の各有機活性層36a,36b上にはゲート絶縁層32及びゲート電極30a,30bが形成されている。さらに、各ゲート電極30a,30b上に保護層28が形成されている。
【0057】
また、3原色の各画素部(R),(G),(B)の保護層28上には、Sw−TFT5用のソース電極24a及びドレイン電極24bと、Dr−TFT6用のソース電極24x及びドレイン電極24yと、Dr−TFT6用のドレイン電極24yに電気的に接続された画素電極26とがそれぞれ設けられている。
【0058】
そして、3原色の各画素部(R),(G),(B)の各Sw−TFT5の有機活性層36aは、ゲート絶縁層32及び保護層28に設けられた第1ビアホール32xを介してSw−TFT5用のソース電極24a及びドレイン電極に24bに電気的にそれぞれ接続されている。また同様に、各Dr−TFT6の有機活性層36bは、ゲート絶縁層32及び保護層28に設けられた第2ビアホール32yを介してDr−TFT6のソース電極24x及びドレイン電極24yに電気的にそれぞれ接続されている。
【0059】
このようにして、3原色の各画素部(R),(G),(B)に、ソース電極24a、24x、ドレイン電極24b,24y、ゲート電極30a、30b、ゲート絶縁層32、及び有機活性層36a、36bにより構成されるSw−TFT5とDr−TFT6がそれぞれ配置されている。
【0060】
また、3原色の各画素部(R),(G),(B)の各画素電極26上には正孔輸送層38、発光層42R,42G,42B及び電子輸送層44から構成される有機EL層3がそれぞれ形成されている。3原色の各画素部(R),(G),(B)に赤色発光層42R、緑色発光層42G及び青色発光層42Bがそれぞれ対応して設けられている。
【0061】
さらに、3原色の各画素部(R),(G),(B)の各有機EL層3上には金属電極46がそれぞれ形成され、各画素部(R),(G),(B)に、画素電極26、有機EL層3及び金属電極46により構成される有機EL素子2がそれぞれ設けられている。有機EL素子2、Dr−TFT6及びSw−TFT5の上には、それらを被覆する封止層48が形成されている。
【0062】
図7は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの一つの画素部の等価回路を示す図、図8は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの一つの画素部を平面方向からみた平面図である。
【0063】
図7及び図8に示すように、第1実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1では、有機EL素子2の金属電極46(陰極)がグランド(GND)66に接続され、有機EL素子2の画素電極26(陽極)がDr−TFT6のドレイン電極24yに接続されている。Dr−TFT6のソース電極24xは電源(Vdd)線60に接続されている。また、Dr−TFT6のゲート電極30bと電源(Vdd)線60との間には保持容量Csが形成されている。また、Dr−TFT6のゲート電極30bにSw−TFT5のドレイン電極24bが接続され、Sw−TFT5のソース電極24aがデータ線62に接続されている。さらに、Sw−TFT5のゲート電極30aが走査線64に接続されている。
【0064】
図7の等価回路では以下のように動作する。まず、走査線64の電位を選択状態とし、走査線64に書き込み電位を印加すると、Sw−TFT5が導通して保持容量Csが充電又は放電され、Dr−TFT6のゲート電位は書き込み電位となる。次に、走査線64の電位を非選択状態とすると、走査線64とDr−TFT6とは電気的に切り離されるが、Dr−TFT6のゲート電位は保持容量Csによって安定に保持される。
【0065】
そして、Dr−TFT6及び有機EL素子2に流れる電流は、Dr−TFT6のゲート・ソース間電圧に応じた値となり、有機EL素子2はその電流値に応じた輝度で発光し続ける。
【0066】
このような構成の画素をマトリクス状に複数並べ、走査線64を順次選択しながら、データ線62を通して書き込みを繰り返すことにより、アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイを構成することができる。このようにして、各画素部(R),(G),(B)の各発光層42R,42G,42Bから外部に所定の色の光がそれぞれ放出されてカラー画像が得られる(図6の矢印の方向)。
【0067】
なお、有機TFTの抱える課題として、有機TFTの特性のばらつきがある。特に、Dr−TFT6の閾値電圧(Vth)のばらつきがあると、ディスプレイの画面内で照度のばらつきが生じてしまう。そこで、図7の等価回路に補償回路を設けることによりDr−TFT6の閾値電圧(Vth)のばらつきを補償する対策がとられている。そのような補償回路としては、2個のトランジスタを追加した電流プログラム方式と電圧プログラム方式がある(参考資料:2003FPDデクノロジー大全、電子ジャーナル出版(2003))。
【0068】
低温ポリシリコンTFTやアモルファスシリコンTFTを使用した回路に補償回路を追加する手法が開発されているが、本実施形態のような有機TFTを使用した回路に補償回路を追加しても同様な効果が得られる。
【0069】
なお、前述した第1実施形態において、次に説明する第2実施形態のように、保護層28とゲート絶縁層32との間、又はゲート絶縁層32とバリア絶縁層37との間にカラーフィルタ層が設けられた形態としてもよい。この形態の場合、カラーフィルタ層と赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のEL発光との組み合わせによってフルカラー化されるので、色の彩度を向上させることができる。
【0070】
(第2の実施の形態)
図9は本発明の第2実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。第2実施形態は、有機EL層の発光層として白色発光層を使用し、カラーフィルタを組み合わせてフルカラー化する形態である。図9において、第1実施形態の図6と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図9に示すように、第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1aは、第1実施形態の図6において赤色発光層42R、緑色発光層42G及び青色発光層42Bを全て白色発光層42に置き換えた形態である。そして、3原色の各画素部(R),(G),(B)の保護層28とゲート絶縁層32との間にカラーフィルタ層52R,52G,52Bがそれぞれ形成されている。赤色画素部(R)に赤色カラーフィルタ層52Rが配置され、緑色画素部(G)に緑色カラーフィルタ層52Gが配置され、青色画素部(B)に青色カラーフィルタ層52Bが配置されてカラーフィルタが構成されている。第2実施形態では、各画素部(R),(G),(B)の白色発光層42から白色光がそれぞれ放出されて3原色のカラーフィルタ層52R,52G,52Bを通ってカラー画像が得られる(図9の矢印の方向)。
【0072】
第2実施形態のフレキシブルディスプレイを製造するには、第1実施形態の図1(d)の工程の後に、3原色の画素部(R),(G),(B)に対応する各画素電極26上の保護層28上に赤色カラーフィルタ層52R、緑色カラーフィルタ層52G、及び青色カラーフィルタ層52Bを順次形成すればよい。各カラーフィルタ層52R,52G,52Bは、例えば顔料分散タイプの感光性塗布膜がフォトリソグラフィによりパターニングされて形成される。なお、カラーフィルタ層52R,52G,52Bは、有機活性層36a,36bを形成する前であればどの段階で形成しても差し支えない。従って、ゲート絶縁層32とバリア絶縁層37との間に形成するようにしてよい。
【0073】
第2実施形態のフレキスブル有機ELディスプレイ1aは第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0074】
(第3の実施の形態)
図10〜図13は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を順に示す断面図、図14は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイを示す断面図である。第1実施形態では、有機活性層及び有機EL層をマスク蒸着によって形成したが、第3実施形態では、有機活性層及び有機EL層をインクジェット法や印刷によって形成する。第3実施形態では、第1実施形態と同一工程についてはその詳しい説明を省略する。
【0075】
まず、図10(a)に示すように、ガラス基板20上に剥離層22を形成した後に、所要部に開口部25xが設けられたマスク金属層25を剥離層22上にパターニングする。マスク金属層25の材料としては、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)などが使用される。マスク金属層25の開口部25xは、後に形成されるTFT用の画素電極(発光層)が形成される領域に対応する部分に形成される。
【0076】
次いで、図10(b)に示すように、剥離層22及びマスク金属層25上にスピンコート法や印刷などによりポリイミド樹脂などの塗布膜を形成した後に、200〜300℃の温度で熱処理して塗布膜を硬化させることにより、膜厚が例えば2〜5μmの第1有機絶縁層27aを得る。第1有機絶縁層27aとしては、ポリイミド樹脂の他にPMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂やアクリル樹脂などの酸素ガスを主とするガスのプラズマでエッチング可能な材料が使用される。本実施形態では、熱処理を伴う第1有機絶縁層27aの形成をガラス基板20上で行うので、最終的に基板となるプラスチックフィルムに熱変形が生じることはない。
【0077】
続いて、図10(c)に示すように、第1実施形態の図1(b)〜図2(c)の工程を遂行することにより、有機絶縁層27aの上に、第1実施形態と同様に、ソース電極24a、24xとドレイン電極24b,24yとそれに接続された画素電極26、保護層28、ゲート電極30a、30b、ゲート絶縁層32を順次形成した後に、ソース電極24a、24x及びドレイン電極24b,24yに到達する深さの第1、第2ビアホール32x、32yを形成する。
【0078】
次いで、図11(a)に示すように、有機活性層を形成する部分に開口部39xが設けられた第2有機絶縁層パターン39をゲート絶縁層32上に形成する。開口部39xが設けられた第2有機絶縁層パターン39は、感光性ポリイミドをパターニングして形成してもよいし、あるいは後述する第1有機樹脂層パターン27の形成工程で説明するようにマスク金属層を使用して各種の樹脂(ポリイミド樹脂、PMMA樹脂又はアクリル樹脂)をパターニングして形成してもよい。
【0079】
その後に、図11(a)の構造体の上面をCF4などのフッ素原子を含むガスのプラズマで処理することにより、第2有機絶縁層パターン39の表面を撥水性にし、ビアホール32x、32y内に露出するソース電極24a、24x及びドレイン電極24b,24yの露出部を親水性にする。
【0080】
次いで、図11(b)に示すように、インクジェット装置(不図示)のノズル31からTFTの有機活性層を形成するための塗布液35を、第2有機絶縁層パターン39の開口部39x内にそれぞれ塗布して塗布膜を形成する。このとき、塗布液35は第1、第2ビアホール32x、32y内に充填されると共に、第2有機絶縁層パターン39の開口部39x内のゲート絶縁層32上に形成される。さらに、塗布膜を100〜200℃の温度でベークして乾燥させることにより、Sw−TFT用の有機活性層36aとDr−TFT用の有機活性層36bを得る。有機活性層36a,36bを形成するための塗布液35は、第1実施形態で説明したペンタセン、セキシチオフェン、又はポリチオフェンなどの有機半導体材料を含むものが使用される。このとき、第2有機絶縁層パターン39の表面は撥水化されているので、インクジェット装置のノズル31が、第2有機絶縁層パターン39の開口部39xから多少位置ずれしても、塗布液35は開口部39x側に流れて開口部39x内に溜まるようになる。このようにして、第1実施形態と同様な構造のSw−TFT5及びDr−TFT6が得られる。
【0081】
次いで、図11(c)に示すように、第1実施形態と同様に有機活性層36a,36bを被覆するバリア絶縁層37を形成する。
【0082】
続いて、図12(a)に示すように、第1実施形態と同様な方法により、図11(c)のバリア絶縁層37の上面に接着層34を介してプラスチックフィルム40を接着した後に、プラスチックフィルム40の一端に固定されたロール29を回転させながらガラス基板20を剥離する。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図12(a)のA部)に沿って剥離され、ガラス基板20が廃棄される。
【0083】
これにより、図12(b)に示すように、プラスチックフィルム40上に、下から順に、接着層34、バリア絶縁層37、有機活性層36a、36bと第2有機絶縁層パターン39、ゲート絶縁層32、ゲート電極30a,30b,保護層28、ソース電極24a,24xとドレイン電極24b,24yと画素電極26、第1有機絶縁層27a、マスク金属層25、及び剥離層22が転写・形成される。
【0084】
その後に、図10(c)に示すように、酸素ガスのプラズマで剥離層22を除去し、さらに露出したマスク金属層25をマスクにして酸素ガスのプラズマで第1有機絶縁層27aをエッチングすることにより開口部27xが設けられた第1有機絶縁層パターン27を得る。等方性エッチング装置での酸素ガスのプラズマを用いることにより、第1有機絶縁層27a(ポリイミド樹脂又はPMMA樹脂)はマスク金属層25から等方的にエッチングされて、順テーパー形状(上側から下側になるにつれて幅が太くなる形状)の開口部27xをもつ第1有機絶縁層パターン27が得られる。本実施形態では、テーパー角度θ(図12(c))が60°以下(好適には60°〜30°)の順テーパー形状の第1有機絶縁層パターン27を得ることができる。
【0085】
なお、第1有機絶縁層27aとして、アクリル樹脂を使用する場合は、酸素ガスにCF4などのフッ素原子を含むガスを2〜5%添加した混合ガスのプラズマによってエッチングされる。
【0086】
続いて、図13(a)に示すように、マスク金属層25を下地層に対して選択的に除去する。例えば、マスク金属層25としてAl層を使用する場合は、燐酸を含む溶液を使用するウェットエッチングが採用され、画素電極26などにダメージを与えることなくマスク金属層25が除去される。
【0087】
これにより、順テーパー形状の第1有機絶縁層パターン27が露出し、第1有機絶縁層パターン27は、画素電極26上に開口部27xが設けられた状態で形成される。
【0088】
その後に、図13(a)の構造体の上面をフッ素原子を含むガス(CF4、SF6又はCHF3など)のプラズマに曝す。これにより、第1有機絶縁層パターン27の上面及び側面にフッ素原子が付着することによって第1有機絶縁層パターン27は液体をはじく撥水性を示すようになる同時に、画素電極26の露出面は親水性となる。
【0089】
なお、上記した第1有機絶縁層27aを酸素プラズマでパターニングする工程、マスク金属層25を薬品で除去する工程、及びフッ素系ガスでプラズマ処理する工程では、下方に有機活性層36a,36bが存在するが、画素電極26、ソース電極24a,24x及びドレイン電極24b,24yによってブロックされるので、これらの処理で有機活性層36a、36bにダメージを与えるおそれはない。
【0090】
次いで、図13(b)に示すように、インクジェット装置(不図示)のノズル31から第1有機絶縁層パターン27の開口部27x内の画素電極26上に、チオフェン系導電性高分子(PEDOT/PSS)の塗布液33を塗布し、100〜200℃の温度でベークして乾燥させることにより正孔輸送層38を形成する。
【0091】
さらに、同じく図13(b)に示すように、同様なインクジェット法により、発光層を形成するための塗布液33を第1有機絶縁層パターン27の開口部27x内の正孔輸送層38上に塗布し、100〜200℃の温度でベークして乾燥させることにより発光層42を形成する。なお、図13(b)には1つの画素部のみが示されているが、第1実施形態と同様に、3原色の各画素部(R),(G),(B)の正孔輸送層38上にそれぞれ赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層が形成される。
【0092】
3原色の発光層を形成するための発光層の材料としては、π共役ポリマー系発光材料と色素含有ポリマー系発光材料がある。さらに詳しくは、π共役ポリマー系発光材料としては、ポリフルオレン(PF)誘電体(赤色,緑色,青色)、ポリスパイロ(Poly-Spiro)誘電体(赤色,緑色,青色)、ポリパラフェ二レン誘電体又はポリチオフェン誘電体などがある。
【0093】
