説明

フレキシブル表示装置及びその製造方法

【課題】フレキシブル表示装置の収率及び製造工程の安定性を向上させたフレキシブル表示装置の製造方法及びその製造方法によるフレキシブル表示装置に関する。
【解決手段】第1基板21の一面に、第1基板21に対する選択エッチング比が1/20以下である絶縁保護層23を形成する段階と;絶縁保護層23上に表示素子25を形成する段階と;表示素子25上にフレキシブル基板27を接着する段階と;第1基板21をエッチングする段階とを含むフレキシブル表示装置の製造方法。更に、フレキシブル基板27と;フレキシブル基板27上に形成された表示素子層25と;表示素子層25を保護する絶縁保護層23を備えて、ガラス:絶縁保護層のエッチング比及びステンレス:絶縁保護層のエッチング比の中、少なくともいずれか一つは1:20以上であるフレキシブル表示装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル表示装置の製造方法及びその製造方法によるフレキシブル表示装置に関する。特に、本発明は、フレキシブル表示装置の収率及び製造工程の安定性を向上させたフレキシブル表示装置の製造方法及びその製造方法によるフレキシブル表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表示装置はCRT(Cathode−Ray Tube)に代わり、軽量薄形の平板ディスプレイ(Flat Panel Display:FPD)を中心として速やかに変化してきた。FPDとしては、液晶表示装置(Liquid Crystal Display:LCD)、プラズマディスプレイパネル(Plasma Display Panel:PDP)、有機発光表示装置(Organic Electro Luminescence Display:OLED)等がある。このようなFPDの製造工程は高温工程が大分であるため、耐熱性が優れているガラス基板を母基板として用いる。このようなガラス基板は、柔軟性がなく、よく割れるため、表示装置を更に軽量薄形化することにおいて制限要素となる。従って、近来では柔軟性のないガラス基板に代わり、プラスチック等のように柔軟性のある材料を母基板として用いて、紙のように曲げられても表示性能をそのまま保持することのできるフレキシブル(flexible)表示装置が注目を浴びている。
【0003】
一般的に、フレキシブル表示装置の基板として、プラスチック基板及び金属フォイル(Metal foil)基板を含むフレキシブル基板が用いられる。このようなプラスチック基板及び金属フォイル基板は、耐熱性がガラス基板より良くない。ガラス基板より耐熱性の悪いプラスチック基板及び金属フォイル基板は、表示素子の製造工程の中、工程熱によって変形されることもあり、このような基板の変形は表示素子の特性を低下させる。従って、プラスチック基板あるいは金属フォイル基板の上部に表示素子を直接製造することが困難である。このような問題点を克服するため、近来ではガラス基板の上部に表示素子を形成した後、表示素子の上部にプラスチック基板あるいは金属フォイル基板を付着し、以後、ガラス基板を除去してフレキシブル表示装置を完成する基板転写法が用いられる。
【0004】
図1A〜図1Dは、基板転写法を用いた従来のフレキシブル表示装置の製造方法を示す図面である。基板転写法を用いた従来のフレキシブル表示装置の製造方法は、ガラス基板1上に絶縁保護層3を形成する段階、表示素子5を形成する段階、フレキシブル基板7を付着する段階、ガラス基板1及び絶縁保護層3を除去する段階を順次的に含む。
【0005】
絶縁保護層3を形成する段階は、図1Aに示すように、製造工程中の工程熱に十分な耐熱性を有するように所定の厚さで形成されたガラス基板1上に絶縁保護層3を蒸着することによってなる。絶縁保護層3は、シリコン酸化膜SiOxあるいはシリコン窒化膜SiNxの内、いずれか一つを含む。
【0006】
表示素子層5を形成する段階は、図1Bに示すように、絶縁保護層3上に薄膜トランジスタアレイ及び表示素子を構成する各種配線を形成することによってなる。前記表示素子層5を形成する段階は、複数のフォトリソグラプ工程及びエッチング工程を含む。
【0007】
フレキシブル基板7を付着する段階は、図1Cに示すように、接着剤を通じて表示素子層5上に薄いプラスチック基板あるいは金属フォイルのようなフレキシブル基板7を付着することによってなる。フレキシブル基板7は、最終的に表示素子層5を支持することによって、フレキシブル表示装置に柔軟性を与える表示装置の実際の基板となる。
【0008】
ガラス基板1及び絶縁保護層3を除去する段階は、図1Dに示すように、フッ酸(HF)を含むエッチング液等を用いて、ガラス基板1及び絶縁保護層3を除去する段階である。ここで、アルミナ等の研磨剤を用いて、ガラス基板1及び絶縁保護層3を研磨する研磨(Polishing)法を併用することもできる。このように、研磨法を併用する場合、フレキシブル基板の全体に圧力(研磨ストレス)を与えることによって破損が起こる可能性もあるため、ガラス基板1の対角の長さが1m以下の小形である場合のみに適用されることが普通である。結局、基板転写法を完了すると、フレキシブル基板7上に表示素子層5のみが残る最終基板が完成される。
