説明

プラスチックレンズおよびその製造方法

【課題】短時間および簡便な工程によりハイブリッドレンズを得ること。クラゲ状の変形が発生せず、良好な形状を有するハイブリッドレンズを得ること。
【解決手段】熱ラジカル重合および光カチオン重合を組み合わせることにより製造され、部位により硬さまたは屈折率が異なるレンズであって、1つのモールドを用いて製造されることを特徴とするレンズ。このレンズは、例えば、モノマー混合液をモールドチャンバー内で熱重合する工程、中央部のみに光を照射して光カチオン重合する工程、更に熱を加えて光カチオン重合を進行させる工程を含む方法により製造される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラスチックレンズおよびその製造方法に関し、より詳細には、中央部と周辺部の硬さまたは屈折率が異なるプラスチックレンズ(以下本明細書において「ハイブリッドレンズ」という)であって、1つのモールドを用いて製造できるハイブリッドレンズおよびその製造方法に関する。本発明は特に、眼用プラスチックレンズおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、眼用レンズ分野において、部分的に硬さもしくは屈折率が異なるレンズを製造する場合、例えば、最初に芯になる材料を重合し、次に周辺となる材料を重合する方法が知られており、接合部分の強度を確保するため、すでに重合した芯材料の表面粗さを調整したり、周辺材料の配合液に少なくとも数時間浸漬した後に周辺材料を重合する方法が開示されている(特許文献1)。また、含水性のコンタクトレンズの場合には、中央部と周辺部の膨潤率の違いによりレンズがクラゲ状に変形するのを防ぐため、膨潤率が大きい側に予め不活性な添加物を多量に含ませて重合し、水和後に当該添加物と水とを置換するという方法が知られている(特許文献2)。したがって、1段階目の重合が終わった後に2段階目の重合モノマーを充填して重合を行うことが必須であり、1つのモールドを用いて部分的に硬さもしくは屈折率が異なるレンズを一度に製造することは不可能であった。
【0003】
また一方で、ラジカル重合性モノマーおよびラジカル重合開始剤ならびに光カチオン重合性モノマーおよび光カチオン重合開始剤を含有した成形用組成物およびそれからなるレンズについても知られている(特許文献3)。
【0004】
以下に上記特許文献の概要を記載する。
特許文献1 特表2007-524870 シナジーアイズ
特許文献1は、中央ゾーンと周辺ゾーンと中間ゾーンとを含む、ハイブリッドコンタクトレンズに関する。中央ゾーンは硬質、周辺ゾーンは柔軟であり、中間部分は中央ゾーンと周辺ゾーンの接着の働きをしており、膜を含むとしている。この文献の請求項5において、当該膜は、一つ以上のアクリレートを含む化学溶液内に前記中央ゾーンを所定の浸漬時間浸漬することによって形成されるとしている。
【0005】
特許文献2 特開昭56-50313 プレシジョン・コスメット・カンパニー
特許文献2は、中央レンズ部分とそれに結合した周辺スカート部からなるコンタクトレンズにおいて、周辺スカート部は水和前にポリマーマトリックス内に水溶性固不活性物質を含むとあり、全く重合に寄与しない当該水溶性固不活性物質が、中央と周辺部との膨潤率差による変形を低減できることが記載されている。
【0006】
特許文献3 特開2003-329801 旭電化
特許文献3は、一般式(1)で表されるラジカル重合性有機化合物(a)、1分子中に平均3個以上の)(メタ)アクリル基を有する(メタ)アクリレートからなるラジカル重合性有機化合物(b)と、エネルギー線感受性ラジカル重合開始剤(c)を必須成分として含有し、好ましくは、カチオン重合性有機化合物(d)及びエネルギー線感受性カチオン重合開始剤(e)を更に含有するレンズ成形用組成物を開示している。
【0007】
(d)及び(e)を含有した場合の効果は、その明細書中[0037]に「硬化速度、硬化時の酸素による硬化阻害への耐性等の点で好ましい。」と記載されており、(d)及び(e)は単純に硬化を促進する目的で使用されると理解できる。
【0008】
従来技術においては部分的に硬さもしくは屈折率が異なるレンズを製造する場合、通常は接合部分の強度が不充分であり、接合部分の強度を確保するため、1段階目に重合した材料の切削加工や2段階目以降の材料を接合させるための含浸工程が必要であり、時間と手間を要した。
【0009】
また、部分的に膨潤率が異なることによって生じるクラゲ状の変形を防ぐためには、膨潤率が大きい側に重合に寄与しない不活性添加物を添加する必要があることから、2種類の材料を別々に重合して接合した後、切削によってレンズ形状に加工する以外に方法はなく、1つのモールド内で部分的に硬さや屈折率が異なるレンズを重合することは不可能であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特表2007-524870
【特許文献2】特開昭56-50313
【特許文献3】特開2003-329801
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ハイブリッドレンズの課題として、芯となる材料を先に重合し、周辺部分を後で重合した場合、接合部分の強度が不足し、接合部分で剥離が生じるという問題があった。また、芯材料を重合、加工する等の手間が必要であり、芯材料を周辺材料の配合液を用いて膨潤させるため、少なくとも数時間を要する等、効率的ではなかった。
