説明

プラズマ処理装置

【課題】反応生成物がプラズマ光透過面に堆積しにくく、また、プラズマ光透過面がプラズマによりエッチングされにくい検出窓を備えたプラズマ処理装置を提供する。
【解決手段】プラズマエッチング処理を行うプラズマ処理室10と、プラズマ処理室の壁面に設けられて、プラズマ処理室で生成されるプラズマ光を透過する検出窓と、プラズマ光を受光して、プラズマ光の発光強度に基づいてプラズマエッチング処理の終点を検出する終点検出器とを備え、検出窓は、プラズマ光に対して透過性を有する第1部材34と、第1部材34よりプラズマ処理室側に設けられて、プラズマ光に対して非透過性を有する第2部材35とを具備し、第2部材35は、プラズマ光をプラズマ処理室から第1部材34へ導光する複数の貫通孔351を備え、複数の貫通孔351は、プラズマ処理室で発生して前記複数の貫通孔351へ進入する進入物の進入防止構造を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造に使用するプラズマ処理装置に関し、特にプラズマ処理において発生するプラズマ光を透過する検出窓を備えたプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマエッチングが、半導体装置の製造過程に用いられている。プラズマエッチングは、エッチング処理の終点検出に、プラズマ発光強度の変化量を用いる。すなわち、プラズマ処理室外に設けられた終点検出器の受光部が、プラズマ処理室内で発生したプラズマ光を受光して、プラズマ光の変化量に基づいてエッチング処理の終点を検出する。そのため、プラズマ処理装置は、プラズマ処理室の壁面に、プラズマ処理室の内部から外部へプラズマ光を透過する検出窓を備える。検出窓は、主として石英のようなプラズマ光に対して透過性を有する部材を用いたプラズマ光透過面を備える。検出窓は、エッチング処理の終点検出において、プラズマ処理室内部のプラズマ光を終点検出器の受光部へ導光する重要な役割を担う。
【0003】
検出窓は、エッチング処理時にプラズマ処理室内で発生する反応生成物がプラズマ光透過面へ付着したり、あるいは、エッチング処理時にプラズマによってプラズマ光透過面を曇りガラス状にエッチングされることにより、プラズマ光の透過率が低下する。終点検出器は、検出窓のプラズマ光透過率が低下すると、受光部での受光量が低下して、プラズマ発光強度の変化量を正確に検出することができない。そのため、終点検出器は、エッチング処理の終点判定を正確な行うことができなくなる。このような課題を解決する関連技術として、プラズマ光透過面にシールド部材を備える検出窓を用いた、以下の技術が開示されている。
【0004】
特許文献1は、反応生成物等の付着物が検出窓の表面に付着し難く、かつプラズマにより検出窓表面がエッチングされにくく、長期間に亘ってプラズマ状態を高精度で検出することが可能なプラズマ処理装置を開示している。
【0005】
特許文献1のプラズマ処理装置は、処理容器と、処理容器内に処理ガスのプラズマを生成するプラズマ生成手段と、処理容器内に生成したプラズマを検出するための検出窓とを具備するプラズマ処理装置である。検出窓は、処理容器の壁部に設けられている。検出窓は、第1部材と、第2部材と、第3部材とを備える。第1部材は、透光性を有する。第2部材は、第1部材の処理容器内部側に配置され、処理容器内のプラズマの光を第1部材に導くように形成された多数の微細貫通孔を有し、少なくともその表面がプラズマの発光スペクトルに対して不透過性を有する。第3部材は、第1部材と第2部材との間に設けられ、第1部材よりも耐プラズマ性が高い透光性材料からなる。
【0006】
特許文献1のプラズマ処理装置によれば、検出窓の第1部材は透光性を有し、第2部材は微細貫通孔が形成されている。さらに、第1部材と第2部材との間に、第1部材よりも耐プラズマ性の高い透光性材料からなる第3部材が設けられている。そのため、第2部材の微細貫通孔の存在により、光を透過しつつ反応生成物等の進入を妨げることができ、第3部材によりプラズマエッチングを抑制することができる。したがって、検出窓は、反応生成物の付着やプラズマによるエッチングによって生じる透光性低下を生じ難くすることができる。一方、第2部材の少なくとも表面がプラズマの発光スペクトルに対して不透過性を有するので、第2部材の微細貫通孔内を通過した発光スペクトルのみが第3部材および第1部材を通過し、そのため、反応生成物がたとえ第2部材の表面に付着した場合でも、検出される発光スペクトルの光量が低下しない。
