説明

プレゼンスサーバ、移動機、プレゼンス情報管理システムおよびプレゼンス情報管理方法

【課題】 自動的に自己のプレゼンス情報を登録して他のユーザが当該プレゼンス情報を得ることができる手段を提供する。
【解決手段】 プレゼンス情報管理システム10は、このフロアの各部屋にそれぞれアクセスポイント22等が配置されている。アクセスポイント22等は、プレゼンスサーバ32に接続されている。各部屋にはそれぞれ移動機34等を所持したユーザが入室した状態にある。アクセスポイント22等は、各部屋内の移動機34等をそれぞれ自己に帰属している移動機とし、自己のBSSIDを保持させる。プレゼンスサーバ32は、移動機34等から受信したBSSIDに関連付けられたプレゼンス情報を抽出して、所定の移動機36等に送信するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレゼンスサーバ、移動機、プレゼンス情報管理システムおよびプレゼンス情報管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)やFTTH(Fiber to the Home)、携帯電話などあらゆる通信インフラが整備され、ユーザが常時いずれかの方法でネットワークに接続できる環境が整いつつある。ネットワークを介した通信には、例えば、電子メールやチャットなどのような人間同士のコミュニケーションやネットサーフィンがある。そして、今後は「相手がどこにいてどのような状態にあるのか」を第三者に表示するプレゼンスサービス等の情報発信型コミュニケーションの時代へと進化していくものと推測される。
【0003】
このようなプレゼンスサービスとしては、SIP(Session Initiation Protocol)が現在知られている。例えば、SIPを用いたシステムとしては、Windows(登録商標) Messengerが存在する。なお、SIPは、種々のシステムにおいて利用されている。例えば、下記特許文献1には、SIPを用いて分散オブジェクト間の通信を確立する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2003−22250号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来のプレゼンスサービスでは、自己のプレゼンス情報(個人の所在や状態に関する情報)を第三者にプレゼンスするためには、送信側のユーザが手入力で現在の自己のプレゼンス情報を登録しなければならず面倒であった。また、自分で入力したスタティックな状態表示しかできないため、場所を移動するなど状態が変わった場合には自分で状態更新を行う必要があった。そのため、ユーザが更新を忘れた場合には、実際の状況とプレゼンス情報の表示にずれが生じることがあり、プレゼンス情報の精度には問題があった。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、自動的に自己のプレゼンス情報を登録して他のユーザが当該プレゼンス情報を得ることができる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、無線LANのアクセスポイントとアクセスポイントからの情報に基づき自身の位置情報を特定可能な移動機と移動機のプレゼンス情報を受信する端末とから構成されるシステムにおいて、端末に対して移動機のプレゼンス情報を送信するプレゼンスサーバであって、位置情報に関連付けられたプレゼンス情報を記憶する記憶手段と、移動機が送信した当該移動機の位置情報を受信する位置情報受信手段と、位置情報受信手段が受信した位置情報に関連付けられたプレゼンス情報を記憶手段から抽出する制御手段と、制御手段が抽出したプレゼンス情報を端末に送信するプレゼンス情報送信手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、プレゼンスサーバの位置情報受信手段はアクセスポイント(Access Point、以下、APということがある)からの情報に基づいた位置情報を移動機から受信し、制御手段は当該位置情報に関連付けられたプレゼンス情報を記憶手段から抽出し、プレゼンス情報送信手段は当該プレゼンス情報を端末に送信するので、ユーザが自己のプレゼンス情報を手入力で登録しなくとも、自動的にユーザが所持する移動機の位置に応じたプレゼンス情報を、端末を使用するユーザに送信することができる。