【0009】
このように、エッチング工程を用いる場合、絶縁保護層3が除去された部分は表示素子5が露出されるため、フッ酸液等のエッチング物質が表示素子5に浸透することによって、表示素子5が損傷される場合がある。エッチング物質によって表示素子5が損傷される現象は、フレキシブル表示装置の製造収率を低下させて、フレキシブル表示装置の製造工程の安定性を低下させる原因となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、フレキシブル表示装置の製造工程の安定性を向上させたフレキシブル表示装置の製造方法を提供することにある。他の本発明の目的は、フレキシブル表示装置の製造工程の安定性を向上させることによって、生産収率が向上した製造方法を提供することにある。更に、本発明の他の目的は、製造安定性及び生産収率が向上した方法によって形成されたフレキシブル表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明に係るフレキシブル表示装置は、フレキシブル基板と;前記フレキシブル基板上に形成された表示素子層と;前記表示素子層を保護する絶縁保護層を備えて、ガラス:前記絶縁保護層のエッチング比及びステンレス:前記絶縁保護層のエッチング比の内、少なくともいずれか一つは1:20以上であることを特徴とする。
【0012】
そして、本発明に係るフレキシブル表示装置の製造方法は、第1基板の一面に前記第1基板に対するエッチング選択比が1/20以下である絶縁保護層を形成する段階と;前記絶縁保護層上に表示素子を形成する段階と;前記表示素子上にフレキシブル基板を接着する段階と;前記第1基板をエッチングする段階とを含む。
【0013】
更に、本発明の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法は、前記第1基板はガラス基板を含み、前記ガラス基板をエッチングする段階は、緩衝フッ酸(BHF)液を含むエッチング液を用いてウェットエッチングする段階を含む。
【0014】
更に、本発明の他の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法は、前記第1基板はステンレスを含み、前記ステンレス基板をエッチングする段階は、塩化鉄(FeCl)を含むエッチング液を用いて、前記ステンレス基板をウェットエッチングする段階を含む。
【発明の効果】
【0015】
前述のように、本発明に係るフレキシブル表示装置及びその製造方法は、絶縁保護層がガラスに対する選択エッチング比が1/20以下となるようにすることによって、ガラス基板を除去する段階で絶縁保護層が除去されないようにする。従って、本発明は、ガラス基板のエッチングの場合、エッチング物質によって表示素子が損傷されることを防止できるため、フレキシブル表示装置の製造収率及び製造工程の安定性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
前記目的の外、本発明の他の目的及び利点は添付した図面を参照する本発明の好ましい実施の形態についての説明を通じて明らかになる。以下、本発明の好ましい実施の形態を図2〜図7を参照して説明する。
【0017】
本発明に係るフレキシブル表示装置及びその製造方法は、ガラス基板のエッチングの場合、絶縁保護層が除去されないことを特徴とする。ガラス基板のエッチング工程で用いる化学物質から絶縁保護層上に形成された表示素子を保護するため、絶縁保護層を除去しないことが好ましい。
【0018】
図2は、本発明に係るフレキシブル表示装置を示す図面である。本発明に係るフレキシブル表示装置は、フレキシブル基板27と、フレキシブル基板27上に形成された表示素子25と、表示素子25上に形成された絶縁保護層23とを備える。更に、本発明の絶縁保護層23は、基板のエッチングの工程の場合、表示素子25を効率的に保護するため、多層構造に形成されることもできる。
【0019】
図3A〜図3Dは、本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法は、ガラス基板1上に絶縁保護層23を形成する段階、表示素子25を形成する段階、フレキシブル基板27を付着する段階、ガラス基板21をエッチングする段階を順次的に含む。図3Aを参照すると、本発明の第1の実施の形態に係る第1段階は、ガラス基板21の一面に絶縁保護層23を全面塗布することによってなる。前記絶縁保護層23は、ガラスに対するエッチング選択比(etching selectivity)が1/20以下であることが好ましい。例えば、前記絶縁保護層23は、銀シリコン(Si)を含むか、クロム酸化膜(CrxOy)、タンタル酸化膜(TaxOy)、アルミニウム 酸化膜(AlxOy)等のような金属酸化膜を含むことができる。シリコン層を絶縁保護層23として用いる場合には、ガラス基板21上にPECVD工法で全面蒸着する。金属酸化膜を絶縁保護層23として用いる場合には、ガラス基板21上にスパッタリング等の蒸着方法で金属膜を蒸着した後、Oプラズマを用いて金属膜を酸化させるか、陽極酸化法で金属膜を酸化させることによって形成される。アルミニウム酸化膜の場合には、アルミニウム蒸着の後、陽極酸化法を用いてアルミニウムを酸化させることが更に容易である。