【特許文献1】特開2000−077395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1のように貫通孔を有する検出窓を用いた場合、以下のような課題が存在する。まず、貫通孔の進入口が、反応生成物によって塞がれてしまうという課題が存在する。図1は、プラズマ処理室壁面1に備えられた検出窓において、シールド部材3の備える貫通孔4の口径を小さく(微細に)とった場合を示す図である。図1を参照すると、貫通孔4のプラズマ処理室内部側の入口が、反応生成物5の堆積によって塞がれていることが確認できる。これは、貫通孔4の口径が、微細なためである。貫通孔4の口径が微細であると、貫通孔4の入口は、反応生成物5の堆積が進行するにつれて、反応生成物5によって閉塞されてしまう。このような状態になると、プラズマ光が、貫通孔4へ進入しにくくなる。そのため、プラズマ光が、終点検出器の受光部側に存在するプラズマ光透過面2へ到達し難くなり、終点検出器は、プラズマ発光強度の変換量を正確に検出できなくなる。
【0008】
一方、貫通孔4の閉塞を回避するために、貫通孔4の口径を大きくとることも考えられる。図2は、プラズマ処理室壁面1に備えられた検出窓において、シールド部材3の備える貫通孔4の口径を大きくとった場合を示す図である。しかし、貫通孔4の口径を大きくとることで、反応生成物5やプラズマが、貫通孔4へ進入し易くなる。そのため、図2の拡大図にあるように、反応生成物5がプラズマ光透過面2へ堆積したり、あるいは、プラズマによってプラズマ光透過面2がエッチングされることで、プラズマ光透過面2のプラズマ光透過率が低下する。その結果、従来の課題を解決するために設けられた、貫通孔4の効果が薄れてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、(発明を実施するための最良の形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための最良の形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明のプラズマ処理装置(100)は、プラズマエッチング処理を行うプラズマ処理室(10)と、プラズマ処理室(10)の壁面に設けられて、プラズマ処理室(10)で生成されるプラズマ光を透過する検出窓(30)と、プラズマ光を受光して、プラズマ光の発光強度に基づいてプラズマエッチング処理の終点を検出する終点検出器(20)とを備え、検出窓(30)は、プラズマ光に対して透過性を有する第1部材(34)と、第1部材(34)よりプラズマ処理室(10)側に設けられて、プラズマ光に対して非透過性を有する第2部材(35)と、を具備し、第2部材(35)は、プラズマ光をプラズマ処理室から第1部材(34)へ導光する複数の貫通孔(351、352、353、354)を備え、複数の貫通孔(351)は、プラズマ処理室(10)で発生して前記複数の貫通孔(351)へ進入する進入物(16、18)の進入防止構造を備える。
【0011】
本発明のプラズマ装置(100)における進入防止構造は、第1部材(34)の備える、複数の貫通孔(351)の各々に対応して設けられて、当該対応する貫通孔(351)に挿入されるべき、少なくとも1つの突起部(341)である。
【0012】
本発明のプラズマ処理装置(100)における突起部(341)の高さは、貫通孔(351)の高さより低い。
【0013】
本発明のプラズマ処理装置(100)における突起部(341)の形状は、円柱、円錐、三角錐のうちのいずれかである。
【0014】
本発明のプラズマ処理装置(100)における進入防止構造は、複数の貫通孔(352)のうちで少なくとも一つの貫通孔(352)を、第1部材(34)側の口径(352c)がプラズマ処理室側の口径(352b)より小さくなるテーパ−状にした構造である。
【0015】
本発明のプラズマ処理装置(100)における進入防止構造は、複数の貫通孔(353、354)のうちで少なくとも一つの貫通孔(353、354)を、当該貫通孔(353、354)内の所定の位置(354d)で、第1部材側の口径(354b)がプラズマ処理室側の口径(353b)より小さくした構造である。
【0016】
本発明の検出窓(30)は、上記のいずれかのプラズマ処理装置(100)で使用する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、プラズマ光透過面に反応生成物が堆積しにくく、また、プラズマ光透過面がプラズマによりエッチングされにくい検出窓を構成できる。そのため、検出窓は、長期間に亘り、安定してプラズマ光を透過することができる。よって、長期間に亘り安定したプラズマ処理の終点判定を行うことが可能なプラズマ処理装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