一方、色素含有ポリマー系発光材料としては、燐光又は蛍光の低分子色素をポリビニルカルバゾール(PVK)に分散した発光材料である色素分散PVK(赤色、緑色、青色)、又は、Ir(ppy)3などの燐光基をPVKの側鎖に組み込んだ燐光性高分子である側鎖組み込み型PVK(赤色、緑色、青色)がある。
【0094】
上記した材料をキシレン、トルエン、クロロホルム、アニソール、テトラデカン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジクロロベンゼンなどの溶媒に溶解して各色の発光層を形成するための塗布液(インク)を調整する。
【0095】
このようにして、正孔輸送層38及び発光層42により構成される有機EL層3aが得られる。なお、第1実施形態と同様に、発光層42上に電子輸送層がさらに形成された形態としてもよいし、正孔輸送層38及び電子輸送層のうちのいずれか一方のみが形成された形態としてもよい。あるいは、正孔輸送層38及び電子輸送層の両者を省略してもよい。
【0096】
第3実施形態では、有機EL層3aはインクジェット法で形成されるので、第1実施形態と同様に、有機EL層3aがフォトリソグラフィ工程での各種処理によってその性能が劣化するおそれがない。
【0097】
また、正孔輸送層38及び発光層42をインクジェット法で形成する際にも、第1有機絶縁層パターン27の表面が撥水化されているので、正孔輸送層38及び発光層42は第1有機絶縁層27の開口部27x内に自己整合的に位置合わせされて形成される。
【0098】
なお、有機EL層3aをインクジェット法で形成する代わりに、スクリーン印刷によって形成してもよい。
【0099】
次いで、図13(c)に示すように、マスク蒸着によって、発光層42上に、カルシウム/アルミニウム(Ca/Al)積層膜、バリウム(Ba)膜、又はバリウム/アルミニウム(Ba/Al)積層膜などの金属電極46を形成する。これにより、画素電極26、有機EL層3a及び金属電極46により構成される有機EL素子2aが得られる。なお、Sw−TFT5及びDr−TFT6上には第1有機絶縁層パターン27が形成されているので、金属電極46を全面にわたって形成しても差し支えない。
【0100】
その後に、図14に示すように、第1実施形態と同様に、有機EL素子2aを被覆する封止層48を形成する。
【0101】
以上により、第3実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1bが完成する。
【0102】
図14に示すように、第3実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1bでは、基板としてプラスチックフィルム40が使用され、その上に接着層34を介してバリア絶縁層37が形成されている。バリア絶縁層37上の第2有機絶縁層パターン39の開口部39x内にはSw−TFT5の有機活性層36aとDr−TFT6の有機活性層36bとが形成されている。第2有機絶縁層パターン39は、インクジェット法で有機活性層36a、36bが形成される際の隔壁として機能し、有機活性層36a、36bは位置精度よく配置されている。
【0103】
各有機活性層36a、36bの上にはゲート絶縁層32と、Sw−TFT5のゲート電極30a及びDr−TFT6用のゲート電極30bとがそれぞれ順に形成され、各ゲート電極30a,30bの上には保護層28が形成されている。保護層28上には、Sw−TFT5用のソース電極24a及びドレイン電極24bと、Dr−TFT6用のソース電極24x及びドレイン電極24yと、Dr−TFT6用のドレイン電極24yに電気的に接続された画素電極26とが形成されている。そして、各有機活性層36a,36bはゲート絶縁層32及び保護層28に設けられた第1、第2ビアホール32x、32yを介してソース電極24a,24x及びドレイン電極24b、24yにそれぞれ電気的に接続されている。
【0104】
このようにして、第1実施形態と同様に、ソース電極24a、24x、ドレイン電極24b,24y、ゲート電極30a、30b、ゲート絶縁層32、及び有機活性層36a、36bによりそれぞれ構成されるSw−TFT5とDr−TFT6が形成されている。
【0105】
さらに、画素電極26上に開口部27xが設けられた第1有機絶縁層パターン27がSw−TFT5及びDr−TFT6の上方に形成されている。第1有機絶縁層パターン27はテーパー角度が60°以下の順テーパー形状で形成され、かつその表面が撥水化されている。
【0106】
また、第1有機絶縁層パターン27の開口部27x内の画素電極26上には正孔輸送層38及び発光層42が形成されている。第1実施形態の図6と同様に、複数の画素電極26は、赤色(R)画素部、緑色(G)画素部及び青色(B)画素部に画定されており、各色の画素部に対応するように赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層(不図示)が形成されている。そして、正孔輸送層38及び発光層42により有機EL層3aが構成されている。有機EL層3aは、インクジェット法で形成される際の隔壁として機能する第1有機絶縁層パターン27によって画定された状態で3原色の各画素部に精度よく形成されている。
【0107】
また、有機EL層3a上には金属電極46が形成され、画素電極26、有機EL層3a及び金属電極46により有機EL素子2aが構成されている。さらに、有機EL素子2aを被覆する封止層48が形成されている。
【0108】
第3実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1bはこのような構成になっており、第1実施形態と同様に各色の発光層42から外部に所定の色の光が放出されてカラー画像が得られる(図14の矢印の方向)。
【0109】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、有機活性層36a,36b及び有機EL層3aに悪影響を及ぼすフォトリソグラフィによるパターニング工程(ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y、画素電極26、ゲート電極30a,30b、及びビアホール32x,32yを形成する工程)は、有機活性層36a,36b及び有機EL層3aを形成する前にガラス基板20上で行われる。さらに、ガラス基板20上でソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24yに接続される有機活性層36a,36bがインクジェット法で形成された後に、それを被覆するバリア絶縁層37が形成されて転写層が得られる。その後に、その転写層が上下反転じた状態でプラスチックフィルム40上に転写された後に、有機EL層3aが画素電極26上にインクジェット法によって形成される。従って、第1実施形態と同様に有機活性層36a,36b及び有機EL層3aがフォトリソグラフィ工程の各種処理によって劣化するおそれがなくなる。
【0110】
このように、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、プラスチックフィルムを基板として使用する有機TFTを備えたフレキシブル有機ELディスプレイを高歩留りで安定して製造することができるようになる。
【0111】
(第4の実施の形態)
図15〜図17は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図、図18は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイを示す断面図である。
【0112】
第4実施形態が第1実施形態と異なる点はTFTの構造が異なることである。図15〜図18において第1実施形態と同一要素には同一符号を付してその材料や形成方法の詳しい説明を省略する。
【0113】
本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法は、図15(a)に示すように、まず、第1実施形態と同様な方法により、ガラス基板20の上に剥離層22を形成した後に、Sw−TFT用のゲート電極30a及びDr−TFT用のゲート電極30bを形成する。その後に、図15(b)に示すように、ゲート電極30a,30bの上面及び側面を被覆するゲート絶縁層32を形成する。
【0114】
続いて、図15(c)に示すように、Sw−TFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bと、Dr−TFT用のソース電極24x及びドレイン電極24yとを各ゲート絶縁層32上の両端部から側面に延在させてそれぞれ形成する。さらに、Dr−TFT用のドレイン電極24yに電気的に接続される画素電極26を剥離層22の上に形成する。
【0115】
次いで、図15(d)に示すように、Sw−TFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bに電気的に接続されるSw−TFT用の有機活性層36aをソース電極24a及びドレイン電極24bの上に形成する。このとき同時に、Dr−TFT用のソース電極24x及びドレイン電極24yに電気的に接続されるDr−TFT用の有機活性層36bがソース電極24x及びドレイン電極24yの上に形成される。第1実施形態と同様に、有機活性層36a,36bはマスク蒸着によって形成されるので、有機活性層36a,36bがフォトリソグラフィ工程でのウェット処理やプラズマなどによってその性能が劣化するおそれがない。
【0116】
このようにして、ゲート電極30a、ゲート絶縁層32、ソース電極24a、ドレイン電極24b、及びソース電極24aとドレイン電極24bに接続された有機活性層36aにより構成されるSw−TFT5が得られる。また、ゲート電極30b、ゲート絶縁層32、ソース電極24x、ドレイン電極24y、及びソース電極24xとドレイン電極24yに接続される有機活性層36bにより構成されるDr−TFT6が得られる。
【0117】
次いで、図16(a)及び(b)に示すように、Sw−TFT5及びDr−TFT6の上に保護層28を形成してそれらの段差を埋め込んで平坦化した後に、保護層28の上にバリア絶縁層37を形成する。
【0118】
その後に、図16(c)に示すように、図16(b)のバリア絶縁層37の上面に接着層34によってプラスチックフィルム40を接着する。続いて、同じく図16(c)に示すように、プラスチックフィルム40の一端にロール29を固定し、このロール29を回転させながらガラス基板20を剥離する。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図16(c)のA部)に沿って剥離され、ガラス基板20が廃棄される。
【0119】
これにより、図17(a)に示すように、プラスチックフィルム40の上に、下から順に、接着層34、バリア絶縁層37、保護層28、有機活性層36a,36b、ソース電極24a,24xとドレイン電極24b,24y、ゲート絶縁層32、ゲート電極30a,30b、Dr−TFT6のドレイン電極24yに接続された画素電極26、及び剥離層22が上下反転した状態で転写・形成される。
【0120】
その後に、図17(b)に示すように、剥離層22が除去されて、ゲート電極30a、30b及び画素電極26の上面が露出する。
【0121】
第4実施形態においても、ガラス基板20上に有機活性層36a,36bが上側になる構造で各TFT5,6を形成した後に、プラスチックフィルム40上に上下反転した状態で転写・形成する手法を採用している。従って、有機活性層36a,36bは、プラスチックフィルム40の上側に露出することなく、下側に埋め込まれた状態となるので、その後の各種の処理工程で有機活性層36a,36bにダメージを与えるおそれがなくなる。
【0122】
続いて、図17(c)に示すように、マスク蒸着によって画素電極26上に正孔輸送層38、発光層42、電子輸送層44及び金属電極46を順次形成する。これにより、正孔輸送層38、発光層42及び電子輸送層44により構成される有機EL層3が得られると共に、画素電極26、有機EL層3及び金属電極46により構成される有機EL素子2が得られる。
【0123】
このように、本実施形態では、有機活性層36a,36bや有機EL層3を形成する工程及びそれ以降の工程はフォトリソグラフィを使用しないので、有機活性層36a,36bや有機EL層3がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその性能が劣化するおそれがない。
【0124】
その後に、図18に示すように、有機EL素子2、Sw−TFT5及びDr−TFT6を被覆する封止層48を形成する。以上により、本発明の第4実施形態に係るフレキシブル有機ELディスプレイ1cが完成する。
【0125】
図18に示すように、第4実施形態のフレキシブルディスプレイ1cでは、プラスチックフィルム40の上に接着層34、バリア絶縁層37及び保護層28が順に形成されている。保護層28の中にはSw−TFT5及びDr−TFT6が埋設されて形成されている。Sw−TFT5及びDr−TFT6は、下から順に、有機活性層36a、36b、ソース電極24a、24x及びドレイン電極24b、24y、ゲート絶縁層32、及びゲート電極30a,30bが形成されてそれぞれ構成されている。
【0126】
ソース電極24a、24x及びドレイン電極24b、24yは、有機活性層36a、36bとゲート絶縁層32との両端側の間から上側に延在してそれぞれ形成されている。さらに、Dr−TFT6のドレイン電極24yに電気的に接続された画素電極26が保護層28の中に埋設されている。このようにして、ゲート電極30a、30b及び画素電極26の各上面は保護層28の上面と同一面となっている。
【0127】
そして、第1実施形態と同様に、画素電極26上に有機EL層3が形成され、その上に金属電極46が形成されて有機EL素子2が構成されている。さらに、有機EL素子2は封止層48によって封止されている。
【0128】
第4実施形態においても、第1実施形態のように3原色の発光層を使用してフルカラー化してもよいし、あるいは第2実施形態のように白色発光層を使用し、カラーフィルタを組み合わせてフルカラー化してもよい。
【0129】
また、第3実施形態のように有機活性層や有機EL層をインクジェット法や印刷によって形成してもよい。有機活性層36a、36bをインクジェット法で形成する場合は、第3実施形態のように有機活性層36a、36bを形成する前に、それらを形成する部分に開口部が設けられた有機絶縁層を形成すればよい。また、有機EL層3をインクジェット法で形成する場合は、第3実施形態と同様に、剥離層22を形成した後(ゲート電極30a,30bを形成する前)に、画素電極が形成される領域に開口部を備えたマスク金属層を形成した後に有機絶縁層を形成し、プラスチックフィルム上に転写した後にマスク金属層をマスクにして有機絶縁層をパターニングすればよい。
【0130】
第4実施形態では、第1実施形態とTFT5,6の構造が異なるが第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0131】
(第5の実施の形態)
図19〜図22は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を順に示す断面図、図23は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイ(液晶ディスプレイ)を示す断面図である。第5実施形態では、本発明を液晶ディスプレイに適用する形態を例示する。第5実施形態では、第1実施形態と同一工程についてはその詳しい説明を省略する。また、同一要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0132】
本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法は、図19(a)に示すように、まず、仮基板としてガラス基板20上に剥離層22を形成した後に、スイッチング用のTFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bを剥離層22上に形成する。続いて、ドレイン電極24bに電気的に接続されるITOなどからなる画素電極26を剥離層22上に形成する。
【0133】
次いで、図19(b)に示すように、ソース電極24a及びドレイン電極24b及び画素電極26を被覆する保護層28を形成する。その後に、図19(c)に示すように、ソース電極24a及びドレイン電極24bの端部上に重なるようにそれらの間上の保護層28上に第1実施形態と同様なTFT用のゲート電極30を形成する。続いて、画素電極26に対応する保護層28上にカラーフィルタ層52を形成する。本実施形態ではカラーフィルタ層52でフルカラー化する形態を例示している。図19(c)には1つの画素部のみが示されているが、第1実施形態の図6のような3原色の画素部(R),(G),(B)の各画素電極26上に赤色(R)カラーフィルタ層、緑色(G)カラーフィルタ層、及び青色(B)カラーフィルタ層がそれぞれ形成される。そして、3原色の画素部(サブピクセル)が表示単位であるピクセルを構成する。3原色の各カラーフィルタ層52は、例えば顔料分散タイプの感光性塗布膜がフォトリソグラフィによって順次パターニングされて形成される。
