説明

プリンタ及びRFID印字媒体

【課題】 印字対象となるRFID印字媒体に各種のサイズが存在する場合であっても、連続する複数のRFID印字媒体の内の1つのRFID印字媒体のメモリに確実に情報を書き込むことができるプリンタを提供する。
【解決手段】 このプリンタは、印字内容及び情報を入力するために用いられる入力手段と、入力手段を用いて入力された印字内容に基づいて、印字媒体に印字を行う印字手段と、入力手段を用いて入力された情報をRFIDに記憶させるために、RFIDに無線信号を送信して、RFIDにエネルギーを供給すると共にRFIDとの間で無線通信を行う無線通信手段21〜25と、無線通信手段から送信される無線信号の強度を複数段階の内のいずれかに切り換える送信範囲切換手段26とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台紙に仮着されたラベル等に印字を行うプリンタに関する。さらに、本発明は、そのようなプリンタによって印字が行われるラベル、タグ製造用の帯状のシート、又は、リストバンド等の印字媒体であって、情報を記憶すると共に外部との間で無線通信が可能なRFID(radio frequency identification:無線周波数識別)印字媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
小規模の商品製造会社やスーパーマーケット等においては、ラベルプリンタを用いることにより、商品に貼り付けられるラベルに、商品名、製造年月日、価格等を表す文字や、商品名、価格等を表すバーコードを印字している。また、メモリに情報を記憶すると共に外部との間で無線通信が可能なRFIDラベルが用いられることもある。RFIDラベルは、外部からエネルギーを供給されたときに無線通信を行うRFIDとしての機能を有している。RFIDラベルのメモリには、ラベルプリンタを用いてラベル面に印字を行う際に、各種の情報が書き込まれる。さらに、一旦メモリに書き込まれた情報を、後から書き替えることも可能である。このようなRFIDラベルには、各種のサイズが存在する。
【0003】
図6は、従来のラベルプリンタを用いてRFIDラベルのメモリに情報を書き込むと共にラベル面に印字を行う状態を説明するための図である。図6の(a)は、比較的大きなRFIDラベルに印字を行う場合を示しており、図6の(b)は、比較的小さなRFIDラベルに印字を行う場合を示している。
【0004】
台紙に剥離可能に仮着された複数のRFIDラベルが搬送されて、その中の1枚のRFIDラベルがリーダライタ近傍の位置に達したときに、RF信号の送受信機能を有するリーダライタが、そのRFIDラベルに対してRF信号の送信を行う。
【0005】
図6の(a)に示すように、比較的大きなRFIDラベルに印字を行う場合には、RF信号の送信範囲内に1枚のRFIDラベルしか存在しないので、リーダライタは、そのRFIDラベルのみとの間で無線通信を行うことにより、そのRFIDラベルのメモリに情報を書き込むことができる。
【0006】
一方、図6の(b)に示すように、比較的小さなRFIDラベルに印字を行う場合には、RF信号の送信範囲内に複数枚のRFIDラベルが存在することになる。したがって、リーダライタは、複数枚のRFIDラベルとの間で無線通信を行うことが可能となってしまうので、通信相手のRFIDラベルのメモリに情報を書き込もうとしても、いずれのRFIDラベルのメモリに情報が書き込まれたのか不明となってしまう。その結果、RFIDラベルのメモリに書き込まれた情報と、そのRFIDラベルのラベル面に印字された内容とが、互いに対応しないという問題が発生する。
【0007】
関連する技術として、下記の特許文献1には、RFID読み込み/書き込み装置をプリンタ内に内蔵し、しかもRFIDの書き込みのエラー検出を行うことができるRFID読み込み/書き込み装置付きプリンタが開示されている。このプリンタは、用紙に設けられたRFIDタグへの読み込み/書き込みを行うRFID読み込み/書き込み装置と、用紙のラベルに印刷を行うプリンタ装置とを備えており、プリンタ装置が、RFID読み込み/書き込み装置によってRFIDタグから読み取られたデータに基づいて、ラベルに印刷を行う。特許文献1の図6〜図8には、RFID読み込み/書き込み装置とRFIDタグとの間の位置関係が示されている。しかしながら、RFID読み込み/書き込み装置の送信範囲内に複数のRFIDタグが存在する場合の問題点に関しては記載されていない。