添付図面を参照して、本発明の実施形態によるプラズマ処理装置を以下に説明する。
【0019】
(第1実施形態)
はじめに、本発明の第1実施形態における、プラズマ処理装置100を説明する。図3は、本実施形態のプラズマ処理装置100の構成を示す図である。本実施形態のプラズマ処理装置100は、プラズマ処理室10と、終点検出器20と、検出窓30を備える。
【0020】
プラズマ処理室10は、半導体ウェハのエッチング処理を行う。プラズマ処理室10は、内部の上下に対向して、上部電極11と、下部電極12とを備える。下部電極12は、下部電極12上に被処理対象であるウェハ19を転載可能である。ウェハ19が下部電極12上に転載された後、ガス導入管13は、処理ガスをプラズマ処理室10の内部へ導入する。排気管17は、図示されない排気機構と接続されている。排気管17は、排気機構の働きによる排気を行って、プラズマ処理室10内を所定の値まで減圧する。下部電極12は、マッチング回路14を介して、高周波電源15と接続されている。高周波電源15は、プラズマ処理室10の内部が所定の圧力まで減圧されると、下部電極12へ高周波電力を印加する。これによって、プラズマ処理室10内部の処理ガスが、プラズマ16化する。プラズマ処理室10の内部に発生したプラズマ16は、ウェハ19に対してエッチングを行う。ここで、ウェハ19のエッチング処理に伴い、プラズマ処理室10の内部に反応生成物18が発生する。排気管17は、排気機構の働きによって、反応生成物を、プラズマ処理室10の外部へ排出する。このようにして、プラズマ処理室10は、ウェハ19のエッチング処理を行う。このような、プラズマ処理室10は、従来の技術により構成されるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0021】
次に、終点検出器20は、プラズマ処理室10内のプラズマ状態の終点を検出する。終点検出器20は、プラズマ光を受光する受光部(図示せず)を備える。受光部は、プラズマ処理室10内で発生したプラズマ光を、検出窓30を介して受光する。終点検出器20は、受光部で受光したプラズマ光の発光強度に基づいて終点検出を行う。終点検出器20は、従来の技術により構成されるため、これ以上の詳細な説明を省略する。
【0022】
次に、検出窓30は、プラズマ処理室10内で発生したプラズマ光を透過する。検出窓30は、プラズマ処理室内から終点検出器20の受光部へプラズマ光を導光する。図4は、本実施形態における検出窓30の断面図である。図5は、本実施形態における検出窓30の正面図である。なお、以下において、特に明示の無い場合は、正面図とは、検出窓30をプラズマ処理室10の内部側から見た図として説明する。本実施形態における検出窓30は、第1部材34と、第2部材35とを備える。
【0023】
第1部材34は、プラズマ光に対して透過性を有する部材(例えば、石英)で構成される。第1部材34は、第2部材35より終点検出器20側(プラズマ処理室10の外部側)に設けられる。第1部材34は、プラズマ光に対する、プラズマ光透過面としての機能を果たす。第2部材35は、プラズマ光に対して非透過性を有する部材(例えば、アルミニウム)で構成される。第2部材35は、第1部材34よりプラズマ処理室10の内部側に設けられる。第2部材35は、第1部材34のプラズマ光透過面へ反応生成物の付着や、プラズマのエッチングによる曇りを防ぐ、シールドとしての機能を果たす。
【0024】
第2部材35は、張り出し部をプラズマ処理室10の壁面と密着して設置される。第2部材35とプラズマ処理室は、Oリング33で真空封印される。第1部材34は、第2部材35の終点検出器20側に、第2部材35と密着して設置される。第1部材34と第2部材35は、Oリング33で真空密封される。さらに、第1部材34と第2部材35は、留め具32とねじ31によりプラズマ処理室10の壁面へ固定される。なお、本実施形態における第1部材34、および第2部材35のプラズマ処理室壁面への固定方法は、一例を示したものであり、この固定方法に限定しない。
【0025】
