プリント基板およびプリント基板ユニット並びに導電体の上がり量検出方法
【課題】導電体の上がり量を確実に検出することができるプリント基板およびプリント基板ユニットを提供する。
【解決手段】基板14の貫通孔23は絶縁体で空間を仕切る。貫通孔23は電子部品15のリード端子28を受け入れる。リード端子28は導電体29に接触する。導電体29は基板14の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する。貫通孔23内の空間には任意の絶縁層17同士の間から導電パターン24、25、26、27が臨む。導電パターン24、25、26、27は、基板14の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する導電材33、34、37、38のいずれかに接続される。リード端子28と導電材33、34、37、38のいずれかとの間で導通の確立の有無が検出される。導通が検出されれば、導電体29が導電材33、34、37、38の位置まで上がっていることが確認される。導電体29の上がり量は確実に検出される。
【解決手段】基板14の貫通孔23は絶縁体で空間を仕切る。貫通孔23は電子部品15のリード端子28を受け入れる。リード端子28は導電体29に接触する。導電体29は基板14の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する。貫通孔23内の空間には任意の絶縁層17同士の間から導電パターン24、25、26、27が臨む。導電パターン24、25、26、27は、基板14の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する導電材33、34、37、38のいずれかに接続される。リード端子28と導電材33、34、37、38のいずれかとの間で導通の確立の有無が検出される。導通が検出されれば、導電体29が導電材33、34、37、38の位置まで上がっていることが確認される。導電体29の上がり量は確実に検出される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と、基板の表面に実装される挿入実装部品(IMD)とを備えるプリント基板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板ユニットの組み立てにあたって、例えばコネクタのリード端子は表面からプリント基板のスルーホールに受け入れられる。スルーホールはプリント基板の表面および裏面の間でプリント基板を貫通する。プリント基板は裏面ではんだ槽に浸される。はんだ槽内の溶融はんだはプリント基板の裏面からスルーホール内に進入する。はんだ槽から取り出されたプリント基板ではんだは硬化する。リード端子およびスルーホールの間で電気接続が確立される。
【特許文献1】特開平11−248639号公報
【特許文献2】特開平10−256722号公報
【特許文献3】特開平2−197159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プリント基板の裏面からスルーホール内にはんだが十分に上がらないと、リード端子およびスルーホールの間で十分な電気接続は確立されることができない。スルーホール内のはんだの上がり量の検出にあたって例えばX線に基づきプリント基板の内部構造が検査される。しかしながら、はんだの影にはスルーホール内のリード端子やプリント基板内の導電パターンの影が重なってしまう。その結果、はんだの上がり量は正確に検出されることができない。
【0004】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、導電体の上がり量を確実に検出することができるプリント基板およびプリント基板ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1発明によれば、複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、基板の第1面に配置されて、リード端子を貫通孔内に配置する電子部品と、貫通孔内に配置されて第1面および第2面の少なくともいずれかで露出し、電子部品のリード端子に接触する導電体と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨みつつ導電体に接続され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体とを備えることを特徴とするプリント基板ユニットが提供される。
【0006】
基板の貫通孔は絶縁体で空間を仕切る。貫通孔は電子部品のリード端子を受け入れる。貫通孔内でリード端子は導電体に接触する。導電体は基板の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する。貫通孔内の空間には任意の絶縁層同士の間から補助導電体が臨む。補助導電体は基板の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する。導電体の上がり量の検出にあたって、リード端子と補助導電体との間で導通の確立の有無が検出される。その結果、導通の確立が検出されれば、導電体が補助導電体の位置まで上がっていることが確認される。導電体の上がり量は確実に検出されることができる。
【0007】
プリント基板ユニットでは、補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、第1面および第2面の少なくともいずれかから前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えればよい。以上のようなプリント基板ユニットは例えば電子機器に組み込まれることができる。
【0008】
第2発明によれば、複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨み、第1面で露出する補助導電体とを備えることを特徴とするプリント基板が提供される。こうしたプリント基板は前述のプリント基板ユニットの実現に大いに貢献することができる。
【0009】
プリント基板では、前述と同様に、補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、第1面から前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えればよい。
【0010】
第3発明によれば、複数の絶縁層を含む基板を形成する工程と、基板の第1面から第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通して絶縁体で空間を仕切り、第1面に露出する補助導電体を任意の絶縁層同士の間から当該空間に露出させる貫通孔を形成する工程とを備えることを特徴とするプリント基板の製造方法が提供される。こうしたプリント基板の製造方法によれば、前述のプリント基板が製造されることができる。
【0011】
