説明

ブラケット

【課題】二つの物品のうち一方の物品(例えば被支持物品)に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品(例えば物品支持脚)を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであって、他方の物品(例えば物品支持脚)のボルト雄ねじのネジサイズに応じて、簡単、安価に提供できるブラケットを提供する。また、その製造方法を提供する。
【解決手段】ブラケット2は、一方の物品3に固定する固定部211及び他方の物品1のボルト雄ねじ111を螺合させるボルト連結部23を含んでいる。ボルト連結部23は、ボルト連結部本体212に形成された孔(例えば雌ねじ孔213)に、ボルト雄ねじ111が螺合可能の雌ねじ孔221を有するねじ孔付き部材22を圧入固定して形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであり、特に、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させることができるボルト連結部を含んでいるブラケットに関する。
【背景技術】
【0002】
このタイプのブラケットは様々の分野で使用されている。例えば、工作機械、コンベア等の各種機械、本、書類等を収納するロッカーや棚類等の各種家具、各種ディスプレイ装置、テレビ、オーディオ装置等の各種電気電子機器などの物品を支持する物品支持脚をそのような被支持物品に取り付けるためのブラケットを挙げることができる。
【0003】
物品支持脚としては、代表例として、ボルト台座に雄ねじを形成したボルトが立設されたものを挙げることができる。その例として、雄ねじを形成したボルトがボルト台座に回転自在に立設されており、該ボルトの雄ねじ部分を被支持物品に取り付けたブラケットに螺合させ、該ブラケットからのボルト突出量を調整するとともに該ボルト台座を物品支持基体(物品を配置する建物の床、工場等の床など)上に配置することで該物品を該物品支持基体上に高さ調節して支持することができるものを挙げることができる。
【0004】
この種の物品支持脚の例とそれを被支持物品に取り付けるためのブラケットの例を図17に示す。図17に示す物品支持脚1は、雄ねじ111を形成したボルト11及びボルト11を回転自在に立設したボルト台座12を含んでいる。ボルト11のボルト台座12に隣り合う部位(図示例ではボルト台座12の直上部位)にボルト回し具係合部13を設けてある。
【0005】
ボルト回し具係合部13は、ボルト11に後付けされたものでもよいが、図示例ではボルト11と一体的に形成されており、平面から見ると側周面に互いに平行な面部分を有する多角形(図示例では6角形)のものである。6角形ボルト頭や6角形ナットなどに係合して回し操作できるスパナ型レンチ、回し対象物を掴む顎の間隔を調節できる所謂モンキーレンチ等のボルト回し具(図示省略)をボルト回し具係合部13に係合させてボルト11を回し操作できる。
【0006】
ボルト台座12はこの例では平面から見た形状が円形であり、碗を伏せた如き形状、構造のものである。ボルト11はこの例ではボルト回し具係合部13の下へも若干突出しており、その突出部112がボルト台座12の頂部貫通孔121を貫通して台座12の下面側凹所122へ突出している。
【0007】
突出部112に抜け止め部材14が取り付けられていることで、ボルト11は台座12から抜け止めされている。抜け止め部材14は図示例では突出部112に螺合させた6角形ナットであるが、他の抜け止め部材、例えば、所謂C形等のスナップリング、突出部112に螺合する6角形ナット以外の部材などであることもある。
【0008】
図17に示すブラケット5は、被支持物品3に固定するフランジ部51及び物品支持脚1のボルト雄ねじ111を螺合させるボルト連結部52を含んでいる。フランジ部51は複数のボルト通し孔511を有しており、その孔511に通したボルト50で被支持物品3に連結固定されている。
【0009】
ボルト連結部52は、物品支持脚1のボルト雄ねじ111を螺合させる貫通雌ねじ孔521を有している。フランジ部51にはこの雌ねじ孔に連通するボルト通し孔512が形成されている。
【0010】
物品支持脚1は、図17に例示するように、被支持物品3にボルト50で固定されたブラケット5の雌ねじ孔521にボルト11の雄ねじ111を螺合させ、ブラケット5からのボルト突出量を調整するとともに、ボルト台座12を物品支持基体(物品を配置する建物の床、工場等の床など)4上に配置することで物品3を物品支持基体4上に高さ調整して支持することができる。ボルト11は、必要に応じ、ボルト回し具係合部13に図示省略のボルト回し具を係合させて回し操作できる。