次に、第1部材34、及び第2部材35の形状について説明を行う。まず、第2部材35は、複数の貫通孔351を備える。図6は、本実施形態における第2部材35の断面図である。また、図7は、本実施形態における第2部材35の正面図である。本実施形態の第2部材35は、9つの貫通孔351を備える。各貫通孔351は、高さ351a、口径351bの円筒状である。なお、以下において、高さ351aは、貫通孔351における終点検出器20側の端を高さ「0」として説明を行う。
【0026】
次に、第1部材34は、複数の突起部341を備える。図8は、本実施形態における第1部材34の断面図である。また、図9は、本実施形態における第1部材34の正面図である。本実施形態の第1部材34は、9つの突起部341を備える。各突起部341は、高さ341a、直径341bの円柱状である。各突起部341は、第2部材35の各貫通孔351に対応して設けられている。そのため、第1部材34と第2部材35が、前述の通りプラズマ処理室の壁面へ固定された状態において、各突起部341は、各貫通孔351へ、終点検出器20側からそれぞれ挿入された状態となる。
【0027】
ここで、第1部材34と、第2部材35との間には、以下の関係が成立する。突起部341の高さ341aは、貫通孔351の高さ351aより低い。すなわち、高さ341aと高さ351aとは、「341a<351a」の関係となる。また、突起部341の直径341bは、貫通孔351の口径351bより小さい。すなわち、直径341bと口径351bとは、「341b<351b」の関係となる。この状態が、図4、および図5に示す第1部材34と、第2部材35との関係となる。突起部341の高さ341aが貫通孔351の高さ351aより低いため、突起部341が、貫通孔351のプラズマ処理室10側の端まで達する事はない。貫通孔351は、突起部341が挿入されることによって、プラズマ処理室10側の開口面積より、終点検出器20側の開口面積のほうが小さくなる。なお、突起部341の高さ341aと、貫通孔351の高さ351aとの比率は、統計的データを用いて決定されるのが望ましく、具体的な比率(それぞれの高さの値)は、限定しない。同様に、貫通孔351の口径351bと、突起物341の直径341bとの比率は、統計的なデータを用いて決定されるのが望ましく、具体的な比率(それぞれの径の値)は、限定しない。また、貫通孔351の口径351bは、プラズマ処理によってプラズマ処理室10内に発生する反応生成物18の堆積により、貫通孔351の開口面が閉塞されない大きさを確保する必要がある。
【0028】
このように構成された本実施形態の検出窓30において、第1部材34の突起部341は、プラズマ処理室10から第2部材35の貫通孔351の内部への進入物である反応生成物18や、プラズマ16の進入を妨げる進入防止構造となっている。本実施形態の検出窓30において、反応生成物18やプラズマ16は、貫通孔351のプラズマ処理室10の内部側から貫通孔351の内部へある程度進入する。しかし、検出窓30は、貫通孔351の開口面から突起部341の先端に至るまでに反応生成物18の接触する貫通孔351の壁面、および突起部341の表面の面積を広くとることができるので、反応生成物18の単位面積あたりの堆積量を小さくすることができる。そのため、検出窓30は、反応生成物18による貫通孔351の閉塞を防ぐことができる。
また、検出窓30は、貫通孔351内に突起部341が挿入されることによって、終点検出器20側の貫通孔351内の開口面積を小さくしている。そのため、反応生成物18やプラズマが、第1部材34のプラズマ光透過面まで到達しにくい。図10は、本実施形態における反応生成物18の堆積が進んだ検出窓30の状態を示す図である。図10の拡大図が示すとおり、突起部341は、貫通孔351の内部で進入防止構造としての役割を果たしている。突起部341が貫通孔351へ挿入されることで、貫通孔351における終点検出器20側(プラズマ光透過面側)の開口面積は、プラズマ処理室10側の開港面積より小さくなっている。そのため、反応生成物18は、貫通孔351内において突起部341の存在する位置より、終点検出器20側へ進入し難い。よって、反応生成物18は、第1部材34のプラズマ光透過面に堆積し難い。同様に、プラズマ16も、貫通孔351内において突起部341の存在する位置より、終点検出器20側へ進入し難い。よって、第1部材34のプラズマ光透過面は、エッチングによる曇りを発生し難い。
【0029】
以上、説明を行ったとおり、本実施形態の検出窓30は、プラズマ処理室10内に反応生成物の堆積が進んでも、貫通孔351のプラズマ処理室内側の開口面を閉塞されにくく、また、第1部材34のプラズマ光透過面への反応生成物の堆積や、あるいはエッチングによる曇りを発生し難くすることを可能にする。そのため、本実施形態の検出窓30は、長期間に亘り、安定してプラズマ光を透過することができるので、プラズマ処理装置100は、長期間に亘って安定してプラズマ処理の終点判定を行うことが可能となる。