【0020】
以後、表示素子25を形成する段階は、図3Bに示すように、絶縁保護層23上に表示素子層25を形成することによってなる。表示素子層25は薄膜トランジスタアレイを含む多様な表示素子を含む。例えば、表示素子層25は、薄膜トランジスタアレイあるいは電界発光表示素子を含むことができる。
【0021】
続いて、フレキシブル基板27を付着する段階は、図3Cに示すように、表示素子層25上にフレキシブル基板27を付着することによってなる。フレキシブル基板27は、ガラス基板21が除去される場合、表示素子層25を支持すると共に、表示素子層25に柔軟性を与える基板の役割をする。このようなフレキシブル基板27は、クロロホルムを主成分とするアクリル接着剤等を用いて接着される。
【0022】
フレキシブル基板27が付着された後に進行されるガラス基板21のエッチング段階は、図3Dに示すように、ウェットエッチングあるいはドライエッチング方法で前記ガラス基板21をエッチングすることによってなる。ウェットエッチングの際に用いられるエッチング液は、緩衝フッ酸(Buffered HF、HF+NHF;BHF)液を含む。ドライエッチングの際に用いられるエッチングガスは、CF+OあるいはSF+Oを含む。シリコン膜を含む絶縁保護層23は、BHF、CF+OあるいはSF+Oにおいてガラスに対するエッチング選択が1/20以下であるため、ガラス基板21のエッチング工程の際、オーバーエッチングの間に除去されなく表示素子層25を保護することができる。
【0023】
本発明の核心となるガラス基板21をエッチングする過程について更に詳細に説明する。ガラス基板21をエッチングする過程において、工程時間はガラス基板21を完全に除去するに係る理論的な時間であるエッチングタイム(etching time)及びエッチングタイムよりもう少し長いオーバーエッチングタイム(over etching time )を含む。オーバーエッチングタイムは、エッチングタイムの間にガラス基板21がエッチングされない部分を顧慮して設定された時間であり、エッチング面の均一度(Uniformity)を向上させるために設定されたものである。絶縁保護層23は、ガラス基板21をエッチングする工程を進行する間、表示素子層25を十分に保護するべきものである。即ち、絶縁保護層23は、ガラス基板21をエッチングする段階において除去されないものである。このため、本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル表示装置及びその製造方法は、ガラス基板21:絶縁保護層23のエッチング選択比が20:1以上(例えば、30:1、40:1等)となるようにする。これはガラス基板21をエッチングする段階において、オーバーエッチングタイムの間に絶縁保護層23が一部除去される現象を防止するためのものである。エッチング選択比は、エッチングされるガラス基板27の厚さに応じて異なるように設定される。前記20:1以上という範囲は、フレキシブル表示装置を製造するに用いられるガラス基板21の厚さが200μm〜700μmであることを顧慮して設定したものである。
【0024】
一方、絶縁保護層23の厚さを厚く形成するとオーバーエッチングタイムの間に除去される恐れはないが、絶縁保護層23の厚さは一定の厚さ以下に制限されることが好ましい。このように絶縁保護層23の厚さを制限することは、絶縁保護層23を蒸着する間に発生する熱によってガラス基板21に圧力(ストレス)が加わるためである。更に詳細に説明すると、ガラス基板21は、熱膨張係数が大きいため、熱によっては殆ど変形されない反面、相対的に熱膨張係数の小さい絶縁保護層23は蒸着熱によって蒸着された後に収縮される。従って、ガラス基板21は絶縁保護層23の収縮による圧力によって亀裂が生じるか、更には割れることもある。このように絶縁保護層23を形成する過程で割れるか、またはクラックが発生したガラス基板21上に表示素子層25を形成すると、表示素子25を構成する多様な膜が適宜形成されなくなる。適宜形成されない表示素子層25はその特性が低下される。ガラス基板21に加わる圧力は絶縁保護層23の厚さに比例する。従って、表示素子層25の適した形成のために、本発明に係る絶縁保護層23の厚さは1μm以下に形成されることが好ましい。
【0025】
ガラス基板21を除去した後、フレキシブル基板27が下部に位置するように前記構造物を覆すと、図2に示すように、本発明に係るフレキシブル表示装置が得られる。
【0026】