【0134】
続いて、図19(d)に示すように、ゲート電極30及びカラーフィルタ層52を被覆するゲート絶縁層32を形成する。次いで、図20(a)に示すように、ソース電極24a及びドレイン電極24b上の保護層28及びゲート絶縁層32の部分にビアホール32xを形成する。さらに、図20(b)に示すように、第1実施形態と同様に、ビアホール32xを介してソース電極24a及びドレイン電極24bに接続される有機活性層36をマスク蒸着により形成する。第2実施形態のように、開口部が設けられた有機絶縁層パターンを形成し、その開口部内にインクジェット法で有機活性層36を形成してもよい。
これにより、ゲート電極30、ゲート絶縁層28、ソース電極24a、ドレイン電極24b及び有機活性層36により構成されるスイッチング用のTFT7が得られる。その後に、図20(c)に示すように、有機活性層36を被覆するバリア絶縁層37を形成する。
【0135】
次いで、図21(a)に示すように、図20(c)のバリア絶縁層37の上に接着層34を介して第1のプラスチックフィルム40を接着した後に、第1のプラスチックフィルム40の一端に固定されたロール29を回転させながらガラス基板20を剥離する。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図21(a)のA部)に沿って剥離され、ガラス基板20が廃棄される。
【0136】
これにより、図21(b)に示すように、第1のプラスチックフィルム40上に、下から順に、接着層34、バリア絶縁層37、有機活性層36、ゲート絶縁層32、ゲート電極30とカラーフィルタ層52、保護層28、ソース電極24aとドレイン電極24bと画素電極26、及び剥離層22が転写・形成される。
【0137】
次いで、図21(c)に示すように、剥離層22を除去することにより、ソース電極24a、ドレイン電極24b及び画素電極26の上面を露出させる。
【0138】
その後に、図22に示すように、ソース電極24a、ドレイン電極24b及び画素電極26の上に液晶を配向させるための配向膜54aを形成する。これにより、フレキシブル液晶ディスプレイ用のTFT基板8が得られる。
【0139】
図22に示すように、フレキシブル液晶ディスプレイ用のTFT基板8では、基板として第1のプラスチックフィルム40が使用され、その上に、接着層34及びバリア絶縁層37が順に形成されている。バリア絶縁層37の上にはTFT用の有機活性層33及びゲート絶縁層32が順に形成されている。さらに、ゲート絶縁層32の上にはTFT用のゲート電極30とカラーフィルタ層52が形成され、それらの上に保護層28が形成されている。また、保護層20の上には、TFT用のソース電極24a、ドレイン電極24b及びドレイン電極24bに接続された画素電極26が形成され、それらの上に配向膜54aが設けられている。
【0140】
次に、図23に示すように、TFT基板8の対向基板9を用意する。対向基板9は、第2のプラスチックフィルム40aと、その上に形成されたITOなどからなるコモン電極58と、その上に形成された配向膜54bとにより基本構成される。そして、TFT基板8と対向基板9とがスペーサで所定間隔が確保された状態で、周辺部に設けられるシール材(不図示)によって対向して接着され、さらにTFT基板8と対向基板9との隙間に液晶70が封入される。
【0141】
以上により、第5実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイ1dが完成する。
【0142】
なお、前述した第4実施形態の製造方法で得られるTFTを備えたTFT基板を使用してもよい。また、カラーフィルタ層52は、画素電極26を形成した後で有機活性層36を形成する前であれば、どの段階で形成しても差し支えない。従って、ゲート絶縁層32とバリア絶縁層37との間にカラーフィルタ層52を設けるようにしてもよい。あるいは、カラーフィルタ層52が対向基板9に設けられた形態としてもよい。
【0143】
特に図示されていないが、TFT7のソース電極24aにデータバスラインが接続され、TFT7のゲート電極30にゲートバスラインが接続される。そして、ゲートバスライン及びデータバスラインから所定のタイミングでTFT7を介して各画素の画素電極26に階調電圧が順次印加されて画像が表示される。
【0144】
第5実施形態においても、第1実施形態と同様に、有機活性層36を形成した後に、フォトリソグラフィ工程を行う必要がないので、有機活性層36がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその性能が劣化するおそれがなくなる。
【0145】
しかも、有機活性層36の主要部は、ソース電極24a、ドレイン電極24b、保護層28、ゲート電極30及びゲート絶縁層32を介して液晶70から比較的離れたプラスチックフィルム40側に埋設されて設けられるので、液晶70からの影響による特性劣化を防止することができる。さらには、有機活性層36の下(プラスチックフィルム側)にはバリア絶縁層37が形成されているので、外気からの水蒸気やプラスチックフィルム40内の水分が有機活性層36や液晶70に侵入することが防止される。これにより、有機活性層36や液晶70の性能劣化が防止され、有機TFTを備えたフレキシブル液晶ディスプレイの信頼性を向上させることができる。
【0146】
このように、第5実施形態では、プラスチックフィルム上に有機TFTが形成された素子基板を使用するアクティブマトリクスタイプのフレキシブル液晶ディスプレイを高歩留りで安定して製造することができるようになる。
【0147】
なお、本発明は、フレキシブルタイプの有機ELディスプレイ及び液晶ディスプレイの他に、フレキシブルタイプの電気泳動型のディスプレイにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】図1(a)〜(d)は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4(a)〜(d)は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その4)である。
【図5】図5は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その5)である。
【図6】図6は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの一つの画素部の等価回路を示す図である。
【図8】図8は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの一つの画素部を平面方向からみた平面図である。
【図9】図9は本発明の第2実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。
【図10】図10(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図11】図11(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図12】図12(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図13】図13(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その4)である。
【図14】図14は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。
【図15】図15(a)〜(d)は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図16】図16(a)〜(c)は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図17】図17(a)〜(c)は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図18】図18は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイを示す断面図である。
【図19】図19(a)〜(d)は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図20】図20(a)〜(c)は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図21】図21(a)〜(c)は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図22】図22は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図で(その4)ある。
【図23】図23は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイ(液晶ディスプレイ)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0149】
1a,1b,1c…フレキシブル有機ELディスプレイ、1d…フレキシブル液晶ディスプレイ、2,2a…有機EL素子、3,3a…有機EL層、5…Sw−TFT、6…Dr−TFT、7…TFT、8…TFT基板、9…対向基板、20…ガラス基板、22…剥離層、24a,24x…ソース電極、24b,24y…ドレイン電極、25…マスク金属層、25x,27x,39x…開口部、26…画素電極、27a…第1有機絶縁層、27…第1有機絶縁層パターン、32…ゲート絶縁層、29…ロール、30a,30b…ゲート電極、31…ノズル、32…保護層、33,35…塗布液、34…接着層、36a,36b…有機活性層、37…バリア絶縁層、38…正孔輸送層、39…第2有機絶縁層パターン、40,40a…プラスチックフィルム、42…発光層、42R…赤色発光層、42G…緑色発光層、42B…青色発光層、44…電子輸送層、46…金属電極、48…封止層、52,52R,52G,52B…カラーフィルタ層、54a,54b…配向膜、58…コモン電極、70…液晶。
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブルディスプレイ及びその製造方法に係り、さらに詳しくは、基板としてプラスチックフィルムを使用した有機ELディスプレイや液晶ディスプレイなどに適用できるフレキシブルディスプレイ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
有機EL(Electroluminescence)ディスプレイや液晶ディスプレイなどの表示装置は、情報機器などへ急速にその用途を拡大している。近年、プラスチックフィルムを基板として使用するフレキシブルディスプレイが注目されている。そのようなフレキシブルディスプレイは、丸めて収納できて持ち運びに便利な超薄型・軽量のモバイル用ばかりではなく、大型ディスプレイ用としても利用できる。
【0003】
しかし、プラスチックフィルムは、剛性が弱く、また熱変形温度が低いため、熱処理を伴う製造工程において反りや膨張収縮のような熱変形が生じ易い。このため、プラスチックフィルム上に直接各種素子を形成する製造方法では、熱処理を伴う製造工程などの条件が制限され、また高精度の位置合わせが困難になるので、所望の特性を有する素子基板を製造できなくなる場合がある。
【0004】
このような問題を回避するために、耐熱性で剛性のガラス基板の上に製造条件が制限されないで透明電極やカラーフィルタ層などを高精度で位置合わせして形成して転写層とした後、この転写層をプラスチックフィルム上に転写・形成することにより、液晶表示装置用素子基板を製造する方法がある(特許文献1)。
【0005】
また、表示特性の優れたディスプレイとするには、画素ごとに駆動用トランジスタを組み込んだアクティブ駆動が必要となる。フレキシブルディプレイには曲げに追随できる柔軟なTFT素子が必要であり、従来の駆動用トランジスタとしての低温ポリシリコンTFTやアモルファスシリコンTFTでは十分な信頼性が得られないおそれがある。このため、フレキシブルディスプレイの駆動用トランジスタとして、曲げに追随できる柔軟な有機半導体層を活性層として用いる有機TFTが注目されている。
【0006】
特許文献2には、基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体層、及びソース・ドレイン電極を順次形成し、ドレイン電極に接続された陽極上に有機EL素子を形成することにより、有機ELディスプレイを製造する方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献3には、耐熱基材上に分離層を形成し、その上にゲート電極、ゲート絶縁膜、有機半導体層及びソース・ドレインから構成される有機TFTを形成した後に、有機TFTを耐熱基材から表面基材(プラスチック基板)に転写する方法が記載されている。
【特許文献1】特開2003−131199号公報
【特許文献2】特開2003−255857号公報
【特許文献3】特開2003−318195号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、有機半導体層及び有機EL層は、有機溶剤、水、プラズマ、電子線又は熱処理などの処理を伴うフォトリソグラフィ及びエッチング工程でその性能が劣化したり、ひいてはほとんど機能しなくなったりする問題がある。
【0009】
上記した特許文献2及び3では、有機半導体層を形成した後に、ソース・ドレインなどをパターニングする必要があるので、フォトリソグラフィ工程での有機半導体層の性能劣化が問題になるおそれがある。
【0010】
このように、プラスチックフィルムを基板として使用する、有機TFTを備えたフレキシブルディスプレイの製造方法は十分に確立されておらず、プラスチックフィルム上に所望の有機TFTや有機EL素子を高歩留りで安定して形成する方法が切望されている。
【0011】
本発明は上記した問題点を鑑みて創作されたものであり、何ら不具合が発生することなく高歩留りで製造される、プラスチックフィルムを基板として使用する、有機TFTを備えたフレキシブルディスプレイ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記した課題を解決するため、本発明はフレキシブルディスプレイに係り、各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイであって、プラスチックフィルムと、前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記接着層の上に形成されたバリア絶縁層と、前記バリア絶縁層の上又は上方に形成され、下から順に、有機活性層、ゲート絶縁層及びゲート電極が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記バリア絶縁層の上方に形成され、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続された画素電極と、前記各画素の前記画素電極上にそれぞれ形成された発光層を含む有機EL層と、前記有機EL層上に形成された金属電極と、前記金属電極を被覆する封止層とを有することを特徴とする。
【0013】
本発明のフレキシブルディスプレイは転写技術によって製造されるものであり、まず、耐熱性で剛性を有する仮基板(ガラス基板など)の上に、剥離層、有機活性層が最上になるように構成されたTFTとそのドレイン電極に接続された画素電極、及びバリア絶縁層より構成される転写層が製造条件が制限されることなく所望の膜特性をもって形成される。次いで、その転写層が接着層を介してプラスチックフィルム上に上下反転した状態で転写・形成される。続いて、剥離層が除去された後に、発光層を含む有機EL層が各画素の画素電極上にそれぞれ形成される。さらに、有機EL層上に金属電極が形成された後に、それらが封止層によって被覆される。
【0014】
上記した発明において、発光層は、赤色(R)発光層、緑色(G)発光層及び青色(B)発光層から構成されるようにしてもよいし、発光層として白色発光層を使用し、カラーフィルタ層を形成してもよい。あるいは、色の彩度を向上させる場合は、発光層を3原色の発光層から構成し、さらにカラーフィルタ層を形成することにより、カラーフィルタ層と3原色のEL発光とを組み合わせてフルカラー化するようにしてもよい。
【0015】
本発明と違って、プラスチックフィルム上に有機活性層を備えたTFT、画素電極及び有機EL層などが直接形成される構造では、有機活性層が形成された後にフォトリソリソグラフィ工程が必要となって有機活性層の性能が劣化するばかりではなく、低抵抗の画素電極(ITO)を形成する場合は高温での熱処理が伴うのでプラスチックフィルムが熱変形する問題がある。
【0016】