第4発明によれば、複数の絶縁層を含む基板の第1面から第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通しつつ第1面に配置される電子部品のリード端子を受け入れる貫通孔内に配置され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する導電体に第1接触子を接続する工程と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨み、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体に第2接触子を接続する工程と、第1接触子および第2接触子の間で抵抗値を測定する工程を備えることを特徴とする導電体の上がり量検出方法が提供される。
【0012】
こうした検出方法によれば、貫通孔内に配置される導電体に第1接触子が接続される。その一方で、基板の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体に第2接触子が接続される。補助導電体は任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨む。第1接触子および第2接触子の間で抵抗値が測定される。その結果、例えば所定の値の抵抗値よりも低い抵抗値が測定されれば、貫通孔内で導電体および補助導電体の間で導通が確立されていることが確認される。導電体は補助導電体の位置まで上がっていることが確認される。こうして導電体の上がり量は確実に検出されることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、導電体の上がり量を確実に検出することができるプリント基板およびプリント基板ユニットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
図1は本発明に係る電子機器の一具体例すなわちサーバコンピュータ装置11の外観を概略的に示す。このサーバコンピュータ装置11は例えばラックに搭載される。サーバコンピュータ装置11は、プリント基板ユニットすなわちメインボードユニットを収容する筐体12を備える。図2に示されるように、メインボードユニット13は例えば樹脂製のプリント基板14を備える。プリント基板14の表面には電子部品15が実装される。電子部品15には例えばコネクタが含まれる。こういった電子部品15はいわゆる挿入実装部品(IMD)を構成する。
【0016】
図3に示されるように、プリント基板14は、複数のコア樹脂層16と、各コア樹脂層16の表面および裏面に積層される絶縁層17とを備える。コア樹脂層16および絶縁層17は本発明の絶縁層に相当する。コア樹脂層16や絶縁層17は、例えばガラス繊維クロスを含有する樹脂材料から形成される。樹脂材料には例えばエポキシ樹脂が用いられる。コア樹脂層16は、単独でその形状を維持する程度の剛性を備える。
【0017】
プリント基板14には複数のスルーホール21が形成される。スルーホール21は、プリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する貫通孔21aと、貫通孔21a内に形成される筒状の金属壁21bとを備える。金属壁21bは、プリント基板14の表面および裏面でランドパターン22に接続される。金属壁21bおよびランドパターン22は例えば銅といった導電材料から形成される。プリント基板14の表面および裏面は第1面および第2面のいずれかに相当する。
【0018】
プリント基板14には、プリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する貫通孔すなわちノンスルーホール23が形成される。ノンスルーホール23はスルーホール21に平行に延びる。ノンスルーホール23は例えば円柱空間を区画する。円柱空間はコア樹脂層16および絶縁層17の絶縁体で仕切られる。ノンスルーホール23の入り口にはプリント基板14の表面および裏面に前述のランドパターン22が形成される。
【0019】
円柱空間には任意の絶縁層17同士の間に配置される導電パターンすなわち第1〜第4ランドパターン24、25、26、27が臨む。第1〜第4ランドパターン24、25、26、27は例えば銅といった導電材料から形成される。第1〜第4ランドパターン24、25、26、27は、プリント基板14の裏面側からプリント基板14の厚みの例えば10%、25%、50%、75%の位置にそれぞれ配置される。
【0020】
スルーホール21およびノンスルーホール23は電子部品15のリード端子28を受け入れる。リード端子28の先端はプリント基板14の裏面に突き出る。スルーホール21およびノンスルーホール23には導電体すなわちはんだ29が充填される。はんだ29はプリント基板14の裏面でフィレット29aを形成する。はんだ29は、リード端子28と、スルーホール21やランドパターン22、第1〜第4ランドパターン24、25、26、27との間で電気接続を確立する。
【0021】
プリント基板14にはノンスルーホール23に平行に延びる第1穴31および第2穴32が形成される。第1穴31および第2穴32はプリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する。第1穴31には第1導電材33が充填される。第2穴32には第2導電材34が充填される。第1および第2導電材33、34はプリント基板14の表面から裏面に至る。第1および第2導電材33、34は例えば銅といった導電材料から形成される。第1導電材33は第3ランドパターン26に接続される。第2導電材34は第4ランドパターン27に接続される。
【0022】
図4に示されるように、プリント基板14にはノンスルーホール23や第1穴31、第2穴32に平行に延びる第3穴35および第4穴36が形成される。第1穴31、第2穴32、第3穴35および第4穴36はノンスルーホール23周りに区画される。第3穴35には第3導電材37が充填される。第4穴36には第4導電材38が充填される。第3および第4導電材37、38は例えば銅といった導電材料から形成される。
【0023】
図5に示されるように、第3穴35はプリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する。第3導電材37はプリント基板14の表面から裏面に至る。第3導電材37は第1ランドパターン24に接続される。図6に示されるように、第4穴36はプリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する。第4導電材38はプリント基板14の表面から裏面に至る。第4導電材38は第2ランドパターン25に接続される。
【0024】
ここでは、第3ランドパターン26、第1穴31および第1導電材33は本発明の補助導電体に相当する。同様に、第4ランドパターン27、第2穴32および第2導電材34は本発明の補助導電体に相当する。第1ランドパターン24、第3穴35および第3導電材37は本発明の補助導電体に相当する。第2ランドパターン25、第4穴36および第4導電材38は本発明の補助導電体に相当する。
【0025】