【0012】
もう一つの課題として、中央部が硬質のRGP(酸素透過性レンズ)で周辺部が含水ソフトレンズの場合等、膨潤率の違いによりクラゲ状の変形(周辺部が波を打った状態)になるという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、硬い部分と柔らかい部分を有するハイブリッドレンズおよびモールド(重合用型)を用いて、熱重合(ラジカル重合)及び光重合(光カチオン重合)を併用することによるその製造方法に関する。
【0014】
即ち本発明は以下のものを提供する。
[1] 部分的に硬さが異なるプラスチックレンズであって、1つのモールドを用いて製造されることを特徴とするプラスチックレンズ。
【0015】
[2] 部分的に屈折率が異なるプラスチックレンズであって、1つのモールドを用いて製造されることを特徴とするプラスチックレンズ。
[3] 中央部と周辺部の硬さが異なる、[1]記載のプラスチックレンズ。
【0016】
[4] 中央部と周辺部の屈折率が異なる、[2]記載のプラスチックレンズ。
[5] 下記式:
変形率=光未照射部の素材のサイズ変化率/光照射部の素材のサイズ変化率
(ここで、サイズ変化率=(水和後の完成レンズサイズ)/(モールドのキャビティサイズ))
で表される変形率が0.8〜1.2である[1]〜[4]のいずれか記載のプラスチックレンズ。
【0017】
[6] 前記変形率が0.94〜1.06である[5]記載のプラスチックレンズ。
[7] 1つのモールドチャンバー内でモノマー混合液の2段階以上の重合反応を行うことによって製造されることを特徴とした[1]〜[6]のいずれか記載のプラスチックレンズ。
【0018】
[8] 1段階目と2段階目以降の重合種が異なることを特徴とした[7]記載のプラスチックレンズ。
[9] 重合反応の1段階目が熱重合であり、2段階目が光重合であることを特徴とした[8]記載のプラスチックレンズ。
【0019】
[10] 1段階目の重合がラジカル重合であり、2段階目の重合が光カチオン重合であることを特徴とした[9]記載のプラスチックレンズ。
[11] モノマー混合液が、
(a)ラジカル重合性モノマー、
(b)ラジカル重合開始剤、
(c)光カチオン重合性モノマー、および
(d)光カチオン重合開始剤
を含む、[10]記載のプラスチックレンズ。
【0020】
[12] ラジカル重合性モノマーがアルキル(メタ)アクリレート、シロキサニル(メタ)アクリレート、フルオロ(メタ)アクリレート、アルキルスチレン、シロキサニルスチレン、フルオロスチレン、(メタ)アクリル酸、および水酸基含有(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上のモノマーよりなる[11]記載のプラスチックレンズ。
【0021】
[13] 光カチオン重合性モノマーがエポキシ化合物およびオキセタン化合物からなる群から選ばれる1以上のモノマーよりなる[11]または[12]記載のプラスチックレンズ。
【0022】
[14] エポキシ化合物又はオキセタン化合物が官能基を2つ以上有することを特徴とした[13]記載のプラスチックレンズ。
[15] モノマー混合液をモールドチャンバー内で熱重合する工程、得られた重合体の特定の部分に光を照射して光カチオン重合する工程、少なくとも光照射部分に更に熱を加えて光カチオン重合を進行させる工程を含む方法により製造される[1]〜[4]のいずれか記載のプラスチックレンズ。
【0023】
[16] 前記方法は光カチオン重合後に溶出処理及び/または水和処理を行って光未照射部分における未重合のカチオン重合性モノマーを生理食塩液または流通保存液と置換する工程を含む、[15]記載のプラスチックレンズ。
【0024】
[17] 下記式:
変形率=光未照射部の素材のサイズ変化率/光照射部の素材のサイズ変化率
(ここで、サイズ変化率=(水和後の完成レンズサイズ)/(モールドのキャビティサイズ))
で表される変形率が0.8〜1.2である[16]記載のプラスチックレンズ。
【0025】
[18] 前記変形率が0.94〜1.06である[17]記載のプラスチックレンズ。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、短時間および簡便な工程によりハイブリッドレンズを得ることができる。本発明によればまた、光照射光重合部(相対的に硬質、高屈折率)と光未照射部(相対的に軟質、低屈折率)のサイズ変化率の近い配合液を選んだことにより、クラゲ状の変形が発生せず、良好な形状を有するハイブリッドレンズを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例3におけるUVスポット光照射のための光学系を示す図である。
【図2】レンズ中央部分以外の部分に光照射する場合の具体的態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明のハイブリッドレンズは、例えば、ラジカル重合性モノマーおよびラジカル重合開始剤ならびに光カチオン重合性モノマーおよび光カチオン重合開始剤を含有する配合液をモールド内に充填し、熱および光を利用して簡便に製造することができる。
