説明

フレキシブル配線基板及びその製造方法

【課題】配線層の剥がれや断線を防止できるフレキシブル配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】フレキシブル基材12の上に金属層20aが形成された積層体10の該金属層20aの上にレジストパターン16を形成する工程と、レジストパターン16をマスクにして金属層20aをエッチングすることにより配線層20を形成する工程と、レジストパターン16を残した状態で、配線層20の間の領域Aに補強用樹脂部40を形成する工程と、レジストパターン16を除去して配線層20の上面を露出させる工程とを含む。好適には、配線層20の接続部26の間の領域Aに補強樹脂部40を選択的に形成して接続部26を補強する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフレキシブル配線基板及びその製造方法に係り、さらに詳しくは、PETフィルムなどのフレキシブル基材を基板として使用するフレキシブル配線基板及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種の電子機器では半導体素子などが実装された配線基板が使用されている。携帯電話やデジタルカメラなどの携帯用電子機器では、小型化、軽量化及び高性能化の要求に対応するため、PETフィルムやポリイミドフィルムなどのフレキシブル基材を基板として使用する折り曲げが可能なフレキシブル配線基板が使用されている。
【0003】
特許文献1には、基板(剛性基板又はフィルム基板)上に形成されたストライプ状の電極の上に樹脂を塗布した後に、樹脂を洗浄によって除去して、電極の上面を露出させると共に、電極の間に樹脂を形成することにより、電極の腐食や剥離を防止することが記載されている。
【0004】
また、特許文献2には、太陽電池セルの上に形成されたフィンガー電極の接続領域において、フィンガー電極間に圧力分散材をスクリーン印刷などにより形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−77923号公報
【特許文献2】特開2008−227262号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
フレキシブル配線基板では、折り曲げた状態で配線層の接続部に各種電子部品の接続端子が接続される場合が多い。このとき、フレキシブル配線基板の接続部が基板から剥がれたり、折れて断線したりすることがあり、歩留り低下の要因になりやすい。
【0007】
本発明は以上の課題を鑑みて創作されたものであり、配線層の剥がれや断線を防止できるフレキシブル配線基板及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本発明はフレキシブル配線基板の製造方法に係り、フレキシブル基材の上に金属層が形成された積層体の該金属層の上にレジストパターンを形成する工程と、前記レジストパターンをマスクにして前記金属層をエッチングすることにより配線層を形成する工程と、前記レジストパターンを残した状態で、前記配線層の間の領域に補強用樹脂部を形成する工程と、前記レジストパターンを除去することにより、前記配線層の上面を露出させる工程とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明では、配線層を形成する際にマスクとして使用されたレジストパターンが残された状態で、配線層の間の領域に補強用樹脂部が形成される。その後に、レジストパターンが除去されて配線層の上面が露出される。
【0010】
本発明の一つの好適な態様では、配線層の接続部を補強する際に使用される。つまり、配線層は、横方向に並んで配置される複数の引き出し配線部と、複数の引き出し配線部の終端にそれぞれ配置された接続部とを備えて形成され、接続部の間の領域に補強樹脂部が選択的に形成される。
【0011】
配線層がレジストパターンで保護された状態で、その接続部の間の領域に補強用樹脂部を形成するので、接続部の上面(接続面)に樹脂が付着するおそれがない。このため、レジストパターンを除去することにより接続部の上面(接続面)をクリーンな状態で容易に露出させることができる。
【0012】
このように、配線層を被覆する樹脂を洗浄して接続部の上面を露出させる方法よりも極めて簡易な方法で配線層の接続部の上面(接続面)を露出させた状態で接続部を補強用樹脂部で補強することができる。
【0013】