【0030】
なお、本実施形態において、第2部材35は、9つの貫通孔351を備える。しかし、貫通孔351の数は、9つに限定しない。貫通孔351の数は、統計データによって決定される事項であり、9つより多くても少なくても良い。また、本実施形態において、第1部材34は、9つの貫通孔351に対応して9つの突起部341を備える。突起部341の数は、貫通孔351の数に対応して増減を可能であり、9つに限定しない。さらに、突起部341は、貫通孔と同数でなくとも構わない。つまり、すべての貫通孔351に突起部341が挿入されていなければならないわけではない。
【0031】
また、本実施形態において突起部341の形状は、円柱である。しかし、突起部341の形状は円柱状に限定しない。突起部341の形状は、例えば、三角錐や、円錐でも構わない。突起部341の形状は、本実施形態で説明を行った効果を奏する形状であれば、他の形状であってもよい。
【0032】
以上が、第1実施形態のプラズマ処理装置の説明である。
【0033】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態における、プラズマ処理装置100を説明する。本実施形態のプラズマ処理装置100は、検出窓30の構成が第1実施形態と異なる。そのため、第1実施形態と同様の構成であるプラズマ処理室10、および終点検出器20の説明を省略して、検出窓30の構成の違いを中心に説明を行う。
【0034】
本実施形態の検出窓30は、第1実施形態と同様に、第1部材34と、第2部材35とを備える。図11は、本実施形態における検出窓30の断面図である。図12は、本実施形態における第2部材35の正面図である。また、図13は、本実施形態における第1部材34の正面図である。なお、第1部材34、および第2部材35は、第1実施形態と同様に、それぞれOリング33を用いて真空封印されて、ねじ31、留め具32を用いてプラズマ処理室10の壁面へ固定される。
【0035】
本実施形態の第1部材34は、第1実施形態と同様に、プラズマ光に対して透過性を有する部材(例えば、石英)で構成される。また、第1部材34は、第2部材35より終点検出器20側に設けられる。さらに、第1部材34は、プラズマ光に対する、プラズマ光透過面としての機能を果たすことも第1実施形態と同様である。本実施形態の第1部材34は、突起部341を備えていない。図11、および図13に示すように、第1部材34のプラズマ光透過面は、両面とも平らである。
【0036】
本実施形態の第2部材35は、第1実施形態と同様に、プラズマ光に対して非透過性を有する部材(例えば、アルミニウム)で構成される。また、第2部材35は、第1部材34よりプラズマ処理室10内部側に設けられる。さらに、第2部材35は、第1部材34のプラズマ光透過面へ反応生成物の付着を防ぐ、シールドとしての機能を果たすことも第1実施形態と同様である。
【0037】
第2部材35は、貫通孔352を備える。本実施形態において、貫通孔352は、プラズマ処理室10側の口径352bと、終点検出部20側の口径352cとが異なる。口径352cと口径352bは、「口径352c<口径352c」の関係となっている。つまり、貫通孔352は、プラズマ処理室10側から終点検出部20側に向けて、しだいに開口面積が小さくなっていくテーパ状に構成されている。なお、貫通孔352のプラズマ処理室10側の口径352bは、プラズマ処理によってプラズマ処理室10内に発生する反応生成物18の堆積により、開口面が閉塞されない大きさとする必要がある。
【0038】
第1実施形態では突起部341が、貫通孔351へ挿入される進入防止構造をとっていた。本実施形態では、貫通孔352が、プラズマ処理室10側の口径352bから終点検出器20側の口径352cへ向けて、開口面積を次第に小さくしたテーパ状に構成される進入防止構造となっている。これにより、反応生成物18は、貫通孔352の壁面へ付着し易くなるので、第1部材34のプラズマ光透過面への堆積を減少させることができる。また、プラズマ16が、第1部材34のプラズマ光透過面へ到達し難くすることができる。
【0039】