【0011】
以上説明した類の物品支持脚は例えば特許第3035474号公報や特許第3129905号公報に記載されている。
【0012】
これら特許公報に記載された物品支持脚ではボルト回し具係合部とボルト台座との間にスラストベアリングが嵌装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3035474号公報
【特許文献2】特許第3129905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
以上説明したごときブラケットは、求められたときに迅速に提供できるように、想定される物品支持脚の種々のボルト雄ねじサイズに対応できるように準備し、保管しておかなければならない。すなわち、物品支持脚のボルト雄ねじを螺合させるねじ孔のネジサイズが様々である多種類のブラケットをそれぞれ形成し、保管しておかなければならない。そのために、ブラケットの保管費が嵩み、ひいてはそれだけブラケットが高価になる。
【0015】
また、一つの種類のブラケットの在庫がなくなってくると、そのブラケットの一部ではなく、そのブラケット全体を製作しなければならず、在庫が無くなりつつある、或いは既に無くなったブラケットが求められたとき、そのブラケットを速やかに提供し難い場合がある。
【0016】
これらのことは、物品支持脚及びそれを被支持物品に連結するためのブラケットに関して生じるだけでなく、一般的に言えば、二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであって、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットについて生じる。
【0017】
そこで本発明は、二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであり、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットであって、前記他方の物品のボルト雄ねじのネジサイズに応じて、簡単、安価に提供できるブラケットを提供することを課題とする。
【0018】
また本発明は、二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであり、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットの製造方法であって、前記他方の物品のボルト雄ねじのネジサイズに適合したブラケットを、簡単、安価に製造できるブラケットの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
前記課題を解決するため本発明は次のブラケット及びその製造方法を提供する。
(1)ブラケット
二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであり、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットであって、前記ボルト連結部では、ボルト連結部本体に形成された孔に前記ボルト雄ねじが螺合可能の雌ねじ孔を有するねじ孔付き部材が圧入固定されており、前記ねじ孔付き部材の前記ボルト連結部本体の孔への圧入固定は、該ねじ孔付き部材を外周面平滑部材とするとともに前記ボルト連結部本体の孔を雌ねじ孔として該雌ねじ孔のねじを圧潰しつつ前記ねじ孔付き部材を該雌ねじ孔へ圧入するか、又は前記ボルト連結部本体の孔を内周面平滑な孔とするとともに前記ねじ孔付き部材を外周に雄ねじを形成した部材として該ねじ孔付き部材をその雄ねじを圧潰しつつ前記ボルト連結部本体の孔に圧入することでなされているブラケットを提供する。
【0020】
(2)ブラケットの製造方法
二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであって、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットの製造方法であり、
前記固定部と、前記ボルト連結部の本体であって部材圧入固定用孔を有するボルト連結部本体とを一体化した基体を形成する第1工程と、
前記他方の物品のボルト雄ねじを螺合させるねじ孔を有するねじ孔付き部材を形成する第2工程と、
前記ねじ孔付き部材を前記基体のボルト連結部本体の部材圧入固定用孔に圧入固定して前記ボルト連結部を形成する第3工程とを含んでおり、
前記第1工程では、前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用孔として雌ネジ孔又は内周面平滑孔を形成し、
