プラズマ処理装置
【課題】
高均一の安定したプラズマを生成するプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】
μ波を用いてプラズマを生成させる装置において、μ波を時間的に回転させる方法について、複数(2以上4以下)の導波管を用い、導波管同士に角度をつけ、電界の位相差を付けることにより、処理室内に円偏波を導入する。その際、導波管の配置方法やその手段、μ波を合流させる合流室と反射制御室による反射波の制御手段などを設けたことを特徴とする。
【効果】
μ波を用いてプラズマを生成する方式において、広いパラメータ領域でμ波を回転させる手段を備えたことにより、広いプロセスパラメータ領域で高密度,高均一のプラズマを実現するプラズマ処理装置が提供でき、その結果、高処理速度,大口径ウエハの均一加工が実現される。
高均一の安定したプラズマを生成するプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】
μ波を用いてプラズマを生成させる装置において、μ波を時間的に回転させる方法について、複数(2以上4以下)の導波管を用い、導波管同士に角度をつけ、電界の位相差を付けることにより、処理室内に円偏波を導入する。その際、導波管の配置方法やその手段、μ波を合流させる合流室と反射制御室による反射波の制御手段などを設けたことを特徴とする。
【効果】
μ波を用いてプラズマを生成する方式において、広いパラメータ領域でμ波を回転させる手段を備えたことにより、広いプロセスパラメータ領域で高密度,高均一のプラズマを実現するプラズマ処理装置が提供でき、その結果、高処理速度,大口径ウエハの均一加工が実現される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波によりプラズマを生成して、被処理物をエッチング,成膜,アッシングなどの処理を行うプラズマ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ULSI素子の微細化,高集積化が急速に進められ、加工寸法が数10nmのデバイス加工が行われつつある。またφ300mmウエハ大口径化も進められており、エッチング技術の高精度化、大口径対応が求められている。その中でもゲート加工は、デバイスの動作速度や集積度を支配する重要因子であるので、その寸法加工精度が一番厳しく求められている。同時にゲート構造は多層膜化やメタルゲートなど新材料が用いられるようになっている。加工膜種が異なれば使用ガスも異なり、それに応じてプラズマやラジカルの分布も変化する。また、加工スループット向上のためには、プラズマの高密度化が必要であり、その1手段として励起周波数の高周波数化がある。中でもμ波を用いたプラズマ処理装置は、使用プロセス領域が0.1Pa 程度の低圧から数10Paまでの高圧力領域でプラズマ生成可能なこと、またスループットと関係する高密度化が容易であることから、広く使われている。但し一方で、μ波を用いるとその導入方法と装置サイズで決定される固有の‘モード’が立ち、半径方向や周方向に不均一になり易いという問題がある。それを解決する手段として、従来から種々のアンテナやスロットが考えられてきた。しかしながら、種々のアンテナやスロットから放射される近接場(二アーフィールド)の電界分布のみならず、やはり装置サイズで立つ固有のモードを解消することは困難である。
【0003】
固有モードのうち、周方向の不均一を解消する方法として円偏波を導入する方法がある。円偏波とは、電波の進行方向に対して垂直な面内で、電界方向が1周期の間に1回転する波をいう。その例としては円筒導波管に円偏波変換器を組合わせた方法が、特開2003−188152号公報の中の引用例に開示されている。円偏波変換器としては、引用例1の図16にあるように、円筒導波管541の内壁に互いに対向する金属製の円柱状スタブ
591A,591Bを1対または複数対設けたものがある。対をなすスタブは導入される直線偏波TE11モードの電界の主方向に対して45°をなす方向に配置される。複数対設ける場合は、円筒導波管541の軸方向に対してλg/4(λgは円筒導波管の管内波長)の間隔で配置される。また同様の効果を生むものとして、円筒導波管の軸に垂直な方向に棒状誘電体591Cを1個または複数個用いたものがある。
【0004】
従来例2として、円偏波アンテナが特開2003−188152号公報に開示されている。円筒導波管とその他端に一側面が接続された矩形導波管を有し、その間に円偏波アンテナを設ける。この円偏波アンテナは、矩形導波管の一側面において前記円形導波管に開口した1つまたは複数のスロットから構成されている。このスロットとしては、互いの長さが異なり、互いに中心で交差する2本のスロットであることが示されている。
【0005】
従来例3として、主同軸線路の軸方向に垂直な同一平面上に4つの給電部を設け、互いに90°の位相差を設けて、μ波を給電する方法が特開2001−358127号公報に開示されている。また1つのμ波発生源より4つの位相の異なるμ波に分配する概念図が示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−188152号公報
【特許文献2】特開2001−358127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術1では、導波管に局所的に金属製のスタブ591A,591Bを設けるため、その先端に電界が集中して異常放電が生じやすいという問題点がある。また、棒状誘電体591Cを用いた場合は、誘電体の誘電損により発熱するため連続稼動時の安定性に問題がある。また次に述べるプラズマの負荷変動時に円偏波とならないという課題がある。
【0008】
従来技術2の円偏波アンテナは、矩形導波管の一側面において前記円形導波管に開口した1つまたは複数のスロットから構成されている。このスロットとしては、互いの長さが異なり、互いに中心で交差する2本のスロットであることが示されている。開口した1つまたは複数のスロットアンテナを設けることは、その部分に金属を配置し、その他の部分を空洞とすることと等価であるから従来技術1と同じである。またスロットとして互いの長さが異なり、互いの中心で交差する2本のスロット(クロススロット)を設けて、スロットの交差する点で円偏波を得るとしているが、高周波供給側で円偏波を入れようとしても、プラズマの部分で反射が起こり、入射波と反射波とが干渉して、プラズマ−導波管−円偏波アンテナの間に定在波が立つ。そのためプラズマの状態(密度)が変われば円偏波を入れてもプラズマ内では回転できないという課題がある。ここでプラズマ負荷による電界分布の変化について述べる。高周波を用いる場合、その周波数で決まるカットオフ密度というものがあり、それ以下の場合は高周波はプラズマ中を伝播するが、それ以上になるとプラズマ中を伝播できない密度であり、
nc=meε0(2πf/e)2
と表される。ここでf:周波数,me:電子の質量,ε0:真空の誘電率,e:電荷素量である。1つはカットオフ密度以上、以下で高周波が反射する場所が変わることになり、その結果定在波のモードが変わることになる。また、導波管側からプラズマを見た場合の反射率も変わるようになる。その結果、ある特定の密度に対してスロットの形状,長さや交差角を適切に選んだとしても、高周波のパワーを変えてプラズマの密度が変化すると、円偏波を導入しようとしても反射波の影響のため、電界の向きを回転することができなくなる。
【0009】