しかしながら、本発明では、有機活性層や有機EL層に悪影響を及ぼすフォトリソグラフィによるパターニング工程(TFTのゲート電極、ソース電極及びドレイン電極、画素電極を形成する工程)は、有機活性層や有機EL層を形成する前に仮基板上で行われる。さらに、仮基板上でソース電極及びドレイン電極に接続される有機活性層がマスク蒸着などで形成された後にバリア絶縁層が形成されて転写層が得られる。その後に、その転写層がプラスチックフィルム上に上下反転した状態で転写された後に、最上に露出する画素電極上に有機EL層がマスク蒸着などで形成される。このような製造方法を採用することにより、有機活性層や有機EL層がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその特性が劣化するおそれがなくなる。
【0017】
このように、本発明のフレキシブルディスプレイでは、何ら不具合が発生することなくTFT用の有機活性層及び有機EL層がプラスチックフィルム上に高歩留りで形成され、製造コストの低減や信頼性の向上を図ることができる。
【0018】
本発明のフレキシブルディスプレイは、有機EL層などを省略することにより、アクティブマトリクス型の液晶ディスプレイにも適用することができる。
【0019】
また、上記した課題を解決するため、本発明はフレキシブルディスプレイの製造方法に係り、各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイの製造方法であって、仮基板の上に剥離層を形成する工程と、前記剥離層の上に、下から順に、ゲート電極、ゲート絶縁層及び有機活性層が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続される画素電極とを形成する工程と、前記TFTの上又は上方に、バリア絶縁層を形成する工程と、前記バリア絶縁層の上に、接着層を介して、プラスチックフィルムを接着する工程と、前記仮基板を前記剥離層との界面から剥離することにより、前記プラスチックフィルム上に、前記接着層を介して、前記TFT、前記画素電極及び前記剥離層を上下反転させた状態で転写・形成する工程と、前記剥離層を除去して、前記TFT及び前記画素電極の一部を露出させる工程と、前記各画素の前記画素電極の上に発光層を含む有機EL層をそれぞれ形成する工程と、前記有機EL層上に金属電極を形成する工程と、前記金属電極を被覆する封止層を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0020】
本発明の製造方法を使用することにより、上記した構成のフレキシブルディスプレイを容易に製造することができる。
【0021】
上記した発明において、TFT用の有機活性層及び有機EL層は、マスク蒸着、インクジェット法又は印刷によって形成される。インクジェット法又は印刷を採用する場合は、有機活性層及び有機EL層が形成される前に、それらが形成される部分に開口部が設けられた有機絶縁層パターンが形成されるようにし、有機絶縁層パターンが隔壁となった状態でそれら開口部に有機活性層及び有機EL層がそれぞれ位置合わせされて形成される。
【発明の効果】
【0022】
以上のように、本発明では、基板としてプラスチックフィルムを使用する、有機TFTを備えたアクティブマトリクス型の有機ELディスプレイや液晶ディスプレイが何ら不具合が発生することなく高歩留りで製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
図1〜図5は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図、図6は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。第1実施形態では、本発明を有機ELディスプレイに適用する形態を例示して説明する。本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法は、図1(a)に示すように、まず、仮基板としてガラス基板20を用意し、そのガラス基板20上にポリイミド樹脂などからなる剥離層22を形成する。
【0025】
その後に、図1(b)に示すように、剥離層22上に膜厚が例えば100nmの金(Au)などよりなる導電層を形成し、フォトリソグラフィ及びエッチングにより導電層をパターニングする。これにより、スイッチング用TFT(Thin Film Transistor)(以下、Sw−TFTと記す)のソース電極24a及びドレイン電極24bと、駆動用TFT(以下、Dr−TFTと記す)のソース電極24x及びドレイン電極24yとが形成される。
【0026】
続いて、剥離層22、ソース電極24a,24x、及びドレイン電極24b,24yの上に、膜厚が例えば150nmのITO(Indium Tin Oxide)層などの透明導電層をスパッタ法により成膜した後に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより透明導電層をパターニングする。これにより、図1(c)に示すように、Dr−TFT用のドレイン電極24yに電気的に接続される画素電極26が剥離層22上に形成される。なお、画素電極26がDr−TFT用のドレイン電極24yの端部上に重なって形成されるようにしてもよい。本実施形態では、画素電極26となるITO層を耐熱性のガラス基板20上に形成することから、成膜温度が200℃程度のスパッタ法などを採用することができる。これにより、画素電極26(ITO)は低抵抗(比抵抗値:3×10−4Ω・cm以下)な電気特性をもって形成される。
【0027】
次いで、図1(d)に示すように、ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y及び画素電極26を被覆するアクリル樹脂などからなる保護層28を形成する。
【0028】
次いで、図2(a)に示すように、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、クロム(Cr)、IZO又はITOなどよりなる導電層を蒸着やスパッタ法などにより保護層28上に成膜した後に、フォトリソグラフィ及びエッチングにより導電層をパターニングする。これにより、Sw−TFT用のゲート電極30aがSw−TFTの用ソース電極24aとドレイン電極24bとの端部上にそれぞれ重なるようにそれらの間上の保護層28上に形成される。また同時に、Dr−TFT用のゲート電極30bがDr−TFT用のソース電極24xとドレイン電極24yとの端部上にそれぞれ重なるようにそれらの間上の保護層28上に形成される。
【0029】
以上により、ガラス基板20上に、ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y、画素電極26、及びゲート電極30a,30bがフォトリソグラフィによって所望のパターンに高精度に微細化されて形成される。
【0030】
続いて、図2(b)に示すように、各ゲート電極30a,30bを被覆するゲート絶縁層32を形成する。ゲート絶縁層32としては、膜厚が例えば200nmのシリコン酸化層(SiOX層)又はタンタル酸化層(Ta2O5層)などが使用され、これらの絶縁層がCVD又はスパッタ法などによって形成される。
【0031】
次いで、図2(c)に示すように、フォトリソグラフィ及びエッチングでゲート絶縁層32及び保護層28を加工することにより、Sw−TFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bにそれぞれ到達する深さの第1ビアホール32xと、Dr−TFT用のソース電極24x及びドレイン電極24yにそれぞれ到達する深さの第2ビアホール32yを形成する。
【0032】
続いて、図3(a)に示すように、第1ビアホール32xを介してSw−TFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bに電気的に接続されるSw−TFT用の有機活性層36aをゲート絶縁層32上に形成する。このとき同時に、第2ビアホール32yを介してDr−TFT用のソース電極24x及びドレイン電極24yに電気的に接続されるDr−TFT用の有機活性層36bがゲート絶縁層32上に形成される。
【0033】
各有機活性層36a,36bの材料としては、ペンタセン、セキシチオフェン、又はポリチオフェンなどの有機半導体が使用される。有機活性層36a,36bは、マスク蒸着により第1、第2ビアホール32x、32y内に充填された状態でゲート絶縁層32上に形成され、その膜厚は例えば50nm程度である。マスク蒸着は、真空蒸着装置の中でシャドーマスクを高精度で移動させることによって成膜と同時にパターンを形成する方法であり、フォトリソグラフィを使用することなく、パターン化された有機活性層36a,36bを形成することができる。このため、有機活性層36a,36bは、フォトリソグラフィ工程でのウェット処理やプラズマなどによってその性能が劣化するおそれがない。
【0034】
なお、第1,第2ビアホール32x,32yを導電性ペーストなどの導電材で埋め込んだ後に、有機活性層36a、36bを形成してもよく、第1、第2ビアホール32x,32yを介して有機活性層36a,36bとソース電極24a、24x及びドレイン電極24b,24yとが電気的に接続されるようにすればよい。
【0035】
このようにして、ゲート電極30a、ゲート絶縁層32、ソース電極24a、ドレイン電極24b、及びソース電極24aとドレイン電極24bに接続された有機活性層36aにより構成されるSw−TFT5が得られる。また、ゲート電極30b、ゲート絶縁層32、ソース電極24x、ドレイン電極24y、及びソース電極24xとドレイン電極24yに接続される有機活性層36bにより構成されるDr−TFT6が得られる。
【0036】
次いで、図3(b)に示すように、有機活性層36a,36bを被覆するバリア絶縁層37を形成する。バリア絶縁層37としては、水蒸気の侵入をブロックできるシリコン酸化層(SiOX)、シリコン窒化層(SiNX)又はシリコン酸化窒化層(SiON)などの無機絶縁層が好適に使用され、CVD法やスパッタ法によって形成される。なお、SiOX層、SiNX層及びSiON層から2つ以上選択して積層してもよい。
【0037】
その後に、図3(c)に示すように、図3(b)のバリア絶縁層37の上面に接着層34を介してプラスチックフィルム40を対向させて配置する。さらに、熱処理することにより接着層34を硬化させて、図3(b)の構造体の上にプラスチックフィルム40を接着する。プラスチックフィルム40としては、膜厚が100〜200μmのポリエーテルスルホンフィルムやポリカーボネートフィルムなどが好適に使用される。
【0038】
続いて、同じく図3(c)に示すように、プラスチックフィルム40の一端にロール29を固定し、このロール29を回転させながらガラス基板20を剥離する。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図3(c)のA部)に沿って剥離され、ガラス基板20が廃棄される。
【0039】
これにより、図4(a)に示すように、プラスチックフィルム40の上に、下から順に、接着層34、バリア絶縁層37、有機活性層36a,36b、ゲート絶縁層32、ゲート電極30a,30b、保護層28、ソース電極24a,24xとドレイン電極24b,24yと画素電極26、及び剥離層22が転写・形成される。
【0040】
その後に、図4(b)に示すように、酸素ガスのプラズマなどで剥離層22を除去する。これにより、ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y及び画素電極26の上面が露出する。
【0041】
このように、本実施形態では、ガラス基板20上に有機活性層36a,36bが上側になる構造で各TFT5,6を形成した後に、プラスチックフィルム40上に上下反転した状態で転写・形成する手法を採用している。従って、有機活性層36a,36bは、プラスチックフィルム40の上側に露出することなく、下側に埋め込まれた状態となるので、その後の各種の処理工程で有機活性層36a,36bにダメージを与えるおそれがなくなる。
【0042】
続いて、図4(c)に示すように、マスク蒸着によって画素電極26上に膜厚が例えば30nmの正孔輸送層38を選択的に形成する。正孔輸送層38としては、芳香族3級アミン誘導体であるα-NPDなどが好適に使用される。さらに、同じく図4(c)に示すように、正孔輸送層38上にマスク蒸着によって膜厚が例えば70nmの低分子系の発光層42を選択的に形成する。本実施形態では、3原色の発光層を形成してフルカラー化する形態を例示するので、後に図6で説明するように、3原色(赤色(R)、緑色(G)、青色(B))の各画素部の正孔輸送層34上に赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層がそれぞれ形成される。そして、3原色の画素部(サブピクセル)が表示単位であるピクセルを構成する。
【0043】
低分子系の発光層42としては、ホスト材料にドーピング材料が混合されたものが使用され、そのドーピング材料(分子)が発光する。ホスト材料では、例えばAlq3やジスチリルアリーレン誘導体(DPVBi)があり、ドーピング材料では、例えば緑色発光のクマリン6や赤色発光のDCJTBなどがある。
【0044】
続いて、同じく図4(c)に示すように、マスク蒸着によって発光層42上に電子輸送層44を形成する。電子輸送層44としては、キノリノールアルミ錯体(Alq3)などが好適に使用される。
【0045】
これにより、正孔輸送層38、発光層42及び電子輸送層44により構成される有機EL層3が得られる。
【0046】
なお、正孔輸送層38及び電子輸送層44のうちのいずれか一方のみが形成された形態としてもよいし、正孔輸送層38及び電子輸送層44の両者を省略した形態としてもよい。
【0047】
さらに、図4(d)に示すように、電子輸送層44上にマスク蒸着によって金属電極46を選択的に形成する。金属電極46としては、フッ化リチウム/アルミニウム(LiF/Al)積層膜などが好適に使用され、LiF層の膜厚は0.2〜1nm、Al層の膜厚は100〜200nmに設定される。
【0048】
これにより、画素電極26、有機EL層3及び金属電極46により構成される有機EL素子2が得られる。
【0049】
このように、本実施形態では、有機活性層36a,36bや有機EL層3を形成する工程及びそれ以降の工程はフォトリソグラフィを使用しないので、有機活性層36a,36bや有機EL層3がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその性能が劣化するおそれがない。
【0050】
その後に、図5に示すように、有機EL素子2、Sw−TFT5及びDr−TFT6を被覆する封止層48を形成する。封止層48としては、シリコン酸化層(SiOX)やシリコン窒化層(SiNX)などが使用され、例えば成膜温度が100℃程度の低温CVDにより形成される。あるいは、防湿層が形成された樹脂フィルムを貼着して封止層48としてもよい。
【0051】
以上により、本発明の第1実施形態に係るフレキシブル有機ELディスプレイ1が完成する。
【0052】
以上説明したように、本実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法では、有機活性層36a,36bや有機EL層3に悪影響を及ぼすフォトリソグラフィによるパターニング工程(ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y、画素電極26、ゲート電極30a,30b、ビアホール32x,32yを形成する工程)は、有機活性層36a,36b及び有機EL層3を形成する前にガラス基板20上で行われる。さらに、ガラス基板20上でソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24yに接続される有機活性層36a,36bとそれを被覆するバリア絶縁層37が形成されて転写層が得られる。その後に、その転写層がプラスチックフィルム40上に上下反転した状態で転写された後に、有機EL素子2がマスク蒸着によって画素電極26上に形成される。
【0053】
このような製造方法を採用することにより、有機活性層36a,36bや有機EL層3がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその特性が劣化するおそれがなくなる。しかも、転写層をプラスチックフィルム40に転写した後(図4(b)の状態)では、最上にはソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y及び画素電極26が露出し、有機活性層36a,36bは下方に埋め込まれた状態となっているので、転写後であって有機EL素子2を形成する前(図4(b)と図4(c)の間の工程)にフォトリソグラフィ工程を遂行しても有機活性層36a,36bにダメージを与えるおそれはない。
【0054】
従って、Sw−TFT5及びDr−TFT6を被覆し、かつ画素電極26上に開口部を有する絶縁層をフォトリソグラフィによってパターニングすることができる。これにより、有機EL素子2の金属電極46をプラスチックフィルム40上の全面に形成する場合であっても何ら不具合が生じることはなく、有機ELディスプレイの設計の自由度を広くすることができる。
【0055】