図4A及び図4Bは、本発明の第1の実施の形態において、ウェットエッチングを更に安定的に進行できる方法について説明するための図面である。ウェットエッチングを進行する際、フレキシブル基板27の付着段階を経た構造物の全体をエッチング液にディッピング(dipping)することができる。フレキシブル基板27の付着段階を経た前記構造物の全体をエッチング液にディッピングすると、エッチング液が表示素子層25の側面を通じて浸透することによって表示素子層25が損傷され得る。これを防止するため、ウェットエッチングを進行する前に、図4Aに示すように、フレキシブル基板27が下部に位置するように前記構造物を覆して、ガラス基板21の背面に樹脂バリアー41を形成する。このような樹脂バリアー41の内部にはガラス基板21をエッチングするに必要なエッチング液43の量を計算して、これに該当するエッチング液を満たすバルク(VALC)工法で適量のエッチング液43が満たされる。エッチング液43によってガラス基板21が除去されると、残されたエッチング液43を除去するため洗浄工程を経る。そして、残された樹脂バリアー41を切断線45に沿って切り取って除去する。この切断線45は、表示素子層25の有効領域A1と樹脂バリアー41との間に位置する。表示素子層25の有効領域A1は表示素子25を駆動するための各種配線が形成された領域である。
【0027】
前述のガラス基板21をエッチングする段階において、エッチング液は樹脂バリアー41の下部と重畳するガラス基板21をエッチングして、樹脂バリアー41の下部にアンダーカットを形成することができる。樹脂バリアー41の幅(w)がガラス基板21の厚さ(t)と同一であるか狭いと、前記アンダーカットによって樹脂バリアー41がエッチング工程中に離れ落ちてしまう可能性があるためである。この場合、樹脂バリアー41がエッチング液から表示素子層25を保護する役割を十分にしにくくなる。ガラス基板21のエッチング工程を安定的に進行するため、樹脂バリアー41の幅(w)はガラス基板21の厚さ(t)より広く形成することが好ましい。
【0028】
図5A及び図5Bは、図4A及び図4Bに示す樹脂バリアー41の形成方法及び除去方法を説明するための図面である。図4Bにおいて、前述の表示素子の有効領域には、複数の単位表示素子(Bmn:m、nは正の整数)が形成される。それぞれの単位表示素子Bmnは所定の距離で離隔されて形成される。
【0029】
従って、樹脂バリアー41は、図5Aに示すように、全単位表示素子Bmnを囲むようにガラス基板21の縁部に形成されることができる。この場合、切断線45は、単位表示素子Bmnと樹脂バリアー41との間に形成される。
【0030】
他の方法としては、樹脂バリアー41は、図5Bに示すように、それぞれの単位表示素子Bmnを囲むようにマトリクス状に形成されることができる。この場合、切断線45は、それぞれの単位表示素子Bmnと樹脂バリアー41との間に形成される。図5Bに示すような場合には、各切断線45が単位表示素子Bmnと樹脂バリアー41との間に形成されるため、樹脂バリアー41の除去と共に、単位表示素子Bmnの分離が同時に成される。
【0031】
図6を参照すると、本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブル表示装置は、フレキシブル基板27と、フレキシブル基板27上に形成された表示素子層25と、表示素子層25上に形成された絶縁保護層23とを備える。本発明の第2の実施の形態に係る絶縁保護層23は、ガラス基板のエッチング工程の際に表示素子層25を保護するため、シリコン膜あるいは金属酸化膜を含む第1保護層23aを備える。また、本発明の第2の実施の形態に係る絶縁保護層23は、第1保護層23a及び表示素子25の間に第1保護層23aより絶縁特性が優れたシリコン窒化膜SiNxまたはシリコン酸化膜SiOxを含む第2保護層23bを更に含むことができる。
【0032】
本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法は、本発明の第1の実施の形態に比べて、絶縁保護層23を形成する段階において差異がある。本発明の第2の実施の形態に係る絶縁保護層23を形成する段階は、まず、ガラス基板21上にシリコンあるいは金属酸化膜を形成することによって第1保護層23aを形成する。続いて、シリコン窒化膜SiNxまたはシリコン酸化膜SiOxを蒸着して第2保護層23bを形成する。以後、表示素子層25を形成する段階、フレキシブル基板27を付着する段階、ガラス基板21をエッチングする段階は、本発明の第1の実施の形態と同一である。
【0033】
図7は、本発明に係るフレキシブル表示装置の製造方法の内、表示素子25の形成段階を説明するための図面である。図7において、表示素子25としては薄膜トランジスタを例に挙げて示した。
【0034】