従来技術3では、主同軸線路の軸方向に垂直な同一平面上に4つの給電部を設け、互いに90°の位相差を付けている。従来技術1の導波管内に金属製のスタブを設ける方法や従来技術2の導波管にスロットを設ける方法に比べて、給電側で電界の強度を制御するため、反射波の影響を受けにくいことになる。但し反射の影響で密度に応じて特定モードが立つのは、プラズマー導波管の間であるため、ここを給電側で制御することはできない。そのため、この方法でもプラズマ負荷に対応して円偏波を導入することは困難となる。
【0010】
ここでμ波のモードについて、2.45GHz のμ波を用いた空洞共振器(図10)を例にして述べる。μ波導入として矩形の導波管を用い、エルボーを介してμ波を基本円形導波管に導き、その後内径を拡大した空洞共振器へ、さらには導入窓を介してプラズマ内にμ波を導入するものである。矩形導波管ではTE10モードが励振され、エルボー部によって円形導波管と接続されると、図10(a)に示すようにTE11モード(電界の等高線が楕円型)が立つようになる。電界の主方向をx方向、それと垂直な方向をy方向とすると、空洞共振器内では、基本導波管のTE11モードとリアクターの径とプラズマ密度に起因したモードが立つようになる。厳密にはリアクター径によって変わるが、TE11,TE12,TE13などの導入したTE11の高次モードに加え、径が拡大したことによってTM11,TM12などのモードが現れる。プラズマ密度がnc以下の場合、図10(b)に示すように、プラズマ内ではTE12(電界の等高線がx軸を挟んで2箇所の楕円形)が主となる。プラズマ密度が上昇すると、TM11やTM12が主となる。図10(c)はプラズマ密度をne=10×1016m-3とした時であり、入射電界方向(x軸)に2箇所に電界の等高線が現れる、電界成分はy方向に加え導波管の高さ方向z方向の成分も持つようになる。このようにプラズマTM11モードが主となっている。このように密度によって電界のモードが異なるようになる。
【0011】
ここで従来技術1−3にある円偏波導入方法の効果について調べた。代表として従来技術1の誘電体(図11参照)を用いる場合で説明する。図11に示すように円形導波管
(φ90)の中に誘電体を電界の方向に対して45°傾けて配置する。ここでは誘電体としては石英を用いた。誘電体の無い時、円形導波管内の電界分布は図11(c)に示すように楕円形のTE11モードである。誘電体を入れた時の円形導波管内の電界分布計算結果を図11(c),(d)に示す。(c)は円形導波管の下部を無反射終端(リアクターなし)とした時の計算結果であり、円形導波管内の電界が円形になっており、楕円の電界分布が時間的に回転したことを示している。つまり円偏波が導入されていることになる。ところが、リアクターつまりプラズマと接続すると(d)に示すように、電界分布が元の楕円形に戻ってしまう。これは次の理由による。
【0012】
空洞共振器内での電界のモードが異なることになり、プラズマ側から戻ってくる反射波とその位相も異なることになる。この反射波のために、入射する円偏波が阻害されたためである。上記以外の金属スタブ,スロットアンテナや4方向給電なども同様で、円偏波を導入しても、反射波を制御する手段を合わせて設けなければ、円偏波とすることが困難となる。ここでは、空洞共振器を例として説明したが、従来技術2及び3で紹介されているラジアルスロットアンテナの場合も密度によってプラズマ内に立つモードがプラズマ密度で変化することは同様であり、密度によってTMmnモード,TEmnモードのいずれかが主となるように変化するため、同様に円偏波とすることが困難と考えられる。円偏波とする(電界を回転させる)ためには、高周波の導入方法に加え、プラズマ側からの反射波を制御する手段についての工夫が必要となる。
【0013】
本発明の目的は、高周波(μ波)を用いてプラズマを生成する方式において、プラズマ密度の広い領域において、電界を時間的に回転させる円偏波を導入することにより、高均一の安定したプラズマを生成するプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの見方によれば、本発明は、真空容器と、該真空容器内部にあってガスが供給される処理室と、該処理室内に設けられ処理対象物を支持する支持電極と、μ波を処理室に供給する中空の共振器室(空洞共振器)と、この共振器室と処理室とを分ける導入窓と、共振器室に一端が接続された導波管と、この導波管に接続されμ波を合流させ、またμ波の反射を制御する整合室と、整合室に接続する複数(2以上4以下)の矩形導波管を供え、矩形導波管を伝播する電界の位相を制御する手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
上記手段において、複数の矩形導波管として2ヶ用いる場合は、整合室と平行な平面状において、2つの導波管が概ね90°の角度を成すように配置する。同時に両者の電界の位相を制御する位相制御手段により概ね90°の位相差を付ける。位相制御手段としては位相器の他に矩形導波管同士の長さの差をつけΔl=λg/4*(2n+1)としてもよい。ここでλgは矩形導波管内の管内波長、nは整数である。矩形導波管を3ヶ用いる場合としては、3つの導波管が概ね120°の角度を成すように配置し、3つの導波管内の電界の位相が120°となるようにする。同様に矩形導波管を4ヶ用いる場合には、隣合う導波管同士が概ね90°の角度を成すように配置し、隣合う導波管内の電界の位相差を概ね90°となるようにする。ここでは3ヶ以上の場合も述べたが、現実的には、簡便さを考えると矩形導波管を2ヶ用いる。矩形導波管を2ヶ用いた場合のμ波の導入方法について述べる。整合室の側面に矩形導波管の軸方向(電界が伝播する方向)を接続させる。ここで座標として高さ方向(上記例で共振器と処理室とを結ぶ方向)をz、それに垂直な面にx,y方向を採るとする。2個ある矩形導波管のうち一方をx方向に配置し、片方をy方向に配置する。2ヶの矩形導波管から供給される電界は、上記整合室で合成される。整合室に導入する方法としては、単に整合室側壁に矩形導波管を付ける、もしくは整合室内部で矩形導波管を交差させてもよい。交差する矩形導波管の長さを変えた方が電界を回転させやすい。x,yの両方向から位相差90°をつけて供給されるので、ある時の電界はx方向最大の時、y方向は0、x方向0の時y方向は最大(最小)となる。この整合室の下には反射制御室が設けられ、その下に通常の導波管(円形導波管)が接続される。反射制御室は下部の円形導波管よりも径を大きくする。反射制御室は、その高さや径が実効的に変わる仕掛けを配置する。例えば金属製の板(スタブでもよい)を配置し、それを抜きさしすることにより、反射制御室の径や高さを変える。径や高さを変えることで、その部分に立ちうるモードを変えることにより、プラズマから戻ってくる反射波の影響を制御する(小さくする)ことができる。また、リアクター内に磁場を印加すると、磁場の方向とその強さに応じてプラズマ中の導電率σに異方性が現れる。ここでプラズマ中を流れるプラズマ電流JpはJp=σEと表されるので、磁場を変えることによって分布を変えることができる。磁場を時間変調することによって、導電率を変えて電界の分布を時間的に変えることができる。これによって電界の回転をアシストする。これによってプラズマ密度が変化した時に、磁場の強度/方向を調整することにより、電界及びプラズマへの吸収パワーの周方向分布を時間的に均一にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、μ波を用いてプラズマを生成させる装置において、広いパラメータ領域で、μ波を回転させることで高密度,高均一のプラズマを実現するプラズマ処理装置が提供でき、その結果、高処理速度,大口径ウエハの均一加工が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
μ波を用いてプラズマを生成させる装置において、μ波を時間的に回転させる方法について実施の形態を説明する。
【0018】
