説明

プリント基板積層体

【課題】優れたコスト効率と優れた組み付け性とを有する、新規な構造のプリント基板積層体を提供すること。
【解決手段】対向配置された2枚のプリント基板12a,12bの間に配列された複数の基板間端子14を相互に独立して配設すると共に、該基板間端子14のそれぞれの端部16a,16bを前記2枚のプリント基板12a,12bに半田付けする一方、前記基板間端子14における中間部分18に、該中間部分18の延出方向に直交して突出する突起部26,26を形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2枚のプリント基板が基板間端子で相互に接続されたプリント基板積層体に係り、特に、多数の基板間端子が2枚のプリント基板間に配列して設けられているプリント基板積層体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、自動車等に搭載される電気接続箱の内部回路として、例えば特開2009−26464号公報(特許文献1)に記載されているような、プリント基板積層体が用いられることがある。プリント基板積層体は、対向配置された2枚のプリント基板が複数の基板間端子で相互に接続された構造とされている。
【0003】
ところで、基板間端子を2枚のプリント基板に半田付けする際には、先ず、基板間端子の一方の端部を一方のプリント基板のスルーホールに挿通して半田付けする。そして、複数の基板間端子が半田付けされて突設された一方のプリント基板に他方のプリント基板を重ね合わせることによって、一方のプリント基板から突出された各基板間端子の他方の端部を、他方のプリント基板の対応する各スルーホールにそれぞれ挿通して半田付けする。
【0004】
ところが、プリント基板積層体における基板間端子は、多数本が配列して設けられていることが多い。それ故、一方のプリント基板に半田付けされた基板間端子が傾斜してアライメント精度が確保されていないと、他方のプリント基板のスルーホールへの挿通が困難となる場合があった。特に、2枚のプリント基板間にリレーが配設される等して、2枚のプリント基板の対向距離が大きい場合には、基板間端子も長尺となって傾き易く、アライメント精度の確保がより困難になるという問題があった。
【0005】
そこで従来では、特許文献1にも記載されているように、複数の基板間端子を樹脂製の台座で相互に連結して支持することによって、基板間端子のアライメント精度の確保が図られていた。しかし、このような構造では、樹脂台座が必要となることから、部品点数の増加と製造コストの増加を招くという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−26464号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述の事情を背景に為されたものであって、その解決課題は、優れたコスト効率と優れた組み付け性とを有する、新規な構造のプリント基板積層体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の態様は、対向配置された2枚のプリント基板の間に複数の基板間端子が配列されており、それら基板間端子の一方の端部が一方の前記プリント基板に半田付けされていると共に他方の端部が他方の前記プリント基板に半田付けされることにより、前記2枚のプリント基板が前記複数の基板間端子で相互に接続されているプリント基板積層体において、前記複数の基板間端子が相互に独立しており、それぞれの端部が前記2枚のプリント基板に半田付けされていると共に、前記基板間端子における中間部分には、該中間部分の延出方向に直交して突出する突起部が形成されていることを、特徴とする。
【0009】
本発明によれば、基板間端子の中間部分に突起部が形成されていることから、基板間端子の中間部分を適当な治具に挿通して、突起部で治具に係止することが出来る。これにより、複数の基板間端子を治具に整列状態に位置決めして保持することが出来る。その結果、複数の基板間端子を、治具で保持した状態を維持しつつ2枚のプリント基板のスルーホールにそれぞれ挿通して半田付けした後に治具を取り外すことが出来る。これにより、樹脂台座等を用いることなく、複数の基板間端子のアライメント精度を確保しつつ容易に2枚のプリント基板に半田付けすることが出来て、優れたコスト効率と組み付け性を両立することが出来る。
【0010】
さらに、各基板間端子が、樹脂台座等に組み付けられること無しに、相互に独立して設けられている。これにより、樹脂台座の熱変形によって基板間端子が位置ずれするおそれを回避することも出来て、半田クラックのおそれを低減することが出来る。
【0011】
本発明の第二の態様は、前記第一の態様に記載のものにおいて、前記基板間端子における前記突起部が、前記中間部分の延出方向の複数箇所に形成されているものである。
【0012】
本態様によれば、基板間端子が、中間部分の複数箇所で治具に係止される。これにより、基板間端子の治具に対する傾斜を抑えることが出来て、治具に対してより精度良く位置決めすることが出来る。その結果、複数の基板間端子をよりアライメント精度良く治具で保持することが出来て、プリント基板のスルーホールへの挿通作業をより容易且つ確実に行なうことが出来る。
