説明

ブレーキ液圧制御装置

【課題】 ブレーキ液圧制御装置において、ポンプ作動時のモータから発生する振動に起因する音振を抑制すること。
【解決手段】 ハウジングに互いに回転軸が同じ方向になるように組み付けられ、独立して駆動可能な2組の回転駆動式ポンプモータと、前記ハウジング内に設けられ、前記各ポンプモータにより駆動される2組のポンプと、前記ハウジングに組みつけられ、ブレーキ液を加圧して車両に設けられた複数のホイルシリンダを加圧するために前記各ポンプモータを回転駆動可能なコントロールユニットと、を備え、前記コントロールユニットは、運転者のブレーキ操作に応じて演算される指令値に基づき前記各ポンプモータを回転駆動し、前記ホイルシリンダに対する要求液圧が設定された液圧より高い場合には前記各モータを互いに逆回転させ、低い場合には前記回転駆動式ポンプモータの1つを回転させて前記ホイルシリンダを加圧することした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブレーキ液圧制御装置に関し、特に各輪毎にモータポンプを備え、各輪共に独立にアンチスキッドブレーキ制御を実施可能な油圧ユニットを備えたブレーキ液圧制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のブレーキ液圧制御装置においては、各輪に油圧ユニットを独立に設けて、各油圧ユニットとマスタシリンダとを鋼管で接続した構成としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−147524号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、上述のブレーキ液圧制御装置にあっては、下記に示す問題があった。各輪毎にモータポンプからなる油圧ユニットを独立に備え、モータポンプ作動時にモータは同一方向に回転する構成であるため、油圧ユニットの数が増加し、コスト増大に繋がる。また、ポンプ作動時のモータから発生する振動が互いに重畳され、鋼管を介して車内に伝達するという問題がある。
本発明は、上記問題に着目してなされたもので、ブレーキ液圧制御装置において、ポンプ作動時のモータから発生する振動に起因する音振を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本願発明では、ハウジングに互いに回転軸が同じ方向になるように組み付けられ、独立して駆動可能な2組の回転駆動式ポンプモータと、前記ハウジング内に設けられ、前記各ポンプモータにより駆動される2組のポンプと、前記ハウジングに組みつけられ、ブレーキ液を加圧して車両に設けられた複数のホイルシリンダを加圧するために前記各ポンプモータを回転駆動可能なコントロールユニットと、を備え、前記コントロールユニットは、運転者のブレーキ操作に応じて演算される指令値に基づき前記各ポンプモータを回転駆動し、前記ホイルシリンダに対する要求液圧が設定された液圧より高い場合には前記各モータを互いに逆回転させ、低い場合には前記回転駆動式ポンプモータの1つを回転させて前記ホイルシリンダを加圧することした。
【発明の効果】
【0006】
よって、回転方向の異なるモータにより発生する振動は、互いのモータにより発生する振動で相殺され、ポンプ作動時のモータから発生する振動に起因する音振を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施例におけるブレーキ液圧制御ユニットを、ポンプモータ側から見た斜視図である。
【図2】実施例1における前輪側油圧ユニットの油圧回路図である。
【図3】実施例1における後輪側油圧ユニットの油圧回路図である。
【図4】実施例1におけるモータ駆動制御内容を表すフローチャートである。
【図5】実施例1におけるポンプモータの回転方向と発生する振動との関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のブレーキ液圧制御装置を実現する最良の形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
【実施例1】
【0009】
まず、本実施例のブレーキ液圧制御装置を説明する。本実施例1の油圧ユニットは、前輪側と後輪側で別々に設けられており、それぞれの油圧ユニットに複数のポンプモータが設けられている。この油圧ユニットの構成を説明するにあたり、前輪側を例にとって説明する。