これにより、配線層の接続部は、その横方向に形成される補強用樹脂部によってフレキシブル基材に強固に接着されて補強される。従って、フレキシブル基材を折り曲げた状態で各種の電子部品の接続端子を配線層の接続部に接続する際などに、接続部が剥がれたり、断線したりする不具合が解消される。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本発明はフレキシブル配線基板に係り、フレキシブル基材と、前記フレキシブル基材の上に形成され、横方向に並んで配置された複数の引き出し配線部と前記複数の引き出し配線部の終端にそれぞれ配置された接続部と備えた配線層と、前記接続部の上面が露出した状態で、前記接続部の間の領域に選択的に形成された補強用樹脂部と、前記引き出し配線部の全体を被覆する保護絶縁層とを有することを特徴とする。
【0015】
上記した製造方法を使用することにより、上面が露出した状態で配線層の接続部が補強樹脂部で補強されたフレキシブル配線基板が容易に製造される。補強用樹脂部の高さを接続部の高さより高く設定して、補強用樹脂部を接続部から上側に突出させることにより、外部からの機械的衝撃から接続部を防御することができ、信頼性をさらに向上させることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明のフレキシブル配線基板の製造方法では、配線層の剥がれや断線を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブル配線基板の製造方法を示す断面図(その1)である。
【図2】図2(a)〜(c)は本発明の第1実施形態のフレキシブル配線基板の製造方法を示す断面図(その2)である。
【図3】図3は図1(c)のレジストパターン及び配線層の様子を上側からみた平面図であり、図1(c)は図3のI−Iに沿った断面に相当する。
【図4】図4は図2(c)の配線層及び補強用樹脂部の様子を上側からみた平面図であり、図2(c)は図4のII−IIに沿った断面に相当する。
【図5】図5は本発明の第1実施形態のフレキシブル配線基板を示す平面図である。
【図6】図6は本発明の第2実施形態のフレキシブル配線基板の製造方法を示す断面図である。
【図7】図7は本発明の第3実施形態のフレキシブル配線基板の製造方法を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について、添付の図面を参照して説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1〜図4は本発明の第1実施形態のフレキシブル配線基板の製造方法を示す図であり、図5は同じくフレキシブル配線基板を示す図である。
【0020】
本発明の第1実施形態のフレキシブル配線基板の製造方法では、図1(a)の上図に示すように、まず、フレキシブル基材12の上に接着剤14によって銅箔20aを貼付することにより積層体10を得る。フレキシブル基材12としては、好適には、厚みが25〜125μmのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが使用される。PETフィルムの代わりに、ポリイミドフィルムなどの各種のフレキシブル材を使用することができる。
【0021】
接着剤14としては、厚みが10μm程度のポリウレタン系接着剤又はエポキシ系接着剤が使用される。
【0022】
また、銅箔20aはパターン化されて配線層として使用されるものであり、その厚みは10μm程度に設定される。銅箔20aの代わりにアルミニウム(Al)箔などの配線層として使用できる金属箔を貼付してもよい。
【0023】
あるいは、図1(a)の下図に示すように、フレキシブル基材12の上にスパッタ法又は蒸着などにより、銅層又はアルミニウム層などの金属層20bを成膜することにより積層体10aを形成してもよい。この場合は、接着剤14が省略される。
【0024】
このように、フレキシブル基材12の上に金属層(銅箔20aなど)が形成された積層体10,10aを用意する。
【0025】
以下の工程では、図1(a)の上図の積層体10を使用する例について説明する。
【0026】
次いで、図1(b)に示すように、図1(a)の積層体10の銅箔20aの上にフォトレジストを形成した後に、フォトリソグラフィによってフォトレジストに対して露光/現像を行うことにより、レジストパターン16を形成する。レジストパターン16は、銅箔20aをパターン化して配線層を得るためのマスクであり、要求される配線層に対応するパターンで配置される。
【0027】
レジストパターン16は、液状のレジストを塗布してもよいし、あるいはドライフィルムレジストを貼付して形成してもよい。
【0028】
続いて、図1(c)に示すように、レジストパターン16をマスクにして、露出する銅箔20aをウェットエッチングにより除去する。銅箔20aのエッチャントとしては、塩化第二銅水溶液などが使用される。これにより、銅箔20aがパターン化されて、レジストパターン16の下に配線層20が得られる。配線層20の配線ピッチは、例えば500μm(ライン:スペース=250:250μm)程度に設定される。
【0029】