【特許文献1】特開2001−96814号公報(第1、4頁、図6〜図8)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、上記の点に鑑み、本発明の第1の目的は、印字対象となるRFID印字媒体に各種のサイズが存在する場合であっても、連続する複数のRFID印字媒体の内の1つのRFID印字媒体のメモリに確実に情報を書き込むことができるプリンタを提供することである。
【0009】
また、本発明の第2の目的は、使用されているプリンタにおいて印字対象となるRFID印字媒体に各種のサイズが存在する場合であっても、連続する複数のRFID印字媒体の内の1つのRFID印字媒体のメモリに確実に情報が書き込まれるRFID印字媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の観点に係るプリンタは、情報を記憶すると共に外部からエネルギーを供給されたときに無線通信が可能なRFIDを含む印字媒体に印字を行うと共に、RFIDに情報を記憶させることができるプリンタであって、印字内容及び情報を入力するために用いられる入力手段と、入力手段を用いて入力された印字内容に基づいて、印字媒体に印字を行う印字手段と、入力手段を用いて入力された情報をRFIDに記憶させるために、RFIDに無線信号を送信して、RFIDにエネルギーを供給すると共にRFIDとの間で無線通信を行う無線通信手段と、無線通信手段から送信される無線信号の強度を複数段階の内のいずれかに切り換える送信範囲切換手段とを具備する。
【0011】
また、本発明の第2の観点に係るRFID印字媒体は、情報を記憶すると共に外部からエネルギーを供給されたときに無線通信が可能な印字媒体であって、無線信号の受信及び/又は送信に用いられるアンテナコイルと、外部から送信される無線信号をアンテナコイルを用いて受信することによって得られた受信信号の強度を複数段階に切り換える受信範囲切換手段と、切換回路によって強度が切り換えられた受信信号からエネルギーを供給され、該受信信号を復調して復調信号を得る復調回路と、復調回路によって得られた復調信号に基づいて受信範囲切換手段を制御する制御手段と、復調回路によって得られた復調信号に含まれている情報を記憶するメモリとを具備する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の観点によれば、プリンタにおいて、無線通信手段から送信される無線信号の強度を複数段階の内のいずれかに切り換える送信範囲切換手段を設けることにより、印字対象となるRFID印字媒体に各種のサイズが存在する場合であっても、連続する複数のRFID印字媒体の内の1つのRFID印字媒体のメモリに確実に情報を書き込むことができる。
【0013】
また、本発明の第2の観点によれば、RFID印字媒体において、外部から送信される無線信号をアンテナコイルを用いて受信することによって得られた受信信号の強度を複数段階に切り換える受信範囲切換手段を設けることにより、使用されているプリンタにおいて印字対象となるRFID印字媒体に各種のサイズが存在する場合であっても、連続する複数のRFID印字媒体の内の1つのRFID印字媒体のメモリに確実に情報を書き込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら詳しく説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略図である。プリンタ10は、台紙に仮着されたラベル、タグ製造用の帯状のシート、又は、病院等において使用されるリストバンド等の印字媒体に印字を行うためのプリンタであって、特に、RFID(無線周波数識別)印字媒体に印字を行うと共に、RFID印字媒体のメモリに情報を書き込むことができる。RFID印字媒体は、メモリに情報を記憶すると共に、外部からエネルギーを供給されたときに無線通信が可能なRFIDを含んでいる。以下においては、例として、スタンドアロンタイプのサーマルプリンタを用いてRFIDラベルに印字を行う場合について説明する。
【0015】
プリンタ10の供給リール14には、ラベル連続体13が巻かれている。ラベル連続体13は、RFIDラベル11を剥離可能に台紙12に仮着して構成したものである。RFIDラベル11のラベル面には、例えば、ある温度領域に達すると特定の色(例えば、黒や赤等)を発色するサーマル紙等が用いられる。
【0016】
ステッピングモータ16がベルト17を介してプラテンローラ15を回転させることにより、台紙12が図中右側(搬送方向上流側)から左側(搬送方向下流側)に間欠的に搬送される。台紙12の搬送は、センサ19の検出結果に基づいて制御され、サーマルヘッド18がRFIDラベル11に印字を行う。
【0017】