図7に示されるように、第3ランドパターン26はノンスルーホール23から第1穴31に向かって引き出される。図8に示されるように、第4ランドパターン27はノンスルーホール23から第2穴32に向かって引き出される。図9に示されるように、第1ランドパターン24はノンスルーホール23から第3穴35に向かって引き出される。図10に示されるように、第2ランドパターン25はノンスルーホール23から第4穴36に向かって引き出される。
【0026】
以上のようなメインボードユニット13によれば、後述されるように、例えばプリント基板14の裏面でリード端子28および第1導電材33に基づき抵抗値が測定されれば、はんだ29、第1ランドパターン24および第1導電材33の間で導通の有無が確認される。導通の確立が確認されると、はんだ29は第1ランドパターン24の位置まで上がっていることが確認される。第1〜第4ランドパターン24、25、26、27はプリント基板14の厚みの例えば10%、25%、50%、75%の位置にそれぞれ配置される。したがって、リード端子28と、第2導電材34、第3導電材37および第4導電材38との間でそれぞれ導通の有無が確認されれば、ノンスルーホール23すなわちスルーホール21内へのはんだ29の上がり量は確実に検出される。
【0027】
次に、以上のようなメインボードユニット13の製造方法を簡単に説明する。まず、プリント基板14が製造される。製造にあたってコア樹脂層16の表面および裏面にプリプレグ(図示されず)が重ね合わせられる。任意のプリプレグの表面には第1〜第4ランドパターン24、25、26、27がそれぞれ形成される。その結果、図11に示されるように、樹脂製基板41が製造される。絶縁層17同士の間には第1〜第4ランドパターン24、25、26、27が配置される。
【0028】
樹脂製基板41には、図12に示されるように、複数の貫通孔42が形成される。貫通孔42は、貫通孔21aやノンスルーホール23、第1穴31、第2穴32、第3穴35、第4穴36に相当する。貫通孔42の形成にあたって例えばドリルが用いられればよい。ノンスルーホール23に相当する貫通孔42では、貫通孔42の円柱空間に第1〜第4ランドパターン24、25、26、27が臨む。
【0029】
続いて、樹脂製基板41にはめっき処理が施される。めっき処理には銅が用いられる。めっき処理に先立って、図13に示されるように、ノンスルーホール23に相当する貫通孔42の入り口にレジスト材43が配置される。樹脂製基板41の表面や裏面、貫通孔42内にはめっき膜44が形成される。その一方で、レジスト材43の働きでノンスルーホール23に相当する貫通孔42内にはめっき膜44は形成されない。
【0030】
その後、樹脂製基板41の表面や裏面でめっき膜44にエッチング処理が施される。エッチング処理にあたってめっき膜44の表面には所定のパターンでレジスト材(図示されず)が形成される。その結果、図14に示されるように、樹脂製基板41の表面や裏面にはランドパターン22が形成される。スルーホール21同士は隔離される。レジスト材44は取り除かれる。こうしてプリント基板14が製造される。
【0031】
その後、貫通孔42内には電子部品15のリード端子28が受け入れられる。図15に示されるように、プリント基板14の裏面ははんだ槽45の溶融はんだ46に浸漬される。毛細管現象の働きでプリント基板14の裏面から貫通孔42内に溶融はんだ46は上がっていく。所定の時間の経過後、プリント基板14ははんだ槽45から引き上げられる。その後、冷却に基づき溶融はんだ46は硬化する。こうしてメインボードユニット13は製造される。
【0032】
次に、はんだ上がり量の検出方法を簡単に説明する。はんだ上がり量の検出にあたって、図16に示されるように、抵抗測定器51が用意される。リード端子28に抵抗測定器51の第1接触子52が接続される。同時に、第3穴35の第3導電材37に抵抗測定器51の第2接触子53が接続される。第1接触子52および第2接触子53の間で抵抗値が測定される。
【0033】
その結果、所定の値よりも低い抵抗値が検出されると、はんだ29、第1ランドパターン24および第3導電材37の間で導通の確立が確認される。はんだ29が第1ランドパターン24に接続されていることが確認される。こうしてはんだ29が第1ランドパターン24の位置まで上がっていることが確認される。抵抗値の所定の値は例えば検証に基づき予め把握されればよい。
【0034】
同時に、プリント基板14の裏面から第1ランドパターン24の間のはんだ29内でいわゆるクラックやボイドの有無が確認される。例えばはんだ29にクラックやボイドが形成されると、例えばリード端子28およびはんだ29の間で接触面積が減少する。電流の流通路は狭められる。その結果、クラックやボイドの形成に基づき抵抗値は高まる。したがって、所定の値よりも低い抵抗値が検出されれば、はんだ29にクラックやボイドが形成されていないことが確認される。
【0035】
続いて、抵抗測定器51の第2接触子53は、第4導電材38、第1導電材33、第2導電材34に順番に接続される。接続ごとに抵抗値が測定される。はんだ29が第2〜第4ランドパターン25、26、27まで上がっているかが確認される。同時に、クラックやボイドの形成の有無が確認される。ノンスルーホール23内ではんだ29の上がり量は確実に検出される。ノンスルーホール23内でのはんだ29の上がり量はスルーホール21内のはんだ29の上がり量を反映する。こうしてはんだ29の上がり量は確実に検出される。
【0036】
その他、図17に示されるように、メインボードユニット13には、プリント基板14に代えてプリント基板14aが用いられてもよい。このプリント基板14aでは、スルーホール21の貫通孔21aに第1〜第4ランドパターン24、25、26、27が露出してもよい。こうして第1〜第4ランドパターン24、25、26、27は金属壁21bに接続される。プリント基板14aの製造にあたって、めっき処理で用いられる前述のレジスト材43の形成が省略されればよい。その他、前述のプリント基板14と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
【0037】
このプリント基板14aでは、例えばプリント基板14aの表面でスルーホール21のランドパターン22に第1接触子52が接続される。プリント基板14aの表面で例えば第2導電材34に第2接触子53が接続される。第1接触子52および第2接触子53の間で抵抗値が測定される。その結果、所定の値よりも低い抵抗値が測定されれば、第4ランドパターン27およびプリント基板14aの表面との間で金属壁21bにクラックが形成されていないことが確認される。
【0038】
続いて、第1接触子52およびランドパターン22の接触が維持されつつ、プリント基板14aの表面で例えば第1導電材33に第2接触子53が接続される。第1接触子52および第2接触子53の間で抵抗値が測定される。その結果、所定の値よりも低い抵抗値が測定されれば、第3ランドパターン26およびプリント基板14aの表面の間で金属壁21bにクラックが形成されていないことが確認される。
【0039】