図7を参照すると、薄膜トランジスタ99はゲートライン112に接続したゲート電極132と、データライン122に接続したソース電極144と、画素電極148に接続したドレイン電極142と、ソース電極144とドレイン電極142の間にチャンネルを形成すると共に、ゲート絶縁膜105を介してゲート電極132に重畳する半導体パターン138とを備える。半導体パターン138は、ソース電極144及びドレイン電極142と重畳するように形成され、ソース電極144とドレイン電極142の間のチャンネル部を形成する活性層134と、活性層134上でソース電極144及びドレイン電極142とのオーミック接触のためのオーミック接触層136からなる。このような薄膜トランジスタ99は、ゲートライン112に供給されるスキャン信号に応じてデータライン122に供給されるビデオ信号が画素電極148に充電されて保持されるようにする。画素電極148は、保護膜103を貫通する画素接触ホール151を通じて薄膜トランジスタ99のドレイン電極142と接続される。このような薄膜トランジスタ99は、複数のフォトリソグラピ工程及びエッチング工程を通じて形成される。このように薄膜トランジスタ99は、複数の薄膜がパターニングされて、重畳して形成されることによって、その表面が平坦ではなく、でこぼこするようになる。続いて、フレキシブル基板の付着工程において、平坦ではない薄膜トランジスタ99の表面上にフレキシブル基板を付着すると、フレキシブル基板を接着するために加える圧力が薄膜トランジスタ99の形成面の全体に渡って均一に加えられない。従って、大きな圧力を受ける部分の配線が断線されて、漏洩電流が発生する等の問題が発生するか、大きな圧力を受ける部分の膜がストレスによって損傷されることによって、薄膜トランジスタ99の特性が低下される可能性がある。従って、本発明に係る表示素子の形成段階は、最終的にオーバーコート層101を形成する段階を更に含むことができる。オーバーコート層101は、前述の問題が発生されないように、薄膜トランジスタ99が形成された面を平坦化し、接着工程中に圧力を分散させるようにバッファ役割をする。更に、オーバーコート層101は薄膜トランジスタ99を保護する役割をする。このようなオーバーコート層101は、フレキシブル基板27を接着する前に薄膜トランジスタ99が形成された面に樹脂(resin)、液状のシリコン質化物質(SiNx)あるいは液状のシリコン酸化物質(SiOx)の内、少なくともいずれか一つをコーティングした後、特定の温度でキュアリングすることによって形成される。オーバーコート層101の形成物質は接着剤を構成する物質と混合して形成することによって、平坦化及びフレキシブル基板の接着を同時に行うことができる。
【0035】
以上、本発明の第1及び第2の実施の形態は、ガラス基板を用いる基板伝写法によるフレキシブル製造方法及びその方法によるフレキシブル基板について説明した。下記の本発明の第3の実施の形態においては、ガラス基板より安いステンレス鋼(あるいはSUS)を基板として用いて表示素子層を形成した後、フレキシブル基板を付着し、単純なディッピング工法でステンレス基板をエッチングして除去する工法を提供する。一般的に、ステンレスをエッチングするためには塩化鉄(FeCl)を含むエッチング液を用いる。エッチング塩化鉄(FeCl)は、ステンレスのような鉄を含む金属を容易にエッチングするが、有機物質は殆どエッチングしない特性がある。従って、本発明に係るフレキシブル基板の製造方法において、基板をステンレスとして用いて、図7で説明した表示素子の絶縁膜と保護膜を有機物質として用いて、絶縁保護層63も有機物質を用いて、フレキシブル基板67としては有機物質を含む基板を採択し、塩化鉄(FeCl)をエッチング液として用いると、第1及び第2の実施の形態の場合より更に容易に製造することができる。
【0036】
図8Aは、本発明の第3の実施の形態に係る第1製造段階を示す図面である。ステンレス基板61上に絶縁保護層63を形成する。前記絶縁保護層63は、有機物質であるアクリル系有機化合物、BCB(benzo cyclobutane)、PFCB(perfluoro cyclobutane)、テフロン(teflon)、サイトップ(Cytop)、そしてポリイミド(Polyimide)の中、選択されたいずれか一つを含むことが好ましい。次に、図8Bに示すように、絶縁保護層63上に表示素子層65を形成する。この際、図7に示すTFT表示素子を形成する場合、ゲート絶縁膜105、保護膜103及びオーバーコート層101も、アクリル系有機化合物、BCB(benzo cyclobutane)、PFCB(perfluoro cyclobutane)、テフロン(teflon)、サイトップ(Cytop)、そしてポリイミド(Polyimide)の内、選択されたいずれか一つを含む有機物質から形成することが好ましい。特に、オーバーコート層101を形成する場合、表示素子層65の側部を十分に囲むようにコーティングすることによって、表示素子層65を有効に保護することができる。次に、図8Cに示すように、表示素子層65上にフレキシブル基板67を付着する。フレキシブル基板67は、プラスチックのような有機物質を含むことが好ましい。最後に、図8Dに示すように、前記フレキシブル基板67を付着した基板の全体を、塩化鉄(FeCl)を含むエッチング液73のある水槽71中に浸けて、ステンレス基板61を完全に除去する。この際、表示素子層65の側面は、表示素子層65を構成する複数の有機絶縁膜あるいは有機保護膜によってエッチング液から保護される。また、有機物質を含む絶縁保護層63も、ステンレス基板61が完全に除去される過程中、表示素子層65をエッチング液から保護する。エッチング工程が終わった後、基板をエッチング水槽71から取り出して、洗浄工程で洗浄すると、図8Eに示すようなフレキシブル基板が完成される。もし、前記フレキシブル基板に複数の単位表示素子がマトリクス状に配列されている構造なら、カッティング工程で単位表示素子を分離する。