【0013】
本発明の第三の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記基板間端子における前記中間部分をコの字形状に屈曲することによって張出部が形成されているものである。
【0014】
本態様によれば、張出部を治具に挿通することにより、治具を一方の端部の延長線上から外れて位置させることが出来る。これにより、基板間端子から治具を取り外す場合には、治具を一方の端部側に一直線に引き抜く簡易な操作で取り外すことが出来る。また、張出部を形成する屈曲部分で2枚のプリント基板間の距離の変化を吸収することにより、半田クラックの発生を抑えることも出来る。特に、中間部分がコの字形状とされることによって、両端部のそれぞれに屈曲部分が形成される。これにより、2枚のプリント基板の距離の変化を2つの屈曲部分でより効果的に吸収することが出来て、半田クラックの発生をより効果的に抑えることが出来る。また、基板間端子の両端部が同一直線上に形成されることから、端部が半田付けされるプリント基板のスルーホール等を基板の外周縁部に近づけて形成することが可能であり、プリント基板の有効面積をより広く確保することが出来る。
【0015】
本発明の第四の態様は、前記第三の態様に記載のものにおいて、前記張出部が、前記一方の端部が半田付けされた前記プリント基板の外側に突出されているものである。
【0016】
このようにすれば、基板間端子を保持する治具をプリント基板から外れて位置させることが出来る。これにより、基板間端子から治具を取り外すに際して、プリント基板と干渉することなく治具をより容易に取り外すことが出来る。
【0017】
本発明の第五の態様は、前記第一又は第二の態様に記載のものにおいて、前記基板間端子における前記中間部分をクランク形状に屈曲することによって張出部が形成されているものである。
【0018】
本態様においても、張出部を挿通した治具を、一方の端部の延長線上から外れて位置させることが出来る。これにより、一方の端部側に一直線に引き抜く簡易な操作で治具を取り外すことが出来る。また、張出部を形成する屈曲部分で2枚のプリント基板間の距離の変化を吸収することにより、半田クラックの発生を抑えることも出来る。特に本態様によれば、少ない屈曲箇所で張出部を容易に形成することが出来る。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、2枚のプリント基板間に配列される複数の基板間端子を相互に独立して設けると共に、基板間端子の中間部分に、該中間部分の延出方向に直交して突出する突起部を形成した。これにより、基板間端子を治具に挿通して、突起部で治具に係止させることにより、治具で位置決め状態に保持することが出来る。そして、複数の基板間端子を治具でアライメント精度良く整列状態に保持しつつ、2枚のプリント基板のスルーホールに挿通して半田付けすることが出来る。その結果、樹脂台座等を用いること無しに基板間端子をプリント基板に容易に且つ精度良く組み付けることが出来て、優れたコスト効率と組み付け性を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第一の実施形態としてのプリント基板積層体の斜視図。
【図2】図1に示したプリント基板積層体の側面図。
【図3】図1に示したプリント基板積層体を構成する基板間端子の斜視図。
【図4】基板間端子の治具による保持状態を説明するための説明図。
【図5】本発明の第二の実施形態としてのプリント基板積層体の側面図。
【図6】図5に示したプリント基板積層体を構成する基板間端子の斜視図。
【図7】本発明の第三の実施形態としてのプリント基板積層体の側面図。
【図8】図7に示したプリント基板積層体を構成する基板間端子の斜視図。
【図9】本発明の第四の実施形態としてのプリント基板積層体の側面図。
【図10】本発明の第五の実施形態としてのプリント基板積層体の斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0022】
先ず、図1および図2に、本発明の第一の実施形態としてのプリント基板積層体10を示す。プリント基板積層体10は、一方のプリント基板12aと他方のプリント基板12bの二枚のプリント基板が、複数の基板間端子14で相互に接続された構造とされている。
【0023】
複数の基板間端子14は、何れも同形状とされている。図3に示すように、基板間端子14は、正方形断面を有する金属線材が所定長さで切断されて形成されている。基板間端子14は、一方の端部16aと他方の端部16bとの間が中間部分18とされている。中間部分18はコの字形状に屈曲されており、一方の端部16a側において、一方の端部16aに近い側から順に、第一屈曲部20aと第二屈曲部20bが形成されていると共に、他方の端部16b側において、他方の端部16bに遠い側から順に、第三屈曲部20cと第四屈曲部20dが形成されている。そして、第一屈曲部20aと第二屈曲部20bがそれぞれ直角に屈曲されることによって一方の端部16a側がクランク形状とされていると共に、第三屈曲部20cと第四屈曲部20dがそれぞれ直角に屈曲されることによって、他方の端部16b側が一方の端部16a側と反対のクランク形状とされている。これにより、中間部分18がコの字形状に屈曲されていると共に、一方の端部16aと他方の端部16bが、互いに等しい延出方向で同一直線上に延出されている。