【0008】
この場合、位置情報受信手段が移動機からそれまでとは異なる位置情報を受信したときは、制御手段は異なる位置情報に関連付けられたプレゼンス情報を記憶手段から新たに抽出し、プレゼンス情報送信手段は制御手段が新たに抽出したプレゼンス情報を端末に送信することが好適である。
【0009】
この構成によれば、移動機が移動して異なる位置情報を送信した場合に、プレゼンスサーバはその新たな位置情報に基づいた新たなプレゼンス情報を抽出して端末に自動的に送信する。そのため、プレゼンス情報を受信するユーザは常に更新されたプレゼンス情報を受信することができる。
【0010】
この場合、記憶手段は位置情報を送信する移動機に関連付けられたプレゼンス情報を記憶し、制御手段は位置情報を送信した移動機に関連付けられたプレゼンス情報を記憶手段から抽出することが好適である。
【0011】
この構成によれば、記憶手段は位置情報を送信する移動機に関連付けられたプレゼンス情報を記憶し、制御手段は位置情報を送信した移動機に関連付けられたプレゼンス情報を抽出するので、送信側のユーザごとにプレゼンス情報をカスタマイズ(ユーザの好みに合わせて変更)することができる。
【0012】
この場合、記憶手段は端末に関連付けられたプレゼンス情報を記憶し、制御手段は端末に関連付けられたプレゼンス情報を記憶手段から抽出し、プレゼンス情報送信手段は端末に関連付けられたプレゼンス情報を当該端末に送信することが好適である。
【0013】
この構成によれば、記憶手段はプレゼンス情報を送信する端末に関連付けられたプレゼンス情報を記憶し、制御手段は端末に関連付けられたプレゼンス情報を抽出し、プレゼンス情報送信手段は受信側の端末に関連付けられたプレゼンス情報を当該端末ごとに送信するので、受信側のユーザごとにプレゼンス情報をカスタマイズすることができる。
【0014】
また本発明の別の態様は、移動機の無線通信を中継する無線LANのアクセスポイントと移動機のプレゼンス情報を受信する端末と端末に対して移動機のプレゼンス情報を送信するプレゼンスサーバとから構成されるシステムにおける移動機であって、アクセスポイントからの情報を受信する情報受信手段と、情報受信手段が受信した情報から自身の位置情報を特定する位置情報特定手段と、位置情報特定手段が特定した位置情報をアクセスポイントを介してプレゼンスサーバに送信する位置情報送信手段と、
を備えたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、情報受信手段はアクセスポイントからの情報を受信し、位置情報特定手段はアクセスポイントからの情報から自身の位置情報を特定し、位置情報送信手段は当該位置情報をプレゼンスサーバに送信するので、ユーザは自己のプレゼンス情報を手入力で登録する必要がない。
【0016】
さらに本発明の別の態様は、上述のプレゼンスサーバと、上述の移動機とを含むことを特徴とするプレゼンス情報管理システムであり、ユーザの移動機の位置に応じたプレゼンス情報を得ることができる。
【0017】
また本発明の別の態様は、移動機と、移動機の無線通信を中継する無線LANのアクセスポイントと、移動機のプレゼンス情報を受信する端末と、端末に移動機のプレゼンス情報を送信するプレゼンスサーバと、から構成されるシステムにおけるプレゼンス情報管理方法であって、移動機がアクセスポイントからの情報に基づき自身の位置情報を特定するステップと、移動機が自身の位置情報をアクセスポイントを介してプレゼンスサーバに送信するステップと、プレゼンスサーバが位置情報に関連付けられたプレゼンス情報を抽出するステップと、プレゼンスサーバがプレゼンス情報を端末に送信するステップと、を含むことを特徴とし、この構成によりユーザの位置に応じたプレゼンス情報を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるプレゼンスサーバ、移動機、プレゼンス情報管理システムおよびプレゼンス情報管理方法によれば、自動的に自己のプレゼンス情報を登録して他のユーザが当該プレゼンス情報を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態に係るプレゼンス情報管理システムついて添付図面を参照して説明する。なお、本実施形態に係るプレゼンス情報管理システムは、本発明の実施形態に係るプレゼンスサーバおよび移動機を含んでいる。