その一方で、所定の値よりも高い抵抗値が測定されれば、第3ランドパターン26およびプリント基板14aの表面との間で金属壁21bにクラックが形成されていることが確認される。ここでは、第3ランドパターン26およびプリント基板14aの表面の間で金属壁21bにクラックは形成されていないことから、クラックは第3ランドパターン26および第4ランドパターン27の間で金属壁21bに形成されていることが確認される。こうして金属壁21bのクラックの位置は概ね把握されることができる。こうしたクラックの検出にあたって、第3導電材37および第4導電材38が同様に用いられることができる。
【0040】
なお、以上のようなメインボードユニット13では、第1〜第4ランドパターン24、25、26、27の位置はプリント基板14の厚み方向で任意の位置に設定されればよい。同様に、第1〜第4ランドパターン24、25、26、27の数は増減してもよい。また、第1〜第4穴31、32、35、36は貫通孔でなくてもよい。第1〜第4穴31、32、35、36は、例えばプリント基板14の表面や裏面から穿たれる有底孔で構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る電子機器の一具体例すなわちサーバコンピュータ装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明に係るプリント基板ユニットの一具体例すなわちメインボードユニットの外観を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2の3−3線に沿った部分拡大断面図である。
【図4】プリント基板の表面の様子を概略的に示す部分拡大平面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った部分拡大断面図である。
【図6】図4の6−6線に沿った部分拡大断面図である。
【図7】図3の7−7線に沿った部分拡大断面図である。
【図8】図3の8−8線に沿った部分拡大断面図である。
【図9】図5の9−9線に沿った部分拡大断面図である。
【図10】図6の10−10線に沿った部分拡大断面図である。
【図11】樹脂製基板が製造される様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図12】樹脂製基板に貫通孔が形成される様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図13】樹脂製基板にめっき処理が施される様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図14】樹脂製基板の表面および裏面にエッチング処理が施される様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図15】スルーホールおよび貫通孔にはんだを充填する様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図16】抵抗値を測定する様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図17】図3に対応し、本発明の他の具体例に係るプリント基板ユニットの構造を概略的に示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0042】
11 電子機器(サーバコンピュータ装置)、13 プリント基板ユニット(メインボードユニット)、14 基板(プリント基板)、15 電子部品、16 絶縁層、23 貫通孔、24 導電パターン(第1ランドパターン)、25 導電パターン(第2ランドパターン)、26 導電パターン(第3ランドパターン)、27 導電パターン(第4ランドパターン)、28 リード端子、29 導電体(はんだ)、31 穴(第1孔)、32 穴(第2孔)、33 導電材(第1導電材)、34 導電材(第2導電材)、35 穴(第3孔)、36 穴(第4孔)、37 導電材(第3導電材)、38 導電材(第4導電材)、52 第1接触子、53 第2接触子。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と、基板の表面に実装される挿入実装部品(IMD)とを備えるプリント基板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
プリント基板ユニットの組み立てにあたって、例えばコネクタのリード端子は表面からプリント基板のスルーホールに受け入れられる。スルーホールはプリント基板の表面および裏面の間でプリント基板を貫通する。プリント基板は裏面ではんだ槽に浸される。はんだ槽内の溶融はんだはプリント基板の裏面からスルーホール内に進入する。はんだ槽から取り出されたプリント基板ではんだは硬化する。リード端子およびスルーホールの間で電気接続が確立される。
【特許文献1】特開平11−248639号公報
【特許文献2】特開平10−256722号公報
【特許文献3】特開平2−197159号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
プリント基板の裏面からスルーホール内にはんだが十分に上がらないと、リード端子およびスルーホールの間で十分な電気接続は確立されることができない。スルーホール内のはんだの上がり量の検出にあたって例えばX線に基づきプリント基板の内部構造が検査される。しかしながら、はんだの影にはスルーホール内のリード端子やプリント基板内の導電パターンの影が重なってしまう。その結果、はんだの上がり量は正確に検出されることができない。
【0004】
本発明は、上記実状に鑑みてなされたもので、導電体の上がり量を確実に検出することができるプリント基板およびプリント基板ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、第1発明によれば、複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、基板の第1面に配置されて、リード端子を貫通孔内に配置する電子部品と、貫通孔内に配置されて第1面および第2面の少なくともいずれかで露出し、電子部品のリード端子に接触する導電体と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨みつつ導電体に接続され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体とを備えることを特徴とするプリント基板ユニットが提供される。
【0006】
基板の貫通孔は絶縁体で空間を仕切る。貫通孔は電子部品のリード端子を受け入れる。貫通孔内でリード端子は導電体に接触する。導電体は基板の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する。貫通孔内の空間には任意の絶縁層同士の間から補助導電体が臨む。補助導電体は基板の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する。導電体の上がり量の検出にあたって、リード端子と補助導電体との間で導通の確立の有無が検出される。その結果、導通の確立が検出されれば、導電体が補助導電体の位置まで上がっていることが確認される。導電体の上がり量は確実に検出されることができる。
【0007】