前記第2工程では、前記ねじ孔付き部材として、前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用孔が雌ネジ孔であるときは外周面平滑なねじ孔付き部材を形成し、前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用孔が内周面平滑孔であるときは外周に雄ねじ有するねじ孔付き部材を形成し、
前記第3工程では、外周面平滑な前記ねじ孔付き部材を前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用の雌ねじ孔に該雌ねじを圧潰しつつ圧入するか、又は外周に雄ねじを有する前記ねじ孔付き部材を該雄ねじを圧潰しつつ前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用の内周面平滑孔に圧入するブラケットの製造方法。
【0021】
本発明に係るブラケットは、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットであって、そのボルト連結部はボルト連結部本体に形成された孔に前記ねじ孔付き部材が圧入固定されているものである。
【0022】
ここで「ボルト連結部本体に形成された孔」は「雌ネジ孔」又は「内周面平滑な孔」であり、この孔に圧入固定されるねじ孔付き部材は外周面平滑又は外周に雄ねじを有する部材であるが、いずれにしても、本発明に係るブラケットは次のように簡単、容易に提供できる。
【0023】
例えば、基本的には本発明に係るブラケットの製造方法に従って、次のように簡単、容易に製造、提供できる。
すなわち、例えば、固定部と、前記ねじ孔付き部材圧入固定用の孔を有するボルト連結部本体とを含む基体を予め複数個形成しておく一方(本発明方法の第1工程に基づく工程)、前記ねじ孔付き部材としてねじ孔の雌ネジサイズが種々異なる多種類のねじ孔付き部材を予め形成しておくことで(本発明方法の第2工程に基づく工程)、前記他方の物品のボルト雄ねじの様々なサイズごとに、それに適合可能なねじ付き部材を選択し、該選択したねじ孔付き部材を前記ボルト連結部本体の孔に圧入固定して(本発明方法の第3工程に基づく工程)、簡単、容易に、前記他方の物品のボルト雄ねじに適合するブラケットを提供できる。
【0024】
さらに説明すると、例えば、前記基体の形成にあたっては、前記ボルト連結部本体の、前記ねじ孔付き部材圧入固定用の孔が同一である同じ基体を安価に多数個形成しておくことができる。また、前記ねじ孔付き部材としてねじ孔の雌ネジサイズが種々異なる、しかし部材外周に関しては同一である多種類のねじ孔付き部材を、ブラケット全体を作る場合と比べると簡単、安価に予め形成しておくことができる。
【0025】
そして、前記他方の物品のボルト雄ねじの様々なサイズに応じて、そのボルト雄ねじに適合可能なねじ付き部材を選択し、該選択したねじ孔付き部材を前記ボルト連結部本体の孔に圧入固定して、簡単、容易に、安価に、前記他方の物品のボルト雄ねじに適合するブラケットを提供できる。
【0026】
また、例えば、前記基体についても前記ねじ孔付き部材圧入固定用の孔がサイズ等の点で種々異なる基体を、それぞれの基体について安価に多数個形成しておく一方、それぞれの孔サイズの基体ごとに、ねじ孔の雌ネジサイズが種々異なる、しかし部材外周に関してはサイズ等の点で同一である多種類のねじ孔付き部材を予め形成しておくことで、より一層、前記他方の物品の多種類のボルト雄ねじサイズに応じて、そのボルト雄ねじに適合可能なねじ孔付き部材及びその部材を圧入固定可能の孔を有する基体を選択し、簡単、容易に、そして多種類のボルト雄ねじサイズに対応できる割りには安価に、前記他方の物品のボルト雄ねじに適合するブラケットを提供できる。
【0027】
このように本発明に係るブラケットは、前記他方の物品のボルト雄ねじのネジサイズに応じて、簡単、安価に提供できるものであり、本発明に係るブラケット製造方法によると、前記他方の物品のボルト雄ねじのネジサイズに適合したブラケットを、簡単、安価に製造できる。また、これらにより、前記他方の物品のボルト雄ねじのネジサイズに適合するブラケットを迅速に製作、提供でき、それによりブラケット不足が発生することを抑制できる。
【発明の効果】
【0028】
以上説明したように本発明によると、二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであり、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットであって、前記他方の物品のボルト雄ねじのネジサイズに応じて、簡単、安価に提供できるブラケットを提供することができる。
【0029】