以上、説明を行ったとおり、本実施形態の貫通孔352は、プラズマ処理室10側の開口面積を広くとりつつ、終点検出器20側(プラズマ光透過面側)の開口面積が小さくなるようなテーパ状に構成されている。そのため、プラズマ処理室10から第2部材35の貫通孔352内部への進入物であるプラズマ16や、反応生成物18が、貫通孔352の終点検出器20側へ進入し難い。よって、検出窓30は、終点検出器20側において、第1部材34のプラズマ光透過面への反応生成物18の堆積、およびプラズマのエッチングによる曇りの発生を防ぐことができる。また、貫通孔352は、口径352bを大きくとることができるため、反応生成物18の堆積によりプラズマ処理室10側の開口面が閉塞されることを防ぐことができる。
【0040】
以上が、第2実施形態におけるプラズマ処理装置100の説明である。
【0041】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態における、プラズマ処理装置100を説明する。本実施形態のプラズマ処理装置100は、検出窓30の構成が第1実施形態と異なる。そのため、第1実施形態と同様の構成であるプラズマ処理室10、および終点検出器20の説明は省略して、検出窓30の構成の違いを中心に説明を行う。
【0042】
本実施形態の検出窓30は、第1実施形態と同様に、第1部材34と、第2部材35とを備え、さらに第3部材36を備える。図14は、本実施形態における検出窓30の断面図である。また、図15は、本実施形態における検出窓30の正面図である。なお、第1部材34、および第2部材35は、第1実施形態と同様に、Oリング33を用いて真空封印されて、真空ねじ31、留め具32を用いてプラズマ処理室10の壁面へ固定される。
【0043】
本実施形態の第1部材34は、第1実施形態と同様に、プラズマ光に対して透過性を有する部材(例えば、石英)で構成される。図20は、本実施形態における第1部材34の正面図である。また、第1部材34は、図14に示すとおり、第2部材35より終点検出器20側に設けられる。さらに、第1部材34は、プラズマ光に対する、プラズマ光透過面としての機能を果たすことも第1実施形態と同様である。本実施形態の第1部材34の形状は、第2実施形態と同様である。すなわち、第1部材34は、突起部341を備えていない。図14、および図20に示すように第1部材34のプラズマ光透過面は、両面とも平らである。
【0044】
本実施形態の第2部材35は、第1実施形態と同様に、プラズマ光に対して非透過性を有する部材(例えば、アルミニウム)で構成される。図16は、本実施形態における第2部材35の断面図である。また、図17は、本実施形態における第2部材35の正面図である。第2部材35は、第1部材34よりプラズマ処理室10内部側に設けられる。第2部材35は、第1部材34のプラズマ光透過面へ反応生成物18の付着を防ぐ、シールドとしての機能を果たすことも第1実施形態と同様である。本実施形態の第2部材35は、第1部材34との間に、第3部材36を格納するためのスペースを備える。また、第2部材35は、貫通孔353を備える。貫通孔353は、口径353bの開口面を有する円筒状である。本実施形態において第2部材35は、第3部材36を格納するスペースを備えるため、貫通孔353は、第2部材35の一定の高さからプラズマ処理室10側へ構成される。後述するが、本実施形態では、第3部材36の高さは、高さ354aであるため、貫通孔353は高さ354aからプラズマ処理室10側に構成される。
【0045】
本実施形態の第3部材36は、図14に示すように、プラズマ処理室10側に設けられる第2部材35と、終点検出器20側に設けられる第1部材34との間に設けられる。図18は、本実施形態における第3部材36の断面図である。また、図19は、本実施形態における第3部材36の正面図である。第3部材36は、複数の貫通孔354を備える。貫通孔354は、口径354bの円筒状である。各貫通孔354は、第2部材35の貫通孔353の位置と対応して構成される。貫通孔354の口径354bは、貫通孔353の口径353bより小さい。つまり、貫通孔353と貫通孔354との間には、「口径354b<口径353b」の関係が成り立つ。そのため、図14、および図15に示すとおり、第3部材36が第1部材34と第2部材35の間に設けられると、第2部材35の貫通孔353と、第3部材36の貫通孔354とは、口径が途中で変化する一つの貫通孔として構成される。第3部材36は、高さ354aである。第3部材36の高さ354aは、そのまま貫通孔354の高さとなる。すなわち、本実施形態の検出窓30は、第3部材36の終点検出器20側の端から高さ354aまでが口径354b、高さ354aから第2部材35の端までが口径354bの貫通孔を備えることになる。このように、本実施形態の検出窓30は、貫通孔353より貫通孔354の口径を小さく構成することで、プラズマ処理室10側の貫通孔353の開口面積より、終点検出器20側の貫通孔354の開口面積を小さくして、反応生成物18やプラズマ16の進入を妨げる進入防止構造をとなっている。ここで、貫通孔353のプラズマ処理室10側の口径353bは、プラズマ処理によってプラズマ処理室10内に発生する反応生成物18の堆積により、開口面が閉塞されない大きさとする必要がある。