プリント基板ユニットでは、補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、第1面および第2面の少なくともいずれかから前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えればよい。以上のようなプリント基板ユニットは例えば電子機器に組み込まれることができる。
【0008】
第2発明によれば、複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨み、第1面で露出する補助導電体とを備えることを特徴とするプリント基板が提供される。こうしたプリント基板は前述のプリント基板ユニットの実現に大いに貢献することができる。
【0009】
プリント基板では、前述と同様に、補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、第1面から前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えればよい。
【0010】
第3発明によれば、複数の絶縁層を含む基板を形成する工程と、基板の第1面から第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通して絶縁体で空間を仕切り、第1面に露出する補助導電体を任意の絶縁層同士の間から当該空間に露出させる貫通孔を形成する工程とを備えることを特徴とするプリント基板の製造方法が提供される。こうしたプリント基板の製造方法によれば、前述のプリント基板が製造されることができる。
【0011】
第4発明によれば、複数の絶縁層を含む基板の第1面から第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通しつつ第1面に配置される電子部品のリード端子を受け入れる貫通孔内に配置され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する導電体に第1接触子を接続する工程と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨み、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体に第2接触子を接続する工程と、第1接触子および第2接触子の間で抵抗値を測定する工程を備えることを特徴とする導電体の上がり量検出方法が提供される。
【0012】
こうした検出方法によれば、貫通孔内に配置される導電体に第1接触子が接続される。その一方で、基板の第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体に第2接触子が接続される。補助導電体は任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨む。第1接触子および第2接触子の間で抵抗値が測定される。その結果、例えば所定の値の抵抗値よりも低い抵抗値が測定されれば、貫通孔内で導電体および補助導電体の間で導通が確立されていることが確認される。導電体は補助導電体の位置まで上がっていることが確認される。こうして導電体の上がり量は確実に検出されることができる。
【発明の効果】
【0013】
以上のように本発明によれば、導電体の上がり量を確実に検出することができるプリント基板およびプリント基板ユニットが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の一実施形態を説明する。
【0015】
図1は本発明に係る電子機器の一具体例すなわちサーバコンピュータ装置11の外観を概略的に示す。このサーバコンピュータ装置11は例えばラックに搭載される。サーバコンピュータ装置11は、プリント基板ユニットすなわちメインボードユニットを収容する筐体12を備える。図2に示されるように、メインボードユニット13は例えば樹脂製のプリント基板14を備える。プリント基板14の表面には電子部品15が実装される。電子部品15には例えばコネクタが含まれる。こういった電子部品15はいわゆる挿入実装部品(IMD)を構成する。
【0016】
図3に示されるように、プリント基板14は、複数のコア樹脂層16と、各コア樹脂層16の表面および裏面に積層される絶縁層17とを備える。コア樹脂層16および絶縁層17は本発明の絶縁層に相当する。コア樹脂層16や絶縁層17は、例えばガラス繊維クロスを含有する樹脂材料から形成される。樹脂材料には例えばエポキシ樹脂が用いられる。コア樹脂層16は、単独でその形状を維持する程度の剛性を備える。
【0017】
プリント基板14には複数のスルーホール21が形成される。スルーホール21は、プリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する貫通孔21aと、貫通孔21a内に形成される筒状の金属壁21bとを備える。金属壁21bは、プリント基板14の表面および裏面でランドパターン22に接続される。金属壁21bおよびランドパターン22は例えば銅といった導電材料から形成される。プリント基板14の表面および裏面は第1面および第2面のいずれかに相当する。
【0018】
プリント基板14には、プリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する貫通孔すなわちノンスルーホール23が形成される。ノンスルーホール23はスルーホール21に平行に延びる。ノンスルーホール23は例えば円柱空間を区画する。円柱空間はコア樹脂層16および絶縁層17の絶縁体で仕切られる。ノンスルーホール23の入り口にはプリント基板14の表面および裏面に前述のランドパターン22が形成される。
【0019】
円柱空間には任意の絶縁層17同士の間に配置される導電パターンすなわち第1〜第4ランドパターン24、25、26、27が臨む。第1〜第4ランドパターン24、25、26、27は例えば銅といった導電材料から形成される。第1〜第4ランドパターン24、25、26、27は、プリント基板14の裏面側からプリント基板14の厚みの例えば10%、25%、50%、75%の位置にそれぞれ配置される。
【0020】
スルーホール21およびノンスルーホール23は電子部品15のリード端子28を受け入れる。リード端子28の先端はプリント基板14の裏面に突き出る。スルーホール21およびノンスルーホール23には導電体すなわちはんだ29が充填される。はんだ29はプリント基板14の裏面でフィレット29aを形成する。はんだ29は、リード端子28と、スルーホール21やランドパターン22、第1〜第4ランドパターン24、25、26、27との間で電気接続を確立する。
【0021】
プリント基板14にはノンスルーホール23に平行に延びる第1穴31および第2穴32が形成される。第1穴31および第2穴32はプリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する。第1穴31には第1導電材33が充填される。第2穴32には第2導電材34が充填される。第1および第2導電材33、34はプリント基板14の表面から裏面に至る。第1および第2導電材33、34は例えば銅といった導電材料から形成される。第1導電材33は第3ランドパターン26に接続される。第2導電材34は第4ランドパターン27に接続される。