また本発明によると、二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであり、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットの製造方法であって、前記他方の物品のボルト雄ねじのネジサイズに適合したブラケットを、簡単、安価に製造できるブラケットの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係るブラケットの1例の正面図である。
【図2】図1に示すブラケットの背面図である。
【図3】図1に示すブラケットの平面図である。
【図4】図1に示すブラケットの底面図である。
【図5】図1に示すブラケットの右側面図である。
【図6】ブラケット基体の正面図である。
【図7】ブラケット基体の背面図である。
【図8】ブラケット基体の平面図である。
【図9】ブラケット基体の底面図である。
【図10】ブラケット基体の右側面図である。
【図11】ねじ孔付き部材の正面図である。
【図12】ねじ孔付き部材の背面図である。
【図13】ねじ孔付き部材の平面図である。
【図14】ねじ孔付き部材の底面図である。
【図15】ねじ孔付き部材の右側面図である。
【図16】図1に示すブラケットの使用状態例を示す図である。
【図17】従来のブラケット例とその使用状態例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下図面を参照して本発明に係るブラッケットの例について説明する。
図1〜図5は本発明に係るブラケットの1例の正面図、背面図、平面図、底面図及び右側面図である。左側面図は示していないが、右側面図と対称にあらわれる。
【0032】
これらの図に示されるブラケット2は、一般的に言えば、二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであって、一方の物品に固定する固定部21及び他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部23を含んでいる。
【0033】
このブラケット2は、例えば図16に示すような物品支持脚1で支持して用いることがある被支持物品3(それとは限定されないが、例えば工作機械、ベルトコンベア等)に物品支持脚1を取り付けるために用いることができるものである。物品支持脚1の構造等及びブラケット2の使用例については後ほど説明する。
【0034】
ブラケット2は、図6〜図10に示すブラケット基体21を形成、準備しておく一方、 図11〜図15に示すねじ孔付き部材22を形成、準備しておき、ねじ孔付き部材22を基体21のねじ孔付き部材圧入固定用の孔213に圧入固定することで簡単、容易に製作される。
【0035】
ブラケット基体21は、被支持物品に固定可能の固定部211及びこれと一体的に形成されたボルト連結部本体212とからなっている。
固定部211は全体的に四角板状の形状を呈しており、被支持物品にこれをボルト固定するためのボルト通し孔211aを有している。
【0036】
ボルト連結部本体212は固定部211の一端部からそれに垂直な方向に突出するように形成されている。ボルト連結部本体212にはねじ孔付き部材圧入固定用の孔213が形成されている。ここでは、ねじ孔付き部材圧入固定用の孔213は雌ねじ孔である。
【0037】
一方、ねじ孔付き部材22は、一般的に言えば、前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させる雌ねじ孔を形成した円筒状の部材である。ここでは、図6〜図10に示すように、中心部に、物品支持脚1のボルト11の雄ねじ111(図16参照)を螺合させることができる雌ねじ孔221を形成した外周面平滑な円筒状部材であり、片方の端部にフランジ222が一体的に形成されている。
【0038】
このねじ孔付き部材22のフランジ222を除く断面円形部分の外径は、その部分をブラケット基体21のボルト連結部本体212の部材圧入固定用の雌ねじ孔213にその雌ねじを圧潰しつつ圧入固定できる外径であり、ここでは、1例として雌ねじ孔213の雌ねじ有効径と同一又は略同一の外径を採用している。
【0039】
以上のように形成、準備されるブラケット基体21のボルト連結部本体212の部材圧入固定用の雌ねじ孔213にその雌ねじを圧潰しつつねじ孔付き部材22をそのフランジ222がボルト連結部本体212に略当接するまで圧入固定することでボルト連結部23を形成して、図1〜図5に示すブラケット2を得ることができる。フランジ222とは反対側の端部223(図では、ボルト連結部本体212から上方へ突出した端部223)の周縁部の全部又は一部をかしめ処理して、一層、部材22が孔213から抜け難くしてもよい。
【0040】