本発明の第1の実施例を図1に示す。プラズマ処理装置の処理室2はアルマイト処理されたアルミニウム等からなる処理容器内に形成され、処理室2内には被処理物(ウエハ)4を支持する支持台(電極)5とを備えた真空容器1を有し、処理室内に導入されたガス3は排気系6によって排気される。支持台の上にはウエハを載置するためのサセプタ7が配置される。処理室2の上部には、ガス3を導入するシャワープレート8、真空仕切りを兼ねてμ波を導入する導入窓9が載置されている。導入窓9の上には空洞部10があり、導入されたμ波の分布や強度を調整する手段となる。この部分の高さを変えることで処理室内に導入されるμ波の分布(モード)を変えることができる。空洞部10には円形導波管11が接続されている。円形導波管へは、この導波管の主軸と垂直な面にあって、μ波を伝播する矩形導波管12が複数(2以上)配置される。矩形導波管12を2ヶ用いる場合を代表して説明する。矩形導波管12a,矩形導波管12bを概略90°の角度をつけて配置する(各々x,y方向とする)。矩形導波管12a,12b内にはTE10モードが立つように例えば矩形導波管断面の一辺が109.2、他方が54.9mmとなる矩形導波管を用いる。矩形導波管12a,12bを伝播する電界には位相差90°を付ける。位相差をつける手段としては、位相器によってつけても良いし、導波管の長さにしてΔL=λg/4*(2n−1)の経路差をつけても良い。ここでλgはμ波の管内波長、nは自然数である。2.45GHz を用いる時は、たとえばΔL=37*(2n−1)mm程度とすればよい。
【0019】
位相差のついた矩形導波管12a,12bを整合室13で合流させる。各々x,y方向を向いたTE10モード(直線偏波)がこの中で合わさり、時間的に回転する円偏波となる。整合室13には反射制御室14が配置され、それを通して円形導波管11にμ波が処理室側に供給される。反射制御室は円形導波管11より径を大きく取る。円形導波管としてφ90の基本導波管を用いる場合、少なくとも水平断面が110mm2 以上の箱状の室とする。基本導波管φ90の中ではTE11モードのみが励振されるが、μ波にとって下流にあたる空洞部処理室内で反射され、再びTE11モードとして戻ってくることになる。これが入射波と合わさることになり、電界の回転(円偏波)を妨害することになる。しかし、導波管より径の大きい反射制御室14を設けることにより、この中ではTE11以外のモードを立てることができる。この電界は時間的に回転させることができるので、TE11として反射してくる波の影響を小さくすることができる。ここでは、反射制御室として直方体の例を示したが、円柱状でも多角形でもよく、TE11より高次モードが立てられる形状であればよい。さらには矩形導波管を2ヶ用いる方法を示したが、3ヶ以上用いる場合についても同様である。矩形導波管を3ヶ用いる場合は、12a,12b,12cの3つを概ね120°の角度をつけて、互いの電界の位相差として120°をつけて整合室13にて合流させるようにする。矩形導波管を4ヶ用いる場合は、4ケの導波管を順に概ね90°の角度をつけて(導波管を基準にして、90°,180°,270°と角度をつけて)配置し、導波管内の電界の位相差が90°,180°,270°となるようにする。これを整合室13で合流させる。
【0020】
本発明の第2の実施例を図2に示す。プラズマ処理装置に用いられる、μ波の入射方法に着目している。図1記載の実施例において、複数(n個)の矩形導波管12をその長方形断面のうち短い辺が上下に並ぶように、言い換えると導波管のE面が上下に並ぶように配置し、導波管の個数が2ヶの場合概略90角度をつけ、n(>2)のときには互いに
360°/nの角度を付けて配置する。そして、各々の導波管内の電界にはn=2の時は90°、n(>2)のときには360/n°の位相差を付ける。ここで各矩形導波管12と整合室13とが接続する高さは、同一平面状に無くともよく、各々でその高さを変えても良い。
【0021】
本発明の第3の実施例を図3に示す。矩形導波管12が整合室13内で交差することを特徴とする。整合室内で交差させ、交差させた導波管の下側(処理室側)を開口する。この時、導波管のE面が左右に並ぶ方向であってもよいし、上記第2の実施例のように上下に並ぶ方向でもよい。第2の実施例のようにE面を上下に並べるた場合で説明すると、x方向の矩形導波管12aとy方向の矩形導波管12bを整合室の中心で結合させる。矩形導波管内では特定のモード(ここではTE11)しか立たないので、処理室側から戻ってくる反射波の影響を小さくすることができる。また交差させる長さを導入方向で変えることをして、合成される点でx,y方向の電界を中心に対して非対称、もしくは偏心させる。偏心させることによっても反射波(ここでは円形導波管のTE11モード)の影響を小さくすることができる。これによってプラズマ負荷の広い範囲にわたって、円偏波を導入することができると考える。例えばn=2で、x,y方向で整合室の外側で既にλg/4
(37mm)の経路差をつけ、例えばy方向が37mm長い場合を想定すると、整合室内で導波管12aの長さを27.5×2mm、y方向12bの長さを27.5+20m程度とすると、導波管が同じ長さの場合に比べて回転しやすくなる。またその長さをかえることはx,y方向の矩形導波管内の電界強度を調整する手段となる。
【0022】
本発明の第4の実施例を図4に示す。プラズマ処理装置に用いられる、μ波導入方法のうち、それを合成させる整合室13/反射制御室14の構造に着目している。整合室13は矩形導波管もしくは円形導波管の径より大きくしておく。整合室13の径もしくは高さを変える手段;反射制御手段16を備えたことを特徴とする。この手段は反射制御室14に設けてもよい。反射制御手段16は金属製部材として整合室13/反射制御室14に配置する。金属製部材を上下することによって、整合室13/反射制御室14の径や高さを変えることにより、立つモードを制御する。これによりプラズマ密度が変化した時の反射波を制御する自由度を増やす。反射制御手段16は誘電体であってもよい。また(b)に示すように棒状であってもよく、また配置の方法も(b)右図にあるように2箇所(導波管が2ヶの時)としてもよい。整合室13/反射制御室14の径や高さを変えることができればよい。
【0023】
本発明の第5の実施例を図5に示す。プラズマ処理装置において、矩形導波管内の強度を変更する手段を備えたことを特徴とする。矩形導波管12の途中に整合器17を設ける。整合器17はμ波の強度や位相をモニターする方法を備えているものとする。矩形導波管を2ヶ用いた場合を図5に示す。矩形導波管12に整合器17を配置し、x,y方向の整合器17aと17bによってx,y方向のμ波の強度を変える(副次的にx,yの電界の位相差が変わることもある)。これによってプラズマ負荷が変わった時でも、円偏波とすることができる。また、整合器17としてスタブを使用する場合、スタブの位置よりプラズマ負荷(いわゆるLdγ)を知ることができるので、その値を基にして本発明の第6の実施例を図6に示す。プラズマ処理装置において、複数の矩形導波管に対して1つの給電部によって電力を供給することを特徴とする。矩形導波管に対して、μ波発生手段19より生成されたμ波を同軸導波管18を用いて矩形導波管に伝送する。同軸導波管18cを分岐点Tで12a,12bの方向に分岐させる。同軸導波管18と矩形導波管12とは図6の右図のように結合させる。導波管内に突き出た同軸の長さl1 とそれと導波管の終端(短絡端)までの距離をl2とすると、l1とl2 とを調整することで同軸−導波管との整合をとることができる。次に位相差をつけるためには、1)同軸部でつける、2)矩形導波管で付けるの2通りが考えられる。プラズマ側に近いというすなわち制御しやすいという観点から2)の方が望ましため、矩形導波管で位相差を付ける。x,y方向の導波管12で線路長の差として、λg/4*(2n−1)付ける。これによって、x,y方向に90°の位相差をつける。矩形導波管に位相器を設けてもよい。またプラズマ自身が非対称や偏心したときの補正手段として、矩形導波管に整合器(スタブ)を設けることが望ましい。これによりx/yの電界強度を調整することによって、電界の回転を補正することにより周方向に均一にする。