【0022】
図4に示されるように、プリント基板14にはノンスルーホール23や第1穴31、第2穴32に平行に延びる第3穴35および第4穴36が形成される。第1穴31、第2穴32、第3穴35および第4穴36はノンスルーホール23周りに区画される。第3穴35には第3導電材37が充填される。第4穴36には第4導電材38が充填される。第3および第4導電材37、38は例えば銅といった導電材料から形成される。
【0023】
図5に示されるように、第3穴35はプリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する。第3導電材37はプリント基板14の表面から裏面に至る。第3導電材37は第1ランドパターン24に接続される。図6に示されるように、第4穴36はプリント基板14の表面および裏面の間でプリント基板14を貫通する。第4導電材38はプリント基板14の表面から裏面に至る。第4導電材38は第2ランドパターン25に接続される。
【0024】
ここでは、第3ランドパターン26、第1穴31および第1導電材33は本発明の補助導電体に相当する。同様に、第4ランドパターン27、第2穴32および第2導電材34は本発明の補助導電体に相当する。第1ランドパターン24、第3穴35および第3導電材37は本発明の補助導電体に相当する。第2ランドパターン25、第4穴36および第4導電材38は本発明の補助導電体に相当する。
【0025】
図7に示されるように、第3ランドパターン26はノンスルーホール23から第1穴31に向かって引き出される。図8に示されるように、第4ランドパターン27はノンスルーホール23から第2穴32に向かって引き出される。図9に示されるように、第1ランドパターン24はノンスルーホール23から第3穴35に向かって引き出される。図10に示されるように、第2ランドパターン25はノンスルーホール23から第4穴36に向かって引き出される。
【0026】
以上のようなメインボードユニット13によれば、後述されるように、例えばプリント基板14の裏面でリード端子28および第1導電材33に基づき抵抗値が測定されれば、はんだ29、第1ランドパターン24および第1導電材33の間で導通の有無が確認される。導通の確立が確認されると、はんだ29は第1ランドパターン24の位置まで上がっていることが確認される。第1〜第4ランドパターン24、25、26、27はプリント基板14の厚みの例えば10%、25%、50%、75%の位置にそれぞれ配置される。したがって、リード端子28と、第2導電材34、第3導電材37および第4導電材38との間でそれぞれ導通の有無が確認されれば、ノンスルーホール23すなわちスルーホール21内へのはんだ29の上がり量は確実に検出される。
【0027】
次に、以上のようなメインボードユニット13の製造方法を簡単に説明する。まず、プリント基板14が製造される。製造にあたってコア樹脂層16の表面および裏面にプリプレグ(図示されず)が重ね合わせられる。任意のプリプレグの表面には第1〜第4ランドパターン24、25、26、27がそれぞれ形成される。その結果、図11に示されるように、樹脂製基板41が製造される。絶縁層17同士の間には第1〜第4ランドパターン24、25、26、27が配置される。
【0028】
樹脂製基板41には、図12に示されるように、複数の貫通孔42が形成される。貫通孔42は、貫通孔21aやノンスルーホール23、第1穴31、第2穴32、第3穴35、第4穴36に相当する。貫通孔42の形成にあたって例えばドリルが用いられればよい。ノンスルーホール23に相当する貫通孔42では、貫通孔42の円柱空間に第1〜第4ランドパターン24、25、26、27が臨む。
【0029】
続いて、樹脂製基板41にはめっき処理が施される。めっき処理には銅が用いられる。めっき処理に先立って、図13に示されるように、ノンスルーホール23に相当する貫通孔42の入り口にレジスト材43が配置される。樹脂製基板41の表面や裏面、貫通孔42内にはめっき膜44が形成される。その一方で、レジスト材43の働きでノンスルーホール23に相当する貫通孔42内にはめっき膜44は形成されない。
【0030】
その後、樹脂製基板41の表面や裏面でめっき膜44にエッチング処理が施される。エッチング処理にあたってめっき膜44の表面には所定のパターンでレジスト材(図示されず)が形成される。その結果、図14に示されるように、樹脂製基板41の表面や裏面にはランドパターン22が形成される。スルーホール21同士は隔離される。レジスト材44は取り除かれる。こうしてプリント基板14が製造される。
【0031】
その後、貫通孔42内には電子部品15のリード端子28が受け入れられる。図15に示されるように、プリント基板14の裏面ははんだ槽45の溶融はんだ46に浸漬される。毛細管現象の働きでプリント基板14の裏面から貫通孔42内に溶融はんだ46は上がっていく。所定の時間の経過後、プリント基板14ははんだ槽45から引き上げられる。その後、冷却に基づき溶融はんだ46は硬化する。こうしてメインボードユニット13は製造される。
【0032】
次に、はんだ上がり量の検出方法を簡単に説明する。はんだ上がり量の検出にあたって、図16に示されるように、抵抗測定器51が用意される。リード端子28に抵抗測定器51の第1接触子52が接続される。同時に、第3穴35の第3導電材37に抵抗測定器51の第2接触子53が接続される。第1接触子52および第2接触子53の間で抵抗値が測定される。
【0033】
その結果、所定の値よりも低い抵抗値が検出されると、はんだ29、第1ランドパターン24および第3導電材37の間で導通の確立が確認される。はんだ29が第1ランドパターン24に接続されていることが確認される。こうしてはんだ29が第1ランドパターン24の位置まで上がっていることが確認される。抵抗値の所定の値は例えば検証に基づき予め把握されればよい。
【0034】
同時に、プリント基板14の裏面から第1ランドパターン24の間のはんだ29内でいわゆるクラックやボイドの有無が確認される。例えばはんだ29にクラックやボイドが形成されると、例えばリード端子28およびはんだ29の間で接触面積が減少する。電流の流通路は狭められる。その結果、クラックやボイドの形成に基づき抵抗値は高まる。したがって、所定の値よりも低い抵抗値が検出されれば、はんだ29にクラックやボイドが形成されていないことが確認される。
【0035】
続いて、抵抗測定器51の第2接触子53は、第4導電材38、第1導電材33、第2導電材34に順番に接続される。接続ごとに抵抗値が測定される。はんだ29が第2〜第4ランドパターン25、26、27まで上がっているかが確認される。同時に、クラックやボイドの形成の有無が確認される。ノンスルーホール23内ではんだ29の上がり量は確実に検出される。ノンスルーホール23内でのはんだ29の上がり量はスルーホール21内のはんだ29の上がり量を反映する。こうしてはんだ29の上がり量は確実に検出される。
【0036】