【0029】
より具体的には、配合液がモールドに充填された状態で、重合用熱乾燥機(オーブン)を用いて熱重合を行った後、周辺部分をマスキング等の手段を用いて中央部分にのみ光を照射し、中央部分を更に硬化させる。その後、モールドからレンズを脱離し、溶出処理及び/または水和処理することにより中央部分が硬く、周辺部分が柔らかいハイブリッドレンズができる。異なる重合種を含む配合液を用いて重合を行うことで、熱による1段階目では重合せず、光による2段階目でのみ重合する重合種が、光照射部分のみを硬質化(高屈折率化)し、未照射部分ではその後の処理で未重合のカチオン重合性モノマーが生理食塩液または流通保存液と置換されるため、膨潤率の差異を緩和し、変形を問題のないレベルへ低減することができる。同時に、基材のマトリックスに境界がないことから、接合部の強度低下という問題は発生しない。以上により、1つのモールドで熱と光を交互に当てることのみで、強度に優れ、変形のないハイブリッドタイプのコンタクトレンズの製造が可能となる。
【0030】
同様の手法を用いてGRIN(Gradient Index:屈折率分布)レンズ、マルチフォーカル(多焦点)レンズ、シングルピース眼内レンズを製造することも可能である。
さらに、任意のポイントに光を照射することで屈折率を自在にコントロールできることから、トーリックレンズも効率よく製造することができる。
【0031】
中央部分以外の部分に光照射する場合の具体的態様としては、例えば、図2に示すものが挙げられる。図2中、斜線部分ないし色の濃い部分が光照射部分であり、色が濃いほど光照射の程度(光重合の程度)が大きいことを意味する。図2に示されるように、GRINレンズの製造において周辺に照射して高屈折率化する場合、マルチフォーカルレンズ製造において同心円の環状に照射して同心円のエリアに異なる屈折力を付与する場合、トーリックレンズの製造においてシリンダーパワーを加えるため同心円ではない部位に光を照射する場合やレンズの回転を抑えるために同心円ではない部位に光を照射して重心を変化させる(バラスト構造)場合などが挙げられる。
【0032】
[モノマー混合液]
(a)ラジカル重合性モノマー
ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート、シロキサニル(メタ)アクリレート、フルオロ(メタ)アクリレート、アルキルスチレン、シロキサニルスチレン、フルオロスチレン、(メタ)アクリル酸、水酸基含有(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0033】
アルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−アミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0034】
シロキサニル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、ペンタメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレート、トリス[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]シリルプロピル(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、モノ[メチルビス(トリメチルシロキシ)シロキシ]ビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、トリメチルシリルエチルテトラメチルジシロキサニルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、トリメチルシリルメチル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、ペンタメチルジシロキサニルプロピルグリセロール(メタ)アクリレート、メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルエチルテトラメチルジシロキサニルメチル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキサニルプロピル(メタ)アクリレート、テトラメチルトリイソプロピルシクロテトラシロキシビス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル(メタ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0035】
フルオロ(メタ)アクリレートとしては、たとえば、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロ−tert−アミル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレート、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ−tert−ヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0036】