このように、本実施形態では、プラスチックフィルムを基板として使用する、有機TFTを備えた有機ELディスプレイを高歩留りで安定して製造することができるようになる。さらには、有機活性層36a,36bの下に水蒸気をブロックできるバリア絶縁層37が形成されるので、外気からの水蒸気やプラスチックフィルム40内の水分が有機活性層36に侵入ことが防止され、信頼性の高い有機ELディスプレイとすることができる。
【0056】
図6には、第1実施形態のフレキシブルディスプレイの3原色の画素部(赤色画素部(R)、緑色画素部(G)、及び青色画素部(B))が描かれている。図6に示すように、第1実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1では、基板としてプラスチックフィルム40が使用され、その上に接着層34を介してバリア絶縁層37が形成されている。3原色の各画素部(R),(G),(B)のバリア絶縁層37上にはSw−TFT5の有機活性層36aとDr−TFT6の有機活性層36bとがそれぞれ形成されている。また、3原色の各画素部(R),(G),(B)の各有機活性層36a,36b上にはゲート絶縁層32及びゲート電極30a,30bが形成されている。さらに、各ゲート電極30a,30b上に保護層28が形成されている。
【0057】
また、3原色の各画素部(R),(G),(B)の保護層28上には、Sw−TFT5用のソース電極24a及びドレイン電極24bと、Dr−TFT6用のソース電極24x及びドレイン電極24yと、Dr−TFT6用のドレイン電極24yに電気的に接続された画素電極26とがそれぞれ設けられている。
【0058】
そして、3原色の各画素部(R),(G),(B)の各Sw−TFT5の有機活性層36aは、ゲート絶縁層32及び保護層28に設けられた第1ビアホール32xを介してSw−TFT5用のソース電極24a及びドレイン電極に24bに電気的にそれぞれ接続されている。また同様に、各Dr−TFT6の有機活性層36bは、ゲート絶縁層32及び保護層28に設けられた第2ビアホール32yを介してDr−TFT6のソース電極24x及びドレイン電極24yに電気的にそれぞれ接続されている。
【0059】
このようにして、3原色の各画素部(R),(G),(B)に、ソース電極24a、24x、ドレイン電極24b,24y、ゲート電極30a、30b、ゲート絶縁層32、及び有機活性層36a、36bにより構成されるSw−TFT5とDr−TFT6がそれぞれ配置されている。
【0060】
また、3原色の各画素部(R),(G),(B)の各画素電極26上には正孔輸送層38、発光層42R,42G,42B及び電子輸送層44から構成される有機EL層3がそれぞれ形成されている。3原色の各画素部(R),(G),(B)に赤色発光層42R、緑色発光層42G及び青色発光層42Bがそれぞれ対応して設けられている。
【0061】
さらに、3原色の各画素部(R),(G),(B)の各有機EL層3上には金属電極46がそれぞれ形成され、各画素部(R),(G),(B)に、画素電極26、有機EL層3及び金属電極46により構成される有機EL素子2がそれぞれ設けられている。有機EL素子2、Dr−TFT6及びSw−TFT5の上には、それらを被覆する封止層48が形成されている。
【0062】
図7は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの一つの画素部の等価回路を示す図、図8は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの一つの画素部を平面方向からみた平面図である。
【0063】
図7及び図8に示すように、第1実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1では、有機EL素子2の金属電極46(陰極)がグランド(GND)66に接続され、有機EL素子2の画素電極26(陽極)がDr−TFT6のドレイン電極24yに接続されている。Dr−TFT6のソース電極24xは電源(Vdd)線60に接続されている。また、Dr−TFT6のゲート電極30bと電源(Vdd)線60との間には保持容量Csが形成されている。また、Dr−TFT6のゲート電極30bにSw−TFT5のドレイン電極24bが接続され、Sw−TFT5のソース電極24aがデータ線62に接続されている。さらに、Sw−TFT5のゲート電極30aが走査線64に接続されている。
【0064】
図7の等価回路では以下のように動作する。まず、走査線64の電位を選択状態とし、走査線64に書き込み電位を印加すると、Sw−TFT5が導通して保持容量Csが充電又は放電され、Dr−TFT6のゲート電位は書き込み電位となる。次に、走査線64の電位を非選択状態とすると、走査線64とDr−TFT6とは電気的に切り離されるが、Dr−TFT6のゲート電位は保持容量Csによって安定に保持される。
【0065】
そして、Dr−TFT6及び有機EL素子2に流れる電流は、Dr−TFT6のゲート・ソース間電圧に応じた値となり、有機EL素子2はその電流値に応じた輝度で発光し続ける。
【0066】
このような構成の画素をマトリクス状に複数並べ、走査線64を順次選択しながら、データ線62を通して書き込みを繰り返すことにより、アクティブマトリクス型の有機ELディスプレイを構成することができる。このようにして、各画素部(R),(G),(B)の各発光層42R,42G,42Bから外部に所定の色の光がそれぞれ放出されてカラー画像が得られる(図6の矢印の方向)。
【0067】
なお、有機TFTの抱える課題として、有機TFTの特性のばらつきがある。特に、Dr−TFT6の閾値電圧(Vth)のばらつきがあると、ディスプレイの画面内で照度のばらつきが生じてしまう。そこで、図7の等価回路に補償回路を設けることによりDr−TFT6の閾値電圧(Vth)のばらつきを補償する対策がとられている。そのような補償回路としては、2個のトランジスタを追加した電流プログラム方式と電圧プログラム方式がある(参考資料:2003FPDデクノロジー大全、電子ジャーナル出版(2003))。
【0068】
低温ポリシリコンTFTやアモルファスシリコンTFTを使用した回路に補償回路を追加する手法が開発されているが、本実施形態のような有機TFTを使用した回路に補償回路を追加しても同様な効果が得られる。
【0069】
なお、前述した第1実施形態において、次に説明する第2実施形態のように、保護層28とゲート絶縁層32との間、又はゲート絶縁層32とバリア絶縁層37との間にカラーフィルタ層が設けられた形態としてもよい。この形態の場合、カラーフィルタ層と赤色(R)、緑色(G)、青色(B)のEL発光との組み合わせによってフルカラー化されるので、色の彩度を向上させることができる。
【0070】
(第2の実施の形態)
図9は本発明の第2実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。第2実施形態は、有機EL層の発光層として白色発光層を使用し、カラーフィルタを組み合わせてフルカラー化する形態である。図9において、第1実施形態の図6と同一要素については同一符号を付してその説明を省略する。
【0071】
図9に示すように、第2実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1aは、第1実施形態の図6において赤色発光層42R、緑色発光層42G及び青色発光層42Bを全て白色発光層42に置き換えた形態である。そして、3原色の各画素部(R),(G),(B)の保護層28とゲート絶縁層32との間にカラーフィルタ層52R,52G,52Bがそれぞれ形成されている。赤色画素部(R)に赤色カラーフィルタ層52Rが配置され、緑色画素部(G)に緑色カラーフィルタ層52Gが配置され、青色画素部(B)に青色カラーフィルタ層52Bが配置されてカラーフィルタが構成されている。第2実施形態では、各画素部(R),(G),(B)の白色発光層42から白色光がそれぞれ放出されて3原色のカラーフィルタ層52R,52G,52Bを通ってカラー画像が得られる(図9の矢印の方向)。
【0072】
第2実施形態のフレキシブルディスプレイを製造するには、第1実施形態の図1(d)の工程の後に、3原色の画素部(R),(G),(B)に対応する各画素電極26上の保護層28上に赤色カラーフィルタ層52R、緑色カラーフィルタ層52G、及び青色カラーフィルタ層52Bを順次形成すればよい。各カラーフィルタ層52R,52G,52Bは、例えば顔料分散タイプの感光性塗布膜がフォトリソグラフィによりパターニングされて形成される。なお、カラーフィルタ層52R,52G,52Bは、有機活性層36a,36bを形成する前であればどの段階で形成しても差し支えない。従って、ゲート絶縁層32とバリア絶縁層37との間に形成するようにしてよい。
【0073】
第2実施形態のフレキスブル有機ELディスプレイ1aは第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0074】
(第3の実施の形態)
図10〜図13は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を順に示す断面図、図14は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイを示す断面図である。第1実施形態では、有機活性層及び有機EL層をマスク蒸着によって形成したが、第3実施形態では、有機活性層及び有機EL層をインクジェット法や印刷によって形成する。第3実施形態では、第1実施形態と同一工程についてはその詳しい説明を省略する。
【0075】
まず、図10(a)に示すように、ガラス基板20上に剥離層22を形成した後に、所要部に開口部25xが設けられたマスク金属層25を剥離層22上にパターニングする。マスク金属層25の材料としては、アルミニウム(Al)又は銀(Ag)などが使用される。マスク金属層25の開口部25xは、後に形成されるTFT用の画素電極(発光層)が形成される領域に対応する部分に形成される。
【0076】
次いで、図10(b)に示すように、剥離層22及びマスク金属層25上にスピンコート法や印刷などによりポリイミド樹脂などの塗布膜を形成した後に、200〜300℃の温度で熱処理して塗布膜を硬化させることにより、膜厚が例えば2〜5μmの第1有機絶縁層27aを得る。第1有機絶縁層27aとしては、ポリイミド樹脂の他にPMMA(ポリメチルメタクリレート)樹脂やアクリル樹脂などの酸素ガスを主とするガスのプラズマでエッチング可能な材料が使用される。本実施形態では、熱処理を伴う第1有機絶縁層27aの形成をガラス基板20上で行うので、最終的に基板となるプラスチックフィルムに熱変形が生じることはない。
【0077】
続いて、図10(c)に示すように、第1実施形態の図1(b)〜図2(c)の工程を遂行することにより、有機絶縁層27aの上に、第1実施形態と同様に、ソース電極24a、24xとドレイン電極24b,24yとそれに接続された画素電極26、保護層28、ゲート電極30a、30b、ゲート絶縁層32を順次形成した後に、ソース電極24a、24x及びドレイン電極24b,24yに到達する深さの第1、第2ビアホール32x、32yを形成する。
【0078】
次いで、図11(a)に示すように、有機活性層を形成する部分に開口部39xが設けられた第2有機絶縁層パターン39をゲート絶縁層32上に形成する。開口部39xが設けられた第2有機絶縁層パターン39は、感光性ポリイミドをパターニングして形成してもよいし、あるいは後述する第1有機樹脂層パターン27の形成工程で説明するようにマスク金属層を使用して各種の樹脂(ポリイミド樹脂、PMMA樹脂又はアクリル樹脂)をパターニングして形成してもよい。
【0079】
その後に、図11(a)の構造体の上面をCF4などのフッ素原子を含むガスのプラズマで処理することにより、第2有機絶縁層パターン39の表面を撥水性にし、ビアホール32x、32y内に露出するソース電極24a、24x及びドレイン電極24b,24yの露出部を親水性にする。
【0080】
次いで、図11(b)に示すように、インクジェット装置(不図示)のノズル31からTFTの有機活性層を形成するための塗布液35を、第2有機絶縁層パターン39の開口部39x内にそれぞれ塗布して塗布膜を形成する。このとき、塗布液35は第1、第2ビアホール32x、32y内に充填されると共に、第2有機絶縁層パターン39の開口部39x内のゲート絶縁層32上に形成される。さらに、塗布膜を100〜200℃の温度でベークして乾燥させることにより、Sw−TFT用の有機活性層36aとDr−TFT用の有機活性層36bを得る。有機活性層36a,36bを形成するための塗布液35は、第1実施形態で説明したペンタセン、セキシチオフェン、又はポリチオフェンなどの有機半導体材料を含むものが使用される。このとき、第2有機絶縁層パターン39の表面は撥水化されているので、インクジェット装置のノズル31が、第2有機絶縁層パターン39の開口部39xから多少位置ずれしても、塗布液35は開口部39x側に流れて開口部39x内に溜まるようになる。このようにして、第1実施形態と同様な構造のSw−TFT5及びDr−TFT6が得られる。
【0081】
次いで、図11(c)に示すように、第1実施形態と同様に有機活性層36a,36bを被覆するバリア絶縁層37を形成する。
【0082】
続いて、図12(a)に示すように、第1実施形態と同様な方法により、図11(c)のバリア絶縁層37の上面に接着層34を介してプラスチックフィルム40を接着した後に、プラスチックフィルム40の一端に固定されたロール29を回転させながらガラス基板20を剥離する。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図12(a)のA部)に沿って剥離され、ガラス基板20が廃棄される。
【0083】
これにより、図12(b)に示すように、プラスチックフィルム40上に、下から順に、接着層34、バリア絶縁層37、有機活性層36a、36bと第2有機絶縁層パターン39、ゲート絶縁層32、ゲート電極30a,30b,保護層28、ソース電極24a,24xとドレイン電極24b,24yと画素電極26、第1有機絶縁層27a、マスク金属層25、及び剥離層22が転写・形成される。
【0084】
その後に、図10(c)に示すように、酸素ガスのプラズマで剥離層22を除去し、さらに露出したマスク金属層25をマスクにして酸素ガスのプラズマで第1有機絶縁層27aをエッチングすることにより開口部27xが設けられた第1有機絶縁層パターン27を得る。等方性エッチング装置での酸素ガスのプラズマを用いることにより、第1有機絶縁層27a(ポリイミド樹脂又はPMMA樹脂)はマスク金属層25から等方的にエッチングされて、順テーパー形状(上側から下側になるにつれて幅が太くなる形状)の開口部27xをもつ第1有機絶縁層パターン27が得られる。本実施形態では、テーパー角度θ(図12(c))が60°以下(好適には60°〜30°)の順テーパー形状の第1有機絶縁層パターン27を得ることができる。
【0085】
なお、第1有機絶縁層27aとして、アクリル樹脂を使用する場合は、酸素ガスにCF4などのフッ素原子を含むガスを2〜5%添加した混合ガスのプラズマによってエッチングされる。
【0086】
続いて、図13(a)に示すように、マスク金属層25を下地層に対して選択的に除去する。例えば、マスク金属層25としてAl層を使用する場合は、燐酸を含む溶液を使用するウェットエッチングが採用され、画素電極26などにダメージを与えることなくマスク金属層25が除去される。
【0087】
これにより、順テーパー形状の第1有機絶縁層パターン27が露出し、第1有機絶縁層パターン27は、画素電極26上に開口部27xが設けられた状態で形成される。
【0088】
その後に、図13(a)の構造体の上面をフッ素原子を含むガス(CF4、SF6又はCHF3など)のプラズマに曝す。これにより、第1有機絶縁層パターン27の上面及び側面にフッ素原子が付着することによって第1有機絶縁層パターン27は液体をはじく撥水性を示すようになる同時に、画素電極26の露出面は親水性となる。
【0089】
なお、上記した第1有機絶縁層27aを酸素プラズマでパターニングする工程、マスク金属層25を薬品で除去する工程、及びフッ素系ガスでプラズマ処理する工程では、下方に有機活性層36a,36bが存在するが、画素電極26、ソース電極24a,24x及びドレイン電極24b,24yによってブロックされるので、これらの処理で有機活性層36a、36bにダメージを与えるおそれはない。
【0090】
次いで、図13(b)に示すように、インクジェット装置(不図示)のノズル31から第1有機絶縁層パターン27の開口部27x内の画素電極26上に、チオフェン系導電性高分子(PEDOT/PSS)の塗布液33を塗布し、100〜200℃の温度でベークして乾燥させることにより正孔輸送層38を形成する。
【0091】
さらに、同じく図13(b)に示すように、同様なインクジェット法により、発光層を形成するための塗布液33を第1有機絶縁層パターン27の開口部27x内の正孔輸送層38上に塗布し、100〜200℃の温度でベークして乾燥させることにより発光層42を形成する。なお、図13(b)には1つの画素部のみが示されているが、第1実施形態と同様に、3原色の各画素部(R),(G),(B)の正孔輸送層38上にそれぞれ赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層が形成される。