その他、図17に示されるように、メインボードユニット13には、プリント基板14に代えてプリント基板14aが用いられてもよい。このプリント基板14aでは、スルーホール21の貫通孔21aに第1〜第4ランドパターン24、25、26、27が露出してもよい。こうして第1〜第4ランドパターン24、25、26、27は金属壁21bに接続される。プリント基板14aの製造にあたって、めっき処理で用いられる前述のレジスト材43の形成が省略されればよい。その他、前述のプリント基板14と均等な構成や構造には同一の参照符号が付される。
【0037】
このプリント基板14aでは、例えばプリント基板14aの表面でスルーホール21のランドパターン22に第1接触子52が接続される。プリント基板14aの表面で例えば第2導電材34に第2接触子53が接続される。第1接触子52および第2接触子53の間で抵抗値が測定される。その結果、所定の値よりも低い抵抗値が測定されれば、第4ランドパターン27およびプリント基板14aの表面との間で金属壁21bにクラックが形成されていないことが確認される。
【0038】
続いて、第1接触子52およびランドパターン22の接触が維持されつつ、プリント基板14aの表面で例えば第1導電材33に第2接触子53が接続される。第1接触子52および第2接触子53の間で抵抗値が測定される。その結果、所定の値よりも低い抵抗値が測定されれば、第3ランドパターン26およびプリント基板14aの表面の間で金属壁21bにクラックが形成されていないことが確認される。
【0039】
その一方で、所定の値よりも高い抵抗値が測定されれば、第3ランドパターン26およびプリント基板14aの表面との間で金属壁21bにクラックが形成されていることが確認される。ここでは、第3ランドパターン26およびプリント基板14aの表面の間で金属壁21bにクラックは形成されていないことから、クラックは第3ランドパターン26および第4ランドパターン27の間で金属壁21bに形成されていることが確認される。こうして金属壁21bのクラックの位置は概ね把握されることができる。こうしたクラックの検出にあたって、第3導電材37および第4導電材38が同様に用いられることができる。
【0040】
なお、以上のようなメインボードユニット13では、第1〜第4ランドパターン24、25、26、27の位置はプリント基板14の厚み方向で任意の位置に設定されればよい。同様に、第1〜第4ランドパターン24、25、26、27の数は増減してもよい。また、第1〜第4穴31、32、35、36は貫通孔でなくてもよい。第1〜第4穴31、32、35、36は、例えばプリント基板14の表面や裏面から穿たれる有底孔で構成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明に係る電子機器の一具体例すなわちサーバコンピュータ装置の外観を概略的に示す斜視図である。
【図2】本発明に係るプリント基板ユニットの一具体例すなわちメインボードユニットの外観を概略的に示す斜視図である。
【図3】図2の3−3線に沿った部分拡大断面図である。
【図4】プリント基板の表面の様子を概略的に示す部分拡大平面図である。
【図5】図4の5−5線に沿った部分拡大断面図である。
【図6】図4の6−6線に沿った部分拡大断面図である。
【図7】図3の7−7線に沿った部分拡大断面図である。
【図8】図3の8−8線に沿った部分拡大断面図である。
【図9】図5の9−9線に沿った部分拡大断面図である。
【図10】図6の10−10線に沿った部分拡大断面図である。
【図11】樹脂製基板が製造される様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図12】樹脂製基板に貫通孔が形成される様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図13】樹脂製基板にめっき処理が施される様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図14】樹脂製基板の表面および裏面にエッチング処理が施される様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図15】スルーホールおよび貫通孔にはんだを充填する様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図16】抵抗値を測定する様子を概略的に示す部分拡大断面図である。
【図17】図3に対応し、本発明の他の具体例に係るプリント基板ユニットの構造を概略的に示す部分拡大断面図である。
【符号の説明】
【0042】
11 電子機器(サーバコンピュータ装置)、13 プリント基板ユニット(メインボードユニット)、14 基板(プリント基板)、15 電子部品、16 絶縁層、23 貫通孔、24 導電パターン(第1ランドパターン)、25 導電パターン(第2ランドパターン)、26 導電パターン(第3ランドパターン)、27 導電パターン(第4ランドパターン)、28 リード端子、29 導電体(はんだ)、31 穴(第1孔)、32 穴(第2孔)、33 導電材(第1導電材)、34 導電材(第2導電材)、35 穴(第3孔)、36 穴(第4孔)、37 導電材(第3導電材)、38 導電材(第4導電材)、52 第1接触子、53 第2接触子。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨み、第1面で露出する補助導電体とを備えることを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント基板において、前記補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、前記第1面から前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて前記第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えることを特徴とするプリント基板。
【請求項3】
複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、基板の第1面に配置されて、リード端子を貫通孔内に配置する電子部品と、貫通孔内に配置されて第1面および第2面の少なくともいずれかで露出し、電子部品のリード端子に接触する導電体と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨みつつ導電体に接続され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体とを備えることを特徴とするプリント基板ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のプリント基板ユニットにおいて、前記補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかから前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて前記第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えることを特徴とするプリント基板ユニット。