図1は本実施例におけるブレーキ液圧制御ユニットのうち、前輪側油圧ユニットF/Uをポンプモータ側から見た斜視図である。前輪側油圧ユニットF/Uは、ポンプモータ12,13と、バルブユニットV/Uと、コントロールユニットC/Uから構成され、それぞれが層状に重なるように配置されている。つまり、ポンプモータ12,13は共通のハウジング4に組み付けられている。また、ポンプモータ12の回転方向はB(反時計回り)、ポンプモータ13の回転方向はA(時計回り)、つまり互いに逆方向に回転する。尚、ポンプモータ12,13の回転についての詳細は図5において説明することとする。
【0010】
[前輪側油圧ユニットの油圧回路及び制御について]
図2は、実施例1における前輪側油圧ユニットF/Uの油圧回路図である。まず、構成について説明する。
【0011】
ブレーキペダル1を踏み込むと、マスタシリンダ3に液圧が発生する。マスタシリンダ3は、所謂タンデム型であり、油路26を介して供給するP系統と、油路27を介して供給するS系統にそれぞれ独立に同じ液圧を供給することができるものである。また、マスタシリンダ3にはブレーキ液を貯留するリザーバタンク24が設けられている。
【0012】
油路26上には遮断弁6が設けられ、油路27上には遮断弁7が設けられている。遮断弁6から油路26→油路28を連通する油路上にはホイルシリンダ8(FL)が設けられている。遮断弁7から油路27→油路29を連通する油路上にはホイルシリンダ9(FR)が設けられている。
【0013】
油路38上にはポンプ10が設けられている。油路39上にはポンプ11が設けられている。このポンプ10,11は、コントロールユニットからの指令値に基づいてポンプモータ12,13により駆動される。本実施例では、各輪毎にポンプ10,11が設けられているが、2つ以上の液圧源を備えた構成であってもよく、特に限定しない。
【0014】
ポンプ10,11とホイルシリンダ8,9との間には各輪毎の油路を連通及び遮断可能なアイソレーションバルブ22が設けられている。このアイソレーションバルブ22は、非通電時は閉弁状態(所謂ノーマルクローズタイプ)である。
【0015】
ポンプ10,11の吐出側には、ポンプと直列に吐出チェック弁18,19が設けられている。これは、ポンプ10,11を駆動して必要量の油圧を供給したときに、この吐出チェック弁18,19を設けることでポンプ10,11側に液圧が戻らないようにしている。これにより、それ以上ポンプ10,11を駆動させることなく液圧を保持することが可能となり、必要最小限のポンプ10,11の駆動で液圧を供給することができるよう構成されている。
【0016】
油路34上には減圧弁14が設けられている。油路35上には減圧弁15が設けられている。非通電のとき、遮断弁6,7は開弁し、減圧弁14,15は閉弁する。この状態でブレーキペダル1を踏むとブレーキスイッチ2はONにセットされ、マスタシリンダ3において圧力が発生する。マスタシリンダ3において発生した圧力が油路26→前記遮断弁6→油路28の順にホイルシリンダ8に伝達される。また、油路27→前記遮断弁7→油路29の順にホイルシリンダ9に伝達される。
【0017】
油路36上にはリリーフバルブ16が設けられている。油路37上にはリリーフバルブ17が設けられている。尚、このリリーフバルブ16,17の許容液圧値は油圧回路内の必要な最高液圧に設定されている。
【0018】
(前輪側油圧ユニットF/Uにおけるブレーキバイワイヤ制御)
本実施例における前輪側油圧ユニットF/Uはいわゆるブレーキバイワイヤ制御を実行している。すなわち、運転者のキー操作によりIGN ONとされると、遮断弁6,7を閉じる。そして、運転者のブレーキ操作意図をマスタシリンダ圧等から検出し、その意図及び走行状況に応じて、ポンプ10,11によって所望のブレーキ液圧を発生させるものである。
【0019】
ここで、ポンプ10,11が駆動されると、ブレーキ液がリザーバタンク24から吸入され、加圧される。加圧されたブレーキ液は油路28,30,32、38を介してホイルシリンダ8内を加圧する。又、油路29,31,33,39を介してホイルシリンダ9内を加圧する。また、発生したブレーキ液圧はホイルシリンダ圧センサ20,21にて検出される。尚、マスタシリンダ圧は、マスタシリンダ圧センサ、ストロークセンサ等により検出できるが、これらに限るものではなく、他の手段を用いてもよい。
【0020】
(ABS制御)
運転者がブレーキペダル1を踏み、前輪側のホイルシリンダ8,9に制動力が入力されている状態において、車輪速センサ等により車輪のロックを検出した場合は、前輪側ホイルシリンダ圧を制御することでABS制御を行うことができる。すなわち、遮断弁6,7を閉弁し、減圧弁14,15を開弁することで減圧、減圧弁14,15を閉弁することで液圧保持、遮断弁6,7を開弁することで増圧が可能であり、ABS制御を達成できる。
【0021】
(TCS制御)