【0024】
中間部分18には、一方の端部16a側において、第一屈曲部20aと第二屈曲部20bでそれぞれ直角に屈曲されることにより、第一屈曲部20aと第二屈曲部20bの間に、一方の端部16aの延出方向に直交して延びる張出部22が形成されている。更に、第二屈曲部20bと第三屈曲部20cの間には、両端部16a,16bから外れた直線上で両端部16a,16bと平行に延びる挿通部24が形成されており、挿通部24が、張出部22を挟んで他方の端部16b側に形成されている。
【0025】
挿通部24には、一対の突起部26,26が形成されている。突起部26,26は、挿通部24の延出方向に直交して両外側に突出する矩形の突起とされており、挿通部24において部分的に潰し加工が施されることによって形成されている。特に本実施形態においては、挿通部24の長さ方向で所定間隔を隔てた2箇所のそれぞれに、一対の突起部26,26が形成されている。
【0026】
また、一方の端部16aと他方の端部16bには、それぞれ、基板間端子14の先端縁部から所定距離だけ離隔した位置に、位置決め突起28,28が形成されている。位置決め突起28,28は、突起部26,26と同様の形状とされており、突起部26,26と同様に両端部16a,16bのそれぞれにおいて部分的に潰し加工が施されることによって形成されている。
【0027】
一方、プリント基板12a,12bには、それぞれの外周部分において、複数のスルーホール30a,30bが、外周縁部に沿って所定間隔を隔てて一直線上に並んで形成されている。そして、基板間端子14の一方の端部16aが、一方のプリント基板12aのスルーホール30aに挿通されて半田付けされると共に、他方の端部16bが、他方のプリント基板12bのスルーホール30bに挿通されて半田付けされる。これにより、一方のプリント基板12aと他方のプリント基板12bが所定距離:Dを隔てて対向配置されていると共に、複数の基板間端子14で相互に接続されて、プリント基板積層体10が構成されている。
【0028】
両プリント基板12a,12bへの組み付け状態において、複数の基板間端子14は、樹脂台座等の他部材を用いることなく、相互に独立して両プリント基板12a,12b間に配列して設けられている。また、基板間端子14の一方の端部16aのスルーホール30aへの挿通量が、一方の端部16a側に形成された位置決め突起28,28が一方のプリント基板12aに係止されることにより規定される。同様に、他方の端部16bのスルーホール30bへの挿通量が、他方の端部16b側に形成された位置決め突起28,28が他方のプリント基板12bに係止されることにより規定される。これにより、一方のプリント基板12aと他方のプリント基板12bとの対向距離:Dが規定されるようになっている。本実施形態における両プリント基板12a,12bの対向距離:Dは、20mm〜40mmの範囲内で設定されており、プリント基板12aとプリント基板12bの間に図示しないリレーなどの電気部品を配設可能な程度に、比較的大きな対向距離とされている。また、複数の基板間端子14は、それぞれ、中間部分18における張出部22がプリント基板12a,12bの外周側に突出して延び出されており、挿通部24が、プリント基板12a,12bの外側に突出して位置されている。
【0029】
このような構造とされたプリント基板積層体10によれば、両プリント基板12a,12bを相互に接続する複数の基板間端子14が、樹脂台座等の特別な部材を要することなく、相互に独立して設けられている。これにより、樹脂台座の熱膨張などで基板間端子14が位置ずれするおそれを回避することが出来て、半田クラックの発生を抑えることが出来る。更に、中間部分18においてコの字形状に屈曲されていることから、例えば一方のプリント基板12aと他方のプリント基板12bの間に樹脂製の絶縁板を介在させた構造において、絶縁板の熱膨張等で両プリント基板12a,12bの対向距離が変化するような場合には、第一〜第四屈曲部20a〜20dの屈曲によって対向距離の変化を吸収することが出来て、半田クラックの発生をより効果的に抑えることが出来る。また、基板間端子14における両方の端部16a,16bが同一直線上に位置されることから、これら端部16a,16bが挿通されるスルーホール30a,30bを、2枚のプリント基板12a,12bの両方において外周部分に形成することが出来て、両方のプリント基板12a,12bのそれぞれにおいて、有効面積を大きく確保することが出来る。
【0030】
そして、本実施形態における基板間端子14は、図4に示すように、中間部分18を治具32の挿通孔34に挿通して治具32で保持することが出来る。治具32には、複数の挿通孔34が、所定間隔を隔てて並んで形成されている。各挿通孔34は、一定の断面形状をもって治具32を貫通して形成されており、治具32の側面36に開口して上下に延び出されていると共に、その両端部が治具32の上面38と下面40に開口されている。また、挿通孔34には、部分的に幅方向両外側に拡幅された突起収容部42,42が形成されており、挿通孔34は、突起収容部42,42を含んだ一定の断面形状をもって、治具32の上面38から下面40に貫通して形成されている。