【請求項5】
複数の絶縁層を含む基板を形成する工程と、基板の第1面から第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通して絶縁体で空間を仕切り、第1面に露出する補助導電体を任意の絶縁層同士の間から当該空間に露出させる貫通孔を形成する工程とを備えることを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項6】
複数の絶縁層を含む基板の第1面から第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通しつつ第1面に配置される電子部品のリード端子を受け入れる貫通孔内に配置され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する導電体に第1接触子を接続する工程と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨み、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体に第2接触子を接続する工程と、第1接触子および第2接触子の間で抵抗値を測定する工程を備えることを特徴とする導電体の上がり量検出方法。
【請求項7】
複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、基板の第1面に配置されて、リード端子を貫通孔内に配置する電子部品と、貫通孔内に配置されて第1面および第2面の少なくともいずれかで露出し、電子部品のリード端子に接触する導電体と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨みつつ導電体に接続され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体とを備えるプリント基板ユニットが組み込まれたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器において、前記補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、前記第1面から前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて前記第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えることを特徴とする電子機器。
【請求項1】
複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨み、第1面で露出する補助導電体とを備えることを特徴とするプリント基板。
【請求項2】
請求項1に記載のプリント基板において、前記補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、前記第1面から前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて前記第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えることを特徴とするプリント基板。
【請求項3】
複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、基板の第1面に配置されて、リード端子を貫通孔内に配置する電子部品と、貫通孔内に配置されて第1面および第2面の少なくともいずれかで露出し、電子部品のリード端子に接触する導電体と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨みつつ導電体に接続され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体とを備えることを特徴とするプリント基板ユニット。
【請求項4】
請求項3に記載のプリント基板ユニットにおいて、前記補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、前記第1面および前記第2面の少なくともいずれかから前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて前記第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えることを特徴とするプリント基板ユニット。
【請求項5】
複数の絶縁層を含む基板を形成する工程と、基板の第1面から第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通して絶縁体で空間を仕切り、第1面に露出する補助導電体を任意の絶縁層同士の間から当該空間に露出させる貫通孔を形成する工程とを備えることを特徴とするプリント基板の製造方法。
【請求項6】
複数の絶縁層を含む基板の第1面から第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通しつつ第1面に配置される電子部品のリード端子を受け入れる貫通孔内に配置され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する導電体に第1接触子を接続する工程と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨み、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体に第2接触子を接続する工程と、第1接触子および第2接触子の間で抵抗値を測定する工程を備えることを特徴とする導電体の上がり量検出方法。
【請求項7】
複数の絶縁層を含む基板と、第1面および第1面の裏側の第2面の間で基板を貫通し、絶縁体で空間を仕切る貫通孔と、基板の第1面に配置されて、リード端子を貫通孔内に配置する電子部品と、貫通孔内に配置されて第1面および第2面の少なくともいずれかで露出し、電子部品のリード端子に接触する導電体と、任意の絶縁層同士の間から貫通孔内の空間に臨みつつ導電体に接続され、第1面および第2面の少なくともいずれかで露出する補助導電体とを備えるプリント基板ユニットが組み込まれたことを特徴とする電子機器。
【請求項8】
請求項7に記載の電子機器において、前記補助導電体は、前記任意の絶縁層の表面に配置される導電パターンと、前記第1面から前記任意の絶縁層の表面に至る穴と、穴内に配置されて前記第1面から前記任意の絶縁層の表面まで延びる導電材とを備えることを特徴とする電子機器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2008−172003(P2008−172003A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−3529(P2007−3529)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】
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