【0020】
まず、本実施形態に係るプレゼンス情報管理システムの構成について説明する。図1は、本実施形態に係るプレゼンス情報管理システムの構成を示す図である。図1に示すプレゼンス情報管理システム10は、本発明をオフィスビルの1フロアに適用した例を示している。このフロアの食堂12、休憩室14、図書室16、会議室18、トイレ20には、それぞれアクセスポイント22,24,26,28,30が配置されている。アクセスポイント22,24,26,28,30は、プレゼンスサーバ32に接続されている。また、食堂12、休憩室14、図書室16、会議室18、トイレ20には、それぞれ移動機34,36,38,40,42を所持したユーザが入室した状態にある。本実施形態においては、移動機34,36,38,40,42は、自己の位置情報を送信する移動機であるとともに、他の移動機のプレゼンス情報を受信する端末としても作用する。以下、各構成要素について説明する。
【0021】
アクセスポイント22,24,26,28,30は、一般的な無線LANのアクセスポイントであり、移動機34,36,38,40,42の無線通信を中継する役割を果たし、それぞれ固有のBSSID(MACアドレス)を有する。アクセスポイント22,24,26,28,30は、各部屋内の移動機34,36,38,40,42をそれぞれ自己に帰属している移動機とし、自己のBSSIDをそれぞれの移動機の位置情報として保持させる。逆にアクセスポイント22,24,26,28,30は、自己に帰属する移動機34,36,38,40,42から、当該BSSIDおよび移動機ごとに固有のSIPアドレス(ユーザID)が含まれたNOTIFYメソッド(情報更新リクエスト、以下、NOTIFYとする)を受信し、プレゼンスサーバ32に送るようになっている。
【0022】
図2は本実施形態に係るプレゼンスサーバの構成を示す図である。本実施形態に係るプレゼンスサーバ32は、プレゼンス情報データベース44(記憶手段)、位置情報受信部46(位置情報受信手段)、制御部48(制御手段)、プレゼンス情報送信部50(プレゼンス情報送信手段)とから構成される。プレゼンス情報データベース44は、物理的にはハードディスク等の記憶装置から構成され、BSSID、SIPアドレスおよびプレゼンス情報を受信する移動機ごとに関連付けられたプレゼンス情報を記憶する。プレゼンス情報データベース44に記憶されたデータの詳細については後述する。なお、プレゼンス情報データベース44は、必ずしもプレゼンスサーバ32の内部に設けられている必要はなく、外部データベースの形態をとっても良い。
【0023】
位置情報受信部46は、物理的には入力インターフェース等から構成され、アクセスポイント22等からのNOTIFYを受信して制御部48に送る。制御部48は、物理的にはCPU(中央処理装置:Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等から構成され、位置情報受信部46が受信したBSSID等に基づき、これらに関連付けられたプレゼンス情報をプレゼンス情報データベース44から抽出するようになっている。プレゼンス情報送信部50は、物理的には出力インターフェース等から構成され、制御部48が抽出したプレゼンス情報をアクセスポイントを介して予め定められた移動機に送信するようにされている。ここで、もし、位置情報受信部46が受信していたBSSIDがそれまでとは異なるものとなったときは、制御部48はその異なるBSSIDに関連付けられたプレゼンス情報をプレゼンス情報データベース44から抽出し、プレゼンス情報送信部50は抽出した新たなプレゼンス情報を自動的に所定の移動機に送信するようになっている。
【0024】