【0092】
3原色の発光層を形成するための発光層の材料としては、π共役ポリマー系発光材料と色素含有ポリマー系発光材料がある。さらに詳しくは、π共役ポリマー系発光材料としては、ポリフルオレン(PF)誘電体(赤色,緑色,青色)、ポリスパイロ(Poly-Spiro)誘電体(赤色,緑色,青色)、ポリパラフェ二レン誘電体又はポリチオフェン誘電体などがある。
【0093】
一方、色素含有ポリマー系発光材料としては、燐光又は蛍光の低分子色素をポリビニルカルバゾール(PVK)に分散した発光材料である色素分散PVK(赤色、緑色、青色)、又は、Ir(ppy)3などの燐光基をPVKの側鎖に組み込んだ燐光性高分子である側鎖組み込み型PVK(赤色、緑色、青色)がある。
【0094】
上記した材料をキシレン、トルエン、クロロホルム、アニソール、テトラデカン、ジクロロエタン、クロロベンゼン、ベンゼン、ジクロロベンゼンなどの溶媒に溶解して各色の発光層を形成するための塗布液(インク)を調整する。
【0095】
このようにして、正孔輸送層38及び発光層42により構成される有機EL層3aが得られる。なお、第1実施形態と同様に、発光層42上に電子輸送層がさらに形成された形態としてもよいし、正孔輸送層38及び電子輸送層のうちのいずれか一方のみが形成された形態としてもよい。あるいは、正孔輸送層38及び電子輸送層の両者を省略してもよい。
【0096】
第3実施形態では、有機EL層3aはインクジェット法で形成されるので、第1実施形態と同様に、有機EL層3aがフォトリソグラフィ工程での各種処理によってその性能が劣化するおそれがない。
【0097】
また、正孔輸送層38及び発光層42をインクジェット法で形成する際にも、第1有機絶縁層パターン27の表面が撥水化されているので、正孔輸送層38及び発光層42は第1有機絶縁層27の開口部27x内に自己整合的に位置合わせされて形成される。
【0098】
なお、有機EL層3aをインクジェット法で形成する代わりに、スクリーン印刷によって形成してもよい。
【0099】
次いで、図13(c)に示すように、マスク蒸着によって、発光層42上に、カルシウム/アルミニウム(Ca/Al)積層膜、バリウム(Ba)膜、又はバリウム/アルミニウム(Ba/Al)積層膜などの金属電極46を形成する。これにより、画素電極26、有機EL層3a及び金属電極46により構成される有機EL素子2aが得られる。なお、Sw−TFT5及びDr−TFT6上には第1有機絶縁層パターン27が形成されているので、金属電極46を全面にわたって形成しても差し支えない。
【0100】
その後に、図14に示すように、第1実施形態と同様に、有機EL素子2aを被覆する封止層48を形成する。
【0101】
以上により、第3実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1bが完成する。
【0102】
図14に示すように、第3実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1bでは、基板としてプラスチックフィルム40が使用され、その上に接着層34を介してバリア絶縁層37が形成されている。バリア絶縁層37上の第2有機絶縁層パターン39の開口部39x内にはSw−TFT5の有機活性層36aとDr−TFT6の有機活性層36bとが形成されている。第2有機絶縁層パターン39は、インクジェット法で有機活性層36a、36bが形成される際の隔壁として機能し、有機活性層36a、36bは位置精度よく配置されている。
【0103】
各有機活性層36a、36bの上にはゲート絶縁層32と、Sw−TFT5のゲート電極30a及びDr−TFT6用のゲート電極30bとがそれぞれ順に形成され、各ゲート電極30a,30bの上には保護層28が形成されている。保護層28上には、Sw−TFT5用のソース電極24a及びドレイン電極24bと、Dr−TFT6用のソース電極24x及びドレイン電極24yと、Dr−TFT6用のドレイン電極24yに電気的に接続された画素電極26とが形成されている。そして、各有機活性層36a,36bはゲート絶縁層32及び保護層28に設けられた第1、第2ビアホール32x、32yを介してソース電極24a,24x及びドレイン電極24b、24yにそれぞれ電気的に接続されている。
【0104】
このようにして、第1実施形態と同様に、ソース電極24a、24x、ドレイン電極24b,24y、ゲート電極30a、30b、ゲート絶縁層32、及び有機活性層36a、36bによりそれぞれ構成されるSw−TFT5とDr−TFT6が形成されている。
【0105】
さらに、画素電極26上に開口部27xが設けられた第1有機絶縁層パターン27がSw−TFT5及びDr−TFT6の上方に形成されている。第1有機絶縁層パターン27はテーパー角度が60°以下の順テーパー形状で形成され、かつその表面が撥水化されている。
【0106】
また、第1有機絶縁層パターン27の開口部27x内の画素電極26上には正孔輸送層38及び発光層42が形成されている。第1実施形態の図6と同様に、複数の画素電極26は、赤色(R)画素部、緑色(G)画素部及び青色(B)画素部に画定されており、各色の画素部に対応するように赤色発光層、緑色発光層及び青色発光層(不図示)が形成されている。そして、正孔輸送層38及び発光層42により有機EL層3aが構成されている。有機EL層3aは、インクジェット法で形成される際の隔壁として機能する第1有機絶縁層パターン27によって画定された状態で3原色の各画素部に精度よく形成されている。
【0107】
また、有機EL層3a上には金属電極46が形成され、画素電極26、有機EL層3a及び金属電極46により有機EL素子2aが構成されている。さらに、有機EL素子2aを被覆する封止層48が形成されている。
【0108】
第3実施形態のフレキシブル有機ELディスプレイ1bはこのような構成になっており、第1実施形態と同様に各色の発光層42から外部に所定の色の光が放出されてカラー画像が得られる(図14の矢印の方向)。
【0109】
第3実施形態では、第1実施形態と同様に、有機活性層36a,36b及び有機EL層3aに悪影響を及ぼすフォトリソグラフィによるパターニング工程(ソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24y、画素電極26、ゲート電極30a,30b、及びビアホール32x,32yを形成する工程)は、有機活性層36a,36b及び有機EL層3aを形成する前にガラス基板20上で行われる。さらに、ガラス基板20上でソース電極24a,24x、ドレイン電極24b,24yに接続される有機活性層36a,36bがインクジェット法で形成された後に、それを被覆するバリア絶縁層37が形成されて転写層が得られる。その後に、その転写層が上下反転じた状態でプラスチックフィルム40上に転写された後に、有機EL層3aが画素電極26上にインクジェット法によって形成される。従って、第1実施形態と同様に有機活性層36a,36b及び有機EL層3aがフォトリソグラフィ工程の各種処理によって劣化するおそれがなくなる。
【0110】
このように、第3実施形態では、第1実施形態と同様に、プラスチックフィルムを基板として使用する有機TFTを備えたフレキシブル有機ELディスプレイを高歩留りで安定して製造することができるようになる。
【0111】
(第4の実施の形態)
図15〜図17は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図、図18は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイを示す断面図である。
【0112】
第4実施形態が第1実施形態と異なる点はTFTの構造が異なることである。図15〜図18において第1実施形態と同一要素には同一符号を付してその材料や形成方法の詳しい説明を省略する。
【0113】
本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法は、図15(a)に示すように、まず、第1実施形態と同様な方法により、ガラス基板20の上に剥離層22を形成した後に、Sw−TFT用のゲート電極30a及びDr−TFT用のゲート電極30bを形成する。その後に、図15(b)に示すように、ゲート電極30a,30bの上面及び側面を被覆するゲート絶縁層32を形成する。
【0114】
続いて、図15(c)に示すように、Sw−TFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bと、Dr−TFT用のソース電極24x及びドレイン電極24yとを各ゲート絶縁層32上の両端部から側面に延在させてそれぞれ形成する。さらに、Dr−TFT用のドレイン電極24yに電気的に接続される画素電極26を剥離層22の上に形成する。
【0115】
次いで、図15(d)に示すように、Sw−TFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bに電気的に接続されるSw−TFT用の有機活性層36aをソース電極24a及びドレイン電極24bの上に形成する。このとき同時に、Dr−TFT用のソース電極24x及びドレイン電極24yに電気的に接続されるDr−TFT用の有機活性層36bがソース電極24x及びドレイン電極24yの上に形成される。第1実施形態と同様に、有機活性層36a,36bはマスク蒸着によって形成されるので、有機活性層36a,36bがフォトリソグラフィ工程でのウェット処理やプラズマなどによってその性能が劣化するおそれがない。
【0116】
このようにして、ゲート電極30a、ゲート絶縁層32、ソース電極24a、ドレイン電極24b、及びソース電極24aとドレイン電極24bに接続された有機活性層36aにより構成されるSw−TFT5が得られる。また、ゲート電極30b、ゲート絶縁層32、ソース電極24x、ドレイン電極24y、及びソース電極24xとドレイン電極24yに接続される有機活性層36bにより構成されるDr−TFT6が得られる。
【0117】
次いで、図16(a)及び(b)に示すように、Sw−TFT5及びDr−TFT6の上に保護層28を形成してそれらの段差を埋め込んで平坦化した後に、保護層28の上にバリア絶縁層37を形成する。
【0118】
その後に、図16(c)に示すように、図16(b)のバリア絶縁層37の上面に接着層34によってプラスチックフィルム40を接着する。続いて、同じく図16(c)に示すように、プラスチックフィルム40の一端にロール29を固定し、このロール29を回転させながらガラス基板20を剥離する。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図16(c)のA部)に沿って剥離され、ガラス基板20が廃棄される。
【0119】
これにより、図17(a)に示すように、プラスチックフィルム40の上に、下から順に、接着層34、バリア絶縁層37、保護層28、有機活性層36a,36b、ソース電極24a,24xとドレイン電極24b,24y、ゲート絶縁層32、ゲート電極30a,30b、Dr−TFT6のドレイン電極24yに接続された画素電極26、及び剥離層22が上下反転した状態で転写・形成される。
【0120】
その後に、図17(b)に示すように、剥離層22が除去されて、ゲート電極30a、30b及び画素電極26の上面が露出する。
【0121】
第4実施形態においても、ガラス基板20上に有機活性層36a,36bが上側になる構造で各TFT5,6を形成した後に、プラスチックフィルム40上に上下反転した状態で転写・形成する手法を採用している。従って、有機活性層36a,36bは、プラスチックフィルム40の上側に露出することなく、下側に埋め込まれた状態となるので、その後の各種の処理工程で有機活性層36a,36bにダメージを与えるおそれがなくなる。
【0122】
続いて、図17(c)に示すように、マスク蒸着によって画素電極26上に正孔輸送層38、発光層42、電子輸送層44及び金属電極46を順次形成する。これにより、正孔輸送層38、発光層42及び電子輸送層44により構成される有機EL層3が得られると共に、画素電極26、有機EL層3及び金属電極46により構成される有機EL素子2が得られる。
【0123】
このように、本実施形態では、有機活性層36a,36bや有機EL層3を形成する工程及びそれ以降の工程はフォトリソグラフィを使用しないので、有機活性層36a,36bや有機EL層3がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその性能が劣化するおそれがない。
【0124】
その後に、図18に示すように、有機EL素子2、Sw−TFT5及びDr−TFT6を被覆する封止層48を形成する。以上により、本発明の第4実施形態に係るフレキシブル有機ELディスプレイ1cが完成する。
【0125】
図18に示すように、第4実施形態のフレキシブルディスプレイ1cでは、プラスチックフィルム40の上に接着層34、バリア絶縁層37及び保護層28が順に形成されている。保護層28の中にはSw−TFT5及びDr−TFT6が埋設されて形成されている。Sw−TFT5及びDr−TFT6は、下から順に、有機活性層36a、36b、ソース電極24a、24x及びドレイン電極24b、24y、ゲート絶縁層32、及びゲート電極30a,30bが形成されてそれぞれ構成されている。
【0126】
ソース電極24a、24x及びドレイン電極24b、24yは、有機活性層36a、36bとゲート絶縁層32との両端側の間から上側に延在してそれぞれ形成されている。さらに、Dr−TFT6のドレイン電極24yに電気的に接続された画素電極26が保護層28の中に埋設されている。このようにして、ゲート電極30a、30b及び画素電極26の各上面は保護層28の上面と同一面となっている。
【0127】
そして、第1実施形態と同様に、画素電極26上に有機EL層3が形成され、その上に金属電極46が形成されて有機EL素子2が構成されている。さらに、有機EL素子2は封止層48によって封止されている。
【0128】
第4実施形態においても、第1実施形態のように3原色の発光層を使用してフルカラー化してもよいし、あるいは第2実施形態のように白色発光層を使用し、カラーフィルタを組み合わせてフルカラー化してもよい。
【0129】
また、第3実施形態のように有機活性層や有機EL層をインクジェット法や印刷によって形成してもよい。有機活性層36a、36bをインクジェット法で形成する場合は、第3実施形態のように有機活性層36a、36bを形成する前に、それらを形成する部分に開口部が設けられた有機絶縁層を形成すればよい。また、有機EL層3をインクジェット法で形成する場合は、第3実施形態と同様に、剥離層22を形成した後(ゲート電極30a,30bを形成する前)に、画素電極が形成される領域に開口部を備えたマスク金属層を形成した後に有機絶縁層を形成し、プラスチックフィルム上に転写した後にマスク金属層をマスクにして有機絶縁層をパターニングすればよい。
【0130】
第4実施形態では、第1実施形態とTFT5,6の構造が異なるが第1実施形態と同様な効果を奏する。
【0131】
(第5の実施の形態)
図19〜図22は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を順に示す断面図、図23は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイ(液晶ディスプレイ)を示す断面図である。第5実施形態では、本発明を液晶ディスプレイに適用する形態を例示する。第5実施形態では、第1実施形態と同一工程についてはその詳しい説明を省略する。また、同一要素には同一符号を付してその説明を省略する。
【0132】
本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法は、図19(a)に示すように、まず、仮基板としてガラス基板20上に剥離層22を形成した後に、スイッチング用のTFT用のソース電極24a及びドレイン電極24bを剥離層22上に形成する。続いて、ドレイン電極24bに電気的に接続されるITOなどからなる画素電極26を剥離層22上に形成する。
【0133】
次いで、図19(b)に示すように、ソース電極24a及びドレイン電極24b及び画素電極26を被覆する保護層28を形成する。その後に、図19(c)に示すように、ソース電極24a及びドレイン電極24bの端部上に重なるようにそれらの間上の保護層28上に第1実施形態と同様なTFT用のゲート電極30を形成する。続いて、画素電極26に対応する保護層28上にカラーフィルタ層52を形成する。本実施形態ではカラーフィルタ層52でフルカラー化する形態を例示している。図19(c)には1つの画素部のみが示されているが、第1実施形態の図6のような3原色の画素部(R),(G),(B)の各画素電極26上に赤色(R)カラーフィルタ層、緑色(G)カラーフィルタ層、及び青色(B)カラーフィルタ層がそれぞれ形成される。そして、3原色の画素部(サブピクセル)が表示単位であるピクセルを構成する。3原色の各カラーフィルタ層52は、例えば顔料分散タイプの感光性塗布膜がフォトリソグラフィによって順次パターニングされて形成される。