【0024】
本発明の第7の実施例を図7に示す。プラズマ処理装置に用いられる、空洞部10の構造に着目している。μ波の半径方向分布を制御/均一化する手段として、空洞部10にリング状金属20を用いる。リング状金属20は複数配置してもよいし、第2の空洞部21を設けて、空洞部の高さが半径方向で変わる状態が実現できればよい。
【0025】
本発明の第8の実施例を図8に示す。プラズマ処理装置において、磁場発生手段22を備えたことを特徴とする。さらには磁場発生手段のコイル22a〜22cに接続するコイル電源23の電流に時間変調を掛けてもよい。時間変調の周期としては0.1 〜数Hz程度とする。例えば図8の3つのコイル配置においては、コイル22aのみに通電すると発散磁場が、22bもしくは22cのみに通電すると縦方向の磁場を発生させることができる。コイル22aにのみ通電した時のプラズマ表面でのμ波の分布は同図(b)に示すようにTE12モードが主となる。22bに通電した場合は、(c)に示すようにTM11と
TE12が混合した分布となる。このように磁場の強度と磁場勾配を変えることにより、μ波の分布を半径方向のみならず円周にも変えることができる。ここで先の磁場コイルのうち22aと22bもしくは22cのコイルの組合わせに対して、コイル電源23に時間変調を行えば、μ波の分布を周方向に廻すことができる。ここで前記円偏波手段とを合わせると、プラズマパラメータの広い範囲で周方向及び半径方向に均一にすることができる。
【0026】
上記のように構成した本発明では、μ波を用いてプラズマを生成させる装置において、μ波を時間的に回転させる方法について、複数(2以上4以下)の導波管を用い、導波管同士に角度をつけ、電界の位相差を付けることにより、処理室内に円偏波を導入する。その際、導波管の配置方法やその手段、μ波を合流させる合流室と反射制御室による反射波の制御手段などを設けたことが特徴である。これによって、プラズマ負荷の変化に対応した反射波制御によりプラズマ負荷の広い範囲でμ波を時間的に回転させることが可能となる。
【0027】
図10に本発明のμ波回転方法の効果を示す。例として矩形導波管を2ヶ用い、x,y2方向からμ波を90°位相差をつけて導入した時の(a)導波管内の電界等高線と(b)プラズマ内の電界等高線を示したものである。導波管内の分布が概ね真円となり、またプラズマ内の電界も周方向に均一化されている。従来技術1の場合の導波管内の電界等高線の結果(図11の(d))及び従来例の結果(図10)に比べ、周方向の均一性が大幅に改善されていることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施例によるプラズマ処理装置である。
【図2】本発明に用いられるμ波導入方法についての第2の実施例である。
【図3】本発明に用いられるμ波導入方法についての第3の実施例である。
【図4】本発明に用いられるμ波導入方法についての第4の実施例である。
【図5】本発明に用いられるμ波伝播室についての第5の実施例である。
【図6】本発明に用いられるμ波導入方法についての第6の実施例である。
【図7】本発明に用いられるμ波均一化についての第7の実施例である。
【図8】本発明に用いられるμ波均一化についての第8の実施例である。
【図9】本発明の第1の実施例の効果を示す。
【図10】従来例のプラズマ処理装置のμ波分布を示す。
【図11】従来技術1の円偏波導入手段でのμ波分布計算結果を示す。
【符号の説明】
【0029】
1…真空容器、2…処理室、3…ガス、4…被処理物、5…支持台(電極)、6…排気系、7…サセプタ、8…シャワープレート、9…導入窓、10…空洞部、11…円形導波管、12…矩形導波管、12a,12b…矩形導波管、13…整合室(合流室)、14…反射制御室、15…位相器、16…反射制御手段、17…整合器もしくは出力調整手段、18…同軸導波管、19…μ波発生源、20…リング状金属、21…第2の空洞部、22…磁場発生手段、23…コイル電源。
【技術分野】
【0001】
本発明は、高周波によりプラズマを生成して、被処理物をエッチング,成膜,アッシングなどの処理を行うプラズマ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ULSI素子の微細化,高集積化が急速に進められ、加工寸法が数10nmのデバイス加工が行われつつある。またφ300mmウエハ大口径化も進められており、エッチング技術の高精度化、大口径対応が求められている。その中でもゲート加工は、デバイスの動作速度や集積度を支配する重要因子であるので、その寸法加工精度が一番厳しく求められている。同時にゲート構造は多層膜化やメタルゲートなど新材料が用いられるようになっている。加工膜種が異なれば使用ガスも異なり、それに応じてプラズマやラジカルの分布も変化する。また、加工スループット向上のためには、プラズマの高密度化が必要であり、その1手段として励起周波数の高周波数化がある。中でもμ波を用いたプラズマ処理装置は、使用プロセス領域が0.1Pa 程度の低圧から数10Paまでの高圧力領域でプラズマ生成可能なこと、またスループットと関係する高密度化が容易であることから、広く使われている。但し一方で、μ波を用いるとその導入方法と装置サイズで決定される固有の‘モード’が立ち、半径方向や周方向に不均一になり易いという問題がある。それを解決する手段として、従来から種々のアンテナやスロットが考えられてきた。しかしながら、種々のアンテナやスロットから放射される近接場(二アーフィールド)の電界分布のみならず、やはり装置サイズで立つ固有のモードを解消することは困難である。
【0003】
固有モードのうち、周方向の不均一を解消する方法として円偏波を導入する方法がある。円偏波とは、電波の進行方向に対して垂直な面内で、電界方向が1周期の間に1回転する波をいう。その例としては円筒導波管に円偏波変換器を組合わせた方法が、特開2003−188152号公報の中の引用例に開示されている。円偏波変換器としては、引用例1の図16にあるように、円筒導波管541の内壁に互いに対向する金属製の円柱状スタブ
591A,591Bを1対または複数対設けたものがある。対をなすスタブは導入される直線偏波TE11モードの電界の主方向に対して45°をなす方向に配置される。複数対設ける場合は、円筒導波管541の軸方向に対してλg/4(λgは円筒導波管の管内波長)の間隔で配置される。また同様の効果を生むものとして、円筒導波管の軸に垂直な方向に棒状誘電体591Cを1個または複数個用いたものがある。
【0004】
従来例2として、円偏波アンテナが特開2003−188152号公報に開示されている。円筒導波管とその他端に一側面が接続された矩形導波管を有し、その間に円偏波アンテナを設ける。この円偏波アンテナは、矩形導波管の一側面において前記円形導波管に開口した1つまたは複数のスロットから構成されている。このスロットとしては、互いの長さが異なり、互いに中心で交差する2本のスロットであることが示されている。
【0005】
従来例3として、主同軸線路の軸方向に垂直な同一平面上に4つの給電部を設け、互いに90°の位相差を設けて、μ波を給電する方法が特開2001−358127号公報に開示されている。また1つのμ波発生源より4つの位相の異なるμ波に分配する概念図が示されている。
【0006】
【特許文献1】特開2003−188152号公報