前輪のスリップ状態を車輪速センサ等で検知した場合、前輪側ホイルシリンダ圧を制御することでTCS制御を行うことができる。すなわち、遮断弁6,7を閉弁し、ポンプモータ12,13及びポンプ10,11を駆動させ、リザーバタンク24からフレキシブルホース41、ポンプ10,11を経由して増圧、ポンプモータ12,13及びポンプ10,11を停止させることで液圧保持、減圧弁14,15を開弁することで減圧が可能であり、TCS制御を達成できる。
【0022】
(スピン防止制御)
ヨーレイトセンサ等、車両のスピン方向を検出するセンサを設け、上記のTCS制御と同様の制御を行うことで、スピン防止制御を行うことができる。
【0023】
本実施の形態の前輪側油圧ユニットF/Uにおいては、ハウジング4を共通とすることにより、油圧ユニットを1つにまとめることが可能となるため、油圧ユニットの数を少なくすることができる。これにより、部品点数を減らすことが可能となり、コスト削減を図ることができる。また油圧ユニットがブレーキ液圧制御装置に占める割合を少なくすることが可能となり、省スペース化及び軽量化を図ることができる。
【0024】
[後輪側油圧ユニットの油圧回路及び制御について]
図3は、後輪側油圧ユニットR/Uの油圧回路図である。外観については基本的に前輪側油圧ユニットF/Uと同様であるため説明を省略する。まず、構成について説明する。
【0025】
後輪の各輪に制動力を発生させるホイルシリンダ52(RL),53(RR)は、マスタシリンダ3とは直接接続されていない。各ホイルシリンダ52,53の液圧を増圧・保持可能な液圧制御バルブである遮断弁50,51及び減圧弁58,59から成り立っている。また、後輪側油圧ユニットR/Uは、フレキシブルホース71を介して、リザーバタンク24と接続されている。
【0026】
各ホイルシリンダ52,53の液圧制御について説明する。増圧時は、遮断弁50,51を開弁し、ブレーキ液がリザーバタンク24からフレキシブルホース71、遮断弁50,51、油路78,81を経由して、一旦ダイヤフラム72,73に一時的に蓄圧され、油路79,82に流れる。ポンプモータ56,57を駆動して、ポンプ54,55を駆動させることにより、油路75,77を経由して各ホイルシリンダ52,53にブレーキ液が供給される。尚、本実施の形態においては、ポンプ54,55はプランジャポンプが適用される。
【0027】
尚、減圧弁58,59は、前輪側の減圧弁14,15と異なり、常開弁としている。常開弁とすることで、制動時に後輪フェールセーフでシステム遮断となったときにブレーキ液がホイルシリンダ内へ封じ込められて不要な制動力が発生することを防止している。
【0028】
また、ポンプ54,55は、ブレーキ操作に応じて演算されるコントロールユニットからの指令値に基づいてポンプモータ56,57により駆動される。そして、ホイルシリンダ圧センサ69,70により検出される圧力が適正な値となるようにポンプモータ56,57が駆動される。
【0029】
ここで、ポンプ吸入側には吸入チェック弁67,68が設けられ、吐出側には吐出チェック弁65,66が設けられている。また、吐出側には脈圧低減用オリフィス63,64が設けられている。更に、油路80,83上にはリリーフバルブ61,62が設けられている。このリリーフバルブ61,62の許容値は、油圧回路内の必要な最高液圧値に設定されている。
【0030】
アイソレーションバルブ60は、非通電(OFF)時は開弁状態(所謂ノーマルオープンタイプ)で、右後輪側と左後輪側の油路を遮断している。このアイソレーションバルブ60を閉じることにより、ポンプ54,55に発生した液圧を左右輪それぞれ独立に供給することが可能である。つまり、一方のホイルシリンダと連通する油路に失陥が発生し、システムが遮断する時も、アイソレーションバルブ60によって左右ホイルシリンダ53,53とマスタシリンダ3とを独立した油圧回路として確保しているため、少なくとも1輪は制動力を発生することが可能となり、安全性を確保できる。
【0031】
尚、後輪側油圧ユニットR/Uにおいても前輪側油圧ユニットF/Uと同様に、遮断弁50,51及び減圧弁58,59を制御することにより、ブレーキバイワイヤ制御、ABS制御、TCS制御、スピン防止制御等の制御を行うことができる。
【0032】
すなわち、後輪側油圧ユニットR/Uにおいても、前輪側油圧ユニットF/Uと同様に、ハウジング4を共通とすることで油圧ユニットの数を少なくすることができる。よって、部品点数を減らすことでコスト削減を図ることができると共に、油圧ユニットがブレーキ液圧制御装置に占める割合を少なくすることが可能となり、省スペース化及び軽量化を図ることができる。
【0033】