【0031】
このような治具32の挿通孔34に基板間端子14の挿通部24を挿通することによって、複数の基板間端子14を整列状態で治具32で保持することが出来る。なお、挿通部24の突起部26,26が挿通孔34の突起収容部42,42に挿入されるようになっている。そして、治具32で保持した状態で、複数の基板間端子14の一方の端部16aを一方のプリント基板12aのスルーホール30aにそれぞれ挿通して半田付けすると共に、他方の端部16bを他方のプリント基板12bのスルーホール30bにそれぞれ挿通して半田付けした後に、治具32を図2に示した矢印方向に引き抜いて基板間端子14から取り外すことにより、プリント基板積層体10を組み立てることが出来る。
【0032】
このようにすれば、複数の基板間端子14を治具32で保持することによって、アライメント精度を確保しつつ両端部16a,16bを両プリント基板12a,12bのスルーホール30a,30bにそれぞれ挿通することが出来る。その結果、特に基板間端子14が長尺で傾斜し易い場合でも、両スルーホール30a,30bに容易且つ確実に挿通することが出来る。そして、両端部16a,16bの半田付け後に治具32を取り外すことによって、樹脂台座等の特別な部材を要すること無しに、複数の基板間端子14をコスト効率良く優れた組み付け性をもって2枚のプリント基板12a,12bに組み付けることが出来る。
【0033】
特に、挿通部24に形成された突起部26,26を治具32における挿通孔34の突起収容部42,42に挿通して突起収容部42,42内で治具32に係止することによって、基板間端子14が治具32の側面36側から抜け出すことを阻止出来ると共に、基板間端子14の挿通部24の中心軸回りの回転も阻止することが出来て、治具32に対してより精度良く位置決めすることが出来る。更に、挿通部24の長さ方向の2箇所に突起部26,26をそれぞれ形成したことによって、治具32に対する傾き変位をより効果的に阻止することが出来る。
【0034】
加えて、挿通部24が一方のプリント基板12aの外側に位置されることから、挿通部24に外挿された治具32を、一方のプリント基板12aの外側に位置することが出来る。これにより、基板間端子14からの取り外しに際する治具32とプリント基板12aとの干渉を回避することが出来て、治具32を一方の端部16a側に一直線状にスライド操作することによって、簡易な操作で基板間端子14から容易に取り外すことが出来る。
【0035】
次に、図5に、本発明の第二の実施形態としてのプリント基板積層体50を示す。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様の構造とされた部材および部位には、図中に前記第一の実施形態と同一の符号を付することによって、その説明を適宜に省略する。
【0036】
本実施形態における基板間端子52は、図6に示すように、中間部分18がクランク形状に屈曲されており、一方の端部16a側に、第一屈曲部20aと第二屈曲部20bが形成されていると共に、中間部分18から他方の端部16bにかけて一直線形状とされている。これにより、一方の端部16aと他方の端部16bは、異なる直線上で互いに平行に延出されている。そして、第一屈曲部20aと第二屈曲部20bの間が、一方の端部16aに対して直交して延び出された張出部22とされていると共に、張出部22から他方の端部16b側が挿通部24とされている。そして、挿通部24の長さ方向で所定距離を隔てた2箇所に、一対の突起部26,26がそれぞれ形成されている。
【0037】
このような基板間端子52は、図5に示したように、挿通部24が治具32の挿通孔34に挿通されて、治具32に保持される。そして、両端部16a,16bをプリント基板12a,12bにそれぞれ半田付けした後に、図5に矢印で示すように、治具32を挿通部24から一方の端部16a側に引き抜いた後に、プリント基板12a,12bの外側に動かすことによって、基板間端子52から取り外すことが出来る。本実施形態によれば、基板間端子52をより簡易な形状として、容易に形成することが出来る。また、基板間端子52がプリント基板12a,12bの外方に突出することなく配設されていることから、プリント基板積層体50のコンパクト化を図ることが出来る。
【0038】
次に、図7に、本発明の第三の実施形態としてのプリント基板積層体60を示す。本実施形態においては、一方のプリント基板12aと他方のプリント基板12bの間に、図8に示す基板間端子62が複数配設されている。基板間端子62は、一直線状に延びるストレート形状とされている。そして、基板間端子62の長さ方向で他方の端部16b側にやや偏倚した2箇所に、一対の突起部26,26がそれぞれ形成されている。本実施形態によれば、基板間端子62を更に簡易な形状をもって形成することが出来る。また、基板間端子62をプリント基板12a,12bの外側に突出させること無く配設出来ることから、プリント基板積層体60のコンパクト化を図ることも出来る。なお、図7に示したように、基板間端子62を保持する治具32は、一方のプリント基板12a側にスライドされて、基板間端子62の全ての突起部26が挿通孔34から抜け出された後に、プリント基板12aの外側に動かされて、基板間端子62が挿通孔34の側面36側の開口部分から抜き出されることによって、基板間端子62から取り外される。