アルキルスチレンとしては、たとえば、スチレン、p−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、m−tert−ブチルスチレン、p−1,1,3,3−テトラメチルブチルスチレンなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0037】
シロキサニルスチレンとしては、たとえば、トリメチルシリルスチレン、ペンタメチルジシロキサニルスチレン、ヘプタメチルトリシロキサニルスチレン、ノナメチルテトラシロキサニルスチレン、ペンタデカメチルヘプタシロキサニルスチレン、ヘンエイコサメチルデカシロキサニルスチレン、ヘプタコサメチルトリデカシロキサニルスチレン、ヘントリアコンタメチルペンタデカシロキサニルスチレン、ビス(トリメチルシロキシ)メチルシリルスチレン、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、トリメチルシロキシ・ペンタメチルジシロキシ・メチルシリルスチレン、トリス(ペンタメチルジシロキシ)シリルスチレン、(トリス・トリメチルシロキシ)シロキサニル・ビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ビス(ヘプタメチルトリシロキシ)メチルシリルスチレン、トリス(メチルビス・トリメチルシロキシ・シロキシ)シリルスチレン、トリメチルシロキシ・ビス(トリス・トリメチルシロキシ・シロキシ)シリルスチレン、ヘプタキス(トリメチルシロキシ)トリシロキサニルスチレン、ノナメチルテトラシロキシ・ウンデシルペンタシロキシ・メチルシリルスチレン、トリス(トリス・トリメチルシロキシ・シロキシ)シリルスチレン、(トリストリメチルシロキシ・ヘキサメチル)テトラシロキシ・(トリス・トリメチルシロキシ)シロキシ・トリメチルシロキシシリルスチレン、ノナキス(トリメチルシロキシ)テトラシロキサニルスチレン、ビス(トリデカメチルヘキサシロキシ)メチルシリルスチレンなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0038】
フルオロスチレンとしては、たとえば、フルオロメチルジメチルシリルスチレン、ジフルオロメチルジメチルシリルスチレン、トリフルオロメチルジメチルシリルスチレン、フルオロプロピルジメチルシリルスチレン、フルオロヘキシルジメチルシリルスチレン、ジフルオロヘキシルジメチルシリルスチレン、トリフルオロヘキシルジメチルシリルスチレン、テトラフルオロヘキシルジメチルシリルスチレン、ペンタフルオロヘキシルジメチルシリルスチレン、ヘキサフルオロヘキシルジメチルシリルスチレン、ヘプタフルオロヘキシルジメチルシリルスチレン、オクタフルオロヘキシルジメチルシリルスチレン、ノナフルオロヘキシルジメチルシリルスチレン、デカフルオロオクチルジメチルシリルスチレン、トリデカフルオロオクチルジメチルシリルスチレン、テトラデカフルオロオクチルジメチルシリルスチレン、ヘプタデカフルオロオクチルジメチルシリルスチレンなどのフルオロアルキルジメチルシリルスチレン;トリフルオロメチルビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ヘプタフルオロプロピルビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、デカフルオロオクチルビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、トリデカフルオロオクチルビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、テトラデカフルオロオクチルビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、ヘプタデカフルオロオクチルビス (トリメチルシロキシ)シリルスチレンなどのフルオロアルキルビス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン;トリフルオロメチルメチルトリメチルシロキシシリルスチレン、ジフルオロメチルメチルトリメチルシロキシシリルスチレン、トリフルオロメチルメチルトリメチルシロキシシリルスチレン、ヘプタフルオロプロピルメチルトリメチルシロキシシリルスチレン、トリデカフルオロヘキシルメチルトリメチルシロキシシリルスチレン、デカフルオロオクチルメチルトリメチルシロキシシリルスチレン、トリデカフルオロオクチルメチルトリメチルシロキシシリルスチレン、ヘプタデカフルオロオクチルメチルトリメチルシロキシシリルスチレンなどのフルオロアルキルメチルトリメチルシロキシシリルスチレン、トリフルオロメトキシジフルオロメチルジメチルシリルスチレン、メトキシジフルオロメチルジメチルシリルスチレン、トリフルオロメトキシテトラフルオロエチルジメチルシリルスチレン、ヘプタフルオロエトキシジフルオロエチルジメチルシリルスチレン、トリフルオロメトキシジフルオロメチルメチルトリメチルシロキシシリルスチレンなどのアルコキシ基含有フルオロスチレン誘導体などがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、たとえば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレートなどがあげられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0040】