図3の平面図には、図1(c)のレジストパターン16及び配線層20を上側からみた様子が示されている。図3に示すように、配線層20は、回路配線部22と、それに繋がる引き出し配線部24と、引き出し配線部24の終端に配置された接続部26とにより構成される。配線層20の接続部26には各種の電子部品の接続端子が接続される。図3では、配線層20の上にレジストパターン16が残されている。
【0030】
上記した図1(c)の断面構造は、図3の配線層20の接続部26のI−Iに沿った断面に相当する。
【0031】
ここで、本実施形態と違って、図3(図1(c))の構造体からレジストパターン16を除去して配線層20を露出させたものをフレキシブル配線基板として使用する場合について言及する。そのようなフレキシブル配線基板では、フレキシブル基材12を折り曲げた状態で配線層20の接続部26に各種の電子部品の接続端子が接続される。
【0032】
このとき、フレキシブル基材12を折り曲げる際に接続部26に外力がかかり、接続部26がフレキシブル基材12(接着剤14)から剥がれたり、折れて断線したりすることがある。接続部26の剥がれや断線は、厚みが10μm程度以上、配線幅が250μm程度以下になると顕著に発生しやすくなる。
【0033】
接続部26を露出させた状態で引き出し配線部24をソルダレジストで保護する場合においても同様な問題が発生しやすい。
【0034】
そこで、本実施形態では、その対策として、スクリーン印刷により配線層20の接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部が形成される。このとき、接続部26の上面(接続面)に樹脂が付着しないように、配線層20の上にレジストパターン16を残した状態(図1(c))で補強用樹脂部が形成される。
【0035】
詳しく説明すると、図2(a)に示すようなスクリーン版30を備えたスクリーン印刷装置(不図示)を用意する。スクリーン版30は、リング状の版枠(不図示)にスクリーンメッシュ32が張られており、スクリーンメッシュ32の所要部にマスク層34が形成されて、その部分のスクリーンメッシュ32が目止めされている。
【0036】
このようなスクリーン版30を備えたスクリーン印刷装置を用いて、配線層20の接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部を選択的に形成する。スクリーン版30のマスク層34は配線層20の接続部26に対応して配置され、露出するスクリーンメッシュ32は配線層20の接続部26の間の領域Aに対応して配置される。
【0037】
そして、スクリーン版30上に樹脂40aを所定量供給し、スキージ36をスクリーン版30に接触させて水平方向に移動させる。これにより、スクリーン版30のマスク層34が配置されていないスクリーンメッシュ32の開口部から樹脂40aがスキージ36により下側に押し出される。
【0038】
このようにして、図2(b)に示すように、配線層20の接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部40が選択的に充填される。その後に、加熱処理(キュア)を行なうことにより補強用樹脂部40を硬化させる。
【0039】
好適には、補強用樹脂部40はソルダレジスト(永久レジスト)から形成され、その場合は、100〜150℃の温度で30分間、加熱処理してソルダレジストを硬化させる。補強用樹脂部40としては、ソルダレジストの他に、エポキシ又はポリイミドなどの熱硬化性樹脂から形成することができる。あるいは、熱硬化性樹脂の他に光(UV)硬化性樹脂を使用してもよい。
【0040】
また、好適な例としてスクリーン印刷によって配線層20の接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部40を形成したが、ディスペンス法又はインクジェット法によって液状樹脂を選択的に塗布して補強用樹脂部40を形成してもよい。
【0041】
このようにして、配線層20の上にレジストパターン16が残された状態で、配線層20の接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部40が形成される。
【0042】
その後に、レジストパターン16をアルカリ水溶液などの剥離液によって除去する。これにより、図2(c)に示すように、配線層20の接続部26の上面が露出した状態で、配線層20の接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部40が形成される。第1実施形態では、補強用樹脂部40の高さが接続部26の高さとほぼ同一になるように補強用樹脂部40が充填される。
【0043】
