説明

プラズマディスプレイパネルの搬送方法

【課題】プラズマディスプレイパネルに反りを生じることがないように搬送できるようにすることを目的とする。
【解決手段】少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に複数の放電セルを形成して対向配置した平板形状のプラズマディスプレイパネル105の搬送方法において、一対の基板の両面に平行に配した平板(底面102及び上蓋107)に延伸剥離式の複数の短冊形状の接着材104により粘着させて搬送する方法であり、プラズマディスプレイパネル105を縦方向に配置して搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面型表示装置を構成するプラズマディスプレイパネルの搬送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマディスプレイパネルは、ガス放電により紫外線を発生させ、この紫外線で蛍光体を励起して発光させカラー表示を行っている。そして、基板上に隔壁によって区画された表示セルが設けられており、これに蛍光体層が形成されている構成を有する。
【0003】
このプラズマディスプレイパネルには、大別して、駆動的にはAC型とDC型があり、放電形式では面放電型と対向放電型の2種類があるが、高精細化、大画面化および製造の簡便性から、現状では、プラズマディスプレイパネルの主流は、3電極構造の面放電型のもので、その構造は、一方の基板上に平行に隣接した表示電極対を有し、もう一方の基板上に表示電極と交差する方向に配列されたアドレス電極と、隔壁、蛍光体層を有するもので、比較的蛍光体層を厚くすることができ、蛍光体によるカラー表示に適している。
【0004】
このようなプラズマディスプレイパネルは、液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、視野角が広いこと、大型化が容易であること、自発光型であるため表示品質が高いことなどの理由から、フラットパネルディスプレイの中で最近特に注目を集めており、多くの人が集まる場所での表示装置や家庭で大画面の映像を楽しむための表示装置を始として、各種の用途に使用されている。
【0005】
まず、プラズマディスプレイパネルの構造について図7を用いて説明する。図7に示すように、ガラス基板などの透明な前面側の基板701上には、スキャン電極とサステイン電極とで対をなすストライプ状の表示電極702が複数列形成され、そしてその電極群を覆うように誘電体層703が形成され、その誘電体層703上には保護膜704が形成されている。
【0006】
また、前記前面側の基板701に対向配置される背面側の基板705上には、スキャン電極及びサステイン電極の表示電極702と交差するように、オーバーコート層706で覆われた複数列のストライプ状のアドレス電極707が形成されている。このアドレス電極707間のオーバーコート層706上には、アドレス電極707と平行に複数の隔壁708が配置され、この隔壁708間の側面およびオーバーコート層706の表面に蛍光体層709が設けられている。
【0007】
これらの基板701と基板705とは、スキャン電極およびサステイン電極の表示電極702とアドレス電極707とがほぼ直交するように、微小な放電空間710を挟んで対向配置されるとともに、周囲が封止され、そして前記放電空間710には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンのうちの一種または混合ガスが放電ガスとして封入されている。
【0008】
また、放電空間710は、隔壁708によって複数の区画に仕切ることにより、表示電極702とアドレス電極707との交点に位置する複数の放電セルが設けられ、その各放電セルには、赤色、緑色及び青色となるように蛍光体層709が一色ずつ順次配置されている。
【0009】
図8に、このプラズマディスプレイパネルの電極配列を示す。図8に示すように、スキャン電極およびサステイン電極とアドレス電極とは、M行×N列のマトリックス構成であり、行方向にはM行のスキャン電極SCN〜SCNおよびサステイン電極SUS〜SUSが配列され、列方向にはN列のアドレス電極D〜Dが配列されている。
【0010】
このような電極構成のプラズマディスプレイパネルにおいては、アドレス電極とスキャン電極の間に書き込みパルスを印加することにより、アドレス電極とスキャン電極の間でアドレス放電を行い、放電セルを選択した後、スキャン電極とサステイン電極との間に、交互に反転する周期的な維持パルスを印加することにより、スキャン電極とサステイン電極との間で維持放電を行い、所定の表示を行うものである。
【0011】