図示例では、ボルト連結部本体212の孔213を雌ねじ孔とし、ねじ孔付き部材22の外周面を平滑に形成しているが、ボルト連結部本体の孔213を内周面平滑な孔とし、ねじ孔付き部材22の外周に雄ねじを形成し、ねじ孔付き部材22をその外周雄ねじを圧潰しつつ孔213に圧入固定するようにしてもよい。そのとき、孔213の内径を部材22の雄ねじの有効径と同一又は略同一とする例を挙げることができる。
【0041】
このブラケット2は、例えば図16に示すように被支持物品3を物品支持脚1で高さ調整して支持するために該物品支持脚1を被支持物品3に取り付けることに利用できる。
図16に示す物品支持脚1は図17に示す物品支持脚1と同じものであり、図17の支持脚1と同じ部品、部分には図17と同じ参照符号を付してある。
【0042】
なお、物品支持脚1においては、図示していないが、ボルト回し具係合部13とボルト台座12との間にスラストベアリングを嵌装してもよい。また、ボルト台座12の下面側凹所122へ突出しているボルト部分121には、抜け止め部材14として例えば雌ねじ部材をその雄ねじを圧潰しつつ圧入固定するなどしてもよい。
【0043】
ブラケット2を用いて物品支持脚1を被支持物品3に取り付けるにあたっては、被支持物品3の、物品支持脚1を取り付けようとする部位に、ブラッケト2の固定部211を、ボルト孔211aに通したボルト210で固定する一方、ブラケット2のボルト連結部23におけるねじ孔付き部材22の雌ねじ孔221に物品支持脚1のボルト雄ねじ111を螺合させる。そのボルト11のブラケット2からの突出量を調整してボルト台座4を物品支持基体4に配置することで、物品3を高さ調整して物品支持基体4上に設置することができる。勿論、物品支持脚1は複数のブラケット2を使って必要に応じた個数を取り付けることができる。
【0044】
以上説明したブラケット2は、ブラケット基体21を予め複数個形成しておく一方、ねじ孔付き部材22としてねじ孔221の雌ネジサイズが種々異なる多種類のねじ孔付き部材22を予め形成しておくことで、物品支持脚1のボルト雄ねじ111の様々なサイズごとに、それに適合可能なねじ付き部材22を選択し、該選択したねじ孔付き部材22をボルト連結部本体212の雌ねじ孔213に圧入固定して、簡単、容易に、物品支持脚1のボルト雄ねじ111に適合するブラケット2を提供できる。
【0045】
さらに説明すると、例えば、ブラケット基体21の形成にあたっては、ボルト連結部本体212の雌ねじ孔213が同じである同じ基体2を安価に多数個形成しておくことができる。また、ねじ孔付き部材22としてねじ孔221の雌ネジサイズが種々異なる、しかし部材外周に関しては外径同一の多種類のねじ孔付き部材22を、従来のようにブラケット全体を作る場合と比べると簡単、安価に予め形成しておくことができる。
【0046】
そして、物品支持脚1のボルト雄ねじ111の様々なサイズに応じて、そのボルト雄ねじ111に適合可能なねじ付き部材22を選択し、該選択したねじ孔付き部材22をボルト連結部本体212の雌ねじ孔213に圧入固定して、簡単、容易に、安価に、物品支持脚1のボルト雄ねじ111に適合するブラケット2を提供できる。
【0047】
また、例えば、ブラケット基体21についてもねじ孔付き部材圧入固定用の雌ねじ孔213がサイズ等の点で種々異なる基体を、それぞれの基体21について安価に多数個形成しておく一方、それぞれの孔サイズの基体21ごとに、ねじ孔221の雌ネジサイズが種々異なる、しかし部材外径については同一である多種類のねじ孔付き部材22を予め形成しておくことで、より一層、物品支持脚1の多種類のボルト雄ねじ111サイズに応じて、そのボルト雄ねじサイズごとに適合可能なねじ孔付き部材22及びその部材22を圧入固定可能の雌ねじ孔213を有する基体21を選択し、簡単、容易に、そして多種類のボルト雄ねじサイズに対応できる割りには安価に、物品支持脚1のボルト雄ねじ111に適合するブラケット2を提供できる。
【0048】
このようにブラケット2は、他方の物品(ここでは物品支持脚1)のボルト雄ねじのネジサイズに応じて、簡単、安価に提供できるものであり、また、簡単、安価に製造できる。また、これらにより、前記他方の物品のボルト雄ねじのネジサイズに適合するブラケットを迅速に製作、提供でき、それによりブラケット不足が発生することを抑制できる。
【0049】
以上、物品支持脚1を被支持物品3へ取り付けるときにブラケット2を利用する例を示したが、ブラケット2を含め、本発明に係るブラケットは、例えば重量物にキャスタを、該キャスタに設けられた取り付け用ボルトで取り付ける場合など、様々に利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットを、他方の物品のボルト雄ねじのネジサイズに応じて、簡単、安価に提供することに利用できる。