なお、スクリーン印刷の位置ずれなどによってレジストパターン16に樹脂40aが付着する場合があっても、レジストパターン16上の樹脂40aはレジストパターン16と一緒に除去されるため特に問題ない。
【0044】
図4の平面図には、図2(c)の配線層20及び補強用樹脂部40を上側からみた様子が示されている。図4に示すように、回路配線部22及び引き出し配線部24の間の領域には補強用樹脂部40は形成されず、配線層20の接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部40が選択的に形成される。図2(c)の断面構造は、図4の配線層20の接続部26のII−IIに沿った断面に相当する。
【0045】
このようにして、複数の配線層20の接続部26はその横方向に配置される補強用樹脂部40によってフレキシブル基材12に強固に接着される。配線層20の接続部26の上面には樹脂が残るおそれがないので、接続部26の上面を信頼性の高い接続面として機能させることができる。
【0046】
なお、図4において縦方向に並んで配置された複数の接続部26のうち両端側の接続部26の側方にも補強用樹脂部40を形成して補強してもよい。
【0047】
次いで、図5に示すように、配線層20の接続部26上を除く引き出し配線部24の上にソルダレジストなどを形成して保護絶縁層28(太線領域)とする。保護絶縁層28は図5において透視的に描かれている。
【0048】
保護絶縁層28は引き出し配線部24が設けられた領域に一体的に形成されて、引き出し配線部24の全体が保護絶縁層28で被覆される。引き出し配線部24ばかりではなく、必要に応じて回路配線部22の一部又は全体を保護絶縁層28で被覆してもよい。
【0049】
以上により、本実施形態のフレキシブル配線基板1が得られる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のフレキシブル配線基板の製造方法では、配線層20を形成する際にマスクとして使用されたレジストパターン16が残された状態で、スクリーン印刷などにより配線層20の接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部40が選択的に形成される。その後に、レジストパターン16が除去されて、配線層20の接続部26の上面が露出する。
【0051】
このような手法を採用することにより、配線層20の接続部26の上面はレジストパターン16で保護されるため、接続部26の間の領域Aに樹脂40aを充填する際に接続部26の上面に樹脂40aが付着するおそれがない。このため、レジストパターン16を除去することで接続部26の上面(接続面)をクリーンな状態で容易に露出させることができる。
【0052】
本実施形態と違って、配線層20を樹脂で被覆した後に、樹脂を途中まで洗浄して接続部26を露出させる方法では、ウェットプロセスの制御などが必要で工程が煩雑になると共に、接続部26上に樹脂が残るおそれがあり十分な信頼性が得られない場合がある。
【0053】
本実施形態では、樹脂に係る諸工程は樹脂の塗布工程と加熱(硬化)工程のみであり、樹脂を厚みの途中まで洗浄する煩雑な工程が不要である。従って、極めて簡易な方法で接続部26の上面を露出させた状態で接続部26を補強用樹脂部40で補強することができる。
【0054】
さらには、スクリーン印刷などを使用することにより、配線層20の間の領域のうち所望部分に補強用樹脂部40を容易に形成できるので、配線層20の部分的な補強を容易に行うことができる。
【0055】
また、配線層20の接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部40が形成されているので、接続部26はフレキシブル基材12に強固に接着されて補強される。従って、フレキシブル基材12を折り曲げた状態で各種の電子部品の接続端子を配線層20の接続部26に接続する際などに、接続部26が剥がれたり、断線したりする不具合が解消される。
【0056】
さらには、配線層20の接続部26の上面(接続面)には樹脂が残るおそれがないので、配線層20の接続部26と各種電子部品の接続端子との接続の信頼性を向上させることができる。
【0057】
図2(c)及び図5に示すように、本実施形態のフレキシブル配線基板1では、フレキシブル基材12の上に接着剤14を介して配線層20がパターン化されて形成されている。配線層20は、回路配線部22とそれに繋がる複数の引き出し配線部24と、引き出し配線部24の終端に配置された接続部26とにより構成される。
【0058】
複数の引き出し配線部24が回路配線部22から外側にストライプ状に並んで延在しており、途中で屈曲してフレキシブル基材12の周縁側に複数の接続部26が並んで配置されている。
【0059】
また、複数の接続部26の間の領域Aには補強用樹脂部40が形成されている。さらに、接続部26上を除く引き出し配線部24の上には保護絶縁層28が一体的に形成されている。