【特許文献2】特開2001−358127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術1では、導波管に局所的に金属製のスタブ591A,591Bを設けるため、その先端に電界が集中して異常放電が生じやすいという問題点がある。また、棒状誘電体591Cを用いた場合は、誘電体の誘電損により発熱するため連続稼動時の安定性に問題がある。また次に述べるプラズマの負荷変動時に円偏波とならないという課題がある。
【0008】
従来技術2の円偏波アンテナは、矩形導波管の一側面において前記円形導波管に開口した1つまたは複数のスロットから構成されている。このスロットとしては、互いの長さが異なり、互いに中心で交差する2本のスロットであることが示されている。開口した1つまたは複数のスロットアンテナを設けることは、その部分に金属を配置し、その他の部分を空洞とすることと等価であるから従来技術1と同じである。またスロットとして互いの長さが異なり、互いの中心で交差する2本のスロット(クロススロット)を設けて、スロットの交差する点で円偏波を得るとしているが、高周波供給側で円偏波を入れようとしても、プラズマの部分で反射が起こり、入射波と反射波とが干渉して、プラズマ−導波管−円偏波アンテナの間に定在波が立つ。そのためプラズマの状態(密度)が変われば円偏波を入れてもプラズマ内では回転できないという課題がある。ここでプラズマ負荷による電界分布の変化について述べる。高周波を用いる場合、その周波数で決まるカットオフ密度というものがあり、それ以下の場合は高周波はプラズマ中を伝播するが、それ以上になるとプラズマ中を伝播できない密度であり、
nc=meε0(2πf/e)2
と表される。ここでf:周波数,me:電子の質量,ε0:真空の誘電率,e:電荷素量である。1つはカットオフ密度以上、以下で高周波が反射する場所が変わることになり、その結果定在波のモードが変わることになる。また、導波管側からプラズマを見た場合の反射率も変わるようになる。その結果、ある特定の密度に対してスロットの形状,長さや交差角を適切に選んだとしても、高周波のパワーを変えてプラズマの密度が変化すると、円偏波を導入しようとしても反射波の影響のため、電界の向きを回転することができなくなる。
【0009】
従来技術3では、主同軸線路の軸方向に垂直な同一平面上に4つの給電部を設け、互いに90°の位相差を付けている。従来技術1の導波管内に金属製のスタブを設ける方法や従来技術2の導波管にスロットを設ける方法に比べて、給電側で電界の強度を制御するため、反射波の影響を受けにくいことになる。但し反射の影響で密度に応じて特定モードが立つのは、プラズマー導波管の間であるため、ここを給電側で制御することはできない。そのため、この方法でもプラズマ負荷に対応して円偏波を導入することは困難となる。
【0010】
ここでμ波のモードについて、2.45GHz のμ波を用いた空洞共振器(図10)を例にして述べる。μ波導入として矩形の導波管を用い、エルボーを介してμ波を基本円形導波管に導き、その後内径を拡大した空洞共振器へ、さらには導入窓を介してプラズマ内にμ波を導入するものである。矩形導波管ではTE10モードが励振され、エルボー部によって円形導波管と接続されると、図10(a)に示すようにTE11モード(電界の等高線が楕円型)が立つようになる。電界の主方向をx方向、それと垂直な方向をy方向とすると、空洞共振器内では、基本導波管のTE11モードとリアクターの径とプラズマ密度に起因したモードが立つようになる。厳密にはリアクター径によって変わるが、TE11,TE12,TE13などの導入したTE11の高次モードに加え、径が拡大したことによってTM11,TM12などのモードが現れる。プラズマ密度がnc以下の場合、図10(b)に示すように、プラズマ内ではTE12(電界の等高線がx軸を挟んで2箇所の楕円形)が主となる。プラズマ密度が上昇すると、TM11やTM12が主となる。図10(c)はプラズマ密度をne=10×1016m-3とした時であり、入射電界方向(x軸)に2箇所に電界の等高線が現れる、電界成分はy方向に加え導波管の高さ方向z方向の成分も持つようになる。このようにプラズマTM11モードが主となっている。このように密度によって電界のモードが異なるようになる。
【0011】
ここで従来技術1−3にある円偏波導入方法の効果について調べた。代表として従来技術1の誘電体(図11参照)を用いる場合で説明する。図11に示すように円形導波管
(φ90)の中に誘電体を電界の方向に対して45°傾けて配置する。ここでは誘電体としては石英を用いた。誘電体の無い時、円形導波管内の電界分布は図11(c)に示すように楕円形のTE11モードである。誘電体を入れた時の円形導波管内の電界分布計算結果を図11(c),(d)に示す。(c)は円形導波管の下部を無反射終端(リアクターなし)とした時の計算結果であり、円形導波管内の電界が円形になっており、楕円の電界分布が時間的に回転したことを示している。つまり円偏波が導入されていることになる。ところが、リアクターつまりプラズマと接続すると(d)に示すように、電界分布が元の楕円形に戻ってしまう。これは次の理由による。
【0012】
空洞共振器内での電界のモードが異なることになり、プラズマ側から戻ってくる反射波とその位相も異なることになる。この反射波のために、入射する円偏波が阻害されたためである。上記以外の金属スタブ,スロットアンテナや4方向給電なども同様で、円偏波を導入しても、反射波を制御する手段を合わせて設けなければ、円偏波とすることが困難となる。ここでは、空洞共振器を例として説明したが、従来技術2及び3で紹介されているラジアルスロットアンテナの場合も密度によってプラズマ内に立つモードがプラズマ密度で変化することは同様であり、密度によってTMmnモード,TEmnモードのいずれかが主となるように変化するため、同様に円偏波とすることが困難と考えられる。円偏波とする(電界を回転させる)ためには、高周波の導入方法に加え、プラズマ側からの反射波を制御する手段についての工夫が必要となる。
【0013】
本発明の目的は、高周波(μ波)を用いてプラズマを生成する方式において、プラズマ密度の広い領域において、電界を時間的に回転させる円偏波を導入することにより、高均一の安定したプラズマを生成するプラズマ処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一つの見方によれば、本発明は、真空容器と、該真空容器内部にあってガスが供給される処理室と、該処理室内に設けられ処理対象物を支持する支持電極と、μ波を処理室に供給する中空の共振器室(空洞共振器)と、この共振器室と処理室とを分ける導入窓と、共振器室に一端が接続された導波管と、この導波管に接続されμ波を合流させ、またμ波の反射を制御する整合室と、整合室に接続する複数(2以上4以下)の矩形導波管を供え、矩形導波管を伝播する電界の位相を制御する手段を備えたことを特徴とする。
【0015】