【0046】
以上、説明を行ったとおり、本実施形態では、第3部材36の貫通孔354の口径354bは、第2部材35の貫通孔353の口径353bに比べて小さく構成される。そのため、プラズマ処理室10から貫通孔353および貫通孔354への進入物である反応生成物18やプラズマ16が、貫通孔354の内部へ進入し難く構成されている。そのため、検出窓30は、第1部材34のプラズマ光透過面への反応生成物18の堆積や、プラズマ16のエッチングによる曇りを発生し難くすることができる。また、貫通孔353のプラズマ処理室10側の口径は、反応生成物18の堆積によって閉塞されない程度に広くとられている。これに伴って、貫通孔353の内部において第3部材36の頂部に到達するまでの表面積を広くとることができ、単位面積あたりの反応生成物18の堆積量を少なくすることができるため、貫通孔354におけるプラズマ処理室10側の開口面が、反応生成物18によって閉塞されることを防ぐことができる。
なお、第3部材の高さ354aは、統計的なデータから決定される値であり、具体的な数値は限定しない。また、第3部材36の高さ354aが変化することで、第2部材35における第3部材36を格納するスペースが変化することは言うまでもない。同様に、貫通孔354のまた、第2部材35、および第3部材36はそれぞれ、貫通孔353と、貫通孔354を9つずつ備えている。しかし、貫通孔353、貫通孔354の数は、それぞれ対応する数が備えられていればよいのであって、9つに限定しない。さらに、貫通孔353の口径353bと、貫通孔354の口径354bとの大きさの比率は、統計的なデータにより効果的に決定される事項であり、数値の限定は行わない。また、本実施形態では、第2部材35と第3部材36の組合せて構成することにより、貫通孔353、及び貫通孔354の口径を変化させている。しかし、これは、第2部材35のみで構成しても構わない。つまり、口径が貫通孔353の途中で変化するように構成された第2部材のみで構成することも可能である。
【0047】
以上が、第3実施形態におけるプラズマ処理装置100の説明である。
【0048】
ここまで、各実施形態において説明を行った通り、本発明のプラズマ処理装置100は、検出窓30に設けられた貫通孔のプラズマ処理室10側の開口面を、反応生成物18の堆積によって閉塞されない程度の口径で構成され、また、貫通孔へ進入防止構造を採用して、貫通孔の終点検出器20側の開口面をプラズマ処理室側の開口面より開口面積を小さく構成している。これにより、貫通孔のプラズマ処理室10側の開口面が、反応生成物18によって閉塞されることを防ぎ、また、プラズマ光透過面への反応生成物18の堆積と、プラズマのエッチングによる曇りの影響を低減できる。そのため、各実施形態における検出窓30は、長期間に亘り、安定してプラズマ光を透過することが可能となる。よって、終点検出器20は、長期間に亘り安定したプラズマ処理の終点判定を行うことが可能となる。
【0049】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定するものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲で当業者が理解し得る様々な変更を行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】貫通孔4の口径を小さくとった場合の従来の検出窓を示す図である。
【図2】貫通孔4の口径を大きくとった場合の従来の検出窓を示す図である。
【図3】第1実施形態のプラズマ処理装置100の構成を示す図である。
【図4】第1実施形態における検出窓30の断面図である。
【図5】第1実施形態における検出窓30の正面図である。
【図6】第1実施形態における第2部材35の断面図である。
【図7】第1実施形態における第2部材35の正面図である。
【図8】第1実施形態における第1部材34の断面図である。
【図9】第1実施形態における第1部材34の正面図である。