【0060】
このようにして、実装時などに曲げ圧力がかかりやすい引き出し配線部24及び接続部26において、引き出し配線部24を保護絶縁層28で被覆して補強すると共に、接続部26の上面(接続面)を露出させた状態で接続部26を補強用樹脂部40で補強している。
【0061】
これにより、フレキシブル配線基板1に曲げ圧力がかかるとしても、接続部26に剥がれや断線が発生することが防止され、フレキシブル配線基板の信頼性を向上させることができる。
【0062】
本実施形態のフレキシブル配線基板1では、配線層20の回路配線部22に半導体素子などが実装され、配線層20の接続部26に各種の電子部品の接続端子が接続されて、携帯用電子機器などに内蔵される。あるいは、配線層20の回路配線部22によってキャパシタなどの各種回路素子が構成される場合もある。
【0063】
なお、図5では、一系統の回路配線部22に繋がる引き出し配線部24及び接続部26の様子が示されているが、実際には各種の回路配線部に繋がる引き出し配線部及び接続部がフレキシブル基材12上の複数の異なる領域に配置される。
【0064】
また、多面取り用の大型のフレキシブル基材を使用し、フレキシブル基材に多数の配線領域を形成した後に切断して個々のフレキシブル配線基板を得てもよい。
【0065】
さらには、ロールから引き出される長尺状のフレキシブル基材(PETフィルムなど)が各種の製造装置(露光装置やウェットエッチング装置など)に搬送されて処理されるロールツーロール方式によって本実施形態を遂行してもよい。
【0066】
この場合、フレキシブル基材12の上に配線層20及び補強用樹脂部40などが形成された後にフレキシブル基材12が再度ロールに巻かれるが、配線層20の接続部26が補強されているため高い信頼性が得られる。
【0067】
(第2の実施の形態)
図6は本発明の第2実施形態のフレキシブル配線基板の製造方法を示す断面図である。
【0068】
前述した第1実施形態では、図2(c)に示したように、補強用樹脂部40の高さが配線層20の接続部26の高さとほぼ同一に設定されている。
【0069】
図6(a)に示すように、前述した第1実施形態の図2(a)及び(b)の補強用樹脂部40を形成する工程において、補強用樹脂部40の高さが配線層20の接続部26の高さより高く設定されるようにしてよい。
【0070】
レジストパターン16の厚み及び樹脂40aの充填量を調整することにより、補強用樹脂部40の高さを接続部26から任意の高さ位置に設定することができる。例えば、補強用樹脂部40の高さは、配線層20の接続部26の高さの1.5倍〜2倍程度に設定される。
【0071】
そして、図3(b)に示すように、レジストパターン16が除去されて、配線層20の接続部26の上面が露出する。
【0072】
第2実施形態においても、第1実施形態の図5と同様なフレキシブル配線基板1が構成され、配線層20の接続部26の高さより補強用樹脂部40の高さが高く設定される。その他の構成は第2実施形態の図5と同一である。
【0073】
第2実施形態では、補強用樹脂部40が配線層20の接続部26の上面から上側に突出しているため、接続部26に外部から機械的衝撃がかかる場合があるとしても、補強用樹脂部40で防御することができるので、接続部26の損傷が防止されて信頼性を向上させることできる。
【0074】
配線層20の接続部26には、各種電子部品のスプリングコネクタなどが機械的に固定されて接続されるため、補強用樹脂部40が多少突出していても電気接続は特に問題にならない。あるいは、はんだなどの導電材を介して各種電子部品の接続端子が配線層20の接続部26に接続される場合もある。
【0075】
(第3の実施の形態)
図7は本発明の第3実施形態のフレキシブル配線基板を示す平面図である。
【0076】
前述した第1実施形態では、配線層20の接続部26の間の領域Aのみに補強用樹脂部40を選択的に形成し、引き出し配線部24を保護絶縁層28で被覆している。
【0077】
図7に示すように、配線層20の接続部26の間の領域Aから引き出し配線部24の間の領域まで補強用樹脂部40(斜線ハッチング部)を同時に形成し、接続部26及び引き出し配線部24の上面を露出させてもよい。
【0078】
第3実施形態では、引き出し配線部24を被覆する保護絶縁層28を省略してもよいし、必要であれば、接続部26が露出するようにして引き出し配線部24及びその間の補強用樹脂部40の上に保護絶縁層28を形成してもよい。
【0079】
あるいは、回路配線部22の各配線の間の領域にも補強用樹脂部を同時に形成することも可能である。
【0080】
このように、本発明のフレキシブル配線基板の製造方法では、前述した第1、第2実施形態のように配線層20のうち接続部26の間の領域Aに補強用樹脂部40を選択的に形成してもよいし、あるいは、第3実施形態のように配線層20の全体にわたってその間の領域に補強用樹脂部40を形成してもよい。