上記手段において、複数の矩形導波管として2ヶ用いる場合は、整合室と平行な平面状において、2つの導波管が概ね90°の角度を成すように配置する。同時に両者の電界の位相を制御する位相制御手段により概ね90°の位相差を付ける。位相制御手段としては位相器の他に矩形導波管同士の長さの差をつけΔl=λg/4*(2n+1)としてもよい。ここでλgは矩形導波管内の管内波長、nは整数である。矩形導波管を3ヶ用いる場合としては、3つの導波管が概ね120°の角度を成すように配置し、3つの導波管内の電界の位相が120°となるようにする。同様に矩形導波管を4ヶ用いる場合には、隣合う導波管同士が概ね90°の角度を成すように配置し、隣合う導波管内の電界の位相差を概ね90°となるようにする。ここでは3ヶ以上の場合も述べたが、現実的には、簡便さを考えると矩形導波管を2ヶ用いる。矩形導波管を2ヶ用いた場合のμ波の導入方法について述べる。整合室の側面に矩形導波管の軸方向(電界が伝播する方向)を接続させる。ここで座標として高さ方向(上記例で共振器と処理室とを結ぶ方向)をz、それに垂直な面にx,y方向を採るとする。2個ある矩形導波管のうち一方をx方向に配置し、片方をy方向に配置する。2ヶの矩形導波管から供給される電界は、上記整合室で合成される。整合室に導入する方法としては、単に整合室側壁に矩形導波管を付ける、もしくは整合室内部で矩形導波管を交差させてもよい。交差する矩形導波管の長さを変えた方が電界を回転させやすい。x,yの両方向から位相差90°をつけて供給されるので、ある時の電界はx方向最大の時、y方向は0、x方向0の時y方向は最大(最小)となる。この整合室の下には反射制御室が設けられ、その下に通常の導波管(円形導波管)が接続される。反射制御室は下部の円形導波管よりも径を大きくする。反射制御室は、その高さや径が実効的に変わる仕掛けを配置する。例えば金属製の板(スタブでもよい)を配置し、それを抜きさしすることにより、反射制御室の径や高さを変える。径や高さを変えることで、その部分に立ちうるモードを変えることにより、プラズマから戻ってくる反射波の影響を制御する(小さくする)ことができる。また、リアクター内に磁場を印加すると、磁場の方向とその強さに応じてプラズマ中の導電率σに異方性が現れる。ここでプラズマ中を流れるプラズマ電流JpはJp=σEと表されるので、磁場を変えることによって分布を変えることができる。磁場を時間変調することによって、導電率を変えて電界の分布を時間的に変えることができる。これによって電界の回転をアシストする。これによってプラズマ密度が変化した時に、磁場の強度/方向を調整することにより、電界及びプラズマへの吸収パワーの周方向分布を時間的に均一にすることが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、μ波を用いてプラズマを生成させる装置において、広いパラメータ領域で、μ波を回転させることで高密度,高均一のプラズマを実現するプラズマ処理装置が提供でき、その結果、高処理速度,大口径ウエハの均一加工が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
μ波を用いてプラズマを生成させる装置において、μ波を時間的に回転させる方法について実施の形態を説明する。
【0018】
本発明の第1の実施例を図1に示す。プラズマ処理装置の処理室2はアルマイト処理されたアルミニウム等からなる処理容器内に形成され、処理室2内には被処理物(ウエハ)4を支持する支持台(電極)5とを備えた真空容器1を有し、処理室内に導入されたガス3は排気系6によって排気される。支持台の上にはウエハを載置するためのサセプタ7が配置される。処理室2の上部には、ガス3を導入するシャワープレート8、真空仕切りを兼ねてμ波を導入する導入窓9が載置されている。導入窓9の上には空洞部10があり、導入されたμ波の分布や強度を調整する手段となる。この部分の高さを変えることで処理室内に導入されるμ波の分布(モード)を変えることができる。空洞部10には円形導波管11が接続されている。円形導波管へは、この導波管の主軸と垂直な面にあって、μ波を伝播する矩形導波管12が複数(2以上)配置される。矩形導波管12を2ヶ用いる場合を代表して説明する。矩形導波管12a,矩形導波管12bを概略90°の角度をつけて配置する(各々x,y方向とする)。矩形導波管12a,12b内にはTE10モードが立つように例えば矩形導波管断面の一辺が109.2、他方が54.9mmとなる矩形導波管を用いる。矩形導波管12a,12bを伝播する電界には位相差90°を付ける。位相差をつける手段としては、位相器によってつけても良いし、導波管の長さにしてΔL=λg/4*(2n−1)の経路差をつけても良い。ここでλgはμ波の管内波長、nは自然数である。2.45GHz を用いる時は、たとえばΔL=37*(2n−1)mm程度とすればよい。
【0019】
位相差のついた矩形導波管12a,12bを整合室13で合流させる。各々x,y方向を向いたTE10モード(直線偏波)がこの中で合わさり、時間的に回転する円偏波となる。整合室13には反射制御室14が配置され、それを通して円形導波管11にμ波が処理室側に供給される。反射制御室は円形導波管11より径を大きく取る。円形導波管としてφ90の基本導波管を用いる場合、少なくとも水平断面が110mm2 以上の箱状の室とする。基本導波管φ90の中ではTE11モードのみが励振されるが、μ波にとって下流にあたる空洞部処理室内で反射され、再びTE11モードとして戻ってくることになる。これが入射波と合わさることになり、電界の回転(円偏波)を妨害することになる。しかし、導波管より径の大きい反射制御室14を設けることにより、この中ではTE11以外のモードを立てることができる。この電界は時間的に回転させることができるので、TE11として反射してくる波の影響を小さくすることができる。ここでは、反射制御室として直方体の例を示したが、円柱状でも多角形でもよく、TE11より高次モードが立てられる形状であればよい。さらには矩形導波管を2ヶ用いる方法を示したが、3ヶ以上用いる場合についても同様である。矩形導波管を3ヶ用いる場合は、12a,12b,12cの3つを概ね120°の角度をつけて、互いの電界の位相差として120°をつけて整合室13にて合流させるようにする。矩形導波管を4ヶ用いる場合は、4ケの導波管を順に概ね90°の角度をつけて(導波管を基準にして、90°,180°,270°と角度をつけて)配置し、導波管内の電界の位相差が90°,180°,270°となるようにする。これを整合室13で合流させる。
【0020】
本発明の第2の実施例を図2に示す。プラズマ処理装置に用いられる、μ波の入射方法に着目している。図1記載の実施例において、複数(n個)の矩形導波管12をその長方形断面のうち短い辺が上下に並ぶように、言い換えると導波管のE面が上下に並ぶように配置し、導波管の個数が2ヶの場合概略90角度をつけ、n(>2)のときには互いに
360°/nの角度を付けて配置する。そして、各々の導波管内の電界にはn=2の時は90°、n(>2)のときには360/n°の位相差を付ける。ここで各矩形導波管12と整合室13とが接続する高さは、同一平面状に無くともよく、各々でその高さを変えても良い。
【0021】
本発明の第3の実施例を図3に示す。矩形導波管12が整合室13内で交差することを特徴とする。整合室内で交差させ、交差させた導波管の下側(処理室側)を開口する。この時、導波管のE面が左右に並ぶ方向であってもよいし、上記第2の実施例のように上下に並ぶ方向でもよい。第2の実施例のようにE面を上下に並べるた場合で説明すると、x方向の矩形導波管12aとy方向の矩形導波管12bを整合室の中心で結合させる。矩形導波管内では特定のモード(ここではTE11)しか立たないので、処理室側から戻ってくる反射波の影響を小さくすることができる。また交差させる長さを導入方向で変えることをして、合成される点でx,y方向の電界を中心に対して非対称、もしくは偏心させる。偏心させることによっても反射波(ここでは円形導波管のTE11モード)の影響を小さくすることができる。これによってプラズマ負荷の広い範囲にわたって、円偏波を導入することができると考える。例えばn=2で、x,y方向で整合室の外側で既にλg/4
(37mm)の経路差をつけ、例えばy方向が37mm長い場合を想定すると、整合室内で導波管12aの長さを27.5×2mm、y方向12bの長さを27.5+20m程度とすると、導波管が同じ長さの場合に比べて回転しやすくなる。またその長さをかえることはx,y方向の矩形導波管内の電界強度を調整する手段となる。