図4は、本実施形態に係るプレゼンスサーバのプレゼンス情報データベースに格納されているBSSIDごとに関連付けられた場所名とデフォルトプレゼンス情報の例を示す図である。図4の例では、例えば図1における休憩室14に配置されたアクセスポイント24のBSSIDとして(00:00:00:05:A5:03)が割当てられており、このBSSIDには、場所名として「休憩室」、デフォルトプレゼンス情報として「休憩中」が関連付けられている。同様に、会議室18、食堂12、図書室16、トイレ20に配置されたアクセスポイントにもそれぞれに割当てられたBSSIDに対する場所名とデフォルトプレゼンス情報が関連付けられている。ユーザが特に指定をしない限り、プレゼンスサーバ32が受信したNOTIFY中のBSSIDに対して、このデフォルトプレゼンス情報がプレゼンス情報データベース44から抽出されて、各々の移動機34,36,38,40,42に送信されるようになっている。なお、ここで指定されていないBSSIDをプレゼンスサーバが受信した場合、「オンライン」(所在は圏内)の状態を送信するようになっている。
【0025】
図5は、本実施形態に係るプレゼンスサーバのプレゼンス情報データベースに格納されているBSSID、送信ユーザおよび受信ユーザごとに関連付けられたプレゼンス情報の例を示す図である。この図5の例では、送信ユーザがBSSIDごとのプレゼンス情報を登録して関連付けることができるようになっている。1つのBSSIDに対して複数個のプレゼンス情報を登録でき、図5の例では、プレゼンス情報A,Bの2つのプレゼンス情報を登録できるようになっている。そして、各プレゼンス情報に対して、受信ユーザを設定できるようになっている。
【0026】
例えば、図5に示すように、送信ユーザがユーザAの場合、場所名「休憩室」が関連付けられたBSSID(00:00:00:05:A5:03)には、プレゼンス情報A「喫煙中」と、プレゼンス情報B「勤務中」の2つのプレゼンス情報が登録されている。なお、この例では、ユーザAは喫煙者であるのでプレゼンス情報Aは「喫煙中」と登録されているが、例えば送信ユーザが非喫煙者の場合は、「喫煙中」以外のプレゼンス情報を登録することができる。そして、プレゼンス情報A「喫煙中」の受信ユーザにはユーザAの友人であるユーザB,ユーザCおよびユーザHが設定されている。一方、プレゼンス情報B「勤務中」の受信ユーザにはユーザAの上司であるユーザDが設定されている。
【0027】
また図5に示すように、送信ユーザがユーザBの場合、場所名「食堂」が関連付けられたBSSID(00:00:00:05:A5:02)には、プレゼンス情報A「めし中」が登録されており、受信ユーザにはALLが設定されている。この場合にはすべての受信ユーザにこのプレゼンス情報A「めし中」が送信される。
【0028】
さらに図5に示すように、送信ユーザがユーザAの場合、場所名「トイレ」が関連付けられたBSSID(00:00:00:05:A5:05)にプレゼンス情報A「奮闘中」が登録され、受信ユーザにはALLが設定されている。ただし、プレゼンス情報B「勤務中」も登録されており、受信ユーザにはユーザDが設定されている。このような場合には、受信ユーザDにはプレゼンス情報B「勤務中」が送信され、それ以外の受信ユーザにはプレゼンス情報A「奮闘中」が送信されるようになっている。
【0029】
図3は、本実施形態に係る移動機の構成を示す図である。図3に示すように本実施形態の移動機34は、電波受信部52(情報受信手段)、位置情報特定部54(位置情報特定手段)、電波送信部56(位置情報送信手段)、表示部58から構成されている。電波受信部52は、物理的には、復調回路、増幅回路等から構成され、帰属するアクセスポイントからの電波信号を受信するようになっている。この電波信号には、アクセスポイントのBSSIDの他、プレゼンスサーバからアクセスポイントを介して受信した他の各々の移動機のプレゼンス情報も含まれる。位置情報特定部54は、物理的にはCPU、ROM、RAM等から構成され、受信した電波信号からBSSIDを特定するようにされている。電波送信部56は、変調回路、増幅回路等から構成され、帰属するアクセスポイントを介してプレゼンスサーバに、BSSIDおよび移動機34自身のSIPアドレスを含むNOTIFYを送信できるようにされている。表示部58は、物理的には液晶ディスプレイ等からなり、プレゼンスサーバからアクセスポイントを介して受信した他の移動機のプレゼンス情報を表示することができるようにされている。
【0030】