【0134】
続いて、図19(d)に示すように、ゲート電極30及びカラーフィルタ層52を被覆するゲート絶縁層32を形成する。次いで、図20(a)に示すように、ソース電極24a及びドレイン電極24b上の保護層28及びゲート絶縁層32の部分にビアホール32xを形成する。さらに、図20(b)に示すように、第1実施形態と同様に、ビアホール32xを介してソース電極24a及びドレイン電極24bに接続される有機活性層36をマスク蒸着により形成する。第2実施形態のように、開口部が設けられた有機絶縁層パターンを形成し、その開口部内にインクジェット法で有機活性層36を形成してもよい。
これにより、ゲート電極30、ゲート絶縁層28、ソース電極24a、ドレイン電極24b及び有機活性層36により構成されるスイッチング用のTFT7が得られる。その後に、図20(c)に示すように、有機活性層36を被覆するバリア絶縁層37を形成する。
【0135】
次いで、図21(a)に示すように、図20(c)のバリア絶縁層37の上に接着層34を介して第1のプラスチックフィルム40を接着した後に、第1のプラスチックフィルム40の一端に固定されたロール29を回転させながらガラス基板20を剥離する。このとき、ガラス基板20と剥離層22との界面(図21(a)のA部)に沿って剥離され、ガラス基板20が廃棄される。
【0136】
これにより、図21(b)に示すように、第1のプラスチックフィルム40上に、下から順に、接着層34、バリア絶縁層37、有機活性層36、ゲート絶縁層32、ゲート電極30とカラーフィルタ層52、保護層28、ソース電極24aとドレイン電極24bと画素電極26、及び剥離層22が転写・形成される。
【0137】
次いで、図21(c)に示すように、剥離層22を除去することにより、ソース電極24a、ドレイン電極24b及び画素電極26の上面を露出させる。
【0138】
その後に、図22に示すように、ソース電極24a、ドレイン電極24b及び画素電極26の上に液晶を配向させるための配向膜54aを形成する。これにより、フレキシブル液晶ディスプレイ用のTFT基板8が得られる。
【0139】
図22に示すように、フレキシブル液晶ディスプレイ用のTFT基板8では、基板として第1のプラスチックフィルム40が使用され、その上に、接着層34及びバリア絶縁層37が順に形成されている。バリア絶縁層37の上にはTFT用の有機活性層33及びゲート絶縁層32が順に形成されている。さらに、ゲート絶縁層32の上にはTFT用のゲート電極30とカラーフィルタ層52が形成され、それらの上に保護層28が形成されている。また、保護層20の上には、TFT用のソース電極24a、ドレイン電極24b及びドレイン電極24bに接続された画素電極26が形成され、それらの上に配向膜54aが設けられている。
【0140】
次に、図23に示すように、TFT基板8の対向基板9を用意する。対向基板9は、第2のプラスチックフィルム40aと、その上に形成されたITOなどからなるコモン電極58と、その上に形成された配向膜54bとにより基本構成される。そして、TFT基板8と対向基板9とがスペーサで所定間隔が確保された状態で、周辺部に設けられるシール材(不図示)によって対向して接着され、さらにTFT基板8と対向基板9との隙間に液晶70が封入される。
【0141】
以上により、第5実施形態のフレキシブル液晶ディスプレイ1dが完成する。
【0142】
なお、前述した第4実施形態の製造方法で得られるTFTを備えたTFT基板を使用してもよい。また、カラーフィルタ層52は、画素電極26を形成した後で有機活性層36を形成する前であれば、どの段階で形成しても差し支えない。従って、ゲート絶縁層32とバリア絶縁層37との間にカラーフィルタ層52を設けるようにしてもよい。あるいは、カラーフィルタ層52が対向基板9に設けられた形態としてもよい。
【0143】
特に図示されていないが、TFT7のソース電極24aにデータバスラインが接続され、TFT7のゲート電極30にゲートバスラインが接続される。そして、ゲートバスライン及びデータバスラインから所定のタイミングでTFT7を介して各画素の画素電極26に階調電圧が順次印加されて画像が表示される。
【0144】
第5実施形態においても、第1実施形態と同様に、有機活性層36を形成した後に、フォトリソグラフィ工程を行う必要がないので、有機活性層36がフォトリソグラフィ工程の各種処理によってその性能が劣化するおそれがなくなる。
【0145】
しかも、有機活性層36の主要部は、ソース電極24a、ドレイン電極24b、保護層28、ゲート電極30及びゲート絶縁層32を介して液晶70から比較的離れたプラスチックフィルム40側に埋設されて設けられるので、液晶70からの影響による特性劣化を防止することができる。さらには、有機活性層36の下(プラスチックフィルム側)にはバリア絶縁層37が形成されているので、外気からの水蒸気やプラスチックフィルム40内の水分が有機活性層36や液晶70に侵入することが防止される。これにより、有機活性層36や液晶70の性能劣化が防止され、有機TFTを備えたフレキシブル液晶ディスプレイの信頼性を向上させることができる。
【0146】
このように、第5実施形態では、プラスチックフィルム上に有機TFTが形成された素子基板を使用するアクティブマトリクスタイプのフレキシブル液晶ディスプレイを高歩留りで安定して製造することができるようになる。
【0147】
なお、本発明は、フレキシブルタイプの有機ELディスプレイ及び液晶ディスプレイの他に、フレキシブルタイプの電気泳動型のディスプレイにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0148】
【図1】図1(a)〜(d)は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図4】図4(a)〜(d)は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その4)である。
【図5】図5は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その5)である。
【図6】図6は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの一つの画素部の等価回路を示す図である。
【図8】図8は本発明の第1実施形態のフレキシブルディスプレイの一つの画素部を平面方向からみた平面図である。
【図9】図9は本発明の第2実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。
【図10】図10(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図11】図11(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図12】図12(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図13】図13(a)〜(c)は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その4)である。
【図14】図14は本発明の第3実施形態のフレキシブルディスプレイ(有機ELディスプレイ)を示す断面図である。
【図15】図15(a)〜(d)は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図16】図16(a)〜(c)は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図17】図17(a)〜(c)は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図18】図18は本発明の第4実施形態のフレキシブルディスプレイを示す断面図である。
【図19】図19(a)〜(d)は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その1)である。
【図20】図20(a)〜(c)は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その2)である。
【図21】図21(a)〜(c)は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図(その3)である。
【図22】図22は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイの製造方法を示す断面図で(その4)ある。
【図23】図23は本発明の第5実施形態のフレキシブルディスプレイ(液晶ディスプレイ)を示す断面図である。
【符号の説明】
【0149】
1a,1b,1c…フレキシブル有機ELディスプレイ、1d…フレキシブル液晶ディスプレイ、2,2a…有機EL素子、3,3a…有機EL層、5…Sw−TFT、6…Dr−TFT、7…TFT、8…TFT基板、9…対向基板、20…ガラス基板、22…剥離層、24a,24x…ソース電極、24b,24y…ドレイン電極、25…マスク金属層、25x,27x,39x…開口部、26…画素電極、27a…第1有機絶縁層、27…第1有機絶縁層パターン、32…ゲート絶縁層、29…ロール、30a,30b…ゲート電極、31…ノズル、32…保護層、33,35…塗布液、34…接着層、36a,36b…有機活性層、37…バリア絶縁層、38…正孔輸送層、39…第2有機絶縁層パターン、40,40a…プラスチックフィルム、42…発光層、42R…赤色発光層、42G…緑色発光層、42B…青色発光層、44…電子輸送層、46…金属電極、48…封止層、52,52R,52G,52B…カラーフィルタ層、54a,54b…配向膜、58…コモン電極、70…液晶。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイであって、
プラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上に形成されたバリア絶縁層と、
前記バリア絶縁層の上又は上方に形成され、下から順に、有機活性層、ゲート絶縁層及びゲート電極が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、
前記バリア絶縁層の上方に形成され、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続された画素電極と、
前記各画素の前記画素電極の上にそれぞれ形成された発光層を含む有機EL層と、
前記有機EL層上に形成された金属電極と、
前記金属電極を被覆する封止層とを有することを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項2】
前記ゲート電極の上に保護層が形成されており、前記TFTの前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記画素電極は前記保護層に埋設されており、
前記有機活性層は、該有機活性層の上の前記ゲート絶縁層及び保護層の所要部分に設けられたビアホールを介して前記ソース電極及びドレイン電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項3】
前記TFTの前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記有機活性層と前記ゲート絶縁層との間から上側に延在して形成されており、
前記バリア絶縁層の上に保護層が形成され、前記TFT及び前記画素電極は前記保護層に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項4】
前記画素は、赤色画素部、緑色画素部及び青色画素部に画定されており、前記発光層は、前記赤色画素部に形成された赤色(R)発光層と、前記緑色画素部に形成された緑色(G)発光層と、前記青色画素部に形成された青色(B)発光層とにより構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項5】
前記発光層は白色発光層であり、カラーフィルタ層をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項6】
前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記画素電極の各上面は、前記保護層の上面と同一面となっていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項7】
前記ゲート電極の上面は、前記ゲート絶縁層の上面と同一面となっていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項8】
前記バリア絶縁層と前記ゲート絶縁層との間に形成され、前記ビアホールと前記ゲート電極とを含む領域に開口部が設けられた有機絶縁層パターンをさらに有し、前記有機活性層は前記ビアホールから前記有機絶縁層パターンの開口部にかけて形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項9】
前記画素電極上に開口部がそれぞれ設けられた有機絶縁層パターンをさらに有し、
前記有機EL層は、前記有機絶縁層パターンの前記画素電極上の前記開口部内に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項10】
前記ゲート電極及び前記画素電極の各上面は、前記保護層の上面とは同一面となっていることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項11】
前記TFTは、スイッチング用TFTと、該スイッチング用TFTに接続された駆動用TFTとにより構成され、前記駆動用TFTの前記ドレイン電極が前記画素電極に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項12】
前記有機EL層は、
前記発光層と、
前記画素電極と前記発光層との間に形成される正孔輸送層、及び前記発光層と前記金属電極との間に形成される電子輸送層のうちの少なくとも一方とにより構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項13】
各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイであって、
第1のプラスチックフィルムと、前記第1のプラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記バリア絶縁層の上又は上方に形成され、下から順に、有機活性層、ゲート絶縁層及びゲート電極が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記バリア絶縁層の上方に形成され、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続された画素電極と、前記TFT及び前記画素電極の上に形成された第1配向膜とを備えたTFT基板と、
第2のプラスチックフィルムと、前記第2のプラスチックフィルム上に形成されたコモン電極と、前記コモン電極上に形成された第2の配向膜とを備えた対向基板と、
前記TFT基板と前記対向基板との間に封入された液晶とを有することを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項14】
前記TFT基板において、カラーフィルタ層がさらに設けられていることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項15】
各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイの製造方法であって、
仮基板の上に剥離層を形成する工程と、
前記剥離層の上に、下から順に、ゲート電極、ゲート絶縁層及び有機活性層が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続される画素電極とを形成する工程と、
前記TFTの上又は上方に、バリア絶縁層を形成する工程と、
前記バリア絶縁層の上に、接着層を介して、プラスチックフィルムを接着する工程と、
前記仮基板を前記剥離層との界面から剥離することにより、前記プラスチックフィルム上に、前記接着層を介して、前記バリア絶縁層、前記TFT、前記画素電極及び前記剥離層を上下反転させた状態で転写・形成する工程と、
前記剥離層を除去して、前記TFT及び前記画素電極の一部を露出させる工程と、
前記各画素の前記画素電極の上に発光層を含む有機EL層をそれぞれ形成する工程と、
前記有機EL層上に金属電極を形成する工程と、
前記金属電極を被覆する封止層を形成する工程とを有することを特徴とするフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項16】
前記TFT及び画素電極を形成する工程は、
前記剥離層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成すると共に、前記ドレイン電極に電気的に接続される画素電極を形成する工程と、