また、後輪側油圧ユニットR/Uは、マスタシリンダ3に設けられたリザーバタンク24とフレキシブルホース71で接続されているため、鋼管で接続される場合に比べてマスタシリンダ3側への音振の伝達を抑制することができる。
【0034】
[ポンプモータ駆動制御内容]
次に、前輪側油圧ユニットF/Uを例に取り、ポンプモータ駆動制御の内容について説明する。図4は、実施例1におけるモータ駆動制御内容を表すフローチャートである。
【0035】
ステップ101において、ポンプモータ12,13が2つとも回転するかどうか、セルフチェックを行う。2つとも回転する場合はステップ102へ進む。それ以外はステップ112に進み、フェールセーフモード動作を行い、本制御フローを終了する。
【0036】
ステップ102において、ドライバのブレーキ操作を検知する。
【0037】
ステップ103において、ヨーレイトセンサ等で車体状況を検知して、左右輪のそれぞれについて独立制御量が必要であるかどうかを確認する。左右輪それぞれ独立した制御量が必要な場合はステップ104へ進む、それ以外はステップ107へ進む。
【0038】
ステップ104において、アイソレーションバルブ22を閉弁し、ステップ105へ進む。
【0039】
ステップ105において、マイコン等により各輪について必要な液圧上昇量を判断し、ステップ106へ進む。
【0040】
ステップ106において、ポンプモータ12,13の両方を作動させ、ステップ111へ進む。尚、ポンプモータ12,13はそれぞれ逆回転作動させることとする。
【0041】
ステップ107において、アイソレーションバルブ107を開弁し、ステップ108へ進む。
【0042】
ステップ108において、マイコン等により各輪について必要な液圧上昇量を判断し、ステップ109へ進む。
【0043】
ステップ109において、要求する液圧が閾値よりも高いかどうかを判断する。閾値よりも高い場合はステップ106へ進み、ポンプモータ12,13の両方を作動させる。また、閾値よりも低い場合は、ポンプモータ12,13のうち1つのみを作動させ、ステップ111へ進む。
【0044】
ステップ111において、各輪の要求ブレーキ量を昇圧させ、本制御フローを終了する。
【0045】
すなわち、2つのポンプモータを用いる場合には、1)左右輪を独立して制御する必要がある場合、2)要求する液圧量が多い場合、の2通りがある。これら2つのポンプモータを用いる場合において、互いに相反する方向に回転させることとする。尚、ポンプモータの回転方向に関する詳細は後述の図5において説明する。
【0046】
[ポンプモータの回転方向と発生する振動との関係]
図5は、実施例1におけるポンプモータの回転方向と発生する振動との関係を示す図である。前輪側油圧ユニットF/Uを例に取り説明する。尚、後輪側油圧ユニットR/Uにおいても同様の関係が成り立つ。ここで、回転方向Aのときに発生するトルク量をTa、回転方向Bのときに発生するトルク量を−Tbとする。
【0047】
図5(a)は、ポンプモータ12,13の回転方向が同じ場合を表す図である。ポンプモータ12,13の回転により前輪側油圧ユニットF/U全体が受けるトルク量は、Ta+Ta、つまりポンプモータ2つ分が発生するトルク量の和が前輪側油圧ユニットF/Uからの振動源となる。振動は油路26,27を介して車室内に伝達される。
【0048】
図5(b)は、ポンプモータ12,13の回転方向が逆の場合を表す図である。ポンプモータ12,13の回転により前輪側油圧ユニットF/U全体が受けるトルク量は、Ta−Tbとなる。つまり、ポンプモータ12起因のトルク量Taとポンプモータ13起因のトルク量Tbを互いに相殺することができる。このため、少なくともポンプモータ12,13の回転方向が同じ場合に比べて前輪側油圧ユニットF/Uが受けるトルク量を小さくすることが可能となり、油路26,27を介して車室内に伝達される振動を抑制することができる。尚、上記の効果は2つのポンプモータ12,13がハウジング4を共通としていることから達成できるものである。
【0049】
以上説明したように、本実施例1のブレーキ液圧制御装置においては、前輪側油圧ユニットF/Uと後輪側油圧ユニットR/Uから構成され、各油圧ユニットにおいて、2つのポンプモータのハウジング4を共通とし、ポンプモータ作動時に互いのポンプモータが相反する方向に回転駆動することとした。
【0050】
これにより、2つのポンプモータ起因のトルク量を互いに相殺することができる。このため、前輪側油圧ユニットF/Uにおいては、少なくとも2つのポンプモータ12,13の回転方向が同じ場合に比べて前輪側油圧ユニットF/Uが受けるトルク量を小さくすることが可能となり、油路26,27を介して車室内に伝達される振動を抑制することができる。また、後輪側油圧ユニットR/Uにおいては、油圧ユニットとマスタシリンダ3側をフレキシブルホース71で接続しているため、ポンプモータ56,57駆動により車室内に伝わる音振の影響をさらに少なくすることができる。