続いて、本実施形態に係るプレゼンス情報管理システムの動作について説明し、併せて本発明の実施形態に係るプレゼンス情報管理方法について説明する。図6は、送信ユーザが移動した場合における本発明の実施形態に係るプレゼンス情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。この図6では、図1において移動機34を所持する送信ユーザであるユーザAが、図1中の矢印に示すように食堂12から休憩室14に移動した場合を例にとり説明する。
【0031】
移動機34は、移動前は、食堂12のアクセスポイント22に帰属し、アクセスポイント22のBSSIDを記憶して保持している。この状態で移動機34が休憩室14に移動する(S1)。このとき移動機34の帰属先アクセスポイントは、食堂のアクセスポイント22から休憩室のアクセスポイント24に変更され、移動機34はアクセスポイント24のBSSIDを記憶して保持する(S3)。
【0032】
そして、帰属しているアクセスポイントが変わることにより、記憶しているBSSIDの変更をトリガーとしてプレゼンス情報の更新を行なう。このプレゼンス情報の更新は、移動機34がNOTIFYを送信することで行なわれる。NOTIFY中のFromタグには移動機34固有のSIPアドレスが含まれる。また、NOTIFYのデータ部には新たなBSSIDが含まれている。NOTIFYのデータ部にはBSSID用のタグが存在し、プレゼンスサーバ32は、そのタグ以降のデータをBSSIDと認識するようになっている。このようなNOTIFYによってアクセスポイント24に通知を行なう(S3)。アクセスポイント24は、NOTIFYをそのまま中継してプレゼンスサーバ32に流す(S4)。
【0033】
プレゼンスサーバ32内では、内部処理としてまずNOTIFYからSIPアドレスとBSSIDの切出し(抽出)を行なう(S5)。これは、NOTIFYに含まれるFromタグからSIPアドレスを抽出し、かつデータ部のBSSID用タグ以降のデータをBSSIDと認識して抽出することにより行う。次に、BSSIDから場所名を特定する(S6)。そしてSIPアドレスとBSSIDからプレゼンス情報を特定する(S7)。必要な場合は、データのカスタマイズを行い送信ユーザ、受信ユーザに応じたプレゼンス情報を決定する(S8)。不必要な場合は、そのままのデフォルトプレゼンス情報を各々の移動機に送信する。
【0034】
プレゼンスサーバ32は、アクセスポイント24にプレゼンス情報の更新が完了した旨のレスポンスOKを通知する(S9)。アクセスポイント24は、レスポンスOKを中継して移動機34に送る(S10)。そして、送信ユーザの移動機34上のプレゼンス情報が更新される(S11)。
【0035】
またプレゼンスサーバ32は、移動機34のプレゼンス情報の更新をトリガとして受信ユーザに応じたプレゼンス情報をそれぞれの受信ユーザの移動機36,38,40,42に通知する(S12)。プレゼンスサーバ32は、受信ユーザの移動機36,38,40,42が帰属するアクセスポイント24,26,28,30に、それぞれの受信ユーザに応じたNOTIFYを通知する(S13)。このプレゼンスサーバ32からのNOTIFYのデータ部にはユーザに応じたプレゼンス情報が格納されている。アクセスポイント24,26,28,30は、それぞれのNOTIFYを中継して、各受信ユーザの移動機36,38,40,42に送る(S14)。NOTIFYを受信した移動機36,38,40,42は、NOTIFYを受信した旨のレスポンスOKを帰属するアクセスポイント24,26,28,30に返信し(S15)、アクセスポイント24,26,28,30は、NOTIFYをプレゼンスサーバに送る(S16)。その後、プレゼンスサーバ32からのNOTIFYを元に、受信ユーザの移動機36,38,40,42上のプレゼンス情報が更新される(S17)。
【0036】
上述のS1〜S17の処理は、送信ユーザの移動機が移動して、帰属するアクセスポイントが変更になる度に繰り返される。これにより、ユーザは他のユーザのプレゼンス情報を逐次把握することができる。
【0037】
次に、各移動機上のプレゼンス情報の表示について説明する。例えば、図1に示すように移動機34を所持するユーザAが、図中の矢印に示すように休憩室14に移動して喫煙を行なっているとする。このとき、上司であるユーザDには勤務中、友人であるユーザB,ユーザC,ユーザHには喫煙中、それ以外の人には休憩中と表示したいとする。この場合、プレゼンスサーバ32のプレゼンス情報データベース44には、図5に示すようなプレゼンス情報が登録されている。