図9に、上で説明した構造のプラズマディスプレイパネルを組み込んだプラズマディスプレイ装置の全体構成の一例を示している。図9において、パネル711を収容する筐体は、前面枠712と金属製のバックカバー713とから構成され、前面枠712の開口部には光学フィルターおよびパネル711の保護を兼ねたガラス等からなる前面カバー714が配置されている。また、この前面カバー714には電磁波の不要輻射を抑制するために、例えば銀蒸着が施されている。さらに、バックカバー713には、パネル711等で発生した熱を外部に放出するための複数の通気孔713aが設けられている。
【0012】
パネル711は、アルミニウム等からなるシャーシ部材715の前面に熱伝導シート716を介して接着することにより保持され、そしてシャーシ部材715の後面側には、パネル711を表示駆動させるための複数の回路ブロック717が取り付けられている。熱伝導シート716は、パネル711で発生した熱をシャーシ部材715に効率よく伝え、放熱を行うためのものである。
【0013】
また、回路ブロック717はパネル711の表示駆動とその制御を行うための電気回路を備えており、パネル711の縁部に引き出された電極引出部に、シャーシ部材715の四辺の縁部を越えて延びる複数のフレキシブル配線板(図示せず)によって電気的に接続されている。
【0014】
シャーシ部材715の後面には、回路ブロック717を取り付けたり、バックカバー713を固定するためのボス部715aがダイカスト等による一体成型により突設されている。なお、このシャーシ部材715は、アルミニウム平板に固定ピンを固定して構成してもよい。
【0015】
そして、図10に示すように、この平板形状のプラズマディスプレイパネル804の製造段階、例えば、このプラズマディスプレイパネル804を搬送する工程等では、プラズマディスプレイパネル804が平板形状であり、その周囲辺の全部または一部にフレキシブル配線基板805が接続されており、このフレキシブル配線基板805が接続されている部分に圧力を掛けて支えることができないため、プラズマディスプレイパネル804を1つずつトレー801に収納し、このトレー801を寝かせた状態で積み重ねることが行われた。
【0016】
この方法では、トレー801の底面802上にプラズマディスプレイパネル804が寝かされた状態で置かれる。
【0017】
そして、トレー801が寝かされた状態で積み重ねられるため、1つ上のトレー801の底面802が、1つ下のトレー801の上蓋を兼ねる例が多い。但し、1つ上のトレー801の底面802が1つ下のトレー801の上蓋を兼ねるのは、あくまで一例に過ぎず必須ではない。
【0018】
そして、一番上のトレー801には別の蓋803が用いられる。但し、この別の蓋803が用いられるのも、あくまで一例に過ぎず必須ではない。
【0019】
さらに、トレー801とトレー801の底面802とは、寝かされた状態で積み重ねられたとき、ずれることがないように嵌合する構造を有している例が多い。但し、このトレー801とトレー801の底面802とが、寝かされた状態で積み重ねられたとき嵌合する構造を有していることもまた、一例に過ぎず必須ではない。
【0020】
このようなプラズマディスプレイパネル804の製造段階、例えばエージングや搬送する工程で、プラズマディスプレイパネル804を1つずつトレー801に収納し、このトレー801を寝かせた状態で積み重ねる具体的な例が、下記特許文献1に示されている。
【特許文献1】特開平11−213891号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
しかしながら、近年のプラズマディスプレイパネルは消費者のニーズに起因して非常に大型化する傾向があり、その対角線方向の長さが小さいものでも50インチ、大きいものでは100インチにも及ぶようになりつつあるため、このようにプラズマディスプレイパネルを寝かせてかつ重ねた状態でトレーに収納して保存、搬送などを行うと、反りを生じることが避けられないという課題があった。
【0022】
そして、このように反りを生じると、反りの方向とプラズマディスプレイパネルの配置方向に対応して、背面側の基板705に形成された隔壁708や蛍光体層709を破壊することとなった。これら隔壁708や蛍光体層709が破壊されることは、当然、プラズマディスプレイパネルの正常な動作に障害を招来し、放電セルの不灯を始めとする故障の原因となった。
【0023】
また、重ねずに1枚ずつを寝かせた状態で保存搬送することも、工数的にも保存場所のスペース的にも非常に効率の悪いものであった。
【0024】
本発明はこのような課題を解決するもので、プラズマディスプレイパネルに反りを生じることがないように搬送できるようにすることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明に係る請求項1に記載の発明は、少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に複数の放電セルを形成して対向配置した平板形状のプラズマディスプレイパネルの搬送方法であって、プラズマディスプレイパネルをこのプラズマディスプレイパネルの外形寸法以上の大きさの平板に粘着部材により粘着させて搬送することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの搬送方法である。