官能基(重合基)を2つ以上有するモノマーを使用することができる。このようなモノマーは架橋剤として作用することができる。たとえば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジアリルフマレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、メタクリロイルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、アジピン酸ジアリル、トリアリルジイソシアネート、α−メチレン−N−ビニルピロリドン、4−ビニルベンジル(メタ)アクリレート、3−ビニルベンジル(メタ)アクリレート、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)プロパン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、1,4−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,3−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,2−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシイソプロピル)ベンゼンなどがあげられる。これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0041】
以上例示した化合物は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
(b)ラジカル重合開始剤
ラジカル重合開始剤としては、たとえば、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイドなどをあげることができる。これらは、単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
【0042】
(c)光カチオン重合性モノマー
光カチオン重合性モノマーとしては、例えば、エポキシ化合物、オキセタン化合物などが挙げられる。エポキシ化合物としては、例えば、フェニルグリシジルエーテルなどの1官能のもの、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3',4'-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート(ダイセル化学セロキサイド2021P)、1,3-ビス(3-グリシドキシプロピル)-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン、エポキシ変性シリコーンオイルなどの2官能以上の重合基を有するもの、3,4-エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートなどのラジカル重合基も有するものなどが挙げられる。オキセタン化合物としては、例えば、3-エチル-3−(フェノキシメチル)オキセタン(東亜合成OXT-211)、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(東亜合成OXT-101)、3-エチル-3−(シクロヘキシロキシ)メチルオキセタン、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタンなどの1官能性のもの、3-エチル3-(((3−エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)メチル)オキセタン(東亜合成OXT-221:DOX)、1,4-ビス(((3−エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)メチル)ベンゼン(東亜合成OXT-121)、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート、フェノールノボラックオキセタン、1,3-ビス((3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ)ベンゼンなどの2官能以上の重合基を有するもの、3-エチル-3-(メタ)アクリロイルオキシメチルオキセタンなどのラジカル重合基も有するものなどが挙げられる。これらの化合物は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0043】
(d)光カチオン重合開始剤
光カチオン重合開始剤としては、例えば、旭電化製アデカオプトマーSP-150、SP-152、SP-170(4,4'-ビス(ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ)フェニルスルフィド-ビス-ヘキサフルオロアンチモネート)、ダウ・ケミカル社製サイラキュアーUVI-6992、UVI-6974、ローディア社製フォトイニシエーター2074、チバスペシャリティーケミカルズ社製イルガキュア250、日本曹達製CI-5102、和光純薬工業製WPI-113、WPI-116、などが挙げられる。これらの化合物は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