【0038】
そして、プレゼンス情報管理システム10が上述したような動作を行った結果、図7に示すように、ユーザAの上司であるユーザDの移動機の表示部には、ユーザAが勤務中である旨のプレゼンス情報が表示される。一方、図8に示すように、ユーザAの友人であるユーザB,ユーザC,ユーザHの移動機の表示部には、ユーザAが喫煙中である旨のプレゼンス情報が表示される。そして、図9に示すように、上記ユーザB,ユーザC,ユーザD,ユーザH以外の人には、デフォルトプレゼンスの休憩中である旨のプレゼンス情報が表示される。
【0039】
続いて本実施形態に係るプレゼンス情報管理システムの作用及び効果について説明する。本実施形態に係るプレゼンス情報管理システム10は、各々のユーザが所持する移動機34,36,38,40,42が、帰属するアクセスポイント22,24,26,28,30よりBSSIDを取得し、プレゼンスサーバ32はそのBSSIDに基づいてプレゼンス情報を特定する。そのため、ユーザは自身のプレゼンス情報を手入力等で更新する必要がない。また、ユーザが移動したことによりプレゼンス状態が変わったときでも、自動的に更新されたプレゼンス情報を登録することができる。そして、自動的にプレゼンス情報が更新されるため、ユーザの更新忘れ等により、実際の状況とプレゼンス情報にずれが生じすることが無くなり、プレゼンス機能の精度を向上させることができる。
【0040】
特に、プレゼンス情報が更新される度に、更新されたプレゼンス情報を新たに他のユーザに送信するようにすることにより、ユーザは逐次、他のユーザの正確なプレゼンス情報を得ることができる。
【0041】
加えてユーザは、プレゼンス情報をカスタマイズすることができ、同じアクセスポイントのBSSIDに対して、自分の趣向に合わせたプレゼンス情報を登録することができる。特に、自身のプレゼンス情報を受信するユーザ毎にカスタマイズしたプレゼンス情報を登録することができ、プレゼンス機能の活用の範囲を広げることができる。
【0042】
尚、本発明のプレゼンスサーバ、移動機、プレゼンス情報管理システムおよびプレゼンス情報管理方法は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上記した実施の形態では、位置情報を送信する移動機が、他のユーザのプレゼンス情報を受信する端末を兼ねている例を中心に説明したが、例えば、プレゼンスサーバと有線で接続されたプレゼンス情報の受信専用の端末を配置したシステムとすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施形態に係るプレゼンス情報管理システムの構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るプレゼンスサーバの構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態に係る移動機の構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係るプレゼンスサーバのプレゼンス情報データベースに格納されているBSSIDごとに関連付けられた場所名とデフォルトプレゼンス情報の例を示す図である。
【図5】本発明の実施形態に係るプレゼンスサーバのプレゼンス情報データベースに格納されているBSSID、送信ユーザおよび受信ユーザごとに関連付けられたプレゼンス情報の例を示す図である。
【図6】送信ユーザが移動した場合における本発明の実施形態に係るプレゼンス情報管理システムの動作を示すシーケンス図である。
【図7】受信ユーザが送信ユーザの上司である場合における受信ユーザの移動機の画面表示を示す図である。
【図8】受信ユーザが送信ユーザの友人である場合における受信ユーザの移動機の画面表示を示す図である。
【図9】一般の受信ユーザの移動機の画面表示を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