【0026】
このような構成によって、プラズマディスプレイパネルを多数まとめて保存、搬送することができる可搬性を確保しながら、なおかつ反りを生じることがないよう、プラズマディスプレイパネルを縦方向に配置しながら、多数まとめて保存、搬送することが可能になる。
【0027】
また、請求項2に記載の発明は、前記粘着部材は延伸剥離材であることを特徴とし、このような構成によって、プラズマディスプレイパネルを搬送方法から容易に剥離することができ、更に剥離した後には、糊材が残ることもないので、プラズマディスプレイパネルの搬送方法からの取り出しも極めて容易で、搬送方法に格納しての保存や搬送のために必要な工数、コストも極めて少ない。
【0028】
また、請求項3に記載の発明は、前記粘着部材は平板に配設されていることを特徴とし、このような構成によって、プラズマディスプレイパネルを搬送方法からの取り出しが極めて容易で、保存や、搬送のための搬送専用トレイへの移載など、必要な工数、コストも極めて少なく、安全確実にプラズマディスプレイパネルを搬送することが可能になる。
【0029】
さらに、請求項4に記載の発明は、前記プラズマディスプレイパネルを縦方向に配置して搬送することを特徴とし、このような構成によって、プラズマディスプレイパネルを多数まとめて、反りを生じることがないよう、縦方向に配置しながら、多数まとめて保存、搬送することが可能になり、プラズマディスプレイパネルの製造のための工程における信頼性を著しく向上させながら、なおかつ工数を低減することが可能になる。
【0030】
また、請求項5に記載の発明は、前記プラズマディスプレイパネルを斜め縦方向に配置して搬送することを特徴とし、このような構成によって、プラズマディスプレイパネルを多数まとめて、反りを生じることがないよう、縦方向に配置しながら、多数まとめて保存、搬送することが可能になり、プラズマディスプレイパネルの製造のための工程における信頼性をより一層向上させながら、さらに工数を低減することが可能になる。
【0031】
さらに、請求項6に記載の発明は、前記プラズマディスプレイパネルはその周辺の一部にフレキシブル配線基板が接続されており、前記プラズマディスプレイパネルはフレキシブル配線基板が接続されていない周辺を下にして搬送することを特徴とし、このような構成によって、プラズマディスプレイパネルを多数まとめて、反りを生じることがないよう、縦方向に配置しながら、多数まとめて保存、搬送することが可能になり、プラズマディスプレイパネルの製造のための工程における安全性をより一層向上させることが可能になる。
【0032】
さらに、請求項7に記載の発明は、前記プラズマディスプレイパネルを平板に粘着させたものを複数重ねて搬送することを特徴とし、このような構成によって、プラズマディスプレイパネルをより一層多数まとめて、反りを生じることがないよう、縦方向に配置しながら保存、搬送することが可能になり、プラズマディスプレイパネルの製造のための工程における工数をより一層低減させることが可能になる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、プラズマディスプレイパネルを多数まとめて保存、搬送することができる可搬性を確保しながら、なおかつ反りを生じることがないよう、プラズマディスプレイパネルを縦方向に配置しながら、多数まとめて保存、搬送することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
(第1の実施の形態)
以下に、本発明の第1の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0035】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの搬送方法を示す図であり、トレー101を縦方向に配置し、それを仮に12台並べて配置した状態を示す断面図である。12台並べて配置することは、あくまでも一例に過ぎず、幾つを並べて配置しても構わない。
【0036】
トレー101は、底面102と外枠103とから構成されている。そして、各トレー101には、1つずつのプラズマディスプレイパネル105が格納されている。プラズマディスプレイパネル105の周辺の全部または一部にはフレキシブル配線基板106が接続されている。
【0037】