【0037】
以上、説明した内容を通じて、当業者であれば本発明の技術思想を逸脱しない範囲内で種々なる変更および修正が可能であることが分かる。従って、本発明の技術的範囲は、明細書の詳細な説明に記載した内容に限定されるものではなく、特許請求の範囲により定めなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1A】基板転写法を用いる従来のフレキシブル表示装置の製造方法を示す図面である。
【図1B】基板転写法を用いる従来のフレキシブル表示装置の製造方法を示す図面である。
【図1C】基板転写法を用いる従来のフレキシブル表示装置の製造方法を示す図面である。
【図1D】基板転写法を用いる従来のフレキシブル表示装置の製造方法を示す図面である。
【図2】本発明に係るフレキシブル表示装置を示す図面である。
【図3A】本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。
【図3B】本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。
【図3C】本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。
【図3D】本発明の第1の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。
【図4A】ウェットエッチングを更に安定して進行できる方法について説明するための図面である。
【図4B】ウェットエッチングを更に安定して進行できる方法について説明するための図面である。
【図5A】図4A及び図4Bに示す樹脂バリアーの形成方法及び除去方法を説明するための図面である。
【図5B】図4A及び図4Bに示す樹脂バリアーの形成方法及び除去方法を説明するための図面である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るフレキシブル表示装置を示す図面である。
【図7】本発明に係るTFTを含む表示素子の構造を詳細に示す図面である。
【図8A】本発明の第3の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。
【図8B】本発明の第3の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。
【図8C】本発明の第3の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。
【図8D】本発明の第3の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。
【図8E】本発明の第3の実施の形態に係るフレキシブル表示装置の製造方法を段階的に説明するための図面である。
【符号の説明】
【0039】
1、21:ガラス基板
3、23、63:絶縁保護層
5、25:表示素子
7、27:フレキシブル基板
41:樹脂バリアー
45:切断線
A1:有効領域
Bmn:単位表示素子
99:薄膜トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基板と;
前記フレキシブル基板上に形成された表示素子層と;
前記表示素子層を保護する絶縁保護層を備えて、
ガラス:前記絶縁保護層のエッチング選択比、及びステンレス:前記絶縁保護層のエッチング選択比の内、少なくともいずれか一つは1:20以上であることを特徴とするフレキシブル表示装置。
【請求項2】
前記絶縁保護層は1μm以下の厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項3】
前記絶縁保護層は、
シリコン、窒化シリコン、酸化シリコン、金属酸化物、及び有機物質の中、少なくともいずれか一つを含むことを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項4】
前記金属酸化物は、
クロム酸化膜、タンタル酸化膜、及びアルミニウム酸化膜を含むことを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項5】
前記有機物質は、
アクリル系有機化合物、BCB(benzo cyclobutane)、PFCB(perfluoro cyclobutane)、テフロン(teflon)、サイトップ(Cytop)、そしてポリイミド(Polyimide)の内、いずれか一つを含むことを特徴とする、請求項3に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項6】
前記絶縁保護層は2層以上の構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル表示装置。
【請求項7】