前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記画素電極を被覆する保護層を形成する工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極の間上の保護層上の部分に、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を被覆するゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層及び前記保護層に、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に到達する深さのビアホールをそれぞれ形成する工程と、
前記ゲート絶縁層の上に、前記ビアホールを介して前記ソース電極及びドレイン電極に電気的に接続される有機活性層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項15に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項17】
前記TFT及び画素電極を形成する工程は、
前記剥離層の上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の上面及び側面を被覆するゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層上の両端側にソース電極及びドレイン電極をそれぞれ形成すると共に、前記ドレイン電極に接続される画素電極を前記剥離層の上に形成する工程と、
前記ゲート絶縁層、前記ソース電極及びドレイン電極の上に有機活性層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項15に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項18】
前記有機活性層及び前記有機EL層はマスク蒸着によって形成されることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項19】
前記ビアホールを形成する工程の後に、前記ビアホール及び前記ゲート電極を含む領域に開口部が設けられた有機絶縁層パターンを前記ゲート絶縁層上に形成する工程をさらに有し、
前記有機活性層を形成する工程において、前記ビアホール内及び前記有機絶縁層パターンの開口部に前記有機活性層をインクジェット法又は印刷により形成することを特徴とする請求項16に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項20】
前記画素電極を形成する工程の前に、
前記剥離層上にマスク層をパターニングする工程と、
前記剥離層及び前記マスク層上に有機絶縁層を形成する工程とをさらに有し、
前記剥離層を除去する工程は、前記剥離層を除去した後に、前記マスク層をマスクにして前記有機絶縁層をエッチングし、さらに前記マスク層を除去することにより、前記画素電極上に開口部が設けられた有機絶縁層パターンを形成することを含み、
前記有機EL層を形成する工程において、有機絶縁層パターンの前記画素電極上の前記開口部に前記有機EL層をインクジェット法又は印刷により形成することを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項21】
各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイの製造方法であって、
仮基板の上に剥離層を形成する工程と、
前記剥離層の上に、下から順に、ゲート電極、ゲート絶縁層及び有機活性層が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続される画素電極とを形成する工程と、
前記TFTの上又は上方に、バリア絶縁層を形成する工程と、
前記バリア絶縁層の上に、接着層を介して、プラスチックフィルムを接着する工程と、
前記仮基板を前記剥離層との界面から剥離することにより、前記プラスチックフィルム上に、前記接着層を介して、前記バリア絶縁層、前記TFT、前記画素電極及び前記剥離層を上下反転させた状態で転写・形成する工程と、
前記剥離層を除去して、前記TFT及び前記画素電極の一部を露出させる工程と、
前記TFT及び前記画素電極の上に配向膜を形成する工程とを有する製造方法によってTFT基板を作成し、
前記TFT基板と、第2のプラスチックフィルム上にコモン電極及び配向膜が形成された構造の対向基板とを所定間隔を空けて接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶を封入することを特徴とするフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項1】
各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイであって、
プラスチックフィルムと、
前記プラスチックフィルムの上に形成された接着層と、
前記接着層の上に形成されたバリア絶縁層と、
前記バリア絶縁層の上又は上方に形成され、下から順に、有機活性層、ゲート絶縁層及びゲート電極が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、
前記バリア絶縁層の上方に形成され、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続された画素電極と、
前記各画素の前記画素電極の上にそれぞれ形成された発光層を含む有機EL層と、
前記有機EL層上に形成された金属電極と、
前記金属電極を被覆する封止層とを有することを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項2】
前記ゲート電極の上に保護層が形成されており、前記TFTの前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記画素電極は前記保護層に埋設されており、
前記有機活性層は、該有機活性層の上の前記ゲート絶縁層及び保護層の所要部分に設けられたビアホールを介して前記ソース電極及びドレイン電極に電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項3】
前記TFTの前記ソース電極及び前記ドレイン電極は、前記有機活性層と前記ゲート絶縁層との間から上側に延在して形成されており、
前記バリア絶縁層の上に保護層が形成され、前記TFT及び前記画素電極は前記保護層に埋設されていることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項4】
前記画素は、赤色画素部、緑色画素部及び青色画素部に画定されており、前記発光層は、前記赤色画素部に形成された赤色(R)発光層と、前記緑色画素部に形成された緑色(G)発光層と、前記青色画素部に形成された青色(B)発光層とにより構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項5】
前記発光層は白色発光層であり、カラーフィルタ層をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項6】
前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記画素電極の各上面は、前記保護層の上面と同一面となっていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項7】
前記ゲート電極の上面は、前記ゲート絶縁層の上面と同一面となっていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項8】
前記バリア絶縁層と前記ゲート絶縁層との間に形成され、前記ビアホールと前記ゲート電極とを含む領域に開口部が設けられた有機絶縁層パターンをさらに有し、前記有機活性層は前記ビアホールから前記有機絶縁層パターンの開口部にかけて形成されていることを特徴とする請求項2に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項9】
前記画素電極上に開口部がそれぞれ設けられた有機絶縁層パターンをさらに有し、
前記有機EL層は、前記有機絶縁層パターンの前記画素電極上の前記開口部内に形成されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項10】
前記ゲート電極及び前記画素電極の各上面は、前記保護層の上面とは同一面となっていることを特徴とする請求項3に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項11】
前記TFTは、スイッチング用TFTと、該スイッチング用TFTに接続された駆動用TFTとにより構成され、前記駆動用TFTの前記ドレイン電極が前記画素電極に接続されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項12】
前記有機EL層は、
前記発光層と、
前記画素電極と前記発光層との間に形成される正孔輸送層、及び前記発光層と前記金属電極との間に形成される電子輸送層のうちの少なくとも一方とにより構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項13】
各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイであって、
第1のプラスチックフィルムと、前記第1のプラスチックフィルムの上に形成された接着層と、前記バリア絶縁層の上又は上方に形成され、下から順に、有機活性層、ゲート絶縁層及びゲート電極が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記バリア絶縁層の上方に形成され、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続された画素電極と、前記TFT及び前記画素電極の上に形成された第1配向膜とを備えたTFT基板と、
第2のプラスチックフィルムと、前記第2のプラスチックフィルム上に形成されたコモン電極と、前記コモン電極上に形成された第2の配向膜とを備えた対向基板と、
前記TFT基板と前記対向基板との間に封入された液晶とを有することを特徴とするフレキシブルディスプレイ。
【請求項14】
前記TFT基板において、カラーフィルタ層がさらに設けられていることを特徴とする請求項13に記載のフレキシブルディスプレイ。
【請求項15】
各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイの製造方法であって、
仮基板の上に剥離層を形成する工程と、
前記剥離層の上に、下から順に、ゲート電極、ゲート絶縁層及び有機活性層が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続される画素電極とを形成する工程と、
前記TFTの上又は上方に、バリア絶縁層を形成する工程と、
前記バリア絶縁層の上に、接着層を介して、プラスチックフィルムを接着する工程と、
前記仮基板を前記剥離層との界面から剥離することにより、前記プラスチックフィルム上に、前記接着層を介して、前記バリア絶縁層、前記TFT、前記画素電極及び前記剥離層を上下反転させた状態で転写・形成する工程と、
前記剥離層を除去して、前記TFT及び前記画素電極の一部を露出させる工程と、
前記各画素の前記画素電極の上に発光層を含む有機EL層をそれぞれ形成する工程と、
前記有機EL層上に金属電極を形成する工程と、
前記金属電極を被覆する封止層を形成する工程とを有することを特徴とするフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項16】
前記TFT及び画素電極を形成する工程は、
前記剥離層上に、ソース電極及びドレイン電極を形成すると共に、前記ドレイン電極に電気的に接続される画素電極を形成する工程と、
前記ソース電極、前記ドレイン電極及び前記画素電極を被覆する保護層を形成する工程と、
前記ソース電極と前記ドレイン電極の間上の保護層上の部分に、ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極を被覆するゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層及び前記保護層に、前記ソース電極及び前記ドレイン電極に到達する深さのビアホールをそれぞれ形成する工程と、
前記ゲート絶縁層の上に、前記ビアホールを介して前記ソース電極及びドレイン電極に電気的に接続される有機活性層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項15に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項17】
前記TFT及び画素電極を形成する工程は、
前記剥離層の上にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の上面及び側面を被覆するゲート絶縁層を形成する工程と、
前記ゲート絶縁層上の両端側にソース電極及びドレイン電極をそれぞれ形成すると共に、前記ドレイン電極に接続される画素電極を前記剥離層の上に形成する工程と、
前記ゲート絶縁層、前記ソース電極及びドレイン電極の上に有機活性層を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項15に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項18】
前記有機活性層及び前記有機EL層はマスク蒸着によって形成されることを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項19】
前記ビアホールを形成する工程の後に、前記ビアホール及び前記ゲート電極を含む領域に開口部が設けられた有機絶縁層パターンを前記ゲート絶縁層上に形成する工程をさらに有し、
前記有機活性層を形成する工程において、前記ビアホール内及び前記有機絶縁層パターンの開口部に前記有機活性層をインクジェット法又は印刷により形成することを特徴とする請求項16に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項20】
前記画素電極を形成する工程の前に、
前記剥離層上にマスク層をパターニングする工程と、
前記剥離層及び前記マスク層上に有機絶縁層を形成する工程とをさらに有し、
前記剥離層を除去する工程は、前記剥離層を除去した後に、前記マスク層をマスクにして前記有機絶縁層をエッチングし、さらに前記マスク層を除去することにより、前記画素電極上に開口部が設けられた有機絶縁層パターンを形成することを含み、
前記有機EL層を形成する工程において、有機絶縁層パターンの前記画素電極上の前記開口部に前記有機EL層をインクジェット法又は印刷により形成することを特徴とする請求項15乃至17のいずれか一項に記載のフレキシブルディスプレイの製造方法。
【請求項21】
各画素ごとにTFTが設けられたアクティブマトリクス型のフレキシブルディスプレイの製造方法であって、
仮基板の上に剥離層を形成する工程と、
前記剥離層の上に、下から順に、ゲート電極、ゲート絶縁層及び有機活性層が形成され、ソース電極及びドレイン電極が前記有機活性層に電気的に接続された構造のTFTと、前記TFTの前記ドレイン電極に電気的に接続される画素電極とを形成する工程と、
前記TFTの上又は上方に、バリア絶縁層を形成する工程と、
前記バリア絶縁層の上に、接着層を介して、プラスチックフィルムを接着する工程と、
前記仮基板を前記剥離層との界面から剥離することにより、前記プラスチックフィルム上に、前記接着層を介して、前記バリア絶縁層、前記TFT、前記画素電極及び前記剥離層を上下反転させた状態で転写・形成する工程と、
前記剥離層を除去して、前記TFT及び前記画素電極の一部を露出させる工程と、
前記TFT及び前記画素電極の上に配向膜を形成する工程とを有する製造方法によってTFT基板を作成し、
前記TFT基板と、第2のプラスチックフィルム上にコモン電極及び配向膜が形成された構造の対向基板とを所定間隔を空けて接着し、前記TFT基板と前記対向基板との間に液晶を封入することを特徴とするフレキシブルディスプレイの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−12815(P2007−12815A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−190623(P2005−190623)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【出願人】(000004352)日本放送協会 (2,206)
【Fターム(参考)】
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