【符号の説明】
【0051】
1 物品支持脚
11 ボルト
111 ボルト雄ねじ
12 ボルト台座
13 ボルト回し具係合部
14 抜け止め部材
2 ブラケット
21 ブラケット基体
211 固定部
211a ボルト通し孔
212 ボルト連結部本体
213 雌ねじ孔
22 ねじ孔付き部材
221 雌ねじ孔
222 フランジ
23 ボルト連結部
210 ボルト
3 被支持物品
4 物品支持基体
5 従来ブラケット
51 フランジ部
511 ボルト通し孔
50 ボルト
52 ボルト連結部
521 雌ねじ孔
512 ボルト通し孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであり、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットであって、前記ボルト連結部では、ボルト連結部本体に形成された孔に前記ボルト雄ねじが螺合可能の雌ねじ孔を有するねじ孔付き部材が圧入固定されており、前記ねじ孔付き部材の前記ボルト連結部本体の孔への圧入固定は、該ねじ孔付き部材を外周面平滑部材とするとともに前記ボルト連結部本体の孔を雌ねじ孔として該雌ねじ孔のねじを圧潰しつつ前記ねじ孔付き部材を該雌ねじ孔へ圧入するか、又は前記ボルト連結部本体の孔を内周面平滑な孔とするとともに前記ねじ孔付き部材を外周に雄ねじを形成した部材として該ねじ孔付き部材をその雄ねじを圧潰しつつ前記ボルト連結部本体の孔に圧入することでなされていることを特徴とするブラケット。
【請求項2】
前記二つの物品のうち一方の物品は被支持物品であり、前記他方の物品はボルト台座に雄ねじを形成したボルトが立設された、前記被支持物品を支持するための物品支持脚であり、前記ボルト連結部本体の孔に圧入固定された前記ねじ孔付き部材は該物品支持脚のボルト雄ねじを螺合させる部材である請求項1記載のブラケット。
【請求項3】
二つの物品のうち一方の物品に、雄ねじを形成したボルトを含む他方の物品を該ボルトで取り付けるにあたり用いるブラケットであって、前記一方の物品に固定する固定部及び前記他方の物品のボルトの雄ねじを螺合させるボルト連結部を含んでいるブラケットの製造方法であり、
前記固定部と、前記ボルト連結部の本体であって部材圧入固定用孔を有するボルト連結部本体とを一体化した基体を形成する第1工程と、
前記他方の物品のボルト雄ねじを螺合させるねじ孔を有するねじ孔付き部材を形成する第2工程と、
前記ねじ孔付き部材を前記基体のボルト連結部本体の部材圧入固定用孔に圧入固定して前記ボルト連結部を形成する第3工程とを含んでおり、
前記第1工程では、前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用孔として雌ネジ孔又は内周面平滑孔を形成し、
前記第2工程では、前記ねじ孔付き部材として、前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用孔が雌ネジ孔であるときは外周面平滑なねじ孔付き部材を形成し、前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用孔が内周面平滑孔であるときは外周に雄ねじ有するねじ孔付き部材を形成し、
前記第3工程では、外周面平滑な前記ねじ孔付き部材を前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用の雌ねじ孔に該雌ねじを圧潰しつつ圧入するか、又は外周に雄ねじを有する前記ねじ孔付き部材を該雄ねじを圧潰しつつ前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用の内周面平滑孔に圧入することを特徴とするブラケットの製造方法。
【請求項4】
前記二つの物品のうち一方の物品は被支持物品であり、前記他方の物品はボルト台座に雄ねじを形成したボルトが立設された、前記被支持物品を支持するための物品支持脚であり、前記第3工程において前記ボルト連結部本体の部材圧入固定用孔に圧入される前記ねじ孔付き部材は該物品支持脚のボルト雄ねじを螺合させる部材である請求項3記載のブラケットの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−92921(P2012−92921A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−241762(P2010−241762)
【出願日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【出願人】(390037051)株式会社大和螺子 (23)
【出願人】(598010182)
【Fターム(参考)】