リーダライタ20は、入力部40を用いて入力された情報をRFIDラベル11のRFIDに内蔵されたメモリに記憶させるために、無線周波数(RF)の磁界又は電磁界を発生することによってRFIDにRF信号を送信し、RFIDにエネルギーを供給すると共にRFIDとの間で無線通信を行う。
【0018】
制御部30は、例えば、CPUとソフトウェアによって構成されており、各部の動作を制御する。入力部40は、キーボードを含んでおり、オペレータがRFIDラベル11のラベル面に印字する文字等の内容やRFIDラベル11のメモリに書き込む情報を設定したり、プリンタ10とRFIDラベル11との間の通信状態を設定するために用いられる。表示部50は、入力された文字等を表示するためのLCDパネルを含んでおり、制御部30から供給される信号に基づいて各種の表示を行う。電源部60は、各部に電力を供給する。
【0019】
図2は、図1に示す制御部の構成例を示すブロック図である。制御部30は、CPU(central processing unit:中央演算装置)31と、ROM(read only memory)32と、RAM(random access memory)33と、通信制御部34と、モータ制御部35と、サーマルヘッド制御部36と、センサ制御部37と、インタフェース38とを含んでいる。CPU31は、インタフェース38を介して、入力部40及び表示部50に接続される。
【0020】
ROM32には、プリンタの各部を制御するための制御プログラムが格納されている。一方、RAM33には、入力部40を用いて入力された文字等の内容や情報を表すデータが一時的に記憶される。CPU31は、ROM32に記憶されている制御プログラムに従って、通信制御部34、モータ制御部35、サーマルヘッド制御部36、センサ制御部37等を制御する。
【0021】
CPU31の制御の下で、通信制御部34が、RAM33に記憶されているデータに基づいてリーダライタ20を動作させ、モータ制御部35が、ステッピングモータ16を動作させ、サーマルヘッド制御部36が、RAM33に記憶されているデータに基づいてサーマルヘッド18を駆動し、センサ制御部37が、センサ19を制御して検出信号を入力することにより、RFIDラベル11のメモリに情報が記憶されたり、RFIDラベル11のラベル面に印字が行われる。
【0022】
図3は、図1に示すリーダライタの構成例を示す図である。図3に示すように、リーダライタ20は、無線通信手段として、RF信号の送信及び受信に用いられるアンテナコイル21と、アンテナコイル21と並列に接続されて共振回路を構成するコンデンサ22と、搬送波を生成する発振回路(交流信号源)23と、送信すべき情報に基づいて搬送波を変調することにより変調信号を生成してアンテナコイル21に供給する変調回路24と、アンテナコイル21によって得られた受信信号を復調して復調信号を得る復調回路25とを含んでいる。以上において、少なくとも発振回路23と変調回路24と復調回路25とは、半導体集積回路(IC)として、1つの半導体チップ内に形成するようにしても良い。
【0023】
変調回路24における変調方式としては、ASK(アンプリチュード・シフト・キーイング)、FSK(フリケンシー・シフト・キーイング)、又は、PSK(フェーズ・シフト・キーイング)が用いられる。例えば、変調方式としてASKを用いる場合には、送信すべき符号によって搬送波が振幅変調され、変調信号をアンテナコイル21に供給して電流を流すことにより、送信すべき符号に応じて強さが変化する交流の磁場Hが発生する。このようにして、RF信号の送信が行われる。
【0024】
図6の(a)に示すように、比較的大きなRFIDラベルに印字を行う場合には、磁場Hにより電磁結合が生じる範囲、即ち、RF信号の送信範囲内には、1枚のRFIDラベルしか存在しない。ところが、図6の(b)に示すように、比較的小さなRFIDラベルに印字を行う場合には、RF信号の送信範囲内に複数枚のRFIDラベルが存在するので、いずれのRFIDラベルのメモリに情報が書き込まれるのか不明となってしまう。そこで、本実施形態においては、RFIDラベルの大きさによって磁場Hの強さ(RF信号の送信範囲)を変更するために、送信範囲切換回路を設けている。
【0025】
図3に示すように、送信範囲切換回路26は、複数の抵抗RT1〜RTNと、これらの抵抗の接続状態を切り換えるスイッチ回路SWTとを有する減衰器(アッテネータ)によって構成される。送信範囲切換回路26は、変調回路24から出力される変調信号をアッテネートすることにより、無線通信手段を構成するアンテナコイル21から送信されるRF信号の強度(送信範囲)を複数段階の内のいずれかに切り換える。ここで、印字対象となるRFIDラベルの大きさが2種類である場合には、送信されるRF信号の強度(送信範囲)を、最低限2段階で切り換えるようにしても良い。