【図10】第1実施形態における反応生成物18の堆積が進んだ検出窓30の状態を示す図である。
【図11】第2実施形態における検出窓30の断面図である。
【図12】第2実施形態における第2部材35の正面図である。
【図13】第2実施形態における第1部材34の正面図である。
【図14】第3実施形態における検出窓30の断面図である。
【図15】第3実施形態における検出窓30の正面図である。
【図16】第3実施形態における第2部材35の断面図である。
【図17】第3実施形態における第2部材35の正面図である。
【図18】第3実施形態における第3部材36の断面図である。
【図19】第3実施形態における第3部材36の正面図である。
【図20】第3実施形態における第1部材34の正面図である。
【符号の説明】
【0051】
1 プラズマ処理室壁面
2 プラズマ光透過面
3 シールド部材
4 貫通孔
5 反応生成物
10 プラズマ処理室
11 上部電極
12 下部電極
13 ガス導入管
14 マッチング回路
15 高周波電源
16 プラズマ
17 排気管
18 反応生成物
19 ウェハ
20 終点検出器
30 検出窓
31 ねじ
32 留め具
33 Oリング
34 第1部材
35 第2部材
36 第3部材
100 プラズマ処理装置
341 突起部
341a 突起部の高さ
341b 突起部の直径
351 貫通孔
351a 貫通孔351の高さ
351b 貫通孔351の口径
352 貫通孔
352b 貫通孔352のプラズマ処理室10側の口径
352c 貫通孔352の終点検出器20側の口径
353 貫通孔
353b 貫通孔353の口径
354 貫通孔
354a 貫通孔354(第3部材)の高さ
354b 貫通孔354の口径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマエッチング処理を行うプラズマ処理室と、
前記プラズマ処理室の壁面に設けられて、前記プラズマ処理室で生成されるプラズマ光を透過する検出窓と、
前記プラズマ光を受光して、前記プラズマ光の発光強度に基づいて前記プラズマエッチング処理の終点を検出する終点検出器と
を備え、
前記検出窓は、
前記プラズマ光に対して透過性を有する第1部材と、
前記第1部材より前記プラズマ処理室側に設けられて、前記プラズマ光に対して非透過性を有する第2部材と
を具備し、
前記第2部材は、前記プラズマ光を前記プラズマ処理室から前記第1部材へ導光する複数の貫通孔を備え、
前記複数の貫通孔は、前記プラズマ処理室で発生して前記複数の貫通孔へ進入する進入物の進入防止構造を備える
プラズマ処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、
前記進入防止構造は、前記第1部材の備える、前記複数の貫通孔の各々に対応して設けられて、当該対応する貫通孔に挿入されるべき、少なくとも1つの突起部である
プラズマ処理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のプラズマ処理装置であって、
前記突起部の高さは、前記貫通孔の高さより低い
プラズマ処理装置。
【請求項4】
請求項3に記載のプラズマ処理装置であって、
前記突起部の形状は、円柱、円錐、三角錐のうちのいずれかである
プラズマ処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、
前記進入防止構造は、前記複数の貫通孔のうちで少なくとも一つの貫通孔を、前記第1部材側の口径が前記プラズマ処理室側の口径より小さいテーパ−状にした構造である
プラズマ処理装置。
【請求項6】
請求項1に記載のプラズマ処理装置であって、
前記進入防止構造は、前記複数の貫通孔のうちで少なくとも一つの貫通孔を、当該貫通孔内の所定の位置で、前記第1部材側の口径が前記プラズマ処理室側の口径より小さくした構造である
プラズマ処理装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれかに記載したプラズマ処理装置で使用する検出窓。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−129721(P2010−129721A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301939(P2008−301939)
【出願日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】