【0044】
[モノマー混合液の組成]
モノマー混合液は、例えば、以下の範囲で各成分を混合することにより調製することができる。
(a)ラジカル重合性モノマー 20〜100重量部、
(b)ラジカル重合開始剤 0.005〜2重量部、
(c)光カチオン重合性モノマー 2〜50重量部、および
(d)光カチオン重合開始剤 0.005〜5重量部。
【0045】
窒素含有モノマーはカチオン重合を阻害する場合があり、配合しないことが好ましい。
[重合反応]
本発明のハイブリッドレンズは、例えば、モノマー混合液をモールドチャンバー内で(A)熱重合する工程、(B)熱重合体の特定の部位に光を照射して光カチオン重合する工程、(C)更に熱を加えて光カチオン重合を進行させる工程を含む方法により製造されることができる。
【0046】
(A)熱重合(ラジカル重合反応)
上記モノマー混合液ははじめに重合用型に充填し、熱処理(ラジカル重合)される。この重合反応は、常圧で、30〜120℃で行うことができ、反応時間は、通常、20分〜60時間で行う。反応は窒素雰囲気下などの不活性雰囲気下で行う場合がある。この重合反応により、ラジカル重合性モノマーの炭素−炭素二重結合が付加重合し、レンズ本体が形成される。
【0047】
(B)光カチオン重合反応
中央部が硬質のハイブリッドレンズを作製する場合、ラジカル重合反応後に得られる重合体に中央部にのみ紫外線が照射されるように周辺部にマスクを施し、紫外線を照射して光カチオン重合を行うことができる。GRINレンズを作製する場合、必ずしも周辺をマスクするような方法にはならない。この場合、例えば、周辺部に光を当てて高屈折率化することもできる。トーリックレンズ(乱視用レンズ)の場合は同心円ではない形で光照射する必要がある。さらに、マスクだけではなくレーザー光やスポット光などで特定部位のみに光照射する形態も可能である。また、紫外線に限らず、光カチオン開始剤の種類によっては可視光線も使用できる。
【0048】
(C)再熱処理
紫外線照射した重合体をさらに熱処理して光カチオン重合をさらに進行させる。この熱処理は、常圧で、30〜120℃で行うことができ、処理時間は、通常、20分〜60時間で行う。反応は不活性雰囲気下で行う必要もない。
【0049】
(D)溶出処理、水和処理
重合が完了した後、レンズをモールドから脱離し、レンズ全体を溶出処理、水和処理する。溶出処理は溶媒にレンズを浸漬して未反応の光カチオン重合性モノマーを除去する処理である。光カチオン重合性モノマーが水溶性の場合、光カチオン重合性モノマーは水溶性有機溶媒と水の混合物、生理食塩液、流通保存液などの水性溶出液で除去することができる。溶出処理は室温〜80℃で行うことができ、処理時間は30分〜40時間で行う。そして、使用した有機溶媒を加熱などにより除去した後、レンズを生理食塩液などに浸漬して水和処理する。
【0050】
本発明は、含水材(水を含むことで柔らかくなる材料)にも採用することができ、この場合、水和処理は必要となる。また、光カチオン重合性モノマーが水溶性の場合、前述のように水和処理が溶出処理を兼ねることができる。一方、非含水材(シリコーンラバーやアクリルラバーなど)においては水和処理が必要でないが、溶出処理が必要な場合がある。水和処理及び溶出処理に使用する溶媒の例は以下の通りである。含水材では、最後に生理食塩液または流通保存液に置換することを考えると、溶媒は水溶性であることが好ましい。
【0051】
水、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ヘキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、テトラヒドロフラン、アセトニトリルなど。
【0052】
生理食塩液など。
なお、水和処理では滅菌のために、オートクレーブ処理などを行ってもよい。

以上の一連の工程により光照射した部分は、相対的に硬質化もしくは高屈折率化され、光照射していない部分は、ラジカル重合性ポリマーの物性を維持している。
【0053】
本発明のハイブリッドレンズはまた、最初の重合反応として光カチオン重合を行った後に熱重合を行う方法により製造することもできる。この場合でも、光カチオン重合および熱重合の条件は前述したとおりである。この場合、該方法は、モールドチャンバー内でモノマー混合液に光を照射して光カチオン重合する工程、更に熱を加えて光カチオン重合を進行させるとともにレンズ全体の熱重合を行う工程を含む。光カチオン重合を先に行うと、熱重合工程においてラジカル重合と光カチオン重合の進行を同時に行うことができるため、工程が簡略化されると同時に、製造に要する時間の短縮化が可能となる。
【0054】
[製造プロセスの例]
製造プロセスの例としては、以下の(1)が挙げられる。
(1)ラジカル重合性モノマー、ラジカル開始剤、光カチオン重合性モノマー、及び光カチオン重合開始剤を含む混合液を調製する。混合液をモールドに充填し、所定温度に維持された乾燥器中で所定時間、熱重合する。得られた重合体に、中央部が円状にくり抜かれた治具をマスクとしてセットし、上部からUVを中央部に照射して光カチオン重合を行う。その後、再度熱処理を行うことで、光カチオン重合を進行させる。モールドから離型し溶媒中で未重合のモノマーを除去し、溶媒を生理食塩液に置換する。