10…プレゼンス情報管理システム、12…食堂、14…休憩室、16…図書室、18…会議室、20…トイレ、22,24,26,28,30…アクセスポイント、32…プレゼンスサーバ、34,36,38,40,42…移動機、44…プレゼンス情報データベース、46…位置情報受信部、48…制御部、50…プレゼンス情報送信部、52…電波受信部、54…位置情報特定部、56…電波送信部、58…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LANのアクセスポイントと前記アクセスポイントからの情報に基づき自身の位置情報を特定可能な移動機と前記移動機のプレゼンス情報を受信する端末とから構成されるシステムにおいて、前記端末に対して前記移動機のプレゼンス情報を送信するプレゼンスサーバであって、
前記位置情報に関連付けられたプレゼンス情報を記憶する記憶手段と、
前記移動機が送信した当該移動機の位置情報を受信する位置情報受信手段と、
前記位置情報受信手段が受信した位置情報に関連付けられたプレゼンス情報を前記記憶手段から抽出する制御手段と、
前記制御手段が抽出したプレゼンス情報を前記端末に送信するプレゼンス情報送信手段と、
を備えたことを特徴とするプレゼンスサーバ。
【請求項2】
前記位置情報受信手段が前記移動機からそれまでとは異なる位置情報を受信したときは、
前記制御手段は、前記異なる位置情報に関連付けられたプレゼンス情報を前記記憶手段から新たに抽出し、
前記プレゼンス情報送信手段は、前記制御手段が新たに抽出したプレゼンス情報を前記端末に送信する、ことを特徴とする請求項1に記載のプレゼンスサーバ。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記位置情報を送信する移動機に関連付けられたプレゼンス情報を記憶し、
前記制御手段は、前記位置情報を送信した前記移動機に関連付けられたプレゼンス情報を前記記憶手段から抽出する、ことを特徴とする請求項1または2に記載のプレゼンスサーバ。
【請求項4】
前記記憶手段は、前記端末に関連付けられたプレゼンス情報を記憶し、
前記制御手段は、前記端末に関連付けられたプレゼンス情報を前記記憶手段から抽出し、
前記プレゼンス情報送信手段は、前記端末に関連付けられたプレゼンス情報を当該端末に送信する、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプレゼンスサーバ。
【請求項5】
移動機の無線通信を中継する無線LANのアクセスポイントと前記移動機のプレゼンス情報を受信する端末と前記端末に対して前記移動機のプレゼンス情報を送信するプレゼンスサーバとから構成されるシステムにおける移動機であって、
前記アクセスポイントからの情報を受信する情報受信手段と、
前記情報受信手段が受信した情報から自身の位置情報を特定する位置情報特定手段と、
前記位置情報特定手段が特定した位置情報を前記アクセスポイントを介してプレゼンスサーバに送信する位置情報送信手段と、
を備えたことを特徴とする移動機。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のプレゼンスサーバと、請求項5に記載の移動機と、を含むことを特徴とするプレゼンス情報管理システム。
【請求項7】
移動機と、前記移動機の無線通信を中継する無線LANのアクセスポイントと、前記移動機のプレゼンス情報を受信する端末と、前記端末に前記移動機のプレゼンス情報を送信するプレゼンスサーバと、から構成されるシステムにおけるプレゼンス情報管理方法であって、
前記移動機が前記アクセスポイントからの情報に基づき自身の位置情報を特定するステップと、
前記移動機が自身の位置情報を前記アクセスポイントを介して前記プレゼンスサーバに送信するステップと、
前記プレゼンスサーバが前記位置情報に関連付けられたプレゼンス情報を抽出するステップと、
前記プレゼンスサーバが前記プレゼンス情報を前記端末に送信するステップと、
を含むことを特徴とするプレゼンス情報管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−197126(P2006−197126A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−5525(P2005−5525)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】