【0051】
また、前輪側、後輪側それぞれにおいて、油圧ユニットを1つにまとめることで、油圧ユニットの数を少なくすることができる。これにより、部品点数を減らすことが可能となり、コスト削減を図ることができる。また、油圧ユニットがブレーキ液圧制御装置に占める割合を少なくすることが可能となり、省スペース化及び軽量化を図ることができる。
【0052】
また、本実施例1においては、前輪側油圧ユニットF/Uと後輪側油圧ユニットR/Uを分けた構成としているが、両者を1つにまとめた構成としてもよい。尚、この構成にあっては、全部で4つのポンプモータを含むことになるが、少なくとも1つのポンプモータが他のポンプモータと相反する方向に回転した場合、全てのポンプモータが同方向に回転する場合に比べ、音振を抑制することができる。
【0053】
更に、上記各実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
【0054】
(イ) 請求項1記載のブレーキ液圧制御装置において、
ブレーキ時にポンプモータ駆動により液圧制御を行うブレーキバイワイヤ制御を行うことを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【0055】
ブレーキバイワイヤ制御は、通常ブレーキ時にポンプモータ駆動により加圧を行う。すなわち、ポンプモータの使用頻度の高い通常ブレーキ時に振動を抑制できるため、音振抑制効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0056】
1 ブレーキペダル
2 ブレーキスイッチ
3 マスタシリンダ
4 ハウジング
6,7 遮断弁
8 ホイルシリンダ(FL)
9 ホイルシリンダ(FR)
10,11 ポンプ
12,13 ポンプモータ
14,15 減圧弁
16,17 リリーフバルブ
18,19 吐出チェック弁
20,21 ホイルシリンダ圧センサ
22 アイソレーションバルブ
24 リザーバタンク
26,27 油路
41 フレキシブルホース
50,51 遮断弁
52 ホイルシリンダ(RL)
53 ホイルシリンダ(RR)
54,55 ポンプ
56,57 ポンプモータ
58,59 減圧弁
60 アイソレーションバルブ
61,62 リリーフバルブ
63,64 脈圧低減用オリフィス
65,66 吐出チェック弁
67,68 吸入チェック弁
69,70 ホイルシリンダ圧センサ
71 フレキシブルホース
72,73 ダイヤフラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングに互いに回転軸が同じ方向になるように組み付けられ、独立して駆動可能な2組の回転駆動式ポンプモータと、
前記ハウジング内に設けられ、前記各ポンプモータにより駆動される2組のポンプと、
前記ハウジングに組みつけられ、ブレーキ液を加圧して車両に設けられた複数のホイルシリンダを加圧するために前記各ポンプモータを回転駆動可能なコントロールユニットと、を備え、
前記コントロールユニットは、運転者のブレーキ操作に応じて演算される指令値に基づき前記各ポンプモータを回転駆動し、前記ホイルシリンダに対する要求液圧が設定された液圧より高い場合には前記各モータを互いに逆回転させ、低い場合には前記回転駆動式ポンプモータの1つを回転させて前記ホイルシリンダを加圧することを特徴とするブレーキ液圧制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載のブレーキ液圧制御装置において、
前記ハウジングはマスタシリンダに設けられたリザーバタンクから前記ポンプへブレーキ液を供給するための油路を備え、
前記リザーバタンクと前記油路はフレキシブルホースにより接続されていることを特徴とするブレーキ液圧制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−98734(P2011−98734A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−40284(P2011−40284)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【分割の表示】特願2004−39724(P2004−39724)の分割
【原出願日】平成16年2月17日(2004.2.17)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】