そして、プラズマディスプレイパネル105の前面側基板105aあるいは背面側基板105bとトレー101とは、アスカーC硬度10から40程度のシリコン、アクリル、ウレタンなどの樹脂材料を主成分とする粘着部材である柔軟性シート108を用いて粘着し、ずれることがないように固定している。この柔軟性シート108は、プラズマディスプレイパネル105の前面側基板105a側と背面側基板105b側、すなわちプラズマディスプレイパネル105面全体を覆うことによって、強い粘着力を発揮し、ずれ防止のための保持力もきわめて大きくすることができる。
【0038】
また、図2に示すように、柔軟性シート108に代えて、粘着部材として、延伸剥離式の接着材104を使用しても構わない。この延伸剥離式の接着材104は、複数の短冊形状の接着材104を使用することができる。このような複数の短冊形状の接着材104によって、プラズマディスプレイパネル105を保持する様子を、より一層明確に示すため、プラズマディスプレイパネル105を格納したトレー101を上方向から見た平面図を、図3に示す。図3と図2とにおいて、同じ番号は同じものを示している。図3では、延伸剥離式の複数の短冊形状の接着材104を上から見た様子を見ることができ、複数の接着材104によってプラズマディスプレイパネル105の背面側基板105bとトレー101の底面102とが接着されている状態が示される。
【0039】
また、図3と同じプラズマディスプレイパネル105を格納したトレー101を、プラズマディスプレイパネル105の観賞方向から見た正面図を図4に示す。図4において、図2、図3と同じ番号は同じものを示している。図4に示すように、プラズマディスプレイパネルの背面側基板105bとトレー101の底面102とが複数の短冊形状の接着材104によって接着されていることがわかる。
【0040】
また、図2〜図4に示す通り、延伸剥離式の複数の短冊形状の接着材104を、プラズマディスプレイパネル105の背面側基板105bとトレー101の底面102との間に挿入することによって、プラズマディスプレイパネル105を保持することができるが、例えば、伸剥離式の複数の短冊形状の接着材104を、プラズマディスプレイパネル105の前面側基板105aとトレー101の上蓋107(または1つ前のトレー101の底面102)との間に挿入することによって、プラズマディスプレイパネル105を保持しても構わない。
【0041】
また、延伸剥離式の複数の短冊形状の接着材104を、プラズマディスプレイパネル105の背面側基板105bとトレー101の底面102との間、および、前面側基板105aとトレー101の上蓋107(または1つ前のトレー101の底面102)との間の、両方に挿入することによって、プラズマディスプレイパネル105を保持しても構わない。
【0042】
この延伸剥離式の短冊形状の接着材104は、アクリル系やシリコン系の合成樹脂材料により構成され、伸縮性に富み、感圧接着層を有するもので、フックやハンガーなどの物体を壁に着脱自在に装着する場合等、広範囲のさまざまな用途に使用されている。
【0043】
このような延伸剥離式の短冊形状の接着材104を、プラズマディスプレイパネル105の背面側基板105bとトレー101の底面102との間に所定の間隔で配置し、このようなプラズマディスプレイパネル105を1つずつトレー101に格納し、これを複数台(図1に示す例では12台)重ねて配置し、1つ上(図1では左)のトレー101の底面102で、1つ下(図1では右)のトレー101の上蓋を兼ねることで、プラズマディスプレイパネル105を自分自身が格納されているトレー101の底面102に接着させて、保持することができる。この延伸剥離式の接着材104は、液状のものを塗布することで、さらに密着性をよくすることができ、この液状の延伸剥離式の接着材104を常温あるいは過熱して硬化させることによって、さらにまた固定力を向上させることができる。
【0044】
なお、一番上(図1では左端)のトレー101には、上蓋107が付される。但し、このように、1つ上(図1では左)のトレー101の底面102で、1つ下(図1では右)のトレー101の上蓋を兼ねることはあくまでも1つの例に過ぎず、必ずしも必要ではなく、各トレー101に上蓋107を付しても構わない。
【0045】
以上説明したように、プラズマディスプレイパネル105は、自分自身が格納されているトレー101の底面102に接着した状態で保持されているので、図1に示す方向に立てて配置し、この状態で保存、搬送したとしてもずり落ちて、1つの周囲辺(図1では下方向)に接続されているフレキシブル配線基板106が、トレー101の外枠103とぶつかり、フレキシブル配線基板106を損傷することはない。
【0046】
また、プラズマディスプレイパネル105は、図1に示す通り、立てて配置されるので、反りを生じることもなく、スキャン電極、サステイン電極、アドレス電極707の断線や、隔壁708、蛍光体層709の破壊、及びこれらに起因する不灯に至ることもない。
【0047】