【0039】
次に、図9に、本発明の第四の態様としてのプリント基板積層体70を示す。本実施形態における基板間端子72は、前記第一の実施形態に示した基板間端子14において位置決め突起28,28を有さず、第一屈曲部20aおよび第四屈曲部20dで一方のプリント基板12aと他方のプリント基板12bにそれぞれ係止されることによって、一方の端部16aおよび他方の端部16bのスルーホール30a,30bへの挿通量が規定されている。本実施形態によれば、プリント基板12a,12bに係止される長さ寸法がより大きく確保されることから、両端部16a,16bのスルーホール30a,30bへの挿通量をより精度良く設定することが出来る。また、前記基板間端子14のような位置決め突起28,28が不要とされることから、基板間端子72をより容易に形成することが出来る。
【0040】
また、図10に、本発明の第五の実施形態としてのプリント基板積層体80を示す。本実施形態における一方のプリント基板12aと他方のプリント基板12bのそれぞれには、外周部分に切欠82,82が形成されていると共に、複数のスルーホール30a,30bが、切欠82,82に沿って配列して形成されている。そして、前記第四の実施形態に示した基板間端子72の両端部16a,16bがスルーホール30a,30bに挿通されて半田付けされている。これにより、基板間端子72の挿通部24の上下にはプリント基板12a,12bの切欠82,82が位置されており、基板間端子72が、プリント基板12a,12bの最外周縁部84,84よりも外側に突出することなく配設されている。
【0041】
本実施形態によれば、基板間端子72をプリント基板12a,12bの外側に突出させることなく配設して、プリント基板積層体80をコンパクトに構成することが出来る。そして、切欠82によって、基板間端子72を保持する治具32と一方のプリント基板12aとの干渉を回避することが出来て、一方の端部16a側への一方向のスライド操作で治具32を容易に取り外すことが出来る。
【0042】
以上、本発明の実施形態について詳述したが、本発明はその具体的な記載によって限定されない。例えば、前記各実施形態における基板間端子の具体的形状はあくまでも例示であって、基板間端子の具体的形状は、上記各実施形態の如き形状に限定されるものではない。また、突起部は、基板間端子の中間部分における1箇所に形成されているのみでも良いし、3箇所以上に形成されていても良い。
【符号の説明】
【0043】
10,50,60,70,80:プリント基板積層体、12a:一方のプリント基板、12b:他方のプリント基板、14,52,62,72:基板間端子、16a:一方の端部、16b:他方の端部、18:中間部分、22:張出部、24:挿通部、26:突起部、30a,b:スルーホール、32:治具、34:挿通孔、42:突起収容部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向配置された2枚のプリント基板の間に複数の基板間端子が配列されており、それら基板間端子の一方の端部が一方の前記プリント基板に半田付けされていると共に他方の端部が他方の前記プリント基板に半田付けされることにより、前記2枚のプリント基板が前記複数の基板間端子で相互に接続されているプリント基板積層体において、
前記複数の基板間端子が相互に独立しており、それぞれの端部が前記2枚のプリント基板に半田付けされていると共に、
前記基板間端子における中間部分には、該中間部分の延出方向に直交して突出する突起部が形成されている
ことを特徴とするプリント基板積層体。
【請求項2】
前記基板間端子における前記突起部が、前記中間部分の延出方向の複数箇所に形成されている
請求項1に記載のプリント基板積層体。
【請求項3】
前記基板間端子における前記中間部分をコの字形状に屈曲することによって張出部が形成されている
請求項1又は2に記載のプリント基板積層体。
【請求項4】
前記張出部が、前記一方の端部が半田付けされた前記プリント基板の外側に突出されている
請求項3に記載のプリント基板積層体。
【請求項5】
前記基板間端子における前記中間部分をクランク形状に屈曲することによって張出部が形成されている
請求項1又は2に記載のプリント基板積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−160649(P2012−160649A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−20727(P2011−20727)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】