【0081】
(その他の実施の形態)
前述した第1〜第3実施形態では、フレキシブル基材12の片面側のみに配線層20を形成しているが、フレキシブル基材12の両面側に配線層20を形成し、両面側の配線層20において、第1〜第3実施形態と同様に配線層20の接続部26などの間の領域に補強用樹脂部40を形成してもよい。
【0082】
この場合、特に図示しないが、まず、前述した図1(a)の工程で、フレキシブル基材12の両面側に銅箔20aが貼付された積層体を用意し、積層体にその厚み方向に貫通するするスルーホールをドリルなどで形成する。さらに、スルーホール内に無電解めっき及び電解めっきによって貫通電極を充填する。
【0083】
その後に、前述した図1(b)以降の工程がフレキシブル基材12の両面側で遂行される。フレキシブル基材12の両面側の配線層20は貫通電極を介して相互接続される。
【0084】
また、フレキシブル基材12の片面側又は両面側において、配線層20を二層以上で積層し、最上の配線層の接続部などの間の領域に補強用樹脂部を形成してもよい。
【0085】
あるいは、一層目の配線層の複数の接続パッド上にビアホールがそれぞれ設けられた層間絶縁層を形成し、層間絶縁層の上に、ビアホールを介して接続パッド同士を接続する二層目の配線層(ジャンパ配線)を導電性ペーストなどから形成してもよい。
【符号の説明】
【0086】
1…フレキシブル配線基板、10,10a…積層体、12…フレキシブル基材、14…接着剤、16…レジストパターン、20a…銅箔、20b…金属層、20…配線層、22…回路配線部、24…引き出し配線部、26…接続部、28…保護絶縁層、30…スクリーン版、32…スクリーンメッシュ、34…マスク層、36…スキージ、40a…樹脂、40…補強用樹脂部、A…領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル基材の上に金属層が形成された積層体の該金属層の上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターンをマスクにして前記金属層をエッチングすることにより配線層を形成する工程と、
前記レジストパターンを残した状態で、前記配線層の間の領域に補強用樹脂部を形成する工程と、
前記レジストパターンを除去することにより、前記配線層の上面を露出させる工程とを有することを特徴とするフレキシブル配線基板の製造方法。
【請求項2】
前記配線層を形成する工程において、前記配線層は、横方向に並んで配置される複数の引き出し配線部と、前記複数の引き出し配線部の終端にそれぞれ配置された接続部とを備えて形成され、
前記補強用樹脂部を形成する工程において、前記接続部の間の領域に前記補強樹脂部を選択的に形成することを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル配線基板の製造方法。
【請求項3】
前記補強用樹脂部を形成する工程において、前記補強用樹脂部をスクリーン印刷により形成することを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル配線基板の製造方法。
【請求項4】
前記補強用樹脂部を形成する工程において、前記補強用樹脂部の高さが前記配線層の高さより高く設定されることを特徴とする請求項1又は2に記載のフレキシブル配線基板の製造方法。
【請求項5】
前記配線層の上面を露出させる工程の後に、前記引き出し配線部を保護絶縁層で被覆する工程をさらに有することを特徴とする請求項2に記載のフレキシブル配線基板の製造方法。
【請求項6】
フレキシブル基材と、
前記フレキシブル基材の上に形成され、横方向に並んで配置された複数の引き出し配線部と前記複数の引き出し配線部の終端にそれぞれ配置された接続部と備えた配線層と、
前記接続部の上面が露出した状態で、前記接続部の間の領域に選択的に形成された補強用樹脂部と、
前記引き出し配線部を被覆する保護絶縁層とを有することを特徴とするフレキシブル配線基板。
【請求項7】
前記補強用樹脂部の高さが前記接続部の高さより高く設定されて、前記補強用樹脂部が前記接続部から上側に突出していることを特徴とする請求項6に記載のフレキシブル配線基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−210922(P2011−210922A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−76696(P2010−76696)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000162113)共同印刷株式会社 (488)
【Fターム(参考)】