【0026】
本実施形態においては、変調回路24から出力される変調信号をアッテネートする際に、復調回路25に入力される受信信号も同様にアッテネートされるような回路接続となっているが、復調回路25に入力される受信信号には影響を与えないような回路接続としても良い。あるいは、送信範囲切換回路26は、変調回路24から出力される変調信号をアッテネートする替わりに、発振回路23において生成される搬送波の振幅を複数段階の内のいずれかに切り換えるようにしても良いし、変調回路24において生成される変調信号の振幅を複数段階の内のいずれかに切り換えるようにしても良い。
【0027】
また、本実施形態においては、入力部40を用いたオペレータの操作に基づいて、制御部30の通信制御部34が送信範囲切換回路26の動作を制御する。しかしながら、プリンタの外面に操作部を設けておき、オペレータが操作部を操作することにより、送信範囲切換回路26の動作を直接的に制御するようにしても良い。
【0028】
ここで、RFIDラベルに対して情報の書き込み及び印字を行う際の動作について、図1を参照しながら説明する。RFIDラベル11は、図中右側(搬送方向上流側)から左側(搬送方向下流側)に搬送されてリーダライタ20に近接すると、リーダライタ20からの送信信号を受信する。リーダライタ20は、RFIDラベル11のRFIDにRF信号を送信することにより、RFIDにエネルギーを供給する。これにより、RFIDが活性化されて、リーダライタ20とRFIDラベル11との間で無線通信を行うことができるようになる。
【0029】
RFIDラベル11がリーダライタ20からの送信信号に応答してRF信号を送信すると、リーダライタ20は、このRFIDラベル11を認識して、コマンドを送信することにより、RFIDラベル11のRFIDに内蔵されているメモリに所定の情報を記憶させる。本実施形態によれば、リーダライタ20から送信されるRF信号の強度(送信範囲)を適切に切り換えることにより、リーダライタ20に最も近接して位置する1つのRFIDラベルのみに、所定の情報を記憶させることができる。
【0030】
次に、このRFIDラベル11が搬送されてサーマルヘッド18の下方の位置に到達し、サーマルヘッド18がRFIDラベル11のラベル面に対して印字を行う。例えば、商品又はその包装に付するRFIDラベルの場合には、商品名、品番、ロット番号、製造番号、製造年月日、製造元、価格等を表す文字や、品名、価格等を表すバーコード等がラベル面に印字される。なお、RFIDラベル11のRFIDに内蔵されるメモリには、それらと同様の情報を記憶させても良いし、それ以外の情報を記憶させても良い。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態に係るプリンタ及びRFID印字媒体について説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略図である。第2の実施形態においては、第1の実施形態におけるリーダライタ20の替わりに、2つのリーダライタ71及び72を備えている。リーダライタ71は、リーダライタ72よりも図中右側(搬送方向上流側)に設けられている。
【0032】
ただし、これらのリーダライタ71及び72には、図3に示すリーダライタ20におけるような送信範囲切換回路26が設けられていない。その替わりに、本実施形態に係るRFID印字媒体は、プリンタが送信範囲を切り換えなくても印字媒体のサイズに応じた通信範囲を担保できるように、プリンタから送信されるコマンドに従って受信範囲を変更する受信範囲切換回路を備えている。以下においては、例として、スタンドアロンタイプのサーマルプリンタを用いてRFIDラベルに印字を行う場合について説明する。
【0033】
図5は、本発明の第2の実施形態に係るRFID印字媒体(RFIDラベル)の構成例を示す図である。図5に示すように、RFIDラベル80は、RF信号の受信及び/又は送信に用いられるアンテナコイル81と、アンテナコイル81と並列に接続されて共振回路を構成するコンデンサ82と、ダイオード83及びコンデンサ84と、復調回路85と、変調回路86及びその最終段のトランジスタ87とを含んでいる。
【0034】
ダイオード83及びコンデンサ84は、アンテナコイル81によって得られた受信信号を検波及び平滑して電源電圧を得る。復調回路85、変調回路86、制御部89、及び、メモリ90は、受信信号からエネルギー(電源電圧)を供給されて動作する。
【0035】