【0055】
中央部分以外の部分に光照射する場合も、適切なマスクを選択し或いはレーザー光線などを採用して照射光をビーム状として所定位置に照射することによって行うことができる。
【0056】
製造プロセスのより具体的な例としては、以下の(2)が挙げられる。
(2)ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセロールメタクリレート(GMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V-65)、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(DOX)、4,4'-ビス〔ジ(β-ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ〕フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネートをよく混合させる。混合液をモールドに充填した後、90℃に維持された乾燥器中で1時間熱重合を行う。中央部が円状にくり抜かれた治具をセットし、上部からUVを1分間照射した後、再度90℃の乾燥器中で1時間熱処理を行う。モールドから離型し、アセトンに浸漬させ、40℃で24時間溶出処理した後、80℃の乾燥器中で乾燥させる。乾燥させたレンズを生理食塩液に浸漬する。
【0057】
[レンズの構造]
以上の方法により得られた本発明のレンズは、部分的に硬さまたは屈折率が異なるハイブリッドレンズとして製造される。
【0058】
光照射部分の架橋構造は、ラジカル重合反応とこれに続く光カチオン重合反応により、IPN構造(2つのポリマーが共に架橋構造)、セミIPN構造(一方のポリマーが架橋構造、もう一方が未架橋構造)もしくはこれに類する構造(部分的に2つのポリマーが架橋点で結合した共重合体)を有していると考えられる。このことは、製造されたレンズの硬度、ヤング率、屈折率などの物性が光照射した部分でのみ変化していることからも理解できる。光未照射部分の架橋構造は、ラジカル重合のみによって得られたポリマー構造を有していると考えられる。このことは、光照射していない部分の上記物性がラジカル重合モノマーのみを用いて重合した場合の物性と同等であることからも理解できる。
【0059】
[レンズの用途]
以上の方法により得られた本発明のレンズは、眼用レンズ、カメラ用レンズ、センサー用レンズ、コピー機等のピックアップレンズ、光ファイバー用等のボールレンズまたは半球レンズ、レーザー墨出機用等のロッドレンズなどの用途に広く利用することができる。
【0060】
コンタクトレンズとして使用する場合には、中央部が硬質で周辺部が軟質であり、高い酸素透過性を有していることが望ましい。
【実施例】
【0061】
本発明を以下の例により具体的に説明するが、本発明の範囲はそれら例に限定して解釈されるものではない。
実施例1
2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、エチレングリコールジメタクリレート(EDMA)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V-65)、3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(DOX)、4,4'−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルフォニオ]フェニルスルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート(アデカオプトマーSP-170)を表1に従い秤量し、よく混合させた。混合液をモールドに充填した後、90℃の乾燥器中で40分間熱重合を行った。中央に口径8mmの開口部を有するマスクにて周辺部のみを遮光し、UV(365nm:9.5mWcm2)を60秒間照射した後、再度90℃の乾燥器中で40分間熱処埋を行った。モールドから離型し、アセトンに浸漬させ、40℃で15時間溶出処理した後、90℃の乾燥器中で乾燥させた。乾燥させたレンズを生理食塩液に浸漬し、水和させた。
【0062】
【表1】

【0063】
* ○:明らかに中央部が硬い △:若干中央部が硬い ×:中央部と周辺部で硬さ変わらない
実施例1においては中央部が硬く、周辺部が柔軟なレンズが得られた。レンズのハード部分とソフト部分の境界には接合部がなく、レンズはひと続きの平滑な表面を持っていた。また、光学特性を乱すような変形も来たさなかった。一方、光カチオン重合性モノマー及び光カチオン重合性開始剤を加えない比較例1においては、中央部の硬さは周辺部と同等であり、光照射の有無によって物性変化は生じなかった。
【0064】
実施例2
HEMA、EDMA、V-65、DOX、アデカオプトマーSP-170を表2に従い秤量し、よく混合させた。混合液をプレート成形用のモールドに充填した後、90℃の乾燥器中で1時間熱重合を行った。全面にUV(365nm:8.5〜9mW/cm2)を120秒間照射した後、再度90℃の乾燥器中で60分間熱処理を行った。モールドから離型し、アセトンに浸漬させ、40℃で24時間溶出処理した後、80℃の乾燥器中で乾燥させた。乾燥させたプレートを生理食塩液に浸漬し、水和させた。得られたプレートの変形率、サイズ変化率、含水率、屈折率、及びヤング率測定を行った。また、UV照射を行わなかった以外は上記と同様の操作を行い得たUV未照射検体を比較例とし、DOXの量と各物性値の相関性を調べた。結果を表3に示す。