【0022】
本発明の第4の実施例を図4に示す。プラズマ処理装置に用いられる、μ波導入方法のうち、それを合成させる整合室13/反射制御室14の構造に着目している。整合室13は矩形導波管もしくは円形導波管の径より大きくしておく。整合室13の径もしくは高さを変える手段;反射制御手段16を備えたことを特徴とする。この手段は反射制御室14に設けてもよい。反射制御手段16は金属製部材として整合室13/反射制御室14に配置する。金属製部材を上下することによって、整合室13/反射制御室14の径や高さを変えることにより、立つモードを制御する。これによりプラズマ密度が変化した時の反射波を制御する自由度を増やす。反射制御手段16は誘電体であってもよい。また(b)に示すように棒状であってもよく、また配置の方法も(b)右図にあるように2箇所(導波管が2ヶの時)としてもよい。整合室13/反射制御室14の径や高さを変えることができればよい。
【0023】
本発明の第5の実施例を図5に示す。プラズマ処理装置において、矩形導波管内の強度を変更する手段を備えたことを特徴とする。矩形導波管12の途中に整合器17を設ける。整合器17はμ波の強度や位相をモニターする方法を備えているものとする。矩形導波管を2ヶ用いた場合を図5に示す。矩形導波管12に整合器17を配置し、x,y方向の整合器17aと17bによってx,y方向のμ波の強度を変える(副次的にx,yの電界の位相差が変わることもある)。これによってプラズマ負荷が変わった時でも、円偏波とすることができる。また、整合器17としてスタブを使用する場合、スタブの位置よりプラズマ負荷(いわゆるLdγ)を知ることができるので、その値を基にして本発明の第6の実施例を図6に示す。プラズマ処理装置において、複数の矩形導波管に対して1つの給電部によって電力を供給することを特徴とする。矩形導波管に対して、μ波発生手段19より生成されたμ波を同軸導波管18を用いて矩形導波管に伝送する。同軸導波管18cを分岐点Tで12a,12bの方向に分岐させる。同軸導波管18と矩形導波管12とは図6の右図のように結合させる。導波管内に突き出た同軸の長さl1 とそれと導波管の終端(短絡端)までの距離をl2とすると、l1とl2 とを調整することで同軸−導波管との整合をとることができる。次に位相差をつけるためには、1)同軸部でつける、2)矩形導波管で付けるの2通りが考えられる。プラズマ側に近いというすなわち制御しやすいという観点から2)の方が望ましため、矩形導波管で位相差を付ける。x,y方向の導波管12で線路長の差として、λg/4*(2n−1)付ける。これによって、x,y方向に90°の位相差をつける。矩形導波管に位相器を設けてもよい。またプラズマ自身が非対称や偏心したときの補正手段として、矩形導波管に整合器(スタブ)を設けることが望ましい。これによりx/yの電界強度を調整することによって、電界の回転を補正することにより周方向に均一にする。
【0024】
本発明の第7の実施例を図7に示す。プラズマ処理装置に用いられる、空洞部10の構造に着目している。μ波の半径方向分布を制御/均一化する手段として、空洞部10にリング状金属20を用いる。リング状金属20は複数配置してもよいし、第2の空洞部21を設けて、空洞部の高さが半径方向で変わる状態が実現できればよい。
【0025】
本発明の第8の実施例を図8に示す。プラズマ処理装置において、磁場発生手段22を備えたことを特徴とする。さらには磁場発生手段のコイル22a〜22cに接続するコイル電源23の電流に時間変調を掛けてもよい。時間変調の周期としては0.1 〜数Hz程度とする。例えば図8の3つのコイル配置においては、コイル22aのみに通電すると発散磁場が、22bもしくは22cのみに通電すると縦方向の磁場を発生させることができる。コイル22aにのみ通電した時のプラズマ表面でのμ波の分布は同図(b)に示すようにTE12モードが主となる。22bに通電した場合は、(c)に示すようにTM11と
TE12が混合した分布となる。このように磁場の強度と磁場勾配を変えることにより、μ波の分布を半径方向のみならず円周にも変えることができる。ここで先の磁場コイルのうち22aと22bもしくは22cのコイルの組合わせに対して、コイル電源23に時間変調を行えば、μ波の分布を周方向に廻すことができる。ここで前記円偏波手段とを合わせると、プラズマパラメータの広い範囲で周方向及び半径方向に均一にすることができる。
【0026】
上記のように構成した本発明では、μ波を用いてプラズマを生成させる装置において、μ波を時間的に回転させる方法について、複数(2以上4以下)の導波管を用い、導波管同士に角度をつけ、電界の位相差を付けることにより、処理室内に円偏波を導入する。その際、導波管の配置方法やその手段、μ波を合流させる合流室と反射制御室による反射波の制御手段などを設けたことが特徴である。これによって、プラズマ負荷の変化に対応した反射波制御によりプラズマ負荷の広い範囲でμ波を時間的に回転させることが可能となる。
【0027】
図10に本発明のμ波回転方法の効果を示す。例として矩形導波管を2ヶ用い、x,y2方向からμ波を90°位相差をつけて導入した時の(a)導波管内の電界等高線と(b)プラズマ内の電界等高線を示したものである。導波管内の分布が概ね真円となり、またプラズマ内の電界も周方向に均一化されている。従来技術1の場合の導波管内の電界等高線の結果(図11の(d))及び従来例の結果(図10)に比べ、周方向の均一性が大幅に改善されていることが判る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施例によるプラズマ処理装置である。
【図2】本発明に用いられるμ波導入方法についての第2の実施例である。
【図3】本発明に用いられるμ波導入方法についての第3の実施例である。
【図4】本発明に用いられるμ波導入方法についての第4の実施例である。
【図5】本発明に用いられるμ波伝播室についての第5の実施例である。
【図6】本発明に用いられるμ波導入方法についての第6の実施例である。
【図7】本発明に用いられるμ波均一化についての第7の実施例である。
【図8】本発明に用いられるμ波均一化についての第8の実施例である。
【図9】本発明の第1の実施例の効果を示す。
【図10】従来例のプラズマ処理装置のμ波分布を示す。
【図11】従来技術1の円偏波導入手段でのμ波分布計算結果を示す。
【符号の説明】
【0029】
1…真空容器、2…処理室、3…ガス、4…被処理物、5…支持台(電極)、6…排気系、7…サセプタ、8…シャワープレート、9…導入窓、10…空洞部、11…円形導波管、12…矩形導波管、12a,12b…矩形導波管、13…整合室(合流室)、14…反射制御室、15…位相器、16…反射制御手段、17…整合器もしくは出力調整手段、18…同軸導波管、19…μ波発生源、20…リング状金属、21…第2の空洞部、22…磁場発生手段、23…コイル電源。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器と、該真空容器内部にあってガスが供給される処理室と、前記処理室内に設けられた処理対象物を支持する支持電極と、μ波を前記処理室に供給する手段と前記μ波を伝播させる空洞部を有したプラズマ処理装置であって、前記μ波を2方向以上4方向以下の複数の方向から導入するμ波導入手段と各方向のμ波に位相差をつける手段と、前記μ波を合成する整合室と反射波を抑制する反射抑制手段とを備えたプラズマ処理装置。
【請求項2】