復調回路85は、アンテナコイル81によって得られた受信信号を復調して復調信号を得る。変調回路86は、送信すべき情報に基づいて最終段のトランジスタ87をオン/オフさせてアンテナコイル21に負荷されるインピーダンスを変化させることにより、磁場H’による電磁結合状態を変化させて変調信号を生成する。このようにして生成された変調信号は、RF信号としてアンテナコイル81から外部に送信される。
【0036】
また、RFIDラベル80は、外部から送信されるRF信号をアンテナコイルを用いて受信することによって得られた受信信号の強度を複数段階に切り換えてダイオード83及び復調回路85に供給する受信範囲切換回路88を含んでいる。受信範囲切換回路88は、複数の抵抗RR1〜RRNと、これらの抵抗の接続状態を切り換えるスイッチ回路SWRとを有する減衰器(アッテネータ)によって構成される。
【0037】
受信範囲切換回路88は、アンテナコイル81によって得られる受信信号をアッテネートすることにより、外部から送信されるRF信号をアンテナコイル81を用いて受信することによって得られた受信信号の強度、即ち、受信感度(受信範囲)を、複数段階の内のいずれかに切り換える。ここで、使用されているプリンタにおいて印字対象となるRFIDラベルの大きさが2種類である場合には、受信感度(受信範囲)を、最低限2段階で切り換えるようにしても良い。
【0038】
本実施形態においては、復調回路85に入力される受信信号をアッテネートする際に、ダイオード83に入力される受信信号と、トランジスタ87から出力される変調信号も同様にアッテネートされるような回路接続となっているが、ダイオード83に入力される受信信号、及び/又は、トランジスタ87から出力される変調信号には影響を与えないような回路接続としても良い。
【0039】
さらに、RFIDラベル80は、RF信号の送信及び受信を制御する制御部89と、復調回路85によって得られた復調信号に含まれている情報を記憶するメモリ90とを含んでいる。制御部89は、復調回路85によって得られた復調信号に基づいて、受信範囲切換回路88を制御する。
【0040】
以上において、少なくとも復調回路85、変調回路86、制御部89、及び、メモリ90は、半導体集積回路(IC)として、1つの半導体チップ内に形成するようにしても良い。
【0041】
ここで、RFIDラベルに対して情報の書き込み及び印字を行う際の動作について、図4を参照しながら説明する。リーダライタ71は、全てのRFIDラベルに対して、受信感度(受信範囲)を所定の段階まで落とすようにコマンドを送信し続けている。RFIDラベル80は、図中右側(搬送方向上流側)から左側(搬送方向下流側)に搬送されてリーダライタ71に近接すると、リーダライタ71から送信されているコマンドを受信して、受信感度(受信範囲)を所定の段階まで落とす。
【0042】
その後、RFIDラベル80は、図中右側(搬送方向上流側)から左側(搬送方向下流側)に搬送されてリーダライタ72に近接すると、リーダライタ72からの送信信号を受信する。リーダライタ72は、RFIDラベル80のRFIDにRF信号を送信することにより、RFIDにエネルギーを供給する。これにより、RFIDが活性化されて、リーダライタ72とRFIDラベル80との間で無線通信を行うことができるようになる。
【0043】
RFIDラベル80がリーダライタ72からの送信信号に応答してRF信号を送信すると、リーダライタ72は、このRFIDラベル80を認識して、コマンドを送信することにより、RFIDラベル80のRFIDに内蔵されているメモリに所定の情報を記憶させる。本実施形態によれば、RFIDラベル80の受信感度(受信範囲)を適切に切り換えることにより、リーダライタ72に最も近接して位置する1つのRFIDラベルのみに、所定の情報を記憶させることができる。
【0044】
次に、このRFIDラベル80が搬送されて、サーマルヘッド18の下方の位置に到達し、サーマルヘッド18がRFIDラベル80のラベル面に対して印字を行う。なお、RFIDラベル80に対する情報の書き込み及び印字が完了した後に、一旦メモリに書き込まれた情報を書き替えることも可能であり、その際にも、受信範囲切換回路88の機能を利用することが可能である。
【0045】
本実施形態に係るプリンタにおいては、RFIDラベルの受信感度を落とすためのリーダライタ71と、RFIDラベルに情報を記憶させるためのリーダライタ72との、2つのリーダライタを使用したが、これらの役割りを果たす1つのリーダライタを用いるようにしても良い。その場合には、1つのリーダライタが、まず、複数のRFIDラベルの受信感度を落とすためにRF信号を送信してから、次に、それらの内の1つのRFIDラベルのメモリに情報を記憶させるようにRF信号を送信すれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、台紙に仮着されたラベル等に印字を行うプリンタ、及び、そのようなプリンタによって印字が行われるRFID印字媒体において利用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略図である。