この延伸剥離式の接着材104は、パネル105の前面側基板105a及び背面側基板105bと、トレー101の底面102との間に配置され、押圧力が加えられて硬化し、パネル105とトレー101とを接着する。そして、延伸剥離式の短冊形状の接着材104を短冊の一端方向から引っ張ることで、短冊形状の幅方向に歪みが発生し、この歪みによって接着力が大幅に減少するので、容易に剥離することができる。更に剥離した後には、糊材が残ることもないので、プラズマディスプレイパネル105のトレー101からの取り出しも極めて容易で、トレー101に格納しての保存や搬送のために必要な工数、コストも極めて少ない。
【0048】
延伸剥離式の短冊形状の接着材104は、液状シリコンやポスター用テープで構成されることもあり、弾性に富んだ基材の両面に感圧接着層を形成したものや、感圧接着層のみで構成されることもある。
【0049】
また、図5に示すように、プラズマディスプレイパネル105の周辺の一部(図5では下方の辺)にはフレキシブル配線基板106が接続されていなかった時には、その辺を下方に配置してプラズマディスプレイパネル105をトレー101内に格納することによって、そのフレキシブル配線基板106が接続されていないプラズマディスプレイパネル105の辺を支持部材120によって支えることができる。このようにして、プラズマディスプレイパネル105を、自分自身が格納されているトレー101の底面102と、1つ上(図1では左)のトレー101の底面102との間に挟んで接着すると共に、フレキシブル配線基板106が接続されていないプラズマディスプレイパネル105の辺を支持部材120によって支えることによって、より確実かつ強固にプラズマディスプレイパネル105を立てて配置し、この状態で保存、搬送することができる。
【0050】
なお、プラズマディスプレイパネル105の周辺の一部(図5では下方の辺)において、その一部にのみフレキシブル配線基板106が接続されていない時には、その辺を下方に配置し、かつそのフレキシブル配線基板106が接続されていない部分だけを支持部材120によって支えても構わない。
【0051】
(第2の実施の形態)
以下に、本発明の第2の実施の形態について、図を参照しながら説明する。
【0052】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの搬送方法を示す図であり、トレー301を斜め縦方向に配置し、それを仮に9台並べて配置した状態を示す断面図である。9台並べて配置することは、あくまでも一例に過ぎず、幾つを並べて配置しても構わない。
【0053】
トレー301は、底面302と外枠303とから構成され、各トレー301には、1つずつのプラズマディスプレイパネル305が格納されている。プラズマディスプレイパネル305の周辺の全部または一部にはフレキシブル配線基板306が接続されている。
【0054】
プラズマディスプレイパネル305の前面側基板305aと背面側基板305bとには、延伸剥離式の複数の短冊形状の接着材304が接着されている。
【0055】
このような延伸剥離式の短冊形状の接着材304を、プラズマディスプレイパネル305の前面側基板305aと背面側基板305bとに所定の間隔で配置し、プラズマディスプレイパネル305を1つずつトレー301に格納し、上蓋307を付すことで、プラズマディスプレイパネル305をトレー301の底面302に接着させた状態で保持することができる。これを複数台(図6に示す例では9台)斜め縦方向に重ねて配置する。
【0056】
このように、第2の実施の形態によると、プラズマディスプレイパネル305は、自分自身が格納されているトレー301の底面302に対して、延伸剥離式の複数の短冊形状の接着材304によって接着されているので、図6に示すように斜め縦方向に配置し、この状態で保存、搬送したとしてもずり落ちて、1つの周辺(図6では下方向)に接続されているフレキシブル配線基板306が、トレー301の外枠303とぶつかり、フレキシブル配線基板306を損傷することはない。
【0057】
さらに、トレー301は傾斜を持って縦方向に配置されるので、プラズマディスプレイパネル305に対する垂直方向の重力は、底面302と平行にずり落ちようとする力と、底面302に対して直角方向の反ろうとする力とに分散され、プラズマディスプレイパネル305が搬送中にずり落ちたり反りを生じる可能性をより低減することができる。
【0058】
なお、上記延伸剥離式の複数の短冊形状の接着材104及び延伸剥離式の複数の短冊形状の接着材304は、必ずしも短冊形状でなくても構わないし、複数でなくても構わない。
【0059】
また、トレー101及びトレー301を複数重ねて固定することで、上記の通り、トレー101(またはトレー301)の底面102(または底面302)が1つ下のトレー101(またはトレー301)の上蓋を兼ねることができるし、多くのトレー101(またはトレー301)を少ない工数で容易かつ安全、確実に搬送することができる。
【0060】