【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
サイズ変化率=(水和後の完成レンズサイズ)/(モールドのキャビティサイズ)
変形率=光未照射部の素材のサイズ変化率/光照射部の素材のサイズ変化率
実施例3
HEMA、EDMA、V-65、DOX、アデカオプトマーSP-170を表4に従い秤量し、よく混合させた。混合液をプレート成形用のモールドに充填した後、図1に示した光学系にて直径6mmのUVスポット光を作り、モールド中央部にUV(365nm:9.5mWcm2)を60秒間照射し、その後90℃の乾燥器中で40分間熱処埋を行った。モールドから離型し、アセトンに浸漬させ、40℃で30分間溶出処理した後、90℃の乾燥器中で乾燥させた。乾燥させたレンズを蒸留水に浸漬し、水和させた。
【0068】
【表4】

【0069】
得られたプレートを手指にて感触をみると、中央部のみが硬く、周辺部が軟らかい性状であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
部分的に硬さが異なるプラスチックレンズであって、1つのモールドを用いて製造されることを特徴とするプラスチックレンズ。
【請求項2】
部分的に屈折率が異なるプラスチックレンズであって、1つのモールドを用いて製造されることを特徴とするプラスチックレンズ。
【請求項3】
中央部と周辺部の硬さが異なる、請求項1記載のプラスチックレンズ。
【請求項4】
中央部と周辺部の屈折率が異なる、請求項2記載のプラスチックレンズ。
【請求項5】
下記式:
変形率=光未照射部の素材のサイズ変化率/光照射部の素材のサイズ変化率
(ここで、サイズ変化率=(水和後の完成レンズサイズ)/(モールドのキャビティサイズ))
で表される変形率が0.8〜1.2である請求項1〜4のいずれか記載のプラスチックレンズ。
【請求項6】
前記変形率が0.94〜1.06である請求項5記載のプラスチックレンズ。
【請求項7】
1つのモールドチャンバー内でモノマー混合液の2段階以上の重合反応を行うことによって製造されることを特徴とした請求項1〜6のいずれか記載のプラスチックレンズ。
【請求項8】
1段階目と2段階目以降の重合種が異なることを特徴とした請求項7記載のプラスチックレンズ。
【請求項9】
重合反応の1段階目が熱重合であり、2段階目が光重合であることを特徴とした請求項8記載のプラスチックレンズ。
【請求項10】
1段階目の重合がラジカル重合であり、2段階目の重合が光カチオン重合であることを特徴とした請求項9記載のプラスチックレンズ。
【請求項11】
モノマー混合液が、
(a)ラジカル重合性モノマー、
(b)ラジカル重合開始剤、
(c)光カチオン重合性モノマー、および
(d)光カチオン重合開始剤
を含む、請求項10記載のプラスチックレンズ。
【請求項12】
ラジカル重合性モノマーがアルキル(メタ)アクリレート、シロキサニル(メタ)アクリレート、フルオロ(メタ)アクリレート、アルキルスチレン、シロキサニルスチレン、フルオロスチレン、(メタ)アクリル酸、および水酸基含有(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1以上のモノマーよりなる請求項11記載のプラスチックレンズ。
【請求項13】
光カチオン重合性モノマーがエポキシ化合物およびオキセタン化合物からなる群から選ばれる1以上のモノマーよりなる請求項11または12記載のプラスチックレンズ。
【請求項14】
エポキシ化合物又はオキセタン化合物が官能基を2つ以上有することを特徴とした請求項13記載のプラスチックレンズ。
【請求項15】
モノマー混合液をモールドチャンバー内で熱重合する工程、得られた重合体の特定の部分に光を照射して光カチオン重合する工程、少なくとも光照射部分に更に熱を加えて光カチオン重合を進行させる工程を含む方法により製造される請求項1〜4のいずれか記載のプラスチックレンズ。
【請求項16】
前記方法は光カチオン重合後に溶出処理及び/または水和処理を行って光未照射部分における未重合のカチオン重合性モノマーを生理食塩液または流通保存液と置換する工程を含む、請求項15記載のプラスチックレンズ。
【請求項17】
下記式:
変形率=光未照射部の素材のサイズ変化率/光照射部の素材のサイズ変化率
(ここで、サイズ変化率=(水和後の完成レンズサイズ)/(モールドのキャビティサイズ))
で表される変形率が0.8〜1.2である請求項16記載のプラスチックレンズ。
【請求項18】
前記変形率が0.94〜1.06である請求項17記載のプラスチックレンズ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−16272(P2011−16272A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161554(P2009−161554)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】