【図2】図1に示す制御部の構成例を示す図である。
【図3】図1に示すリーダライタの構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係るプリンタの内部構造を示す概略図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るRFID印字媒体の構成例を示す図である。
【図6】従来のラベルプリンタを用いてRFIDラベルのメモリに情報を書き込むと共にラベル面に印字を行う状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0048】
10 プリンタ
11、80 RFIDラベル
12 台紙
13 ラベル連続体
14 供給軸
15 プラテンローラ
16 ステッピングモータ
17 ベルト
18 サーマルヘッド
19 センサ
20、71、72 リーダライタ
21、81 アンテナコイル
22、82、84 コンデンサ
23 発振回路(交流信号源)
24、86 変調回路
25、85 復調回路
26 送信範囲切換回路
30 制御部
31 CPU
32 ROM
33 RAM
34 通信制御部
35 モータ制御部
36 サーマルヘッド制御部
37 センサ制御部
38 インタフェース
40 入力部
50 表示部
83 ダイオード
87 変調回路の最終段のトランジスタ
88 受信範囲切換回路
89 制御部
90 メモリ
RT1〜RTN、RR1〜RRN 抵抗
SWT、SWR スイッチ回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報を記憶すると共に外部からエネルギーを供給されたときに無線通信が可能なRFIDを含む印字媒体に印字を行うと共に、前記RFIDに情報を記憶させることができるプリンタであって、
印字内容及び情報を入力するために用いられる入力手段と、
前記入力手段を用いて入力された印字内容に基づいて、印字媒体に印字を行う印字手段と、
前記入力手段を用いて入力された情報を前記RFIDに記憶させるために、前記RFIDに無線信号を送信して、前記RFIDにエネルギーを供給すると共に前記RFIDとの間で無線通信を行う無線通信手段と、
前記無線通信手段から送信される無線信号の強度を複数段階の内のいずれかに切り換える送信範囲切換手段と、
を具備するプリンタ。
【請求項2】
前記入力手段を用いて設定された段階に無線信号の強度を切り換えるように前記送信範囲切換手段を制御する制御手段をさらに具備する請求項1記載のプリンタ。
【請求項3】
情報を記憶すると共に外部からエネルギーを供給されたときに無線通信が可能な印字媒体であって、
無線信号の受信及び/又は送信に用いられるアンテナコイルと、
外部から送信される無線信号を前記アンテナコイルを用いて受信することによって得られた受信信号の強度を複数段階に切り換える受信範囲切換手段と、
前記切換回路によって強度が切り換えられた受信信号からエネルギーを供給され、該受信信号を復調して復調信号を得る復調回路と、
前記復調回路によって得られた復調信号に基づいて前記受信範囲切換手段を制御する制御手段と、
前記復調回路によって得られた復調信号に含まれている情報を記憶するメモリと、
を具備するRFID印字媒体。
【請求項4】
送信すべき情報に基づいて変調信号を生成し、生成された変調信号を前記アンテナコイルから無線信号として外部に送信させる変調回路をさらに具備する請求項3記載のRFID印字媒体。
【請求項5】
前記印字媒体が、RFIDラベル、RFIDタグ製造用の帯状のシート、又は、RFIDリストバンドであることを特徴とする請求項3又は4記載のRFID印字媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−281555(P2006−281555A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−103459(P2005−103459)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【出願人】(000130581)株式会社サトー (1,153)
【Fターム(参考)】