第1基板の一面に前記第1基板に対するエッチング選択比が1/20以下である絶縁保護層を形成する段階と;
前記絶縁保護層上に表示素子を形成する段階と;
前記表示素子上にフレキシブル基板を接着する段階と;
前記第1基板をエッチングする段階と;
を含むことを特徴とするフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記絶縁保護層は1μm以下の厚さを有することを特徴とする、請求項7に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項9】
前記第1基板の一面に前記第1基板に対するエッチング選択比が1/20以下である絶縁保護層を形成する段階は、
前記第1基板上に、シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、金属酸化膜、及び有機膜の内、少なくともいずれか一つを蒸着する段階を含むことを特徴とする、請求項7に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項10】
前記金属酸化物は、
クロム酸化膜、タンタル酸化膜、及びアルミニウム酸化膜を含むことを特徴とする、請求項9に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項11】
前記有機物質は、
アクリル系有機化合物、BCB(benzo cyclobutane)、PFCB(perfluoro cyclobutane)、テフロン(teflon)、サイトップ(Cytop)、そしてポリイミド(Polyimide)の内、いずれか一つを含むことを特徴とする、請求項9に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項12】
前記絶縁保護層は2層以上の構造を有することを特徴とする、請求項7に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項13】
前記第1基板はガラスを含むことを特徴とする、請求項7に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項14】
前記ガラス基板を含む第1基板をエッチングする段階は、
緩衝フッ酸(BHF)液を含むエッチング液を用いて、前記ガラス基板をウェットエッチングする段階を含むことを特徴とする、請求項13に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項15】
前記表示素子上にフレキシブル基板を接着する段階及び前記ガラス基板をエッチングする段階の間には、
前記ガラス基板の背面に樹脂バリアーを形成する段階を含み、
前記樹脂バリアーは前記ガラス基板のエッチング後に除去されることを特徴とする、請求項14に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項16】
前記ガラス基板を含む第1基板をエッチングする段階は、
CF+OまたはSF+Oを含むエッチングガスを用いて、前記ガラス基板をドライエッチングする段階を含むことを特徴とする、請求項13に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1基板はステンレスを含むことを特徴とする、請求項7に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。
【請求項18】
前記ステンレスを含む前記第1基板をエッチングする段階は、
塩化鉄(FeCl)を含むエッチング液を用いて、前記ステンレス基板をウェットエッチングする段階を含むことを特徴とする、請求項17に記載のフレキシブル表示装置の製造方法。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図1C】
image rotate

【図1D】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3A】
image rotate

【図3B】
image rotate

【図3C】
image rotate

【図3D】
image rotate

【図4A】
image rotate

【図4B】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図8C】
image rotate

【図8D】
image rotate

【図8E】
image rotate


【公開番号】特開2008−134594(P2008−134594A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−179303(P2007−179303)
【出願日】平成19年7月9日(2007.7.9)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
2.TEFLON
【出願人】(501426046)エルジー.フィリップス エルシーデー カンパニー,リミテッド (732)
【Fターム(参考)】