真空容器と、該真空容器内部にあってガスが供給される処理室と、前記処理室内に設けられた処理対象物を支持する支持電極と、μ波を前記処理室に供給する手段とμ波を伝播させる空洞部を有し、前記μ波を2方向以上4方向以下の複数の方向から導入する導入手段と各方向のμ波に位相差をつける手段と、前記μ波を合成する整合室と反射波を抑制する反射抑制手段とを備えたプラズマ処理装置であって、前記μ波を2方向から導入する場合は、導入方向の角度を概ね90°とし、電界の位相差を概90°つけ、n方向(n>2)より導入する場合には導入方向の互いの角度を概ね360°/n、電界の位相差を各々
360°/nとしたプラズマ処理装置。
【請求項3】
真空容器と、該真空容器内部にあってガスが供給される処理室と、前記処理室内に設けられた処理対象物を支持する支持電極と、μ波を前記処理室に供給する手段と前記μ波を伝播させる空洞部を有し、μ波を2方向以上4方向以下の複数の方向から導入する矩形導波管と各方向のμ波に位相差をつける手段と、前記μ波を合成する整合室と反射波を抑制する反射抑制手段とを備えたプラズマ処理装置であって、n個の矩形導波管をその長方形断面のうち短い辺が上下に並ぶようにし、導波管の個数が2個の場合概略90°の角度をつけ、n個(>2)の場合には互いに360°/nの角度を付けて配置したプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1のプラズマ処理装置において、導波管のE面が上下に並ぶように配置してμ波を供給し、導波管の個数が2個の場合概略90角度をつけ、n個(>2)の場合には互いに360°/nの角度を付けて配置したプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記μ波導入手段は矩形導波管であり、前記矩形導波管が前記整合室内で交差することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記整合室の径もしくは高さを変える反射制御手段を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記μ波導入手段は矩形導波管であり、前記矩形導波管内の強度を変更する手段を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項8】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記μ波導入手段は複数の矩形導波管であり、前記複数の矩形導波管に対して1つの給電部によって電力を供給することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項9】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記μ波を伝播させる空洞部に、リング状金属もしくは第2の空洞部を設けて、空洞部の径や高さを変える手段を設けたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項10】
請求項1のプラズマ処理装置において、磁場発生手段を備え、磁場発生手段であるコイル電流に時間変調をかけたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項11】
請求項10のプラズマ処理装置において、コイル電流の時間変調は0.1 〜10Hzであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項1】
真空容器と、該真空容器内部にあってガスが供給される処理室と、前記処理室内に設けられた処理対象物を支持する支持電極と、μ波を前記処理室に供給する手段と前記μ波を伝播させる空洞部を有したプラズマ処理装置であって、前記μ波を2方向以上4方向以下の複数の方向から導入するμ波導入手段と各方向のμ波に位相差をつける手段と、前記μ波を合成する整合室と反射波を抑制する反射抑制手段とを備えたプラズマ処理装置。
【請求項2】
真空容器と、該真空容器内部にあってガスが供給される処理室と、前記処理室内に設けられた処理対象物を支持する支持電極と、μ波を前記処理室に供給する手段とμ波を伝播させる空洞部を有し、前記μ波を2方向以上4方向以下の複数の方向から導入する導入手段と各方向のμ波に位相差をつける手段と、前記μ波を合成する整合室と反射波を抑制する反射抑制手段とを備えたプラズマ処理装置であって、前記μ波を2方向から導入する場合は、導入方向の角度を概ね90°とし、電界の位相差を概90°つけ、n方向(n>2)より導入する場合には導入方向の互いの角度を概ね360°/n、電界の位相差を各々
360°/nとしたプラズマ処理装置。
【請求項3】
真空容器と、該真空容器内部にあってガスが供給される処理室と、前記処理室内に設けられた処理対象物を支持する支持電極と、μ波を前記処理室に供給する手段と前記μ波を伝播させる空洞部を有し、μ波を2方向以上4方向以下の複数の方向から導入する矩形導波管と各方向のμ波に位相差をつける手段と、前記μ波を合成する整合室と反射波を抑制する反射抑制手段とを備えたプラズマ処理装置であって、n個の矩形導波管をその長方形断面のうち短い辺が上下に並ぶようにし、導波管の個数が2個の場合概略90°の角度をつけ、n個(>2)の場合には互いに360°/nの角度を付けて配置したプラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項1のプラズマ処理装置において、導波管のE面が上下に並ぶように配置してμ波を供給し、導波管の個数が2個の場合概略90角度をつけ、n個(>2)の場合には互いに360°/nの角度を付けて配置したプラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記μ波導入手段は矩形導波管であり、前記矩形導波管が前記整合室内で交差することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記整合室の径もしくは高さを変える反射制御手段を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記μ波導入手段は矩形導波管であり、前記矩形導波管内の強度を変更する手段を備えたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項8】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記μ波導入手段は複数の矩形導波管であり、前記複数の矩形導波管に対して1つの給電部によって電力を供給することを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項9】
請求項1のプラズマ処理装置において、前記μ波を伝播させる空洞部に、リング状金属もしくは第2の空洞部を設けて、空洞部の径や高さを変える手段を設けたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項10】
請求項1のプラズマ処理装置において、磁場発生手段を備え、磁場発生手段であるコイル電流に時間変調をかけたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項11】
請求項10のプラズマ処理装置において、コイル電流の時間変調は0.1 〜10Hzであることを特徴とするプラズマ処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−339547(P2006−339547A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−164947(P2005−164947)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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