さらに、プラズマディスプレイパネル105(及びプラズマディスプレイパネル305)を、1つ1つ個別にトレー101(及びトレー301)に格納して搬送することで、容易かつ安全、確実に搬送することができるだけでなく、パネル生産の自動機からモジュール組み立ての自動機への移行も極めて容易かつスムーズに行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明によれば、プラズマディスプレイパネルを多数まとめて保存、搬送することができる可搬性を確保しながら、なおかつ反りを生じることがないよう、プラズマディスプレイパネルを縦方向に配置しながら、多数まとめて保存、搬送することができ、その産業上の利用可能性は極めて高い。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの搬送方法を示す断面図
【図2】同じく本発明の一実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの搬送方法を示す断面図
【図3】本発明の一実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの搬送方法において、プラズマディスプレイパネルを上から見た状態を示す平面図
【図4】同じくプラズマディスプレイパネルを前方向から見た状態を示す正面図
【図5】本発明の他の実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの搬送方法を示す断面図
【図6】本発明の他の実施の形態に係るプラズマディスプレイパネルの搬送方法を示す断面図
【図7】従来のプラズマディスプレイパネルの構造を示す概略図
【図8】従来のプラズマディスプレイパネルの電極配列を示す概略図
【図9】従来のプラズマディスプレイ装置の全体構成の一例を示す概略図
【図10】従来のプラズマディスプレイパネルの搬送方法を示す断面図
【符号の説明】
【0063】
101,301,801 トレー
102,302,802 底面
103,303 外枠
104,304 接着材
105,305,804 プラズマディスプレイパネル
106,306,805 フレキシブル配線基板
107,307,803 上蓋
701,705 基板
702 表示電極
703 誘電体層
704 保護膜
706 オーバーコート層
707 アドレス電極
708 隔壁
709 蛍光体層
710 放電空間
711 パネル
712 前面枠
713 バックカバー
713a 通気孔
714 前面カバー
715 シャーシ部材
715a ボス部
716 熱伝導シート
717 回路ブロック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に複数の放電セルを形成して対向配置した平板形状のプラズマディスプレイパネルの搬送方法であって、
プラズマディスプレイパネルをこのプラズマディスプレイパネルの外形寸法以上の大きさの平板に粘着部材により粘着させて搬送することを特徴とするプラズマディスプレイパネルの搬送方法。
【請求項2】
前記粘着部材は延伸剥離材である
請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの搬送方法。
【請求項3】
前記粘着部材は平板に配設されている
請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの搬送方法。
【請求項4】
前記プラズマディスプレイパネルを縦方向に配置して搬送することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの搬送方法。
【請求項5】
前記プラズマディスプレイパネルを斜め縦方向に配置して搬送することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの搬送方法。
【請求項6】
前記プラズマディスプレイパネルはその周辺の一部にフレキシブル配線基板が接続されており、
前記プラズマディスプレイパネルはフレキシブル配線基板が接続されていない周辺を下にして搬送することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの搬送方法。
【請求項7】
前記プラズマディスプレイパネルを平板に粘着させたものを複数重ねて搬送することを特徴とする請求項1に記載のプラズマディスプレイパネルの搬送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−76810(P2007−76810A)
【公開日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−266561(P2005−266561)
【出願日】平成17年9月14日(2005.9.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】